貨物車両の荷箱の扉装置
【課題】扉装置の軽量化を図ると共に、開閉操作に支障を来さない気密構造・水密構造を提供する。
【解決手段】上扉と下扉とからなる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、開口部の上方にはスプリング94を備えた巻き取りシャフト9が配置されており、折り戸の上方への移動に伴ってガイドローラ6の軸部60に連結したワイヤ92が巻き取りシャフト9に巻き取られ、折り戸の下方への移動に伴ってワイヤ92が巻き取りシャフト9から繰り出され、ガイドローラ6は下扉5の下端面51よりも下方に位置しており、上扉4の上端部、左右側部、下扉5の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材10A〜10Dが設けてある。
【解決手段】上扉と下扉とからなる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、開口部の上方にはスプリング94を備えた巻き取りシャフト9が配置されており、折り戸の上方への移動に伴ってガイドローラ6の軸部60に連結したワイヤ92が巻き取りシャフト9に巻き取られ、折り戸の下方への移動に伴ってワイヤ92が巻き取りシャフト9から繰り出され、ガイドローラ6は下扉5の下端面51よりも下方に位置しており、上扉4の上端部、左右側部、下扉5の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材10A〜10Dが設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物車両の荷箱の扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バンタイプトラック等の貨物車両においては、荷箱の後部に荷物出し入れ用の開口が形成されており、この開口を両開き戸や、上下2枚の扉体からなる折り戸で開閉するようにしている。後者の折り戸は、二枚跳ね上げ式ドア(フォールディングドア)とも称され、例えば、特許文献1には貨物自動車の上下折戸式扉が開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の上下折戸式扉では、ドア重量を当該ドア重量と略同じ重量のカウンターウェイトによりバランスさせて手動開閉を行っているため、トラックに対して定められたトラック積載重量にドア重量の2倍の重量が含まれることになり、実際の積荷に許容されるトラック積載重量が少なくなってしまうという不具合がある。また、カウンターウェイトは開口部近傍に設けた筒状部の中で上下動させているので、ワイヤが切断してしまうと、修理が困難である。
【0004】
貨物車両の荷箱に積載された荷物を搬送時・保管時を通して良好な状態に保つためには、雨水、誇り、排ガス等が開口部から荷箱内部に侵入しないように上下折戸式扉に気密性能・水密性能が要求される。また、上下折戸式扉に気密構造・水密構造を適用した場合には、気密構造・水密構造はドアの開閉操作に影響を与えないような構造である必要がある。
【特許文献1】実公平02−42865
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の上下折戸式扉における不具合を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
上扉と下扉とからなり、開口部閉鎖時に垂直姿勢となり、開口部開放時に折り畳み姿勢となる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、
前記上扉の上端部は開口部の上側に回動可能に連結されており、
前記上扉の下端部と前記下扉の上端部は回動可能に連結されており、
前記下扉には開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールにそれぞれ案内されるガイドローラが設けてあり、
開口部の上方にはスプリングを備えた巻き取りシャフトが配置されており、
前記折り戸の上方への移動に伴って前記ガイドローラの軸部に連結したワイヤが前記巻き取りシャフトに巻き取られ、前記折り戸の下方への移動に伴って前記ワイヤが前記巻き取りシャフトから繰り出されるようになっており、
前記ガイドローラは前記下扉の下端面よりも下方に位置しており、
前記上扉の上端部、左右側部、前記下扉の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材が設けてある、貨物車両の荷箱の扉装置、である。
【0007】
1つの態様では、前記装置において、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる第1水切り片を設け、
上扉に当該上扉の全幅に亘って、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように第2水切り片を設け、
折り戸の垂直姿勢時には、前記第1水切り片は前記第2水切り片よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、上扉の傾動により傾斜姿勢となった前記第2水切り片が、前記第1水切り片の下方に位置するように構成されている。
1つの態様では、前記装置において、
前記上扉の上端部に、当該上扉の全幅に亘って延びる回動片を、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように設け、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる回動受片を設け、
前記上扉の上端部は、前記回動片を前記回動受片に回動可能に係止させることで、開口部の上側に回動可能に連結されており、
折り戸の垂直姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材と開口部の上側との間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ワイヤを巻き取る巻き取りシャフトに備わっているスプリングによって折り戸の重量をバランスするようにしたので、カウンターウェイトを用いて折り戸の重量をバランスするものに比べて、扉装置全体の重量を軽くすることができ、トラックの積載重量を増やすことができる。
下扉に設けるガイドローラを当該下扉の下端面よりも下方に位置させることで、折り戸の四周に水密部材を設けるものでありながら、折り戸の円滑な開閉操作を確保することができる。
請求項2に記載したものでは、荷箱側と扉装置側の双方に水切り部材を設けることで、扉体の開閉時における、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐことができる。
請求項3に記載したものでは、回動片が水切り部材として機能することで、別途水切り部材を設けることなく、扉体の開閉時における、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略正面図である。
【図2】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図3】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態から折り戸が少し屈折した状態)である。
【図4】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部開放状態)である。
【図5】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の下扉の一部省略水平断面図であり、左側は下扉の下端部位、右図は下扉の中間部位の断面を示す。
【図6】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の下扉の下方部位を示す部分側面図である。
【図7】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の部分平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部開放状態)である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の上方部位を示す部分側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の上方部位を示す部分側面図(開口部開放状態)である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の中央部位を示す部分側面図であり、左図は開口部閉鎖状態、右図は開口部閉鎖状態から折り戸が少し屈折した状態を示している。
【図14】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の中央部位を示す部分側面図(開口部開放状態)である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置を示す図であり、上図は部分正面図、下図は平面図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置を示す側面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置の係止ロッドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、貨物車両の荷箱の開口部を開閉する扉装置の正面図、図2は、同側面図である。荷箱は、天井面、左右の側壁、床面を備えており、荷箱の後端の開口には、上枠1と、左右の側枠2と、下枠3と、から方形状に形成された開口枠が設けてある。この開口枠により形成された開口部を開閉するように扉装置が設けられる。
