説明

質量流量制御の診断

流量制御システム(10、20)は、流量センサ(12)、弁制御装置(13)、信号プロセッサ(14、16)、制御プロセッサ(14、16)、およびインターフェイス(14、17)を含む。流量センサ(12)は、流量を特徴付けるセンサ信号を生成する。弁制御装置(13)は、制御出力に応じて流量を制御する。信号プロセッサ(14、16)は、センサ信号を、時間の関数として流量を特徴付ける流量信号に変換し、制御プロセッサ(14、16)は、設定値および流量信号に応じて制御出力を生成する。インターフェイス(14、17)は、設定値を表す入力を受け取り、流量信号を表す流量出力を送り、流量制御システム(10、20)の動作状態を直接示す診断出力を送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として流体処理に関し、詳細には、流量制御システムの診断技術に関する。診断技術は、流動障害、腐食、電気機械弁の構成要素における磨耗、および裂断、ならびに他の形態の電気機械の劣化または流量制御障害に関する。
【背景技術】
【0002】
安全、正確、かつコスト効率の良い流量制御は、多様な産業、エンジニアリング、および科学的プロセスにとって極めて重要である。質量に基づいた流量制御システムは、これらの分野、特に、正確かつ絶対的な流量制御が要求される半導体の製造および医薬品の製造などの適用ではかなり有用である。質量に基づいた流量制御システムの第1の利点は、圧力および温度の影響に実質的に無関係に動作するため、他の従来の流量制御技術を特徴付ける環境の偏りおよびこれに関連したシステムの影響を受けにくいことである。
【0003】
典型的な質量流量制御システムは、上流の熱質量流量計および下流の弁制御装置を含む。熱質量流量計は、センサ管に沿って配置される熱源および温度センサ(通常は2つ)、例えば、熱電対または抵抗熱装置(RTD)を含む。弁制御装置は、典型的には、弁の位置決めまたは作動によってプロセス流体の流れを制御するように構成された弁コイルアセンブリまたは同様の構造を有する。
【0004】
熱源および温度センサは、主なプロセス流体の流れに対して平行に走る、典型的にはバイパス管であるセンサ管に熱的に結合されている。熱源は、センサ管内の流体に熱エネルギーを供給し、前後の温度センサで差分信号を生成する。センサ管を通る流れは、温度差の関数であり、プロセス流体のすべての流れは、センサ管を通る流れの関数である。したがって、温度差信号は、プロセス流体の全流量を特徴付ける。プロセス流体の流れは、流量センサの下流側の弁プランジャの位置決めをする弁コイルアセンブリによって制御される。
【0005】
質量流量と温度差との間の関数関係は、熱エネルギーの保存および流量センサの構造によって決まる。この関係は、流体の圧力および温度と実質的に無関係であるため、プロセス流体の流れに対する正確かつ絶対的に較正された制御を可能にする。特に、質量に基づいた流量制御システムは、体積、圧力差、または速度に基づいたシステムよりも環境の偏りおよび他のシステムの影響を本質的に受けにくい。
【0006】
しかし、質量流量制御装置は、その正確な測定および制御機構に関連した特定の動作障害の影響を受けやすい。このような動作障害として、センサ管内などの流動障害および腐食、ならびに特に弁制御装置の電気機械構成要素の劣化が挙げられる。したがって、質量流量制御システムは、従来的な、運転時間、弁のサイクルまたは偏位運動の総数、および他の平均寿命に関連した基準に基づいた定期メンテナンスを必要とする。
【0007】
残念なことに、これらの基準は、システムの実際の動作状態の直接的ではなく間接的な指標である。運転時間および弁サイクルは、動作中の障害に統計的に関連する、すなわち特定の装置の実際の物理的状態の直接的指標をほとんど示さない。このため、理想的な平均動作寿命で表される故障のリスクとメンテナンス費用との間のトレードオフが強いられる。
【0008】
実際に動作障害のある装置を捕捉するためには、このトレードオフは、他の十分に使用できる構成要素の定期的な交換も必然的に必要とする。これは、運転時間および弁サイクルに基づいたメンテナンス計画だけではなく、直接的ではなく間接的な動作指標に依存するあらゆる診断技術の特徴である。また、間接的な技術は、故障の確率に著しい影響を与えうる様々に変動する動作状態の実状に対処することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、実際の動作状態をより直接的に示し、かつ効率的でコスト効率の良いメンテナンス計画を容易にできる流量診断技術が必要とされている。この技術は、流動障害、腐食、磨耗や裂断、電気機械の劣化、および他の動作障害などの特定の動作状態を直接的に示すべきであり、かつ平均動作寿命に基づいた間接的な指標と無関係であるべきである。診断技術はまた、他のプロセス装置を参照しないで個別ベースで利用可能にすべきであり、実質的な変更が必要なく既存のプロセス制御システムに容易に組み込めるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
