説明

診断医学画像の相互参照測定方法および装置

【課題】診断の意思決定にさらに容易にする情報を簡単に提供できるようにすることである。
【解決手段】診断医学画像での測定が相互参照される。1つのデータタイプに対する測定モード(54)が別のデータタイプの画像に反映される(60)。例えば超音波データから長さが測定される(54)。この長さに関連するラインが超音波画像上に表示される(58)。磁気共鳴画像(MRI)では、同じラインが相応する位置で表示される(60)。同じ測定(54)がMRIデータによっても形成され、超音波画像に反映される(60)。各画像はこの例では2つの測定を示す。異なるデータタイプからの同じ測定における差(62)は診断に有益である。上記の例では、長さが超音波とMRIとから測定される(54)。測定された2つの長さの差(62)は診断的に有益な情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断医学画像の相互参照測定方法および装置に関する。
【0002】
関連出願
本特許出願は、2006年3月31日出願の暫定的米国特許出願番号第60/787772号の優先権を主張するものであり、その内容を参照として取り入れる。
【背景技術】
【0003】
本実施形態は、診断医学画像の測定に関連するものである。間隔、面積、容積、流量、速度、加速度、率、位置、またはその他の測定は診断を支援する。例えば胎児、病変、または腫瘍の大きさは診断のために使用することができる。
【0004】
異なるデータタイプであっても別の測定または同じ測定に使用することができる。医学画像は種々の走査モード、例えば超音波、x線、コンピュータトモグラフ、磁気共鳴、または陽電子放射を含む。これらのモードのいくつかに対しては、異なる処理チャネルが使用される。例えば超音波画像は反射音波(Bモード)、流れ(速度、エネルギー、および/またはドップラーモードまたはフローモードでの変化)、基本波反応、高調波反応、またはその他の特性を検出する。複数のモードおよびチャネルは種々の情報を測定に提供する。
【0005】
マルチモードデータまたはマルチチャネルデータは相互に補足的であり、共に意思決定に使用することができる。医学画像測定適用の例では、画像データの2つのモードが獲得され、2つの画像モードからの測定が別個に得られる。医療従事者はこの情報を診断に使用する。しかしモードまたは測定結果に相違があるため混乱が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記欠点を回避し、診断の意思決定にさらに容易にする情報を簡単に提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、
・領域を表す第1のタイプのデータを収集するステップ;
・領域を表す第2のタイプのデータを収集するステップ、
ただし第1のタイプは第2のタイプとは異なっており;
・第1の画像を第1のデータの関数として発生するステップ;
・第2の画像を第2のデータの関数として発生するステップ;
・第1のマーク位置を第1の測定に対して第1の画像上で検出するステップ;そして
・第1のマーク位置を第2の画像に反映するステップ;
を有する、診断医学画像の相互参照測定方法によって解決される。
【0008】
さらに上記課題は、
・第1と第2の異なるモードまたは画像システムチャネルに対する、それぞれ第1と第2のデータセットを記憶するメモリと、
・前記第1と第2のデータセットから別個に検出された同じ測定に対する位置に関連する第1と第2の測定をそれぞれ同定するプロセッサと、
・前記第1と第2のセータセットにそれぞれ相応する第1と第2の画像を表示し、それぞれ第1と第2の画像にある位置に関連する第1と第2の測定の指示を含むディスプレイとを有する、診断医学画像の相互参照測定装置によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
最初に説明する以下の有利な実施例は、診断医学画像での相互参照測定のための方法、装置、コンピュータ読み出し可能媒体、および命令を含んでいる。1つのデータタイプに対する測定モードが別のデータタイプの画像に反映される。例えば超音波データから長さが測定される。この長さに関連するラインが超音波画像上に表示される。磁気共鳴画像(MRI)では、同じラインが相応する位置で表示される。同じ測定がMRIデータによっても形成され、超音波画像に反映される。各画像はこの例では2つの測定を示す。
【0010】
異なるデータタイプからの同じ測定は診断に有益である。上記の例では、長さが超音波とMRIとから測定される。測定された2つの長さの差は診断的に有益な情報を提供する。
【0011】
