説明

表面検査装置

【課題】半導体素子の光軸の向きを迅速かつ精度よく調整することができる表面検査装置を提供する。
【解決手段】ケーシング10内に、レーザ光を照射するための複数の半導体素子13,14を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子13,14の前方に、該半導体素子13,14からの光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズ15,15を配置した表面検査装置であって、前記配置した全ての半導体素子13,14の前方に跨るように前記レンズ15,15を配置し、前記複数の半導体素子13,14の光軸の向きを半導体素子並設方向でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体素子13,14の角度を調整するための調整手段19K,19Kを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車の表面に複数の細長い平行なライン光を照射することにより、立体物の面の歪み、又は曲面の曲性変化(曲がり特性)を目視によって検査できるようにした表面検査装置に関し、詳しくはケーシング内に、レーザ光を照射するための複数の半導体素子を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子の前方に、該半導体素子からのレーザ光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズを配置した表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記表面検査装置としては、ケーシング内に3個の半導体素子の一例である半導体レーザを上下方向に等間隔に配置し、これら半導体レーザの光照射側前方のそれぞれに、コリメートレンズを配置するとともにコリメートレンズから出力される光を細長い光に変換するためのロッドレンズをコリメートレンズの前方に配置して、被照射体に3本の平行な細長いライン光を等間隔に照射することにより、被照射体の表面形状の座標を演算することができるようになっている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−167617号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体レーザは、一般的に、光軸の向きが半導体レーザ毎に異なっていることが多い。このため、引用文献1では、ケーシング内に3個の半導体レーザを配置する際に、各半導体レーザの取付角度を調整しながら取り付けることで、各半導体レーザの光軸の向きを合わせるようにしている。しかし、半導体レーザを配置した後や長期間の使用に伴い、半導体レーザの取付角度が不測にずれてしまうことがある。このようにずれてしまうと、調整する機能が備わっていないため、ずれたままの状態で使用しなければならず、非常に不便なものであり、改善の余地があった。
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、半導体素子の光軸の向きを迅速かつ精度よく調整することができる表面検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ケーシング内に、光を照射するための複数の半導体素子を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子の前方に、該半導体素子からの光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズを配置した表面検査装置であって、
前記配置した全ての半導体素子の前方に跨るように前記レンズを配置し、前記複数の半導体素子の光軸の向きを半導体素子並設方向でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えたことを特徴としている。
上記のように半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えることによって、被照射体に対する半導体素子の光の照射位置を調整して、半導体素子並設方向で隣り合う半導体素子から照射される光の間隔を調整することができる。
例えば、半導体素子のそれぞれに対してレンズを備えさせる場合に、半導体素子に対するレンズの角度を半導体素子の並設方向の他、半導体素子の並設方向と直交する方向にも角度調整する必要があるが、前記のように配置した全ての半導体素子の前方に跨るように前記レンズを配置することによって、半導体素子に対するレンズの角度調整が半導体素子の並設方向のみで済み、半導体素子の並設方向と直交する方向のレンズの角度調整が不要になり、レンズの組み付け作業が容易になる。
