説明

複合されたピクチャをコンパイルし、ディスプレイに表示する装置及び方法

方法及びシステムでは、地表面の一部に対応する第1の地理的領域の地図に関するベクトルグラフィックスデータを受信し、ディスプレイ(3)上にベクトルグラフィックスデータに関する第1のデータを表示させ、第2の地理的領域に関するラスタグラフィックスデータを受信し、ディスプレイ(3)上における所定領域(35)内において前記第1のデータの上に前記ラスタグラフィックスデータに関わる第2のデータを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセッサ、メモリ及びディスプレイ、を含むナビゲーションシステムに関する。ここで、プロセッサは、メモリ及びディスプレイと接続され、メモリは、プロセッサにプログラムを実行させるための命令及びデータを格納する。そして、プロセッサは、地表面の一部に対応する第1の地理的領域の地図に関するベクトルグラフィックスデータを受信し、当該ベクトルグラフィックスデータに関わる第1のデータをディスプレイ上に表示し、ユーザ指示の受信に基づきルート計算を行う。
【背景技術】
【0002】
このようなナビゲーションは、今日、多くの自動車において幅広く使用されている。
【0003】
特許文献1に記載されるナビゲーションシステムは、地表面のビットマップデータを画面上に表示する。ビットマップデータは、第1のメモリ装置に格納される。しかし、このシステムは、ビットマップデータ上に対応する特徴部分が位置合わせされて、オーバーレイとして表示させるために取得されるフライトプランデータのようなルート情報を格納する第2のメモリを含む。ビットマップデータ上にオーバーレイされるデータは、ビットマップイメージ又はベクトルグラフィックイメージから取得される。しかし、この従来技術文献では、ベクトルグラフィックスイメージの表示に続けて、当該表示内でユーザから受信した入力に基づきルート計算を行う点については開示されていない。特許文献1における、画面全体を覆うビットマップデータは、本質的に、ルート計算のソースとして相応しくない。
【0004】
特許文献2で開示される自動車のナビゲーションシステムでは、データベースに格納されたビットマップデータに基づき画面上に道路地図を表示する。このシステムは、特定の道路区間内での封鎖に関する無線メッセージを受信するための受信機を有する。このシステムでは、無線メッセージを解読し、封鎖されていることをユーザに知らせるための特定のカラーを用いて、画面上の道路区域内の対応する画素を置き換える。したがって、特許文献2は、あるビットマップデータを他のビットマップデータにより置き換えることに関わるだけである。
【0005】
GPS(Global Positioning System)に基づくナビゲーション装置は、よく知られ、またカーナビゲーションシステムとして幅広く採用されている。このようなGPSベースのナビゲーション装置は、自身の地球上における位置を測定する能力を有する外部(又は内部)のGPS受信機と通信を行う機能を含む演算装置と関連する。また、演算装置は、出発地と目的地との間のルートを決定する能力を有する。出発地及び目的地の住所は、ユーザにより入力される。一般的に、演算装置は、地図データベースから出発地と目的地の間の最適なルートの位置の計算を行うソフトウェアにより実現される。最適なルートは、特定の基準に基づくものと理解すべきである。最適なルートは必ずしも、最も速いルートである必要はない。このような特定の基準は、予め格納されているか又はユーザから受信される。
【0006】
GPS受信機からの位置情報を用いることにより、演算装置は、定期的な間隔で当該装置の位置(通常、乗り物のダッシュボード上に載せられる)を測定でき、乗り物の現在位置をディスプレイを介してユーザに表示できる。また、演算装置は、適切なナビゲーション信号により決定されたルートの案内を、画面上に表示する、及び、スピーカから音響信号として生成する(例えば、100m先を左)、の両方若しくは一方により提供する。遂行されるべき動作を示す画像(例えば、左矢印による前方左折の指示)は、ステータスバー内に表示され、また、地図自身に表示された道路上におけるジャンクション/分岐点等の上に重ねられる。
【0007】
カーナビゲーションシステムにおいては、当該ナビゲーションシステムによって計算されたルートにしたがって自動車が運転されている間に、ドライバーによりルートの再計算が行われることを許容することが知られている。これは、乗り物が建設工事現場、又は激しい渋滞地点に直面している場合に有用となる。
【0008】
また、ナビゲーション装置に備わるルート計算アルゴリズムの種類をユーザに選択させるようにしたものも知られている。選択には、例えば、ノーマルモードやファーストモード(ノーマルモードほどたくさんの代替ルートの探索は行わないが、時間が最短となるルートの計算を行う)がある。
【0009】
