説明

複合粒子製造装置

【課題】複数の粒子が固着した複合粒子を従来より簡便に製造することが可能な複合粒子製造装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の複合粒子製造装置100によれば、複数の粒子排出装置20,20から落下した粒子に側方からイオン風(ガス)が吹き付けられて、それら粒子が筒形加熱炉70の上面開口の上方で合流する。各粒子には、イオン風に含まれる気体イオンが付着して互いに反対極性に帯電しているので、合流した粒子同士を静電吸着させることができる。そして、その静電吸着した合体粒子が筒形加熱炉70を降下する間に加熱溶融されて複合化するので、複合粒子を従来より簡便に製造することができる。また、粒子に気体イオンを付着させることで帯電させているので、複数の粒子同士を衝突又は摩擦により帯電させた場合のように粒子が破壊されることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒子を電気的に付着させた状態で筒形加熱炉を降下させて、それら粒子同士を互いに固着させる複合粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複合粒子製造装置として、複数の粒子が凝集した顆粒粉末を燃焼ガスと共に燃焼炎中に供給して複合粒子を製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−290730(段落[0022]、[0023]、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述した従来の複合粒子製造装置では、顆粒粉末を得るために、予め造粒処理を行う必要がある。即ち、複数の粒子の混合物に溶媒を添加してスラリー状にし、それをスプレーノズルから噴霧して液滴を形成し、さらに、その液滴の液体成分を乾燥・除去する必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複数の粒子が固着した複合粒子を従来より簡便に製造することが可能な複合粒子製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る複合粒子製造装置は、複数の粒子を電気的に付着させた状態で筒形加熱炉内を降下させて、それら粒子同士を互いに固着させる複合粒子製造装置において、筒形加熱炉の上方に配置され、所定量ずつの粒子を下方に排出可能な複数の粒子排出装置と、粒子排出装置から排出された粒子を帯電させるための強制帯電手段と、粒子排出装置から排出された粒子に風圧を付与して、全ての粒子排出装置からの粒子を筒形加熱炉の真上又は筒形加熱炉の上部内側に集めて互いに電気的に付着させるための風圧移動手段とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の複合粒子製造装置において、強制帯電手段及び風圧移動手段は、粒子排出装置から排出された粒子に気体イオンのイオン風を吹き付けることが可能なイオン発生器で兼用されたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の容器回転型造粒装置において、筒形加熱炉は、上下の両端部が開放したプラズマ発生管を備え、そのプラズマ発生管の内側にプラズマフレーム生成用ガスを供給してプラズマフレームを生成するプラズマ発生器であり、プラズマフレームのラジカルを測定するラジカル測定装置と、ラジカルが一定の値になるようにプラズマトーチへのプラズマフレーム生成用ガスの供給量又は供給圧力又はプラズマ発生用電力を調節するプラズマ制御装置とが備えられたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載の容器回転型造粒装置において、プラズマ発生管に供給されるプラズマフレーム生成用ガスは窒素であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の複合粒子製造装置において、ガス供給口とガス排出口を有した封止ケースの内部に複数の粒子排出装置を収容すると共に封止ケースの底壁に筒形加熱炉を貫通させて、その筒形加熱炉の下部開口をガス排出口とし、ガス供給口から封止ケース内にガスを供給し、そのガスがガス排出口としての筒形加熱炉の下部開口を通って封止ケースの外部へと排出されるようにしたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
[請求項1の発明]
上記のように構成した請求項1の発明に係る複合粒子製造装置によれば、粒子排出装置から下方に排出された粒子に風圧が付与されて、それら複数の粒子が筒形加熱炉の真上又は筒形加熱炉の上部内側に集められる。それら集められた粒子の何れかは、強制帯電手段によって帯電しているので、集められた粒子同士を電気的に付着させることができる。そして、互いに付着した複数の粒子が筒形加熱炉を降下する間に加熱処理されて互いに固着し、複合粒子が製造されるので、複合粒子を従来より簡便に製造することができる。
【0011】
ここで、複数の粒子を全て帯電させることが好ましいが、複数の粒子の何れかが帯電し、残りが電気的に中性であっても、それら粒子同士を電気的に付着させることは可能である。これは、電気的に中性な粒子であっても、外部の正電荷に吸引又は負電荷と反発して粒子内で電子が移動(誘電分極)するからである。よって、全ての粒子排出装置から排出された粒子を帯電させる必要はない。
【0012】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、粒子に気体イオンのイオン風を吹き付けることで、粒子に気体イオンが付着し帯電するので、粒子同士の衝突又は摩擦により帯電させた場合のように、粒子が破壊されることがない。ここで、気体イオンは、例えば、空気中の気体分子が電離したものでもよいし、その他のガス(例えば、窒素ガス)中の気体分子が電離したものでもよい。
【0013】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、プラズマの熱により粒子を溶融して、粒子同士を固着させることができる。また、プラズマを一定状態にすることができ、粒子の複合化処理を安定して行うことができる。
