説明

記憶装置、ナビゲーション装置、その制御方法及びプログラム

【課題】ナビゲーション並びにその記憶装置の技術において、外部記憶装置が温度の限界を超えても、ある程度の動作続行を可能とすること。
【解決手段】温度検出手段41が、HDD12に設ける温度センサなどによりHDD12の温度を検出し(温度検出処理)、一時記憶情報読込手段43は、この温度を監視し所定の温度に達したと判定すると、HDD12に記憶されている情報のうち、所定範囲を一時記憶手段6に読み込み(一時記憶情報読込処理)、このように読み込まれた情報を用いて、処理実行手段45は処理を実行することにより(実行処理)、HDDアクセス中止時も、しばらくは処理続行を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の発達に伴い、車載用などのナビゲーション装置の普及がめざましい。ナビゲーション装置は、GPSなどで得る自車の位置や方位を周辺地図上に画面表示したり、施設検索や地図スクロールなどで設定する目的地への経路を探索計算し、その経路に沿って画面表示や音声出力などで交差点での進行方向などの誘導案内を行うものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、地図データ(本出願においてコンピュータ上の「情報」を「データ」とも呼ぶ)等を保存しておく大容量の外部記憶装置として、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク装置(以降、「HDD」と呼ぶ)が使用され、近時ではオーディオ機能との一体化に伴う地図データの増加、音楽データの録音機能などにより、HDDを用いるいわゆるHDDナビが主流となっている。
【0004】
HDDナビでは、HDDへのアクセス(読み込み、書き込み)を温度で制限する場合がある。それは、季節などにより車内温度が高温になる場合があり、HDDアクセスにおいて、例えばHDDからメモリに読み込んだ情報にエラーがあったり、エラーを伴う書き込みが発生すると、システムの正常動作を妨げる問題が生じるからである。
【0005】
この問題への対策として、HDD内に内蔵の温度計で温度値を取得し、その温度値が設定値を越えた場合は、直ちに「高温のため、HDDからのデータ読み込みを禁止します」「高温のため、HDDへのデータ書き込みを禁止します」などのメッセージを出し、HDDのアクセスを停止する提案があった。
【特許文献1】特開2001−231081
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように、設定値を越えると直ちにHDDアクセスを停止するのでは、温度が設定値を一時的に越えたり戻ったりといったような場合に、アクセス中止のメッセージが何度も出たり、地図が現れたり消えたり、HDDから読み込んで再生している音楽が途中で途切れたり再生再開したりを繰り返すなど、ユーザに不快・不便を生じるという問題があった。
【0007】
HDDの温度に応じ、書込みアクセスにおいて試し書きや書込み電流の制御などを行うことで、重要データの喪失を避ける提案はあるが(例えば特許文献1)、アクセスの停止と再開の間歇による上記のような不快や不便を改善するものではなく、そのような不快や不便の解決が切望されていた。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、ナビゲーション並びにその記憶装置の技術において、外部記憶装置が温度の限界を超えても、ある程度の動作続行を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様は、記憶装置であって、情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の温度を検出する温度検出手段と、一時的に情報を記憶するための一時記憶手段と、前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度に達すると、前記記憶手段に記憶されている情報のうち、所定範囲を前記一時記憶手段に読み込む一時記憶情報読込手段と、前記一時記憶情報読込手段で読み込まれた情報で処理を実行する処理実行手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、内蔵HDDなどの記憶手段から地図や音楽の情報を所定の少量ずつ順次読み込みながら地図表示や音楽再生などを行っている際に、高温など所定温度に達すると、それまでの通常よりまとめて情報を一時記憶領域に読み込んでおき、それを使ってしばらくは処理を実行することにより、温度のためにHDDアクセス中止となっても地図表示や音楽再生が突然途切れるなどの不快や不便を効果的に抑制可能となる。
【0011】
本発明の他の態様は、さらに、前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度の場合に、前記記憶手段について記憶されている情報の読み込みを含むアクセスを中止する中止制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
