説明

複素環式抗菌剤の合成および使用

本発明は、LpxCによって媒介される疾患または状態の処置のために有用である、以下の式(I)の化合物;またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体に関する。別の態様では、本発明は、微生物感染を処置する方法を提供する。また、さらなる態様では、本発明は、式(I)の1つ以上の化合物、LpxCレセプター媒介性疾患を処置するための追加の治療剤、および薬学的なキャリアを含む組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)を阻害し得、かつ結果として抗菌活性を有する、複素環に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質Aは、リポ多糖類(LPS)の疎水性アンカーであって、かつグラム陰性細菌の外膜の外側単層の主要な脂質成分を形成する。脂質Aは、細菌の増殖に必要であって、その生合成の阻害は細菌に対して致死的である。さらに、脂質A生合成のブロックは、他の抗生物質に対する細菌の感受性を増大する。
【0003】
細菌の脂質A生合成の主要な酵素の1つは、LpxCである。LpxCは、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンのN−アセチル基の除去を触媒する。LpxC酵素はグラム陰性細菌では脂質Aの生合成のために必須であり、注目すべきことには、哺乳動物ゲノムには存在しない。LpxCは脂質A生合成には必須であり、かつ脂質Aの生合成の阻害は細菌にとって致死的であるので、LpxCのインヒビターは、抗生物質として有用性を有する。さらに、哺乳動物ゲノムからLpxCの非存在は、哺乳動物でのLpxCインヒビターの潜在的な毒性を低下させる。従って、LpxCは抗菌薬発見の魅力的な標的である。
【0004】
特許文献1は、特定の複素環式ヒドロキサメート化合物、詳細には、オキサゾリン化合物がLpxCを阻害する能力を有することを教示する。
【0005】
特許文献2はLpxC阻害性活性を有し、従って抗菌活性を保有しているN−ヒドロキシアミド誘導体について言及している。
【0006】
特許文献3はまた、LpxCの低分子インヒビターについて言及している。
【0007】
特許文献4は、LpxC阻害性活性を有し、従って抗菌活性を保有しているN−ヒドロキシアミド誘導体について言及している。
【0008】
特許文献5はまた、LpxCの低分子インヒビターについて言及している。
【0009】
潜在的な抗菌剤としてのLpxCの低分子インヒビターが当該分野では必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,925,659号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/00744号
【特許文献3】国際公開第2004/062601号
【特許文献4】国際公開第2007/064732号
【特許文献5】国際公開第2008/027466号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
一態様では、本発明は、式(I)の化合物;
【0012】
【化1】

ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグを提供し、ここでT、T、R、X、Y、EおよびAは、お互いに独立して選択され、ここで;
およびTは各々独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクリルアルキル、シクリルアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクレニルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、およびヘテロシクリルアルケニルからなる群より選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクリルアルキル、シクリルアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクレニルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、およびヘテロシクリルアルケニルの各々は、非置換であってもよいし、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、NH−アリール、NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル(cycloalkylalky)からなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよく、さらにここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、およびヘテロシクリルアルキルの各々は非置換であっても、または独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、およびシクロアルキルアルキルからなる群より置換されてもよいか;あるいは
およびTはそれらが結合している炭素と一緒になって、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルからなる群より選択される環を形成し、ここで前記スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルの各々は、非置換であっても、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、および−NH−シクロアルキルアルキルからなる群より独立して選択される、最大3個の部分で置換されてもよく;
XおよびYは独立して−CR、−C(O)、−S(O)、−C(NH)−およびNRからなる群より選択され、ここでRおよびRの各々は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群より選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルの各々において、非置換であっても、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、およびシクロアルキルアルキルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよく;
EはC、CHまたはNであり;
【0013】
【化2】

は、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルおよびヘテロシクリルからなる群より選択される6員環であり;
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、スピロヘテロシクレニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、−C(O)R、−C(S)Rおよび−C(NH)Rからなる群より選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、スピロヘテロシクレニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクリルアルキルの各々は、非置換であるか、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換され、ここで前記アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニルの各々は、非置換であっても、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、および−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクレニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよく、ここで前記O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルの各々は、非置換であっても、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよく;
は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルからなる群より選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヘテロシクレニルの各々は非置換であっても、またはハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、および−NH−シクロアルキルアルキルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよい。
【0014】
請求項1に記載の化合物であって、ここでTおよびTは各々独立して、Hおよび(C−C)アルキルからなる群より選択され、ここで前記(C−C)アルキルは、非置換であっても、またはアルキル、−OH、NHからなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよい。
【0015】
別の態様では、本発明は、LpxCのインヒビターとしての新規なクラスの化合物、このような化合物を調製する方法、1つ以上のこのような化合物を含む薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含む薬学的処方物を調製する方法、ならびにこのような化合物または薬学的組成物を用いる、LpxCに関連する1つ以上の疾患の処置、予防、阻害または改善の方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、微生物感染を処置する方法を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、式(I)の1つ以上の化合物、LpxCレセプター媒介性疾患を処置するための追加の治療剤、および薬学的なキャリアを含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
そのいくつかの実施形態では、本発明は、新規なクラスのLpxCのインヒビター、1つ以上のその化合物を含む薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含む薬学的処方物を調製する方法、および微生物感染の処置、予防または改善の方法を提供する。
【0019】
一実施形態では、本発明は、構造式(I):
【0020】
【化3】

によって提示される化合物を提供する。
【0021】
一実施形態では、
【0022】
【化4】

はフェニルであり、ここで、EはCまたはCHである。
【0023】
別の実施形態では、
【0024】
【化5】

はピペラジンであり、ここで、EはNである。
【0025】
一実施形態では、Aはアルキニルであり、ここで、前記アルキニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは非置換であっても、または追加のフェニルで置換されてもよい。
【0026】
別の実施形態では、Aはエチニルであり、ここで、前記エチニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは非置換であっても、または追加のフェニルで置換されてもよい。
【0027】
なお別の実施形態では、Aはエチニルであり、ここで、前記エチニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは、非置換であっても、または追加のフェニルでパラ置換されてもよい。
【0028】
さらに別の実施形態では、Aはエチニルであり、ここで、前記エチニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは非置換であっても、または追加のフェニルでメタ置換されてもよい。
【0029】
一実施形態では、Aはフェニルであり、ここで、前記フェニルは非置換であっても、またはアルキニルで置換されてもよく、ここで、前記アルキニルはフェニルで置換されている。
【0030】
別の実施形態では、Aはフェニルであり、ここで、前記フェニルは非置換であっても、またはエチニルで置換されてもよく、ここで、前記エチニルは追加のフェニルで置換されている。
【0031】
さらに別の実施形態では、Aはフェニルであり、ここで、前記フェニルは非置換であっても、または追加のフェニルで置換されてもよい。
【0032】
なお別の実施形態では、Aはフェニルであり、ここで、前記フェニルは非置換であっても、または追加のフェニルでパラ置換されてもよい。
【0033】
一実施形態では、Aはアラルキルであり、ここで、前記アラルキルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルはアリールで置換されている。
【0034】
別の実施形態では、Aはフェニルアルキルであり、ここで、前記フェニルアルキルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルはアリールで置換されている。
【0035】
さらに別の実施形態では、Aはフェニルメチルであり、ここで、前記フェニルメチルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルはアリールで置換されている。
【0036】
なお別の実施形態では、Aはフェニルメチルであり、ここで、前記フェニルメチルはエチニルで置換されており、ここで、前記エチニルはアリールで置換されている。
【0037】
別の実施形態では、Aはフェニルメチルであり、ここで、前記フェニルメチルはエチニルで置換されており、ここで、前記エチニルはフェニルで置換されている。
【0038】
なお別の実施形態では、Aはフェニルメチルであり、ここで、前記フェニルメチルはエチニルでパラ置換されており、ここで、前記エチニルはフェニルで置換されている。
【0039】
さらに別の実施形態では、Aはフェニルメチルであり、ここで、前記フェニルメチルはフェニルでパラ置換されている。
【0040】
一実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルで置換されている。
【0041】
別の実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルで置換されている。
【0042】
なお別の実施態様では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルでパラ置換されている。
【0043】
さらに別の実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルは追加のフェニルで置換されている。
【0044】
別の実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルはフェニルで置換されている。
【0045】
なお別の実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルはアルキニルでパラ置換されており、ここで、前記アルキニルは追加のフェニルで置換されている。
【0046】
さらに別の実施形態では、Aはピペリジニルであり、ここで、前記ピペリジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルはエチニルでパラ置換されており、ここで、前記エチニルは追加のフェニルで置換されている。
【0047】
一実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルで置換されている。
【0048】
別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルは、フェニルでパラ置換されている。
【0049】
なお別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルで置換されており、さらにここで、前記フェニルは、アルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルはフェニルで置換されている。
【0050】
さらに別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルはアルキニルで置換されており、ここで、前記アルキニルは追加のフェニルで置換されている。
【0051】
別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルはエチニルで置換されており、ここで、前記エチニルは追加のフェニルで置換されている。
【0052】
なお別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルはエチニルで置換されており、ここで、前記エチニルは追加のフェニルで置換されている。
【0053】
さらに別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルで置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルで置換されている。
【0054】
別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルで置換されている。
【0055】
なお別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルは追加のフェニルでパラ置換されている。
【0056】
なお別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルでパラ置換されており、ここで、前記フェニルは、アラルキルカルボニルでパラ置換されている。
【0057】
さらに別の実施形態では、Aはピペラジニルであり、ここで、前記ピペラジニルはフェニルでパラ置換されており、さらにここで、前記フェニルはフェニルメチルカルボニルでパラ置換されている。
【0058】
一実施形態では、Aはハロである。
【0059】
別の実施形態では、Aはブロモである。
【0060】
さらに別の実施形態では、Aはクロロである。
【0061】
一実施形態では、式(I)の化合物は式(IA、IB、IC、ID、IE、IIA、IIB、IIC、IIDおよびIIE):
【0062】
【化6】

