説明

複素環化合物およびそれらのグリコーゲンシンターゼキナーゼ3阻害薬としての使用

本発明は、一般式(I)の複素環化合物およびそれの使用と製造、該化合物の製造方法、少なくとも一つの前記化合物を含む組成物、ならびに少なくとも一つの化合物を用いる治療方法に関するものである。特に、一般式(I)の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)を阻害する上で有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)を阻害する上で有用な新規な尿素化合物、該化合物の製造方法、該化合物を含む組成物、ならびに該化合物を用いる治療方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、分子量がそれぞれ51および47kDaである二つのアイソフォ−ムGSK−3αおよびGSK−3βによってコードされるセリン/トレオニンキナーゼである。これらは、それらのキナーゼ触媒領域で97%の配列類似性を共有している。GSK−3αアイソフォ−ムは、延長グリシンリッチN末端尾部を有する。キナーゼ領域内に13個のアミノ酸の挿入を有するGSK−3βのわずかなスプライス変異体が確認されている(全体の約15%で発現)。この変異体は、タウに対する活性が低かった。GSK−3は進化を通じてかなり保存されており、全ての哺乳動物で認められ、これまでのところ、キナーゼ領域での相同性が高い。いずれのアイソフォームも、脳などの哺乳動物組織で遍在的に発現される。薬理学的GSK−3阻害薬は、アイソフォームのうちの一つを選択的に阻害することはできない。
【0003】
GSK−3βは、代謝、分化および生存の制御において重要な役割を果たす。それは当初、グリコーゲンシンターゼをリン酸化することでそれを阻害することができる酵素として確認された。その後、GSK−3βが、アルツハイマー病およびいくつかのタウオパシー(taupathies)において過リン酸化されていることも認められるエピトープでタウタンパク質をリン酸化する酵素であるタウタンパク質キナーゼ1(TPK1)と同一であることが確認された。
【0004】
興味深いことに、GSK−3βのタンパク質キナーゼB(AKT)リン酸化によって、キナーゼ活性喪失が生じ、この阻害が神経栄養素の効果の一部に介在する可能性があることが提案されている。さらに、β−カテニン(細胞生存に関与するタンパク質)のGSK−3βによるリン酸化によって、ユビキチニン化(ubiquitinilation)依存性プロテアソーム経路によるそれの分解が生じる。
【0005】
従って、GSK−3β活性の阻害によって神経栄養活性が生じ得るように思われる。GSK−3βの非競合的阻害薬であるリチウムが一部のモデルで神経突起生成を強化し、さらにはBcl−2などの生存因子の誘発およびP53およびBaxなどのプロアポトーシス因子の発現阻害によってニューロンの生存を増加させ得ることを示す証拠がある。さらなる研究によって、β−アミロイドがGSK−3β活性を高め、タウタンパク質リン酸化を増加させることが明らかになっている。
【0006】
さらに、この過リン酸化ならびにβ−アミロイドの神経毒性効果は、塩化リチウムおよびRNAでのGSK−3βアンチセンスによって遮断される。これらの所見を総合すると、GSK−3βがアルツハイマー病における2つの主要な病理プロセスである異常APP(アミロイド前駆体タンパク質)プロセシングおよびタウタンパク質過リン酸化の間を連結させるものである可能性が示唆される。
【0007】
これらの実験的所見は、GSK−3β活性を調節する化合物が神経病理的結果ならびにアルツハイマー病に関連する認知および注意欠陥、そして他の急性および慢性神経変性疾患の治療において利用可能であることを示している。それには、パーキンソン病、タウオパシー(例:前側頭頭頂性(frontotemporoparietal)認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上麻痺)および血管性認知症などの他の認知症;急性脳梗塞および他の外傷;脳血管障害(例:加齢に伴う黄斑変性);脳および脊髄の外傷;末梢神経障害;網膜症および緑内障などがあるが、それらに限定されるものではない。
【0008】
GSK−3βは、非インシュリン依存性糖尿病および肥満;骨粗鬆症;躁鬱病;統合失調症;脱毛症;乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T細胞またはB細胞白血病およびいくつかのウィルス誘発腫瘍などの癌等の他の疾患の治療においても有用である可能性がある。
【0009】
GSK−3、それの機能、それの治療上の可能性およびそれの可能な阻害薬に関する総覧が、文献にある(″Glykogen Synthase Kinase 3 (GDK-3) and its inhibitors: Drug Discovery and Developments″ by A. Martinez et al. (editors), John Wiley and Sons, 2006)。
【0010】
バースら(B. Barth et al., Antiviral Chemistry & Chemotherapy 7(6), 1996, 300-312)は、HIV−1逆転写酵素の阻害薬として有用な6−アルキル置換ピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5−オン類について記載している。彼らは、中間体として窒素が置換されていないいくつかのピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン類、すなわちピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロ−8−トリフルオロメチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロ−8−メチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロ−9−メチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロ−8−メトキシピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オンおよび3−クロロ−8,10−ジメチルピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オンも記載している。
【0011】
ハイニシュら(G. Heinisch et al., Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2000, 333, 231-240)は、相当するN−アルキル誘導体の合成における中間体として窒素が置換されていないピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン類、すなわち3−クロロピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3,8−ジクロロピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン、3−クロロ−8−メチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オンおよび3−クロロ−9−メチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オンについて記載している。
【0012】
オットら(I. Ott et al., J. Med. Chem. 2004, 47, 4627-4630)は、腫瘍療法における多剤耐性調節剤として有用である6−アルキル置換ピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5−オン類について記載している。彼らはまた、中間体としての窒素が置換されていないいくつかのピリダジノベンゾ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オン類、例えば3−クロロ−9−トリフルオロメチルピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾオキサゼピン−5(6H)−オンについても記載している。
【0013】
ハイニシュら(G. Heinisch et al., Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 1997, 330, S. 29-34 and Heterocycles 1997, 45, 673-682)は、特に3−クロロ−8−ニトロ−11−プロピル−ピリダジノ[3,4−b][1,5]ベンゾジアゼピン−5−オンについて記載している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】″Glykogen Synthase Kinase 3 (GDK-3) and its inhibitors: Drug Discovery and Developments″ by A. Martinez et al. (editors), John Wiley and Sons, 2006.
【非特許文献2】B. Barth et al., Antiviral Chemistry & Chemotherapy 7(6), 1996, 300-312.
【非特許文献3】G. Heinisch et al., Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2000, 333, 231-240.
【非特許文献4】I. Ott et al., J. Med. Chem. 2004, 47, 4627-4630.
【非特許文献5】G. Heinisch et al., Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 1997, 330, S. 29-34 and Heterocycles 1997, 45, 673-682.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、GSK−3β活性を調節する化合物、特にはGSK−3βに対して阻害薬活性を有することから、異常GSK−3β活性によって引き起こされる疾患、特には神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための組成物の有効成分として有用である化合物を提供することにある。より具体的には、その目的は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防および/または治療が可能である組成物の有効成分として有用な新規な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、前記問題が、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩を提供することで解決されることが認められた。
【0017】
【化1】

式中、
Aは、CH、NH、N−C−C−アルキル、N−ハロゲン化(好ましくはフッ素化)−C−C−アルキルおよびCRからなる群から選択され、RおよびRは互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、好ましくはRおよびR互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、ただし、RおよびRのうちの少なくとも一方がメチルまたはハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルであり、より好ましくはRおよびRが互いに独立にメチルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルからなる群から選択され;
およびXは互いに独立に、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
は、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
、X、XおよびXは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択され、
ただしX、X、X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも一つがNであり、好ましくはX、X、X、X、X、XおよびXからなる群のうちの少なくともXがNであり;
、Y、YおよびYは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択されて、6員環Cとなっており;または、Y、Y、YおよびYのうちの一つが、その隣接する2個の原子との間の架橋結合の一部であることで5員環Cとなっており;または、Y=Y=Cであることで、YおよびYは5員もしくは6員の環Cと一体となって、環員としてYおよびYを含み、環員としてC原子を含む、あるいはC原子環員に代わって、互いに独立にN、OおよびSからなる群から選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子環員を含むことができる5員もしくは6環員を有する縮合環を形成することができ、縮合環系は互いに独立に下記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていても良く;
好ましくは但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも一つがNであり、特にはY、Y、YおよびYからなる群のうちの少なくともYがNであり、特にはYがNであって、部分Y、YおよびYがCHまたはCRであり;
nは基Rの数であり、0、1、2、3または4から選択され;
mは基Rの数であり、0、1または2から選択され;
oは基Rの数であり、0、1、2、3または4から選択され;
、Rは互いに独立におよび各場合で独立に、NH、NH−C−C−アルキル、NR、OH、=O、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルケニル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−シクロアルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキル−NRおよび芳香族基Ar(フェニルおよび環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のN結合もしくはC結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、Arは置換されていないか、1個もしくは2個の基R1aを有し;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NRからなる群から選択され;またはm=2または3の場合、XおよびXにおけるRのうちの2個が一体となって、環員としてN、OおよびSからなる群から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含んでいても良く、互いに独立に上記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていることができる縮合5員もしくは6員脂環式環を形成していることができ;
1aは互いに独立におよび各場合で独立に、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−シクロアルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルコキシ、NR、1−アジリジニル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびホモピペリジン−1−イル、フェニル基または環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む芳香族5員もしくは6員C結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択され、フェニルおよび前記ヘテロ芳香族基は互いに独立に、置換されていないかハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルコキシから選択される1、2、3もしくは4個の基で置換されており;
、Rは独立に、H、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択されるか、それらが結合している窒素原子とともに、環員としてO、SおよびNからなる群から選択される1個の別のヘテロ原子を有していても良い、4、5、6または7員飽和もしくは不飽和N−複素環を形成していても良く;
は、H、C−C−アルキル、およびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。
【0018】
従って本発明は、本明細書および特許請求の範囲で定義の式Iの化合物、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩に関するものである。
【0019】
本発明に関して、一般式(I)において、環原子XおよびXは、二重結合(「..」または「=」の記号で表される。)によって連結されていることで、環員として10個の原子からなる芳香族二環式環系の一部を形成している。
【0020】
上記のように、nは基Rの数であり、mは基Rの数であり、oは基Rの数である。従って、当業者であれば、C−Rである部分Y、Y、YおよびYの数が整数nに相当することは容易に理解するであろう。同様に、当業者であれば、C−Rである部分X、XおよびXの数が整数mに相当し、C−Rである部分X、X、X、およびXの数が整数oに相当することは容易に理解するであろう。
【0021】
本発明の別の態様によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0022】
【化2】

