説明

認証対象装置およびキー、並びに無線認証システム

【課題】1つのワイヤレスキーが複数の認証対象装置との間で無線認証を行おうとすると、ワイヤレスキーから定期的に無線送信する周期を短くする必要がある。また、携帯性の面から電池駆動であることが多いワイヤレスキーは、無線通信の頻度が多いとすぐに電池切れとなり使い勝手が悪い。さらに、ワイヤレスキーを持つ者が複数居る環境では無線通信の頻度が多いために混信により認証を継続することが難しくなる。
【解決手段】認証周期計測手段110により認証周期経過と判断した場合(S405)、無線送信データ設定手段106により認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105から認証信号を設定し、ワイヤレスキー200へ無線送信手段107から認証信号を無線電波で送信する(S406)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証対象装置とキー、無線認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスキーから受信する電波の受信強度が所定値以上であり、かつその無線通信を利用して送受信する信号を基にワイヤレスキーとの認証に成功したと判定した場合にロックを解除し、ワイヤレスキーから受信する電波の受信強度が所定値未満である場合やワイヤレスキーとの上記認証に失敗したと判定した場合にロックする、無線認証機能を備えた認証対象装置が提案されている(例えば、特許文献1)。実用化されている認証対象装置の一例としては、ワイヤレスキーと無線認証を行ってドア鍵の施錠または解錠を行う自動車、または、ワイヤレスキーと無線認証を行って操作キーによる受付を拒否または許可する携帯電話等が挙げられる。
【特許文献1】特開2004−143806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、認証できる認証対象装置が複数となれば利便性が高まるが、その際に認証対象装置がにつき1つのワイヤレスキーを持ち運ぶことになると、利用者に負担を強いることになる。このため、1台のワイヤレスキーであっても複数の認証対象装置との間で無線通信による認証を行うことができるシステムが求められている。
【0004】
しかしながら、従来の構成ではワイヤレスキーから定期的に無線送信を行い無線送信後には毎回応答受信を行うため、1つのワイヤレスキーが複数の認証対象装置との間で無線認証を行おうとすると、ある認証対象装置と別の認証対象装置においてセキュリティの重要度合いが異なるために認証を行う無線通信の周期やタイミングが異なる場合を考慮すると、ワイヤレスキーから定期的に無線送信する周期を短くする必要がある、また、携帯性の面から電池駆動であることが多いワイヤレスキーは、無線通信の頻度が多いとすぐに電池切れとなり使い勝手が悪い。さらに、ワイヤレスキーを持つ者が複数居る環境では無線通信の頻度が多いために混信により認証を継続することが難しくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の認証対象装置は、キーと無線通信を行う無線部と、無線部によりキーから受信する電波の受信強度を検出する検出部と、検出部により検出される受信強度が所定値以下となったときに機能の一部を使用不可とする機能制限部とを備え、無線部からキーへ送信される電文に送受信周期を示す認証周期情報を含めるものである。
【0006】
これにより、認証の対象となる認証対象装置は、認証対象装置からの電波を受信したキーと無線通信周期情報に従った周期で無線認証通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の認証対象装置は、キーと無線通信を行う無線部と、無線部によりキーから受信する電波の受信強度を検出する検出部と、検出部により検出される受信強度が所定値以下となったときや無線部がキーからの電波を受信できなかったときに機能の一部または全部を使用不可としたり警報を発するセキュリティー部とを備え、無線部からキーへ送信される電文に送受信周期を示す認証周期情報を含めるものであるので、キーが不要な無線送信
と受信を繰り返す必要がなく、認証対象装置はそれぞれのセキュリティレベルで必要とされるタイミングでキーへ認証情報電波を送信すればよいため、通信頻度が下がり複数台の認証対象装置との無線通信による認証が可能となり、且つ、必要最低限の無線通信で済むために電池寿命が延びる効果があり、1つのキーと複数の認証対象装置との間での無線通信による認証も可能である。
【0008】
