説明

設定引継ぎシステム、および設定引継ぎ方法

【課題】画像読取動作や印刷動作を中断する場合であっても、ユーザの利便性の低下を抑制可能な設定引継ぎシステム、および設定引継ぎ方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る設定引継ぎシステムでは、MFPデバイス10と、ストレージサーバ20とがネットワークを介して接続されている。ステップS101にてユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する。ステップS102にて、ストレージサーバ20から、ユーザ情報に関連付けられたジョブ情報を取得する。スキャンを中断する場合は(ステップS1042)、中断前に設定されたスキャン設定情報、および中断前までにスキャンされたスキャン済みの画像データを取得する(ステップS1044)。MFPデバイス10は、再開時に、ストレージサーバ20から取得したスキャン設定情報に基づいて、スキャンを行う(ステップS1034)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にスキャンや印刷を途中まで行い、その際の設定をLAN/インターネットを介して接続するストレージサーバに保存し、スキャンや印刷を再開する際に設定を引き継ぐことが可能な、設定引継ぎシステム、および設定引継ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、IT環境の整備が充実し、また、セキュリティの向上により個別ユーザの情報を安全に扱うことが可能となっている。その結果、オフィスだけでなく、コンビニ等のパブリックな環境においてもインターネット等のネットワークを利用したストレージサービスの提供が盛んになってきている。これによって、ユーザは、コンビニでスキャンした原稿を画像データとしてストレージサーバに保存し、オフィスや家で参照することができる。また、オフィスや家でストレージサーバに保存したファイル(画像データやOffice文書等を含む)をコンビニで印刷したりすることも可能である。
【0003】
しかし、ユーザがスキャンを中断した場合、再度1ページ目からスキャンのやり直しを行うか、残りのページをスキャンして、後から2つのファイル(中断する前後の各々のスキャン文書)を1つのファイルにまとめる作業を行わなければならなかった。その場合には、特許文献1に示されている通り、スキャンを途中で中断した場合に、途中までスキャンを行うことによって得た画像データと、後からスキャンされて得た残りのデータを1つのものとして扱うことができることが先行技術として確立されている。
【0004】
また、特許文献2に示されている通り、印刷設定条件を印刷対象データに関連付けた1つのジョブとしてプリンタのローカルな記憶領域に保存しておき、後からジョブを指定することによって印刷を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−237403号公報
【特許文献2】特開2005−11232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1では、ユーザがスキャンを中断した場合、画像データは1つのものとして扱うことができる。しかしながら、特許文献1では、2回目のスキャン操作によって得た画像データは解像度やモノクロ・カラーの色指定、原稿ファイルのサイズ指定、読み込み濃度など、スキャン設定が異なってしまう場合がある。よって、ユーザが意識して確認しなければ統一的なファイルが作成できないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2では、中断時のスキャン設定や印刷設定を保存したとしても、保存先がスキャナやプリンタのローカルな記憶領域であったため、他のスキャナやプリンタで共有することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解消するためになされたもので、画像読取動作や印刷動作を中断する場合であっても、ユーザの利便性の低下を抑制可能な設定引継ぎシステム、および設定引継ぎ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明は、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、前記画像処理装置は、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する手段と、前記画像処理動作を中断する手段と、前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する手段と、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、前記情報処理装置は、前記画像処理装置から、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する手段と、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、前記画像処理装置は、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像読取動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、前記画像処理装置は、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた第1のスキャン設定情報を取得する手段と、前記画像読取動作を中断する手段と、前記中断前に設定された、前記画像読取動作に関する第2のスキャン設定情報、および前記中断前までにスキャンされたスキャン済みの画像データを取得する手段と、前記第2のスキャン設定情報と、前記スキャン済みの画像データと、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、前記情報処理装置は、前記画像処理装置から、前記第2のスキャン設定情報と、前記スキャン済みの画像データと、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記第2のスキャン設定情報と前記スキャン済みの画像データとを、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報に関連付けてジョブとして保存する手段と、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記第1のスキャン設定情報の取得要求を受信すると、前記ジョブを参照して前記第1のスキャン設定情報を抽出し、該抽出された第1のスキャン設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、前記画像処理装置は、前記中断された画像読取動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した第1のスキャン設定情報に基づいて、前記画像読取動作を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、画像印刷動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた第1の印刷設定情報を取得する手段と、印刷すべき画像データを取得する手段と、前記印刷すべき画像データに基づいて前記画像印刷動作を行う手段と、前記画像印刷動作を中断する手段と、前記中断前に設定された、前記画像印刷動作に関する第2の印刷設定情報を取得する手段と、前記第2の印刷設定情報と、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、前記情報処理装置は、前記画像処理装置から、前記第2の印刷設定情報と、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記第2の印刷設定情報を、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報に関連付けてジョブとして保存する手段と、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記第1の印刷設定情報の取得要求を受信すると、前記ジョブを参照して前記第1の印刷設定情報を抽出し、該抽出された第1の印刷設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、前記画像処理装置は、前記中断された画像印刷動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した第1の印刷設定情報に基づき、かつ前記印刷すべき画像データに基づいて、前記画像印刷動作を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、情報処理装置にネットワークを介して接続され、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置であって、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する手段と、前記画像処理動作を中断する手段と、