【0006】
また、本発明は、ケーシング内に、光を照射するための複数の半導体素子を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子の前方に、該半導体素子からの光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズを配置した表面検査装置であって、
前記配置した半導体素子の前方に前記レンズを配置し、前記複数の半導体素子の光軸の向きを半導体素子並設方向でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えたことを特徴としている。
上記のように半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えることによって、被照射体に対する半導体素子の光の照射位置を調整して、半導体素子並設方向で隣り合う半導体素子から照射される光の間隔を調整することができる。尚、前記レンズは、各半導体素子の前方にそれぞれ位置するように個々のものでもよいし、又所定個数の半導体素子に渡る長さに構成されたものでもよいし、又全ての半導体素子の前方に跨る長さに構成されたものでもよい。
【0007】
また、前記複数の半導体素子をそれぞれ内挿する筒状部材を備え、該各筒状部材の長手方向両端部をそれぞれ保持するための保持部を前記ケーシングに備えるとともに、前記調整手段が、前記筒状部材の光発射側の前端部が保持された状態で該前端部とは反対側になる後端部を半導体素子並設方向に移動させることにより、前記レンズに対して前記筒状部材の角度を調整する手段であることを特徴としている。
筒状部材の光発射側の前端部が保持された状態で筒状部材の後端部を半導体素子並設方向に移動させるだけで、半導体素子の光軸の位置を調整することができる。
【0008】
また、前記筒状部材の後端部に、プレートを取り付け、前記ケーシングが、前記筒状部材の前端部が半導体素子並設方向に角度調整可能に保持される前側保持部と、前記プレートが連結具を介して半導体素子並設方向に移動自在に連結保持される後側保持部とを備えていることを特徴としている。
【0009】
さらに、前記後側保持部が、前記筒状部材を前記ケーシング内に挿入可能な開口を備えた壁体からなり、前記プレートの左右寸法が該開口の左右寸法よりも大きな左右幅を有するものからなり、該プレートに前記連結具であるビスを挿通可能な貫通孔を形成し、該貫通孔に挿通したビスの先端をねじ込んで前記プレートを前記壁体に固定するための螺子部を該壁体に備え、前記プレートに形成される貫通孔が、該後側保持部に対する前記プレートの半導体素子並設方向での位置を調整可能とする長孔でなり、該長孔が前記調整手段を構成していることを特徴としている。
長孔が形成されたプレートを半導体素子並設方向に移動させて、半導体素子の照射角度を調整した後、ビスを用いてプレートを後側保持部にねじ込み固定する。
【0010】
また、前記プレートの前記壁体への固定に伴って前記前側保持部と該プレートとの間に前記筒状部材を挟みこんで固定することによって、筒状部材を前側保持部とプレートとの間で強固に固定することができるから、筒状部材の角度を調整後に筒状部材が不測に角度調整されることがない。
【0011】
また、前記半導体素子の光軸方向の長さに対して筒状部材を長くすることによって、プレートの移動量に対する筒状部材の角度調整量を小さくすることができるから、半導体素子の光軸の微調整を行うことができる。
【0012】
また、前記筒状部材の光発射側前端部の外周に、弾性リングを嵌め込み、該弾性リングが嵌められた筒状部材の光発射側の前端部が入り込んで該前端部の位置調整を規制するべく、前記ケーシングに形成された凹部から前記前側保持部を構成したことを特徴としている。
プレートを移動させると、凹部内に筒状部材の前端部の位置変更が規制された状態で、弾性リングが変形しながら筒状部材の角度が筒状部材の前端部を支点として調整される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えることによって、被照射体に対する半導体素子の光の照射位置を調整して、半導体素子並設方向で隣り合う半導体素子から照射される光の間隔を調整することができるから、半導体素子の取付角度が不測にずれてしまった場合でも、半導体素子の光軸の向きを迅速かつ精度よく調整することができる表面検査装置を提供することができる。
