説明

複合樹脂粒子の製造方法及び複合樹脂粒子

【課題】 炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須単量体とする樹脂微粒子が吸着された、耐熱保温性と溶融特性に優れた複合樹脂粒子の水性分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】 炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須単量体とする樹脂微粒子を含む樹脂水性分散体中に、他の樹脂もしくはそれらの有機溶剤溶液を分散させ、前記樹脂微粒子を含む樹脂水性分散液中で、前記他の樹脂からなる樹脂粒子の表面に前記樹脂微粒子が吸着された構造の複合樹脂粒子の水性分散体を製造する方法であって、前記樹脂微粒子を含む樹脂水性分散体が、前記樹脂微粒子の製造工程における水性分散媒として70〜90重量%の水及び10〜30重量%の水混和性有機溶媒からなる水性分散媒を使用し、前記ビニル樹脂の重量に基づいて15重量%以下の分散剤を使用することを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合樹脂粒子の製造方法に関する。より詳細には、炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須構成単量体とするビニル樹脂からなる樹脂粒子を表面に有する複合樹脂粒子の製造方法、該製造方法によって得られる複合樹脂粒子、及び電子写真トナー用樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の複合樹脂粒子の製造方法が提案されている。例えば、特許文献−1には、粒子粒径が比較的均一な複合樹脂粒子を得る方法として、樹脂粒子(A)の水性分散体中で樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法が提案されている。さらに、特許文献−2では、特定の形状係数を有する複合微粒子が開示されている。
【特許文献−1】特開2002−284881号公報
【特許文献−2】国際公開WO2003/037964号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの複合樹脂微粒子は、その表面に付着した樹脂が炭素数の比較的短いアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等を主たる単量体とする樹脂であったため、複合樹脂粒子の溶融特性、特に電子写真トナー用の樹脂粒子としての低温定着性などに問題があった。それを解決するために炭素数の比較的長いアルキル(メタ)アクリレートを使った樹脂粒子の水性分散体を製造しようとしても、分散安定性が不安定であって、多量の分散剤(界面活性剤など)を使って分散させる必要があった。そのため、残存する多量の分散剤が、複合樹脂粒子の表面の溶融特性を阻害し、目的の複合樹脂粒子を得ることは困難であった。
【発明の効果】
【0004】
本発明の複合樹脂粒子の製造方法は、多量の界面活性剤を使用せずに炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須構成単量体とするビニル樹脂からなる樹脂微粒子の水性分散体を得ることができ、これを用いた複合樹脂粒子の製造方法で得られた複合樹脂粒子は、溶融特性に優れ、特に電子写真トナー用樹脂としての耐熱保存性及び低温定着性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下に、本発明を更に詳しく説明する。本発明における樹脂微粒子(A)[以下において、単に(A)と表記する場合がある]は、ビニル樹脂(A1)[以下において、単に(A1)と表記する場合がある]から構成されている。ビニル樹脂(A1)は、アルキル基の炭素数が20〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)[以下において、単に(a1)と表記する場合がある]を必須構成単量体としていることにより、複合樹脂粒子となった場合の優れた保存安定性や低温での優れた溶融特性が発揮でき、特に電子写真トナー用樹脂粒子として使用した場合に優れた低温定着性を発揮する。
【0006】
前記(a1)の具体例としては、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トリコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、ペンタコシル(メタ)アクリレート、3−メチルペンタコシル(メタ)アクリレート、9−メチルペンタコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート及びトリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、複合樹脂粒子となったときの保存安定性及び電子写真トナー用樹脂粒子としての低温定着性の観点から、好ましくは、ドコシル(メタ)アクリレート、トリコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、ペンタコシル(メタ)アクリレート、3−メチルペンタコシル(メタ)アクリレート、9−メチルペンタコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート及びオクタコシル(メタ)アクリレートである。また、これら2種以上を併用してもよい。
【0007】
本発明におけるビニル樹脂(A1)としては、炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)のみを構成単量体とするビニル樹脂(A11)、並びに、(a1)及び(a1)と共重合可能なその他のビニル系モノマー(a2)[以下において、単に(a2)と表記する場合がある]を構成単量体とするビニル樹脂(A12)が挙げられる。
前記ビニル樹脂(A12)を構成するその他のビニルモノマー(a2)としては、下記(m1)〜(m14)が挙げられる。
(m1)ビニル系炭化水素:
(m1−1)脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類[例えばエチレン、プロピレン及び前記以外のα−オレフィン等];アルカジエン類[例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等]。
(m1−2)脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類[例えば(ジ)シクロペンタジエン等];テルペン類[例えばピネン等]。
(m1−3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体[例えばα−メチルスチレン及び2,4−ジメチルスチレン等];及びビニルナフタレン。
(m2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜19)エステル[例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル及び桂皮酸等]。
(m3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等);スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド[例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、及び硫酸エステル若しくはスルホン酸基含有ビニルモノマー等];並びにそれらの塩等。
(m4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル[例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等]、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(m5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
(m6)含窒素ビニル系モノマー:
(m6−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート等。
(m6−2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等。
(m6−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等。
(m6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド及びジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの等)等。
