走査ビーム検査装置、および欠陥検出の信号処理方法
【課題】複数の検査パターンを積算して行う欠陥検査を、一つの検査パターンによって行い、TFTアレイ検査の検査時間を短縮する。
【解決手段】荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査して走査画像を形成し、走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置であって、走査制御部と、二次電子を検出する検出器と、検査信号を印加する検査信号印加部と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備える。データ処理部は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備える。
【解決手段】荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査して走査画像を形成し、走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置であって、走査制御部と、二次電子を検出する検出器と、検査信号を印加する検査信号印加部と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備える。データ処理部は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板等の製造過程等で行われるTFTアレイ検査に関し、特に、TFTアレイ検査装置およびTFTアレイ検査において検出信号から欠陥を検出する際の信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板や有機EL基板等のTFTアレイが形成された半導体基板の製造過程では、製造過程中にTFTアレイ検査工程を含み、このTFTアレイ検査工程において、TFTアレイの欠陥検査が行われている。
【0003】
TFTアレイは、例えば液晶表示装置の画素電極を選択するスイッチング素子として用いられる。TFTアレイを備える基板は、例えば、走査線として機能する複数本のゲートラインが平行に配設されると共に、信号線として記載する複数本のソースラインがゲートラインに直交して配設され、両ラインが交差する部分の近傍にTFT(Thin film transistor)が配設され、このTFTに画素電極が接続される。
【0004】
液晶表示装置は、上記したTFTアレイが設けられた基板と対向基板との間に液晶層を挟むことで構成され、対向基板が備える対向電極と画素電極との間に画素容量が形成される。画素電極には、上記の画素容量以外に付加容量(Cs)が接続される。この付加容量(Cs)の一方は画素電極に接続され、他方は共通ラインあるいはゲートラインに接続される。共通ラインに接続される構成のTFTアレイはCs on Com型TFTアレイと呼ばれ、ゲートラインに接続される構成のTFTアレイはCs on Gate型TFTアレイと呼ばれる。
【0005】
このTFTアレイにおいて、走査線(ゲートライン)や信号線(ソースライン)の断線、走査線(ゲートライン)と信号線(ソースライン)の短絡、画素を駆動するTFTの特性不良による画素欠陥等の欠陥検査は、例えば、対向電極を接地し、ゲートラインの全部あるいは一部に、例えば、−15V〜+15Vの直流電圧を所定間隔で印加し、ソースラインの全部あるいは一部に検査信号を印加することによって行っている。(例えば、特許文献1の従来技術。)
【0006】
TFTアレイ検査装置は、TFTアレイに上記した検査用の駆動信号を入力し、そのときのアレイ電極の電圧状態を検出することで欠陥検出を行うことができる。また、液晶の表示状態を観察することによって、TFTアレイの欠陥検出を行っても良い。液晶の表示状態を観察することによってTFTアレイを検査する場合には、TFTアレイ基板と対向電極との間に液晶層を挟んだ液晶表示装置の状態で検査する他に、液晶層と対向電極を備えた検査治具をTFTアレイ基板に取り付けることによって、液晶表示装置に至らない半製品の状態で検査することもできる。
【0007】
製造プロセス中に生じるおそれがあるTFTアレイの欠陥として、例えば、ピクセルとソースラインとの間に短絡欠陥(S−DSshort)、ピクセルとゲートラインとの間に短絡欠陥(G−DSshort)、ソースラインとゲートラインとの間に短絡欠陥(S−Gshort)、ピクセルとTFTとの間の断線(D−open)等の各ピクセルにおける欠陥の他に、横方向で隣接するピクセル間の欠陥(横PPと呼ばれる)、縦方向で隣接するピクセル間の欠陥(縦PPと呼ばれる)、隣接するソースライン間の短絡(SSshortと呼ばれる)、隣接するゲートライン間の短絡(GGshortと呼ばれる)隣接欠陥等の隣接するピクセル間で生じる隣接欠陥が知られている。
【0008】
ピクセルに生じる欠陥を検査する検査信号としては、例えば、図11に示すような検査信号がある。なお、図11(a),(b)はゲート信号を示し、図11(c),(d)はソース信号を示している。図11(a),(b)のゲート信号と図11(c),(d)のソース信号との組み合わせによって、TFTアレイの全ピクセルに正電圧(ここでは10v)と負電圧(ここでは−10v)を交互に印加する。図13(a)、(b)は全ピクセルに同電圧(ここでは10vおよび−10V)を印加したときに発生するピクセル(ITO)の電圧状態を示している。
【0009】
TFT基板上のTFTアレイを、図11に示すような一様に駆動する検査パターンによって欠陥検査を行った場合には、隣接欠陥を検出することはできない。そこで、従来の欠陥検査では、隣接欠陥を検出するために、横方向隣接欠陥のための検査パターンと縦方向隣接欠陥のための検査パターンとをそれぞれ独立した検査パターンを用い、それぞれの検査パターンによって横方向隣接欠陥と縦方向隣接欠陥とをそれぞれ独立して検出している。
【0010】
図12は隣接欠陥を検出するための検査信号であり、図13(c),(d)は図12で示す検査信号を印加してピクセルを駆動した際に発生するピクセル(ITO)の電圧状態を示している。この検査パターンによれば、隣接するピクセルには互いに異なる電位が印加される。
【0011】
なお、隣接欠陥を検出するための検査パターンは上記した検査パターンの他に種々の検査パターンを用いることができ、例えば、横方向隣接欠陥を検出する場合にはTFTアレイ上において+電圧のピクセル(ITO)と−電圧のピクセル(ITO)が形成する電圧分布が縦縞パターンとなるように電圧を印加する。この縦縞パターンは、TFTアレイの縦方向のピクセルを同電圧とし、隣接する横方向のピクセル列同士は異なる電圧としている。これによって、横方向隣接欠陥を検出する。
【0012】
