複合部品の作製に適した新規な補強材料
本発明は、複合部品を作製するための、熱硬化性樹脂と合わせる新規な中間材料であって、100〜280g/m2の重量を有する炭素繊維の一方向層からなり、その各面において0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する、熱可塑性繊維のウェブが合わされており、全厚が80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンである上記中間材料、並びにこのような材料から複合部品を製造するための方法、及び得られる複合部品に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部品の作製に適した補強材料の技術分野に関する。より詳細には、本発明は、その後の熱硬化性樹脂の挿入又は注入によって複合部品を製造するための、一方向層(unidirectional layer:単一方向の層)を含有する新規な中間材料、該材料のスタックに由来する複合部品の製造方法、及び得られる複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
複合部品又は物品、即ち、一方では1種又は複数種の補強材又は繊維層、他方では主として熱硬化性(「樹脂」)マトリックスを含み、熱可塑性物質を含み得る複合部品又は物品の製造は、例えば、「直接」又は「LCM」(英語の「Liquid Composite Moulding(液体複合成形)」に由来する)と呼ばれる方法によって達成され得る。直接法は、1種又は複数種の繊維補強材が「乾燥」状態(即ち、最終的なマトリックスを含まない)で組み入れられるという事実によって定義され、樹脂又はマトリックスが、例えば、繊維補強材を含有する金型内への挿入(英語のResin Transfer Moulding(樹脂トランスファ成形)に由来する「RTM」法)によって、厚さ方向への繊維補強材の注入(英語の「Liquid Resin Infusion(液体樹脂注入)」に由来する「LRI」法、又は英語の「Resin Film Infusion(樹脂フィルム注入)」に由来する「RFI」法)によって、或いは代替的には繊維補強材の各単位層へのローラ又はブラシによる手動のコーティング/含浸、引き続いての金型への適用によって、別々に組み入れられている。
【0003】
RTM、LRI又はRFI法では、所望の最終製品の金型の繊維プリフォームを構築すること、次いでこのプリフォームに樹脂を含浸させることが一般にまず必要である。樹脂が、ある温度において差圧によって挿入又は注入され、次いで、必要とされる樹脂の全ての量がプリフォームに一旦含まれると、アセンブリの温度をさらに高くすることで、重合/網状化サイクルを完了させ、これにより樹脂を硬化させる。
【0004】
自動車、航空又は造船産業において用いられる複合部品は、とりわけその機械的特性の観点から、非常に厳密な要件に特に付される。実際、これらの部品の機械的特性は、繊維体積比(VFR)であるパラメータが主に関係する。
【0005】
これらの部門では、補強材料、とりわけ一方向型の主として炭素繊維をベースとして、多数のプリフォームが製造されている。一方向層に含まれる最大繊維体積比は、2つのタイプの構造:六角形又は正方形;を仮定することによって理論上算出することができる。六角形型構造及び正方形型構造をそれぞれ仮定すると、得られる最大VFRは、それぞれ90.7%及び78.5%である(複合材料入門(An Introduction to Composite Materials)、D.Hull、T.W.Clyne、第2版、Cambridge Solid State Science Series、1996年)。しかし、実際には、複合部品では70%を超える繊維体積分率を得るのは困難であると思われる。実際のところ、良好な再現性を有しながら満足のいく複合部品を組み入れるには約60%の繊維体積比(VFR)が標準であることが当業者に一般的に認識されている(Handbook of Composites、Chapman & Hall、1998年、1〜20頁、特に8頁における、S.T.Petersの、「入門、複合材料の基本とロードマップ(Introduction、composite basics and road map)」)。
【0006】
部品の作製の際にとりわけ挿入又は注入によって一方向補強材層に後に合わせる樹脂は、例えば、エポキシ型の熱硬化性樹脂であり得る。この樹脂は、種々の炭素繊維層のスタックから構成されるプリフォームを通しての正確な流動が可能となるように、ほとんどの場合、非常に流動性である。この種の樹脂の主な欠点は、製造される複合部品の耐衝撃性を結果として低下させる、重合/網状化後のその脆弱性である。
【0007】
この問題を解決するために、従来技術文献は、炭素繊維の一方向層と熱可塑性繊維のウェブとの合体を提案した。これらのような解決策は、特許出願又は特許EP1125728号、米国特許第628016号、WO2007/015706号、WO2006/121961号及び米国特許第6,503,856号にとりわけ記載されている。このウェブを添加することで、構造体の耐衝撃性を特徴付けるのに一般的に用いられている衝撃後圧縮(CAI)試験における機械的特性を改善することができる。
【0008】
米国特許出願公開第2006/0154545号には、一方向織物の場合におけるこのような解決策が記載されているが、記載の材料の特徴をかんがみると、満足のいくVFRを得ることができていない。
【0009】
一方向のものについてのこれらの従来の解決策についてのいくつかの詳細は、以下に提供されている。Toray Industries Inc.の名称での特許出願EP1125728号には、補強繊維層を短繊維不織布材料と合わせた補強材料が記載されている。不織布が補強材層の少なくとも一方の面に積層されているため、該不織布を構成する繊維が(炭素)補強繊維層を通過することにより補強繊維内に一体化されるようになっている。不織布は、低融点繊維と高融点繊維との混合体からなる。全ての引用例において、織物又は一方向層からなる補強繊維層の一方の面のみに合わせて非対称補強材料を生じさせる単一の不織布材料が用いられていることに、注意することが重要である。例4では、300g/m2の一方向織物からなる補強繊維層が用いられている。用いられている不織布の厚さは示されていないが、その表面密度(8g/m2)及び示されている空隙率が90%であることをかんがみると、むしろ確実に高い。用いられるスタックは、型[−45/0/+45/90]2s、即ち、単一の不織布材料を含有する7つの内層を含んでいる。この文献での指示を表面密度がより低い、例えば134g/m2である炭素繊維層に適用すると、同じタイプのウェブと、対称材料を得るためには両側で合わせて、航空産業用の主要な構造体の作製とは両立し得ない非常に低い繊維体積比を生ずることとなり得る。
【0010】
Boeing Companyの名称での特許出願WO2007/015706号には、炭素繊維層と不織布材料層とを交互にして複合構造体の耐衝撃性を増大させるステッチングアセンブリを組み合わせたプリフォームの製造方法が記載されている。不織布は、各内層に配置され、炭素繊維層の各側面には配置されていない。上記特許出願には、炭素層の表面密度の範囲についても、不織布材料の厚さの範囲についても何ら言及されていない。例には、4.25g/m2(アメリカ単位で0.125oz/yd2)、8.5g/m2(0.25oz/yd2)、及び12.7g/m2(0.375oz/yd2)の表面密度のみが特定されている3つの異なる不織布の使用が言及されているが、これらの生成物の厚さに関しては示されていない。コポリエステルをベースとする1種のウェブは、実際には、耐衝撃特性に負の影響を及ぼす。例には、作製されたパネルの厚さ、炭素層の表面密度(190g/m2)及び炭素繊維の種類(体積密度が1780kg/m3であるT700)が示されている。衝撃後圧縮(CAI)において最も良好な破断応力結果を有するパネルに関しては、厚さが0.177〜0.187インチ(4.5〜4.75mm)まで変動する。これらの厚さ並びに繊維の種類及び炭素層(プライ)の表面密度に関する情報から、パネルのVFRを評価することができ、該VFRは、主要部品の製造について当業者によって一般に考えられている値よりも低い、54と57%との間で変動する。最も良好なCAI結果(39.6ksi、即ち273MPa)は、54%のVFRで得られる。
【0011】
特許出願WO2006/121961号では、(例えば、エポキシ樹脂の)可溶性繊維からなる不織布材料がプリフォームの作製の際に炭素繊維層の各内層間に入れられる。不織布には、炭素層が直接合わせていない。提示されている例では、60g/m2の不織布材料を含み表面密度が370g/m2である炭素繊維織物が用いられている。製造されたプレートによって、ほんの55%のVFRしか得ることができない。同時に、衝撃後圧縮(CAI)試験に関して正確さに欠ける(衝撃エネルギーは明記されていない)ことで、示された測定値の機械的性能を推測することができなくなる。
【0012】
米国特許第6,503,856号には、炭素層の使用が言及されており、ウェブの形態の2つの接着剤層が炭素層の少なくとも一方の側面に重ね合わせられている。この特許では、接着剤層の厚さが示されておらず(2層の繊維の直径のみ)、炭素の好ましい表面密度は200〜1000g/m2の範囲である。電気の供給源(バッテリー、燃料電池)は、このタイプの生成物の目標となる用途であって、このような生成物の妥当性については強調されていない。
【0013】
したがって、従来技術へのウェブの添加は、ほとんどの場合、他の機械的特性に損失を与えて実施されると思われる。実際、先に言及したように、機械的特性は、繊維体積比(VFR)によって主に決定され、従来技術で記載した技術では、とりわけ、60%程度のVFRを有する複合部品を得ることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的の1つは、とりわけ樹脂の挿入又は注入によって熱硬化性樹脂をベースとする複合部品を製造するのに適した新規な中間生成物であって、60%程度の繊維体積比及び満足のいく機械的特性を有する複合部品を得ること、並びに例えば航空の分野において課されるある一定の非常に厳密な仕様を満たすことを可能にする上記中間生成物を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、これらの仕様を満足させながら、より容易に組み入れられ、自動工程にさらに適した対称中間生成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これに関連して、本発明は、後の熱硬化性樹脂の挿入又は注入によって複合部品を製造するための新規な中間材料であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層からなり、その各面において、0.5〜50ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブが合わされている(associated)中間材料に関し、本発明による中間生成物は、80〜380ミクロンの範囲、好ましくは90〜320ミクロンの範囲の全厚を有する。
【0017】
本発明はまた、このような中間材料を製造する方法であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層が、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、ウェブの溶融/冷却段階を通して合わせられ、中間材料が、80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンの全厚を提示するようになっている方法にも関する。
【0018】
別の一態様において、本発明は、当該発明による中間材料のスタックであって、該中間材料が内部に一体化されているスタックに関する。好ましい実施形態によると、このようなスタックは、ステッチング又はニッティングによってではなく、ウェブの加熱/冷却操作を通して実施される溶接によって固定される。
【0019】
本発明の別の目的は、複合部品の製造方法であって、
a)本発明による中間材料のスタックを作製するステップ、
b)続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化する(consolidate)ステップ、
c)注入(infusion)又は挿入(injection)によって熱可塑性樹脂を添加するステップ、
d)加圧下での熱処理段階によって所望の部品を一体化し、続いて冷却するステップ
からなり、これにより、得られた複合部品が、とりわけ57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比(VFR)を有する、上記方法である。本発明による方法の1つの特定の実施形態において、熱硬化性樹脂は、大気圧未満の圧力、とりわけ1バール未満、例えば、0.1〜1バールの間の圧力で、注入によって添加される。
【0020】
本発明による中間材料及び方法は、航空における主要構造体(即ち、航空機の重要部品)のための標準因子に相当する60%程度のVFRを有する複合部品を作製することを可能にし、また、得られる複合部品の低速耐衝撃性:例えば、複合構造体の製造の際の作業における工具の落下、その使用の際の異物との衝突;を大幅に改善することも可能にする。
【0021】
挿入プロセスの際に適用される圧力は、注入プロセスの際に適用される圧力よりも高い。その結果、注入プロセスよりもむしろ挿入を用いる方が、正確なVFRを有する部品を製造することがより容易となる。本発明による材料は、樹脂の挿入よりもむしろ注入を用いる段階c)によって複合部品が製造される場合においても、とりわけ60%程度の所望の繊維体積比に到達することを可能にする。このような実施形態はまた、有利な変形例でもある。
【0022】
本発明の方法によって得ることができる複合部品はまた、本発明の不可欠な部品、特に、57〜63%、とりわけ59〜61%の繊維体積比を有する部品でもある。
【0023】
添付の図面を参照した以下の記載により、本発明をさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による中間材料の断面である。
【図2】本発明による中間材料を製造するための機械の概略図である。
【図3A】プリフォームの厚さを真空下で測定するためのデバイスを表す。
【図3B】プリフォームの厚さを真空下で測定するためのデバイスを表す。
【図4A】穿孔が実施された、本発明による中間材料の概略上面図である。
【図4B】穿孔が実施された、本発明による中間材料の概略上面図である。
【図5】穿孔デバイスの部分斜視図である。
【図6】種々の一列に並んだ穿孔手段を包含するデバイスの部分図である。
【図7】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図8】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図9】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図10】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図11】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図12】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図13】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図14】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図15】本発明によって穿孔された中間生成物の上方からの写真である。
【図16】いくつかの構成において得られた繊維体積比の関数としての透過率の値を示す。
【図17】機械的試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「炭素繊維の一方向層」は、互いに平行に配置された炭素繊維から排他的に又は準排他的に構成される層を意味する。熱可塑性繊維ウェブと合わせる前の該層の取り扱いを必要に応じて容易にするために、熱可塑性結合ストランド、とりわけ、ポリアミド、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、エステル/エーテルブロックコポリアミド、ポリアセタール、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシの存在を含むことができる。これらの結合ストランドは、ほとんどの場合、炭素繊維に対して横方向に位置することとなる。用語「一方向層」はまた、一方向織物も含み、ここでは、間隔をあけた横糸ストランドが、互いに平行に位置して一方向織物の縦糸ストランドを構成する炭素繊維と交絡によって交差している。このような結合、ステッチング又は横糸ストランドが存在するこれらの種々の場合においても、互いに平行の炭素繊維は、層の重量の少なくとも95%を表すこととなるため、「一方向」としてみなされる。しかし、本発明の特定の実施形態によると、一方向層は、炭素繊維と交絡する横糸繊維を含有しないため、いずれの起伏も回避する。特に、本発明による中間材料は、ウィービングも、ステッチングも、ニッティングも含有しない。一方向層において、炭素ストランドは、好ましくは、ポリマー性結合剤と合わされないため、乾燥しているとされて、これは、炭素ストランドが、熱可塑性ウェブと合わせる前にいずれのポリマー性結合剤も含浸されず、コーティングされず、合わせていないことを意味する。しかし、炭素繊維は、ほとんどの場合において、標準のサイズ剤の重量比が高く、炭素繊維の重量の最大で2%を表し得ることを特徴とする。
【0026】
本発明の一部として、中間材料のコアを構成する炭素繊維層が100〜280g/m2の坪量を有する。この範囲の坪量は、設計技術者が、種々の層のスタックシーケンスを種々の様式の複合構造体の機械的応力の関数として適合させることにより、複合構造体を正確に寸法付けすることを容易にする。基本の層の炭素坪量が低いほど、一定の厚さを有する種々の可能性のあるスタックを選択する際に、かなり多くの汎用性を付与することとなる。
【0027】