【0011】
扉装置は、上扉4と下扉5の2枚の扉体からなる上下折り戸である。上扉4は、正面視横長方形状であり、上端面40と、下端面41と、左右の側面42と、収納室の内外にそれぞれ面する面部43、44と、を備えている。下扉5は、正面視横長方形状であり、上端面50と、下端面51と、左右の側面52と、収納室の内外にそれぞれ面する面部53、54と、を備えている。
【0012】
上扉4の下端面41と下扉5の上端面50はヒンジ45を用いて屈折可能に連結されており、上扉4と下扉5とで折り戸が形成されている。開口部閉鎖姿勢では、上扉4と下扉5が垂直姿勢にあり、この時上扉4の下端面41と下扉5の上端面50は当接ないし近接対向している。垂直姿勢から、下扉5の下端側が上動することで、上扉4と下扉5の連結部が外側に突出するように上扉4と下扉5が折り畳まれて開口部開放姿勢となる。
【0013】
上扉4の上端面40はヒンジ400を用いて開口部の上枠1に回動可能に連結されている。図示の態様では、ヒンジ400の回動中心401は、開口部閉鎖姿勢にある上扉4の上端面40よりも上方かつ上扉4の外側の面部43よりも外側に位置しており、開口部開放時(折り畳み姿勢)では、上扉4および下扉5をより高い位置で折り畳み姿勢とすることができ、有効開口高を大きくするようにしている。
【0014】
下扉5の下方部位には下扉5の幅方向の左右両側に位置してガイドローラ6が設けてあり、ガイドローラ6は、開口部の幅方向左右両側に立設されたガイドレール7内を上下に移動可能となっている。特に図6に示すように、ガイドローラ6は、下扉5の下端面51よりも下側に位置して設けてあり、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下枠3の上面30よりも下側に位置している。すなわち、ガイドレール7の下端は、垂直姿勢にある下扉5の下端面51及び下枠3の上面30よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下端面51及び下枠3の上面30よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。
【0015】
より具体的には、下扉5の内側の面部54の下方部位には幅方向両端に位置してガイドローラ取付用のブラケット8が固定されており、ブラケット8の下方側は下扉5の下端面51を越えて下方に延びており、ブラケット8の下端部には先端にガイドローラ6を備えたローラ軸60が水平状に支持されている。
【0016】
荷箱の天井面には、開口部寄りに位置して(上枠1に近接して)、スプリング内蔵巻き取りシャフト9が支持されている。巻き取りシャフト9は、天井面に設けたブラケット90と、ブラケットに回転自在に支持されたシャフト91と、シャフト91の長さ方向端部に固定され、ワイヤ92を巻き取る巻き取りドラム93と、一端がブラケット90に固定され、他端がシャフト91に固定されたバランススプリング94と、からなる。このように、本実施形態では、従来のカウンターウェイトに代えてバランススプリング94が扉体の自重をバランスさせるようになっている。
【0017】
下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6のローラ軸60にはワイヤ92の下端が固定されており(図示の態様では、ローラ軸60の基端側にワイヤ92の下端が固定される。)、上扉4及び下扉5の開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の上方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら上動し、ワイヤ92の上端側が巻き取りシャフト9の巻き取りドラム93に巻き取られていき、上扉4と下扉5が折り畳まれながら全体として上動して折り畳み姿勢となって、開口部が開放される。上扉4及び下扉5の開口部開放時(折り畳み姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の下方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら下動し、巻き取りドラム93に巻き取られたワイヤ92が下方に引き出されていき、折り畳まれた上扉4と下扉5が拡開しながら全体として下動して垂直姿勢となって、開口部が閉鎖される。
【0018】
巻き取りドラム93の巻き取り面はテーパかつワイヤ92を位置決め案内する溝が形成されており、扉体の開閉時の位置によってワイヤ92の巻き取り径を異ならしめるようにしており、扉体が開口部上限近傍まで上動した場合にバランススプリングのトルク減少分を補完するようにしている。図1に示すように、開口部閉鎖時には、ワイヤ92の上端側は巻取りドラム93の大径部に巻き取られ、扉体の上動に伴ってワイヤ92がテーパに沿って巻き取りドラム93上で小径方向に巻き取られていく。
【0019】
上扉4の上端面40、左右の側面42に沿って水密部材10A、10Bが設けてある。水密部材10A、10Bは、例えば、ゴムから形成された長尺部材であり、開口部閉鎖時に、水密部材10A、10Bのフィンが開口枠の上枠1、左右側枠2の上半部に密接することで水密性能・気密性能を発揮する。
【0020】
同様に、下扉5の下端面51、左右の側面52に沿って水密部材10C、10Dが設けてある。水密部材10C、10Dは、例えば、ゴムから形成された長尺部材であり、開口部閉鎖時に、水密部材10C、10Dのフィンが開口部の下枠3、開口部の左右側枠2の下半部に密接することで水密性能・気密性能を発揮する。
【0021】
上扉4の左右の水密部材10Bの下端と下扉5の左右の水密部材10Dの上端とは密接しており(図示の態様では、四周のコーナーに位置して各水密部材の端部が傾斜縁となっており、傾斜縁同士が密接している)、したがって、垂直姿勢にある扉体(上扉4と下扉5からなる)の四周に亘って水密部材10A、10B、10C、10Dが設けられることになり、開口部閉鎖時には、四周状の水密部材10A、10B、10C、10Dが開口部の左右の側枠2、上枠1、下枠3に密接することで、水密性能・気密性能を発揮し、荷箱内部への雨水や埃等の侵入を防止する。なお、上扉4と下扉5の接続部、すなわち、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に水密部材(図示せず)を設けてもよい。
【0022】
上述のように、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下側に位置している。ガイドレール7の下端は、下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。本実施形態においてガイドローラ6が設けられる位置は次に述べるように、折り戸の円滑な開閉操作を確保する上において重要である。
【0023】
ガイドローラ6を下扉5の下端面51よりも下側に位置させることで、下扉5の下側のコーナー部の水密部材10C、10D、すなわち、下扉5の側面52の水密部材10Dの下端、下扉5の下端面51の水密部材10Cの長さ方向両端部、が開口部側枠2と干渉することを防止あるいは干渉の度合いを少なくしている。もし、ガイドローラ6が下扉5の下端面51よりも上側に位置するような場合には、下扉5の下側コーナー部と開口部側枠2との干渉の度合いが大きくなって、円滑な開閉操作に支障を来し、水密部材10C、10Dをコーナー部において大きく切り欠く必要が生じ、水密性能・気密性能が減殺されてしまうことになる。ガイドローラ6を下扉5の下端面51よりも下側に位置させることで、下扉5の下側コーナー部と開口部側枠2の干渉を無くしあるいは干渉の度合いを少なくすることができ、コーナー部における水密部材10C、10Dの切り欠きを不要とし、あるいは切り欠きが必要となった場合であっても、水密性能・気密性能に影響を与えない程度の小さな切り欠きに留めることができる。
【0024】
本実施形態では、荷箱側と扉装置側の双方に水切り部材を設けることで、扉体の開放時、閉鎖時のいずれの場合にも、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐようにしている。より具体的には、開口部の上枠1には第1水切り片11が設けてあり、上扉4の上端部位には第2水切り片12が設けてある。第1水切り片11は、上扉4の少なくとも全幅に亘って幅方向に水平状に延びる長尺部材であり、本実施形態では、上扉4の幅寸法よりも大きい長さ寸法を備えている。第2水切り片12は、上扉4の略全幅に亘って幅方向に水平状に延びる長尺部材であり、上扉4の上端面40に設けた水密部材10Aを外側から覆うように上扉4に設けられる。第1水切り片11と第2水切り片12は、近接して設けることで協働して荷箱内への雨水の侵入を防止するものでありながら、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉しないような形状・配置となっている。
【0025】
第1水切り片11は、上枠1から外側に向かって延びる水平片110と水平片110の先端から垂下する垂直片111と、を備えている。第2水切り片12は、上扉4の外側の面部43の上方部位から外側に向かって延びる水平片120と、水平片120の先端から立ち上がる垂直片121と、垂直片121の先端を僅かに外側に折り曲げた折曲片122と、を備えている。
【0026】