また、配置した全ての半導体素子の前方に跨るように前記レンズを配置することによって、半導体素子の前方にそれぞれレンズを配置する場合に比べて、レンズの組み付け作業面において有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の表面検査装置の一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
前記表面検査装置は、図1及び図2に示すように、T字状の脚部1とその脚部1のうちのほぼ重心位置から上方に立ち上げた縦フレーム2とからなる支持体3と、この支持体3の縦フレーム2に取り付けられた光照射部4とを備えている。図1では、水平方向に細長くかつ等間隔に平行な複数のレーザ光Lを、自動車などの車両Rの車体表面に照射し、面の歪み、又は曲面の曲性変化(曲がり特性)を目視によって検査できるようにしている。
【0015】
前記脚部1の3つの遊端部の下面それぞれには、表面検査装置を移動させるためのキャスター5と、移動後においてその位置で移動不能に接地支持するための伸縮自在な支持脚6とを備えている。つまり、キャスター5によって所定位置まで表面検査装置を移動させた後において、短縮状態にある3つの支持脚6をそれぞれ回転させて下方へ伸張させることによりキャスター5を床面から浮上させて、3つの支持脚6によって表面検査装置を移動不能に接地支持することができるようにしている。
【0016】
図3及び図4に示すように、前記光照射部4には、前記縦フレーム2の一側面に備えさせた上下の案内レール7に噛み合って光照射部4を上下方向に移動させるための可動子8を備えるとともに、移動後にその位置に光照射部4を固定するためのロック具9を備えている。
【0017】
また、図2及び図3にも示すように、前記光照射部4を構成するケーシング10の上下端には、水平方向へ延出する上下一対の延出部10A,10Bを備え、上側の延出部10Aにケーシング10の上下寸法のほぼ半分の長さに設定された棒状体11を上から貫通して固定し、前記可動子8の案内レール7と反対側端に備えさせた支持部8Aに前記棒状体11を上下移動自在に貫通している。そして、棒状体11の上端面と延出部10Aの下端面との間に位置させて該棒状体11に外装されたコイルスプリング12Aと棒状体11の下端と前記下側の延出部10Bとの間を連結するコイルスプリング12Bとを備えている。従って、支持部8Aに対して光照射部4を持ってコイルスプリング12Aの付勢力に抗して矢印の上方へ強制的に移動させる、又はコイルスプリング12Bの付勢力に抗して強制的に矢印の下方へ移動させることによって、光照射部4の上下位置を調整することができるようになっている。そして、光照射部4から手を離すことによって、一対のコイルスプリング12A,12Bによって図に示すように支持部8Aがケーシング10の上下方向ほぼ中央に復帰するようになっている。
【0018】
前記光照射部4は、図4〜図6に示すように、前記ケーシング10内に、レーザ光を照射するための15個の半導体レーザ13を上下方向に所定間隔を置いて配置するとともに該配置された15個の半導体レーザ13の横に高さ位置が異なる位置に14個の半導体レーザ14を上下方向に所定間隔を置いて配置し、前記2列に配置された半導体レーザ群のそれぞれの前方に跨るように、該半導体レーザ13,14からのレーザ光を半導体レーザ並設方向と直交する方向(水平方向)に細長く伸ばして被照射体である車体にライン光を照射するための一本の長尺な円柱状のロッドレンズ15を配置している。図4の光照射部4を背面側から見て、左側の15個の半導体レーザ13のうちの上下方向で隣り合う半導体レーザ13,13間にそれぞれ右側の半導体レーザ14を位置させて合計14個の半導体レーザ14を配置することになる。つまり、上下方向において2列の半導体レーザ13,14を千鳥状に配置することによって、多数の半導体レーザを配置しながらも、装置が縦長にならないようにしている。ここでは、半導体素子として、半導体レーザを示しているが、発光ダイオードであってもよい。尚、半導体レーザには、一般的に集光レンズ(例えばコリメートレンズ)を備えているが、図では集光レンズを省略している。
【0019】
前記ケーシング10は、光照射側である前方に位置する長方形状の前板部10aと、この前板部10aの上下端及び左右端から後方に延びる上下板部10b,10c及び左右板部10d,10eと、これら4枚の板部10b,10c,10d,10eにて囲まれる後方に配置され、前記半導体レーザ13,14を挿入可能な上下方向に長い2つの開口10F、10Gを形成するための壁体を構成する3枚の縦板部10f,10g,10hとを備えている。
【0020】
前記前板部10aには、前記2本のロッドレンズ15,15がそれぞれ入り込む縦長状の溝10Mがケーシング10の左右方向2箇所にケーシング10のほぼ上下端に渡る長さに形成され、各溝10Mの半導体レーザが位置する所定位置に半導体レーザからの光を通過させるための円形の開口10Kが形成されている。
