説明

負荷駆動用のモータ駆動方法

【課題】モータ温度によるバラツキを無くし、より正確にモータ回転数を制御できるようにする。
【解決手段】モータ60に掛かる負荷トルクTをM/C圧にて検出すると共に、モータ60に流されるモータ電流Iを検出し、これら負荷トルクTとモータ電流Iからモータ温度を推定する。そして、推定したモータ温度に基づいて、起電力Vとモータ回転数Nの特性を補正し、モータ温度に対応する閾値を設定する。これにより、モータ温度によるバラツキを無くし、より正確に所望のモータ回転数に制御できるモータ駆動方法とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータ(以下、単にモータという)をモータ温度によるバラツキに影響されずに制御するモータ駆動方法に関するものであり、例えば負荷としてブレーキ液圧制御のためのブレーキ液の吸入吐出を行うためのモータの駆動に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、モータの駆動においては、モータへの電圧印加を停止した後にモータの慣性回転に基づいて発生する起電力がモータ回転数に比例するという特性を利用し、慣性回転時の起電力をモニタすることにより、モータ駆動を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。具体的には、モータによる作動音低減を図るために、モータに対して所定電圧を間欠的に印加する間欠駆動によりモータ駆動を行うことにより、モータ回転数が所望値となるようにしており、モータに対する所定電圧の印加を停止した後に慣性回転の低下に伴って起電力が低下していくため、起電力が閾値まで低下したときに再びモータへの所定電圧の印加を開始することで、間欠駆動の周期を決定している。
【特許文献1】特表平8−501614号公報
【特許文献2】特表2002−506406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、モータ回転数と慣性回転時の起電力との関係は、モータ温度によるバラツキが存在する。このため、従来のように、単に慣性回転時に発生する起電力に基づいてモータ回転数を制御しただけでは正確な回転数に制御することができない。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、モータ温度によるバラツキを無くし、より正確にモータ回転数を制御できる負荷駆動用のモータ駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、負荷駆動用のモータ(60)に対して所定電圧を印加したのち、該所定電圧の印加を停止し、この停止中におけるモータ(60)の慣性回転時に発生する起電力(V)が閾値まで低下すると再び所定電圧の印加を開始する間欠駆動を行うことにより、モータ回転数(N)を所望値に制御する。このような負荷駆動用のモータ駆動方法において、モータ(60)のモータ温度を推定し、該推定したモータ温度に基づいて起電力(V)とモータ回転数(N)の特性を補正し、補正後の起電力(V)とモータ回転数(N)の特性に基づいて閾値を設定することを特徴としている。
【0006】
このように、モータ(60)のモータ温度を推定し、該推定したモータ温度に基づいて起電力(V)とモータ回転数(N)の特性を補正している。このため、補正後の起電力(V)とモータ回転数(N)の特性に基づいて閾値を設定することにより、モータ温度によるバラツキを無くし、より正確に所望のモータ回転数に制御できるモータ駆動方法とすることが可能となる。
【0007】
例えば、請求項2に記載したように、モータ温度に基づく起電力(V)とモータ回転数(N)の特性の補正を、起電力(V)とモータ回転数(N)の温度依存特性から、推定されたモータ温度と対応する起電力(V)とモータ回転数(N)の特性のマップもしくはそれに対応する関数式を選択することにより行うことができる。
【0008】
また、請求項3に記載したように、モータ温度の推定を、モータ(60)に掛かる負荷トルク(T)を検出すると共に、モータ(60)に流されるモータ電流(I)を検出し、モータ温度に対応する負荷トルク(T)とモータ電流(I)との温度依存特性を示すマップもしくは該マップに対応する関数式に基づき、負荷トルク(T)およびモータ電流(I)の検出結果と対応するモータ温度を求めることにより行うことができる。
【0009】
この場合、請求項4に記載したように、モータ(60)が負荷としてブレーキ液圧制御用のポンプ(19、39)を駆動するものであり、ポンプ(19、39)の吐出側にマスタシリンダ圧が印加されているときに、マスタシリンダ圧センサ(51)にてマスタシリンダ圧を検出し、該マスタシリンダ圧を負荷トルク(T)に対応する値として用いると好ましい。
