説明

被呼者の指示により、ボイスメールシステムを使用して呼をスクリーニングする方法及び呼コントローラ

通信ネットワーク(106)においてボイスメールシステムを使用して呼をスクリーニングするための方法が記述される。発呼者(102)と被呼者(104)との間で呼が開始される。被呼者(104)が呼に対して応答すると、又は、タイマーが切れる際に被呼者が応答していないと、発呼者はボイスメールシステム(108)に接続される。被呼者が呼に対して応答した場合、カンファレンス呼が確立され(210)、残されたメッセージの開始部分から呼をスクリーニングすることができ、望むならば呼を傍受することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおいて呼を処理する方法に関する。本発明を盛り込んだ呼コントローラ及びプログラムも開示される。
【背景技術】
【0002】
電話ユーザが着呼に対して無条件に応答を望まないという状況が存在する場合がある。或る瞬間に呼に応答すべきかを決定する一般的な基準は、とりわけ、発呼者のIDや呼の主題及び緊急性であろう。時には、電話番号からは発呼者のIDを導き出せない場合もあるし、或いは、被呼者にとって呼が誰から着信したかや呼の目的が何であるかを知らずに応答するには適さないタイミングで呼がなされる場合もある。
【0003】
今日、呼を受信するが着呼に対して無条件に応答を望まない当事者をサポート可能な多数のソリューションが存在する。これらのソリューションの1つによれば、被呼者は、転送されてくる発呼者IDに基づいて、呼に対して応答するか否かを選択することができる。この方法は、発信者番号通知サービス(CPN)を使用する。それにも関わらず、発信者番号の転送は、発呼者にサービス提供しているネットワークによって、或いは場合によっては、使用されるトランジットネットワークによって、常にサポートされる訳ではない。更に、被呼者がこの番号を知らない場合もある。被呼者は、発呼者が使用している電話に関連付けられた電話番号を識別できても、必ずしも個人を識別できる訳ではない。また、単に発呼者を識別するだけでは、呼の主題や目的を識別することは不可能である。
【0004】
固定ネットワークの場合、以下の可能性がある。呼に対する応答が無かったために発呼者がボイスメールへと誘導され、留守番電話機にメッセージを残した場合、被呼者は、録音が行われている最中にそれを聞くことができる。これにより、被呼者は、呼を受け付けるか否かを決定することができ、発呼者が依然として接続中である場合は呼を受け付けることができる。このソリューションは、電話機と同じ場所に存在する留守番電話機を使用する加入者にとってのみ可能であるという欠点がある。更に、被呼者は、留守番電話機及び電話機が置かれている場所に物理的に居合わせなければならない。更に、このソリューションは、別の電話に対する条件付きの又は無条件の呼転送と一緒に使用することができない。
【0005】
誰が発呼しているかと、場合によっては呼の目的と、を被呼者がチェックする可能性を有する手順は、呼のスクリーニングとして知られている。呼のスクリーニングによれば、着呼を受け付けるか否かを被呼者がリアルタイムに決定することができる。呼のスクリーニングは、固定及び移動体の両方の加入者に対して提供可能なサービスであると考えられている。
【0006】
呼のスクリーニングサービスは、呼が応答される前に拒否されるという結果をもたらす場合があるため、呼のスクリーニングサービスに対する何らかの批判が行われる場合もある。呼が拒否されたことに発呼者が気づいた場合、発呼者が気分を害するであろう。それゆえ、使用されたことが発呼者に対して明らかになるスクリーニング方法に比べて、使用されたことが発呼者に対して明らかにならないスクリーニング方法の方が、好ましい。
【0007】
移動体ネットワークユーザに対して提供されるものであって、発呼者に対して明らかにならずに着呼をスクリーニングすることを可能にする、他のソリューションが存在する。これらのソリューションの1つでは、米国特許出願2006/0029189に記載されているように、発呼者からの呼はボイスメールサーバへとルーティングされ、発呼者はメッセージを残す機会を得る。設定可能な時間の後に、それまでに録音されたメッセージは、インターネットプロトコル・マルチメディア・サブシステム(IMS)メッセージサービス配信、又はプッシュ・ツー・トーク・オーバー・セルラー(PoC)を通じて、録音の継続中に被呼者へ送信される。そして、被呼者は、呼を受け付けるか拒否するように促される。受け付けると、呼はボイスメールサーバから被呼者へとルーティングされる。この方法を使用すると、被呼者は、最初の(場合によっては短縮された)部分の録音メッセージを常に聞くことになる。この方法は、発呼者が残した完全なメッセージを被呼者が聞くことができず、最初しか聞けないという欠点を有する。このことは、発呼者を識別するのには十分かもしれないが、呼の主題や緊急性といったその他のスクリーニング要素を判定するのには常に十分とは限らない。