前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する手段と、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを備え、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置にネットワークを介して接続された情報処理装置であって、前記画像処理装置において前記画像処理動作の中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを、前記画像処理装置から受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する手段と、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムにおける設定引継ぎ方法であって、前記画像処理装置が、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する工程と、前記画像処理装置が、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する工程と、前記画像処理装置が、前記画像処理動作を中断する工程と、前記画像処理装置が、前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する工程と、前記画像処理装置が、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する工程と、前記情報処理装置が、前記画像処理装置から、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する工程と、前記情報処理装置が、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する工程とを有し、前記画像処理装置は、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、情報処理装置にネットワークを介して接続され、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置における設定引継ぎ方法であって、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する工程と、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する工程と、前記画像処理動作を中断する工程と、前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する工程と、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する工程とを有し、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置にネットワークを介して接続された情報処理装置における設定引継ぎ方法であって、前記画像処理装置において前記画像処理動作の中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを、前記画像処理装置から受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する工程と、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スキャン設定や印刷設定をネットワーク上の情報処理装置に保存し、再開する際にその設定を使用することができるため、2回以上のスキャンや印刷でも同じ設定を使用することができる。また、ネットワーク上の情報処理装置に設定を保存するため、特定のスキャナやプリンタからでなくても設定情報を参照、使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の一実施形態は、スキャナ等による画像読取動作やプリンタ等による印刷動作を中断しても、中断前と同じスキャン設定や印刷設定を使用可能にするものである。さらに、再開後に異なるスキャナやプリンタを使用しても、同じ設定で画像処理動作(スキャン動作、印刷動作)を行うものである。本発明の設定引継ぎシステムでは、画像処理装置(複合機、スキャナ、プリンタ等)とストレージサーバ等の情報処理装置とを、ネットワーク(インターネット、LAN、またはそれらを組み合わせたもの)を介して接続する。なお、上記画像処理装置は、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な装置である。
【0019】
スキャン動作の場合、設定引継ぎシステムは、スキャンをエラーやユーザの所望により中断した際に、スキャン済みの画像データに加えてスキャン設定に関するスキャン設定情報も一緒に、情報処理装置にて、ユーザに関連付けて一時保存する。ユーザが、中断したスキャンを再開する際に、画像処理装置は、ネットワーク上に配置された上記情報処理装置に保存されているスキャン設定情報に基づいてスキャンを行う。よって、中断前と中断後において、スキャンによって得られた画像データの特性(解像度、モノクロ・カラーの色指定、原稿ファイルのサイズ指定、読み込み濃度等)を同一にすることができる。
【0020】
また、スキャン済みの画像データやスキャン設定情報を、ネットワーク上に配置された情報処理装置に、所定のユーザに関連付けて保存しているので、スキャンの再開を、スキャン中断前にスキャンを行っていた装置とは別の装置でも行うことができる。また、中断前にスキャンされたスキャン済みの画像データ、および再開後のスキャン済みの画像データを情報処理装置において保存し、結合するので、ネットワークにアクセス可能な場所において、結合後の画像データを共有することができる。
【0021】
一方、印刷動作の場合、設定引継ぎシステムは、印刷をエラーやユーザの所望により中断した際に、印刷設定に関する印刷設定情報を、情報処理装置にて、ユーザに関連付けて一時保存する。ユーザが、中断した印刷を再開する際に、画像処理装置は、上記情報処理装置に保存されている印刷設定情報に基づいて印刷を行う。よって、中断前と中断後とにおいて、印刷された画像の特性(印刷倍率、モノクロ・カラーの色指定、印刷部数等)を同一にすることができる。
【0022】
印刷中断時に、印刷設定情報に加えて、印刷済みの画像データも画像処理装置にて管理するようにしても良い。このようにすることによって、上記再開時に、情報処理装置に保存された印刷済みの画像データに基づいて印刷することによって、中断前の印刷済み画像に続くように印刷を行うことができる。
【0023】
このように、本発明の一実施形態に係る設定引継ぎシステムを用いれば、中断されたスキャンや印刷に関するスキャン設定や印刷設定を、関連したユーザと関連付けてネットワーク上の情報処理装置に保存している。そして、スキャンや印刷の再開時に、情報処理装置に保存された情報に基づいてスキャン動作、印刷動作を行うので、あるスキャンプロセスや印刷プロセスについて、中断前の設定を、中断後に引き継ぐことができる。よって、再開時に改めて設定を入力する必要も無く、さらに、中断前とは別の装置でもスキャンや印刷を再開することができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0024】
なお、本明細書において、「スキャン設定」とは、スキャン動作前にユーザが行うスキャンのための任意の設定である。このような任意の設定は、例えば、解像度、モノクロ・カラーの色指定、原稿ファイルのサイズ指定、読み込み濃度等を含むが、これらに限定されるものではなく、装置の仕様によって変わってくる。なお、スキャン設定情報は、あるスキャン動作前にユーザによって設定されたスキャン設定を少なくとも含んでいれば良く、予め固定で設定されたデフォルト値を含んでいても良い。
【0025】
また、本明細書において、「印刷設定」とは、印刷動作前にユーザが行う印刷のための任意の設定である。このような任意の設定は、例えば、印刷倍率、モノクロ・カラーの色指定、印刷部数等を含むが、これらに限定されるものではなく、装置の仕様によって変わってくる。なお、印刷設定情報は、ある印刷動作前にユーザによって設定された印刷設定を少なくとも含んでいれば良く、予め固定で設定されたデフォルト値を含んでいても良い。
【0026】
本発明の一実施形態では、スキャン設定を示す情報がスキャン設定情報となり、印刷設定を示す情報が印刷設定情報となる。本明細書では、スキャン設定情報と印刷設定情報とを総じて「設定情報」と呼ぶ。すなわち、設定情報は、ある画像処理(スキャン、印刷)においてユーザが指定した、画像処理装置の画像処理動作(画像読取動作や画像印刷動作)の設定に関する情報である。
【0027】
さらに、本明細書において、「ジョブ」とは、ある画像処理動作(スキャンおよび印刷)において所望に応じて設定された設定情報を、該設定に関するユーザ情報に関連付けて管理するための情報である。上記ジョブは、例えば、データベース等で実現することができる。
【0028】
なお、印刷の場合においては、上記ジョブを、プリンタ等の画像形成装置に送信される、印刷すべき画像データ、印刷時の設定(印刷枚数、レイアウト等)等を含んだ印刷ジョブとしても良い。ただし、この場合は、印刷ジョブは、印刷設定情報を少なくとも含んでおり、ユーザ情報と関連付けられている必要がある。
【0029】
本明細書において、「ユーザ情報」とは、所望の設定を行ったユーザや該設定を用いたいユーザを、画像処理装置や情報処理装置が特定するための情報である。本実施形態では、後述するように、ユーザ情報は、ユーザがIDやパスワードを入力することによるユーザ認証によって生成される。なお、ユーザは、1人であっても良いし、複数人であっても良い。
【0030】