【0021】
前記半導体レーザ13,14は、一般的に、光軸の向きが半導体レーザ毎に異なっていることが多い。このため、これを調節(調整)することによって、上下の光の間隔が等間隔になるようにしている。従って本願発明では、全ての半導体レーザ13,14の光軸の向きを半導体レーザ並設方向(ここでは上下方向)でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体レーザ13,14の角度を調整するための調整手段を備えている。尚、ここでは、上下方向に照射される全ての光の上下の間隔が全て同一間隔(例えば10mm間隔)になるように構成する他、上下方向の途中から異なる光の間隔(例えば15mm間隔)を有するように、等間隔を有する領域が複数領域上下方向に存在するように構成して実施してもよい。
尚、本発明でいう調整手段による調整とは、光の上下の間隔がずれて同一間隔でなくなった場合に、これを補正して等間隔に戻すために半導体レーザ13,14の角度を調整する場合を指すことになるが、前記のように光の間隔が異なる領域(つまり前記10mm間隔に対して15mm間隔の領域)を作るために半導体レーザ13,14の角度を調整する場合も含むものとする。
【0022】
図7及び図8に示すように、前記全ての半導体レーザ13,14のそれぞれは、両端が開放された円筒状の筒状部材16に内挿されている。前記ケーシング10は、前記筒状部材16の前端部が半導体レーザ並設方向に角度調整可能に保持される前側保持部17と、前記筒状部材16の後端部が半導体レーザ並設方向に移動自在に保持される後側保持部18とを備えている。従って、筒状部材16の光発射側の前端部が前側保持部17によって保持された状態で後側保持部18に保持される後述のプレート19を半導体レーザ並設方向(ここでは上下方向)に移動させることにより、前記ロッドレンズ15に対して前記筒状部材16の角度を調整(調節)する前記調整手段を備えている。
【0023】
具体的には、前記各筒状部材16の後端部に、横長状でなる長方形のプレート19を取り付け、このプレート19を縦板部10f,10g又は10g,10h間に上下方向に移動自在に構成するとともに連結具である一対のビス20,20にて移動後において固定することができようにしている。前記ビス20として、六角レンチにて回転操作可能な六角ビスを示しているが、通常のビスであってもよい。前記プレート19の前面には、筒状部材16の後端部が嵌まり込んで固定される円形の凹部19Bが形成されており、この凹部19Bを利用して筒状部材16の後端部にプレート19を取り付けている。
【0024】
前記後側保持部18が、前記筒状部材16を前記ケーシング10内に挿入可能な前記開口10F,10Gを備えた壁体である前記3枚の縦板部10f,10g,10hからなり、前記プレート19の左右寸法が該開口10F,10Gの左右寸法よりも大きな左右幅を有するものからなり、該プレート19に前記ビス20,20を挿通可能な2つの貫通孔19K,19Kを形成し、該貫通孔19K,19Kに挿通したビス20,20の先端をねじ込んで前記プレート19を前記縦板部10f,10g又は10g,10hに固定するための螺子部10Nを該縦板部10f,10g,10hに備え、前記プレート19に形成される貫通孔19K,19Kが、該後側保持部に対する前記プレート19の半導体レーザ並設方向での位置を調整可能とする上下方向に長い長孔で構成されており、該長孔が前記調整手段を構成している。
【0025】
また、図7および図8に示すように、前記プレート19と縦板部10f,10g又は10g,10hとの間には、隙間Sが開いた状態になるように筒状部材16の長さを設定しており、プレート19を縦板部10f,10g又は10g,10hへ固定するに伴って前側保持部17とプレート19との間に筒状部材16を挟みこんで固定することによって、筒状部材16を前側保持部17とプレート19との間で強固に固定することができるようになっている。しかも、プレート19を縦板部10f,10g又は10g,10hに対して上下方向に移動させる際に、プレート19と縦板部10f,10g又は10g,10hとの間の接触抵抗がないから、プレート19をスムーズに移動させることができる利点もある。
【0026】
前記半導体レーザの光軸方向の長さに対して筒状部材16を長くしてあり、前記のようにプレート19を上下方向へ移動させたときの移動量に対して筒状部材16の角度調整量が小さくなり、半導体レーザの光軸の角度を微調整することができるようにしている。
【0027】