【0008】
別のソリューションでは、米国特許出願2004/0258220に記載されているように、呼は最初に被呼者の電話機へとルーティングされる。呼に対する応答が無い場合や被呼者が多忙な場合は、呼はサービスノードへルーティングされ、サービスノードは更に、呼をボイスメールサービスノードへとルーティングする。発呼者は、アナウンス及びトーンを聞き、その後、録音が開始する。サービスノードからボイスメールシステムへの呼のレグ(leg)と並行して、サービスノードから被呼者への追加の呼のレグがセットアップされる。ボイスメールサービスにおける録音は、被呼者が応答するタイミングとは無関係に開始する。このソリューションによれば、被呼者は、録音が既に進行している最中に、気づかれずに呼に「入り込む」ことができる。このソリューションは、被呼者が呼に対して応答するまでに要する時間に伴って大きくなる、下記の問題をもたらす。録音が開始した後に被呼者が呼に「入り込む」ので、録音の最初の部分は、ほぼ確実に失われる。通常、最初の部分は、発呼者が自分の名前と呼の目的とを述べる部分である。また、被呼者が呼に対して応答すべきか否かを決定して最終的に呼に対して応答するまでに要する時間に伴って、発呼者が録音を終えて呼を切断してしまう可能性も増大する。
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点を取り除いて、通信ネットワークにおいて呼を処理する有利な方法を提供し、有利な呼のスクリーニングを可能にすることである。
【0011】
本発明によれば、請求項1に記載の方法が実行される。更に、本発明は、更なる独立請求項に記載の呼コントローラ及びプログラムに盛り込まれる。本発明の実施形態は、従属請求項に記載される。
【0012】
通信ネットワークにおいて呼を処理する方法が提案される。発呼者と被呼者との間の呼が開始される。呼が開始されることに応えて、発呼者はボイスメールシステムに接続される。ボイスメールシステムに対する発呼者のアクセスは、被呼者による呼に対する応答に基づいて制御される。
【0013】
更に、本発明は、通信システムにおいて発呼者と被呼者との間の呼を確立する呼コントローラにも盛り込まれる。呼コントローラは、発呼者とボイスメールシステムとの間の呼の確立を制御するように構成された接続エンティティを備える。呼コントローラは更に、被呼者が呼に対して応答した際にボイスメールシステムに対する発呼者のアクセスを制御するように構成されたアクセス制御エンティティを備える。
【0014】
方法はプログラムにも盛り込むことができ、プログラムは、例えば、信号のシーケンスとして、データキャリアに格納されたり、制御デバイスの処理システムにロード可能であったりする。
【0015】
提案する方法及び呼コントローラは、通信ネットワークにおける呼の処理及び確立を提供し、有利な呼のスクリーニングを可能にする。
【0016】
前述の、及びその他の、本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に示される好適な実施形態に関する下記の詳細な説明の中で一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、移動体ネットワークの実施形態を示す。
【図2】図2は、提案する方法の実施形態のフロー図を示す。
【図3】図3は、回線交換ネットワークにおける本発明の実施形態のシグナリング図を示す。
【図4】図4は、パケット交換ネットワークにおける本発明の実施形態のシグナリング図を示す。
【図5】図5は、提案する方法を実行するように構成された呼コントローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、移動体ネットワークの実施形態を示す。2つの移動体デバイス102及び104が、移動体ネットワーク106を介して接続されている。移動体デバイスは、発呼者及び被呼者とも呼ばれる場合があり、例えば発呼加入者及び被呼加入者という移動体サービス加入者により使用可能である。図1に示す移動体ネットワーク106は、2つの当事者を接続可能なネットワークの一般的な表現であり、例えば、被呼者のホームネットワークを含む。
【0019】
移動体ネットワーク106の中には、2つの移動体デバイス102,104の間の呼の処理を担うサービスノード(SN)110が存在する。SNは、呼制御ノード又は呼制御装置と呼ばれる場合もあり、呼のスクリーニングサービスの起動を担うこともできる。また、ホームネットワーク106の中には、例えば被呼者に対してサービス提供するボイスメールシステム(VMS)108も存在し得る。VMSは、通常、加入者のホームネットワークの中に配置されている。SNは、VMSに対する接続を処理することもできる。
【0020】