1つのデータタイプに関連する測定を、別のデータタイプの画像に反映すること、および異なるデータタイプからの同じ特性の測定における差の導出は別個に、または組み合わせて使用することができる。
【0012】
第1の側面では、診断医学画像での相互参照測定のための方法が提供される。ある領域を表す第1のタイプの第1のデータが収集され、この領域を表す第2のタイプの第2のデータが収集される。第1のタイプは第2のタイプとは異なる。第1の画像が第1のデータの関数として発生され、第2の画像が第2のデータの関数として発生される。第1の画像における第1のマークが第1の測定に対して検出される。第1のマークは第2の画像に反映される。
【0013】
第2の側面では、診断医学画像での相互参照測定のための装置が提供される。メモリが、第1と第2の異なるモードまたは画像システムチャネルに対する、それぞれ第1と第2のデータセットを記憶することができる。プロセッサが、第1と第2のデータセットから別個に検出された同じ測定に対する位置に関連する第1と第2の測定をそれぞれ同定することができる。ディスプレイが、第1と第2のセータセットにそれぞれ相応する第1と第2の画像を表示することができ、それぞれ第1と第2の画像にある位置に関連する第1と第2の測定の指示を含むことができる。
【0014】
第3の側面では、コンピュータ読み出し可能記憶媒体が、診断医学画像での相互参照測定のためにプログラムされたプロセッサにより実行可能な命令を表すデータを記憶する。記憶媒体は、患者の同じ領域を表す、種々異なるデータタイプのデータセットを収集するための命令、それぞれのデータセットを同じように測定するための命令、および種々異なるデータタイプのデータセットの測定間での差を検出するための命令を含む。
【0015】
本発明は以下に続く請求の範囲によって規定されるが、以下の詳細な説明はこれらの請求項に基づく限定として解釈すべきものではない。さらに本発明のさらなる有利な側面および利点は、以下の明細書で有利な実施例に基づいて説明され、請求の範囲において独立的または組合せで権利主張される。
【0016】
各構成要素および図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を示すのに強調されている。さらに、各図面では、相応する部分を指示する参照番号は、異なった図面でも全体を通じて同じである。
【0017】
異なるタイプの画像間で行った測定での差は意思決定に対して意義のある情報を提供する。1つのデータタイプからの測定が別のデータタイプに対する画像に反映されることもまた意思決定に対して意義のある情報を提供する。マルチモードデータまたはマルチチャネルデータからの測定情報が比較のために供給される。
【0018】
マルチモードデータまたはマルチチャネルデータが収集されると、関連する割り当て情報も縮尺情報、並進情報および回転情報も含めて記録される。選択されたデータセットに対する画像は同時に表示することができる。手動測定操作が1つの画像に適用される場合、同じ測定マーク、例えばラインまたはトレースも同時に別の画像に表示される。同じカラーまたは同じテクスチャが、初期測定操作マークの簡単な相互参照への反映に使用される。測定は別のデータに基づいて実行することができる。測定の差が導出され、意思決定に対してさらなる情報を提供するために表示される。
【実施例】
【0019】
図1は、診断医学画像での相互参照測定のための装置10を示す。この装置10は医学的画像システムであり、例えば超音波システム、コンピュータトモグラフシステム、磁気共鳴システム、x線システム、陽電子放射システム、それらの組合せ、または現在または将来開発される医学的画像システムである。択一的実施例で、この装置10はパーソナルコンピュータ、ワークステーション、画像保存システム、または他の画像処理システムである。
【0020】
装置10は、プロセッサ14,メモリ16,ユーザ入力部18,およびディスプレイ20を含む。付加的に、別の構成要素または比較的少数の構成要素が設けられていてもよい。例えば測定が自動化されていれば、ユーザ入力部18を設けなくても良い。別の例として、差または画像が表示されるのではなく伝送される場合、ディスプレイ20は設けられない。別の例では、フロントエンド走査コンポーネントが設けられており、これは例えば超音波ベーム整形器、トランスデューサ、x線放射器および検出器または磁気コイルである。
【0021】
メモリ16はランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、バッファ、キャッシュ、ハードディスク、光学媒体、リムーバル媒体、形態媒体、データベース、それらの組み合わせ、または他の現在公知の、または将来開発されるメモリである。メモリ16にはプロセッサ14によってアクセスすることができる。プロセッサ14または他のデバイス、例えば入出力デバイスまたはネットワーク接続により、メモリ16からデータまたは命令をインポートまたはエクスポートすることができる。