【0063】
【化7】

を有しており、ここで、TおよびAは式(I)の化合物について上で定義されたとおりである。
【0064】
一実施形態では、Tは、
【0065】
【化8】

である。
【0066】
別の実施形態では、T
【0067】
【化9】

である。
一実施形態では、Aは
【0068】
【化10】

である。
【0069】
別の実施形態では、Aは
【0070】
【化11】

である。
【0071】
一実施形態では、Aは、
【0072】
【化12】

である。
【0073】
別の実施形態では、Aは、
【0074】
【化13】

である。
【0075】
なお別の実施形態では、Aは、
【0076】
【化14】

である。
【0077】
一実施形態では、Aは、
【0078】
【化15】

である。
【0079】
別の実施形態では、Aは、
【0080】
【化16】

である。
【0081】
一実施形態では、Aは、
【0082】
【化17】

である。
【0083】
一実施形態では、Aは、
【0084】
【化18】

である。
【0085】
別の実施形態では、Aは、
【0086】
【化19】

である。
【0087】
なお別の実施形態では、Aは、
【0088】
【化20】

である。
【0089】
さらに別の実施形態では、Aは、
【0090】
【化21】

である。
【0091】
別の実施形態では、Aは、
【0092】
【化22】

である。
【0093】
さらに別の実施形態では、AはBrまたはClである。
【0094】
一実施形態では、式(I)の化合物は:
【0095】
【化23】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0096】
別の実施形態では式(I)の化合物は、
【0097】
【化24】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0098】
一実施形態では、式(I)の化合物は:
【0099】
【化25】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0100】
別の実施形態では、式(I)の化合物は:
【0101】
【化26】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0102】
なお別の実施形態では、式(I)の化合物は:
【0103】
【化27】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0104】
さらに別の実施態様では、式(I)の化合物は:
【0105】
【化28】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0106】
一実施形態では、式(I)の化合物は:
【0107】
【化29】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0108】
別の実施態様では、式(I)の化合物は:
【0109】
【化30】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0110】
さらに別の実施形態では、式(I)の化合物は:
【0111】
【化31】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0112】
式Iの化合物の非限定的な例としては以下:
【0113】
【化32】

【0114】
【化33】

【0115】
【化34】

、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルが挙げられる。
【0116】
上記で用いる場合、およびこの開示全体にわたって、以下の用語は、別段示さない限り、以下の意味を有することが理解されるものとする。
【0117】
「患者/被験体」とは、ヒトおよび動物の両方を包含する。
【0118】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0119】
「アルキル」とは、直鎖状であってもまたは分枝状であってもよく、鎖の中で約1〜約20個の炭素原子を含んでいる、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、約1〜約12個の炭素原子を鎖の中に含む。より好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子を鎖の中に含む。分岐したとは、1つ以上の低級アルキル基、例えば、メチル、エチルまたはプロピルが、直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖の中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。「置換されたアルキル」という用語は、このアルキル基が、同じであっても異なってもよい1つ以上の置換基(各々の置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)2、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される)によって置換されてもよいことを意味する。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。「フルオロアルキル」という用語は、先に記載されたようなアルキル基であって、ここで1つ以上の水素がフッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0120】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基であって、直鎖状であっても分枝状であってもよく、その鎖の中に、約2個〜約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、その鎖の中に、約2個〜約12個の炭素原子を有し;より好ましくは、その鎖の中に、約2個〜約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、直鎖状のアルケニル鎖に、1つ以上の低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、またはプロピルが結合されていることを意味する。「低級アルケニル」とは、その鎖内における、約2個〜約6個の炭素原子を意味し、これは直鎖状でも分枝状でもよい。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0121】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、かつ直鎖状であっても分枝状であってもよく、かつその鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、その鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、またはプロピルが、直鎖アルキニル鎖に結合されていることを意味する。「低級アルキニル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、および3−メチルブチニルが挙げられる。「置換アルキニル」という用語は、そのアルキニル基が、同じであっても異なってもよい1つ以上の置換基によって置換されてもよいことを意味し、各々の置換基は、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0122】
「アリール」とは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。アリール基は、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0123】
「ヘテロアリール」とは、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、該環原子のうちの1つ以上は、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素またはイオウの単独またはその組み合わせである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」とは、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、前記置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロアリールの基本名称(root name)の前に付く接頭語アザ、オキサまたはチアとは、少なくとも窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化されてもよい。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N置換ピリドン類を含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語はまた、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどのような部分的に飽和されたヘテロアリール部分を指す。
【0124】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、該アリールおよびアルキルは先に記載されたとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを通じた結合である。
【0125】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基を意味し、ここで該アルキルおよびアリールは、先に記載されたとおりである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを通じた結合である。
【0126】
「シクロアルキル」とは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、前記置換基は、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義されたとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、ならびに、例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなどのような部分的に飽和された種が挙げられる。
【0127】
「シクロアルケニル」とは、非芳香族の単環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する。好ましいシクロアルケニル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、前記置換基は、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義されたとおりである。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニルエニルである。
【0128】
「ハロアルキル」は、上記で定義されたハロ基でアルキル上の1個以上の水素原子が置換されている、上記で定義されたようなアルキルを意味する。非限定的な例としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロプロピルなどが挙げられる。
【0129】
「ハロアルコキシ」とは、上記で定義されたハロ/ハロゲン基でアルコキシ上の1個以上の水素原子が置換されている、以下に定義されるようなアルコキシ基を意味する。非限定的な例としては、トリフルオロメトキシ(CFO−)、ジフルオロメトキシ(CHFO−)、2,2,2−トリフルオロエトキシ(CFCHO−)、2−クロロプロポキシ(CHCH(Cl)CHO−)などが挙げられる。
【0130】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいのはフッ素、塩素、および臭素である。
【0131】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合する置換基であって、例えば、該環系上の利用可能な水素と置換する置換基を意味する。環系置換基は、それぞれがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群より独立して選択され、同じであっても、または異なってもよく、ここで、YおよびYは同じであっても、または異なってもよく、かつ水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアラルキルからなる群より独立して選択される。「環系置換基」とはまた、環系上の2個の隣接した炭素原子上の2個の利用可能な水素(それぞれの炭素に1個の水素)を同時に置換する単一の部分を意味し得る。そのような部分の例は、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などであって、これは、例えば以下:
【0132】
【化35】

のような部分を形成する。
【0133】
「ヘテロシクリル」とは、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族飽和の単環式または複環式の環系を意味し、該環系における1個以上の原子は、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、またはイオウの単独またはその組み合わせである。該環系中に隣接する酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。ヘテロシクリルは約5〜約6個の環原子を含むことが好ましい。ヘテロシクリルの基本名称の前にある接頭語のアザ、オキサ、またはチアは、少なくとも窒素、酸素、またはイオウ原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環にあるいずれの−NHも、例えば−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基、などとしてのように、保護されて存在してもよい;このような保護もまた本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、1個以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、前記置換基は同じであっても、または異なってもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロシクリルの窒素またはイオウ原子は、対応するN−オキシド、S−オキシド、S,S−ジオキシドへ必要に応じて酸化されてもよい。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトン、などが挙げられる。
【0134】
「スピロ環系」は、1つの共通の原子によって連結された2つ以上の環を有する。好ましいスピロ環系としては、スピロヘテロアリール、スピロヘテロシクレニル、スピロヘテロシクリル、スピロシクロアルキル、スピロシクロアルケニル、およびスピロアリールが挙げられる。適切なスピロ環系の非限定的な例としては
【0135】
【化36】

スピロ[4.5]デカン、
【0136】
【化37】

8−アザスピロ[4.5]デカ−2−エン、および
【0137】
【化38】

スピロ[4.4]ノナ−2,7−ジエンが挙げられる。
【0138】
「ヘテロシクレニル」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、部分的不飽和の単環式または部分的不飽和の多環式環系を意味し、該環原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、またはイオウの単独またはその組み合わせである。ヘテロシクレニルは約5〜約6個の環原子、および1〜3個の2重結合を含むことが好ましい。ヘテロシクレニルはまた、少なくとも1個の−C=Nを環の一部分として含むことが好ましい。「ヘテロシクレニル」は1個以上の「環系置換基」で必要に応じて置換されてもよく、この置換基は、同じであっても、または異なってもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロシクレニルの基本名称の前にある接頭語のアザ、オキサ、またはチアは、少なくとも窒素、酸素、またはイオウ原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素またはイオウ原子は、対応するN−オキシド、S−オキシド、またはS,S−ジオキシドへ必要に応じて酸化され得る。適切なヘテロシクレニルの非限定的な例としては、ジヒドロイミダゾール、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロチアゾールなどが挙げられる。
【0139】
本発明のヘテロ原子を含む環系において、N、O、またはSに隣接する炭素原子上にヒドロキシル基は存在せず、かつ別のヘテロ原子に隣接する炭素上にN基もS基も存在しないということに注意するべきである。したがって、例えば下記の環において:
【0140】
【化39】

2および5と記された炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0141】
また、互変異性型、例えば以下のような部分:
【0142】
【化40−1】