また、本発明のキーは、認証対象装置から送信される電波の受信強度を検出するキー検出部と、キー検出部で検出された電界強度が所定値以上であれば認証対象装置から送信された電波を電文として受信するキー無線部とを備え、キー無線部で受信する電文中に送受信周期を示す認証周期情報が含まれている場合に認証周期情報が指定する送受信周期に従って通信を行うものであるので、キーが不要な無線送信と受信を繰り返す必要がなく、認証対象装置はそれぞれのセキュリティレベルで必要とされるタイミングでキーへ認証情報電波を送信すればよいため、通信頻度が下がり複数台の認証対象装置との無線通信による認証が可能となり、且つ、必要最低限の無線通信で済むために電池寿命が延びる効果があり、1つのキーと複数の認証対象装置との間での無線通信による認証も可能である。
【0009】
また、本発明の無線認証システムは、上記認証対象装置と、上記キーを備えて構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、キーと無線通信を行う無線部と、無線部によりキーから受信する電波の受信強度を検出する検出部と、検出部により検出される受信強度が所定値以下となったときや無線部がキーからの電波を受信できなかったときに機能の一部または全部を使用不可としたり警報を発するセキュリティー部とを備え、無線部からキーへ送信される電文に送受信周期を示す認証周期情報を含めるものであるので、キーが不要な無線送信と受信を繰り返す必要がなく、認証対象装置はそれぞれのセキュリティレベルで必要とされるタイミングでキーへ認証情報電波を送信すればよいため、通信頻度が下がり複数台の認証対象装置との無線通信による認証が可能となり、且つ、必要最低限の無線通信で済むために電池寿命が延びる効果があり、1つのキーと複数の認証対象装置との間での無線通信による認証も可能である。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明において、認証周期情報を複数記憶する認証周期記憶手段と、認証周期記憶手段に記憶される複数の認証周期情報の中からキーへ送信される電文に含める認証周期情報を選択して切り替える認証周期切替手段とを備えるものである。
【0012】
これによれば、認証無線通信周期を認証無線通信を継続中に変更することができるようになり、認証対象装置の使用している状況によってセキュリティレベルが異なる場合に認証無線通信周期を変更することで状況に応じた認証周期でキーへ認証情報電波を送信すればよいため、通信頻度も使用状況に応じた必要最低限の頻度に変更できる為に多人数で使用する無線認証システムであっても混信を防ぐことができ、電池使用時には電池寿命が向上する。
【0013】
第3の発明は、キーに関するもので、認証対象装置から送信される電波の受信強度を検出するキー検出部と、キー検出部で検出された電界強度が所定値以上であれば認証対象装置から送信された電波を電文として受信するキー無線部とを備え、キー無線部で受信する電文中に送受信周期を示す認証周期情報が含まれている場合に認証周期情報が指定する送受信周期に従って通信を行うものであるので、キーが不要な無線送信と受信を繰り返す必要がなく、認証対象装置はそれぞれのセキュリティレベルで必要とされるタイミングでキーへ認証情報電波を送信すればよいため、通信頻度が下がり複数台の認証対象装置との無線通信による認証が可能となり、且つ、必要最低限の無線通信で済むために電池寿命が延
びる効果があり、1つのキーと複数の認証対象装置との間での無線通信による認証も可能である。
【0014】
第4の発明は、無線認証システムに関するもので、上記第1または第2の発明の認証対象装置と、上記第3の発明のキーを備えて構成される。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における無線認証システムの構成図を示すものである。
【0017】
図1において、無線認証システム1は認証機器100とワイヤレスキー200とから構成される。認証機器100は、携帯電話やパーソナルコンピューターなどの情報機器、情報端末に組み込まれており、必要に応じて認証機器100から前記情報機器や情報端末を操作することが可能である。ワイヤレスキー200は、携帯可能な無線装置であり、使用者が手に持ったり、衣服のポケットに収納できることが望ましい。
【0018】
認証機器100とワイヤレスキー200は特定小電力無線によって互いに通信可能であり、認証機器100とワイヤレスキー200は後述する特定の信号を送受信することで認証を行っている。
【0019】
本実施の形態における認証とは、認証機器100を中心とする所定範囲内に特定のワイヤレスキー200が存在しているか否かを判断することを指している。そして、認証の結果、認証機器100を中心とする所定範囲内に特定のワイヤレスキー200が存在していないことを認証機器100が判断した場合は、認証機器100は、認証機器100を搭載した情報機器や情報端末を使用停止にしたり、情報機器が提供する一部の機能を使用できないように制限する。
