説明

貯留装置

【課題】材料片のブリッジを形成させることなく、大きな貯留容積を確保することができ、さらに貯留した材料片を一定の量で排出することができる貯留装置を提供する。
【解決手段】本発明の貯留装置は、閉塞端部1aと開口端部1bとを有する略円筒状の容器1と、容器1をその軸心を中心に回転させる回転機構6a,6b,6cと、容器1の内部空間を、閉塞端部側の貯留部20と開口端部側の排出部21とに区画する仕切り板18と、容器1の内周面に固定された螺旋羽根22とを備える。容器1の軸心は水平面と平行、または水平面に対して傾斜しており、螺旋羽根22は、少なくとも排出部21に設けられている。仕切り板18と容器1の内周面との間には隙間が形成され、さらに仕切り板18と螺旋羽根22との間には隙間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯留装置に係り、特に繊維状の材料片を貯留し、かつ定量で排出する貯留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維状の材料片を貯留し、定量で排出する装置として、図1に示すような縦型ホッパが知られている。この装置は、一般に、縦に配置されたホッパ30を有し、その上部開口から材料片がホッパ30内に投入される。ホッパ30内には攪拌羽根(ブリッジブレーカ)40が設けられている。この攪拌羽根40は、ホッパ30内の繊維状の材料片がその自重により圧縮され、いわゆるブリッジ(橋架け現象)と呼ばれる状態を破壊するために設けられている。
【0003】
繊維状の材料片は、攪拌羽根40の回転により攪拌されながらホッパ30内に貯留され、ホッパ30の下部に設けられた排出口から排出される。しかしながら、攪拌羽根40の回転に伴い、ホッパ30内の材料片が攪拌羽根40により径方向外側に押されて、ブリッジを形成してしまう。その結果、材料片が排出されなくなるという問題がある。
【0004】
一方、特許文献1乃至4に開示されているように、水平に設置したドラムを回転させる横型ドラムフィーダーが知られている。このタイプのドラムフィーダーは、材料片がブリッジを形成しにくいという利点がある。しかしながら、従来のドラムフィーダーは、材料片を排出するための開口部がドラムの端部に形成されており、ドラムの回転により貯留物が開口部側へ崩れ出るため、材料の貯留容積が縦型ホッパに比べて小さくなるとともに、定量排出ができないという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−185324号公報
【特許文献2】特開平8−217252号公報
【特許文献3】特開平8−229380号公報
【特許文献4】特開2000−61282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、材料片のブリッジを形成させることなく、大きな貯留容積を確保することができ、さらに貯留した材料片を定量で排出することができる貯留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、閉塞端部と開口端部とを有する略円筒状の容器と、前記容器をその軸心を中心に回転させる回転機構と、前記容器の内部空間を、閉塞端部側の貯留部と前記開口端部側の排出部とに区画する仕切り板と、前記容器の内周面に固定された螺旋羽根とを備え、前記容器の軸心は水平面と平行、または水平面に対して傾斜しており、前記螺旋羽根は、少なくとも前記排出部に設けられており、前記仕切り板と前記容器の内周面との間には隙間が形成され、さらに前記仕切り板と前記螺旋羽根との間には隙間が形成されていることを特徴とする貯留装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記開口端部が前記閉塞端部よりも高い位置となるように、前記容器を傾斜させる傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記容器の周壁には、材料片を前記貯留部に投入するための投入口が設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記閉塞端部から前記投入口までの距離と、前記投入口から前記仕切り板までの距離は略等しいことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記容器を回転自在に支持する支持機構と、前記支持機構が取り付けられる架台とをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記容器の周壁は、前記閉塞端部とは独立して回転可能に構成されており、前記閉塞端部は、前記架台に固定された蓋であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