説明

試料分析装置

【課題】使用される消耗部品が試料分析装置に適合したものであるか否かを管理し、分析精度の低下を抑制し、かつ、分析精度を維持することが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】この免疫分析装置10は、使い捨て部品としてのピペットチップが収容された箱に設けられたバーコードから、ピペットチップを識別するためのシリアル番号を取得するバーコードリーダ60と、補充されたピペットチップ80を収納する収納部21aと、収納部21aのピペットチップ80を検体分注アーム22に供給する搬送部21bとを含むピペットチップ供給部21と、使用されたピペットチップ80の数を取得する検体分注アーム22と、使用者に対して所定の警告を行うための警告画面と、箱から補充されたピペットチップ80の使用可能数と、ピペットチップ80の使用数との関係が所定の関係の場合に警告画面により警告を行う測定制御部およびデータ処理制御部51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料分析装置に関し、特に、使い捨て部品としての消耗部品を使用して試料の分析を行う試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、臨床検査分野では、コンタミネーション(汚染)を少なくするために、使い捨ての消耗部品としてのピペットチップやキュベットなどを使用する試料分析装置が増えている。一方、患者の負担を軽減するために採取する検体量をより少なくする傾向にあり、測定する試料の微量化とともに測定精度の向上が求められている。そのため、ピペットチップやキュベットの性能が試料分析装置の測定精度に影響を与えている。たとえば、ピペットチップでは、微量定量や精度を確保するためにその内径が非常に小さくなり、製品の形状もより複雑になっている。また、キュベットは、ある波長の光の透過性能や容量を確保するために特殊な材質により製造され、製品の形状もより複雑になっている。そのため、所定の性能が確保されたピペットチップやキュベットを使用することにより、試料分析装置の測定精度を確保することが可能とされている。その一方、試料分析装置に適合しないピペットチップやキュベットを使用した場合は、測定精度が保たれず、試料分析装置による分析精度が低下する。
【0003】
また、従来、試薬や洗浄剤などの消耗品を自動的に管理することが可能な自動分析装置(試料分析装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、臨床検査に関する試薬や洗浄剤などの消耗品情報と、臨床検査の実績とに基づいて、臨床検査の精度が保証できるか否かを判定することが可能に構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平2002−350451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の試料分析装置では、試料分析装置に適合しないピペットチップやキュベットなどの使い捨て部品である消耗部品を使用した場合について、試料分析装置の測定精度を維持する方法については考慮されていない。このため、試料分析装置に適合しない消耗部品(ピペットチップやキュベット)が使用された場合には、分析動作における測定精度が低下してしまう恐れがあるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、使用される消耗部品が試料分析装置に適合したものであるか否かを管理することによって、分析動作における測定精度の低下を抑制し、かつ、測定精度を維持することが可能な試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による試料分析装置は、使い捨て部品としての消耗部品を使用して試料の分析を行う試料分析装置であって、所定の一群として管理された複数の消耗部品が収容された収容部材に付された、消耗部品の群を識別するための群識別情報を保持する識別情報保持手段から群識別情報を取得する識別情報取得手段と、収容部材から供給された消耗部品を収納する収納部と、収納部に収納された消耗部品を所定の機構部に供給する供給部とを含む消耗部品供給手段と、機構部により使用された消耗部品の数を取得する消耗部品使用数取得手段と、使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、群の消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、群に属する消耗部品の使用数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように警告手段を制御する制御部とを備える。
【0008】
この第1の局面による試料分析装置では、上記のように、使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、所定の一群として管理された消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、群に属する消耗部品の使用数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように警告手段を制御する制御部とを備えることによって、たとえば消耗部品の個数(群消耗品管理値)に対して、実際に使用された消耗部品の使用数が多くなった場合などに、使用者に対して警告を行うことができるので、使用される消耗部品について試料分析装置に適合可能か否かが管理された状態で分析動作が行われる。また、適合外の消耗部品が使用されることに起因する測定精度の低下を抑制することができる。そして、試料分析装置に適合した消耗部品が使用されることによって、分析動作における測定精度を所定のレベルに維持することができる。
【0009】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、制御部は、群に属する消耗部品の使用数が、群消耗部品管理値を超えた場合に、警告手段により警告を行う。このように構成すれば、使用者は、警告手段により警告を認識することによって、予め登録された使用可能な消耗部品の残量(残数)がないことを容易に認識することができる。
【0010】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、制御部は、群に属する消耗部品の使用数が、群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、試料の分析動作を禁止する制御を行う。このように構成すれば、使用可能な消耗部品の残量(残数)がゼロとなった場合でも、既に受け付けた分析オーダに対する分析動作が中断されるのを抑制することができる。また、新たな分析オーダに対する分析動作を禁止することによって、使用者は、試料分析装置に適合した消耗部品を補充しない限り、新たな分析オーダに対する分析動作を実行させることができない。したがって、新たな分析オーダに対して適合外の消耗部品が使用されることに起因する分析精度の低下を抑制することができるので、分析精度を所定のレベルに維持することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、消耗部品供給手段の動作をさらに制御し、制御部は、群に属する消耗部品の使用数が、群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、消耗部品供給手段の動作を禁止するように消耗部品供給手段を制御する。このように構成すれば、容易に、既に受け付けた分析オーダに対する分析動作が中断されるのを抑制しながら、新たな分析オーダに対する試料の分析動作を禁止することができる。
【0012】
上記制御部が、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、試料の分析動作を禁止する制御を行う構成において、好ましくは、識別情報取得手段が取得した群識別情報を記憶するための第1記憶部をさらに備え、第1記憶部には、試料の分析動作の際の群に属する消耗部品の使用数が記憶され、制御部は、群消耗部品管理値から群に属する消耗部品の使用数を減算した値が、分析オーダの数よりも少ない場合、分析オーダを受け付ける制御を行う。このように構成すれば、使用可能な消耗部品の残量(残数)が分析オーダの数よりも少なくなった場合であっても、分析オーダを受け付けて分析動作を行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、制御部は、群に属する消耗部品の使用数が、群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されていない場合、試料の分析動作を禁止する制御を行う。このように構成すれば、消耗部品の使用数が群消耗部品管理値を超えた後は、新たな分析オーダに対して、容易に、分析動作を行わせないようにすることができる。
【0014】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、識別情報取得手段が取得した群識別情報を記憶するための第1記憶部をさらに備え、制御部は、識別情報取得手段により取得された群識別情報と、既に第1記憶部に記憶されている群識別情報とが一致し、かつ、第1記憶部に記憶されている群に属する消耗部品の使用数が、群消耗部品管理値を超える場合に、警告を行うように警告手段を制御する。このように構成すれば、消耗部品を新たに補充する際に、使用者は、実際に使用された消耗部品の個数が、予め同一の群識別情報の群消耗部品管理値として登録された使用可能な消耗部品の個数に到達したことを認識することができるので、使用者は、別な群識別情報を有する消耗部品を補充する必要があることを容易に認識することができる。
【0015】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、識別情報保持手段は、群識別情報と、試料分析装置用に適合した消耗部品であることを示す第1照合用識別情報とを保持し、第1照合用識別情報に対応する第2照合用識別情報が予め記憶されているとともに、群識別情報を記憶可能な第2記憶部をさらに備え、制御部は、識別情報保持手段により取得された第1照合用識別情報と第2照合用識別情報とが一致し、かつ、第2記憶部に群識別情報が記憶されていない場合に、第2記憶部に群識別情報を記憶させるとともに、その群に対応する消耗部品の種別を記憶させる。このように構成すれば、制御部は、第2記憶部に予め記憶されている第2照合用識別情報と、識別情報保持手段から読み取られた第1照合用識別情報とを容易に照合することができるとともに、第2記憶部により、消耗部品の群識別情報および種別を容易に管理することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、識別情報保持手段により取得された第1照合用識別情報と第2照合用識別情報とが一致しない場合、警告を行うように警告手段を制御する。このように構成すれば、警告手段による警告によって、使用者は、新たに補充する消耗部品が、試料分析装置に適合した消耗部品ではないことを容易に認識することができる。