図2は、提案する方法の実施形態のフロー図を示す。ステップ202で発呼者が被呼者に対して発呼するものとする。2つの当事者は、移動体ネットワークを介して接続されている。ボイスメールシステムは、被呼者用にプロビジョニングされている。ステップ204で、例えば被呼者のホームネットワーク中の関門移動交換局(GMSC)の場合もあるサービスノードは、被呼者に対する接続を開始する。以下のステップは、これから説明する通り、提案する呼のスクリーニング方法を含み、それゆえ、これらのステップを実行する当事者は、提案する方法によって実装される呼のスクリーニングサービスを実際に利用するものと考えられる。
【0021】
ステップ206で、例えばサービスノードによって、タイマーが開始される。タイマーの目的は、呼に対する被呼者からの応答時に発生するイベントを判断するためのメカニズムとしての役割を果たすことである。この意味で、ステップ208で、タイマーが切れる前に被呼者が呼に対して応答したか否かに関するチェックが行われる。タイマーが切れる前に呼に対する応答がなかった場合、ステップ212で、サービスノードは、呼を被呼者のボイスメールシステムへと向け、被呼者に対する呼の接続を解放する。その後、ステップ216で、メッセージを録音することができる。
【0022】
タイマーが切れる前に呼に対して被呼者が応答した場合、ステップ210で、カンファレンス呼が確立される。被呼者は、例えば通信デバイス上の単数又は複数のボタンを押下することにより呼に対して応答することができ、こうすることで、例えばサービス起動信号という信号が通信デバイスからサービスノードへ送信されるという結果になる。タイマーが切れる前に呼に対して応答することにより、被呼者は、呼のスクリーニングサービスを起動すると実際に決定することができ、それゆえ、サービスノードに対して送信される信号は、サービス起動信号となることができる。
【0023】
カンファレンス呼は、発呼者、被呼者、及びボイスメールシステムの間の三者間接続を可能にするものである。カンファレンス呼は、被呼者に対する一方向のスピーチ接続だけを許可するように構成されてもよい。これにより、被呼者が発呼者に対して通信することが禁止される。ステップ214で、発呼者によるメッセージがボイスメールシステムに録音される。カンファレンス呼は依然として確立されているので、被呼者は、ボイスメールシステムで行われる録音をリアルタイムで聞くことができ、後述するように呼を受け付けるか又は受け付けないことができる。その時以降、被呼者の反応の如何により、多数の異なるシナリオが発生し得る。
【0024】
これらのシナリオのうちの1つでは、被呼者が呼を受け付けると決定した場合、サービスノードは発呼者とVMSとの間の接続を解放し、VMSに対して、その時点までに行われた録音を破棄してもよいと指示することができる。カンファレンス呼も解放される。発呼者と被呼者との間の接続は残る。この場合、残った呼は、発呼者と被呼者との間の双方向スピーチ通信に変換される。これは、例えば、発呼者と被呼者との間の双方向スピーチ接続をサービスノードがセットアップする場合に、達成される。被呼者が呼を受け付けたということは、例えば、被呼者の課金データレコードにおいてイベントとして記録可能であり、それゆえ、呼を受け付けたこと、又は呼の残りの継続時間について、被呼者に課金することができる。
【0025】
呼に対して応答する場合と同様に、被呼者は、例えば通信デバイス上の単数又は複数のボタンを押下することによって呼を受け付けることができる。こうすることで、例えば呼受け付け信号という信号が通信デバイスからサービスノードへ送信されるという結果になる。
【0026】
別のシナリオでは、被呼者は、呼を受け付けないと決定してもよい。この場合、サービスノードはカンファレンス呼を解放する。発呼者は、VMSに対する接続が継続する。
【0027】
一実施形態では、被呼者が呼を受信してこれに応答した場合に、被呼者が発呼者に対して会話できるようになる前に遅延が導入されてもよい。この遅延は、例えばタイマーによって制御可能であり、この遅延期間に、発呼者は依然として呼び出し音を聞くことになる。被呼者は、指示トーン、及び/又は、呼のスクリーニングサービスを起動するオプションについて通知するメッセージを聞くことができる。
【0028】
被呼者は、遅延期間の終了前に例えば通信デバイス上のボタンを押下することにより、このメッセージ対して反応することを選択することができる。この場合、発呼者に対する呼び出し音が停止し、上述した呼のスクリーニングサービスが起動する。被呼者が遅延期間の終了時にメッセージに対して反応しないことを選択した場合、発呼者に対する呼び出し音は停止し、発呼者と被呼者との間で双方向スピーチ接続が確立される。
【0029】
上述したように、SNは、被呼者のホームネットワーク中のGMSCであってもよい。有線ネットワークにおいては、SNは、被呼者に対してサービス提供しているローカルの電話交換局であってもよい。従って、提案する方法は、一方又は両方の当事者が固定端末デバイスに対応する有線ネットワークにおいても使用可能である。
【0030】