【0010】
このように、マスタシリンダ圧を負荷トルク(T)に対応する値として用いれば、ブレーキシステムにおいて、従来よりモータ(60)の駆動回路に一般的に備えられているモータ電流のモニタ機能と、従来よりブレーキシステムに使用されているマスタシリンダ圧センサ(51)を用いてモータ温度を推定でき、新たなセンサ等を追加しなくてもモータ温度の推定を行うことが可能となる。
【0011】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる負荷駆動用のモータ駆動方法が適用されるブレーキシステムの概略構成図であり、図2は、図1に示すブレーキシステムに用いられるモータ駆動回路を示した図である。以下、これらの図を参照して本実施形態にかかる負荷駆動用のモータ駆動方法について説明する。
【0014】
まず、図1を参照して負荷駆動用のモータ駆動方法が適用されるブレーキシステムについて説明する。
【0015】
図1に示すように、ドライバがブレーキペダル11を踏み込むと、倍力装置12にて踏力が倍力され、M/C13に配設されたマスタピストン13a、13bを押圧する。これにより、これらマスタピストン13a、13bによって区画されるプライマリ室13cとセカンダリ室13dとに同圧のM/C圧が発生する。M/C圧は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられる。
【0016】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有している。第1配管系統50aは、左前輪FLと右後輪RRに加えられるブレーキ液圧を制御し、第2配管系統50bは、右前輪FRと左後輪RLに加えられるブレーキ液圧を制御する。
【0017】
第1配管系統50aと第2配管系統50bとは、同様の構成であるため、以下では第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては説明を省略する。
【0018】
第1配管系統50aは、上述したM/C圧を左前輪FLに備えられたW/C14及び右後輪RRに備えられたW/C15に伝達し、W/C圧を発生させる主管路となる管路Aを備える。
【0019】
また、管路Aは、連通状態と差圧状態に制御できる第1差圧制御弁16を備えている。この第1差圧制御弁16は、ドライバがブレーキペダル11の操作を行う通常ブレーキ時(ブレーキ制御が実行されていない時)には連通状態となるように弁位置が調整されており、第1差圧制御弁16に備えられるソレノイドコイルに電流が流されると、この電流値が大きいほど大きな差圧状態となるように弁位置が調整される。
【0020】
この第1差圧制御弁16が差圧状態のときには、W/C14、15側のブレーキ液圧がM/C圧よりも所定以上高くなった際にのみ、W/C14、15側からM/C13側へのみブレーキ液の流動が許容される。このため、常時W/C14、15側がM/C13側よりも所定圧力以上高くならないように維持される。
【0021】
そして、管路Aは、この第1差圧制御弁16よりも下流になるW/C14、15側において、2つの管路A1、A2に分岐する。管路A1にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する第1増圧制御弁17が備えられ、管路A2にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する第2増圧制御弁18が備えられている。
【0022】
第1、第2増圧制御弁17、18は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成されている。これら第1、第2増圧制御弁17、18は、第1、第2増圧制御弁17、18に備えられるソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には連通状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)に遮断状態に制御されるノーマルオープン型となっている。
【0023】
管路Aにおける第1、第2増圧制御弁17、18及び各W/C14、15の間と調圧リザーバ20とを結ぶ減圧管路としての管路Bには、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成される第1減圧制御弁21と第2減圧制御弁22とがそれぞれ配設されている。そして、これら第1、第2減圧制御弁21、22はノーマルクローズ型となっている。