流量制御システムは、その動作状態を直接示す診断出力を生成する。流量制御システムは、流量センサ、弁制御装置、信号プロセッサ、制御プロセッサ、およびインターフェイスを含む。流量センサは、プロセス流体の流量を特徴付けるアナログセンサ信号を生成し、弁制御装置は、制御出力に応じて流量を制御する。信号プロセッサは、アナログセンサ信号を、時間に応じて流量を特徴付ける流量信号に変換する。信号プロセッサはまた、流量センサの動作状態を直接示す流量診断信号も生成することができる。
【0011】
制御プロセッサは、目標流量または「設定値」に応じて制御出力を生成し、弁制御装置の動作状態を直接示す制御診断信号を生成することもできる。インターフェイスは、設定値を表す入力を受け取り、流量信号を表し、かつ流量診断信号もしくは制御診断信号のいずれか、または両方の診断信号を表す出力を送る。
【0012】
流量診断信号は、流量信号に対して行われる統計解析に応じて生成することができる。統計解析は、典型的には、平均値および標準偏差を含み、流動障害、腐食、および他の流れの障害を直接表す。制御診断信号は、流量信号についての設定値に対して行われる制御/補償アルゴリズムに応じて生成することができる。このアルゴリズムは、典型的には、比例・積分・微分(PID)ルーチンを含み、弁コイル構成要素の磨耗および裂断、電気機械の劣化、ならびに他の動作障害を直接表す弁応答関数などの診断信号を生成する。
【0013】
流量センサは、質量流量センサ、特にバイパス管またはセンサ管を通る流量に応じてプロセス流体の流量を特徴付ける熱質量流量センサとすることができる。流量制御装置は、弁ポジショナまたは弁アクチュエータとすることができ、特にプランジャの位置決めをすることによってプロセス流体の流量を制御する弁コイルアセンブリとすることができる。流量制御装置は、コリオリ質量流量計とすることもできる。
【0014】
信号プロセッサおよび制御プロセッサは、アナログ‐デジタル(A/D)変換器、デジタル‐アナログ(D/A)変換器、マイクロプロセッサ、およびインターフェイスと共に、電子モジュール内に含めることができる。A/Dは、マイクロプロセッサによってクロックされたときにアナログセンサ信号をデジタル化し、マイクロプロセッサは、デジタル化センサ信号に応じて流量信号を生成する。マイクロプロセッサはまた、設定値および流量信号に応じてデジタル制御信号を生成し、(アナログ)制御出力を生成するためにD/Aをクロックし、流量診断信号および制御診断信号の少なくとも1つを生成する。
【0015】
流量制御方法は、時間に応じてプロセス流体の流量を特徴付ける流量信号を生成するステップと、プロセス流体の流量の設定値を表す入力を受け取るステップと、設定値および流量信号に応じてプロセス流体の流量を制御するステップと、流量制御の動作状態を直接示す診断信号を生成するステップと、流量信号および診断信号を表す出力を送るステップと、を含む。診断信号は、流量信号の逆S/N比、流量信号と比較して設定値に対して行われる比例・積分・微分(PID)ルーチンによって生成される応答関数、またはこのような比および応答関数の組合せを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】流量制御装置の動作状態を直接示す診断信号を生成するように構成された流量制御システムのブロック図である。
【図2】図1の流量制御システムの統合された質量流量制御装置の実施形態を例示する断面略図である。
【図3】図1の流量制御システムの制御/補償アルゴリズムを例示するフローチャートである。
【図4】流動障害を直接示す時間依存ノイズ成分を例示する、時間に対する流動信号のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、流量制御装置の動作状態を直接示す診断信号を生成するように構成された流量制御システム10のブロック図である。この実施形態では、流量計10は、ハウジング11、流量センサ12、弁制御装置13、および電子モジュール14を含む。
【0018】
ハウジング11は、典型的には、金属や耐久性プラスチックなどの耐久性材料、またはこのような材料の組合せから形成される。ハウジングは、流量センサ12、弁制御装置13、および電子モジュール14を含む内部構成要素を固定し、かつプロセス流体が通るプロセス装置に流量センサおよび弁制御装置を結合するように構成された取付構造を備えている。ハウジング11はまた、内部構成要素を絶縁し、湿気および腐食性または爆発性物質などの不都合な環境条件から遮断し、プロセス機械、器具、落下物、および他の潜在的な危険との接触を防止する。
【0019】
流量センサ12は、センサ管を通る流量を特徴付けるアナログセンサ信号を生成するように構成されている。一実施形態では、流量センサ12は、熱質量流量計を含み、センサ管は、バイパス管を含む。他の実施形態では、センサ管は、コリオリ流量計内の装置などを通るプロセス流体の流路のみが存在するように主流路とすることもできる。
【0020】
制御弁13は、弁の位置決めまたは作動によってプロセス流体の流量を制御するように構成されている。一実施形態では、弁制御装置13は、プランジャの位置決めをするように構成された弁コイルアセンブリを含む。代替の実施形態では、弁制御装置は、別の形態の弁ポジショナまたは弁アクチュエータを含むことができる。弁制御装置13は、流量センサの下流または流量センサ12の上流に配置することができる。
【0021】
電子モジュール14は、アナログ‐デジタルへの変換器(A/D)15A、デジタル‐アナログへの変換器(D/A)15D、マイクロプロセッサ16、およびインターフェイス(I/F)17を含む。電子モジュールはまた、流量センサ12からのアナログ信号を前置増幅するためのプリアンプ構成要素も含むこともできる。