また、例えば、ユーザは装置により計算されたルートよりも眺めのよいルートを好む場合があるので、そのようなユーザによって決められた基準を用いてルート計算を行うものも知られている。デバイスソフトウェアはその際、様々なルートを計算し、例えば、風景の美しいとされる、興味のある場所(名所(POI)として知られた場所)を最も多く含むルートを、当該計算された様々なルートから検討する。
【0010】
一般に、ナビゲーションシステムにより使用されるデータは、CD−ROM、又その類のものに格納される。当業者に知られる通り、このようなメモリ装置におけるメモリサイズの制限のために、道や湖、街、森等のような地形に関する格納データは、ベクトルグラフィックスベースである。
【特許文献1】国際公開第98/15912号パンフレット
【特許文献2】特開平4−305684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、歩行者及び自動車又はその他の輸送手段の運転者ための従来のナビゲーションシステムを改善する。より詳細には、ナビゲーションシステムのユーザに対して、ベクトルグラフィックスベースのナビゲーションシステムにおける改善情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明では最初に、以下のように定義されるナビゲーションシステムを提供する。すなわち、このナビゲーションシステムにおいて、プロセッサは、第2の地理的領域に関するラスタグラフィックスデータを受信し、ディスプレイ上における領域内の第1のデータの上に、ラスタグラフィックスデータに関わる第2のデータを表示させる。ここで、第2のデータは、緯度及び経度データが有効な場合において、ディスプレイ上の第1のデータと緯度及び経度に関して位置合わせされる。
【0013】
このようにして本発明は、ディスプレイ上のベクトルグラフィックスベースのデータを地理的に位置合わせするカーナビゲーションのユーザに対して、ラスタグラフィックス(又はビットマップ)ベースの地理的データの、おそらくは極めて詳細な、表示を簡単な方法で提供する。プロセッサは、位置合わせさせるために、拡大縮小や、必要な回転を行う。ユーザは、多くの極めてきめ細かな高画素密度の写真を、要望通りに、ナビゲーションシステムのハードディスク上に格納できる。ハードディスクは、例えば、ベクトルグラフィックスベースのフォームに地理的データが概ね格納されるCD−ROMよりも、より高い記憶能力を有する。ナビゲーションシステムのプロセッサは、ベクトルグラフィックスベースのデータにビットマップベースの地理的データを一体化させる。したがって、プロセッサは、ユーザにとって興味深い領域上、例えば、CD−ROMでは利用できない場合もある、公園内のウォーキング道やサイクリング道、の極めて詳細な地理的データを表示できる。勿論、CD−ROM自身も、いくつかのビットマップベースのデータを格納するようにしてもよい。
【0014】
地理的データは、2次元(2D)及び3次元(3D)のデータ両方を含んでいると理解されるべきである。
【0015】
実施形態において、本発明は、地表面の一部に対応する第1の地理的領域の地図に関するベクトルグラフィックスデータを受信し、ディスプレイ上にベクトルグラフィックスデータに関わる第1のデータを表示させ、ユーザ指示の受信に基づくルート計算を行う方法に関するものであり、この方法は更に、第2の地理的領域に関するラスタグラフィックスデータを受信し、ディスプレイ上における所定領域内の第1のデータの上にラスタグラフィックスデータに関わる第2のデータを表示させ、緯度及び経度のデータが有効である場合に、ディスプレイにおける第2のデータと、ディスプレイにおける第1のデータとを緯度及び経度について位置合わせすることを含む。
【0016】
更なる実施形態において、本発明は、命令及びデータを含み、そのような方法に従った所定のプログラムをプロセッサに実行させるコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【0017】
最後に、本発明は、そのようなコンピュータプログラムプロダクトを含むデータ記憶媒体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、いくつかの図面を参照して本発明を説明する。なお、以下に参照される図は、発明を図解することだけを目的としており、発明の範囲を限定するものではない。発明の範囲に相当する技術は、添付されたクレームに定義される。
【0019】
本発明の教示を目的として、本発明の好ましい方法及び装置の実施形態を以下に記載する。なお、添付の特許請求の範囲のみによって限定される本発明の概念から逸脱することなく、本発明の他の代替可能で等価な実施形態が想起され、実現化され得ることは、当業者には理解されることである。
【0020】
図1には、ナビゲーション装置が概略的に示される。
【0021】