また、本実施形態では、ジョブとして管理する情報として、スキャンや印刷等の処理済の画像データを含ませても良い。スキャン処理の場合は、上記処理済の画像データはスキャン済みの画像データとなり、ジョブでは、スキャン済みの画像データとスキャン設定情報とが関連するユーザ情報に関連付けられて管理されることになる。また、印刷処理の場合は、上記処理済の画像データは印刷済みの画像データとなり、ジョブでは、印刷済みの画像データと印刷設定情報とが関連するユーザ情報に関連付けられて管理されることになる。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本実施の形態に係る設定引継ぎシステムのシステム構成図である。
【0032】
図1において、符号10は、画像処理装置であって、スキャナ機能(画像読取機能)およびプリンタ機能(印刷機能)を有するMFPデバイス(複合機も同じ意味である)である。符号20は、情報処理装置であって、ストレージサーバである。符号30は、ストレージサーバ20と連携し、タイムスタンプ付与機能を提供することができるタイムスタンプサービスである。符号40は、ストレージサーバ20と連携して文書の検索、参照、編集、削除などの操作を行うストレージサーバクライアント40である。
【0033】
MFPデバイス10、ストレージサーバ20、タイムスタンプサービス30、およびストレージサーバクライアント40とは互いにインターネットを介して接続されている。
【0034】
本実施形態においては、全ての構成要素がインターネットで接続されている場合について述べるが、一部の構成要素のみがインターネットを介して接続されており、その他の構成要素はLANを介して接続されていても構わない。また、全ての構成要素がLANを介して接続されていても構わない。すなわち、本実施形態では、設定引継ぎシステムを構成する各構成要素は、LAN、インターネット等のネットワークを介して接続されている。
【0035】
さらに、これらの構成要素が一つのみ存在する場合について述べるが、各構成要素が複数存在しても構わない。
【0036】
本実施形態では、MFPデバイス10が、スキャナ等の、原稿を読み取って画像データを取得するための画像読取部(不図示)、およびプリンタ等の、画像データを指定して印刷するための画像印刷部(不図示)を備えている。
【0037】
なお、本実施形態では、画像処理装置は、画像読取部および画像印刷部を備えているが、これに限定されず、画像読取部および画像印刷部のいずれか一方のみを備えるものであっても良い。すなわち、本発明の画像処理装置は、画像読取部および画像印刷部の少なくとも一方を備えるものである。
【0038】
さて、MFPデバイス10は、該MFPデバイス10が備える記憶部(不図示)に格納されている制御プログラムに従って装置全体の制御を行うCPU(不図示)を備えている。以下では、このCPUをMFPCPUと呼ぶ。上記記憶部(以下、MFP記憶部と呼ぶ)は、MFPCPUが実行する図2、6、8、9等の後述するフローチャートに示す処理等、MFPデバイス10の制御プログラム等を格納するROMを有している。また、MFP記憶部は、MFPCPUの処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM等も有している。
【0039】
さらに、MFPデバイス10は、所定の指令あるいはデータなどを入力するキーボードあるいは各種スイッチなどを含むMFP入力操作部(不図示)、および装置の入力・設定状態などをはじめとする種々の表示を行うMFP表示部(不図示)等も備える。
【0040】
一方、ストレージサーバ20は、該ストレージサーバ20が備える記憶部(不図示)に格納されている制御プログラムに従って装置全体の制御を行うCPU(不図示)を備えている。以下では、このCPUをサーバCPUと呼ぶ。上記記憶部(以下、サーバ記憶部と呼ぶ)は、サーバCPUが実行する図3,4、7等の後述するフローチャートに示す処理等、ストレージサーバ20の制御プログラム等を格納するROMを有している。また、サーバ記憶部は、サーバCPUの処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM等も有している。
【0041】
図2は、本実施の形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関するMFPデバイス10におけるフローを示した図である。
【0042】
ステップS101において、MFPCPUは、MFPデバイス10において、ユーザ認証を行い、ユーザを識別するためのユーザ情報を取得する。すなわち、ユーザがMFP入力操作部を介して該ユーザを特定するための情報(例えば、IDやパスワード等)を入力すると、MFPCPUは、該情報に基づいてユーザ認証を行ってユーザ情報を取得し、該取得されたユーザ情報をMFP記憶部に記憶する。
【0043】
ステップS102において、MFPCPUは、ステップS101で取得したユーザ情報をストレージサーバ20へ送信し、ストレージサーバ20から、該ユーザ情報にて特定されるユーザに関連付けられたジョブ情報を取得する。すなわち、MFPCPUは、ジョブ情報の取得をストレージサーバ20に要求して該ストレージサーバ20にジョブ情報を送信させ、上記ジョブ情報を取得する。取得されたジョブ情報は、MFP記憶部に記憶される。
また、本ステップにおいて、後述する検知結果情報も受信しても良い。
【0044】
本明細書において、「ジョブ情報」とは、少なくとも、後述するジョブ識別情報および設定情報(スキャン設定情報や印刷設定情報)を含む情報である。例えば、ステップS102において受信されるジョブ情報には、ジョブ識別情報およびそれに関する第1のスキャン設定情報が少なくとも含まれている。
【0045】
なお、本実施形態では、ストレージサーバ20は、後述するように、エラーやユーザの所望によりスキャンを中断したスキャンに関するジョブを保存している。そして、ストレージサーバ20は、各ユーザに関連付けられたジョブを識別するためのジョブ識別情報を、各々のジョブについて作成し、ジョブと関連付けて保存している。よって、ステップS102において、MFPデバイス10からユーザ情報の送信と共にジョブ情報取得の要求があると、ストレージサーバ20は、MFPデバイス10に対して、受信したユーザ情報に関するジョブ情報を送信する。すなわち、ストレージサーバ20は、受信したユーザ情報に対するジョブを参照してスキャン設定情報を抽出し、該ジョブを識別するためのジョブ識別情報と共にジョブ情報としてMFPデバイス10に送信する。これらの処理の詳細については、図3にて後述する。
【0046】
このとき、ステップS101にて認証されたユーザに関連付けられたジョブが複数ある場合は、それらに関するジョブ情報の全てをMFPデバイス10に送信する。よって、MFPデバイス10は、ストレージサーバ20に保存された、上記ユーザ情報にて特定されるユーザに関連付けられたジョブに含まれるスキャン設定情報、およびそのジョブ識別情報を取得することになる。
【0047】
ステップS103において、MFPCPUは、ステップS102にて取得したジョブ情報があるか否かを判断する。受信したジョブ情報が存在する場合、すなわち、ステップS101にて認証されたユーザに関連付けられたジョブが、ストレージサーバ20に存在する場合には、ステップS1031に進む。
【0048】
ステップS1031において、MFPCPUは、MFPデバイス10のUI等のMFP表示部に取得したジョブ情報(ジョブ識別情報およびスキャン設定情報)の全てをリスト表示する。
【0049】
ステップS1032において、MFPCPUは、表示されたジョブ情報のリストからユーザが指定した所望のジョブに関するジョブ識別情報を取得する。ここで取得されたジョブ識別情報を、対象ジョブ識別情報と呼ぶことにする。この対象ジョブ識別情報に関るジョブの元となる原稿およびスキャン設定が、今回のスキャン再開(再スキャン)の対象となる原稿およびスキャン設定である。
【0050】
次いで、MFPCPUは、対象ジョブ識別情報に関するスキャン設定情報をMFP記憶部から取得する。
【0051】
すなわち、ユーザは、MFP表示部に表示されたリストから所望のジョブがある場合は、MFP入力操作部を介して、所望のジョブを指定する。MFPCPUは、該指定に応じて対象ジョブ識別情報を取得する。このとき、ユーザの所望のジョブが無い場合は、対象ジョブ識別情報は取得されない。
【0052】
ステップS1033において、MFPCPUは、ジョブが選択されない場合、または、新規スキャンを行うと指定された場合には、新規のスキャン操作であると判断し、ステップS1041以降に示す新規スキャンフローに移行する。
【0053】
<既存のジョブに結合する場合>
ジョブを選択し、再スキャンを行う場合、ステップS1034において、MFPCPUは、ステップS1032にて取得された対象ジョブ識別情報に関するスキャン設定情報に基づいて、スキャンを行う。このスキャンは、対象となる原稿の全てに対して行っても良いし、中断前にすでにスキャンされた原稿を除いて行っても良い。このようにして再開後にスキャンされた画像データ(以下では、再スキャン画像データと呼ぶ)は、MFP記憶部に記憶される。
【0054】
なお、再スキャン画像データは、対象となる原稿の全てについて再スキャンを行った際には、対象となる原稿分の画像データとなる。この場合を、全原稿再スキャン画像データと呼ぶ。一方、中断前にすでにスキャンされた原稿を除いて再スキャンした場合は、今回スキャンされた原稿分の画像データとなる。この場合を、一部再スキャン画像データと呼ぶ。
【0055】
本実施形態では、ある原稿のスキャンの中断時に、該スキャンに関するスキャン設定情報を上記原稿をスキャンしたいユーザを特定するためのユーザ情報と関連付けて、ストレージサーバ20に保存している。従って、上記原稿のスキャン再開時に、中断前のスキャン設定を引き継いでスキャンすることができ、中断前と中断後のスキャンを同様の設定で行うことができる。
【0056】