記蓋には、材料片を前記貯留部に投入するための投入口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記螺旋羽根のリードは、前記容器の内径以下とすることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記仕切り板は、前記容器の軸心に対して略垂直に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記排出部の軸方向の長さは、前記螺旋羽根のリードの1倍以上であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転機構は、前記容器の回転速度を変速可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記螺旋羽根は、前記排出部および前記貯留部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
貯留部に投入された材料片は、その裾が安息角前後の角度で広がりながら貯留部に堆積する。投入されている間、材料片は仕切り板によって堰き止められて、排出部に移動することなく、貯留部に留まる。したがって、本発明によれば、より多くの量の材料片を容器内に貯留することができる。容器を回転させると、仕切り板と螺旋羽根との隙間から材料片が少しずつ排出部に移動する。排出部に移動した材料片は、回転する螺旋羽根によって排出口としての開口端部に移送され、その間、螺旋羽根の作用により材料片はある一定の量に収束する。したがって、一定の量だけ材料片を排出部を通じて排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る貯留装置を示す側面図である。図3は図2のA−A線断面図である。図4は図2のB−B線断面図である。
この貯留装置は、略水平に配置された円筒状のドラム(容器)1と、ドラム1を回転自在に支持する複数の支持機構と、ドラム1をその軸心を中心に回転させる回転機構とを備えている。支持機構は、図2に示すように、ローラ2aと、このローラ2aの回転軸を支持する軸受2bとを有している。ドラム1の外周面には環状のレール5が固定されており、ローラ2aはこのレール5と転がり接触するようになっている。ローラ2aの側面には、ドラム1がその軸方向に移動しないように、レール5の側面に接触する円形のローラ板2cが固定されている。
【0013】
回転機構は、モータ6aと、モータ6aの回転軸に固定されたスプロケット6bと、このスプロケット6bと噛み合う歯車(ピンギア)6cとを有している。歯車6cはドラム1の外周面に固定されている。モータ6aによってスプロケット6bを回転させると、歯車6cが回転し、これによりドラム1は歯車6cと一体的に回転する。なお、回転機構はこの態様に限らない。例えば、モータ6aの回転軸に固定されたスプロケットと、ドラム1の外周面に固定されたスプロケットとをチェーンを介して連結することによっても回転機構を構成することができる。
【0014】
モータ6a及び軸受2bは、第1の架台8に固定されている。この第1の架台8はリンク機構10を有する支持脚11と、第1の架台8を傾斜させる傾斜機構12とにより支えられている。傾斜機構12は、自身の伸縮動作により、第1の架台8及びドラム1をリンク機構10を中心として傾斜させるように動作する。傾斜機構12の例としては、油圧式アクチュエータ、ボールねじを有する電動機構、手動で操作されるジャッキなどが上げられる。支持脚11の下端及び傾斜機構12の下端は第2の架台9に固定されている。
【0015】
ドラム1は、閉塞端部1aと開口端部1bとを有している。閉塞端部1aは蓋によって構成されている。この蓋1aは、ドラム1の周壁とは別部材として構成されており、第1の架台8に固定されている。したがって、蓋1aは回転せず、ドラム1の周壁のみが回転可能となっている。蓋1aとドラム1の周壁との間には、隙間を埋めるシール部材13(例えば、ラビリンスシール)が設けられている。
【0016】
ドラム1の周壁には、材料片をドラム1内に投入するための第1の投入口14が設けられている。この第1の投入口14は、開閉自在な扉16によって閉止可能となっている。また、蓋1aには、材料片をドラム1内に投入するための第2の投入口15が設けられている。第1の投入口14は、第2の投入口15に比べて大きく形成されており、一度に大量の材料片を投入できるようになっている。一方、第2の投入口15は、ドラム1の回転中でも、材料片をドラム1内に連続的に投入可能とするために設けられている。開口端部1bは、材料片の排出口として機能する。
【0017】