(m7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルオキサイド等。
(m8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
(m9)ビニルエステル:
例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート及びメチル4−ビニルベンゾエート等。
(m10)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート:
例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート及びヘプタデシル(メタ)アクリレート等。
(m11)ジカルボン酸のジアルキルエステル:
例えば、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、及びジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)等。
(m12)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー:
例えばポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等。
(m13)多官能(メタ)アクリレート類:
例えば多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等。
(m14)その他のビニル系モノマー:
イソシアナトエチル(メタ)アクリレート及びm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
【0008】
(m1)〜(m14)のうち、樹脂微粒子(A)の粒子径の均一性の観点から、好ましいのは(m1)及び(m10)であり、さらに、樹脂(A1)と樹脂(B1)を相互に吸着し易くすることができるという観点から、少量の(m2)、(m3)及び(m4)を使用することがさらに好ましい。特に好ましいのは(m1)のうちの(m1−3)芳香族ビニル系モノマー、(m2)のうちの不飽和モノカルボン酸、及び(m10)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びこれらの併用である。特に、アクリル酸又はメタクリル酸を単量体の1種として併用すると、後述のように樹脂微粒子(A)の表面にアニオン性基を有するので好ましい。
【0009】
ビニル樹脂(A1)は、水性分散体中で樹脂微粒子(A)を形成することが必要であることから、少なくとも水性分散体を形成する条件下で水に完全には溶解しないことが必要である。そのため、ビニル樹脂(A1)がその他のモノマー(a2)との共重合体(A12)である場合には、ビニル樹脂(A1)を構成するモノマー(a1)の比率は、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることが更に好ましい。
【0010】
ビニル樹脂(A1)の融点は保存性の観点、及び熱特性の観点から50〜150℃であり、好ましくは55〜140℃、より好ましくは60〜130℃である。50℃より低い場合は、後述の複合樹脂粒子が長期間の保管によりブロッキングしやすくなる。また150℃より高い場合、例えば電子写真トナーとして使用する場合、低温定着性が悪化する。
ビニル樹脂(A1)の融点は公知の方法により測定することができ、例えば示差走査熱量測定(DSC)における吸熱ピークより求めることができる。
【0011】
ビニル樹脂(A1)の数平均分子量としては、キャリア汚染性及び溶融粘度の観点から、好ましくは1,000〜1,000,000であり、更に好ましくは1,100〜500,000、特に好ましくは1,200〜300,000である。本発明における上記及び以下の数平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたGPCで測定したものである。
【0012】
樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体は、ビニル樹脂(A1)の分散工程における水性分散媒として、通常70〜90重量%、好ましくは75〜85重量%の水(F1)、及び通常10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の水混和性有機溶媒(F2)からなる水性分散媒(F)を使用することを特徴とする。前記(F2)が15〜25重量%であると、さらに樹脂微粒子(A)の粒子径が均一になる傾向にある。
【0013】
樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体の製法は、製造しやすさの観点から、水性媒体中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法及び懸濁重合法等で重合させる方法により、直接、樹脂水性分散体を製造する方法が好ましい。重合方法は、バッチ式重合法、連続チューブ式重合法、半連続重合法等通常用いられるいずれの方法でもよい。バッチ式重合法の場合、溶媒、界面活性剤、モノマー及び開始剤を一括に仕込んで重合を行っても、また、モノマーや開始剤を滴下しつつ重合してもよい。
【0014】
水性分散媒に使用される水混和性有機溶媒(F2)は、20℃における水に対する溶解度(g/水100g)が溶解性の観点から5以上の有機溶媒であり、好ましくは10以上のものである。具体的には、下記の一価アルコール、多価アルコール、アルコール以外の水混和性有機溶媒が挙げられる。
【0015】
一価アルコールとしては、炭素数1〜4の脂肪族アルコール;前記アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)を付加した化合物;及びこれらの混合物が挙げられる。炭素数1〜4の脂肪族アルコールとしてはメタノール、エタノール及びイソプロパノール等が挙げられ、前記アルコールに炭素数2〜4のAOを付加した化合物としてはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0016】
アルコール以外の水混和性有機溶媒としては、例えば窒素原子含有親水性有機溶媒[N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等];ケトン系親水性有機溶媒[アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール等];環状エーテル系親水性有機溶媒[テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等];エステル系親水性有機溶媒[酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル及びアセト酢酸エチル等];及びスルホキシド系親水性有機溶媒[ジメチルスルホキシド及びジエチルスルホキシド等]等が挙げられる。なお、アルコール以外の水混和性有機溶媒として、窒素含有の塩基性溶剤(例えばピリジン、ピコリン、イミダゾール、エチルアミン、ブチルアミン、アニリン等)は、安全性、臭気の観点から、作業環境が悪くなるという点で本発明の水混和性有機溶媒としては、好ましくない。
【0017】
水混和性有機溶剤(F2)としては、アルコール及びアルコール以外の水混和性有機溶媒のそれぞれのうちの1種でも、又はそれぞれのうちの2種以上の併用でもいずれでもよく、さらにアルコール及びアルコール以外の水混和性有機溶媒のいずれか1種でも、2種以上の併用でもよい。
【0018】
水混和性有機溶媒(F2)のうち、樹脂微粒子(A)の粒子径の均一性及び溶剤回収性の観点から、好ましいのは低沸点溶剤の一価アルコール及びアルコール以外の水混和性有機溶媒であり、更に好ましいのはエステル系親水性有機溶媒、ケトン系親水性有機溶媒及び環状エーテル系親水性有機溶媒であり、特に好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフランである。水混和性有機溶媒(F2)は、必要に応じて水性媒体中に加えても、滴下重合する場合、滴下するモノマーや開始剤に加えてもよい。
【0019】
上記樹脂微粒子(A)の製造において、使用する分散剤(又は乳化分散剤)としては、公知の界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。また、分散の助剤として可塑剤(V)等を併用することができる。
【0020】