は本発明の特定の実施形態において等価とみなされることにも注意するべきである。
【0143】
「アルキニルアルキル」とは、アルキニルおよびアルキルが上記されたとおりであるアルキニル−アルキル−基を意味する。アルキニルアルキルは低級アルキニル基および低級アルキル基を含むことが好ましい。親部分への結合はアルキルを通してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0144】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリールおよびアルキルが上記されたとおりであるヘテロアリール−アルキル−基を意味する。ヘテロアラルキルは低級アルキル基を含むことが好ましい。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、およびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合はアルキルを通してである。
【0145】
「ヒドロキシアルキル」は、アルキルが上記で定義されたとおりであるHO−アルキル−基を意味する。ヒドロキシアルキルは低級アルキルを含むことが好ましい。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチル、および2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0146】
「アシル」は、種々の基が上記されたとおりであるH−C(O)−、アルキル−C(O)−、またはシクロアルキル−C(O)−基を意味する。親部分への結合はカルボニルを通してである。アシルは低級アルキルを含むことが好ましい。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、およびプロパノイルが挙げられる。
【0147】
「アロイル」は、アリール基が上記されたとおりであるアリール−C(O)−基を意味する。親部分への結合はカルボニルを通してである。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイル、および1−ナフトイルが挙げられる。
【0148】
「アルコキシ」とは、アルキル基が上記されたとおりであるアルキル−O−基を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびn−ブトキシが挙げられる。親部分への結合はエーテル酸素を通してである。
【0149】
「アリールオキシ」とは、アリール基が上記されたとおりであるアリール−O−基を意味する。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシ、およびナフトキシが挙げられる。親部分への結合はエーテル酸素を通してである。
【0150】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル基が上記されたとおりであるアラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシ、および1−または2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合はエーテル酸素を通してである。
【0151】
「アルキルチオ」とは、アルキル基が上記されたとおりであるアルキル−S−基を意味する。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、およびエチルチオが挙げられる。親部分への結合はイオウを通してである。
【0152】
「アリールチオ」とは、アリール基が上記されたとおりであるアリール−S−基を意味する。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオ、およびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合はイオウを通してである。
【0153】
「アラルキルチオ」とは、アラルキル基が上記されたとおりであるアラルキル−S−基を意味する。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例としては、ベンジルチオが挙げられる。親部分への結合はイオウを通してである。
【0154】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合はカルボニルを通してである。
【0155】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合はカルボニルを通してである。
【0156】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分への結合はカルボニルを通してである。
【0157】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、該アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合はスルホニルを通してである。
【0158】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合はスルホニルを通してである。
【0159】
「置換された」という用語は、指定される原子の実在の環境下での通常の原子価を超えず、かつ置換により安定な化合物が生じるという条件下で、指定される原子上の1個以上の水素が、指示される基からの選択物で置換されることを意味する。置換基の組み合わせにより安定な化合物が生じる場合にのみ、このような置換基の組み合わせおよび/または変化が許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの精製における実用的な程度への単離、および効果的な治療薬への処方において耐え抜くのに十分強靭な化合物であることを意味する。
【0160】
「必要に応じて置換された」という用語は、特定の基(group)、基(radical)、または部分による任意の置換を意味する。
【0161】
化合物に対する「単離された」または「単離された形で」という用語は、合成プロセスまたは天然の供給源またはそれらの組み合わせから単離された後の前記化合物の物理的状態を指す。化合物に対する「精製された」または「精製された形態で」という用語は、本明細書に記載されている、または当業者に周知の標準的分析技術により特定されるのに十分な純度で、本明細書中に記載されている、または当業者に周知の精製プロセス(単数または複数)から得られた後の前記化合物の物理的状態を指す。
【0162】
また、本明細書中の文章、スキーム、実施例、および表にある、不飽和の原子価を有する任意の炭素ならびにヘテロ原子は、原子価を飽和させるのに十分な数の水素原子(単数または複数)を有すると想定されることにも注意するべきである。
【0163】
化合物中の官能基が「保護される」と名付けられている場合、これはこの基が、化合物が反応にさらされるとき、保護されている部位での望ましくない副反応を妨げるために修飾されている形態であることを意味する。適切な保護基は当業者によって、ならびに標準的な教科書、例えばT.W.Greeneら、Protective Groupsin organic Synthesis、1991、Wiley、New Yorkなどを参照することによって理解される。
【0164】
任意の可変項目(例えば、アリール、複素環、Rなど)が任意の構成要素、または式(I)において2個以上存在する場合、それぞれの存在の定義は他のどの存在の定義とも無関係である。
【0165】
本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに、特定の量の特定の成分の組み合わせから、直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0166】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で意図されている。「プロドラッグ」という用語は、本明細書中で使用される場合、被験体への投与により、代謝プロセスまたは化学的プロセスによる化学変化を受けて式(I)の化合物、またはその塩および/または溶媒和物を生じる、薬物前駆物質である化合物を意味する。プロドラッグについての考察は、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)、A.C.S.Symposium Seriesの14巻、および、Bioreversible Carriers in Drug Design(1987)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(これらは両方とも本明細書中で参照によって援用される)にて提供されている。
【0167】
「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む多様な程度のイオン結合および共有結合を包含する。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に組み込まれている場合、単離が可能になる場合がある。「溶媒和物」とは溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノラート、メタノラートなどが挙げられる。「水和物」は溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0168】
本明細書において用いる場合、「有効量」または「治療上有効な量」とは、ある病気に罹患している患者に投与された場合、所望の治療効果、改善効果、抑制効果、または予防効果を生み出すのに効果的である式(I)の化合物および/または追加の治療剤またはそれらの組成物の量を指す。本発明の治療と組み合わせた場合、有効量とは、各々の個々の薬剤を指してもよいし、または組み合わせを全体として指してもよく、ここで、投与される全ての薬剤の量は一緒になって有効であるが、この組み合わせの成分の薬剤は、個々に有効量で存在しなくてもよい。
【0169】
式Iの化合物は塩を形成し得、本発明の範囲の中にこの塩もまた含まれている。本明細書中で式Iの化合物に対する言及は、別段の指示がない限り、その塩に対する言及を包含すると理解される。「塩(単数または複数)」という用語は、本明細書中で使用される場合、無機酸および/または有機酸で形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基で形成される塩基性塩を意味する。加えて、式Iの化合物が、塩基性部分、例えば、限定はしないが、ピリジンまたはイミダゾール、および酸性部分、例えば、限定はしないが、カルボン酸の両方を含む場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され得、本明細書中で使用されるような「塩(単数または複数)」という用語の中に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、無毒性、生理学的に許容される)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物がある量(例えば等量)の酸または塩基と、塩が沈殿する媒質中でまたは水媒質中で反応させ、続いて凍結乾燥することによって形成され得る。
【0170】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとしても公知)、などが挙げられる。加えて、一般的に、塩基性の薬学的化合物由来の薬学的に有用な塩の形成に適すると考えられる酸は、例えば、P.Stahlら著、Camille G.編、Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use、2002、Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences、1977、66(1)、1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33、201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New York、およびThe Orange Book(Food&Drug Administration、Washington,D.C.のウェブサイト上)において考察されている。これらの開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0171】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基(例えば、有機アミン)、例えばジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンとの塩、ならびに、アルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化メチル、塩化エチル、および塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、および臭化ブチル、およびヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルサルフェート(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチル)、長鎖のハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、および塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、および臭化ステアリル、およびヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤で四級化されてもよい。
【0172】
全てのそのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることが意図されており、全ての酸性塩および塩基性塩は本発明の目的のための、対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。
【0173】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なエステルとしては以下の群が挙げられる:(1)ヒドロキシル基のエステル化により得られるカルボン酸エステル(ここで、エステル基のカルボン酸部分のうちの非カルボニル部分は直鎖状または分枝鎖状アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、例えば、ハロゲン、C1−4アルキル、またはC1−4アルコキシまたはアミノで、必要に応じて置換されているフェニル)から選択される);(2)アルキル−またはアラルキルスルホニルのようなスルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリル、またはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステル、および(5)モノ、ジ、または三リン酸エステル。上記リン酸エステルは、例えば、C1−20アルコールもしくはその反応性の誘導体、または2,3−ジ(C6−24)アシルグリセロールによりさらにエステル化されてもよい。
【0174】
式Iの化合物、およびその塩、溶媒和物、およびプロドラッグは、それらの互変異性型で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在してもよい。全てのそのような互変異性型は本発明の一部分として本明細書中で意図される。
【0175】
本発明の化合物(化合物の塩、溶媒和物、およびプロドラッグ、ならびに上記プロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)、例えば、エナンチオマー形態(不斉炭素が存在しない場合でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含め、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得る立体異性体は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)と同様に、本発明の範囲内であると意図されている。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、実質的には他の異性体を含まなくてもよいし、あるいは、例えば、ラセミ体のように、または全ての他の、もしくは選択される他の立体異性体と混合されていてもよい。本発明のキラル中心はIUPAC1974勧告によって定義されるSまたはR配置を有してもよい。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体、またはプロドラッグの塩、溶媒和物、およびプロドラッグに対して等しく使用するものとする。
【0176】
式Iの化合物、ならびに、式Iの化合物の塩、溶媒和物、およびプロドラッグの多様な形態が本発明に包含されるものとする。
【0177】
本発明による化合物は薬理学的特性を有する;詳細には、式(I)の化合物はLpxCのインヒビターである。
【0178】
一態様において、本発明は少なくとも1つの式(I)の化合物を活性成分として含む薬学的組成物を提供する。
【0179】
別の態様において、本発明は少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを追加で含む、式(I)の薬学的組成物を提供する。
【0180】
別の態様において、本発明はLpxCに関連する障害を処置する方法を提供するものであり、前記方法は、少なくとも1つの治療上有効な量の式(I)の化合物を含む薬学的組成物を、そのような処置を必要とする患者へ投与する工程を包含する。
【0181】
別の態様において、本発明はLpxCに関連する障害を処置するための医薬の製造のための式(I)の化合物の用途を提供する。
【0182】
式Iの化合物は抗菌活性を有し、そして、グラム陰性感染およびグラム陽性感染を含めた、微生物感染の処置において有用であり得る。
【0183】
別の態様において、本発明は、LpxCに関連する障害を処置するための薬学的組成物を調製する方法を提供するものであり、前記方法は、少なくとも1つの式Iの化合物および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを密接に接触させる工程を包含する。
【0184】
別の態様において、本発明は、ある被験体における、LpxCに関連する障害を処置するための薬学的組成物を提供するものであり、治療上有効な量の式Iの化合物、または薬学的に受容可能なその塩、溶媒和物、エステル、もしくは異性体を、そのような処置を必要とする該被験体へ投与する工程を包含する。
【0185】
別の態様において、本発明は、式Iの化合物を精製された形態で提供する。
【0186】
別の態様において、本発明は、ある被験体における、LpxCが媒介する状態または疾患(例えば微生物感染)を処置する方法を提供するものであり、この方法は、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは異性体を、そのような処置を必要とする該被験体へ投与する工程を包含する。
【0187】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における微生物感染の処置のための方法を提供するものであり、この方法は、治療上有効な量の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルを、前記哺乳動物へ投与する工程を包含する。
【0188】
一実施形態では、感染を引き起こす微生物は細菌であり、別の実施形態では、それは真菌である。一実施形態では、微生物感染はグラム陰性感染である;別の実施形態では、微生物感染はグラム陰性感染である。
【0189】
別の態様において、本発明は哺乳動物における微生物感染の処置のための方法を提供するものであり、治療上有効な量の式Iの化合物と、1つ以上の追加の抗菌剤または抗真菌剤とを組み合わせて、前記哺乳動物へ投与する工程を包含する。一実施形態では、前記追加の抗菌剤はグラム陰性細菌に対して活性である。別の実施形態では、前記追加の抗菌剤はグラム陽性細菌に対して活性である。
【0190】
一実施形態では、式(I)の化合物はグラム陰性細菌感染症を処置するために被験体へ投与され得る。前記化合物はまた、グラム陰性抗菌活性を実現もしくは増強するために、例えば、エリスロマイシン、リファンピシン、およびアジスロマイシンといったマクロライドなどの他の抗生物質と一緒に、またはグラム陰性生物に対する特定の抗菌剤のスペクトルもしくは効果を実現もしくは増強するために他の非マクロライド系抗生物質と一緒に投与されてもよい。
【0191】
同様に、式Iの化合物は、抗菌剤と共同して、もともと有用である他の薬剤と一緒に用いられてもよい。例えば、細菌細胞壁透過剤を挙げることができる。そのような化合物の代表的な例として、EDTA、ポリミキシンBノナペプチド、ポリ−L−リシン、およびネオマイシンが挙げられる。当業者に公知の他の透過性増強剤を同様に本明細書中に含めることができる。
【0192】
別の実施形態では、本発明の化合物により処置可能な細菌感染は以下:
【0193】
【化40−2】