中間材料内の一方向層の坪量は、ウェブと合わせる前の一方向層の坪量と一致するが、ウェブと合わせる前の一方向層の坪量を測定することはできない。なぜなら、ストランドが互いに密着していないからである。炭素繊維層の坪量は、中間材料(一方向層+2ウェブ)の坪量から決定することができる。ウェブの表面密度が既知であると、一方向層の表面密度を推測することが可能になる。有用なことに、表面密度は、ウェブの化学エッチングによって(場合によっては熱分解によっても)中間生成物から決定される。このタイプの方法は、織物又は複合構造体中の炭素繊維の比率を決定するのに当業者によって従来的に用いられている。
【0028】
以下に、中間材料の坪量を測定するための方法を記載する。中間材料の坪量は、100cm2(即ち、直径113mm)の切断サンプルを秤量することによって測定される。可撓性中間材料サンプルの切断を容易にするために、Cartonnage Roset社(Saint Julien en Genevois、フランス)からの、447g/m2で厚さが0.450mmの2枚の光沢カードの間に中間材料を配置して、アセンブリのための一定の剛性を保証する。Novi Profibre社(Eybens、フランス)からの空気式円形パンチを用いてアセンブリを切断し;製造された中間生成物のそれぞれのタイプについて10個のサンプルを収集する。
【0029】
炭素繊維は、一方向層において、ほとんどの場合、少なくとも1000のフィラメント、とりわけ3000〜50,000のフィラメント、例えば、3K、6K、12K又は24Kのストランドの形態で見られる。炭素繊維の総数は、60〜3800テックスの間、優先的には400〜900テックスの間である。一方向炭素層の厚さは、90〜270μmの間で変動する。
【0030】
一方向層は、その各面において、熱可塑性繊維を含むウェブと組み合わせて、例えば図1に示すような中間生成物を生ずる。対称中間生成物の使用により、複合部品の作製に関して手動又は自動配置の際にいずれのスタック誤差も回避することが可能となるため、とりわけウェブを含まない内層の脆性ゾーンの発生を制限することができる。
【0031】
「ウェブ」は、連続又は短繊維の不織布材料を意味する。特に、不織布を構成する繊維は、0.5〜70μmの範囲内の直径を有し得る。短繊維不織布材料の場合には、繊維は、1〜100mmの長さを有し得る。
【0032】
本発明の一部として、ウェブを構成する繊維は、熱可塑性材料、特に、以下:ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、ポリアミド−ブロックエーテル若しくはエステル(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート−PET−、ポリブチレンテレフタレート−PBT−など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルファイド)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性物質ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(MAM)、或いはこれらの熱可塑性材料からなる繊維の混合物から選択されるものから有利には作製される。材料は、当然ながら、後の複合部品の製造の際にマトリックスを作製するのに用いられる種々のタイプの熱硬化性システムに適している。
【0033】
一方向層と合わせる前のウェブの厚さは、炭素繊維層と合わせる方法に応じて選択されよう。ほとんどの場合、その厚さは、中間生成物に望ましい厚さと非常に近いであろう。所望の厚さに到達するように、合わせ段階の際の温度下で積層され得るより厚いウェブの使用を選択することもできる。好ましい方法では、炭素層は、完全に対称の中間生成物を得るように、その大きな面のそれぞれにおいて、本質的に同一の2つのウェブと合わせる。炭素一方向層と合わせる前にウェブの厚さは、0.5〜200μmの間、好ましくは10〜170μmの間で変動する。本発明による中間生成物において、各ウェブの厚さは、0.5〜50ミクロンの範囲内、好ましくは3〜35ミクロンの範囲内である。
【0034】
合わせる前の種々のウェブの厚さは、試験面積が2827mm2(60mmの直径ディスク)であり適用圧力が0.5kPaである方法Aを用いて、標準のNF EN ISO 9073−2によって決定される。
【0035】
本発明の中間生成物は、80〜380ミクロンの範囲、好ましくは90〜320ミクロンの範囲の厚さを有し、これにより、生成した最終部品において、この部品が減圧下での注入によって製造される場合でも、とりわけ、所望の繊維体積比の達成を可能にする。
【0036】
標準のNF EN ISO 9073−2は、いくつかの構成成分から組み合わせた材料の構成成分の1種の測定を行うことができない。したがって、2つの方法を組み入れた:1つは、一方向層に積層された時点で、ウェブの厚さを測定すること、他方は中間生成物の厚さを測定することである。
【0037】
したがって、一方向炭素層に取り付けられた不織布材料又はウェブの厚さは、±1μmの精度を可能にする顕微鏡断面から決定されてきた。このような方法は、以下の通りである:各側面に2つのウェブが積層されている、炭素ストランドから構成される一方向層を合わせた中間材料に、周囲温度で重合する樹脂(Huntsman社からのAraldite及びAraldur 5052)を、ブラシを用いて含浸させる。アセンブリは、2枚のプレート間に配置されて、重合の際に2〜5kPa程度の圧力が適用される。中間生成物に存在するウェブの厚さ測定は、このステップの際に付与される圧力とは無関係である。1片のアセンブリを、冷間鋳造樹脂(StruersからのEpofix Kit)で包囲し、次いで、(320μmのシリコンカーバイド研磨紙及び最小で0.3μmまでの種々のフェルトを用いて)研磨して、Olympus ColorView IIIuカメラを組み合わせたOlympus BX 60光学顕微鏡を用いて観察する。周囲温度で重合するこの樹脂の組み入れは、ウェブの厚さに影響を与えないが、測定の実施を単に可能にする。Olympus Soft Imaging Solution GmbH社からのソフトウェアプログラムanalySIS auto 5.0は、写真を撮影すること及び厚さの測定値を得ることを可能にする。各中間材料(各側面においてウェブと組み合わせた一方向層)について、5つの画像を20倍に拡大して撮影する。各画像において、ウェブについて15回厚さ測定を行い、その平均及び標準偏差を決定する。
【0038】
中間生成物の厚さを以下の方法によって決定し、そのデバイスを図3a及び図3bに示し、中間生成物のスタックについて平均を決定する。これらの図において、Aはプリフォームを示し;Bは支持プレートを示し;Cはシリコン紙を示し;Dは真空バッグフィルムを示し;Eは真空継手を示し;Fはドレイン用フェルト(draining felt)を示し、Gは真空ポートを示す。この方法は、当業者によって従来的に用いられており、所与の中間生成物内に局所的に存在し得るばらつきを最小限にしながら、全体の測定を可能にする。種々の配向した中間生成物の層のスタックから構成されるプリフォームは、Aerovac社からの真空バッグフィルムCAPRAN 518(Aerovac Systemes France、Umeco Composites、1 rue de la Sausse 31240 Saint−Jean、フランス)において、SOPAL社によって販売されている厚さが0.15mmである130g/m2の2層のシリコン紙の間に配置され、Aerovacによって販売されているドレイン用フェルトAirbleed 10HAと接触している。アセンブリの耐漏性は、Aerovacによって販売されている真空継手SM5130によって保証される。Leybold SV40 B真空ポンプ(Leybold Vacuum、Bourg les Valence、フランス)を用いて、0.1〜0.2kPaの真空に引く。次いで、真空バッグ及びシリコン紙の厚さを差し引いた後で、プリフォームの厚さを、2つのTESA Digico 10 デジタルコンパレータの間で測定する。各プリフォームにおいて25回測定を行い、その平均及び標準偏差を決定する。次いで、プリフォームの全厚を、重ね合わせた中間生成物の層の数で割ることによって、中間生成物の厚さを決定する。
【0039】
中間生成物の厚さは、有用には、ばらつきをほとんど提示せず、以下の例においてとりわけ示されるように、とりわけ、厚さの変化量は標準偏差が20μmを超えず、好ましくは10μmを超えない。
【0040】
加えて、ウェブの表面密度は、有用には0.2〜20g/m2の範囲内である。
【0041】
一方向層とウェブとを合わせることは、不連続バッチにおいて、例えばある一定の点又は領域においてのみ得られ得るが、層の全表面にわたって延在する連続のものとして示される結合を用いて好ましくは実施される。一方向層と2つのウェブとを合わせることは、例えば、エポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、熱硬化性接着剤、重合性モノマーをベースとする接着剤、構造アクリル又は変性アクリル接着剤、及びホットメルト接着剤の中から選択される接着剤層によって得ることができる。しかし、ほとんどの場合、このように合わせることは、例えば、一方向層とウェブとの結合を保証する熱圧着ステップの際に、ホットウェブの粘着性によって可能になる。この段階は、ウェブの熱可塑性繊維の軟化を引き起こし、冷却後にウェブとの一方向層の一体化を可能にする。加熱及び加圧条件は、ウェブを構成する材料及びその厚さに適合されることとなる。ほとんどの場合、一方向層の全表面にわたる熱圧着段階は、Tfウェブ−15℃〜Tfウェブ+60℃(Tfウェブは、ウェブの溶融温度を表す)の範囲内の温度において、且つ0.1〜0.6MPaの圧力下で作り出されることとなる。これにより、ウェブと合わせる前後で1〜10の圧縮比を達成することができる。一方向炭素材料上へのウェブの積層段階は、中間生成物の最終の厚さを正確に決定するのに同様に決め手となる。実際、温度及び圧力条件に応じて、とりわけ積層の際に、中間生成物の各側面上のウェブの厚さを改変すること、したがって調整することが可能である。また、ウェブの局所加熱によっていくつかの領域のみにおいて一方向層をウェブ(複数可)と合わせることで、多軸材料を生成して一方向層を互いに結合させる、従来技術において用いられているステッチング又はニッティングスポット結合に例えることができる結合を得るようにすることも、想到可能である。加熱は、従来の抵抗加熱によって、又は超音波手段によって得ることができる。全体として不連続溶接部を生ずるスポット溶接部を考えることができる。用語「スポット」は、一連の溶接部に属する個々の溶接部を示す記載の一部として用いられ、したがって、種々の溶接部の形態を含む。中間材料の平面において、スポット溶接部は、不連続線の形態にも連続線の形態にも、即ち、一方向層の全幅に延在して、種々のスポット形態、とりわけ円形又は角柱の、リング状の形態などにとりわけ見え得る。このようなスポット溶接を実施するために、パンチとして作用する、適切な加熱手段を用いる。全体として不連続溶接部を生ずるこれらのスポット溶接部は、例えば、より良好なドレープ性(drapability)を可能にする。これらのスポット溶接部は、中間材料の表面全体にわたって分布されて、その密着を保証し、一方向層とウェブとの間の結合を保証することができる。一方向層の全ての繊維の結合を保証するために、溶接部は、中間材料の全体幅を超えて、例えば、一方向層に対して横方向に、連続線において延在していてもよい。また、不連続線又はスポット溶接部を互いに対してずらして組み入れることもでき、その結果、各ストランドが、溶接部に系統的に遭遇し、例えば100mm毎に少なくとも1つの溶接部、好ましくは10mm毎に少なくとも1つの溶接部に遭遇するようになる。
【0042】
一方向層は、熱可塑性ウェブと合わせる前にオンラインで直接作製され得る。この場合、層の作製に必要とされるストランドが、ひいてはコイルからほどかれて、互いに平行に延在するように搬送ベルト上に配置されて、一体化される。例えば特許EP0972102号に記載されているプロセスを組み入れてもよい。また、その密着性及び取り扱いが、例えば、結合ストランドによって、ウィービングによる機械的結合によって、又は結合ストランドのポリマーの性質を用いて化学的結合によって保証される市販の一方向層を用いることもできる。全ての場合において、ウェブ(複数可)に対して固定される一方向層は、開口率(openness factor)が0%である全体被覆を提供することができる。例えば、これらの層は、SIGMATEX UK Limited(Runcom Cheshire WA7 1TE、英国)によって品目PW−BUD(例えば、製品番号PC2780600 200GSM/PW−BUD/T700SC 12K 50C/0600mm)として、又はOXEON AB社(スウェーデン)によって品目TEXEROとして販売されている。ウェブと一方向層との間の結合が製造されると、これにより得られる中間材料は、一般に開口率が0%である。開口率は、例えば、以下の例に記載の方法によって決定される。
【0043】
その後、一方向層が、一方向層(複数可)ウェブ(複数可)と合わせると、その開口率を変化させることができ、これによりホール又は穿孔を作製することによってその透過率を増大させることができる。このような場合では、興味深いことに、0.1〜5%の開口率、好ましくは1〜2%の間の開口率をもたらすことができ、これは、中間材料の厚さ方向への、例えば横方向への穿孔によって得られる。本発明の中間材料は、織られてもステッチングされてもいないため、積層体が真空注入について59〜61%、とりわけ60%程度のVFRを有する可能性を付与しながら、約1%〜2%の開口率を可能にする、制御された薄い厚さを有する。
【0044】
例えば、穿孔は、系統的であり、とりわけ4〜15mmの間隔で、一又は二方向に延在する直線に沿って位置していることが好ましい。図4A及び4Bは、一方向層の方向に相当する方向fに対する、中間材料の平面における穿孔100の位置付けの概略図である。穿孔間の距離は、単に例示的であり、種々の変化量が導入されてよく、このような変化量の言及は、例において用いるためになされている。1つの平行線から別の平行線までの溶接部は、図4Aに示すように整列していても、図4Bに示すようにとりわけ半ステップ分だけずれていてもよい。図4Aは、穿孔が互いに垂直な2つの線に沿って延在する代替の態様によってもたらされる穿孔を示しており、それぞれが一方向層のストランドに対して45°の角度を形成しているため、穿孔が、一方向層のストランドに平行及び垂直移動して、半ステップ分だけずれて配置されるようになる。図4Bは、穿孔が互いに垂直な2つの線に沿って延在して、その一方が一方向層のストランドに平行である別の態様を例示する。中間材料に存在する穿孔は、例えば、一方向層の表面に対して平行に測定すると、より大きくなり、1〜10mmの範囲である。例えば、中間材料の平面においては、穿孔は、特に、図15に示すように目又はスロットの形態で円形であっても多少細長くてもよい。穿孔の形状は、とりわけ、用いられている特定の穿孔デバイスの機能をする。したがって、このような実施形態によると、57〜63%の繊維体積比に関して、とりわけ10−13m2〜10−14m2の横方向透過率を達成することができる。横方向透過率は、流体が繊維材料を通過する能力によって定義され得る。これは、m2で測定される。先に与えられた値、並びに続く例において言及する値は、2009年10月16日、Ecole Nationale Superieure des Mines de Saint Etienneで主張された、Romain Nunezによる、「複合構造体の製造用の繊維プリフォームの横方向透過率の測定における課題(Problems in the measurement of transverse permeability of fiber preforms for the fabrication of composite structures)」のタイトルの論文において記載されている装置及び測定技術によって測定され、そのさらなる詳細については参考にすることができる。測定は、2つの共円筒チャンバを用いる試験の際にサンプル厚さをモニターしながらとりわけ実施されて、「進行追跡」(“race−tracking”)(透過率が測定される材料の側面付近又は「側面に沿った」流体通路)の影響を低減する。用いる流体は水であり、圧力は1バール±0.01バールである。
【0045】
穿孔は、任意の適当な穿孔デバイス、典型的には、例えば、ニードル、ピンなどによって製造され得る。熱を穿孔デバイスの周囲に適用して、穿孔デバイスが引き抜かれた後に開口を保持する。穿孔は、穿孔デバイスの貫通によって、及びウェブの軟化を結果としてもたらす穿孔デバイスの周囲の加熱、続いての冷却によって、ひいては達成される。これにより、穿孔デバイスの周囲でウェブの融合が生じ、冷却後に穿孔の周囲にある種の小穴を形成させる。穿孔デバイスが除去されると、瞬間的又は準瞬間的に冷却されて、これにより、穿孔の硬化を可能にする。好ましくは、穿孔デバイス自体も同様に加熱されるように、加熱デバイスが穿孔デバイス内に直接統合されている。ある一定の場合において、穿孔デバイス110が、穿孔の際に中間材料が停止できる、図5に示すような肩部120を有することが有利であり得る。肩部自体は、加熱されて、溶接対象のアセンブリに圧力を付与しながらウェブを加熱する。これは、穿孔を包囲するより広い領域にわたって起こる。圧力の持続は、例えば、0.1〜2秒、優先的には0.5〜1秒である。選択された穿孔線に沿って間隔をあけて整列された穿孔デバイスによって、手動で又は好ましくは自動で穿孔することができる。全ての場合において、穿孔は、その周囲の中間材料の厚さの変化を非常に小さくして、好ましくは実施される。ウェブと一方向層との間で点結合のみが計画される場合、穿孔は、結合と同時に実施されてよく、穿孔の周囲のウェブの接着が、一方向層/ウェブアセンブリの結合を保証する。
【0046】
例として、図2に示すような機械は、穿孔の非存在下に熱圧着結合に用いることができる。図2に例示する場合において、ウェブは、炭素繊維一方向層が、連続加熱及び加圧下で付着又は積層段階によって所望の表面密度を有して製造された(熱圧着)直後に、この炭素繊維一方向層に合わせる。
【0047】
本発明による中間生成物は、一方向層の各面に積層された熱可塑性ウェブの存在に起因して良好な取り扱い性を付与する。この構造はまた、一方向層の繊維に対して平行でない、とりわけ横方向又は斜め方向に沿って、とりわけ擦り切れることなく、容易な切断も可能にする。
【0048】
