説明

表示装置

【課題】 本発明は、導電性ボールの圧縮された形態を固定して、基板と集積回路チップとの間の接触抵抗が増加するのを抑制する表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明による表示装置は、配線部が形成された配線基板、前記配線基板に実装された集積回路チップ、及び前記配線部から延長されて前記配線基板と前記集積回路チップとの間に位置して前記集積回路チップと連結されるパッド部を含み、前記パッド部は、前記配線部から延長される第1導電層、及び前記第1導電層上に位置して、前記第1導電層に比べて硬度が低い第2導電層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものであって、より詳しくは、集積回路チップが実装された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、イメージを表示する装置であって、最近では、有機発光表示装置(organic light emitting diode display)が注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、自発光特性を有し、液晶表示装置(liquid crystaldisplay device)とは異なって別途の光源が不要であるため、厚さ及び重量を減らすことができる。また、有機発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度、及び高い反応速度などの高品位特性を有する。
【0004】
有機発光表示装置などの表示装置は、ガラスまたはプラスチックなどの基板上に素子を形成することによって製造され、表示装置を作動させるための多様な信号を生成する集積回路チップ(integrated circuit chip)が表示装置を形成する基板の所定の領域に実装される。この時、集積回路チップが実装される位置によって、COG(Chip On Glass)またはCOF(Chip On FPCB(Flexible Printed Circuit Board))などに分類される。ここで、COGは、基板上に集積回路チップを実装するものをいい、COFは、ポリイミド(Polyimide)などのフィルムに集積回路チップを実装するものをいう。
【0005】
このうち、基板上に集積回路チップを実装するCOGの場合、基板に形成されたパッドと集積回路チップの端子との間にインターポーザ(interposer)の役割を果たす異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)を介在させて、基板上に集積回路チップを実装する。この時、基板のパッドと集積回路チップの端子との間の直接的な連結は、異方性導電フィルムに含まれている導電性ボール(conductive ball)によって行われ、基板と集積回路チップとの間の接着は、異方性導電フィルムに含まれて導電性ボールを囲んでいる接着層によって行われる。この導電性ボールは、基板のパッドと集積回路チップの端子との間で圧縮されているが、優れた弾性復元力を有しているため、パッド及び端子の接触面積がパッド及び端子による圧力によって増加し、導電性ボールとパッドとの間及び導電性ボールと端子との間の接触抵抗が導電性ボールに印加される圧力の増加によって低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一定の圧力以上の圧力が導電性ボールに印加されると、圧縮された導電性ボールの弾性復元力が基板と集積回路チップとの間を接着する接着層の固定能力の限界を超えるので、接着層が導電性ボールの圧縮された形態を固定することができずに導電性ボールの形態が復元されて、導電性ボールとパッドとの間及び導電性ボールと端子との間の接触抵抗が増加するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、導電性ボールの圧縮された形態を固定して、基板と集積回路チップとの間の接触抵抗が増加するのを抑制することが可能な、新規かつ改良された表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、前述したような一定の圧力以上の圧力が導電性ボールに印加される場合に、導電性ボールの弾性復元力によって接着層が導電性ボールの圧縮された形態を固定することができない問題を発見し、特に、メムス(microelectro mechanical systems、MEMS)技術の発展によって配線基板のパッドの幅がマイクロメートル単位からナノメートル単位に変化することによって、前述した問題によって配線基板と集積回路チップとの間の断線が頻繁に発生する問題を発見した。これを解決するために、本発明の発明者は、深度ある研究及び実験を通して下記のような解決手段を発明した。
【0009】
本発明のある観点によれば、配線部が形成された配線基板、前記配線基板に実装された集積回路チップ、及び前記配線部から延長されて前記配線基板と前記集積回路チップとの間に位置して前記集積回路チップと連結されるパッド部を含み、前記パッド部は、前記配線部から延長される第1導電層、及び前記第1導電層上に位置して、前記第1導電層に比べて硬度が低い第2導電層を含む表示装置が提供される。
