説明

表面上の三次元ミクロ構造形成方法、その使用、及び得られたミクロ構造化製品

物質表面上への三次元ミクロ構造形成方法、その使用及び得られたミクロ構造化製品。詳細にはサポートの平面上に三次元ミクロ構造を形成する方法であり、上記サポート表面上への平らで均一な第一シリコーン層の適用ステップ及び上記第一シリコーン層上への三次元的にミクロ構造化された第二シリコーン層の適用ステップを含み、上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に規則的に分散され抗粘着性を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成し、基板のフレキシブル表面、特に上記シリコーン層上に配置された粘着材の表面も2個のシリコーン層により形成された三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化され、上記シリコーン層は、加熱、紫外線若しくは電子線照射等による硬化により固定される方法、その使用及びミクロ構造化されたフィルム、特に自己粘着性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポートの平面上の三次元ミクロ構造形成方法、上記方法の使用及び製品に関し、特に三次元的ミクロ構造化表面等を有する自己粘着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
感圧性粘着材で構成されるフィルム提供法は公知であり、その微細構造はサポートとして剥離可能な保護コーティングの三次元的ミクロ構造化表面を接触させることにより付与され、必然的に粘着材の表面が接触する三次元ミクロ構造の反転体であり、これら自己粘着性フィルムの形成方法を提供することも公知である。それらの方法は、三次元構造はシリコーン製平面フィルムを有するサポートを機械的エンボス加工することにより、又は既にミクロ構造化表面を表しているサポート上にシリコーンをコーティングすることにより得るものであり、後者の場合サポートの微細構造に一致する。これら自己粘着性フィルムの形成方法は一般的にかなり満足できるものであるが、それらは高価なポリエチレン又はポリプロピレンサポート上でしか製造できないために、その適用に制限がある。ポリエチレン及びシリコーンサポートの場合、シリコーン中のミクロ構造の形成は、その目的用に使用される彫刻されたシリンダーを0.9m/分程度の速度で熱エンボス加工することにより行われるためには非常に生産性が低下し、最終製品の製造費用が上昇する。
【0003】
種々の製品及び他の感圧性ミクロ構造化粘着材材料又はフィルムも下記特許公開により開示されている:例えば欧州特許EP149135号は、島状粘着材を有する感圧性粘着材構造を示し、欧州特許EP180598号は粘着材部分を有する剥離可能なラベルストックを開示し、欧州特許EP861307号は複数の粘着材ペグを有する粘着材シートを開示し、又安定なポリマー性積層化データ移動装置を製造するために有用なトップコートフィルムに関する国際公開WO97/43319号も挙げられ、上記トップコートフィルムは、重合性組成物及びポリマー性バインダーを含有し、実質的に可塑剤フリーな組成物から構成されるトップコート層を有し、上記ポリマー性バインダーに対する重合性組成物の重量比は、0.75:1〜1.50:1(上限下限を含む)である。米国特許第4986496号は、その上を流れる流体のドラッグ(drag)への抵抗を減少できる製品に関し、それはイソシアネートとポリオールとの反応生成物からin situで形成された熱硬化性ポリマーシートを有し、上記シートは上記流体に接触する表面を有し、その表面は一連の平行な谷により互いに分離された一連の平行な頂上を有する。欧州特許EP0382420A2号は、頑丈な、フレキシブル基板を有する複合プラスチック製品を提供し、その一方の表面は不連続なミクロ構造を有し、そのミクロ構造は、深さが0.025mm〜約0.5mmであり、ハードセグメント及びソフトセグメントを有する硬化したオリゴマー性樹脂からなり、その硬化した樹脂は実質的に複合体のミクロ構造部に限られる。
【特許文献1】欧州特許EP149135号公報
【特許文献2】欧州特許EP180598号公報
【特許文献3】欧州特許EP861307号公報
【特許文献4】国際公開WO97/43319号パンフレット
【特許文献5】米国特許第4986496号公報
【特許文献6】欧州特許EP0382420A2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的の一つは、上記問題を克服し、サポート平面上に三次元ミクロ構造を形成する方法を提供することであり、その方法は予備シリコーン化され又はされていない最初の平面を変えて目的の最終ミクロ構造化表面を得る点において公知のプロセスとは完全に異なる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明では、上記三次元ミクロ構造の製造方法は、サポート表面上への平らで均一な第一シリコーン層の適用ステップ及び上記第一シリコーン層上への三次元的にミクロ構造化された第二シリコーン層の適用ステップを含み、上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に規則的に分散され、抗粘着性を確保する通常の(common)三次元ミクロ構造を形成し、その結果基板のフレキシブル表面、特に上記シリコーン層上に配置された粘着材の表面は、第二シリコーン層により形成された三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化され、上記シリコーン層は加熱、紫外線若しくは電子線照射、又はそれらの組み合わせによる硬化により固定される方法である。
【0006】
本発明の別の目的は、フレキシブル基板の表面、特に粘着材の表面の三次元ミクロ構造化方法であり、紙、プラスチック又は他の材料のフィルム等のどんな種類の基板上にも製造でき、非常に高速での操作が可能となるので、従来公知の方法に比べて非常に生産性を増大する。
【0007】
この目的のために、本発明の上記三次元ミクロ構造化方法は、サポート表面上への第一の実質的に平らで均一なシリコーン層の適用ステップ及び上記第一シリコーン層上への三次元的にミクロ構造化された第二シリコーン層の適用ステップを含み、上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に規則的に分散され、抗粘着性を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成し、その結果上記シリコーン層上に配置された、基板のフレキシブル表面、特に粘着材の表面は、第一シリコーン層及び第二シリコーン層により形成された通常の三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化され、上記シリコーン層は加熱、紫外線若しくは電子線照射、又はそれらの組み合わせによる硬化により固定される方法である。
【0008】
好ましくは、上記第一シリコーン層は、下記官能基を
【化1】

架橋剤として有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサン、及び架橋剤と反応できる少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサンを含有するか、それとも、下記官能基を
【化2】