本発明による中間材料(プライとも称される)のスタッキング又はドレーピングを用いて、複合部品を作製する。こうして得られたスタックにおいて、プライは、少なくとも2つの一方向層のプライを異なる方向に配向するように一般に配置されている。全ての一方向層が、異なる方向を有していてよく、或いは、そのいくらかのみが異なる方向を有し、その他が同一の方向を有していてよい。好ましい配向は、0°、+45°又は−45°(+135°にも相当する)の角度、及び作製対象の部品の主軸については+90°の角度の方向にほとんどの場合に配向される。部品の主軸は、一般に部品の最長軸であり、0°がこの軸と一致する。例えば、準等方性である、対称性である、又はプライの配向を選択することによって配向されているスタックを作製することができる。準等方性スタックの例として、45°/0°/135°/90°又は90°/135°/0°/45°の角度に沿ったスタックが挙げられる。対称スタックの例として、0°/90°/0°、又は45°/135°/45°の角度が挙げられる。部品を作製するのに必要な樹脂を添加する前に、とりわけ、ある温度において真空下での中間のプリフォーム段階によって、又は、それぞれプライが添加された数点での結合によって、スタック内でプライ同士を一体化することができ、これにより、プリフォームを作製する。特に、2〜32のプライ、とりわけ16〜24のプライのアセンブルを考えることができる。現在最もよく用いられているプライの数は、8、16、24及び32のプライであり、例えば、先に言及した、複数の、4−プライの準等方性スタックであり得る。
【0049】
有利には、スタックは、ステッチングによってもニッティングによっても固定されていないが、スタックに存在するウェブの熱可塑性の性質の結果として生成した溶接部によって固定されている。この目的を達成するために、加熱/冷却操作がスタックの全表面又はスタックの表面において少なくとも選択された領域において実施される。加熱によってウェブの融合又は少なくとも軟化が引き起こされる。ウェブの熱可塑性の性質を用いたこのような結合は、ステッチング又はニッティング繊維の存在によって代表される全ての不利点、例えば、とりわけ、後に得られる複合部品の起伏、微小クラック、機械的特性の低下の問題を回避することができるため、有利である。スタックの全表面の熱圧着によって得られる連続溶接とは対照的に、不連続溶接による結合を達成することができる。不連続溶接部は、続いて複合部品を製造するとき、エネルギー並びにスタックのドレープ性の観点から有利である。全体として不連続溶接部をもたらすスポット溶接部を考えることもできる。本発明の部品として、後の各中間材料の各一方向層については、全てのスポット溶接部の面積は、一方向層の面積の例えば、0.1〜40%、好ましくは0.5〜15%である(この面積は、スタックの面の1つの面積に等しい)。用語「スポット」は、一連の溶接部に属する個々の溶接部を示す記載の一部として用いられ、したがって、種々の溶接部の形態を含む。スタックの平面、即ち、種々のウェブ及び一方向層に平行な平面において、スポット溶接部は、とりわけ不連続線の形態にも連続線の形態にも、即ち、一方向層の全幅にわたって延在して、種々のスポット形態、とりわけ円形又は角柱の、リング状の形態などにとりわけ見え得る。これらのスポット溶接部は、スタックの表面全体にわたって分布して、その密着を保証し、スタックの全厚を通して一方向層とウェブとの間の結合を保証することを可能にする。このような結合は、とりわけ横方向であってよい。適切な加熱手段を、とりわけ、結合線の場合には1個若しくは複数個の加熱棒の形態で、又はスポット結合の場合には加熱されたパンチの形態で用いてよく、これらの、スタックとの接触点の幾何学的形状は、所望のスポット結合の形態に適合されることとなる。このような加熱手段は、190〜220℃の温度にされて、10〜50kPaの圧力で、例えば、0.1〜2秒間、優先的には0.5〜1秒間、スタックに押圧されてよい。超音波溶接手段を用いることもできる。当然ながら、これらの値は、単に例示であり、プライの数及びウェブの熱可塑性材料にとりわけ依存する。例えば、スポット溶接部は、系統的に製造されてよく、一又は二方向に、とりわけ4〜15mmの間隔で延在する線に沿って好ましくは位置する。図4A及び4Bは、0°方向に相当する方向fに対する、スタックの表面に平行である穿孔100の位置付けの概略図である。穿孔間の距離は、単に例示であり、種々の変化量が導入されてよく、このような変化量の言及は、例において用いるためになされている。1本の平行線から他の平行線までの溶接部は、スタックの表面に平行に、図4Aに示すように整列させても、図4Bに示すようにとりわけ半ステップ分だけずれていてもよい。本発明による中間材料の穿孔について図4A及び4Bに示すように、例えば、スポット溶接部が互いに垂直な2つの線に沿ってスタックの平面に延在する代替の態様によってスポット溶接部を生成することができ、それぞれが45°〜0°の角度を形成しているため、スポット溶接部は、0°及び90°の方向に半ステップ分だけずれて配置される。別の態様は、例えば、互いに垂直であって、その一方が0°に平行である2本の線に沿ってスポット溶接部を生成することにある。
【0050】
各プライを1つずつ添加することによってスタックを作製することができ、各プライを添加した後の結合を保証する。単一のステップにおいて結合を生成することも同様に可能であり、明確な工業的関心を提示する。この目的のために、上記の加熱手段は全く好適であるが、貫通領域において全てのウェブに直接加熱をもたらすようにスタック内を貫通して全体を通過し得る、スタックの中央に位置するものを含めた加熱手段を用いることもできる。この場合、プライが互いに結合すると同時に、スタックにおいて穿孔が生成されて、スタックの厚さ内に、ほとんどの場合、スタックのプライに横方向に延在する、樹脂用の拡散チャネルを作製する。これらの場合において、0.05〜3%、好ましくは0.1〜0.6%の間の開口率を達成することが興味深い場合がある。このような開口率によって、従来のステッチングされた多軸型によって得られるものに匹敵する又はこれより優れた興味深い透過率を得ることができる。穿孔は、スタックに存在し、1〜10mmの範囲で、例えば、プライの表面に平行に、より多く測定される。したがって、このような実施形態の変形例によると、スタックについて、57〜63%のVFR、とりわけ60%のVFRでは、とりわけ10−11m2〜10−14m2、好ましくは10−12m2〜10−13m2の横方向透過率を達成することができる。穿孔は、任意の好適な穿孔デバイス、典型的には、例えば、ニードル、ピンなどを用いて生成され得る。プライ間で所望の結合を得るように穿孔デバイスの周囲に熱を適用して、穿孔を硬化させることも可能になる。上記の単一のプライの穿孔の場合と同様に、穿孔デバイスの周囲でウェブの融合を起こして、冷却後に、穿孔の周囲にある種の小穴を生じさせる。穿孔デバイスが除去されると、瞬間的又は準瞬間的に冷却されて、これにより、穿孔の硬化を可能にする。好ましくは、穿孔デバイス自体も同様に加熱されるように、加熱デバイスが穿孔デバイス内に直接統合されている。穿孔デバイスが、穿孔の際にスタックが停止できる、図5に示すような肩部を有することが有利であり、これは、結合の際に互いに対してプライを締め付けるのを助けるであろう。肩部自体は、加熱されて、溶接対象のアセンブリ上で、穿孔を包囲するより広い領域にわたって押圧しながらウェブを加熱する。付与される圧力は、好ましくは、10〜50kPaの範囲内であり、スタックの全ての点において本質的に一定の厚さを維持するように選択される。例えば図6に示すように、選択された穿孔線に沿って間隔をあけて整列された穿孔デバイス110によって、手動で又は好ましくは自動で穴を開けることができる。
【0051】
複合部品の製造のために、熱硬化性樹脂又はマトリックスを、次いで、例えば、プライを含む金型内への挿入(英語のResin Transfer Moulding(樹脂トランスファ成形)に由来する「RTM」法)によって、又は注入(プライの厚さ方向に注入すること:英語のLiquid Resin Infusion(液体樹脂注入)に由来する「LRI」法、又は英語のResin Film Infusion(樹脂フィルム注入)に由来する「RFI」法)によって添加する。好ましくない変形例によると、スタックを構築する前に、各プライにおいてローラ又はブラシによる手動のコーティング/含浸を実施し、引き続いて、用いられる金型の形態に適用することが同様に可能である。
【0052】
用いられるマトリックスは、熱硬化性である。挿入される樹脂は、例えば、以下の熱硬化性ポリマー:エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール系化合物、ポリイミド、及びビスマレイミドの中から選択され得る。
【0053】
次いで、複合部品は、熱処理段階の後に得られる。特に、複合部品は、用いられるポリマーの従来の硬化サイクルによって、ポリマー供給者によって推奨され当業者に公知である熱処理を実施することによって一般に得られる。所望の部品の該硬化段階は、規定のサイクル温度及び圧力による重合/網状化、その後の冷却によって達成される。処理サイクルの際に適用される圧力は、真空下での注入の場合では低く、RTM金型内に挿入される場合には、より高い。
【0054】
本発明による非穿孔スタックは、金型内への挿入による複合部品の生成に全体的に満足のいくものであっても、減圧下での注入の場合には、その適用が、例えば10mm未満の薄い部品の生成に限定される。穿孔が存在すると、スタックの透過率を増加させ、厚い部品であっても満足のいくVFRに到達することが可能になる。
【0055】
スポット結合を有し、穿孔を有する又は有さない先に定義した態様と結び付くスタックは、複合部品の製造のために熱硬化性樹脂と合わせることを意図して、いずれの種類の中間材料と共に組み入れられてもよく、その各面において熱可塑性繊維のウェブと合わされ、特に、本特許出願の特許請求の範囲に定義されたもの以外の中間材料と合わされる一方向炭素繊維からなる。実際、このようなスタックは、いずれのウェブ及び一方向層が用いられても、穿孔スタックの場合において、ドレープ性及び透過率の観点から興味深い。当然ながら、好ましくは、中間材料は、真空注入において高いVFR値を達成するため、厚さ及び坪量の観点においては本発明に記載のものに従う。
【0056】
本発明の有用な特徴によると、得られる複合部品は、57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比、及び、とりわけ10mmを超える、とりわけ大きな厚さを有する。これらの繊維体積比は、主要部品、即ち、機械的応力に耐える航空機の重要部品(機体、翼など)の構造体の使用と両立可能である。
【0057】
複合部品の繊維体積比(VFR)は、一方向炭素層の表面密度及び炭素繊維の特性を既知として、以下の方程式を用いて、複合部品の厚さの測定値から算出される:
【数1】
式中、eプレートは、プレートの厚さ(mm)であり、ρ炭素繊維は、炭素繊維の密度(g/cm3)であり、炭素UD炭素の表面密度は、g/m2である。
【0058】
得られる複合部品はまた、最適な機械的特性、とりわけ耐衝撃性(CAI、衝撃後圧縮(Compression After Impact))を有し、これらの機械的特性、例えば、有孔圧縮(英語ではOHC、Open Hole Compression)、有孔引張(英語ではOHT、Open Hole Traction)、ベアリング(英語ではBearing)、面内剪断(英語ではIPS、In−Plane Shear)は、ホールに感受性を示す。特に、ASD−STAN(航空宇宙防衛規格(AeroSpace and Defence Standard)、Avenue de Tervuren 270、1150 Woluwe−Saint−Pierre、ベルギー)によって発行されているプレリミナリーの欧州標準prEN6038に従って測定された衝撃後圧縮(CAI)における応力破断が、25Jの衝撃下で200MPaを超える複合部品を得ることができる。特に樹脂マトリックスがエポキシであるとき、当業者に公知のように、熟成後にエポキシのTgが少し低下したこと、該低下は標準の予備含浸で得られたものと同程度の大きさであったことにも注意されたい。
【0059】
以下の例は、本発明を説明するが、本質的に限定されない。
【0060】
1.1.用いた材料
被験中間生成物は、各側面においてウェブと合わせた炭素繊維から構成される一方向層である。3種類の炭素繊維を用いた:Hexcelによって販売されている12K中間モジュール(IM)繊維、Hexcelによって販売されている12K高抵抗(HR)繊維、Torayによって販売されている12K高抵抗(HR)繊維;これらの機械的及び物理的特性を、表1に示す。
【0061】
一方向層のいくつかの炭素表面密度を試験した。これらの層は、オンラインで製造され、その炭素繊維坪量は、HexcelのIM炭素繊維については134g/m2±3%、HexcelのIM繊維については194g/m2±3%、HexcelのHR繊維については134g/m2±3%、HexcelのHR繊維については268g/m2±3%、TorayのHR繊維については150g/m2±3%であると推定される。
【0062】
【表1】
【0063】
ウェブ1、ウェブ2(Protechnic(66、rue des Fabriques、68702−CERNAY Cedex−フランス)によって販売されている1R8D03)、ウェブ3と名付けた、3つのタイプのウェブを用いた。これらのウェブは、ポリアミドとコポリアミドとの混合体(ウェブ1及び2)又はポリアミド(ウェブ3)をベースとしている。このタイプのウェブはまた、Spunfab Ltd./Keuchel Associates、Inc.(175 Muffin Lane Cuyahoga Falls、OH 44223、米国)などの会社によっても販売されている。ウェブ1は、連続フィラメントから構成される。ウェブ2及び3は、短繊維から構成される。
【0064】
用いたウェブの特徴を表3に示す。表2に示すウェブの融点は、ISO11357−3標準に従った示差走査熱量(DSC)によって決定される。表面密度は、ISO3801標準に従って測定される。表2に示す空隙率因子は、以下の式によって算出される:
【数2】
式中、−ウェブの表面密度をkg/m2で表し、
−ウェブ材料の密度ρウェブ材料をkg/m3で表し、
−eウェブをmで表す。
【0065】
【表2】
【0066】
2.被験中間生成物の製造
所望の坪量を有する層を形成した直後に、この目的のために特に専用の機械(図2)を用いて、炭素繊維をベースとする一方向層の各側面にウェブが直接積層される。炭素ストランド1は、クリール4に搭載された炭素スプール3から広げられ、コーム5を通過し、ガイドローラ6及びコーム7、並びにガイドバー8aによって機械の軸内に導かれる。炭素ストランドは、加熱棒9によって予備加熱され、次いで、展開バー8b及び加熱棒10によって、一方向層17の所望の炭素表面密度まで展開される。ウェブコイル13a及び13bは、引っ張ることなくしてはほどかれず、自由回転ローラ14a、14b、14c、14dと加熱棒12a、12bとの間に取り付けられた移動ベルト15a及び15bによって輸送される。ウェブ2a及び2bは、炭素ストランド1と接触する前にゾーン11a及び11bにおいて予備加熱され、エアギャップが制御されている2つの加熱棒12a及び12bの各側面に貼り付けられる。次いで、冷却可能なカレンダ16は、ウェブを有する一方向層に各側面17上で圧力を適用する。リターンローラ18は、3つの延伸ローラ19を含む引張システムに向けて生成物17を方向転換させ、次いで、モータによって駆動されるローラ20を巻いて、本発明の中間生成物17から構成されるコイルを形成する。
【0067】
各側面においてウェブと合わせる炭素一方向層の製造に関する試験条件を、以下の表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
ウェブを有さない一方向層の場合においては(比較例1)、炭素ストランドが、280dtexのホットメルトストランドを炭素繊維の配向と垂直に50mm毎に分布させて固定される。本発明の代表例の場合には、一方向層が2つのウェブと合わせているとき、層は、ウェブとの積層の前に、機械において直接形成される。
【0070】
3.ウェブ及び中間生成物の積層後の厚さ決定
一方向層の積層後のウェブの厚さは、画像解析によって測定される。表4は、それぞれ検査された構成について、この方法によって得られる、ウェブの(75個の値についての)平均厚さ及び標準偏差を示す。この表4は、各側面においてウェブと合わせた炭素層を含有する種々の中間生成物の厚さを示す。これらの測定値は、記載の方法に従って大気圧でのプリフォーム厚さの測定値から誘導される。
【0071】
【表4】
【0072】
図7は、例2bの中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ1と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0073】
図8は、例2の中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ1と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0074】
図9は、例3bの中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ2と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0075】
図10は、例4の中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ3と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0076】
4.プレートの製造
4.1スタックシーケンスの定義
得られたプレートは、準等方性であり、即ち、異なる配向(0°/45°/−45°/90°)を有する基本のプライのアセンブリからなる。スタックも対称性である。スタックを形成するプライの数は、以下の式から決定され、式(1)から誘導される:
【数3】
式中、
−プレートの所望の厚さは、4mmに最も近く(標準のprEN6038によって定義される)、eプレートは、mmで表され、
−機械的特性を最も良好にするために意図される繊維体積比(VFR)は、60%であり、ρ炭素繊維繊維は、g/cm3で表され、
−UD炭素の表面密度は、g/m2で表される。
【0077】
したがって、スタックは、炭素坪量が134及び150g/m2の32プライからなり、簡潔な表記法で:[+45/0/−45/90]4sと記載される。194及び268g/m2の炭素坪量では、プライの数は、それぞれ24プライ及び16プライである。スタックは、簡潔な表記法[+45/0/−45/90]3s及び[+45/0/−45/90]2sで記載される。各プライは、ウェブ/UD/ウェブ材料に相当する。