からなる群より選択される少なくとも一種類の生物により引き起こされる。
【0194】
別の実施形態では、この細菌感染は以下:
【0195】
【化40−3】

からなる群より選択される少なくとも一種類の生物により引き起こされる。
【0196】
標準的LpxCアッセイは、アッセイ緩衝剤および2%DMSO中の、0.2nMのLpxC酵素、1.0μMのUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン、および試験化合物で構成される。アッセイ緩衝剤は25mMのHEPES、pH 7.3、150mMのNaCl、2.0mMのDTT、および0.01%のBSAから構成される。酵素反応は96ウェルアッセイプレートで、最終容量が102μLで実行される。試験化合物の溶液は、100%DMSOで調製される。以下の反応物を順番に添加して反応を開始する:(1)2.0μLの化合物溶液、(2)80μLのアッセイ緩衝剤、(3)(アッセイ緩衝剤中の)10μMのUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンを10μL、および(4)10μLのLpxC酵素(アッセイ緩衝剤中で20nM)。陽性コントロール反応物では、(1)として2.0μLの100%DMSO(化合物含まず)が添加される;これらの反応物は全シグナル(TSB)値として用いられる。反応物は室温で60分間インキュベートされ、ここで反応を止めるために10μLの1N HClが加えられる。プレートを10秒間手で振盪して完全なクエンチングを確実にする。アッセイプレートは、分析の前にホイル・テープで密閉し、−80℃で24〜48時間保存する。
【0197】
反応混合物中の基質および生成物の濃度は、BioTroveが所有権を有するRapidFire(商標)ハイスループット質量分析(HTMS)を用いて決定される。アッセイ混合物は逆相クロマトグラフィーによって部分的に精製され、そこで、この混合物は5mMのギ酸アンモニウムを含む水で洗浄され、そして、80%アセトニトリル、20%水、および5mMギ酸アンモニウムで質量分析装置へ溶出される。基質および生成物の質量分析でのピーク面積は、これらの被検体の濃度を決定するために測定される。アッセイシグナルは、生成物へ変換される基質の百分率である。試験サンプルの阻害百分率である%Iは以下の方程式により決定される:
【0198】
【数1】

この方法を用いて、以下のE.coliのIC50(nM)のデータを式(I)の選択された化合物について得た:
化合物11〜14、20、21、26、31、32、36、48〜53、65、74、79、80、88および91は、約10μM未満というIC50値を有した。
【0199】
化合物11〜14、20、21、26、31、32、36、50、52、53、65、74、79、80、88および91は、約5μM未満というIC50値を有した。
【0200】
化合物11、13、31、32、36および65は、約0.5μM未満というIC50値を有した。
【0201】
化合物13、31、32および36は、約0.05μM未満というIC50値を有した。
【0202】
活性成分を含む薬学的組成物は、経口使用に適した形態であってよく、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬もしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシルとしてであってもよい。経口使用を意図する組成物は、薬学的組成物の製造のために、当該分野で公知の任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、薬学的に上質で風味のよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に受容可能な賦形剤との混合物に活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア、および、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってもよい。錠剤はコーティングされなくてもよいし、または錠剤は、消化管内での崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間の持続作用を提供するための公知の技術によりコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質が使用されてもよい。上記物質はまた、制御放出のための浸透治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;米国特許第4,166,452号;および米国特許第4,265,874号に記載されている技術によりコーティングされてもよい。
【0203】
経口使用のための処方物はまた、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと活性成分が混合される硬ゼラチンカプセルとして与えられてもよいし、または、水、もしくは油状媒質、例えば、ピーナツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と活性成分が混合される軟ゼラチンカプセルとしても与えられてもよい。
【0204】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含有する。そのような賦形剤は懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムである;分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、または、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、または、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール、または、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、または、例えば脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートであってもよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、および、1つ以上の甘味剤、例えば、スクロース、サッカリン、またはアスパルテームを含んでもよい。
【0205】
油性懸濁液は、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油中に、または、鉱油、例えば、流動パラフィン中に活性成分を懸濁させることにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコールを含んでもよい。上記で示されたような甘味剤、および香味剤は、風味の良い経口調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加により、保存され得る。
【0206】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤との混合物中に活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は既に上述したもので例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤、着色剤もまた存在してもよい。
【0207】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態でもあってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、または、鉱油、例えば、流動パラフィンもしくはその混合物であってもよい。適切な乳化剤は天然に存在するホスファチド、例えば、大豆、レシチン、ならびに、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、ならびに、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであってもよい。エマルジョンはまた甘味剤および香味剤も含んでもよい。
【0208】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはスクロースと共に処方されてもよい。このような処方物はまた粘滑薬、保存剤、香味剤および着色剤も含んでもよい。
【0209】
薬学的組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよい。前記懸濁液は、上述してきている適した分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いる、公知の技術に従って処方され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であって、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としてであってもよい。とりわけ使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー液、および等張食塩水である。加えて、無菌の不揮発性油は通常、溶媒または懸濁媒質として使用される。この目的のために、任意の無刺激性の不揮発性油を、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含めて使用してもよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は注射剤の調製の用途を見出す。
【0210】
本発明の化合物はまた、薬剤の直腸投与のための座薬形態で投与され得る。組成物は、通常の温度では固体であるが直腸内温度では液体であり、そのため直腸で溶解して薬剤を放出する、適切な非刺激性の賦形剤と薬剤とを混合することにより調製され得る。そのような物質はココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0211】
局所的使用のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが使用される。(本出願の目的のため、局所的な適用としては口内洗浄およびうがいを含むものとする)。
【0212】
本発明の化合物は、適した鼻腔内用ビヒクルの局所的使用を介する鼻腔内形態で投与されてもよいし、または、当業者に周知の経皮パッチの形態を用いる経皮経路を介して、投与されてもよい。経皮送達システムの形態で投与されるために、用量投与は、当然ながら、投薬計画全体にわたって間歇的ではなく連続的である。本発明の化合物はまた、ココアバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物のような基剤を使用する坐剤として送達されてもよい。
【0213】
本発明の化合物を使用する投薬計画は、患者のタイプ、人種、体重、性別、および、医学的状態;処置される状態の重症度;投与経路;患者の腎臓および肝臓の機能;およびそこで使用される特定の化合物を含めて種々の要素に従って選択される。通常の技術を有する医者または獣医は、状態の進行を予防する、阻止する、停止する、または逆転させるために必要な有効量の薬剤を容易に決定し、かつ処方することができる。毒性無しに効力を発揮する範囲内の薬剤濃度を実現する最適な正確性には、標的部位への薬剤の利用能に関する動態に基づく計画が必要とされる。このことには薬剤の分布、平衡、および排出に関する考察が含まれる。本発明の方法で有用である式Iの化合物の用量は、0.01mg/日〜1000mg/日の範囲が好ましい。より好ましいのは、0.1mg/日〜1000mg/日の範囲の投与量である。最も好ましいのは、0.1mg/日〜500mg/日の範囲の投与量である。経口投与のために、組成物は活性成分を0.01mg〜1000mg、特に、処置される患者への投与量の症状に基づく調整のために活性成分を0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1.0mg、2.5mg、5.0mg、10.0mg、15.0mg、25.0mg、50.0mg、100mg、および500mg含む錠剤の形態で提供されることが好ましい。薬物の有効量は、1日あたり体重1kgに対し約0.0002mg〜約50mgの投薬量で通常供給される。この範囲は、より詳細には1日あたり体重1kgに対し約0.001mg〜約1mgである。
【0214】
好都合なことには、本発明の活性剤は1日1回の用量で投与されてもよいし、または、1日の全投与量が1日2回、3回、または4回の用量に分割されて投与されてもよい。
【0215】
単一の剤形を生産するためにキャリア物質と組み合され得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法に依存して変化するであろう。
【0216】
しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の投与量は、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬剤の組み合わせ、および治療中の特定の疾患の重症度を含む種々の要素に依存することが理解される。
【0217】
式(I)の化合物は、当業者に公知のプロセス、ならびに、以下の反応スキームおよび下記の調製物および実施例に示されるようなプロセスにより生産され得る。これらの調製物および実施例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。別の機構経路および類似の構造は当業者に明確であろう。本化合物の全種類の異性体が本発明の範囲内であるとみなされる。
【実施例】
【0218】
以下の略語を手順およびスキームで用いる:
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
Anh. 無水の
Aq 水性
BOC tert−ブトキシカルボニル
℃ セ氏温度
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO−d ヘキサデュウテロジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析
M モル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
ml ミリリットル
MS 質量分析
m/z 質量電荷比
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
X−Phos 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート
NMRスペクトルは、Mercuryplus 400MHz NMR測定装置(Varian)において、溶媒としてCDClまたはDMSO−dを用いて得られた。LC−MSのデータはAgilent 1100シリーズ LC/MSD(四重極、API−ES(大気圧界面電子スプレー))を、キャピラリー電圧を3500Vに設定して用い、ポジティブモードで運転して得た。報告する分析的HPLC(LC/MS)の保持時間は、C18(150×4.6mm)逆相カラムを用い、流速3mL/分で、水中の0.1%トリフルオロ酢酸溶液から、95:5のアセトニトリル:水までの5分または10分の勾配を用いて溶出して得た。
【0219】
逆相クロマトグラフィーによる精製は、C18逆相カラムを用い、流速20mL/分で、水中の0.1%トリフルオロ酢酸から、95:5のアセトニトリル:水までの勾配を用いて達成された。サンプルは、UV(Gilson、254nm)、または質量スペクトル(Agilent 1100シリーズ LC/MSD モデル SL)シグナルを用いて収集された。
【0220】
Biotageの装置における順相シリカゲルクロマトグラフィーは、Quad UV System(製品番号 07052)を用い、フラッシュカートリッジ 12+M、または25+Mを用いて、KP−SIL 32−63um カラム、60Åを利用して、達成された。
【0221】
(実施例1)
実施例1A
【0222】
【化41】