界面活性剤(S)としては、(A1)を安定に分散でき、かつ得られる樹脂微粒子(A)をも安定に分散できるものであり、下記のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤及び高分子型界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有する、エーテルカルボン酸、硫酸エステル、エーテル硫酸エステル、スルホン酸、スルホコハク酸、リン酸エステル、エーテルリン酸エステル及びそれらの塩、脂肪酸塩並びにアシル化アミノ酸塩等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)AO(炭素数2〜8)付加物、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、脂肪酸(炭素数8〜24)アルカノールアミド、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8)アルキル(炭素数8〜24)アミン、並びにアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型及びアミン塩型カチオン性界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤及びアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0022】
反応性界面活性剤としては、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(「エレミノールJS−2」、三洋化成工業(株)製)、メタクリル酸プロピレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩(エレミノール「RS−30」三洋化成工業(株)製)、アリルオキシメチルポリオキシエチレンヒドロキシアルキルエーテルの硫酸エステルアンモニウム塩(「アクアロンKH−10」、第一工業製薬(株)製、及びメタアクリロキシ基とトリアルキルアンモニオ基を有する化合物(メタアクリロキシエチルアミノカルボニルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート塩)等が挙げられる。高分子型界面活性剤としては、不飽和カルボン酸/オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0023】
上記の界面活性剤のうち好ましいものは反応性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びこれらの併用であり、更に好ましいものは、フリーの親水性成分が残存しにくいという観点から反応性界面活性剤である。
【0024】
分散剤として使用できる水溶性ポリマー(T)としては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及び水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
【0025】
樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体の製造における分散剤の使用量は、ビニル樹脂(A1)の重量に基づいて通常15重量%以下、好ましくは13重量%以下、さらに好ましくは12重量%以下である。15重量%以下であれば後述の複合樹脂粒子の耐熱保存性及び低温定着性が良好となる。また、分散剤における界面活性剤(S)及び水溶性ポリマー(T)の重量比は、分散安定性の観点から、好ましくは100/0〜20/80、さらに好ましくは100/0〜40/60である。
【0026】
可塑剤(V)は、乳化分散の際に必要に応じて水性媒体中に加えても、被乳化分散体中に加えてもよい。可塑剤(V)としては、以下のものが例示される。フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];上記か可塑剤から選ばれる2種以上の混合物;が挙げられる。可塑剤(V)の使用量は、ビニル樹脂(A1)の重量に基づいて、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0027】
樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体は、攪拌装置および冷却管を装備した反応糟に仕込み、減圧度−0.09MPaG、25℃〜70℃で、脱溶剤することで水混和性有機溶剤(F2)を除去してもよい。水混和性有機溶剤(F2)を除去して得られた水性分散体中に含まれる樹脂粒子(A)の濃度は、通常2〜15重量%、好ましくは5〜10重量%である。
【0028】
樹脂微粒子(A)を含む水性分散体は、そのまま用いてもよく、また樹脂粒子(B)への吸着性を向上させたり、複合樹脂粒子(Y)の粉体特性や電気特性を改質するために、例えばシラン系、チタネート系又はアルミネート系等のカップリング剤による表面処理、各種界面活性剤による表面処理又はポリマーによるコーティング処理等により表面改質されていてもよい。
【0029】
樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径(Ad)は、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmである。なお、体積平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、LB−550:堀場製作所製)、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)、マルチタイザーIII(ベックマン・コールター社製)等で測定できる。
【0030】
本発明の複合樹脂粒子(Y)の水性分散体(X)の製造方法は、前記樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体中に、樹脂(B1)及び/又はその前駆体(B0)もしくはそれらの有機溶剤溶液を分散させ、樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散液中で、樹脂(B1)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂粒子(B)の表面に樹脂微粒子(A)が吸着された構造の複合樹脂粒子の水性分散体(X)を製造する方法である。
【0031】
樹脂(B1)としては、熱可塑性樹脂(B11)、又は該熱可塑性樹脂を微架橋した樹脂(B12)、又は熱可塑性樹脂を海成分、熱硬化性樹脂を島成分とするポリマーブレンド(B13)等が挙げられる。
【0032】
また、樹脂(B1)の前駆体(B0)としては、水性媒体中での分散工程において、必要により硬化剤等との反応が起こり、樹脂(B1)を形成する前駆体が挙げられる。なお、樹脂(B1)のうちの2種以上の併用、又は(B1)と前駆体(B0)の併用であってもよい。
【0033】
樹脂(B1)のうち、熱可塑性樹脂(B11)としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用であり、さらに好ましいのは樹脂微粒子(A)との吸着性向上のための吸着性官能基(ウレタン基)を有するという観点から、ポリウレタン樹脂、又はポリウレタン樹脂と他の樹脂との併用である。
【0034】
前記熱可塑性樹脂(B11)として使用されるビニル系樹脂としては、前記ビニル樹脂(A1)と同様のものが例示できる。熱可塑性樹脂(B11)として好ましいのは前記ビニル樹脂(A1)のうちの芳香族ビニル系モノマー、カルボキシル基含有ビニル系モノマーのうちの不飽和モノカルボン酸、及び炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはスチレン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びこれらの併用である。
【0035】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸又はその酸無水物若しくその低級アルキルエステルとの重縮合物等が挙げられる。ポリオールとしてはジオール及び3価以上のポリオールが挙げられる。ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、前記ポリカルボン酸の低級アルキル(炭素数1〜6)エステルが挙げられる。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0036】
ジオールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等);及びこれらのアルキレンオキサイド低モル(1〜10モル)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールである。
【0037】
3価以上のポリオールとしては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物及びアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等]等が挙げられる。
【0038】
ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸及びフマール酸等);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)及びアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0039】
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
【0040】
なお、ジカルボン酸又は3価以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0041】
熱可塑性樹脂(B1)のうちのポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物(高分子量ポリオール、低分子量ポリオール及びポリアミン等)との重付加物等が挙げられる。
【0042】
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートおよび3官能またはそれ以上の多官能イソシアネートが挙げられ、例えば、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数6〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
活性水素基含有化合物のうちの高分子量ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール等が挙げられ、例えば、前記ジオールのアルキレンオキサイド(11〜200モル)付加物、縮合系ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0044】
活性水素基含有化合物のうちの低分子ポリオールとしては、水酸基当たりの数平均分子量が300未満の2〜10価またはそれ以上のポリオールが挙げられ、例えば、2価アルコール(脂肪族ジオール、分岐鎖を有するジオール、環状基を有するジオール)、2価フェノール、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(アルカンポリオールおよびそれらの分子間もしくは分子内脱水物、糖類およびその誘導体);およびこれらのアルキレンオキサイド低モル付加物;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0045】
活性水素基含有化合物のうちのポリアミンとしては、活性水素原子含有アミノ基当たりの数平均分子量が300未満(好ましくは30〜250)のジアミンおよび3官能またはそれ以上の多官能アミンが挙げられ、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基がアミノ基に置き換わったポリアミンが含まれる。具体的には、ジアミン(脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、芳香脂肪族ジアミン、複素環ジアミン)、3〜6価またはそれ以上の多官能アミン(ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなど);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0046】
エポキシ樹脂としては、芳香族系エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂及び脂肪族系エポキシ樹脂が挙げられる。芳香族系エポキシ樹脂としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びにアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
複素環系エポキシ樹脂としては、トリスグリシジルメラミン等が挙げられる。脂環族系エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド等が挙げられる。また、脂環族系エポキシ樹脂としては、前記芳香族系エポキシド樹脂の核水添化物も含む。脂肪族系エポキシ樹脂としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。本発明において脂肪族系エポキシ樹脂としては、ジグリシジルエーテル及びグリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系エポキシ樹脂及び芳香族系エポキシ樹脂である。本発明において、エポキシ樹脂は2種以上を併用しても差し支えない。
【0047】
熱可塑性樹脂を微架橋した樹脂(B12)としては、樹脂(B1)のうちで、架橋構造を有する樹脂であって、そのガラス転移温度が20〜200℃である樹脂が挙げられる。前記架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性及び水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。具体例としては、例えば樹脂(B1)としてポリエステル樹脂を選択する場合、重合時にポリオールとポリカルボン酸のいずれか、あるいは両方に3官能以上の官能基数を有するものを使用することにより架橋構造を導入することができる。また樹脂(B1)としてビニル系樹脂を選択する場合、重合時に二重結合を2つ以上有するモノマーを添加することにより、架橋構造を導入することができる。
【0048】
熱可塑性樹脂を海成分、熱硬化性樹脂を島成分とするポリマーブレンド(B13)としては、ガラス転移温度が20〜200℃、且つ軟化開始温度が40〜220℃であるもの、具体的にはビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
樹脂(B1)の数平均分子量(以下Mnと略記)は、好ましくは1000〜500万、更に好ましくは2,000〜500,000、SP値は好ましくは7〜18、更に好ましくは8〜14である。また、複合樹脂粒子 (Y)の熱特性を改質したい場合には、樹脂(B12)又はポリマーブレンド(B13)を使用するとよい。
【0050】
樹脂(B1)のガラス転移温度(Tg)は好ましくは20℃〜200℃、更に好ましくは40℃〜150℃である。20℃以上では複合樹脂粒子(Y)の保存安定性がさらに良好になる傾向である。なお、本発明におけるTgは、DSC測定から求められる値である。
【0051】
樹脂(B1)の軟化開始温度は好ましくは40℃〜220℃、更に好ましくは50℃〜200℃である。40℃以上では複合樹脂粒子(Y)の長期の保存性がさらに良好になる傾向である。220℃以下では定着温度が上昇しにくく、問題となりにくい。なお、本発明における軟化開始温度は、フローテスター測定から求められる値である。
【0052】
樹脂粒子 (B)の体積平均粒子径は、粉体のハンドリング性の観点から好ましくは1〜10μmであり、更に好ましくは2〜8μmである。
【0053】
複合樹脂粒子(Y)は樹脂微粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に吸着されてなる粒子である。樹脂微粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に吸着されてなるとは、(A)が単に(B)の表面に付着し容易に脱離するような場合は含まないものとする。
【0054】
樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径(Ad)は、通常、樹脂粒子 (B)の体積平均粒子径(Bd)よりも小さい。粒子径の比[(Ad)/(Bd)]の値は、好ましくは0.001〜0.5、更に好ましくは0.002〜0.2、特に好ましくは0.003〜0.1、最も好ましくは0.01〜0.08である。上記範囲内であると(A)が(B)の表面に効率よく吸着するため、得られる複合樹脂粒子(Y)の粒度分布が狭くなる。
【0055】
複合樹脂粒子(Y)の体積平均粒子径(Yd)は、好ましくは1〜10μmであり、更に好ましくは2〜8μm、特に好ましくは3〜6μmである。1μm以上であると粉体としてのハンドリング性が向上する。10μm以下であると電子写真トナー用粒子として用いた場合に画像の解像度が向上する。複合樹脂粒子(Y)の体積平均粒子径(Ydv)と個数平均粒子径(Ydn)の比(Ydv)/(Ydn)は、好ましくは1.0〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.4、特に好ましくは1.0〜1.3である。1.5以下であると粉体特性(流動性及び帯電均一性等)及び電子写真トナー用粒子として用いた場合に画像の解像度が著しく向上する。
【0056】
複合樹脂粒子 (Y)の粒子径均一性、粉体流動性及び保存安定性等の観点からは、樹脂粒子 (B)の表面の5%以上が樹脂微粒子 (A)で覆われているのが好ましく、(B)の表面の30%以上が(A)で覆われているのが更に好ましい。なお、表面被覆率は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)=[(A)に覆われている部分の(B)の表面積/(A)に覆われている部分の(B)の表面積+(B)の表面が露出している部分の面積]×100