【0078】
4.2複合プレートの製造
種々のプライを、新規なプライをそれぞれ添加した後のいくつかの点で軽く溶接することによって、はんだ鉄を用いて互いに固定する。アセンブリはプリフォームを形成する。炭素坪量に適したスタックシーケンスによって作製された340mm×340mmのプリフォームを、プレスで挿入金型に配置する。既知の厚さのフレームは、所望の繊維体積比(VFR)を得るように、プリフォームを包囲する。
【0079】
HexFlow RTM6としてHexcelによって販売されているエポキシ樹脂を、定盤の温度が120℃で維持されたプリフォームを通して80℃において2バールで挿入する。2つの定盤のそれぞれに適用した圧力は5バールである。樹脂が金型の出口で見られると、出口チューブが閉鎖され、重合サイクルが開始する(3℃/分で180℃まで上昇させ、次いで180℃で2時間維持し、次いで5℃/分で冷却する)。次いで、構成の1タイプあたり150×100mmの6個のサンプル(標準のprEN6038)を切断して、衝撃後圧縮(CAI)試験を実施する。
【0080】
5.機械的試験
サンプル(構成の1タイプあたり6個)を標準のprEN6038に示すようにデバイスに取り付けた。サンプルをASD−STAN(航空宇宙防衛規格(AeroSpace and Defence Standard)、Avenue de Tervueren 270、1150 Woluwe−Saint−Pierre、ベルギー)によって発行されているプレリミナリーの欧州標準prEN6038に適した装置を用いて、エネルギーが25Jの単一の衝撃に付した。圧縮試験を、Zwick社(Zwick France Sari、Roissy Charles de Gaule、フランス)によって再構築された、100kNの機械的試験機械Instron5582において実施した。
【0081】
衝撃後の圧縮破断応力の結果を、表5a〜5eに示す。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
6.プレート厚さ及び繊維体積比(VFR)の偏差の制御
プレートを2つのデジタルコンパレータTESA Digico 10の間に位置付け、その厚さを測定した。プレートあたり表面において24個の等距離の測定を実施した。
【0088】
表6a〜6eは、製造された種々の中間材料から得られたプレートの厚さ測定の結果を提示する。プレートの厚さをかんがみると、種々のVFRを式(2)から算出することができる。比較例2bは、一方向層に積層されたウェブの厚さの影響を示す。例2bの場合の層に積層されたウェブの厚さ(表4)は、62μmであり、特許請求されたウェブの厚さよりも厚い。このより厚いウェブを用いることで、主要構造体としての部品の使用に必要とされる繊維体積比より低い繊維体積比を有する部品の製造をもたらす。
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
【表14】
【0094】
方程式(3)は、挿入によって製造される各複合プレートの繊維体積比を算出することを可能にする。用いた構成とは関係なく、プレートのVFRが、主要構造部品を得るための必須の基準である60±2%の範囲内にあることに注意することが重要である。
【0095】
7.穿孔を有する例
図5に示すようなパンチ頭部を備えたロボットを用いた。頭部の貫通部分に2つの直径を用いた:0.8mm及び1.6mm。溶接−貫通を実施するために、頭部を200℃の温度まで加熱し、30kPaの圧力で0.8秒間、穿孔を行った。
【0096】
7.1スポット溶接された準等方性多軸(4プライ)
45°、0°、135°及び90°に配向した4プライのスタックを、多軸型製造機械においてオンラインで生成した。図4Aに示すように、9ずつ間隔をあけたスポット溶接部を、機械の軸に対して0°及び90°に配向させて作製した。代替的には、図4Bに示すように、4.5mm及び4.5mmの間隔をあけたスポット溶接部を、機械の軸に対して+45°及び+135°に配向させて作製した。以下のスタックを作製した:
例21:例8に従って4プライ−穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図11に示す。
例22:例8に従って4プライ−代替形式において、穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図12に示す。
例23:例8に従って4プライ−穿孔頭部の径は0.8であり、その写真を図13に示す。
例24:例8に従って4プライ−代替形式において、穿孔頭部の径は0.8であり、その写真を図14に示す。
例25:例8に従って1プライ−穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図15に示す。
例26:例8に従った、溶接された4プライ(穿孔なし)−溶接は、直径が8mmであり、200℃の温度に加熱されており、穿孔頭部と同一であるがニードルを有さない頭部を用いる。溶接部が図4aに従って配置されているが、50mmずつ間隔があけられている。溶接は、30kPaの圧力で実施される。
【0097】
また、横方向透過率についての比較として:
あや織物(twill fabric)2/2−参照番号Hexcel 48302
準等方性多軸4×194g/m2、76dtexの糸によってステッチングされたHR−5mm×5mm−チェーンステッチ(chain stitch)
【0098】
7.2横方向透過率の測定
機械及び測定方法は、2009年10月16日、Ecole Nationale Superieure des Mines de Saint Etienneで主張された、Romain Nunezによる、「複合構造体の製造のための繊維プリフォームの横方向透過率の測定における課題(Problems in the measurement of transverse permeability of fibrous preforms for the fabrication of composite structures)」のタイトルの論文に記載されている。FVR変化量は、サンプル厚さの逐次変化量によって得られる。各タイプの材料について試験を4回実施した。結果を図16に提示する。これは、最も低い曲線が、穿孔の非存在下で溶接された、本発明による4種の中間材料の透過率に相当することを示す。これは、得られたスタックが非常に透過性であること、したがって、真空下でかなりの厚さまで含浸することが困難となることを明確に表している。穿孔は、透過率を、ステッチングされた多軸によって得られる透過率に近いか又はこれを超える透過率にまで明白に向上させることができる。中間材料における穿孔の作製はまた、横方向透過率を大幅に、しかし、4プライの完全な穿孔されたスタックと比較してより低い程度まで、向上させることができるのみである。
【0099】
【表15】
【0100】
7.3開口率測定
開口率を、以下の方法を用いて測定した。
デバイスは、10×対物レンズ、及びWaldmannライトテーブル(モデルW LP3 NR、101381 230V 50HZ 2×15W)を備えたSONYカメラ(型SSC−DC58AP)からなる。測定対象のサンプルをライトテーブルに配置し、カメラをフレームに搭載し、サンプルから29cmに位置付け、次いでフォーカスする。
【0101】
幅の測定値を、(ズーム)リング及びルーラを用いて、解析対象の繊維材料の関数として決定する:開いた繊維材料(OF>2%)については10cmであり、あまり開いていない繊維材料(OF<2%)については1.17cmである。
【0102】
絞り及び制御画像を用いて、輝度を調整して制御画像の1つに対応するOF値を得る。
【0103】
Scion Image社(Scion Corporation、米国)からのVideometコントラスト測定プログラムを用いる。得られた画像を以下のように処理する:選択したキャリブレーションに対応し(例えば10cm−70個の穿孔)、整数のパターンを含む最大領域を、ツールを用いて定義する。次いで、要素面積(elemental area)、即ち、布地の項目の意味では、繰り返しパターンとして繊維材料の幾何学的形状を描写する領域を選択する。
【0104】
繊維材料の開口部を通過するライトテーブルからの光に関して、OF率を、黒色面積を要素面積で割って100から差し引くことによって、即ち、100−(黒色面積/要素面積)によって定義する。
【0105】
輝度の制御は、拡散現象が、穿孔の見かけのサイズ、したがってOFを変更する可能性があるため、重要であることに注意すべきである。中間輝度は、過剰な飽和も拡散現象も見られないように選択され得る。
【0106】
得られた結果を以下の表7に示す。
【表16】
【0107】
穿孔プライの開口率は、むしろ高く(約1%)、穿孔スタックによって得られる開口率よりも高いが、穿孔プライ単独での透過率は、スタックの透過率よりも低いことに注意すべきである。したがって、種々のプライのアセンブリによりスタックを形成する際に実施される単一の穿孔は、透過率の点において、別個に穿孔された中間材料のスタックよりも有効であると思われる。流動性樹脂は、いくつかの厚さで既に作製されているチャネルを容易に通過することが実際に考えられる。いずれの場合であっても、開口率の増加(0から1%)に関係する各プライの透過率の増加(60%のVFRでは2・10−15m2〜7・10−15m2)は非常に重要であり、本発明による中間材料によって作製される積層体のありうる厚さを増加させることを可能にするであろう。
【0108】
7.4機械的な値
本発明によって溶接された多軸型スタックを、同一のステッチングされた多軸型と比較した。
【0109】
リファレンスのステッチングされた多軸型は、例12に相当するプライからなる。ステッチング糸は、76dtexのポリアミド糸であり、5mm×5mmのチェーンステッチを有する。
【0110】
溶接された多軸型を、例12と同一のプライを用いて作製したが、50mm×50mmにおいて8mmのスポット溶接部直径を有するが図4Aによる正方形パターンで溶接したため、ステッチングを有さなかった。試験に用いたスタックは、[(90/+45/0)/(0/−45/90)/(90/+45/0)/(90/−45/0)]sである。用いた標準のものを以下の表8に列挙する。
【0111】
以下の具体的な条件を用いた。190×25mm2の矩形サンプルを牽引において用いると、1000〜6000μm/mの間のコードモジュラスが算出された。5mmの穿孔直径を有する150×25mm2のサンプルを、開口したホール(open hole)の牽引(traction)に用いた。5mmの穿孔直径、並びに5RH8035M ST 39584ナット(0.35daN.mの締め付けトルク)及び22258 TX 050 005 ST 38260スクリューを備えた深さ2.1mmの100°の皿穴を有する150×25mm2のサンプルを用いた。5mmの穿孔を有する115×25mm2のサンプルを、開口したホールの圧縮に用いた。サンプルの頭部及び脚部をロードした。満たされたホール(filled−hole)の圧縮には、5mmの穿孔直径、並びに5RH8035M ST 39584ナット(0.35daN.mの締め付けトルク)及び22258 TX 050 005 ST 38260スクリューを備えた深さ2.1mmの100°の皿穴を有する115×25mm2のサンプルを用いた。サンプルの頭部及び脚部をロードした。
【0112】
試験を、標準湿度及び温度の実験室条件下で実施した(「乾燥」、「室温」試験)。
【0113】
【表17】
【0114】
図17は、これらの全ての結果を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部品の作製に適した補強材料の技術分野に関する。より詳細には、本発明は、その後の熱硬化性樹脂の挿入又は注入によって複合部品を製造するための、一方向層(unidirectional layer:単一方向の層)を含有する新規な中間材料、該材料のスタックに由来する複合部品の製造方法、及び得られる複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
複合部品又は物品、即ち、一方では1種又は複数種の補強材又は繊維層、他方では主として熱硬化性(「樹脂」)マトリックスを含み、熱可塑性物質を含み得る複合部品又は物品の製造は、例えば、「直接」又は「LCM」(英語の「Liquid Composite Moulding(液体複合成形)」に由来する)と呼ばれる方法によって達成され得る。直接法は、1種又は複数種の繊維補強材が「乾燥」状態(即ち、最終的なマトリックスを含まない)で組み入れられるという事実によって定義され、樹脂又はマトリックスが、例えば、繊維補強材を含有する金型内への挿入(英語のResin Transfer Moulding(樹脂トランスファ成形)に由来する「RTM」法)によって、厚さ方向への繊維補強材の注入(英語の「Liquid Resin Infusion(液体樹脂注入)」に由来する「LRI」法、又は英語の「Resin Film Infusion(樹脂フィルム注入)」に由来する「RFI」法)によって、或いは代替的には繊維補強材の各単位層へのローラ又はブラシによる手動のコーティング/含浸、引き続いての金型への適用によって、別々に組み入れられている。
【0003】
RTM、LRI又はRFI法では、所望の最終製品の金型の繊維プリフォームを構築すること、次いでこのプリフォームに樹脂を含浸させることが一般にまず必要である。樹脂が、ある温度において差圧によって挿入又は注入され、次いで、必要とされる樹脂の全ての量がプリフォームに一旦含まれると、アセンブリの温度をさらに高くすることで、重合/網状化サイクルを完了させ、これにより樹脂を硬化させる。
【0004】
自動車、航空又は造船産業において用いられる複合部品は、とりわけその機械的特性の観点から、非常に厳密な要件に特に付される。実際、これらの部品の機械的特性は、繊維体積比(VFR)であるパラメータが主に関係する。
【0005】
これらの部門では、補強材料、とりわけ一方向型の主として炭素繊維をベースとして、多数のプリフォームが製造されている。一方向層に含まれる最大繊維体積比は、2つのタイプの構造:六角形又は正方形;を仮定することによって理論上算出することができる。六角形型構造及び正方形型構造をそれぞれ仮定すると、得られる最大VFRは、それぞれ90.7%及び78.5%である(複合材料入門(An Introduction to Composite Materials)、D.Hull、T.W.Clyne、第2版、Cambridge Solid State Science Series、1996年)。しかし、実際には、複合部品では70%を超える繊維体積分率を得るのは困難であると思われる。実際のところ、良好な再現性を有しながら満足のいく複合部品を組み入れるには約60%の繊維体積比(VFR)が標準であることが当業者に一般的に認識されている(Handbook of Composites、Chapman & Hall、1998年、1〜20頁、特に8頁における、S.T.Petersの、「入門、複合材料の基本とロードマップ(Introduction、composite basics and road map)」)。
【0006】
部品の作製の際にとりわけ挿入又は注入によって一方向補強材層に後に合わせる樹脂は、例えば、エポキシ型の熱硬化性樹脂であり得る。この樹脂は、種々の炭素繊維層のスタックから構成されるプリフォームを通しての正確な流動が可能となるように、ほとんどの場合、非常に流動性である。この種の樹脂の主な欠点は、製造される複合部品の耐衝撃性を結果として低下させる、重合/網状化後のその脆弱性である。
【0007】
この問題を解決するために、従来技術文献は、炭素繊維の一方向層と熱可塑性繊維のウェブとの合体を提案した。これらのような解決策は、特許出願又は特許EP1125728号、米国特許第628016号、WO2007/015706号、WO2006/121961号及び米国特許第6,503,856号にとりわけ記載されている。このウェブを添加することで、構造体の耐衝撃性を特徴付けるのに一般的に用いられている衝撃後圧縮(CAI)試験における機械的特性を改善することができる。
【0008】
米国特許出願公開第2006/0154545号には、一方向織物の場合におけるこのような解決策が記載されているが、記載の材料の特徴をかんがみると、満足のいくVFRを得ることができていない。
【0009】
一方向のものについてのこれらの従来の解決策についてのいくつかの詳細は、以下に提供されている。Toray Industries Inc.の名称での特許出願EP1125728号には、補強繊維層を短繊維不織布材料と合わせた補強材料が記載されている。不織布が補強材層の少なくとも一方の面に積層されているため、該不織布を構成する繊維が(炭素)補強繊維層を通過することにより補強繊維内に一体化されるようになっている。不織布は、低融点繊維と高融点繊維との混合体からなる。全ての引用例において、織物又は一方向層からなる補強繊維層の一方の面のみに合わせて非対称補強材料を生じさせる単一の不織布材料が用いられていることに、注意することが重要である。例4では、300g/m2の一方向織物からなる補強繊維層が用いられている。用いられている不織布の厚さは示されていないが、その表面密度(8g/m2)及び示されている空隙率が90%であることをかんがみると、むしろ確実に高い。用いられるスタックは、型[−45/0/+45/90]2s、即ち、単一の不織布材料を含有する7つの内層を含んでいる。この文献での指示を表面密度がより低い、例えば134g/m2である炭素繊維層に適用すると、同じタイプのウェブと、対称材料を得るためには両側で合わせて、航空産業用の主要な構造体の作製とは両立し得ない非常に低い繊維体積比を生ずることとなり得る。
【0010】
Boeing Companyの名称での特許出願WO2007/015706号には、炭素繊維層と不織布材料層とを交互にして複合構造体の耐衝撃性を増大させるステッチングアセンブリを組み合わせたプリフォームの製造方法が記載されている。不織布は、各内層に配置され、炭素繊維層の各側面には配置されていない。上記特許出願には、炭素層の表面密度の範囲についても、不織布材料の厚さの範囲についても何ら言及されていない。例には、4.25g/m2(アメリカ単位で0.125oz/yd2)、8.5g/m2(0.25oz/yd2)、及び12.7g/m2(0.375oz/yd2)の表面密度のみが特定されている3つの異なる不織布の使用が言及されているが、これらの生成物の厚さに関しては示されていない。コポリエステルをベースとする1種のウェブは、実際には、耐衝撃特性に負の影響を及ぼす。例には、作製されたパネルの厚さ、炭素層の表面密度(190g/m2)及び炭素繊維の種類(体積密度が1780kg/m3であるT700)が示されている。衝撃後圧縮(CAI)において最も良好な破断応力結果を有するパネルに関しては、厚さが0.177〜0.187インチ(4.5〜4.75mm)まで変動する。これらの厚さ並びに繊維の種類及び炭素層(プライ)の表面密度に関する情報から、パネルのVFRを評価することができ、該VFRは、主要部品の製造について当業者によって一般に考えられている値よりも低い、54と57%との間で変動する。最も良好なCAI結果(39.6ksi、即ち273MPa)は、54%のVFRで得られる。
