説明

製函包装装置

【課題】製函包装装置において、ブランクシートまたはカートンを送る機構を省スペースのコンパクトなものとする。
【解決手段】製函包装ライン1は、カートンのブランクシート100を受け取るシート受け取りステーション10、ブランクシート100の一部を起函して半起函カートン110とする起函ステーション20、半起函カートン110に物品6を収納する物品収納ステーション30、及び物品収納済みの半起函カートン110の上面を閉ざす第一次閉蓋ステーション40を備える。ブランクシート100または半起函カートン110は送り棹3が真空吸着してステーションからステーションへと運ぶ。第1リフタ21または第3リフタ41が送り棹3に代わりブランクシート100または半起函カートン110を持ち上げると、折り曲げ具が当該ステーションに割り当てられた折り曲げ工程を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブランクシートからカートンを順次起函しつつ途中で物品を収納し、最終的には物品を包装したカートンとする製函包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール紙からなるカートンは物品包装用としてなじみが深い。特許文献1にはカートンブランクを製函して包装箱とする製函装置が記載されている。特許文献2にはカートンを折込み成形するカートン成形方法とそのカートンで被包装物を包装する包装方法が記載されている。
【特許文献1】特開2001−79962号公報
【特許文献2】特開平9−220777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2に記載の装置のように、カートンの製函と物品の包装を一挙に行う装置にあっては、カートンの送りにコンベア(ベルトコンベアまたはチェーンコンベア)を用いるのが一般的である。ところがコンベアの場合、上流側と下流側のプーリーまたはスプロケットに巻き掛けて送り方向のフライトと戻り方向のフライトを形成するため、高さ方向にスペースをとる。さらに、このような目的で用いられるコンベアには、カートンを後ろから押す爪あるいは羽根が取り付けられたり、カートンを収めるバケットが取り付けられたりすることが多く、余計に高さ方向にスペースをとるものとなる。またプーリーやスプロケットの存在自体もラインの長さ方向にデッドスペースを生むもととなる。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、ブランクシートからカートンを順次起函しつつ途中で物品を収納し、最終的には物品を包装したカートンとする製函包装装置において、ブランクシートまたはカートンを送る機構を省スペースのコンパクトなものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、製函包装装置が次の構成を備えることを特徴としている:
(a)カートンのブランクシートを、少なくとも物品収納済みの半起函カートンにまで仕上げるステーション群を有する製函包装ライン
(b)前記製函包装ラインの長さ方向に沿って直線的に往復運動するものであり、前記ブランクシートまたは半起函カートンを真空吸着してステーションからステーションへと送る送り棹
(c)前記ステーション群のうち所定のものに配置され、上流側ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記ブランクシートまたは半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げるリフタ
(d)前記リフタが持ち上げた前記ブランクシートまたは半起函カートンに対し、当該ステーションに割り当てられた折り曲げ工程を実行する折り曲げ具。
【0006】
この構成によると、ブランクシートまたは半起函カートンをステーションからステーションへと送るのは製函包装ラインの長さ方向に沿って直線的に往復運動する送り棹であるから、コンベアのように高さ方向のスペースをとらず、省スペースの送り機構とすることができる。プーリーやスプロケットによるライン長さ方向のデッドスペースも生じない。
【0007】
送り棹はステーションからステーションへ、ブランクシートまたは半起函カートンを真空吸着して運ぶので、ブランクシートまたは半起函カートンを、向きを乱すことなく、目的の位置へ正確に置くことができる。各ステーションではリフタが送り棹に代わりブランクシートまたは半起函カートンを真空吸着して持ち上げるので、送り棹は高さを変えることなく原点復帰できる。そしてリフタによる真空吸着で、ステーション滞在中もブランクシートまたは半起函カートンは正しい向きで正確な位置に保持される。
【0008】