このように、温度が所定範囲になると記憶手段へのアクセスを中止することにより、不完全な読み出しや書き込みによる機能不全を防止し、過熱状態も軽減可能となる。
【0013】
本発明の他の態様は、さらに、同じ前記所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みと、前記記憶手段へのアクセスの中止と、の両方を相次いで行うことを特徴とする。
【0014】
このように、ある特定の同じ温度で、一時記憶手段へのまとめ読み込みに加え、記憶手段へのアクセスも中止することにより、余裕を持ったアクセス中止で動作不全や故障が未然に回避でき、過熱時のクールダウンも早くすることが可能となる。
【0015】
本発明の他の態様は、さらに、前記一時記憶情報読込手段は、第1の所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みを開始し、前記中止制御手段は、前記第1の所定の温度より前記記憶手段の稼動に適しない第2の所定の温度において、前記記憶手段へのアクセスを中止することを特徴とする。
【0016】
このように、アクセス中止の温度ほど悪化する前に異なる温度で、予め余裕をもって一時記憶手段へのまとめ読み込みを開始し、必要に応じ繰返しておくことにより、記憶装置の調子や車体の振動など他の事柄の影響で予期せず早めにアクセス不能が生じても、動作が継続できる確実性が改善可能となる。
【0017】
本発明の他の態様は、さらに、前記記憶手段はハードディスク装置であることを特徴とする。
【0018】
このように、本発明をハードディスク装置に適用することにより、高速応答性とランダムアクセス性に優れ安価で大容量というハードディスク装置の利点を活かしながら、過熱による動作障害が発生しがちな欠点を抑制し、多くの記憶装置やナビゲーション装置においてユーザの不快や不便を効果的に抑制可能となる。
【0019】
本発明の他の態様は、さらに、上記いずれかの記憶装置を有し、自車位置並びに目的地への経路を計算並びに地図表示するナビゲーション装置において、前記記憶手段には、地図情報を予め記憶しておき、前記一時記憶情報読込手段は、前記所定の温度の場合に、自車位置周辺及び進行方向の経路周辺の地図情報を所定量、前記一時記憶手段に読み込み、前記処理実行手段は、前記読み込まれた前記地図情報を用いて地図表示を続行することを特徴とする。
【0020】
このように、ナビゲーションでの地図表示に本発明を適用することにより、温度によるHDDアクセス中止やその間歇の際にも、走行に応じたリアルタイムの地図表示が続行可能となるので、運転におけるユーザの不快や不便が効果的に緩和され、運転の安心感や安全性も改善可能となる。
【0021】
本発明の他の態様は、さらに、上記いずれかの記憶装置を有し、ナビゲーション処理並びに音楽の再生を行うナビゲーション装置において、前記記憶手段には、音楽の情報を予め記憶しておき、前記一時記憶情報読込手段は、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、その音楽の情報について記憶手段からの読み込みが完了していないときに、前記所定の温度になった場合、再生中の音楽の情報を前記一時記憶手段に読み込み、前記処理実行手段は、前記読み込まれた情報を用いて音楽の再生を続行することを特徴とする。
【0022】
このように、ナビゲーション装置での音楽情報の再生視聴中についても、本発明を適用することにより、温度によるHDDアクセス中止やその間歇の際にも、曲の再生を円滑に続行し、曲が途中で中断したり間歇する不快や不便が効果的に緩和され、快適なドライブ体験が効果的に護られる。
【0023】
本発明の他の態様は、さらに、前記一時記憶情報読込手段は、前記所定の温度になった際、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、次の曲まで所定秒数以内と判定した場合に、次の曲の情報を前記一時記憶手段に読み込むことを特徴とする。
【0024】
このように、HDDアクセス中止が曲の終わりかけだった場合も、次の曲を読み込むことにより、すぐに曲が聞けなくなるユーザの不快や不便が効果的に回避可能となる。
【0025】
本発明の他の態様は、さらに、前記中止制御手段は、前記一時記憶手段に読み込んでおいた情報を全て使い尽くした時点においても、前記温度が所定の範囲まで復帰しない場合に、アクセス中止の旨を画面表示することを特徴とする。
【0026】
このように、読み込んでおいた情報を全て使い果たしても、温度が正常範囲に戻らない場合に、アクセス中止の旨を画面表示することにより、情報を使い果たす前に温度が正常になって復旧したような場合は、不要な情報でユーザを煩わす事態が回避でき、ユーザの不快や不便を最小限に抑制可能となる。
【0027】