【0020】
次に、認証機器100の構成について図2とともに説明する。認証機器100は、認証情報送信要求手段101と、認証周期記憶手段102、や認証キー記憶手段104、無線送信データ設定手段106、無線送信手段107、無線受信手段108、無線受信情報判定手段109、認証周期計測手段110、機能制限手段111により構成されている。
【0021】
認証情報送信要求手段101は、認証機器100を組み込んでいる情報機器、情報端末が搭載している機能を予め許可した者だけが使用できるよう認証を必要とする際、無線送信データ設定手段106に認証情報の無線送信開始を命令する。
【0022】
認証周期記憶手段102は、認証通信を行うために認証機器100からワイヤレスキー200へ送信する所定電文の送信周期を表す認証周期情報103を記憶している。
【0023】
認証キー記憶手段104は、認証機器100がワイヤレスキー200から送信される所定電文を受信したときに、その所定電文がワイヤレスキー200から送信された電文であることを確認するための認証キー情報105を記憶している。
【0024】
無線送信データ設定手段106は、認証情報送信要求手段101及び認証周期計測手段110からの無線送信開始命令を受け、認証周期情報103や認証キー情報105を含む認証周期信号を作成する。
【0025】
無線送信手段107は、無線送信データ設定手段106で作成された認証周期信号や、後述する認証信号をワイヤレスキー200側へ送信する。
【0026】
無線受信手段108は、ワイヤレスキー200から送信される所定信号(本実施の形態では、認証周期信号及び認証信号に対する受信確認の応答信号)を受信する。
【0027】
無線受信情報判定手段109は、無線受信手段108で受信した所定信号がワイヤレスキー200から送信された信号であるか否かを判定する。
【0028】
認証周期計測手段110は、無線受信手段108で受信した所定信号がワイヤレスキー200から送信された信号であると無線受信情報判定手段109によって判定できた時点で、認証周期計測を開始する。
【0029】
機能制限手段111は、無線受信手段108で受信した所定信号がワイヤレスキー200から送信された信号であると無線受信情報判定手段109によって判定できなかった場合に、認証機器100を搭載した情報機器や情報端末をロックして使用可能な機能を制限する。
【0030】
ワイヤレスキー200は、無線受信要求手段201と無線受信手段202、電波強度測定手段203、無線受信情報判定手段205、認証機器記憶手段206、認証周期記憶手段208、無線送信データ設定手段209、無線送信手段210、認証周期計測手段211により構成されている。
【0031】
無線受信要求手段201は、無線受信手段202に対して周期的に無線受信動作を行うための指示信号を発するものである。
【0032】
無線受信手段202は、認証機器100から送信された所定信号(本実施の形態では、認証周期信号及び認証信号)を受信するものである。
【0033】
電波強度測定手段203は、無線受信手段202で受信した所定信号の強度を測定し、強度値が所定値以下であれば所定信号を受信しなかったものとする。
【0034】
なお、本実施の形態では、上記無線受信要求手段201、無線受信手段202、電波強度測定手段203を併せてキャリアセンス手段204と呼ぶことにする。
【0035】
無線受信情報判定手段205は、無線受信手段202で受信した所定信号が認証機器100から送信されたものであるのか否かを、認証機器情報207を用いて判定する。
【0036】
認証機器記憶手段206は、無線受信手段202で受信した所定信号が認証機器100から送信されたものであるのか否かを判定するための認証機器情報207を記憶しており、具体的には認証機器情報207とは認証機器100の製造番号や、認証機器100を特定するためのIDである。
【0037】
認証周期記憶手段208は、認証機器100からの無線データで受信した認証周期信号に含まれる認証周期207を記憶している。
【0038】
無線送信データ設定手段209は、認証機器記憶手段206に記憶されている認証機器情報207から所定信号(本実施の形態では、認証周期信号及び認証信号に対する受信確認の応答信号)を作成する。
【0039】
無線送信手段210は、無線送信データ設定手段209で作成した無線送信データを認証機器100へ送信する。
【0040】
認証周期計測手段211は、無線受信情報判定手段205により近距離にある認証機器100からの無線データで受信した認証周期信号が認証周期を含んでいると判断した場合、認証周期を認証周期記憶手段208に記憶して認証周期計測を開始する。
【0041】
以上のように構成された無線認証システムについて、以下認証に関する動作を説明する。