【0022】
システム10の統合された流量制御装置の実施形態では、ハウジング11および電子モジュール14は、単一要素であり、流量センサ12、弁制御装置13、および電子モジュール14は、単一ハウジング11内に1つの流量制御装置を構成している(下の図2を参照)。他の実施形態では、システム10は、別個の流量検出装置および別個の弁制御装置、または多数の別個のプロセス装置を含むことができる。流量計、弁制御装置、および統合された流量制御装置を含め、様々なこのような装置は、エマソン・プロセス・マネジメント事業本部の一部であるローズマウント社(ミネソタ州、チャンハッセン)や、および他の民間メーカーから入手可能である。
【0023】
A/D 15Aは、センサモジュール12からのアナログ信号をデジタル化する。A/D 15Aは、流量センサ12の特定の目盛範囲および感度に適した、線形A/D、双線形A/D、または非線形A/Dを含むことができる。A/D 15Aは、フラッシュA/Dをさらに含むことができ、あるいは、シグマデルタ変調または別の一般に入手可能なアナログ‐デジタル変換器アーキテクチャを利用することができる。
【0024】
D/A変換器15Dは、弁制御装置13の制御出力を生成する。A/D変換器15Aと同様に、D/A変換器15Dは、様々なデジタル‐アナログ変換アーキテクチャを利用することができる。弁制御装置13が弁コイルアセンブリを含む実施形態では、例えば、D/A変換器15Dは、パルス幅変調電流出力を含む制御出力を生成することができる。代替の実施形態では、D/A変換器15Dは、約4〜約40ミリアンペア(4〜40mA)の標準的なアナログ出力などのアナログ電流出力、またはアナログ電圧出力を生成することができる。D/A変換器15Dは、空気圧などの別の形態の制御出力を生成するために電気機械装置にさらに結合することができる。
【0025】
マイクロプロセッサ16は、A/D 15AおよびD/A 15Dをクロックし、時間に応じてプロセス流体の流量を特徴付ける流量信号を生成する。マイクロプロセッサはまた、流量センサの動作状態を示す流量診断信号、または弁制御装置の動作状態を示す制御診断信号も生成することができる。マイクロプロセッサ16は、変換スケールや双線形ブレークポイントなどのA/DおよびD/A変換因子をさらに供給することができ、日付/タイムスタンプ情報を生成することができ、かつセンサ信号の線形化、流量計のレンジの再設定、または流量制御アルゴリズムの減衰特性の調整を行うことができる(下の図3を参照)。
【0026】
インターフェイス(I/F)17は、プロセス出力を送り、プロセス入力を受け取る。プロセス出力は、流量信号と、流量診断信号または制御診断信号の少なくとも1つを表す。プロセス入力は、設定値、ならびに流量を測定する単位などの構成パラメータを表す。
【0027】
I/F 17は、遠隔操作者または自動プロセス制御システムがハンドヘルド制御装置によってプロセス入力およびプロセス出力を通信することができる。インターフェイスは、4〜20mA標準アナログ通信プロトコル、デジタルFieldbusもしくはProfibusプロトコル、またはデジタル出力が標準アナログ出力に重ねられるHARTなどのハイブリッドプロトコルを利用することができる。I/F 17はまた、無線高周波数(RF)信号、例えば、エマソン・プロセス・マネジメント事業本部から入手可能なHART系1420無線ゲートウェイと互換性のある902〜928MHzの信号によって通信することもできる。
【0028】
制御システム10の動作中、流量センサ12は、プロセス流体の流量を特徴付けるアナログセンサ信号SNS−Aを生成する。マイクロプロセッサ16は、クロック信号CLK−AによってA/D 15Aをクロックし、A/D 15Aは、デジタルセンサ信号SNS−Dを生成する。次いで、マイクロプロセッサ16は、流量信号が時間に応じてプロセス流体の流量を特徴付けるように、デジタルセンサ信号SNS−Dに応じて流量信号を生成する。
【0029】
マイクロプロセッサ16はまた、流量信号を表す流量出力FLOも生成し、流量信号に対して行われる統計解析に応じて流量診断出力DGN−Fを生成することができる。この統計解析は、典型的には、平均値および標準偏差を含み、診断出力は、標準偏差を平均値に関連付ける逆S/N比を表すことができる。
【0030】
インターフェイス(I/F)17は、構成入力CNFGおよび制御入力CTRLを含むプロセス入力PR−INを受け取る。構成入力CNFGは、プロセス流体の流量が決定されるユニットを表し、他の構成パラメータも表すことができる。制御入力CTRLは、プロセス流体の流量の目標流量または設定値を表す。
【0031】
マイクロプロセッサ16は、設定値に応じてデジタル流量制御信号CTRL−Dを生成し、D/A 15Dが弁制御装置13の制御出力CTRL−Aを生成するようにクロック信号CLK−DによってD/Aをクロックする。マイクロプロセッサはまた、流量信号と比較して設定値に対して行われる閉ループ制御/補償アルゴリズムに応じて制御診断出力DGN−Cも生成することができる。次いで、I/F 17は、流量出力FLOと、流量診断出力DGN−Fまたは制御診断出力DGN−Cの少なくとも1つを含むプロセス出力PR−OUTを送る。
【0032】
