説明

設備機器

【課題】 床からの寸法位置を検出し、その測定結果から所定情報を演算する演算手段を有することにより、使用者の成長に関連する情報を報知することを可能とする。
【解決手段】 本発明では、ジャッキまたはレールに取り付けられている寸法位置検出手段によって大便器の高さ位置を測定し、その結果から下肢長さ寸法を推定演算している。大便器の寸法位置検出手段において測定された高さ位置情報は、制御手段の中にある報知手段によって使用者に報知され、使用者は報知された位置情報をもとに上下手段を操作することにより、便器を最適な位置まで移動させることができ、下肢長さ寸法を推定演算することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が着座した座面高さが変化する設備機器に係り、特に、使用者の身長を計測することができる設備機器に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人の成長を確認するために、体重とともに身長を計測して、その経時的な変化を追っていくことをする。特に子供の成長を簡便に知る方法としては、建物の柱に身長の目印をマークする方法が良くなされている。しかしながら建物に傷をつける方法は、家族構成の変化、家の構造事情等で、使用者から嫌われるようになり、同じく成長を把握することができる体重計において、体重と身長を同時に記憶して成長状況を把握しやすくしているものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、身長を非接触の光センサーなどを利用して測定しようとしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3874243号
【特許文献2】特開2003−28628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の技術は、身長測定するための装置が別途必要であり、また、設置場所についても、一般家庭では、常設しておく空間の確保が困難な場合があり、計測に際しては、収納場所や設置場所に移動し準備をするなど、準備作業の煩雑さから、特に、経時的な身長の変化を定期的に計測していくに際し、支障となる可能性があった。
【0006】
本発明は、身長の計測に煩雑な準備の必要の無い、簡便に身長を測定可能な設備機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、水平面上に設置され、使用者が腰掛状態にて着座することが可能な設備機器であって、座面を昇降させる昇降手段と、昇降開始及び停止を行う操作手段と、前記水平面から座面高さを検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の検出結果から使用者の身長を演算する演算手段とを有することを特徴した。
【0008】
本発明によれば、日常生活行動の中で、普通に行われる腰掛状態で着座する行為に連動させて、身長を計測できるようになるので、煩雑な準備の無く簡便に計測が可能となる。
なお、水平面からの座面高さは、人の膝下長さに近似でき、且つ、膝下長さと身長とは相関関係を有することから、その相関式と座面高さの検出結果から身長を近似できるものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記設備機器が洋風大便器を備えた衛生設備機器とした。
【0010】
本発明によれば、便器の利用は、略毎日行う行為であり、また、比較的時間的な余裕もあることから、身長計測が面倒になるといった不具合もなく、計測が行える。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記演算された身長を報知する報知手段を更に有することを特徴とした。
【0012】
演算された身長を表示させたり、音声によって知らせることで、使用者が簡便に成長具合を知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、身長を測るための特別な装置を設けることなく簡便に身長を測定することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施形態の衛生設備機器を示す斜視図である。図1を使用して、本実施例における衛生設備機器の全体構成について以下に述べる。
【0015】
参照符号1は、衛生設備機器で、使用者が大小便などの排泄物を排泄する後述のボールを有し便器洗浄機能などの通常の便器機能を備えた洋風大便器2を有している。洋風大便器2のトイレの壁W側(図面左方向)となる後方には、キャビネット3が配置されている。キャビネット3内には、後述する洋風大便器2を昇降させるための昇降手段4が、配置され、洋風大便器2は、その昇降手段4に固定されている。また、衛生設備機器1の側面のトイレ壁面には、昇降手段4によって昇降する洋風大便器2の昇降開始及び停止を指示する操作手段としてのリモコン5が設けられている。
【0016】
参照符号Mは、人の下肢部分で洋風大便器に、足の裏全面を水平面となる床面Fに置いて、膝上と膝下が略垂直になる状態にした際、膝下の長さは、洋風段便器の着座面高さLと略同じとなる。
【0017】
図2は、衛生設備機器全体を示す内観図である。図2を使用して、本実施形態における衛生設備機器の構造について更に詳細に述べる。
【0018】
洋風大便器1は溜水を溜めたボール6、排水ソケット7、横引管8を経て排泄物を排水配管10に排出している。ジャッキ11は取付板12をレール13に対して上下移動させるようになっている。なおレール13の上端14は前方に向け傾斜しており、ジャッキ11による上下移動によって、洋風大便器1が前方に向かって傾斜できるよう回動手段となっている。昇降手段4の回動と上下移動を同一のアクチュエータで実施しているが、各々は独立のものであったり、回動手段を省略したものであっても良い。レール13はフレーム15によって支えられている。ジャッキ11と連接する取付板12の前面には取付ボルト16が取り付けられ、洋風大便器2に設けられた取付穴2aに挿入した後、図示しないナットで固定されるようになっている。キャビネット3は前板3aと側板3bで固定されている。