【0042】
認証情報送信要求手段101により認証情報送信要求が発生した場合(S401)、無線送信データ設定手段106は、認証周期情報103(例えば、10秒周期)と認証キー情報105から認証周期信号を設定する。そして、無線送信手段107から認証周期信号をワイヤレスキー200へ送信する(S402)。認証周期信号は、ワイヤレスキー200が受信可能な電文長(例えば、ワイヤレスキー200が1秒毎に電波の有無を確認する動作を行っている場合は1.3秒)の無線電波で送信する。
【0043】
一方、無線受信要求手段201は定期的(例えば、1秒毎)に無線受信手段202に無線受信動作を行うように指示し(S501)、無線受信手段202が認証機器100からの認証周期信号を受信したとき(S502)、電波強度測定手段203は受信した認証周期信号の強度を測定し(S503)、強度が所定値を上回っていれば、認証周期信号を無線受信情報判定手段205に伝送する。
【0044】
無線受信情報判定手段205は、無線受信手段202で受信した認証周期信号が認証機器100から送信されたものであるのか否かを、認証機器情報207を用いて判定する(S504)。そして、無線受信情報判定手段205により無線受信したデータが認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207から認証機器100からの認証周期情報であった(例えば、所定の認証周期コードと認証機器情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断した場合(S505)、前記無線受信したデータである認証周期情報(例えば、10秒周期)を認証周期記憶手段208に記憶し(S506)、無線送信データ設定手段209により認証周期応答信号を設定し、無線送信手段210により認証周期応答信号を無線電波で送信する(S507)。
【0045】
S507において認証周期応答電波を送信後、認証周期計測手段211により認証周期記憶手段208に記憶した周期で周期時間計測を開始する(S508)。
【0046】
一方、認証機器100は、認証周期信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ送信してから所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信したデータが、認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105から無線受信情報判定手段109によりワイヤレスキー200からの認証周期応答信号であった(例えば、所定の認証周期応答信号コードと認証キー情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断できた場合(S403)、認証周期計測手段110により認証周期情報103の周期時間の計測を開始する(S404)。そして、認証周期計測手段110により認証周期経過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S405)、無線送信データ設定手段106により認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105から認証信号を設定し、ワイヤレスキー200へ無線送信手段107から認証信号を無線電波で送信する(S406)。
【0047】
ここで、ワイヤレスキー200は、認証周期計測手段211により認証周期経過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S509)、認証周期経過から所定時間内(例え
ば、0.8秒以内)に無線受信手段202で無線受信した認証信号が無線受信情報判定手段205により認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207により認証機器100からの認証情報電波であったと判断できた場合(S510)、無線送信手段210により認証応答信号を送信する(S511)。
【0048】
一方で、認証周期経過から所定時間内(例えば、0.8秒以内)に無線受信手段202で無線受信した認証信号が無線受信情報判定手段205により認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207により認証機器100からの認証情報電波であったと判断できなかった場合、キャリアセンス手段204により定期的(例えば、1秒毎)に近距離から送信された強い電波の有無を判断する動作に戻る(S512)。
【0049】