【0022】
メモリ16はこのようなデータセットを記憶することができる。データセットは、例えば2次元画像に関連するデータのフレームに相当する。データセットは、1次元表示または走査、例えばMモードのライン、ドップラー超音波データスペクトル、または3次元画像とすることができる。このセットは、実質的に同じ時間または期間に関連することができる。例えばデータセットは、1つまたは複数の心拍にわたる領域を表す。択一的に、異なるセットは別のセットの異なる時間に相当する。
【0023】
各データセットは同じ領域を表す。1つのデータセットが異なる領域を表すこともできる。例えば両方のセットが重なり領域または同じ領域を表し、1つまたは両方のセットが別の隣接領域を表すこともできる。この領域は、走査された患者の例えば内部の1次元、2次元または3次元部分である。
【0024】
データセットは異なるモードまたは異なる画像システムチャネルに関連する。例えば1つのデータセット1つのモードに対するものであり、別のデータセットが別のモードに対するものである。種々のモードは種々の画像システムまたは収集物理特性に対するものである。例えば種々のモードは超音波、x線、コンピュータトモグラフ、磁気共鳴、陽電子放射、または現在公知の、または将来開発される画像タイプを含む。1つまたは複数のデータセットが1つのモード(例えば超音波)により収集され、1つまたは複数の別のデータセットが別のモード(例えばコンピュータトモグラフ)により収集される。
【0025】
択一的にまたは付加的に、データセットは同じモードまたは同じ画像物理特性を使用する別のチャネルまたは別の検出タイプに関連する。例えば同じがオズシステムは種々異なる検出タイプを有する。種々異なる画像システムを、同じモードまたは同じ物理特性を使用する種々異なる検出タイプに対して使用することができる。実施例では、種々の超音波検出タイプが使用される。例えば種々のチャネルは、Bモード、ドップラーモードまたはフローモード(例えば速度、変化、パワー、またはそれらの組合せ)、歪み(例えば歪みまたは歪み率)、高調波、基本波、ドップラースペクトル、Mモード、または他の検出タイプのいずれか2つまたはそれ以上である。各チャネルは超音波による走査を使用するが、別の情報を検出するためには別に動作する。
【0026】
プロセッサ14は、一般的プロセッサ、コントロールプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、アプリケーション専用集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、アナログ回路、デジタル回路、それらの組合せ、または他の現在公知の、または将来開発されるデータ処理デバイスである。プロセッサ14はシングルデバイスまたはマルチプルデバイスであり、シーケンシャル処理またはパラレル処理に関連する。
【0027】
プロセッサ14は測定位置を同定することができる。例えば図2は、2つの画像32,34の表示30を示す。ライン36,38の終点またはこのラインの他の部分は、長さ測定に関連する測定位置である。面積、容積、流量、または他の測定タイプに関連する測定位置を同定することができる。
【0028】
位置はユーザ入力から、または自動的に、または半自動的に同定される。実施例ではプロセッサ14は1つまたは複数のユーザ選択を受信する。図2の例では、プロセッサ14はライン40aの終点に対する円位置のユーザ指示を受信する。プロセッサ14は終点の位置をユーザ入力から同定する。ユーザは境界をトレースし、ラインを描き、ポイントを選択する。または測定に関連する位置に対して別の入力を行う。
【0029】
別の実施例では、プロセッサ14は位置を同定するためにデータを処理する。図2の例では、プロセッサ14は境界(例えば楕円36b)を検出し、この境界に沿った所望の位置、例えばライン40aの終点を検出する。いずれかの画像処理を行うことができ、これは例えば領域成長、フィルタリング、閾値化、パターンマッチング、相関、またはそれらの組み合わせである。例えばアルゴリズムによって、心臓壁に沿った、または弁の位置または境界を同定することができる。いずれのアルゴリズムも、データから対象位置を同定するのに使用することができる。
【0030】
別の実施例では、プロセッサ14は位置を半自動で同定するためにユーザ入力を使用する。例えばユーザはポイントを境界に沿って選択する。プロセッサ14は連続的にまたは部分的に境界線を、データおよびユーザ入力ポイントの関数として検出する。別の実施例として、ユーザは終点を選択し、プロセッサ14は終点間のラインを検出する。
