説明

赤外線検出器及びデバイス製造装置

【課題】安価に製造することができる赤外線検出器及び当該赤外線検出器を組み込んだデバイス製造装置の提供。
【解決手段】赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ、閉じられていない排気管と、を少なくとも備える赤外線検出器であって、前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、前記チャンバが真空引きされる際に、前記排気管を介して前記密封容器内も真空引きされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内に載置される試料の温度を測定する赤外線検出器及び当該赤外線検出器を組み込んだデバイス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やFPD(Flat Panel Display)等のデバイスを製造する装置として、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置やスパッタリング装置、蒸着装置等の成膜装置が広く利用されている。この種のデバイス製造装置は真空容器(チャンバ)を備えており、チャンバ内の試料台にウェハ等の試料を載置した後、チャンバ内の大気を排出して真空状態又は減圧状態にし、必要に応じて不活性ガスや反応性ガスを導入した後、試料表面にターゲットの材料を堆積させたり、ガスと反応させるなどして所望の膜を形成する。
【0003】
上記デバイス製造装置では、膜の質や均一性を高めるために試料の温度を制御する必要があり、特に、面積の大きいウェハに均一かつ薄い膜を成膜する場合には、試料の温度を正確に制御する必要がある。そのため、この種のデバイス製造装置では、試料台の裏面側に熱電対などの温度測定手段を配置し、その温度測定手段で測定した温度に基づいて成膜条件を調整する制御を行っている。
【0004】
しかしながら、熱電対では1点の温度しか測定することができず、試料全体の温度分布を測定することができない。また、熱電対は試料台の裏面に配置されるため、試料表面の温度を測定することができない。そこで、温度測定手段として、熱電対に代えて、赤外線撮像装置を使用する方法も提案されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、シリコン基板上に低圧化学蒸着(LPCVD)を用いて酸化アルミニウム膜を形成する装置に赤外線撮像装置を配置し、実際のウェハ温度に基づいた処理温度設定点を維持するようにウェハチャック温度を制御する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−93895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記赤外線撮像装置は、一般に、入射光学系と赤外線検出器と信号処理回路などで構成され、赤外線検出器は、入射赤外線を電気信号に変換する赤外線検出素子と、赤外線検出素子を真空に保持するための密封容器(パッケージ)と、赤外線検出素子を冷却する冷却器などで構成される。このように赤外線撮像装置は構成が複雑であり、また、その製造段階において密封容器を真空引きする工程が必要になるため、製造コストが高いという問題がある。
【0008】
一方、近年、物体から放射された赤外線を光学的共振構造の赤外線吸収膜で吸収して熱に変換し、マイクロブリッジ構造のダイアフラムを構成するボロメータ薄膜等の感熱抵抗体の温度を上昇させて抵抗を変化させ、その抵抗変化から対象物の温度を測定する非冷却型赤外線検出素子が開発されており、この非冷却型赤外線検出素子を利用することにより、赤外線検出器から冷却器を省くことができ、多少のコストダウンが可能である。
【0009】
しかしながら、非冷却型赤外線検出素子でも、感熱抵抗体の熱分離状態を良好に保つために密封容器中を真空又は減圧する必要があるため、密封容器を真空引きして封止する工程が必要であり、この工数により赤外線検出器のコストが高くなってしまう。
【0010】
また、上記密封容器は、排気管からのリークや密封容器を構成する部材からのアウトガス等により、時間の経過に伴って内部の真空度が劣化するため、定期的に真空引きを行わなければならず、この保守のための工数により赤外線検出器のコストが更に高くなってしまう。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、安価に製造することができる赤外線検出器及び当該赤外線検出器を組み込んだデバイス製造装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、赤外線検出素子の状態を良好に保つことができる赤外線検出器及び当該赤外線検出器を組み込んだデバイス製造装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、試料の正確な温度を取得することができる赤外線検出器及び当該赤外線検出器を組み込んだデバイス製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記窓材と前記赤外線検出素子とを支持する枠材と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、を少なくとも備える赤外線検出器であって、前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、前記チャンバが真空引きされる際に、前記赤外線検出器も真空雰囲気となるものである。