認証機器100は、認証信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ送信してから所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信した認証応答信号が無線受信情報判定手段109により認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105からワイヤレスキー200からの認証応答電波であった(例えば、所定の認証応答データコードと認証キー情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断できた場合(S407)、機能制限手段111により認証機器100を搭載した電子機器のロックを解除して使用可能な機能を制限しないようにし(S408)、認証周期計測手段110による次回の認証周期経過を待つ。
【0050】
認証信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ無線電波での送信を終了後から所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信した認証応答信号が無線受信情報判定手段109によりワイヤレスキー200からの認証応答電波であったと判断できなかった場合、機能制限手段111により認証機器100を搭載した電子機器をロックして使用可能な機能を制限し(S409)、認証情報送信要求手段101による認証情報送信要求の発生(例えばスイッチ操作や人感センサーによる人検知)を待つ動作に戻る(S410)。
【0051】
次に、図6を用いて認証機器100とワイヤレスキー200の送受信タイミングについて説明する。上記S501からS503に示すように、ワイヤレスキー200は定期的(T1)にキャリアセンスを行なっている。そこで、認証機器100の認証情報送信要求手段101により認証情報送信要求が発生した場合(S401)、認証周期信号を送信する(S402)。
【0052】
ワイヤレスキー200は、キャリアセンスによって認証周期信号を受信すると、判定処理(S504〜S506)を行ない、認証周期応答信号を送信する(S507)。
【0053】
認証機器100は、認証周期応答信号を受信し、所定の処理(S403)を行なうと、認証周期計測手段110により認証周期情報103の周期時間の計測を開始する(S404)。
【0054】
S404による計測開始からT2後、認証機器100はワイヤレスキー200に認証信号を送信する(S406)。そして、ワイヤレスキー200は認証信号を受信する(S510)と、認証応答信号を送信する(S511)。このような認証信号と認証応答信号のやり取りはT2毎に周期的に行なわれる。
【0055】
次に、図7のように、ワイヤレスキー200を携帯する使用者が認証機器Aから離れて、認証機器Aとは別の認証機器Bに近づいた場合の処理動作について説明する。
【0056】
図8は、ワイヤレスキー200を携帯する使用者が認証機器Aから離れた場合の認証機
器Aとワイヤレスキー200の送受信タイミングを示すものである。また図9は、ワイヤレスキー200を携帯する使用者が認証機器Aとは別の認証機器Bに近づいた場合の認証機器Bとワイヤレスキー200の送受信タイミングを示すものである。
【0057】
図8の通り、ワイヤレスキー200を携帯する使用者が認証機器Aから離れた場合、認証機器Aから送信される認証信号がワイヤレスキー200に到達しないため、あるいは認証信号の電波の受信強度が規定値を下回るために認証信号が受信できない状態となる。そうすると、ワイヤレスキー200はS510からS512の処理を行なうため、再びT1の周期でキャリアセンスを行なう。
【0058】
そして、図9の通り、T1の周期でキャリアセンスを行なうワイヤレスキー200が認証機器Bに近づくと、ワイヤレスキー200は認証機器Bから送信される認証周期信号を受信する。この認証周期信号には、認証周期情報(T3)と認証キー情報が含まれている。認証周期信号を受信したワイヤレスキー200は、図5で説明した処理に基づいて、判定処理(S504〜S506)を行ない、認証周期応答信号を送信する(S507)。
【0059】
認証機器Bは、認証周期応答信号を受信し、所定の処理(S403)を行なうと、認証周期計測手段110により認証周期情報103の周期時間の計測を開始する(S404)。
【0060】
S404による計測開始からT3後、認証機器Bはワイヤレスキー200に認証信号を送信する(S406)。そして、ワイヤレスキー200は認証信号を受信する(S510)と、認証応答信号を送信する(S511)。このような認証信号と認証応答信号のやり取りはT3毎に周期的に行なわれる。
【0061】