を架橋剤として有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサン、及び上記架橋剤と反応できる官能基
【化3】

(但し、Rは少なくとも1のエチレン性不飽和を含有する)を有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサンを含有し、任意で、1以上の場合、上記架橋反応用の活性化触媒を含有し、加熱、紫外線若しくは電子線照射による硬化される。
【0009】
好ましくは本発明では、上記第二シリコーン層は、少なくともポリオルガノシロキサン及び、好ましくは、アクリレート及び/又はエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン、並びに任意で活性化触媒を含有する。
本発明の別の好ましい態様では、上記第二シリコーン層は、アクリレート基を有するポリジメチルシロキサン及び、好ましくはベンゾフェノン型のケトン型触媒を含有するか、エポキシ基を有するポリジメチルシロキサン及びヨードニウム塩型触媒を含有し、紫外線照射への曝露により硬化される。
別の好ましい本発明の例では、第二シリコーン層は、活性化触媒を含有せず、電子線照射への暴露により硬化される。
【0010】
本発明は又、三次元的ミクロ構造化フィルム、及び上記方法により三次元的ミクロ構造化された表面を含む自己粘着性フィルムに関し、特に装飾、広告又は他の目的に使用できるモチーフを含み、特に自己粘着性フィルムの粘着材表面と対面する表面上のものが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記記載のように、紙又はプラスチックフィルム等のフレキシブルサポート等のサポートの平面上に三次元ミクロ構造を形成するために、上記サポート表面上へ実質的に平らで均一な第一シリコーン層を適用し、上記第一シリコーン層上へ三次元的構造化された第二シリコーン層を適用し、上記シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に抗粘着性を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成できる。従って、積層的に結合されたシリコーン層両方上に配置された、基板のフレキシブル表面、特に粘着材の表面は、シリコーン層により形成された三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化する。
【0012】
本発明の好ましい態様では、基板のフレキシブル表面へ、特に粘着材の表面へ三次元ミクロ構造を与えるために、サポート表面上への実質的に平らで均一な連続的第一シリコーン層を適用し、上記サポートは、例えばカレンダー加工され又はサイズ加工された、紙、又はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又は類似材料製のプラスチックフィルムからなり、第一シリコーン層へ、三次元的構造化された第二シリコーン層が適用でき、下記記載のようにこれらシリコーン層が積層的に結合され、通常の三次元ミクロ構造を形成し、サポート表面上に均一に分散されて抗粘着性を確保する。次に、例えばコーティング及び/又はラミネート等の公知の方法により、シリコーン層上に基板のフレキシブル表面、又は特に上記粘着材の表面が配置される。この方法では、基板表面、特に粘着材の表面は、第一シリコーン層及び第二シリコーン層により形成された通常の三次元ミクロ構造の逆転写によるミクロ構造化である。この点で、表現「逆転写によるミクロ構造化」は、フレキシブル基板表面、特に粘着材の表面上に得られた微細構造は、第一シリコーン層及び第二シリコーン層の組み合わせにより形成された表面微細構造の逆のモチーフであることを意味し、その立体的三次元は、後者と実質的類似又は類似する。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲中で、用語「基板」は、第一シリコーン層及び第二シリコーン層の組み合わせにより形成されたミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化されるどのような物も表し、用語「サポート」は、第一シリコーン層又は実質的に平らで均一なシリコーン層が適用されるどのような物も表す。
【0014】
実質的に平らで均一な第一シリコーン層は、架橋剤として下記基
【化4】

を有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサン(POS)をベースとするシリコーン組成物、及び上記架橋剤と反応できる少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサン(ベース樹脂)から、溶媒の存在下、好ましくはスズベースの活性化触媒の存在下(電子線照射への曝露による層の硬化の場合を除く)で重合されて形成される。本発明の別の態様では、ベース樹脂として、架橋剤と反応できる下記基
【化5】