開口部閉鎖時の垂直姿勢において、上枠1の見付面と上扉2の外側の面部43は略面一にあり、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法よりも大きく、第1水切り片11の垂下片111は、第2水切り片12の垂直片121よりも外側に位置しており、また、第1水切り片11の垂下片111の下端の高さ位置と第2水切り片12の垂直片121の上端の高さ位置は略一致している。第2水切り片12の垂直片121の上端には外側に折り曲げた折曲片122が形成されているが、第1水切り片11の垂直片111は、第2水切り片12の折曲片122の先端よりもさらに外側に位置している。すなわち、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法+折曲片122の突出寸法、よりも大きい。
【0027】
上述のように、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法よりも大きくし、第1水切り片11の垂下片111は、第2水切り片12の垂直片121よりも外側に位置させてあるので、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉することがない。なお、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉しなければ、第2水切り片12の垂直片121の上端の高さ位置を、第1水切り片11の垂下片111の下端の高さ位置よりも上方に位置させてオーバラップさせてもよい。また、第2水切り片12の水平片120及び垂直片121の長さ寸法は、開口部開放時に上扉4が外側に回動した時に、垂直片121の上端が上枠1に干渉しないように設計される。
【0028】
開口部閉鎖時(垂直姿勢)においては、図2に示すように、上扉4の上端面40の水密部材10が上枠1に密接して水密性能・気密性能を発揮するが、水密部材10の外側に位置して、さらに、第1水切り片11、第2水切り片12を配置することで、上扉4の上方部位の水密性能・気密性能をより確実なものとすることができる。雨水が下方から上方に吹き上げられたような場合には、第1水切り片11の垂直片111の下方から雨水が吹き込み得るが、第2水切り片12の垂直片121、及び、垂直片121の上端に形成した折曲片122が雨水の吹き込みを可及的に防止する。
【0029】
開口部開放時(折り畳み姿勢)においては、上扉4の上端面40の水密部材10が上枠1から離間して隙間が形成されるが、図4に示すように、第1水切り片11の垂下片111の下端の下方には傾斜姿勢の第2水切り片12の垂直片121が位置しており、第1水切り片11の垂下片111を辿って滴下した雨水は傾斜状の垂直片121に案内されて傾斜状の上扉4の外側の面部43に逃がされるので、開口部開放時の雨水の侵入が防止される。また、図示の態様では、傾斜姿勢の垂直片121の上端側が第1水切り片11の内側へ入り込むと共に、上端の折曲片122(立ち上がり姿勢となっている)の上端が第1水切り片11の垂直片11の下端よりも僅かに上方に位置しており、雨水の吹き込みを可及的に防止している。
【0030】
下扉5にはロック装置が設けてある。下扉5の外側の面部53には扉装置の折り戸の開閉を手動操作するための手動操作部13が設けてあり、手動操作部13がロック装置の操作部を兼用している。下扉5の内側の面部54に沿って幅方向左右それぞれに突出可能な係止ロッド14が設けてあり、ロック装置の操作部の操作に係止ロッド14の動作を連動させるように構成し、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、係止ロッド14の先端をガイドレール7内に突出させて係止させることで、下扉5の移動を規制して扉装置の開放を防止する。
【0031】
本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置について、図8〜図17に基づいて説明する。図8は、貨物車両の荷箱の開口部を開閉する扉装置の正面図、図9は、同側面図(開口部閉鎖状態)、図10は、同側面図(開口部開放状態)である。同一の構成要素については、明細書全体を通して同じ参照番号が付してあり、同じ参照番号が付された部材の説明については、上述の実施形態に係る記載を援用することができる。
【0032】
荷箱の後端の開口部を開閉する扉装置は、ヒンジ45を用いて屈折可能に連結された上扉4と下扉5からなる上下折り戸である。上扉4の上端側は開口部の上枠1に回動可能に連結されており、下扉5の下方部位には下扉5の幅方向の左右両側に位置してガイドローラ6が設けてあり、ガイドローラ6は、開口部の幅方向左右両側に立設されたガイドレール7内を上下に移動可能となっている。図9に示すように、ガイドローラ6は、下扉5の下端面51よりも下側に位置して設けてあり、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下枠3の上面30よりも下側に位置している。すなわち、ガイドレール7の下端は、垂直姿勢にある下扉5の下端面51及び下枠3の上面30よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下端面51及び下枠3の上面30よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。
【0033】
下扉5の下方部位に設けたブラケット8に設けた軸部6´にはワイヤ92の下端が固定されており、図9に示す上扉4及び下扉5の開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の上方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら上動し、ワイヤ92の上端側が巻き取りシャフト9の巻き取りドラム93に巻き取られていき、上扉4と下扉5が折り畳まれながら全体として上動して折り畳み姿勢となって、開口部が開放されて図10に示す折り畳み姿勢となる。
【0034】
図10に示す上扉4及び下扉5の開口部開放時(折り畳み姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の下方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら下動し、巻き取りドラム93に巻き取られたワイヤ92が下方に引き出されていき、折り畳まれた上扉4と下扉5が拡開しながら全体として下動して垂直姿勢となって、開口部が閉鎖されて図9に示す垂直姿勢となる。
【0035】
上扉4の上端側の回動構成について、図11、図12を参照しつつ、説明する。上扉4の外側の面部43の上方部位には、上扉4の全幅に亘って幅方向に延びる回動片15の下端側が固定されている。回動片15は、上扉4の上端部40に設けた水密部材10Aを外側から覆うように上扉4の外側の面部43から持ち出し状に設けられる。回動片15は、上扉4が垂直姿勢にある状態で、面部43に固定された下端側の下側垂直部150と、面部43から離間するように外側に向かって傾斜状に上方に延びる傾斜部151と、さらに、上扉4の上端面40を越え、水密部材10Aに離間対向しながら垂直状に上方に延びる上側垂直部152と、上枠1の面部に向かって膨出するように湾曲形成された上端側の円弧状部153と、を備え、円弧状部153の内周面には外側(上枠1の面部から離間する側)に向かって径方向(円弧状部についての接平面に垂直な方向)に延びる係止部154が形成されている。係止部154の先端には幅方向に延びる小径の軸部が一体形成されており、軸部が上扉4の上端側の回動中心401´となる。回動中心401´は、開口部閉鎖姿勢にある上扉4の上端面40よりも上方かつ上扉4の外側の面部43よりも外側に位置しており、開口部開放時(折り畳み姿勢)では、上扉4および下扉5をより高い位置で折り畳み姿勢とすることができ、有効開口高を大きくするようにしている。
【0036】
上枠1の外側の面部には、上扉4の全幅に亘って幅方向に延びる回動受片16が固定されている。回動受片16は、上枠1の外側の面部に固定された上側垂直部160と、上側垂直部160の下端から外側に突出する水平部161と、水平部161の下面から上枠1の面部に向かって膨出するように湾曲形成された円弧状部162と、水平部161の下面から、円弧状部162の外側に位置して垂下する被係止部163と、から形成されている。被係止部163の円弧状部162に対向する面には、幅方向に延びる溝部が形成されており、回動片15の係止部154の軸部を回転可能に受け入れる被係止部となっている。回動片15の円弧状部153の外径と回動受片16の円弧状部162の内径は一致しており、回動片15は、軸部を回動中心401´として、円弧状部153の外周面が回動受片16の円弧状部162の内周面に摺動しながら回動する。被係止部163の外側面も湾曲面となっており、回動片15の上方への回動に伴い、被係止部163の外側面が回動片15の円弧状部153の内方に入り込むようになっている(図12参照)。回動受片16の被係止部163の先端(下端)が回動片15の円弧状部153の内面に近接することで(図11、図12参照)、回動片15の円弧状部153の内面への水分の浸入を可及的に防止しており、円弧状部153の内方へ浸入した水分は、係止部154によって、さらに内部に浸入することが防止される。
【0037】
回動受片16の円弧状部162の内周面の基端側(上端側)、換言すると、被係止部163の円弧状部162に対向する面の基端側(上端側)には、幅方向に延びる溝部が形成されており、当該溝部には水密部材17が充填されている。水密部材17は、例えば、長尺状のゴムから形成される。開口部閉鎖状態では、回動片15の円弧状部153の先端(上端)が水密部材17に当接しており、円弧状部153の外周面と回動受片16の円弧状部162の内周面との間への水分の浸入を防止している。
