説明

表示装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】身体ハンディキャップを持つ人の操作性の向上が図られた表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置である操作パネル30は、機器の機能や動作条件が記載された設定項目54aと設定項目54aを選択したり決定したりするためのキーを含む入力キー56とを画面上に複数表示するとともに、設定項目54aまたは入力キー56の操作を受け付けるタッチパネル部37yを有する表示部37と、表示部37に対する操作を検出する操作検出部38と、表示部37の画面を複数の領域に区分するとともに、設定項目54aまたは入力キー56に対する操作の前段階で操作検出部38からの情報に基づいて表示部37の画面の複数の領域のうち利用者が接触した一の領域を特定して特定領域とし、特定領域に入力キー56を集中して表示させ、特定領域外の領域に設定項目54aを分散させて表示させる操作制御部39と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル機能を有し、その操作によって項目選択やキー入力が可能な表示部を備えた表示装置に関する。また、この表示装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型情報機器に代表される多くの電化製品には前面にタッチパネル機能を有する表示部を備えた表示装置が搭載されている。複写機やプリンター、ファクシミリ、スキャナといった画像形成装置も同様に、その装置正面に表示装置を備えているものがある。このような表示装置は一般的にタッチパネル部が設けられ、液晶などで構成された画面上に様々な設定項目や入力キーを表示するとともに、それら設定項目や入力キーに手で直接、或いはタッチペンなどの入力補助具で接触することにより字入力や命令実行などの操作を受け付ける。
【0003】
ここで、複写機やプリンター等の画像形成装置は一般的に健常者の使用を想定した高さで設計されている。印刷の開始を指示するためのスタートボタンや画像形成装置に関する各種情報を表示して操作を受け付ける表示装置などを有する操作部も、同様の考えに基づいてその設置高さが決定されている。そして、その操作部は上方からの視認や操作が比較的し易いような構成で設計されている。
【0004】
一方、車椅子を使用していたり、身長が比較的低かったりといった身体的なハンディキャップを持つ人が画像形成装置を操作する場合、操作部の表示が見難い、ボタンが押し難い等の問題が生じることがある。このような問題を解決すべく、操作部の高さや角度を変更することが可能な画像形成装置の例が特許文献1及び2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−287453号公報
【特許文献2】特開2005−84086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された画像形成装置は操作部の高さや角度を変更することのみに注目しており、身体的なハンディキャップを持つ人に対する表示部自体の使い勝手を考慮しているわけではない。すなわち、身体的なハンディキャップを持つ人は手の可動範囲が制限されることがあるので、様々な機器に搭載されるタッチパネル機能を有する表示部として操作し易いように設定項目や入力キーを画面上に表示する工夫を凝らすことが望まれる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、身体的なハンディキャップを持つ人にとって操作性の向上が図られた表示部を備えた表示装置を提供することを目的とする。また、このような表示装置を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の表示装置は、機器の操作や状態の表示のために機器に搭載される表示装置であって、機器の機能や動作条件が記載された設定項目と前記設定項目を選択したり決定したりするためのキーを含む入力キーとを画面上に複数表示するとともに、前記設定項目または前記入力キーの操作を受け付けるタッチパネル部を有する表示部と、前記表示部に対する操作を検出する操作検出部と、前記表示部の画面を複数の領域に区分するとともに、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記操作検出部からの情報に基づいて前記表示部の画面の前記複数の領域のうち利用者が接触した一の領域を特定して特定領域とし、前記表示部の画面の前記特定領域に前記入力キーを集中して表示させ、前記特定領域外の領域に前記設定項目を分散させて表示させる制御部と、を備えることとした。
【0009】
この構成によれば、設定項目または入力キーに対する操作の前段階で表示部の画面上における利用者にとって操作し易い領域が特定領域となる。そして、その特定領域に設定項目の選択や決定に係る入力キーが集中するので、身体的なハンディキャップを持つ人にとっても表示装置が操作し易くなる。
【0010】
また、上記構成の表示装置において、前記制御部は、前記表示部の画面を上下左右に4分割した領域に区分することとした。
【0011】
この構成によれば、前記表示部の画面が上下左右に4分割した領域に区分されるので、例えば左右いずれかの手にハンディキャップを持つ人はそれに対向する左右の操作し易い領域を入力キーが集中する特定領域にすることができる。
【0012】
また、上記構成の表示装置において、所定高さの利用者を検知可能な人体検知部を備え、前記制御部は、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記操作検知部が利用者による画面への接触を検知し、且つ前記人体検知部が所定高さの利用者を検知できなかったとき、前記接触を検知した領域を前記特定領域とすることとした。
【0013】