【0014】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、プラズマ中のイオンやラジカルの作用により、粒子同士の固着と同時に、粒子に窒素イオンを注入したり、窒化物の被膜を形成することが可能である。
【0015】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、ガス供給口から封止ケースの内部に供給されたガスは、筒形加熱炉を通って、その下部開口のガス排出口から封止ケースの外部へ排出されるから、筒形加熱炉の真上に集合して電気的に付着した複数の粒子を、ガスによって確実に筒形加熱炉の中へと誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、図1〜11に基づいて本発明の複合粒子製造装置100について説明する。図1に示すように、複合粒子製造装置100は、複数の粒子排出装置20,20と筒形加熱炉70とを備え、それらが装置収容ケース101内に収容されている。装置収容ケース101は内部仕切壁102によって上側部屋103と下側部屋104とに仕切られており、下側部屋104に筒形加熱炉70が収容され、上側部屋103に粒子排出装置20,20が収容されている。なお、装置収容ケース101のうち、上側部屋103を形成した内部仕切壁102より上側部分が、本発明の「封止ケース」に相当する。
【0017】
筒形加熱炉70は、プラズマ発生器で構成されている。即ち、内部仕切壁102から垂下した石英製のプラズマ発生管71と、その外側に設けられた誘導コイル72とを備え、誘導コイル72に高周波電力を印加するための電源73がマッチング回路74を介して接続されている。
【0018】
プラズマ発生管71は上下の両端部が開放した円筒状をなしている。図示されていないが、プラズマ発生管71は二重管構造をなしており、その内外管の間に冷却水或いは冷却用ガスが流されている。プラズマ発生管71の上端部には粒子導入管75が接続されている。粒子導入管75は、内部仕切壁102から上側部屋103内に直立して上方に開放している。図2に示すように、粒子導入管75は上端部が漏斗形状をなしており、粒子排出装置20,20から供給された粒子を、ガス供給口105から上側部屋103内に供給されたキャリヤガスと共に、プラズマ発生管71内へと導入可能となっている。
【0019】
また、粒子導入管75には、プラズマ発生管71内にプラズマフレーム生成用ガス(例えば、水素、ヘリウム、窒素、酸素、ネオン、アルゴン及びそれらの混合ガス)を導入するための複数のガス導入管76が設けられている。図2及び図3に示すように、ガス導入管76は、粒子導入管75の側方に開放したガス導入口76Aから、粒子導入管75の内周面の接線方向に延びており、ガス導入管76を通って粒子導入管75に流入したプラズマフレーム生成用ガスが、粒子導入管75の上面開口から導入されるキャリヤガスと共にプラズマ発生管71の下面開口へ向かう旋回流となるように構成されている。ここで、プラズマ発生管71の下面開口は、本発明の「ガス排出口」に相当する。
【0020】
本実施形態では、粒子導入管75の上端寄り位置と、下端寄り位置とにそれぞれ1対のガス導入管76,76が設けられており、上側のガス導入管76,76(図2には一方のガス導入管76のみが示されている)には一定流量でプラズマフレーム生成用ガスが供給される。これに対し、下側のガス導入管76,76(図2には一方のガス導入管76のみが示されている)に供給されるプラズマフレーム生成用ガスの流量はガス流量バルブ52によって変更可能となっている。なお、下側部屋104内のガスは、排気口106(図1参照)から自然排気される。
【0021】
この筒形加熱炉70の誘導コイル72に高周波電力が流されると、プラズマ発生管71内のガス(キャリヤガス、プラズマフレーム生成用ガス)がプラズマ状態になりプラズマフレームF2が発生する。そのプラズマフレームF2の芯部を粒子が降下する過程で粒子に加熱処理が行われる。具体的には、プラズマフレームF2の熱により粒子が溶融される。また、プラズマ中のイオンやラジカルの作用により、粒子にイオンを注入することも可能である。ここで、筒形加熱炉70のプラズマ発生管71中でガスは旋回流となっているので、溶融した粒子がプラズマ発生管71の内壁面に付着することが防がれる。
【0022】
プラズマ発生管71の下端開口の近傍には、プラズマフレームF2中のラジカル量を測定するラジカル測定装置51が配設されている。ラジカル測定装置51は、例えば、特定波長の赤外線レーザをプラズマフレームF2に照射しており、そのレーザーがラジカルに吸収されて強度が変化することを利用してプラズマフレームF2中のラジカルの密度等を計測すると共に、その測定結果を制御装置50(本発明の「プラズマ制御装置」に相当する)に出力している。制御装置50は、計測されたラジカル量に応じてガス流量バルブ52の開度を変化させて、ラジカル量がほぼ一定になるように、プラズマ発生管71に導入するプラズマフレーム生成用ガスの流量又は供給圧力を調節する。これにより、筒形加熱炉70にて発生するプラズマフレームF2を一定状態に保持することができ、粒子に対する加熱処理のばらつきを防ぐことができる。ここで、誘導コイル72に印加するプラズマ発生用の高周波電力を一定の周期でパルス変調させて、そのデューティー比を変化させることでラジカル量を制御してもよい。或いは、プラズマフレームF2中のラジカルが不足した場合に、外部に備えた図示しないラジカル発生源にて発生させたラジカルをプラズマフレームF2の中に注入するようにしてもよい。
【0023】
ここで、筒形加熱炉70におけるプラズマ発生方式は、上述の誘導結合方式(コイル方式)に限定するものではなく、容量結合方式(平行平板型)でもよい。また、マイクロ波、直流電流、グロー放電によりプラズマを発生させてもよい。
【0024】