【0038】
回動受片16の円弧状部162の外周面は上枠1の外側の面部に当接しており、円弧状部162の内周面の下端は、上枠1の外側の面部から離間していると共に、開口部閉鎖状態における上扉4の上端の水密部材10Aよりも外側に位置している(図11参照)。したがって、仮に、円弧状部153の外周面と回動受片16の円弧状部162の内周面との間から水分がにじみ出した場合であっても、上枠1や水密部材10Aに直接伝わることがないようになっている。
【0039】
開口部閉鎖状態において、回動片15は、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aの外側に位置して、全幅に亘って覆うように設けてあり、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aに水分が浸入することを防止している。開口部開放状態においては、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aとの間に隙間が形成されるが、上側に回動して水平に近い姿勢となった回動片15が、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aとの間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置するので、雨水は回動片15、上扉4の面部43を伝って流れ、後述する水切り片19の溝部で回収されるようになっており、当該隙間から雨水が浸入することを防止する。また、回動受片16の被係止部163の外側面が円弧状部153の内面に近接することで円弧状部153の内方への雨水の浸入を可及的に防ぎ、さらに円弧状部153の内方へ浸入した水分は、係止部154によって、さらに内部に浸入することが防止される。このように、本実施形態では、回動片15(回動受片16)が水切り部材として機能することで、扉体の開放時、閉鎖時のいずれの場合にも、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐようにしている。
【0040】
上扉4と下扉5が垂直姿勢にある開口部閉鎖姿勢において、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50は間隔を存して対向することで隙間が形成されており、当該隙間は、上扉4の下端面41に装着された緩衝材(例えば、ゴムパッキング)18によって塞がれている(図13左図)。緩衝材18は上扉4の全幅に亘って延びており、緩衝材18により隙間が塞がれた状態では、緩衝材18の下端が下扉5の外側の面部53の上端部位に幅方向に亘って当接しているので、開口部閉鎖時における止水性が良好である。前記隙間は、下端面41と上端面50間に指が挟まれることがないような大きさを備えている。垂直姿勢から、上扉4と下扉5が屈折すると、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に空間が形成されるが、当該空間は概ね緩衝材18によって覆われており、また、仮に当該空間に指を差し入れたとしても、柔軟な緩衝材18が指に当たるだけであり、かつ、緩衝材18の内側に位置して十分に広い隙間が形成されているため、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に指が挟まれることがない(図13右図参照)。
【0041】
上扉4の下端には外側に位置して、上扉4の全幅に亘って延びる水切り片19が装着されている。水切り片19は、上側が開口状の凹溝を備えており、開口部閉鎖姿勢では、上扉4の外側の垂直状の面部43を伝って落下する雨水を凹溝で回収して、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に浸入することを可及的に防止する(図13左図参照)。開口部開放姿勢では、上扉4の外側の傾斜状の面部43を伝って落下する雨水を凹溝で回収して、下方に位置するであろう作業者や荷物に落下することを可及的に防止する(図14)。開放姿勢にある折り戸を閉鎖する際に、上扉4の面部43に付着した雨水は面部43を伝って流れ落ちて水切り片19の凹溝で回収される。なお、図示の態様では、上扉4の下端部、下扉5の上端部は、それぞれ、端縁部材41´、50´が取り付けてあり、ヒンジ45は、端縁部材41´、50´に対して取り付けられ、緩衝材18は、端縁部材41´に対して取り付けられ、閉鎖姿勢では緩衝材18の下端が端縁部材50´に接触し、水切り片19は、端縁部材41´と一体形成されている。
【0042】
下扉5の外側の面部53には扉装置の折り戸の開閉を手動操作するための操作ハンドル13´が設けてあり、開口部閉鎖姿勢において、操作ハンドル13´を掴んで下扉5を上方に持ち上げることで、開口部を開放する。操作ハンドル13´はロック装置の操作部を兼用している。操作ハンドル13´は上側位置(施錠状態)と下側位置(解錠状態)との間で上下に回動可能となっており、操作ハンドル13´の上下回動に連動して左右の係止ロッド14が水平方向に往復動するようになっている。より具体的な構成を、図15、図16、図17に基づいて説明する。操作ハンドル13´の基端側は回動筒20と連結されており、回動筒20には左右のガイド溝200が形成されている。左右の係止ロッド14の基端側部位(スライダー)140にはガイド溝200内に突出するガイド突起141が設けてあり、回動筒20の回動に伴ってガイド突起141がガイド溝200に案内されて水平方向に移動することで、係止ロッド14が下扉5の内側の面部54に取り付けられたロッドガイド142に案内されて水平方向に移動する。
【0043】
操作ハンドル13´が上側位置にある時には、左右の係止ロッド14の先端がガイドレール7内に突出した施錠姿勢にあり、この上側位置において、操作ハンドル13´は下扉5の外側の面部53に設けた保持手段21によって保持されている。より具体的には、保持手段21は嵌合受部であり、操作ハンドル13´を上側位置まで回動させた時に、操作ハンドル13´の横バーの延長部に形成した嵌合部130が保持手段(嵌合受部)21に着脱可能に嵌合するようになっている。上側位置にある操作ハンドル13´を手動で下方に回動させることで、保持手段21による上側位置の保持は解除される。
【0044】
操作ハンドル13´を上側位置から下方に下げることで係止ロッド14の先端がガイドレール7から退避して解錠姿勢となる。したがって、開放姿勢にある折り戸を、操作ハンドル13´を掴んで下方に引き下げて閉鎖する際に、操作ハンドル13´には下向きの力が作用するため、折り戸の閉鎖途中で操作ハンドル13´が上側位置となって係止ロッド14がガイドレール7に当接してしまうようなことがない。
【0045】
ロック装置は、外側に面して設けた鍵孔22と、鍵孔22にキーを差し入れた回動操作に連動して回動する平面視L形状のストッパー23と、係止ロッド14の基端側に設けた被当接部24と、を備えている。ロック装置が施錠姿勢にある時に、鍵孔22にキーを差し入れてストッパー23を回動させて、係止ロッド14の基端側に設けた被当接部24に当接させることで、施錠姿勢にある係止ロッド14のガイドレール7から退避する方向の移動を規制し、操作ハンドル13´の下方への回動操作を規制する。
【符号の説明】
【0046】
4 上扉
5 下扉
6 ガイドローラ
60 ローラ軸
7 ガイドレール
9 スプリング内蔵巻き取りシャフト
92 ワイヤ
93 巻き取りドラム
94 スプリング
10A〜10D 水密部材
11 第1水切り片
12 第2水切り片
15 回動片
16 回動受片
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物車両の荷箱の扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バンタイプトラック等の貨物車両においては、荷箱の後部に荷物出し入れ用の開口が形成されており、この開口を両開き戸や、上下2枚の扉体からなる折り戸で開閉するようにしている。後者の折り戸は、二枚跳ね上げ式ドア(フォールディングドア)とも称され、例えば、特許文献1には貨物自動車の上下折戸式扉が開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の上下折戸式扉では、ドア重量を当該ドア重量と略同じ重量のカウンターウェイトによりバランスさせて手動開閉を行っているため、トラックに対して定められたトラック積載重量にドア重量の2倍の重量が含まれることになり、実際の積荷に許容されるトラック積載重量が少なくなってしまうという不具合がある。また、カウンターウェイトは開口部近傍に設けた筒状部の中で上下動させているので、ワイヤが切断してしまうと、修理が困難である。
【0004】
貨物車両の荷箱に積載された荷物を搬送時・保管時を通して良好な状態に保つためには、雨水、誇り、排ガス等が開口部から荷箱内部に侵入しないように上下折戸式扉に気密性能・水密性能が要求される。また、上下折戸式扉に気密構造・水密構造を適用した場合には、気密構造・水密構造はドアの開閉操作に影響を与えないような構造である必要がある。
【特許文献1】実公平02−42865
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の上下折戸式扉における不具合を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