【0031】
位置はプロセッサ14により、1つまたは複数の測定に対して同定される。例えば長さと面積が検出される。別の実施例として、面積と流量の両方が検出される。
【0032】
別の実施例では、同じ測定タイプの2つ、例えば2つの長さが検出される。測定は1つまたは複数のデータタイプに基づくか、または1つまたは複数のデータタイプから発生する。例えば同じ測定が2つの異なるデータタイプで実行される。1つのデータタイプが、走査された対象物の測定(例えば長さ)を検出するために使用される。別のデータタイプが、走査された対象物の同じ測定(例えば長さ)を検出するために使用される。測定は同じ対象物に対して2回実行されるが、異なるデータセットに基づく。測定は別個に実行され、各セットに対する測定は別のセットでの測定とは独立している。択一的に測定の一方は独立しているが、他方の測定は従属している。1つのデータセットはマルチチャネルまたはマルチモードからのデータを含む。同じ測定は2つまたはそれ以上のデータセットで、それらセットとは異なる少なくとも1つのデータタイプに基づいて実行される。
【0033】
プロセッサ14は測定に関連するインジケータを発生する。これは例えば1つの画像から別の画像への測定の反映である。位置測定または走査パラメータに基づき、異なるデータセットの相対的配向が検出される。配向、ライン、面積、トレース、または他の測定インジケータに従い、1つの画像が別の画像の同じ位置に配置される。インジケータは操作された領域の表示された対象物と整列されるか、またはされない。これは例えば、オリジナルの測定が低解像モードまたは低解像チャネルで実行された個所、および高解像度で規定されたデータまたは画像と比較してオフセットされた個所である。
【0034】
図2は例を示す。長さが測定される。1つのデータタイプに対する画像32では、対象物36aが一般的に円として現れる。直径が画像32でライン38aに沿って検出される。同じライン38aは、別のデータタイプの別の画像34にライン38bとして反映される。対象物は異なる空間的配向を有するから、楕円のように別の画像34に現れ、反映されたライン38bは対象物36bと整列していない。同様に同じ直径が別の画像34で測定される。この直径はライン40aにより示されている。ライン40aは画像32にライン40bとして反映される。
【0035】
プロセッサ14は測定間の差を検出することができる。同じ測定(例えば長さ)が2回実行される個所では、プロセッサ14が差を検出する。例えばライン38と40の長さの差(図2参照)が検出7される。別の例として、オフセットの量、例えば整列されていない終点間の距離が1次元、2次元、または3次元で検出される。別の例では、2つまたはそれ以上の測定間の差の別の特徴(例えば分散、平均値、中央値、平均、標準偏差、最短近接、相関)が検出される。
【0036】
ユーザ入力部18はキーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン、ボタン、ノブ、スライダ、それらの組み合わせ、または他の現在公知の、または将来開発されるユーザ入力デバイスである。ユーザ入力部18は、ユーザインタフェースに関連するユーザ入力を受信する。例えばディスプレイ上の位置に関連する選択が受信される。ユーザ入力はプロセッサ14に出力される。これは例えば測定のユーザ指示、または測定に関連する位置である。ユーザ入力部18は受信し、動作をトリガすることができる。これは例えば、先行の入力位置に基づく測定検出のトリガである。
【0037】
ディスプレイ20はモニタ、CRT、LCD、プラズマ、プロジェクタ、タッチスクリーン、それらの組み合わせ、または現在公知の、または将来開発されるディスプレイデバイスである。ディスプレイ20はプロセッサ14と直接、または間接的に接続されており、測定インジケータを備えるまたは備えない画像を受信する。
【0038】
ディスプレイ20は1つまたは複数の画像を表示することができる。例えば図2に示すように、ディスプレイ20、30は2つの画像32,34を含む。各画像は異なるデータタイプに相応し、これは例えばデータの種々の組合せである。種々のデータセットが画像32,34の発生のために使用される。データセットは表示値に、フィルタリング、検出、走査変換、または他の処理をされる。画像はグレースケール、カラー、またはグレースケールとカラーである。画像32,34は実質的に同じ時間で表示される。画像32,34は隣接した別個のモニタ、または空間的に別個のモニタ、または同じモニタに表示される。アップデート率は同じまたは異なる。
【0039】