この構成によれば、人体検知部が検知できない高さの利用者、すなわち例えば車椅子を使用する人といった身長が比較的低いというハンディキャップを持つ人が表示部の画面に接触したとき、画面上における利用者にとって操作し易い領域が特定領域となる。
【0014】
また、上記構成の表示装置において、前記表示部を前記特定領域に前記入力キーを集中させる表示に切り替えるための表示部切替キーを備え、前記制御部は、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記表示部切替キーが操作されたことを条件として利用者に前記表示部の画面への接触を要求し、利用者が接触した領域を前記特定領域とすることとした。
【0015】
この構成によれば、前記人体検知部を用いたときのような身長にハンディキャップを持つ人ではない場合であっても表示部切替キーを操作して表示部の画面に接触することにより、画面上における利用者にとって操作し易い領域が特定領域となる。
【0016】
また本発明では、上記構成の表示装置を画像形成装置に搭載することとした。
【0017】
この構成によれば、画像形成装置の表示装置において設定項目または入力キーに対する操作の前段階で表示部の画面上における利用者にとって操作し易い領域が特定領域となる。そして、その特定領域に設定項目の選択や決定に係る入力キーが集中するので、身体的なハンディキャップを持つ人にとっても画像形成装置が操作し易くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、身体的なハンディキャップを持つ人にとって操作性の向上が図られた表示部を備えた表示装置を提供することができる。また、このような表示装置を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の操作パネル(表示装置)の正面図である。
【図4】図3に示す操作パネルの表示部の正面図である。
【図5】ユニバーサルモード時の表示部の正面図である。
【図6】ユニバーサルモード時の表示部の領域区分方法を示す説明図である。
【図7】図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(上側)を特定領域に設定した状態を示すものである。
【図8】図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(右側)を特定領域に設定した状態を示すものである。
【図9】図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(左側)を特定領域に設定した状態を示すものである。
【図10】表示部の表示切り替えに係る動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の表示部の表示切り替えに係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
【0021】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る表示装置を搭載した画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
画像形成装置1は、図1に示すように本体2の内部下方に給紙カセット3を備えている。給紙カセット3はその内部に印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0023】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に二次転写部5まで搬送する。
【0024】
給紙カセット3の上方であって第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には手差し給紙部6が備えられている。手差し給紙部6には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0025】
手差し給紙部6の左方には第2用紙搬送部7が備えられている。第2用紙搬送部7は給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部6から第1用紙搬送部4まで略水平に延びて第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部7は手差し給紙部6から送り出された用紙を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0026】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置8が、その下方の本体2内部には画像読取部9が備えられている。利用者が原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を、原稿搬送装置8に積載したり、画像読取部9上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置8では1枚或いは複数枚の原稿が1枚ずつ分離して送り出され、画像読取部9によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては、画像読取部9内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0027】
原稿画像の読み取り、すなわち画像形成の開始は本体2の上部であって画像読取部9の正面側に備えられた表示装置である操作パネル30を用いて指示される。操作パネル30は利用者による印刷に使用する用紙の種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件設定などを受け付ける。なお、操作パネル30の詳細な構成は後述する。
【0028】
