説明

表面特性の決定

【課題】本発明は、表面特性の定量測定のための方法を提供し、解析されるべき表面(8)の、多数の測定値を含んでいる空間的に分解された画像が評価される。
【解決手段】方法は、測定値によって特徴付けられ得る特定の物理的な特性を表す画像の表面積(A)を決定するために、測定値を解析するステップと、物理的な特性の結果値(I)を決定するステップであって、この結果値は、測定値を解析することによって決定された表面積(A)全体の物理的な特性の測定値に特有のものである、ステップと、を包含し、結果値に加えて、表面に特有のさらなる値(B)が決定され、このさらなる特徴値(B)は、結果値(I)またはこの結果値に依存する値と共に表示されることを特徴とする、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面特性の定量測定のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の性質は、日常の対象物(例えば、自動車およびその他の有用な対象物)の重要な特性であり、人間の観察者に与えられる全体的な印象のかなりの部分を決定する。1つの例は、自動車のボディの光沢のある(high−gloss)コーティングまたは金属のコーティングを含む。
【0003】
本発明の関連では、表面特性は、特に、人間の観察者に対して表面がどのように見えるかということを決定する表面の物理的特性を意味するものとして理解される。特に、これらの表面の物理的特性は、例えば、マクロ構造およびマイクロ構造、トポグラフィ(topography)、色、色点(colour point)、色の明るさ、光沢、画像のシャープさ、ぼやけ(haze)、表面のテクスチャー(texture)、粗さ(roughness)、および「柚子肌(orange peel)」の効果、すなわちざらざら感(coarseness)のような性質を含む。
【0004】
表面の性質(特に、これらの光沢のあるコーティング)を高い再現性で評価するためには、人間の観察者に与えられる全体的な印象のかなりの部分を決定する上記の物理的なパラメータを特に検出する測定デバイスが必要とされる。
【0005】
近年、いわゆるエフェクト顔料のコーティング(effect pigment coating)が、ますます人気を博してきている。これらのコーティングは、照射された光を様々な方法で反射するエフェクト顔料を含んでいる。そのようなエフェクト顔料コーティングさえも定量的に評価するための装置および方法は、従来技術から公知である。本発明は、特に、そのようなエフェクト顔料コーティングに適用され得る。
【0006】
1つの公知の方法においては、例えば、反射された光の強度に対して所与の閾値が定義され、観察される表面のうち、この閾値を超える強度を有する表面領域のみが、考慮される。測定結果は、考慮される個々の表面セグメントのそれぞれの強度にわたって統合される。この評価は、解析される表面の光学的な性質に関する手がかりを提供する。しかしながら、この評価からの結果値が同じまたは同様である表面さえも、人間の目によって直接的に見られたときには、非常に異なる振舞をし得ることが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、解析されるべき表面のより精密な分類を可能にすることである。このことは、本発明にしたがって、請求項2にしたがう方法および請求項13にしたがう装置によって、達成される。有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項の主題をなしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
表面特性の定量測定のための本発明にしたがう方法においては、解析されるべき表面の空間的に分解された画像が評価され、この空間的に分解された画像は、多数の測定値を含んでいる。この画像は、解析されるべき表面の表面積(特に、これらの表面積は、測定値によって特徴付けられ得る特有の物理的な特性を有しているか、表している)を決定するために、解析される。さらに、この物理的な特性の結果値が決定され、この結果値は、画像を解析することによって決定される(他ならぬ)表面積全体の物理的な特性の測定値に特有のものである。
【0009】
本発明にしたがうと、結果値に加えて、表面に特有のさらなる値が決定され、この特徴値は、結果値またはこの結果値から導出される値と共に表示される。
【0010】
この第2の特徴値(この値は、第1の値とは独立であることが好適である)を決定することにより、そのような表面における光学的な差異(これらの差異は、従来技術からの方法にしたがうと、同じまたは同様の光学的な印象を与える)さえも検出することが可能になる。
【0011】
上述のように、対応する空間的に分解された画像が評価される。ここでは、この空間的に分解された画像は、例えば評価の前に直接記録され、その後これから直接的に、評価が続くことが可能である。しかしながら、最初に多数の空間的に分解された画像を記録し、その後これらを評価することが可能である。
【0012】