1つまたは複数の画像32,34は測定に関連する指示を含む。例えば一方の画像32での測定は他方の画像34に反映される。他方の画像34での測定は一方の画像32に反映される。択一的に、一方の画像32,34に対する測定は他方の画像34,32に反映されない。指示はマーク、ポイント、ライン、ハイライト、シェーディング、テクスチュアリング、カラーリング、領域、または他の指示を含む。
【0040】
1つのデータセットでの測定を別のデータセットに対する画像に反映するため、相応するインジケータが符号化または整合される。例えば図2で、ライン38aと反映されたライン38bは同じテクスチャ(例えばダッシュ)および/または同じ色を有する。ライン40aと反映されたライン340bは同じテクスチャ(例えばドット)および/または同じ色を有する。テクスチャ、カラー、または他のマッチング指示は、同じ測定の異なる時点に対しては別である(例えばダッシュラインとドットライン38,40)。
【0041】
ディスプレイ20は、2つの同じ測定間の差を、種々異なるデータを使用して指示表示することができる。例えば測定位置を接続するラインが設けられる。差の他の視覚的インジケータ、例えば非重なりエリアのシェーディング、カラーリングも使用できる。別の例として差の数量化もユーザに表示される。
【0042】
図3は、診断医学画像での相互参照測定のための方法を示す。この方法は、図1のシステム10または別のシステムによって実現される。各動作は、図示の順序で実行してもよいし、または異なった順序で実行してもよい。付加的に、異なったステップが設けられてもよいし、より少ないステップしか設けられなくてもよい。例えばこの方法は、ステップ62および64なしで実行することも、またはステップ56,58および60なしで実行することもできる。別の例としてステップ52はオプションである。
【0043】
ステップ50で種々異なるデータタイプのデータセットが収集される。データは走査により、例えば医学画像モードでのリアルタイム走査により収集される。走査は同じシステムまたは異なるシステムにより実行することができる。種々のモードまたはチャネルに対するデータが収集される。択一的に、このデータは記憶装置または外部デバイスから検索または受信される。例えば以前の走査は医学的患者記録からロードされる。
【0044】
種々のデータセットは一人の患者の同じ領域を表す。種々のデータは、種々異なる獲得時間に、または実質的に同時に関連することができる。例えば1つのデータセットはより最近の、例えば分、時間、日にち、または年で他のデータセットよりもより最近の走査により収集される。別の例として、2つまたはそれ以上のデータセットが、実質的に同時の間欠的走査により収集される。
【0045】
データセットは、例えば種々異なるモードおよび/またはチャネルに関連する種々異なるデータタイプを有する。例えばデータセットは、検出に対して同じタイプの走査と異なるチャネルにより得られる。これは例えば、Bモードによる超音波走査と歪み検出である(例えば弾力性画像モードでは、Bモード画像と歪み画像が発生され、スクリーン上に並んで表示される)。別の例として、2つまたはそれ以上の異なる走査タイプが、データを得るために使用される。
【0046】
ステップ52では画像が発生される。画像は相互に隣接して表示される。例えば同じスクリーンに実質的に同時に表示される。空間的に別個の表示または一時的な表示も使用できる。各画像は1つまたは複数のデータセットの関数として発生される。種々の画像が、少なくとも1つの異なるデータセットの関数として発生される。
【0047】
ステップ54で、1つまたは複数のデータセットおよび/または画像に関連する測定が実行される。測定はプロセッサにより自動的に、半自動的に、またはユーザ入力の機能として実行される。同じ測定を、異なるデータおよび/または画像を使用して実行することができる。例えば異なるデータまたは画像により表される同じ対象物の長さまたは他の特徴は種々異なるデータまたは画像から測定される。測定は同じようにして各データセットから実行される。
【0048】
この測定は、ステップ56,58および60により表されるように、別の画像に反映される。またはこの測定は、ステップ62と64により表されるように、他のデータでの同じ測定との差を検出するのに使用される。反映と差検出の両方を使用することができる。
【0049】
ステップ56では、1つまたは複数のマーク位置が測定のために検出される。マーク位置は、データにより表される空間的位置、例えば画像上の位置に相当する。このマーク位置は、画像上のユーザ指示から受信することができる。このマーク位置はプロセッサにより、データのプロセッサ分析の機能として検出することができる。このマーク位置は、ユーザ入力とプロセッサ分析の組み合わせから検出することができる。
【0050】