【0017】
上記群識別情報を記憶可能な第2記憶部をさらに備えた構成において、好ましくは、制御部は、識別情報保持手段により取得された第1照合用識別情報と第2照合用識別情報とが一致し、かつ、第1照合用識別情報と第2照合用識別情報とが一致した回数が所定回数を超えた場合、警告を行うように警告手段を制御する。このように構成すれば、使用者が同じ群識別情報を保持する消耗部品を複数回に渡って補充する場合に、警告手段による警告によって、使用者は、同じ群識別情報を保持する消耗部品の総個数として予め記憶されている群消耗部品管理値以上の個数を補充することができないことを容易に認識することができる。
【0018】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、消耗部品がキュベットであり、制御部は、消耗部品供給手段が機構部にキュベットを供給した回数に基づいて、消耗部品使用数取得手段によりキュベットの使用数を取得する制御を行う。このように構成すれば、制御部は、分析動作の際に実際に使用されるキュベットの使用数を確実に把握することができる。
【0019】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、消耗部品がピペットチップであり、機構部が試料を分注するための分注部であり、制御部は、消耗部品供給手段が分注部にピペットチップを供給した回数に基づいて、消耗部品使用数取得手段によりピペットチップの使用数を取得する制御を行う。このように構成すれば、制御部は、分析動作の際に実際に使用されるピペットチップの使用数を確実に把握することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による試料分析装置は、使い捨て部品としての消耗部品を使用して試料の分析を行う試料分析装置であって、所定の一群として管理された複数の消耗部品が収容された第1収容部材に付された、消耗部品の群を識別するための群識別情報を保持する識別情報保持手段から群識別情報を取得する識別情報取得手段と、第1収容部材から供給された消耗部品を収納する収納部、および収納された消耗部品を所定の機構部に供給する供給部を含む消耗部品供給手段と、収納部に補給される、群に属する消耗部品の数を取得する消耗部品補給数取得手段と、使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、群の消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、消耗部品補給数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように警告手段を制御する制御部とを備える。
【0021】
この第2の局面による試料分析装置では、上記のように、使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、所定の一群として管理された消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、収納部に補給される消耗部品補給数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように警告手段を制御する制御部とを備えることによって、たとえば消耗部品の個数(群消耗品管理値)に対して、実際に試料分析装置に補給された消耗部品の補給数が多くなった場合などに、使用者に対して警告を行うことができるので、補給される消耗部品について試料分析装置に適合可能か否かが管理された状態で分析動作が行われる。また、適合外の消耗部品が使用されることに起因する測定精度の低下を抑制することができる。そして、試料分析装置に適合した消耗部品が使用されることによって、分析動作における測定精度を所定のレベルに維持することができる。
【0022】
上記第2の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1収容部材には、消耗部品が所定数毎に小分けされた状態で収容される複数の第2収容部材が収容されるとともに、識別情報保持手段が第2収容部材に設けられており、制御部は、識別情報取得手段により、第2収容部材の識別情報保持手段から群識別情報を取得する制御を行う。このように構成すれば、小分けされた第2収容部材を管理する最小の単位として、消耗部品の情報管理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による免疫分析装置の平面図である。図3〜図8は、図1に示した一実施形態による免疫分析装置の構成を示した図である。まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置10の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、試料分析装置の一例である免疫分析装置10に本発明を適用した例について説明する。
【0025】
本発明の一実施形態による免疫分析装置10は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置10では、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子をBF(Bound Free)分離部14(図1および図2参照)の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体をBF分離部32の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原または抗体を定量的に測定している。
【0026】
この免疫分析装置10は、図1および図2に示すように、測定機構部20と、測定機構部20の前面側に配置された検体搬送部(サンプラ)40と、測定機構部20に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置50とを備えている。そして、この免疫分析装置10では、使い捨ての消耗部品としての樹脂製のピペットチップ80(図5参照)およびキュベット90(図6参照)を使用することによって、試料の分析動作を行うことが可能に構成されている。
【0027】
測定機構部20は、ピペットチップ供給部21と、検体分注アーム22と、試薬設置部23および24と、試薬分注アーム25、26および27と、1次反応部28および2次反応部29と、キュベット供給部30と、供給用キャッチャ部31と、BF分離部32と、検出部33とから構成されている。また、図3に示すように、測定機構部20における各機構部(ピペットチップ供給部21、検体分注アーム22、試薬設置部23、試薬設置部24および試薬分注アーム25など)は、測定機構部20に設けられた測定制御部34(図3参照)により制御されている。具体的には、測定制御部34は、上述の各機構部にそれぞれ設けられた各種センサ(原点検知センサなど(図示せず))からの信号を受信するとともに、上述の各機構部にそれぞれ設けられた各種駆動源(ステッピングモータなど(図示せず))の駆動を制御している。また、検体搬送部40も、測定制御部34によって制御されるように構成されている。
【0028】
ピペットチップ供給部21(図1および図2参照)は、使用者により収納部21aに補充された複数のピペットチップ80(図5参照)を、搬送部21bによりピペットチップ80の先端部90aが下向きになるように方向付けた状態で1つずつ搬送するとともに、検体分注アーム22の装着位置Q(図2参照)まで搬送する機能を有している。また、ピペットチップ供給部21には、収納部21aが収容されているピペットチップ80の有無(残量)を検出するための残量センサ(透過型センサ)21cが設けられている。
【0029】
検体分注アーム22(図1および図2参照)は、検体搬送部40により吸引位置Pに搬送された試験管100内の検体を、後述する1次反応部28の回転テーブル部28aの保持部28bに保持されるキュベット90内に分注する機能を有している。この検体分注アーム22は、図1および図2に示すように、モータ22aと、モータ22aに接続される駆動伝達部22bと、駆動伝達部22bに軸22cを介して取り付けられるアーム部22dとを含んでいる。また、駆動伝達部22bは、モータ22aからの駆動力によりアーム部22dを、軸22cを中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部22dの先端部には、検体の吸引および吐出を行うノズル部22eが設けられている。そして、図7に示すように、ピペットチップ供給部21の搬送部21bにより装着位置Qまで搬送されたピペットチップ80は、検体分注アーム22のノズル部22eの先端22fが挿入されることにより、ピペットチップ80の装着が行われるように構成されている。本実施形態では、測定制御部34(図3参照)が、アーム部22dの回動動作を検知することによって、分析動作に使用されるピペットチップ80の個数を認識することが可能に構成されている。
【0030】
試薬設置部23(図1および図2参照)は、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬容器および標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬容器を保持する試薬収容具を設置するために設けられている。この試薬設置部23は、図1に示すように、試薬収容具が保持される試薬保持部23aと、試薬保持部23aに取り付けられる蓋部23bと、試薬保持部23a内の試薬収容具を蓋部23bに設けられた孔23cを介して交換するための昇降部23dとを含んでいる。
【0031】
試薬設置部24(図1および図2参照)は、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器を保持する試薬収容具(図示せず)を設置するために設けられている。この試薬設置部24は、図1に示すように、試薬収容具が保持される試薬保持部24aと、試薬保持部24aに取り付けられる蓋部24bと、試薬保持部24a内の試薬収容具を蓋部24bに設けられた孔24cを介して交換するための昇降部24dとを含んでいる。
【0032】