式中、
Aは、CH、NH、N−C−C−アルキル、N−ハロゲン化(好ましくはフッ素化)−C−C−アルキルおよびCRからなる群から選択され、RおよびRは互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、好ましくはRおよびR互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、ただし、RおよびRのうちの少なくとも一方がメチルまたはハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルであり、より好ましくはRおよびRが互いに独立にメチルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルからなる群から選択され;
はNであり;
は、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
は、CHおよびCRからなる群から選択され;
、X、XおよびXは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択され、
ただし、X、X、X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも一つがNであり;
、Y、YおよびYは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択されて、6員環Cとなっており;または、Y、Y、YおよびYのうちの一つが、その隣接する2個の原子との間の架橋結合の一部であることで5員環Cとなっており;または、Y=Y=Cであることで、YおよびYは5員もしくは6員の環Cと一体となって、環員としてYおよびYを含み、環員としてC原子またはC原子環員に代わって互いに独立にN、OおよびSからなる群から選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子環員を含む5員もしくは6環員を有する縮合環を形成することができ、縮合環系は互いに独立に下記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていても良く;
好ましくは但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも一つがNであり、特にはY、Y、YおよびYからなる群のうちの少なくともYがNであり、特にはYがNであって、部分Y、YおよびYがCHまたはCRであり;
nは基Rの数であり、0、1、2、3または4から選択され;
mは基Rの数であり、0、1または2から選択され;
oは基Rの数であり、0、1、2、3または4から選択され;
、Rは互いに独立におよび各場合で独立に、NH、NH−C−C−アルキル、NR、OH、=O、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルケニル、フッ素化C−C−アルキル、フッ素化C−C−シクロアルキル、フッ素化C−C−アルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキル−NRおよび芳香族基Ar(フェニルおよび環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のN結合もしくはC結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、Arは置換されていないか、1個もしくは2個の基R1aを有し;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキル、NRからなる群から選択され;
1aは互いに独立におよび各場合で独立に、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、フッ素化C−C−アルキル、フッ素化C−C−シクロアルキル、フッ素化C−C−アルコキシ、NR、1−アジリジニル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびホモピペリジン−1−イル、フェニル基または環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む芳香族5員もしくは6員C結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択され、フェニルおよび前記ヘテロ芳香族基は互いに独立に、置換されていないかハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびフッ素化C−C−アルコキシから選択される1、2、3もしくは4個の基で置換されており;
、Rは独立に、H、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択されるか、それらが結合している窒素原子とともに、環員としてO、SおよびNからなる群から選択される1個の別のヘテロ原子を有していても良い、4、5、6または7員飽和もしくは不飽和N−複素環を形成していても良く;
は、H、C−C−アルキル、およびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0024】
【化3】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書に記載されているか請求項1または15で定義のものと同じ意味を有し、XはCHである。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0026】
【化4】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、YはNである。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0028】
【化5】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、Rが、存在する場合ハロゲンである。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0030】
【化6】

式中、A、R、R、R、m、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、nは0または1であり、Rはハロゲンである(または、nは1であり、RはHまたはハロゲンである。)。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0032】
【化7】

式中、A、R、R、R、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、mは0または1であり、Rはハロゲンである(または、mは1であり、RはHまたはハロゲンである。)。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0034】
【化8】

式中、A、R、R、R、m、n、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し;
oは0または1であり;
が存在する場合、それはハロゲン、C−C−アルキルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される(または、oは1であり、Rはハロゲン、C−C−アルキルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。)。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0036】
【化9】

式中、A、R、R、R、R、m、n、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し;
oは、0、1、2、3もしくは4、特には1、2、3もしくは4から選択され;
は、CHまたはCR、特にはCRであり;
は存在する場合、少なくともXに配置されており、各場合で独立にハロゲン、C−C−アルキルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0038】
【化10】

式中、R、R、R、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し;
AはNHであり;
はNであり;
はHであり;
oは0または1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0040】
【化11】

式中、R、R、R、Y、YおよびYは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から13のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し;
AはNHであり;
はNであり;
、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はNであり;
、X、X、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はHであり;
oは0または1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0042】
【化12】

式中、R、RおよびRは、別段の断りがない限り、本明細書または請求項1から13のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し;
AはNHであり;
はNであり;
、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はNであり;
、X、X、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
、Y、Yは互いに独立にCHまたはCRであり;
はHであり;
oは0または1、特には1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、下記の化合物:
1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(7−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−4−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−(6−ブロモ−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−メチル−1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−イソキノリン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−8−イル−尿素、
1−イソキノリン−8−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−5−イル−尿素、
1−イソキノリン−5−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−イソキノリン−4−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−アクリジン−9−イル)−尿素、
1−(ピラジン−2−イル)−3−(ピリジン−4−イル)尿素、
1−(キノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(7−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(7−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(ピリジン−2−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素、
1−(8−メチルキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−クロロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(6−モルホリノピリジン−2−イル)−3−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素、
1−(8−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(3−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(5−クロロ−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素
から選択される一般式(I)の複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩が提供される。
【0044】
【化13】

【0045】
別の態様によれば本発明は、医薬として使用される、一般式Iの複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩に関するものである。
【0046】
【化14】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。
【0047】
別の態様によれば本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βの活性を調節、好ましくは阻害する化合物による治療に感受性の疾患の治療のための医薬を製造する上での、少なくとも一つの一般式Iの複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用に関するものである。
【0048】
【化15】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。
【0049】
別の態様によれば本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βの活性を阻害する化合物による治療に感受性の疾患の治療のための医薬を製造する上での、少なくとも一つの一般式Iの複素環化合物(式(I)の単環式の環での「C」の記号は、番号付けのシステムの一部に過ぎず、独立に化学的意味を表すものではない)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用であって、前記複素環化合物に関してグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βに対する阻害薬活性についてのIC50レベルがIC50<1μMolである使用に関するものである。
【0050】
【化16】