これに関連して、本出願と同時に本出願の出願人によって出願され、題名「Method and apparatus for the quatiative determination of surface properties」が付された、更なる特許出願に対する参照がなされる。本明細書中では、この出願の開示の内容の全体は、参照によって、本出願の開示の内容に援用される。
【0013】
さらなる好適な方法においては、さらなる特徴値は、評価される画像のコントラストを表す。それにも関わらず、例えば、強度に関して同様の積分を提供する画像、およびそれぞれの表面セグメントが、コントラストに関してかなり異なることがあり得る。画像のコントラストに対する1つの可能な特徴値は、例えば、評価される画像の多数の決定された強度値にわたる、分散(variance)または散布(scattering)である。
【0014】
本発明にしたがうさらなる方法においては、さらなる特徴値は、評価される画像の色の特性を表す。この場合、ここでもまた、特定の表面積が選択され得、例えば、個々のエフェクト顔料が、その色にしたがって区別され得る。
【0015】
結果値および特徴値の表示は、例えば、2軸の座標系において実行され得る。しかしながら、1次元の座標系を用い、例えば異なる測定点の異なる色によって、異なる特徴値をその他のなんらかの方法にしたがって表示することもまた、可能である。
【0016】
評価される画像は、放射が解析されるべき表面上に放出される際に生成され、表面から返される放射の少なくとも一部分が、放射検出器デバイスによって受信され、この放射検出器デバイスが、測定値またはこの測定値に特有のデータを出力することが好適である。放射検出器デバイスは、例えば、放射を受信して対応する測定値を出力するCCDチップであり得る。
【0017】
さらなる好適な方法においては、結果値は、決定された表面積の大きさに対して出力される。
【0018】
したがって、この方法においては、強度および表面セグメントを考慮する積分値はもはや出力されず、その代わりに、強度値が、追加的に表面セグメントに対して出力される。この変形例では、図中において第3のパラメータが考慮され、この第3のパラメータは、既に用いられている積分値をその2つの成分に分離することによって得られる。
【0019】
決定された表面積の大きさに対して示されるこの結果値は、必ずしもユーザに対して直接的に出力される必要はない;プロセッサが、多数のそのような結果を処理し、内部比較においてそれらを比較し、その後、例えばこの比較の結果をユーザに出力することもまた。可能である。この場合、例えば、この比較の結果として、ユーザに対して警告信号が出力され得、この警告信号は、解析されるべき表面の現在測定されている領域が、もはや許容可能ではないこと、または観察者によってその他の表面積から光学的に区別され得ることを示す。
【0020】
言い換えると、表面の特徴的な特性を表す多数の測定値は、空間的に分解されて記録される。画像は、具体的には多数の画素から構成されており、これらの画素の各々は、少なくとも1つの特定の測定値に割り当てられ得る。
【0021】
結果値は、画像を解析することによって決定される表面積全体の物理的な特性の値の平均を形成することによって、取得されることが好適である。しかしながら、積分、分布関数、和、および同様の演算が、形成され得る。
【0022】
したがって、本発明にしたがうと、最初に、特定の物理的な特性を有する表面積(例えば、所与の閾値を超える散乱強度を有する表面積)が決定される。その後、決定された強度値にわたって、平均が形成され、ここでは、閾値を超える強度を有する表面積のみが、考慮される。その結果、相対的な強度値が出力されること(すなわち、閾値が、決定された強度値から減じられること)が好適である。
【0023】
その後、上記の結果値(すなわち、平均の強度値)は、決定された表面積の大きさに対して表示される。決定された表面積の大きさは、特に、閾値を超える強度を有する表面積によって表される画素の数を決定することによって、取得される。より具体的には、照射された領域は、例えばカメラに撮像され、次にこのカメラが、対応する空間的に分解された画像を出力する。
【0024】
従来技術においては、積分的な方法(この方法においては、いわば、結果値と関連する表面積との積が出力される)が用いられるが、表面積の大きさおよび結果値の両方を別々に出力することが提案される。このアイディアは、例えば、多数の画素または低い強度を有する大きな表面積が、高い強度を有する小さな表面積と比較して見られたときに、異なる効果を有しており、同時にそれぞれの積が一致し得るので、これらの2つのタイプの表面の間の測定可能な差異は、従来技術からは公知な方法を用いて出力されないという知見に基づいている。
【0025】
上記の放射において生成される評価されるべき画像は、解析されるべき表面上に照射され、表面から返された放射の少なくとも一部が、放射検出器デバイスによって受信され、この放射検出器デバイスが、測定値または測定値のデータの特徴を出力することが、好適である。放射検出器デバイスは、例えば、放射を受信して対応する測定値を出力するCCDチップであり得る。ここで、最初に画像が記録され、記録された直後に、この画像が本発明にしたがう方法で処理されることが可能である。