試薬分注アーム25(図1および図2参照)は、試薬設置部23に設置される試薬収容具内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部28の検体が分注されたキュベット90内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム25は、モータ25aと、モータ25aに接続される駆動伝達部25bと、駆動伝達部25bに軸25cを介して取り付けられたアーム部25dとを含んでいる。また、駆動伝達部25bは、モータ25aからの駆動力により軸25cを中心にアーム部25dを回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部25dの先端部には、試薬収容具内のR1試薬の吸引および吐出を行うためのピペット25e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット25eは、試薬設置部23に設置された試薬収容具内のR1試薬を吸引した後、吸引したR1試薬を1次反応部28の検体が分注されたキュベット90内に分注するように構成されている。
【0033】
試薬分注アーム26(図1および図2参照)は、試薬設置部24に設置される試薬収容具内のR2試薬を1次反応部28の検体およびR1試薬が分注されたキュベット90内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム26は、モータ26aと、モータ26aに接続される駆動伝達部26bと、駆動伝達部26bに軸26cを介して取り付けられたアーム部26dとを含んでいる。また、駆動伝達部26bは、モータ26aからの駆動力により、軸26cを中心にアーム部26dを回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部26dの先端部には、試薬設置部24に設置される試薬収容具内のR2試薬の吸引および吐出を行うためのピペット26e(図1参照)が取り付けられている。したがって、ピペット26eは、試薬設置部24に設置される試薬収容具内のR2試薬を吸引した後、吸引したR2試薬を1次反応部28の検体およびR1試薬が分注されたキュベット90内に分注するように構成されている。
【0034】
試薬分注アーム27(図1および図2参照)は、試薬設置部23に設置される試薬収容具内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部29の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット90内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム27は、モータ27aと、モータ27aに接続される駆動伝達部27bと、駆動伝達部27bに軸27cを介して取り付けられたアーム部27dとを含んでいる。また、駆動伝達部27bは、モータ27aからの駆動力により、軸27cを中心にアーム部27dを回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部27dの先端部には、試薬収容具内のR3試薬の吸引および吐出を行うためのピペット27e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット27eは、試薬設置部23の試薬収容具内のR3試薬を吸引した後、吸引したR3試薬を2次反応部29の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット90内に分注される。
【0035】
1次反応部28は、図1および図2に示すように、回転テーブル部28aの保持部28bに保持されるキュベット90を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット90内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するために設けられている。つまり、1次反応部28は、キュベット90内で磁性粒子を有するR2試薬と検体中の抗原とを反応させるために設けられている。この1次反応部28は、検体とR1試薬およびR2試薬とが収容されるキュベット90を回転方向に搬送するための回転テーブル部28aと、キュベット90内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体、R1試薬およびR2試薬が収容されたキュベット90を後述するBF分離部32(図1および図2参照)に搬送する容器搬送部28cとから構成されている。
【0036】
また、回転テーブル部28aは、保持部28bに保持されたキュベット90を18秒毎に所定の角度だけ回転移送するように構成されている。そのため、免疫分析装置10の各種装置(検体分注アーム22や試薬分注アーム25および26など)は、回転テーブル部28aにより所定の位置に移送されたタイミングで、移送された所定の位置のキュベット90に対して動作するように制御されている。
【0037】
また、容器搬送部28cは、回転テーブル部28aの中心部分に回転可能に設置されている。この容器搬送部28cは、回転テーブル部28aの保持部28bに保持されるキュベット90を把持するとともにキュベット90内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、容器搬送部28cは、検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌してインキュベーションした試料を収容したキュベット90をBF分離部32(図1および図2参照)に搬送する機能も有している。
【0038】
2次反応部29(図1および図2参照)は、1次反応部28と同様の構成を有しており、回転テーブル部29aの保持部29bに保持されるキュベット90を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット90内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するために設けられている。つまり、2次反応部29は、キュベット90内で標識抗体を有するR3試薬と検体中の抗原とを反応させるとともに、発光基質を有するR5試薬とR3試薬の標識抗体とを反応させるために設けられている。なお、R5試薬は、2次反応部29の近傍に設けられたR5試薬分注アーム(図示せず)により、2次反応部29の検体、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が収容されたキュベット90内に分注されるように構成されている。この2次反応部29は、検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬が収容されるキュベット90を回転方向に搬送するための回転テーブル部29aと、キュベット90内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体などが収容されたキュベット90をBF分離部32に搬送する容器搬送部29cとから構成されている。さらに、容器搬送部29cは、BF分離部32により処理されたキュベット90を再び回転テーブル部29aの保持部29bに搬送する機能を有している。なお、2次反応部29の詳細構造は、1次反応部28と同様であるので、その説明を省略する。
【0039】
キュベット供給部30(図1および図2参照)は、使用者により収納部30aに補充された複数のキュベット90(図6参照)を、搬送部30bによりキュベット90の底部80aが下向きになるように方向付けた状態で1つずつ搬送するとともに、キュベット供給部30隣接して配置された供給用キャッチャ部31により、搬送部30bから1次反応部28の回転テーブル部28aの保持部28bに順次供給することが可能に構成されている。また、キュベット供給部30には、収納部30aに収容されているキュベット90の有無(残量)を検出するための残量センサ(透過型センサ)30cが設けられている。
【0040】
供給用キャッチャ部31(図1参照)は、キュベット供給部30の搬送部30bにより受け取られたキュベット90を1次反応部28の回転テーブル部28aの保持部28bに移送する機能を有している。また、供給用キャッチャ部31は、モータ31aと、モータ31aに接続されるプーリ31bと、プーリ31bと所定の間隔を隔てて配置されるプーリ31cと、プーリ31bおよびプーリ31cに装着される駆動伝達ベルト31dと、プーリ31cに軸を介して取り付けられるアーム部31eと、アーム部31eを上下方向(Z方向)に移動させるための駆動部31fとを有している。また、アーム部31eの先端部には、キュベット90を挟み込んで把持するためのチャック部31gが設けられている。本実施形態では、測定制御部34(図3参照)が、アーム部31eの回動動作を検知することによって、使用されるキュベット90の個数を認識することが可能に構成されている。
【0041】
BF分離部32は、1次反応部28の容器搬送部28cによって搬送されたキュベット90内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能と、2次反応部29の容器搬送部29cによって搬送されたキュベット90(図1参照)内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能とを有している。
【0042】
検出部33(図1および図2参照)は、所定の処理が行われた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
【0043】
測定制御部34は、図4に示すように、CPU34aと、ROM34bと、RAM34cと、入出力インタフェース34dと、通信インタフェース34eとから主として構成されるとともに、バス34fによって互いに接続されることにより、制御信号および制御上の計算データなどを互いに受け渡しすることが可能なように構成されている。
【0044】
また、CPU34aは、ROM34bに記憶されているコンピュータプログラム35およびRAM34cに読み出されたコンピュータプログラム35を実行することが可能である。ROM34bは、CPU34aが実行可能なコンピュータプログラム35およびコンピュータプログラム35を実行する際に必要となるデータなどが記憶されている。また、RAM34cは、ROM34bに記憶されたコンピュータプログラム35(図4参照)の読み出しに用いられる。また、RAM34cは、これらのコンピュータプログラム35を実行するときに、CPU34aの作業領域として使用される。また、本実施形態では、コンピュータプログラム35にカウンタ35aが変数として設けられ、CPU34aが実行するコンピュータプログラム35において、ピペットチップ80やキュベット90などの消耗品が分析動作の際に使用された個数をカウンタ35aに格納することが可能に構成されている。
【0045】