【0057】
複合樹脂粒子 (Y)の粒子径均一性及び保存安定性等の観点から、複合樹脂粒子 (Y)は、ビニル樹脂(A1)と樹脂(B1)の重量比率が(0.1:99.9)〜(30:70)であり、好ましくは(0.2:99.8)〜(10:90)である。重量比率がこの範囲内であると、電子写真トナー用粒子としての低温定着性と長期の保存安定性が両立し好ましい。(Y)中の(A1)は公知の方法、例えばDSCによりビニル樹脂(A1)に固有な吸熱ピークの吸熱量からビニル樹脂(A1)の重量比率を算出する方法により測定することがでる。
【0058】
樹脂(B1)若しくはその有機溶剤溶液、又は樹脂(B1)の前駆体(B0)若しくはその有機溶剤溶液を分散させる場合には、分散装置を用いることができる。本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機及び超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒子径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
【0059】
樹脂(B1)又はその前駆体(B0)を樹脂粒子(A)の水性媒液に分散させる際、(B1)又は(B0)は液体であることが好ましい。(B1)又は(B0)が常温で固体である場合には、融点以上の高温下で液体の状態で分散させたり、前記水混和性有機溶媒(F2)を用いてもよい。樹脂(B1)若しくはその有機溶剤溶液、又は、前駆体(B0)若しくはその有機溶剤溶液の粘度は、粒径均一性の観点から、25℃で通常10〜5万cP(B型粘度計で測定)、好ましくは100〜1万cPである。また、分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは5〜98℃である。分散体の粘度が高い場合は、高温にして粘度を上記好ましい範囲まで低下させて、乳化分散を行うのが好ましい。樹脂(B1)の有機溶剤溶液及び前駆体(B0)の有機溶剤溶液に用いる溶剤は、樹脂(B1)を常温又は加熱下で溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、具体的には、溶剤(F2)と同様のものが例示される。好ましいものは樹脂(B1)の種類によって異なるが、(B1)とのSP値差が3以下であるのが好適である。また、複合樹脂粒子(Y)の粒子径均一性の観点からは、樹脂(B1)を溶解させるが、樹脂微粒子(A)を溶解・膨潤させにくい溶剤が好ましい。
【0060】
樹脂(B1)の前駆体(B0)としては、化学反応により樹脂(B1)になりうるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂(B1)がビニル系樹脂である場合は、(B1)は、先述のビニル系モノマー(単独で用いても、混合して用いてもよい)及びそれらの有機溶剤溶液が挙げられ、樹脂(B1)が縮合系樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂)である場合は、(B0)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが例示される。
【0061】
ビニル系モノマーを前駆体(B0)として用いた場合、前駆体(B0)を反応させて樹脂(B1)にする方法としては、例えば、油溶性開始剤、モノマー類及び必要により水混和性有機溶剤(F2)からなる油相を、水溶性ポリマー(T)存在下、水中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる懸濁重合法)、モノマー類及び必要により(F2)からなる油相を乳化剤(前記分散剤と同様のものが例示される)、水溶性開始剤を含む樹脂微粒子(A)の水性分散液中に乳化させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる乳化重合法)等が挙げられる。
【0062】
上記油溶性又は水溶性開始剤としては、パーオキサイド系重合開始剤及びアゾ系重合開始剤等が挙げられる。また、パーオキサイド系重合開始剤と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤を形成してもよい。更には、これらのうちから2種以上を併用してもよい。
【0063】
パーオキサイド系重合開始剤としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド及びイソブチリルパーオキサイド等)及び水溶性パーオキサイド系重合開始剤(過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム及び過硫酸ナトリウム等)が挙げられる。
【0064】
前駆体(B0)が、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせである場合の「反応性基」とは、硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。この場合、前駆体(B0)を反応させて樹脂(B1)を形成する方法としては、反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)及び必要により(F2)を含む油相を、樹脂微粒子(A)の水系分散液中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて樹脂(B1)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水系分散液中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(B1)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水性分散液に分散させることで水と反応させて、樹脂粒子(B)を形成させる方法等が例示できる。
【0065】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記(1)及び(2)等が挙げられる。
(1):反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基含有化合物(β1)であるという組み合わせ。
(2):反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)であるという組み合わせ。これらのうち、水中での反応率の観点から、(1)がより好ましい。前記(1)において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基及び酸ハライド基等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基及びエポキシ基であり、更に好ましいものは、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基である。ここでブロック化イソシアネート基とは、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。上記ブロック化剤としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム及びγ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール及びオクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等];及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシム類であり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0066】
反応性基含有プレポリマー(α)の骨格としては、ポリエーテル、ポリエステル、エポキシ樹脂及びポリウレタン等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリエステル、エポキシ樹脂及びポリウレタンであり、更に好ましいものはポリエステル及びポリウレタンである。ポリエーテルとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド及びポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。ポリエステルとしては、ジオールとジカルボン酸の重縮合物及びポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)等が挙げらる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。ポリウレタンとしては、ジオールとポリイソシアネートの重付加物及びポリエステルとポリイソシアネートの重付加物等が挙げられる。