(但し、Rは少なくとも1のエチレン性不飽和、好ましくはビニル性不飽和を含有する)を有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサンが使用でき、上記反応は溶媒の有無を問わず、白金及び/又はロジウム触媒の存在下での付加重合による。
【0015】
このシリコーン組成物は更に、従来この種の適用に使用されている添加剤、即ち粘性調節剤、例えばシロキシル単位を有するシリコーン樹脂ベースのもの、反応促進剤及び反応阻害剤、顔料、界面活性剤、フィラー又はそれらの類似体等を含有してもよい。シリコーン層の適用を円滑にするために、上記シリコーン組成物は、衛生及び安全性に関する理由のために液体でもヘキサン又はトルエン等の溶媒中に希釈されてもよく、水性分散体/エマルジョンの形態でもよい。表現「平らで均一な」とは、シリコーン層はその表面の平らな配置を乱すような表面凹凸又は粗さを有さない、即ちシリコーン層は浸漬されやすく、第二層の適用後のシリコーン化されたサポートの最終目的である剥離性又は三次元微細構造を阻害する破壊状態なしに、サポート表面上で連続的であることを意味する。この第一層を構成するシリコーン組成物は溶媒ベース又は溶媒無しに構成され、付加重合反応又は重縮合反応で、例えば温度70〜220℃、好ましくは100〜180℃とされることにより、又は紫外線若しくは電子線照射等のエネルギー照射への曝露による架橋により硬化される。熱処理の場合、シリコーン層は、適用されるサポートを熱オーブンに通すことにより硬化され、その温度は100〜220℃で変化しても良く、熱オーブン内の滞留時間は2秒〜1分の範囲である。コーティング速度は、一般的にオーブン中の温度プロファイル及びオーブン長さにより決定される。エネルギー照射下処理の場合、シリコーン層はUVオーブン又は電子線照射を備えたオーブン内で処理され、ほとんど即座に硬化される;しかし、ラジカル又はカチオン型シリコーン組成物は、電子線照射への曝露中触媒の存在を必要としない。平らなシリコーン層は、厚さ0.4〜1.6μm、好ましくは0.7〜1.2μmである。このシリコーン層は、一般的に、無溶媒組成物用5個のローラシステムや、溶媒又は水性ベースの組成物用のコーティングローラ及びマイヤードクターバー型システムにより適用される。より厚い又はより薄い第一シリコーン層も必要に応じて使用できる。しかし、より厚い層はより材料費用がかかり、より薄い層はサポートをカバーする場合に目的としない破壊状態を避けるため、製造時により注意が必要である。第一シリコーン層自体が、シリコーン多層コートの適用により製造され、それぞれのコートの組成が変化することも好ましいが、製造容易性のために単一コートでもよい。
【0016】
本発明では、第二シリコーン層又は三次元的ミクロ構造化シリコーン層は、シリコーン組成物から形成され、その組成物は、1以上のポリオルガノシロキサン及び、好ましくはアクリレート及び/又はエポキシ基を有する、1以上のポリジメチルシロキサン、並びに任意で必要に応じて活性化触媒を含有する。このシリコーン組成物は、溶媒を含まず、アクリレート及び/又はエポキシ基を有するポリジメチルシロキサンの場合紫外線照射への曝露又はアクリレート基を有するポリジメチルシロキサンの場合電子線照射(その場合活性化触媒の存在を必要としない)への曝露により硬化される。シリコーンの正確な架橋を確保する適切なUV照射量は、一般的に700mJ/cm2を超える。シリコーン組成物が1以上のアクリレート基を有するポリジメチルシロキサンを含有し、ミクロ構造化シリコーン層はUV照射(ラジカルシステム)により硬化される場合、触媒としてケトン光開始剤、好ましくはベンゾフェノン型、特に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノンを使用できる。ミクロ構造化層の第一シリコーン層への密着性を最適化するために、ポリジメチルシロキサンジプロポキシレート化ジグリシジルエーテル等の粘着剤を採用できる。シリコーン組成物がエポキシ基を有する1以上のポリジメチルシロキサンを含有する場合、触媒としてヨードニウム型光開始剤、ジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(カチオン性システム)等が使用できる。一般的に、ラジカル系はカチオン系よりも好ましく、その理由は時間経過後もより安定な抗粘着性(基板剥離性)を保持するからであるが、ラジカル系では架橋反応中に、ガス雰囲気中の酸素濃度を50ppm未満に低下させるために窒素で不活性にする系の存在を必要とする。
【0017】
第一シリコーン層と同様に、第二ミクロ構造化層を形成するために使用されるシリコーン組成物は、他の添加剤、フィラー、反応促進剤、反応阻害剤、顔料及び界面活性剤等を含有できる。シリコーンのミクロ構造化層のコーティングは、一般的に彫刻されたシリンダーを使用して実施される。適切なコーティング速度は10〜600m/分が使用される。シリコーン(ポリジメチルシロキサン)の量は、シリンダーの彫刻、組成物の粘度、シリコーン層の流動学的挙動を改良できる添加物の粘度、及びシリコーンの温度に依存して変化できる。実際には、シリコーンは彫刻されたローラから、コートされる第一シリコーン層の表面へ移される。彫刻されたシリンダーの彫刻部は、シリコーンを含むインク壺又は容器中に浸されてシリコーンが充填される。過剰のシリコーンは、一般的にドクターバーにより除去される。ゴムカウンターローラがシリコーン層の正確な移動を確保するために使用されてもよい。
【0018】
シリンダーの彫刻は、目的とする三次元ミクロ構造であるシリコーン層の微細構造を決定する。配置されるシリコーン量は、例えば3〜25g/m2、好ましくは4〜15g/m2の範囲に調節されて変化できる。第一シリコーン層及び第二シリコーン層の組み合わせで形成される三次元ミクロ構造は、好ましくはミクロ構造化単位、例えばミクロハニカム型、尾根型、又は格子型モチーフで構成され、その頂上高さは予め決定できる。好ましくは頂上高さ3〜50μm、更に好ましくは5〜25μmが使用できる。例えば使用される彫刻は、下記特徴を示してもよい:形状:先端切りつめピラミッド形、深さ(高さ):50μm、開口部:100μm、ピラミッドの対角線測定値:500μm、理論体積:15cm3/m2。第一シリコーン層の平面へ適用されるミクロ構造化シリコーン層は、例えばUV又は電子ビーム照射により可能な限り急速に架橋されるべきであり、従って、UV処理の場合、UVランプは好ましくはシリコーン化位置(第二層が第一層へ適用される場所)へ可能な限り近づけて配置される。UVランプの出力は、120W/cm〜240W/cm以上までの範囲であり、それに応じてミクロ構造化シリコーンのコーティング速度が決定される(120W/cmで約100m/分での実施)。特別に彫刻(いわゆる「逆又は陰画的」彫刻)されたシリンダーを使用したミクロ構造化シリコーンを平らなシリコーン層上へコーティングする間、後者(平らなシリコーン層)は最初に例えば紙又はプラスチックのサポート上に配置される必要がある。又、それはミクロ構造化シリコーン層のコーティングプロセス中にあるマシンで、1の分離コーティング(予備シリコーン化プロセス)、又はタンデムコーティングで行われてもよい。ミクロ構造化シリコーン層のコーティングは又、回転ふるいを使用しても行うことができ、その場合シリコーンはふるいを通過し、コートされる第一層の表面へ接触する。例えば、使用されるふるいは下記特徴を有する:30メッシュふるい;厚さ200μm、15%開口表面、孔直径345μm、通過シリコーン流体の理論体積:30cm3/m2。これらパラメーターは例示であり目的に応じて改変可能である。
【0019】
熱的ルートによりミクロ構造化層を架橋することは、架橋に必要な温度では架橋により固定化される前に流動が生じてその三次元構造を破壊するために推薦できない。更に、そのコーティング中にモチーフの空間構造抵抗性の観点からの別の欠点は、熱的ルートにより処理されたシリコーン組成物の粘度が200〜400mPa.sしかない一方、照射処理の場合では1000mPa.sを超えることである。
