説明

複数波長のレーザ・ワークステーション

第一波長及び第二波長でレージングが可能なレージング媒体を有する、少なくとも2つの波長でレージングが可能なレーザを提供する。出力カプラは、レージング媒体の縦軸に沿って第一端に配置され、第一ミラー、移動可能なビーム遮断シャッタ、及び第二ミラーは、レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第二端に順番に配置される。第一ミラーは第一波長で高反射性であり、第二ミラーは第二波長では高反射性であるが第一波長では透過性である。ビーム遮断シャッタをレージング媒体の縦軸で選択的に位置合わせすることによって、レージング波長を選択することができる。また、単一の電子駆動システムに駆動される2つのレーザを有するレーザ・ワークステーションも提供され、ここで、単一のエネルギー蓄積ネットワークが、第二媒体を励起するよう作動する第一レーザ・ポンプ・チャンバに接続される。また、複数の波長のエネルギーを使用して皮膚を処置する方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、レーザの分野に関し、特に、皮膚及び皮膚症状の処置に用いられるレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
可視領域及び赤外線領域のスペクトルにおける電磁波照射の使用は、産業、医療及び研究の多くの分野で当然になっている。例えば、皮膚科の分野ではこのような放射の重要性が増している。多くの場合、レーザ光源を使用して、必要な波長で所望の放射レベルが生成される。
【0003】
血管病変又は色素性病変、脱毛、及び皮膚再生の処置といった皮膚科用途のために無数のレーザが一般に使用される。選択的光熱分解(photothermolysis)の原理が多くのレーザ処置の根底にあり、これは、静脈瘤症、ポートワイン母斑、他の拡張性(ecstatic)血管病変、および刺青を含む色素性病変のような多様な症状を処置するのに用いられる。標的となる組織を包含する皮膚及び表皮の層に、通常レーザ又はフラッシュランプからの光が放射される。この光の波長は、そのエネルギが優先的に又は選択的に組織に吸収されるように選択される。これにより、構成たんぱく質が変性する又は色素粒子が分散する点にまで温度を上昇させる目的で、局所的加熱が生じる。
【0004】
近年、老化皮膚の治療が、美容皮膚科の重要側面になってきた。この処置は、しばしば「肌若返り」とよばれ、多くの広く行われている処置の要素を含む。肌若返りの目標は、例えば、皮膚色素沈着の改善、顔面血管の除去、しわ及び小じわの減少、ならびに、皮膚の弾力性と質感の改善などによって、老化した皮膚の外観を改善することである。数多くの単一レーザ技術が提案されているが、肌若返りについては複数のレーザ物理療法で処置するのが最善とのコンセンサスが大きくなっている。すなわち、肌若返りの要素のすべてを対象に適用するための複数のレーザを備えた単一のレーザ・ワークステーションが望ましい。
【0005】
現在、3つのレーザが、老化皮膚の処置に特に有用であることが示されている。すなわち、585〜600nmの範囲の波長で動作するパルスダイレーザ(PDL)、1064nmで動作するNd:YAGレーザ、及び1320nmで動作するNd:YAGレーザである。PDLは、色素沈着を改善し、小さな顔面血管を処置でき、コラーゲン刺激を促進する。しかし、その結果は、特に小じわ及びしわに対してはごく僅かであることが多い。1064nmのNd:YAGレーザは、もっと大きな血管を処置でき、かつコラーゲンを刺激できるが、色素沈着に対しては許容できる効果を有さない。最後の1320nmのNd:YAGレーザは皮膚の弾力性を改善し、しわ及び小じわを減少させる。
【0006】
一般に、複数の波長を用いる皮膚科処置には、別々の制御部と別々の送達装置を備えた、別々のレーザ・システムが必要となる。一つのレーザを使用して曝露し、その後に、同じ領域を第二のレーザに曝露する。このような方法では、レーザ・パルス間のタイミングを正確に制御するのは困難であり、通常、パルスの間の時間は数秒間であり、コンマ秒台ではない。このようなタイミングの問題は、臨床結果に影響する可能性がある。
【0007】
これら3つのレーザすべてを包含するワークステーションがあれば、医師は、処置のすべての局面において最適な結果を成就することができよう。但し、これらレーザの各々を単に一緒にパッケージしただけのワークステーションでは、3台の個別レーザに対するコスト面での利点がほとんどまたは全く無く、商業的には魅力がない。
【0008】
本発明の目的は、先行技術の既知の装置に固有の問題点の一部又はすべてを低減又は全面的に克服したレーザ・ワークステーションを提供することである。本発明のさらなる目的は、585〜600nm、1064nm、及び2320nmのレーザ出力を生じるレーザ・ワークステーションを提供することである。以下の本発明の開示及び特定の好ましい態様の詳細な説明を考慮して、本発明の具体的目的及び利点は、当業者、すなわちこの分野の技術精通者又は経験者には明らかになるであろう。
【0009】
概要
第一の局面によって、少なくとも2つの波長でレージングの可能なレーザが提供される。レーザは、第一波長及び第二波長でレージングの可能なレージング媒体を備える。一部の態様において、レージング媒体は、第一及び第二波長で、意図されるレーザ照射目標について十分な力のレーザ出力を生成するのにそれぞれ十分な程度までレージングが可能である。レージング媒体は縦軸を持ち、これに沿って、レージング媒体の第一端に出力カプラが配置されている。レージング媒体の第二端には、縦軸沿いに第一ミラー及び第二ミラーが配置されており、第二ミラーは、第一ミラーとレージング媒体との間に置かれている。第一ミラーは第一波長で高反射性であり、第二ミラーは、第二波長では高反射性であるが第一波長で透過性である。ビーム遮断シャッタは、レージング媒体の縦軸に沿った第一ミラー及び第二ミラー間の第一位置と、レージング媒体の縦軸から外れた第二位置との間を移動するよう構成されている。
【0010】
作動の際、第二ミラーは、第二波長における放射は反射するが、第一波長における放射は通過させる。ビーム遮断シャッタがレージング媒体の光路に沿った第一位置にある場合は、ビーム遮断シャッタは、第二ミラーを通過した放射が第一ミラーに到達し、レージング媒体の中に逆反射されるのを阻止する。したがって、第二波長の放射だけが反射され、増幅され、最終的に放出される。ビーム遮断シャッタが、レージング媒体の縦軸から外れた、従って光路から外れた第二位置にある場合は、第一波長での放射は第二ミラーを通過して第一ミラーへと進みレージング媒体の中に逆反射される。同時に、第二波長での放射もレージング媒体の中に逆反射される。出力カプラは、第一及び第二波長のいずれか、又は双方の放射の放出を可能にするよう選択される。このような構成により、レーザ共振器が、同調エレメント又はミラー切り替えの必要なく、すべての重要な光学的構成部品(レージング媒体、ミラー、及び出力カプラ)を定置状態で搭載することが有利に可能になり、これにより単一のレージング媒体から2つの波長を放出可能な、頑強で比較的保全不要なワークステーションを得ることができる。