ドラム1の内部には円形の仕切り板18が配置されている。この仕切り板18は、ドラム1と同心状に配置されており、仕切り板18とドラム1の内周面との間には隙間が形成されている。仕切り板18は、ドラム1の内周面から径方向に延びる支持部材19によってドラム1に連結されており、仕切り板18とドラム1との相対位置は固定されている。ドラム1の内部空間は、この仕切り板18によって、蓋側の貯留部20と、排出口側の排出部21とに区画される。すなわち、仕切り板18は、貯留部20と排出部21との境界に位置する。上述した第1の投入口(大口投入口)14は、貯留部20と連通しており、材料片は、第1の投入口14から貯留部20に投入される。
【0018】
ドラム1の内周面には、螺旋羽根22が固定されている。この螺旋羽根22は、ドラム1と共に回転し、ドラム1内の材料片を排出口1bに向かって移送するための送り機構である。螺旋羽根22は、ドラム1の閉塞端部1aから開口端部(排出口)1bまで設けられている。すなわち、螺旋羽根22は、貯留部20および排出部21の両方に設けられている。本実施形態の螺旋羽根22は、2条の螺旋羽根であり、これらが180度位相をずらして固定されている。ただし、本発明は2条の螺旋羽根に限定されず、1条、または3条以上の螺旋羽根を用いることができる。なお、前述の仕切り板18の取り付けは、ドラム1の内周面からではなく、螺旋羽根22から径方向に延びる図示しない支持部材によって支持されていてもよい。
【0019】
ここで、材料片の例としては、繊維状の材料片が挙げられる。より具体的には、含水率が60重量%以下のセルロース繊維が挙げられる。このようなセルロース繊維は、排水処理システムにおいて、汚泥の凝集性を向上させる凝集補助剤または汚泥の脱水性を向上させる脱水補助剤として使用されている。材料片の形状は、矩形状、球状、または不定形状のいずれでもよい。
【0020】
螺旋羽根22の高さは、材料片のサイズに応じて決定することが好ましい。具体的には、螺旋羽根22の高さは、材料片の最小寸法以上であって、ドラム1の内径の1/5以下とすることが好ましい。例えば、1つの材料片の高さがAmm、幅がBmm、奥行きがCmmであって、A<B<Cである場合、螺旋羽根22の高さはAmm以上に設定される。螺旋羽根22のリードは、螺旋羽根22が2条の場合にはドラム1の内径の1/2以下とすることが好ましい。リードが短すぎると、隣り合う螺旋羽根22の間に材料片が詰まり、その一方で、リードが長すぎると、螺旋羽根22が大きく捻られて、螺旋羽根22の見掛けの高さが低くなり、材料片を排出できなくなる。したがって、螺旋羽根22のリードは、材料片のサイズや性状に応じて決定することが好ましい。材料片として少なくとも一辺が5〜20mm程度のセルロース繊維、および螺旋羽根22が2条の場合において、螺旋羽根22のリードは、50〜500mmに設定されることが好ましい。ここで、本発明に使用する材料片は少なくとも一辺が5〜20mm程度のセルロース繊維に限るものではない。なお、リードとは、図3に示すように、隣り合う螺旋羽根の間の距離をいう。
【0021】
仕切り板18の位置は、確保すべき所望の容積に応じて決定される。容積に対する材料片の充填効率を向上させるためには、図2に示すように、ドラム1の閉塞端部(蓋)1aから第1の投入口14までの距離と、第1の投入口14から仕切り板18までの距離がほぼ等しいことが好ましい。この配置により、一回の投入でより多くの量の材料片を貯留部20に堆積させることができる。貯留部20に貯留される材料片の量は、例えば、セルロース繊維の場合には、10kg以上、1000kg以下である。なお、仕切り板18は円形に限らず、多角形であってもよい。
【0022】
図5(a)は、螺旋羽根22と仕切り板18をドラム1の径方向から見た模式図であり、図5(b)は螺旋羽根22と仕切り板18をドラム1の軸方向から見た模式図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、仕切り板18は、螺旋羽根22の径方向内側に配置されている。仕切り板18の直径(すなわち径方向の最大寸法)は、螺旋羽根22の内径以下であることが好ましい。より具体的には、仕切り板18と螺旋羽根22との間の径方向の隙間は、材料片のサイズに応じて適宜決定されるが、材料片である少なくとも一辺が5〜20mm程度のセルロース繊維の場合において、0〜40mmの範囲内から選択されることが好ましい。ただし、本発明に使用する材料片は、少なくとも一辺が5〜20mm程度のセルロース繊維に限るものではない。図5(b)では、仕切り板18と螺旋羽根22との間に径方向の隙間Grが設けられているが、この径方向隙間Grをゼロとしてもよい。
【0023】