【0020】
紙、ポリエステル又は別の材料等のサポート上にシリコーンをコートする場合、これらサポートの表面張力は、一般的にシリコーンの表面張力よりも大きい。即時得られる結果は、シリコーンがサポート表面を浸しその上に広がることである。反対にシリコーンよりも低い表面張力を示す表面、例えばフッ素処理された表面上にシリコーンをコートする場合、ディウェッティングを引き起こすシリコーン(表面積)の収縮が観察され;シリコーンの液体フィルムはサポート表面上で破壊され、互いに分離された小滴の集合を形成する。サポート表面上に配置された直後のシリコーンの三次元構造の変形を完全に避けることが必要なので、サポート表面は理想的にはその上に配置されるシリコーンと同じ表面張力を有し、従って理想的にはシリコーンと同じ性質の表面、シリコーン化表面、である必要がある。この場合、コートされるシリコーン(表面積)は、理論的に収縮も拡張もしにくい。従って通常その構造は、ミクロ構造化シリコーン層が架橋により確定的に固定化される位置であるUV又は電子線照射位置で安定である。但し、コートされるシリコーンの粘度に非常な範囲で影響される三次元構造の外観形状(face)に対する重力の効果を除く。重力効果が高いとより多く影響を受ける。シリコーン層の表面張力は、19〜24mN/m(又はdyne/cm)、好ましくは21〜23mN/mである。表面張力の決定のために一般的に使用される方法は、Owens-Wendtドロップ法であり、3構成要素からなる(使用液体:ヘキサデカン、水、グリセロール、ジヨードメタン、測定温度:23℃)。熱ルートによっても照射によっても、処理されたシリコーン組成物間の表面張力の点でほとんど差異はない。熱処理されたシリコーン層は、UV照射処理されたシリコーン層と実質的に同じ表面張力を有する。ミクロ構造化シリコーン層は従って、熱的に架橋されたシリコーン層平面へ容易に適用できる。
【0021】
本発明において、第二シリコーン層を第一シリコーン層上に配置し、それは積層的に結合されてサポート表面上に均一に分散され、抗粘着性(基板剥離性)を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成し、シリコーン化されたサポート上に液体溶液又はペーストが、例えば熱オーブン中で熱的ルートにより乾燥後に、又はUV若しくは電子ビーム照射への曝露下で配置されてフレキシブル基板又はフィルムを形成し、その表面微細構造は、三次元的ミクロ構造化シリコーンのそれの実質的に逆(陰画的)微細構造である。実際、シリコーン層は、二重の役割を果たす;両者を接触させることによりなされる、逆の微細構造をフィルム表面上に付与する役割、及びミクロ構造化シリコーンへ適用される材料から形成されるフィルムの分離を促進する抗粘着剤の役割である。形成されるフレキシブルフィルムとしては、どのようなプラスチックフィルムでもよく、例えばキャストポリ塩化ビニル又は溶媒ベースで製造されたフィルム、オルガノゾル又はプラスチゾルの形状が挙げられる。他のキャストフィルム、例えばポリプロピレン、ポリウレタン、及びポリエチレン等も又挙げられる。実際、本発明の方法の主な目的は、例えば外観の観点から又は種々の技術的理由のために、キャストフィルムへミクロ複製による表面しあげを与えることである。
【0022】
本発明の好ましい態様では、基板としてフレキシブルフィルム、例えばポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルムが使用され、その表面は粘着材で被覆され、その結果粘着材へ、ミクロ構造化シリコーンの逆のイメージに対応するミクロ構造を付与する。その場合、粘着材層は好ましくはミクロ構造化シリコーン上に直接的にコートされ、又はシリコーン上にラミネーション装置を使用してラミネートプレスされる。直接コーティング中、粘着材は、例えば有機溶媒若しくは混合有機溶媒溶液又は水中エマルジョン形態等の液体形状であり、又はミクロ構造化シリコーン上にホットキャストされる固体形状、即ち溶媒無しの粘着材の形状である。粘着材をシリコーン上にコートするために使用されるコーティングプロセスは、シリコーンのミクロ構造を摩耗により悪影響を与えないようなものであるために、後者(固体形状)のプロセスは、好ましくはスリットエクストルーダー、スクレーパー又はドクターバーを備えたコーティングローラを使用して行われる。粘着材の種類として、当分野で適当と思われるいずれの粘着材も使用できる。この点で、アクリル系、ゴム、シリコーン、及びポリウレタンベースの粘着材が挙げられる。これら粘着材は、溶媒ベース、水ベースでもよく、又は溶媒無しの溶融状態でもよい。粘着材の選択により、シリコーンのミクロ構造の複製容易性が決定され、その後ミクロ構造化粘着材を含有する基板が、スプレイウィンドウ、描かれたキャンバス又はパネル等の目的の対象に適用された場合、その逆のミクロ構造のほとんど永久的な保持性も決定される。好ましくは、加熱されて自己架橋する自己粘着性樹脂であり、混合有機溶媒中に溶解されたアクリル系コポリマーベースのものであり、上記自己粘着性樹脂はイソシアネートの添加により架橋される。特に好ましくは、混合有機溶媒中に溶解されたアクリル系コポリマーベースのもおであり、水性分散体中のアクリル系コポリマーであり、この目的のためのアクリル系モノマーは、好ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸である。又、混合有機溶媒中に溶解されてもされなくてもよい天然及び/又は合成ゴムベースの粘着材でもよい。これら粘着材は、粘着剤、抗酸化剤、可塑剤、フィラー、顔料又はそれらの類似体等の1以上の添加剤を含有してもよい。
【0023】
本発明を明らかにするために、添付の図1は、サポート1の僅かに拡大した断面図を示し、サポート1には平らな第一シリコーン層2及びミクロ構造化された第二シリコーン層3がそれぞれ適用されている。明らかなように、第一及び第二層2及び3並びにサポート1は一緒に接着されて、単一の三次元ミクロ構造4を形成している。このミクロ構造4は、サポート1へ第一層2を介して固定されたミクロ構造化層3から構成される複数の頂上又は尾根部を含有する。第一シリコーン層2及び第二シリコーン層3は一緒になってサポート1上に連続するシリコーン化された表面5を形成する。シリコーン化表面5は底部5aから連続的に頂上部5bにかけて延びて、それに接触している基板を剥がすために適用された表面を提供する抗粘着性を有する。複数の頂上又は尾根部は、好ましくはサポート1のシリコーン化された表面2a上に均一に分散され、ミクロ構造化シリコーン上に配置される粘着材と共に又は粘着材無しで基板フィルム(図7参照)の分離を容易にする。
下記試験及び実施例は、本発明をより例示するが本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0024】
適用のパイロット試験:
使用された材料、操作条件及び試験結果を下記表1及び2に示す。
1.予備シリコーン化紙上へのシリコーンの「格子」コーティング:
ミクロ構造化(格子型)シリコーン層のコーティングを、「逆」彫刻で、即ちシリンダーのテーブル上のピラミッドにより行った。これらピラミッドは、先端を切りつめた形状でもよく、シリンダーを用いて移動された頂点を有するピラミッドの類似形でもよい。
彫刻の特徴(図2a参照:彫刻の平面図、及び図2b参照:線llbに沿った断面図)。
シリンダーNo.58472クロムコート。
深さ:0.050mm。
開口:0.100mm。
ピラミッドの対角線測定値:0.500mm。
底部:0.015mm。
【0025】
彫刻部の充填は、ドクターバーを備えたクローズドチャンバーを使用して、又はシリコーンバス中への彫刻部の浸漬により行われ、彫刻部表面の過剰シリコーンは次にドクターバー(スチール、ナイロン又は他の材料製)により除去される。ミクロ構造化シリコーン層の固定化は、平均圧力及び出力200Wmで水銀UVランプのバッテリーを使用して行われる。
【0026】
【表1】