【0011】
第二の局面によって、2つのレーザと単一の電子駆動システムを有するレーザ・ワークステーションが提供される。単一のエネルギ駆動システムは、スイッチによって、第一レージング媒体を励起する第一レーザポンプ・チャンバと、第二レージング媒体を励起する第二レーザポンプ・チャンバとに動作可能なように接続されている。一部の態様において、レーザポンプ・チャンバは、各々、高圧トリガー変成器によって単一のエネルギ蓄積ネットワークに接続されており、変成器の二次巻線は、ポンプ・チャンバ内の、例えばフラッシュランプなどのランプのような励起源と直列に配置されており、したがって、励起源放電回路におけるインダクタとなっている。これらの高圧トリガー変成器は、各々、ポンプ・チャンバの中の励起源を電離するよう作動する。スィッチを閉じると、単一エネルギ駆動システムから、蓄えられたエネルギが電離されたどちらの励起源の中にも流れ込み、そのランプに関連するレーザにエネルギを放出させる。
【0012】
一部の態様において、1つまたは複数のレーザは、前記の第一の局面によって少なくとも2つの波長でレージングが可能なレーザを含む。一部の態様において、レーザ・ワークステーションは、パルスダイレーザ(PDL)及びNd:YAGレーザを含む。一部の態様では、パルスダイレーザは575〜650nm、例えば約585nmの出力を有する。Nd:YAGレーザは、レーザエネルギがそれに沿って放出されるような縦軸を持つNd:YAGレージング媒体を備えるNd:YAGレーザ共振器を含む。出力カプラは、Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿ってNd:YAGレージング媒体の第一端に配置されている。第一ミラーは、Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第二端に配置されており、第二ミラーは、Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿って第一ミラーとレージング媒体との間に配置されている。第一ミラーは、少なくとも1064nmにおいて高反射性である。第二ミラーは1320nmにおいて高反射性で1064nmでは実質的に透過性である。一部の態様において、第二ミラーは、例えば、1064nmにおいて反射防止性の被膜をコーティングされることにより、1064nmで実質的に透過性であるよう処置されている。Nd:YAGレーザ共振器は、不透明で非反射性のビーム遮断シャッタをさらに含む。ビーム遮断シャッタは、Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の第一位置から、Nd:YAGレージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能である。Nd:YAGレージング媒体は、1064nm及び1320nmの両方を放出する。このような配置により、レーザ共振器が、同調用エレメント又はミラー切り替えの必要なく、すべての重要な光学的構成部品(レージング媒体、ミラー、及び出力カプラ)を定置状態で備えることが有利に可能になり、これにより頑強で比較的保全不要なワークステーションが得られる。
【0013】
作動の際、第二ミラーは、1320nmの放射を反射し、一方1064nmの放射は通過させる。ビーム遮断シャッタが、レージング媒体の光路に沿った第一位置にある場合、ビーム遮断シャッタは、第二ミラーを通過する1064nmの放射が第一ミラーに到達しレージング媒体の中に逆反射されるのを阻止する。かくして、1320nmの放射のみが反射され増幅されて最終的に放出される。ビーム遮断シャッタがレージング媒体の縦軸から外れた第二位置にあり従って光路から外れている場合は、1064nmの放射は第二ミラーを通過して第一ミラーに達し、レージング媒体の中に逆反射される。Nd:YAGレージング媒体は、1064nmにおいて、1320nmにおける誘導放出断面よりもはるかに大きい誘導放出断面を有する。したがって、レーザが1064nmで動作するように、出力カプラを選択できる。
【0014】
別の局面によれば、レーザ・ワークステーションは、2つのレーザと単一の電子駆動システムとを備える。単一のエネルギ駆動システムは、能動半導体スイッチによって、第一レージング媒体を励起する第一レーザポンプ・チャンバ及び第二レージング媒体を励起する第二レーザポンプ・チャンバと動作可能なように接続されている。能動半導体スイッチは、エネルギの一部を、単一エネルギ蓄積ネットワーク、例えばコンデンサ・バンクからそれが関連するランプへと、及び最終的には関連するレーザへと選択的に放出することを可能にする。蓄えられたエネルギの全量より少ないエネルギを放出することによって、部分的エネルギの放出において、第一レーザ又は第二レーザいずれかの高速又は即時の発射ができ、これによって異なる波長のレーザ・エネルギの一連の「サブパルス」が得られる。
【0015】
前述の多様な局面の一部の態様において、レーザ・ワークステーションは、例えば光ファイバ又は導波管を使用して、パルスダイレーザ又はNd:YAGレーザへと動作可能なように接続されたハンドピースをさらに含む。一部の態様におけるハンドピースは、レーザ放射を集光するよう動作する複数のレンズを、任意かつ調節可能に含む。
【0016】
また、本明細書に開示するレーザ・システムを使用して皮膚の異常を処置する方法も提供する。一つの局面において、第一局面によるレーザ・システムを使用して、皮膚異常に冒された皮膚の領域に、第一波長のレーザ・エネルギが照射される。同じレーザ・システムを使用して、同じ皮膚領域に第二波長のレーザ・エネルギが照射される。このように、同一のレーザ・システム、実際には同一のレーザ自体からの2つの異なる波長のレーザ・エネルギによって、皮膚異常が処置される。
【0017】
別の局面において、本明細書の開示によるレーザ・システムを使用して、皮膚異常に冒された皮膚の処置が行われる。第一レーザ及び第二レーザ両方からのレーザ・エネルギが皮膚異常に冒された皮膚領域に照射される。典型的には、一回の処置セッションにおいて異なる波長のレーザ・エネルギの恩典的な波長2つ各々によって皮膚領域を処置できるように、第一レーザからのレーザ・エネルギの波長は、第二レーザからのエネルギの波長とは異なっている。一部の態様において、レーザ・エネルギのサブパルスを利用して、皮膚異常に冒された皮膚が処置される。このような方法には、異なる波長のレーザ・エネルギ照射の間の時間間隔をより制御できること、及び、2つの波長を、非常に短時間で、あるいは瞬間的に照射できるという利点がある。これらの要素は、皮膚異常の処置における結果の改善をもたらしうる。