【0026】
算術平均、幾何平均、積分、重み付き平均、これらの組み合わせ等を含む平均の群からの平均が取られることが、好適である。
【0027】
物理的特性は、強度であり、特に閾値の強度であることが好適である。しかしながら、その他の物理的なパラメータ(例えば、色など)を参照して、この方法を実行することもまた可能であり得る。より具体的には、記録された画像の個々の画素の各々は、それが表示する強度に関して評価されるので、全体として、本発明にしたがう方法は、積分的な方法ではなく、差分的な方法である。
【0028】
この特徴的な特性の特定の値の範囲に対応する表面積の大きさが決定されることが好適である。より具体的には、上述のように所与の閾値が定義され、この値の範囲の下限は上述の閾値なので、観察される表面積のうち、この特徴的な閾値を超える表面積のみが、考慮される。この場合、画像の処理の間に、特定のデジタル値(例えば、1024個の異なる値)が、決定された実際の強度値に割り当てられる。
【0029】
本発明にしたがうさらなる方法においては、多数の空間的に分解された画像に対し、この特徴値は、好適には同じ図において、結果値と共に出力される。このようにして、例えば自動車のボディの様々な領域における多数の測定値が互いに比較され、結果値と特徴値との両方が、個々の測定の各々に対して考慮される。
【0030】
別の有利な方法においては、多数の空間的に分解された画像に対し、結果値は、好適には同じ図において、決定された表面積の大きさに対してプロットされる。その結果、多数の記録のそれぞれが、比較的大きな表面に対して実行され得、それぞれの記録は、どれであっても、図中にプロットされ得る。この全体の図から、解析されるべき表面のサブエリアのそれぞれのうちのどれが、所定の許容範囲内に存在しており、どれがこの範囲外に存在しているかを決定することが可能になる。許容値はまた、多数の空間的に分解された画像に基づいて定義され得る。その結果、例えば、燃料タンクのキャップに記録された画像を、フード(hood)に記録された1つ以上の画像と比較することが可能である。
【0031】
さらなる好適な方法において、図中では、既に設定されている許容基準を予め定義された結果値および特徴値が満たすかどうかを決定する許容領域が定義される。
【0032】
この方法においては、結果値および特徴値の両方に関する許容領域を決定し、例えば、2次元の位置において、許容可能な値が存在する表面セグメントを特徴付けることが可能である。
【0033】
図中では、許容域が定義され、この許容域は、特定の予め定義されたサブエリアが既に設定された許容基準を満たすかどうかを決定する。その結果、例えばラジエータのフードのペイントコーティングの特定の領域が、許容され得るか、または許容され得ないかを評価することが可能である。許容域は、楕円であることが好適である。このように許容域は、有利にも、強度に対してサブエリアまたはサブエリアの大きさを評価する領域であり、上述の許容領域は、さらなる特徴値に対して強度値を評価する。しかしながら、許容域と許容領域とを組み合わせ、共通の許容エリアを形成することが可能であり、これは例えば、3次元の図においては、許容楕円(この内部では、強度に関する許容値、表面積に関する許容値、およびさらなる特徴値に関する許容値が、存在し得る)を形成することによって、可能である。
【0034】
許容域は、多数の結果値を用いて決定されることが好適である。しかしながら、許容域が、例えば製造業者の命令等にしたがって、事前に定義されることもまた、可能である。許容域はまた、多数の表面積の大きさを用いて定義され得る。表面積の大きさに関する特定の許容領域が、結果値に関する特定の許容領域と共に定義され、許容域が両方の許容領域を考慮して形成されることが、特に有利である。許容域を形成するためには、基準の領域から、または表面積または結果値に対する予め定義された値から始めることもまた可能である。用語「許容領域」は、1次元の領域または1つのパラメータのみに関する領域を意味していることに留意されたい。
【0035】
さらなる有利な方法において、図中では、解析されるべき表面の異なる性質を象徴するオリエンテーションラインが示される。例えば、これらのオリエンテーションラインは、どれであっても、表面積の大きさと結果値との一定の積、または対応する間接的に分類された特性を象徴する線であり得る。したがって、オリエンテーションラインは、どれであっても、結果値と表面積の大きさとから得られる積の値に特有のものであることが好適である。これらのオリエンテーションラインを介することにより、様々な表面のタイプへの粗い分類が、可能である。
【0036】
解析されるべき表面は、エフェクト顔料を含むコーティングであることが好適である。しかしながら、原則的に、本発明にしたがう方法を用いて、その他のタイプのコーティングを解析することもまた、可能である。
【0037】
加えて、さらなる特徴値は、例えば、表面の構造またはざらざら感に関する値であり得る。このざらざら感は、特定の表面特性がどのように繰り返されているか、または特定の表面特性が視程の関数としてどのように挙動するかに関する指標であり得る。例えば、ざらざら感を表すためには、例えば所与の分解能に関する統計的なパラメータを表示することが可能である。これに関して、本発明の出願人による独国特許出願DE 103 24 104 A1に対する参照がなされ、上記出願の開示内容は、参照により、本記載の主題に援用される。