ナビゲーション装置2は基本的に、ルート立案とナビゲーションを行う能力を有するコンピュータシステムである。ナビゲーション装置2は、周辺装置を有するホストプロセッサ1を備える。ホストプロセッサ1は、命令やデータを格納する1つ又は複数のメモリユニット5、7、9、11や、1つ又は複数の読み取りユニット17と接続される。1つ又は複数の読み取りユニット17は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク19、CD−ROM又はDVD21、又はフラッシュメモリカード、メモリスティック等の不揮発性メモリを包含するデバイス18から構成される。更に、プロセッサ1は、入力装置13や、出力装置としてのディスプレイ3や音声出力を行うスピーカ23とも接続される。
【0022】
入力装置13は、英数字(又は数字)のキーボード、タッチスクリーン又はタッチパッド、ポインターデバイス(例えば、十字形状のカーソル)、又はトラックボールから構成される。タッチスクリーンは、ディスプレイ3上に配され、入力装置としての仮想キーボードを有するようにしてもよい。
【0023】
図示されたメモリユニットは、RAM11、(E)EPROM又は不揮発性のRAM9、ROM7、及びディスク5を備える。しかしながら、より多くのメモリユニット、及び/又は、当業者に知られている他のメモリユニットで提供されてもよいと理解すべきである。更に、必要であれば、それらの1つ又は複数は、プロセッサ1から物理的に離れて設置されてもよい。
【0024】
また、プロセッサ1は、一つのボックスとして示されているが、いくつかの処理ユニットが並列に機能するようにしてもよいし、いくつかの処理ユニットが1つのメインプロセッサにより制御されるようにしてもよい。これらの処理ユニットは、互いに離れて設置されてもよく、例えば、当業者に知られるように、ネットワーク接続形態に配置されてもよい。
【0025】
ナビゲーション装置2は、更に位置センサ29と接続される。位置センサ29は、衛星31からGPS信号を受けるためのGPS受信機として示されているが、その替わり又は追加として、ナビゲーション装置2の動作変化を感知するための加速度計(或いはジャイロスコープ)、又はその他の位置センサで実現されてもよい。
【0026】
なお、位置センサ29は、ナビゲーション装置2に固定的に接続されてもよいし、また、ナビゲーション装置2から(例えば、ドックやコネクター等により)取り外し可能であってもよい。
【0027】
ナビゲーション装置2は、ネットワークに接続するためのI/O接続装置25を有している。ナビゲーションシステムは移動可能であるため、I/O接続装置25は通常、移動体通信をナビゲーションシステムに提供する。
【0028】
ナビゲーション装置2のプロセッサ1は、本発明の方法を実施するソフトウェアコードを実行する能力を有する。このようなコードの命令やデータは、メモリユニット5、7、9、11に格納される。命令やデータは、その趣旨で、データ担体(data carrier)に格納されるか、メモリユニット5〜11に格納される前に例えばインターネットを介してダウンロードされる。
【0029】
使用に際して、メモリユニット5〜11、又は外部のCD−ROMには、地図データベースが含まれる。地図データベース内には、居場所を示す情報に関する地図データが格納される。このことについて、以下でより詳細に説明する。
【0030】
図2には、ナビゲーション支援装置として使用されるディスプレイ3が示される。すなわち、地図の道路33を表示する。また、例えば矢印37を用いて、GPS受信機29により測定された地図上におけるナビゲーションシステムの位置を表示する。30は森、32は水路、34は建造物、そして、36はデータが欠落した領域を示す。ナビゲーションシステムは、自動車のような乗り物に搭載されることになるが、代替として、携帯型の装置の一部、例えば、電子手帳、又は携帯電話に搭載されてもよい。地図自身に関するデータは、当業者に知られているように、例えば、CD−ROM上に格納される。当該データは、ナビゲーションシステムの位置に基づいて、又は、出発地の住所(位置)と目的地の住所(位置)に関する入力データに基づいてナビゲーションシステムにより計算されたルートに基づいて、プロセッサ1によりCD−ROMから取得される。出発地の住所(位置)は、GPS受信機29のデータから自動的に取得される場合もある。地理的データは、ベクトルグラフィックスデータである。これら全ては従来技術であり、これ以上の説明は必要ない。
【0031】
ナビゲーションシステムのユーザにより問題に出くわす場合もある。すなわち、彼又は彼女は、ディスプレイ3上に表示された地図内における特定の領域35の、更に(或いは他の)地理的関係のあるデータを参照したいと所望する。ここで、「地理的関係のあるデータ」は、地表面上の物体(家、自動車、ボート、森等)を含む地表面を参照することを意味するが、また更に、注目領域の全体を実際に覆う当該地表面の上方に存在し得る、物体(飛行機、雲等)を含む地表面の参照をも意味する。このような領域35には、例えば、都心の歩行者用区域や、公園、公園や森における歩行者やサイクリストだけがアクセスできる道、エキシビジョンエリア等が該当する。このとき、ディスプレイ上に表示される地図においては、例えば、いくつかの道が領域35に向かっているが、領域35内に所望する地理的データは見当たらない。本発明によれば、これは、ベクトルグラフィックスデータに領域35のラスタグラフィックスデータを組み込ませて表示させることで解決される。ここで、領域35内のデータは、表示されたベクトルグラフィックスデータの緯度と経度に関して位置合わせされる。ラスタグラフィックスデータは、どのような種類のビットマップデータでもよく、Windows(登録商標)ビットマップのようであってもよいし、ソフトウェアオブジェクトであってもよい。