【0018】
皮膚病変を処置するために複数の波長のパルスを使用するさらに具体的な事例とは、パルスダイレーザにより生じた595nm波長と固体レーザにより生じた1064nm波長とを使うものである。血管病変を根絶するため、皮膚病変の同一領域に、595nmのパルスを照射し引き続いて1064nmの別のパルスを照射する。有効フルエンスの595nmのパルスは、拡張性血管病変中の赤血球に包含されるオキシヘモグロビンを、1064nmにおいてはるかに高い吸収係数を有するメトヘモグロビンに変換する。前述した波長多重化技法により、処置効果は劇的に向上する。したがって、必要なエネルギ又はフルエンスは劇的に低減される。
【0019】
以下の特定の好ましい態様の詳細な開示から、本明細書で開示する本発明のこれら及びさらなる特徴および利点がさらに理解されよう。
【0020】
添付の図面は、必ずしも縮尺比に従って描かれたものでなく、関連する原理について説明するための本発明の表現を示すものと理解されるべきである。図面に描かれたレーザ・ワークステーションの装備の一部は、説明と理解を容易にするため、他の部分に対して拡大又は変形されている。種々の異なる態様の中で示される類似の又は同じ構成部品および装備に対しては、図面中で同一の参照番号が使用される。本明細書で開示されるレーザ・ワークステーションは、意図される用途及びそれらが使用される環境に応じて部分的に決定される構造及び構成部品を有することになる。
【発明の開示】
【0021】
特定の態様の詳細な説明
本発明によるレーザ及びレーザ・ワークステーションをさまざまな形態で具現することができる。以降に一部の態様をさらに詳しく説明する。
【0022】
図1は、レーザ、ここではNd:YAGレーザの態様を示す。Nd:YAGレーザの2つの波長におけるエミッタンスを図4Aのエネルギ・レベル図に示す。適切な他のレーザには、少なくとも2つの波長を放出できる任意のレーザが含まれ、例えば、結晶レージング媒体、ガス・レージング媒体、ダイ・レージング媒体、又は他の種類のレージング媒体が含まれる。例えば、YAP:Ndレージング媒体は、図4Bのエネルギ・レベル図で示すように、1079nm及び/又は1341nmでレージング可能である。このような媒体が米国特許第6、613,040号に記載されており、これは、あらゆる目的のためその全体が本明細書に組み入れられる。他の適切なレージング媒体には、以下に限定されないが、他の希土類及び遷移イオン・ドーパント、ならびにこれらドーパントの各種結晶体及びガラス・ホストが含まれる。このようなドーパントの例には、エルビウム、クロム、及びチタンが含まれる。その他のホストの例には、YLFのようなフッ化物結晶、YVOのようなバナダイト結晶、及びZBLNのようなフッ化物ガラスならびに石英ガラス類が含まれる。本開示の恩典を参照すれば、当業者にはその他の適切なレージング媒体は容易に明らかになるであろう。図1を再び参照すると、Nd:YAGレーザ共振器200は、ここでは結晶ロッドである、縦軸204を持つNd:YAGレーザ媒体202を有する。Nd:YAGレーザ共振器200は、Nd:YAGレーザ媒体を励起するフラッシュランプ250をさらに含む。他の適切な励起手段を用いることができ、本開示の恩典を参照すれば、当業者にはそのような手段は容易に明らかになるであろう。Nd:YAGレーザ媒体202及びフラッシュランプ250は、ポンプ・チャンバ260の内部に収容されている。
【0023】
Nd:YAG共振器は、第一ミラー210及び第二ミラー220をさらに含む。第一ミラー210は、少なくとも1064nmで高反射性である。例えば、一部の態様において、第一ミラーは、1064nmで少なくとも90%、例えば少なくとも95%、任意で少なくとも99.5%の反射率を有する。第二ミラーは、1320nmで高反射性であり1064nmでは実質的に透過性である。本明細書で使用される、実質的に透過性であるとは、ミラーが、所与の波長において皮膚処置のために十分なレーザ出力の生成が十分可能な程度に、該波長における光を双方向に通過させることを意味する。言い換えれば、ミラーは、該波長において皮膚処置のために十分なレーザ出力を生じるために、該波長において、十分に非反射性で、非屈折性で、かつ非吸収性でなければならない。このようなミラーの作製方法は当技術分野で知られており、例えば、適切な物質からなるミラーに、1064nmにおいて反射防止性の被膜をコーティングすることによって実現される。この用途には市販の誘電被膜が広く使用されている。このような被膜は、通常、フッ化マグネシウム及び重金属酸化物のような誘電物質の多重薄層からなる。Nd:YAGレーザ共振器は、出力カプラ230用の収容部をさらに含む。出力カプラは、レーザ出力を可能にする一方でレージング媒体が共振することを可能にするために、部分的に反射性であるように選択されている。ミラー及び出力カプラを平坦並行形、半球形、又は球状形にすることができる。本開示の恩典を参照すれば、当業者にはレーザ共振器の適切な構成は容易に明らかになるであろう。
【0024】
Nd:YAGレーザ共振器は、少なくとも約1064nmにおいて不透明で非反射性のビーム遮断シャッタ240をさらに含む。ビーム遮断シャッタは、Nd:YAGレージング媒体の縦軸204に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の第一位置から、Nd:YAGレージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能である。図4に示すように、Nd:YAGレージング媒体は、1064nm及び1320nmの両方において放出する。ビーム遮断シャッタは、1064nm光が第一ミラーに到達することならびにしたがって共振することおよび放出されることの阻止を可能にする。遮断素子が縦軸に沿った第一位置にかつしたがって光路上にある場合、Nd:YAGレーザは、1320nmにおいてのみ放出すると考えられる。シャッタが第二位置にありかつしたがって光路から外れている場合は、両方の波長が放出される。1064nmでの作動に関する誘導放出断面は1320nmでの作動に関するものよりはるかに大きいので、このモードにおいてレーザが1064nmで作動するよう出力カプラを選択するのは簡単なことである。Nd:YAGレーザ共振器の構成によって、レーザ共振器は、同調用エレメント又はミラー切り替えの必要なく、すべての重要な光学的構成部品(レージング媒体、ミラー、及び出力カプラ)を定置状態で備えることができ、これによって2つのレーザのみを使用する一方で3種のレーザ出力を持つ、頑強で比較的保全不要なワークステーションを得ることができる。