【0011】
特許出願WO2006/121961号では、(例えば、エポキシ樹脂の)可溶性繊維からなる不織布材料がプリフォームの作製の際に炭素繊維層の各内層間に入れられる。不織布には、炭素層が直接合わせていない。提示されている例では、60g/m2の不織布材料を含み表面密度が370g/m2である炭素繊維織物が用いられている。製造されたプレートによって、ほんの55%のVFRしか得ることができない。同時に、衝撃後圧縮(CAI)試験に関して正確さに欠ける(衝撃エネルギーは明記されていない)ことで、示された測定値の機械的性能を推測することができなくなる。
【0012】
米国特許第6,503,856号には、炭素層の使用が言及されており、ウェブの形態の2つの接着剤層が炭素層の少なくとも一方の側面に重ね合わせられている。この特許では、接着剤層の厚さが示されておらず(2層の繊維の直径のみ)、炭素の好ましい表面密度は200〜1000g/m2の範囲である。電気の供給源(バッテリー、燃料電池)は、このタイプの生成物の目標となる用途であって、このような生成物の妥当性については強調されていない。
【0013】
したがって、従来技術へのウェブの添加は、ほとんどの場合、他の機械的特性に損失を与えて実施されると思われる。実際、先に言及したように、機械的特性は、繊維体積比(VFR)によって主に決定され、従来技術で記載した技術では、とりわけ、60%程度のVFRを有する複合部品を得ることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的の1つは、とりわけ樹脂の挿入又は注入によって熱硬化性樹脂をベースとする複合部品を製造するのに適した新規な中間生成物であって、60%程度の繊維体積比及び満足のいく機械的特性を有する複合部品を得ること、並びに例えば航空の分野において課されるある一定の非常に厳密な仕様を満たすことを可能にする上記中間生成物を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、これらの仕様を満足させながら、より容易に組み入れられ、自動工程にさらに適した対称中間生成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これに関連して、本発明は、後の熱硬化性樹脂の挿入又は注入によって複合部品を製造するための新規な中間材料であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層からなり、その各面において、0.5〜50ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブが合わされている(associated)中間材料に関し、本発明による中間生成物は、80〜380ミクロンの範囲、好ましくは90〜320ミクロンの範囲の全厚を有する。
【0017】
本発明はまた、このような中間材料を製造する方法であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層が、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、ウェブの溶融/冷却段階を通して合わせられ、中間材料が、80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンの全厚を提示するようになっている方法にも関する。
【0018】
別の一態様において、本発明は、当該発明による中間材料のスタックであって、該中間材料が内部に一体化されているスタックに関する。好ましい実施形態によると、このようなスタックは、ステッチング又はニッティングによってではなく、ウェブの加熱/冷却操作を通して実施される溶接によって固定される。
【0019】
本発明の別の目的は、複合部品の製造方法であって、
a)本発明による中間材料のスタックを作製するステップ、
b)続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化する(consolidate)ステップ、
c)注入(infusion)又は挿入(injection)によって熱可塑性樹脂を添加するステップ、
d)加圧下での熱処理段階によって所望の部品を一体化し、続いて冷却するステップ
からなり、これにより、得られた複合部品が、とりわけ57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比(VFR)を有する、上記方法である。本発明による方法の1つの特定の実施形態において、熱硬化性樹脂は、大気圧未満の圧力、とりわけ1バール未満、例えば、0.1〜1バールの間の圧力で、注入によって添加される。
【0020】
本発明による中間材料及び方法は、航空における主要構造体(即ち、航空機の重要部品)のための標準因子に相当する60%程度のVFRを有する複合部品を作製することを可能にし、また、得られる複合部品の低速耐衝撃性:例えば、複合構造体の製造の際の作業における工具の落下、その使用の際の異物との衝突;を大幅に改善することも可能にする。
【0021】
挿入プロセスの際に適用される圧力は、注入プロセスの際に適用される圧力よりも高い。その結果、注入プロセスよりもむしろ挿入を用いる方が、正確なVFRを有する部品を製造することがより容易となる。本発明による材料は、樹脂の挿入よりもむしろ注入を用いる段階c)によって複合部品が製造される場合においても、とりわけ60%程度の所望の繊維体積比に到達することを可能にする。このような実施形態はまた、有利な変形例でもある。
【0022】
本発明の方法によって得ることができる複合部品はまた、本発明の不可欠な部品、特に、57〜63%、とりわけ59〜61%の繊維体積比を有する部品でもある。
【0023】
添付の図面を参照した以下の記載により、本発明をさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による中間材料の断面である。
【図2】本発明による中間材料を製造するための機械の概略図である。
【図3A】プリフォームの厚さを真空下で測定するためのデバイスを表す。
【図3B】プリフォームの厚さを真空下で測定するためのデバイスを表す。
【図4A】穿孔が実施された、本発明による中間材料の概略上面図である。
【図4B】穿孔が実施された、本発明による中間材料の概略上面図である。
【図5】穿孔デバイスの部分斜視図である。
【図6】種々の一列に並んだ穿孔手段を包含するデバイスの部分図である。
【図7】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図8】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図9】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図10】一方向層から構成され、その大きな面のそれぞれにおいて(不織布)ウェブと合わせた中間生成物の顕微鏡断面である。
【図11】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図12】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図13】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図14】本発明によって溶接及び穿孔されたスタックの上部の写真である。
【図15】本発明によって穿孔された中間生成物の上方からの写真である。
【図16】いくつかの構成において得られた繊維体積比の関数としての透過率の値を示す。
【図17】機械的試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「炭素繊維の一方向層」は、互いに平行に配置された炭素繊維から排他的に又は準排他的に構成される層を意味する。熱可塑性繊維ウェブと合わせる前の該層の取り扱いを必要に応じて容易にするために、熱可塑性結合ストランド、とりわけ、ポリアミド、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、エステル/エーテルブロックコポリアミド、ポリアセタール、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシの存在を含むことができる。これらの結合ストランドは、ほとんどの場合、炭素繊維に対して横方向に位置することとなる。用語「一方向層」はまた、一方向織物も含み、ここでは、間隔をあけた横糸ストランドが、互いに平行に位置して一方向織物の縦糸ストランドを構成する炭素繊維と交絡によって交差している。このような結合、ステッチング又は横糸ストランドが存在するこれらの種々の場合においても、互いに平行の炭素繊維は、層の重量の少なくとも95%を表すこととなるため、「一方向」としてみなされる。しかし、本発明の特定の実施形態によると、一方向層は、炭素繊維と交絡する横糸繊維を含有しないため、いずれの起伏も回避する。特に、本発明による中間材料は、ウィービングも、ステッチングも、ニッティングも含有しない。一方向層において、炭素ストランドは、好ましくは、ポリマー性結合剤と合わされないため、乾燥しているとされて、これは、炭素ストランドが、熱可塑性ウェブと合わせる前にいずれのポリマー性結合剤も含浸されず、コーティングされず、合わせていないことを意味する。しかし、炭素繊維は、ほとんどの場合において、標準のサイズ剤の重量比が高く、炭素繊維の重量の最大で2%を表し得ることを特徴とする。
【0026】
本発明の一部として、中間材料のコアを構成する炭素繊維層が100〜280g/m2の坪量を有する。この範囲の坪量は、設計技術者が、種々の層のスタックシーケンスを種々の様式の複合構造体の機械的応力の関数として適合させることにより、複合構造体を正確に寸法付けすることを容易にする。基本の層の炭素坪量が低いほど、一定の厚さを有する種々の可能性のあるスタックを選択する際に、かなり多くの汎用性を付与することとなる。
【0027】
中間材料内の一方向層の坪量は、ウェブと合わせる前の一方向層の坪量と一致するが、ウェブと合わせる前の一方向層の坪量を測定することはできない。なぜなら、ストランドが互いに密着していないからである。炭素繊維層の坪量は、中間材料(一方向層+2ウェブ)の坪量から決定することができる。ウェブの表面密度が既知であると、一方向層の表面密度を推測することが可能になる。有用なことに、表面密度は、ウェブの化学エッチングによって(場合によっては熱分解によっても)中間生成物から決定される。このタイプの方法は、織物又は複合構造体中の炭素繊維の比率を決定するのに当業者によって従来的に用いられている。
【0028】
以下に、中間材料の坪量を測定するための方法を記載する。中間材料の坪量は、100cm2(即ち、直径113mm)の切断サンプルを秤量することによって測定される。可撓性中間材料サンプルの切断を容易にするために、Cartonnage Roset社(Saint Julien en Genevois、フランス)からの、447g/m2で厚さが0.450mmの2枚の光沢カードの間に中間材料を配置して、アセンブリのための一定の剛性を保証する。Novi Profibre社(Eybens、フランス)からの空気式円形パンチを用いてアセンブリを切断し;製造された中間生成物のそれぞれのタイプについて10個のサンプルを収集する。
【0029】
炭素繊維は、一方向層において、ほとんどの場合、少なくとも1000のフィラメント、とりわけ3000〜50,000のフィラメント、例えば、3K、6K、12K又は24Kのストランドの形態で見られる。炭素繊維の総数は、60〜3800テックスの間、優先的には400〜900テックスの間である。一方向炭素層の厚さは、90〜270μmの間で変動する。
【0030】
一方向層は、その各面において、熱可塑性繊維を含むウェブと組み合わせて、例えば図1に示すような中間生成物を生ずる。対称中間生成物の使用により、複合部品の作製に関して手動又は自動配置の際にいずれのスタック誤差も回避することが可能となるため、とりわけウェブを含まない内層の脆性ゾーンの発生を制限することができる。
【0031】
「ウェブ」は、連続又は短繊維の不織布材料を意味する。特に、不織布を構成する繊維は、0.5〜70μmの範囲内の直径を有し得る。短繊維不織布材料の場合には、繊維は、1〜100mmの長さを有し得る。
【0032】
本発明の一部として、ウェブを構成する繊維は、熱可塑性材料、特に、以下:ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、ポリアミド−ブロックエーテル若しくはエステル(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート−PET−、ポリブチレンテレフタレート−PBT−など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルファイド)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性物質ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(MAM)、或いはこれらの熱可塑性材料からなる繊維の混合物から選択されるものから有利には作製される。材料は、当然ながら、後の複合部品の製造の際にマトリックスを作製するのに用いられる種々のタイプの熱硬化性システムに適している。
【0033】
一方向層と合わせる前のウェブの厚さは、炭素繊維層と合わせる方法に応じて選択されよう。ほとんどの場合、その厚さは、中間生成物に望ましい厚さと非常に近いであろう。所望の厚さに到達するように、合わせ段階の際の温度下で積層され得るより厚いウェブの使用を選択することもできる。好ましい方法では、炭素層は、完全に対称の中間生成物を得るように、その大きな面のそれぞれにおいて、本質的に同一の2つのウェブと合わせる。炭素一方向層と合わせる前にウェブの厚さは、0.5〜200μmの間、好ましくは10〜170μmの間で変動する。本発明による中間生成物において、各ウェブの厚さは、0.5〜50ミクロンの範囲内、好ましくは3〜35ミクロンの範囲内である。
【0034】
合わせる前の種々のウェブの厚さは、試験面積が2827mm2(60mmの直径ディスク)であり適用圧力が0.5kPaである方法Aを用いて、標準のNF EN ISO 9073−2によって決定される。
【0035】
本発明の中間生成物は、80〜380ミクロンの範囲、好ましくは90〜320ミクロンの範囲の厚さを有し、これにより、生成した最終部品において、この部品が減圧下での注入によって製造される場合でも、とりわけ、所望の繊維体積比の達成を可能にする。
【0036】
標準のNF EN ISO 9073−2は、いくつかの構成成分から組み合わせた材料の構成成分の1種の測定を行うことができない。したがって、2つの方法を組み入れた:1つは、一方向層に積層された時点で、ウェブの厚さを測定すること、他方は中間生成物の厚さを測定することである。
【0037】
したがって、一方向炭素層に取り付けられた不織布材料又はウェブの厚さは、±1μmの精度を可能にする顕微鏡断面から決定されてきた。このような方法は、以下の通りである:各側面に2つのウェブが積層されている、炭素ストランドから構成される一方向層を合わせた中間材料に、周囲温度で重合する樹脂(Huntsman社からのAraldite及びAraldur 5052)を、ブラシを用いて含浸させる。アセンブリは、2枚のプレート間に配置されて、重合の際に2〜5kPa程度の圧力が適用される。中間生成物に存在するウェブの厚さ測定は、このステップの際に付与される圧力とは無関係である。1片のアセンブリを、冷間鋳造樹脂(StruersからのEpofix Kit)で包囲し、次いで、(320μmのシリコンカーバイド研磨紙及び最小で0.3μmまでの種々のフェルトを用いて)研磨して、Olympus ColorView IIIuカメラを組み合わせたOlympus BX 60光学顕微鏡を用いて観察する。周囲温度で重合するこの樹脂の組み入れは、ウェブの厚さに影響を与えないが、測定の実施を単に可能にする。Olympus Soft Imaging Solution GmbH社からのソフトウェアプログラムanalySIS auto 5.0は、写真を撮影すること及び厚さの測定値を得ることを可能にする。各中間材料(各側面においてウェブと組み合わせた一方向層)について、5つの画像を20倍に拡大して撮影する。各画像において、ウェブについて15回厚さ測定を行い、その平均及び標準偏差を決定する。
【0038】
中間生成物の厚さを以下の方法によって決定し、そのデバイスを図3a及び図3bに示し、中間生成物のスタックについて平均を決定する。これらの図において、Aはプリフォームを示し;Bは支持プレートを示し;Cはシリコン紙を示し;Dは真空バッグフィルムを示し;Eは真空継手を示し;Fはドレイン用フェルト(draining felt)を示し、Gは真空ポートを示す。この方法は、当業者によって従来的に用いられており、所与の中間生成物内に局所的に存在し得るばらつきを最小限にしながら、全体の測定を可能にする。種々の配向した中間生成物の層のスタックから構成されるプリフォームは、Aerovac社からの真空バッグフィルムCAPRAN 518(Aerovac Systemes France、Umeco Composites、1 rue de la Sausse 31240 Saint−Jean、フランス)において、SOPAL社によって販売されている厚さが0.15mmである130g/m2の2層のシリコン紙の間に配置され、Aerovacによって販売されているドレイン用フェルトAirbleed 10HAと接触している。アセンブリの耐漏性は、Aerovacによって販売されている真空継手SM5130によって保証される。Leybold SV40 B真空ポンプ(Leybold Vacuum、Bourg les Valence、フランス)を用いて、0.1〜0.2kPaの真空に引く。次いで、真空バッグ及びシリコン紙の厚さを差し引いた後で、プリフォームの厚さを、2つのTESA Digico 10 デジタルコンパレータの間で測定する。各プリフォームにおいて25回測定を行い、その平均及び標準偏差を決定する。次いで、プリフォームの全厚を、重ね合わせた中間生成物の層の数で割ることによって、中間生成物の厚さを決定する。