【0010】
前記集積回路チップは、回路チップ本体部、及び前記回路チップ本体部から延長されて前記パッド部と連結される連結端子を含むことができる。
【0011】
前記集積回路チップと前記パッド部との間に位置して、前記配線基板に前記集積回路チップを実装する異方性導電フィルム(anisotropic conductive film、ACF)をさらに含むことができる。
【0012】
前記異方性導電フィルムは、前記連結端子と前記第2導電層との間を直接連結する導電性ボール(conductive ball)を含むことができる。
【0013】
前記導電性ボールは、超弾性材料(hyper elastic material)を含む中心部、及び前記中心部を囲んで、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)のうちの少なくとも一つを含む外郭部を含むことができる。
【0014】
前記第1導電層は複数の層を含み、前記複数の層のうちの前記第2導電層と隣接する層はチタン(Ti)を含むことができる。
【0015】
前記第2導電層は、前記第1導電層に比べて電気伝導度が高い。
【0016】
前記第2導電層は、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
前記導電性ボールは、前記第2導電層と前記連結端子との間で加圧されて圧縮される。
【0018】
前記第2導電層及び前記連結端子は前記導電性ボールによって窪み、前記第2導電層の厚さは、前記導電性ボールによって窪んだ溝の深さに比べて厚くてもよい。
【0019】
前記第2導電層は、前記第1導電層上で前記導電性ボールに対向する領域にだけ形成される。
【0020】
前記配線部は、薄膜トランジスターを形成するソース電極及びドレイン電極を含み、前記第1導電層は、前記ソース電極及びドレイン電極と同一な物質である。
【0021】
前記配線基板は、前記ドレイン電極と電気的に連結される第1電極、前記第1電極上に位置する有機発光層、及び前記有機発光層上に位置する第2電極をさらに含むことができる。
【0022】
前記配線基板に比べて面積が小さい封止基板をさらに含み、前記集積回路チップは、前記封止基板と隣接して露出された配線基板の周縁領域に実装される。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、第1導電層に比べて硬度が低い第2導電層を含むパッド部を含むことによって、基板と集積回路チップとの間の接触抵抗が増加するのを抑制した表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図2】図1のII-II線による断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の画素の構造を示した配置図である。
【図4】図3のIV-IV線による断面図である。
【図5】図1のA部分を拡大した平面図である。
【図6】図5のB部分を拡大した平面図である。
【図7】図5のVII-VII線による断面図である。
【図8】図7のC部分を拡大した断面図である。
【図9】従来技術の問題点を説明するための説明図である。
【図10】従来技術の問題点を説明するための説明図である。
【図11】従来技術の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
また、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明が必ずしも示された通りであるとは限らない。
【0027】
図面では、多数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして、図面においては、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にあるとする時、これはある部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0028】
また、以下では、表示装置として有機発光層を含む有機発光表示装置を実施形態として説明するが、これに限定されず、本発明による表示装置は、液晶表示装置、プラズマ表示パネル、電界放出表示装置などの表示装置であってもよい。
【0029】
また、添付図面では、一つの画素に二つの薄膜トランジスター(thin film transistor、TFT)及び一つの蓄電素子(capacitor)を備えた2Tr-1Cap構造の能動駆動(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明はこれに限定されるのではない。従って、有機発光表示装置は、薄膜トランジスターの数、蓄電素子の数、及び配線の数は限定されない。一方、画素は、イメージを表示する最小単位をいい、有機発光表示パネルは、複数の画素を通してイメージを表示する。
【0030】