式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。
【0051】
別の態様によれば本発明は、少なくとも1種類の生理的に許容される担体および/または補助物質と組み合わせても良い、少なくとも一つの式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩を含む医薬組成物に関するものである。
【0052】
別の態様によれば本発明は、処置を必要とする対象者に対して、少なくとも一つの式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩を投与する段階を有する、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性である医学的障害を治療する方法に関するものである。
【0053】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性の医学的障害は、特には神経変性障害である。
【0054】
別の態様によれば本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性の医学的障害の治療のための医薬組成物の製造における、少なくとも一つの式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは本明細書または請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、それの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用であって、前記医学的障害が特には神経変性障害である使用が提供される。
【0055】
従って本発明は、すでに公知である化合物を除く、一般式Iのジ置換尿素化合物およびそれの薬理的に許容される酸付加塩に関するものでもある。
【0056】
本発明はまた、適切な場合には、生理的に許容される担体および/または補助物質とともに、少なくとも一つの式(I)のジ置換尿素化合物および/または少なくとも一つの(I)の生理的に許容される酸付加塩を含む医薬組成物に関するものでもある。
【0057】
本発明は特には、処置を必要とする哺乳動物に対して有効量の式(I)の化合物を投与する段階を有する、GSK−3βの異常活性によって生じる神経変性疾患および前記疾患の治療方法に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明によれば、冒頭で言及した意味を有する一般式Iの化合物は、GSK−3βに対する調節活性、特には阻害薬活性を有する。従って本発明の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物、特には阻害する化合物による治療に対して感受性の医学的障害の治療において有用である。本明細書で使用される「治療」という用語は、予防的処置および治療的処置を含むものである。そこでこれらの化合物は、異常GSK−3β活性によって生じる疾患、特にはアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療を可能とする組成物を製造するための有効成分として有用である。さらに本発明の化合物は、パーキンソン病、タウオパシー(例:前側頭頭頂性認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上麻痺)および血管性認知症などの他の認知症;急性脳梗塞および他の外傷;脳血管障害(例:加齢に伴う黄斑変性);脳および脊髄の外傷;末梢神経障害;網膜症および緑内障などの神経変性疾患の治療においても有用である。該化合物は、非インシュリン依存性糖尿病(II型糖尿病など)および肥満;躁鬱病;統合失調症;脱毛症;乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T細胞またはB細胞白血病およびいくつかのウィルス誘発腫瘍などの癌等のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物、特にはそれを阻害する化合物による治療に対して感受性である他の医学的障害の治療においても有用である。
【0059】
ある構成を有する式Iの化合物が異なる空間配置で存在し得るのであれば、例えばそれらが1以上の不斉中心、多置換の環もしくは二重結合を有する場合、あるいは異なる互変異体として存在し得、エナンチオマー混合物、特にはラセミ体、ジアステレオマー混合物および互変異体混合物を用いることも可能であるが、好ましくは式Iの化合物の個々の実質的に純粋なエナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異体および/またはそれらの塩を用いる。
【0060】
同様に、式Iの化合物の生理的に耐容される塩、特には生理的に耐容される酸との酸付加塩を用いることも可能である。好適な生理的に耐容される有機および無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、C−C−アルキルスルホン酸類(メタンスルホン酸など)、芳香族スルホン酸類(ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸など)、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、アジピン酸および安息香酸がある。他の利用可能な酸が、文献(Fortschritte der Arzneimittelforschung [Advances in drug research], Volume 10, pages 224 ff., Birkhauser Verlag, Basel and Stuttgart, 1966)に記載されている。
【0061】
ハロゲンという用語のように、可変要素の上記定義で言及されている有機部分は、個々の基の構成員を個別に列記する総称である。接頭語であるC−Cは、各場合において、その基における炭素原子の可能な数を示している。
【0062】
ハロゲンという用語は、各場合で、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特にはフッ素、塩素または臭素を指す。
【0063】
−Cアルキルは、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基である。アルキル基の例には、メチルやエチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルなどのC−C−アルキルがある。C−Cアルキルはメチルまたはエチルであり、C−Cアルキルはその上にn−プロピルまたはイソプロピルである。
【0064】
−Cアルキルは、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基である。例としては、メチル、上記のC−Cアルキル、さらにはペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどがある。
【0065】
フッ素化C−Cアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロ−メチル、トリフルオロメチル、(R)−1−フルオロエチル、(S)−1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、(R)−1−フルオロプロピル、(S)−1−フルオロプロピル、2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、1,1−ジフルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル、(R)−1−フルオロブチル、(S)−1−フルオロブチル、2−フルオロブチル、3−フルオロブチル、4−フルオロブチル、1,1−ジフルオロブチル、2,2−ジフルオロブチル、3,3−ジフルオロブチル、4,4−ジフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチルなどのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキル)、詳細には1から3個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキル)を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わった直鎖または分岐のアルキル基である。
【0066】
−Cアルコキシは、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cアルコキシ)を有し、酸素原子を介して分子の残りの部分に結合している直鎖または分岐のアルキル基である。例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、イソ−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、1,2−ジメチルブチルオキシ、1,3−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、2,3−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、1−エチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、1−エチル−1−メチルプロポキシおよび1−エチル−2−メチルプロポキシなどがある。
【0067】
ハロゲン化C−Cアルコキシ(C−Cハロアルコキシとも称される。)、特にフッ素化C−Cアルコキシ(C−Cフルオロアルコキシとも称される。)は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、(R)−1−フルオロエトキシ、(S)−1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、(R)−1−フルオロプロポキシ、(S)−1−フルオロプロポキシ、(R)−2−フルオロプロポキシ、(S)−2−フルオロプロポキシ、3−フルオロプロポキシ、1,1−ジフルオロプロポキシ、2,2−ジフルオロプロポキシ、3,3−ジフルオロプロポキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、(R)−2−フルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2−フルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエトキシ、(R)−1−フルオロブトキシ、(S)−1−フルオロブトキシ、2−フルオロブトキシ、3−フルオロブトキシ、4−フルオロブトキシ、1,1−ジフルオロブトキシ、2,2−ジフルオロブトキシ、3,3−ジフルオロブトキシ、4,4−ジフルオロブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシなどでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルコキシ)を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がハロゲン原子、特にはフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルコキシ基である。
【0068】
−Cヒドロキシアルキルは、ヒドロキシメチル、1−または2−ヒドロキシエチルまたは1−、2−もしくは3−ヒドロキシプロピルでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルキル)、詳細には1から3個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルキル)を有し、1個の水素原子がヒドロキシ基によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0069】
−Cヒドロキシアルコキシは、2−ヒドロキシエトキシまたは3−ヒドロキシプロピルオキシでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルコキシ)、詳細には1から3個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルコキシ)を有し、1個の水素原子がヒドロキシ基によって置き換わっている直鎖または分岐のアルコキシ基である。
【0070】
−C−アルコキシ−C−C−アルキルは、メトキシメチル、2−メトキシエチル、エトキシメチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピルなどでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子、詳細には1から3個の炭素原子を有し、1個の水素原子がC−C−アルコキシ基によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0071】
−C−アルコキシ−C−C−アルコキシは、2−メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、3−エトキシプロポキシなどでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子、詳細には1から3個の炭素原子を有し、1個の水素原子がC−C−アルコキシ基によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0072】
−C−アルキルカルボニルは、アセチルおよびプロピオニルでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cアルキルカルボニル)、詳細には1から3個の炭素原子(=C−Cアルキルカルボニル)を有し、カルボニル基(CO)を介して分子の残りの部分に結合した直鎖または分岐のアルキル基である。
【0073】
フッ素化C−C−アルキルカルボニルは、トリフルオロアセチルおよび3,3,3−トリフルオロプロピオニルでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキルカルボニル)、詳細には1から3個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキルカルボニル)を有し、カルボニル基(CO)を介して分子の残りの部分に結合しており、残りの水素原子のうちの少なくとも1個、例えば1、2、3もしくは4個の水素がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0074】
−C−アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニルおよびイソプロピルオキシカルボニルでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cアルコキシカルボニル)、詳細には1から3個の炭素原子(=C−Cアルコキシカルボニル)を有し、カルボニル基(CO)を介して分子の残りの部分に結合した直鎖または分岐のアルコキシ基である。
【0075】
フッ素化C−C−アルコキシカルボニルは、フルオロメトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニルおよび2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルコキシカルボニル)、詳細には1から3個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルコキシカルボニル)を有し、カルボニル基(CO)を介して分子の残りの部分に結合しており、残りの水素原子のうちの少なくとも1個、例えば1、2、3もしくは4個の水素がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルコキシ基である。
【0076】
−C−アルキルカルボニルアミノは、アセトアミド(アセチルアミノ)(CHCONH−)およびプロピオンアミド(CHCHCONH−)でのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=C−Cアルキルカルボニルアミノ)、詳細には1から3個の炭素原子(=C−Cアルキルカルボニルアミノ)を有し、水素原子のうちの1個がカルボニルアミノ基(CO−NH−)によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0077】
フッ素化C−C−アルキルカルボニルアミノは、トリフルオロアセチルアミノおよび3,3,3−トリフルオロプロピオニルアミノでのように、1から6個、特には1から4個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキルカルボニルアミノ)、詳細には1から3個の炭素原子(=フッ素化C−Cアルキルカルボニルアミノ)を有し、水素原子のうちの1個がカルボニルアミノ基(CO−NH−)によって置き換わっており、残りの水素原子のうちの少なくとも1個、例えば1、2、3もしくは4個の水素がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキル基である。
【0078】
−Cアルキルチオ(C−C−アルキルスルファニルとも称される。)(またはそれぞれC−C−アルキルスルフィニルもしくはC−C−アルキルスルホニル)は、アルキル基におけるいずれかの結合で硫黄原子を介して(またはそれぞれ、アルキルスルフィニルの場合にはS(O)O、もしくはアルキルスルホニルの場合にはS(O)O)分子の残りの部分に結合した1から6個の炭素原子、例えば1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を指す。C−C−アルキルチオの例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオおよびn−ブチルチオなどがある。C−C−アルキルスルフィニルの例には、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニルおよびn−ブチルスルフィニルなどがある。C−C−アルキルスルホニルの例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニルおよびn−ブチルスルホニルなどがある。
【0079】
フッ素化C−Cアルキルチオ(フッ素化C−C−アルキルスルファニルとも称される。)は、1から6個、特には1から4個の炭素原子を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個または全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキルチオ基である。フッ素化C−Cアルキルスルフィニルは、1から6個、特には1から4個の炭素原子を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個または全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキルスルフィニル基である。フッ素化C−Cアルキルスルホニルは、1から6個、特には1から4個の炭素原子を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個または全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっている直鎖または分岐のアルキルスルホニル基である。
【0080】
−Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの3から6個のC原子を有する脂環式基である。シクロアルキル基は、置換されていないことができるか、1、2、3または4個のC−Cアルキル基、好ましくはメチル基を有することができる。1−メチルシクロプロピルまたは1−メチルシクロブチルでのように、1個のアルキル基が好ましくはシクロアルキル基の1位にある。同様に、C−Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよび1−メチルシクロプロピルなどの3から4個のC原子を有する脂環式基である。
【0081】
フッ素化C−Cシクロアルキルは、1−フルオロシクロプロピル、2−フルオロシクロプロピル、(S)−および(R)−2,2−ジフルオロシクロプロピル、1,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロプロピル、ペンタフルオロシクロプロピル、1−フルオロシクロブチル、2−フルオロシクロブチル、3−フルオロシクロブチル、2,2−ジフルオロシクロブチル、3,3−ジフルオロシクロブチル、1,2−ジフルオロシクロブチル、1,3−ジフルオロシクロブチル、2,3−ジフルオロシクロブチル、2,4−ジフルオロシクロブチルまたは1,2,2−トリフルオロシクロブチルでのように、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの3〜6個のC原子を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個または全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わった脂環式基である。
【0082】
−C−アルケニルは、2、3、4、5または6個のC原子を有する単一不飽和炭化水素基であり、例えばビニル、アリル(2−プロペン−1−イル)、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−2−イル、メタリル(2−メチルプロプ−2−エン−1−イル)などである。C−C−アルケニルは特には、アリル、1−メチルプロプ−2−エン−1−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、メタリル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、1−メチルブト−2−エン−1−イルまたは2−エチルプロプ−2−エン−1−イルである。
【0083】
フッ素化C−C−アルケニルは、1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、2,2−フルオロビニル、3,3,3−フルオロプロペニル、1,1−ジフルオロ−2−プロペニル、1−フルオロ−2−プロペニルなどでのように2、3、4、5または6個のC原子を有し、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個または全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっている単一不飽和炭化水素基である。
【0084】
−C−アルキニルは、C−C−三重結合および2、3、4、5または6個のC原子を有する炭化水素基であり、例えばエチニル、プロパルギル、(2−プロピン−1−イル)、1−プロピン−1−イル、2−ブチン−1−イル1−メチル−2−ブチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、2−ヘキシン−1−イルなどがある。
【0085】
−C−アルキレンは、メチレン、エチレン、1,2−および1,3−プロピレン、1,4−ブチレンなどのような、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する炭化水素架橋基である。
【0086】
5員もしくは6員のヘテロ芳香族基の例には、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、ピラジニル、3−または4−ピリダジニル、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、2−または3−ピロリル、2−、3−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、3−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−イミダゾリル、2−または5−[1,3,4]オキサジアゾリル、4−または5−[1,2,3]オキサジアゾリル、3−または5−[1,2,4]オキサジアゾリル、2−または5−[1,3,4]チアジアゾリル、2−または5−[1,3,4]チアジアゾリル、4−または5−[1,2,3]チアジアゾリル、3−または5−[1,2,4]チアジアゾリル1H−、2H−または3H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、2H−トリアゾール−3−イル、1H−、2H−または4H−1,2,4−トリアゾリルおよび1H−または2H−テトラゾリルなどがある。
【0087】
縮合飽和または不飽和5員、6員または7員炭素環の例には、シクロペンタノ、1,2−シクロペンテノ、2,3−シクロペンテノ、3,4シクロペンテノ、シクロヘキサノ、1,2−シクロヘキセノ、2,3−シクロヘキセノ、3,4−シクロヘキセノ、1,2−シクロヘキサ−1,3−ジエノ、2,3−シクロヘキサ−1,3−ジエノ、3,4−シクロヘキサ−1,3−ジエノ、4,5−シクロヘキサ−1,3−ジエノ、5,6−シクロヘキサ−1,3−ジエノ、1,2−シクロヘキサ−1,4−ジエノ、1,2−シクロヘキサ−1,4−ジエノ、シクロヘプタノ、1,2−シクロヘプテノ、2,3−シクロヘプテノ、3,4−シクロヘプテノ、1,2−シクロ−1,3−ヘプタジエノおよびベンゼノ(ベンゾ)などがある。
【0088】
縮合飽和または不飽和5員、6員または7員複素環(基Rとして)の例には、飽和または不飽和、芳香族または非芳香族の複素環などがある。従って例としては、チエノ、フラノ、ピロロ、ピラゾロ、イミダゾゾロ、1,2,3−トリアゾロ、オキサゾロ、チアゾロ、イソオキサゾロ、イソチアゾロ、ピリジノ、ピリミジノ、ピリダジノなどの縮合5員もしくは6員のヘテロ芳香族基ならびにジおよびテトラヒドロフラノ、ピロリノ、ピロリジノ、オキソピロリジノ、ピラゾリノ、ピラゾリジノ、イミダゾリノ、イミダゾリジノ、オキサゾリノ、オキサゾリジノ、2−オキソ−オキサゾリジノ、イソオキサゾリノ、イソオキサゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、オキサノ、1,4−ジオキサノなどの5員、6員または7員飽和またはモノ不飽和複素環などがある。
【0089】
およびRがNと一体となって、4員、5員、6員または7員環を形成している場合、この種の基の例には、上記で定義のものを別として、少なくとも1個のN原子を環員として含む5員もしくは6員のヘテロ芳香族基、アゼチジン−1−イル、アゼチン−1−イル、ピロリン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピラゾリン−1−イル、ピラゾリジン−1−イル、イミダゾリン−1−イル、イミダゾリジン−1−イル、オキサゾリン−1−イル、オキサゾリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イルなどがある。
【0090】
式Iにおいて、そして式1A、1Bおよび1Cにおいても、可変要素A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは互いに独立に、そして好ましくはこれら可変要素のあらゆる組み合わせにおいて、
好ましくは下記の意味のいずれかを有し、すなわち
AがNHであり;
が各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびNRからなる群から選択され、特にはハロゲン、C−C−アルキルおよびフッ素化C−C−アルキルから選択され、特別にはハロゲン、メチルおよびトリフルオロメチルから選択され;
が各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、ハロゲン化(特別にはフッ素化)C−C−アルキルおよびNRからなる群から選択され、特にはハロゲンであり;
がハロゲンであり;
mが0または1であり;
nが0または1であり;
oが0または1であり;
が水素であり;
がNであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはC−Rであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がNであり;
がCHまたはC−R、特にはCHであり;
がCHまたはC−R、特にはCHである。
【0091】
存在する場合、RおよびRが、互いに独立に水素またはC−C−アルキルから選択されるか、あるいはNRがピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびピロリジン−1−イルから選択される飽和5員もしくは6員複素環を形成している。
【0092】
本発明は特には、下記の実施形態1A、1Bおよび1Cの化合物に関するものであり、すなわち下記式1A、1Bおよび1Cの化合物ならびにそれの立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩に関するものであり、式中においてA、R、R、R、R、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、本明細書または請求項1から15のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、mは0または1であり、nは0または1であり、oは0または1である。
【0093】
好ましい実施形態1A(式(I)の二環式環での記号「A」および「B」、そして単環式環での記号「C」は、番号付けシステムの一部に過ぎず、独立に化学的な意味を表すものではない。)。
【0094】
【化17】