【0032】
ラスタグラフィックスデータは、例えば、航空写真や衛星写真のような、領域35の写真に基づくものでよい。このような写真は、例えば、ハードディスク5のような、メモリユニットに格納される。写真は、他装置からダウンロードされてもよい。例えば、衛星から直接にダウンロードされてもよいし、又は多数の航空写真や衛星写真を格納しているサーバ(不図示)からネットワーク27を介してダウンロードされてもよい。このようなサーバには、例えば、一群のユーザが、例えば、使用料を払っているため適切なアクセス権を有している場合に、当該サーバへの新しいイメージの格納や、当該サーバからのイメージの読み出しの少なくともいずれかのためのアクセスが可能となる。このようなサーバは基本的に、図1に示されるような構成を有する。ナビゲーションシステムは、ナビゲーションシステム自身の位置を取り囲んでいる領域のラスタグラフィックスデータをベースとした写真を継続的にダウンロードするようにプログラム化されている。あらゆる画素に関する高度値に関するデータも格納される。発明を更に詳細に説明するため、図3に領域35を拡大したものを示す。
【0033】
領域35は、複数個の画素を有する。上方左側の画素には、緯度及び経度の座標(Txl,Tyl)、上方右側の画素には、緯度及び経度の座標(Txr,Tyr)、下方左側の画素には、緯度及び経度の座標(Bxl,Byl)、そして下方右側の画素には、緯度及び経度の座標(Bxr,Byr)を有する。これら緯度及び経度の座標(Txl,Tyl)、(Txr,Tyr)、(Bxl,Byl)、(Bxr,Byr)のいくつか或いは全ては、これらが関係する画素とともに格納されている。ナビゲーションシステムは、ディスプレイ3上に表示された地図内の領域35における地図を自動的に実行するようにプログラム化されており、このことについて、図4を参照して説明する。
【0034】
図4には、メモリユニット5〜11に格納されたプログラムに従ったナビゲーションシステムにおける動作の一例を示すフローチャートが示される。このフローチャートでは、ベクトルグラフィックスデータが領域35の外側の領域において、既にディスプレイ3上に表示されているものと仮定する。このプログラムが401において開始されると、領域35に関するラスタグラフィックスデータが選択される。この選択は、ラスタグラフィックスデータ探索のため、ナビゲーションシステムがユーザの指示から受信した命令に基づき行われる。ラスタグラフィックスデータは、既にメモリに格納されている。その格納場所は例えば、ハードディスク5であってもよいが、リアルタイムにラスタグラフィックスデータをダウンロードし一時的にRAM11に格納することも可能である。403の処理では、プログラムが自動的に適合させられるか否かチェックを行う。このチェックは、当該受信したラスタグラフィックスデータがシステムに適した緯度及び経度のデータを有する場合に限り行える。403の処理において、システムが自動的に適合させることができると判定した場合には、405の処理に進む、そうでなければ処理404に進む。
【0035】
405の処理において、プロセッサ1は、受信したラスタグラフィックスデータの少なくとも2画素の緯度及び経度の座標を割り出す。そして、407の処理において、ディスプレイ3上の2つの位置と、これら2画素を適合させる。一般に、2画素からの緯度及び経度のデータは、適合の計算に十分である。これ以上の画素からのデータは、矛盾を生じさせてしまうが、非線形の適合のためには必要とされる場合もある。この適合を元に、409の処理において、プロセッサ1は、ラスタグラフィックスデータのための変換データを取得する。すなわちプロセッサ1は、これらラスタグラフィックスデータを、領域35内に表示され、当該領域35を取り囲んでいるデータに位置合わせされる写真へと変換するのに必要となる変換データを取得する。変換データは、回転データ及び乗算要素を含む。ラスタグラフィックスデータを適合させるために、当該ラスタグラフィックスデータの画素数を、例えば、100の因数により減少させる必要がある(すなわち、100分の1の乗算要素)。そして、表示すべき写真のあらゆる画素の表示データ(例えば、カラー)は、プロセッサにより元の画素の画素データに基づく平均として、例えば、元の画素を取り囲む100個の画素の平均として計算される。ラスタグラフィックスデータの画素数がディスプレイ3上における画素数に満たない場合には、元の画素の間に位置する画素のための画素データを、プロセッサにより計算する必要がある。このためには、例えば、補間画素データが計算される。411の処理では、再計算処理が示されている。413の処理において、領域35内に結果として生じたビットマップが表示される。ステップ413以降、領域35内には、これ以外のベクトルグラフィックスベースのデータは表示されない。しかし、多くの場合、領域35内におけるベクトルグラフィックスベースのデータの少なくとも道路は、参照が望まれる。そのため任意で、処理415において、領域35内のベクトルグラフィックスデータの所定部分、例えば、道路33を再表示する。これらベクトルグラフィックスベースのデータは完全に、領域35内のラスタグラフィックスデータを覆うようにしてもよいし、透き通って表示されるようにしてもよい。
