説明

表示装置及び表示装置の制御方法

【課題】可撓性を有する表示装置において、湾曲時の湾曲量に応じた表示制御を行うことで湾曲時の表示信頼性を確保することが可能な、新規かつ改良された表示装置及び表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】可撓性を有する基板と、前記基板に配列された複数の発光素子を有し、映像信号に応じた画像を表示する表示部と、前記基板の表面又は裏面の少なくともいずれかに設けられ、前記基板の湾曲状態を検知する変位センサと、前記変位センサにより前記基板の湾曲が検知された場合に、前記表示部へ画像を分割して表示する制御を実行する制御部と、を備える、表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、表示装置における表示素子の信頼性を確保することは非常に重要な課題となっている。特に、構造的なメカニカルな信頼性や表示性能に関する信頼性の確保は、従来と変わらず必要不可欠な項目である。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、電流量の温度上昇による素子の寿命劣化を抑制するために、映像データなどのデバイスの表示状態を判断できるデータから画像の状況を判断し、過電流を抑制するように点灯する水平走査線を制御する手法が提案されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、表示装置に対する微小な応力による変形を、入射する光の偏光状態の変化として、偏光検出手段の光検出器によって、定量的に変化量を検出することで、屈折率などの光学特性制御を行うものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−173193号公報
【特許文献2】特開2007−240617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された手法は、ゲート信号とソース信号の両方を組み合わせた複雑な制御であり、かつ、点灯期間を制御するなど、多様なフィードバック制御を必要とし、多くのアルゴリズムを必要とするため、信頼性確保のために製造コストが増大するという問題がある。また、複雑なアルゴリズム制御は、ドライバーICの消費電力増大にもつながり、電力性能の低下も発生する。
【0007】
また、特許文献2に記載された手法では、他の光源、たとえば太陽光や、室内の蛍光灯など、比較的強い外光に対する光散乱や外光反射によるノイズなどをすると、変形による微小な屈折率の検出は困難である。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、可撓性を有する表示装置において、湾曲時の湾曲量に応じた表示制御を行うことで湾曲時の表示信頼性を確保することが可能な、新規かつ改良された表示装置及び表示装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、可撓性を有する基板と、前記基板に配列された複数の発光素子を有し、映像信号に応じた画像を表示する表示部と、前記基板の表面又は裏面の少なくともいずれかに設けられ、前記基板の湾曲状態を検知する変位センサと、前記変位センサにより前記基板の湾曲が検知された場合に、前記表示部へ湾曲前の画像を分割して表示する制御を実行する制御部と、を備える、表示装置が提供される。
【0010】
前記制御部は、前記基板の湾曲量に応じて前記表示部へ表示する画像の分割を制御するようにしてもよい。
【0011】
前記制御部は、前記基板の湾曲量及び前記基板の湾曲位置に応じて前記表示部へ表示する画像の分割を制御するようにしてもよい。
【0012】
上記表示装置は、前記変位センサの出力と画像分割制御量との関係を規定したルックアップテーブルに基づいて画像領域の分割量及び縮小率を演算する画像領域演算部を備え、前記制御部は、前記画像領域演算部が演算した前記画像領域の分割量及び縮小率に基づいて前記表示部へ表示する画像の分割を制御するようにしてもよい。
【0013】
前記制御部は、前記基板が撓んでいく場合は、前記基板が元に戻る場合に比べ緩やかに前記表示部へ表示する画像の分割を制御するようにしてもよい。
【0014】
前記制御部は、前記変位センサによる湾曲状態の検知の結果、前記表示部の表示面が凸部となるように湾曲している場合は、前記表示部の表示面が凹部となるように湾曲している場合に比べて緩やかに前記表示部へ表示する画像の分割を制御するようにしてもよい。