【0039】
中間生成物の厚さは、有用には、ばらつきをほとんど提示せず、以下の例においてとりわけ示されるように、とりわけ、厚さの変化量は標準偏差が20μmを超えず、好ましくは10μmを超えない。
【0040】
加えて、ウェブの表面密度は、有用には0.2〜20g/m2の範囲内である。
【0041】
一方向層とウェブとを合わせることは、不連続バッチにおいて、例えばある一定の点又は領域においてのみ得られ得るが、層の全表面にわたって延在する連続のものとして示される結合を用いて好ましくは実施される。一方向層と2つのウェブとを合わせることは、例えば、エポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、熱硬化性接着剤、重合性モノマーをベースとする接着剤、構造アクリル又は変性アクリル接着剤、及びホットメルト接着剤の中から選択される接着剤層によって得ることができる。しかし、ほとんどの場合、このように合わせることは、例えば、一方向層とウェブとの結合を保証する熱圧着ステップの際に、ホットウェブの粘着性によって可能になる。この段階は、ウェブの熱可塑性繊維の軟化を引き起こし、冷却後にウェブとの一方向層の一体化を可能にする。加熱及び加圧条件は、ウェブを構成する材料及びその厚さに適合されることとなる。ほとんどの場合、一方向層の全表面にわたる熱圧着段階は、Tfウェブ−15℃〜Tfウェブ+60℃(Tfウェブは、ウェブの溶融温度を表す)の範囲内の温度において、且つ0.1〜0.6MPaの圧力下で作り出されることとなる。これにより、ウェブと合わせる前後で1〜10の圧縮比を達成することができる。一方向炭素材料上へのウェブの積層段階は、中間生成物の最終の厚さを正確に決定するのに同様に決め手となる。実際、温度及び圧力条件に応じて、とりわけ積層の際に、中間生成物の各側面上のウェブの厚さを改変すること、したがって調整することが可能である。また、ウェブの局所加熱によっていくつかの領域のみにおいて一方向層をウェブ(複数可)と合わせることで、多軸材料を生成して一方向層を互いに結合させる、従来技術において用いられているステッチング又はニッティングスポット結合に例えることができる結合を得るようにすることも、想到可能である。加熱は、従来の抵抗加熱によって、又は超音波手段によって得ることができる。全体として不連続溶接部を生ずるスポット溶接部を考えることができる。用語「スポット」は、一連の溶接部に属する個々の溶接部を示す記載の一部として用いられ、したがって、種々の溶接部の形態を含む。中間材料の平面において、スポット溶接部は、不連続線の形態にも連続線の形態にも、即ち、一方向層の全幅に延在して、種々のスポット形態、とりわけ円形又は角柱の、リング状の形態などにとりわけ見え得る。このようなスポット溶接を実施するために、パンチとして作用する、適切な加熱手段を用いる。全体として不連続溶接部を生ずるこれらのスポット溶接部は、例えば、より良好なドレープ性(drapability)を可能にする。これらのスポット溶接部は、中間材料の表面全体にわたって分布されて、その密着を保証し、一方向層とウェブとの間の結合を保証することができる。一方向層の全ての繊維の結合を保証するために、溶接部は、中間材料の全体幅を超えて、例えば、一方向層に対して横方向に、連続線において延在していてもよい。また、不連続線又はスポット溶接部を互いに対してずらして組み入れることもでき、その結果、各ストランドが、溶接部に系統的に遭遇し、例えば100mm毎に少なくとも1つの溶接部、好ましくは10mm毎に少なくとも1つの溶接部に遭遇するようになる。
【0042】
一方向層は、熱可塑性ウェブと合わせる前にオンラインで直接作製され得る。この場合、層の作製に必要とされるストランドが、ひいてはコイルからほどかれて、互いに平行に延在するように搬送ベルト上に配置されて、一体化される。例えば特許EP0972102号に記載されているプロセスを組み入れてもよい。また、その密着性及び取り扱いが、例えば、結合ストランドによって、ウィービングによる機械的結合によって、又は結合ストランドのポリマーの性質を用いて化学的結合によって保証される市販の一方向層を用いることもできる。全ての場合において、ウェブ(複数可)に対して固定される一方向層は、開口率(openness factor)が0%である全体被覆を提供することができる。例えば、これらの層は、SIGMATEX UK Limited(Runcom Cheshire WA7 1TE、英国)によって品目PW−BUD(例えば、製品番号PC2780600 200GSM/PW−BUD/T700SC 12K 50C/0600mm)として、又はOXEON AB社(スウェーデン)によって品目TEXEROとして販売されている。ウェブと一方向層との間の結合が製造されると、これにより得られる中間材料は、一般に開口率が0%である。開口率は、例えば、以下の例に記載の方法によって決定される。
【0043】
その後、一方向層が、一方向層(複数可)ウェブ(複数可)と合わせると、その開口率を変化させることができ、これによりホール又は穿孔を作製することによってその透過率を増大させることができる。このような場合では、興味深いことに、0.1〜5%の開口率、好ましくは1〜2%の間の開口率をもたらすことができ、これは、中間材料の厚さ方向への、例えば横方向への穿孔によって得られる。本発明の中間材料は、織られてもステッチングされてもいないため、積層体が真空注入について59〜61%、とりわけ60%程度のVFRを有する可能性を付与しながら、約1%〜2%の開口率を可能にする、制御された薄い厚さを有する。
【0044】
例えば、穿孔は、系統的であり、とりわけ4〜15mmの間隔で、一又は二方向に延在する直線に沿って位置していることが好ましい。図4A及び4Bは、一方向層の方向に相当する方向fに対する、中間材料の平面における穿孔100の位置付けの概略図である。穿孔間の距離は、単に例示的であり、種々の変化量が導入されてよく、このような変化量の言及は、例において用いるためになされている。1つの平行線から別の平行線までの溶接部は、図4Aに示すように整列していても、図4Bに示すようにとりわけ半ステップ分だけずれていてもよい。図4Aは、穿孔が互いに垂直な2つの線に沿って延在する代替の態様によってもたらされる穿孔を示しており、それぞれが一方向層のストランドに対して45°の角度を形成しているため、穿孔が、一方向層のストランドに平行及び垂直移動して、半ステップ分だけずれて配置されるようになる。図4Bは、穿孔が互いに垂直な2つの線に沿って延在して、その一方が一方向層のストランドに平行である別の態様を例示する。中間材料に存在する穿孔は、例えば、一方向層の表面に対して平行に測定すると、より大きくなり、1〜10mmの範囲である。例えば、中間材料の平面においては、穿孔は、特に、図15に示すように目又はスロットの形態で円形であっても多少細長くてもよい。穿孔の形状は、とりわけ、用いられている特定の穿孔デバイスの機能をする。したがって、このような実施形態によると、57〜63%の繊維体積比に関して、とりわけ10−13m2〜10−14m2の横方向透過率を達成することができる。横方向透過率は、流体が繊維材料を通過する能力によって定義され得る。これは、m2で測定される。先に与えられた値、並びに続く例において言及する値は、2009年10月16日、Ecole Nationale Superieure des Mines de Saint Etienneで主張された、Romain Nunezによる、「複合構造体の製造用の繊維プリフォームの横方向透過率の測定における課題(Problems in the measurement of transverse permeability of fiber preforms for the fabrication of composite structures)」のタイトルの論文において記載されている装置及び測定技術によって測定され、そのさらなる詳細については参考にすることができる。測定は、2つの共円筒チャンバを用いる試験の際にサンプル厚さをモニターしながらとりわけ実施されて、「進行追跡」(“race−tracking”)(透過率が測定される材料の側面付近又は「側面に沿った」流体通路)の影響を低減する。用いる流体は水であり、圧力は1バール±0.01バールである。
【0045】
穿孔は、任意の適当な穿孔デバイス、典型的には、例えば、ニードル、ピンなどによって製造され得る。熱を穿孔デバイスの周囲に適用して、穿孔デバイスが引き抜かれた後に開口を保持する。穿孔は、穿孔デバイスの貫通によって、及びウェブの軟化を結果としてもたらす穿孔デバイスの周囲の加熱、続いての冷却によって、ひいては達成される。これにより、穿孔デバイスの周囲でウェブの融合が生じ、冷却後に穿孔の周囲にある種の小穴を形成させる。穿孔デバイスが除去されると、瞬間的又は準瞬間的に冷却されて、これにより、穿孔の硬化を可能にする。好ましくは、穿孔デバイス自体も同様に加熱されるように、加熱デバイスが穿孔デバイス内に直接統合されている。ある一定の場合において、穿孔デバイス110が、穿孔の際に中間材料が停止できる、図5に示すような肩部120を有することが有利であり得る。肩部自体は、加熱されて、溶接対象のアセンブリに圧力を付与しながらウェブを加熱する。これは、穿孔を包囲するより広い領域にわたって起こる。圧力の持続は、例えば、0.1〜2秒、優先的には0.5〜1秒である。選択された穿孔線に沿って間隔をあけて整列された穿孔デバイスによって、手動で又は好ましくは自動で穿孔することができる。全ての場合において、穿孔は、その周囲の中間材料の厚さの変化を非常に小さくして、好ましくは実施される。ウェブと一方向層との間で点結合のみが計画される場合、穿孔は、結合と同時に実施されてよく、穿孔の周囲のウェブの接着が、一方向層/ウェブアセンブリの結合を保証する。
【0046】
例として、図2に示すような機械は、穿孔の非存在下に熱圧着結合に用いることができる。図2に例示する場合において、ウェブは、炭素繊維一方向層が、連続加熱及び加圧下で付着又は積層段階によって所望の表面密度を有して製造された(熱圧着)直後に、この炭素繊維一方向層に合わせる。
【0047】
本発明による中間生成物は、一方向層の各面に積層された熱可塑性ウェブの存在に起因して良好な取り扱い性を付与する。この構造はまた、一方向層の繊維に対して平行でない、とりわけ横方向又は斜め方向に沿って、とりわけ擦り切れることなく、容易な切断も可能にする。
【0048】
本発明による中間材料(プライとも称される)のスタッキング又はドレーピングを用いて、複合部品を作製する。こうして得られたスタックにおいて、プライは、少なくとも2つの一方向層のプライを異なる方向に配向するように一般に配置されている。全ての一方向層が、異なる方向を有していてよく、或いは、そのいくらかのみが異なる方向を有し、その他が同一の方向を有していてよい。好ましい配向は、0°、+45°又は−45°(+135°にも相当する)の角度、及び作製対象の部品の主軸については+90°の角度の方向にほとんどの場合に配向される。部品の主軸は、一般に部品の最長軸であり、0°がこの軸と一致する。例えば、準等方性である、対称性である、又はプライの配向を選択することによって配向されているスタックを作製することができる。準等方性スタックの例として、45°/0°/135°/90°又は90°/135°/0°/45°の角度に沿ったスタックが挙げられる。対称スタックの例として、0°/90°/0°、又は45°/135°/45°の角度が挙げられる。部品を作製するのに必要な樹脂を添加する前に、とりわけ、ある温度において真空下での中間のプリフォーム段階によって、又は、それぞれプライが添加された数点での結合によって、スタック内でプライ同士を一体化することができ、これにより、プリフォームを作製する。特に、2〜32のプライ、とりわけ16〜24のプライのアセンブルを考えることができる。現在最もよく用いられているプライの数は、8、16、24及び32のプライであり、例えば、先に言及した、複数の、4−プライの準等方性スタックであり得る。
【0049】
有利には、スタックは、ステッチングによってもニッティングによっても固定されていないが、スタックに存在するウェブの熱可塑性の性質の結果として生成した溶接部によって固定されている。この目的を達成するために、加熱/冷却操作がスタックの全表面又はスタックの表面において少なくとも選択された領域において実施される。加熱によってウェブの融合又は少なくとも軟化が引き起こされる。ウェブの熱可塑性の性質を用いたこのような結合は、ステッチング又はニッティング繊維の存在によって代表される全ての不利点、例えば、とりわけ、後に得られる複合部品の起伏、微小クラック、機械的特性の低下の問題を回避することができるため、有利である。スタックの全表面の熱圧着によって得られる連続溶接とは対照的に、不連続溶接による結合を達成することができる。不連続溶接部は、続いて複合部品を製造するとき、エネルギー並びにスタックのドレープ性の観点から有利である。全体として不連続溶接部をもたらすスポット溶接部を考えることもできる。本発明の部品として、後の各中間材料の各一方向層については、全てのスポット溶接部の面積は、一方向層の面積の例えば、0.1〜40%、好ましくは0.5〜15%である(この面積は、スタックの面の1つの面積に等しい)。用語「スポット」は、一連の溶接部に属する個々の溶接部を示す記載の一部として用いられ、したがって、種々の溶接部の形態を含む。スタックの平面、即ち、種々のウェブ及び一方向層に平行な平面において、スポット溶接部は、とりわけ不連続線の形態にも連続線の形態にも、即ち、一方向層の全幅にわたって延在して、種々のスポット形態、とりわけ円形又は角柱の、リング状の形態などにとりわけ見え得る。これらのスポット溶接部は、スタックの表面全体にわたって分布して、その密着を保証し、スタックの全厚を通して一方向層とウェブとの間の結合を保証することを可能にする。このような結合は、とりわけ横方向であってよい。適切な加熱手段を、とりわけ、結合線の場合には1個若しくは複数個の加熱棒の形態で、又はスポット結合の場合には加熱されたパンチの形態で用いてよく、これらの、スタックとの接触点の幾何学的形状は、所望のスポット結合の形態に適合されることとなる。このような加熱手段は、190〜220℃の温度にされて、10〜50kPaの圧力で、例えば、0.1〜2秒間、優先的には0.5〜1秒間、スタックに押圧されてよい。超音波溶接手段を用いることもできる。当然ながら、これらの値は、単に例示であり、プライの数及びウェブの熱可塑性材料にとりわけ依存する。例えば、スポット溶接部は、系統的に製造されてよく、一又は二方向に、とりわけ4〜15mmの間隔で延在する線に沿って好ましくは位置する。図4A及び4Bは、0°方向に相当する方向fに対する、スタックの表面に平行である穿孔100の位置付けの概略図である。穿孔間の距離は、単に例示であり、種々の変化量が導入されてよく、このような変化量の言及は、例において用いるためになされている。1本の平行線から他の平行線までの溶接部は、スタックの表面に平行に、図4Aに示すように整列させても、図4Bに示すようにとりわけ半ステップ分だけずれていてもよい。本発明による中間材料の穿孔について図4A及び4Bに示すように、例えば、スポット溶接部が互いに垂直な2つの線に沿ってスタックの平面に延在する代替の態様によってスポット溶接部を生成することができ、それぞれが45°〜0°の角度を形成しているため、スポット溶接部は、0°及び90°の方向に半ステップ分だけずれて配置される。別の態様は、例えば、互いに垂直であって、その一方が0°に平行である2本の線に沿ってスポット溶接部を生成することにある。
【0050】
各プライを1つずつ添加することによってスタックを作製することができ、各プライを添加した後の結合を保証する。単一のステップにおいて結合を生成することも同様に可能であり、明確な工業的関心を提示する。この目的のために、上記の加熱手段は全く好適であるが、貫通領域において全てのウェブに直接加熱をもたらすようにスタック内を貫通して全体を通過し得る、スタックの中央に位置するものを含めた加熱手段を用いることもできる。この場合、プライが互いに結合すると同時に、スタックにおいて穿孔が生成されて、スタックの厚さ内に、ほとんどの場合、スタックのプライに横方向に延在する、樹脂用の拡散チャネルを作製する。これらの場合において、0.05〜3%、好ましくは0.1〜0.6%の間の開口率を達成することが興味深い場合がある。このような開口率によって、従来のステッチングされた多軸型によって得られるものに匹敵する又はこれより優れた興味深い透過率を得ることができる。穿孔は、スタックに存在し、1〜10mmの範囲で、例えば、プライの表面に平行に、より多く測定される。したがって、このような実施形態の変形例によると、スタックについて、57〜63%のVFR、とりわけ60%のVFRでは、とりわけ10−11m2〜10−14m2、好ましくは10−12m2〜10−13m2の横方向透過率を達成することができる。穿孔は、任意の好適な穿孔デバイス、典型的には、例えば、ニードル、ピンなどを用いて生成され得る。プライ間で所望の結合を得るように穿孔デバイスの周囲に熱を適用して、穿孔を硬化させることも可能になる。上記の単一のプライの穿孔の場合と同様に、穿孔デバイスの周囲でウェブの融合を起こして、冷却後に、穿孔の周囲にある種の小穴を生じさせる。穿孔デバイスが除去されると、瞬間的又は準瞬間的に冷却されて、これにより、穿孔の硬化を可能にする。好ましくは、穿孔デバイス自体も同様に加熱されるように、加熱デバイスが穿孔デバイス内に直接統合されている。穿孔デバイスが、穿孔の際にスタックが停止できる、図5に示すような肩部を有することが有利であり、これは、結合の際に互いに対してプライを締め付けるのを助けるであろう。肩部自体は、加熱されて、溶接対象のアセンブリ上で、穿孔を包囲するより広い領域にわたって押圧しながらウェブを加熱する。付与される圧力は、好ましくは、10〜50kPaの範囲内であり、スタックの全ての点において本質的に一定の厚さを維持するように選択される。例えば図6に示すように、選択された穿孔線に沿って間隔をあけて整列された穿孔デバイス110によって、手動で又は好ましくは自動で穴を開けることができる。
【0051】