原稿の画像データの情報は後述する本体制御部20等を経由して画像処理が施された後、第2用紙搬送部7の上方であって、本体2の中央部に配置された露光部10に送られる。露光部10により、画像データに基づいて制御されたレーザー光Lが画像形成部11に向かって照射される。
【0029】
露光部10の上方には計4台の画像形成部11が、さらにそれら各画像形成部11の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト12が備えられている。中間転写ベルト12は複数のローラーに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において時計方向に回転する。
【0030】
4台の画像形成部11は、図1に示すように中間転写ベルト12の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部11とは、上流側から順にイエロー用の画像形成部11Y、マゼンタ用の画像形成部11M、シアン用の画像形成部11C、及びブラック用の画像形成部11Bである。これらの画像形成部11には、各色に対応する現像剤供給容器及び搬送手段(図示せず)により現像剤(トナー)が補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、画像形成部11の「Y」「M」「C」「B」の識別記号は省略するものとする。
【0031】
各画像形成部11では、露光部10によって照射されたレーザー光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、各画像形成部11の上方に備えられた一次転写部13で、中間転写ベルト12表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト12の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部11のトナー像が中間転写ベルト12に転写されることにより、中間転写ベルト12表面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0032】
中間転写ベルト12が用紙搬送路に懸かる箇所には二次転写部5が配置されている。中間転写ベルト12表面のカラートナー像は第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部5に形成される二次転写ニップ部で転写される。
【0033】
二次転写後、中間転写ベルト12表面に残留するトナーなどの付着物は中間転写ベルト12に対してイエロー用の画像形成部11Yの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト12用のクリーニング部14によってクリーニングされ、回収される。
【0034】
二次転写部5の上方には定着部15が備えられている。二次転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部15へと送られ、熱ローラーと加圧ローラーとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0035】
定着部15の上方には用紙案内部16が備えられている。定着部15から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、用紙案内部16から画像形成装置1の上部に設けられた胴内用紙排出部17に排出される。
【0036】
用紙案内部16から胴内用紙排出部17に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部18としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部18において定着部15から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは用紙案内部16を通過し、定着部15の左方、及び二次転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路19を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て二次転写部5へと送られる。
【0037】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU21やその他の図示しない電子部品で構成された本体制御部20を備えている。本体制御部20はCPU21を中央演算処理装置として使用し、記憶部22などに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部9、画像形成部11、中間転写ベルト12、定着部15などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。本体制御部20は利用者による画像形成装置1の動作に係る条件設定を操作パネル30から受け付ける。
【0038】
続いて、表示装置である操作パネル30の詳細な構成について、図2に加えて、図3〜図9を用いて説明する。図3は画像形成装置1の操作パネル30の正面図、図4は操作パネル30の表示部の正面図、図5はユニバーサルモード時の表示部の正面図、図6はユニバーサルモード時の表示部の領域区分方法を示す説明図、図7は図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(上側)を特定領域に設定した状態を示すもの、図8は図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(右側)を特定領域に設定した状態を示すもの、図9は図5と同様の表示部の正面図にして、図5とは異なる領域(左側)を特定領域に設定した状態を示すものである。
【0039】