【0027】
*シリコーンのブルックフィールド粘度を測定した(スピンドル4、速度20rpm)、単位センチポワズ=1mPa.s。
1)(商標)Signback13はカオリン130g/m2を含むサイズ紙である。
2)(商標)R630GE(SS)はPt触媒を有し溶媒なしのポリオルガノシロキサンの混合物である。
3)(商標)UV902G(+CRA709)は、アクリレート基を有するポリオルガノシロキサンの混合物であり、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン(Goldschmidt社製)の存在下で配置された。
4)(商標)UVPC900RPは、アクリレート基を有するポリオルガノシロキサンの混合物であり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン(Rhodia社製)の存在下で配置された。
5)(商標)UV902Gは、アクリレート基により機能性化されたポリジメチルシロキサン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン(Goldschmidt社製)の混合物である。
【0028】
2.粘着材のコーティング:
使用される粘着材の形成:
混合有機溶媒中のアクリル系コポリマー:17kg。
ブチルアセテート(主溶媒):2.8kg。
架橋剤:0.160kg。
乾燥温度プロファイル:60℃、80℃、100℃、120℃。
コーティング速度:20m/分。
粘着材のグラム重量:20〜25g/m2
【0029】
【表2】

【0030】
上記は、いわゆる逆彫刻によるシリコーン剥離コーティングは優れた結果を生じることを示す。
図3は、本発明の実施例2のシリコーンのミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真である(拡大率×15及び×30)。
【0031】
図4は、従来技術の公知方法により得られたシリコーンのミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真である
この公知方法によると、両面ポリエチレン化紙のポリエチレンフィルムの光沢性表面上に配置されたシリコーン層は、加熱(110℃)して低速(0.9m/分)で彫刻されたシリンダーを使用してミクロエンボス加工され;カウンターシリンダーは、ショア硬度85であり、120℃に加熱されたシリコーンゴムローラであり;2個のシリンダー間で実施された圧力は22N/mm2である。
【0032】
上記のとおり、本発明のミクロ構造化サポート(図3)は、シリコーン表面上に頂上付近は丸まっている非常に規則的形状を有し、それはシリコーンパターンイメージの、基板表面例えばPVCのフレキシブルフィルムへの移動を防止し又は可能性を低下させ、基板フィルムの表面外観の変化を生じない。これは図4のミクロハニカムを使用する場合では起こらず、その場合基板PVCフィルムの表面は、そのエンボス加工された頂上はより鋭角で丸まっていないポリエチレン化されシリコーン化された紙のミクロ構造により変化し;上記ミクロハニカムパターンは、頂上が変形させるPVCフィルムを通して観察できる。基板を通過するこのようなパターン移動を改善するために、従来技術ではイメージ移動を減少させ弱めるための厚い基板を使用することがあった。本発明の好ましい態様では、丸まったミクロ構造化頂上部又は尾根部を使用し、シリコーン頂上パターンの基板遠位表面への移動を弱め、防止する。従って、本発明のミクロ構造化サポートは、逆転写により基板の隣接した表面の微細構造を規定して、(肉眼での)可視的イメージを基板の遠位の表面へ移動させない。これは、例えば60μm、50μm、又は40μm以下を使用して、より薄い基板又は外観保存層の使用が可能であることを意味し、その結果、鋭い頂上パターンを有するシリコーンライナーを使用する場合に発生する視覚的影響を減らすための厚みの追加を必要としないために、材料の費用削減効果を得ることができる。
【0033】
他の試験及び試験結果を下記表3及び4に示す。
1.予備シリコーン化紙上のシリコーン格子のコーティング:
操作手順は、上記で使用されたものと実質的に同様である。
【0034】
【表3】

【0035】
2.粘着材のコーティング:
使用した粘着材の組成:
1.MP500(商標Solucryl 340:アクリル系コポリマー、混合有機溶媒中):
グラム重量:24.5g/m2
粘度:135cps(スピンドル4、v20、ブルックフィールド粘度)。
乾燥温度プロファイル:70℃、90℃、110℃、140℃。
コーティング速度:10m/分。
【0036】
2.MR980(商標Solucryl 615:アクリル系コポリマー、混合有機溶媒中):
グラム重量:16g/m2
粘度:790cps(スピンドル4、v20、ブルックフィールド)。
乾燥温度プロファイル:70℃、90℃、110℃、190℃。
コーティング速度:20m/分。
【0037】
【表4】