また、粒子の材質に応じて、高温プラズマと低温プラズマとを使い分けることが好ましい。高温プラズマは、金属や無機物等の比較的融点の高い粒子の溶融結合に適し、低温プラズマは、有機・高分子等の比較的融点の低い粒子の溶融結合や表面改質による付着性の向上に適している。
【0025】
さらに、筒形加熱炉70は、プラズマフレームF2の熱を利用するものに限定するものではなく、例えば、可燃性ガスの燃焼炎の熱(ガスバーナー)や、熱風を利用するものでもよい。筒形加熱炉70の熱源や温度は、粒子の材質に応じて適宜設定すればよい。以上が、筒形加熱炉70に関する説明である。
【0026】
図1に示すように、2つの粒子排出装置20,20は、装置収容ケース101の上側部屋103内で、粒子導入管75の上面開口から側方に離れた位置に配置されている。図4に示すように、粒子排出装置20は、粒子群を収容した粒子群収容容器21を備えている。なお、本実施形態では、粒子排出装置20,20から排出される粒子が異なる種類であるが同種でもよい。また、無機粒子(金属粒子)、有機・高分子粒子の何れでもよい。
【0027】
粒子群収容容器21は、大径筒部22と小径筒部23と粒子排出筒部24とを備え、下方に向かうに従って縮径した構造になっている。大径筒部22の側壁の下端部と、小径筒部23の側壁の上端部との間は平板状の水平段差壁25によって接続されており、粒子排出筒部24は小径筒部23の外側に螺合固定されている。そして、粒子排出筒部24の下面開口から粒子が排出される。
【0028】
粒子群収容容器21(大径筒部22)の上端は開放しており、その上端外周面に螺合された上端キャップ26にて閉じられている。上端キャップ26の上面中央には、制御装置50によって駆動制御されるモータ27が固定載置されている。モータ27に連結された回転軸27Aは、上端キャップ26を貫通して大径筒部22及び小径筒部23でその中心軸に沿って延びている。回転軸27Aは、中間部より下側が段付き状に細くなった六角柱状をなしており、その太軸部の下端部には容器内円盤28が一体回転可能に取り付けられている。
【0029】
容器内円盤28は、水平段差壁25の上面に重ねて配置され、その水平段差壁25のうち、小径筒部23の上面開口とその周囲を覆うように、大径筒部22内に遊嵌している。具体的には、容器内円盤28は大径筒部22の内径よりも小径でかつ、小径筒部23の内径よりも大径な平らな円板で構成されており、水平段差壁25の上面から上方に離して水平に取り付けられている。
【0030】
この容器内円盤28上に堆積した粒子群を、容器内円盤28の周縁部と大径筒部22の側壁との間の環状隙間に掻き出すために、大径筒部22の内側には上面待ち受けガイド29が設けられている。図4に示すように上面待ち受けガイド29は、L字状に屈曲した板状をなしている。上面待ち受けガイド29の水平板29Aは、容器内円盤28の上面に隣接配置され、水平板29Aの基端部から垂直上方に延びた垂直板29Bが上端キャップ26に固定されている。
【0031】
そして、水平板29Aの先端側の平面を回転軸27Aの側面に当接させて取り付けることで、容器内円盤28の回転方向に対して水平板29Aが傾斜し、容器内円盤28の回転時に、容器内円盤28上の粒子群が水平板29Aに堰き止められて容器内円盤28の外縁部に向けて案内される。また、水平板29Aの基端部は、容器内円盤28の外縁部より外側位置まで延びているので、水平板29Aに案内された粒子群を水平段差壁25の外縁部、即ち、水平段差壁25の上面のうち容器内円盤28の外縁部に沿って設けられた環状堆積部25Aへと流下させる。さらに、上面待ち受けガイド29が粒子群収容容器21内の粒子群を撹拌するので、大径筒部22内で粒子群が固化することを防ぐことができる。これにより、容器内円盤28上の粒子群を安定して環状堆積部25Aへと流下させることが可能となる。
【0032】
上面待ち受けガイド29によって環状堆積部25Aへと流下した粒子群は、容器内円盤28と水平段差壁25との間で所定の安息角を有した粒子群の山を形成する。この粒子群の山の安息角は、粒子群の種類によって一定となり、容器内円盤28から水平段差壁25へと過剰な粒子群が供給されないようにすることができる。即ち、容器内円盤28と水平段差壁25の上面との間で粒子群を堰き止めて、小径筒部23に粒子群が崩れ込まないようにすることができる。
【0033】
環状堆積部25Aに堆積した粒子群の山は、その山裾部分が大径筒部22内で回転する容器内旋回部材30によって削り取られて小径筒部23へと送り込まれる。容器内旋回部材30は、回転軸27Aに固定されており、図6に示すように回転軸27Aが貫通した軸心プレート31から側方に片持ち梁状の集粒羽32と散粒羽33とが延びている。これら集粒羽32と散粒羽33とが水平段差壁25の上面に摺接しつつ水平面内で回転する(図5参照)。
【0034】
集粒羽32は、容器内旋回部材30の回転方向(図6の矢印の方向)とは逆側に膨らむように複数の平板をつなげた屈曲構造をなす一方、散粒羽33は、容器内旋回部材30の回転方向に対して傾斜した状態で軸心プレート31から大径筒部22の側壁に向かって真っ直ぐ延びている。また、図示されていないが、集粒羽32は、その先端が大径筒部22の側壁と隣接した位置まで延びており、散粒羽33はそれより短くなっている。
【0035】
そして、集粒羽32によって、環状堆積部25Aに堆積した粒子群を中心側に誘導して小径筒部23へと送り込むと共に、散粒羽33により、集粒羽32が取り込み過ぎた粒子群を外側に移動して逃し、次に集粒羽32が通過したときに小径筒部23内に取り込み、小径筒部23内の粒子群にかかる圧力を安定させ易くしている。また、集粒羽32と散粒羽33とが協働して粒子群を撹拌して、環状堆積部25Aにおける粒子群の塊を粉砕する効果も奏する。
【0036】
図6に示すように、容器内旋回部材30の軸心プレート31のうち集粒羽32の付け根部分には、軸心プレート31から斜めに切り起こされた補助ガイド壁34が形成されている。補助ガイド壁34は、集粒羽32による粒子群の誘導方向に向かって徐々に下るように傾斜している。そして、集粒羽32に誘導されてその基端部に達した粒子群は、補助ガイド壁34によって小径筒部23へと強制的に落とされる。
【0037】
