説明

製品品質の検査システム及びその方法

【課題】製品品質の検査システム及びその方法を提供する。
【解決手段】製品品質の検査システムは、検査機具と、撮影装置及び検査モジュールを含む。前記検査機具は検査対象としての完成品を位置決めするためであり、撮影装置をその上に架設し、両者の位置の対応関係を恒に変わらぬよう保持し、検査モジュールはデジタル信号の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品品質の検査システム及びその方法、特に、検査モジュールによって画像を複数個のピクセル区域に分け、良品の画像と検査対象製品画像のピクセル区域を照合比較単位として、逐一分析することによって、精細に分析照合する目的を達成することの出来る製品品質の検査システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
如何なる製品の完成品の中にも、必ず良品及び不良品が含まれる。
ユーザーが不良品を購入し、会社の信用に影響することを避けるため、製品の出荷前に、メーカーはみな品質管理の人員によって不良品を選別している。
そこで、品質管理人員は、製品の製造過程で、相当重要な役割をになっていると言える。
【0003】
ところが、一般人員は製品検査の過程において、通常下記のような欠点を生じやすい。
1.品質管理の人員は、肉眼で直接製品の品質を検査することがある、然るに、製品に微細な瑕疵が現れた場合、肉眼ではその瑕疵を発見しにくく、検査結果に誤差が生じやすい。
2.品質管理の人員は、計器によって製品の検査を行うこともあるが、その検査過程においても、人為的な操作の要素が混じり、同様に品質管理の誤差が生じやすい。
このように、上述従来の検査方式には、尚幾多の欠点があり、よい設計ではなく、改良が待たれていた。
本発明者は、上述従来の検査方式において派生する各項の欠点に鑑み、極力新規改良を試み、且つ長年の苦心研鑽の末、ついに本件の製品品質の検査システム及びその方法を開発することに成功した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製品品質の検査システム及びその方法を提供することにある。
その手順は、先ず、検査モジュールの中に一枚または複数枚数の良品の画像を保存し、更にその良品画像を複数個のピクセル区域に区分しておき、撮影装置によって検査対象製品の画像を撮影して検査モジュールへ送り込むと、検査対象製品の画像が同様に良品画像と同じようなピクセル区域に区分され、且つ良品画像と検査対象製品画像の対応するピクセル区域に対して照合比較分析を行い、前記検査対象製品の品質を正確に判断する。
本発明の別の目的は、製品品質の検査システム及びその方法を提供することにある、その手順は、製品を検査機具の上に固定し、且つ製品の対応する部分に撮影装置を架設し、撮影装置で撮影した画像の寸法がすべて同じく対応するようにして、検査モジュールと照合比較分析し易いようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成できる製品品質の検査システム及びその方法は、検査機具と、撮影装置と、検査モジュールと、を含む、前記検査機具は、製品を固定して立てておくためであり、この検査機具の上に撮影装置を架設し、撮影装置と製品を対応させ、両者位置の対応関係が常に変わらぬ様保持し、且つ撮影装置と検査モジュールを接続し、前記検査モジュールの中には、品質を判定する設定条件が保存されており、先ず良品を検査機具の上に位置決めし、且つ撮影装置によって一枚または複数枚数の良品画像を撮影し、そして良品画像を検査モジュールへ送る、検査モジュールは良品画像をデジタル信号に変換し、更に良品画像を複数個のピクセル区域に区分し、前記良品画像が検査対象製品の照合対比の基準となるようにし、検査対象製品の検査を行う時は、検査対象製品を検査機具の上に固定し、撮影装置によって検査対象製品の画像を撮影し、且つその画像を検査モジュールへ伝送し、デジタル信号に変換すると、検査モジュールが同様に検査対象製品の画像を良品画像と同じように複数個のピクセル区域に区分し、且つ良品画像と検査対象製品画像の対応するピクセル区域毎に相対的及び絶対的照合比較分析を行うことによって、検査対象製品と良品間の画像差異を正確に認知し、更に検査対象製品の瑕疵の内容を取得し、前記品質設定の条件に基いて、検査対象製品の品質を断定できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る製品の検査システム及びその方法は、その他従来の技術に比べ、下記のような長所が有る。