図5(a)に示すように、仕切り板18は、ドラム1の軸心に対して略垂直に配置されている。この配置によって、仕切り板18と螺旋羽根22との間には対称的な軸方向の隙間Gaが形成されている。より具体的には、仕切り板18と螺旋羽根22との軸方向の隙間Gaは、仕切り板18を中心として対称的に形成され、かつ仕切り板18の全周に亘って形成される。したがって、ドラム1の回転に伴って、貯留部20に貯留されている材料片は、この軸方向隙間Gaからこぼれて排出部21に少しずつ移動する。
【0024】
本実施形態では、仕切り板18がドラム1の軸心に対して略垂直に配置されているが、本発明は、この配置に限定されない。例えば、仕切り板18をドラム1の軸心に対してやや傾けた状態で配置することもできる。しかしながら、対称的な軸方向の隙間を仕切り板18の全周に亘って形成する点で、上述したように、仕切り板18をドラム1の軸心に対して略垂直に配置することが好ましい。
【0025】
材料片は、ドラム1の回転に伴い、仕切り板18と螺旋羽根22との隙間を通って貯留部20から排出部21に移動する。排出部21内の材料片は、螺旋羽根22の回転によって間欠的に排出口1bに向かって移送される。材料片が進むうちに、その量は徐々に減少していき、ある一定の量に落ち着く。以下、螺旋羽根22の回転によって材料片の移送量が一定となる原理について説明する。
【0026】
隣接する螺旋羽根22の間の材料片は、回転するドラム1の内周面によって上方に持ち上げられ、材料片の表面の角度が安息角を超えると、材料片は崩れ落ちる。材料片の安息角は、その種類によって異なるが、おおよそ30〜70度である。材料片が崩れるとき、螺旋羽根22によって材料片が排出口1bに向かって押されると同時に、材料片の一部が螺旋羽根22を越えて排出口1bとは反対側である上流側にこぼれ落ちる。これは、螺旋羽根22はドラム1の軸心と垂直な面に対して上流側に傾いた方向に延びているからである。このような現象はドラム1の回転に伴って繰り返され、やがて図6に示すように、材料片の移送量は、螺旋羽根22の高さに依存した、ある一定の量となる。このようにして一定の量になった材料片は、間欠的に排出口1bから排出される。例えば、2条の螺旋羽根22を5min−1で回転させた場合、約6秒ごとに1回材料片が排出される。
【0027】
螺旋羽根22の作用によって材料片の移送量が一定になることを鑑みると、排出部21の長さ(軸方向の長さ)は螺旋羽根22のリードの1倍以上とすることが好ましい。ただし、排出部21の長さは螺旋羽根22のリードの1倍未満であってもよい。この場合でも、ある程度の定量性は確保される。より一定の排出量を確保するためには、排出部21の長さは螺旋羽根22のリードの数倍以上とすることが好ましい。
【0028】
排出口1bが閉塞端部(蓋)1aよりも高くなるようにドラム1を傾けると、材料片の定量性が得られやすくなる。これは、材料片が、螺旋羽根22を越えて上流側に移動しやくなるからである。したがって、より少ない巻き数の螺旋羽根22で、材料片を速やかに一定量とすることができる。このような観点から、図7に示すように、ドラム1を傾斜させることが好ましい。ドラム1の水平面からの傾斜角度は、30度以下であることが好ましく、さらに好ましくは5〜20度である。
【0029】
材料片の排出量は、螺旋羽根22の高さ以外にも、ドラム1の傾斜角度に依存する。具体的には、排出量を増加させる場合にはドラム1の傾斜角度を小さくし、排出量を減少させる場合にはドラム1の傾斜角度を大きくする。また、ドラム1の回転速度によっても材料片の排出量を変化させることができる。具体的には、排出量を増加させる場合には、ドラム1の回転速度を高くし、排出量を減少させる場合には、ドラム1の回転速度を低くする。本実施形態におけるドラム1の回転速度の変化は、モータ6aの回転速度を変えることによって実現される。ドラム1の回転機構としてスプロケットとピンギヤ又はスプロケットとチェーンを使用する場合には、スプロケットとピンギヤ又はスプロケットとチェーンによる回転速度の伝達比によってドラム1の回転速度を調節することができる。
【0030】
図8は、ドラムの回転速度と傾斜角度と、材料片の排出量との関係を示すグラフである。このグラフに示す実験を行った条件は次の通りである。
ドラムの直径:300mm
螺旋羽根のリード:150mm
螺旋羽根の高さ:30mm
螺旋羽根の条数:2条
ドラムの全長:900mm
仕切り板の取り付け位置:閉塞端部(蓋)から600mm
材料片:セルロース繊維片
材料片の形状:約5mmの立方形状
材料片の繊維径:10〜20μm
【0031】
図8のグラフから、同一の回転速度では、ドラム1の傾斜角度が小さいほど、材料片の排出量が多くなることが分かる。なお、このグラフは、ドラム1の回転速度が高いほど、材料片の排出量が多くなることを示しているが、ドラム1の回転速度がある程度以上に高まると、遠心力により材料片の移送が阻害されてしまう。したがって、ドラム1を過度に高速回転させることは好ましくない。
【0032】
次に、本貯留装置の運転について説明する。