容器内旋回部材30には、軸心プレート31から下方に向かって延びた複数の旋回脚部35,36が一体に設けられている。図6に示すように、これら旋回脚部35,36は何れも小径筒部23内に配置され、そこで旋回可能となっている。
【0038】
第1の旋回脚部35は、軸心プレート31のうち散粒羽33の付け根部分と、集粒羽32の付け根部分とにそれぞれ対をなして設けられている。第1の旋回脚部35は、帯板状をなしており、下方に向かうに従って容器内旋回部材30の旋回方向の後方へ向かうように斜めに(詳細には、鉛直方向に対して約30度傾いて)延びている。
【0039】
第2の旋回脚部36は、軸心プレート31のうち散粒羽33の付け根部分から垂下しており、第1の旋回脚部35とほぼ同じ幅の帯板状をなしている。
【0040】
これら両旋回脚部35,36が小径筒部23内を旋回することにより、小径筒部23内での粒子群の固化や凝集が防止されている。
【0041】
図5に示すように、粒子群収容容器21のうち、第1及び第2の旋回脚部35,36の下端部より下方には、1対のスクリーン壁37,38が上下2段にして設けられている。
【0042】
図8に示すように、上段のスクリーン壁37は、薄肉円板に複数の粒子通過孔37Aが貫通形成された構造をなす。これら粒子通過孔37Aは、大径筒部22から小径筒部23へと送り込まれた粒子群同士が付着(架橋)して形成されたアーチにより閉塞されると共に、その粒子群アーチが崩れた状態で粒子群が通過可能な大きさになっている。具体的には、上段のスクリーン壁37に取り付けられた超音波振動子37Bの振動によってアーチが破壊され、粒子が下段のスクリーン壁38へと落下するように構成されている。なお、本実施形態において、上段のスクリーン壁37は、粒子通過孔37Aの大きさやその数及び配置を異ならせた複数種類のものが用意されており(例えば、図11参照)、粒子の粒径等に応じて適宜選択して取り付けることが可能となっている。
【0043】
一方、下段のスクリーン壁38は、中心部に1つだけ粒子通過孔38Aが形成されている。図9に示すように粒子通過孔38Aは、下方に向かって縮径したすり鉢状をなし、図10に示すように、最も小径な部分の孔径が、粒子P1の平均粒径の数倍程度となっている。これにより、極微少量ずつ(例えば、1〜3粒ずつ)粒子を排出可能となっている。ここで、下段のスクリーン壁38には超音波振動子38Bが取り付けられており、万が一、粒子通過孔38Aが詰まった場合には、超音波振動子38Bの振動によって粒子を強制落下させて、詰まりを解消することが可能となっている。なお、下段のスクリーン壁38としては、図12に示すように、粒子の平均粒径の数倍程度の粒子通過孔38Aを、上段のスクリーン壁37の粒子通過孔37Aの数より多く備えたものも用意されており、適宜選択して取り付けることが可能となっている。
【0044】
図5に示すように、各スクリーン壁37,38は、粒子排出筒部24の側面に開放したスリット24A,24Aから挿抜可能となっている、上段のスクリーン壁37は、その周縁部が小径筒部23の下端部と粒子排出筒部24の内周段差面との間で挟まれており、下段のスクリーン壁38は、その周縁部が粒子排出筒部24の内周面に形成された溝部に係合している。なお、スクリーン壁37,38を板厚方向から挟んで密着した1対のOリングによって、各スリット24A,24Aと各スクリーン壁37,38との間の隙間からの粒子の漏出が防止されている。
【0045】
図5に示すように、下段のスクリーン壁38の上面には、スクレーパ40が備えられている。スクレーパ40は、上段のスクリーン壁37を貫通した回転軸27A(細軸部)の下端部に着脱可能に固定されている。スクレーパ40は、図7に示すように回転軸27Aの外側に嵌合する円柱部41と、その円柱部41の下面から片持ち梁状に張り出した帯板部42とから構成されており、帯板部42は回転方向の後方に向かって膨らむように湾曲している。スクレーパ40は、下段のスクリーン壁38の上面に摺接しつつ旋回し、上段のスクリーン37を通過して下段のスクリーン壁38に落下した粒子を、その中心部へと掻き集めて、粒子通過孔38Aから、粒子排出装置20の下方へと落下させる構成となっている。
【0046】
以上が粒子排出装置20,20の説明である。なお、図13に示すように、各粒子排出装置20は、計量装置39に載置された支持台39Bによって計量装置39の上方に保持されており、粒子排出装置20からの粒子の排出量は、粒子排出装置20の全体の重量減少量として計測され、制御装置50に出力されている。
【0047】
さて、各粒子排出装置20の下方には、それぞれイオナイザ85,85(本発明の「イオン発生器」に相当する)が備えられている。イオナイザ85は、例えば、コロナ放電を利用してガス中の気体分子を電離し、正又は負の気体イオンを生成する。気体イオンの生成方式は、コロナ放電以外に放射線や熱電離を利用した方式があるが、それらの原理については公知であるので(JIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」を参照)詳細な説明は省略する。
【0048】
イオナイザ85は、予め設定された量の気体イオンを生成し、その気体イオンを含むガス(イオン風)を、予め設定された圧力で装置収容ケース101内に挿入されたノズル85Aから噴射する。図13に示すように、ノズル85Aは、粒子排出装置20から落下する粒子の落下経路の側方に配置されかつ、その落下経路に向けられており、落下途中の粒子の側方からイオン風を吹き付ける。これにより、粒子に気体イオンが付着し、正又は負に帯電する。
【0049】
本実施形態では、一方(図13における左側)の粒子排出装置20から落下する粒子に対しては、イオナイザ85から正の気体イオンを含むイオン風が吹き付けられ、他方(図13における右側)の粒子排出装置20から供給される粒子に対しては、イオナイザ85から負の気体イオンを含むイオン風が吹き付けられる。なお、イオナイザ85が生成する気体イオン量及びガスの圧力又は速度は、制御装置50によって設定される。
【0050】