【0015】
前記変位センサは、ITO又はIZOからなる一対の透明電極を有し、前記一対の透明電極間の抵抗値の変化に基づいて、前記基板の湾曲状態を検知するようにしてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、映像信号に応じた画像を表示する表示部が設けられた、可撓性を有する基板の湾曲状態を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて前記基板の湾曲が検知された場合に、前記表示部へ湾曲前の画像を分割して表示する制御を実行する制御ステップと、を備える、表示装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、可撓性を有する表示装置において、画像が屈曲されることによって視認性が低下し、ユーザ側に提供する画像情報量が低減した際に、湾曲時の湾曲量に応じた表示制御を行うことで湾曲時の表示信頼性を確保することが可能な、新規かつ改良された表示装置及び表示装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の表側の面を示す平面図である。
【図2】表示装置の断面を示す模式図である。
【図3】変位センサを表示部の裏面側に設けた例を示す図であって、表示装置の裏面を示す平面図である。
【図4】変位センサを表示部の裏面側に設けた例を示す図であって、表示装置の断面を示す模式図である。
【図5】表示装置が湾曲した状態を示す図であって、表示部が設けられた表側の面が凹面となるように湾曲した状態を示す模式図である。
【図6】表示部が設けられた面が凸面となるように湾曲した状態を示す模式図である。
【図7】本実施形態に係る表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図9】抵抗変化量に応じた表示領域制御量を規定するLUTの一例を示す模式図である。
【図10】表示領域制御量を規定するLUTの他の例を示す模式図である。
【図11】表示装置が湾曲していない状態における表示例を示す模式図である。
【図12】表示装置の湾曲量に応じた、表示部の表示領域の分割制御の様子を示す模式図である。
【図13】表示装置の湾曲量に応じた、表示部の表示領域の分割制御の様子を示す模式図である。
【図14】表示装置の湾曲量に応じた、表示部の表示領域の分割制御の様子を示す模式図である。
【図15】表示装置の湾曲量に応じた、表示部の表示領域の分割制御の様子を示す模式図である。
【図16】表示装置の断面を示す図であって、変位センサを表示装置の表裏面に設けた構成例を示す模式図である。
【図17】図16に示す表示装置が湾曲した状態を示す模式図である。
【図18】ルックアップテーブルの他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
[1.表示装置の構成例]
[2.表示装置の機能ブロック構成]
[3.制御部の機能ブロック構成]
[4.変位センサを表裏面に設けた構成例]
[5.ルックアップテーブルの他の例]
【0021】
[1.表示装置の構成例]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置100の概略構成について説明する。図1は、表示装置100の表側の面を示す平面図である。表示装置100は、後述する半導体層によって構成された、複数の画素がマトリクス状に配列されてなる表示部110を備える。表示部110は、映像信号に応じて各画素を発光させることにより、静止画や動画などの画像を表示する。
【0022】
本実施形態では、フレキシブルな特徴をもち合せたゆえに、湾曲作動が自由となりうると当時に湾曲時に呼応して曲がり具合量に対して、その変位検出量に応じて、表示装置100で画像を表示する表示部110へ表示する画像を分割して表示する分割縮小制御を行うことで、表示信頼性を確保する。
【0023】
図2は、表示装置100の断面を示す模式図である。図2に示すように、本実施形態においては、第1基板102、第2基板104、及び変位センサ106が積層されて、数十μm程度の厚さの極めて薄い表示装置100が構成される。第1基板102は、フレキシブルな基板、たとえば樹脂製のプラスチック基板上に、各画素を構成する表示素子(発光素子)が形成されて構成されたものであり、表示素子は低温プロセスで形成可能な有機半導体あるいは無機半導体の素子を用いることができる。本実施形態では、第1基板102には、表示素子として有機EL(Organic Electro−Luminescence)素子が形成されるものとする。