【0095】
実施形態1Aにおいて、Aは好ましくはNHである。
【0096】
好ましい実施形態1B(式(I)の単環式環での記号「C」は、番号付けシステムの一部に過ぎず、独立に化学的な意味を表すものではない。)。
【0097】
【化18】

【0098】
好ましい実施形態1C(式(I)の単環式環での記号「C」は、番号付けシステムの一部に過ぎず、独立に化学的な意味を表すものではない。)。
【0099】
【化19】

【0100】
本発明の化合物の特に好ましい例には、
1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−(7−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−(8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−4−イル−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−(6−ブロモ−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素;
1−ピリジン−3−イル−3−キノリン−4−イル−尿素;
1−ピリジン−3−イル−3−(7−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−メチル−1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素;
1−イソキノリン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−8−イル−尿素;
1−イソキノリン−8−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素;
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−5−イル−尿素;
1−イソキノリン−5−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素;
1−イソキノリン−4−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
およびこれらの生理的に耐容される酸付加塩などがある。
【0101】
本発明の化合物の特に好ましい例には、
1−ピラジン−2−イル−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−アクリジン−9−イル)−尿素;
1−ナフタレン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素;
ピラジン−2−カルボン酸キノリン−4−イルアミド;
ピラジン−2−カルボン酸(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミド;
ピラジン−2−カルボン酸イソキノリン−1−イルアミド;および
これらの生理的に耐容される酸付加塩などがある。
【0102】
本発明の化合物の特に好ましい例には、
1−(ピラジン−2−イル)−3−(ピリジン−4−イル)尿素;
1−(キノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(7−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(7−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(ピリジン−2−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素;
1−(8−メチルキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(8−クロロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(6−モルホリノピリジン−2−イル)−3−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素;
1−(8−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(3−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(8−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素;
1−(5−クロロ−1H−1,2,3−チアゾール−4−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素;および
これらの生理的に耐容される酸付加塩もある。
【0103】
本発明の化合物は、当業者であれば熟知している通常の技術と同様にして製造することができる。特に、式Iの化合物は、下記の図式に従って製造することができ、図式中においてR、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、YおよびYは上記で定義の通りである。
【0104】
【化20】

【0105】
アミン1を、アシルアジド2(有機化学の標準法に従って相当するアシルハライドの金属アジド塩との反応によって製造)との反応によってアシル化して、一般式3のジ置換尿素を得ることができる。その反応は、トルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒の存在下に実施する。その反応は通常、20から120℃の温度で実施される。この変換(クルチウス転移と称される。)を説明するための他の条件が、論文に記載されている(Journal of Organic Chemistry, 1986, 51, 3007 & 5123;Journal of Organic Chemistry, 1987, 52, 4875;Tetrahedron Letters, 1984, 25, 3515;およびOrganic Reactions, 1947, 3, 337)。
【0106】
一般式1のジ置換尿素化合物は、図式2に示した経路に従って製造することもできる。
【0107】
【化21】