ステップS1035において、MFPCPUは、今回のスキャンによってジョブを完結させるか否かを決定する。すなわち、MFPCPUは、今回のスキャンがエラーによる中断やユーザの所望による中断が無い場合、ジョブが完結した(対象の原稿を全てスキャンした)ことを示すジョブ完結情報を作成する。この情報は、既にストレージサーバ20に保存しているジョブ(スキャン設定情報、画像データ)を削除する等の後処理のために使用される。
【0057】
このとき、ジョブ完結の確認に関して、後述するように、ステップS1042のようにスキャンを中断するという処理によって、ジョブを完結させない、と判断しても構わない。この場合は、MFPCPUは、対象ジョブ識別情報およびそれに関るスキャン設定情報と共に、今回のスキャンにて取得されたスキャン済み画像データである再スキャン画像データをストレージサーバ10に送信する。ストレージサーバ10は、受信した対象ジョブ識別情報に基づいて、該対象ジョブ識別情報に対応するジョブに含まれているスキャン済み画像データを、今回のスキャンにて取得された再スキャン画像データに更新する。なお、再スキャン画像データと共に送信される情報は、対象ジョブ識別情報のみでも良い。
【0058】
ステップS1036において、MFPCPUは、これまでに取得した情報として、ユーザが指定したジョブ情報、再スキャン画像データ、ジョブ完結情報をストレージサーバ20に送信する。なお、本ステップにおいては、ジョブ情報の代わりに、対象ジョブ識別情報としても構わない。すなわち、ステップS1035の確認処理によりジョブが完結する場合には、スキャン設定情報は送信しなくても良い。
【0059】
<新規にスキャンを行い、新規のジョブとして保存する場合>
ステップS1041において、MFPCPUは、既存ジョブに結合することなく、新規にスキャンを行う。このときユーザは、スキャン設定として、解像度や原稿読み込みサイズ、原稿読み込み濃度など、スキャン設定を、MFP入力操作部を介して指定し、該指定されたスキャン設定に応じて、スキャンの実行を行う。このとき、ステップS101にて今回のスキャンを行うユーザを特定するユーザ情報がMFP記憶部に記憶されているので、MFPCPUは、上記ユーザ情報と、設定されたスキャン設定とを関係付けて管理する。
【0060】
ステップS1042において、MFPCPUは、ユーザからのスキャン処理の中断指示の有無を判断する。MFPCPUは、一例として、スキャン中にユーザがいつでも選択できるボタンを提供し、ユーザがそのボタンを押下したら中断指示を受けたと判断する。また、他の例として、原稿詰まり等のエラーを検知した場合にメッセージ等を提示し、中断とするか否かをユーザに指示を求めるようにしても良い。このように、中断指示の有無の判断の実施の方法はいくつかある。
【0061】
ステップS1042にて、中断指示があると判断される場合、MFPCPUは、現在行われているスキャン動作を中断してステップS1043に進む。
【0062】
このように、MFPCPUは、ユーザによる中断指示やエラーの有無により画像処理動作の中断があるか否かを判断し、中断があると判断する場合に、現在の画像処理動作を中断する。
【0063】
ステップS1043において、MFPCPUは、上記中断前にスキャンされた画像があるか否かを判断する。無いと判断される場合は、そのまま処理を終了する。
【0064】
ステップS1044において、MFPCPUは、ステップS1041において指定されたスキャン設定に関するスキャン設定情報を取得し、該スキャン設定情報をユーザ情報と関連付けてMFP記憶部に記憶する。すなわち、MFPCPUは、上記中断前に設定された、スキャン動作(画像処理動作)に関するスキャン設定情報(第2のスキャン設定情報)を取得する。なお、ステップS1041において、スキャン設定情報を取得し保存しておいても構わない。
【0065】
ステップS1045において、MFPCPUは、ステップS1044にて取得されたスキャン設定情報と、該スキャン設定情報に関連するユーザ情報と、ステップS1041にて取得されたスキャン画像とをストレージサーバ20へ送信する。なお、本ステップにおけるスキャン画像は、中断までにスキャンされた画像データとなるので、スキャン済みの画像データとなる。
【0066】
<単独スキャンを行う場合>
ステップS1051において、MFPCPUは、スキャンが終了した場合に、スキャンから得たスキャン済み画像データが存在するか否かを確認する。画像データがあった場合に、ステップS1052において、MFPCPUは、ストレージサーバ20へスキャン済み画像データを送信する。
【0067】
図3は、本実施形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関するストレージサーバ20における、MFPデバイス10へのジョブ情報の送信フローを示した図である。
【0068】
まず、ステップS201において、サーバCPUは、MFPデバイス10からユーザ情報を取得する。
【0069】
ステップS202において、サーバCPUは、ステップS201にて取得されたユーザ情報により特定されるユーザに関連付けられたジョブが存在するか否かをサーバ記憶部から検索し、上記ジョブ情報を集める。すなわち、サーバCPUは、上記ユーザに関連付けられたジョブ情報の抽出を行う。
【0070】
ステップS203において、サーバCPUは、ステップS202での検索の結果を確認し、上記ユーザに関連付けられたジョブ情報が存在するかを確認する。上記ユーザに関連付けられたジョブ情報が存在しない場合は、サーバCPUは、ジョブ情報が無い旨を示す情報をMFPデバイス10に送信して処理を終了する。上記ユーザに関連付けられたジョブ情報が存在する場合は、ステップS204に進む。
【0071】
ステップS204では、サーバCPUは、ジョブに含まれる情報の変更の有無を確認する。ここでの処理は、後述する図4におけるS304、S309での処理が実行されていることが前提であり、電子署名やタイムスタンプが付与されている場合に、改ざん検知を行うことで、スキャン設定情報や処理済の画像データの変更の有無を検知する。なお、このステップは本実施形態において必須ではない。
【0072】
ステップS205において、サーバCPUは、MFPデバイス10へ抽出された全てのジョブ情報を送信する。また、サーバCPUは、ステップS204にて改ざんの検知結果(確認結果)を示す検知結果情報をMFPデバイス10に対して送信することもできる。
【0073】
ここでは説明を省略するが、S204においてスキャン設定情報や処理済みの画像データが変更されている場合には、その情報も送信して構わない。
【0074】
図4は、本実施形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関するストレージサーバ20における、MFPデバイス10から受信したジョブ情報や設定情報の保存フローを示した図である。
【0075】
ステップS301において、サーバCPUは、MFPデバイス10から、ユーザ情報、(ユーザが指定した)ジョブ情報、ジョブ完結情報、スキャン設定情報、スキャン済み画像データ(再スキャン画像データも含む)といった所定の情報を受信する。受信時に全てを含む場合もあるが、一部のみの情報を受信する、ということもある。すなわち、ステップS1036から情報が送信される場合は、本ステップにおいて、ジョブ情報、ジョブ完結情報、および再スキャン画像データ(スキャン済み画像データ)が受信される。また、ステップS1045から情報が送信される場合は、ユーザ情報、スキャン設定情報、およびスキャン済み画像データが受信される。また、ステップS1052から情報が送信される場合は、スキャン済み画像データが受信される。さらに、ステップS1035において、ジョブが完結していない場合においては、ジョブ情報、および再スキャン画像データが受信される。
【0076】
ステップS302において、サーバCPUは、ステップS301にて受信された情報の中にジョブ情報が存在するか否かを確認する。ここでは、ジョブ情報があることが、既存のジョブへの結合指示であると判断しているが、別途フラグなどを用いてMFPデバイス10と情報のやりとりを行っても構わない。
【0077】
本実施形態では、MFPデバイス10がジョブ情報をストレージサーバ20に送信するのはステップS1035、およびS1036であるので、スキャン動作等の画像処理動作を再開した後である。従って、ジョブ情報をMFPデバイス10から受信する場合は、ストレージサーバ20では、中断前のスキャン済み画像データと再開後のスキャン済み画像データのマージ(結合)が求められていることになる。すなわち、ジョブ情報はユーザがスキャンの再開を指示した後にストレージサーバ20が受信する情報であるので、ストレージサーバ20にとっては、スキャン済み画像データのマージを指示する情報となるのである。
【0078】
すなわち、本ステップにおいて、サーバCPUは、ステップS301にて受信された情報の中にジョブ情報があると、中断前にスキャンされた画像データと、再開後にスキャンされた画像データとの結合を行うと判断するのである。
【0079】
ステップS303において、サーバCPUは、ステップS301で指定されたジョブに既に保存している画像データに対し、ステップS301で受信した画像データを結合する。このとき、実際に1つのファイルの作成を行うことを前提に記載するが、内部的には別のファイルだが、ユーザに示す際には1つのファイルとして見せるという実施形態でも構わない。
【0080】
すなわち、サーバCPUは、ジョブ情報に含まれるジョブ識別情報に基づいて、中断前と再開後の画像データの結合(マージ)の対象となるジョブを特定し、すでに保存されている結合対象となるスキャン済みの画像データを抽出する。次いで、サーバCPUは、該抽出されたスキャン済みの画像データと、ステップS301にて受信された再スキャン画像データとの結合を行う。この結合された画像データは、サーバ記憶部に記憶される。