1.本発明は、予め検査モジュールの中に一枚又は複数枚数の良品画像の各ピクセル区域の標準値を保存しておき、撮影装置で対象完成品の画像を撮影して検査モジュールへ伝送すると、該対象製品画像の各ピクセルが先ず近隣ピクセルのデジタル信号の平均値と相対的に照合比較され、異常なものは更に良品画像に対応するピクセル区域の標準値と照合比較分析され、対象製品の品質を正確に判断する。
2.本発明は、製品を検査機具の上に固定し、且つ製品の対応する箇所に撮影装置を架設し、撮影装置が撮影した画像のサイズがみな同じ寸法になるようにして、検査モジュールが照合比較を行い易いようにしてある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照して、本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法は、主として、検査機具1と、撮影装置2と、検査モジュール3と、を含む。
検査機具1は、製品を置いて位置決めし、製品を検査機具1の上に立てておくためである。
撮影装置2は、検査機具1の上に架設し、且つ検査機具1の上に固定された製品に対応して設置し、両者の位置対応関係が変わらないよう保持し、且つ検査機具1上の調整装置によって、撮影装置2の撮影距離の調整を行い、撮影装置2が明晰な画像を撮影できるようにするためである。尚、前記撮影装置2は、カメラまたは撮影機であってよい。
検査モジュール3は、撮影装置2に接続され、検査モジュール3が撮影装置2で撮影した画像を受け取ると共に保存できるようにし、且つ画像をデジタル信号に変換し、更にその信号に対して後続処理を行い、且つ検査モジュール3の中に製品検査品質項目及び照合比較分析条件の設定を保存しておく。
【0008】
図2は、本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法によって良品画像を取得するフローチャートである。
ここでは、LCDパネルの赤色画面・緑色画面・青色画面・灰色画面及び黒色画面など5枚の良品画像を実施例とし、良品画像を取得する手順の説明を行う。
【0009】
ステップ1:先ず良好なLCDパネル(良品)を検査機具101のうえに固定する。
ステップ2:撮影装置2によってLCDパネルの赤色画面・緑色画面・青色画面・灰色画面及び黒色画面など5枚の良品画像を撮影し、且つ5枚の良品画像を検査モジュール102へ伝送する。
ステップ3:検査モジュールが5枚のLCDパネルの良品画像を受取ると、先ずそれぞれの良品画像をデジタル信号に変換し、更にそれぞれの良品画像を複数個のピクセル区域103に区分する。
ステップ4:それぞれのピクセル区域の最大値・最小値及び平均値を含む標準値を計算し、それぞれの良品画像のピクセル区域毎の標準値を製品の良・不良を判断する基準104とする。仮にその画像を300万ピクセルで撮影するとした場合、良品画像を100*100ピクセルを単位としてピクセル区域を区分し、更に良品画像を300個のピクセル区域に区分するとよい。上述300万ピクセル及び100*100ピクセル区域は、必要に応じて設定してよく、本願の特許請求範囲を制限するものではない。
ステップ5:良品画像において生成された標準値105を保存する。
【0010】
図3は、本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法の検査モジュール設定手順のフローチャートであり、説明を分かり易くするため、LCDパネルを実施例とした、その手順は、下記の通りである。
【0011】
ステップ1:入力インターフェースを通じて製品としてのLCDパネルの検査項目201、例えばLCDパネルのブライト・ドット、ダーク・ドット及び掠り傷など、を入力する。
ステップ2:入力インターフェースを通じて良品及び不良品の判定条件、例えばダーク・ドット及びブライト・ドットの個数及び掠り傷の長さなどの規格、を入力し、規格を超える場合は不良品202として判定する。良品は亦更に細かく区分し、検査完了した製品を各等級に分けてもよい。
ステップ3:検査項目は、入力インターフェースを通じて増減203することが出来る。
ステップ4:品質判定条件及び良品の等級分けは、入力インターフェースを通じて修正204することが出来る。