まず、図1〜図8を参照して、本発明の実施形態に係る表示装置の概略構成について説明する。
【0031】
図1は本発明の実施形態による表示装置101を示した斜視図である。
【0032】
図1に示したように、表示装置101は、配線基板100、封止基板200、パッド部300(図5に示す)、集積回路チップ400、及び異方性導電フィルム(anisotropic conductive film、ACF)500を含む。
【0033】
封止基板200は、配線基板100に比べて面積が小さく、配線基板100を覆っている。封止基板200は、ガラス、石英、セラミック、またはプラスチックなどで構成された絶縁性基板で形成される。封止基板200は、配線基板100の周縁領域を露出させ、露出された配線基板100の周縁領域で集積回路チップ400が封止基板200と隣接して、異方性導電フィルム500によって配線基板100に実装される。
【0034】
図2は図1のII-II線による断面図である。
【0035】
図2に示したように、配線基板100は、基板本体部110、配線部120、及び有機発光素子130を含む。
【0036】
基板本体部110は、ガラス、石英、セラミック、またはプラスチックなどで構成された絶縁性基板で形成される。しかし、本発明の実施形態がこれに限定されるのではなく、基板本体部110は、ステンレス鋼などで構成される金属性基板で形成されてもよい。
【0037】
基板本体部110と封止基板200との間には基板本体部110上に形成された配線部120及び有機発光素子130が位置している。
【0038】
配線部120は、第1及び第2薄膜トランジスター10、20(図3に示す)を含んで、有機発光素子130を駆動する。有機発光素子130は、配線部120から伝達された駆動信号によって光を放出する。
【0039】
有機発光素子130及び配線部120の具体的な構造を図3及び図4に示しているが、本発明の実施形態が図3及び図4に示された構造に限定されるのではない。有機発光素子130及び配線部120は、いわゆる当業者が容易に変形実施できる範囲内で多様な構造に形成される。
【0040】
以下、図3及び図4を参照して、表示装置101の内部構造について詳しく説明する。
【0041】
図3は本発明の実施形態による表示装置の画素の構造を示した配置図である。図4は図3のIV-IV線による断面図である。
【0042】
図3及び図4に示したように、表示装置101は、一つの画素毎に各々形成されたスイッチング薄膜トランジスター10、駆動薄膜トランジスター20、蓄電素子80、及び有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)130を含む。ここで、スイッチング薄膜トランジスター10、駆動薄膜トランジスター20、及び蓄電素子80を含む構成を配線部120という。また、配線部120は、基板本体部110の一方向に沿って配置されるゲートライン151、そしてゲートライン151と絶縁交差するデータライン171及び共通電源ライン172をさらに含む。ここで、一つの画素は、ゲートライン151、データライン171、及び共通電源ライン172を境界として定義されるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0043】
有機発光素子130は、第1電極710、第1電極710上に形成された有機発光層720、及び有機発光層720上に形成された第2電極730を含む。ここで、第1電極710は正孔注入電極である正(+)極となり、第2電極730は電子注入電極である負(−)極となる。しかし、本発明の実施形態が必ずしもこれに限定されるのではなく、表示装置101の駆動方法によって、第1電極710が負極となり、第2電極730が正極となってもよい。第1電極710及び第2電極730から各々正孔及び電子が有機発光層720の内部に注入され、有機発光層720の内部に注入された正孔及び電子が結合した励起子(exiton)が励起状態から基底状態に落ちる時に有機発光層720が発光する。
【0044】
また、本発明の実施形態による表示装置101において、有機発光素子130は、封止基板200方向に光を放出する。つまり、有機発光素子130は前面発光型である。ここで、有機発光素子130が封止基板200方向に光を放出するために、第1電極710が光反射性導電物質で構成され、第2電極730が光透過性導電物質で構成される。
【0045】
蓄電素子80は、層間絶縁膜161を間において配置された一対の蓄電板158、178を含む。ここで、層間絶縁膜161は誘電体となり、蓄電素子80に蓄電された電荷、及び両蓄電板158、178の間の電圧によって蓄電素子80の蓄電容量が決定される。
【0046】
スイッチング薄膜トランジスター10は、スイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173、及びスイッチングドレイン電極174を含む。駆動薄膜トランジスター20は、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177を含む。
【0047】