まず、ステップ1として、ドラム1が回転してない状態で、第1の投入口14から材料片を貯留部20に投入し、扉16を閉じる。
ステップ2として、ドラム1を20min−1以下の速度で逆方向に回転させ、材料片を貯留部20に押し込める(すなわち、貯留部20の容積を有効に利用する)。必要に応じて、材料片の投入を繰り返してもよい。ここで、「逆方向への回転」とは、材料片が螺旋羽根22によって排出口1bとは反対方向に移送される方向の回転をいう。一方、「正方向への回転」とは、材料片が螺旋羽根22によって排出口1bに向かって移送される方向の回転をいう。
【0033】
そして、ステップ3として、ドラム1を20min−1以下の速度で正方向に回転させ、材料片の排出運転を開始する。貯留部20内の材料片は、ドラム1の回転により攪拌されるため、ブリッジの発生が防止される。したがって、ドラム1の回転中は、貯留部20内の材料片は比較的自由に移動することができる。貯留部20に貯留されている材料片の量が必要な排出量に対し不足していると判断された場合には、ドラム1の回転を停止させ、ステップ1の作業に戻る。
【0034】
貯留部20内の材料片の残留量は、いくつかの方法によって計測することができる。例えば、材料片の排出量が一定であることを前提として、運転時間から残留量を推定することができる。また、計量器(ロードセル)により材料片の重量を測定することもできる。なお、材料片の排出運転中(ステップ3)に、第2の投入口15から材料片を貯留部20に連続的に投入することも可能である。ただし、大口の第1の投入口14から材料片を投入したほうが、一度に多くの材料片を投入できるので効率がよい。
【0035】
仕切り板18を設けることの効果として、次の2点が挙げられる。第1に、貯留部20に堆積している材料片の排出口1bに向かう方向の圧力を仕切り板18が受け止めて、排出部21から安定して材料片を排出できることである。しかも、材料片が排出部へ崩れ出ることがないため、排出部の長さを短くしても良好な定量性を実現できる。第2に、貯留部20に材料片を投入口から投入したときに、安息角を超えて崩れた材料片を受け止めて、高い容積効率を実現できることである。したがって、仕切り板18を設けることにより、より多くの材料片を貯留することができ、かつ安定して材料片を排出することができる。
【0036】
なお、ドラム1は、直径が一定の直胴型に限られない。例えば、図9(a)に示すように、開口端部(排出口)1bの直径が、閉塞端部1aの直径よりも小さくなる円錐台形状であってもよい。また、図9(b)に示すように、貯留部20の直径が閉塞端部1a及び開口端部1bの直径よりも大きい樽型形状であってもよい。
【0037】
図10(a)及び図10(b)は、本実施形態の変形例を示す断面図である。図10(a)に示す例では、螺旋羽根22は、貯留部20の一部と排出部21に設けられている。図10(b)に示す例では、螺旋羽根22は、貯留部20には設けられていなく、排出部21にのみ設けられている。図3、図10(a)、図10(b)に示すいずれの例においても、螺旋羽根22は排出部21に設けられている。言い換えれば、螺旋羽根22は、仕切り板18から排出口1bまで設けることが必要である。これは、材料片を排出口1bに向かって送り出すため、および材料片を一定の量で排出するためである。貯留部20に螺旋羽根22を設けることの利点は、ドラム1を傾けたときでも材料片を排出部21に送り出せるので、貯留部20内のデッドスペースをなくす、または小さくできることである。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態について図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る貯留装置を示す側面図である。第2の実施形態は、ドラム1の閉塞端部1aが周壁と一体に形成されている点で、第1の実施形態と異なっている。また、第2の投入口は設けられていない。その他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
図12(a)は、本発明の第3の実施形態に係る貯留装置を示す断面図であり、図12(b)は螺旋羽根と仕切り板をドラムの軸方向から見た模式図である。第3の実施形態は、ドラム1の外周面から排出口1bを経由して内部空間にまで延びる支持部材25によって仕切り板18が保持されている。その他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。なお第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてもよい。