【0081】
このとき、すでに保存されている結合対象となるスキャン済みの画像データがファイル化されている場合は、サーバCPUは、該ファイルに、再スキャン画像データを追加したファイルを作成する。
【0082】
なお、上記結合において、再スキャン画像データが一部再スキャン画像データの場合は、そのまま、結合対象となるスキャン済みの画像データとの結合が行われる。
【0083】
一方、再スキャン画像データが全原稿再スキャン画像データである場合は、結合の前に、抽出された結合対象となるスキャン済みの画像データに基づいて、該画像データと重複する部分を全原稿再スキャン画像データから削除すれば良い。また、このような削除を行わず、抽出された結合対象となるスキャン済みの画像データを、全原稿再スキャン画像データに置き換えても良い。このような置き換える場合においても、結果的に、中断前のスキャン済みの画像データに対して、処理の再開により中断前ではスキャンされなかった画像データが追加されることになる。よって、上記結合と等価である。
【0084】
このように、再スキャンを、対象となる原稿の全てに対して行う場合であっても、中断前の続きから行う場合であっても、中断前の設定を、再開後に引き継ぐことができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0085】
ステップS304において、サーバCPUは、スキャン設定情報、および結合された画像データの少なくとも一方に対し、電子署名またはタイムスタンプの付与を行う。この目的は、スキャン設定や画像データの変更を検知するためのものであるため、上記に記載の情報以外のものを含めても構わないし、電子署名やタイムスタンプのどちらか、または両方を付与しても構わない。タイムスタンプを付与する場合には、図1で示したタイムスタンプサービス30と連携する必要があるが、既知の技術であるため、説明は省略する。なお、このステップは本実施形態において必須ではない。
【0086】
ステップS305において、サーバCPUは、ステップS301にて受信された情報にジョブ完結情報があるか否かを確認する。完結するという指定があった場合には、ステップS306において、サーバCPUは、対象となる、サーバ記憶部に記憶されたジョブを削除する。ステップS306では、ジョブ全体を削除せずに設定情報のみを削除する、または、内部情報として全て保持したまま結合可能なジョブとしては管理しない、等の実施方法でも構わない。
【0087】
S302において既存ジョブに結合しないと判断した場合には、ステップS307において、サーバCPUは、新規ジョブを作成する。すなわち、サーバCPUは、ステップS301にて受信したユーザ情報、スキャン設定情報、およびスキャン済み画像データに基づいて、上記ユーザ情報にて特定されるユーザに関連付けられたジョブを作成する。このとき、サーバCPUは、新しく作成されたジョブを識別するためのジョブ識別情報も作成する。
【0088】
ステップS308において、サーバCPUは、ステップS301で受信したスキャン設定情報、スキャン済みの画像データをサーバ記憶部に保存する。すなわち、作成されたジョブをサーバ記憶部に保存する。このとき、上記スキャン済みの画像データをファイル化して保存しても良い。
【0089】
ステップS309において、サーバCPUは、ステップS304と同様にして、スキャン設定情報およびスキャン済みの画像データの少なくとも一方に対し、電子署名またはタイムスタンプの付与を行う。
【0090】
保存した設定情報や画像データに電子署名やタイムスタンプを付与することにより、スキャン設定や画像データが変更されたことを検知することができる。
【0091】
図5は、本実施の形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関するMFPデバイス10のUI例を示した図である。
「スキャン中断指示UI例」として、スキャン中(原稿読み込み中)にこのダイアログを表示することによって、ユーザがスキャンの中断やスキャンのキャンセルを指示することが可能である。このダイアログにスキャン設定やスキャン経過(何ページまでスキャンを実施したか)等の情報を表示しても構わない。
【0092】
「エラー発生時保存指示UI例」として、スキャン中にエラーが発生した場合に、このダイアログを表示する。ユーザが、エラーが発生する前までにスキャンした画像データやスキャン設定を保存するか否かを指定することができる。
【0093】
「ジョブ選択UI例」として、MFPデバイスでのユーザ認証後に、ユーザに関連付けられたジョブリストを表示したUI例を挙げる。ここでは、ジョブ名称の色を変えて表示し、色の区別で画像データやスキャン設定の変更をユーザに示しても良い。ユーザへの示し方は様々であるので、他の実施形態があることは言うまでもない。
【0094】
本実施形態は、別の場所にいる複数人により1つのファイルを作成する場合にも威力を発揮する。本実施形態では、クライアントサーバにて、スキャン済みの画像データと該スキャンに係るスキャン設定とを、該スキャンに係るユーザ情報により管理している。そして、スキャンの再開の際に、ユーザが、自分に関係するユーザ情報に関連付けられたジョブを選択することができる。上記ジョブには、スキャン設定情報が含まれているので、ユーザが再開を行いたいジョブを選択するだけで、中断前のスキャン設定を自動的に再開後のスキャンに引き継ぐことができる。
【0095】
よって、上記ユーザ情報を複数人で共有することにより、該複数人それぞれが別の場所において作業したデータをマージすることができる。例えば、あるファイルを作成する、という共通認識を持ったユーザAとユーザBとが離れた場所にいても、ユーザAがスキャンし、中断した画像データに、ユーザBがスキャンした画像データをマージすることができる。すなわち、ユーザ情報とジョブとがネットワーク上に配置された情報処理装置にて管理されているので、ユーザAとユーザBとが離れていても、ネットワーク上にて画像の結合を行うことができる。
【0096】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、スキャンに関する設定引継ぎの形態を説明した。本実施形態では、印刷に関する設定引継ぎの形態を説明する。
【0097】
図6は、本実施の形態に係る設定引継ぎシステムでの印刷処理の設定引継ぎ処理に関するMFPデバイス10におけるフローを示した図である。本フローの処理はほとんどが図2の処理と同じである。
【0098】
図6において、ステップS501からS5033の処理は、S101からS1033の処理と同様である。
【0099】
ステップS501において、ステップS101と同様にして、MFPCPUは、ユーザ認証を行い、ユーザを識別するためのユーザ情報を取得する。
ステップS502において、ステップS102と同様にして、MFPCPUは、ステップS501で取得したユーザ情報をストレージサーバ20へ送信し、ストレージサーバ20から、該ユーザ情報にて特定されるユーザに関連付けられたジョブ情報を取得する。なお、本実施形態では、本ステップにおいて、MFPCPUは、ストレージサーバ20から、上記ジョブ情報に関する、印刷済みの画像データおよび印刷すべき画像データも受信する。
なお、本実施形態は印刷時の処理なので、ジョブ情報には、少なくともジョブ識別情報および第1の印刷設定情報が含まれることになる。
【0100】
なお、本実施形態では、ストレージサーバ20は、エラーやユーザの所望により印刷を中断した印刷に関するジョブを保存している。そして、ストレージサーバ20は、各ユーザに関連付けられたジョブを識別するためのジョブ識別情報を、各々のジョブについて作成し、ジョブと関連付けて保存している。よって、ステップS502において、MFPデバイス10からユーザ情報の送信と共にジョブ情報取得の要求があると、ストレージサーバ20は、ジョブを参照して印刷設定情報を抽出し、該印刷設定情報に関連するジョブ識別情報を取得する。そして、MFPデバイス10に対して、受信したユーザ情報に関するジョブ情報(ジョブ識別情報および印刷設定情報)を送信する。
【0101】
また、本実施形態では、各ジョブにおいて印刷済みの画像データも関連付けて管理している。そして、ストレージサーバ20は、原稿としての印刷すべき画像データ(元画像データ)を保存しており、各ジョブは、関連する印刷すべき画像データと関連付けられて管理されている。よって、本実施形態では、ジョブとして印刷設定情報、印刷済みの画像データがユーザ情報に関連付けられて管理されており、それに加えて、印刷すべき画像データも関連付けられて管理されている。
【0102】
よって、ストレージサーバ20は、印刷済みの画像データおよび印刷すべき画像データの取得要求があると、上記送信されるジョブ情報に関連した印刷済みの画像データおよび印刷すべき画像データも、MFPデバイス10に送信する。
【0103】
このとき、ステップS501にて認証されたユーザに関連付けられたジョブが複数ある場合は、それらに関するジョブ情報の全て、該ジョブ情報に関連する、印刷済みの画像データの全て、および印刷すべき画像データの全てをMFPデバイス10に送信する。
【0104】
ステップS503において、ステップS103と同様に、MFPCPUは、ステップS502にて取得したジョブ情報があるか否かを判断する。
ステップS5031において、ステップS1031と同様に、MFPCPUは、MFPデバイス10のMFP表示部に取得したジョブ情報(ジョブ識別情報および印刷設定情報)の全てをリスト表示する。
【0105】
ステップS5032において、ステップS1032と同様に、MFPCPUは、表示されたジョブ情報のリストからユーザが指定した所望のジョブに関する対象ジョブ識別情報を取得する。この対象ジョブ識別情報に関るジョブの元となる原稿(印刷すべき画像データ)および印刷設定が、今回のスキャン再開の対象となる原稿および印刷設定である。