図2は、流量制御システム10の統合された質量流量制御装置の実施形態である流量制御装置20を例示する断面略図である。流量制御装置20は、ハウジング11、流量センサ12、弁制御装置13、および電子モジュール14を含む。
【0033】
ハウジング11は、金属もしくは耐久性プラスチックなどの耐久性材料、またはこのような材料の組合せから構成されている。ハウジング11は、電子機器カバー11A、取付ブロック11B、および弁コイルアセンブリカバー11Cを含む。
【0034】
取付ブロック11Bは、入口コネクタ21および出口コネクタ22を備えている。コネクタ21、22は、ねじが切られた締付継手、ねじが切られた管継手、埋込型コネクタ、または別の形態の流体コネクタを含むことができる。コネクタは、図4に示すような雄型、または雌型にすることができ、様々な大きさを有することができる。コネクタ21、22は、さらに、図2に示すように取付ブロック11Bの側面、取付ブロック11Bの底面、または流量計20の他の表面に設けてもよい。
【0035】
流量センサ12は、流量制限装置23、主流路24、バイパス管(またはセンサ管)25、およびセンサ要素26を含む。プロセス流体の流れ27は、バイパス管/センサ管25を通るバイパスの流れ27Aと主流路24を通る主な流れ27Bに流量制限装置23で分割される。センサ要素26は、センサ管25に沿って分布して配置され、アナログセンサ信号SNS−Aを生成するように構成されている。センサ信号SNS−Aは、センサ管25を通るバイパスの流れ27Aに応じてプロセス流体のすべての流れを特徴付ける。
【0036】
図2の実施形態では、弁制御装置13は、弁コイルアセンブリを含み、弁コイルアセンブリは、弁コイル28および弁プランジャ29を含む。弁コイルアセンブリは、制御出力CTRL−Aに応じてプロセス流体のすべての流れ27(すなわち、バイパスの流れ27Aに主な流れ27Bを加えた流れ)を制御する。具体的には、制御出力CTRL−Aは、プランジャ29を位置決めして流れを制限する弁コイル28にエネルギーを供給する。
【0037】
電子モジュール14は、図1に関連して上でそれぞれ説明したマイクロプロセッサ、A/D変換器、およびD/A変換器を含む。これらの構成要素は、センサ信号SNS−Aを処理して流量出力FLOを生成する信号プロセッサ、ならびに制御入力CTRLを処理して制御出力CTRL−Aを生成する制御プロセッサを含む。信号プロセッサおよび制御プロセッサはまた、それぞれ図2および図3に関連して以下に詳細に説明するように、流量診断信号または制御診断信号の少なくとも1つも生成する。
【0038】
電子モジュール14はまた、インターフェイス(I/F)も含む。インターフェイスは、制御入力CTRLおよび構成入力CNFGを含むプロセス入力PR−INを受け取り、流量出力FLOと診断出力DGN−FおよびDGN−Cの少なくとも1つを含むプロセス出力PR−OUTを送る。
【0039】
統合された質量流量制御装置20の場合、センサ要素26は、上流温度T1を測定するための上流温度センサ、下流温度T2を測定するための下流温度センサ、および加熱要素または加熱コイルを含む。加熱要素は、センサ管25内のバイパスの流れ27Aに熱エネルギーを供給し、上流センサと下流センサとの間に温度差ΔT=T2−T1を生成する。この温度差は、熱エネルギーの保存によるバイパスの流れ27Aの流量に関連する。
【0040】
流量制御装置の動作中、温度差ΔTが、アナログセンサ信号SNS−Aによって電子モジュール/信号プロセッサ14に供給される。信号プロセッサは、センサ信号SNS−Aを、時間に応じてプロセス流体のすべての流れ27(バイパスの流れ27Aに主な流れ27Bを加えた流れ)を特徴付ける流量信号に変換する。この変換には、例えば、アナログ‐デジタル変換スケール、ならびにセンサ管25を通るバイパスの流れ27Aと主流路24を通る主な流れ27Bとの間の配置関係などを考慮する一連の較正パラメータを利用する。
【0041】
熱センサは、図2に示すように、センサ管25の外面に取り付けることができ、熱源は、典型的には、上流温度センサと下流温度センサとの間に配置される。センサ要素が流れの中に直接配置される構成、ならびに流量制御装置を通るプロセス流体の流路のみが存在するようにセンサ管25が主流路24を構成する構成を含め、様々な代替の配置も可能である。
【0042】
流量制御装置20およびシステム10は、流量診断出力DGN−Fまたは制御診断出力DGN−Cの少なくとも1つを供給する電子モジュール14の構成により従来技術とは異なっている。具体的には、これらの診断出力は、運転時間または弁サイクルなどの間接的な基準に限定されるものではなく、代わりに、流量制御装置の実際の動作状態のより直接的な指標を表す。流量診断出力DGN−Fは、例えば、流動障害、腐食、または流量制御装置の他の動作障害を直接的に示す逆S/N比を表すことができる。同様に、制御診断DGN−Cは、電気機械の磨耗および裂断、電気機械の劣化、または他の流量制御装置の障害を直接的に示す応答関数を表すことができる。
【0043】