スイッチング薄膜トランジスター10は、発光しようとする画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチングゲート電極152は、ゲートライン151と連結される。スイッチングソース電極173は、データライン171と連結される。スイッチングドレイン電極174は、スイッチングソース電極173から離隔配置されて、いずれか一つの蓄電板158と連結される。
【0048】
駆動薄膜トランジスター20は、選択された画素内の有機発光素子130の有機発光層720を発光させるための駆動電源を第1電極710に印加する。駆動ゲート電極155は、スイッチングドレイン電極174と連結された蓄電板158と連結される。駆動ソース電極176及び他の一つの蓄電板178は、各々共通電源ライン172と連結される。駆動ドレイン電極177は、コンタクト孔(contact hole)を通して有機発光素子130の第1電極710と連結される。
【0049】
スイッチングソース電極173、スイッチングドレイン電極174、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177は、同一な層に形成されていて、後述するパッド部300の第1導電層310と同一な物質で構成されている。つまり、スイッチングソース電極173、スイッチングドレイン電極174、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177は、パッド部300の第1導電層310と同一な工程によって共に形成されて、互いに連結されている。
【0050】
このような構造により、スイッチング薄膜トランジスター10は、ゲートライン151に印加されるゲート電圧によって作動して、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスター20に伝達する役割を果たす。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスター20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスター10から伝達されたデータ電圧との差に相当する電圧が蓄電素子80に保存され、蓄電素子80に保存された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスター20を通して有機発光素子130に流れて、有機発光素子130が発光する。
【0051】
図5は図1のA部分を拡大した平面図である。図6は図5のB部分を拡大した平面図である。
【0052】
図5及び図6に示したように、パッド部300は、配線部120から延長された薄膜配線(TW)と連結されている。より詳しく説明すると、薄膜配線(TW)は、スイッチングソース電極173、スイッチングドレイン電極174、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177とパッド部300の第1導電層310との間を連結する。パッド部300は、集積回路チップ400と対応して位置し、後述する異方性導電フィルム500によって集積回路チップ400と連結されている。
【0053】
図7は図5のVII-VII線による断面図である。図8は図7のC部分を拡大した断面図である。
【0054】
図7及び図8に示したように、パッド部300は、第1導電層310及び第2導電層320を含む。
【0055】
第1導電層310は、薄膜配線(TW)によって配線部120から延長されていて、配線部120のスイッチングソース電極173、スイッチングドレイン電極174、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177と同一な物質で構成される。第1導電層310は、第2導電層320から順に積層された第1サブ層、第2サブ層、及び第3サブ層を含む。第1サブ層はチタン(Ti)で構成され、第2サブ層はアルミニウム(Al)で構成され、第3サブ層はチタンで構成されている。つまり、第1導電層310は複数の層を含み、複数の層のうちの第2導電層320と隣接する第1サブ層はチタンで構成される。
【0056】
他の実施形態において、第1導電層310を構成する物質は特に限定されず、単に薄膜トランジスターを形成するソース電極及びドレイン電極と同一な物質であれば十分である。
【0057】
第2導電層320は、第1導電層310に比べて電気伝導度が高く、硬度が低い物質で構成されている。第2導電層320は、後述する異方性導電フィルム500の導電性ボール520によって溝が形成されていて、第2導電層320の厚さは、導電性ボール520が第2導電層320に十分に食い込むように、導電性ボール520によって窪んだ溝の深さに比べて厚い。第2導電層320は、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)のうちの少なくとも一つを含み、第1導電層310上の導電性ボール520に対向する(と対応する)領域にだけ形成されている。このような第2導電層320の技術的特徴を含む本発明は、ある原因の解明による発明であり、この解明過程を重視することをまず明らかにし、この原因については後述する。