以上のように、本実施の形態においては認証機器100が認証周期情報103をワイヤレスキー200へ無線送信し、ワイヤレスキー200は無線受信した認証周期情報を認証周期記憶手段に記憶し、記憶した認証周期情報を無線受信を間欠的に行う認証無線通信周期とし、認証無線通信周期は認証周期計測手段211で計測する構成とすることにより、認証機器100を搭載した電子機器のセキュリティレベルに応じた認証無線通信周期でワイヤレスキー200は認証無線通信が継続でき、認証機器100を搭載した複数の電子機器と1つのワイヤレスキー200との間で認証無線通信を継続できる。
【0062】
例えば、一人だけが使用する個人専用パソコンと複数人が使用する共用パソコンがあり、個人専用パソコンよりも共用パソコンの方がセキュリティレベルを高くしたいために認証周期を短く設定している場合でも、1つのワイヤレスキーを携帯していればどちらのパソコンを使用する場合でも認証無線通信を継続でき、電子機器をロックして使用可能な機能を制限してしまうことがないために、ワイヤレスキーを複数持つ必要がなく使い勝手がよい。
【0063】
また、ワイヤレスキー200は持ち歩きするために電池駆動となるが、認証システムに応じた最適な認証周期で間欠受信するために、電池の無駄な電流消費がなく、通信頻度も低いために多人数で使用する無線認証システムであっても混信を防ぐことができる。
【0064】
(実施の形態2)
図10は本発明の第2の実施の形態における無線認証システムの認証機器の制御フロー図、図11は本発明の第2の実施の形態における無線認証システムのワイヤレスキーの制御フロー図を示すものである。
【0065】
図4、図5(実施の形態1)と異なる点は、認証周期計測手段110により認証周期経
過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S405)、認証周期変更要求を判断して認証周期信号を無線送信する認証周期切替手段を備えている点と、認証周期計測手段211により認証周期経過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S509)の無線受信において、無線受信手段202が認証機器100から認証周期情報を含む認証信号を受信した場合に認証周期情報を認証周期記憶手段208に記憶する認証周期更新手段を備えている点である。
【0066】
以下、無線システムの認証に関する動作を説明する。認証情報送信要求手段101により認証情報送信要求が発生(例えばスイッチ操作や人感センサーによる人検知)した場合(S401)、無線送信データ設定手段106は、認証周期情報103(例えば、10秒周期)と認証キー情報105から認証周期信号を設定する。そして、無線送信手段107から認証周期信号をワイヤレスキー200へ送信する(S402)。認証周期信号は、ワイヤレスキー200が受信可能な電文長(例えば、ワイヤレスキー200が1秒毎に電波の有無を確認する動作を行っている場合は1.3秒)の無線電波で送信する。
【0067】
一方、無線受信要求手段201は定期的(例えば、1秒毎)に無線受信手段202に無線受信動作を行うように指示し(S501)、無線受信手段202が認証機器100からの認証周期信号を受信したとき(S502)、電波強度測定手段203は受信した認証周期信号の強度を測定し(S503)、強度が所定値を上回っていれば、認証周期信号を無線受信情報判定手段205に伝送する。
【0068】
無線受信情報判定手段205は、無線受信手段202で受信した認証周期信号が認証機器100から送信されたものであるのか否かを、認証機器情報207を用いて判定する(S504)。そして、無線受信情報判定手段205により無線受信したデータが認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207から認証機器100からの認証周期情報であった(例えば、所定の認証周期コードと認証機器情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断した場合(S505)、前記無線受信したデータである認証周期情報(例えば、10秒周期)を認証周期記憶手段208に記憶し(S506)、無線送信データ設定手段209により認証周期応答信号を設定し、無線送信手段210により認証周期応答信号を無線電波で送信する(S507)。
【0069】
S507において認証周期応答電波を送信後、認証周期計測手段211により認証周期記憶手段208に記憶した周期で周期時間計測を開始する(S508)。
【0070】