【0024】
第2基板104は、やはり樹脂性のプラスチック基板からなり、有機半導体あるいは無機半導体からなる表示素子を備える第1基板102に対して対向して配置され、表示素子を封止する封止基板としての機能を有する。このように、本実施形態では、第1基板102及び第2基板104の2種の基板によって半導体層が挟持されることで表示装置100が構成される。画像が表示される表示部110は、第2基板104側の面となる。そして、このような構成により、表示装置100は、数十μm程度の厚さで構成され、可撓性を有し、画像を表示した状態で自由に湾曲することができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、第2基板104の表面には、透明な電極体、たとえば、ITO膜(Indium Tin Oxide)、IZO膜(Indium Zinc Oxide)などからなる変位センサ106が配列されている。変位センサ106は、例えば表示部110と同じ領域に形成されている。変位センサ106は透明な電極体からなり、第1基板102の表示素子に各々対向して配列されている。
【0026】
変位センサ106は、例えば既存のタッチパネルの電極と同様に構成され、ITO、IZO等の透明電極からなる2枚の金属薄膜(抵抗膜)が対向して配置され、この1対の金属薄膜が平面領域において例えばマトリクス状に複数配置されている。変位センサ106の対向する透明電極は抵抗を有し、一方の電極には所定の電圧が印加され、電極間の抵抗値がモニタされている。このような構成において、表示装置100が湾曲すると、湾曲した位置で2枚の金属薄膜間の抵抗値が変化し、他方の電極には湾曲に応じた電圧が発生するため、抵抗値の変化を検出することができる。従って、マトリクス状に配置された複数の1対の金属薄膜のうち、抵抗値が変化した金属薄膜を検知することで、変位センサ106のどの位置が変位したかを検知することができ、表示部110がどの位置で折り曲げられたかを検知できる。また、抵抗値の変化は、表示装置100の曲がり量が大きくなるほど増大する。このようにして、表示装置100は、変位センサ106にて検出された抵抗変化量を検出し、表示装置100の曲がり位置、および曲がり量を検出することができる。
【0027】
図3及び図4は、変位センサ106を表示部110の裏面側に設けた例を示す模式図である。ここで、図3は表示装置100の裏面の平面図を示しており、図4は表示装置100の断面図を示している。図3及び図4に示す構成において、第1基板102と第2基板104の構成は、図1及び図2の表示装置100と同様である。この構成例では、図4に示すように、変位センサ106は、第1基板102の裏面に設けられている。変位センサ106を表示部110の裏面に設けた場合も、表示部110の表面に設けた場合と同様に、抵抗値の変化に応じて表示装置100の湾曲量、湾曲位置を検出することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態にかかる表示装置100の概略構成について説明した。図1〜図4に示した表示装置100は、上述したように数十μm程度の厚さであり、可撓性を有している。従って、ユーザによって表示装置100を湾曲させることができる。しかし、表示装置100が湾曲した状態では、湾曲していない状態と同等の表示状態を維持する可能性が低くなる。表示装置100の湾曲により表示部110の視認性が低下するからである。
【0029】
図5は、表示装置100が湾曲した状態を示す模式図であって、表示部110が設けられた表側の面が凹面となるように湾曲した状態を示している。また、図6は、表示部110が設けられた面が凸面となるように湾曲した状態を示している。
【0030】
図5及び図6に示すように、表示装置100が湾曲した状態では、湾曲によって表示部110の視認性が低下するため、通常と同じ画像の表示状態を維持する必要性は低くなる。例えば、図5のように、表示画面が凹面となるように湾曲した場合は、表示画面上の画像も湾曲する。また、表面の乱反射等の影響により、平面の場合と比較すると画質も低下する。このため、表示装置100は、ユーザに対する視認性を高めるために、湾曲時の画像を分割して、表示部110へ表示する制御を実行する。