【0058】
集積回路チップ400は、回路チップ本体部410、及び回路チップ本体部410から延長されてパッド部300と連結される連結端子420を含む。集積回路チップ400は、パッド部300と連結されて有機発光素子130の発光を制御する。より詳しくは、集積回路チップ400は、異方性導電フィルム500によってパッド部300と連結され、スイッチングソース電極173及び駆動ソース電極176に信号を伝達して、有機発光層720を発光させる。集積回路チップ400の連結端子420は、異方性導電フィルム500の導電性ボール520によってパッド部300と連結される。
【0059】
異方性導電フィルム500は、集積回路チップ400とパッド部300との間を連結して、集積回路チップ400を配線基板100に実装する役割を果たす。異方性導電フィルム500は、接着層510及び導電性ボール520を含む。
【0060】
接着層510は、集積回路チップ400と配線基板100との間に位置して、集積回路チップ400と配線基板100との間を接着する役割を果たす。接着層510内には複数の導電性ボール520が位置しており、接着層510は、隣接する導電性ボール520間の短絡を防止する。
【0061】
導電性ボール520は、接着層510内に分散していて、複数の導電性ボール520のうちの集積回路チップ400の連結端子420とパッド部300の第2導電層320との間に位置する導電性ボール520は、連結端子420と第2導電層320との間を直接連結する(すなわち、電気的に連結する)。導電性ボール520は、優れた弾性復元力を有する超弾性材料(hyper elastic material)を含む中心部521、及び中心部521を囲んで電気伝導性が優れている金、銀、または銅のうちの少なくとも一つを含む外郭部522を含む。集積回路チップ400の連結端子420とパッド部300の第2導電層320との間に位置する導電性ボール520は、連結端子420及び第2導電層320によって加圧されて圧縮された状態であり、弾性復元力によって連結端子420及び第2導電層320方向に接触圧力を加えている状態である。連結端子420及び第2導電層320と接する導電性ボール520の外郭部522は、連結端子420及び第2導電層320の各々に食い込んで連結端子420及び第2導電層320の各々に溝を形成して、連結端子420及び第2導電層320の各々と面接触をなしている。
【0062】
このように、本発明の実施形態による表示装置101は、導電性ボール520が連結端子420及び第2導電層320の各々と面接触をなしていて、連結端子420及び第2導電層320方向に接触圧力を加えている状態であるため、連結端子420と導電性ボール520との間及び第2導電層320と導電性ボール520との間の接触抵抗が増加するのが抑制された状態である。つまり、集積回路チップ400とパッド部300との間で接触抵抗が増加するのが抑制されて、集積回路チップ400とパッド部300との間の電子の移動度が増加した状態である。
【0063】
次に、図9〜図11を参照して、従来技術の問題点について詳しく説明する。
【0064】
図9〜図11は従来技術の問題点を説明するための説明図である。
【0065】
まず、図9には、パッド部300が第1導電層310だけを含む場合に、摂氏210度の環境で接着圧力を変化させながら異方性導電フィルム500を利用して配線基板100に集積回路チップ400を接着させた時の導電性ボール520、パッド部300、及び連結端子420の変形を測定した実験データを示した。
【0066】
図9に示したように、接着圧力を各々65MPa、75MPa、及び85Mpaで実験し、接着圧力に応じた導電性ボール520、パッド部300、及び連結端子420の変形量を測定して、図9に表で示した。この表において、δはパッド部300と連結端子420との間の距離であり、Bumpは連結端子420が導電性ボール520によって窪んだ溝の深さであり、Padはパッド部300が導電性ボール520によって窪んだ溝の深さである。
【0067】
図9の表に示したように、接着圧力が75MPa〜85MPaの間で、導電性ボール520の弾性復元力が接着層510の固定能力の限界を超えて、接着層510が導電性ボール520の圧縮された状態を固定することができないので、圧力の増加によって減り続けなければならないパッド部300と連結端子420との間の距離δが、85MPaである時にむしろ増加したことを確認した。
【0068】
接着圧力が85MPaである時に、接着圧力が75MPaである時に比べて導電性ボール520がさらに圧縮されたことは、導電性ボール520によって連結端子420及びパッド部300の窪んだ溝の深さ(bump、pad)を見れば分かる。表に示されたように、接着圧力が85MPaである時に、接着圧力が75MPaである時に比べて導電性ボール520によって連結端子420及びパッド部300の窪んだ溝の深さがより大きい。
【0069】
このような現象をDassault Systemes社のSIMULIAが販売する構造/電気/熱解釈ツールであるABAQUSを利用してシミュレーションした結果を図10に示した。
【0070】