【0015】
また、本発明は、赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ、閉じられていない排気管と、を少なくとも備える赤外線検出器であって、前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、前記チャンバが真空引きされる際に、前記排気管を介して前記密封容器内も真空引きされるものである。
【0016】
また、本発明は、赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ排気管と、前記排気管に取り付けられた開閉制御が可能なバルブと、を少なくとも備える赤外線検出器であって、前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、前記チャンバが真空引きされる際に、前記バルブが開けられて前記密封容器内も真空引きされ、前記チャンバに大気が導入される前に、前記バルブが閉じられて前記密封容器内の真空状態が維持されるものである。
【0017】
また、本発明は、チャンバと、前記チャンバを真空引きする排気系と、前記チャンバ内に試料を載置する試料台と、を少なくとも備えるデバイス製造装置において、前記チャンバ内の、前記試料を望む位置に、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定する赤外線検出器が載置され、前記赤外線検出器は、赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ排気管と、前記排気管に取り付けられた開閉制御が可能なバルブと、を少なくとも備え、前記デバイス製造装置の制御部は、前記チャンバを真空引きする際に、前記バルブを開けて前記密封容器内も真空引きし、前記チャンバに大気を導入する前に、前記バルブを閉じて前記密封容器内の真空状態を維持する制御を行うものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チャンバ内に載置された試料の温度を測定する赤外線検出器を安価に製造することができる。
【0019】
その理由は、デバイス製造装置に組み込まれる赤外線検出器は、赤外線検出素子を覆う密封容器に設けた排気管が閉じられていない状態(又は赤外線検出素子が露出した状態)になっており、デバイス製造装置のチャンバを真空引きする際に、密封容器中も同時に真空引きされる(又は赤外線検出器が真空雰囲気になる)ため、赤外線検出器の製造時及び保守時の真空引き工程を省略することができるからである。
【0020】
また、本発明によれば、赤外線検出素子の状態を良好に保つことができる。
【0021】
その理由は、密封容器の排気管に開閉制御が可能なバルブを設け、デバイス製造装置の制御部は、チャンバ内を真空引きする際、若しくはチャンバ内の真空度が所定の値以下になった後に、上記バルブを開いて密封容器も真空引きし、チャンバ内を大気に戻す前に、上記バルブを閉じて密封容器を真空状態又は減圧状態で保持するため、赤外線検出素子の大気による汚染や熱分離構造のダメージを防止することができるからである。
【0022】
また、チャンバ内にガスを導入して成膜を行うデバイス製造像装置では、制御部は、真空状態又は減圧状態のチャンバ内にガスを導入する前に、上記バルブを閉じて密封容器中にガスが導入されないようにするため、ガスによる赤外線検出素子のダメージを防止することができるからである。
【0023】
また、本発明によれば、試料の正確な温度を取得することができる。
【0024】
その理由は、チャンバ内にガスを導入して成膜を行うデバイス製造像装置では、制御部は、赤外線検出器で測定した試料の温度をガスの種類に応じて補正するため、密封容器内に導入されたガスによる赤外線の吸収の影響を受けないからである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施例に係るデバイス製造装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るデバイス製造装置に組み込まれる赤外線撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る赤外線検出素子の構造例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に組み込まれる赤外線撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係るデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に導入されるガス(NO)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に導入されるガス(CF)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に導入されるガス(CO)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に導入されるガス(NH)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係るデバイス製造装置に導入されるガス(CH)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