このマーク位置は測定に関連する。例えばマーク位置は、距離測定の終点、ポイント位置、ポイントライン、エリア、または境界に対する容積位置、エリアの周辺、容積の表面、またはそれらの組み合わせである。
【0051】
このマーク位置は各測定毎に検出される。種々の測定を、1つのデータセットおよび/または画像に対して実行することができる。同じ測定を、異なるデータセットおよび/または画像に対して実行することができる。
【0052】
ステップ58では、測定またはマーク位置に関連する1つまたは複数の指示が画像に表示される。画像はデータセットから発生される。データセットまたは画像から実行された測定は相応する画像に表示される。データセットからの各測定の指示はそれぞれの画像に含まれる。
【0053】
ステップ60では、測定に対するマーク位置が反映される。例えば1つの画像からの指示は別の画像に反映される。2つまたはそれ以上の画像が同時に表示される場合、1つの画像に関連する測定に対する指示は別の画像に同時に反映される。種々異なる画像に関連するマーク位置を別の画像に反映することができる。マーク位置は、画像に関連しない測定からの表示画像、または以前の表示画像に反映することができる。
【0054】
反映されたマーク位置は同じように、または異なるやり方で異なる画像に指示される。同じ形状、大きさ、色、テクスチャ、またはそれらの組合せが、測定インジケータに、および異なる画像での測定の反映に使用される。別の測定、例えば異なるデータの関数として実行された同じ測定は、同じ経済性または異なる経済性を有する。同様にしかし異なっていて、特徴は、色、テクスチャ、および/またはポイント形状だけが異なる同じ測定に対して使用することができる。例えば種々異なるデータタイプから測定された同じ対象物の長さは、両方の測定に対してラインにより、しかし異なる色で指示される。反映は相応する外観を有するが、鏡映されたインジケータとか異なることができる。
【0055】
反映されたマーク位置は測定された対象物と整列されなくても良い。画像とデータは整列される。位置測定および/または操作パラメータはデータおよび画像の整列に使用される。相関または別の処理を整列に対して択一的に使用することができる。整列は1次元、2次元、または3次元である。並進整列、回転整列、または並進整列と回転整列の両方を使用することができる。整列はスケーリングを含むことができる。
【0056】
データを整列した後も、対象物は種々の空間的位置と、解像度、影、または走査または検出の他の物理的特性により関連することができる。不整列の可能性もあるので、マーク位置は画像化された対象物に関連して、種々の画像において同じ位置ではない。反映されたマーク位置はこの差を示す。
【0057】
ステップ56,58および60の実施例では、種々のチャネルデータ(Bモードおよび歪み)と、関連の画像とが表示される。ユーザは手動でマーク位置を測定に対して指示する。病変に対して、ユーザは病変の境界をBモード画像でトレースすることができる。同じトレースは歪み画像に適切なスケールと並進により複写される。オペレータが病変の境界を歪み画像上でトレースすると、同じトレースが複写され、Bモード画像に適切なスケールおよび並進により表示される。Bモードと歪み画像は同じ病変の異なる2つの物理的現象の表現であるから、病変の境界は病変の特性に依存して同じ位置に提示されることもされないこともある。
【0058】
ステップ56,58および60は上記実施例では反復される。同じ測定または異なる測定が同じ画像または異なる画像で実行される。付加的測定に対するマーク位置は1つまたは複数の別の画像に反映される。
【0059】
ステップ62と64の実施例では、同じ測定が異なるデータタイプの関数として実行される。差は診断的に有用である。測定は、反映、マーク位置指示または画像表示ありで、またはなしで実行することができる。
【0060】
ステップ62で、測定間の差が検出される。この差は数学的差(すなわち減算)または他の差特性(例えば位置、並進、回転、形状、空間的分散、または統計的関連性)である。1つ以上の差を計算することができる。種々の差を組み合わせるか、または別個に維持することができる。差は予想された差と関連することができる。これは例えば実際の差と予想された差との偏差を計算することにより行われる。2つまたはそれ以上の測定からの差は、診断および外科的計画での意思決定に対して情報を提供する。
【0061】
ステップ64では、情報が差の関数として表示される。差は表示される。これは例えば差を指示するテキストの表示である。コネクタまたはハイライトされたエリアは、2つの測定間の差を指示することができる。差は、測定インジケータありで、またはなしで表示される。測定インジケータは差を指示することができる。テキスト、陰影、カラー、グラフィック、形状、テクスチャ、または他の指示を画像中の差を強調するのに使用することができる。差は複数の画像で強調することができる。差は種々の画像に対して同じやり方で、または異なるやり方で指示することができる。