【0025】
図2Aは、レーザ・ワークステーションのある態様を示す。ワークステーションは、図1に示されたようなパルスダイレーザ及びNd:YAGレーザを包含する主ユニット510を含む。較正ポート512及び前面制御パネル514が具備されている。制御の便宜のためフットスイッチ516が使用されている。スイングアーム520は、ハンドピース524で終端する光送達ファイバ522を保持する。ハンドピースは、別の作動手段として手動スイッチ526を備える。図2Bは、石英ファイバ送達システムに適した多関節アーム528を用いた別の態様を示す。本開示の恩典を参照すれば、当業者には、他の適切な送達システムのための他の適切な構成は容易に明らかになるであろう。
【0026】
レーザ・ワークステーションは、パルスダイレーザを含む。レーザ・ワークステーションの一部の態様は、約570nmから650nmの波長を持つパルスダイレーザを含む。パルスダイレーザ及び皮膚処置におけるその使用法が、米国特許第6,077,294号に記載されており、これは、参照により、あらゆる目的に関してその全文が本明細書に組み入れられる。一部の態様において、皮膚組織中の血液のヘモグロビンを標的とするように、パルスダイレーザを、約585nmの深く貫通する波長で動作させることができる。ヘモグロビンは、この特定のレーザ・エネルギを吸収しその結果熱を発生させる。熱は、深さ約1mm〜1.2mmまでの皮膚内で生じ、通常平方cmあたり5ジュール未満のエネルギを使用する。一部の態様において、パルスダイレーザの標的スポットのサイズは直径約10mmである。一部の態様において、パルスダイレーザのパルス幅は150マイクロ秒から約1500マイクロ秒の範囲であり、任意で約450マイクロ秒の幅である。パルスダイレーザの波長は、約570ナノメータから約650ナノメータの範囲であり、例えば、約585ナノメータから約600ナノメータの範囲にある。一部の態様において、パルスダイレーザは、約585ナノメータの波長で動作する。パルスダイレーザは、直径10ミリメータの皮膚処置スポットにおいて、平方cmあたり5ジュール未満、例えば平方cmあたり3ジュールのフルエンスを提供し得る。この低いフルエンスのパルスダイレーザ光で皮膚を処置することによって、コラーゲンを刺激して再生させ、より若々しくきれいな肌のためにしわの溝を「埋め」ることができる。
【0027】
図3Aは、2つの異なるレーザ、この図ではNd:YAGレーザ及びパルスダイレーザを含む、単一の電子駆動システムを示す。当然、このような構成において、適切な励起源により励起されやすい任意の種類のレーザを使用することができる。適切なレーザには、本明細書全体に記載されているものが含まれ、本開示の恩典を参照すれば、当業者にはこれらレーザは容易に明らかになるであろう。特定の態様において、レーザの一つとして、前述による少なくとも2つの波長で放出可能なレーザを用いることができる。図3を参照すると、レーザの各々は、単一の電子駆動システム300により作動する1つまたは複数のフラッシュランプ(図示せず)により励起される。単一のエネルギ蓄積ネットワーク310は、スイッチ314によってNd:YAGポンプ・チャンバ316と、ダイ・ポンプ・チャンバ318とに連結されている。スイッチ314を、フットペタル、ハンドピースに接続されたスイッチ、又は他の手段で起動することができる。通常スイッチ314は開状態である。Nd:YAGポンプ・チャンバ316とスイッチ314との間にNd:YAGトリガ変成器322の二次巻線320がある。同様に、ダイ・ポンプ・チャンバ318とスイッチ314との間にダイ・トリガ変成器332の二次巻線330がある。トリガ変成器322及び332は高圧トリガ変成器である。トリガ変成器の二次巻線の各々は、それぞれ、Nd:YAGポンプ・チャンバ316及びダイ・ポンプ・チャンバ318の中のフラッシュランプと直列になっており、フラッシュランプの放電回路におけるインダクタとして作用する。トリガ変成器322及び332の一次巻線324、334に、それぞれ駆動パルスを提供することによって、いずれかのポンプ・チャンバの中のランプを電離することができる。その後スイッチ314を閉じると、エネルギ蓄積ネットワーク310からのエネルギが、既にランプが電離されているポンプ・チャンバを通して流れることになる。このようなやり方において、単一エネルギ蓄積手段及びパルス放電手段を使用していずれかのレーザ・ポンプ・チャンバを駆動することができ、それによって更に空間を節約してレーザ・ワークステーションのサイズを低減することができる。他の態様において、例えばパルス紫外光源のような光源などを使用した、放電の前に電離できる既知の任意の手段によって、例えば光学ポンピングによって、レーザのいずれか又は双方を励起することができる。本開示の恩典を参照すれば、当業者には適切な励起源は容易に明らかになるであろう。
【0028】
前述の態様により、ユーザは、発射対象となるレーザを選択し、エネルギ蓄積ネットワークに蓄積されたエネルギの全量をそのレーザに放電することができる。他方のレーザを発射する前、又は最初に選択したレーザを再発射する前に、エネルギ蓄積ネットワークを再充電しなければならない。レーザへの蓄積エネルギの一部の選択的放電を可能にする別の態様が図3Bに例示されている。この態様は、2つの異なるレーザ、ここではNd:YAGレーザ及びパルスダイレーザを含む。前記と同様に、このような構成においても、適切な励起源により励起されやすい任意の種類のレーザを使用することができる。適切なレーザには、複数の波長を放出できるものを含め本明細書全体に記載されているものが含まれるが、本開示の恩典を参照すれば、当業者には容易に明らかになるであろう。高圧電源402は、動作可能なようにコンデンサ・バンク410に接続され、コンデンサ・バンク内の1つまたは複数のコンデンサ(図示せず)を充電する。コンデンサは、レーザ・ワークステーションのエネルギ蓄積システムとしての役割を果たす。コンデンサは、パルスダイレーザ(図示せず)をポンプする役割を持つフラッシュランプ416及び418に、ならびにNd:YAGレーザ(図示せず)をポンプする役割を持つフラッシュランプ426及び428に、動作可能なように接続されている。本明細書に示された態様において、フラッシュランプ416及び418は、これらがパルスダイレーザをまたぐように並列に配置されており、一方、フラッシュランプ426及び428は、Nd:YAGレーザ結晶の全長に対応するように直列に配置されているが、これは通常、パルスダイレーザよりも長い。本開示の恩典を参照すれば、当業者には、フラッシュランプの並列又は直列の任意の配置が容易に明らかになるであろう。
【0029】