一方、認証機器100は、認証周期信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ送信してから所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信したデータが、認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105から無線受信情報判定手段109によりワイヤレスキー200からの認証周期応答信号であった(例えば、所定の認証周期応答信号コードと認証キー情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断できた場合(S403)、認証周期計測手段110により認証周期情報103の周期時間の計測を開始する(S404)。そして、認証周期計測手段110により認証周期経過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S405)、認証周期切替手段により認証周期変更あり(例えばスイッチ操作や人感センサーによる人検知が3分間連続で検出できない場合)と判断している場合(S1011)、無線送信データ設定手段106により認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105からの認証信号に複数個ある認証周期情報103の内から1つ(例えば、現在の認証周期10秒から5秒加算した周期 10+5=15秒周期)を選択した認証周期情報を付加して設定し、ワイヤレスキー200へ無線送信手段107から認証信号を無線電波で送信する(S1012)。
【0071】
ここで、ワイヤレスキー200は、認証周期計測手段211により認証周期経過(例えば、周期10秒経過)と判断した場合(S509)、認証周期経過から所定時間内(例えば、0.8秒以内)に無線受信手段202で無線受信した認証信号が無線受信情報判定手段205により認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207により認証機器100からの認証情報電波であったと判断できた場合(S510)、認証周期更新手段により受信電波に認証周期情報ありと判断すると(S1113)前記受信電波の認証周期情報(例えば、15秒周期)を認証周期記憶手段208に記憶し(S1114),無線送信手段210により認証応答信号を送信する(S511)。S511において認証応答電波を送信後、認証周期計測手段211により認証周期記憶手段208に記憶した周期で周期時間計測を開始する(S508)。
【0072】
一方で、認証周期経過から所定時間内(例えば、0.8秒以内)に無線受信手段202で無線受信した認証信号が無線受信情報判定手段205により認証機器記憶手段206に記憶している認証機器情報207により認証機器100からの認証情報電波であったと判断できなかった場合、キャリアセンス手段204により定期的(例えば、1秒毎)に近距離から送信された強い電波の有無を判断する動作に戻る(S512)。
【0073】
認証機器100は、認証周期情報を付加した認証信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ送信してから所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信した認証応答信号が無線受信情報判定手段109により認証キー記憶手段104に記憶している認証キー情報105からワイヤレスキー200からの認証応答電波であった(例えば、所定の認証応答データコードと認証キー情報を暗号化(AESなど)した情報と無線受信データが一致)と判断できた場合(S407)、認証周期情報を付加した認証信号を無線送信した場合(S1013)、認証周期計測手段110により前記無線送信した認証周期情報の周期時間の計測を開始し(S1014)、機能制限手段111により認証機器100を搭載した電子機器のロックを解除して使用可能な機能を制限しないようにし(S408)、認証周期計測手段110による次回の認証周期経過を待つ。
【0074】
認証信号を無線送信手段107からワイヤレスキー200へ無線電波での送信を終了後から所定時間内(例えば、0.5秒以内)に無線受信手段108で無線受信した認証応答信号が無線受信情報判定手段109によりワイヤレスキー200からの認証応答電波であったと判断できなかった場合、機能制限手段111により認証機器100を搭載した電子機器をロックして使用可能な機能を制限し(S409)、認証情報送信要求手段101による認証情報送信要求の発生(例えばスイッチ操作や人感センサーによる人検知)を待つ動作に戻る(S410)。
【0075】
以上のように、本実施の形態においては認証機器100が認証無線通信中に定期的にワイヤレスキー200へ無線送信する認証信号に認証周期情報を付加して無線送信し、ワイヤレスキー200が無線受信手段202で無線受信した認証信号に認証周期情報が含まれていれば認証周期情報を認証周期記憶手段208に記憶し、記憶した認証周期情報を無線受信を間欠的に行う認証無線通信周期に更新し、認証無線通信周期は認証周期計測手段211で計測する構成とすることにより、認証無線通信周期を認証無線通信を継続中に変更することができるようになり、認証機器100を搭載した1つの電子機器の使用している状況によってセキュリティレベルが異なる場合に認証無線通信周期を変更することで状況に応じた認証周期での間欠受信とし、電池寿命が向上でき、更に、通信頻度も必要最低限であるために多人数で使用する無線認証システムであっても混信を防ぐことができる。