【0067】
ポリエステル、エポキシ樹脂及びポリウレタン等に反応性基を含有させる方法としては、
(1):二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法;
(2):二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した該官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法;等が挙げられる。
【0068】
前記(1)では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー及びイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー等が得られる。構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオールとポリカルボン酸の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]のモル比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、更に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0069】
前記(2)では、前記(1)で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキサイドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリカルボン酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]とのモル比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0070】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、更に好ましくは、平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。反応性基含有プレポリマー(α)の数平均分子量は、通常500〜30,000、好ましくは1,000〜20,000、更に好ましくは2,000〜10,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の重量平均分子量は、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、更に好ましくは4,000〜20,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、通常2,000ポイズ以下、好ましくは1,000ポイズ以下である。2,000ポイズ以下にすることで、少量の溶剤で粒度分布のシャープな複合樹脂粒子(Y)が得られる点で好ましい。
【0071】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン、ポリオール、ポリメルカプタン及び水等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリオール、ポリアミン及び水であり、更に好ましいもは、ポリアミン及び水であり、特に好ましいもは、ブロック化されたポリアミン類及び水である。ポリアミンとしては、前記ポリアミンと同様のものが例示される。ポリアミンとして好ましいものは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びそれらの混合物である。
【0072】
前記(β1)のうちのポリアミンが、脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物及びオキサゾリジン化合物などが挙げられる。
【0073】
ポリオールとしては、前記のジオール及びポリオールと同様のものが例示される。ジオール単独又はジオールと少量のポリオールの混合物が好ましい。ポリメルカプタンとしては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0074】
必要により活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(B1)を所定の分子量に調整することが可能である。反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びフェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン及びラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等);モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテル等)が挙げられる。
【0075】
前記(2)における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、メルカプト基、カルボキシル基及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、アミノ基、水酸基及びアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基であり、更に好ましいものは、水酸基である。アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記ポリアミンの場合と同様のものが例示できる。
【0076】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、ポリカルボン酸、ポリ酸無水物及びポリ酸ハライド等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリイソシアネート及びポリエポキシドであり、更に好ましいものは、ポリイソシアネートである。
【0077】
ポリイソシアネートとしては、前記ポリイソシアネートと同様のものが例示され、好ましいものも同様である。ポリエポキシドとしては、前記エポキシ樹脂と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0078】
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び3価以上のポリカルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸単独、及びジカルボン酸と少量のポリカルボン酸の混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、前記ジカルボン酸と同様のものが例示され、ポリカルボン酸としては、前記ポリカルボン酸と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0079】
ポリカルボン酸無水物としては、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。ポリ酸ハライド類としては、前記ポリカルボン酸の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド及び酸アイオダイド等)等が挙げられる。
【0080】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]との当量の比[α]/[β]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0081】
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)からなる前駆体(B0)を水系媒体中で反応させた樹脂が樹脂粒子(B)及び複合樹脂粒子(Y)の構成成分となる。反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させた樹脂の重量平均分子量は、通常3,000以上、好ましくは3,000〜1000万、更に好ましくは,5000〜100万である。
【0082】
また、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との水系媒体中での反応時に、反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることもできる。この場合(B)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を水系媒体中で反応させて得られた樹脂と、反応させていない樹脂の混合物となる。
【0083】