【0038】
したがって、例えば、それぞれの表面積または測定結果に対し、さらなる軸上に、様々な強度値の分散(variance)または散布(scattering)をプロットすることが可能である。このようにして、それぞれの表面積または測定結果はまた、それらのざらざら感に関して特徴付けられ得る。上述のように、それぞれの強度の平均は、どれであっても、結果値の出力である。したがって、有利にも、平均に加え、例えば分散または散布もまた出力され得、このことは、それぞれの観察表面領域の強度の分布に関し、結果が描かれることを可能にする。
【0039】
このさらなるパラメータ(例えば、分散)は、例えば、記録された画像のコントラストまたはそのざらざら感を表し得る。さらに、さらなる特徴的な特徴(例えば、色)にしたがって、エフェクト顔料を区別することもまた可能である。別の軸を導入する代わりに、それぞれの測定点もまた、その他のなんらかの方法にしたがって、例えば、測定点の異なる色によって、区別され得る。
【0040】
さらなる有利な方法において、許容域の位置は、少なくとも1つのオリエンテーションラインから得られる。より具体的には、楕円として形成された許容域の長半軸は、予め定義された点におけるオリエンテーションラインのスロープにマッチする。このことは、図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【0041】
本発明はまた、表面特性の定量測定のための装置に関し、この装置は、解析されるべき表面上に放射を配向する放射デバイスと、表面から返された放射を受信し、返された放射に対応する空間的に分解された画像を出力する放射検出器デバイスとを含んでいる。ここでもまた、表面は、放射検出器デバイス上に撮像され得る。
【0042】
本発明にしたがうと、装置は、特定の物理的特性を有する表面の表面積を決定するプロセッサデバイスを有しており、特定の物理的特性を有する表面積の物理的特性に特有のものである結果値を決定する。プロセッサデバイスは、表面に特有のさらなる値を決定するように、構成されている。装置は、結果値と表面に特有のさらなる値とを共に表示する出力デバイスを有していることが好適である。ここでもまた、多数の測定値または多数の記録された値が、プロセッサデバイスによって評価されることが好適である。
【0043】
さらに、本発明にしたがう方法および本発明にしたがう装置はまた、特定の表面のタイプを発見するために、表示される測定値のそれぞれを目録化(catalogue)するようにも用いられ得る。この場合、決定された結果値を表面積の関数としてプロットし、例えばこれを、多数の比較可能な測定結果を含む参照表と比較することが可能である。本出願は、特に、自動車修理の分野に関する。さらに、本発明は、特別に適合されたレシピシステム(recipe system)を用いることにより、特定の表面効果または表面の特定の外観を製造するために用いられ得る。さらに、本発明にしたがう方法によって出力される測定値は、特に(限定するものではないが)スクリーン上へのシミュレーション目的で用いられ得る。
【0044】
したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
【0045】
(項目1)
表面特性の定量測定のための方法であって、多数の測定値を含んでいる解析されるべき表面(8)の空間的に分解された画像が評価され、該方法は、
該測定値によって特徴付けられ得る特定の物理的な特性を表す該画像の表面積(A)を決定するために、該測定値を解析するステップと、
該物理的な特性の結果値(I)を決定するステップであって、該結果値は、該測定値を解析することによって決定された該表面積(A)全体の該物理的な特性の該測定値に特有のものである、ステップと
を包含し、該結果値に加えて、該表面に特有のさらなる値(B)が決定され、該さらなる特徴値(B)は、該結果値(I)または該結果値に依存する値と共に表示されること
を特徴とする、方法。
【0046】
(項目2)
上記さらなる特徴値(B)は、上記評価される画像のコントラストを表していること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0047】
(項目3)
上記さらなる特徴値(B)は、上記評価される画像の色の特性を表していること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0048】
(項目4)
上記評価されるべき画像は、放射が上記解析されるべき表面(8)に放出される際に生成され、該表面から返される該放射の少なくとも一部分は、放射検出器デバイス(4)によって受信され、該放射検出器デバイス(4)は、測定値または該測定値に特有のデータを出力すること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0049】
(項目5)