【0076】
なお、実施の形態1、2で説明した手段は、CPU、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを有する電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施しても良い。プログラムであれば、磁気メディアや光メデ
ィアなどの記録媒体に記録する、またインターネットなどの通信回線を用いて配信することでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる無線認証システムは、認証機器のセキュリティが必要なタイミングでのみ認証情報を無線送信し、ワイヤレスキーは認証機器の無線送信周期に合わせて無線受信するために複数台の認証機器と1つのワイヤレスキー間の認証無線通信であっても認証通信が継続でき、通信頻度も下がり電池寿命が長く電波の混信を防ぐことができるため、ドア、ゲート、ロッカー、金庫、車、バイク、自転車、携帯電話、パソコン等 複数の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施の形態1の無線認証システム構成図
【図2】本実施の形態1の認証機器の構成図
【図3】本実施の形態1のワイヤレスキーの構成図
【図4】本実施の形態1の認証機器の制御フロー図
【図5】本実施の形態1のワイヤレスキーの制御フロー図
【図6】本実施の形態1の認証機器とワイヤレスキーとの送受信タイミング図
【図7】本実施の形態1の状態説明図
【図8】本実施の形態1の認証機器とワイヤレスキーとの送受信タイミング図
【図9】本実施の形態1の認証機器とワイヤレスキーとの送受信タイミング図
【図10】本実施の形態2の認証機器の制御フロー図
【図11】本実施の形態2のワイヤレスキーの制御フロー図
【符号の説明】
【0079】
100 認証機器
101 認証情報送信要求手段
102 認証周期記憶手段
103 認証周期情報
104 認証キー記憶手段
105 認証キー情報
106 無線送信データ設定手段
107 無線送信手段
108 無線受信手段
109 無線受信情報判定手段
110 認証周期計測手段
111 機能制限手段
200 ワイヤレスキー
201 無線受信要求手段
202 無線受信手段
203 電波強度測定手段
204 キャリアセンス手段
205 無線受信情報判定手段
206 認証機器記憶手段
207 認証機器情報
208 認証周期記憶手段
209 無線送信データ設定手段
210 無線送信手段
211 認証周期計測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーと無線通信を行う無線部と、前記無線部により前記キーから受信する電波の受信強度を検出する検出部と、前記検出部により検出される受信強度が所定値以下となったときや前記無線部が前記キーからの電波を受信できなかったときに機能の一部または全部を使用不可としたり警報を発するセキュリティー部とを備えた認証対象装置であって、前記無線部から前記キーへ送信される電文に、送受信周期を示す認証周期情報を含めることを特徴とする認証対象装置。
【請求項2】
認証周期情報を複数記憶する認証周期記憶手段と、前記認証周期記憶手段に記憶される複数の認証周期情報の中からキーへ送信される電文に含める認証周期情報を選択して切り替える認証周期切替手段とを備える請求項1記載の認証対象装置。
【請求項3】
認証対象装置から送信される電波の受信強度を検出するキー検出部と、
前記キー検出部で検出された電界強度が所定値以上であれば前記認証対象装置から送信された電波を電文として受信するキー無線部とを備え、
前記キー無線部で受信する電文中に前記送受信周期を示す認証周期情報が含まれている場合に、前記認証周期情報が指定する送受信周期に従って通信を行うキー。
【請求項4】
請求項1または2のいずれか1項に記載の認証対象装置と、請求項3に記載のキーを含んで構成される無線認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−156179(P2010−156179A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86(P2009−86)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】