【0031】
特に、図5のように、表示部110の表示画面が180°程度の角度で屈曲した場合は、外側から表示部110の画像が視認できない領域が生じるため、画像表示領域を縮小する制御を実行することで、ユーザに視認性を確保することできる。同様に、図6のように、表示部110の表示画面が凸面となるように湾曲した場合、表示画面上の画像も湾曲し、画質も低下することから、表示装置100は、湾曲時の画像を縮小分割して、表示部110の湾曲していない部分へ表示する制御を実行することで、ユーザに対する視認性を確保することできる。このように、本実施形態では、表示部110が湾曲した場合に、湾曲前の状態での画像表示状態を維持する必要性が薄くなることに鑑みて、表示部110に表示する画像に対する制御を行う。具体的には、上述したように、ユーザに対する視認性を高めるために、湾曲時の画像を縮小分割して、湾曲していない部分へ表示する制御を実行し、表示部110の湾曲していない部分で画像を表示するような制御を実行する。これにより、ユーザに違和感を与えることなく、可撓性を有する表示装置100における湾曲時の表示信頼性を確保することが可能である。
【0032】
[2.表示装置の機能ブロック構成]
以下において具体的な制御手法について説明する。図7は、本実施形態に係る表示装置100の機能構成を示すブロック図である。以下、図7を用いて表示装置100の機能ブロック構成について説明する。
【0033】
図7に示したように、本実施形態に係る表示装置100は、表示部110と、A/D変換部122と、メモリ124と、制御部130と、を含んで構成される。表示部110は、図1〜図4に示したように、第1基板102、第2基板104及び変位センサ106による積層構造を有するものである。A/D変換部122は、変位センサ106によってアナログ量として検出される表示部110の湾曲量をデジタル量に変換するものである。メモリ124は、A/D変換部122がデジタル量に変換した表示部110の湾曲量を一時的に保持しておくものである。制御部130は、メモリ124に格納された表示部110の湾曲量を用いて、表示部110に供給される画像信号に対する各種制御を実行するものである。
【0034】
変位センサ106は、上述したように透明のITO膜、IZO膜などからなり、ITO膜、IZO膜は抵抗を有している。対向する2枚の抵抗膜の内、1枚の抵抗膜に対して電圧を印加しておくと、ユーザが表示部110に対して操作した位置に応じた電圧が対向するもう1枚の抵抗膜にも発生する。この電圧を検知することにより、変位センサ106は、アナログ量として操作位置を検出することが可能となる。従って、表示部110の湾曲量を変位センサ106でアナログ量として検出することで、制御部130における、表示部110が湾曲しているかどうかの判断に用いることができる。
【0035】
なお、図7に示した構成では、A/D変換部122がデジタル量に変換した表示部110の湾曲量をメモリ124に一時的に格納したが、本発明においてはかかる例に限定されない。例えば、A/D変換部122がデジタル量に変換した表示部110の湾曲量を制御部130に直接供給するような構成であってもよい。
【0036】
[3.制御部の機能ブロック構成]
以上、図7を用いて表示装置100の機能ブロック構成について説明した。次に、図7に示した制御部130の機能ブロック構成について説明する。図8は、制御部130の機能ブロック構成について示す説明図である。
【0037】
図8に示した制御部130の機能ブロックは、センサ、回路などのハードウェア、または中央演算処理装置(CPU)とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)によって構成される。図8に示したように、制御部130は、抵抗検出部132と、抵抗比較部134と、画像縮小分割演算部136と、画像縮小分割制御部138と、を備える。
【0038】
抵抗検出部132は、変位センサ106から出力される抵抗値を検出するものである。抵抗検出部132が検出した抵抗値は抵抗比較部134に送られる。
【0039】
抵抗比較部134は、表示装置100が湾曲していない平面の状態での基準抵抗値と、抵抗検出部132にて検出された抵抗値を比較するものである。抵抗比較部134で抵抗値を比較して、抵抗値の変化量を算出することで、表示装置100がどの程度湾曲しているかどうかを検出することができる。抵抗比較部134で算出した抵抗値の変化量の情報は、画像縮小分割演算部136に送られる。