なお、方法及びプログラムについても、上記各態様に準じる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、ナビゲーション並びにその記憶装置の技術において、外部記憶装置が温度の限界を超えても、ある程度の動作続行を可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項は適宜省略する。
【0030】
〔1.構成〕
本実施形態は、ナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)と一体に構成された記憶装置に関するもので、本装置は、図1の構成図に示すように、GPSを利用した絶対位置・方位検出部1と、ジャイロ等を用いる相対方位検出部2と、車両から得る車速パルスを処理する車速検出部3と、システム全体を制御するメインCPU及びその周辺回路(「演算制御部」や「制御部」と総称もすることとする)4と、動作用のメモリ5,7並びに表示用のメモリ8と、を有する。
【0031】
また、10は、地図やメニューなどを画面表示するための表示部、11は、ユーザから操作や情報の入力を受け付ける入力部であり、9は、表示部10や入力部11と演算制御部4を結ぶユーザーインタフェース部である。また、12は、地図情報や音楽の情報(例えばmp3ファイルなど)といった情報を記憶する外部記憶装置すなわちハードディスク装置であり、HDD(12)のように表す。また、本装置は、一時的に情報を記憶するための一時記憶手段6として、DRAMなどの主メモリを用いるが、この一時記憶手段6は、演算制御部4から密接にアクセスされるものであり、理解を助けるために便宜上、演算制御部4の一部に示す。
【0032】
また、本装置では、演算制御部4を組込等のコンピュータプログラムで制御することにより、図1に示す各手段41〜47を実現する。これら各手段は、以下に説明するような本発明及び本実施形態における各機能作用を実現実行する処理手段である。
【0033】
〔2.作用及び効果〕
以上のように構成された本装置は、以下のように働く。
〔2−1.概要〕
まず、概要としては、温度検出手段41が、HDD12に設ける温度センサなどによりHDD12の温度を検出し(温度検出処理)、一時記憶情報読込手段43は、この温度を監視し所定の温度に達したと判定すると、HDD12に記憶されている情報のうち、所定範囲を一時記憶手段6にまとめて読み込み(一時記憶情報読込処理)、このように読み込まれた情報を用いて、処理実行手段45は処理を実行することにより(実行処理)、HDDアクセス中止時も、しばらくは処理続行を確保する。
【0034】
なお、一時記憶手段6にまとめて読み込む情報の所定範囲やその量は自由であるが、例えば、通常の周期的な読み込みの情報量をもとにその数倍から数十倍、数百倍のように決めてもよいし、主メモリの空き容量に対して75%や90%のように決めてもよい。
【0035】
また、中止制御手段47は、上記のように検出された温度が所定の温度の場合に、HDD12について、記憶されている情報の読み込みを含むアクセスを中止する(中止制御処理)。このように、温度が所定範囲になると記憶手段へのアクセスを中止することにより、不完全な読み出しや書き込みによる機能不全を防止し、過熱状態も軽減可能となる。
【0036】
〔2−2.バリエーション〕
ここで、本発明は、多様なバリエーションが考えられる。まず、動作の基準となる温度に関して、一つのパターンは、同じ所定の温度において、一時記憶手段6への読み込みと、HDD12へのアクセスの中止と、の両方を相次いで行うことである。このように、ある特定の同じ温度で、一時記憶手段6へのまとめ読み込みに加え、HDD12へのアクセスも中止することにより、余裕を持ったアクセス中止で動作不全や故障が未然に回避でき、過熱時のクールダウンも早くすることが可能となる。
【0037】
もう一つのパターンは、異なる温度を適用するもので、一時記憶情報読込手段43において、第1の所定の温度において、一時記憶手段6への読み込みを開始し、中止制御手段47は、前記第1の所定の温度よりHDD12の稼動に適しない第2の所定の温度において、HDD12へのアクセスを中止するものである。
【0038】
例えば、図2に示す例の高温側において、第1の所定の温度を80℃、第2の所定の温度を90℃とすると、例えば80℃以上90℃未満を注意範囲、90℃以上を動作不可能範囲とすることが考えられる。低温側についても同様である。
【0039】
このように、アクセス中止の温度ほど悪化する前に異なる温度で、予め余裕をもって一時記憶手段へのまとめ読み込みを開始し、必要に応じ繰返しておくことにより、記憶装置の調子や車体の振動など他の事柄の影響で予期せず早めにアクセス不能が生じても、動作が継続できる確実性が改善可能となる。
【0040】
また、本発明をナビゲーション装置に適用する場合、自車位置や目的地への経路を計算したり地図表示するといったナビゲーション処理について適用してもよいし、音楽の再生について適用してもよいし、双方へ適用してもよい。
【0041】