【0024】
調圧リザーバ20と主管路である管路Aとの間には還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cには調圧リザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出するモータ60によって駆動される自吸式のポンプ19が設けられている。モータ60は半導体スイッチ61のオンオフによってモータ60への電圧供給が制御される。
【0025】
そして、調圧リザーバ20とM/C13の間には補助管路となる管路Dが設けられている。この管路Dを通じ、ポンプ19にてM/C13からブレーキ液を吸入し、管路Aに吐出することで、横滑り防止制御やトラクション(TCS)制御などのブレーキ制御時において、W/C14、15側にブレーキ液を供給し、対象となる車輪のW/C圧を加圧する。
【0026】
また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50内には、M/C圧センサ51が備えられている。M/C圧センサ51は、管路AにおけるM/C13と第1差圧制御弁16との間に備えられており、M/C13に発生させられたM/C圧を検出し、M/C圧を示す信号を後述するブレーキECU70に出力する。このM/C圧センサ51にて検出されたM/C圧は、通常はドライバによるブレーキペダル11の操作量を検出してブレーキ液圧制御を実行するために用いられるが、本実施形態では、モータ60に加わる負荷トルクを検出するためにも用いられる。例えば、ABS制御が実行された場合、M/C圧がポンプ19、39の吐出口に印加されることになる。そして、ポンプ19、39を駆動する際に、ポンプ19、39の吐出口に印加されたM/C圧が抵抗成分として働くため、M/C圧がポンプ19、39を駆動するモータ60に加わる負荷トルクに相当する値となる。このため、M/C圧を検出することでモータ60に加わる負荷トルクを検出している。
【0027】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、ブレーキECU70にて制御される。ブレーキECU70は、ブレーキ制御システム1の制御系を司るもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成される。このブレーキECU70は、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行し、ABS制御やトラクション制御もしくは横滑り防止制御などのブレーキ液圧制御を実行するとき、各種制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42を適宜駆動すると共にM/C圧に基づいてモータ60への電圧供給、つまり半導体スイッチ61のオンオフの制御を行い、モータ60の間欠駆動を行う。
【0028】
図2は、モータ60の駆動回路の一例を示した回路図である。この図に示されるように、インテリジェントパワーデバイス(IPD)に例えばパワーMOSFETにて構成された半導体スイッチ61が備えられ、ブレーキECU70からの駆動指令信号によって半導体スイッチ61のゲート電圧が印加される。半導体スイッチ61およびモータ60は電源供給ラインにおいて直列接続されており、半導体スイッチ61のオンオフを制御することによりモータ60への電源電圧(所定電圧)の印加を制御する。そして、モータ60のハイサイド側の電圧P1(もしくはモータ60の両端電圧)をブレーキECU70に入力することで、モータ60に印加される電圧および慣性回転時に発生する起電力を検出している。
【0029】
さらに、電源ラインには、シャント抵抗62も直列接続されている。このシャント抵抗62の両端電圧を検出することにより、モータ60に流れるモータ電流Iを検出し、ブレーキECU70に入力している。なお、シャント抵抗62の両端電圧を直接ブレーキECU70に入力しても良いが、シャント抵抗62での電圧降下が大きいとモータ60に印加できる電圧が小さくなるため、シャント抵抗62の抵抗値は少なくする方が好ましい。このため、本実施形態では、シャント抵抗62の両端電圧を増幅回路63にて増幅し、増幅後の値をブレーキECU70に入力している。
【0030】
以上のようにして、本実施形態のブレーキ制御システム1が構成されている。続いて、このように構成されたブレーキ制御システム1によるモータ駆動方法について説明する。
【0031】