加えて、電子モジュール14は、標準アナログプロトコル、HARTプロトコル、Fieldbusプロトコル、または他の広く使用されているプロセス通信プロトコルのために構成されたインターフェイスを提供する。このインターフェイスは、追加のハードウエアの変更や他の外部プロセス信号に対する相互参照を必要とすることなく、流量制御装置20(または、別法では、流量制御システム10)の既存のプロセス制御システムへの統合を容易にする。この結果、プロセス装置の理想的な残りの平均動作寿命を反映するのではなく、プロセス装置の実際の動作状態を反映する独立し個別化された診断ツールが得られる。このため、不要な中断時間を短縮することができ、かつシステムの資源をよりコスト効率よく利用できる効率的なメンテナンス計画が容易になる。
【0044】
図3は、流量制御システム10または統合された流量制御装置20の閉ループ制御/補償アルゴリズム30を例示するフローチャートである。アルゴリズム30は、プロセス入力(ステップ31)、センサ入力(ステップ32)、信号処理(ステップ33)、制御処理(ステップ34)、流量制御(ステップ35)、およびプロセス出力(ステップ36)を含む。
【0045】
プロセス入力(ステップ31)は、インターフェイス(I/F)を介してプロセス入力PR−INを受け取ることを含む。プロセス入力PR−INは、制御入力CTRLおよび構成入力CNFGを含む。制御入力CTRLは、設定値s0、すなわちプロセス流体の流量の目標値を表す。構成入力CNFGは、流量を測定するユニット、またはデジタル装置のアドレス、日付およびタイムスタンプ情報、もしくはプロセス流体に関連した物理特性などの他の構成パラメータを表す。構成入力はまた、プロセス流体の流れがゼロの状態に一致する流量制御装置の再ゼロ化構成も表すことができる。
【0046】
センサ入力(ステップ32)は、流量センサによってアナログセンサ信号SNS−Aを生成することを含む。アナログセンサ信号SNS−Aは、図2の流量センサ12に関連して上で説明したように、センサ管を通る流量に応じてプロセス流体の流量を特徴付ける。
【0047】
信号処理(ステップ33)は、時間に応じてプロセス流体の流量を特徴付ける流量信号を信号プロセッサによって生成することを含む。信号プロセッサは、アナログセンサSNS−Aをデジタル化するためにA/D変換器をクロックし、デジタル化センサ信号および一連の較正パラメータに応じて流量信号を生成する。較正パラメータは、アナログ‐デジタル変換スケール、およびプロセス流体のすべての流量とセンサ管を通る流量との間の配置関係を考慮する。信号処理はまた、流量信号を表す流量出力FLOも生成し、流量信号に対して行われる統計解析を表す流量診断出力DGN−Fを生成することができる。
【0048】
制御処理(ステップ34)は、制御プロセッサによって制御出力CTRL−Aを生成することを含む。制御プロセッサは、設定値に応じてデジタル制御信号を生成し、デジタル制御信号を(アナログ)制御出力CTRL−Aに変換するためにD/A変換器をクロックする。制御処理では、設定値S0および流量信号に対して行われる制御/補償アルゴリズムを表す制御診断出力DGN−Cも生成することもできる。
【0049】
流量制御(ステップ35)は、弁制御装置によってプロセス流体の流量を制御することを含む。弁制御装置は、弁コイルアセンブリを備えることができ、制御出力は、パルス幅変調電流出力を含むことができ、また、これらは、図2の弁制御装置13に関連した上で説明したように他の形態をとることもできる。
【0050】
プロセス出力(ステップ36)は、インターフェイスによってプロセス出力PR−OUTを送ることを含む。プロセス出力は、流量出力FLOと、流量診断出力DGN−Fまたは制御診断出力DGN−Cの少なくとも1つを含む。流量出力FLOは、流量信号を表し、例えば、流量信号解析窓を表すサブセット{si}の平均値<s>(すなわち、解析窓に対する流量信号の平均値)、サブセット{si}中の時間中最後の流量信号sn、または流量信号の別の代表的な関数を表すことができる。診断出力DGN−FおよびDGN−Cは、流量計の動作状態を直接示す。診断出力は、例えば、逆S/N比または弁応答関数を表すことができる。プロセス出力(ステップ36)およびプロセス入力(上のステップ31)の両方は、図1のI/F 17に関連して説明したように、4〜20mA標準アナログプロトコル、ProfibusもしくはFieldbusなどのデジタルプロトコル、HARTなどのハイブリッドプロトコル、または無線プロトコルによって達成することができる。
【0051】
機能上、センサ入力(ステップ32)、信号処理(ステップ33)、制御補償(ステップ34)、および流量制御(ステップ35)は、閉ループサブルーチンを含む。プロセス入力(ステップ31)は、閉ループサブルーチンに対し、例えば、起動時、リセット、または制御入力CTRLにおける非同期的な変化時において、同期的または非同期的に行うことができる。プロセス出力(ステップ36)は、典型的には、図3に示すように、制御補償(ステップ34)と同期しているが、閉ループサブルーチンの別のステップに対して同期的に行う、またはこのサブルーチンに対して非同期的に行うこともできる。
【0052】
信号処理(ステップ33)では、流量信号は、一連の較正パラメータに基づいてアナログセンサ信号SNS−Aから生成される(図2の考察を参照)。典型的には、較正パラメータは、メモリバッファまたは電子モジュール内の同様の装置に記憶された工場での較正を表す。別法では、構成入力CNFGは、追加の現場での較正機能を提供する、動作的に定義される追加の較正パラメータを表すことができる。
【0053】