【0108】
アミン1をイソシアネートとの反応によってアシル化して、一般式3のジ置換尿素を得ることができる。その反応は、トルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒の存在下に行う。その反応は通常、20から120℃の温度で実施する。
【0109】
一般式1のジ置換尿素化合物は、図式3に示した経路に従って製造することもできる。
【0110】
【化22】

【0111】
アミン1を、トリクロロアセチルクロライドとの反応によってトリクロロアセトアミド5に変換することができる。その反応は、トルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒の存在下に実施する。その反応は通常、20から120℃の温度で実施する。トリクロロアセトアミド5をアミン6と反応させて、一般式3のジ置換尿素を得ることができる。
【0112】
一般式8のアミド類縁体は、図式4に示した経路に従って製造することもできる。
【0113】
【化23】

【0114】
当業者であれば熟知している標準的なアミド形成条件を用いて、アミン6を反応させることで、カルボン酸7をアミド8に変換することができる。その反応は、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドまたはTHFなどの好適な溶媒の存在下に行う。その反応は通常、20から120℃の温度で行う。HOBTまたはカルボニルジイミダゾールなどのカップリング試薬を用いる。
【0115】
別段の断りがない限り、上記の反応は通常、室温から使用される溶媒の沸点の間の温度で溶媒中で行う。あるいは、その反応に必要な活性化エネルギーを、マイクロ波を用いて反応混合物に導入することができ、そのマイクロ波の何らかが特に遷移金属が触媒する反応の場合に有用であることがわかっている(マイクロ波を用いる反応に関しては、Tetrahedron 2001, 57, p. 9199 ff. p. 9225 ff.および一般には″Microwaves in Organic Synthesis″, Andre Loupy (Ed.), Wiley-VCH 2002を参照する。)。
【0116】
化合物Iの酸付加塩は一般的な方法で、適切な場合には例えばメタノール、エタノールまたはプロパノールなどの低級アルコール、メチルtert−ブチルエーテルまたはジイソプロピルエーテルなどのエーテル、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステルのような有機溶媒中の溶液で、遊離塩基を相当する酸と混合することで製造される。
【0117】
本発明による式Iの化合物(同様に、式1a、1bおよび1c)ならびにそれの立体異性体、プロドラッグおよび生理的に耐容される酸付加塩は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βに対する活性を調節する能力を有する。特には、式Iの化合物(同様に、式1a、1bおよび1cの化合物)ならびにそれの立体異性体、プロドラッグおよび生理的に耐容される酸付加塩は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βに対する阻害薬活性を有する。式Iの化合物の中では、低濃度で効果的阻害を行うものが好ましい。特には、IC50<1μmolのレベル、より好ましくはIC50<0.5μmolのレベル、特に好ましくはIC50<0.2μmolのレベル、最も好ましくはIC50<0.1μmolのレベルでグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βを阻害する式Iの化合物が好ましい。
【0118】
従って、本発明による式Iの化合物、それのプロドラッグおよびそれの生理的に耐容される酸付加塩は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性である医学的障害の治療において有用である。上記のように、異常GSK−3β活性によって引き起こされることから、式Iの化合物および/またはそれの酸付加塩を供給することで治療可能な疾患には、特にはアルツハイマー病などの神経変性疾患などがある。さらに本発明の化合物は、パーキンソン病、タウオパシー(例:前側頭頭頂性認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上麻痺)および血管性認知症などの他の認知症;急性脳梗塞および他の外傷;脳血管障害(例:加齢に伴う黄斑変性);脳および脊髄の外傷;末梢神経障害;網膜症および緑内障などの他の神経変性疾患の治療においても有用である。
【0119】
本発明の意味の範囲内で、治療には、特には再発予防または相予防としての防止的処置(予防)、ならびに急性もしくは慢性の徴候、症状および/または機能不良の治療も含まれる。治療は、例えば症状の抑制として、対症的なものであることができる。それは短期間で行うことができたり、中期的に行うことができたり、あるいは例えば維持療法の文脈でのように長期的治療であることができる。
【0120】
治療の文脈において、式Iの化合物の本発明による使用には方法が関与する。この方法では、一般に医療上の実務および獣医的実務に従って製剤された有効量の1以上の化合物を、処置を受ける個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒト、繁殖動物または家畜に投与する。そのような処置が適応であるか、そしてどの形態でそれを行うべきかは、個別の症例によって決まるものであって、存在する徴候、症状および/または機能不良、特定の徴候、症状および/または機能不良を生じる危険性ならびに他の要素を考慮した医学的評価(診断)に従うものである。
【0121】
一般的に治療は、単回投与または反復での連日投与によって行い、適切な場合には、他の活性化合物または活性化合物含有製剤と一緒にまたは交互に投与することで、経口投与の場合には好ましくは約0.1から1000mg/kgまたは非経口投与の場合には約0.1から100mg/kgの1日用量を処置を受ける個体に与えるようにする。
【0122】
本発明はまた、個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒト、繁殖動物または家畜を治療するための医薬組成物の製造に関するものである。そこでリガンドを、通常は少なくとも一つの本発明による化合物および適切な場合には他の活性化合物とともに製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与する。これらの組成物は、例えば経口投与、直腸投与、経皮投与、皮下投与、静脈投与、筋肉投与または経鼻投与することができる。
【0123】
好適な医薬製剤の例には、粉剤、粒剤、錠剤(特にはフィルム錠)、ロゼンジ剤、小袋剤、カシェ剤、糖衣錠、カプセル(例:硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル)、坐剤もしくは膣医薬製剤などの固体医薬製剤;軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペーストまたは硬膏剤などの半固体医薬製剤;ならびに液剤、乳濁液(特には水中油乳濁液)、懸濁液(例えばローション)、注射製剤および注入製剤および点眼液および点耳液などの液体医薬製剤がある。埋込放出機器も、本発明による阻害薬を投与する上で使用可能である。さらに、リポソームまたはミクロスフィアを用いることも可能である。
【0124】
組成物を製造する場合、本発明による化合物を、適宜に1以上の賦形剤と混合するか、それで希釈する。賦形剤は、活性化合物用の媒体、担体または媒質として働く固体、半固体または液体材料であることができる。
【0125】
好適な賦形剤は、専門家による医薬モノグラフに挙げられている。さらに製剤は、流動促進剤;湿展剤;乳化剤および懸濁剤;保存剤;酸化防止剤;抗刺激剤;キレート剤;コーティング補助剤;乳濁液安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;臭気マスク剤;矯味薬;樹脂;親水コロイド;溶媒;可溶化剤;中和剤;拡散促進剤;顔料;4級アンモニウム化合物;再脂肪化(refatting)剤および過脂肪化(overfatting)剤;軟膏、クリームまたはオイル用の原料;シリコーン誘導体;展着補助剤;安定剤;滅菌剤;坐剤基剤;結合剤、充填剤、流動促進剤、崩壊剤またはコーティング剤などの錠剤補助剤;推進剤;乾燥剤;乳白剤;増粘剤;ロウ剤;可塑剤;および白色鉱油などの製薬上許容される担体または一般的な補助物質を含むことができる。この点において製剤は、文献(例えば、Fiedler, HP., Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Encyclopedia of auxiliary substances for pharmacy, cosmetics and related fields], 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996)に記載の専門家の知識に基づいたものである。
【0126】
下記の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。それらの化合物の特性決定は、400MHzまたは500MHz NMR装置(Bruker AVANCE)でのd−ジメチルスルホキシドまたはd−クロロホルム中のプロトンNMRによって、または通常はC18材料に関する急勾配でのHPLC−MSによって記録される質量分析(エレクトロスプレーイオン化(ESI)モード)によって、または融点のいずれかによって行った。
【0127】
磁気核共鳴スペクトル特性(NMR)は、百万分率(ppm)で表した化学シフト(δ)を指す。H−NMRスペクトラムでのシフトの相対面積は、分子中の特定の官能型における水素原子数に相当する。多重度についてのシフトの性質は、一重線(s)、広い一重線(sbr)、二重線(d)、広い二重線(dbr)、三重線(t)、広い三重線(tbr)、四重線(q)、五重線(quint)および多重線(m)として示される。
【実施例】
【0128】
製造実施例1、2、5、6、7、8、9、10、12、14、15、17、19、20、21、22、23、および24から40
実施例1:1−ピラジン−2−イル−3−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素
4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン300mg(1.41mmol)およびピラジン−2−カルボニルアジド235mg(1.56mmol)のトルエン(20mL)中溶液を、80℃で18時間攪拌した。その溶液を放冷して室温とし、さらに16時間攪拌した。得られた固体沈殿を濾過によって回収し、トルエンで洗浄し、真空乾燥機で40℃にて乾燥した。白色固体。量:320mg。収率:67.9%。H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.90(m、2H)、8.14(d、1H)、8.33(m、2H)、8.47(s、1H)、8.72(s、1H)、9.13(m、2H)、10.26(brs、1H);MS(APCI+)m/z334.0(M+H、100%)。
【0129】
実施例2:1−(6−ブロモ−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:415mg。収率:89.7%。
【0130】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.92(q、2H)、8.30(d、1H)、8.37(m、2H)、8.47(s、1H)、8.71(d、1H)、9.19(s、1H)、10.09(brs、2H);MS(APCI+)m/z344.0、346.0(M+H、100%)。
【0131】
実施例5:1−ピラジン−2−イル−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−アクリジン−9−イル)−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:92mg。収率:45.1%。H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ1.81(m、2H)、1.90(m、2H)、2.86(t、2H)、3.05(m、2H)、7.50(t、1H)、7.65(t、1H)、7.90(t、2H)、8.92(s、1H)、9.19(s、2H)、10.26(brs、2H);MS(APCI+)m/z320.0(M+H、100%)。
【0132】
実施例6:1−イソキノリン−4−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:242mg。収率:87.7%。
【0133】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.50(t、1H)、7.65(t、1H)、8.14(dd、2H)、8.30(s、1H)、8.40(s、1H)、9.04(s、1H)、9.08(s、1H)、9.11(s、1H)、10.09(brs、2H);MS(APCI+)m/z266.0(M+H、100%)。
【0134】
実施例7:1−ナフタレン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:781mg。収率:84.6%。
【0135】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.48−7.67(m、3H)、7.69(d、1H)、7.96(d、1H)、8.12(dd、2H)、8.30(s、1H)、8.39(s、1H)、9.02(s、1H)、10.00(s、1H)、10.08(brs、1H);MS(APCI+)m/z265.1(M+H、100%)。
【0136】
実施例8:1−ピラジン−2−イル−3−(8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:141mg。収率:44.8%。
【0137】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)回転異性体δ7.83(t、1H)、8.22(d、1H)、8.30−8.55(m、3H)、8.51(d、1H)、8.90(d、1H)、9.11(s、1H)、9.14(s、1H)、10.24(brs、2H);MS(APCI+)m/z334.1(M+H、100%)。
【0138】
実施例9:1−ピラジン−2−イル−3−(7−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:660mg。収率:84.1%。H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ8.02(d、1H)、8.34(d、2H)、8.38−8.49(m、3H)、8.90(d、1H)、9.09(s、1H)、10.24(s、1H)、10.57(brs、1H);MS(APCI+)m/z334.0(M+H、100%)。
【0139】
実施例10:1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−4−イル−尿素
実施例10は、実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:386mg。収率:69.9%。
【0140】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.72(t、1H)、7.80(t、1H)、8.00(d、1H)、8.21(d、3H)、8.27(d、1H)、8.34(s、1H)、8.45(s、1H)、8.78(d、1H)、9.08(s、1H)、10.24(s、1H)、10.44(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.1(M+H、100%)。
【0141】
実施例12:1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例12は、実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:708mg。収率:81.8%。
【0142】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ2.62(s、3H)、7.52(m、1H)、7.74(m、1H)、7.88(d、1H)、8.15(m、3H)、8.32(s、2H)、8.42(d、1H)、9.09(s、1H)、10.24(s、1H)、10.39(brs、1H);MS(APCI+)m/z280.1(M+H、100%)。
【0143】
実施例14:1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:657mg。収率:83.7%。
【0144】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)58.03(d、1H)、8.19(d、1H)、8.38(m、3H)、8.67(s、1H)、8.91(d、1H)、9.17(s、1H)、10.28(brs、1H);MS(APCI+)m/z334.0(M+H、100%)。
【0145】
実施例15:1−イソキノリン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例15は、実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:676mg。収率:73.5%。(159mgアミド)H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ2.62(s、3H)、7.52(m、1H)、7.74(m、1H)、7.88(d、1H)、8.15(m、3H)、8.32(s、2H)、8.42(d、1H)、9.09(s、1H)、10.24(s、1H)、10.39(brs、1H);MS(APCI+)m/z280.1(M+H、100%)。
【0146】
実施例17:1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−8−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:828mg。収率:90.0%。
【0147】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.61(m、3H)、8.28(s、1H)、8.38(s、1H)、8.40(s、1H)、8.61(d、1H)、8.97(m、1H)、9.06(s、1H)、10.45(s、1H)、11.18(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.1(M+H、100%)。
【0148】
実施例19:1−イソキノリン−8−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:815mg。収率:88.6%。