本発明は、上記構成の製函包装装置において、前記ステーション群には、カートンのブランクシートを受け取るシート受け取りステーション、前記ブランクシートの一部を起函して半起函カートンとする起函ステーション、前記半起函カートンに物品を収納する物品収納ステーション、及び物品収納済みの前記半起函カートンの上面を閉ざす閉蓋ステーションが含まれ、前記起函ステーションには、前記シート受け取りステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記ブランクシートを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第1リフタと、前記第1リフタが持ち上げた前記ブランクシートからカートン胴部を折り曲げて半起函カートンに仕上げるマンドレル及び折り曲げ具とが配置され、前記物品収納ステーションには、前記起函ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第2リフタと、前記第2リフタが持ち上げた前記半起函カートンに物品を収納する物品収納装置とが配置され、前記閉蓋ステーションには、前記物品収納ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第3リフタと、前記第3リフタが持ち上げた前記半起函カートンの蓋を折り曲げ具で閉じる閉蓋装置とが配置されていることを特徴としている。
【0009】
この構成によると、ブランクシートの一部を起函して半起函カートンとした後に物品を収納するものであるから、物品が単一の物品でなく複数の物品の寄せ集めであっても、問題なく収納し、包装することができる。
【0010】
本発明は、上記構成の製函包装装置において、前記閉蓋ステーションの下流側へのカートンの移動を、前記送り棹の端に装着したプッシャにより行うことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、送り棹の長さを最大限利用して、多数のカートン(ブランクシートまたは半起函で未閉蓋の段階にあるものを含む)を同時に送ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ブランクシートまたは半起函カートンを、包装ラインの長さ方向に沿って直線的に往復運動する送り棹が真空吸着して次のステーションへ送り、各ステーションではリフタが送り棹に代わりブランクシートまたは半起函カートンを真空吸着して持ち上げ、送り棹が高さを変えることなく原点復帰できるようにしたことにより、送り機構を省スペースのコンパクトなものとすることができる。またブランクシートまたは半起函カートンは送り中もステーション滞在中も真空吸着でしっかりと保持されるので、向きや位置に狂いが生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図に基づき説明する。図1は製函包装装置の概略構成図、図2はカートンのブランクシートの平面図、図3−図8は各ステーションにおける装置の動作を示す部分斜視図、図9及び図10は起函ステーションにおける起函動作を説明する部分正面図である。
【0014】
製函包装装置の基幹をなすのは製函包装ライン1である。製函包装ライン1は、水平に、且つ互いに平行に配置された2条のレール2(図1、9、10では仮想線によりその存在を示す)の間に、製函包装ライン1の長さ方向に沿って直線的に往復運動する送り棹3を配置した構成となっている。送り棹3にはサーボモータ、エアシリンダ等の動力源により所定タクト、所定ストロークの往復運動が与えられる。送り棹3の往復ストロークは後述する各ステーションの配置ピッチに等しい。
【0015】
送り棹3の上面には、長さ方向に沿って3組の真空吸着部4a、4b、4cが所定間隔で配置されている。真空吸着部4a、4b、4cの配置ピッチは送り棹3の往復ストロークすなわち各ステーションの配置ピッチに等しい。真空吸着部4a、4b、4cは、後述するカートンのブランクシートまたは半起函カートンであって、レール2に載置されたものを真空吸着し、それらを送り棹3の動きで次のステーションへ送る働きをする。真空吸着部4a、4b、4cの吸盤は、1個だけであるとブランクシートまたは半起函カートンが搬送中に回転して向きが変わってしまうおそれがあるので、2個以上並べておくのがよい。
【0016】
送り棹3の前端、すなわち製函包装ライン1の下流側の端にはプッシャ5が装着されている。プッシャ5は金属板をL字形に曲げたものであり、レール2の上面より高く立ち上がっている。
【0017】
製函包装ライン1に沿って、次のステーションが配置されている。すなわちカートンのブランクシート100を受け取るシート受け取りステーション10、ブランクシート100の一部を起函して半起函カートン(完全な閉蓋状態でないカートンを、本明細書ではこのように呼称する)110とする起函ステーション20、半起函カートン110に物品6を収納する物品収納ステーション30、物品収納済みの前記半起函カートン110の上面を閉ざす第一次閉蓋ステーション40、及び上面を閉ざさされた半起函カートン110をそれまでのステーションの並びと直角の方向に送り出すための方向転換ステーション50である。なお特許請求の範囲の請求項3の「閉蓋ステーション」は第一次閉蓋ステーション40のことである。