背景技術で示したように、従来のデバイス製造装置には、試料の温度を測定するために熱電対等の温度測定手段が設けられているが、熱電対では試料全体の温度分布を測定することができず、また、試料表面の温度を測定することもできない。そこで、温度測定手段として赤外線撮像装置(赤外線検出器)を用いる方法が提案されている。
【0027】
赤外線検出器は、半導体等のバンド構造を利用した量子型と、熱による材料物性値(抵抗、誘電率等)の変化を利用した熱型とに大きく分けられる。前者は高感度ではあるが動作原理上冷却を必要とするのに対し、後者は特に冷却を必要としていないため非冷却型とも呼ばれ、製作コストや維持コストの面で量子型に比べ有利な点が多く、赤外線検出器の主流となりつつある。
【0028】
非冷却型赤外線検出器には、ボロメータ型、焦電型及び熱電対型があり、いずれも検出器の感度を高くするため、一般には熱分離構造、いわゆるダイアフラム構造を有している。このなかでもボロメータ型の赤外線検出器は比較的特性に優れ、特にボロメータ材料として酸化バナジウム(VO)を用いたものは、二次元に配列され赤外線画像を撮像する素子として用いられている。
【0029】
しかしながら、非冷却型赤外線検出素子でも、良好な熱分離構造を維持するために密封容器中を真空状態又は減圧状態で保持する必要があるため、密封容器を真空引きして封止する工程が必要である。また、排気管からのリークや密封容器を構成する部材からのアウトガス等により、時間の経過に伴って内部の真空度が劣化するため、定期的に真空引きを行わなければならず、これらの工程により赤外線検出器のコストが高くなってしまう。
【0030】
一方、デバイス製造装置は、チャンバを真空引きする真空ポンプ等が設置されており、チャンバ内を真空状態又は減圧状態にして成膜を行っている。そこで、本発明の第1の実施の形態では、赤外線検出器の密封容器の排気管を閉じていない状態(又は赤外線検出素子を露出した状態)にしておき、デバイス製造装置のチャンバ内を真空引きする際に、赤外線検出器の密封容器も同時に真空引きされる(又は赤外線検出器が真空雰囲気になる)ようにする。
【0031】
また、チャンバ内の真空度はデバイス製造装置の制御部によってモニタされていることから、本発明の第2の実施の形態では、赤外線検出器の密封容器の排気管に開閉制御が可能なバルブを設け、チャンバ内を真空引きする際、若しくはチャンバ内の真空度が所定の値以下になった後に、制御部の制御によりバルブを開け、チャンバ内を大気状態に戻す前に、制御部の制御によりバルブを閉じる制御を行い、密封容器中に大気が導入しないようにして赤外線検出素子の汚染や真空引き/大気導入を繰り返すことによるダメージを未然に防止する。
【0032】
更に、チャンバ内を真空状態又は減圧状態にした後、ガスを導入して成膜を行うデバイス製造装置の場合は、赤外線検出素子で測定した試料の温度をガスの種類に応じて補正する制御を行い、密封容器内に導入されたガスによる赤外線の吸収の影響を受けないようにする。また、チャンバ内にガスを導入する前に、制御部の制御によりバルブを閉じる制御を行い、密封容器中にガスが導入されないようにしてガスによる赤外線検出素子のダメージを未然に防止する。
【0033】
以下、その具体的構成について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0034】
まず、本発明の第1の実施例に係る赤外線検出器及びデバイス製造装置について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施例のデバイス製造装置の構成を模式的に示す図であり、図2は、本実施例の赤外線撮像装置の構成を模式的に示す図である。また、図3は、非冷却赤外線検出素子の構造例を示す図であり、図4は、本実施例のデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【0035】
なお、以下の説明において、便宜上、回路基板とその上に形成された熱分離構造等で構成される部分を赤外線検出素子、赤外線検出素子と当該赤外線検出素子を気密状態で封止するための密封容器(パッケージ)等で構成される部分を赤外線検出器、赤外線検出器と入射光学系と赤外線画像を生成する外部回路等で構成される部分を赤外線撮像装置と呼ぶことにする。
【0036】