上扉と下扉とからなり、開口部閉鎖時に垂直姿勢となり、開口部開放時に折り畳み姿勢となる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、
前記上扉の上端部は開口部の上側に回動可能に連結されており、
前記上扉の下端部と前記下扉の上端部は回動可能に連結されており、
前記下扉には開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールにそれぞれ案内されるガイドローラが設けてあり、
開口部の上方にはスプリングを備えた巻き取りシャフトが配置されており、
前記折り戸の上方への移動に伴って前記ガイドローラの軸部に連結したワイヤが前記巻き取りシャフトに巻き取られ、前記折り戸の下方への移動に伴って前記ワイヤが前記巻き取りシャフトから繰り出されるようになっており、
前記ガイドローラは前記下扉の下端面よりも下方に位置しており、
前記上扉の上端部、左右側部、前記下扉の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材が設けてある、貨物車両の荷箱の扉装置、である。
【0007】
1つの態様では、前記装置において、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる第1水切り片を設け、
上扉に当該上扉の全幅に亘って、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように第2水切り片を設け、
折り戸の垂直姿勢時には、前記第1水切り片は前記第2水切り片よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、上扉の傾動により傾斜姿勢となった前記第2水切り片が、前記第1水切り片の下方に位置するように構成されている。
1つの態様では、前記装置において、
前記上扉の上端部に、当該上扉の全幅に亘って延びる回動片を、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように設け、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる回動受片を設け、
前記上扉の上端部は、前記回動片を前記回動受片に回動可能に係止させることで、開口部の上側に回動可能に連結されており、
折り戸の垂直姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材と開口部の上側との間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ワイヤを巻き取る巻き取りシャフトに備わっているスプリングによって折り戸の重量をバランスするようにしたので、カウンターウェイトを用いて折り戸の重量をバランスするものに比べて、扉装置全体の重量を軽くすることができ、トラックの積載重量を増やすことができる。
下扉に設けるガイドローラを当該下扉の下端面よりも下方に位置させることで、折り戸の四周に水密部材を設けるものでありながら、折り戸の円滑な開閉操作を確保することができる。
請求項2に記載したものでは、荷箱側と扉装置側の双方に水切り部材を設けることで、扉体の開閉時における、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐことができる。
請求項3に記載したものでは、回動片が水切り部材として機能することで、別途水切り部材を設けることなく、扉体の開閉時における、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略正面図である。
【図2】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図3】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態から折り戸が少し屈折した状態)である。
【図4】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部開放状態)である。
【図5】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の下扉の一部省略水平断面図であり、左側は下扉の下端部位、右図は下扉の中間部位の断面を示す。
【図6】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の下扉の下方部位を示す部分側面図である。
【図7】本発明に係る貨物車両の荷箱の扉装置の部分平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の概略側面図(開口部開放状態)である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の上方部位を示す部分側面図(開口部閉鎖状態)である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の上方部位を示す部分側面図(開口部開放状態)である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の中央部位を示す部分側面図であり、左図は開口部閉鎖状態、右図は開口部閉鎖状態から折り戸が少し屈折した状態を示している。
【図14】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置の中央部位を示す部分側面図(開口部開放状態)である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置を示す図であり、上図は部分正面図、下図は平面図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置を示す側面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置のロック装置の係止ロッドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、貨物車両の荷箱の開口部を開閉する扉装置の正面図、図2は、同側面図である。荷箱は、天井面、左右の側壁、床面を備えており、荷箱の後端の開口には、上枠1と、左右の側枠2と、下枠3と、から方形状に形成された開口枠が設けてある。この開口枠により形成された開口部を開閉するように扉装置が設けられる。
【0011】
扉装置は、上扉4と下扉5の2枚の扉体からなる上下折り戸である。上扉4は、正面視横長方形状であり、上端面40と、下端面41と、左右の側面42と、収納室の内外にそれぞれ面する面部43、44と、を備えている。下扉5は、正面視横長方形状であり、上端面50と、下端面51と、左右の側面52と、収納室の内外にそれぞれ面する面部53、54と、を備えている。
【0012】
上扉4の下端面41と下扉5の上端面50はヒンジ45を用いて屈折可能に連結されており、上扉4と下扉5とで折り戸が形成されている。開口部閉鎖姿勢では、上扉4と下扉5が垂直姿勢にあり、この時上扉4の下端面41と下扉5の上端面50は当接ないし近接対向している。垂直姿勢から、下扉5の下端側が上動することで、上扉4と下扉5の連結部が外側に突出するように上扉4と下扉5が折り畳まれて開口部開放姿勢となる。
【0013】
上扉4の上端面40はヒンジ400を用いて開口部の上枠1に回動可能に連結されている。図示の態様では、ヒンジ400の回動中心401は、開口部閉鎖姿勢にある上扉4の上端面40よりも上方かつ上扉4の外側の面部43よりも外側に位置しており、開口部開放時(折り畳み姿勢)では、上扉4および下扉5をより高い位置で折り畳み姿勢とすることができ、有効開口高を大きくするようにしている。
【0014】
下扉5の下方部位には下扉5の幅方向の左右両側に位置してガイドローラ6が設けてあり、ガイドローラ6は、開口部の幅方向左右両側に立設されたガイドレール7内を上下に移動可能となっている。特に図6に示すように、ガイドローラ6は、下扉5の下端面51よりも下側に位置して設けてあり、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下枠3の上面30よりも下側に位置している。すなわち、ガイドレール7の下端は、垂直姿勢にある下扉5の下端面51及び下枠3の上面30よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下端面51及び下枠3の上面30よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。
【0015】
より具体的には、下扉5の内側の面部54の下方部位には幅方向両端に位置してガイドローラ取付用のブラケット8が固定されており、ブラケット8の下方側は下扉5の下端面51を越えて下方に延びており、ブラケット8の下端部には先端にガイドローラ6を備えたローラ軸60が水平状に支持されている。
【0016】
荷箱の天井面には、開口部寄りに位置して(上枠1に近接して)、スプリング内蔵巻き取りシャフト9が支持されている。巻き取りシャフト9は、天井面に設けたブラケット90と、ブラケットに回転自在に支持されたシャフト91と、シャフト91の長さ方向端部に固定され、ワイヤ92を巻き取る巻き取りドラム93と、一端がブラケット90に固定され、他端がシャフト91に固定されたバランススプリング94と、からなる。このように、本実施形態では、従来のカウンターウェイトに代えてバランススプリング94が扉体の自重をバランスさせるようになっている。
【0017】