【0062】
図1を参照すると、メモリが命令のために使用される。このメモリ16は、コンピュータ読み出し可能記憶媒体であり、この記憶媒体は診断医学画像での相互参照測定のためにプログラムされたプロセッサにより実行可能な命令を表すデータをそこに記憶する。処理、方法および/または上述の技術を実行するための命令は、コンピュータで読み出し可能な記憶媒体またはメモリ上に提供されており、これは例えば、キャッシュ、バッファ、RAM、取り外し可能媒体、ハードディスクドライブまたはそれ以外のコンピュータ読み出し可能な記憶媒体である。コンピュータで読み出し可能な記憶媒体は、種々のタイプの揮発性および非揮発性記憶媒体を含む。図面またはここに説明した機能、動作またはタスクは、コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶されている。機能、動作またはタスクは、特定のタイプの命令セット、記憶媒体、プロセッサまたは処理ストラテジーとは無関係であり、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マクロコードなどによって、単独でまたは組み合わせて実行されるようにしてもよい。同様に、処理ストラテジーは、マルチプロセシング、マルチタスク処理、並列処理などを含んでいてもよい。実施例では、命令は、ローカルまたはリモートシステムによる読み出しのために、取り外し可能媒体装置に記憶されている。別の実施例では、命令は、コンピュータネットワークまたは電話回線を介して転送するために、遠隔地に記憶されている。別の実施例では、命令は、所定のコンピュータ、CPU、GPUまたはシステム内に記憶されている。
【0063】
これまで本発明を複数の実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく種々の変更を加えることが可能であるものと理解されたい。それゆえに図面に基づいて前述してきた詳細な説明は限定を意図したものではないし、以下に続く請求の範囲は全ての等価物を含み、この発明の趣旨を定めるものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、医学画像で相互参照測定を行うための装置の実施例のブロック回路図である。
【図2】図2は、相互参照測定の表示の実施例を表す概略図である。
【図3】図3は、医学画像で相互参照測定を行うための方法の実施例のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断医学画像での相互参照測定方法であって、該方法は、
・領域を表す第1のタイプのデータを収集するステップ(50);
・領域を表す第2のタイプのデータを収集するステップ(50)、
ただし第1のタイプは第2のタイプとは異なっており;
・第1の画像を第1のデータの関数として発生するステップ(52);
・第2の画像を第2のデータの関数として発生するステップ(52);
・第1のマーク位置を第1の測定に対して第1の画像上で検出するステップ(56);そして
・第1のマーク位置を第2の画像に反映するステップ(60);
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
第1と第2のデータを収集するステップ(50)は、同じタイプの走査と、モードの異なる検出とにより収集する(50)方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
同じタイプの走査は超音波走査を有し、モードの異なる検出はBモードと歪みを有する方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、
第1と第2のデータを収集するステップ(50)は、2つの異なるタイプの走査により収集する(50)方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、
第1と第2の画像を発生するステップ(52)は、第1と第2の画像を隣接表示するために実質的に同時に発生する(52)方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、
第1のマーク位置を検出するステップ(56)は、第1の画像上での第1のマーク位置のユ―ザ指示を受信し、該第1のマーク位置をプロセッサ(14)により、第1のデータを分析するプロセッサ(14)の機能として、またはそれらの組合せとして検出する方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、