本発明におけるビニル樹脂(A1)及び/又は樹脂(B1)中に他の添加剤(顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤及び難燃剤等)を混合しても差し支えない。ビニル樹脂(A1)又は(B)中に、他の添加剤を添加する方法としては、水系媒体中で水性分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめビニル樹脂(A1)又は樹脂(B1)と添加剤を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、溶剤(F2)及び/又は可塑剤(V)とともに上記添加物を含浸させることもできる。
【0084】
ビニル樹脂(B1)100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2,000重量部、好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部未満では(B1)の分散状態が悪くなる。2,000重量部を超えると経済的でない。
【0085】
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えばイソシアネートと活性水素化合物の反応の場合には、ジブチルチンラウレート及びジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
【0086】
複合樹脂粒子(Y)は、水性分散体(X)を形成させた後、水性分散体(X)から水性媒体を除去することにより得られる。水性媒体を除去する方法としては、
(1)水性分散体(X)を減圧下又は常圧下で乾燥する方法
(2)遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレス等により固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
(3)水性分散体(X)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)
等が例示される。
【0087】
上記(1)及び(2)において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0088】
複合樹脂粒子(Y)は、実質的に、樹脂微粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に吸着した形で存在する。両粒子の吸着力を強めるためには、樹脂微粒子(A)と樹脂粒子(B)が相互に吸着しうる吸着性官能基を有することが好ましい。具体的には、樹脂微粒子(A)及び樹脂粒子(B)の、いずれか一方、好ましくは樹脂微粒子(A)酸性官能基を有し、樹脂粒子(B)が塩基性官能基を有することが好ましい。酸性官能基としてはカルボン酸基又はスルホン酸基等が挙げられる。塩基性官能基としては第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、ウレタン基及びウレア基等が挙げられる。好ましい組合わせはカルボン酸基とウレタン基である。吸着力を高めるその他の方法としては、樹脂微粒子(A)と樹脂粒子(B)が同一の電荷を持つ場合には、分散剤として樹脂微粒子(A)又は樹脂粒子(B)とは逆の電荷を持つものを使用したり、ビニル樹脂(A1)と樹脂(B1)のSP値差を2以下にしたりすることが有効である。
【0089】
本発明の複合樹脂粒子(Y)は粒度分布がシャープであり、且つ疎水性である。したがって電子写真トナー用として有用である。その他の用途として、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、化粧品用添加剤、紙塗工用添加剤、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、触媒用担体、静電記録トナー、静電印刷トナー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、医療診断用担体、クロマトグラフ充填剤電気粘性流体用粒子等としても有用である。
【0090】
[実施例]
以下実施例及び製造例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
<樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体の製造>
製造例1
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水226部、分散剤としてのアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業(株)製、有効成分39重量%)4.6部、重合開始剤としてのペルオキソ硫酸アンモニウム0.2部、水混和性有機溶媒(F2)としての酢酸エチル26.3部及びメチルエチルケトン15.5部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。別のガラス製ビーカーに(a1)としてのベヘニルアクリレート[炭素数22のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、ブレンマーVA(日油(株)製)]7.4部、(a2)としてのブチルアクリレート2.4部、メタクリル酸1.8部及びスチレン1.8部、並びに水混和性有機溶剤(F2)としての酢酸エチル3.4部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調整し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後、密閉下に85℃で3時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成して、樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体(A−1)を得た。(A−1)をLA−920で測定した体積平均粒子径は、0.07μmであった。なお、水性分散媒(F)のうちの水混和性有機溶媒(F2)の量(重量%)及びビニル樹脂の重量に基づく分散剤の有効成分の重量(重量%)を表1に示した。
【0092】
製造例2〜4及び比較製造例1〜5
表1に記載の単量体及び水混和性有機溶剤(F2)を使用したこと以外は製造例1と同様にして、製造例2〜4の樹脂水性分散体(A−2)〜(A−4)及び比較例1〜5の樹脂水性分散体(A’−1)〜(A’−5)を調製した。
【0093】
【表1】

【0094】
<樹脂(B1)又は前駆体(B0)の製造>
製造例5
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール831部、テレフタル酸703部、アジピン酸47部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、5〜20mmHgの減圧下で生成する水を留去しながら4時間反応させた。180℃まで冷却後、無水トリメリット酸24部及びテトラブトキシチタネート0.5部を投入し90分反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、ボールミルで粉砕し、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂(PE−1)を得た。ポリエステル樹脂(PE−1)のMnは1900、ガラス転移温度45℃であった。
【0095】
製造例6
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール729部、テレフタル酸683、アジピン酸67部、無水トリメリット酸38部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、5〜20mmHgの減圧下で生成する水を留去しながら4時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、ボールミルで粉砕し、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂(PE−2)を得た。ポリエステル樹脂(PE−2)のMnは5700、ガラス転移温度63℃であった。
【0096】
製造例7
オートクレーブに、ポリエステル樹脂(PE−1)407部、IPDI108部及び酢酸エチル485部を投入し、密閉状態で100℃、5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマー溶液(α−1)を得た。(α−1)のNCO含量は1.7%であった。
【0097】
<硬化剤の製造>
製造例8
撹拌機、脱溶剤装置及び温度計をセットした反応容器に、アミノ変成シリコーン(X−22−161AS、信越シリコーン(株)製)50部及びメチルエチルケトン300部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤して、アミノ変性シリコーンのケチミン化物である[硬化剤1]を得た。
【0098】