【0038】
60μm厚さのフレキシブルPVCフィルム(M2629)の非常に薄い基板外観保存層(facestock)の場合でさえ、シリコーンパターンイメージの通過移動は観察できない。
【0039】
工業的適用試験:
1.「逆」彫刻及びポリエステルドクターバーを使用したシリコーンコーティング:
使用材料、操作条件及び試験結果を下記表5に示す。
ミクロ構造化シリコーン層のコーティングは、シリンダーテーブル上のピラミッドにより逆彫刻されて行われる。
彫刻形状:シリンダークロムコート、
深さ:0.050mm、
幅:530mm、
開口:0.100mm、
ピラミッドの対角線測定値:0.500mm、
底部:0.015mm。
ミクロ構造化シリコーン層の固定化は、2Hgアークランプを使用して120W/cm出力、N2不活性雰囲気下(<20ppmO2)で行われる。
【0040】
【表5】

【0041】
2.粘着材のコーティング:
使用された粘着材の組成:
樹脂商標Solucryl 360AB(アクリル系コポリマー);720kg。
溶媒:ブチルアセテート;150kg。
架橋剤:2−ペンタンジオン(1.5kg)、3−イソプロパノール(0.8kg)、Tiアセチルアセトネート(0.188kg)及びAlアセチルアセトネート(2.02kg)の混合物。
粘度:1300cps(スピンドル4、v20、ブルックフィールド粘度)。
表6より、パイロット配置での試験の場合と同様、コーティングは優れた条件下で行われ、その粘着性性能及び抗粘着性値は標準的な試験で得られたものよりも実質的に低い。
【0042】
【表6】