【0018】
ブランクシート100はボール紙から打ち抜かれたものであり、次の構成要素が連設されている(図2参照)。構成の中心となるのはボトムパネル101である。ボトムパネル101は矩形で、その長手方向の両端にサイドパネル102、103が連設されている。サイドパネル103にはトップパネル104が連設されている。なお「ボトム」「サイド」「トップ」はカートンの起函手順を説明するために付された呼称であり、必ずしも完成したカートンの底面、側面、上面に一致する訳ではない。
【0019】
ボトムパネル101、サイドパネル102、103、及びトップパネル104がカートンの基幹部をなすのであるが、これらのパネルにはそれぞれフラップが連設されている。ボトムパネル101の図2における左右の辺には前方フラップ105Fと後方フラップ105Rが連設されている。サイドパネル102の左右の辺には前方サイドフラップ106Fと後方サイドフラップ106Rが連設されている。サイドパネル103の左右の辺には前方サイドフラップ107Fと後方サイドフラップ107Rが連設されている。トップパネル104の左右の辺には前方フラップ108Fと後方フラップ108Rが連設されている。トップパネル104の残る一辺にはのりしろフラップ109が連設されている。なお「前方」「後方」は製函包装ライン2において進行方向前方に位置することになるか、その反対側に位置することになるかにより付された呼称であり、必ずしも完成したカートンの前面、後面に一致する訳ではない。
【0020】
起函したとき、前方サイドフラップ106F、後方サイドフラップ106R、前方サイドフラップ107F、及び後方サイドフラップ107Rは前方フラップ105F、後方フラップ105R、前方フラップ108F、及び後方フラップ108Rの内側に入り込む。のりしろフラップ109はサイドパネル102の外面に重なる。パネル間、及びパネルとフラップ間にはそれぞれ折り目がプレス成形されている。
【0021】
続いて、図1及び図3−図10を参照しつつ各部の構成を説明する。
【0022】
シート受け取りステーション10にはシートフィーダ11が組み合わせられている。シートフィーダ11は平積み状態のブランクシート100を横倒しにした形で保持する。シートピックアップ装置12が真空吸着部13でシートフィーダ11上のブランクシート100の列から先頭のものを吸着し、吸着したブランクシート100を水平に姿勢変換してレール2の上に置く。レール2の上に置かれたブランクシート100を送り棹3の真空吸着部4aが吸着する。ちなみに、この時の送り棹3の位置が送り棹3の動作原点である。真空吸着部4aに吸着されたブランクシート100は、次の送り棹3の動作で起函ステーション20に送られる。
【0023】
ブランクシート100の前方フラップ105Fと後方フラップ105Rの上面には、シート受け取りステーション10から起函ステーション20への移動過程で、グルーガン14(図4参照)により接着剤が塗布される。この接着剤は、起函ステーション20で前方フラップ105Fと前方サイドフラップ106F、107F、及び後方フラップ105Rと後方サイドフラップ106R、107Rの貼り合わせを行うためのものである。
【0024】
起函ステーション20には第1リフタ21が配置されている。第1リフタ21は、ブランクシート100のボトムパネル101を吸着する真空吸着部22を有する。吸着状態が安定するよう、真空吸着部22はボトムパネル101の少なくとも四隅を吸着する少なくとも4個の吸盤を備えている。これらの吸盤は、送り棹3の真空吸着部4a、4bの移動経路に干渉しない位置に配置される。
【0025】
送り棹3が真空吸着部4aでシート受け取りステーション10からブランクシート100を運んでくる間、第1リフタ21の真空吸着部22はレール2の上面より低い位置に置かれる(図9参照)。この位置が第1リフタ21の動作原点となる。ブランクシート100が起函ステーション20に到着すると第1リフタ21が上昇を開始し、真空吸着部22でブランクシート100のボトムパネル101を吸着する。真空吸着部22による吸着が確実になった時点で真空吸着部4aの吸着は解除され、ブランクシート100は第1リフタ21に引き渡される。
【0026】
送り棹3に代わりブランクシート100を真空吸着した第1リフタ21は上昇を続け、上方で待機するマンドレル23にボトムパネル101を押し当てる(図10参照)。ブランクシート100が離れた後、送り棹3は高さを変えることなく動作原点に復帰する。
【0027】