パートA:
MeCN(5mL)およびMeOH(5mL)中の、4−ブロモ−2−メチル安息香酸(1)(430mg、2mmol)の溶液にトリメチルシリルジアゾメタン(trimethylsilydiazomethane)(2M、3mL、6mmol)を添加した。この反応混合物を室温で20分間攪拌して、MeOH(5mL)中のAcOH(10%)の添加によってクエンチして、濃縮し、粗化合物2を得た。これをさらにフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによって精製して化合物2を無色の油状物として得た(388mg、85%の収率)。
【0223】
パートB:
化合物2(388mg、1.69mmol)、N−ブロモスクシンイミド(NBS、302mg、1.69mmol)および過酸化ベンゾイル(12.3mg、0.05mmol)が含まれる四塩化炭素(6mL)の溶液を、18時間加熱還流した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。この反応混合物をジエチルエーテル(10mL)で希釈して、セライトのプラグを通して、沈殿物を除去した。その濾液を飽和NaHCOで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮して、フラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによって精製して、化合物3を無色の油状物として得た(310mg、60%の収率)。HPLC−MS t=2.00分(UV254nm);式CBrについて算出した質量は305.9、観察されたLCMS m/zは306.9(M+H)。
【0224】
実施例1B:
【0225】
【化42】

化合物6は実施例1AのパートAおよびパートBに記載の条件を用いて5−クロロ−2−メチル安息香酸(4)から調製した。
【0226】
(実施例2)
【0227】
【化43】

パートA:
O−tert−ブチル−L−トレオニンtert−ブチルエステル塩酸塩(7)(433mg、1.62mmol)、化合物3(550mg、1.8mmol)およびDIEA(1.9mL、9.72mmol)が含有されるDMF(10mL)の溶液を80℃で18時間加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その残留物をEtOAc中に再溶解して、1NのHClで洗浄した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、化合物8を白色の固体として得た(550mg、80%の収率)。HPLC−MS t=2.55分(UV254nm);式C2028BrNOについて算出した質量は425.1、観察されたLCMS m/zは426.1(M+H)。
【0228】
パートB:
アセトニトリル(2mL)中の化合物8(143mg、0.34mmol)の溶液を、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(0.87mg、3.4μmol)、X−Phos(5mg、10.2μmol)および炭酸セシウム(285mg、0.87mmol)を含有するシュレンク管に移し、この反応混合物を、室温で、不活性雰囲気下で25分間攪拌した。アセトニトリル(1mL)中にフェニルアセチレン(69mg、0.67mmol)を含有する100μLの溶液を添加して、その反応混合物を90℃で15分間加熱した。このフェニルアセチレン溶液(100μL)を15分間ごとに添加して、この反応混合物を90℃で、全部で2.5時間加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。水(3mL)を添加して、その粗生成物を酢酸エチル(5mL)中に抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、化合物9を黄色の固体として得た(130mg、87%の収率)。HPLC−MS t=2.60分(UV254nm);式C2833NOについて算出した質量は447.2、観察されたLCMS m/zは448.2(M+H)。
【0229】
パートC:
トリフルオロ酢酸(5mL)を化合物9(50mg、0.11mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で1時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)に再溶解して、18時間凍結乾燥して、粗化合物10を褐色の固体として得た。HPLC−MS t=1.65分(UV254nm);式C2017NOについて算出した質量は335.1、観察されたLCMS m/zは336.1(M+H)。
【0230】
パートD:
化合物10(37mg、0.11mmol)およびHATU(50mg、0.13mmol)が含有されるDMF(2mL)中の溶液にDIEA(57μL、0.33mmol)およびO−(tert−ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン(19mg、0.13mmol)を添加した。この反応混合物を室温で18時間攪拌し、LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を分取HPLCによって精製して、化合物11(10.5mg、28%)をオフホワイトの固体として得た。
【0231】
表1の化合物(11〜14)を実施例2に記載のこの手順を用いて合成した。
【0232】
【表1】

(実施例3)
【0233】
【化44】

パートA:
化合物16(600mg、68%)は、実施例2、パートDに記載されるペプチドカップリング条件を用いて、N−ベンジルオキシカルボニル−O−tert−ブチル−L−トレオニン塩酸塩(720mg、2.32mmol)およびtert−ブチル−O−ヒドロキシルアミン(351mg、2.78mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=1.92分(UV254nm);式C2032について算出した質量は380.2、観察されたLCMS m/zは381.2(M+H)。
【0234】
パートB:
化合物16(600mg、1.58mmol)および木炭上のパラジウム(10%)が含有されるEtOAc(20mL)の溶液を18時間水素添加に供した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。この反応混合物を、セライトを通して濾過して、エバポレートして粗化合物17を白色の固体として得た(320mg、82%)。HPLC−MS t=1.00分(UV254nm);式C1226について算出した質量は246.2、観察されたLCMS m/zは247.3(M+H)。
【0235】
パートC:
化合物18(120mg、66%)を実施例2、パートAに記載の縮合条件を用いて化合物17(113mg、0.46mmol)および化合物6(120mg、0.46mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=1.95分(UV254nm);式C2029ClNについて算出した質量は396.2、観察されたLCMS m/zは397.2(M+H)。
【0236】
パートD:
実施例2、パートBに記載の薗頭カップリング条件を用いて化合物18(120mg、0.30mmol)およびフェニルアセチレン(62mg、0.61mmol)の反応から化合物19(80mg、57%)を調製した。HPLC−MS t=2.30分(UV254nm);式C2834について算出した質量は462.3、観察されたLCMS m/zは463.3(M+H)。
【0237】
パートE:
トリフルオロ酢酸(2mL)を化合物19(30mg、0.065mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で18時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を分取HPLCによって精製して、化合物20(7.8mg、35%)をオフホワイトの固体として得た。
【0238】
化合物20および21を実施例3に記載の手順を用いて合成した。
【0239】
【表2】

(実施例4)
【0240】
【化45】

パートA:
化合物23(50mg、75%)を、実施例2、パートAに記載の縮合条件を用いてトレオニンメチルエステル塩酸塩(35mg、0.2mmol)および化合物6(100mg、0.33mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=1.45分(UV254nm);式C1314BrNOについて算出した質量は327.0、観察されたLCMS m/zは328.0(M+H)。
【0241】
パートB:
化合物23(28mg、0.086mmol)、リン酸カリウム(55mg、0.26mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(6.3mg、8.6μmol)が含有されるジオキサン(1mL)の混合物に、フェニルボロン酸(12.5mg、0.1mmol)を添加した。その反応容器をアルゴンでフラッシュして、その反応混合物80℃で18時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(3mL)を添加し、その沈殿物をセライトのプラグを通すことによって除去した。その濾液を濃縮して、その粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによって精製して、化合物24を白色の固体として得た(20mg、71%の収率)。HPLC−MS t=1.61分(UV254nm);式C1919NOについて算出した質量は325.1、観察されたLCMS m/zは326.1(M+H)。
【0242】
パートC:
化合物24(20mg、0.062mmol)および水酸化リチウム(1M、68μL、0.068mmol)が含有されるTHF(2mL)および水(1mL)の溶液を室温で1時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。この反応混合物を1NのHClを用いてpH4.0まで酸性にして、その粗生成物をEtOAc(2×10mL)中に抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって化合物25を白色の固体として得た(18mg、94%)。HPLC−MS t=1.42分(UV254nm);式C1817NOについて算出した質量は311.1、観察されたLCMS m/zは312.1(M+H)。
【0243】
パートD:
化合物26は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物25から調製した。
【0244】
化合物、26(表3)を、実施例4に記載の手順を用いて合成した。
【0245】
【表3】