下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6のローラ軸60にはワイヤ92の下端が固定されており(図示の態様では、ローラ軸60の基端側にワイヤ92の下端が固定される。)、上扉4及び下扉5の開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の上方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら上動し、ワイヤ92の上端側が巻き取りシャフト9の巻き取りドラム93に巻き取られていき、上扉4と下扉5が折り畳まれながら全体として上動して折り畳み姿勢となって、開口部が開放される。上扉4及び下扉5の開口部開放時(折り畳み姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の下方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら下動し、巻き取りドラム93に巻き取られたワイヤ92が下方に引き出されていき、折り畳まれた上扉4と下扉5が拡開しながら全体として下動して垂直姿勢となって、開口部が閉鎖される。
【0018】
巻き取りドラム93の巻き取り面はテーパかつワイヤ92を位置決め案内する溝が形成されており、扉体の開閉時の位置によってワイヤ92の巻き取り径を異ならしめるようにしており、扉体が開口部上限近傍まで上動した場合にバランススプリングのトルク減少分を補完するようにしている。図1に示すように、開口部閉鎖時には、ワイヤ92の上端側は巻取りドラム93の大径部に巻き取られ、扉体の上動に伴ってワイヤ92がテーパに沿って巻き取りドラム93上で小径方向に巻き取られていく。
【0019】
上扉4の上端面40、左右の側面42に沿って水密部材10A、10Bが設けてある。水密部材10A、10Bは、例えば、ゴムから形成された長尺部材であり、開口部閉鎖時に、水密部材10A、10Bのフィンが開口枠の上枠1、左右側枠2の上半部に密接することで水密性能・気密性能を発揮する。
【0020】
同様に、下扉5の下端面51、左右の側面52に沿って水密部材10C、10Dが設けてある。水密部材10C、10Dは、例えば、ゴムから形成された長尺部材であり、開口部閉鎖時に、水密部材10C、10Dのフィンが開口部の下枠3、開口部の左右側枠2の下半部に密接することで水密性能・気密性能を発揮する。
【0021】
上扉4の左右の水密部材10Bの下端と下扉5の左右の水密部材10Dの上端とは密接しており(図示の態様では、四周のコーナーに位置して各水密部材の端部が傾斜縁となっており、傾斜縁同士が密接している)、したがって、垂直姿勢にある扉体(上扉4と下扉5からなる)の四周に亘って水密部材10A、10B、10C、10Dが設けられることになり、開口部閉鎖時には、四周状の水密部材10A、10B、10C、10Dが開口部の左右の側枠2、上枠1、下枠3に密接することで、水密性能・気密性能を発揮し、荷箱内部への雨水や埃等の侵入を防止する。なお、上扉4と下扉5の接続部、すなわち、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に水密部材(図示せず)を設けてもよい。
【0022】
上述のように、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下側に位置している。ガイドレール7の下端は、下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下扉5の下端面51(下枠3の上面30)よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。本実施形態においてガイドローラ6が設けられる位置は次に述べるように、折り戸の円滑な開閉操作を確保する上において重要である。
【0023】
ガイドローラ6を下扉5の下端面51よりも下側に位置させることで、下扉5の下側のコーナー部の水密部材10C、10D、すなわち、下扉5の側面52の水密部材10Dの下端、下扉5の下端面51の水密部材10Cの長さ方向両端部、が開口部側枠2と干渉することを防止あるいは干渉の度合いを少なくしている。もし、ガイドローラ6が下扉5の下端面51よりも上側に位置するような場合には、下扉5の下側コーナー部と開口部側枠2との干渉の度合いが大きくなって、円滑な開閉操作に支障を来し、水密部材10C、10Dをコーナー部において大きく切り欠く必要が生じ、水密性能・気密性能が減殺されてしまうことになる。ガイドローラ6を下扉5の下端面51よりも下側に位置させることで、下扉5の下側コーナー部と開口部側枠2の干渉を無くしあるいは干渉の度合いを少なくすることができ、コーナー部における水密部材10C、10Dの切り欠きを不要とし、あるいは切り欠きが必要となった場合であっても、水密性能・気密性能に影響を与えない程度の小さな切り欠きに留めることができる。
【0024】
本実施形態では、荷箱側と扉装置側の双方に水切り部材を設けることで、扉体の開放時、閉鎖時のいずれの場合にも、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐようにしている。より具体的には、開口部の上枠1には第1水切り片11が設けてあり、上扉4の上端部位には第2水切り片12が設けてある。第1水切り片11は、上扉4の少なくとも全幅に亘って幅方向に水平状に延びる長尺部材であり、本実施形態では、上扉4の幅寸法よりも大きい長さ寸法を備えている。第2水切り片12は、上扉4の略全幅に亘って幅方向に水平状に延びる長尺部材であり、上扉4の上端面40に設けた水密部材10Aを外側から覆うように上扉4に設けられる。第1水切り片11と第2水切り片12は、近接して設けることで協働して荷箱内への雨水の侵入を防止するものでありながら、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉しないような形状・配置となっている。
【0025】
第1水切り片11は、上枠1から外側に向かって延びる水平片110と水平片110の先端から垂下する垂直片111と、を備えている。第2水切り片12は、上扉4の外側の面部43の上方部位から外側に向かって延びる水平片120と、水平片120の先端から立ち上がる垂直片121と、垂直片121の先端を僅かに外側に折り曲げた折曲片122と、を備えている。
【0026】
開口部閉鎖時の垂直姿勢において、上枠1の見付面と上扉2の外側の面部43は略面一にあり、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法よりも大きく、第1水切り片11の垂下片111は、第2水切り片12の垂直片121よりも外側に位置しており、また、第1水切り片11の垂下片111の下端の高さ位置と第2水切り片12の垂直片121の上端の高さ位置は略一致している。第2水切り片12の垂直片121の上端には外側に折り曲げた折曲片122が形成されているが、第1水切り片11の垂直片111は、第2水切り片12の折曲片122の先端よりもさらに外側に位置している。すなわち、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法+折曲片122の突出寸法、よりも大きい。
【0027】
上述のように、第1水切り片11の水平片110の突出寸法は、第2水切り片12の水平片120の突出寸法よりも大きくし、第1水切り片11の垂下片111は、第2水切り片12の垂直片121よりも外側に位置させてあるので、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉することがない。なお、上扉4の開閉動作時、第1水切り片11と第2水切り片12が干渉しなければ、第2水切り片12の垂直片121の上端の高さ位置を、第1水切り片11の垂下片111の下端の高さ位置よりも上方に位置させてオーバラップさせてもよい。また、第2水切り片12の水平片120及び垂直片121の長さ寸法は、開口部開放時に上扉4が外側に回動した時に、垂直片121の上端が上枠1に干渉しないように設計される。
【0028】
開口部閉鎖時(垂直姿勢)においては、図2に示すように、上扉4の上端面40の水密部材10が上枠1に密接して水密性能・気密性能を発揮するが、水密部材10の外側に位置して、さらに、第1水切り片11、第2水切り片12を配置することで、上扉4の上方部位の水密性能・気密性能をより確実なものとすることができる。雨水が下方から上方に吹き上げられたような場合には、第1水切り片11の垂直片111の下方から雨水が吹き込み得るが、第2水切り片12の垂直片121、及び、垂直片121の上端に形成した折曲片122が雨水の吹き込みを可及的に防止する。
【0029】
開口部開放時(折り畳み姿勢)においては、上扉4の上端面40の水密部材10が上枠1から離間して隙間が形成されるが、図4に示すように、第1水切り片11の垂下片111の下端の下方には傾斜姿勢の第2水切り片12の垂直片121が位置しており、第1水切り片11の垂下片111を辿って滴下した雨水は傾斜状の垂直片121に案内されて傾斜状の上扉4の外側の面部43に逃がされるので、開口部開放時の雨水の侵入が防止される。また、図示の態様では、傾斜姿勢の垂直片121の上端側が第1水切り片11の内側へ入り込むと共に、上端の折曲片122(立ち上がり姿勢となっている)の上端が第1水切り片11の垂直片11の下端よりも僅かに上方に位置しており、雨水の吹き込みを可及的に防止している。
【0030】
下扉5にはロック装置が設けてある。下扉5の外側の面部53には扉装置の折り戸の開閉を手動操作するための手動操作部13が設けてあり、手動操作部13がロック装置の操作部を兼用している。下扉5の内側の面部54に沿って幅方向左右それぞれに突出可能な係止ロッド14が設けてあり、ロック装置の操作部の操作に係止ロッド14の動作を連動させるように構成し、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、係止ロッド14の先端をガイドレール7内に突出させて係止させることで、下扉5の移動を規制して扉装置の開放を防止する。