【0036】
処理411においては状況に応じて、プロセッサ1は、結果により生じたビットマップに含まれる画素データが、情報密度の度合いに関する予め決められた第1の精密度レベルを超え、また予め決められた第2の精密度レベル以下に留まっているかチェックを行う。なお、第2の精密度レベルは、第1の精密度レベルよりも高い。この第1の精密度レベルを超えていなければ、ユーザは、ディスプレイ3上の領域35内にいかなる実益のあるデータがあろうとも識別できないこととなる。一方、第2の精密度レベルを超えているならば、極めて詳細すぎるため、実益のあるデータを識別できないこととなる。更に後者の場合、システムは極めて遅くなる。このとき、ディスプレイ3上に結果として生じたビットマップが表示できない趣旨をユーザに知らせるためのメッセージを表示するようにしてもよい。
【0037】
403の処理において、システムが画素の適合を自動的に行えなかった場合には、上記説明した通り、404の処理に進む。404の処理において、プロセッサ1は、領域35内のラスタグラフィックスデータをディスプレイ3上に表示する前に、ユーザからラスタグラフィックスデータに対する回転や乗算に関する指示を受信するまで待機する。プログラムは、続けて411の処理を行う。そして、404の処理で受信したユーザからの入力に基づく画素データの再計算を行う。413の処理では、プロセッサ1は、再計算されたデータを表示する。状況に応じて413の処理に続いて415の処理を行う。上述したように、ユーザは、ラスタグラフィックスデータを表示させるための拡大縮小を決めることができる。ユーザは、領域35を取り囲んでいる地図のベクトルグラフィックスデータに位置合わせするように、ラスタグラフィックスデータに回転や拡大縮小を行う。また、状況に応じては、ユーザがいくつかの詳細な記述を参照するために倍尺を選択することもできる。
【0038】
図5は、図4を参照して説明した方法の結果の一例を示す図である。プロセッサ1の指示によりナビゲーションシステムのプログラムが実行され、以下の表示が行われる。
1、注目領域内のベクトルグラフィックスデータから少なくとも一続きの道路33を表示させること。
2、道路33外部の領域の写真、及び領域35の外側を含むビットマップの画素を表示させること。
3、領域35内のエキシビジョンエリアの詳細な地図を含むビットマップの画素を表示させること。
【0039】
図5の画面表示では、全てのタイプのデータセット(ベクトルグラフィックス、ラスタグラフィックス)の全ての地理的データが緯度及び経度に応じて互いに位置合わせされている。実際、これは全ての選択された道路33がディスプレイ3上に常に表示されることを意味するが、他の領域では、全ての領域の写真は、エキシビジョンエリアの地図が表示されている領域35とは別に表示される。
【0040】
場合によっては、ディスプレイ3を介してユーザにデータを表示する前に、プロセッサ1が、遠近画面を表示させるために、データを更に変換してもよい。このような遠近画面への変換は、当業者に知られているため、ここではこれ以上の説明は必要ない。「本物」の遠近画面の替わりに、例えば、zバッファ、又は元のデータにおける他の変換を介して「半遠近画面(又はそれ以外)」の表示を行うようにしてもよい。
【0041】
以上説明したとおり、このシステムは、いくつかの利点を有する。
【0042】
1、航空又は衛星写真に関するラスタグラフィックスデータが格納又はダウンロードされた場合に最終的に表示される画素データは、システムを使用する操作者にとって魅力ある実際のカラーデータから生成されることになる。更にそれらは、例えば、川、森、森の小道等の画像であるため、操作者は自身が行くべき正確な方向に容易に向かうことができる。更にGPSシステムが、たとえ道路33の外側にあっても表示できる。これは、ナビゲーションシステム自身ではその時、計算できないルートであっても表示できるということである。
【0043】
2、ラスタグラフィックスデータは、領域35に関して、全国の地図を格納できるCD−ROMよりも、より詳細なデータとなる。したがって、ユーザは、そのような興味のある領域35のためのより詳細なデータをメモリユニット5〜11に格納する。興味のある領域35とは、例えば、ウォーキングエリア又はサイクリングエリア、広いエキシビジョンエリアの歩道又はアミューズメントパーク、川、湖、海等である。このような領域に応じた詳細なデータは、通常、CD−ROM上のナビゲーションデータには見当たらない。このような詳細なラスタグラフィックスデータは、インターネット会社から購入することができる。