図1に示すように、本実施例のデバイス製造装置1は、CVD装置やスパッタリング装置、蒸着装置等のように、試料の温度をモニタしながら成膜等の処理を行う装置であり、チャンバ2と、チャンバ2内を真空状態又は減圧状態に保持するためのバルブ3aや真空ポンプ3b等の排気系3と、チャンバ2内に不活性ガスや反応性ガス等のガスを供給するMFC(Mass Flow Controllers)4aやガスボンベ4b等のガス供給系4と、図示しない操作パネル等の操作手段と、デバイス製造装置1の動作を制御する制御部5などを備えている。上記チャンバ2内には、ウェハ等の試料7を載置するための試料台6と、成膜の材料となるターゲット8と、試料台6に載置された試料7を望む任意の位置(好ましくはターゲット8の陰になる位置)に配置された赤外線撮像装置9などを備える。
【0037】
なお、図1は、スパッタリング装置の一例であり、真空状態又は減圧状態で成膜を行う装置(例えば、蒸着装置)の場合はガス供給系4を省略することができ、CVD装置の場合はターゲット8を省略することができる。また、各構成物の配置や形状等は任意であり、成膜に必要な他の要素(例えば、加熱手段や冷却手段、放電手段、真空度測定手段など)を追加してもよい。
【0038】
また、図2(a)に示すように、赤外線撮像装置9は、入射光学系12と、赤外線検出器13と、これらを保持する筐体11と、赤外線検出器13からの信号を処理する外部回路14などで構成され、赤外線検出器13は、赤外線透過窓16と、赤外線透過窓16を通過した赤外線を検出する赤外線検出素子17と、赤外線検出素子17を気密状態で封止する密封容器(パッケージ15)と、赤外線検出素子17と外部回路14とを接続するピン18と、パッケージ15の内外を繋ぐ排気管19などで構成される。
【0039】
なお、図2(a)では、パッケージ15を密封容器とし、排気管19を介して内部を真空引きできるようにしたが、本実施例の赤外線検出器13では、赤外線検出素子17は真空状態又は減圧状態のチャンバ2内で使用され、赤外線検出素子17をパッケージ15で密封する必要はないため、例えば、図2(b)に示すように、筐体11やパッケージ15を骨組みだけの枠体としてよい。その場合は、排気管19を省略することができる。
【0040】
また、図3に示すように、赤外線検出素子17は、1つの画素、又は図3(a)に示すようにマトリクス状に配列された複数の画素からなる。各々の画素は、図3(a)のA−A’断面を示す図3(b)に示すように、内部に読出回路21aが形成され、表面に赤外線反射膜22や保護膜23、コンタクト21bが形成された回路基板21と、感熱抵抗体(ここではボロメータ薄膜26)と電極27とこれらを覆う保護膜25とで構成される温度検出部29と、該温度検出部29を中空で保持する梁28とで構成される。なお、図3は、本実施例のボロメータ型の赤外線検出素子17の一例であり、各構成物の部材や形状、配置等は特に限定されない。
【0041】
次に、上記構成のデバイス製造装置1の動作手順について、図4のフローチャート図を参照して説明する。
【0042】
まず、ステップS101で、チャンバ2を開け、試料台6にウェハ等の試料7を載置する。試料台6に載置する試料7の形状や数量、配置等は任意である。
【0043】
次に、ステップS102で、チャンバ2を閉じ、操作パネルを操作して真空引きを指示すると、制御部5は、真空ポンプ3bを駆動し、バルブ3aを開けて、チャンバ2内の大気を排出する。その際、本実施例の赤外線検出器13の排気管19は閉じていない状態(又は、赤外線検出素子17が露出した状態)であるため、チャンバ2の真空引きの際にパッケージ15内も同時に真空引きされ(又は赤外線検出器13が真空雰囲気になり)、赤外線検出素子17は動作可能な状態となる。
【0044】
次に、ステップS103で、制御部5は、チャンバ2内の真空度を監視し、所定の真空度になったら、ステップS104で、必要に応じて、ガス供給系4を制御して所定のガスを所定の流量で導入した後、成膜等の処理を開始する。例えば、蒸着装置の場合は、ターゲット8(るつぼ)を加熱して部材を溶融し、蒸発した部材を試料7に付着させる。また、スパッタリング装置の場合は、電極に電圧をかけて放電を起こし、残留気体をイオン化し、このイオンをターゲット8にぶつけることで組成分子を弾き飛ばして試料7に付着させる。また、CVD装置の場合は、導入したガスと試料7とを反応させて、試料7表面に反応生成物を形成する。
【0045】
次に、ステップS105で、赤外線検出素子17は試料7の表面から放射される赤外線による温度検出部29の抵抗変化を検出して電気信号として出力し、制御部5は、外部回路14で処理された温度を取得して試料7の表面温度が正常であるかを判断する。試料7の表面温度が正常な範囲を逸脱している場合は、ステップS106で、その温度に基づいて成膜条件を制御する。例えば、試料7の表面温度が予め定めた閾値を超える場合は、試料7を冷却したり、ターゲット8の加熱温度や放電電圧、ガス流量を下げるなどの制御を行う。また、試料7の表面温度が予め定めた閾値以下の場合は、試料7を加熱したり、ターゲット8の加熱温度や放電電圧、ガス流量を上げるなどの制御を行う。
【0046】
次に、ステップS107で、制御部5は、成膜時間を監視し、所定の時間が経過していなければステップS105に戻って同様の処理を繰り返し、所定の時間が経過して所定の膜厚になったと判断したら、ステップS108で、成膜処理を終了し、必要に応じて導入したガスを排気する。
【0047】