複合部品の製造のために、熱硬化性樹脂又はマトリックスを、次いで、例えば、プライを含む金型内への挿入(英語のResin Transfer Moulding(樹脂トランスファ成形)に由来する「RTM」法)によって、又は注入(プライの厚さ方向に注入すること:英語のLiquid Resin Infusion(液体樹脂注入)に由来する「LRI」法、又は英語のResin Film Infusion(樹脂フィルム注入)に由来する「RFI」法)によって添加する。好ましくない変形例によると、スタックを構築する前に、各プライにおいてローラ又はブラシによる手動のコーティング/含浸を実施し、引き続いて、用いられる金型の形態に適用することが同様に可能である。
【0052】
用いられるマトリックスは、熱硬化性である。挿入される樹脂は、例えば、以下の熱硬化性ポリマー:エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール系化合物、ポリイミド、及びビスマレイミドの中から選択され得る。
【0053】
次いで、複合部品は、熱処理段階の後に得られる。特に、複合部品は、用いられるポリマーの従来の硬化サイクルによって、ポリマー供給者によって推奨され当業者に公知である熱処理を実施することによって一般に得られる。所望の部品の該硬化段階は、規定のサイクル温度及び圧力による重合/網状化、その後の冷却によって達成される。処理サイクルの際に適用される圧力は、真空下での注入の場合では低く、RTM金型内に挿入される場合には、より高い。
【0054】
本発明による非穿孔スタックは、金型内への挿入による複合部品の生成に全体的に満足のいくものであっても、減圧下での注入の場合には、その適用が、例えば10mm未満の薄い部品の生成に限定される。穿孔が存在すると、スタックの透過率を増加させ、厚い部品であっても満足のいくVFRに到達することが可能になる。
【0055】
スポット結合を有し、穿孔を有する又は有さない先に定義した態様と結び付くスタックは、複合部品の製造のために熱硬化性樹脂と合わせることを意図して、いずれの種類の中間材料と共に組み入れられてもよく、その各面において熱可塑性繊維のウェブと合わされ、特に、本特許出願の特許請求の範囲に定義されたもの以外の中間材料と合わされる一方向炭素繊維からなる。実際、このようなスタックは、いずれのウェブ及び一方向層が用いられても、穿孔スタックの場合において、ドレープ性及び透過率の観点から興味深い。当然ながら、好ましくは、中間材料は、真空注入において高いVFR値を達成するため、厚さ及び坪量の観点においては本発明に記載のものに従う。
【0056】
本発明の有用な特徴によると、得られる複合部品は、57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比、及び、とりわけ10mmを超える、とりわけ大きな厚さを有する。これらの繊維体積比は、主要部品、即ち、機械的応力に耐える航空機の重要部品(機体、翼など)の構造体の使用と両立可能である。
【0057】
複合部品の繊維体積比(VFR)は、一方向炭素層の表面密度及び炭素繊維の特性を既知として、以下の方程式を用いて、複合部品の厚さの測定値から算出される:
【数1】
式中、eプレートは、プレートの厚さ(mm)であり、ρ炭素繊維は、炭素繊維の密度(g/cm3)であり、炭素UD炭素の表面密度は、g/m2である。
【0058】
得られる複合部品はまた、最適な機械的特性、とりわけ耐衝撃性(CAI、衝撃後圧縮(Compression After Impact))を有し、これらの機械的特性、例えば、有孔圧縮(英語ではOHC、Open Hole Compression)、有孔引張(英語ではOHT、Open Hole Traction)、ベアリング(英語ではBearing)、面内剪断(英語ではIPS、In−Plane Shear)は、ホールに感受性を示す。特に、ASD−STAN(航空宇宙防衛規格(AeroSpace and Defence Standard)、Avenue de Tervuren 270、1150 Woluwe−Saint−Pierre、ベルギー)によって発行されているプレリミナリーの欧州標準prEN6038に従って測定された衝撃後圧縮(CAI)における応力破断が、25Jの衝撃下で200MPaを超える複合部品を得ることができる。特に樹脂マトリックスがエポキシであるとき、当業者に公知のように、熟成後にエポキシのTgが少し低下したこと、該低下は標準の予備含浸で得られたものと同程度の大きさであったことにも注意されたい。
【0059】
以下の例は、本発明を説明するが、本質的に限定されない。
【0060】
1.1.用いた材料
被験中間生成物は、各側面においてウェブと合わせた炭素繊維から構成される一方向層である。3種類の炭素繊維を用いた:Hexcelによって販売されている12K中間モジュール(IM)繊維、Hexcelによって販売されている12K高抵抗(HR)繊維、Torayによって販売されている12K高抵抗(HR)繊維;これらの機械的及び物理的特性を、表1に示す。
【0061】
一方向層のいくつかの炭素表面密度を試験した。これらの層は、オンラインで製造され、その炭素繊維坪量は、HexcelのIM炭素繊維については134g/m2±3%、HexcelのIM繊維については194g/m2±3%、HexcelのHR繊維については134g/m2±3%、HexcelのHR繊維については268g/m2±3%、TorayのHR繊維については150g/m2±3%であると推定される。
【0062】
【表1】
【0063】
ウェブ1、ウェブ2(Protechnic(66、rue des Fabriques、68702−CERNAY Cedex−フランス)によって販売されている1R8D03)、ウェブ3と名付けた、3つのタイプのウェブを用いた。これらのウェブは、ポリアミドとコポリアミドとの混合体(ウェブ1及び2)又はポリアミド(ウェブ3)をベースとしている。このタイプのウェブはまた、Spunfab Ltd./Keuchel Associates、Inc.(175 Muffin Lane Cuyahoga Falls、OH 44223、米国)などの会社によっても販売されている。ウェブ1は、連続フィラメントから構成される。ウェブ2及び3は、短繊維から構成される。
【0064】
用いたウェブの特徴を表3に示す。表2に示すウェブの融点は、ISO11357−3標準に従った示差走査熱量(DSC)によって決定される。表面密度は、ISO3801標準に従って測定される。表2に示す空隙率因子は、以下の式によって算出される:
【数2】
式中、−ウェブの表面密度をkg/m2で表し、
−ウェブ材料の密度ρウェブ材料をkg/m3で表し、
−eウェブをmで表す。
【0065】
【表2】
【0066】
2.被験中間生成物の製造
所望の坪量を有する層を形成した直後に、この目的のために特に専用の機械(図2)を用いて、炭素繊維をベースとする一方向層の各側面にウェブが直接積層される。炭素ストランド1は、クリール4に搭載された炭素スプール3から広げられ、コーム5を通過し、ガイドローラ6及びコーム7、並びにガイドバー8aによって機械の軸内に導かれる。炭素ストランドは、加熱棒9によって予備加熱され、次いで、展開バー8b及び加熱棒10によって、一方向層17の所望の炭素表面密度まで展開される。ウェブコイル13a及び13bは、引っ張ることなくしてはほどかれず、自由回転ローラ14a、14b、14c、14dと加熱棒12a、12bとの間に取り付けられた移動ベルト15a及び15bによって輸送される。ウェブ2a及び2bは、炭素ストランド1と接触する前にゾーン11a及び11bにおいて予備加熱され、エアギャップが制御されている2つの加熱棒12a及び12bの各側面に貼り付けられる。次いで、冷却可能なカレンダ16は、ウェブを有する一方向層に各側面17上で圧力を適用する。リターンローラ18は、3つの延伸ローラ19を含む引張システムに向けて生成物17を方向転換させ、次いで、モータによって駆動されるローラ20を巻いて、本発明の中間生成物17から構成されるコイルを形成する。
【0067】
各側面においてウェブと合わせる炭素一方向層の製造に関する試験条件を、以下の表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
ウェブを有さない一方向層の場合においては(比較例1)、炭素ストランドが、280dtexのホットメルトストランドを炭素繊維の配向と垂直に50mm毎に分布させて固定される。本発明の代表例の場合には、一方向層が2つのウェブと合わせているとき、層は、ウェブとの積層の前に、機械において直接形成される。
【0070】
3.ウェブ及び中間生成物の積層後の厚さ決定
一方向層の積層後のウェブの厚さは、画像解析によって測定される。表4は、それぞれ検査された構成について、この方法によって得られる、ウェブの(75個の値についての)平均厚さ及び標準偏差を示す。この表4は、各側面においてウェブと合わせた炭素層を含有する種々の中間生成物の厚さを示す。これらの測定値は、記載の方法に従って大気圧でのプリフォーム厚さの測定値から誘導される。
【0071】
【表4】
【0072】
図7は、例2bの中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ1と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0073】
図8は、例2の中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ1と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0074】
図9は、例3bの中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ2と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0075】
図10は、例4の中間生成物の顕微鏡断面(134g/m2の、各側面においてウェブ3と合わせたHexcel IM炭素繊維)である。
【0076】
4.プレートの製造
4.1スタックシーケンスの定義
得られたプレートは、準等方性であり、即ち、異なる配向(0°/45°/−45°/90°)を有する基本のプライのアセンブリからなる。スタックも対称性である。スタックを形成するプライの数は、以下の式から決定され、式(1)から誘導される:
【数3】
式中、
−プレートの所望の厚さは、4mmに最も近く(標準のprEN6038によって定義される)、eプレートは、mmで表され、
−機械的特性を最も良好にするために意図される繊維体積比(VFR)は、60%であり、ρ炭素繊維繊維は、g/cm3で表され、
−UD炭素の表面密度は、g/m2で表される。
【0077】
したがって、スタックは、炭素坪量が134及び150g/m2の32プライからなり、簡潔な表記法で:[+45/0/−45/90]4sと記載される。194及び268g/m2の炭素坪量では、プライの数は、それぞれ24プライ及び16プライである。スタックは、簡潔な表記法[+45/0/−45/90]3s及び[+45/0/−45/90]2sで記載される。各プライは、ウェブ/UD/ウェブ材料に相当する。
【0078】
4.2複合プレートの製造
種々のプライを、新規なプライをそれぞれ添加した後のいくつかの点で軽く溶接することによって、はんだ鉄を用いて互いに固定する。アセンブリはプリフォームを形成する。炭素坪量に適したスタックシーケンスによって作製された340mm×340mmのプリフォームを、プレスで挿入金型に配置する。既知の厚さのフレームは、所望の繊維体積比(VFR)を得るように、プリフォームを包囲する。
【0079】
HexFlow RTM6としてHexcelによって販売されているエポキシ樹脂を、定盤の温度が120℃で維持されたプリフォームを通して80℃において2バールで挿入する。2つの定盤のそれぞれに適用した圧力は5バールである。樹脂が金型の出口で見られると、出口チューブが閉鎖され、重合サイクルが開始する(3℃/分で180℃まで上昇させ、次いで180℃で2時間維持し、次いで5℃/分で冷却する)。次いで、構成の1タイプあたり150×100mmの6個のサンプル(標準のprEN6038)を切断して、衝撃後圧縮(CAI)試験を実施する。
【0080】
5.機械的試験
サンプル(構成の1タイプあたり6個)を標準のprEN6038に示すようにデバイスに取り付けた。サンプルをASD−STAN(航空宇宙防衛規格(AeroSpace and Defence Standard)、Avenue de Tervueren 270、1150 Woluwe−Saint−Pierre、ベルギー)によって発行されているプレリミナリーの欧州標準prEN6038に適した装置を用いて、エネルギーが25Jの単一の衝撃に付した。圧縮試験を、Zwick社(Zwick France Sari、Roissy Charles de Gaule、フランス)によって再構築された、100kNの機械的試験機械Instron5582において実施した。
【0081】
衝撃後の圧縮破断応力の結果を、表5a〜5eに示す。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
6.プレート厚さ及び繊維体積比(VFR)の偏差の制御
プレートを2つのデジタルコンパレータTESA Digico 10の間に位置付け、その厚さを測定した。プレートあたり表面において24個の等距離の測定を実施した。
【0088】
表6a〜6eは、製造された種々の中間材料から得られたプレートの厚さ測定の結果を提示する。プレートの厚さをかんがみると、種々のVFRを式(2)から算出することができる。比較例2bは、一方向層に積層されたウェブの厚さの影響を示す。例2bの場合の層に積層されたウェブの厚さ(表4)は、62μmであり、特許請求されたウェブの厚さよりも厚い。このより厚いウェブを用いることで、主要構造体としての部品の使用に必要とされる繊維体積比より低い繊維体積比を有する部品の製造をもたらす。
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
【表14】
【0094】
方程式(3)は、挿入によって製造される各複合プレートの繊維体積比を算出することを可能にする。用いた構成とは関係なく、プレートのVFRが、主要構造部品を得るための必須の基準である60±2%の範囲内にあることに注意することが重要である。
【0095】
7.穿孔を有する例
図5に示すようなパンチ頭部を備えたロボットを用いた。頭部の貫通部分に2つの直径を用いた:0.8mm及び1.6mm。溶接−貫通を実施するために、頭部を200℃の温度まで加熱し、30kPaの圧力で0.8秒間、穿孔を行った。
【0096】
7.1スポット溶接された準等方性多軸(4プライ)
45°、0°、135°及び90°に配向した4プライのスタックを、多軸型製造機械においてオンラインで生成した。図4Aに示すように、9ずつ間隔をあけたスポット溶接部を、機械の軸に対して0°及び90°に配向させて作製した。代替的には、図4Bに示すように、4.5mm及び4.5mmの間隔をあけたスポット溶接部を、機械の軸に対して+45°及び+135°に配向させて作製した。以下のスタックを作製した:
例21:例8に従って4プライ−穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図11に示す。
例22:例8に従って4プライ−代替形式において、穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図12に示す。
例23:例8に従って4プライ−穿孔頭部の径は0.8であり、その写真を図13に示す。
例24:例8に従って4プライ−代替形式において、穿孔頭部の径は0.8であり、その写真を図14に示す。
例25:例8に従って1プライ−穿孔頭部の径は1.6であり、その写真を図15に示す。
例26:例8に従った、溶接された4プライ(穿孔なし)−溶接は、直径が8mmであり、200℃の温度に加熱されており、穿孔頭部と同一であるがニードルを有さない頭部を用いる。溶接部が図4aに従って配置されているが、50mmずつ間隔があけられている。溶接は、30kPaの圧力で実施される。
【0097】
また、横方向透過率についての比較として:
あや織物(twill fabric)2/2−参照番号Hexcel 48302
準等方性多軸4×194g/m2、76dtexの糸によってステッチングされたHR−5mm×5mm−チェーンステッチ(chain stitch)
【0098】
7.2横方向透過率の測定
機械及び測定方法は、2009年10月16日、Ecole Nationale Superieure des Mines de Saint Etienneで主張された、Romain Nunezによる、「複合構造体の製造のための繊維プリフォームの横方向透過率の測定における課題(Problems in the measurement of transverse permeability of fibrous preforms for the fabrication of composite structures)」のタイトルの論文に記載されている。FVR変化量は、サンプル厚さの逐次変化量によって得られる。各タイプの材料について試験を4回実施した。結果を図16に提示する。これは、最も低い曲線が、穿孔の非存在下で溶接された、本発明による4種の中間材料の透過率に相当することを示す。これは、得られたスタックが非常に透過性であること、したがって、真空下でかなりの厚さまで含浸することが困難となることを明確に表している。穿孔は、透過率を、ステッチングされた多軸によって得られる透過率に近いか又はこれを超える透過率にまで明白に向上させることができる。中間材料における穿孔の作製はまた、横方向透過率を大幅に、しかし、4プライの完全な穿孔されたスタックと比較してより低い程度まで、向上させることができるのみである。
【0099】
【表15】
【0100】
7.3開口率測定
開口率を、以下の方法を用いて測定した。
デバイスは、10×対物レンズ、及びWaldmannライトテーブル(モデルW LP3 NR、101381 230V 50HZ 2×15W)を備えたSONYカメラ(型SSC−DC58AP)からなる。測定対象のサンプルをライトテーブルに配置し、カメラをフレームに搭載し、サンプルから29cmに位置付け、次いでフォーカスする。
【0101】
幅の測定値を、(ズーム)リング及びルーラを用いて、解析対象の繊維材料の関数として決定する:開いた繊維材料(OF>2%)については10cmであり、あまり開いていない繊維材料(OF<2%)については1.17cmである。
【0102】
絞り及び制御画像を用いて、輝度を調整して制御画像の1つに対応するOF値を得る。
【0103】