ステップS5033において、ステップS1033と同様に、MFPCPUは、ジョブが選択されたか否かの判断を行う。
【0106】
<既存のジョブに結合する場合>
ステップS5034では、保存済みジョブとして提示された印刷ジョブを実行する。すなわち、ジョブを選択し再印刷を行う場合、MFPCPUは、ステップS5032にて取得された対象ジョブ識別情報に関する印刷設定情報に基づき、印刷を行う。このとき、ステップS5032において、印刷すべき画像データおよび印刷済み画像データを取得しているので、MFPCPUは、これら情報に基づき、印刷すべき画像データから印刷済みの画像データを除いた画像データの印刷を行う。よって、中断前の印刷設定にて、対象となる原稿の印刷の続きを行うことができる。また、中断後において、対象となる、印刷すべき画像データおよびジョブを、ネットワーク上に配置されたストレージサーバ20にて管理しているので、ネットワークに接続されていれば、中断前と中断後との印刷を異なる装置で行うことができる。
【0107】
ステップS5035では、MFPCPUは、ジョブの印刷が終了したか否かを確認するが、ジョブの印刷が完了した場合にジョブが完結したと自動判定して構わない。すなわち、MFPCPUは、ステップS1035と同様に、今回の印刷によってジョブを完結させるか否かを決定する。
【0108】
完結しないと判断する場合は、MFPCPUは、対象ジョブ識別情報およびそれに関る印刷設定情報と共に、今回の印刷にて取得された印刷済み画像データである再印刷画像データをストレージサーバ10に送信する。ストレージサーバ10は、受信した対象ジョブ識別情報に基づいて、該対象ジョブ識別情報に対応するジョブに含まれている印刷済み画像データを、今回の印刷にて取得された再印刷画像データを含めた形に更新する。なお、再印刷画像データと共に送信される情報は、対象ジョブ識別情報のみでも良い。
【0109】
ステップS5036では、MFPCPUは、ジョブ情報、再印刷画像データ(印刷済みの画像データ)、およびジョブ完結情報をストレージサーバ20に送信する。なお、本ステップにおいては、ジョブ情報の代わりに、対象ジョブ識別情報としても構わない。すなわち、ステップS5035の確認処理によりジョブが完結する場合には、印刷設定情報は送信しなくても良い。
【0110】
<新規に印刷を行い、新規のジョブとして保存する場合>
ステップS5041において、MFPCPUは、印刷すべき画像データに基づいて印刷処理を行う。ここでは、MFPデバイス10からストレージサーバ20に保存されたファイルを指定して印刷すべき画像データを指定し、印刷設定を行って、印刷を実行することを想定している。よって、MFPCPUは、ストレージサーバ20に予め保持されている印刷すべき画像データを取得要求を送信することにより取得し、該取得された印刷すべき画像データに基づき、設定された印刷設定によって印刷処理を行う。
【0111】
本実施形態では、このように印刷すべき画像データを予めストレージサーバ20が保持しているがこれに限定されない。ネットワークを介して接続された、PC等の画像供給装置から送信されても良いし、携帯可能な記録メディアを介して入力されても良い。すなわち、本実施形態では、印刷すべき画像データの取得方法はいずれの方法であっても良く、結果的にMFPデバイス10が印刷すべき画像データを取得していれば良いのである。
【0112】
ステップS5042において、MFPCPUは、中断指示を受けた場合、ステップS5043で印刷設定情報(第2の印刷設定情報)を取得する。詳細な実施形態に関してはスキャンの場合とほぼ同等のため、説明は省略する。
【0113】
ステップS5044において、MFPCPUは、ステップS5043にて取得された印刷設定情報と、ステップS5041に取得された印刷画像とをストレージサーバ20に送信する。なお、本ステップにおける印刷画像は、中断までに印刷された画像データとなるので、印刷済みの画像データとなる。
【0114】
本実施形態に係るストレージサーバ20における、MFPデバイス10へのジョブ情報の送信フローは図3と同様に行えるので、その説明は省略する。
【0115】
図7は、本実施形態に係る設定引継ぎシステムでの印刷処理の設定引継ぎ処理に関するストレージサーバ20における、MFPデバイス10から受信したジョブ情報や設定情報の保存フローを示した図である。
【0116】
ステップS701において、サーバCPUは、MFPデバイス10から、ユーザ情報、(ユーザが指定した)ジョブ情報、ジョブ完結情報、印刷済み画像データ(再印刷画像データも含む)を受信する。受信時に全てを含む場合もあるが、一部のみの情報を受信する、ということもある。すなわち、ステップS5036から情報が送信される場合は、本ステップにおいて、ジョブ情報、ジョブ完結情報、および再印刷画像データ(印刷済み画像データ)が受信される。また、ステップS5044から情報が送信される場合は、ユーザ情報、印刷設定情報、および印刷済み画像データが受信される。さらに、ステップS5035において、ジョブが完結していない場合においては、ジョブ情報、および再印刷画像データが受信される。
【0117】
ステップS702において、サーバCPUは、ステップS302と同様に、ステップS701にて受信された情報の中にジョブ情報が存在するか否かを確認する。
【0118】
ステップS703において、サーバCPUは、ステップS304と同様に、印刷設定情報に対し、電子署名またはタイムスタンプの付与を行う。なお、このステップは本実施形態において必須ではない。
【0119】
ステップS704において、サーバCPUは、ステップS305と同様に、ステップS701にて受信された情報にジョブ完結情報があるか否かを確認する。完結するという指定があった場合には、ステップS705において、サーバCPUは、ステップS306と同様に、対象となる、サーバ記憶部に記憶されたジョブを削除する。
【0120】
S702において既存ジョブが無いと判断した場合には、ステップS706において、サーバCPUは、ステップS307と同様に、新規ジョブを作成する。すなわち、ユーザ情報、および印刷済みの画像データに基づいて、上記ユーザ情報にて特定されるユーザに関連付けられたジョブを作成する。このとき、サーバCPUは、新しく作成されたジョブを識別するためのジョブ識別情報も作成する。
【0121】
ステップS707において、サーバCPUは、作成されたジョブをサーバ記憶部に保存する。このとき、上記スキャン済みの画像データをファイル化して保存しても良い。
【0122】
ステップS708において、サーバCPUは、ステップS309と同様にして、印刷設定情報および印刷済みの画像データの少なくとも一方に対し、電子署名またはタイムスタンプの付与を行う。
【0123】
なお、本実施形態では、ステップS502において、ジョブ情報に加えて、印刷済みの画像データおよび印刷すべき画像データを受信しているが、ジョブ情報に加えて受信する情報として、印刷すべき画像データのみでも良い。この場合は、ステップS5034において、再び、原稿を初めから印刷することになるが、中断前の印刷設定を再度入力しなくても、再開後に印刷設定を自動的に引き継ぐことができる。
【0124】
(第3の実施形態)
本実施形態では、設定引継ぎシステムシステムにおいて、ストレージサーバ20が画像データの変更の有無を検知できない構成の場合、かつ、MFPデバイス10がUSBメモリ連携機能を有する場合の実施形態を説明する。
【0125】
本実施形態に係る画像処理装置としてのMFPデバイス10は、携帯可能な記録メディアとしてのUSBメモリと連携する手段であるUSBポートを備えている。
【0126】
図8、9は、図2の差分を示した図であり、MFPデバイス10がUSBメモリ連携機能を有することを前提とし、MFPデバイス10が画像データの変更検知を行う処理のフロー図である。図8、9において、ステップS103、S1031、S1043、S1044は図2において説明したステップを示している。
【0127】
なお、第2実施形態の前提としては、図3のS204においてジョブが変更されていると判断した場合、ステップS205において、ジョブ情報やスキャン設定情報だけでなく、画像データも送信することが必要条件である。
【0128】
<既存のジョブに結合する場合>
図8において、ステップS10301では、MFPCPUは、USBメモリがMFPデバイス10に接続されているかどうかを確認する。すなわち、MFPCPUは、USBメモリがUSBポートに接続されているか否かを検知する。接続されている場合には、ステップS10302において、MFPCPUは、USBメモリにハッシュが保存されているか否かを確認する。
【0129】
USBにハッシュが保存されている場合には、ステップS10303において、MFPCPUは、接続されたUSBメモリからハッシュを取得する。
ステップS10304において、MFPCPUは、ストレージサーバ20から、ステップS102にて取得されたジョブ情報に関するハッシュを取得する。本実施形態では、後述するように、スキャン済みの画像データのハッシュを取得し、該ハッシュを、ストレージサーバ20にて、対応するジョブと関連付けて管理されている。よって、本ステップにおいて、MFPCPUが、ストレージサーバ20に対して、ステップS102にて取得されたジョブ情報に対応するハッシュの取得を要求することによって、ストレージサーバ20は、上記ハッシュをMFPデバイス10に送信する。
【0130】
ステップS10305において、MFPCPUは、S10303で取得したハッシュとS10304で取得したハッシュとを比較し、一致するか否かで画像データの変更の有無を判断する。
【0131】