操作パネル30は画像形成装置1の操作や状態の表示のために画像形成装置1に搭載され、図2及び図3に示すようにテンキー31、スタートキー32、ストップキー33、リセットキー34、エンターキー35、クリアキー36、表示部37、操作検出部38、操作制御部(制御部)39、記憶部40、ユニバーサルキー41、及び人体検知部42を備えている。
【0040】
テンキー31、スタートキー32、ストップキー33、リセットキー34、エンターキー35、及びクリアキー36は、図3に示すように操作パネル30の右側の領域に配置されている。テンキー31は数字入力を受け付けるキーであって、0から9までの数字及び「*」「#」が記されている。スタートキー32は各種動作の開始指示を受け付けるキーである。ストップキー33は各種動作の停止指示を受け付けるキーである。リセットキー34は各種設定のリセット指示を受け付けるキーである。エンターキー35は各種設定を許諾する所謂「OK」の指示と同様の働きをするキーである。クリアキー36は入力した数字や文字、記号を消去するキーである。
【0041】
表示部37は図3に示すように操作パネル30の中央部に配置されている。そして、表示部37は図2に示すように液晶表示部37x及びタッチパネル部37yを備えている。液晶表示部37xは設定、入力、指示などの複数の項目やキー、情報を、液晶を用いて表示している。タッチパネル部37yは液晶表示部37xの上方に重ねて配置され、利用者が指などで接触することにより液晶表示部37xに表示された設定項目の選択やキーの入力といった操作を受け付ける。
【0042】
操作検出部38は表示部37のタッチパネル部37yにおける利用者の指などの接触を検出する。操作検出部38がタッチパネル部37yから得た情報、すなわち表示部37に対する利用者のキー入力の情報は操作制御部39に送信される。
【0043】
操作制御部39は図示しないICなどの電子部品で構成され、本体制御部20による制御に基づき操作パネル30を制御する制御装置である。操作制御部39は本体制御部20からの制御指令により、記憶部22や記憶部40などに記憶されたプログラム、データに基づいて表示する設定項目や入力キーの種類、レイアウトを設定することで表示部37を表示制御する。また、操作制御部39はテンキー31、スタートキー32などの各キーやタッチパネル部37yからの情報に基づいて利用者が操作した入力キーを特定して利用者の操作指示として受け付け、その指示を必要に応じて本体制御部20に送信する。
【0044】
ここで、操作パネル30は例えば図4に示すコピー設定画面50を表示部37に表示することができる。コピー設定画面50にはメッセージ表示部51、部数表示部52、プレビュー部53、設定表示部54、及びタブ部55が配置されている。
【0045】
メッセージ表示部51はコピー設定画面50の上端部左側に設けられている。メッセージ表示部51には、例えば現在コピーが可能であったり、コピー中であったり、エラーが発生している状態であったりといった利用者に対するメッセージが表示される。
【0046】
部数表示部52はコピー設定画面50の上端部右側に設けられている。部数表示部52にはコピーを行う際の印刷部数が表示される。印刷部数はテンキー31により変更が可能である。
【0047】
プレビュー部53はコピー設定画面50の上下方向中央部左側に設けられている。プレビュー部53には画像読取部9で読み取った原稿の画像データのプレビューや選択された印刷用紙Pのサイズや向きなどが表示される。
【0048】
設定表示部54はコピー設定画面50の略中央部に、タブ部55はコピー設定画面50の下部に設けられている。設定表示部54には、例えば選択した印刷用紙のサイズや拡大縮小、濃度などといったコピーに関する機能や動作条件が記載された各種設定項目54aやその設定項目選択キー54bが表示される。設定表示部54に表示される設定項目54aはタブ部55の各種タブ55aを選択することにより切り替えることができる。例えば、図4に示す設定表示部54には「簡単設定」タブ55aの設定項目54aが表示されている。タブ55aは横方向に、例えば5個並べられている。
【0049】
また、表示部37に表示させるコピー設定画面50は、図4に示す通常使用時の画面のほか、図5に示すユニバーサルモード時の画面で表示させることも可能である。コピー設定画面50のユニバーサルモード時の画面への変更には、図2及び図3に示したユニバーサルキー41、或いは人体検知部42が用いられる。ユニバーサルキー41及び人体検知部42は操作パネル30上であって、表示部37の外側に配置されている。
【0050】
ユニバーサルキー41は利用者が押下することにより直接的にコピー設定画面50を通常使用時の画面(図4)からユニバーサルモード時の画面(図5)に、若しくはその逆に切り替えるための表示部切替キーである。人体検知部42は赤外線などを利用した光センサーを備え、操作パネル30の下端に左右方向に並べて3個設けられている。人体検知部42は略水平方向前方、すなわち利用者が立つ位置に向かって光を照射する。これにより、人体検知部42は人体検知部42が設けられた高さである所定高さの利用者を検知可能である。ユニバーサルキー41または人体検知部42を用いた表示部37の表示切り替えに係る動作については後述する。
【0051】
ユニバーサルモード時、操作制御部39は記憶部40に予め記憶された分割設定に基づいて、図5に示す表示部37のコピー設定画面50を例えば図6に示すように上側領域37U、下側領域37B、右側領域37R及び左側領域37Lの上下左右に4分割した領域に区分することができる。そして、操作制御部39は設定項目54aを選択したり決定したりするためのキーを含む入力キー56を図5に示すように下側領域37Bに集中して表示させ、他の3領域37U、37R及び37Lにコピーに関する機能や動作条件が記載された各種設定項目54aを分散させて表示させている。
【0052】