(実施例5)
【0246】
【化46】

パートA:
4−ブロモメチルビフェニル(27)(150mg、0.61mmol)、炭酸カリウム(252mg、1.82mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(185mg、0.73mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(35mg、0.03mmol)が含有されるジオキサン(3mL)の混合物を含むフラスコを、アルゴンでフラッシュして、その反応混合物を100℃で6時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加し、その沈殿物をセライトのプラグを通すことによって除去した。その濾液を濃縮して、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによって精製して、化合物28を白色の固体として得た(61mg、86%の収率)。HPLC−MS t=2.40分(UV254nm);式C1923BOについて算出した質量は294.2、観察されたLCMS m/zは295.2(M+H)。
【0247】
(実施例6)
【0248】
【化47】

パートA:
化合物29(39mg、54%)を実施例4、パートBに記載の鈴木カップリング条件を用いて化合物8(60mg、0.14mmol)および化合物28(83mg、0.28mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.75分(UV254nm);式C3339NOについて算出した質量は513.3、観察されたLCMS m/zは514.3(M+H)。
【0249】
パートB:
化合物30(29mg、95%)は、実施例2、パートCに記載の加水分解条件を用いて化合物29(39mg、0.076mmol)から調製した。HPLC−MS t=2.00分(UV254nm);式C2523NOについて算出した質量は401.2、観察されたLCMS m/zは402.2(M+H)。
【0250】
パートC:
化合物31は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物30から調製した。
【0251】
化合物31および32(表4)は、実施例6に記載の手順を用いて合成した:
【0252】
【表4】

(実施例7)
【0253】
【化48】

パートA:
化合物33(30mg、57%)は、実施例4、パートBに記載の鈴木カップリング条件を用いて化合物8(50mg、0.12mmol)および4−クロロフェニルボロン酸(37mg、0.24mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.86分(UV254nm);式C2632ClNOについて算出した質量は457.2、観察されたLCMS m/zは458.2(M+H)。
【0254】
パートB:
化合物34(20mg、59%)を、実施例2、パートBに記載の薗頭カップリング条件を用いて化合物33(30mg、0.065mmol)およびフェニルアセチレン(13mg、0.13mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.66分(UV254nm);式C3437について算出した質量は523.3、観察されたLCMS m/zは524.2(MH+H)。
【0255】
パートC:
化合物35(7.3mg、46%)は、実施例2、パートCに記載の加水分解条件を用いて化合物34(20mg、0.038mmol)から調製した。HPLC−MS t=1.97分(UV254nm);式C2621NOについて算出した質量は411.1、観察されたLCMS m/zは412.1(M+H)。
【0256】
パートD:
化合物36は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物35から調製した。
【0257】
化合物36は、実施例7に記載の手順を用いて合成した。
【0258】
【表5】

(実施例8)
(実施例8A)
【0259】
【化49】

パートA:
4−(4−ブロモフェニル)ピペリジン(37)(960mg、4.0mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(960mg、4.4mmol)が0℃でDCM(10mL)中に含有される混合物を室温まで温めて3時間攪拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。ジクロロメタン(10mL)を添加して、その溶液を1NのHCl(10mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、化合物38を白色の固体として得た(1.36g、100%の収率)。HPLC−MS t=2.50分(UV254nm);式C1622BrNOについて算出した質量は339.1、観察されたLCMS m/zは284.1(M+H−Bu)。
【0260】
パートB:
アセトニトリル(5mL)中の化合物38(600mg、1.76mmol)の溶液を、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(4.6mg、17.6μmol)、X−Phos(25mg、52.9μmol)および炭酸セシウム(1.5g、4.59mmol)を含有するシュレンク管に移し、その反応混合物を不活性雰囲気下において室温で25分間攪拌した。アセトニトリル(2mL)中にフェニルアセチレン(360mg、3.52mmol)を含有する100μLの溶液を添加して、その反応混合物を90℃で15分間加熱した。フェニルアセチレン溶液(100μL)を15分ごとに添加して、その反応混合物を90℃で、全部で2.5時間加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。水(6mL)を添加して、その粗生成物を酢酸エチル(10mL)中に抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、BOC−保護の化合物39を黄色の固体として得た(546mg、86%の収率)。HPLC−MS t=2.70分(UV254nm);式C2427NOについて算出した質量は361.2、観察されたLCMS m/zは306.2(M+H−Bu)。
【0261】
BOC−保護基を、トリフルオロ酢酸(5mL)の添加によって加水分解し、その得られた混合物を室温で1分間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)中に再溶解し、18時間凍結乾燥して粗化合物39を得た。HPLC−MS t=1.22分(UV254nm);式C1919Nについて算出した質量は261.2、観察されたLCMS m/zは262.2(M+H)。
【0262】
(実施例8B)
【0263】
【化50】

化合物42は、実施例8AのパートAおよびパートBに記載の条件を用いて1−(4−ブロモフェニル)ピペラジン(40)から調製した。HPLC−MS t=1.19分(UV254nm);式C1818について算出した質量は262.2、観察されたLCMS m/zは263.1(M+H)。
【0264】
(実施例8C)
【0265】
【化51】

パートA:
化合物44は、実施例8A、パートAに記載の条件を用いて4−(4−ブロモフェニル)ピペリジン(43)から調製した。HPLC−MS t=2.61分(UV254nm);式C1622BrNOについて算出した質量は339.1、観察されたLCMS m/zは284.0(M+H−Bu)。
【0266】
パートB:
化合物45は、実施例4、パートBに記載の鈴木カップリング条件を用いて化合物44およびフェニルボロン酸の反応から調製した。BOC−保護基は、トリフルオロ酢酸(5mL)の添加によって加水分解し、その得られた混合物を室温で1分間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去し、その得られた残留物を1:1のMeCN/水混合物(10mL)中に再溶解し、18時間凍結乾燥して粗化合物45を得た。HPLC−MS t=1.24分(UV254nm);式C1719Nについて算出した質量は237.2、観察されたLCMS m/zは238.3(M+H)。
【0267】
(実施例9)
【0268】
【化52】

パートA:
化合物8(80mg、0.19mmol)、化合物39(74mg、0.28mmol)、リン酸カリウム(120mg、0.56mmol)、X−Phos(9mg、18.8μmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.6mg、9.4μmol)が含有されるジオキサン(3mL)の混合物を含むフラスコをアルゴンでフラッシュして、この反応混合物を100℃で18時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加し、その沈殿物をセライトのプラグを通過させるることによって除去した。その濾液を濃縮して、その粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによって精製して、化合物46を白色の固体として得た(59mg、52%の収率)。HPLC−MS t=2.88分(UV254nm);式C3946について算出した質量は606.3、観察されたLCMS m/zは607.3(M+H)。
【0269】
パートB:
化合物47(42mg、88%)は、実施例2、パートCに記載される加水分解条件を用いて化合物46(59mg、0.097mmol)から調製した。HPLC−MS t=2.14分(UV254nm);式C3130について算出した質量は494.2、観察されたLCMS m/zは495.3(M+H)。
【0270】
パートD:
化合物48は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物47から調製した。
【0271】
以下の化合物48〜53(表6)は実施例9に記載の手順を用いて合成した。
【0272】
【表6−1】

【0273】
【表6−2】

(実施例10)
【0274】
【化53】

パートA:
THF(30mL)中のリチウムジイソプロピルアミド(LDA、1.8M、14.3mL、25.7mmol)の溶液をアルゴン雰囲気下で−60℃まで冷却した。(R)−エチル3−ヒドロキシブタノアート(800μL、6.11mmol)をTHF(5mL)で希釈し、その得られた溶液を攪拌しているリチウムジイソプロピルアミド溶液に移した。その反応混合物を−20℃まで30分にわたって温めた。その得られたジアニオン(dianion)を−78℃まで冷却し、THF(7mL)中のジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(3.52g、15.3mmol)の溶液を緩徐に添加した。その反応混合物を−78℃でさらに10分間攪拌し、その後にAcOH(2.1mL、36.7mmol)を用いてクエンチした。この反応混合物を−78℃でさらに15分間攪拌し、室温まで温め、水で希釈して、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、化合物55の両方のジアステレオマーの分離物を無色の油状物として得た(2.0g、91%の収率)。ジアステレオマー1:HPLC−MS t=1.94分(UV254nm);式C1630について算出した質量は362.2、観察されたLCMS m/zは385.2(M+Na)。ジアステレオマー2:HPLC−MS t=2.10分(UV254nm);式C1630について算出した質量は362.2、観察されたLCMS m/zは385.2(M+Na)。
【0275】
パートB:
トリフルオロ酢酸(2mL)をDCM(2mL)中の化合物55(500mg、1.38mmol)の攪拌溶液に添加し、その得られた混合物を室温で30分間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)中に再溶解し、18時間凍結乾燥して粗化合物56を得た。HPLC−MS t=0.17分(UV254nm);式C14について算出した質量は162.1、観察されたLCMS m/zは163.1(M+H)。
【0276】
パートC:
化合物57は、実施例8A、パートAに記載の条件を用いて化合物46から調製した。2つの位置異性体が単離された。位置異性体1(所望される):HPLC−MS t=1.29分(UV254nm);式C1122について算出された質量は262.2、観察されたLCMS m/zは285.2(M+Na)。位置異性体2:HPLC−MS t=1.38分(UV254nm);式C1122について算出した質量は262.2、観察されたLCMS m/zは285.2(M+Na)。
【0277】
パートD:
化合物57(230mg、0.88mmol)、イミダゾール(174mg、2.64mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(265mg、1.76mmol)が含有されるDMF(10mL)の溶液を、室温で18時間攪拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を、水を用いてクエンチし、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物58を無色の油状物として得た(314mg、95%)。HPLC−MS t=2.49分(UV254nm);式C1736Siについての算出した質量は376.2、観察されたLCMS m/zは321.3(M+H−Bu)。
【0278】
パートE:
4−ブロモ−2−フルオロベンゾイルクロライド(271mg、1.14mmol)を、THF(5mL)に含有される化合物58(314mg、0.84mmol)およびDIEA(436μL、2.5mmol)の溶液に添加し、その反応混合物を60℃で1時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を1NのHClの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物59を得て、これをさらにフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチル(320mg、66%)によって精製した。HPLC−MS t=2.80分(UV254nm);式C2438BrFNSiについて算出した質量は576.2、観察されたLCMS m/zは599.2(M+Na)。
【0279】
パートF:
トリフルオロ酢酸(2mL)を化合物59(50mg、0.087mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で5分間攪拌した。LC−MS分析によって、BOC−加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去し、その得られた残留物をEtOAc(10mL)中に再溶解し、飽和NaHCOを用いて洗浄した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物60(40mg、97%)を白色の固体として得た。HPLC−MS t=2.57分(UV254nm);式C1930BrFNSiについて算出した質量は476.2、観察されたLCMS m/zは477.2(M+H)。
【0280】
パートG:
DMF(5mL)中の化合物60(40mg、0.084mmol)の溶液を130℃で7時間加熱した。反応物のLC−MS分析によって、生成物の形成、ただし一方ではまたtert−ブチルジメチルシリル保護基の加水分解も確認した。イミダゾール(17mg、0.25mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(25mg、0.17mmol)を添加して、その反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(10mL)を添加して、その粗生成物をEtOAc(2×10mL)で抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物61を得て、これをさらにフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチル(25mg、66%)によって精製した。HPLC−MS t=2.30分(UV254nm);式C1929BrNSiについて算出した質量は456.1、観察されたLCMS m/zは457.1(M+H)。
【0281】
パートH:
化合物62は、実施例8A、パートBに記載される薗頭カップリング条件を用いて化合物61(40mg、0.09mmol)とフェニルアセチレン(18mg、0.18mmol)との反応から調製した。HPLC−MS t=2.61分(UV254nm);式C2734Siについて算出した質量は478.3、観察されたLCMS m/zは479.2(M+H)。
【0282】
パートI:THF(2mL)中に化合物62(21.5mg、0.045mmol)およびテトラブチルアンモニウムフルオライド(1M、45μL、0.045mmol)を含有する溶液を室温で1時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。この反応混合物を飽和NHClの添加によってクエンチし、EtOAcを用いて抽出した(2×5mL)。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物63を得て、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜20%)酢酸エチル/メタノールに供した(10mg、61%)。HPLC−MS t=1.89分(UV254nm):式C2120について算出した質量は364.1、観察されたLCMS m/zは365.2(M+H)。
【0283】
パートJ:
化合物64(9mg、100%)は、実施例4、パートCに記載のけん化条件を用いて化合物63(10mg、0.027mmol)から調製した。HPLC−MS t=1.49分(UV254nm);式C1916について算出した質量は336.1、観察されたLCMS m/zは337.1(M+H)。
【0284】
パートK:
化合物65は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物64から調製した。
【0285】
以下の化合物65は、10に記載の手順を用いて合成した。
【0286】
【表7】