また、入出力インタフェース34dには、バーコードリーダ60(図1参照)が接続されており、後述する消耗部品(ピペットチップ80やキュベット90など)が収納されているパッケージ(箱81(図8参照))の側面に設けられたバーコード83(図8参照)の情報を測定制御部34に送信するための機能を有している。また、通信インタフェース34eは、制御装置50側の通信インタフェース51gに接続されており、検体の光学的な情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ)を制御装置50に送信するとともに、制御装置50のデータ処理制御部51からの信号を受信するための機能を果たすように構成されている。また、通信インタフェース34eは、測定機構部20および検体搬送部40の各部を駆動する際の、CPU34aからの指令を送信する機能を有している。
【0046】
検体搬送部40は、図1および図2に示すように、検体を収容した複数の試験管100が載置されたラック101を、検体分注アーム22が検体を吸引する吸引位置Pに対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部40は、未処理の検体を収容した試験管100が載置されたラック101をセットするためのラックセット部40aと、分注処理済みの検体を収容した試験管100が載置されたラック101を貯留するためのラック貯留部40bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管100を検体分注アーム22の吸引位置Pに対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム22により試験管100内の血液などの検体の吸引が行われ、その後、その試験管100を載置したラック101がラック貯留部40bに貯留されるように構成されている。
【0047】
制御装置50(図1参照)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなるデータ処理制御部51と、表示部52と、キーボード53とから主として構成されたコンピュータ70によって構成されている。また、データ処理制御部51は、CPU51aと、ROM51bと、RAM51cと、ハードディスク51dと、読出装置51eと、入出力インタフェース51fと、通信インタフェース51gと、画像出力インタフェース51hとから主として構成されている。また、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51gおよび画像出力インタフェース51hは、バス51iによって互いに接続されることにより、制御信号および制御上の計算データなどを互いに受け渡しすることが可能なように構成されている。また、表示部52は、検出部33から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。また、本実施形態では、制御装置50において、消耗部品(ピペットチップ80やキュベット90など)の補充に関する操作を行うことが可能に構成されている。
【0048】
CPU51aは、ROM51bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM51cに読み込まれたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、CPU51aは、後述するような免疫分析用のアプリケーションプログラム71aを実行することにより、コンピュータ70が制御装置50として機能することが可能に構成されている。
【0049】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが格納されている。また、RAM51cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM51cは、ROM51bおよびハードディスク51dに格納されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM51cは、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として使用される。
【0050】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータが格納されている。本実施形態に係る免疫分析用のアプリケーションプログラム71aも、このハードディスク51dに格納されている。
【0051】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体71に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体71には、免疫分析用のアプリケーションプログラム71aが格納されており、コンピュータ70がその可搬型記録媒体71からアプリケーションプログラム71aを読み出し、そのアプリケーションプログラム71aをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0052】
なお、上記アプリケーションプログラム71aは、可搬型記録媒体71によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ70と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム71aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ70がアクセスして、そのアプリケーションプログラム71aをダウンロードするとともに、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0053】
また、ハードディスク51dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム71aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0054】
また、入出力インタフェース51fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース51fには、キーボード53が接続されており、使用者がそのキーボード53を使用することにより、コンピュータ70にデータを入力することが可能である。
【0055】
また、通信インタフェース51gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ70は、その通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部20との間でデータの送受信が可能である。
【0056】
また、画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部52に出力することが可能とされている。これにより、表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示することが可能とされている。
【0057】
また、データ処理制御部51のハードディスク51dにインストールされた免疫分析用のアプリケーションプログラム71aは、測定機構部20の検出部33から送信された測定用試料の発光量(デジタル信号のデータ)を用いて、測定用試料の抗原または抗体の量を測定することが主な機能とされている。
【0058】
ピペットチップ80は、図8に示すように、箱81に複数個(本実施形態では500個単位)に小分けされ袋詰めされた小袋82が4つ収納された状態で使用者に市販されるように構成されている。したがって、箱81には、一箱あたり2000個のピペットチップ80が収容されている。また、図8に示すように、箱81の側面には、バーコード83が貼り付けられている。このバーコード83には、「製造会社情報(○○社純正品)」、「種別(ピペットチップ)」、「ロット番号」および「シリアル番号」などの情報がバーコード情報として記録されており、バーコードリーダ60により、この情報を読み取ることが可能に構成されている。なお、市販されるキュベット90の供給形態についても、上記ピペットチップ80の供給形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
図9〜図14は、本発明の一実施形態による免疫分析装置に適用されるアプリケーションプログラムの画面構成を説明するための図である。次に、図9〜図14を参照して、免疫分析装置10に適用されるアプリケーションプログラム71aの画面構成を説明する。
【0060】
免疫分析装置10において分析動作を行う際に、使用者がコンピュータ70により免疫分析用のアプリケーションプログラム71aを実行すると、図9に示すようなセットアップ画面72が表示部52に表示される。このセットアップ画面72では、免疫分析装置10における分析動作の進行状況がモニタ可能であるとともに、使用者が、表示部52のセットアップ画面72を指などで直接触れるいわゆるタッチパネル方式により、免疫分析装置10に対する各種操作(分析オーダの登録、データ管理、試薬および消耗品の補充など)を行うことが可能である。
【0061】
セットアップ画面72は、図9に示すように、メニューボタン群73a、測定中断ボタン73b、測定開始ボタン73c、消耗品補充ボタン73d、試薬交換ボタン73eおよび廃液ボックスリセットボタン73fなどの操作ボタン領域73と、消耗品アイコン部74a、廃棄ボックスアイコン部74b、消耗品インジケータ表示部74cおよび試薬セット表示部74dなどの分析動作表示領域74とから主に構成されている。
【0062】
また、セットアップ画面72には、センサ(残量センサ21cおよび残量センサ30cなど)による検知に基づいた消耗品の残量に応じて、消耗品アイコン部74aおよび消耗品インジケータ表示部74cの表示色が段階的に変化することにより、使用者に対して消耗品(試薬、ピペットチップ80およびキュベット90など)の各供給部への補充時期を知らせることが可能に構成されている。
【0063】
ここで、本実施形態では、消耗部品の補充サインが消耗品インジケータ表示部74cに表示された際、使用者は、消耗品補充ボタン73d(図9参照)を押下することにより、消耗品操作画面75(図10参照)が表示されるように構成されている。この消耗品操作画面75は、図10に示すように、消耗品選択部75aと、バーコード情報入力部75bと、OKボタン75cと、キャンセルボタン75dとから構成されている。また、消耗品選択部75aは、使用者が指などで触れることにより、補充する消耗部品(ピペットチップ80またはキュベット90のいずれか)が選択可能とされている。そして、選択された消耗部品に対して、バーコードリーダ60により、消耗部品のパッケージ(箱81(図8参照)を示す)の側面に設けられたバーコード情報を読取入力した上で、OKボタン75cを押下するように構成されている。
【0064】