上記結果値(I)は、上記決定された表面積(A)の大きさに対して出力されること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0050】
(項目6)
上記結果値(I)は、上記画像を解析することによって決定された上記表面積(A)全体の上記物理的な特性の上記値の平均を形成することによって取得されること
を特徴とする、項目5に記載の方法。
【0051】
(項目7)
上記平均は、算術平均、幾何平均、積分、重み付き平均、これらの組み合わせ等を含む平均の群から取られること
を特徴とする、項目6に記載の方法。
【0052】
(項目8)
上記物理的な特性は、強度であり、好適には最小の強度であること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0053】
(項目9)
上記特徴的な特性の特定の値の範囲を特徴付ける上記表面積の大きさが決定されること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0054】
(項目10)
多数の空間的に分解された画像に対し、上記特徴値は、好適には同じ図において、上記結果値(I)と共にプロットされること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0055】
(項目11)
上記図中では、既に設定されている許容基準を、予め定義された結果値(I)および特徴値(B)が満たすかどうかを決定する許容領域(22)が定義されること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0056】
(項目12)
上記解析されるべき表面は、エフェクト顔料を含むコーティングである、項目1に記載の方法。
【0057】
(項目13)
表面特性の定量測定のための装置であって、
解析されるべき表面(8)上に放射を配向する放射デバイス(2)
を含み、
該表面から返された放射を受信し、該返された放射に対応する空間的に分解された画像を出力する放射検出器デバイス(4)
を含んでおり、
該装置は、特定の物理的な特性を有する該表面(8)の表面積を決定し、該特定の物理的な特性を有する該表面積の該物理的な特性に特有のものである結果値(I)を決定するプロセッサデバイスを有し、該プロセッサデバイスは、該表面に特有のものであるさらなる値(B)を決定すること
を特徴とする、装置。
【0058】
(項目14)
上記装置は、出力デバイスを有しており、該出力デバイスは、上記結果値(I)と上記表面に特有のものである上記さらなる値(B)とを共に表示すること
を特徴とする、項目13に記載の装置。
【0059】
さらなる利点および実施形態は、添付の図面から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
(発明の詳細な説明)
図1は、表面特性の定量測定のための、本発明にしたがう装置の高度概略図を示している。この装置は、放射デバイス2を含んでおり、この放射デバイス2は、解析されるべき表面8上に、放射(例えば、光)を配向する。この表面8によって返された(特に、散乱、反射された)光は、放射検出器デバイス4によって受信される。より具体的には、表面は、この放射検出器デバイス4上に撮像され、放射検出器デバイス4は、例えば、CCDチップまたはカメラを含み得る。参照番号6は、放射検出器デバイス4によって記録された画像を評価するプロセッサデバイスを示し、参照番号9は、出力デバイスを示す。
【0061】
このプロセッサデバイス6は、所与の閾値に基づいて、入射してくる放射のそれぞれが特定の強度値を超えている表面セグメントを決定する。加えて、決定された強度値はまた、デジタル形式で出力される。その後、所与の閾値を超える全ての強度値にわたって、平均値が決定される。また、この平均値は、評価されるべき結果値である。出力デバイス9において、この結果値は、決定された表面積の大きさに対してプロットされる。加えて、メモリデバイス7が提供され得、このメモリデバイス7は、多数の測定に対し、それぞれの結果値、およびそれぞれの表面積の大きさを格納する。結果値を示すとき、光によって照射される場合には、サンプルの平均的な明るさを介して標準化が実行され得る。
【0062】
さらに、プロセッサデバイスはまた、1つ以上のさらなる特徴値(例えば、画像のコントラストに特有の値、または画像の色に特有の値)を決定する。これらの値を決定するときに、上述の特別な特性を有する表面積のみを考慮することが可能である。しかしながら、さらなる特徴値を決定するときに、記録または観察された表面積の全体を考慮することもまた、可能であり得る。
【0063】
図2は、2つのシミュレートされた画像の概略的な比較を示している。本発明が基づいている問題を示すために、ここでは、2つの異なる強度値I1およびI2のみが想定される。上の画像において、決定された表面積A1は、表面セグメント14の和として得られ、個々の表面セグメント14は、どれであっても、一定の均一な強度値I1を有しているか、表している。下の画像において、対応する表面積A2は、表面セグメント16の和として得られ、ここで、個々の表面セグメント16は、どれであっても、(同様に、単に理論的に)強度値I2を有している。