マンドレル23はボトムパネル101の四隅に位置するように配置された4枚の垂直な板の組み合わせで構成されるものであり、エレベータ24に吊り下げられる形で支持され、エレベータ24と共に昇降する。マンドレル23は、図1及び図10の状態ではボトムパネル101を迎える高さに降下している。
【0028】
第1リフタ21がマンドレル23にボトムパネル101を押し当てると、起函ステーション20に割り当てられた、ブランクシート100からカートンの胴部を起函する折り曲げ工程を実行するため、折り曲げ具が上昇を開始する。起函ステーション20の折り曲げ具は、第1及び第2の折り曲げ板セットと、ローラセットとにより構成される。まず第1の折り曲げ板セット25がサイドパネル102、103及び前方サイドフラップ106F、107Fと後方サイドフラップ106R、107Rをすくい上げ、サイドパネル102と前方サイドフラップ106Fの合わせ目、サイドパネル102と後方フラップ106Rの合わせ目、サイドパネル103と前方サイドフラップ107Fの合わせ目、及びサイドパネル103と後方フラップ1067の合わせ目がマンドレル23の角に沿うことになるように、各サイドパネルとサイドフラップをマンドレル23に押し付ける。
【0029】
第1の折り曲げ板セット25に少し遅れて第2の折り曲げ板セット26が上昇を開始し、ローラセット27がそれに続く。第2の折り曲げ板セット26は前方フラップ105Fと後方フラップ105Rをすくい上げ、前方サイドフラップ106F、107F、後方サイドフラップ106R、107Rの外面に押し当てる。グルーガン14で塗布されていた接着剤により、前方フラップ105Fは前方サイドフラップ106F、107Fに、後方フラップ105Rは後方サイドフラップ106R、107Rに、それぞれ貼り合わせられる。第2の折り曲げ板セット26に続いて上昇するローラセット27は図示しないばねでマンドレル23に押し付けられており、接着剤による貼り合わせを完全なものにする。
【0030】
上記のように、ボトムパネル101、サイドパネル102、103、前方フラップ105F、後方フラップ105R、前方サイドフラップ106F、107F、及び後方サイドフラップ106R、107Rで上面の開放した箱形形状を形成したものが半起函カートン110となる。半起函カートン110が完成した後、エレベータ24が上昇してマンドレル23を半起函カートン110からマンドレル23を抜き出す。同時に半起函カートン110を真空吸着し続けている第1リフタ21は下降を開始する。
【0031】
第1リフタ21がレール2の上に半起函カートン110を下ろすと、その時点で起函ステーション20に待機している真空吸着部4bが吸着を開始する。真空吸着部4bによる吸着が確実になった時点で真空吸着部22の吸着は解除され、半起函カートン110は送り棹3に引き渡される。その後第1リフタ21は動作原点まで下降する。
【0032】
真空吸着部4bに吸着された半起函カートン110は、次の送り棹3の動作で物品収納ステーション30に送られる。
【0033】
物品収納ステーション30には第2リフタ31が配置されている。第2リフタ31は第1リフタ21と同様の構造を備える。半起函カートン110が物品収納ステーション30に到着すると第2リフタ31が上昇を開始し、真空吸着部32で半起函カートン110の底部を吸着する。真空吸着部32による吸着が確実になった時点で真空吸着部4bの吸着は解除され、半起函カートン110は第2リフタ31に引き渡される。
【0034】
送り棹3に代わり半起函カートン110を真空吸着した第2リフタ31は所定高さまで上昇して停止する。半起函カートン110が離れた後、送り棹3は高さを変えることなく動作原点に復帰する。
【0035】
第2リフタ31に真空吸着されて支持されている半起函カートン110に、物品チャック33(図1参照)が物品6を収納する。物品チャック33は、図5に示すように、物品6を一度に3個真空吸着できる構成になっており、ゲートモーションで半起函カートン110に物品6を収納する。すなわち図示しないフィーダから物品6を持ち上げ、水平移動して半起函カートン110の上方へ物品6を運び、そこから下降して半起函カートン110の中に物品6を下ろす。なお物品チャック33が一度に部品6を3個真空吸着するというのは単なる構成例であり、発明の内容を限定するものではない。半起函カートン110に一度に収納する物品の数や、そのチャッキング(ハンドリング)の仕方などは任意選択事項である。
【0036】
半起函カートン110に物品6を収納し終わった後、半起函カートン110を真空吸着し続けている第2リフタ31は下降を開始する。第2リフタ31がレール2の上に半起函カートン110を下ろすと、その時点で物品収納ステーション30に待機している真空吸着部4cが吸着を開始する。真空吸着部4cによる吸着が確実になった時点で真空吸着部32の吸着は解除され、半起函カートン110は送り棹3に引き渡される。その後第2リフタ31は動作原点まで下降する。真空吸着部4cに吸着された半起函カートン110は、次の送り棹3の動作で第一次閉蓋ステーション40に送られる。