次に、ステップS109で、制御部5は、チャンバ2内に大気を導入する。その際、本実施例の赤外線検出器13の排気管19は閉じていない状態(又は、赤外線検出素子17が露出した状態)であるため、チャンバ2に大気を導入する際にパッケージ15内にも同時に大気が導入される。
【0048】
その後、ステップS110で、チャンバ2を開けて試料台6から成膜後の試料7を取り出して一連の処理を終了する。
【0049】
このように、本実施例では、デバイス製造装置1のチャンバ2内に設置される赤外線撮像装置9の赤外線検出器13の排気管19が閉じていない状態(又は赤外線検出素子17が露出した状態)であり、チャンバ2内の真空引きの際にパッケージ15内も同時に真空引きされる(又は赤外線検出器13が真空雰囲気になる)ため、赤外線検出器13の製造や保守の際の真空引き工程を省略することができ、赤外線検出器13のコストダウンを図ることができる。
【実施例2】
【0050】
次に、本発明の第2の実施例に係る赤外線検出器及びデバイス製造装置について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、本実施例の赤外線検出器の構成例を示す図であり、図6は、本実施例のデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図である。
【0051】
前記した第1の実施例では、赤外線検出器13の排気管19を閉じていない状態としたが、この構成ではチャンバ2内に大気を導入する際にパッケージ15内にも大気が導入され、赤外線検出素子17に汚れが付着したり、真空状態/大気状態を繰り返すことによって熱分離構造にダメージを与える恐れがある。そこで、本実施例では、チャンバ2内に大気を導入してもパッケージ15内に大気が導入されないようにする機構を設ける。
【0052】
具体的には、図5に示すように、排気管19に開閉状態が制御可能なバルブ20を設け、制御部5の制御により、バルブ20が開閉されるようにする。なお、このバルブ20としては、電磁石(ソレノイド)の磁力を用いてプランジャと呼ばれる鉄片を動かすことで弁を開閉する仕組みを持つ電磁バルブが一般的であるが、電気的に開閉状態が制御可能なものであればよく、電動機(モーター)で駆動する電動弁などとしてもよい。
【0053】
次に、上記構成のデバイス製造装置1の動作手順について、図6のフローチャート図を参照して説明する。
【0054】
まず、ステップS201で、チャンバ2を開け、試料台6にウェハ等の試料7を載置する。
【0055】
次に、ステップS202で、チャンバ2を閉じ、操作パネルを操作して真空引きを指示すると、制御部5は、真空ポンプ3bを駆動し、バルブ3aを開けて、チャンバ2内の大気を排出する。
【0056】
次に、ステップS203で、チャンバ2の真空引きを開始した直後、若しくは予め定めた時間が経過した後、若しくはチャンバ2内が予め定めた真空度に到達した後に、制御部5は、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を開ける。これによりチャンバ2の真空引きに合わせてパッケージ15内も同時に真空引きされ、赤外線検出素子17は動作可能な状態となる。
【0057】
次に、ステップS204で、制御部5は、チャンバ2内の真空度を監視し、所定の真空度になったら、ステップS205で、必要に応じて、ガス供給系4を制御して所定のガスを所定の流量で導入した後、成膜処理を開始する。
【0058】
次に、ステップS206で、赤外線検出素子17は試料7の表面から放射される赤外線による温度検出部29の抵抗変化を検出して電気信号として出力し、制御部5は、外部回路14で処理された温度を取得して試料7の表面温度が正常であるかを判断する。試料7の表面温度が正常な範囲を逸脱している場合は、ステップS207で、その温度に基づいて成膜条件を制御する。
【0059】
次に、ステップS208で、制御部5は、成膜時間を監視し、所定の時間が経過していなければステップS206に戻って同様の処理を繰り返し、所定の時間が経過して所定の膜厚になったと判断したら、ステップS209で、成膜処理を終了し、必要に応じて導入したガスを排気する。
【0060】
次に、ステップS210で、制御部5は、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を閉じた後、ステップS211で、チャンバ2内に大気を導入する。
【0061】
その後、ステップS212で、チャンバ2を開けて試料台6から成膜後の試料7を取り出して一連の処理を終了する。
【0062】
このように、本実施例では、赤外線検出器13の排気管19に開閉制御が可能なバルブ20を設け、チャンバ2内の真空引きの際に、制御部5の制御によりバルブ20が開いてパッケージ15内も同時に真空引きされるため、赤外線検出器13の製造や保守の際の真空引き工程を省略することができ、赤外線検出器13のコストダウンを図ることができる。また、チャンバ2内に大気を導入する前に、制御部5の制御によりバルブ20が閉じてパッケージ15内の真空状態が維持されるため、大気の導入による赤外線検出素子17の汚染や真空引き/大気導入を繰り返すことによる熱分離構造のダメージを防止することができる。
【実施例3】
【0063】