前記筒状部材16の光発射側前端部の外周には、円形の弾性リング21を嵌め込み、該弾性リング21が嵌められた筒状部材16の光発射側の前端部が入り込んで該前端部の位置変更を規制するべく、前記ケーシング10に形成された凹部10Xから前記前側保持部17を構成している。従って、凹部10X内に筒状部材16の光発射側の前端部が移動不能に位置決めした状態において、プレート19を上下方向へ移動させることによって、筒状部材16が弾性リング21を変形させて筒状部材16の角度調整がスムーズに行われるようになっている。
【0028】
前記筒状部材16の角度調整を行う場合には、まず、プレート19を固定しているビス20,20の一方又は両方を緩めてから、プレート19を上方又は下方へ移動させることによって、筒状部材16の上下方向の角度を調整し、調整後は前記緩めたビス20,20を再度締付けることによって、プレート19をケーシング10に固定する。そして、特定の筒状部材16又は全ての筒状部材16の角度調整を行ってライン光の高さ位置や互いに隣り合うライン光の間隔を調整することができる。
【0029】
前記実施形態では、表面検査装置を、支持体3と、この支持体3に取り付けられた光照射部4とから構成したが、支持体3の無い光照射部4のみからなるハンディータイプから構成してもよい。また、支持体3の具体的構成は自由に変更可能である。さらに、半導体レーザの発光色としては、赤色、緑色、青紫色など、どの単色を用いてもよいし、また、それら発光色のうちの2色以上を組み合わせて用いてもよい。尚、構成は示していないが、支持体3に対して光照射部4を上下方向に角度調整できるように構成してもよい。
【0030】
また、半導体レーザが内挿された筒状部材16の角度を調整することによって、半導体レーザの光軸の角度を調整したが、筒状部材16を用いないで半導体レーザを直接角度調整する構成であってもよい。尚、前記筒状部材16を円筒状のものから構成する他、角型又は楕円形あるいは多角形など、どのような形状に構成してもよい。
【0031】
また、筒状部材16の光発射側前端部の外周には、円形の弾性リング21を嵌め込んだものを示したが、前側保持部17にパッキンなどを備えさせて実施することもできる。また、弾性リングやパッキンなどの緩衝材を設けないで実施してもよい。この場合、前側保持部17に筒状部材16の角度のみ調整可能になるように接当保持する支持部を備えさせて実施することになる。
【0032】
またさらに、半導体レーザ13,14からのレーザ光を半導体レーザ並設方向と直交する方向に細長く伸ばすためのレンズとしてロッドレンズ15を用いたが、断面形状がかまぼこ型のシリンドリカルレンズであってもよい。また、半導体レーザの前方に配置するレンズの数は、1本の他、2本以上であってもよい。また、半導体レーザ13,14からのレーザ光を半導体レーザ並設方向と直交する方向に細長く伸ばす他、半導体レーザ並設方向と交差する方向に細長く伸ばすように構成してもよい。
前記レンズは、全ての半導体素子の前方に跨る長さに構成することによって、組み付け作業において有利になるが、各半導体素子の前方にそれぞれ位置するように半導体素子にそれぞれ対応するように個々に設けてもよいし、又所定個数の半導体素子に渡る長さに構成された半導体素子よりも少ない個数のレンズから構成してもよい。
【0033】
また、プレート19を2本のビスにて固定する場合を示したが、一本又は三本以上で固定してもよい。また、ビスではなく、係止機構などを用いて固定する構成であってもよい。
【0034】
前記プレート19と縦板部10f,10g又は10g,10hとの間には、隙間Sを備えさせているが、隙間Sの無い構成であってもよい。また、隙間Sにパッキンなどを埋めた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】車体に表面検査装置からのレーザ光を照射した状態を示す斜視図である。
【図2】表面検査装置の斜視図である。
【図3】表面検査装置の上部を示す正面図である。
【図4】表面検査装置の上部を示す背面図である。
【図5】半導体レーザをケーシングに組み込む前の状態を示す分解斜視図である。
【図6】図4におけるA−A線断面図である。
【図7】図4におけるB−B線断面図である。