【0040】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】縦型ホッパを示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る貯留装置を示す側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図5(a)は、螺旋羽根と仕切り板をドラムの径方向から見た模式図であり、図5(b)は螺旋羽根と仕切り板をドラムの軸方向から見た模式図である。
【図6】ドラムと螺旋羽根をドラムの軸方向から見た模式図である。
【図7】ドラムが傾斜している状態を示す貯留装置の側面図である。
【図8】ドラムの回転速度と傾斜角度と、材料片の排出量との関係を示すグラフである。
【図9】図9(a)および図9(b)はドラムの変形例を示す模式図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る貯留装置を示す側面図である。
【図12】図12(a)は、本発明の第3の実施形態に係る貯留装置を示す断面図であり、図12(b)は螺旋羽根と仕切り板をドラムの軸方向から見た模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ドラム(容器)
1a 閉塞端部
1b 開口端部(排出口)
2a ローラ
2b 軸受
2c ローラ板
5 レール
6a モータ
6b スプロケット
6c 歯車
8 第1の架台
9 第2の架台
10 リンク機構
11 支持脚
12 傾斜機構
13 シール部材
14 第1の投入口
15 第2の投入口
16 扉
18 仕切り板
19 支持部材
20 貯留部
21 排出部
22 螺旋羽根
25 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞端部と開口端部とを有する略円筒状の容器と、
前記容器をその軸心を中心に回転させる回転機構と、
前記容器の内部空間を、閉塞端部側の貯留部と前記開口端部側の排出部とに区画する仕切り板と、
前記容器の内周面に固定された螺旋羽根とを備え、
前記容器の軸心は水平面と平行、または水平面に対して傾斜しており、
前記螺旋羽根は、少なくとも前記排出部に設けられており、
前記仕切り板と前記容器の内周面との間には隙間が形成され、さらに
前記仕切り板と前記螺旋羽根との間には隙間が形成されていることを特徴とする貯留装置。
【請求項2】
前記開口端部が前記閉塞端部よりも高い位置となるように、前記容器を傾斜させる傾斜機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項3】
前記容器の周壁には、材料片を前記貯留部に投入するための投入口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項4】
前記閉塞端部から前記投入口までの距離と、前記投入口から前記仕切り板までの距離は略等しいことを特徴とする請求項3に記載の貯留装置。
【請求項5】
前記容器を回転自在に支持する支持機構と、
前記支持機構が取り付けられる架台とをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項6】
前記容器の周壁は、前記閉塞端部とは独立して回転可能に構成されており、
前記閉塞端部は、前記架台に固定された蓋であることを特徴とする請求項5に記載の貯留装置。
【請求項7】
前記蓋には、材料片を前記貯留部に投入するための投入口が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の貯留装置。
【請求項8】
前記螺旋羽根のリードは、前記容器の内径以下とすることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項9】
前記仕切り板は、前記容器の軸心に対して略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項10】
前記排出部の軸方向の長さは、前記螺旋羽根のリードの1倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項11】
前記回転機構は、前記容器の回転速度を変速可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。
【請求項12】
前記螺旋羽根は、前記排出部および前記貯留部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−70194(P2010−70194A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236369(P2008−236369)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(591030651)荏原エンジニアリングサービス株式会社 (94)
【Fターム(参考)】