また、本実施形態では、測定制御部34を介して読み込まれた消耗部品(ピペットチップ80を選択したとする)のバーコード情報が、データ処理制御部51がハードディスク51d内で管理するバーコード情報と一致しない場合は、警告画面76(図11参照)が表示されるように構成されている。特に、警告画面76は、ピペットチップ80の製造元情報がハードディスク51d内に登録されている製造元情報(登録済製造元情報)に該当しない場合に使用者に知らせることを目的として設定されている。これにより、使用者は、補充する消耗部品(ピペットチップ80)が免疫分析装置10に適合しているか否かを認識することが可能であるように構成されている。
【0065】
また、本実施形態では、初めて補充を行うピペットチップ80のパッケージ(箱81(図8参照)を示す)に設けられたバーコード情報(シリアル番号)が読み込まれた際に、ハードディスク51d内に予め登録されている同一のバーコード情報(シリアル番号)を参照することによって、新規に補充されるピペットチップ80の個数(2000個)を測定制御部34が実行するコンピュータプログラム35のカウンタ35aに加算されるように構成されている。したがって、使用者が、まず、1つの小袋82に収容されたピペットチップ80(500個)のみを補充する場合は、後刻、残りあと3回まで同一のバーコード情報(シリアル番号)を受け付ける(補充を許可する)ことが可能に構成されている。
【0066】
また、本実施形態では、同一のバーコード情報(シリアル番号)が所定回数(4回)以上読み取られた場合には、警告画面77(図12参照)が表示されるように構成されている。これにより、使用者は、そのバーコード情報により補充が許可されているピペットチップ80の使用可能数(2000個)を超過したことを認識することが可能とされている。
【0067】
また、ピペットチップ80の補充が適正に行われることにより補充が完了した場合には、補充完了画面78(図13参照)が表示されるように構成されている。
【0068】
また、本実施形態では、分析動作の途中において、カウンタ35aに記憶されているピペットチップ80の残量がなくなった場合には、警告画面79(図14参照)が表示されるように構成されている。
【0069】
なお、上記は、ピペットチップ80を補充する際についての画面構成を説明しているが、キュベット90を補充する際についても、使用者はセットアップ画面72を介して同様の方法により補充することが可能とされている。
【0070】
また、使用済みのピペットチップ80やキュベット90が測定機構部20の下部に設けられた廃棄ボックス(図示せず)に蓄積されるとともに、所定数を超えた場合には、セットアップ画面72の廃棄ボックスアイコン部74bの表示色が変化することにより、使用者に対して廃棄ボックスに溜まった使用済みの消耗品を廃棄する時期を知らせることが可能に構成されている。
【0071】
図15〜図17は、図1に示した本発明の一実施形態による免疫分析装置の分析動作の際のアプリケーションプログラムの制御動作を示すフローチャートである。次に、図1、図4および図9〜図17を参照して、本実施形態による免疫分析装置10にピペットチップ80を補充する際の動作を説明する。
【0072】
まず、測定機構部20の電源(図示しない)を入れると、ステップS1(図15参照)において、測定制御部34の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、測定機構部20の各部の動作チェックが行われる。そして、制御装置50の電源(図示しない)を入れると、ステップS11(図15参照)において、データ処理制御部51の初期化(プログラムの初期化)が行われる。なお、測定制御部34の初期化が完了すると、測定制御部34は、データ処理制御部51の初期化完了を示す初期完了信号を要求し、初期化完了信号を受信すると、試薬設置部23および24にセットされた全ての試薬のバーコードおよび試薬ラック(図示せず)のバーコードを読み取る。読み取られたバーコード情報は、測定制御部34からデータ処理制御部51に送信され、データ処理制御部51のハードディスク51dに記憶される。
【0073】
そして、使用者がアプリケーションプログラム71aを起動すると、図9に示すように、表示部52にセットアップ画面72が表示される。そして、図15に示すように、測定制御部34は、ステップS2〜ステップS8の制御フローを実行するとともに、データ処理制御部51は、測定制御部34との通信に基づいて、ステップS12〜ステップS20の制御フローを実行することにより、測定機構部20の各種動作が行われる。
【0074】
次に、ステップS12において、使用者がセットアップ画面72の消耗品補充ボタン73dを押下(表示部52の所定位置を指で直接触れる)したか否かが判断されるとともに、消耗品補充ボタン73dが押下されていない場合は、消耗品補充ボタン73dが押下されるまでこの判断が繰り返される。また、使用者が、セットアップ画面72の消耗品アイコン部74aおよび消耗品インジケータ表示部74cの表示色を認識することによって、ピペットチップ80の補充が必要であると判断した場合には、使用者は、セットアップ画面72の消耗品補充ボタン73dを押下する。これにより、ステップS12において、消耗品補充ボタン73dを押下したと判断されるので、ステップS13では、図10に示すように、消耗品操作画面75が表示される。
【0075】
そして、使用者は、消耗品操作画面75に従い、補充するピペットチップ80が収容された箱81のバーコード83をバーコードリーダ60により読取入力を行う。
【0076】
また、測定制御部34は、ステップS2において、使用者がバーコードリーダ60による読取入力を行うことにより、補充を行うピペットチップ80を収容する箱81に設けられたバーコード83が読み取られたか否かが判断されるとともに、バーコード83の読取入力が行われていない場合は、読取入力が行われるまでこの判断が繰り返される。
【0077】
ステップS2において、バーコード83が読み取られたと判断された場合には、ステップS3では、バーコード情報(「製造会社情報(○○社純正品)」、「種別(ピペットチップ)」、「ロット番号」および「シリアル番号」)をデータ処理制御部51に対して送信する。そして、ステップS4において、測定制御部34は、「残量カウンタの更新処理」を実行する。
【0078】
また、データ処理制御部51は、ステップS14において、測定制御部34からのピペットチップ80のバーコード情報を取得したか(受信したか)否かを判断する。そして、ピペットチップ80のバーコード情報を受信した場合は、ステップS15において、「使用可能数の登録処理」を実行する。
【0079】
また、ステップS14において、ピペットチップ80のバーコード情報が受信されない場合には、ステップS15(「使用可能数の登録処理」)を実行せずに、次のステップS16に進む。
【0080】
そして、ステップS16では、データ処理制御部51は、使用者により測定開始ボタン73cが押下されたか否か(測定開始指示を受けたか否か)を判断するとともに、測定開始ボタン73cが押下されたと判断した場合には、ステップS17において、測定開始信号を測定制御部34に対して送信する。
【0081】
これにより、測定制御部34は、ステップS5において、前述のステップS17によりデータ処理制御部51から送信された測定開始信号を受信したか否かを判断するとともに、測定開始信号を受信した場合には、ステップS6において、「測定処理」を実行する。
【0082】
また、データ処理制御部51は、ステップS18において、検体から測定されたデータの「データ解析処理」を実行する。
【0083】
そして、ステップS19では、使用者がセットアップ画面72によりシャットダウン指示を行ったか否かが判断されるとともに、シャットダウン指示が行われなかった場合は、ステップS12に戻る。また、ステップS19において、使用者がシャットダウン指示を行ったと判断された場合には、ステップS20において、シャットダウン信号を測定制御部34に対して送信するとともに、本制御を終了する。
【0084】
また、測定制御部34は、ステップS7において、前述のステップS20により、データ処理制御部51から送信されたシャットダウン信号を受信したか否かを判断するとともに、シャットダウン信号を受信していない場合には、ステップS2に戻り、測定に関する処理動作を継続する。ステップS7において、データ処理制御部51から送信されたシャットダウン信号を受信したと判断された場合には、ステップS8において、シャットダウンを実行するとともに、本制御を終了する。
【0085】
次に、図16を参照して、図15に示したデータ処理制御部51によるステップS15の「使用可能数の登録処理」の詳細について説明する。「使用可能数の登録処理」では、データ処理制御部51は、図16に示す制御フローを実行する。まず、ステップS21において、読み込まれたピペットチップ80のバーコード情報(「製造会社情報(○○社純正品)」、「種別(ピペットチップ)」、「ロット番号」および「シリアル番号」)が正しいか否かが判断される。
【0086】
ここで、本実施形態では、読み込まれたピペットチップ80のバーコード情報(製造元情報)が、予めハードディスク51dに記憶されている製造元情報(登録済製造元情報)に一致しないと判断された場合には、ステップS22において、警告画面76を表示する。そして、ステップS23では、使用者がOKボタン76aを押下(表示部52の所定位置を指で直接触れる)したか否かが判断されるとともに、OKボタン76aが押下されていない場合は、警告画面76を表示し続けるとともに、OKボタン76aが押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS23において、使用者がOKボタン76aを押下したと判断された場合には、ステップS24において、警告画面76を閉じるとともに、本制御フローを終了する。
【0087】
一方、ステップS21において、読み込まれたピペットチップ80のバーコード情報(製造元情報)が予めハードディスク51dに記憶されている製造元情報(登録済製造元情報)に一致したと判断された場合には、ステップS25において、データ処理制御部51は、同一バーコードでの使用可能数(2000個)を超えていないかを判断する。具体的には、既に過去の時点で、同じピペットチップ80のバーコード情報が読み込まれていた場合に、後述するステップS33においてバーコード情報をカウンタ35a(測定制御部34が実行するコンピュータプログラム35に設定されている)に2000個が使用可能数として加算されるので、データ処理制御部51は、今回の読取入力分を含めて合計4回(小袋82の500個×4回=2000個)まで同一のバーコード情報を受け付けることが可能とされている。
【0088】