【0149】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.72(m、2H)、7.86(d、1H)、8.20(d、1H)、8.30(s、1H)、8.57(d、1H)、9.09(s、1H)、9.56(s、1H)、10.00(brs、1H)、10.24(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0150】
実施例20:1−イソキノリン−5−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:470mg。収率:85.1%。
【0151】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.69(t、1H)、7.88(d、1H)、7.98(d、1H)、8.30(s、1H)、8.37(d、1H)、8.41(s、1H)、8.63(d、1H)、9.05(s、1H)、9.34(s、1H)、10.60(brs、1H)、10.17(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0152】
実施例21:1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−5−イル−尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:510mg。収率:92.4%。
【0153】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.63(m、1H)、7.78(m、2H)、8.13(d、1H)、8.30(d、1H)、8.40(s、1H)、8.54(d、1H)、8.94(s、1H)、9.06(s、1H)、9.98(brs、1H)、10.12(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0154】
実施例22:1−メチル−1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素
1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素(実施例14)145mg(0.44mmol)および水素化ナトリウム16mg(0.65mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)中溶液を、0℃で10分間攪拌した。ヨウ化メチル(93mg、0.65mmol)を加え、溶液を室温とし、さらに16時間攪拌した。溶液を減圧下に濃縮し、ジクロロメタンと水との間で分配した。有機層を水で3回洗浄し、減圧下に濃縮し、取得物をクロマトグラフィーによって精製した。白色固体。量:32mg。収率:21.2%。
【0155】
H−NMR(CDCI、400MHz)δ3.67(s、3H)、7.60(s、1H)、7.91(d、1H)、8.17(d、2H)、8.47(m、4H)、8.73(s、1H)、8.84(d、1H);MS(APCI+)m/z338.0(M+H、100%)。
【0156】
実施例23:N−ピラジン−2−イル−2−キノリン−4−イル−アセトアミド
キノリン−4−イル−酢酸塩酸塩200mg(0.89mmol)およびN,N−カルボニルジイミダゾール145mg(0.89mmol)の溶液を、室温で2時間にわたりジメチルホルムアミド3mL中で攪拌した。2−アミノピラジン(63mg、0.66mmol)のピリジン(2mL)中溶液を10分間かけて滴下し、80℃でさらに9時間攪拌した。溶液を放冷し、減圧下に濃縮し、ジクロロメタンと水との間で分配した。有機層を水で3回洗浄し、減圧下に濃縮し、取得物をクロマトグラフィーによって精製した。白色固体。量:108mg。収率:62%。
【0157】
MS(APCI+)m/z265.1(M+H、100%)。
【0158】
実施例24:1−(ピラジン−2−イル)−3−(ピリジン−4−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:573mg。収率:84%。
【0159】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.98(m、1H)、8.23(m、1H)、8.42(m、4H)、9.13(s、1H)、10.18(s、1H)、10.26(brs、1H)、10.52(brs、1H);MS(APCI+)m/z267.1(M+H、100%)。
【0160】
実施例25:1−(キノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:210mg。収率:57%。
【0161】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.63(m、1H)、7.78(m、2H)、8.13(d、1H)、8.30(d、1H)、8.40(s、1H)、8.54(d、1H)、8.94(s、1H)、9.06(s、1H)、9.98(brs、1H)、10.12(brs、1H);
MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0162】
実施例26:1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:310mg。収率:92%。
【0163】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.67(m、2H)、8.02(d、1H)、8.34(m、2H)、8.48(s、1H)、8.82(d、1H)、9.07(s、1H)、9.12(s、1H)、10.26(brs、1H)、10.49(brs、1H);MS(APCI+)m/z284.0(M+H、100%)。
【0164】
実施例27:1−(7−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。黄色固体。量:112mg。収率:77%。
【0165】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.88(s、2H)、8.27(d、1H)、8.36(s、1H)、8.45(s、1H)、8.76(d、1H)、9.09(s、1H)、10.19(brs、1H)、10.42(brs、1H);MS(APCI+)m/z392.0(M+H、100%)。
【0166】
実施例28:1−(7−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。黄色固体。量:125mg。収率:81%。
【0167】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.18(m、1H)、7.22(m、1H)、7.63(t、1H)、8.22(d、1H)、8.27(d、1H)、8.36(s、1H)、8.46(s、1H)、8.78(d、1H)、9.09(s、1H)、10.19(brs、1H)、10.42(brs、1H);
MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0168】
実施例29:1−(ピリジン−2−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素
ピリジン−2−カルボニルアジドを用いて実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:30mg。収率:10%。
【0169】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.16(t、1H)、7.48(m、1H)、7.86(t、1H)、8.08(d、1H)、8.32(s、1H)、8.44(m、2H)、8.50(d、1H)、8.90(d、1H)、10.18(brs、1H);
MS(APCI+)m/z333.1(M+H、100%)。
【0170】
実施例30(比較例):1−フェニル−3−(キノリン−4−イル)尿素
フェニルイソシアネートを用いて実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:345mg。収率:76%。
【0171】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.05(t、1H)、7.38(m、2H)、7.66(m、1H)、7.75(m、1H)、7.98(d、1H)、8.20(d、1H)、8.72(d、1H)、9.25(brs、2H);MS(APCI+)m/z265.0(M+H、100%)。
【0172】
実施例31:1−(8−メチルキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:202mg。収率:76%。
【0173】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)57.60(t、1H)、7.66(m、1H)、8.07(d、1H)、8.28(d、1H)、8.34(s、1H)、8.43(s、1H)、8.78(d、1H)、9.08(s、1H)、10.30(brs、2H);
MS(APCI+)m/z280.0(M+H、100%)。
【0174】
実施例32:1−(8−クロロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:200mg。収率:79%。
【0175】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.70(t、2H)、8.00(d、1H)、8.20(d、1H)、8.34(m、2H)、8.46(s、1H)、8.88(d、1H)、9.07(s、1H)、10.22(brs、1H)、10.50(brs、1H);
MS(APCI+)m/z300.0(M+H、100%)。
【0176】
実施例33:1−(6−モルホリノピリジン−2−イル)−3−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素
4−(6−イソシアナトピリジン−2−イル)モルホリンを用いて実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:97mg。収率:20%。
【0177】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ3.72(s、4H)、3.48(s、4H)、6.50(d、1H)、7.20(d、1H)、7.62(t、1H)、7.70(t、1H)、8.20(d、1H)、8.37(d、1H)、8.55(d、1H)、8.87(d、1H)、9.62(s、1H)、10.13(brs、1H);
MS(APCI+)m/z418.1(M+H、100%)。
【0178】
実施例34:1−(8−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。黄色固体。量:1.25g。収率:43%。
【0179】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.46(t、2H)、8.24(d、1H)、8.34(m、2H)、8.42(m、2H)、8.83(d、1H)、9.10(s、1H)、10.30(brs、2H);
MS(APCI+)m/z391.9(M+H、100%)。
【0180】
実施例35:1−(3−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
1−(ピラジン−2−イル)−3−(キノリン−4−イル)尿素(220mg、0.754mmol)をアセトニトリル(3mL)に溶かし、N−ブロモコハク酸アミド(201mg、1.13mmol)を加えた。得られた溶液を80℃でマイクロ波照射下に35分間加熱した。次に、冷却した溶液をNaHCO溶液とジクロロメタンとの間で分配した。有機層を分離し、脱水し(MgSO)、濾過し、濃縮して、生成物を得た。黄色固体。量:204mg。収率:79%。
【0181】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.68(t、1H)、7.81(t、1H)、8.05(m、2H)、8.27(s、1H)、8.33(s、1H)、9.01(m、2H)、10.00(brs、2H);MS(APCI+)m/z344.0、346.0(M+H、100%)。
【0182】
実施例36:1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:201mg。収率:80%。H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.80(m、2H)、8.36(m、4H)、8.80(d、1H)、9.16(s、1H)、9.98(s、1H)、10.10(brs、1H);
MS(APCI+)m/z302.0(M+H、100%)。
【0183】
実施例37:1−(8−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。黄色固体.量:145mg。収率:94%。
【0184】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.18(m、1H)、7.22(m、1H)、7.63(t、1H)、8.22(d、1H)、8.27(d、1H)、8.35(m、2H)、8.46(s、1H)、8.88(d、1H)、9.09(s、1H)、10.2−10.5(brd、2H);
MS(APCI+)m/z266.2(M+H、100%)。
【0185】
実施例38:1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。黄色固体。量:320mg。収率:87%。
【0186】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.88(m、1H)、8.43(d、1H)、8.42(s、1H)、8.50(d、1H)、8.84(d、1H)、9.11(m、1H)、10.32(s、1H)、10.65(s、1H)、11.40(brs、1H);MS(APCI+)m/z266.3(M+H、100%)。
【0187】
実施例39:1−(5−クロロ−1H−1,2,3−チアゾール−4−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素
4−クロロ−1H−1,2,3−トリアゾール−5−カルボニルアジドおよび7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−アミンを用い、実施例1について記載の方法によって製造した。MS(APCI+)m/z357.1(M+H、100%)。
【0188】
実施例40(比較例):1−(ピラジン−2−イル)−3−(キノリン−3−イル)尿素
実施例1について記載の方法によって製造した。白色固体。量:392mg。収率:85%。
【0189】
H−NMR(DMSO−d、400MHz)δ7.60(m、2H)、7.93(m、2H)、8.30(s、1H)、8.36(s、1H)、8.60(s、1H)、8.87(s、1H)、9.08(s、1H)、9.77(brs、1H)、10.08(brs、1H);
MS(APCI+)m/z266.1(M+H、100%)。
【0190】
生物試験
本発明による化合物は、GSK−3に対して非常に良好なアフィニティを示し(<1μM、非常に多くの場合<100nM)、複数のキナーゼ標的に対して良好な選択性を示した。
【0191】
方法−生化学的hGSK−3βアッセイ
化合物について、ヒトグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β(hGSK−3β)を阻害してビオチン−YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQ(pS)EDEEEをリン酸化する能力を調べた。化合物を、0.5μCiの33P−ATP、10μM ATP、0.0125U hGSK−3β(Upstate cell signaling solutions)および1μM基質(ビオチン−YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQ(pS)EDEEE)とともに、50mM HEPES、10mM MgCl、100mM NaVO、1mM DTT、0.0075%Triton、2%DMSO中にて(総容量50μL)、室温で30分間温置した。等容量の100mM EDTA、4M NaClを加えることで温置を停止した。この混合物80μLを、ストレプトアビジンをコーティングしたフラッシュプレート(Flashplate、Perkin Elmer)に加えた。洗浄段階後、33Pの取り込みを、マイクロベータ(MicroBeta)マイクロプレート液体シンチレーションカウンタ(Perkin Elmer)で定量した。グラフパッド・プリズム(GrahPad Prism)で異なる濃度で得られたカウントにS字形用量−応答曲線を適合させることでIC50値を求めた。
【0192】
方法−β−カテニンレポーター遺伝子アッセイ
化合物について、LEF/TCF(T細胞因子)レポーター遺伝子アッセイでのβ−カテニン調節遺伝子転写を調節する能力を調べた。SY−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞を、チミジンキナーゼ最小プロモーターおよびホタルルシフェラーゼ読み取り枠の上流のTCF結合部位の3つのコピー2組を含む80ng/ウェルのTOPFLASHプラスミド(Upstate cell signaling solutions)またはチミジンキナーゼ最小プロモーターおよびホタルルシフェラーゼ読み取り枠の上流の突然変異TCF結合部位の3つのコピーを含む80ng/ウェルのFOPFLASHプラスミド(Upstate cell signaling solutions)で一時的にトランスフェクションした。さらに、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼプロモーターを含む20ng/ウェルのpRL−TKプラスミド(Promega)で全ての細胞を一時的にトランスフェクションすることで、低ないし中等度のレニラルシフェラーゼ発現のレベルを得た。トランスフェクション培地を、被験物質を含む血清を含まない培地に交換し、37℃で24時間温置した。温置を停止し、指示に従ってデュアル・グロ(DualGlo)ルシフェラーゼアッセイ(Promega)を用いて定量し、フェラスター(Pherastar)リーダー(BMG)で定量した。
【0193】
ホタルルシフェラーゼ活性を、ウェル当たりレニラルシフェラーゼ活性について正規化した。その後、正規化したTOPFLASH応答を、正規化したFOPFLASH応答と比較することで、LEF/TCF特異的シグナルを得た。最大応答は、正規化されたTOPFLASHシグナルとFOPFLASHシグナルの間の比の最大値である。グラフパッド・プリズムを用いて、S字形用量−応答曲線を適合させた。
【0194】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化24】