(実施例11)
【0287】
【化54】

パートA:
THF(20mL)中のL−トレオニン tert−ブチルエステル塩酸塩(66)(2.12g、10mmol)およびDIEA(3.83mL、22mmol)の氷冷溶液に、THF(10mL)中のクロロギ酸ベンジル(1.55mL、11mmol)の溶液を5分間にわたって緩徐に添加した。この反応混合物を室温まで温めて、2時間攪拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を1NのHClの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物67を黄色の油状物として得た(2.67g、100%)。
【0288】
パートB:
DMF(10mL)中の化合物67(653mg、2.1mmol)、イミダゾール(173mg、2.5mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(350mg、2.3mmol)の溶液を室温で18時間攪拌した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を、水を用いてクエンチし、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、粗化合物68を無色の油状物として得た(738mg、83%)。HPLC−MS t=2.73分(UV254nm);式C2237NOSiについて算出した質量は423.2、観察されたLCMS m/zは446 1(M+Na)。
【0289】
パートC:
EtOAc(20mL)中の化合物68(738mg、1.74mmol)および木炭上のパラジウム(10%)の溶液を18時間水素添加に供した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。この反応混合物を、セライトを通過させることによって濾過し、エバポレートして、粗化合物69を無色の油状物として得た(488mg、97%)。HPLC−MS t=1.36分(UV254nm);式C1431NOSiについて算出した質量は289.2、観察されたLCMS m/zは290.3(M+H)。
【0290】
パートD:
ジオキサン(2mL)中の化合物69(145mg、0.5mmol)、DIEA(174μL、1.0mmol)および4−ブロモフタル酸無水物(170mg、0.75mmol)の混合物をマイクロ波中で、10分間160℃で加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、粗残留物をフラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルに供して、化合物70を無色の油状物として得た(101mg、41%)。HPLC−MS t=2.76分(UV254nm);式C2232BrNOSiについて算出した質量は497.1、観察されたLCMS m/zは498.1(M+H)。
【0291】
パートE:
化合物71(50mg、48%)は、実施例8A、パートBに記載の薗頭カップリング条件を用いて化合物70(100mg、0.2mmol)とフェニルアセチレン(41mg、0.4mmol)との反応から調製した。HPLC−MS t=2.94分(UV254nm);式C3037NOSiについて算出した質量は519.2、観察されたLCMS m/zは464.2(M+H−Bu)。
【0292】
パートF:
トリフルオロ酢酸(2mL)を、DCM(2mL)中の化合物71(71mg、0.096mmol)の攪拌溶液に添加して、その得られた混合物を室温で10分間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)に再溶解して、18時間凍結乾燥し、粗化合物72を得た。HPLC−MS t=1.72分(UV254nm);式C2015NOについて算出した質量は349.1、観察されたLCMS m/zは350.1(M+H)。
【0293】
パートG:
化合物73は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物72(15mg、0.043mmol)およびtert−ブチル−O−ヒドロキシルアミン(11mg、0.086mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.0分(UV254nm);式C2424について算出した質量は420.2、観察されたLCMS m/zは421.2(M+H)。
【0294】
パートH:
トリフルオロ酢酸(2mL)を化合物73(10mg、0.024mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で8時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を分取HPLCによって精製して、化合物74(1.2mg、14%)をオフホワイトの固体として得た。
【0295】
以下の化合物74を、実施例11に記載の手順を用いて合成した。
【0296】
【表8】

(実施例12)
【0297】
【化55】

パートA:
化合物75(160mg、42%)は、実施例11、パートDに記載の縮合条件を用いてL−トレオニンtert−ブチルエステル塩酸塩(66)(211mg、1mmol)および4−ブロモフタル酸無水物(341mg、1.5mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=1.85分(UV254nm);式C1618BrNOについて算出した質量は383.0、観察されたLCMS m/zは384.0(M+H)。
【0298】
パートB:
化合物76(40mg、70%)は、実施例4、パートBに記載の鈴木カップリング条件を用いて、化合物75(56mg、0.15mmol)およびフェニルボロン酸(21mg、0.18mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.15分(UV254nm);式C2223NOについて算出した質量は381.2、観察されたLCMS m/zは326.2(M+H−Bu)。
【0299】
パートC:
化合物77(75mg、100%)は、実施例11、パートFに記載の加水分解条件を用いて化合物76(90mg、0.23mmol)から調製した。HPLC−MS t=1.24分(UV254nm);式C1210BrNOについて算出した質量は327.0、観察されたLCMS m/zは328.0(M+H)。
【0300】
パートD
化合物78は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて、化合物77(40mg、0.12mmol)およびトリチル−O−ヒドロキシルアミン(41mg、0.14mmol)の反応から調製した。HPLC−MS t=2.49分(UV254nm);式C3730について算出した質量は582.2、観察されたLCMS m/zは583.2(M+H)。
【0301】
パートH:
トリフルオロ酢酸(2mL)を化合物78(15mg、0.025mmol)に添加して、その得られた混合物を室温で1分間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された.その揮発物を真空中で除去し、その得られた残留物を分取HPLCによって精製して、化合物79(1.8mg、21%)をオフホワイトの固体として得た。
【0302】
以下の化合物79および80(表9)は、この実施例12の手順を用いて合成した。
【0303】
【表9】