【0043】
図5は、本発明の方法の工業的適用により得られたシリコーン(上左側)及び逆転写された粘着材(下右側)のミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真(60×拡大率、68°傾き)である。
パイロット配置試験の場合と同様、ミクロ構造化された頂上部は非常に平滑で、深さ約10μmの丸められた頂上および比較的小さな尾根の結合は共同して、ミクロ構造化シリコーンパターンが、PVCフレキシブルフィルムの粘着材被覆された基板の遠位の表面へ可視的に移動することを非常に減少させ更には阻止する。好ましくは、15μm未満の頂上又は尾根部深さが使用されて、目的としない視覚的影響を減少させ防止する補助となる。
【0044】
図6は、粘着材表面及び、本発明の方法の自己粘着性フィルムミクロ構造化を受ける基板サポートの表面間の、初期の接触微細構造の走査電子顕微鏡写真である。この顕微鏡写真から、特に同一表面積の4個の四角へ区分され分割された板状頂上から明らかなように、最初の接触面積の割合は、今日知られているミクロ構造化粘着材で得られる35%を超える値よりも実質的に低くなる。ここで、接触面積は約25%である。使用された粘着材の外観、その組成及び製造条件に応じて、粘着材層及び基板サポート間の最初の接触表面の割合は変化し、好ましくは全被覆表面の15〜32%、更に好ましくは23〜28%である。好ましくは、この接触表面の低割合は、従来技術の粘着材フィルムよりも、粘着材フィルムの再配置特性を優れたものとし、同時にそれが適用される基板表面及びサポート対象間の優れた粘着性をもたらす。その理由は、頂上部での粘着材表面は実質的に平面であり、ミクロ複製により平らなミクロ平面を与えるからである。更に又、上記で形成された浅い深さ(約10μm)のミクロ溝部及び非常に隣接した非接触の粘着材表面(約70%以上)の存在は、最初の適用圧力が低い場合には自己粘着性製品へ再配置可能な性質を与える。ここで、より高い圧力が適用粘着材フィルムへ与えられた場合、粘着材の頂上の平らな板の形状の全ての平面が対象表面と完全に接触するために、上記フィルムは即座にサポートの対象表面へ固定される。対象表面と接触した粘着材により形成され、対象表面及び基板に隣接した非接触の粘着材表面により区切られたミクロ溝部は、自己粘着性製品の適用において、粘着材界面で発生するエアポケット(泡)の容易な排出及び排除を可能とする深さを有する。エアポケットが形成された部分の上へ手を接触するだけで、これらエアポケットの急速で完全な抑制又は排除が可能となる。次により高い圧力が与えられると、粘着材の異なる平板の平面は、加えられた圧力、粘着材の粘弾性、時間及び温度に依存して、第一シリコーン層の平面の谷へ実質的に延長され、合流して適用(対象)と密接に接触して(初期のミクロ溝部が無くなり)均一で連続的な表面となる。
【0045】
図7は、本発明のプロセスの二次元概略図であり、ミクロ構造化シリコーン層3がその上に適用されて紫外線照射硬化された予備シリコーン化サポート(1,2)、並びに粘着材層10が予備シリコーン化されたライナー(1,2)と接触した場合の基板11の粘着材層10上に得られた逆の複製化三次元ミクロ構造、ミクロ構造化層3、及び外観保存層12を有する基板11を示す。
【0046】
上記の場合、自己粘着性フィルムが適用される表面と密接に接触する粘着材表面の割合は27%であり、この割合は下記の通り計算される:
距離AB=237μm。
距離BC=216μm。
s/S=2372/(237+216)2=0.27
粘着材表面と適用表面との間の粘着材境界面は、それが三次元ミクロ構造の第一平滑シリコーン層により形成された谷に相応するために、実質的に平面である。
【0047】
いずれの種類の基板上のシリコーンのミクロ構造化表面を得ることができる利点を既に詳細に記載したが、基板として例えば、セルロース性又は非セルロース性紙(カレンダー加工又は光沢化、サイズ加工化)、プラスチックフィルム、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(単軸若しくは二軸延伸又は非延伸、単層又は多層でもよく、印刷、模様、着色料、加工補助剤、フィラー及び通常公知の添加剤を含んでも含まなくてもよい。)が挙げられる。又、上記記載の本発明の利点として、例えば10メートル/分(m/分)を超え、好ましくは50を超え、更には300m/分を超える非常に高速でサポートウェブ上にシリコーンをコートできる利点が挙げられ、更に本発明のミクロ構造化法の主な利点は、(例えば高さが低く丸まっている)頂上部が形成された非常に規則的なミクロ構造化モチーフを得て、そのミクロ複製された粘着材の表面が適用される基板フィルム(又は外観保存層)が変形されないことが挙げられる。
【0048】
本発明のミクロ構造化粘着材の主要用途は、例えば目的の表面上へ大きな図案の適用を容易にすることである。実際、一般的には配置場所をより適切にするために図案を剥がして再配置する必要があり、配置した後はしばしば、適用中に自己粘着性フィルム下にできたエアポケットや適用後に発生するガスポケットを排除する必要がある。本発明のミクロ構造化粘着材は、単に例えば1以上の指又は手で人的な圧力を加えるだけで、再配置を容易にし、適用中にも泡を容易に排除でき、適用後に封じ込められたガスを形成されたミクロ溝部を通して排除できる。
【0049】
上記より明らかなように、新規な剥離ライナー、その剥離ライナーを有する新規な感圧性粘着材ラベル等の種々の製品は、本発明により形成でき、これら製品は、ビル、乗り物及び広告板上への設置に有用な非常に大きなグラフィックパネルの製造等の広い種類の用途に使用できる。これら大きなグラフィックパネルは、30、50、100又は150cm以上の幅で通常少なくとも同じ長さ、しばしば1、2、3メートル以上の長さを有することができる。これらパネルやシートは、しばしば厚さ1.25ミリメーター(mm)以下である。
【0050】
本発明の好ましい一例は、下記を含む多層シートである:
(a)下記を含むフレキシブルサポート:
(i)第一広い表面及び対面する第二広い表面を有するシート状構造;
(ii)少なくとも上記シート状構造の上記第一広い表面へ固定化されるシート状コーティング中のシリコーン含有材料の第一層;
(iii)複数の尾根部又は頂上として上記第一層(ii)へ固定され、その結果少なくとも1のその広い表面上に複数の尾根部又は頂上の三次元微細構造を有するフレキシブルサポートを提供する、シリコーン含有材料の第二層;並びに
(b)近位の第一表面及び対面する遠位の第二表面を有し、上記近位の第一表面は、上記フレキシブルサポートの上記三次元表面と剥離可能に接触しており、上記近位の第一表面は対になっている逆転写された三次元微細構造を有する、フレキシブル基板。
【0051】
フレキシブルサポートのシート状構造は好ましくは、第二層尾根部又は頂上に対応する複数の尾根部又は頂上へ、例えばエンボス加工により変形されない。好ましくは、フレキシブル基板の遠位の第二表面は、フレキシブルサポートの複数の尾根部又は頂上に対応する尾根部又は頂上パターンからは視覚的に影響を受けない。基板は、近位の第一基板表面を形成する第一粘着材層を含有してもよく、任意で更に第一粘着材層と接触する第一外観保存層を含有してもよく、その外観保存層は対面する遠位の第二基板表面を形成する。上記遠位の基板表面には、全表面の一部又は全体に、例えばインク、顔料又は着色剤を使用して、1以上のイメージ、印又は意匠を印刷されても良く、無印刷、透明、不透明、半透明、黒、白又はカラーでもよい。遠位の基板表面は又、任意でその上に外側の追加的保護的コーティング又は層を適用されても良い。
【0052】
上記記載の本発明の例は、本発明を限定するものではく、上記例の多くの改変が本発明の範囲内で行えることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は本発明の一例のサポート1の僅かに拡大した断面図を示す。
【図2a】本発明に使用される彫刻の一例の平面図を示す。
【図2b】図2aの線llbに沿った断面図を示す。
【図3】実施例2のシリコーンのミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図4】公知方法により得られたシリコーンのミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図5】本発明の方法により得られたシリコーン(上左側)及び逆転写された粘着材(底部右側)のミクロ構造化表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図6】本発明の方法の自己粘着性フィルムミクロ構造化を受ける基板サポートの粘着材表面及び表面間の最初の接触微細構造の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図7】本発明のプロセスの二次元概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートの平面上に三次元ミクロ構造を形成する方法であり、
上記方法は上記サポート表面上への平らで均一な第一シリコーン層の適用ステップ及び上記第一シリコーン層上への三次元的にミクロ構造化された第二シリコーン層の適用ステップを含み、
上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に規則的に(regularly)分散され、抗粘着性を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成し、
その結果、上記シリコーン層上に配置された、基板のフレキシブル表面、特に粘着材の表面は、2個のシリコーン層により形成された三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化され、
上記シリコーン層は、加熱、紫外線若しくは電子線照射、又はそれらの組み合わせによる硬化により固定される方法。
【請求項2】
基板のフレキシブル表面、特に粘着材の表面の三次元ミクロ構造化方法であり、
サポート表面上への平らで均一な第一シリコーン層の適用ステップ;
上記第一シリコーン層上への三次元的にミクロ構造化された第二シリコーン層の適用ステップ、ここで上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は積層的に結合されて、サポート表面上に規則的に分散され、抗粘着性を確保する通常の三次元ミクロ構造を形成する;並びに、
上記シリコーン層上へ、上記基板のフレキシブル表面を配置、特に粘着材表面を配置するステップ、ここで上記基板のフレキシブル表面、特に粘着材表面は第一シリコーン層及び第二シリコーン層により形成された通常の三次元ミクロ構造の逆転写によりミクロ構造化される;を含み、
上記シリコーン層は、加熱、紫外線若しくは電子線照射、又はそれらの組み合わせによる硬化により固定される方法。
【請求項3】
第一シリコーン層及び第二シリコーン層により形成された上記三次元ミクロ構造はミクロハニカムモチーフを含有する請求項1及び2いずれかの方法。
【請求項4】
粘着材の表面の1の三次元的ミクロ構造を特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
上記第一シリコーン層は、架橋剤として下記基
【化1】