ここで、本実施形態では、同一バーコードでの使用可能数(2000個)を超えていると判断された場合には、ステップS26において、警告画面77を表示する。そして、ステップS27では、使用者がOKボタン77aを押下(表示部52の所定位置を指で直接触れる)したか否かが判断されるとともに、OKボタン77aが押下されていない場合は、警告画面77を表示し続けるとともに、OKボタン77aが押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS27において、使用者がOKボタン77aを押下したと判断された場合には、ステップS28において、警告画面77を閉じるとともに、本制御フローを終了する。
【0089】
また、ステップS25において、同一バーコードでの使用可能数(2000個)を超えていないと判断された場合には、ステップS29において、使用者が消耗品操作画面75のOKボタン75cを押下(表示部52の所定位置を指で直接触れる)したか否かが判断されるとともに、OKボタン75cが押下されていない場合(キャンセルボタン75dが押下された場合)は、ステップS37により、消耗品操作画面75を閉じるとともに、本制御フローを終了する。この場合、ピペットチップ80の補充が行われていないので、セットアップ画面72の消耗品アイコン部74aおよび消耗品インジケータ表示部74cは補充サインを表示し続けており、測定機構部20による分析動作は停止された状態を継続している。
【0090】
また、ステップS29において、使用者が消耗品操作画面75のOKボタン75cを押下したと判断された場合には、ステップS30により消耗品操作画面75を閉じる。これにより、使用者は、箱81の中の小分けされた小袋82からピペットチップ供給部21の収納部21aに、ピペットチップ80を補充する。
【0091】
そして、ステップS31では、セットアップ画面72の消耗品アイコン部74aおよび消耗品インジケータ表示部74cの色をリセットする(ピペットチップ80の残量が正常範囲であることを示す色に変更する)。そして、ステップS32では、予めハードディスク51dに記憶されている情報に、補充されたピペットチップ80の履歴情報を更新して記憶する。そして、ステップS33では、データ処理制御部51は、ステップS32で更新されたピペットチップ80のバーコード情報を測定制御部34に対して送信する。
【0092】
これにより、測定制御部34は、図15に示したステップS4の「残量カウンタの更新処理」を実行する。「残量カウンタの更新処理」では、測定制御部34は、図16に示す制御フローを実行する。以下、図16を参照して、「残量カウンタの更新処理」の詳細について説明する。
【0093】
「残量カウンタの更新処理」では、測定制御部34は、まず、ステップS38において、前述のステップS33においてデータ処理制御部51から送信されたピペットチップ80の情報(バーコード情報)が受信されたか否かを判断するとともに、ピペットチップ80の情報が受信されていない場合には、ピペットチップ80の情報が受信されるまでこの判断を繰り返す。
【0094】
ここで、本実施形態では、ステップS38において、ピペットチップ80の情報(バーコード情報)が受信されたと判断された場合には、測定制御部34は、ステップS39において、コンピュータプログラム35に変数として設定されているカウンタ35aに使用可能数(2000個)を加算する。そして、本制御を終了する。
【0095】
そして、データ処理制御部51は、ステップS34において、図13に示すように、補充完了画面78を表示する。また、ステップS35では、使用者が補充完了画面78のOKボタン78aを押下したか否かが判断されるとともに、OKボタン78aが押下されていない場合は、補充完了画面78を表示し続けるとともに、OKボタン78aが押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS35において、使用者がOKボタン78aを押下したと判断された場合には、ステップS36において、補充完了画面78を閉じるとともに、本制御フローを終了する。
【0096】
次に、図17を参照して、図15に示した測定制御部34によるステップS6の「測定処理」およびデータ処理制御部51によるステップS18の「データ解析処理」の詳細について説明する。なお、図17に示すように、測定制御部34は、ステップS40〜ステップS49の制御フローを実行するとともに、データ処理制御部51は、測定制御部34との通信に基づいて、ステップS50〜ステップS60の制御フローを実行することにより、検体の「測定処理」および「データ解析処理」が行われる。
【0097】
まず、ステップS40では、測定制御部34は、検体が注入された試験管100のバーコード情報(「被験者名」、「採取日時」および「検査項目」など)を読み取る。そして、ステップS41では、試験管100のバーコード情報をデータ処理制御部51に対して送信する。
【0098】
そして、データ処理制御部51は、ステップS50において、検体が注入された試験管100のバーコード情報(患者IDなど)を測定制御部34から取得したか否かを判断するとともに、試験管100のバーコード情報が正常に取得されていない場合には、本制御フローを終了する。また、ステップS50において、試験管100のバーコード情報を正常に取得したと判断した場合には、ステップS51において、使用者からの分析オーダの取得を行う。また、ステップS52では、分析オーダ情報(検体の測定個数など)を測定制御部34に対して送信する。
【0099】
また、測定制御部34は、ステップS42において、前述のステップS52によりデータ処理制御部51から送信された分析オーダ情報(検体の測定個数など)を受信したか否かを判断するとともに、分析オーダ情報を受信した場合には、ステップS43において、測定を行う。また、ステップS44では、測定制御部34が、検体分注アーム22(図1参照)のアーム部22dの回動動作を検知することによって、カウンタ35aにおけるピペットチップ80の使用可能数の減算(2000個から1測定につき1個づつを減算する)を行うとともに、ステップS45では、測定結果をデータ処理制御部51に対して送信する。
【0100】
これにより、データ処理制御部51は、ステップS53において、測定制御部34から測定結果を受信したか否かを判断するとともに、測定結果が受信されていない場合には、本制御フローを終了する。また、ステップS53において、測定制御部34から測定結果(測定データ)が正常に受信されたと判断された場合には、ステップS54において、測定結果の解析を行う。そして、ステップS55では、解析結果をハードディスク51dに記憶する。
【0101】
また、測定制御部34は、ステップS46において、前述のステップS44において減算が行われたカウンタ35aの値がゼロ未満か否かが判断されるとともに、カウンタ35aの値がゼロ未満でない場合には、ステップS40に戻り、次の検体の測定に関する処理動作を継続する。
【0102】
ここで、本実施形態では、ステップS46において、カウンタ35aの値がゼロ未満であると判断された場合には、ステップS47において、警告情報をデータ処理制御部51に対して送信する。これにより、データ処理制御部51は、前述のステップS56以降の処理(ステップS57〜ステップS60まで)を実行する。
【0103】
また、測定制御部34は、ステップS48において、分析オーダがすべて終了したか否かを判断するとともに、分析オーダがすべて終了したと判断した場合には、本制御を終了する。
【0104】
また、本実施形態では、ステップS48において、分析オーダが全て終了していない場合には、ステップS49において、分析オーダが全て終了するまで測定を継続する。これにより、既に受け付けた分析オーダに対する分析動作については中断することなく最後まで遂行され、本制御を終了する。
【0105】
そして、データ処理制御部51は、ステップS56において、測定制御部34が実行中のコンピュータプログラム35に変数として設定されているカウンタ35aの値がゼロの場合における警告情報を測定制御部34から受信したか否かを判断するとともに、警告情報が測定制御部34から受信されていない場合には、本制御フローを終了する。
【0106】
ここで、本実施形態では、ステップS56において、測定制御部34からの警告情報を受信したと判断された場合には、ステップS57において、図14に示すような警告画面79が表示される。そして、ステップS58では、使用者がOKボタン79aを押下(表示部52の所定位置を指で直接触れる)したか否かが判断されるとともに、OKボタン79aが押下されていない場合は、警告画面79が表示され続けるとともに、OKボタン79aが押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS58において、使用者がOKボタン79aを押下したと判断された場合には、ステップS59において、データ処理制御部51は、警告画面79を閉じる。そして、ステップS60では、データ処理制御部51は、使用者による測定開始ボタン73cの押下を受け付けないようにすることにより分析動作を禁止するとともに、本制御フローを終了する。
【0107】
本実施形態では、このようにして免疫分析装置10にピペットチップ80が補充されるとともに、検体の分析動作が行われる。なお、使用者が、キュベット90をキュベット供給部30に補充する際も、アプリケーションプログラム71aにより、上記ピペットチップ80の補充方法と同様の処理動作が行われる。
【0108】
本実施形態では、上記のように、使用者に対して所定の警告を行うための警告画面76、77および79と、箱81に貼付けられたバーコード83により管理されたピペットチップ80の数を反映する使用可能数と、箱81から補充されたピペットチップ80の使用数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように警告画面76、77および79を制御する測定制御部34およびデータ処理制御部51とを備えることによって、たとえば予めバーコードリーダ60により取得されたピペットチップ80の使用可能数(2000個)に対して、実際に使用されたピペットチップ80の使用数が多くなった場合などに、使用者に対して警告を行うことができるので、使用されるピペットチップ80について試料分析装置10に適合可能か否かが管理された状態で分析動作が行われる。また、適合外のピペットチップ80が使用されることに起因する測定精度の低下を抑制することができる。そして、免疫分析装置10に適合したピペットチップ80が使用されることによって、分析動作における測定精度を所定のレベルに維持することができる。
【0109】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、箱81から補充されたピペットチップ80の使用数が、使用可能数(2000個)を超えた場合に、警告画面79により警告を行うように構成することによって、使用者は、警告画面79により警告を認識することによって、予め登録された使用可能なピペットチップ80の残量(残数)がないことを容易に認識することができる。