入力キー56は、図5に示す項目選択キー(+)56a、項目選択キー(−)56b、決定キー56c、戻るキー56d、及び開始キー56eを含んでいる。項目選択キー(+)56a及び項目選択キー(−)56bは設定項目54aを選択するためのキーであって、例えば現在設定可能な設定項目54aであることを示すハイライト表示を各々所定の方向に移動させるときに用いる。決定キー56cは設定項目54aの選択やその設定自体を許諾する所謂「OK」の指示と同様の働きをするキーである。戻るキー56dは前の表示状態に戻るためのキーである。開始キー56eはコピー動作の開始指示を受け付けるキーである。
【0053】
なお、入力キー56を集中して表示させる領域は図5に示す下側領域37Bのほか、図7に示す上側領域37Uや図8に示す右側領域37R、図9に示す左側領域37Lに設定することも可能である。
【0054】
続いて、ユニバーサルモード時、入力キー56を集中して表示させる領域をコピー設定画面50のいずれの領域に設定するかという動作を含めて、表示部37の表示切り替えに係る動作について、図4〜図6に加えて図10に示すフローに沿って説明する。図10は表示部37の表示切り替えに係る動作を示すフローチャートである。なおここでは、人体検知部42を用いた表示部37の表示切り替えに係る動作について説明する。
【0055】
画像形成装置1を起動させてコピーが可能な状態にあるとき、操作パネル30の表示部37には、図4に示す通常使用時のコピー設定画面50として設定項目、入力キー、その他情報等が表示されている。そして、画像形成装置1をこのようなコピーが可能な状態にさせると(図10のスタート)、操作制御部39は操作検出部38を用いて利用者が表示部37に接触したか否かの検知を開始する(図10のステップ#101)。
【0056】
なお、表示部37を図6に示す上側領域37U、下側領域37B、右側領域37R及び左側領域37Lの上下左右に4分割した領域に区分するという分割設定が記憶部40に予め記憶されている。
【0057】
利用者が表示部37に接触したことを操作検出部38が検出したとき(ステップ#101のYes)、操作制御部39は操作検出部38からの情報に基づいて表示部37の画面の複数の領域のうち利用者が接触した一の領域を特定して特定領域とし、記憶部40に記憶させる(ステップ#102)。例えばここでは、利用者が接触した特定領域が表示部37の下側領域37Bであるとする。次に、操作制御部39は人体検知部42を用いて利用者の身長の検知を開始する(ステップ#103)。
【0058】
そして、人体検知部42が所定高さの利用者を検知したとき(ステップ#104のYes)、操作制御部39は表示部37に図4に示す通常使用時のコピー設定画面50を表示させ(ステップ#105)、表示部37の表示切り替えに係る動作を終了する(図10のエンド)。
【0059】
一方、人体検知部42が所定高さの利用者を検知できなかったとき(ステップ#104のNo)、操作制御部39は表示部37に図5に示すユニバーサルモード時のコピー設定画面50を表示させる(ステップ#106)。このとき、操作制御部39は表示部37の画面の特定領域である下側領域37B(図6参照)に入力キー56を集中して表示させ、特定領域外の領域である上側領域37U、右側領域37R及び左側領域37Lに各種設定項目54aを分散させて表示させる。そして、表示部37の表示切り替えに係る動作を終了する(図10のエンド)。
【0060】
このようにして、設定項目54aまたは入力キー56に対する操作の前段階で表示部37の画面上における利用者にとって操作し易い領域、すなわち下側領域37Bが特定領域となる。そして、その特定領域である下側領域37Bに設定項目54aの選択や決定に係る入力キー56が集中するので、身体的なハンディキャップを持つ人にとっても表示装置である操作パネル30が操作し易くなる。そして、表示部37の画面が上下左右に4分割した領域に区分されるので、例えば車椅子を使用する人はそれに対向して比較的操作し易いと思われる下側領域37Bを入力キー56が集中する特定領域にすることができる。
【0061】
また、人体検知部42が検知できない高さの利用者、すなわち例えば車椅子を使用する人といった身長が比較的低いというハンディキャップを持つ人が表示部37の画面に接触したとき、画面上における利用者にとって比較的操作し易いと思われる下側領域37Bが特定領域となるので、身体的特徴に対応した表示部37の表示切り替えを容易に行うことが可能である。
【0062】
そして、上記実施形態の構成によれば、身体的なハンディキャップを持つ人にとって操作性の向上が図られた表示部37を備えた表示装置である操作パネル30を提供することができる。また、このような操作パネル30を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置1を提供することが可能である。
【0063】
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示装置について、図11を用いて説明する。図11は表示装置である操作パネル30の表示部37の表示切り替えに係る動作を示すフローチャートである。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図10を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成について図面の記載及びその説明を省略するものとする。
【0064】
第2の実施形態では、表示部切替キーであるユニバーサルキー41を用いた表示部37の表示切り替えに係る動作について説明する。
【0065】
画像形成装置1を起動させてコピーが可能な状態にあるとき(図11のスタート)、操作制御部39は利用者がユニバーサルキー41を押下したことを検知することがある(図11のステップ#201)。そして、操作制御部39は表示部37にメッセージを表示するなどによって、利用者に対して表示部37表面に接触するように要求する(ステップ#202)。
【0066】