【0019】
また、位置検出手段20はジャッキ11またはレール13に取り付けられている。ジャッキ11に取り付ける場合は回動角を検出するエンコーダーであったり、レール13に取り付けられるラインセンサーによって洋風大便器2の座面高さLを測定する。
【0020】
昇降手段4は、洋風大便器4のみの重量を回動および上下移動させるパワーを発生し、それ以上の負荷に対してはスリップするような動作仕様とするだけでなく、使用者の体重を含めたパワーを発生するものであってもよい。使用者の体重を含めたパワーを発生するものである場合、使用者の立ち上がりを補助することも可能である。
【0021】
図3は、衛生設備機器の作動を説明するシステムブロック図である。図3を使用して、本実施例における測定結果から所定情報を演算する関連動作について以下に述べる。
【0022】
使用者は、洋風大便器2に着座した後に、自分の膝上と膝下の下肢の角度が略直角になるように昇降手段4をリモコン5の操作手段を利用して調整する。調整後が完了した後に、リモコン5の操作手段で位置を決定することで、位置検出手段20が座面高さを検出することになる。
図3において、制御手段40は駆動動作のトリガーを与える操作手段(リモコン5)、位置検出手段20の情報を演算する演算手段41、および演算結果を報知する報知手段42が内蔵されている。
【0023】
図2の衛生設備機器の位置検出手段20において測定された座面高さ位置情報は、制御手段40の中にある演算手段41により演算した後、演算された身長情報をリモコン5への表示などの報知手段42によって使用者に報知される。
【0024】
図4は、本発明の衛生設備機器で得られた情報を演算するため必要な基礎データであるり、人の膝下長に対する身長をプロットしたグラフである。図4を使用して、測定結果から下肢長さ寸法を身長情報として推定演算する方法について以下に述べる。
【0025】
人の膝下長に対する身長を調査したところ、図4のような相関関係があることが分かった。このグラフを一次で近似することによって得られた直線は以下の式となる。
y=0.3x+24
位置検出手段によって得られ、演算手段を用いて演算された膝下長さの測定値から、制御手段の中の演算を行う際に上記式を用いることによって、膝下長さ寸法を測定すると同時に、使用者の身長を推定することができる。
【0026】
図5は、本発明の衛生設備機器で得られた情報を使用者に報知する際の表示例である。実測された膝下長から、推定された身長情報が開示されるようになっている。
【0027】
なお、上記実施形態では、洋風大便器を備えた衛生設備機器について説明したが、上記したように、本発明は、腰掛状態で着座した際の膝下長さを計測することで、身長を演算しようとするものでありますので、腰掛状態で着座できる設備機器であればどんなものでも採用できる。例えば、椅子は好適に利用できるものである。上記実施例では、昇降動作と連動させて位置を検出できるようにセンサを利用したが、例えば、椅子の座面支持部の軸部分にメモリを刻んで座面高さが決まった後にメモリを確認するようにして良い。目盛りには、膝下長さと共に演算した身長を表記するようにすれば、簡便に身長を確認することが可能となる。
また、使用者の個人の測定結果を記憶する記憶手段を設けて、成長度合いを経時的に記憶するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態である衛生設備機器を示す図である。
【図2】本発明の実施形態である衛生設備機器を示す内観図である。
【図3】本発明の実施形態である衛生設備機器の作動を説明するシステムブロック図である。
【図4】本発明の実施形態である衛生設備機器で得られた情報を演算するため必要な基礎データであり、人の膝下長に対する身長をプロットしたグラフである。
【図5】本発明の実施形態である衛生設備機器で得られた情報を使用者に報知する際の表示例である。
【符号の説明】
【0029】
1…衛生設備機器
2…洋風大便器
3…キャビネット
4…昇降手段
5…リモコン(操作手段)
20…位置検出手段
40…制御手段
41…演算手段
42…報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面上に設置され、使用者が腰掛状態にて着座することが可能な設備機器であって、
座面を昇降させる昇降手段と、
昇降開始及び停止を行う操作手段と、
前記水平面から座面高さを検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果から使用者の身長を演算する演算手段とを有する
ことを特徴とする設備機器。
【請求項2】
前記設備機器が洋風大便器を備えた衛生設備機器であることを特徴とする請求項1記載の設備機器。
【請求項3】
前記位置検出手段が、目盛りであることを特徴とする請求項1または2記載の設備機器。
【請求項4】
前記演算された身長を報知する報知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の設備機器。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−227155(P2010−227155A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75287(P2009−75287)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】