【0110】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、箱81から補充されたピペットチップ80の使用数が、使用可能数(2000個)を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、使用者による測定開始ボタン73cの押下を受け付けないようにすることにより検体の分析動作を禁止する制御を行うように構成することによって、使用可能なピペットチップ80の残量(残数)がゼロとなった場合でも、既に受け付けた分析オーダに対する分析動作が中断されるのを抑制することができる。また、新たな分析オーダに対して測定開始ボタン73cの押下を受け付けないようにすることによって、使用者は、免疫分析装置10に適合したピペットチップ80を補給しない限り、新たな分析オーダに対する分析動作を実行させることができない。したがって、新たな分析オーダに対して適合外のピペットチップ80が使用されることに起因する分析精度の低下を抑制することができるので、分析精度を所定のレベルに維持することができる。
【0111】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、ピペットチップ供給部21の動作をさらに制御するとともに、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、箱81から補充されたピペットチップ80の使用数が、使用可能数(2000個)を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、ピペットチップ供給部21の動作を禁止するようにピペットチップ供給部21を制御するように構成することによって、容易に、既に受け付けた分析オーダに対する分析動作が中断されるのを抑制しながら、新たな分析オーダに対する検体の分析動作を禁止することができる。
【0112】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、箱81から補充されたピペットチップ80の使用数が、使用可能数(2000個)を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、分析オーダが要求されていない場合、試料の分析動作を禁止する制御を行うように構成することによって、ピペットチップ80の使用数が使用可能数を超えた後は、新たな分析オーダに対して、容易に、分析動作を行わせないようにすることができる。
【0113】
また、本実施形態では、バーコードリーダ60が取得したシリアル番号を記憶するためのRAM34cを備え、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、バーコードリーダ60により取得されたシリアル番号と、既にRAM34cに記憶されているシリアル番号とが一致し、かつ、RAM34cに記憶されている群に属する(同一のバーコード情報により1つの群として管理されている)ピペットチップ80の使用数が、使用可能数(2000個)を超える場合に、警告を行うように警告画面79を制御するように構成することによって、ピペットチップ80を新たに補充する際に、使用者は、実際に使用されたピペットチップ80の個数が、予め同一のシリアル番号の使用可能数として登録された使用可能なピペットチップ80の個数に到達したことを認識することができるので、使用者は、別なシリアル番号を有するピペットチップ80を補充する必要があることを容易に認識することができる。
【0114】
また、本実施形態では、バーコード83は、シリアル番号と、免疫分析装置10に適合したピペットチップ80であることを示す製造元情報とを保持し、製造元情報に対応する登録済製造元情報が予め記憶されているとともに、シリアル番号を記憶可能なハードディスク51dを備え、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、バーコード83により取得された製造元情報と登録済製造元情報とが一致し、かつ、ハードディスク51dにシリアル番号が記憶されていない場合に、ハードディスク51dにシリアル番号を記憶させるとともに、その群に対応するピペットチップ80の種別を記憶させる制御を行うように構成することによって、測定制御部34およびデータ処理制御部51は、ハードディスク51dに予め記憶されている登録済製造元情報と、バーコード83から読み取られた製造元情報とを容易に照合することができるとともに、ハードディスク51dにより、ピペットチップ80のシリアル番号および消耗品の種別を容易に管理することができる。
【0115】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、バーコード83により取得された製造元情報と登録済製造元情報とが一致しない場合、警告を行うように警告画面76を制御するように構成することによって、警告画面76による警告によって、使用者は、新たに補充するピペットチップ80が、免疫分析装置10に適合したピペットチップ80ではないことを容易に認識することができる。
【0116】
また、本実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、バーコード83により取得された製造元情報と登録済製造元情報とが一致し、かつ、製造元情報と登録済製造元情報とが一致した回数が所定回数(4回)を超えた場合、警告を行うように警告画面77を表示するように構成することによって、使用者が同じシリアル番号を保持するピペットチップ80を複数回に渡って補充する場合に、警告画面77による警告によって、使用者は、同じシリアル番号を保持するピペットチップ80の総個数として予め記憶されている使用可能数(2000個)以上の個数を補充することができないことを容易に認識することができる。
【0117】
なお、消耗部品としてのキュベット90を免疫分析装置10のキュベット供給部30に補充する際も、本実施形態のように構成することによって、上記効果と同様の効果を得ることができる。
【0118】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0119】
たとえば、上記実施形態では、本発明を免疫分析装置10に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、生化学分析装置および血液凝固測定装置などの他の分析装置に適用してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、ピペットチップ80の使用数が、カウンタ35aに記憶されている使用可能数(2000個)を超えたとき、分析オーダの有無を判定するとともに、分析オーダが要求されている場合、分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、ピペットチップ供給部21の動作を禁止する制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、測定制御部34およびデータ処理制御部51を、カウンタ35aにピペットチップ80の使用数を記憶させるとともに、カウンタ35aに記憶されている使用可能数(2000個)からピペットチップ80の使用数を減算した値が、分析オーダの数よりも少ない場合、分析オーダを受け付ける制御を行うように構成してもよい。この変形例のように構成すれば、使用可能なピペットチップ80の残量(残数)が分析オーダの数よりも少なくなった場合であっても、分析オーダを受け付けて分析動作を行うことがことができる。
【0121】
また、上記実施形態では、バーコード83から取得されたバーコード情報(シリアル番号)に対して、予めハードディスク51dに登録されているシリアル番号を参照することにより、消耗部品の使用可能数を測定制御部34が認識するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、バーコード83から取得されたバーコード情報に、消耗部品の使用可能数に関する情報を含むことにより、測定制御部34が消耗部品の補給数を直接的に認識するように構成してもよい。この変形例のように構成しても、分析動作において測定制御部34およびデータ処理制御部51は、予めバーコードリーダ60により取得された消耗部品の使用可能数(補給数)に対して、実際に使用された消耗部品の使用数を認識することによって、たとえば消耗部品の補給数に対して使用数が多くなった場合などに、使用者に対して警告を行うことができるので、補給される消耗部品について試料分析装置に適合可能か否かが管理された状態で分析動作が行われる。また、適合外の消耗部品が使用されることに起因する測定精度の低下を抑制することができる。そして、免疫分析装置10に適合した消耗部品が使用されることによって、分析動作における測定精度を所定のレベルに維持することができる。
【0122】
また、上記実施形態では、4つの小袋82が収納された箱81の側面にバーコード83を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、小袋82毎にバーコード83を設けるとともに、測定制御部34を、バーコードリーダ60により、小袋82のバーコード83からバーコード情報(シリアル番号など)を取得する制御を行うようにしてもよい。この変形例のように構成すれば、小分けされた小袋82を管理する最小の単位として、消耗部品の情報管理を容易に行うことができる。
【0123】
また、上記実施形態では、セットアップ画面72を介してピペットチップ80を補充する際に、バーコード83の読取結果から免疫分析装置10に適合しないピペットチップ80であることが判明した場合や、分析動作の際に、免疫分析装置10に登録された使用可能なピペットチップ80の残数がなくなった場合には、データ処理制御部51が、表示部52に警告画面76および79を表示するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、音声により使用者に警告するように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、セットアップ画面72などの操作画面を、表示部52のタッチパネル方式により操作するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、パーソナルコンピュータに接続されたマウスやキーボードなどにより操作するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した免疫分析装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による免疫分析装置の測定機構部の制御部を含むブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による免疫分析装置の測定機構部および制御装置の制御部の全体構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した一実施形態による免疫分析装置に使用されるピペットチップを示した図である。