図13に示すように、両イオナイザ85,85のノズル85A,85Aは、2つの粒子排出装置20,20の並び方向で対向しており、両イオナイザ85,85のノズル85A,85Aから噴射されるイオン風により、帯電した粒子が、反対極性の粒子に向かって吹き飛ばされる。そして、2つの粒子排出装置20,20の中間位置、即ち、粒子導入管75の上面開口の真上で、互いに反対極性に帯電した粒子同士が合流してそれらが電気的に付着(静電吸着)し、複数の粒子が合体して一体となった粒子(以下、「合体粒子」という)が生成される。この合体粒子は、上側部屋103に供給されたキャリヤガスによって上述の如く筒形加熱炉70へと案内され、筒形加熱炉70を降下する過程で合体粒子を構成する粒子同士が溶融結合して複合化される。なお、イオン風に吹き飛ばされた複数の粒子が放物線を描いて、粒子導入管75の上部内側に集まるように、イオン風を吹き付けてもよい。
【0051】
ここで、筒形加熱炉70を通過する前の合体粒子は、反対極性の粒子が1対1で吸着した形態となるようにしてもよいし(図14(A)参照)、一方の粒子1つに対して他方の粒子が複数個吸着した形態となるようにしてもよい(図14(B)〜(D)参照)。図14(D)に示すように、一方の粒子の周囲が複数の他方の粒子で覆われた形態となるようにして筒形加熱炉70を通過させると、所謂、コアシェル構造(芯部と外殻部とからなる2層構造)の複合粒子を生成することが可能となる。なお、これら合体粒子の形態は、粒子の粒径や粒子の帯電量によって制御することが可能である。
【0052】
このように本実施形態によれば、複数の粒子排出装置20,20から落下した粒子に側方からイオン風(ガス)が吹き付けられ、その風圧によって複数の粒子が筒形加熱炉70の上面開口の上方で合流する。各粒子には、イオン風(ガス)に含まれる気体イオンが付着して互いに反対極性に帯電しているので、合流した粒子同士を静電吸着させることができる。そして、その静電吸着した合体粒子が筒形加熱炉70を降下する間に加熱溶融されて複合化するので、複合粒子を従来より簡便に製造することができる。また、粒子に気体イオンを付着させることで帯電させているので、複数の粒子同士を衝突又は摩擦により帯電させた場合のように粒子が破壊されることもない。
【0053】
[第2実施形態]
この第2実施形態は、複合粒子製造装置100のうち、筒形加熱炉70の下面開口の下方に転動造粒装置11を備えている点が、上記第1実施形態とは異なる。
【0054】
図15に示すように転動造粒装置11は、重力方向(鉛直方向)に対して傾斜した回転軸13Aの一端に回転パン12が固定され、回転軸13Aの他端にモータ13が連結されている。回転パン12は、斜め上方に開放した排出口12Aを備えており、その排出口12Aから底部に向かうに従って縮径した円錐筒形状をなしている。回転軸13Aは、支持盤14の上台14Aに傾斜して取り付けられており、上台14Aはヒンジ14Cを介して下台14Bに回動可能に軸支されている。そして、下台14Bの一端と上台14Aの一端との間に挟まれた伸縮シャフト14Dによって、回転パン12(回転軸13A)の傾斜角度を調節可能となっている。
【0055】
筒形加熱炉70を通過して生成された複合粒子は、回転パン12の底部寄り位置に落下し、回転パン12の回転によりそれら複合粒子群が回転パン12内で転動する。その過程で、例えば、回転パン12内に噴霧されたバインダ液による架橋作用により複数の複合粒子同士が付着して雪だるま式に成長し、造粒物が製造される。なお、造粒物の大きさは、回転パン12(回転軸13A)の傾斜角度や回転速度を変更することで適宜変更することができる。
【0056】
ここで、本実施形態の回転パン12は円錐筒形状をなしているので、その内径差によって周速度差が生じ、回転パン12内に落下した直後の小さい複合粒子は回転パン12の内面を転動して底側へ移動し、造粒が進行して大型化するに従って回転パン12の内面を転動して排出口12A側に移動する。そして、所定の大きさになった造粒物は排出口12Aからオーバーフローして自然に排出される。つまり、回転パン12内で分級作用が起きて造粒物の大きさを揃えることができる。なお、この分級作用の原理については公知であるので(坂下攝著「入門粉体トラブル工学」(株式会社工業調査会、1998年10月1日発行)の「4.2容器回転型重力流動」を参照)、詳細な説明は省略する。本実施形態によれば、複数の複合粒子が結合した造粒物を製造することができる。ここで、粒子の複合化によって複合粒子の付着性を高めておくと、造粒を効率よく行うことができる。
【0057】
[第3実施形態]
この第3実施形態は、図16に示されており、転動造粒装置11の回転パン12内で転動する粒子群にプラズマフレームF1を噴射するプラズマトーチ15を備えている点が、上記第2実施形態とは異なる。
【0058】
プラズマトーチ15は、上述した筒形加熱炉70と同様の構成である。即ち、石英製のプラズマ発生管16と、その外側に設けられた誘導コイル17とを備え、誘導コイル17に高周波電力を印加するための電源18がマッチング回路19を介して接続されている。プラズマ発生管16は下端開放の円筒状をなし、鉛直方向に対して傾斜して設けられている。図示されていないが、プラズマ発生管16は二重管構造をなしており、その内外管の間に冷却水或いは冷却用ガスが流されている。プラズマ発生管16の内側には、その上端部からプラズマフレーム生成用ガス(例えば、水素、ヘリウム、窒素、酸素、ネオン、アルゴン及びそれらの混合ガス)が導入され、その状態で誘導コイル17に高周波電力が流されると、プラズマフレーム生成用ガスがプラズマ状態になって、プラズマ発生管16の下端開口から回転パン12内へとプラズマフレームF1が噴射される。
【0059】
プラズマトーチ15は、プラズマフレームF1の先端部が、回転パン12内で転動する複合粒子群の表面に位置するように配置されている。つまり、回転パン12内に堆積した複合粒子群のうち、回転パン12の内面に近い位置にある複合粒子には、プラズマフレームF1の熱が伝わり難くなっているので、複合粒子が回転パン12の内壁面に固着することを防止することができる。また、比較的温度の低いプラズマフレームF1の先端部を複合粒子群の表面から離したことで、過加熱による複合粒子の液状化や蒸発を防ぐことができる。
【0060】