【0064】
ここで、強度値I2は強度値I1の2倍であり、その逆に、表面積A1は表面積A2の2倍である。このことは、従来技術においては、出力された積の値I1×A1が、値I2×A2に一致し得、その結果、従来技術では2つの表面は光学的に同じものとみなされ得るということを意味している。しかしながら、事実上、2つの画像の間には大きな差異が存在するにもかかわらず、これらの差異は、従来技術にしたがう積分的な観察によっては、検出することができない。
【0065】
しかしながら、さらなる特徴的なパラメータ(例えば、コントラストに特有のパラメータ)が表示される場合、例えば、図2に示されている2つの画像を区別することが可能になり得る。
【0066】
図3は、従来技術にしたがう対応する直線図を示しており、この直線図も同様に、車両の様々な領域(例えば、ボディ、ホイールアーク、バンパー、等)において記録された複数の値11a〜11eを示している。この積分的な図によれば、同様の範囲に存在する値の全ては、従来技術にしたがうと、表面の類似性を示し得ることがわかる。以下の図においても、対応する値が記されている。
【0067】
図4は、本発明にしたがう図を示しており、この図においては、値Pに加えて、特徴値Bを示す第2の軸もまた、用いられている。ここでは、値Bは、画像のコントラストを表す値である。この図では、個々の点11a〜11eが、比較的容易に互いに区別され得ることがわかる。ここでは、値Bは、例えば色の評価に特有の値であり得る。ここでは、カメラの画素または検出デバイスの画素のそれぞれの色を評価することが可能である。例えば3つの色の場合には、3つの異なる表面積が取得され得、各表面積には、特定の色が割り当てられ得る。しかしながら、第2の軸の代わりに、その他のタイプの評価もまた、考えられ得る。例えば、多数の測定値が存在する場合に、例えば異なる色にしたがって分離されるとき、図3に示されている複数の図形が、個々の色に対して用いられ得る。
【0068】
このようにして、個々の測定値を互いに区別することが可能である。図4における参照番号22は、許容領域を示している。この許容領域は、許容可能な値(すなわち、観察者によって互いに光学的に区別され得ない値)が存在する領域を示している。例えば、軸Pおよび軸Dに関する特定の許容ガイドラインまたは許容領域から出発し、これらの値が、どれであっても、楕円の長軸および短軸として用いられることが可能である。ここでは、長軸は、高い許容差が可能であり、逆に短軸は、小さい許容差のみが可能であると言うことを意味している。
【0069】
しかしながら、色の値の代わりに、ざらざら感または画像のコントラストを表す値もまた、追加的にプロットされ得る。ざらざら感に対する値、およびさらなる軸または第3の軸に対する色の値の両方を、プロットすることもまた可能である。
【0070】
ここで、図5は、図3に示されている測定値およびさらなる測定値についての、本発明にしたがうさらなる有利な図を示しており、ここでは、強度に対するそれぞれの結果値が、表面積Aまたは画素数に対してプロットされている。
【0071】
ここで、図3における測定値と同じものとみなされる測定値の一部は、この図の非常に異なる領域に見出すことができる。このことは、2つの値11aおよび11bを比較したときに、特に理解できる。図3における積分的な図においては、これらの値は、互いに非常に近くに存在しており、それ故に同様の表面特性を示しているが、図4からは、これらの値は、非常に異なる結果値および表面積から構成されており、それ故に非常に異なる光学的な印象を与え得ることが分かる。
【0072】
6本の標線(marked line)10a〜10fは、本発明にしたがう図をプロットするためのオリエンテーションライン(orientation line)である。表面積Aと強度Iとの積は、どれであっても、各線のそれぞれに沿って一定である。このことは、従来技術からの方法によれば、この線上に配置された点は、互いに区別できないということを意味している。
【0073】
言い換えると、従来技術にしたがうと、標線から異なる距離だけ離れているという差異のみを検出することが可能である。個々の点の各々は、異なる測定値を示しているので、自動車の異なる領域において記録された測定値の一部は、互いにかなりの程度で光学的に異なっており、個々の表面は、もはや光学的な要件を満たしていないことが分かる。したがって、同時に、オリエンテーションライン10a〜10fによって、格子領域が定義される。
【0074】
図6は、表面積に対する強度のさらなる図を示している。
【0075】
しかしながら、ここでは、示されているのは強度および表面積ではなく、標準化された値のそれぞれに対する差分の値dJまたはdAである。参照番号12は、許容域(tolerance zone)を示している。この許容域に存在する、解析されるべき表面の測定点または測定領域は、許容可能であって、観察者によって互いに区別され得ないものとして定義される。しかしながら他方では、この許容域の外の表面領域は、観察者によって異なるものとして認識され得る。
【0076】