コンデンサ・バンク410は絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)430、432、及び434によって、フラッシュランプ416、418、426及び428の各々に接続されている。直列に配置されているフラッシュランプ426及び428の場合は、コンデンサ・バンクと2つのフラッシュランプとの間に単一のIGBT 434が配置されている。この態様においてはIGBTが例示されているが、任意の能動半導体スイッチ、例えば、MOSFET、Jfet(接合型FET)、Ujt(単接FET)、又はダーリントントランジスタなどの電界効果トランジスタ(FET)を用いることができる。本開示の恩典を参照すれば、当業者には適切な能動半導体スイッチは容易に明らかになるであろう。能動半導体スイッチをコンピュータで制御してもよく、それによってこれらが閉じている期間、およびしたがって、閉状態時に通過させるエネルギの量を、高精度で制御することができる。このようなスイッチは、コンデンサ・バンクに蓄積された全エネルギまたはコンデンサ・バンクに蓄積されたエネルギの一部だけを含みうる控えめな量のエネルギが、フラッシュランプを通過することができるように、制御され、かつ任意で事前プログラムされた、回路の完成を可能にする。蓄積された全エネルギを下回る量がフラッシュランプに放電される場合、蓄積された余分のエネルギは、任意のフラッシュランプへの即時の放電のために残される。これにより、このような部分的パルス、すなわち「サブパルス」の送達の仕方について幾多の選択肢が可能になる。例えば、図6Aに例示されるように、Nd:YAGレーザからのサブパルスの後に、0〜500msという短時間内に、パルスダイレーザからのサブパルスを続けることができる。別の例として、同一レーザからのレーザ・エネルギの繰り返しサブパルス、例えば「パルス列」を実現することができる。例えば、図6Bに示すように、パルスダイレーザからのパルス列の後にNd:YAGレーザからのパルス列を続けることができ、又は図6Cに例示するように、2つのレーザ間での高速な交替又は相互挿入を行うことができる。任意で、図6Dの重複サブパルスで例示するように、両方のレーザを、同時に発射すること、又は重複させることができる。当然ながら、どの事例においても、パルスダイレーザ又はNd:YAGレーザのどちらも最初に発射することができる。このような任意のサブパルスの組合せが可能であるが、コンデンサ・バンクに蓄積されたエネルギ量及びIGBTの動作速度によってのみ制限される。異なる波長での放出のオプションを備えたレーザ共振器の場合については、共振器が一つの波長から別の波長に切り替わる速度、例えば、ビーム遮断シャッタが一つの位置から次の位置に移動する時間は、通常、能動半導体スイッチが動作する速度よりも大きく、これは、異なる波長における発射速度を制限する役割をする。さらに、自発的に制御可能なパラメータである、能動半導体スイッチが閉じている期間に応じて、サブパルスに送達されるエネルギの量を変えることができるが、これは、最終的にはコンデンサ・バンクに蓄積されたエネルギの全量に制限されることになる。レーザ・システムが用いられる特定の用途によって他の適切な組み合わせが示唆されうるが、本開示の恩典を参照すれば、当業者にはそれらは容易に明らかになるであろう。
【0030】
このシステムは、サブパルスの合計によって、エネルギ蓄積ネットワークに蓄えられた、単一のパルスが達成可能な量よりも大きなエネルギ量の送達を可能にする利点がある。これにより、エネルギ蓄積システムが再充電されるまでより長時間かかることになろう。また、特定の構成部品の使用に応じて、第二サブパルスを第一サブパルスより低い電圧で開始することができる。このより低い電圧は、Nd:YAGレーザの放電条件を向上しうるが、パルスダイレーザにはあまり適さず、このことは、パルスダイレーザの後にNd:YAGレーザを使うことでよりよい性能が実現されうることを意味する。本開示の恩典を参照すれば、当業者には、この態様のための適切な構成部品は容易に明らかになるであろう。
【0031】
フラッシュランプ416、418、426及び428は、フラッシュランプと並列に配線されたランプ・シマー電源440により、点灯されて、電離状態で維持されている。このやり方で、ランプは、前記で説明した高速発射技法によって、即時使用されうる状態に維持されている。
【0032】
前述のレーザ・ワークステーションの態様のいずれについても、光ファイバ又は導波管によって、パルスダイレーザ発生装置又はNd:YAGレーザ発生装置に臨界的に接続されたハンドピースをさらに含めることができる。ハンドピースは、各レーザ・ヘッドへの別々の臨界接続によって各レーザに接続されうり、又は、単一の臨界接続によって両方のレーザに任意で連結されうる。ハンドピースは、任意で、肌若返りが促進されるように、複数のレンズを通してレーザ発生器からのレーザ光の焦点をスポットに合わせる。例えば、ハンドピースは、パルスダイレーザからのレーザ光の焦点を直径約10mmのスポットに合わせ、周辺の組織を傷つけることなく、表皮の下の新しいコラーゲン成長を促進することができる。
【0033】
本明細書の記載によるレーザ・ワークステーションを使用して、例えば、老化した肌、しわ肌、日焼けダメージ肌、にきび又はにきび跡のある肌、傷跡、脚又は顔面の静脈拡張症及び他の血管異常などの望ましくない血管を含むさまざまな皮膚症状を処置することができる。例えば、パルスダイレーザを用いて表皮層の下のコラーゲンの成長を促進するしわ処置方法が提供される。このような方法が図5に例示されており、同図は、レーザ・システム10を含むレーザ・ワークステーションの態様の概略図である。レーザ・システム10は、皮膚の処置のため、パルスダイレーザ及びNd:YAGレーザの両方を備えたレーザ出力発生器12を使用する。パルスダイレーザは、約585nmの波長において、約150マイクロ秒から約1500マイクロ秒の範囲の、例えば450マイクロ秒のパルス幅で光を送達するよう調整されている。レーザ出力発生器12は、光ファイバ又は導波管16によってハンドピース14に動作可能なように接続されている。ハンドピース14は、複数のレンズ22及び24を通して、典型的には平方cmあたり5ジュール未満のフルエンスのレーザ光「L」の焦点を、直径約10mm以上のスポット「S」に合わせ、しわ組織表面の下のコラーゲン層の中の血液のヘモグロビン「H」に到達させる。レーザ・エネルギーはヘモグロビン「H」に吸収され、これにより深さ約1mmまでの領域内の皮膚組織「T」の中で熱が生じ、これは、表皮「E」の下部の新しいコラーゲンの成長を促進する。
【0034】