ここで、プラズマトーチ15は、プラズマフレームF1の先端部が、回転パン12内で転動する複合粒子群のうち、比較的粒径の小さい(他の複合粒子と固着していない未反応の)複合粒子に優先的に当たるような位置に配置するとより好ましい。具体的には、図17に示すように、回転パン12の内壁面との摩擦によって上方に引き揚げられた複合粒子群の上端部分にプラズマフレームF1の先端部が位置するように配置すると、比較的粒径の小さい複合粒子にプラズマフレームF1が優先的に当たって、効率的に造粒を行うことができる。
【0061】
プラズマ発生管16の下端開口の近傍には、プラズマ中のラジカル量を測定するラジカル測定装置51が配設されており、その測定結果が制御装置50に取り込まれている。制御装置50は、計測されたラジカル量に応じてガス流量バルブ52の開度を変化させて、ラジカル量がほぼ一定になるように、プラズマ発生管16に導入するプラズマフレーム生成用ガスの流量又は供給圧力を調節する。これにより、プラズマトーチ15にて発生するプラズマフレームF1を一定状態に保持することができ、造粒物の性状のばらつきを抑えることができる。なお、高周波電力を一定の周期でパルス変調させて、そのデューティー比を変化させることでラジカル量を制御してもよい。或いは、外部に備えた図示しないラジカル発生源にて発生させたラジカルをプラズマフレームF1の中に注入するようにしてもよい。
【0062】
この転動造粒装置11では、プラズマフレームF1の熱によって、複合粒子の表層部を溶融して互いに固着させることができ、バインダ液で固着させた造粒物より、強度を向上させることができる。または、プラズマ中のイオンやラジカルの作用によって複合粒子の表面を改質し、複合粒子自体の付着性を高めて造粒を行うことができる。
【0063】
ここで、プラズマフレームF1を使用して有機・高分子材料の粒子の造粒を行う場合には、プラズマフレームF1による粒子の表面改質(架橋層の形成、反応性官能基の導入、エッチングなど)を促進し、粒子同士の付着性やバインダ液に対する濡れ性を向上させるために、図18に示すように、転動する粒子に各種イオン(例えば、ヘリウムイオン、窒素イオン、酸素イオン)を付与するイオン注入ノズル97を設けてもよい。
【0064】
[第4実施形態]
この第4実施形態は、図19〜図23に示されており、粒子排出装置20における粒子群収容容器の構成を上記実施形態と異ならせたものである。この粒子群収容容器90は、スクリーン壁91を1枚だけ備えている。スクリーン壁91は、図21に示すように、回転軸27Aを中心とした円周上に複数の粒子通過孔91Aを備えた構成をなしており、各粒子通過孔91Aの径は、粒子の粒径の数倍程度の大きさとなっている。
【0065】
また、容器内旋回部材95は、図20に示すように軸心プレート31から集粒羽32が張り出しかつ旋回脚部36が垂下した構造をなしており、集粒羽32が粒子群収容容器90の水平段差壁25の上面に摺接しつつ旋回して、粒子群を小径筒部23に取り込むと共に、旋回脚部36が小径筒部23内で旋回して小径筒部23内の粒子群を撹拌するようになっている。
【0066】
さらに、回転軸27Aの下端部に固定されたスクレーパ40の帯板部42は回転方向の後側に膨らむように「く」の字状に屈曲している。詳細には、帯板部42は、円柱部41の外周面の接線と平行に回転方向の後側に延び、複数の粒子通過孔91A同士を結んで描かれる円(図21の二点鎖線で示された円)との交差部分で屈曲して径方向外側に真っ直ぐ延びている。
【0067】
なお、スクリーン壁91とスクレーパ40の組合せは、これに限るものではなく、例えば、図22に示すように、長短1対の帯板部42,42を備えたスクレーパ40と、それら帯板部42,42が交互に粒子通過孔91Aを横切るように(2つの粒子通過孔91Aから同時に粒子が排出されないように)複数の粒子通過孔91Aを配置したスクリーン壁91との組み合わせでもよい。或いは、図23に示すように、回転方向の後側にオフセットした位置から小径筒部23の内面に向かって真っ直ぐ延びた帯板部42,42を対にして備えたスクレーパ40と、それら各帯板部42,42がほぼ同時にそれぞれ1つの粒子通過孔91Aを横切るように(2つの粒子通過孔91Aからほぼ同時に粒子が排出されるように)複数の粒子通過孔91Aを配置したスクリーン壁91との組み合わせでもよい。
[他の実施形態]
【0068】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0069】
(1)前記第2,3実施形態において、図24に示すように、回転パン12に複合粒子以外の粒子(以下、複合粒子と区別するために「被覆粒子」という)を直接供給する粒子補充装置80を備え、筒形加熱炉70から落下した複合粒子を核粒子として、その周囲に粒子補充装置80から供給された被覆粒子が付着した造粒物を製造可能な構成にしてもよい。
【0070】
即ち、複合粒子は、筒形加熱炉70を通過することで溶融状態又は溶融直前の高温状態のまま回転パン12内の被覆粒子群の中に落下する。すると、その複合粒子の熱によって周囲の被覆粒子が溶融され、複合粒子の表面に複数の被覆粒子が固着する。そして、回転パン12の回転に伴う転動により、複合粒子の表面全体が複数の被覆粒子によって覆われた造粒物が製造される。
【0071】
また、このとき、粒子補充装置20から回転パン12へと補充された粒子量を計量装置39にて計量してもよいし、予め求めた検量線量に従って粒子の補充量を制御する方法でもよい。
【0072】