本実施形態のブレーキ制御システム1では、ブレーキ液圧制御の実行要件を満たしてブレーキ液圧制御が実行されるときに、モータ60を駆動することによりポンプ19、39を駆動し、ポンプ19、39によるブレーキ液の吸入吐出を行う。このとき、モータ60の作動音低減を図るために、モータ60を間欠駆動する。すなわち、モータ60に対して所定のパルス幅で電源電圧の印加を行ったのち、慣性回転時に発生する起電力が閾値まで低下した時に再びモータ60への電源電圧の印加を開始するという作動を行う。
【0032】
このモータ60の間欠駆動において、本実施形態では、M/C圧センサ51の検出結果とモータ電流に基づいてモータ温度を推定し、起電力とモータ回転数の特性を補正する。そして、閾値の設定を補正後の起電力Vとモータ回転数Nの特性に基づいて行うことで、モータ温度によるバラツキを抑制する。
【0033】
図3は、モータ温度に対応する負荷トルクTとモータ電流Iの特性の温度依存性を示したグラフであり、図4は、モータ温度に対応する起電力Vとモータ回転数Nの特性の温度依存性を示したグラフである。
【0034】
図3に示すように、負荷トルクTとモータ電流Iとの特性もモータ温度によって変動し、高温になるほど同じ負荷トルクTが掛かっているときのモータ電流Iが小さくなる。一方、図4に示すように、モータ60への電圧印加を停止したときに慣性回転により発生する起電力Vと慣性回転時のモータ回転数Nとの特性は、モータ温度によって変動し、例えば低温時と高温時とで異なった特性となる。
【0035】
このため、ブレーキECU70において、図3に示す負荷トルクTとモータ電流Iの特性を表したマップもしくはこのマップと対応する関数式を記憶させておき、そのマップもしくは関数式を用いて、M/C圧センサ51で検出したM/C圧を負荷トルクTに対応した値として用いると共に、シャント抵抗62の両端電圧に基づいて検出したモータ電流Iを用いて、モータ温度を推定する。そして、図4に示したような起電力Vとモータ回転数Nの温度依存性から、推定したモータ温度に対応する起電力Vとモータ回転数Nの特性のマップもしくこのマップと対応する関数式を選択したのち、所望のモータ回転数Nと対応する起電力Vを選択したマップもしくは関数式から求め、それを閾値として設定する。なお、選択用のマップもしくは関数式は、予めブレーキECU70のROM等に記憶させておけば良く、推定したモータ温度と対応するものをROM等から読み出して選択すれば良い。
【0036】
これにより、モータ温度に対応するモータ回転数Nと起電力Vとの特性に基づいて閾値が設定されることになり、慣性回転時に発生する起電力Vが閾値まで低下したときに再びモータ60への電源電圧の印加を開始するという間欠駆動を行うことで、モータ温度によるバラツキ無しで所望のモータ回転数に制御することが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、モータ60に掛かる負荷トルクTをM/C圧にて検出すると共に、モータ60に流されるモータ電流Iを検出し、これら負荷トルクTとモータ電流Iからモータ温度を推定している。そして、推定したモータ温度に基づいて、起電力Vとモータ回転数Nの特性を補正し、モータ温度に対応する閾値を設定するようにしている。これにより、モータ温度によるバラツキを無くし、より正確に所望のモータ回転数に制御できるモータ駆動方法とすることが可能となる。
【0038】
そして、本実施形態のように、起電力Vとモータ回転数Nとの特性を補正するために用いるモータ温度の推定を、負荷トルクTとモータ電流Iに基づいて行っており、かつ、負荷トルクTをM/C圧より検出している。このため、従来よりモータ60の駆動回路に一般的に備えられているモータ電流のモニタ機能と、従来よりブレーキシステムに使用されているM/C圧センサ51を用いてモータ温度を推定でき、新たなセンサ等を追加しなくてもモータ温度の推定を行うことが可能となる。
【0039】
(他の実施形態)
上記実施形態では、モータ温度に基づいて起電力Vとモータ回転数Nとの特性を補正するために、負荷トルクTとモータ電流Iのモニタを行っている。しかしながら、これは単なる一例であり、モータ60に温度センサを備えることによりモータ温度を直接検出し、検出したモータ温度に基づいて起電力Vとモータ回転数Nとの特性を補正することもできる。また、負荷トルクTを検出するのにM/C圧センサ51を用いたが、モータ60にトルクセンサを備え、負荷トルクTを直接検出することもできる。ただし、これらの場合には、温度センサやトルクセンサを用いることになるため、新たなセンサ等の追加が必要になる。
【0040】