一致する場合は、ステップS10307において、MFPCPUは、画像データは変更されていないと判断する。しかしながら、この場合であっても、ステップS205にて、ジョブ変更が検知されたことを示す検知結果情報が送信されている場合は、スキャン設定が改ざんされている可能性がある。よって、ステップS102にて検知結果情報を受信する場合は、MFPCPUは、スキャン設定に改ざんの可能性がありという旨をMFP表示部に表示しても良い。
【0132】
一方、一致しない場合は、ステップS10306において、MFPCPUは、画像データは変更されていると判断する。すなわち、ステップS205にて、検知結果情報が送信されている場合において、上記ハッシュが一致しない場合は、少なくとも画像データに改ざんがあることを示している。よって、ステップS102にて検知結果情報を受信する場合は、MFPCPUは、スキャンのやり直しが必要である旨をMFP表示部に表示するようにすれば良い。
【0133】
<新規にスキャンを行い、新規のジョブとして保存する場合>
図9において、ステップS10421では、MFPCPUは、USBメモリがMFPデバイス10に接続されているかどうかを確認する。
接続されている場合には、S10422において、MFPCPUは、ステップS1041のスキャンによって得たスキャン済みの画像データのハッシュを取得する。
ステップS10423において、USBメモリにステップS10422にて取得されたハッシュを保存する。
【0134】
このように、スキャン中断後に、スキャン済みの画像データに基づいて取得されたハッシュを、ストレージサーバ20とは別の記憶場所に保持することにより、該別の記憶場所のハッシュを画像データの改ざん検査におけるリファレンスとして用いることができる。
【0135】
なお、本実施形態において、印刷動作の場合は、図8、9において、ハッシュを印刷設定情報に置き換え、USBメモリに印刷設定情報を記憶することにより、上述のように画像データの改ざんの検査を行えば良い。
【0136】
すなわち、図6のステップS503とステップS5031との間において、MFPCPUはまず、USBメモリがMFPデバイス10に接続されているか否かを判断し、接続されている場合は、USBメモリから印刷設定情報を取得する。次いで、MFPCPUは、ステップS502にて取得したジョブ情報から印刷設定情報を抽出し、該抽出した印刷設定情報と、USBメモリから取得された印刷設定情報とが一致するか否かを比較して、印刷設定情報が変更されているか否かを検知する。
【0137】
また、ステップS5043とステップS5044との間において、MFPCPUはまず、USBメモリがMFPデバイス10に接続されているか否かを判断する。次いで、接続されている場合は、MFPCPUは、ステップS5043にて取得された印刷設定情報を、USBメモリに保存する。
このようにして、印刷動作時に、印刷設定情報の改ざんの検知を行う。
【0138】
(その他の実施形態)
本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用することも、1つの機器からなる装置(複合機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用することも可能である。
【0139】
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0140】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0141】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施形態に係る設定引継ぎシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係るスキャン処理の設定引継ぎ処理に関するMFPデバイス10におけるフローを示した図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関する情報処理装置における、画像処理装置へのジョブ識別情報の送信フローを示す図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関する情報処理装置における、画像処理装置から受信したジョブ情報や設定情報の保存フローを示すフローチャートである。
【図5】本実施の第1形態に係る設定引継ぎシステムでのスキャン処理の設定引継ぎ処理に関する画像処理装置のUI例を示す図である。
【図6】本実施の第1形態に係る設定引継ぎシステムでの印刷処理の設定引継ぎ処理に関する画像処理装置におけるフローを示す図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る設定引継ぎシステムでの印刷処理の設定引継ぎ処理に関する情報処理装置における、画像処理装置から受信したジョブ情報や設定情報の保存フローを示すフローチャートである。
【図8】本実施の第2形態に係る設定引継ぎシステムにおける、図2の差分を示した図であり、MFPデバイス10がUSB連携機能を有することを前提とし、MFPデバイス10が画像データの変更検知を行う処理のフロー図である。
【図9】本実施の第2形態に係る設定引継ぎシステムにおける、図2の差分を示した図であり、MFPデバイス10がUSB連携機能を有することを前提とし、MFPデバイス10が画像データの変更検知を行う処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0143】
10 MFPデバイス
20 ストレージサーバ
30 タイムスタンプサービス
40 ストレージサーバクライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、
前記画像処理装置は、
ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する手段と、
前記画像処理動作を中断する手段と、
前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する手段と、
前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、
前記情報処理装置は、
前記画像処理装置から、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する手段と、
前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、
前記画像処理装置は、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする設定引継ぎシステム。
【請求項2】
画像読取動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、
前記画像処理装置は、
ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた第1のスキャン設定情報を取得する手段と、
前記画像読取動作を中断する手段と、
前記中断前に設定された、前記画像読取動作に関する第2のスキャン設定情報、および前記中断前までにスキャンされたスキャン済みの画像データを取得する手段と、
前記第2のスキャン設定情報と、前記スキャン済みの画像データと、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、
前記情報処理装置は、
前記画像処理装置から、前記第2のスキャン設定情報と、前記スキャン済みの画像データと、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記第2のスキャン設定情報と前記スキャン済みの画像データとを、前記第2のスキャン設定情報に関連するユーザ情報に関連付けてジョブとして保存する手段と、
前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記第1のスキャン設定情報の取得要求を受信すると、前記ジョブを参照して前記第1のスキャン設定情報を抽出し、該抽出された第1のスキャン設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、
前記画像処理装置は、前記中断された画像読取動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した第1のスキャン設定情報に基づいて、前記画像読取動作を行うことを特徴とする設定引継ぎシステム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記中断された画像読取動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した第1のスキャン設定情報に基づいて、前記画像読取動作を行う手段と、
前記再開時の画像読取動作にてスキャンされた再スキャン画像データを取得する手段と、
前記再スキャン画像データを前記情報処理装置に送信する手段とをさらに有し、
前記情報処理装置は、
前記画像処理装置から送信された再スキャン画像データを、対応するジョブに含まれるスキャン済みの画像データと結合する手段とをさらに有することを特徴とする請求項2記載の設定引継ぎシステム。
【請求項4】
前記保存する手段は、前記ジョブとして保存する際に、前記第2のスキャン設定情報およびスキャン済みの画像データの少なくとも一方に対し電子署名またはタイムスタンプを付与して保存する手段をさらに有し、
前記情報処理装置は、前記第1のスキャン設定情報を送信する前に、前記電子署名またはタイムスタンプの改ざん検知を行い、前記スキャン設定情報およびスキャン済みの画像データの少なくとも一方の変更の有無の確認結果を前記画像処理装置に送信することを特徴とする請求項2または3記載の設定引継ぎシステム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