【図8】図4におけるC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…脚部、2…縦フレーム、3…支持体、4…光照射部、5…キャスター、6…支持脚、7…案内レール、8…可動子、8A…支持部、9…ロック具、10…ケーシング、10A,10B…延出部、10F,10G…開口、10K…開口、10M…溝、10N…螺子部、10X…凹部、10a…前板部、10b,10c…上下板部、10d,10e…左右板部、10f,10g,10h(壁体)…縦板部、11…棒状体、12A,12B…コイルスプリング、13,14…半導体レーザ(半導体素子)、15…ロッドレンズ、16…筒状部材、17…前側保持部、18…後側保持部、19…プレート、19B…凹部、19K…貫通孔(調整手段)、20…ビス、21…弾性リング、L…レーザ光、R…車両、S…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に、光を照射するための複数の半導体素子を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子の前方に、該半導体素子からの光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズを配置した表面検査装置であって、
前記配置した全ての半導体素子の前方に跨るように前記レンズを配置し、前記複数の半導体素子の光軸の向きを半導体素子並設方向でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
ケーシング内に、光を照射するための複数の半導体素子を間隔を置いて配置し、前記複数の半導体素子の前方に、該半導体素子からの光を半導体素子並設方向と交差する方向に細長く伸ばして被照射体にライン光を照射するためのレンズを配置した表面検査装置であって、
前記配置した半導体素子の前方に前記レンズを配置し、前記複数の半導体素子の光軸の向きを半導体素子並設方向でそれぞれ独立して調整するべく、該半導体素子の角度を調整するための調整手段を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
前記複数の半導体素子をそれぞれ内挿する筒状部材を備え、該各筒状部材の長手方向両端部をそれぞれ保持するための保持部を前記ケーシングに備えるとともに、前記調整手段が、前記筒状部材の光発射側の前端部が保持された状態で該前端部とは反対側になる後端部を半導体素子並設方向に移動させることにより、前記レンズに対して前記筒状部材の角度を調整する手段である請求項1又は2記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記筒状部材の後端部に、プレートを取り付け、前記ケーシングが、前記筒状部材の前端部が半導体素子並設方向に角度調整可能に保持される前側保持部と、前記プレートが連結具を介して半導体素子並設方向に移動自在に連結保持される後側保持部とを備えていることを特徴とする請求項3記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記後側保持部が、前記筒状部材を前記ケーシング内に挿入可能な開口を備えた壁体からなり、前記プレートの左右寸法が該開口の左右寸法よりも大きな左右幅を有するものからなり、該プレートに前記連結具であるビスを挿通可能な貫通孔を形成し、該貫通孔に挿通したビスの先端をねじ込んで前記プレートを前記壁体に固定するための螺子部を該壁体に備え、前記プレートに形成される貫通孔が、該後側保持部に対する前記プレートの半導体素子並設方向での位置を調整可能とする長孔でなり、該長孔が前記調整手段を構成している請求項4記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記プレートの前記壁体への固定に伴って前記前側保持部と該プレートとの間に前記筒状部材を挟みこんで固定することを特徴とする請求項5記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記半導体素子の光軸方向の長さに対して筒状部材を長くしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記筒状部材の光発射側前端部の外周に、弾性リングを嵌め込み、該弾性リングが嵌められた筒状部材の光発射側の前端部が入り込んで該前端部の位置変更を規制するべく、前記ケーシングに形成された凹部から前記前側保持部を構成したことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300377(P2009−300377A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158080(P2008−158080)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【特許番号】特許第4235684号(P4235684)
【特許公報発行日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(508182442)株式会社創喜 (1)
【Fターム(参考)】