(2)上記第2,3実施形態では、転動造粒装置11を備えていたが、他の形式の造粒装置でもよい。例えば、撹拌造粒装置や圧縮造粒装置や流動層造粒装置(噴流層型造粒装置・流動噴流層型造粒装置)でもよい。また、転動造粒装置11は、所謂、「傾斜皿式」の転動造粒装置であったが、回転ドラム式の転動造粒装置でもよい。さらに、図25に示す遠心転動式造粒装置110や、図26に示す遠心転動式流動層造粒装置120でもよい。図25に示す遠心転動式造粒装置110では、ハウジング111の内部に水平回転する回転円板112を備え、回転円板112上の粒子群が回転円板112から受ける遠心力によって回転円板112の外縁部へと向かう。回転円板112の外縁部に達した粒子群は、回転円板112とハウジング111の側壁との間の隙間から吹き上がるガスによって上昇し、回転円板112の中心側に戻される。このようにハウジング111内で粒子が循環することで造粒が進行する。また、図26に示す遠心転動式流動層造粒装置120は、回転円板122が、複数の通気口123を備えたスクリーン構造をなしており、上述した作用に加えて、通気口123から上方に噴出したガスによって粒子が浮遊、流動化することで造粒が進行する。なお、これらの転動造粒装置については公知であるので(特許庁ホームページ、”標準技術集”「農薬製剤技術(B−1−(4)被覆技術)」を参照)、詳細な説明は省略する。
【0073】
そして、上述した流動層造粒装置、遠心転動式造粒装置110、遠心転動式流動層造粒装置120にプラズマトーチを組み合わせて、バインダ液を噴霧するかわりに、プラズマフレームF1を噴射してもよい。なお、バインダ液だけでもよいし、プラズマフレームF1とバインダ液とを併用してもよい。
【0074】
(4)図27に示すように、下側部屋104内のガスを、排気口106に接続した吸引ポンプ98によって強制排気することで、下側部屋104内が負圧となるようにすれば、筒形加熱炉70への粒子の導入をよりスムーズに行うことができる。
【0075】
(5)図28に示すように、筒形加熱炉70を通過した複合粒子を回収して粒子排出装置20から排出された粒子と静電吸着させ、再度、筒形加熱炉70を通過させてもよい。これを繰り返せば、複合粒子を徐々に大型化することができる。つまり、造粒を行うことができる。
【0076】
(6)前記実施形態では、粒子排出装置20を2つ備えていたが、3つ以上の粒子排出装置20を備えて、3つ以上の異なる粒子が合体した複合粒子を生成するようにしてもよい。
【0077】
(7)複数の粒子排出装置20のうち、何れか一つを筒形加熱炉70の真上に配置すると共にその他の粒子排出装置20を筒形加熱炉70の上面開口の側方に配置し、他の粒子排出装置20から下方に排出された粒子を、筒形加熱炉70の真上から下方に排出された粒子に向けて吹き飛ばすことで、複数の粒子を筒形加熱炉70の真上又は筒形加熱炉の上部内側で静電吸着させてもよい。
【0078】
(8)上記実施形態では、2つの粒子排出装置20,20のそれぞれの下方にイオナイザ85,85が配置されていたが、一方の粒子排出装置20の下方だけにイオナイザ85を設け、他方の粒子排出装置20の下方には、気体イオンを含まないガスを吹き出すノズルを配置してもよい。ここで、仮に、他方の粒子排出装置20から落下した粒子が電気的に中性であっても、一方の粒子排出装置20から落下した粒子が正又は負に帯電していれば、それら粒子同士を静電吸着させることは可能である。これは、電気的に中性な粒子であっても、外部の正電荷に吸引又は負電荷と反発して粒子内で電子が移動(誘電分極)するからである。
【0079】
(9)上記実施形態において、粒子排出装置20,20から排出された粒子を、粒子導入管75の上方へと案内する筒状又は樋状の粒子案内部材を設けてもよい。そして、その粒子案内部材との接触又は摩擦によって粒子を帯電させてもよい。
【0080】
(10)図29に示すように、筒形加熱炉70を上下に複数段備えていてもよい。
【0081】
(11)図30に示すように、容器内旋回部材30における第1の旋回脚部35を、散粒羽33側と集粒羽32側とにそれぞれ3つずつ備えていてもよい。
【0082】
(12)前記実施形態では、気体イオンを含むガスをノズルから噴出するイオナイザによって粒子の帯電処理を行っていたが、ガスによって吹き飛ばされた粒子の移動経路に公知な帯電処理装置を配置して帯電処理を行うようにしてもよい。
【0083】
(13)上記実施形態では、プラズマフレームF1,F2中のラジカル量が一定になるようにして、プラズマを一定状態に保持していたが、他のパラメータ(プラズマ中のイオン密度や電子密度)が一定になるように制御して、プラズマフレームF1,F2を一定状態に保持してもよい。
【0084】
(14)粒子導入管75の上部に、粒子を結合させるためのイオナイザ85を粒子導入管75の上端開口に向け下方向に取り付けて、常時粒子導入管75に静電気イオン風を発生させておき、粒子供給装置80から下方に排出された粒子にガス風圧を付与して、粒子導入管75の静電気イオン風へ移動させ、粒子導入管75への静電気イオン風に静電吸着されるように粒子を直接当て帯電させて、粒子同士を静電吸着させ、粒子導入管75に導いてもよい。
【0085】
(15)上記第3実施形態では、転動造粒装置11においてプラズマフレームF1を利用して造粒を行っていたが、プラズマ中のイオン又はラジカルの作用を用いず粒子の造粒が可能な粉粒体の場合は、他の熱源(例えば、ヒーターやガスバーナー)に置き換えても良い。
【0086】
(16)上記実施形態において、粒子は、回転パン12の底部寄り位置に供給され、回転パン12の回転によりそれら粒子群が回転パン12内で転動するが、粒子の種類によっては、摩擦係数が小さく粒子が回転パン12の回転数に伴わない場合が有る。その場合は回転パン12の内面粒子接触面に凹凸または段差を設け摩擦力を増しても良い。粒子接触面凹凸、段差の形状(凹のみ、凸のみ、深さ、高さ、大きさ、配列、形状)の度合いは、粒子の特性に合わせ適時調整し、回転パン12の回転数に近くなる様、効率を上げるのが望ましい。
【0087】
(17)筒形加熱炉70におけるプラズマフレームF2は、平行に配置された1対の平板電極又は、針状電極と平板電極との間又は、線状電極と平板電極との間に電圧を印可して発生させてもよい。また、プラズマ発生管71は、キャピラリー(毛管、毛細管)でもよい。そして、複合粒子用途及び機器構成に合わせ、これらプラズマ発生機構及びトーチ形状を選定して使用してもよい。
【0088】
(18)封止ケースの内部に、複数の粒子排出装置を収容し、封止ケースの底壁に筒形加熱炉を貫通させて、筒形加熱炉の下部開口を通って封止ケースの外部へと排出されるように構成されているが、粒子排出装置を収容した封止ケースと、筒形加熱炉を収容した封止ケースと、容器回転型造粒装置を収容した封止ケースとを別々に配置し、それぞれを粒子輸送配管で接続した構成にしてもよい。