図2のフロー図の説明は、被呼者の側での呼のスクリーニングサービスを可能にするために呼を処理する提案の方法の概要を提供した。更に、文章により、呼の処理に関する一層詳細な説明を行う。
【0031】
図3は、例えば3GPPネットワークやGSM(登録商標)ネットワークなどの回線交換ネットワークにおける本発明の実施形態に関するシグナリング図を示し、ここでは、回線交換のシグナリング及びペイロードはパケット交換ベアラを介しても転送可能である。発呼者から被呼者に対して呼が発せされたものとする。発呼者は、移動交換局(MSC)によってサービス提供されている。呼は発呼者から発生するので、発呼者にサービス提供しているMSCは、発信側MSC(oMSC)302として考えることができる。IAM(Initial Address Message)312が、oMSC302からGMSC304へ送信される。GMSC304は、呼び出されている当事者に対してどの在圏MSC(vMSC)310がサービス提供しているかを判断するMSCである。vMSC310は、着信側MSCと呼ばれる場合もある。GMSC304は、前述のサービスノードであると考えることができる。GMSC304に到達したIAM312は、呼のスクリーニングサービスが被呼者のためにプロビジョニングされているか否かに関するチェックをトリガーすることができる。また、呼のスクリーニングサービスを実行することが他の補助サービス(例えば、呼の転送サービス)を妨害する可能性があるか否かに関するチェックも実行してもよい。被呼者(図3においては図示せず)の位置を特定した後に、GMSC304は、在圏ネットワークにおいて被呼者にサービス提供しているvMSC310に対して更にIAM312メッセージを送信することにより、vMSC310に対して呼をルーティングする。被呼者は在圏ネットワークにいる必要はなく、自分のホームネットワークにいてもよい。呼が宛先(例えば、被呼者)へ到達したということを示すACM(Address Complete Message)318が、GMSC304経由で、着信側MSCからoMSC302へと転送される。呼のスクリーニングサービスが被呼者のためにプロビジョニングされている場合、ACM318を受信すると、GMSC304はタイマーを開始する。前述のように、タイマーは、呼に対する被呼者からの応答時に発生するイベントのための制御メカニズムとしての役割を果たすことができる。被呼者が呼に対して応答せずに、又は、被呼者が話し中のまま、或いは、被呼者に到達できないままタイマーが切れた場合、GMSC304は被呼者に対する接続を停止し、VMS308に対してIAM324を送信することによりVMS308に対する新たな接続をセットアップする。
【0032】
タイマーが切れる前に被呼者が応答した場合、GMSC304は、上述のIAM324を送信することにより、VMS308に対する追加の接続をセットアップする。VMS308からACM326メッセージを受信したということは、接続の確立が成功したということの確認となる。GMSC304は、在圏MSC310からANM(Answer Message)328を受信することにより、被呼者による応答について通知される。GMSC304は、メディアゲートウェイ(MGw)306に対して、発呼者、被呼者、及びボイスメールシステムに属する着信を、カンファレンス呼のコンテキスト334へ移動するように指示する。GMSC304は、被呼者に対する一方向スピーチ接続のみを許可するように、カンファレンスを構成する。また、GMSC304は、MGW306に対して、被呼者からの接続に関するDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号334を検出するように要求する。GMSC304が、DTMF信号336の受信に関してMGw306により通知されると、これは、被呼者が呼を受け付けたというサインとして解釈される。DTMF信号336は、例えば被呼者の移動体デバイス上の数字ボタンを押下することにより、生成可能である。そのようなDTMF信号336がGMSC304において受信されると、被呼者が呼を受け付けたと想定される。すると、GMSC304は、VMS308に対する接続を解放し、MGw306に対して、発呼者と被呼者との間で双方向スピーチ通信が可能なように発呼者と被呼者とを接続するように指示する。この場合、接続は、両当事者間の双方向スピーチ通信を許可する。GMSC304からVMS308へ送信される解放メッセージ(REL)340は、被呼者が呼を受け付けたということを示す特別な原因コードを含むことができる。原因コードを伴うRELメッセージ340は、VMS308がメッセージの録音を終了して録音済メッセージ342を破棄することをトリガーすることができる。
【0033】
或いは、GMSC304が、MGw306からDTMF信号336の通知を事前に受信せずに被呼者からREL340を受信した場合、GMSC304は、被呼者に対する接続を解放してもよい。発呼者とVMS308との間の接続は残ることができる。このことは、被呼者が呼を受け付けないと決定した場合に発生し得る。