このような処置は、各レーザ・ヘッドからのレーザ・エネルギー、又はNd:YAG共振器から得られる各々の波長におけるエネルギーを有益に利用することができる。理論に縛られるわけではないが、交互の波長、特に高速で交替する波長の使用により、有意な臨床上の利点が提供されると考えられる。例えば、595nmにおけるダイ・レーザからの始めのサブパルスを使用して、血管中のオキシヘモグロビンを、その通常の化学形態からメトヘモグロビンに変換することができ、これにより、Nd:YAGレーザの1064nmの波長におけるはるかに大きな吸収性が提供される。したがって、フルエンスが大幅に低減されたこのような血管の処置をもたらすことができ、これは、副作用を低減する可能性もある。本開示の恩典を参照すれば、当業者には他の恩典は容易に明らかになるであろう。さらに、処置には、能動半導体スイッチの使用に起因する上述のサブパルスの任意の組合せを使用できる。本明細書の記載によるレーザ・ワークステーションを用いて皮膚を処置する適切な方法には、595nmのパルスダイレーザによる顔面毛細血管拡張症又は血管病変の処置;595nmのパルスダイレーザ及び/又は1064nmのNd:YAGレーザによる脚又は顔面の静脈拡張症の処置;595nmのパルスダイレーザと1320nmのNd:YAGレーザとの組み合わせによるにきび炎症、にきび跡、又は他の傷跡の処置;ならびに、595nmのパルスダイレーザ及び/又は1320nmのNd:YAGレーザによる日焼けダメージ肌又はしわ肌の処置が含まれる。本開示の恩典を参照すれば、当業者にはレーザ・ワークステーションの他の適切な用途は容易に明らかになるであろう。
【0035】
本発明を実施するための現在好ましい様式を含む特定の事例に関連して本発明を説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲に示された本発明の精神および目的に含まれる、前述のシステム及び技法の変形及び変更が数多くあることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】2つの波長でレージング可能なレージング媒体を有するレーザの態様の概略図である。
【図2】図2Aは、レーザ・ワークステーションの態様である。図2Bは、レーザ・ワークステーションの一部の別の態様である。
【図3】図3Aは、単一電子駆動システムの態様の概略図である。図3Bは、単一電子駆動システムの別の態様の概略図である。
【図4】図4Aは、Nd:YAGレーザに対するエネルギ・レベル図である。図4Bは、YAP:Ndレーザに対するエネルギ・レベル図である。
【図5】皮膚層に照射されるレーザ機器の態様の概略図である。
【図6】図6A〜6Dは、種々のサブパルス構成のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、レーザ装置:
第一波長及び第二波長でレージングが可能な第一レージング媒体であって、縦軸を持つ第一レージング媒体、
第一レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第一端に配置された出力カプラ、
第一レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第二端に配置された第一ミラーであって、第一波長で高反射性である第一ミラー、
第一レージング媒体の縦軸に沿って第一ミラーと第一レージング媒体の第二端との間に配置された第二ミラーであって、第二波長では高反射性であり第一波長では透過性である第二ミラー、
第一レージング媒体の縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の、第一レージング媒体の縦軸に沿った第一位置から、第一レージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能なビーム遮断シャッタ、
第一波長及び第二波長とは異なる波長でレージング可能な第二レージング媒体であって、ハンドピースが、レーザ放射を集光するよう作動しかつ第一レージング媒体及び第二レージング媒体に動作可能に接続されている、第二レージング媒体、ならびに
第一レージング媒体および第二レージング媒体からのレーザ光のパルスを互いに500ms以内に発生させるために各レージング媒体にエネルギーを与える、コンピュータ制御スイッチング・システム。
【請求項2】
第一レージング媒体および第二レージング媒体からのレーザ光のパルスが互いに500ms以内である、請求項1記載のレーザ。
【請求項3】
第一レージング媒体が、Nd:YAG結晶及びYAP:Nd結晶のいずれかである、請求項1記載のレーザ。
【請求項4】
レージング媒体がNd:YAG結晶であって、第一波長が1064nmであり、かつ第二波長が1320nmである、請求項1記載のレーザ。
【請求項5】
第一レーザ及び第二レーザを含むレーザ・ワークステーションであって、第一レーザ及び第二レーザが、第一レーザ・ポンプ・チャンバと第二レーザ・ポンプ・チャンバとに接続された単一のエネルギー蓄積ネットワークを含む単一の電子駆動システムに駆動され、第一レーザ・ポンプ・チャンバが、第一レーザ媒体を励起するよう作動し、第二レーザ・ポンプ・チャンバが、第二レーザ媒体を励起するよう作動する、レーザ・ワークステーション。
【請求項6】
単一エネルギー蓄積ネットワークと、第一レーザ・ポンプ・チャンバ及び第二レーザ・ポンプ・チャンバとの間に配置されたスイッチをさらに含む、請求項5記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項7】
第一レーザ・ポンプ・チャンバが第一高圧トリガ変成器によって単一エネルギー蓄積ネットワークに接続されており、第二レーザ・ポンプ・チャンバが第二高圧トリガ変成器によって単一エネルギー蓄積ネットワークに接続されている、請求項6記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項8】
スイッチが開のときは、第一高圧トリガ変成器が第一レーザ・ポンプ・チャンバの中の第一ランプを電離するよう作動する、請求項7記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項9】
スイッチが開のときは、第二高圧トリガ変成器が第二レーザ・ポンプ・チャンバの中の第二ランプを電離するよう作動する、請求項7記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項10】
第一レーザがパルスダイレーザである、請求項5記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項11】
パルスダイレーザが、約575nm〜約650nmの出力を有する、請求項10記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項12】
第二レーザがNd:YAGレーザである、請求項5記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項13】
Nd:YAGレーザが、
縦軸を持つNd:YAGレージング媒体、
Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿ってNd:YAGレージング媒体の第一端に配置された出力カプラ、
Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿ってNd:YAGレージング媒体の第二端に配置された第一ミラーであって、1064nmで高反射性の第一ミラー、
Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿って第一ミラーとNd:YAGレージング媒体の第二端との間に配置された第二ミラーであって、1320nmでは高反射性で1064nmでは透過性である第二ミラー、ならびに
Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の、Nd:YAGレージング媒体の縦軸に沿った第一位置から、Nd:YAGレージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能なビーム遮断シャッタ
を含む、請求項12記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項14】
Nd:YAGレージング媒体が結晶ロッドである、請求項13記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項15】
第二ミラーが1064nmでの反射防止性の被膜でコーティングされている、請求項13記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項16】
第一レーザ及び第二レーザに臨界的に接続されているハンドピースをさらに含む、請求項5記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項17】
ハンドピースが、レーザ放射の焦点を合わせるよう作動する複数のレンズを含む、請求項16記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項18】
ハンドピースが、光ファイバによって第一レーザ及び第二レーザに接続されている、請求項16記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項19】
ハンドピースが、導波管によって第一レーザ及び第二レーザに接続されている、請求項15記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項20】
単一のエネルギー蓄積ネットワークが、能動半導体スイッチによって第一レーザ・ポンプ・チャンバに、及び、能動半導体スイッチによって第二レーザ・ポンプ・チャンバに動作可能なように接続されている、請求項5記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項21】
能動半導体スイッチは、各々、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ及び電解効果トランジスタからなる群より選択される、請求項20記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項22】
能動半導体スイッチがIGBTである、請求項20記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項23】
第一レーザ装置がパルスダイレーザを含む、請求項20記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項24】
第一レーザ装置がアレキサンドライトレーザを含む、請求項20記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項25】
アレキサンドライトレーザが可変パルス755nmアレキサンドライトレーザである、請求項24記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項26】
第二レーザ装置が、
第一波長及び第二波長でレージングが可能な第二レージング媒体であって、縦軸を持つ第二レージング媒体、
レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第一端に配置された出力カプラ、
レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第二端に配置された第一ミラーであって、第一波長で高反射性の第一ミラー、
レージング媒体の縦軸に沿って第一ミラーとのレージング媒体の第二端との間に配置された第二ミラーであって、第二波長では高反射性で第一波長では透過性である第二ミラー、ならびに
レージング媒体の縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の、レージング媒体の縦軸に沿った第一位置から、レージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能なビーム遮断シャッタ
を含む、請求項20記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項27】
第二レーザ装置がNd:YAGレーザを含む、請求項26記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項28】
第一ミラーが1064nmで高反射性であり、第二ミラーが1320nmでは高反射性で1064nmでは透過性である、請求項27記載のレーザ・ワークステーション。
【請求項29】
以下の段階を含む、皮膚異常を処置する方法:
第一波長及び第二波長でレージングが可能な第一レージング媒体であって、縦軸を持つ第一レージング媒体、
第一レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第一端に配置された出力カプラ、
第一レージング媒体の縦軸に沿ってレージング媒体の第二端に配置された第一ミラーであって、第一波長で高反射性である第一ミラー、
第一レージング媒体の縦軸に沿って第一ミラーと第一レージング媒体の第二端との間に配置された第二ミラーであって、第二波長では高反射性であり第一波長では透過性である第二ミラー、
第一レージング媒体の縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の、第一レージング媒体の縦軸に沿った第一位置から、第一レージング媒体の縦軸から外れた第二位置に移動可能なビーム遮断シャッタ、
第一波長及び第二波長とは異なる波長でレージング可能な第二レージング媒体であって、ハンドピースが、レーザ放射を集光するよう作動しかつ第一レージング媒体及び第二レージング媒体に動作可能なように接続されている、第二レージング媒体、ならびに