また、上記実施形態では、モータ駆動回路の一例として図2に示す回路構成を例に挙げて説明したが、他の回路構成であっても構わない。例えば、図5に示すモータ駆動回路を適用することもできる。すなわち、図5に示すように半導体スイッチ61をメイン電流が流されるメイン素子61aとメイン電流を所定の比率で低下させたセンス電流が流されるセンス素子61bとにより構成し、センス電流に流れる電流をセンス素子61bのエミッタに接続された電流検出抵抗64にて検出できるように、電流検出抵抗64に印加された電圧をブレーキECU70に入力するようにしても良い。
【0041】
なお、上記実施形態では、ブレーキ液圧制御用のモータ60に対して本発明を適用した場合について説明したが、モータ回転数Nをモータ60の慣性回転時の起電力Vに基づいて制御するようなものであれば、どのようなものに対しても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる負荷駆動用のモータ駆動方法が適用されるブレーキシステムの概略構成図である。
【図2】図1に示すブレーキシステムに用いられるモータ駆動回路を示した図である。
【図3】負荷トルクTとモータ電流Iの特性を示したグラフである。
【図4】起電力Vとモータ回転数Nの特性を示したグラフである。
【図5】他の実施形態で説明するブレーキシステムに用いられるモータ駆動回路を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
1…ブレーキ制御システム、11…ブレーキペダル、13…M/C、14、15、34、35…W/C、16、36…差圧制御弁、17、18、37、38…増圧制御弁、19、39…ポンプ、20、40…調圧リザーバ、21、22、41、42…減圧制御弁、50…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、50a、50b…第1、第2配管系統、51…M/C圧センサ、60…モータ、61…半導体スイッチ、62…シャント抵抗、63…増幅回路、64…電流検出抵抗、70…ブレーキECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷駆動用のモータ(60)に対して所定電圧を印加したのち、該所定電圧の印加を停止し、この停止中における前記モータ(60)の慣性回転時に発生する起電力(V)が閾値まで低下すると再び前記所定電圧の印加を開始する間欠駆動を行うことにより、モータ回転数(N)を所望値に制御する負荷駆動用のモータ駆動方法において、
前記モータ(60)のモータ温度を推定し、該推定した前記モータ温度に基づいて前記起電力(V)と前記モータ回転数(N)の特性を補正し、補正後の前記起電力(V)と前記モータ回転数(N)の特性に基づいて前記閾値を設定することを特徴とする負荷駆動用のモータ駆動方法。
【請求項2】
前記モータ温度に基づく前記起電力(V)と前記モータ回転数(N)の特性の補正を、前記起電力(V)と前記モータ回転数(N)の温度依存特性から、推定された前記モータ温度と対応する前記起電力(V)と前記モータ回転数(N)の特性のマップもしくはそれに対応する関数式を選択することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動用のモータ駆動方法。
【請求項3】
前記モータ温度の推定を、前記モータ(60)に掛かる負荷トルク(T)を検出すると共に、前記モータ(60)に流されるモータ電流(I)を検出し、前記モータ温度に対応する前記負荷トルク(T)と前記モータ電流(I)との温度依存特性を示すマップもしくは該マップに対応する関数式に基づき、前記負荷トルク(T)および前記モータ電流(I)の検出結果と対応する前記モータ温度を求めることにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載の負荷駆動用のモータ駆動方法。
【請求項4】
前記モータ(60)が前記負荷としてブレーキ液圧制御用のポンプ(19、39)を駆動するものであり、前記ポンプ(19、39)の吐出側にマスタシリンダ圧が印加されているときに、マスタシリンダ圧センサ(51)にて前記マスタシリンダ圧を検出し、該マスタシリンダ圧を前記負荷トルク(T)に対応する値として用いることを特徴とする請求項3に記載の負荷駆動用のモータ駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−240117(P2009−240117A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85721(P2008−85721)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】