【図6】図1に示した一実施形態による免疫分析装置に使用されるキュベットを示した図である。
【図7】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の検体分注アームの側面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による免疫分析装置に使用される消耗部品の収納形態を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態による免疫分析装置に表示される操作画面を示した図である。
【図10】図9に示した操作画面において消耗品を補充する際に表示される操作画面を示した図である。
【図11】図9に示した操作画面において消耗品を補充する際に表示される警告画面を示した図である。
【図12】図9に示した操作画面において消耗品を補充する際に表示される警告画面を示した図である。
【図13】図9に示した操作画面において消耗品の補充を完了した際に表示される画面を示した図である。
【図14】図1に示した一実施形態による免疫分析装置が分析動作を行う際に表示される警告画面を示した図である。
【図15】本発明の一実施形態による免疫分析装置におけるアプリケーションプログラムの制御動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態による免疫分析装置におけるアプリケーションプログラムの制御動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態による免疫分析装置におけるアプリケーションプログラムの制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
10 免疫分析装置(試料分析装置)
21 ピペットチップ供給部(供給部)
21a 収納部
21b 搬送部
22 検体分注アーム(消耗部品使用数取得手段)
30 キュベット供給部(供給部)
30a 収納部
30b 搬送部
31 供給用キャッチャ部(消耗部品使用数取得手段)
34 測定制御部(制御部)
34c RAM(第1記憶部)
51 データ処理制御部(制御部)
51d ハードディスク(第2記憶部)
76、77、79 警告画面(警告手段)
80 ピペットチップ(消耗部品)
81 箱(収容部材、第1収容部材)
82 小袋(第2収容部材)
83 バーコード(識別情報保持手段)
90 キュベット(消耗部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て部品としての消耗部品を使用して試料の分析を行う試料分析装置であって、
所定の一群として管理された複数の前記消耗部品が収容された収容部材に付された、前記消耗部品の群を識別するための群識別情報を保持する識別情報保持手段から前記群識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記収容部材から供給された前記消耗部品を収納する収納部と、前記収納部に収納された前記消耗部品を所定の機構部に供給する供給部とを含む消耗部品供給手段と、
前記機構部により使用された前記消耗部品の数を取得する消耗部品使用数取得手段と、
使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、
前記群の前記消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、前記群に属する前記消耗部品の使用数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように前記警告手段を制御する制御部とを備えた、試料分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記群に属する前記消耗部品の使用数が、前記群消耗部品管理値を超えた場合に、前記警告手段により警告を行う、請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記群に属する前記消耗部品の使用数が、前記群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、前記分析オーダが要求されている場合、前記分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、前記試料の分析動作を禁止する制御を行う、請求項1または2に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記消耗部品供給手段の動作をさらに制御し、
前記制御部は、前記群に属する前記消耗部品の使用数が、前記群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、前記分析オーダが要求されている場合、前記分析オーダに基づく分析動作を完了させた後に、前記消耗部品供給手段の動作を禁止するように前記消耗部品供給手段を制御する、請求項3に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記識別情報取得手段が取得した前記群識別情報を記憶するための第1記憶部をさらに備え、
前記第1記憶部には、前記試料の分析動作の際の前記群に属する前記消耗部品の使用数が記憶され、
前記制御部は、前記群消耗部品管理値から前記群に属する前記消耗部品の使用数を減算した値が、分析オーダの数よりも少ない場合、前記分析オーダを受け付ける制御を行う、請求項3または4に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記群に属する前記消耗部品の使用数が、前記群消耗部品管理値を超えたとき、分析オーダの有無を判定し、前記分析オーダが要求されていない場合、前記試料の分析動作を禁止する制御を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記識別情報取得手段が取得した前記群識別情報を記憶するための第1記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記識別情報取得手段により取得された前記群識別情報と、既に前記第1記憶部に記憶されている前記群識別情報とが一致し、かつ、前記第1記憶部に記憶されている前記群に属する前記消耗部品の使用数が、前記群消耗部品管理値を超える場合に、警告を行うように前記警告手段を制御する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記識別情報保持手段は、前記群識別情報と、試料分析装置用に適合した前記消耗部品であることを示す第1照合用識別情報とを保持し、
前記第1照合用識別情報に対応する第2照合用識別情報が予め記憶されているとともに、前記群識別情報を記憶可能な第2記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記識別情報保持手段により取得された前記第1照合用識別情報と前記第2照合用識別情報とが一致し、かつ、前記第2記憶部に前記群識別情報が記憶されていない場合に、前記第2記憶部に前記群識別情報を記憶させるとともに、その群に対応する前記消耗部品の種別を記憶させる、請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記識別情報保持手段により取得された前記第1照合用識別情報と前記第2照合用識別情報とが一致しない場合、警告を行うように前記警告手段を制御する、請求項8に記載の試料分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記識別情報保持手段により取得された前記第1照合用識別情報と前記第2照合用識別情報とが一致し、かつ、前記第1照合用識別情報と前記第2照合用識別情報とが一致した回数が所定回数を超えた場合、警告を行うように前記警告手段を制御する、請求項8または9に記載の試料分析装置。
【請求項11】
前記消耗部品がキュベットであり、
前記制御部は、前記消耗部品供給手段が前記機構部に前記キュベットを供給した回数に基づいて、前記消耗部品使用数取得手段により前記キュベットの使用数を取得する制御を行う、請求項1〜10のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項12】
前記消耗部品がピペットチップであり、
前記機構部が前記試料を分注するための分注部であり、
前記制御部は、前記消耗部品供給手段が前記分注部に前記ピペットチップを供給した回数に基づいて、前記消耗部品使用数取得手段により前記ピペットチップの使用数を取得する制御を行う、請求項1〜10のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項13】
使い捨て部品としての消耗部品を使用して試料の分析を行う試料分析装置であって、
所定の一群として管理された複数の前記消耗部品が収容された第1収容部材に付された、前記消耗部品の群を識別するための群識別情報を保持する識別情報保持手段から前記群識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記第1収容部材から供給された前記消耗部品を収納する収納部、および収納された前記消耗部品を所定の機構部に供給する供給部を含む消耗部品供給手段と、
前記収納部に補給される、前記群に属する前記消耗部品の数を取得する消耗部品補給数取得手段と、
使用者に対して所定の警告を行うための警告手段と、
前記群の前記消耗部品の数を反映する群消耗部品管理値と、前記消耗部品補給数との関係が所定の関係の場合に警告を行うように前記警告手段を制御する制御部とを備えた、試料分析装置。
【請求項14】
前記第1収容部材には、前記消耗部品が所定数毎に小分けされた状態で収容される複数の第2収容部材が収容されるとともに、前記識別情報保持手段が前記第2収容部材に設けられており、
前記制御部は、前記識別情報取得手段により、前記第2収容部材の前記識別情報保持手段から前記群識別情報を取得する制御を行う、請求項13に記載の試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−241670(P2008−241670A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86872(P2007−86872)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】