図10には、65〜85MPaの接着圧力での連結端子420、導電性ボール520、及びパッド部300の変形が示されている。図10のようにABAQUSツールを利用したシミュレーションの場合、接着層510が一定の圧力以降では導電性ボール520の圧縮された状態を固定することができない設定がABAQUSツールに入っていないため、85MPaの接着圧力で導電性ボール520の圧縮がさらに発生して、連結端子420とパッド部300との間の距離が減ったことが分かる。
【0071】
図11には、ABAQUSツールを利用したシミュレーションで測定された表(simulation)及び実験で測定された表(test)を示した。ここで、δはパッド部300と連結端子420との間の距離であり、Bumpは連結端子420が導電性ボール520によって窪んだ溝の深さであり、Padはパッド部300が導電性ボール520によって窪んだ溝の深さである。
【0072】
図11に示したように、接着圧力が85MPaである時に、実験の場合には前述したδが2.0μmであったが、シミュレーションの場合にはδが1.6μmであった。これを比較してみると、導電性ボール520が75Mpa〜85MPaで約0.4μm程度元の形状に復元されたことが確認された。接着圧力が増加するほど、導電性ボール520とパッド部300との間の接触圧力(contact pressure)が増加するが、シミュレーション及び実験の結果を見ると、弾性復元力による導電性ボール520の復元を抑制する接着層510の固定能力が、接着圧力が85MPaである時に臨界値であることが分かる。
【0073】
つまり、接着圧力が大きいほど、導電性ボール520とパッド部300との間の接触圧力が大きくなって、導電性ボール520がより圧縮される。導電性ボール520が圧縮されることによって、導電性ボール520とパッド部300との間で金(Au)とチタン(Ti)との間の界面の密着圧力が大きくなり、導電性ボール520とパッド部300との間の接触抵抗は小さくなる。しかし、導電性ボール520の中心部521のストレスも導電性ボール520に印加される圧力の増加によって増加するので、導電性ボール520の弾性復元力も増加する。このような導電性ボール520の弾性復元力が問題になる場合には、接触圧力をできる限り大きくして、中心部521のストレスをできる限り小さくする場合に、導電性ボール520の弾性復元力が導電性ボール520に加えられる圧力に非線形的に対応することができる。
【0074】
従って、本発明による表示装置101のパッド部300は、接着圧力によって導電性ボール520が圧縮されてパッド部300に食い込むように、パッド部300が第1導電層310及び第1導電層310に比べて硬度がより低い第2導電層320を含むように構成した。
【0075】
つまり、本発明は、従来技術の問題点を解決するための発明であって、単にパッド部300を複数の層で構成したのではなく、解明過程として実験及びシミュレーションを通して導電性ボール520とパッド部300との間の関係を考慮して、パッド部300を複数の層で構成した。
【0076】
以上のように、本発明の実施形態による表示装置101は、第2導電層320が第1導電層310に比べて電気伝導度が高く、硬度が低い物質で構成されていて、第2導電層320の厚さが導電性ボール520によって窪んだ溝の深さに比べて厚いため、接着圧力によって導電性ボール520が圧縮されてパッド部300の第2導電層320に容易に食い込むことができる。このように、接着圧力によって導電性ボール520が圧縮されて第2導電層320に容易に食い込んで、導電性ボール520とパッド部300との間の接触圧力及び接触面積が大きくなると同時に、導電性ボール520の弾性復元力は接着圧力の増加と非線形的に対応するため、導電性ボール520とパッド部300との間及び導電性ボール520と連結端子420との間の接触抵抗が低減される。つまり、集積回路チップ400とパッド部300との間の電子の移動度が増加すると同時に、集積回路チップ400とパッド部300との間の断線も防止される。
【0077】
また、第2導電層320が第1導電層310上の導電性ボール520に対向する領域にだけ形成されることによって、第2導電層320を簡単なメッキ工程(plating process)などを利用してソース電極及びドレイン電極から延長された第1導電層310上に形成することができるため、安い製造費用で本発明を実現することができる。このように、薄膜トランジスターを形成するソース電極及びドレイン電極と同一な物質で形成されるいかなるパッド部にも本発明を適用することができるため、表示装置のソース電極及びドレイン電極を構成する物質の種類に関係なく、多様な表示装置のパッド部に本発明を適用して、集積回路チップ400と配線基板100との間の接触抵抗を低減させて、集積回路チップ400と配線基板100との間の断線を防止することができる。つまり、本発明は、前述した原因が発生するいずれの表示装置にも適用することができるほど、汎用性が優れた発明であると同時に、前述した原因を簡単に解決することができる基本的な発明である。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0079】