[式中、
Aは、CH、NH、N−C−C−アルキル、N−ハロゲン化(好ましくはフッ素化)−C−C−アルキルおよびCRからなる群から選択され、RおよびRは互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、好ましくはRおよびR互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、
ただし、RおよびRのうちの少なくとも一方がメチルまたはハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルであり、より好ましくはRおよびRが互いに独立にメチルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルからなる群から選択され;
およびXは互いに独立に、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
は、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
、X、XおよびXは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択され、
ただしX、X、X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも一つがNであり;
、Y、YおよびYは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択されて、6員環Cとなっており;または、Y、Y、YおよびYのうちの一つが、その隣接する2個の原子との間の架橋結合の一部であることで5員環Cとなっており;または、Y=Y=Cであることで、YおよびYは5員もしくは6員の環Cと一体となって、環員としてYおよびYを含み、環員としてC原子を含む、あるいはC原子環員に代わって、互いに独立にN、OおよびSからなる群から選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子環員を含むことができる5員もしくは6環員を有する縮合環を形成することができ、縮合環系は互いに独立に下記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていても良く;
nは基Rの数であり、ならびに0、1、2、3または4から選択され;
mは基Rの数であり、ならびに0、1または2から選択され;
oは基Rの数であり、ならびに0、1、2、3または4から選択され;
、Rは互いに独立におよび各場合で独立に、NH、NH−C−C−アルキル、NR、OH、=O、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルケニル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−シクロアルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキル−NRおよび芳香族基Ar(フェニルおよび環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のN結合もしくはC結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、Arは置換されていないか、1個もしくは2個の基R1aを有し;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NRからなる群から選択され;またはm=2または3の場合、XおよびXにおけるRのうちの2個が一体となって、環員としてN、OおよびSからなる群から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含んでいても良く、ならびに互いに独立に上記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていることができる縮合5員もしくは6員脂環式環を形成していることができ;
1aは互いに独立におよび各場合で独立に、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−シクロアルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルコキシ、NR、1−アジリジニル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびホモピペリジン−1−イル、フェニル基または環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む芳香族5員もしくは6員C結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択され、フェニルおよびヘテロ芳香族基は互いに独立に、置換されていないかハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルコキシから選択される1、2、3もしくは4個の基で置換されており;
、Rは独立に、H、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択されるか、またはそれらが結合している窒素原子とともに、環員としてO、SおよびNからなる群から選択される1個の別のヘテロ原子を有していても良い、4、5、6または7員飽和もしくは不飽和N−複素環を形成していても良く;
は、H、C−C−アルキル、およびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。]。
【請求項2】
下記一般式(I)の複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化25】