ここでは、この許容域12は、楕円形に形成されており、図6に示されている許容域において互いに最大の距離だけ離れている測定点(すなわち、長半軸Lの両端に存在している測定点)でさえも、観察者によって互いに区別され得ない。対照的に、許容域12の外に存在する測定値は、観察者によって、例えば楕円の両端に存在する表面領域から光学的に区別され得る。より具体的には、例えば、測定点11aおよび11bに対応する表面領域は、互いに光学的に区別され得る。
【0077】
許容楕円12の長軸Lは、所定の標準点における図5のオリエンテーションライン10bのスロープから得られる。この点は、図5に示されている点(0,0)(すなわち、2つの座標軸の交点)であり得る。しかしながら、例えば製造業者の命令にしたがって、図4におけるオリエンテーションライン上に、事前に定義することもまた、可能である。
【0078】
ここでは、選択された点におけるスロープにしたがう長半軸の配置は、オリエンテーションライン10a上のこの点の位置に依存する。図5に示されているように、この中心点が大きな表面積および低い強度を有する領域内に存在している場合、絶対値の差に関する表面積における特定の変動は、強度における対応する変化よりも小さな影響を有し得る。このことは、図5において、小さな強度の変動でさえも、積においてかなりの影響を有しているが、表面積に関する差異または変動は、積においてわずかな影響しか有していないことを考えたときに、最も良く理解できる。
【0079】
選択された中心点が、例えば、小さな表面積と、それに対応する高い強度とを有する領域内に存在している場合、図5における楕円の許容域の長半軸は、遥かに急勾配で延び得る。図4および図5において、ざらざら感に対するスケールは、第3の座標軸上にプロットされ得る。このざらざら感(これは、テクスチャーとも称される)は、エフェクトコーティングの光学的外観の別の重要な特徴的局面である。
【0080】
統計的なパラメータ(これも同様に、個々の表面領域の強度分布の測定結果である)もまた、例えば、追加的な軸上に出力され得る。この統計的なパラメータは、特定の表面領域内で、実質的に同じ強度が見出され得るかどうか、または上記表面領域内に、これらの強度の変動の大部分があるかどうかを区別することを可能にする。この統計的なパラメータは、例えば、個々の測定された強度値の分散または散布であり得る。
【0081】
ここでは、原則的に、本発明にしたがって提供される表面の空間的に分解された観察結果によって、画像記録要素(例えば、カメラ)の個々の画素の各々に対し、画素に入射する強度をどれであっても評価することができるということが、理解されるべきである。これらの多くの強度(少なくとも、所与の閾値を超える強度)は計算に含められ、上記の統計的なパラメータ(分散または散布)が、結果値に加えられて出力される。
【0082】
図6に示されている図において、値dBに対する第3の軸を導入することもまた、可能である。この軸は、ここでは、破線で示されている。ここでは、dBは、さらなる特徴値または基準値に対するその差を示している。しかしながら、このように区別するために、例えば、様々な色に分解する場合、様々な色に対して図6に示されている図をプロットすることもまた、可能であり得る。さらに、図6に示されている図における許容領域22を示すこと、あるいは許容楕円または別の3次元の幾何学的形状を形成し、そしてこれが、許容域12と許容領域22とを互いに組み合わせることもまた、可能である。
【0083】
上述のように、対応する空間的に分解された画像が、評価される。ここで、この空間的に分解された画像が、例えば評価の直前に記録され、これから直接的に評価を導くことが、可能である。しかしながら、最初に空間的に分解された多数の画像を記録し、その後にこれらを評価することもまた、可能であり得る。画像の評価はまた、その生成と独立して実行され得る。
【0084】
出願文書に開示された特徴の全ては、それらの特徴の各々または組み合わせが、従来技術に対して新規である限りにおいて、本発明にとって本質的であるとして、クレームされる。
【0085】
(摘要)
本発明は、表面特性の定量測定のための方法に関し、解析されるべき表面の空間的に分解された画像(この画像は、多数の測定値を有する)が、記録される。第1の方法ステップにおいて、特定の物理的特性を有する表面積を決定するために、この測定値が解析される。その後、この物理的特性の結果値が決定され、この結果値は、画像を解析することによって決定される画像の表面積全体の物理的特性の値の特徴である。本発明にしたがうと、結果値に加えて、表面に特有のさらなる値(B)が決定され、この特徴値は、結果値(I)と共に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明にしたがう装置の高度概略図を示している。
【図2】図2は、2つの記録された画像の概略的な比較を示している。
【図3】図3は、従来技術にしたがう対応する積分的な図を示している。
【図4】図4は、本発明にしたがう第1の図を示している。
【図5】図5は、本発明にしたがうさらなる図を示している。
【図6】図6は、本発明にしたがうさらなる図を示している。
【符号の説明】
【0087】
2 放射デバイス
4 放射検出器デバイス
6 プロセッサデバイス
7 メモリデバイス
8 表面
9 出力デバイス