ステップ5:設定したデータ205を保存する。
【0012】
図4は、本発明に係るLCDパネルの検査ステップのフローチャートである。
その手順は、
ステップ1:検査対象LCDパネル(対象製品)を検査機具301の上に固定する。
ステップ2:撮影装置により検査対象製品LCDパネルをそれぞれ赤色画面・青色画面・緑色画面・灰色画面及び黒色画面として5枚の対象製品画像を撮影し、且つその5枚の対象製品画像を検査モジュールへ302伝送する。
ステップ3:検査モジュールは、5枚の対象製品画像をデジタル信号データ303に変換する。
ステップ4:対象製品画像の各ピクセル区域のデジタル信号及び近隣ピクセルのデジタル信号の平均値を一枚毎に先ず相対的な比較照合を行い、異常なピクセル304を選別する。若しどのピクセルも正常であるなら、検査結果をレポートとして出力する308。
ステップ5:デジタル信号の異常なピクセルは更に対応良品画像のピクセル区域の標準値と絶対的な比較照合を行い、且つ比較照合結果を分析してそのピクセルの瑕疵属性305を判定する。
ステップ6:ピクセル区域を単位として該区域の瑕疵を総合整理すると共に、該区域の瑕疵種類306を判定する。
ステップ7:品質規格に基いて品質等級を逐一判定し、製品の等級分類307を行う。最後に検査結果をレポート308として出力する。
【0013】
尚、上記ステップ2において撮影した良品画像の黒色画面は対象製品の掠り傷の照合比較検査用であり、撮影過程において、照明光を対象製品上に投射し、若し掠り傷があれば、検査モジュールへ伝送された対象製品画像には反射光が現れ、これを良品画像のピクセル区域毎に照合比較し、差異の部分が発見されることによって、掠り傷の情況が検知される。
【0014】
又、前記良品画像と対象製品画像は複数個のピクセル区域に区分され、一つ一つのピクセル区域の長さ・幅のサイズは同じであり、且つそのように特定されるので、一つ一つのピクセル区域を照合比較することによって、例えば、掠り傷の長さやシミの面積など、各項瑕疵の長さ及び面積を算出することが出来る。
【0015】
更に又、上述LCDパネルの検査は、本発明のより好ましい実施方式であり、本発明の特許請求範囲を制限するものではなく、本発明は、その他の製品、例えば、導線・回路板またはその他の商品検査にも応用できる、従って、本発明では、検査対象製品の種類によって一枚又は複数枚数の良品画像を撮影して検査モジュールに保存するとよい。
【0016】
上記詳細な説明は、本発明の実行可能な実施例の具体的説明であり、この実施例は本発明の特許範囲を制限するものではなく、凡そ本発明の技芸精神を逸脱せずになされる等価実施または変更は、すべて本案の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法の仕組み図である。
【図2】本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法において良品画像を取得するフローチャートである。
【図3】本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法において検査モジュールを設定するフローチャートである。
【図4】本発明に係る製品品質の検査システム及びその方法における対象製品の検査フローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1 検査機具
2 撮影装置
3 検査モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品品質の検査システムであって、
製品を載せて位置決めし、立てて置くための検査機具1と、
検査機具1の上に架設され、且つ検査機具1上の製品に対応して設置された撮影装置2と、
撮影装置2に接続され、撮影装置2が撮影した画像信号を受け取り且つ保存し、画像信号をデジタル信号に変換することの出来る検査モジュール3と、を含み、
前記モジュールに予め保存された製品の検査項目及び対応する良品規格及び不良品等級別規格は、顧客の需要に応じて、外部インターフェースによって修正し、品質判定の標準とすることが出来、一枚又は複数枚数の良品画像は画像毎に複数のピクセル区域に区分され、且つそのピクセル区域の標準値が算出され、