次に、本発明の第3の実施例に係る赤外線検出器及びデバイス製造装置について、図7乃至図13を参照して説明する。図7及び図8は、本実施例のデバイス製造装置の動作手順を示すフローチャート図であり、図9乃至図13は、本実施例のデバイス製造装置に導入するガスの赤外線吸収特性を示す図である。
【0064】
CVDなどでは、形成する膜の種類に応じた反応性ガスを導入して成膜を行うため、ガスの種類に応じて試料7から放射される赤外線が吸収されてしまい、試料7の正確な温度が測定できなくなる恐れがある。また、赤外線検出素子17の赤外線検出器13の排気管19を閉じていない状態若しくはバルブ20を開けた状態とすると、パッケージ15内にも反応性ガスが導入され、赤外線検出素子17の各構成物(例えば、絶縁膜材料や電極材料、感熱抵抗体など)と反応する恐れがある。そこで、本実施例では、チャンバ2内にガスを導入するデバイス製造装置に対して、ガスによる赤外線吸収を補正して試料7の温度を正確に測定できるようにしたり、パッケージ15内に反応性ガスが導入されないようにする。
【0065】
この場合の赤外線検出器13の構成は前記した第2の実施例と同様であるが、本実施例では、制御部5は、赤外線検出素子17により測定された試料7の温度をガスの種類に応じて補正する制御や、チャンバ2内を真空引きする際に排気管7に設けたバルブ20を開け、真空引き後、反応性ガスを導入する前にバルブ20を閉じる制御を行う。
【0066】
次に、試料7の温度をガスの種類に応じて補正する制御を行う場合のデバイス製造装置1の動作手順について、図7のフローチャート図を参照して説明する。
【0067】
まず、ステップS301で、チャンバ2を開け、試料台6にウェハ等の試料7を載置する。
【0068】
次に、ステップS302で、チャンバ2を閉じ、操作パネルを操作して真空引きを指示すると、制御部5は、真空ポンプ3bを駆動し、バルブ3aを開けて、チャンバ2内の大気を排出する。
【0069】
次に、ステップS303で、チャンバ2の真空引きを開始した直後、若しくは予め定めた時間が経過した後、若しくはチャンバ2内が予め定めた真空度に到達した後に、制御部5は、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を開ける。これによりチャンバ2の真空引きに合わせてパッケージ15内も同時に真空引きされ、赤外線検出素子17は動作可能な状態となる。
【0070】
次に、ステップS304で、制御部5は、チャンバ2内の真空度を監視し、所定の真空度になったら、ステップS305で、ガス供給系4を制御して所定のガスを所定の流量で導入し、成膜処理を開始する。その際、バルブ20は開いたままであるため、パッケージ15内にも上記ガスが導入される。
【0071】
次に、ステップS306で、赤外線検出素子17は試料7の表面から放射される赤外線による温度検出部29の抵抗変化を検出して電気信号として出力し、制御部5は、外部回路14で処理された温度を取得する。
【0072】
その際、チャンバ2に導入されるガスが、一酸化二窒素(NO)、四フッ化メタン(CF)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、メタン(CH)などの場合、これらのガスは、図9乃至図13に示すように、赤外線領域に吸収帯があるため、試料7から放射される赤外線の一部がパッケージ15内に導入されたガスによって吸収されてしまい、試料7の正確な温度が測定できなくなる。そこで、制御部5は、赤外線検出素子17の感度特性や赤外線透過窓16の透過特性、導入されたガスの赤外線吸収スペクトルに基づいて、取得した温度を補正する。
【0073】
具体的には、赤外線透過窓16が3〜12μmの赤外線を透過する場合、図9の一酸化二窒素(NO)では、波数2200cm−1(波長4.5μm)と波数1300cm−1(波長7.7μm)の吸収帯の影響が大きいことから、これらの吸収帯による入射赤外線の減少率を考慮して補正係数を算出して記憶しておき、取得した温度にこの補正係数を掛け合わせて試料7の正確な温度を算出する。四フッ化メタン(CF)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、メタン(CH)の場合も同様に、図10乃至図13の赤外線吸収スペクトルに基づいて補正係数を算出して記憶しておき、取得した温度にこの補正係数を掛け合わせて試料7の正確な温度を算出する。
【0074】
なお、ここでは、各々のガスの赤外線吸収スペクトルから補正係数を算出する構成としたが、例えば、ステップS305でガスを導入する前に試料7の温度を取得すると共に、ガス導入後に試料7の温度を取得し、その比率から当該ガスの補正係数を算出し、ステップS306で取得した温度にこの補正係数を掛け合わせて試料7の正確な温度を算出する構成とすることもできる。
【0075】
そして、ステップS307で、制御部5は、試料7の表面温度が正常であるかを判断し、試料7の表面温度が正常な範囲を逸脱している場合は、ステップS308で、その温度に基づいて成膜条件を制御する。
【0076】
次に、ステップS309で、制御部5は、成膜時間を監視し、所定の時間が経過していなければステップS306に戻って同様の処理を繰り返し、所定の時間が経過して所定の膜厚になったと判断したら、ステップS310で、成膜処理を終了し、導入したガスを排気する。