地図表示の場合、一時記憶情報読込手段43は、所定の温度の場合に、自車位置周辺及び進行方向の経路周辺の地図情報を所定量、HDD12から一時記憶手段6に読み込み、処理実行手段45は、このように読み込まれた地図情報を用いて地図表示を続行する。
【0042】
このように、ナビゲーションでの地図表示に本発明を適用することにより、温度によるHDDアクセス中止やその間歇の際にも、走行に応じたリアルタイムの地図表示が続行可能となるので、運転におけるユーザの不快や不便が効果的に緩和され、運転の安心感や安全性も改善可能となる。
【0043】
また、音楽の再生の場合、一時記憶情報読込手段43は、HDD12に記憶されている音楽を再生中で、かつ、その音楽の情報についてHDD12からの読み込みが完了していないときに、前記所定の温度になった場合、再生中の音楽の情報を一時記憶手段6に読み込み、処理実行手段45は、このように読み込まれた情報を用いて音楽の再生を続行する。
【0044】
このように、ナビゲーション装置での音楽情報の再生視聴中についても、本発明を適用することにより、温度によるHDDアクセス中止やその間歇の際にも、曲の再生を円滑に続行し、曲が途中で中断したり間歇する不快や不便が効果的に緩和され、快適なドライブ体験が効果的に護られる。
【0045】
また、音楽の再生については、一時記憶情報読込手段43は、前記所定の温度になった際、HDD12に記憶されている音楽を再生中で、かつ、次の曲まで所定秒数以内と判定した場合に、次の曲の情報も一時記憶手段6に読み込むようにしてもよい。
【0046】
このように、HDDアクセス中止が曲の終わりかけだった場合も、次の曲を読み込むことにより、すぐに曲が聞けなくなるユーザの不快や不便が効果的に回避可能となる。
【0047】
また、望ましくは、中止制御手段47は、一時記憶手段6に読み込んでおいた情報を全て使い尽くした時点においても、HDD12の温度が所定の範囲まで復帰しない(通常は下がらない)場合に、アクセス中止の旨、例えば「HDDの温度が正常動作範囲を超えています。処理を一時中断します」といった旨などを画面表示する。
【0048】
このように、読み込んでおいた情報を全て使い果たしても、温度が正常範囲に戻らない場合に、アクセス中止の旨を画面表示することにより、情報を使い果たす前に温度が正常になって復旧したような場合は、不要な情報でユーザを煩わす事態が回避でき、ユーザの不快や不便を最小限に抑制可能となる。
【0049】
〔2−3.動作手順の例〕
ここで、以上のようなバリエーションのうち、音楽の再生を例にとって、動作手順の一例を図3のフローチャートに示す。この手順は、例えば、HDDの正常動作範囲を−90℃〜+90℃とし、このうち、−80℃以下は低温側の限界に近い注意範囲と判定し、+80℃以上は高温側の限界に近い注意範囲と判定し、±80℃で注意範囲に達した時点で一時記憶手段6へ音楽情報をまとめ読み込みし、±90℃でHDDアクセス中止とするが、その事実は、温度が戻らないまま音楽情報を使い尽くした場合にユーザに報知する例である。
【0050】
具体的には、この図の動作手順は、例えば5秒毎に繰返するもので、そのたびにまず、HDDの温度を取得して(ステップS01)チェックし、80℃以上なら(ステップS06)現在再生中の音楽情報をメモリすなわち一時記憶手段6に一括読み込みし(ステップS07)、90℃以上になると(ステップS02)メモリに読み込んでおいた音楽情報の再生を開始する(ステップS09)。
【0051】
90℃以上のまま(ステップS02)その曲の音楽情報を全て再生完了した場合は(ステップS10)、「高温のため、HDDにアクセスできません」などHDDアクセス中止のメッセージを表示し、ナビゲーションや音楽再生などの動作を中断し(ステップS11)、90℃以上でこのメッセージを表示したことを表すフラグAccessStopを「1」にセットする。
【0052】
温度が90℃未満で(ステップS02)このフラグが「1」の場合は(ステップS03)、HDD12の温度が正常動作範囲に復帰した場合であるから、アクセス中止のメッセージを画面から消去し(ステップS04)、フラグを0にリセットするが(ステップS05)、さらに温度が80℃未満になれば(ステップS06)、情報の一括読み込みも行わず、通常の動作となる。
【0053】
なお、この図3の例は、主に音楽の再生について説明したが、同様の処理は、地図情報に基く自車位置周辺の地図表示や経路の表示にも同様に適用可能であり、この場合、HDDアクセス中止のメッセージは表示範囲の地図情報を使い尽くした時点で表示する。
【0054】
〔2−4.効果〕
以上のように、本実施形態では、内蔵HDDなどの記憶手段から地図や音楽の情報を所定の少量ずつ順次読み込みながら地図表示や音楽再生などを行っている際に、高温など所定温度に達すると、それまでの通常よりまとめて情報を一時記憶領域に読み込んでおき、それを使ってしばらくは処理を実行することにより、温度のためにHDDアクセス中止となっても地図表示や音楽再生が突然途切れるなどの不快や不便を効果的に抑制可能となる。
【0055】