流量診断出力DGN−Fは、個々の要素siが離散時間で流量信号からサンプリングされる、解析窓/サブセット{si}に対して行われる統計解析を表す。解析窓{si}は、典型的には、A/Dクロック速度(アナログ信号SNS−Aがデジタル化される速度、上の図1を参照)と比較して長く、かつプロセス応答時間スケール(流量における変化を得るために必要な時間、下の図4を参照)と比較して短い時間間隔に渡ってサンプリングされた個々の信号siの準連続サブセットを含む。
【0054】
統計解析は、一般的に、解析窓/サブセット{si}に対して決定される流量信号の平均値および標準偏差を含む。平均値は、以下の式で表される。
【数1】

この式では、サブセット/解析窓{si}中のn個の要素siを合計する。標準偏差は、平均値に応じて決定される。すなわち、
【数2】

式中、<s>2は、平均値<s>の二乗であり、<s2>は、以下の式によって表される平均平方である。
【数3】

同様に、解析窓{si}のn個の要素を合計する。
【0055】
流量診断信号の目的は、流量制御システムの動作状態、例えば、流動障害、腐食、または他の動作障害を直接示すことにある。典型的には、このような障害は、比較的大きな雑音成分によって明らかにされ、逆S/N比が適切な診断信号になる。逆S/N比は、例えば、単純に平均値<s>に対する標準偏差σの比とすることができ、以下の式で表される。
〔数4〕
-1=σ/<s>
【0056】
制御処理(ステップ34)は、好ましくは、比例・積分・微分(PID)制御装置/補償ルーチンの構成要素として実行される。PIDルーチンは、流量信号と比較して設定値s0に対して行われる。具体的には、PIDルーチンは、差異(または「誤差」)sEに応じて制御出力を決定し、この差異は、代表的な流量信号と比較して設定値s0によって決定される。例えば、
〔数5〕
E=s0−sn
式中、代表的な流量信号Snは、時間中最後の流量信号、すなわち解析窓{si}のn番目の要素である。代替の実施形態では、誤差sEは、解析窓に対して決定される平均値<s>に対して、時間遅延流量信号に対して、または流量信号の別の代表的な関数に対して決定することができる。
【0057】
PID関数は、比例要素、積分要素、および微分要素を含む。比例要素は、誤差sEに正比例し、設定値s0と代表的な流量信号snとの間のあらゆる差異を考慮する。積分要素は、アルゴリズム30の閉ループサブルーチン部分の多数の反復に対する誤差sEの積分に比例し、プロセス流体の流れにおけるあらゆる定常項を考慮する(誤差sEが0になる比例要素、定常項が0になる積分要素とは対照的)。微分要素は、sEの変化率に比例し、設定値を越えるあらゆる傾向に応答時間を合わせるために調整できる減衰機能を提供する。
【0058】
PIDルーチンは、典型的には、図1のD/A 15Dについて上で説明したように、アナログ制御出力CTRL−Aに変換できるデジタル制御信号(CTRL−D)を生成する。制御出力CTRL−Aの大きさは、信号処理(上のステップ32)でA/D変換のために利用されるパラメータに相補的な一連のD/A較正パラメータにしたがって決定される。
【0059】
制御診断信号の目的は、流量診断信号の目的と同様に、流量制御システムの動作状態を直接示すことにある。制御診断信号の場合では、これは、弁制御装置における電気機械の磨耗および裂断、電気機械の劣化、または弁の固着もしくは弁の不安定性などの別の障害の状態とすることができる。典型的には、これらの状態は、PIDルーチンによって決定されるように、制御出力をプロセス流体の流量の設定値に関連付ける弁応答関数における変化によって明らかにされる。したがって、例えば、制御診断信号は、設定値s0に対するパルス幅変調制御出力の比、またはこれらの数量の別の関数関係である応答関数を含むことができる。別法では、応答関数は、制御出力を設定値ではなく代表的な流量信号に関連付けることができる。
【0060】
プロセス出力PR−OUTは、流量診断出力DGN−Fまたは制御診断出力DGN−Cの少なくとも1つを含む。プロセス出力は、例えば、流量診断信号または制御診断信号のいずれかのそれぞれの公称動作範囲からの逸脱を示す論理出力Dを含むことができる。公称範囲は、先験的に決定することができるが、別法では、学習期間中に決定される基準応答関数または閾値関数f0によって決定することができる。したがって、以下の式で表される。
〔数6〕
D=D(f,f0
式中、fは、流量診断信号もしくは制御診断信号のいずれかまたは両方を含む一般化診断関数であり、f0は、学習期間中に決定される診断閾値関数である。
【0061】
診断関数fは、例えば、逆S/N比R-1または応答関数を表すことができる。これらの実施形態では、論理出力Dは、逆S/N比または応答関数のいずれかが、f0によって特徴付けられる対応する閾値を実質的に超える場合は真の値を戻すことができる。従来技術とは対照的に、この診断出力は、運転時間または弁のサイクル数などの間接的な基準とは無関係に動作状態の障害を直接示す。
【0062】
他の実施形態では、プロセス出力PR−OUTは、DGN−FもしくはDGN−Cまたは両方を含むアナログ出力または準アナログデジタル出力とすることができる。これらの実施形態では、PR−OUTは、例えば、逆S/N比、弁応答関数、または両方を直接表すことができる。これにより、流動障害、腐食、および電気機械の磨耗や裂断または劣化などの動作障害の状態に直接関連した流量制御システムの動作状態の連続的な(または準連続的な)指標が提供される。