【0037】
ブランクシート100のサイドパネル102の外面には、物品収納ステーション30から第一次閉蓋ステーション40への移動過程で、グルーガン34(図6参照)により接着剤が塗布される。この接着剤は、第一次閉蓋ステーション40でサイドパネル102とのりしろフラップ109の貼り合わせを行うためのものである。
【0038】
第一次閉蓋ステーション40には第3リフタ41が配置されている。第3リフタ41も第1リフタ21と同様の構造を備える。半起函カートン110が第一次閉蓋ステーション40に到着すると第3リフタ41が上昇を開始し、真空吸着部42で半起函カートン110の底部を吸着する。真空吸着部42による吸着が確実になった時点で真空吸着部4cの吸着は解除され、半起函カートン110は第3リフタ41に引き渡される。
【0039】
送り棹3に代わり半起函カートン110を真空吸着した第3リフタ41は所定高さまで上昇して停止する。半起函カートン110が離れた後、送り棹3は高さを変えることなく動作原点に復帰する。送り棹3が動作原点に復帰した時点で、プッシャ5は図1において第3リフタ41に支持された半起函カートン110よりも左側に位置する。
【0040】
第3リフタ41に真空吸着されて支持されている半起函カートン110に対し、第一次閉蓋ステーション40に割り当てられた、蓋を閉じるという折り曲げ工程を実行するため、閉蓋装置42が動作を開始する。閉蓋装置42は、折り曲げ具として、水平方向に移動するローラ43と、垂直方向に移動するローラ44を備える。
【0041】
最初に、ローラ43がトップパネル104を背後から押し、水平に折り曲げる。次いでローラ44がのりしろフラップ109を上から押し、垂直に折り曲げる。のりしろフラップ109は接着剤を塗布してあったサイドパネル102に押し付けられ、貼り合わされる。半起函カートン110の上面はトップパネル104で閉ざされ、第一次閉蓋動作が完了する。
【0042】
第一次閉蓋ステーション40における折り曲げ具として、本実施形態ではローラ43、44を用いているが、ローラに代え、起函ステーション20で用いたような折り曲げ板を用いてもよい。
【0043】
第一次閉蓋動作を終えた段階の半起函カートン110は、トップパネル104の前方フラップ108Fと後方フラップ108Rが水平に突き出した状態になっている。この状態の半起函カートン110を第3リフタ41はレール2の上に下ろす。半起函カートン110は、図1においてプッシャ5の右側に下ろされる。レール2に下ろされた半起函カートン110は、次の送り棹3の動作でプッシャ5に押されて方向転換ステーション50に送られる。
【0044】
方向転換ステーション50に到着した半起函カートン110は、図示しないプッシャにより、それまでのステーションの並びと直角の方向に送り出される。半起函カートン110の送り出し先は第二次閉蓋ステーション60(図7、8参照)となっている。
【0045】
半起函カートン110の前方フラップ105Fと後方フラップ105Rの外面には、方向転換ステーション50から第二次閉蓋ステーション60への移動過程で、グルーガン51(図7参照)により接着剤が塗布される。この接着剤は、第二次閉蓋ステーション60で前方フラップ105Fと前方フラップ108F、及び後方フラップ105Rと後方フラップ108Rの貼り合わせを行うためのものである。
【0046】
図8に示す閉蓋装置61が、第二次閉蓋ステーション60に到着した半起函カートン110に対し、当該ステーションに割り当てられた、第二次の閉蓋動作となる折り曲げ工程を実行する。閉蓋装置61は、折り曲げ具として、垂直方向に移動する折り曲げ板セット62と、水平方向から半起函カートン110に接近する押圧板セット63を備える。
【0047】
最初に、折り曲げ板セット62が下降して前方フラップ108F及び後方フラップ108Rを下向きに折り曲げる。その後、折り曲げ板セット62が折り曲げた前方フラップ108F及び後方フラップ108Rを挟むように押圧板セット63が接近し、平面で接触して、前方フラップ108F及び後方フラップ108Rに面的な圧力を加える。圧力を加える仕組みとしては、例えばエアシリンダ64を採用することができる。前方フラップ108F及び後方フラップ108Rは接着剤を塗布してあった前方フラップ105F及び後方フラップ105Rに押し付けられ、貼り合わされる。これにより半起函カートン110の第二次閉蓋動作が完了し、カートン完成品120が得られる。カートン完成品120は図示しないアンローディング部に送られ、製函包装ライン1から運び出される。
【0048】
上記実施形態では、半起函カートンを形成しておいてから物品を収納したが、ブランクシートの上に物品を載置し、この物品を包むように順次パネルやフラップを折り曲げる、いわゆるラップラウンド方式を採用することも可能である。