(実施例13)
【0304】
【化56】

パートA:
THF(10mL)中のクロロギ酸4−ニトロフェニル(665mg、3.3mmol)およびDIEA(1.6mL、9mmol)の氷冷溶液に、THF(5mL)中のO−tert−ブチル−L−トレオニンtert−ブチルエステル塩酸塩(7)(803mg、3mmol)の溶液を20分にわたって緩徐に添加した。この反応混合物を室温まで温めて、18時間攪拌した。LC−MS分析によって、その反応が完了したことが示された。その反応物を飽和NaHCOの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、化合物81を得て、これを、フラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルに供した(917mg、77%)。HPLC−MS t=2.22分(UV254nm);式C1928について算出した質量は396.2、観察されたLCMS m/zは397.1(M+H)。
【0305】
パートB:
THF(10mL)中の化合物81(396mg、1.0mmol)およびDIEA(0.523μL、3.0mmol)の溶液に、4−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルピペラジン(300mg、1.2mmol)を添加し、その反応混合物を80℃で18時間加熱した.その反応物を1NのHClの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、化合物82を得て、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルに供した(345mg、68%)。HPLC−MS t=1.99分(UV254nm);式C2641について算出した質量は507.3、観察されたLCMS m/zは508.3(M+H)。
【0306】
パートC:
メタンスルホニルクロライド(61μL、0.79mmol)を、DCM(6mL)およびピリジン(3mL)中の化合物82(334mg、0.66mmol)の氷冷溶液に添加した。この反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで室温まで温めた。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を1NのHClの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、化合物83を得て、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルに供した(290mg、90%)。HPLC−MS t=1.39分(UV254nm);式C2639について算出した質量は489.3、観察されたLCMS m/zは490.3(M+H)。
【0307】
パートD:
化合物84(210mg、100%)は、実施例3、パートBに記載の水素添加条件を用いて化合物73(290mg、0.59mmol)から調製した。HPLC−MS t=1.19分(UV254nm);式C1833について算出した質量は355.2、観察されたLCMS m/zは356.3(M+H)。
【0308】
パートE:
DMF(5mL)中の化合物84(112mg、0.32mmol)、炭酸カリウム(52mg、0.38mmol)および4−ヨードベンジルブロミド(112mg、0.38mmol)の混合物を、60℃で3時間加熱した。LC−MS分析によって、反応が完了したことが示された。その反応物を飽和NaHCOの添加によってクエンチして、EtOAcを用いて抽出した。硫酸マグネシウムでの乾燥および濃縮によって、化合物85を得て、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルに供した(25mg、14%)。HPLC−MS t=1.56分(UV254nm);式C2538INについて算出した質量は571.2、観察されたLCMS m/zは572.2(M+H)。
【0309】
パートF:
THF(2mL)中の化合物85(25mg、0.043mmol)、ヨウ化銅(0.5mg、2.58μmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.1mg、1.5μmol)の混合物に、フェニルアセチレン(7mg、0.065mmol)およびトリエチルアミン(14μL、0.1mmol)を添加した。その反応容器をアルゴンでフラッシュして、その反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応物のLC−MS分析によって、その反応が完了したことが示された。酢酸エチル(5mL)を添加して、その反応混合物を、飽和NaHCOを用いて洗浄した。硫酸マグネシウムでの乾燥、濃縮およびフラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶出(0〜100%)ヘキサン/酢酸エチルによる精製によって、化合物86を黄色の固体として得た(23mg、98%の収率)。HPLC−MS t=1.97分(UV254nm);式C3343について算出した質量は545.3、観察されたLCMS m/zは546.3(M+H)。
【0310】
パートG:
トリフルオロ酢酸(3mL)を化合物86(23mg、0.42mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で1時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。その揮発物を真空中で除去して、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)中に再溶解して、18時間凍結乾燥し、粗化合物87を得た。HPLC−MS t=1.50分(UV254nm);式C2527について算出した質量は433.2、観察されたLCMS m/zは434.2(M+H)。
【0311】
パートH:
化合物88は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物87から調製した。
【0312】
以下の化合物88は、実施例13に記載の手順を用いて合成した。
【0313】
【表10】

(実施例14)
【0314】
【化57】

パートA:
化合物89(40mg、23%)は、実施例9、パートAに記載のカップリング条件を用いて化合物84(118mg、0.33mmol)および1−ブロモ−4−(フェニルエチニル)ベンゼンの反応から調製した。HPLC−MS t=1.89分(UV254nm);式C3241について算出した質量は531.3、観察されたLCMS m/zは532.3(M+H)。
【0315】
パートB:
トリフルオロ酢酸(3mL)を、化合物89(25mg、0.047mmol)に添加し、その得られた混合物を室温で1時間攪拌した。LC−MS分析によって、加水分解が完了したことが示された。揮発物を真空中で除去し、その得られた残留物を1:1のMeCN/水の混合物(10mL)に再溶解し、18時間凍結乾燥して、粗化合物90を得た。HPLC−MS t=1.55分(UV254nm);式C2425について算出した質量は419.2、観察されたLCMS m/zは420.2(M+H)。
【0316】
パートH:
化合物91は、実施例2、パートDに記載のペプチドカップリング条件を用いて化合物90から調製した。
【0317】
以下の化合物91は実施例14の手順を用いて合成した。
【0318】
【表11】

本発明の広範な概念から逸脱することなく上記の実施形態で変更を行うことができることが当業者には認識される。従って、本発明は開示される特定の実施形態に限定されず、しかし、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲内である変形を包含するものであることが理解される。
【0319】
本特許出願に言及される各々のかつあらゆる文書は、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化58】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、およびエステルであって、式中:
およびTは各々独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクリルアルキル、シクリルアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクレニルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、およびヘテロシクリルアルケニルからなる群より選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクリルアルキル、シクリルアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクレニルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、およびヘテロシクリルアルケニルの各々は、非置換であっても、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、NH−アリール、NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル(cycloalkylalky)からなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよく、さらにここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、およびヘテロシクリルアルキルの各々は非置換であっても、または独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、およびシクロアルキルアルキルからなる群より置換されてもよいか;あるいは
およびTはそれらが結合している炭素と一緒になって、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルからなる群より選択される環を形成し、ここで前記スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルの各々は、非置換であっても、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、および−NH−シクロアルキルアルキルからなる群より独立して選択される、最大3個の部分で置換されてもよく;
XおよびYは独立して−CR、−C(O)、−S(O)、−C(NH)−およびNRからなる群より選択され、ここでRおよびRの各々は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群より選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルの各々において、非置換であっても、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、およびシクロアルキルアルキルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよく;
EはC、CH、またはNであり;
【化59】

は、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルおよびヘテロシクリルからなる群より選択される6員環であり;
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、スピロヘテロシクレニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、−C(O)R、−C(S)Rおよび−C(NH)Rからなる群より選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、スピロヘテロシクレニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクレニルアルキル、ヘテロシクリルアルキルの各々は、非置換であるか、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換され、ここで前記アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニルの各々は、非置換であっても、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、および−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニルからなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよく、ここで前記O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルの各々は、非置換であっても、またはハロ、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、−NH−シクロアルキルアルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよく;
は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルからなる群より選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヘテロシクレニルの各々は非置換であっても、またはハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、−S−シクロアルキルアルキル、−NH、−NH−アリール、−NH−シクロアルケニル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクレニル、−NH−ヘテロシクリル、−NH−アルキル、−NH−アルケニル、−NH−アルキニル、−NH−アラルキル、−NH−アラルケニル、−NH−シクロアルケニルアルキル、および−NH−シクロアルキルアルキル(cycloalkylalky)からなる群より独立して選択される最大3個の部分で置換されてもよい、
化合物およびその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、およびエステル。
【請求項2】
がHであって、かつTがエチルまたはイソプロピルであり、ここで、前記エチルまたはイソプロピルが−OHまたはNHで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびTが、それらが結合している炭素と一緒になって、スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルからなる群より選択される環を形成し、ここで、前記スピロシクリル、スピロシクロアルケニル、スピロヘテロシクリル、およびスピロヘテロシクレニルの各々は非置換であってもよいし、またはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルキルアルキル、−OH、O−アリール、O−シクロアルケニル、−O−シクロアルキル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクレニル、−O−ヘテロシクリル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−アラルケニル、−O−シクロアルケニルアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−SH、S−アリール、S−シクロアルケニル、−S−シクロアルキル、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクレニル、−S−ヘテロシクリル、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、−S−アラルキル、−S−アラルケニル、−S−シクロアルケニルアルキル、および−S−シクロアルキルアルキル、−NR”からなる群より独立して選択される1個以上の部分で置換されてもよく、ここで、各々のR”はH、(C1−8)アルキル(C−C)アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、アラルキル、アラルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロシクレニルアルキル、およびヘテロシクリルアルキルからなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
XがC(O)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
YがC(O)またはCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
EがC、CH、またはNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
【化60】

がアリールまたはヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記アリールがフェニルであるか、または前記ヘテロシクリルがピペラジンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Aが、非置換であってもまたは追加のフェニルでさらに置換されてもよいフェニルで置換されたアルキニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルキニルがエチニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記エチニルが、前記追加のフェニルでパラ置換されたフェニルで置換されている、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記エチニルが、前記追加のフェニルでメタ置換されたフェニルで置換されている、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
Aが、非置換であってもまたはアルキニルで置換されてもよいフェニルであって、前記アルキニルがフェニルで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記アルキニルがエチニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Aが、フェニルで置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Aが、フェニルでパラ置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Aが、フェニルで置換されたピペリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
前記ピペリジニルが、フェニルで置換されたフェニルでパラ置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記ピペリジニルが、追加のフェニルでパラ置換されたフェニルでパラ置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
前記フェニルが、フェニルで置換されたアルキニルで置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
前記ピペリジニルがフェニルでパラ置換されており、前記フェニルが、フェニルで置換されたエチニルで置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
Aがエチニル、フェニル、フェニルメチル、ピペリジン、ピペラジン、ブロモおよびクロロからなる群より選択され、ここで、前記エチニル、フェニル、フェニルメチル、ピペリジン、およびピペラジンは非置換であっても、または追加のフェニルもしくはエチニルで置換されてもよく、ここで、前記追加のフェニルは非置換であっても、または別のフェニルもしくはエチニルで置換されてもよく、またさらにここで、前記別のフェニルは非置換であっても、またはさらに別のフェニルで置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
Aがエチニル、フェニル、フェニルメチル、ピペリジン、ピペラジン、ブロモおよびクロロからなる群より選択され、ここで、前記エチニル、フェニル、フェニルメチル、ピペリジン、およびピペラジンは、非置換であっても、または追加のフェニルもしくは追加のエチニルで置換されてもよく、ここで、前記追加のエチニルは別のフェニルで置換されており、ここで、前記別のフェニルは非置換であっても、またはさらに別のフェニルで置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
以下:
【化61】

【化62】

からなる群より選択される、化合物、
またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステル。
【請求項26】
精製された形態の、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
請求項1に記載の少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくはエステルを、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含んでいる、薬学的組成物。
【請求項28】
UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)レセプター媒介性疾患を処置するための少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬、抗体および/またはインヒビターをさらに含んでいる、請求項27に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)に関連する障害を処置する方法であって、このような処置の必要な患者に対して請求項27に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
前記障害が微生物感染である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記微生物感染が細菌感染または真菌感染である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記細菌感染がグラム陰性の感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細菌感染がグラム陽性の感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
1つ以上の追加の抗菌剤を投与する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記追加の抗菌剤が、グラム陰性細菌に対して活性である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記追加の抗菌剤が、グラム陽性の細菌に対して活性である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記微生物感染が、
【化63】

からなる群より選択される少なくとも1つの生物によって生じる、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記細菌感染が、
【化64】

からなる群より選択される、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2011−525927(P2011−525927A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516551(P2011−516551)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/048368
【国際公開番号】WO2009/158369
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】