[式中、
Aは、CH、NH、N−C−C−アルキル、N−ハロゲン化(好ましくはフッ素化)−C−C−アルキルおよびCRからなる群から選択され、RおよびRは互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、好ましくはRおよびR互いに独立にH、C−C−アルキル、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキル、NHおよびOHからなる群から選択され、ただし、RおよびRのうちの少なくとも一方がメチルまたはハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルであり、より好ましくはRおよびRが互いに独立にメチルおよびハロゲン化(好ましくはフッ素化)メチルからなる群から選択され;
はNであり;
は、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
は、CHおよびCRからなる群から選択され;
、X、XおよびXは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択され;
、Y、YおよびYは互いに独立に、C、CH、CRおよびNからなる群から選択されて、6員環Cとなっており;または、Y、Y、YおよびYのうちの一つが、その隣接する2個の原子との間の架橋結合の一部であることで5員環Cとなっており;または、Y=Y=Cであることで、YおよびYは5員もしくは6員の環Cと一体となって、環員としてYおよびYを含み、環員としてC原子またはC原子環員に代わって互いに独立にN、OおよびSからなる群から選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子環員を含む5員もしくは6環員を有する縮合環を形成することができ、縮合環系は互いに独立に下記で定義の意味を有する1、2もしくは3個の基Rで置換されていても良く;
但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも一つがNであり;
nは基Rの数であり、ならびに0、1、2、3または4から選択され;
mは基Rの数であり、ならびに0、1または2から選択され;
oは基Rの数であり、ならびに0、1、2、3または4から選択され;
、Rは互いに独立におよび各場合で独立に、NH、NH−C−C−アルキル、NR、OH、=O、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルケニル、フッ素化C−C−アルキル、フッ素化C−C−シクロアルキル、フッ素化C−C−アルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキル−NRおよび芳香族基Ar(フェニルおよび環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のN結合もしくはC結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、Arは置換されていないか、1個もしくは2個の基R1aを有し;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキル、NRからなる群から選択され;
1aは互いに独立におよび各場合で独立に、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、フッ素化C−C−アルキル、フッ素化C−C−シクロアルキル、フッ素化C−C−アルコキシ、NR、1−アジリジニル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびホモピペリジン−1−イル、フェニル基または環員として1個の窒素原子および環員として独立にO、SおよびNから選択される0、1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を含む芳香族5員もしくは6員C結合ヘテロ芳香族基からなる群から選択され、フェニルおよび前記ヘテロ芳香族基は互いに独立に、置換されていないかハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびフッ素化C−C−アルコキシから選択される1、2、3もしくは4個の基で置換されており;
、Rは独立に、H、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択されるか、またはそれらが結合している窒素原子とともに、環員としてO、SおよびNからなる群から選択される1個の別のヘテロ原子を有していても良い、4、5、6または7員飽和もしくは不飽和N−複素環を形成していても良く;
は、H、C−C−アルキル、およびハロゲン化(好ましくはフッ素化)C−C−アルキルからなる群から選択される。]。
【請求項3】
部分Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも一つがNである請求項1または2に記載の一般式Iの複素環化合物。
【請求項4】
部分Y、Y、YおよびYのうちの少なくともYがNである請求項3に記載の一般式Iの複素環化合物。
【請求項5】
がNであり、部分Y、YおよびYがCHまたはCRである請求項4に記載の一般式Iの複素環化合物。
【請求項6】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化26】

[式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、Y、Y、Y、およびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から5のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、XはCHである。]。
【請求項7】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化27】

[式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、およびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から6のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、YはNである。]。
【請求項8】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化28】

[式中、A、R、R、R、m、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から7のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、nは0、1、2、3または4であり、ならびにRが存在する場合はハロゲンである。]。
【請求項9】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化29】

[式中、A、R、R、R、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から8のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
mは0または1であり;
はハロゲンである。]。
【請求項10】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化30】

[式中、A、R、R、R、m、n、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から9のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
oは1であり;
は、H、ハロゲン、C−C−アルキルおよびハロゲン化C−C−アルキルからなる群から選択される。]。
【請求項11】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化31】

[式中、A、R、R、R、m、n、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から10のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
oは、0、1、2、3または4から選択され;
は、CHまたはCRであり;
は、少なくともXに配置されており、ならびに各場合で独立にハロゲン、C−C−アルキルおよびハロゲン化C−C−アルキルからなる群から選択される。]。
【請求項12】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化32】

[式中、R、R、R、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から11のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
AはNHであり;
はNであり;
はHであり;
oは0または1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。]。
【請求項13】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化33】

[式中、R、R、R、R、Y、YおよびYは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から12のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
AはNHであり;
はNであり;
、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はNであり;
、X、X、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はHであり;
oは0または1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。]。
【請求項14】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化34】

[式中、R、R、Rは、下記で別段の断りがない限り、請求項1から13のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有し、
AはNHであり;
はNであり;
は、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
はNであり;
、X、X、Xは互いに独立にCHまたはCRであり;
、Y、Yは互いに独立にCHまたはCRであり;
はHであり;
oは0または1であり;
mは0または1であり;
nは0または1である。]。
【請求項15】
下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化35】

[式中、
AはNHであり;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、フッ素化C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択され;
は各場合で独立に、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、ハロゲン化C−C−アルキルおよびNRからなる群から選択され、RおよびRは互いに独立に水素またはC−C−アルキルから選択されるか、またはNRはピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびピロリジン−1−イルから選択される飽和5員もしくは6員の複素環を形成しており;
はハロゲンであり;
mは0または1であり;
nは0または1であり;
oは0または1であり;
は水素であり;
はNであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rであり;
はNであり;
はCHまたはC−Rであり;
はCHまたはC−Rである。]。
【請求項16】
下記の化合物:
1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(7−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−4−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−(6−ブロモ−キノリン−4−イル)−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−メチル−1−ピラジン−2−イル−3−(6−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−尿素、
1−イソキノリン−1−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−8−イル−尿素、
1−イソキノリン−8−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−キノリン−5−イル−尿素、
1−イソキノリン−5−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−イソキノリン−4−イル−3−ピラジン−2−イル−尿素、
1−ピラジン−2−イル−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−アクリジン−9−イル)−尿素、
1−(ピラジン−2−イル)−3−(ピリジン−4−イル)尿素、
1−(キノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(7−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(7−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(ピリジン−2−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素、
1−(8−メチルキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−クロロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(6−モルホリノピリジン−2−イル)−3−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素、
1−(8−ヨードキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(3−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(8−ブロモキノリン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−3−(ピラジン−2−イル)尿素、
1−(5−クロロ−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)尿素
から選択される下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩。
【化36】

【請求項17】
医薬として使用するための、下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩
【化37】

[式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。]。
【請求項18】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βの活性を調節、好ましくは阻害する化合物による治療に感受性の疾患の治療のための医薬を製造するための、少なくとも一つの下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用
【化38】

[式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。]。
【請求項19】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βの活性を阻害する化合物による治療に感受性の疾患の治療のための医薬を製造するための、少なくとも一つの下記一般式Iの複素環化合物、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用であって、前記複素環化合物がグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βに対する阻害薬活性についてのIC50レベル、IC50<1μMolを有する使用
【化39】

[式中、A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。]。
【請求項20】
伝意選択で少なくとも1種類の生理的に許容される担体および/または補助物質と組み合わせて、少なくとも一つの請求項1に記載の式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩を含む医薬組成物。
【請求項21】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性である医学的障害を治療する方法であり、該治療を必要とする対象者に対して、少なくとも一つの請求項1に記載の式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩を投与する段階を有する、前記方法。
【請求項22】
医学的障害が神経変性障害である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β活性を調節する化合物による治療に対して感受性の医学的障害の治療のための医薬組成物の製造における、少なくとも一つの請求項1に記載の式Iの化合物(A、R、R、R、R、m、n、o、X、X、X、X、X、X、X、Y、Y、YおよびYは請求項1から16のうちのいずれか一項で定義のものと同じ意味を有する。)、該化合物の立体異性体、プロドラッグおよび/または生理的に耐容される酸付加塩の使用であって、前記医学的障害が特には神経変性障害である使用。

【公表番号】特表2010−507575(P2010−507575A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532820(P2009−532820)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061231
【国際公開番号】WO2008/046919
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】