特に、本実施形態では、本発明をハードディスク装置に適用することにより、高速応答性とランダムアクセス性に優れ安価で大容量というハードディスク装置の利点を活かしながら、過熱による動作障害が発生しがちな欠点を抑制し、多くの記憶装置やナビゲーション装置においてユーザの不快や不便を効果的に抑制可能となる。
【0056】
〔3.他の実施形態〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するもの及びそれ以外の他の実施形態も含むものである。例えば、本発明は、ハードディスク以外の各種の媒体を用いた記憶装置やナビゲーションにも適用可能である。また、上記実施形態は、ナビゲーション装置と一体化した記憶装置に関するもので、温度検出手段41、一時記憶手段6、一時記憶情報読込手段43、中止制御手段47、処理実行手段45は、HDD12の外部の演算制御部4などの機能として示したが、本発明は、それらの各手段の機能を内蔵した記憶装置単体や、ナビゲーション装置以外の例えば映像音響機器や汎用のパーソナルコンピュータなどとしても把握可能である。
【0057】
また、本発明は、それら各装置に対応する方法やコンピュータプログラムとしても把握可能であり、例えば、既存のナビゲーション装置のために有償無償でダウンロード提供する更新用等のプログラムも、本発明の一態様である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態における温度の範囲を例示する概念図。
【図3】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【符号の説明】
【0059】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…演算制御部
6…一時記憶手段
9…ユーザインタフェース部
10…表示部
11…入力部
12…ハードディスク装置(HDD)
41…温度検出手段
43…一時記憶情報読込手段
45…処理実行手段
47…中止制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の温度を検出する温度検出手段と、
一時的に情報を記憶するための一時記憶手段と、
前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度に達すると、前記記憶手段に記憶されている情報のうち、所定範囲を前記一時記憶手段に読み込む一時記憶情報読込手段と、
前記一時記憶情報読込手段で読み込まれた情報で処理を実行する処理実行手段と、
を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度の場合に、前記記憶手段について、記憶されている情報の読み込みを含むアクセスを中止する中止制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
同じ前記所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みと、前記記憶手段へのアクセスの中止と、の両方を相次いで行うことを特徴とする請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
前記一時記憶情報読込手段は、第1の所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みを開始し、
前記中止制御手段は、前記第1の所定の温度より前記記憶手段の稼動に適しない第2の所定の温度において、前記記憶手段へのアクセスを中止する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記記憶手段はハードディスク装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記憶装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の記憶装置を有し、自車位置並びに目的地への経路を計算並びに地図表示するナビゲーション装置において、
前記記憶手段には、地図情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込手段は、前記所定の温度の場合に、自車位置周辺及び進行方向の経路周辺の地図情報を所定量、前記一時記憶手段に読み込み、
前記処理実行手段は、前記読み込まれた前記地図情報を用いて地図表示を続行する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の記憶装置を有し、ナビゲーション処理並びに音楽の再生を行うナビゲーション装置において、
前記記憶手段には、音楽の情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込手段は、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、その音楽の情報について記憶手段からの読み込みが完了していないときに、前記所定の温度になった場合、再生中の音楽の情報を前記一時記憶手段に読み込み、