【0034】
一実施形態では、GMSC304は、被呼者からのANM322を受信すると、MGw306に対して、呼のスクリーニングサービスが起動されて上述のメカニズムが実行されるということを被呼者に認識させるために被呼者に対する指示トーンを再生するように指示(344)してもよい。
【0035】
図4は、パケット交換ネットワークにおける本発明の実施形態のシグナリング図を示す。この実施の形態では、ボイスメール記録機能及び呼のスクリーニングサービスを制御するサービスノードの機能を、同一の物理ノード(例えば、MRFC(Multimedia Resource Function Controller))の中に配置することができる。或いは、ボイスメール記録機能は、別のノードによって提供されてもよい。
【0036】
発呼者402は、インテロゲーティング呼セッション制御機能(I−CSCF)406に対して、INVITEメッセージ416を送信する。INVITEメッセージ416は、両当事者間(この事例では、発呼者402と被呼者414との間)のメディアセッションを確立するために使用される。このメッセージは、プロキシCSCF(P−CSCF)404経由でI−CSCF406によって受信される。P−CSCF404は、発呼者402にとっての最初のコンタクトポイントであるセッション開始プロトコル(SIP)プロキシである。この時点で、I−CSCF406は、何らかの初期フィルタ基準418を評価することができる。例えば、I−CSCF406は、呼のスクリーニングサービスが被呼者414のためにプロビジョニングされているか否かをチェックすることができる。そのようなサービスがプロビジョニングされている場合、I−CSCF406は、INVITEメッセージ416をMRFC/アプリケーションサーバ(AS)408へ渡す。MRFC/AS408は、INVITEメッセージ416をS−CSCF412経由で被呼者414へ転送し、こうして、被呼者414に対する接続を確立する。また、MRFC/AS408はタイマー420を開始する。タイマーが切れるということは、呼に対する被呼者からの応答時に発生するイベントを判断するための役割を果たすことができる。
【0037】
被呼者は、発呼者402に対して200OKメッセージ422を送信することにより、呼に対して応答する。呼に対する被呼者414からの応答時に発生するイベントをタイマーが判断するので、被呼者414が応答するとすぐに、MRFC/AS408はタイマーを停止し、MRFP410に対して、呼のスクリーニングサービスのプロビジョニングについて被呼者414に通知する指示トーン(又はアナウンス)426を被呼者414に対して再生するように指示する。200OKメッセージ422の受信を確認する発呼者402からのACKメッセージ430を受信すると、MRFC/AS408は、MRFP410に対して、トーンの後にメッセージを残すように発呼者に促すアナウンス432を再生するように指示する。
【0038】
MRFC/AS408は、呼の受け付けを示すキーパッド操作に関する通知を被呼者414から受信するために、被呼者414に対してSUBSCRIBEメッセージ434を送信する。被呼者414からの確認は、MRFC/AS408における200OKメッセージ436の受信と、応答としてのNOTIFYメッセージ438とから構成される。MRFC/AS408は、200OKメッセージ440により、NOTIFYメッセージ438の受信確認を行う。
【0039】
発呼者402及び被呼者414に対する接続が確立され、キー押下操作の通知に関する購読が成功すると、MRFC/AS408は、MRFP410に対して、発呼者402から被呼者414へ順方向でメディアストリームを接続するように指示する。メディアストリームは、発呼者402からのボイスメッセージであってもよい。MRFC/AS408はまた、MRFP410に対して、録音すべきメッセージを残すように発呼者402に促すために発呼者402に対して録音トーン442を再生するようにも指示する。このセットアップにおいて、被呼者414は、録音が行われている間に聞き取りを行い、録音自体を聞くことができる。
【0040】
被呼者414が呼を受け付けると決定した場合、被呼者414は、キーパッド上のキー又はボタンを押下する(444)ことにより、受け付けを示すことができる。すると、NOTIFYメッセージ446がMRFC/AS408へ送信される。MRFC/AS408は、200OKメッセージ448により、NOTIFYメッセージ446の受信確認を行う。NOTIFYメッセージ446は、MRFC/AS408が、MRFP410に対して、録音を停止すると共にオプションとしてその時点までに行われた録音を破棄し、発呼者402と被呼者414との間の双方向メディアストリーム接続450を確立するように指示することのトリガーとしての役割を果たす。
【0041】