10a〜10f オリエンテーションライン
11a〜11e 値
12 許容域
14、16 表面セグメント
22 許容領域
I、I1、I2 強度値
A、A2、A2 表面積
dI 強度の差分
dA 表面積の差分
L 許容域12の長半軸
B さらなる特徴値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性の定量測定のための方法であって、多数の測定値を含んでいる解析されるべき表面(8)の空間的に分解された画像が評価され、該方法は、
該測定値によって特徴付けられ得る特定の物理的な特性を表す該画像の表面積(A)を決定するために、該測定値を解析するステップと、
該物理的な特性の結果値(I)を決定するステップであって、該結果値は、該測定値を解析することによって決定された該表面積(A)全体の該物理的な特性の該測定値に特有のものである、ステップと
を包含し、該結果値に加えて、該表面に特有のさらなる値(B)が決定され、該さらなる特徴値(B)は、該結果値(I)または該結果値に依存する値と共に表示されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記さらなる特徴値(B)は、前記評価される画像のコントラストを表していること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記さらなる特徴値(B)は、前記評価される画像の色の特性を表していること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記評価されるべき画像は、放射が前記解析されるべき表面(8)に放出される際に生成され、該表面から返される該放射の少なくとも一部分は、放射検出器デバイス(4)によって受信され、該放射検出器デバイス(4)は、測定値または該測定値に特有のデータを出力すること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記結果値(I)は、前記決定された表面積(A)の大きさに対して出力されること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結果値(I)は、前記画像を解析することによって決定された前記表面積(A)全体の前記物理的な特性の前記値の平均を形成することによって取得されること
を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平均は、算術平均、幾何平均、積分、重み付き平均、これらの組み合わせ等を含む平均の群から取られること
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物理的な特性は、強度であり、好適には最小の強度であること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記特徴的な特性の特定の値の範囲を特徴付ける前記表面積の大きさが決定されること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
多数の空間的に分解された画像に対し、前記特徴値は、好適には同じ図において、前記結果値(I)と共にプロットされること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記図中では、既に設定されている許容基準を、予め定義された結果値(I)および特徴値(B)が満たすかどうかを決定する許容領域(22)が定義されること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記解析されるべき表面は、エフェクト顔料を含むコーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
表面特性の定量測定のための装置であって、
解析されるべき表面(8)上に放射を配向する放射デバイス(2)
を含み、
該表面から返された放射を受信し、該返された放射に対応する空間的に分解された画像を出力する放射検出器デバイス(4)
を含んでおり、
該装置は、特定の物理的な特性を有する該表面(8)の表面積を決定し、該特定の物理的な特性を有する該表面積の該物理的な特性に特有のものである結果値(I)を決定するプロセッサデバイスを有し、該プロセッサデバイスは、該表面に特有のものであるさらなる値(B)を決定すること
を特徴とする、装置。
【請求項14】
前記装置は、出力デバイスを有しており、該出力デバイスは、前記結果値(I)と前記表面に特有のものである前記さらなる値(B)とを共に表示すること
を特徴とする、請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−268190(P2008−268190A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−74670(P2008−74670)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(507231987)ベーユプスィロンカー−ガードネル ゲーエムベーハー (15)
【Fターム(参考)】