Scion Image社(Scion Corporation、米国)からのVideometコントラスト測定プログラムを用いる。得られた画像を以下のように処理する:選択したキャリブレーションに対応し(例えば10cm−70個の穿孔)、整数のパターンを含む最大領域を、ツールを用いて定義する。次いで、要素面積(elemental area)、即ち、布地の項目の意味では、繰り返しパターンとして繊維材料の幾何学的形状を描写する領域を選択する。
【0104】
繊維材料の開口部を通過するライトテーブルからの光に関して、OF率を、黒色面積を要素面積で割って100から差し引くことによって、即ち、100−(黒色面積/要素面積)によって定義する。
【0105】
輝度の制御は、拡散現象が、穿孔の見かけのサイズ、したがってOFを変更する可能性があるため、重要であることに注意すべきである。中間輝度は、過剰な飽和も拡散現象も見られないように選択され得る。
【0106】
得られた結果を以下の表7に示す。
【表16】
【0107】
穿孔プライの開口率は、むしろ高く(約1%)、穿孔スタックによって得られる開口率よりも高いが、穿孔プライ単独での透過率は、スタックの透過率よりも低いことに注意すべきである。したがって、種々のプライのアセンブリによりスタックを形成する際に実施される単一の穿孔は、透過率の点において、別個に穿孔された中間材料のスタックよりも有効であると思われる。流動性樹脂は、いくつかの厚さで既に作製されているチャネルを容易に通過することが実際に考えられる。いずれの場合であっても、開口率の増加(0から1%)に関係する各プライの透過率の増加(60%のVFRでは2・10−15m2〜7・10−15m2)は非常に重要であり、本発明による中間材料によって作製される積層体のありうる厚さを増加させることを可能にするであろう。
【0108】
7.4機械的な値
本発明によって溶接された多軸型スタックを、同一のステッチングされた多軸型と比較した。
【0109】
リファレンスのステッチングされた多軸型は、例12に相当するプライからなる。ステッチング糸は、76dtexのポリアミド糸であり、5mm×5mmのチェーンステッチを有する。
【0110】
溶接された多軸型を、例12と同一のプライを用いて作製したが、50mm×50mmにおいて8mmのスポット溶接部直径を有するが図4Aによる正方形パターンで溶接したため、ステッチングを有さなかった。試験に用いたスタックは、[(90/+45/0)/(0/−45/90)/(90/+45/0)/(90/−45/0)]sである。用いた標準のものを以下の表8に列挙する。
【0111】
以下の具体的な条件を用いた。190×25mm2の矩形サンプルを牽引において用いると、1000〜6000μm/mの間のコードモジュラスが算出された。5mmの穿孔直径を有する150×25mm2のサンプルを、開口したホール(open hole)の牽引(traction)に用いた。5mmの穿孔直径、並びに5RH8035M ST 39584ナット(0.35daN.mの締め付けトルク)及び22258 TX 050 005 ST 38260スクリューを備えた深さ2.1mmの100°の皿穴を有する150×25mm2のサンプルを用いた。5mmの穿孔を有する115×25mm2のサンプルを、開口したホールの圧縮に用いた。サンプルの頭部及び脚部をロードした。満たされたホール(filled−hole)の圧縮には、5mmの穿孔直径、並びに5RH8035M ST 39584ナット(0.35daN.mの締め付けトルク)及び22258 TX 050 005 ST 38260スクリューを備えた深さ2.1mmの100°の皿穴を有する115×25mm2のサンプルを用いた。サンプルの頭部及び脚部をロードした。
【0112】
試験を、標準湿度及び温度の実験室条件下で実施した(「乾燥」、「室温」試験)。
【0113】
【表17】
【0114】
図17は、これらの全ての結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品を製造するために熱硬化性樹脂と合わせることを意図した新規な中間材料であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層から構成され、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと合わせられており、全厚が80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンである上記中間材料。
【請求項2】
中間材料の厚さが低いばらつきを有し、とりわけ厚さ変化量が標準偏差で20μmを超えず、好ましくは標準偏差で10μmを超えないことを特徴とする、請求項1に記載の新規な中間材料。
【請求項3】
一方向層が、炭素繊維と交絡する横糸を含有しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の新規な中間材料。
【請求項4】
ウィービングも、ステッチングも、ニッティングも含有しないことを特徴とする、請求項1から3までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項5】
2つの面のそれぞれにおけるウェブが、本質的に同一であることを特徴とする、請求項1から4までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項6】
熱可塑性繊維が、ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、エーテル若しくはエステルのブロックポリアミド(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート−PET−、ポリブチレンテレフタレート−PBT−など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルフェート)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、コポリマー、ブチル−メチルメタクリレートのメチルメタクリレート−アクリレート(MAM)コポリマーの繊維、或いはこれらの熱可塑性材料から構成される繊維の混合体から選択されることを特徴とする、請求項1から5までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項7】
ウェブが、0.2〜20g/m2の範囲内の表面密度を有することを特徴とする、請求項1から6までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項8】
一方向層とウェブとの合わせが、層の全表面にわたって延在する結合によって行われることを特徴とする、請求項1から7までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項9】
開口率が0%であることを特徴とする、請求項1から8までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項10】
材料の厚さにおいて穿孔を通して得られる開口率が、0.1〜5%の範囲内、好ましくは1〜2%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から8までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項11】
100〜280g/m2の表面密度を有する一方向炭素繊維層が、ウェブの溶融及び冷却ステップによって、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維ウェブと合わせて、中間材料が80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンの全厚を有するようになることを特徴とする、請求項1から10までの一項に記載の中間材料の製造方法。
【請求項12】
合わせることが、熱圧着段階を通して行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中間材料の穿孔ステップを含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
穿孔が、穿孔デバイスによる貫通によって、及び、穿孔デバイスの周囲においてウェブの軟化を結果としてもたらす加熱媒体によって、さらに続いての冷却によって実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
中間材料がスタック内で一体化されることを特徴とする、請求項1から10までの一項に記載の中間材料のスタック。
【請求項16】
ステッチング又はニッティングによって一体化されず、ウェブにおいて加熱/冷却操作で実施される溶接によって一体化されることを特徴とする、請求項15に記載のスタック。
【請求項17】
中間材料が、ウェブの加熱/冷却によって、互いに不連続に結合され、スポット溶接部を結果としてもたらすことを特徴とする、請求項15又は16に記載のスタック。
【請求項18】
樹脂のための分布チャネルを作製し、スタックの厚さ内に、好ましくはスタックを構成する中間材料に対して横方向に延在する種々の穿孔を有することを特徴とする、請求項15から17までの一項に記載のスタック。
【請求項19】
0.05〜3%の範囲内、好ましくは0.1〜0.6%の範囲内の開口率を有することを特徴とする、請求項15から18までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項20】
複合部品の製造方法であって、
a)請求項1から10までの一項に記載の中間材料のスタック、又は請求項15から19までの一項に記載のスタックを作製するステップ、
b)続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化させるステップ、
c)注入又は挿入によって熱硬化性樹脂を添加するステップ、
d)定義された温度サイクルに従って加圧下に、重合/網状化段階によって所望の部品を一体化し、その後冷却するステップ
を含むことを特徴とする上記方法。
【請求項21】
熱硬化性樹脂が、低圧下、とりわけ1バール未満、好ましくは0.1〜1バールの間のとりわけ大気圧より低い圧力下での注入によって添加されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項20又は21の方法によって得ることができる複合部品。
【請求項23】
57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比を有することを特徴とする、請求項22に記載の複合部品。
【請求項24】
25Jのエネルギーを有する衝撃で標準のprEN6038に従って測定された、衝撃後圧縮(CAI)における応力破断値が、200MPaを超えることを特徴とする、請求項22又は23に記載の複合部品。
【請求項1】
複合部品を製造するために熱硬化性樹脂と合わせることを意図した新規な中間材料であって、100〜280g/m2の表面密度を有する炭素繊維の一方向層から構成され、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと合わせられており、全厚が80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンである上記中間材料。
【請求項2】
中間材料の厚さが低いばらつきを有し、とりわけ厚さ変化量が標準偏差で20μmを超えず、好ましくは標準偏差で10μmを超えないことを特徴とする、請求項1に記載の新規な中間材料。
【請求項3】
一方向層が、炭素繊維と交絡する横糸を含有しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の新規な中間材料。
【請求項4】
ウィービングも、ステッチングも、ニッティングも含有しないことを特徴とする、請求項1から3までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項5】
2つの面のそれぞれにおけるウェブが、本質的に同一であることを特徴とする、請求項1から4までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項6】
熱可塑性繊維が、ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、エーテル若しくはエステルのブロックポリアミド(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート−PET−、ポリブチレンテレフタレート−PBT−など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルフェート)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、コポリマー、ブチル−メチルメタクリレートのメチルメタクリレート−アクリレート(MAM)コポリマーの繊維、或いはこれらの熱可塑性材料から構成される繊維の混合体から選択されることを特徴とする、請求項1から5までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項7】
ウェブが、0.2〜20g/m2の範囲内の表面密度を有することを特徴とする、請求項1から6までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項8】
一方向層とウェブとの合わせが、層の全表面にわたって延在する結合によって行われることを特徴とする、請求項1から7までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項9】
開口率が0%であることを特徴とする、請求項1から8までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項10】
材料の厚さにおいて穿孔を通して得られる開口率が、0.1〜5%の範囲内、好ましくは1〜2%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から8までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項11】
100〜280g/m2の表面密度を有する一方向炭素繊維層が、ウェブの溶融及び冷却ステップによって、その各面において、それぞれ0.5〜50ミクロン、好ましくは3〜35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維ウェブと合わせて、中間材料が80〜380ミクロン、好ましくは90〜320ミクロンの全厚を有するようになることを特徴とする、請求項1から10までの一項に記載の中間材料の製造方法。
【請求項12】
合わせることが、熱圧着段階を通して行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中間材料の穿孔ステップを含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
穿孔が、穿孔デバイスによる貫通によって、及び、穿孔デバイスの周囲においてウェブの軟化を結果としてもたらす加熱媒体によって、さらに続いての冷却によって実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
中間材料がスタック内で一体化されることを特徴とする、請求項1から10までの一項に記載の中間材料のスタック。
【請求項16】
ステッチング又はニッティングによって一体化されず、ウェブにおいて加熱/冷却操作で実施される溶接によって一体化されることを特徴とする、請求項15に記載のスタック。
【請求項17】
中間材料が、ウェブの加熱/冷却によって、互いに不連続に結合され、スポット溶接部を結果としてもたらすことを特徴とする、請求項15又は16に記載のスタック。
【請求項18】
樹脂のための分布チャネルを作製し、スタックの厚さ内に、好ましくはスタックを構成する中間材料に対して横方向に延在する種々の穿孔を有することを特徴とする、請求項15から17までの一項に記載のスタック。
【請求項19】
0.05〜3%の範囲内、好ましくは0.1〜0.6%の範囲内の開口率を有することを特徴とする、請求項15から18までの一項に記載の新規な中間材料。
【請求項20】
複合部品の製造方法であって、
a)請求項1から10までの一項に記載の中間材料のスタック、又は請求項15から19までの一項に記載のスタックを作製するステップ、
b)続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化させるステップ、
c)注入又は挿入によって熱硬化性樹脂を添加するステップ、
d)定義された温度サイクルに従って加圧下に、重合/網状化段階によって所望の部品を一体化し、その後冷却するステップ
を含むことを特徴とする上記方法。
【請求項21】
熱硬化性樹脂が、低圧下、とりわけ1バール未満、好ましくは0.1〜1バールの間のとりわけ大気圧より低い圧力下での注入によって添加されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項20又は21の方法によって得ることができる複合部品。
【請求項23】
57〜63%、好ましくは59〜61%の繊維体積比を有することを特徴とする、請求項22に記載の複合部品。
【請求項24】
25Jのエネルギーを有する衝撃で標準のprEN6038に従って測定された、衝撃後圧縮(CAI)における応力破断値が、200MPaを超えることを特徴とする、請求項22又は23に記載の複合部品。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−506499(P2012−506499A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532695(P2011−532695)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052039
【国際公開番号】WO2010/046609
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(509341374)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052039
【国際公開番号】WO2010/046609
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(509341374)
【Fターム(参考)】
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