或いは、被呼者414が呼を切断した場合、被呼者414に対する接続のみがMRFC/AS408によって解放される。録音は継続し、発呼者402に対して通知が送信されることはない。
【0042】
図3及び図4のシグナリング図は、本発明の対応する実施形態の説明に関係するメッセージの交換のみを示しているので、簡略化されたものであると考えることができる。
【0043】
本発明は、発呼者502と被呼者504との間の呼の確立のための呼コントローラの中に盛り込むことができる。呼コントローラは、上述した提案する方法の任意の実施形態を実行するように構成可能である。そのような呼コントローラの実施形態を図5に示す。呼コントローラ(CC)500は、接続エンティティ(CE)508を備える。CE508は、発呼者502とボイスメールシステム(VMS)506との間の接続の確立を制御することができる。VMS506は、例えば、被呼者504のホームネットワークの中にあってもよい。CE508はまた、被呼者504とボイスメールシステム506との間の接続の確立を制御することもできる。CC500は更に、被呼者504によるVMS506に対するアクセスを制御可能なアクセス制御エンティティ(ACE)510を備える。
【0044】
発呼者502から呼が発せされると、CC500は、被呼者504に対する接続を確立する。被呼者504に対する接続は、CE508を介して確立することができる。ACE510はタイマー512を含む。被呼者504に対する接続が確立されると、ACE510は、タイマー512を開始する。タイマー512は、呼に対する被呼者504からの応答時に発生する何らかのイベントのトリガーを判断することができる。この文脈で、タイマーが切れる前に呼に対する応答がない場合、例えば被呼者504が手があいていない又は呼に対して反応しないということを示すが、ACEは、被呼者504に対する呼の接続を解放することができる。更に、ACEは、CE508に対して、発呼者502をVMS506に接続するように指示することができる。
【0045】
タイマー512が切れる前に被呼者504が呼に対して応答した場合、ACE510は、CE508に対して、発呼者502をVMS506に接続するように指示する。同時に、ACE510は、CE508に対して、発呼者502、被呼者504、及びVMS506の間で三者間接続を可能にするカンファレンス呼を確立するように指示する。CE508は、発呼者502から被呼者504への一方向スピーチ接続、及びVMS506から被呼者504への一方向スピーチ接続を許可するようにカンファレンス呼を構成することができる。
【0046】
ACE510はまた、被呼者から信号を受信するインタフェース514を含む。被呼者504が通信デバイス(例えば、移動体電話)を使用して呼に対して応答すると、応答確認をするために移動体電話によって送信される信号は、インタフェース514によって受信される。
【0047】
被呼者504が呼を受け付けると決定した場合、呼の受け付けを確認する信号(例えば、呼受け付け信号)が、被呼者504の通信デバイスからインタフェース514へ送信される。この場合、ACE510は、CE508に対して、発呼者502とVMS506との間の接続を解放するように指示してもよい。更に、ACE510は、CE508に対して、VMS506がその時点までに行った録音を破棄してもよいということをVMS506に対して示すように指示してもよい。
【0048】
被呼者504が呼を受け付けないと決定した場合、呼キャンセル信号がインタフェース514に対して送信され得る。ACE510は、この信号を受信すると、CE508に対して、発呼者502と被呼者504との間の接続を解放すると共に、カンファレンス呼を中断するように指示することができる。
【0049】
CE及びACEは、例えばGMSCやMRFCのような呼制御ノードのプロセッサの中に実装可能である。
【0050】
一実施形態では、CC500は、VMS506も含んでもよい。この場合、上述の様々な実施形態の説明に関する変更はない。唯一の違いは、CC500の構造上の修正である。
【0051】
上述の実施形態は、本発明の目的を見事に達成する。しかしながら、理解されるであろうが、当業者によって、請求項によってのみ限定される本発明の範囲から逸脱すること無しに、変形を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク(106)において呼を処理する方法であって、
発呼者(102)と被呼者(104)との間で呼が開始され(202)、
前記発呼者(102)は、ボイスメールシステム(108)に接続され、
前記方法は、前記被呼者(104)による前記呼に対する応答があると、前記ボイスメールシステム(108)に対する前記発呼者(102)のアクセスを制御するステップを備える
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記応答は、サービス起動信号を含み、