【0044】
3、ラスタグラフィックスデータは、リアルタイムにダウンロードできる。すなわち、複数のユーザによってイメージの共有と取得を共有することができるサーバ、或いは衛星からラスタグラフィックスデータをリアルタイムにダウンロードできる。ダウンロードされるラスタグラフィックスデータは、散歩が望まれたり、現在の気象状況が見られたりする特定の領域に関するものである。或いは、ユーザは、アミューズメントパークの近くにある駐車場エリア、又はビーチの近くにある駐車場エリア、又は1つ又は複数の道路上の交通渋滞の衛星写真をリアルタイムにダウンロードすることができる。特定の領域35のリアルタイムな状態に基づくため、特定の目的地への赴き方を決定するのに、よりよい状態となる。
【0045】
4、ラスタグラフィックデータは、例えば、エッフェル塔から撮影されたパリの中心部の写真のように、ユーザ自身により撮影された(デジタル)写真に基づいていてもよい。ユーザがすべきことは、写真を格納する際に緯度及び経度を加えること、又は、ディスプレイ3上でこの写真の位置合わせを手動で行うことのみである。
【0046】
実際に図2におけるディスプレイ3上に表示される地図では、矢印37を用いてナビゲーショシステムの位置を表示している。しかし状況によっては、ユーザに、ナビゲーションシステム自身の位置を含まない地図の一部を選択させるようにしてもよい。
【0047】
実施形態においては、メモリユニット5〜11が、多数のラスタグラフィックスベースの写真を格納している。これらの写真は、図5を参照して既に説明したように、重なった領域を有していてもよい。このことについては、部分的のみ重なった写真が示される図6を参照して更に詳細に説明する。
【0048】
図6は、ディスプレイ3及び複数個の領域35(i)を示す。領域のi=1,2・・・は、これらの領域35(i)それぞれを指す。メモリユニット5〜11には、異なるラスタグラフィックスベースの写真が格納される。例えば、衛星写真、フォトグラフ、イメージである。この例では、領域35(i)が異なれば、ラスタグラフィックスベースの写真の情報密度も異なるものと仮定する。ここで、情報密度は、そのビットマップ内で画素数により分割されたビットマップにより描画された所定領域内の平米(m)数として定義される。更に、いくつかの写真は重なった領域と関連する。領域35(1)及び領域35(2)に関する写真は、領域35(1/2)が重なりを有して表示される。領域35(3)及び領域35(4)に関する写真は、領域35(3/4)が重なりを有して表示される。領域35(5)に関する写真は、メモリユニット5〜11内のどの写真とも重ならない。
【0049】
また、図6には、領域35(1)の一部、領域35(1/2)の重なり、領域35(2)の一部を含む領域35についてのより詳細な情報をディスプレイ3に表示させることをユーザが望み、ユーザが指示した状態が示されている。より詳細な情報としては、例えば、ディスプレイ3全体の範囲内におけるベクトルグラフィックスデータの道路である。プロセッサ1は、例えば、下記に説明する方法で、最も高い密度のラスタグラフィックスデータを選択する。
【0050】
最初に、ナビゲーションシステムが新たなラスタグラフィックスピクチャを受信する都度、プロセッサ1は、受信した写真の画素密度を示す情報とともに、受信した写真からこれらの写真が関連する緯度及び経度のデータ(すなわち座標)を取得する。これらの写真は、これらの緯度及び経度のデータ(座標)に依存して格納される。
【0051】
次に、ナビゲーションシステムがユーザからグラスグラフィックスデータをベクトルグラフィックスデータに一体化させてディスプレイ3上に表示させるための命令を受信した場合、プロセッサ1は、図7に示す処理を実行する。
【0052】
701の処理において、プロセッサ1は、領域35内におけるラスタグラフィックスデータの一体化に関するユーザからの指示を受信する。
【0053】
703の処理において、プロセッサ1は、ユーザから受信した指示に配慮して、領域35の座標データを選択する。
【0054】
705の処理において、プロセッサ1は、メモリユニット5〜11から領域35に関するラスタグラフィックスピクチャを探索する。
【0055】
707の処理において、プロセッサ1は、該当のラスタグラフィックスピクチャが見つかるかチェックを行う。YESならば709の処理に進み、NOならばプログラムの終わりに進む。
【0056】
709の処理において、プロセッサ1は、見つかった全てのラスタグラフィックスピクチャを密度に従ってソートする。
【0057】
711の処理において、プロセッサ1は、領域35内における最も密度の低いものから最も密度の高いものまでディスプレイ3上に表示する。これは、特定画素に関して、いくつかの密度の順位からラスタグラフィックスデータが利用され得ることを意味する。最後に、最も順位の高い画素密度のラスタグラフィックスデータだけが表示される(画素密度の順位の低いデータを上書きする)。セミプログラミング言語において、上記処理は以下のように示される。
【0058】