【0063】
プロセス出力PR−OUTは、診断出力DGN−F、DGN−C、および関連論理信号の任意の組合せを表す、論理出力、アナログ出力、およびデジタル出力の組合せを含むこともできる。別法では、プロセス出力PR−OUTが単一標準アナログ出力を含む実施形態では、プロセス出力は、論理出力Dが偽の場合は流量出力FLOを含み、Dが真の場合はエラー出力を含みうる。
【0064】
図4は、流動障害の状態による時間依存ノイズ成分を例示する、時間に対する流動信号41のプロットである。プロット40の流量信号41は、いくつかの解析窓、すなわちサブセット{si}内に含めることができる、多数の個々の要素siによって表されている。流量信号は、第1の公称領域42A、第2の公称領域42B、および障害動作領域43に跨っている。
【0065】
図4は、1秒当たり多数回のA/Dクロック速度と仮定しているが、クロックは、対象となる特定の流体処理用途に適したあらゆる速度にすることができる。流量信号41はまた、16ビット2進数の範囲(すなわち、0〜65,535)および標準アナログ目盛(4〜20mA)で示されているが、これらの範囲もまた、単なる例示である。さらに、図4は、デジタルセンサ信号とアナログ出力との間の概ね線形の関係を示しているが、この関係は、双線形、対数、またはより一般的な形を有することもできる。
【0066】
第1の公称領域42Aは、約0秒〜約7秒のドメインに跨っており、10mA〜約15mAの範囲のアナログ出力に一致する平均流量信号<s>によって特徴付けられる。これは、比較的一定で穏やかなプロセス流体の流れの期間を表している。ノイズ成分は、逆S/N比R-1によって特徴付けられ、10%のオーダーである。
【0067】
約7秒〜約18秒の間の第2の公称領域42Bでは、平均信号<s>は、16mA〜約18mAの範囲のアナログ出力に一致する。ノイズ成分は、広範囲のノイズ寄与が特徴である平均信号に釣り合い、逆S/N比が約10%で概ね一定に維持されている。別法では、ノイズ成分は、平均信号の平方根に釣り合うが、信号のサイズには釣り合わないであろう。このような関係は、平均信号サイズの平方根に基づいた修正逆S/N比によって、あるいは、別法では、標準偏差自体を表す診断出力によって得ることができる。
【0068】
障害領域43は、約18秒からプロットの最後までである。領域43では、平均信号が減少し、標準偏差が増加しているため、逆S/N比が1に近づいている。この増加は、特に平均信号サイズの減少を伴う場合、センサ管の流動障害などの動作状態の障害の直接的な指標である。このような障害は、主流路の流れと無関係に生じることがあり、動作が偏ることになる。この偏りは、逆S/N比などの直接的な指標では明らかであるが、合計運転時間などの間接的な指標では明らかではない。同様に、異常な応答関数(すなわち、所定の流量に対して異常に高い制御出力)は、弁状態の障害を直接的に示すことができるが、弁のサイクル数は示すことができない。
【0069】
故障した弁制御装置は、センサ信号にクロストークを生成することもあり、このため流量診断信号にも示されることに留意されたい。同様に、流量センサの腐食または障害は、弁制御装置の性能を偏らせることがあり、このため制御診断信号で明らかにされる。より広くは、障害および腐食は、電気機械の劣化のように、流量センサおよび弁制御装置の両方に影響を及ぼしうる。したがって、流量診断信号および制御診断信号は、名目上は流量制御の異なる側面に向けられているが、これら2つは密接に関連し、それぞれは、流量制御システムの全動作状態を独立して直接的に表している。
【0070】
動作障害は、突然ではなく時間経過によっても起こりうる。これは、例えば、センサ管の漸進的な腐食、または弁コイルアセンブリの長期に渡る磨耗および裂断の場合に特に当てはまるであろう。このような場合、流量制御装置の状態を直接示す診断出力は、運転時間または弁のサイクル数にかかわらず、ある種の障害が実際に起きている装置と起きていない装置とを区別する。このような直接的な診断指標は、コスト効率の良いメンテナンス計画を容易にし、統計ベースではなく個々に資源を向けることによって、システム全体の性能を改善すると共に、総中断時間を短縮することができる。
【0071】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明してきたが、使用した用語は、説明目的であって限定目的ではない。当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および細部の変更を行うことができることを認識できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御システムであって、
流量を特徴付けるセンサ信号を生成するように構成された流量センサと、
制御出力に応じて前記流量を制御するように構成された弁制御装置と、
前記センサ信号を、時間に応じて前記流量を特徴付ける流量信号に変換するように構成された信号プロセッサと、
設定値および前記流量信号に応じて前記制御出力を生成するように構成された制御プロセッサと、
前記設定値を表す入力を受け取り、前記流量信号を表す流量出力を送り、流量制御システムの動作状態を直接示す診断出力を送るように構成されているインターフェイスと、を備える、流量制御システム。
【請求項2】