を有する機能性化ポリオルガノシロキサン、及び上記架橋剤と反応できる少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサンを含有する請求項1〜4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
上記第一シリコーン層は、架橋剤として下記基
【化2】

を有する機能性化ポリオルガノシロキサン、及び上記架橋剤と反応できる、下記基
【化3】

(但し、Rは少なくとも1のエチレン性不飽和を含有する)を有する少なくとも1の機能性化ポリオルガノシロキサンを含有する請求項1〜4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
上記第一シリコーン層は、架橋反応の活性化触媒を含有する請求項5又は6の方法。
【請求項8】
上記活性化触媒は白金、ロジウム又はスズベースの触媒から選ばれる請求項7の方法。
【請求項9】
上記第一シリコーン層は、更に粘着調節剤、反応促進剤及び反応阻害剤、顔料、界面活性剤並びにフィラーの群から選ばれる1以上の添加剤を含有する請求項5〜8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
上記第一シリコーン層は、熱又は紫外線照射への曝露により硬化される請求項7〜9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
上記シリコーン層は熱により硬化される場合70〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度に加熱される請求項10の方法。
【請求項12】
上記第一シリコーン層は電子線照射への曝露により硬化される請求項5又は6の方法。
【請求項13】
上記第一シリコーン層の厚さは0.4〜1.6μm、好ましくは0.7〜1.2μmである請求項5〜12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
上記第二シリコーン層は少なくとも1のポリオルガノシロキサン、好ましくはアクリレート基を有するポリジメチルシロキサン及びケトン型、好ましくはベンゾフェノン型触媒を含有し、紫外線照射への曝露により硬化される請求項1〜13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
上記第二シリコーン層は少なくとも1のポリオルガノシロキサン、好ましくはエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン及びヨードニウム塩型の触媒を含有し、それは紫外線照射への曝露により硬化される請求項1〜13いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
上記第二シリコーン層は少なくとも1のポリオルガノシロキサン、好ましくはアクリレート及び/又はエポキシ基を有するポリジメチルシロキサンを含有し、アクリレート及び/又はエポキシ基の場合紫外線照射、又はアクリレート基の場合電子線照射への曝露により硬化される請求項1〜13いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
上記第一シリコーン層及び上記第二シリコーン層により形成された上記三次元ミクロ構造は、頂上高さ3〜50μm、好ましくは5〜25μmであるミクロエンボス加工されたモチーフから構成される、請求項3〜16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
上記第二シリコーン層は、3〜25g/m2、好ましくは4〜15g/m2の範囲の量で第一層へ適用される請求項1〜17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層は、互いに接近している表面張力15〜25mN/m、好ましくは21〜23mN/mを有する請求項1〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
上記基板及びサポートは、紙、特にカレンダー加工紙又はサイズ(sized)紙、プラスチックフィルム、特にポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド製フィルムから構成される請求項1〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
上記粘着材は、上記第一シリコーン層及び第二シリコーン層上に、直接コーティングされ又はラミネートされて配置される請求項4〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
直接コーティングの場合、粘着材は液体、好ましくは有機溶媒中又は水中エマルジョンの形状、又はホットキャスト固体の形状のいずれかである請求項20の方法。
【請求項23】
上記粘着材は、フレキシブルプラスチックフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルのフィルムへ適用される請求項4〜22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
上記粘着材表面を上記いずれかの表面へ適用する間、適用される表面へ接触する粘着材表面は、全被覆表面の15〜32%、好ましくは23〜28%である請求項2〜23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
粘着材の表面を有する、三次元的ミクロ構造化フィルム、及び/又は、請求項1〜23いずれか1項記載の方法により三次元的ミクロ構造化された自己粘着性フィルムであり、上記シリコーン層により形成されるミクロ構造と接触する表面に対面する表面上に、装飾、広告又は他の目的のためのモチーフを有するフィルム。
【請求項26】
下記を含む多層シート:
(a)下記を含むフレキシブルサポート:
(i)第一広い(broad)表面及び対面する第二広い表面を有するシート状構造;
(ii)上記シート状構造の上記第一広い表面へ少なくとも固定化される、シート状コーティング中のシリコーン含有材料の第一層;
(iii)複数の尾根部として上記第一層(ii)へ固定され、その結果少なくとも1のその広い表面上に複数の尾根部の三次元微細構造を有するフレキシブルサポートを提供するシリコーン含有材料の第二層;並びに
(b)近位の第一表面及び対面する遠位の第二表面を有するフレキシブル基板であり、上記近位の第一表面は、上記フレキシブルサポートの上記三次元表面と剥離可能に接触しており、上記近位の第一表面は、対になっている逆転写された上記三次元微細構造を有するフレキシブル基板。
【請求項27】
上記フレキシブルサポートの上記シート状構造は、エンボス加工により、上記第二層尾根部へ対応する複数の尾根部へ変形しない請求項26の多層シート。
【請求項28】
上記フレキシブル基板の上記遠位の第二表面は、上記フレキシブルサポートの上記複数の尾根部へ相当する尾根部パターンから視覚的に影響されない請求項26の多層シート。
【請求項29】
上記基板は、上記基板に近位の第一表面を形成する第一粘着材層を含有する請求項26の多層シート。
【請求項30】
上記基板は、更に上記第一粘着材層と接触する第一外観保存層を含有し、上記外観保存層は上記基板の対面する遠位の第二表面を構成する請求項29の多層シート。
【請求項31】
上記基板の上記遠位の第二表面は、その上に適用される追加的外層を有する請求項26の多層シート。
【請求項32】
上記基板の上記遠位の第二表面には、少なくとも1のイメージが印刷される請求項26の多層シート。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−516868(P2007−516868A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545853(P2006−545853)
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000001
【国際公開番号】WO2005/063464
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506222122)マックタック ヨーロッパ ソシエテ アノニム (2)
【Fターム(参考)】