携帯可能な記録メディアと連携する手段と、
前記携帯可能な記録メディアが接続されていることを検知する手段と、
前記携帯可能な記録メディアから、スキャン済みの画像データのハッシュを得る手段と、
スキャン済みの画像データのハッシュを前記携帯可能な記録メディアに保存する手段と、
前記情報処理装置から、スキャン済みの画像データのハッシュを取得する手段と、
前記情報処理装置から取得されたハッシュと、前記携帯可能な記録メディアから取得されたハッシュとを比較する手段と
をさらに有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の設定引継ぎシステム。
【請求項6】
画像印刷動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムであって、
ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた第1の印刷設定情報を取得する手段と、
印刷すべき画像データを取得する手段と、
前記印刷すべき画像データに基づいて前記画像印刷動作を行う手段と、
前記画像印刷動作を中断する手段と、
前記中断前に設定された、前記画像印刷動作に関する第2の印刷設定情報を取得する手段と、
前記第2の印刷設定情報と、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを有し、
前記情報処理装置は、
前記画像処理装置から、前記第2の印刷設定情報と、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記第2の印刷設定情報を、該第2の印刷設定情報に関連するユーザ情報に関連付けてジョブとして保存する手段と、
前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記第1の印刷設定情報の取得要求を受信すると、前記ジョブを参照して前記第1の印刷設定情報を抽出し、該抽出された第1の印刷設定情報を前記画像処理装置に送信する手段とを有し、
前記画像処理装置は、前記中断された画像印刷動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した第1の印刷設定情報に基づき、かつ前記印刷すべき画像データに基づいて、前記画像印刷動作を行うことを特徴とする設定引継ぎシステム。
【請求項7】
前記第2の印刷設定情報を取得する手段は、前記中断前までに印刷された印刷済みの画像データを取得する手段を有し、
前記画像処理装置の送信手段は、前記印刷済みの画像データも前記情報処理装置に送信し、
前記保存する手段は、前記送信された印刷済みの画像データも前記ジョブとして保存し、
前記情報処理装置の送信手段は、前記印刷済みの画像データも前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、前記再開時に、前記情報処理装置から取得した第1の印刷設定情報および前記印刷すべき画像データに加えて、前記情報処理装置から送信された印刷済みの画像データに基づいて、前記画像印刷動作を行うことを特徴とする請求項6記載の設定引継ぎシステム。
【請求項8】
前記保存する手段は、前記ジョブとして保存する際に、前記第2の印刷設定情報に対し電子署名またはタイムスタンプを付与して保存する手段をさらに有し、
前記情報処理装置は、前記第1の印刷設定情報を送信する前に、前記電子署名またはタイムスタンプの改ざん検知を行い、前記印刷設定情報の変更の有無の確認結果を前記画像処理装置に送信することを特徴とする請求項6または7記載の設定引継ぎシステム。
【請求項9】
前記画像処理装置は、
携帯可能な記録メディアと連携する手段と、
前記携帯可能な記録メディアが接続されていることを検知する手段と、
前記携帯可能な記録メディアから、印刷設定情報のハッシュを得る手段と、
印刷設定情報のハッシュを前記携帯可能な記録メディアに保存する手段と、
前記情報処理装置から、印刷設定情報のハッシュを取得する手段と、
前記情報処理装置から取得されたハッシュと、前記携帯可能な記録メディアから取得されたハッシュとを比較する手段と
をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の設定引継ぎシステム。
【請求項10】
情報処理装置にネットワークを介して接続され、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置であって、
ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する手段と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する手段と、
前記画像処理動作を中断する手段と、
前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する手段と、
前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する手段とを備え、
前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置にネットワークを介して接続された情報処理装置であって、
前記画像処理装置において前記画像処理動作の中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを、前記画像処理装置から受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する手段と、
前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された情報処理装置とを備える設定引継ぎシステムにおける設定引継ぎ方法であって、
前記画像処理装置が、ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する工程と、
前記画像処理装置が、前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する工程と、
前記画像処理装置が、前記画像処理動作を中断する工程と、
前記画像処理装置が、前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する工程と、
前記画像処理装置が、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する工程と、
前記情報処理装置が、前記画像処理装置から、前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する工程と、
前記情報処理装置が、前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する工程とを有し、
前記画像処理装置は、前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする設定引継ぎ方法。
【請求項13】
情報処理装置にネットワークを介して接続され、画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置における設定引継ぎ方法であって、
ユーザ認証を行ってユーザ情報を取得する工程と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ情報に関連付けられた設定情報を取得する工程と、
前記画像処理動作を中断する工程と、
前記中断前に設定された、前記画像処理動作に関する設定情報を取得する工程と、
前記中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを前記情報処理装置に送信する工程とを有し、
前記中断された画像処理動作の再開時に、前記情報処理装置から取得した設定情報に基づいて、前記画像処理動作を行うことを特徴とする設定引継ぎ方法。
【請求項14】
画像読取動作および画像印刷動作の少なくとも一方を含む画像処理動作を実行可能な画像処理装置にネットワークを介して接続された情報処理装置における設定引継ぎ方法であって、
前記画像処理装置において前記画像処理動作の中断前に設定された設定情報と、該設定情報に関連するユーザ情報とを、前記画像処理装置から受信すると、前記中断前に設定された設定情報と該設定情報に関連するユーザ情報とを関連付けて保存する工程と、
前記画像処理装置から、前記ユーザ情報、および前記設定情報の取得要求を受信すると、前記保存する手段から、前記ユーザ情報に関連した設定情報を抽出し、該抽出された設定情報を前記画像処理装置に送信する工程と
を有することを特徴とする設定引継ぎ方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項12乃至14のいずれかに記載の設定引継ぎ方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
コンピュータにより読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、請求項15記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−118082(P2009−118082A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287639(P2007−287639)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】