<水相の製造>
製造例9
攪拌棒をセットした容器に、水955部、製造例1で得られた樹脂水性分散体(A−1)を15部、分散剤としてのドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON7、三洋化成工業(株)製)30部を投入し、20℃で1時間攪拌後、乳白色の液体[水相1]を得た。
【0099】
製造例10〜13及び比較製造例6〜10
樹脂水性分散体(A−1)をそれぞれ(A−2)〜(A−4)又は(A’−1)〜(A’−5)に変更した以外は製造例9と同様にして、乳白色の液体[水相2]〜[水相4]及び[比較水相1]〜[比較水相5]を得た。
【0100】
<複合樹脂粒子の水性分散体(X)及び複合樹脂粒子(Y)の製造>
実施例1
ビーカー内に、樹脂(PE−1)807部、酢酸エチル858部、プレポリマー溶液(α−1)285部、[硬化剤1]51部を投入して溶解・混合均一化した後、製造例9で得られた[水相1]3000部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、更にフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、水性分散体(X−1)を得た。水性分散体(X−1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して複合樹脂粒子(Y−1)を得た。
【0101】
実施例2
実施例1において樹脂(PE−1)の代わりに樹脂(PE−2)を、[水相1]の代わりに[水相2]を使用した以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子(Y−2)を得た。
【0102】
実施例3〜4
実施例1において[水相1]の代わりにそれぞれ[水相3]〜[水相4]を使用した以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子(Y−3)〜(Y−4)を得た。
<比較例1〜5>
実施例1において[水相1]の代わりにそれぞれ[比較水相1]〜[比較水相5]を使用した以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子(Y’−1)〜(Y’−5)を得た。
【0103】
評価結果
製造例及び比較製造例で得られた樹脂微粒子を含む水性分散体、並びに実施例及び比較例で得られた複合樹脂粒子について、以下に記載した評価方法で体積平均粒子径、個数平均粒子径、粒度分布、耐熱保存性及び低温定着温度を評価し、結果を表2に記載した。
【0104】
製造例及び比較製造例で得られた樹脂微粒子(A)又は(A’):
体積平均粒子径はコールターカウンター「マルチタイザーIII」(ベックマン・コールター社製)で測定した。
【0105】
実施例及び比較例で得られた複合樹脂粒子(Y)又は(Y’):
体積平均粒子径、個数平均粒子径及び粒度分布は、いずれも複合樹脂粒子をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(濃度0.1重量%)に分散した分散液について、上記と同じコールターカウンターで測定した。
なお、粒度分布は体積平均粒子径(Ydv)/個数平均粒子径(Ydn)で表され、(Ydv)/(Ydn)が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示す。
なお、樹脂粒子(B)の体積平均粒子径(Bd)は、複合樹脂粒子(Y)の体積平均粒子径の値(Yd)から、樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径(Ad)の2倍を差し引いた値を用いた。
これらの測定結果及び計算結果を表2に示す。
【0106】
<耐熱保存性の評価>
複合樹脂粒子の耐熱保存性を下記の方法で評価した。即ち、50℃に温調された乾燥機に複合樹脂粒子を15時間静置し、ブロッキングの程度により下記の基準で評価した。
○:ブロッキングが発生しない。
△:ブロッキングが発生するが、指で力を加えると容易に分散する。
×:ブロッキングが発生し、指で力を加えても分散しない。
【0107】
本発明の複合樹脂粒子を用いて、以下の方法で電子写真用トナーを作成した。
即ち、複合樹脂粒子(Y)100重量部に「アエロジルR972」(日本アエロジル社製)を1.0部添加し、ミキサーを用いて充分に混合して「アエロジルR972」が複合樹脂粒子の表面に均一に付着した電子写真用トナーを作成した。電子写真用トナーの評価方法は以下のとおりである。
【0108】
<低温定着性の評価>
低温定着性は、以下の方法により評価した。電子写真用トナー(E1〜9)を、熱定着機を外したプリンターを用いてA4のKB用紙[KB−K39N、コクヨ(株)製]上に0.6mg/cm2の濃度で均一に載せた。この紙を定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2及び加熱温度を100〜150℃の範囲で5℃刻みで変化させた条件で加圧ローラーに通し、加圧ローラーにトナーが付着する温度を測定した。トナーが付着する温度が低いほど低温定着性に優れている。
【0109】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の樹脂粒子は、耐熱保存性及び低温定着性に優れているため、電子写真用トナーとして有用である。また、塗料用添加剤、化粧品用添加剤、紙塗工用添加剤、スラッシュ成型用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、医療診断用担体、電気粘性用粒子及びその他成型用樹脂粒子としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を必須構成単量体とするビニル樹脂(A1)からなる樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体中に、樹脂(B1)及び/又はその前駆体(B0)もしくはそれらの有機溶剤溶液を分散させ、樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散液中で、樹脂(B1)からなる樹脂粒子(B)の表面に樹脂微粒子(A)が吸着された構造の複合樹脂粒子の水性分散体(X)を製造する方法であって、前記樹脂微粒子(A)を含む樹脂水性分散体が、ビニル樹脂(A1)の分散工程における水性分散媒として70〜90重量%の水(F1)及び10〜30重量%の水混和性有機溶媒(F2)からなる水性分散媒(F)を使用し、前記ビニル樹脂(A1)の重量に基づいて15重量%以下の分散剤を使用し、ビニル樹脂(A1)の分散工程の後、前記水混和性有機溶媒(F2)を除去して得られる樹脂水性分散体であることを特徴とする、複合樹脂粒子の水性分散体(X)の製造方法。
【請求項2】
前記前駆体(B0)が、反応性基含有プレポリマー(α)であって、前記前駆体(B0)の分散工程において硬化剤(β)と反応することにより樹脂(B1)からなる樹脂粒子(B)が形成される、請求項1記載の複合樹脂粒子の水性分散体の製造方法。
【請求項3】
前記水混和性有機溶媒(F2)の溶解度が、20℃における水100gに対して5g以上である請求項1又は2記載の複合樹脂粒子の水性分散体の製造方法。
【請求項4】
前記ビニル樹脂(A1)及び前記樹脂(B1)が相互に吸着しうる吸着性官能基を有する請求項1〜3のいずれか記載の複合樹脂粒子の水性分散体の製造方法。
【請求項5】
前記分散剤が反応性乳化剤である請求項1〜4のいずれか記載の複合樹脂粒子の水性分散体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の製造方法で得られた複合樹脂粒子の水性分散体から、さらに水性媒体が除去されて得られる複合樹脂粒子(Y)。
【請求項7】
前記樹脂微粒子(A)と前記樹脂粒子(B)の体積平均粒子径の比[(Ad)/(Bd)]が0.001〜0.5である請求項6記載の複合樹脂粒子。
【請求項8】
前記樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径(Ad)が0.01〜0.5μmであって、前記樹脂粒子(B)の体積平均粒子径(Bd)が1〜10μmである請求項6又は7記載の複合樹脂粒子。
【請求項9】
前記樹脂微粒子(A)に含まれる分散剤の含有量が15重量%以下である請求項6〜8のいずれか記載の複合樹脂微粒子。
【請求項10】
前記樹脂(B1)のガラス転移温度が20〜200℃である請求項6〜9のいずれか記載の複合樹脂粒子。
【請求項11】
電子写真トナー用樹脂粒子である請求項6〜10のいずれか記載の複合樹脂粒子。

【公開番号】特開2010−126554(P2010−126554A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299580(P2008−299580)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】