【0040】
画像縮小分割演算部136は、抵抗比較部134で算出した抵抗値の変化量を用いて、後段の画像縮小分割制御部138における画像分割制御処理に用いる画像分割制御量を決定して出力するものである。画像分割制御処理に用いる画像分割制御量には、画像の分割量と、画像の縮小率の情報が含まれる。抵抗比較部134である一定の検出電圧を検知すると、画像縮小分割演算部136は、表示部110は本来の状態にて正常に画像表示できる状態に無いと判断し、湾曲時の画像をどのように分割して表示部110へ表示するかを演算して決定する。画像縮小分割制御部138は、画像縮小分割演算部136が決定した画像分割制御量を用いて、表示部110に画像を表示する際の分割のパターンや縮小量を制御する画像分割制御処理を実行するものである。画像縮小分割演算部136では、マトリクス状に配置された複数の変位センサ106のうち、抵抗変化が検知された湾曲部に相当する領域において画像分割制御量を決定してもよい。そして、画像縮小分割制御部138は、抵抗比較部134から入力された、抵抗変化が生じた変位センサ106の位置情報に基づいて、湾曲部に相当する領域において画像分割制御処理を実行してもよい。
【0041】
画像縮小分割演算部136においては、抵抗変化量に応じて制御すべき画像分割制御量が予めルックアップテーブル(LUT)として格納されている。図9は、ルックアップテーブルとして格納される、抵抗変化量と画像分割制御量との関係の一例を示す説明図である。図9に示したように、本実施形態では、予め格納されたデータを用いて画像分割制御処理を行うものとする。図9に示すように、抵抗変化量が小さい場合は、画像分割制御量が小さく、すなわち画像を分割せずに表示部110に表示するよう設定される。そして、抵抗変化量が大きくなる程、画像分割制御量が大きく、すなわち画像を分割して表示部110に表示するように設定される。これにより、表示部110の曲がりが大きい場合は、画像分割制御量を大きく、すなわち分割量や縮小量を多くすることで表示部110の湾曲していない領域へ画像を分割して表示し、表示部110の視認性を確保すると共に表示性能を高く維持することができる。一方、表示部110の湾曲量が少ない場合は、画像の分割をしないか、画像分割制御量を小さく、すなわち分割量や縮小量を少なくすることで表示部110の画像を広く表示したり、画像分割制御がユーザに認識されたりすることを抑止できる。
【0042】
図10は、画像分割制御量を規定するLUTの他の例を示す模式図である。図10に示す例では、変位センサ106により検出された電圧値(抵抗値に相当する値)と画像分割制御量との関係を規定している。変位センサ106の一方の透明電極に所定の電圧を印加した場合に、表示装置100が湾曲していない状態での他方の電極の電圧値を基準電圧とすると、湾曲量が大きくなるほど、変位センサ106の他方の電極の基準電圧に対する電圧値は増加する。従って、変位センサ106の他方の電極の基準電圧に対する電圧値を図10のLUTに当てはめることで、画像分割制御量を求めることができる。
【0043】
例えば、変位センサ106のある任意のポイント(位置)において、変位センサ106の透明電極の電圧検出値が、湾曲していない時の基準電圧に対して、抵抗比較部134にておいて0.3Vの差分が検出されたものとする。この場合、画像縮小分割演算部136にて、差分検出量に応じて画像分割制御量が演算され、図10に示した例では画像分割制御量が「60%縮小、2分割」とされる。そして、画像縮小分割制御部138にて、画像領域を10%縮小する画像分割制御を実行する。画像縮小分割制御部138で画像分割制御を実行することによって、表示部110の湾曲によるメカニカルなストレスによって発生し得る欠陥が、一定の出力において局所的な電流密度の負荷状態で掛かることで増大することを抑えることができ、また、一定の表示特性品位を保障すると共に、画像を分割及び縮小して表示部110の湾曲していない部分に表示することで湾曲時の視認性を確保することが可能となる。
【0044】
なお、抵抗変化量が小さい所定の範囲では画像分割制御を実行しないようにしても良い。例えば、図9に示すように、抵抗変化量が小さい所定の範囲では、画像分割制御量は0とされ、抵抗変化量がある所定のしきい値Thを超えた場合から画像分割制御を開始するようにルックアップテーブルを規定してもよい。このように、画像分割制御が実際に開始されるまでの間に不感帯を設けることにより、表示装置100が微小に湾曲した場合は、画像分割制御が行わないようにすることができる。これにより、表示装置100の微小変形では画像分割制御が行われないため、ユーザに違和感が生じてしまうことを抑止できる。