続いて、操作制御部39は利用者が表示部37に接触したか否かを判定する(ステップ#203)。利用者が表示部37に接触したことを操作検出部38が検出したとき(ステップ#203のYes)、操作制御部39は操作検出部38からの情報に基づいて表示部37の画面の複数の領域のうち利用者が接触した一の領域を特定して特定領域とし、記憶部40に記憶させる(ステップ#204)。
【0067】
そして、操作制御部39は表示部37にユニバーサルモード時のコピー設定画面50を表示させる(ステップ#205、図5参照)。このとき、操作制御部39は、例えば表示部37の画面の特定領域である下側領域37B(図6参照)に入力キー56を集中して表示させ、特定領域外の領域である上側領域37U、右側領域37R及び左側領域37Lに各種設定項目54aを分散させて表示させる。そして、表示部37の表示切り替えに係る動作を終了する(図11のエンド)。
【0068】
このようにして、表示部37を特定領域に入力キー56を集中させる表示に切り替えるための表示部切替キーであるユニバーサルキー41を備えているので、人体検知部42を用いたときのような身長にハンディキャップを持つ人ではない場合であってもユニバーサルキー41を操作して表示部37の画面に接触することにより、画面上における利用者にとって操作し易い領域が特定領域となる。したがって、表示装置である操作パネル30は様々な身体的特徴に対応して操作性の向上を図ることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0070】
例えば、本発明の上記実施形態では画像形成装置1に搭載された操作パネル30(表示装置)を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる機器は画像形成装置に限定されるわけではなく、画像形成装置以外の携帯電話、PDAなどといった他の電子機器に本発明の表示装置を搭載することにしても構わない。
【0071】
また、操作パネル30を搭載した画像形成装置1は中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷用の画像形成装置であるが、発明の適用対象となる画像形成装置がこのような種類に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを用いない画像形成装置や白黒印刷用の画像形成装置であっても構わない。
【0072】
また、上記実施形態ではユニバーサルモード時の表示部37において、入力キー56を表示する特定領域を設定するために表示部37の画面を図6に示すように上下左右に4分割した領域に区分しているが、表示部37の画面の区分方法やその数はこれに限定されるわけではなく、他の区分方法や区分数であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、タッチパネル機能を有し、その操作によって項目選択やキー入力が可能な表示部を備えた表示装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
20 本体制御部
22 記憶部
30 操作パネル(表示装置)
37 表示部
37U 上側領域
37B 下側領域
37R 右側領域
37L 左側領域
37x 液晶表示部
37y タッチパネル部
38 操作検出部
39 操作制御部(制御部)
40 記憶部
50 コピー設定画面
54 設定表示部
54a 設定項目
56 入力キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の操作や状態の表示のために機器に搭載される表示装置であって、
機器の機能や動作条件が記載された設定項目と前記設定項目を選択したり決定したりするためのキーを含む入力キーとを画面上に複数表示するとともに、前記設定項目または前記入力キーの操作を受け付けるタッチパネル部を有する表示部と、
前記表示部に対する操作を検出する操作検出部と、
前記表示部の画面を複数の領域に区分するとともに、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記操作検出部からの情報に基づいて前記表示部の画面の前記複数の領域のうち利用者が接触した一の領域を特定して特定領域とし、前記表示部の画面の前記特定領域に前記入力キーを集中して表示させ、前記特定領域外の領域に前記設定項目を分散させて表示させる制御部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部の画面を上下左右に4分割した領域に区分することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
所定高さの利用者を検知可能な人体検知部を備え、
前記制御部は、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記操作検知部が利用者による画面への接触を検知し、且つ前記人体検知部が所定高さの利用者を検知できなかったとき、前記接触を検知した領域を前記特定領域とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部を前記特定領域に前記入力キーを集中させる表示に切り替えるための表示部切替キーを備え、
前記制御部は、前記設定項目または前記入力キーに対する操作の前段階で前記表示部切替キーが操作されたことを条件として利用者に前記表示部の画面への接触を要求し、利用者が接触した領域を前記特定領域とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−155252(P2012−155252A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16181(P2011−16181)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】