【0031】
本発明の他の実施形態に係る貨物車両の荷箱の扉装置について、図8〜図17に基づいて説明する。図8は、貨物車両の荷箱の開口部を開閉する扉装置の正面図、図9は、同側面図(開口部閉鎖状態)、図10は、同側面図(開口部開放状態)である。同一の構成要素については、明細書全体を通して同じ参照番号が付してあり、同じ参照番号が付された部材の説明については、上述の実施形態に係る記載を援用することができる。
【0032】
荷箱の後端の開口部を開閉する扉装置は、ヒンジ45を用いて屈折可能に連結された上扉4と下扉5からなる上下折り戸である。上扉4の上端側は開口部の上枠1に回動可能に連結されており、下扉5の下方部位には下扉5の幅方向の左右両側に位置してガイドローラ6が設けてあり、ガイドローラ6は、開口部の幅方向左右両側に立設されたガイドレール7内を上下に移動可能となっている。図9に示すように、ガイドローラ6は、下扉5の下端面51よりも下側に位置して設けてあり、下扉5の下方部位に設けたガイドローラ6は、開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、下枠3の上面30よりも下側に位置している。すなわち、ガイドレール7の下端は、垂直姿勢にある下扉5の下端面51及び下枠3の上面30よりも下側に延びており、開口部閉鎖時(垂直姿勢)では、下扉5のガイドローラ6は下端面51及び下枠3の上面30よりも下方位置でガイドレール7に受け入れられている。
【0033】
下扉5の下方部位に設けたブラケット8に設けた軸部6´にはワイヤ92の下端が固定されており、図9に示す上扉4及び下扉5の開口部閉鎖時(垂直姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の上方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら上動し、ワイヤ92の上端側が巻き取りシャフト9の巻き取りドラム93に巻き取られていき、上扉4と下扉5が折り畳まれながら全体として上動して折り畳み姿勢となって、開口部が開放されて図10に示す折り畳み姿勢となる。
【0034】
図10に示す上扉4及び下扉5の開口部開放時(折り畳み姿勢)において、折り戸(上扉4及び下扉5)の下方への移動に伴って、ガイドローラ6がガイドレール7に案内されながら下動し、巻き取りドラム93に巻き取られたワイヤ92が下方に引き出されていき、折り畳まれた上扉4と下扉5が拡開しながら全体として下動して垂直姿勢となって、開口部が閉鎖されて図9に示す垂直姿勢となる。
【0035】
上扉4の上端側の回動構成について、図11、図12を参照しつつ、説明する。上扉4の外側の面部43の上方部位には、上扉4の全幅に亘って幅方向に延びる回動片15の下端側が固定されている。回動片15は、上扉4の上端部40に設けた水密部材10Aを外側から覆うように上扉4の外側の面部43から持ち出し状に設けられる。回動片15は、上扉4が垂直姿勢にある状態で、面部43に固定された下端側の下側垂直部150と、面部43から離間するように外側に向かって傾斜状に上方に延びる傾斜部151と、さらに、上扉4の上端面40を越え、水密部材10Aに離間対向しながら垂直状に上方に延びる上側垂直部152と、上枠1の面部に向かって膨出するように湾曲形成された上端側の円弧状部153と、を備え、円弧状部153の内周面には外側(上枠1の面部から離間する側)に向かって径方向(円弧状部についての接平面に垂直な方向)に延びる係止部154が形成されている。係止部154の先端には幅方向に延びる小径の軸部が一体形成されており、軸部が上扉4の上端側の回動中心401´となる。回動中心401´は、開口部閉鎖姿勢にある上扉4の上端面40よりも上方かつ上扉4の外側の面部43よりも外側に位置しており、開口部開放時(折り畳み姿勢)では、上扉4および下扉5をより高い位置で折り畳み姿勢とすることができ、有効開口高を大きくするようにしている。
【0036】
上枠1の外側の面部には、上扉4の全幅に亘って幅方向に延びる回動受片16が固定されている。回動受片16は、上枠1の外側の面部に固定された上側垂直部160と、上側垂直部160の下端から外側に突出する水平部161と、水平部161の下面から上枠1の面部に向かって膨出するように湾曲形成された円弧状部162と、水平部161の下面から、円弧状部162の外側に位置して垂下する被係止部163と、から形成されている。被係止部163の円弧状部162に対向する面には、幅方向に延びる溝部が形成されており、回動片15の係止部154の軸部を回転可能に受け入れる被係止部となっている。回動片15の円弧状部153の外径と回動受片16の円弧状部162の内径は一致しており、回動片15は、軸部を回動中心401´として、円弧状部153の外周面が回動受片16の円弧状部162の内周面に摺動しながら回動する。被係止部163の外側面も湾曲面となっており、回動片15の上方への回動に伴い、被係止部163の外側面が回動片15の円弧状部153の内方に入り込むようになっている(図12参照)。回動受片16の被係止部163の先端(下端)が回動片15の円弧状部153の内面に近接することで(図11、図12参照)、回動片15の円弧状部153の内面への水分の浸入を可及的に防止しており、円弧状部153の内方へ浸入した水分は、係止部154によって、さらに内部に浸入することが防止される。
【0037】
回動受片16の円弧状部162の内周面の基端側(上端側)、換言すると、被係止部163の円弧状部162に対向する面の基端側(上端側)には、幅方向に延びる溝部が形成されており、当該溝部には水密部材17が充填されている。水密部材17は、例えば、長尺状のゴムから形成される。開口部閉鎖状態では、回動片15の円弧状部153の先端(上端)が水密部材17に当接しており、円弧状部153の外周面と回動受片16の円弧状部162の内周面との間への水分の浸入を防止している。
【0038】
回動受片16の円弧状部162の外周面は上枠1の外側の面部に当接しており、円弧状部162の内周面の下端は、上枠1の外側の面部から離間していると共に、開口部閉鎖状態における上扉4の上端の水密部材10Aよりも外側に位置している(図11参照)。したがって、仮に、円弧状部153の外周面と回動受片16の円弧状部162の内周面との間から水分がにじみ出した場合であっても、上枠1や水密部材10Aに直接伝わることがないようになっている。
【0039】
開口部閉鎖状態において、回動片15は、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aの外側に位置して、全幅に亘って覆うように設けてあり、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aに水分が浸入することを防止している。開口部開放状態においては、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aとの間に隙間が形成されるが、上側に回動して水平に近い姿勢となった回動片15が、上枠1と上扉4の上端の水密部材10Aとの間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置するので、雨水は回動片15、上扉4の面部43を伝って流れ、後述する水切り片19の溝部で回収されるようになっており、当該隙間から雨水が浸入することを防止する。また、回動受片16の被係止部163の外側面が円弧状部153の内面に近接することで円弧状部153の内方への雨水の浸入を可及的に防ぎ、さらに円弧状部153の内方へ浸入した水分は、係止部154によって、さらに内部に浸入することが防止される。このように、本実施形態では、回動片15(回動受片16)が水切り部材として機能することで、扉体の開放時、閉鎖時のいずれの場合にも、荷箱内への雨水の侵入を可及的に防ぐようにしている。
【0040】
上扉4と下扉5が垂直姿勢にある開口部閉鎖姿勢において、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50は間隔を存して対向することで隙間が形成されており、当該隙間は、上扉4の下端面41に装着された緩衝材(例えば、ゴムパッキング)18によって塞がれている(図13左図)。緩衝材18は上扉4の全幅に亘って延びており、緩衝材18により隙間が塞がれた状態では、緩衝材18の下端が下扉5の外側の面部53の上端部位に幅方向に亘って当接しているので、開口部閉鎖時における止水性が良好である。前記隙間は、下端面41と上端面50間に指が挟まれることがないような大きさを備えている。垂直姿勢から、上扉4と下扉5が屈折すると、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に空間が形成されるが、当該空間は概ね緩衝材18によって覆われており、また、仮に当該空間に指を差し入れたとしても、柔軟な緩衝材18が指に当たるだけであり、かつ、緩衝材18の内側に位置して十分に広い隙間が形成されているため、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に指が挟まれることがない(図13右図参照)。
【0041】