【0045】
また、抵抗比較部134での比較の結果検出された電圧と画像分割制御量との関係を規定したLUTの各パラメータは任意の値に変更できるようにしてもよい。
【0046】
図11は、表示装置が湾曲していない状態における表示例を示す模式図である。また、図12及び図13は、画像縮小分割制御部138による、表示装置100の湾曲量に応じた画像分割制御の様子を示す模式図である。図12は、表示装置100をわずかに湾曲させた場合における、表示部110に表示する画像の変化の様子を模式的に示したものであり、図13は、表示装置100を大きく湾曲させた場合における、表示部110に表示する画像の変化の様子を模式的に示したものである。
【0047】
図13のように、表示装置100をわずかに湾曲させた場合には、表示装置100が湾曲していない部分が大きいので、表示装置100が湾曲していない部分で画像を表示するように、表示装置100の湾曲量に応じて画像分割制御を実行し、表示部110の表示領域の大きさを制御部130で制御する。
【0048】
一方、図13のように、表示装置100を大きく湾曲させた場合には、表示装置100が湾曲していない部分が小さいので、表示装置100が湾曲していない部分で画像を表示するように、表示装置100の湾曲量に応じて、表示部110に表示する画像に対する画像分割制御を制御部130で制御する。
【0049】
このように、表示装置100の湾曲量に応じた画像分割制御を制御部130で実行することで、表示装置100が湾曲した状態であっても、画像を分割して、表示装置100の湾曲していない部分を使って表示部110に表示すべき画像の全体を表示することができる。
【0050】
なお、本発明においては、表示装置100の湾曲位置に応じて画像分割制御を制御部130で実行してもよい。図14及び図15は、画像縮小分割制御部138による、表示装置100の湾曲量に応じた表示部110の表示領域の大きさの制御の様子を示す模式図である。図14は、図12とは違い、表示装置100の長辺に並行に湾曲させた場合における、表示部110に表示する画像の分割パターンの違いの様子を模式的に示したものであり、図15は、表示装置100の1つの隅から湾曲させた場合における、表示部110に表示する画像の分割パターンの違いの様子を模式的に示したものである。
【0051】
このように、同じ湾曲量であっても、湾曲している箇所の違いによって画像分割制御を制御部130で実行するようにしても良い。上述したように、変位センサ106は表示装置100にマトリクス状に設けているので、湾曲量だけでは無く湾曲位置も変位センサ106によって取得することができる。
【0052】
[4.変位センサを表裏面に設けた構成例]
図16は、表示装置100の断面を示す模式図であって、変位センサを表示装置100の表裏面に設けた構成例を示している。また、図17は、図16に示す表示装置100が湾曲した状態を示す模式図である。図17の場合、湾曲部において、表示部110が設けられていない裏面側の変位センサ106の曲率半径は、表示部110が設けられている表面側の変位センサ106の曲率半径よりも大きくなる。より詳細には、裏面側の変位センサ106の曲率半径は、第1基板102及び第2基板104の厚さ分だけ大きくなる。このため、表面側の変位センサ106の湾曲量は裏面側の変位センサ106の湾曲量に比べて大きくなり、より湾曲量の大きい表面側の変位センサ106の抵抗変化量は、裏面側の変位センサ106の抵抗変化量よりも大きくなる。
【0053】
従って、図16に示す構成によれば、表裏面の変位センサ106により抵抗変化量を検出した場合に、表裏面の抵抗変化量を比較することで、表裏面の何れか一方が凹面で、他方が凸面であることを検出することができる。そして、表面が凹面となる場合は、表面が凸面となる場合に比べて表示部110が外側から隠れてしまい、表示部110がより認識されにくくなるため、表示部110に表示する画像の視認性を高めるために、画像分割制御量をより大きくすることが可能となる。一方、表面が凸面となる場合は、画像に湾曲が生じるものの、表面が凹面の場合に比べて画像自体の視認性は高くなることから、表面が凹面の場合に比べて画像分割制御量を少なくすることで、同じ湾曲量であっても、表面が凸面となる場合と凹面となる場合とで、画像の分割量及び縮小率を変化させることが可能となる。