前記処理実行手段は、前記読み込まれた情報を用いて音楽の再生を続行する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
前記一時記憶情報読込手段は、前記所定の温度になった際、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、次の曲まで所定秒数以内と判定した場合に、次の曲の情報を前記一時記憶手段に読み込む
ことを特徴とする請求項6又は7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記中止制御手段は、前記一時記憶手段に読み込んでおいた情報を全て使い尽くした時点においても、前記温度が所定の範囲まで復帰しない場合に、アクセス中止の旨を画面表示する
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の温度を検出する温度検出手段と、
を有する記憶装置の制御方法であって、
前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度に達すると、前記記憶手段に記憶されている情報のうち、所定範囲を、所定の一時記憶手段に読み込んで一時的に記憶させる一時記憶情報読込処理と、
前記一時記憶情報読込処理で読み込まれた情報で処理を実行する実行処理と、
を含むことを特徴とする記憶装置の制御方法。
【請求項11】
前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度の場合に、前記記憶手段について、記憶されている情報の読み込みを含むアクセスを中止する中止制御処理を含む
ことを特徴とする請求項10記載の記憶装置の制御方法。
【請求項12】
同じ前記所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みと、前記記憶手段へのアクセスの中止と、の両方を相次いで行うことを特徴とする請求項11記載の記憶装置の制御方法。
【請求項13】
前記一時記憶情報読込処理は、第1の所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みを開始し、
前記中止制御処理は、前記第1の所定の温度より前記記憶手段の稼動に適しない第2の所定の温度において、前記記憶手段へのアクセスを中止する
ことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の記憶装置の制御方法。
【請求項14】
前記記憶手段として、ハードディスク装置を用いることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の記憶装置の制御方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一項に記載の記憶装置の制御方法を用い、自車位置並びに目的地への経路を計算並びに地図表示するナビゲーション装置の制御方法において、
前記記憶手段には、地図情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込処理は、前記所定の温度の場合に、自車位置周辺及び進行方向の経路周辺の地図情報を所定量、前記一時記憶手段に読み込み、
前記実行処理は、前記読み込まれた前記地図情報を用いて地図表示を続行する
ことを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項16】
請求項10から14のいずれか一項に記載の記憶装置の制御方法を用い、ナビゲーション処理並びに音楽の再生を行うナビゲーション装置の制御方法において、
前記記憶手段には、音楽の情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込処理は、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、その音楽の情報について記憶手段からの読み込みが完了していないときに、前記所定の温度になった場合、再生中の音楽の情報を前記一時記憶手段に読み込み、
前記実行処理は、前記読み込まれた情報を用いて音楽の再生を続行する
ことを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項17】
前記一時記憶情報読込処理は、前記所定の温度になった際、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、次の曲まで所定秒数以内と判定した場合に、次の曲の情報を前記一時記憶手段に読み込む
ことを特徴とする請求項15又は16記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項18】