【0077】
次に、ステップS311で、制御部5は、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を閉じた後、ステップS312で、チャンバ2内に大気を導入し、ステップS313で、チャンバ2を開けて試料台6から成膜後の試料7を取り出して一連の処理を終了する。
【0078】
次に、反応性ガスによる赤外線検出素子17のダメージを抑制する場合のデバイス製造装置1の動作手順について、図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0079】
まず、ステップS401で、チャンバ2を開け、試料台6にウェハ等の試料7を載置する。
【0080】
次に、ステップS402で、チャンバ2を閉じ、操作パネルを操作して真空引きを指示すると、制御部5は、真空ポンプ3bを駆動し、バルブ3aを開けて、チャンバ2内の大気を排出する。
【0081】
次に、ステップS403で、チャンバ2の真空引きを開始した直後、若しくは予め定めた時間が経過した後、若しくはチャンバ2内が予め定めた真空度に到達した後に、制御部5は、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を開ける。これによりチャンバ2の真空引きに合わせてパッケージ15内も同時に真空引きされ、赤外線検出素子17は動作可能な状態となる。
【0082】
次に、ステップS404で、制御部5は、チャンバ2内の真空度を監視し、所定の真空度になったら、ステップS405で、赤外線検出器13の排気管19に設けたバルブ20を閉じた後、ステップS406で、ガス供給系4を制御して所定のガスを所定の流量で導入し、成膜処理を開始する。
【0083】
例えば、モノシラン(SiH)、ジクロルシラン(SiHCl)、四塩化ケイ素(SiCL)、ホスフィン(PH)などのガスを導入する場合、これらのガスは絶縁膜材料や電極材料、感熱抵抗体などと反応する恐れがあるが、本実施例では、ガスの導入前にバルブ20を閉じる制御を行っているため、上記ガスが赤外線検出素子17の構成物と反応することがなく、赤外線検出素子17のダメージを防止することができる。
【0084】
次に、ステップS407で、赤外線検出素子17は試料7の表面から放射される赤外線による温度検出部29の抵抗変化を検出して電気信号として出力し、制御部5は、外部回路14で処理された温度を取得して試料7の表面温度が正常であるかを判断する。試料7の表面温度が正常な範囲を逸脱している場合は、ステップS408で、その温度に基づいて成膜条件を制御する。
【0085】
次に、ステップS409で、制御部5は、成膜時間を監視し、所定の時間が経過していなければステップS407に戻って同様の処理を繰り返し、所定の時間が経過して所定の膜厚になったと判断したら、ステップS410で、成膜処理を終了し、導入したガスを排気する。
【0086】
次に、ステップS411で、制御部5は、チャンバ2内に大気を導入し、ステップS412で、チャンバ2を開けて試料台6から成膜後の試料7を取り出して一連の処理を終了する。
【0087】
このように、本実施例では、赤外線検出器13の排気管19に開閉制御が可能なバルブ20を設け、チャンバ2内の真空引きの際に、制御部5の制御によりバルブ20が開いてパッケージ15内も同時に真空引きされるため、赤外線検出器13の製造や保守の際の真空引き工程を省略することができ、赤外線検出器13のコストダウンを図ることができる。また、赤外線検出素子17で測定した試料7の温度をチャンバ2内に導入するガスの種類に応じて補正するため、試料7の正確な温度を取得することができ、良好な膜を成膜することができる。また、チャンバ2内にガスを導入する前に、制御部5の制御によりバルブ20が閉じてパッケージ15内へのガスの導入が防止されるため、ガスの導入による赤外線検出素子17のダメージを防止することができる。
【0088】
なお、第3の実施例では、第2の実施例の構成の赤外線検出器13を用いて温度の補正を行ったが、第1の実施例の構成の赤外線検出器13を用いて同様に温度の補正を行ってもよい。
【0089】
また、上記各実施例では、デバイス製造装置1として成膜装置を例にして説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、RIE(Reactive Ion Etching)装置やRIBE(Reactive Ion Beam Etching)装置などのエッチング装置、イオン注入装置、結晶成長装置などに対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、チャンバ内を真空状態又は減圧状態にして処理を行うデバイス製造装置及び当該デバイス製造装置に載置される試料の温度をモニタする赤外線検出器に利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 デバイス製造装置
2 チャンバ
3 排気系
3a バルブ
3b 真空ポンプ
4 ガス供給系
4a MFC
4b ガスボンベ
5 制御部
6 試料台
7 試料
8 ターゲット