【0054】
[5.ルックアップテーブルの他の例]
図18は、ルックアップテーブルの他の例を示す模式図である。図18に示す例では、表示装置100が折り曲げられる過程と、折り曲げが元に戻る過程とで、抵抗変化量に対する画像分割制御量が異なるようにしている。
【0055】
図18に示すルックアップテーブルにおいて、表示装置100が折り曲げられる過程における特性曲線(図18中に実線で示す)は、図9と同様である。一方、折り曲げが元に戻る過程では、図18において破線で示す特性曲線とし、抵抗変化量が大きい領域では抵抗変化量に対する画像分割制御量の変化量をより大きくし、抵抗変化量が小さい領域では抵抗変化量に対する画像分割制御量の変化量をより小さくする。これにより、折り曲げられた状態から平面に復帰する際に、より早い段階で画像分割制御による画像を元の状態に戻すことができる。従って、湾曲した表示装置100が平面に復帰する際に、画像分割制御による違和感がユーザに与えられてしまうことを確実に抑止できる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
100 表示装置
102 第1基板
104 第2基板
106 変位センサ
110 表示部
122 A/D変換部
124 メモリ
130 制御部
132 抵抗検出部
134 抵抗比較部
136 画像縮小分割演算部
138 画像縮小分割制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基板と、
前記基板に配列された複数の発光素子を有し、映像信号に応じた画像を表示する表示部と、
前記基板の表面又は裏面の少なくともいずれかに設けられ、前記基板の湾曲状態を検知する変位センサと、
前記変位センサにより前記基板の湾曲が検知された場合に、画像を前記表示部へ分割して表示する制御を実行する制御部と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基板の湾曲量に応じて前記表示部へ表示する画像の分割を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基板の湾曲量及び前記基板の湾曲位置に応じて前記表示部へ表示する画像の分割を制御する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記変位センサの出力と画像分割制御量との関係を規定したルックアップテーブルに基づいて画像領域の分割量及び縮小率を演算する画像領域演算部を備え、
前記制御部は、前記画像領域演算部が演算した前記画像領域の分割量及び縮小率に基づいて前記表示部へ表示する画像の分割を制御する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記基板が撓んでいく場合は、前記基板が元に戻る場合に比べ緩やかに前記表示部へ表示する画像の分割を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記変位センサによる湾曲状態の検知の結果、前記表示部の表示面が凸部となるように湾曲している場合は、前記表示部の表示面が凹部となるように湾曲している場合に比べて緩やかに前記表示部へ表示する画像の分割を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記変位センサは、ITO又はIZOからなる一対の透明電極を有し、前記一対の透明電極間の抵抗値の変化に基づいて、前記基板の湾曲状態を検知する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
映像信号に応じた画像を表示する表示部が設けられた、可撓性を有する基板の湾曲状態を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記基板の湾曲が検知された場合に、画像を分割して前記表示部へ表示する制御を実行する制御ステップと、
を備える、表示装置の制御方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−118244(P2011−118244A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276944(P2009−276944)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】