反映するステップ(60)は、第1のマークを第1と第2の画像上の第1のマーク位置に同時に表示する方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、
反映するステップ(60)は、同じ形状、同じサイズ、同じ色、同じテクスチャ、またはそれらの組合せにより第1のマークを第1と第2の画像上に発生する方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法はさらに、
第2のマーク位置を第2の測定に対して第2の画像上で検出するステップ(56)、
ただし第1と第2の測定は同じ測定であるが、異なる第1と第2の画像に対して行われ;
第2のマーク位置を第1の画像に反映するステップ(60);
を有する方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法はさらに、
第1と第2の測定間の差を検出する(62)ステップを有する方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、
第1のマーク位置を検出するステップ(56)は、第1のマーク位置を距離の終点に対して、境界位置に対して、エリアの周囲に対して、容積の表面に対して、またはそれらの組合せに対して検出する(56)方法。
【請求項12】
診断医学画像での相互参照測定のための装置であって、該装置は、
第1と第2の異なるモードまたは画像システムチャネルに対する、それぞれ第1と第2のデータセットを記憶するメモリ(16)と、
第1と第2のデータセットから別個に検出された同じ測定に対する位置に関連する第1と第2の測定をそれぞれ同定するプロセッサ(14)と、
第1と第2のセータセットにそれぞれ相応する第1と第2の画像を表示し、それぞれ第1と第2の画像にある位置に関連する第1と第2の測定の指示を含むディスプレイ(20)とを有することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置であって、
第1と第2のデータセットは、異なる画像システムに関連する異なるモードに対するデータを有する装置。
【請求項14】
請求項12記載の装置であって、
第1と第2のデータセットは、同じ画像システムの異なる画像システムチャネルに対するデータを有する装置。
【請求項15】
請求項12記載の装置であって、
第1と第2のデータセットは同じ領域を表し、
ディスプレイは、第1と第2の画像および指示を実質的に同時に表示する装置。
【請求項16】
請求項12記載の装置はさらに、
位置に関連する第1と第2の測定のユーザ指示を、プロセッサ(14)に出力するユーザ入力部(18)を有する装置。
【請求項17】
請求項12記載の装置であって、
第1と第2の画像中の位置に関連する第1の測定の指示は同じカラー、同じテクスチャ、または同じカラーとテクスチャを有し、
第1と第2の画像中の位置に関連する第2の測定の指示は同じカラー、同じテクスチャ、または同じカラーとテクスチャを有し、
位置に関連する第1の測定に対する指示は、位置に関連する第2の測定に対する指示とは異なっている装置。
【請求項18】
請求項12記載の装置であって、
プロセッサ(14)は、第1のデータセットに基づく測定と第2のデータセットに基づく測定との間の差を検出する装置。
【請求項19】
コンピュータ読み出し可能記憶媒体(16)には、診断医学画像での相互参照測定のためにプログラムされたプロセッサ(14)により実行可能な命令を表すデータが格納されており、
該記憶媒体は、
異なるデータタイプのデータセットを収集する(50)ための命令と、
ただし該データセットは患者の同じ領域を表し;
各データセットから同じようにして測定する(54)ための命令と;
異なるデータタイプのデータセットの測定間の差を検出する(62)ための命令とを有する。
【請求項20】
請求項19記載の命令さらに、
データセットから画像を発生する(52)ための命令と;
データセットからの各測定の指示(60)をそれぞれの画像に含ませるための命令とを有する命令。
【請求項21】
請求項19記載の命令さらに、
差の関数として情報を表示(64)するための命令を有する命令。
【請求項22】
請求項21記載の命令であって、
表示(64)は画像中に差を強調する命令。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−275588(P2007−275588A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96450(P2007−96450)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】