【0049】
以上本発明の実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、カートンを起函しつつ物品の収納まで行う製函包装装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】製函包装装置の概略構成図
【図2】カートンのブランクシートの平面図
【図3】シート受け取りステーションを示す部分斜視図
【図4】起函ステーションを示す部分斜視図
【図5】物品収納ステーションを示す部分斜視図
【図6】第一次閉蓋ステーションを示す部分斜視図
【図7】方向転換ステーションを示す部分斜視図
【図8】第二次閉蓋ステーションを示す部分斜視図
【図9】起函ステーションにおける起函動作を説明する第1の部分正面図
【図10】起函ステーションにおける起函動作を説明する第2の部分正面図
【符号の説明】
【0052】
1 製函包装ライン
2 レール
3 送り棹
4a、4b、4c 真空吸着部
5 プッシャ
6 物品
10 シート受け取りステーション
20 起函ステーション
21 第1リフタ
25 第1の折り曲げ板セット(折り曲げ具)
26 第2の折り曲げ板セット(折り曲げ具)
27 ローラセット(折り曲げ具)
30 物品収納ステーション
31 第2リフタ
40 第一次閉蓋ステーション
41 第3リフタ
42 閉蓋装置
43、44 ローラ(折り曲げ具)
50 方向転換ステーション
60 第二次閉蓋ステーション
61 閉蓋装置
62 折り曲げ板セット(折り曲げ具)
63 押圧板セット(折り曲げ具)
100 ブランクシート
110 半起函カートン
120 カートン完成品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構成を備えることを特徴とする製函包装装置:
(a)カートンのブランクシートを、少なくとも物品収納済みの半起函カートンにまで仕上げるステーション群を有する製函包装ライン
(b)前記製函包装ラインの長さ方向に沿って直線的に往復運動するものであり、前記ブランクシートまたは半起函カートンを真空吸着してステーションからステーションへと送る送り棹
(c)前記ステーション群のうち所定のものに配置され、上流側ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記ブランクシートまたは半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げるリフタ
(d)前記リフタが持ち上げた前記ブランクシートまたは半起函カートンに対し、当該ステーションに割り当てられた折り曲げ工程を実行する折り曲げ具。
【請求項2】
前記ステーション群には、カートンのブランクシートを受け取るシート受け取りステーション、前記ブランクシートの一部を起函して半起函カートンとする起函ステーション、前記半起函カートンに物品を収納する物品収納ステーション、及び物品収納済みの前記半起函カートンの上面を閉ざす閉蓋ステーションが含まれ、
前記起函ステーションには、前記シート受け取りステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記ブランクシートを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第1リフタと、前記第1リフタが持ち上げた前記ブランクシートからカートン胴部を折り曲げて半起函カートンに仕上げるマンドレル及び折り曲げ具とが配置され、
前記物品収納ステーションには、前記起函ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第2リフタと、前記第2リフタが持ち上げた前記半起函カートンに物品を収納する物品収納装置とが配置され、
前記閉蓋ステーションには、前記物品収納ステーションから前記送り棹が真空吸着して運んできた前記半起函カートンを送り棹に代わり真空吸着して持ち上げる第3リフタと、前記第3リフタが持ち上げた前記半起函カートンの蓋を折り曲げ具で閉じる閉蓋装置とが配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の製函包装装置。
【請求項3】
前記閉蓋ステーションの下流側へのカートンの移動を、前記送り棹の端に装着したプッシャにより行うことを特徴とする請求項2に記載の製函包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−96482(P2009−96482A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267690(P2007−267690)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】