前記中止制御処理は、前記一時記憶手段に読み込んでおいた情報を全て使い尽くした時点においても、前記温度が所定の範囲まで復帰しない場合に、アクセス中止の旨を画面表示する
ことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項19】
情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の温度を検出する温度検出手段と、
制御部と、
を有する記憶装置の制御プログラムであって、
そのプログラムは前記制御部を制御することにより、一時記憶情報読込手段と、処理実行手段と、を実現するとともに、
前記一時記憶処理読込手段に、前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度に達すると、前記記憶手段に記憶されている情報のうち、所定範囲を、所定の一時記憶手段に読み込んで一時的に記憶させる一時記憶情報読込処理、を行わせ、
前記処理実行手段に、前記一時記憶情報読込処理で読み込まれた情報で処理を実行する実行処理、を行わせる
ことを特徴とする記憶装置の制御プログラム。
【請求項20】
前記温度検出手段で検出された温度が所定の温度の場合に、前記記憶手段について、記憶されている情報の読み込みを含むアクセスを中止する中止制御処理を行わせる
ことを特徴とする請求項19記載の記憶装置の制御プログラム。
【請求項21】
同じ前記所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みと、前記記憶手段へのアクセスの中止と、の両方を相次いで行わせることを特徴とする請求項20記載の記憶装置の制御プログラム。
【請求項22】
前記一時記憶情報読込処理により、第1の所定の温度において、前記一時記憶手段への読み込みを開始させ、
前記中止制御処理により、前記第1の所定の温度より前記記憶手段の稼動に適しない第2の所定の温度において、前記記憶手段へのアクセスを中止させる
ことを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載の記憶装置の制御プログラム。
【請求項23】
前記記憶手段として、ハードディスク装置を用いることを特徴とする請求項19から22のいずれか一項に記載の記憶装置の制御プログラム。
【請求項24】
請求項19から23のいずれか一項に記載の記憶装置の制御プログラムを用い、自車位置並びに目的地への経路を計算並びに地図表示するナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記記憶手段には、地図情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込処理により、前記所定の温度の場合に、自車位置周辺及び進行方向の経路周辺の地図情報を所定量、前記一時記憶手段に読み込ませ、
前記実行処理により、前記読み込まれた前記地図情報を用いて地図表示を続行させる
ことを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項25】
請求項19から23のいずれか一項に記載の記憶装置の制御プログラムを用い、ナビゲーション処理並びに音楽の再生を行うナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記記憶手段には、音楽の情報を予め記憶しておき、
前記一時記憶情報読込処理により、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、その音楽の情報について記憶手段からの読み込みが完了していないときに、前記所定の温度になった場合、再生中の音楽の情報を前記一時記憶手段に読み込ませ、
前記実行処理により、前記読み込まれた情報を用いて音楽の再生を続行させる
ことを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項26】
前記一時記憶情報読込処理により、前記所定の温度になった際、前記記憶手段に記憶されている音楽を再生中で、かつ、次の曲まで所定秒数以内と判定した場合に、次の曲の情報を前記一時記憶手段に読み込ませる
ことを特徴とする請求項24又は25記載のナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項27】
前記中止制御処理により、前記一時記憶手段に読み込んでおいた情報を全て使い尽くした時点においても、前記温度が所定の範囲まで復帰しない場合に、アクセス中止の旨を画面表示させる
ことを特徴とする請求項24から26のいずれか一項に記載のナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−90875(P2008−90875A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266966(P2006−266966)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】