【0089】
(19)粒子群収容容器21の上端キャップ26及び粒子排出筒部24は何れも螺合によって大径筒部及び小径筒部に締結される構成であるが、フランジ合わせ、ヘルールクランプ方式などの他の締結構造であってもよい。
【0090】
(19)図31に示すように、粒子排出装置20の回転軸27Aのうち、水平板29Aの上部に嵌合するように解砕羽96を設け、回転する解砕羽96と固定された水平板29Aとで、大径筒部22内の凝集した粉粒体の塊を解砕する機構を設けてもよい。
【0091】
(20)粒子導入管75の上部に、粒子を結合させるための結合剤を噴霧するスプレーノズルを粒子導入管75の上端開口に向け下方向に取り付けて、常時又は適時、粒子導入管75にスプレーさせておき、粒子排出装置20から下方に排出された粒子にガス風圧を付与して、粒子同士を静電吸着させ結合した粒子に結合剤をスプレーして、粒子導入管75に導いてもよい。
【0092】
(21)粒子排出装置20から下方に排出された粒子にガス風圧を付与して粒子同士を静電吸着させ結合した粒子の結合度を高めるために、粒子の一方又は全てに、結合度を高める前処理をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1施形態に係る複合粒子製造装置の概念図
【図2】粒子導入管の断面図
【図3】粒子導入管の平面図
【図4】粒子排出装置の断面図
【図5】粒子排出装置の拡大断面図
【図6】容器内旋回部材の斜視図
【図7】スクレーパの斜視図
【図8】上段のスクリーン壁の斜視図
【図9】下段のスクリーン壁の断面斜視図
【図10】下段のスクリーン壁の断面図
【図11】上段のスクリーン壁の斜視図
【図12】下段のスクリーン壁の斜視図
【図13】複合粒子製造装置の正面図
【図14】(A)2つの粒子が付着した合体粒子の概念図、(B)3つの粒子が付着した合体粒子の概念図、(C)5つの粒子が付着した合体粒子の概念図、(D)一方の粒子を他方の粒子が覆った合体粒子の概念図
【図15】第2実施形態に係る複合粒子製造装置の概念図
【図16】第3実施形態に係る転動造粒装置の断面図
【図17】回転容器内におけるプラズマフレームの噴射位置を示した正面図
【図18】(A)イオン注入ノズルを備えた転動造粒装置の正面図、(B)その変形例を示した正面図
【図19】第4実施形態に係る粒子群収容容器の断面図
【図20】容器内旋回部材の斜視図
【図21】スクリーン壁及びスクレーパの平面図
【図22】スクリーン壁及びスクレーパの変形例を示した平面図
【図23】スクリーン壁及びスクレーパの変形例を示した平面図
【図24】変形例に係る複合粒子製造装置の概念図
【図25】変形例に係る転動造粒装置の概念図
【図26】変形例に係る転動造粒装置の概念図
【図27】変形例に係る複合粒子製造装置の概念図
【図28】変形例に係る複合粒子製造装置の概念図
【図29】変形例に係る複合粒子製造装置の概念図
【図30】変形例に係る容器内旋回部材を備えた粒子群収容容器の部分断面図
【図31】変形例に係る粒子排出装置の側断面図
【符号の説明】
【0094】
20 粒子排出装置
50 制御装置(プラズマ制御装置)
51 ラジカル測定装置
70 筒形加熱炉(プラズマ発生器)
71 プラズマ発生管
85 イオナイザ(イオン発生器、強制帯電手段、風圧移動手段)
100 複合粒子製造装置
105 ガス供給口
F2 プラズマフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子を電気的に付着させた状態で筒形加熱炉内を降下させて、それら粒子同士を互いに固着させる複合粒子製造装置において、
前記筒形加熱炉の上方に配置され、所定量ずつの粒子を下方に排出可能な複数の粒子排出装置と、
前記粒子排出装置から排出された粒子を帯電させるための強制帯電手段と、
前記粒子排出装置から排出された粒子に風圧を付与して、全ての前記粒子排出装置からの粒子を前記筒形加熱炉の真上又は前記筒形加熱炉の上部内側に集めて互いに電気的に付着させるための風圧移動手段とを備えたことを特徴とする複合粒子製造装置。
【請求項2】
前記強制帯電手段及び前記風圧移動手段は、前記粒子排出装置から排出された粒子に気体イオンのイオン風を吹き付けることが可能なイオン発生器で兼用されたことを特徴とする請求項1に記載の複合粒子製造装置。
【請求項3】
前記筒形加熱炉は、上下の両端部が開放したプラズマ発生管を備え、そのプラズマ発生管の内側にプラズマフレーム生成用ガスを供給してプラズマフレームを生成するプラズマ発生器であり、
前記プラズマフレームのラジカルを測定するラジカル測定装置と、前記ラジカルが一定の値になるように前記プラズマトーチへのプラズマフレーム生成用ガスの供給量又は供給圧力又はプラズマ発生用電力を調節するプラズマ制御装置とが備えられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器回転型造粒装置。
【請求項4】
前記プラズマ発生管に供給されるプラズマフレーム生成用ガスは窒素であることを特徴とする請求項3に記載の容器回転型造粒装置。
【請求項5】
ガス供給口とガス排出口を有した封止ケースの内部に前記複数の粒子排出装置を収容すると共に前記封止ケースの底壁に前記筒形加熱炉を貫通させて、その筒形加熱炉の下部開口を前記ガス排出口とし、
前記ガス供給口から前記封止ケース内にガスを供給し、そのガスが前記ガス排出口としての前記筒形加熱炉の下部開口を通って前記封止ケースの外部へと排出されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の複合粒子製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2009−112919(P2009−112919A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287345(P2007−287345)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(302055139)
【Fターム(参考)】