10、20 薄膜トランジスター
80 蓄電素子
100 配線基板
101 表示装置
110 基板本体部
120 配線部
130 有機発光素子
131 スイッチング半導体層
132 駆動半導体層
151 ゲートライン
152 スイッチングゲート電極
155 駆動ゲート電極
158、178 蓄電板
161 層間絶縁膜
171 データライン
172 共通電源ライン
173 スイッチングソース電極
174 スイッチングドレイン電極
176 駆動ソース電極
177 駆動ドレイン電極
200 封止基板
300 パッド部
310,320 導電層
400 集積回路チップ
410 回路チップ本体部
420 連結端子
500 異方性導電フィルム
510 接着層
520 導電性ボール
521 中心部
522 外郭部
710、730 電極
720 有機発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部が形成された配線基板と、
前記配線基板に実装された集積回路チップと、
前記配線部から延長されて前記配線基板と前記集積回路チップとの間に位置して前記集積回路チップと連結されるパッド部とを含み、
前記パッド部は、
前記配線部から延長される第1導電層と、
前記第1導電層上に位置して、前記第1導電層に比べて硬度が低い第2導電層とを含むことを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記集積回路チップは、
回路チップ本体部と、
前記回路チップ本体部から延長されて前記パッド部と連結される連結端子とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記集積回路チップと前記パッド部との間に位置して、前記配線基板に前記集積回路チップを実装する異方性導電フィルムをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記異方性導電フィルムは、前記連結端子と前記第2導電層との間を直接連結する導電性ボールを含むことを特徴とする、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記導電性ボールは、弾性材料を含む中心部、及び前記中心部を囲んで、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)のうちの少なくとも一つを含む外郭部を含むことを特徴とする、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1導電層は複数の層を含み、前記複数の層のうちの前記第2導電層と隣接する層はチタン(Ti)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2導電層は、前記第1導電層に比べて電気伝導度が高いことを特徴とする、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2導電層は、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記導電性ボールは、前記第2導電層と前記連結端子との間で加圧されることで圧縮されていることを特徴とする、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2導電層及び前記連結端子は前記導電性ボールによって窪み、
前記第2導電層の厚さは、前記導電性ボールによって窪んだ溝の深さに比べて厚いことを特徴とする、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2導電層は、前記第1導電層上で前記導電性ボールに対向する領域にだけ形成されることを特徴とする、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記配線部は、薄膜トランジスターを形成するソース電極及びドレイン電極を含み、
前記第1導電層は、前記ソース電極及びドレイン電極と同一な物質であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記配線基板は、
前記ドレイン電極と電気的に連結される第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機発光層と、
前記有機発光層上に位置する第2電極とをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記配線基板に比べて面積が小さい封止基板をさらに含み、
前記集積回路チップは、前記封止基板と隣接して露出された配線基板の周縁領域に実装されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−53651(P2011−53651A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133234(P2010−133234)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】