9 赤外線撮像装置
11 筐体
12 入射光学系
13 赤外線検出器
14 外部回路
15 パッケージ
16 赤外線透過窓
17 赤外線検出素子
18 ピン
19 排気管
20 バルブ
21 回路基板
21a 読出回路
21b コンタクト
22 赤外線反射膜
23 保護膜
24 空洞部
25 保護膜
26 ボロメータ薄膜
27 電極
28 梁
29 温度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記窓材と前記赤外線検出素子とを支持する枠材と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、を少なくとも備える赤外線検出器であって、
前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、
前記チャンバが真空引きされる際に、前記赤外線検出器も真空雰囲気となることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項2】
赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ、閉じられていない排気管と、を少なくとも備える赤外線検出器であって、
前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、
前記チャンバが真空引きされる際に、前記排気管を介して前記密封容器内も真空引きされることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項3】
赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ排気管と、前記排気管に取り付けられた開閉制御が可能なバルブと、を少なくとも備える赤外線検出器であって、
前記赤外線検出器は、デバイス製造装置のチャンバ内の、試料を望む位置に配置され、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定するために使用され、
前記チャンバが真空引きされる際に、前記バルブが開けられて前記密封容器内も真空引きされ、前記チャンバに大気が導入される前に、前記バルブが閉じられて前記密封容器内の真空状態が維持されることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項4】
前記チャンバにガスが導入される前に、前記バルブが閉じられて前記密封容器内への前記ガスの導入が防止されることを特徴とする請求項3に記載の赤外線検出器。
【請求項5】
チャンバと、前記チャンバを真空引きする排気系と、前記チャンバ内に試料を載置する試料台と、を少なくとも備えるデバイス製造装置において、
前記チャンバ内の、前記試料を望む位置に、前記試料から放射され、入射光学系により集光された赤外線を検出して当該試料の表面温度を測定する赤外線検出器が載置され、
前記赤外線検出器は、赤外線を透過する窓材と、感熱抵抗体が梁によって基板から浮いた状態で支持されてなる赤外線検出素子と、前記赤外線検出素子を気密状態で封止可能な密封容器と、前記赤外線検出素子と外部回路とを接続するための端子と、前記密封容器の内外を繋ぐ排気管と、前記排気管に取り付けられた開閉制御が可能なバルブと、を少なくとも備え、
前記デバイス製造装置の制御部は、前記チャンバを真空引きする際に、前記バルブを開けて前記密封容器内も真空引きし、前記チャンバに大気を導入する前に、前記バルブを閉じて前記密封容器内の真空状態を維持する制御を行うことを特徴とするデバイス製造装置。
【請求項6】
前記チャンバにガスを供給するガス供給系を備え、
前記制御部は、前記チャンバにガスを導入して前記試料表面に膜を形成する際に、前記赤外線検出器で測定した前記試料の表面温度を取得し、前記密封容器内に導入された前記ガスの赤外線吸収特性に基づいて、取得した前記表面温度を補正することを特徴とする請求項5に記載のデバイス製造装置。
【請求項7】
前記チャンバにガスを供給するガス供給系を備え、
前記制御部は、前記チャンバにガスを導入する前後に、前記赤外線検出器で測定した前記試料の表面温度を取得し、前記ガスの導入前の前記表面温度と前記ガスの導入後の前記表面温度とに基づいて前記ガスによる赤外線の吸収を補正する補正係数を求め、前記試料表面に膜を形成する際に前記赤外線検出器から取得した前記試料の表面温度を、前記補正係数に基づいて補正することを特徴とする請求項5に記載のデバイス製造装置。
【請求項8】
前記チャンバにガスを供給するガス供給系を備え、
前記制御部は、前記チャンバにガスを導入する前に、前記バルブを閉じて前記密封容器内への前記ガスの導入を防止する制御を行うことを特徴とする請求項5に記載のデバイス製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−217012(P2010−217012A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64502(P2009−64502)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】