ピクチャXを描画する
ディスプレイ3上の領域35内の各画素Pに関して、画素PのカラーをカラーCにセットする。ここで、カラーCは、下記に示す通りに決められる。
【0059】
領域35の座標データ内で、画素Pにより表される座標Lを、補間により決定する。
【0060】
次に、カラーCは、あるピクチャXのピクチャ画素P1のカラーに決定される。ここで、ピクチャXのピクチャ画素P1は、
−ピクチャXが、座標Lを含み、
−座標Lを含みピクチャXより高画素密度となるピクチャYが存在せず、
−ピクチャXにおいて、ピクチャ画素P1よりも、座標Lに近い座標を示すピクチャ画素P2が存在しないように、決定される。
【0061】
実際に、例えば、ハードディスク5は、非常に多量のラスタグラフィックスデータを格納できる。そのため、多くの写真は、ハードディスク5内に格納できる。これらの写真の大部分は、適切な特定の時にユーザが興味を持つ領域の外側の領域に関するものである。領域35の緯度及び経度の情報をユーザから受信することにより、プロセッサ1は、領域35のためあらゆる利用できるラスタグラフィックスデータを簡単に探索できる。そのために、プロセッサは、周知の探索アルゴリズムのいずれかを使用する。例えば、緯度及び経度のデータが順番通りに格納されたラスタグラフィックスデータがある場合には、バイナリー探索アルゴリズムを用いることができる。
【0062】
ディスプレイ内で高さ情報が表示されることを含むことに関しては、以下のことが観察される。格納されたベクトルグラフィックスデータは、ディスプレイ3上で、例えば、遠近表示を生成するのに使用される、高さデータを含むことが可能である。また、ラスタグラフィックスデータからの2Dデータをそのような表示に一体化させることもできる。或いは、ベクトルグラフィックスデータが2Dデータだけに関連し、ラスタグラフィックスデータが3Dビットマップデータに関連するようにしてもよい。しかしまた、例えば、遠近図における3Dデータとして、あるいはその3Dデータから派生した2Dデータとして領域35内の3Dビットマップデータを表示することにより、これら2D及び3Dのデータを一体化させてもよい。
【0063】
ベクトルグラフィックスデータ及びラスタグラフィックスデータの両方を含む領域内の表示では、タイプに応じて異なる輝度で表示してもよいし、又は、これらのタイプの一方を透明手法によって表示して、一方のタイプのデータを通して他方のタイプのデータが見えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明が適用されたシステムの概要を示す図である。
【図2】写真に応じて表示されたディスプレイの一例を示す図である。
【図3】図2の表示の一部を拡大した図である。
【図4】本発明の一実施形態に従ったシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】イメージを基礎とした2つのラスタグラフィックスデータ及びベクトルグラフィックスデータに基づく写真を示す図である。
【図6】異なる写真、場合によっては異なる画素密度、に関するラスタグラフィックスデータの表示を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に従ったシステムにおける重なり領域が異なった写真を利用した場合の動作を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(1)、メモリ(5,7、9、11)及びディスプレイ(3)を含み、前記プロセッサ(1)は、前記メモリ(5、7、9、11)及び前記ディスプレイ(3)と接続され、前記メモリ(5、7、9、11)は、前記プロセッサ(1)にプログラムを実行させるための命令及びデータを格納し、
前記プロセッサ(1)は、
地表面の一部に対応する第1の地理的領域の地図に関するベクトルグラフィックスデータを受信し、
前記ディスプレイ(3)上に前記ベクトルグラフィックスデータに関わる第1のデータを表示させ、
ユーザ指示の受信に基づくルート計算を行い、
更に、前記プロセッサ(1)は、
第2の地理的領域に関するラスタグラフィックスデータを受信し、
前記ディスプレイ(3)上における所定領域(35)内において、前記第1のデータの上に前記ラスタグラフィックスデータに関わる第2のデータを表示させ、
緯度及び経度のデータが有効である場合に、前記ディスプレイ(3)における前記第2のデータと、該ディスプレイ(3)における前記第1のデータとを前記緯度及び前記経度に関して位置合わせする、ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記第2のデータは、前記第1のデータより詳細である
請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記プロセッサ(1)は、更に、
前記第1のデータの所定部分を前記第2のデータの上に再表示させる
請求項1又は請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ベクトルグラフィックスデータ及び前記ラスタグラフィックスデータの少なくとも1つは、高さ情報を含む