上扉4の下端には外側に位置して、上扉4の全幅に亘って延びる水切り片19が装着されている。水切り片19は、上側が開口状の凹溝を備えており、開口部閉鎖姿勢では、上扉4の外側の垂直状の面部43を伝って落下する雨水を凹溝で回収して、上扉4の下端面41と下扉5の上端面50との間に浸入することを可及的に防止する(図13左図参照)。開口部開放姿勢では、上扉4の外側の傾斜状の面部43を伝って落下する雨水を凹溝で回収して、下方に位置するであろう作業者や荷物に落下することを可及的に防止する(図14)。開放姿勢にある折り戸を閉鎖する際に、上扉4の面部43に付着した雨水は面部43を伝って流れ落ちて水切り片19の凹溝で回収される。なお、図示の態様では、上扉4の下端部、下扉5の上端部は、それぞれ、端縁部材41´、50´が取り付けてあり、ヒンジ45は、端縁部材41´、50´に対して取り付けられ、緩衝材18は、端縁部材41´に対して取り付けられ、閉鎖姿勢では緩衝材18の下端が端縁部材50´に接触し、水切り片19は、端縁部材41´と一体形成されている。
【0042】
下扉5の外側の面部53には扉装置の折り戸の開閉を手動操作するための操作ハンドル13´が設けてあり、開口部閉鎖姿勢において、操作ハンドル13´を掴んで下扉5を上方に持ち上げることで、開口部を開放する。操作ハンドル13´はロック装置の操作部を兼用している。操作ハンドル13´は上側位置(施錠状態)と下側位置(解錠状態)との間で上下に回動可能となっており、操作ハンドル13´の上下回動に連動して左右の係止ロッド14が水平方向に往復動するようになっている。より具体的な構成を、図15、図16、図17に基づいて説明する。操作ハンドル13´の基端側は回動筒20と連結されており、回動筒20には左右のガイド溝200が形成されている。左右の係止ロッド14の基端側部位(スライダー)140にはガイド溝200内に突出するガイド突起141が設けてあり、回動筒20の回動に伴ってガイド突起141がガイド溝200に案内されて水平方向に移動することで、係止ロッド14が下扉5の内側の面部54に取り付けられたロッドガイド142に案内されて水平方向に移動する。
【0043】
操作ハンドル13´が上側位置にある時には、左右の係止ロッド14の先端がガイドレール7内に突出した施錠姿勢にあり、この上側位置において、操作ハンドル13´は下扉5の外側の面部53に設けた保持手段21によって保持されている。より具体的には、保持手段21は嵌合受部であり、操作ハンドル13´を上側位置まで回動させた時に、操作ハンドル13´の横バーの延長部に形成した嵌合部130が保持手段(嵌合受部)21に着脱可能に嵌合するようになっている。上側位置にある操作ハンドル13´を手動で下方に回動させることで、保持手段21による上側位置の保持は解除される。
【0044】
操作ハンドル13´を上側位置から下方に下げることで係止ロッド14の先端がガイドレール7から退避して解錠姿勢となる。したがって、開放姿勢にある折り戸を、操作ハンドル13´を掴んで下方に引き下げて閉鎖する際に、操作ハンドル13´には下向きの力が作用するため、折り戸の閉鎖途中で操作ハンドル13´が上側位置となって係止ロッド14がガイドレール7に当接してしまうようなことがない。
【0045】
ロック装置は、外側に面して設けた鍵孔22と、鍵孔22にキーを差し入れた回動操作に連動して回動する平面視L形状のストッパー23と、係止ロッド14の基端側に設けた被当接部24と、を備えている。ロック装置が施錠姿勢にある時に、鍵孔22にキーを差し入れてストッパー23を回動させて、係止ロッド14の基端側に設けた被当接部24に当接させることで、施錠姿勢にある係止ロッド14のガイドレール7から退避する方向の移動を規制し、操作ハンドル13´の下方への回動操作を規制する。
【符号の説明】
【0046】
4 上扉
5 下扉
6 ガイドローラ
60 ローラ軸
7 ガイドレール
9 スプリング内蔵巻き取りシャフト
92 ワイヤ
93 巻き取りドラム
94 スプリング
10A〜10D 水密部材
11 第1水切り片
12 第2水切り片
15 回動片
16 回動受片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上扉と下扉とからなり、開口部閉鎖時に垂直姿勢となり、開口部開放時に折り畳み姿勢となる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、
前記上扉の上端部は開口部の上側に回動可能に連結されており、
前記上扉の下端部と前記下扉の上端部は回動可能に連結されており、
前記下扉には開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールにそれぞれ案内されるガイドローラが設けてあり、
開口部の上方にはスプリングを備えた巻き取りシャフトが配置されており、
前記折り戸の上方への移動に伴って前記ガイドローラの軸部に連結したワイヤが前記巻き取りシャフトに巻き取られ、前記折り戸の下方への移動に伴って前記ワイヤが前記巻き取りシャフトから繰り出されるようになっており、
前記ガイドローラは前記下扉の下端面よりも下方に位置しており、
前記上扉の上端部、左右側部、前記下扉の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材が設けてある、
貨物車両の荷箱の扉装置。
【請求項2】
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる第1水切り片を設け、
上扉に当該上扉の全幅に亘って、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように第2水切り片を設け、
折り戸の垂直姿勢時には、前記第1水切り片は前記第2水切り片よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、上扉の傾動により傾斜姿勢となった前記第2水切り片が、前記第1水切り片の下方に位置する、
請求項1に記載の貨物車両の荷箱の扉装置。
【請求項3】
前記上扉の上端部に、当該上扉の全幅に亘って延びる回動片を、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように設け、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる回動受片を設け、
前記上扉の上端部は、前記回動片を前記回動受片に回動可能に係止させることで、開口部の上側に回動可能に連結されており、
折り戸の垂直姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材と開口部の上側との間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置する、
請求項1に記載の貨物車両の荷箱の扉装置。
【請求項1】
上扉と下扉とからなり、開口部閉鎖時に垂直姿勢となり、開口部開放時に折り畳み姿勢となる折り戸を備えた貨物車両の荷箱の扉装置において、
前記上扉の上端部は開口部の上側に回動可能に連結されており、
前記上扉の下端部と前記下扉の上端部は回動可能に連結されており、
前記下扉には開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールにそれぞれ案内されるガイドローラが設けてあり、
開口部の上方にはスプリングを備えた巻き取りシャフトが配置されており、
前記折り戸の上方への移動に伴って前記ガイドローラの軸部に連結したワイヤが前記巻き取りシャフトに巻き取られ、前記折り戸の下方への移動に伴って前記ワイヤが前記巻き取りシャフトから繰り出されるようになっており、
前記ガイドローラは前記下扉の下端面よりも下方に位置しており、
前記上扉の上端部、左右側部、前記下扉の下端部、左右側部には、開口部閉鎖時に開口部の四周に密接する水密部材が設けてある、
貨物車両の荷箱の扉装置。
【請求項2】
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる第1水切り片を設け、
上扉に当該上扉の全幅に亘って、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように第2水切り片を設け、
折り戸の垂直姿勢時には、前記第1水切り片は前記第2水切り片よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、上扉の傾動により傾斜姿勢となった前記第2水切り片が、前記第1水切り片の下方に位置する、
請求項1に記載の貨物車両の荷箱の扉装置。
【請求項3】
前記上扉の上端部に、当該上扉の全幅に亘って延びる回動片を、当該上扉の上端部に設けた水密部材を外側から覆うように設け、
開口部の上側に上扉の少なくとも全幅に亘って延びる回動受片を設け、
前記上扉の上端部は、前記回動片を前記回動受片に回動可能に係止させることで、開口部の上側に回動可能に連結されており、
折り戸の垂直姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材よりも外側に位置しており、
折り戸の折り畳み姿勢時には、前記回動片は、前記上扉の上端部に設けた水密部材と開口部の上側との間に形成された隙間を上方から塞ぐように位置する、
請求項1に記載の貨物車両の荷箱の扉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−122319(P2012−122319A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99638(P2011−99638)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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