第一レージング媒体および第二レージング媒体からのレーザ光のパルスを互いに500ms以内に発生させるために各レージング媒体にエネルギーを与える、コンピュータ制御スイッチング・システム
を含むレーザ装置を提供する段階;および
レーザ装置を使用して第一波長のレーザ・エネルギーを皮膚異常に冒された皮膚領域に照射し、かつ、レーザ装置を使用して第二波長のレーザ・エネルギーを皮膚異常に冒された皮膚領域に照射することによって、皮膚異常に冒された皮膚領域を処置する段階であって、第一レージング媒体からのパルスと第二レージング媒体からのパルスを互いに500ms以内に照射する段階。
【請求項30】
以下の段階を含む、皮膚異常を処置する方法:
第一レーザと第二レーザとを含むレーザ・ワークステーションを含むレーザ装置を提供する段階であって、第一レーザ及び第二レーザが、第一レーザ・ポンプ・チャンバと第二レーザ・ポンプ・チャンバとに接続された単一のエネルギー蓄積ネットワークを含む単一の電子駆動システムに駆動され、第一レーザ・ポンプ・チャンバが第一レーザ媒体を励起するよう作動し、かつ第二レーザ・ポンプ・チャンバが第二レーザ媒体を励起するよう作動する段階;および
レーザ装置を使用して第一レーザからの第一波長のレーザ・エネルギーを皮膚異常に冒された皮膚領域に照射し、レーザ装置を使用して第二レーザからの第二波長のレーザ・エネルギーを皮膚異常に冒された皮膚領域に照射することによって、皮膚異常に冒された皮膚領域を処置する段階。
【請求項31】
第一レーザからのレーザ・エネルギーの波長が、第二レーザからのレーザ・エネルギーの波長とは異なる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
第一レーザからのレーザ・エネルギーと第二レーザからのレーザ・エネルギーとが同時に照射される、請求項30記載の方法。
【請求項33】
第一レーザからのレーザ・エネルギーが第二レーザからのレーザ・エネルギーと連続して照射される、請求項30記載の方法。
【請求項34】
第一レーザからのレーザ・エネルギーと第二レーザからのレーザ・エネルギーが、各々サブパルスとして照射される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
第一レーザからのサブパルスの間に第二レーザからのサブパルスが挿入される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
第一レーザからのサブパルスのパルス列の後に第二レーザからのサブパルスが続く、請求項34記載の方法。
【請求項37】
第一レーザがパルスダイレーザを含み、
第二レーザが、
縦軸を持つNd:YAGレーザ、
Nd:YAGレーザの縦軸に沿ってNd:YAGレーザの第一端に配置された出力カプラ、
Nd:YAGレーザの縦軸に沿ってNd:YAGレーザの第二端に配置された第一ミラーであって、1064nmで高反射性の第一ミラー、
Nd:YAGレーザの縦軸に沿って第一ミラーとNd:YAGレーザの第二端との間に配置された第二ミラーであって、1320nmでは高反射性で1064nmでは透過性である第二ミラー、
Nd:YAGレーザの縦軸に沿った第一ミラーと第二ミラーとの間の、Nd:YAGレーザの縦軸に沿った第一位置から、Nd:YAGレーザの縦軸から外れた第二位置に移動可能なビーム遮断シャッタ
を含む、請求項31記載の方法。
【請求項38】
第一波長は595nmであり第二波長は1064nmである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
皮膚異常が、脚又は顔面の静脈拡張症である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
第一波長が595nmであり第二波長が1320nmである、請求項37記載の方法。
【請求項41】
皮膚異常が、にきび、にきび跡、傷跡、日焼けダメージ肌、又はしわ肌である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
以下の段階を含む、血管病変を処置する方法:
第一レーザと第二レーザとを含むレーザ・ワークステーションを含むレーザ装置を提供する段階であって、第一レーザ及び第二レーザが、第一レーザ・ポンプ・チャンバと第二レーザ・ポンプ・チャンバとに接続された単一のエネルギー蓄積ネットワークを含む単一の電子駆動システムに駆動され、第一レーザ・ポンプ・チャンバが、第一レーザ媒体を励起するよう作動し、第二レーザ・ポンプ・チャンバが、第二レーザ媒体を励起するよう作動する段階;ならびに
レーザ装置を使用して第一レーザからの570nm〜650nmのレーザ・エネルギーを血管病変に照射し、レーザ装置を使用して第二レーザからの1064nmのレーザ・エネルギーを血管病変に照射することによって、血管病変を処置する段階。
【請求項43】
第一レーザがパルスダイレーザであり、第二レーザが固体レーザである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
第二レーザがNd:YAGレーザである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
第一レーザからのパルスが、第二レーザからのパルスの500ms以内に標的部位に照射される、請求項42記載の方法。
【請求項46】
第一波長のレーザ・エネルギーを標的部位に照射する段階;および
第二波長のレーザ・エネルギーを標的部位に照射する段階
を含む、皮膚症状を処置する方法であって、
第一波長のパルスが、第二波長のパルスの500ms以内に標的部位に照射される、方法。
【請求項47】
第一波長が570nm〜650nmである、請求項45記載の方法。
【請求項48】
第二波長が1064nmである、請求項46記載の方法。
【請求項49】
標的部位はオキシヘモグロビンを含み、第一波長はオキシヘモグロビンをメトヘモグロビンに変換する、請求項45記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−526446(P2008−526446A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551391(P2007−551391)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/001192
【国際公開番号】WO2006/076554
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507237336)サイノシュア インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】