請求項1から3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記プロセッサ(1)は、
前記第2のデータに含まれる画素が予め決められた第1の密度レベル以上となり、該第1の密度レベルよりも高い密度を示す予め決められた第2の密度レベル以下となる場合に、該第2のデータを表示させる
請求項1から4のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記プロセッサ(1)は、
遠近図で前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも1つを表示させる
請求項1から5のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記ラスタグラフィックスデータを外部からダウンロードする
請求項1から6のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
ナビゲーションシステム自身の位置を取り囲む領域のラスタグラフィックスデータベースの写真を継続的にダウンロードする
請求項7記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記ラスタグラフィックスデータは、リアルタイムの写真データを含む
請求項7又は8記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記プロセッサ(1)は、位置センサ(29)と接続され、
前記ディスプレイ(3)上にナビゲーションシステムの位置を表示するために前記位置センサ(29)から受信したデータに基づき該ナビゲーションシステムの位置を測定する
請求項1から9のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
前記プロセッサ(1)は、
出発地の位置データ及び目的地の位置データに基づき前記ルート計算を行う
請求項10記載のナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記メモリは、ラスタグラフィックスデータの複数の部分を格納し、
前記プロセッサ(1)は、所定の基準に従って1つ以上の部分を選択し、前記選択された1つ以上の部分を前記第2のデータへ変換する
請求項1から11のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項13】
前記複数の部分は、
重なる地理的領域に関する少なくとも2つの部分を含む
請求項12記載のナビゲーションシステム。
【請求項14】
前記基準は、地表面領域毎の画素密度に基づくものである
請求項13記載のナビゲーションシステム。
【請求項15】
前記メモリは、緯度及び経度情報に応じた順番で前記複数の部分を格納する
請求項14記載のナビゲーションシステム。
【請求項16】
前記プロセッサ(1)は、
前記第2のデータが適合する緯度及び経度のデータを含んでいない場合に、ディスプレイ(3)における該第2のデータを回転及び拡大縮小させるためにユーザからの変換命令を受信する
請求項1から15のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項17】
地表面の一部に対応する第1の地理的領域の地図に関するベクトルグラフィックスデータを受信し、
ディスプレイ(3)上に前記ベクトルグラフィックスデータに関わる第1のデータを表示させ、
ユーザ指示の受信に基づくルート計算を行い、
第2の地理的領域に関するラスタグラフィックスデータを受信し、
前記ディスプレイ(3)上における所定領域(35)内において前記第1のデータの上に前記ラスタグラフィックスデータに関わる第2のデータを表示させ、
緯度及び経度のデータが有効である場合に、前記ディスプレイ(3)における前記第2のデータと、該ディスプレイ(3)における前記第1のデータとを前記緯度及び前記経度に関して位置合わせする、方法。
【請求項18】
命令及びデータを含み、請求項17記載の方法に従った所定のプログラムをプロセッサに実行させる、
コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項19】
請求項18記載のコンピュータプログラムプロダクトを含む
データ記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−537102(P2008−537102A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500646(P2008−500646)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000173
【国際公開番号】WO2006/096044
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】