前記診断出力は、前記流量信号に対して行われる統計解析の関数である、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項3】
前記診断出力は、前記流量信号の標準偏差を前記流量信号の平均値に関連付ける逆S/N比を表す、請求項2に記載の流量制御システム。
【請求項4】
前記診断出力は、前記流量制御システム内の流動障害または腐食の少なくとも1つを直接示す、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項5】
前記診断出力は、前記流量信号と比較して前記設定値に対して行われる比例・積分・微分ルーチンの関数である、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項6】
前記診断出力は、前記制御出力を前記設定値または前記流量信号の少なくとも1つに関連付ける応答関数を表す、請求項5に記載の流量制御システム。
【請求項7】
前記診断出力は、前記流量制御装置内の電気機械の劣化を直接示す、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項8】
前記流量センサは、質量流量計を含む、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項9】
前記流量センサは、コリオリ流量計を含む、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項10】
前記弁制御装置は、弁ポジショナ、弁アクチュエータ、または弁コイルアセンブリの1つを含む、請求項1に記載の流量制御システム。
【請求項11】
流量制御装置であって、
アナログセンサ信号を生成するための流量センサと、
前記アナログセンサ信号をデジタルセンサ信号に変換するためのアナログ‐デジタル変換器と、
デジタル制御信号をアナログ制御出力に変換するためのデジタル‐アナログ変換器と、
アナログ制御出力に応じて弁を制御するための弁制御装置と、
前記デジタルセンサ信号に応じて流量信号を生成するため、設定値および前記流量信号に応じて前記デジタル制御信号を生成するため、および前記流量制御装置の動作状態を直接示す診断信号を生成するためのマイクロプロセッサと、
前記設定値を表す入力を受け取るため、および前記流量信号および前記診断信号を表す出力を送るためのインターフェイスと、を備える、流量制御装置。
【請求項12】
前記動作状態は、前記流量制御装置内の流動障害または腐食の1つまたは複数を含む、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項13】
前記動作状態は、前記流量制御装置内の電気機械の劣化を含む、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項14】
前記流量制御装置は、統合された流量制御装置を含む、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項15】
前記流量センサは、熱質量流量計を含む、請求項14に記載の流量制御装置。
【請求項16】
前記流量センサは、コリオリ流量計を含む、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項17】
前記弁制御装置は、弁コイルアセンブリを含む、請求項14に記載の流量制御装置。
【請求項18】
前記インターフェイスは、HARTプロトコルを介して通信するように構成されている、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項19】
前記インターフェイスは、Fieldbusプロトコル、Profibusプロトコル、または902〜928MHzの信号と互換性のある無線プロトコルの少なくとも1つを介して通信するように構成されている、請求項11に記載の流量制御装置。
【請求項20】
流量制御方法であって、
時間の関数としてプロセス流体の流量を特徴付ける流量信号を生成するステップと、
前記プロセス流体の流量の設定値を表す入力を受け取るステップと、
前記設定値および前記流量信号に応じて前記プロセス流体の流量を制御するステップと、
流量制御の動作状態を直接示す診断信号を生成するステップと、
前記流量信号および前記診断信号を表す出力を送るステップと、を含む、流量制御方法。
【請求項21】
前記診断信号は、前記流量信号の平均値に対する前記流量信号の標準偏差の逆S/N比を特徴付ける、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記診断信号は、制御出力を前記設定値または前記流量信号の少なくとも1つに関連付ける応答関数を特徴付ける、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508919(P2011−508919A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539454(P2010−539454)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/013763
【国際公開番号】WO2009/082447
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】