検査対象製品を検査機具1の上に固定し、且つ撮影装置2によって検査対象製品の画像をそれぞれ撮影すると共に、検査対象製品画像を、検査モジュール3へ伝送し、検査モジュール3は各検査対象製品の画像毎にデジタル信号に変換し、先ず各画像のピクセル信号とその周囲のピクセル信号の平均値とを照合比較することによって、異常なピクセルを検出し、更にこの異常なピクセルを該ピクセル区域の良品画像の標準値と照合比較分析し、良品の設定条件に基いて検査対象製品が良品であるか不良品であるかを判定する、
ことを特徴とする、製品品質の検査システム。
【請求項2】
前記検査機具1の上には調整装置を設け、撮影装置2の焦点距離を調整できるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の検査システム。
【請求項3】
前記検査モジュール3の中に保存された製品検査項目は、任意に増加又は減少することが出来ることを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の検査システム。
【請求項4】
前記検査モジュール3の中に保存された良品の照合比較条件は随意に変更できることを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の検査システム。
【請求項5】
前記検査モジュール3の中には、製品分類設定を保存して、検査対象製品を更に細かく分類することができることを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の検査システム。
【請求項6】
前記検査モジュール3は、良品画像及び検査対象製品画像を受け取った時、先ずピクセル区域毎に区分を行い、そして良品画像のピクセル区域毎の標準値は検査対象製品を検査する前に検知されることを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の検査システム。
【請求項7】
製品品質の検査方法であって、下記のステップを含むことを特徴とする、
先ず良品を検査機具1の上に固定し、且つ検査機具1の上の撮影装置2によって一枚又は複数枚数の良品画像を撮影して検査モジュール3へ送り、検査モジュール3は良品画像の信号をデジタル信号に変換したあと、更に良品画像を複数個のピクセル区域に区分し、且つ良品画像のピクセル区域ごとの標準値を計算し、検査モジュール3の中には又製品検査項目及び良品照合比較条件設定を保存する、ステップ1と、
検査対象製品を検査機具1の上に固定し、且つ撮影装置2によって一枚又は複数枚数の検査対象製品の画像を撮影して検査モジュール3へ伝送する、ステップ2と、
検査モジュール3が検査対象製品の画像をデジタル信号に変換する、ステップ3と、
検査対象製品の各ピクセルのデジタル信号とその周囲のピクセル信号の平均値を照合比較し、異常なピクセルを選別する、ステップ4と、
デジタル信号の異常なピクセルを更に良品画像のピクセル区域の標準値と照合比較し、且つ照合比較した結果を分析して瑕疵の種類を判定する、ステップ5と、
ピクセル区域を単位として各区の瑕疵を総合整理することによってその種類を判定する、ステップ6と、
設定された品質条件に基いて品質判定を行い、その瑕疵が軽少である場合は、製品の等級分類を行い、且つ検査結果をレポートとして出力する、ステップ7と、
を含むことを特徴とする、製品品質の検査方法。
【請求項8】
前記ステップ7において検査モジュール3が検査対象製品を良品又は不良品と判定した場合、すべて検査結果をレポートとして出力することを特徴とする、請求項7に記載の製品品質の検査方法。
【請求項9】
前記良品画像及び検査対象製品画像は、複数個のピクセル区域に区分され、ピクセル区域ごとの長さ・幅を同一寸法となし、且つ既知の長さ・面積と特定されるので、ピクセル区域毎に照合比較する模式によって各項瑕疵の長さ及び面積を計算できることを特徴とする、請求項7に記載の製品品質の検査方法。
【請求項10】
前記ステップ4において、各ピクセルがすべて正常であれば、検査結果をレポートとして出力することを特徴とする、請求項7に記載の製品品質の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−264876(P2009−264876A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113673(P2008−113673)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508126000)
【Fターム(参考)】