前記方法は、前記サービス起動信号が検出されると、前記発呼者(102)、前記被呼者(104)、及び前記ボイスメールシステム(108)の間でカンファレンス呼を確立するステップ(210)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応答は、呼受け付け信号を含み、
前記方法は、前記呼受け付け信号が検出されると、前記発呼者(102)と前記被呼者(104)との間でスピーチ接続を確立するステップを更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
サービスノードが前記呼受け付け信号を検出すると、前記ボイスメールシステム(108)において録音されたメッセージが破棄される(342)
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記被呼者との一方向スピーチ接続を提供するステップを備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記カンファレンス呼の前記確立が前記被呼者(104)のためにプロビジョニングされている電話サービスを妨害するかについてチェックするステップ(418)と、
前記チェックするステップ(418)の結果に従って前記カンファレンス呼を確立するステップと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記発呼者(102)と前記被呼者(104)との間の前記呼が開始すると、タイマーを開始するステップ(206)を備え、
前記タイマーが切れたことが、前記ボイスメールシステム(108)に対する前記発呼者の前記アクセスをトリガーする
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
通信ネットワークにおける発呼者(502)と被呼者(504)との間の呼の確立のための呼コントローラ(500)であって、
前記呼コントローラ(500)は、前記発呼者(502)とボイスメールシステム(506)との間の呼の確立を制御するように構成された接続エンティティ(508)を備え、
前記呼コントローラ(500)は、前記被呼者(504)による前記呼に対する応答があると、前記ボイスメールシステム(506)に対する前記発呼者(502)のアクセスを制御するように構成されたアクセス制御エンティティ(510)を更に備える
ことを特徴とする呼コントローラ(500)。
【請求項9】
前記アクセス制御エンティティ(510)は、タイマー(512)を含み、前記タイマー(512)が切れると、前記ボイスメールシステム(506)に対する前記発呼者の前記アクセスを制御するように構成される
ことを特徴とする請求項8に記載の呼コントローラ(500)。
【請求項10】
前記アクセス制御エンティティ(510)は、前記被呼者(504)から応答信号を受信するインタフェース(514)を含み、
前記応答信号の前記受信は、前記ボイスメールシステム(506)に対する前記発呼者(502)の前記アクセスをトリガーする
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の呼コントローラ(500)。
【請求項11】
前記アクセス制御エンティティ(510)は、前記被呼者(504)に対して前記ボイスメールシステム(506)に対するアクセスを提供するように構成され、
前記アクセス制御エンティティ(510)は、前記被呼者(504)から応答信号を受信すると、前記被呼者(504)と前記ボイスメールシステム(506)とを接続するように前記接続エンティティ(508)をトリガーする
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の呼コントローラ(500)。
【請求項12】
前記ボイスメールシステム(506)を更に備える
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の呼コントローラ(500)。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法に適合した、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の呼コントローラ(500)。
【請求項14】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509058(P2013−509058A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534552(P2012−534552)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063988
【国際公開番号】WO2011/047737
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】