縦方向隣接欠陥を検出する場合にはTFTアレイ上において+電圧のピクセル(ITO)と−電圧のピクセル(ITO)が形成する電圧分布が横縞パターンとなるように電圧を印加する。この横縞パターンは、TFTアレイの横方向のピクセルを同電圧とし、隣接する縦方向のピクセル列同士は異なる電圧としている。これによって、縦方向隣接欠陥を検出する。
【0013】
電子線を用いたTFTアレイ検査装置では、ピクセル(ITO電極)に対して電子線を照射し、この電子線照射によって放出される二次電子を検出することによって、ピクセル(ITO電極)に印加された電圧波形を二次電子波形に変え、走査画像をイメージ化し、これによってTFTアレイの電気的検査を行っている。
【0014】
TFTアレイが欠陥を含むピクセル(画素)であるか正常なピクセル(画素)であるかの判定は二次電子の量によって行うことができ、二次電子を検出する検出器の検出信号の信号強度によって検出している。より詳細には、通常、TFTアレイのピクセルの内で正常なピクセルが大多数を占め、欠陥ピクセルはわずかであることから、均一な強度を有するピクセルを正常ピクセルと判定し、均一強度に対して特異的に異なる強度を示すピクセルを欠陥ピクセルと判定している。
【0015】
このように、均一強度を有するピクセル内にある特異強度点を検出信号の信号強度によって欠陥を検出する場合には、全面の信号強度が一様となる検査パターンを用いるか、あるいは、複数の検査パターンを積算して全面の信号強度を一様としている。前記した図13(a),(b)は全面の信号強度が一様となる検査パターンの一例である。また、前記した図13(c),(d)で得られる検査パターンの例によれば、これら2つの検査パターンを積算することによって、全面の信号強度を一様とすることができる。
【特許文献1】特開平5−307192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来のTFTアレイ検査では、上記したように、均一強度を有するピクセル内にある特異強度点を検出信号の信号強度によって欠陥を検出する場合には、全面の信号強度が一様となる検査パターンを用いるか、あるいは、複数の検査パターンを求め、これらの検査パターンを積算して全面の信号強度を一様とする必要がある。
【0017】
全面の強度が一様となる検査パターンでは、検出することができる欠陥種が制限されるという問題がある。
【0018】
また、複数の検査パターンを積算して全面の信号強度を一様とする信号強度を得るには、一つの検査パターンの他に、この検査パターンと相補的な検査パターン等の複数種類の検査パターンを用意する必要があるという問題がある他、これら複数種の検査信号を印加して検査パターンを取得するため検査時間が長くなるという問題があり、TFTアレイの検査では検査時間の短縮が求められている。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するものであり、複数の検査パターンを積算して行う欠陥検査を、一つの検査パターンによって行い、TFTアレイ検査の検査時間を短縮することを目的とする。
【0020】
また、全面の信号強度が一様となる検査パターンが検出する欠陥に限らず、他の欠陥種の検出を可能とすることを目的とする。
【0021】
また、複数の検査パターンを積算することなく、欠陥検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置、および欠陥検出の信号処理方法であり、TFTアレイに検査信号を印加して駆動し、この駆動状態のTFTアレイを二次元的に走査して得られる走査画像において、走査画像の各ピクセルの信号強度を閾値と比較することによって画素の欠陥判定を行う。
【0023】
各ピクセルについて走査画像の信号強度に基づいて欠陥判定を行うことによって、全面の信号強度を一様とするために要する複数の検査パターンを不要とすることができ、1回の検査回数で従来の複数回の検査による欠陥検出を行うことができる。
【0024】
本発明の欠陥検出の信号処理方法は、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する検査信号を印加する検査信号印加工程と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、形成した走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出工程と、検出した信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理工程とを備える。
【0025】
さらに、本発明のデータ処理工程は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較工程と、比較工程の比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定工程とを備える。
【0026】
本発明の検査信号印加工程は、検査信号を印加することによって、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する。この検査信号の印加で形成される所定パターンにおいて、正常ピクセルには、印加して検査信号の信号強度に応じて、相対的に高い電位あるいは低い電位の2種類の電位が形成され、欠陥ピクセルにおいては正常ピクセルで予定される電位から外れた電位となる。
【0027】
本発明のデータ処理工程は、このピクセルの電位を走査画像の信号強度を複数の閾値と比較することによって、正常強度範囲あるいは欠陥強度範囲の何れの範囲内であるかを判定し欠陥検出を行う。
【0028】
本発明のデータ処理工程では、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較することによって、このピクセルの信号強度が欠陥強度範囲内にあるか否かを判定することで欠陥検出を行うことができるため、一つの検査パターンで得られる検出信号で充分であり、TFTアレイの全面の信号強度が一様となる検査パターンを不要である他、TFTアレイの全面の信号強度を検出するために複数の検査パターンも不要とすることができる。
【0029】
本発明のデータ処理工程は、閾値の設定形態によって2つの形態とすることができる。第1の形態は、4つの閾値を用いることによって、正常状態において高い電位となるピクセルと、低い電位となるピクセルとを一度の比較処理で行う形態であり、第2の形態は、正常状態において高い電位となるピクセルに対して設定した閾値を用いた比較処理と、低い電位となるピクセルに対して設定した閾値を用いた比較処理とを分けて行う形態である。
【0030】
第1の形態では、比較工程は、ピクセルの信号強度を4つの異なるレベルの閾値と比較し、この4つの閾値で形成される5つの信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。ここで、5つの信号強度範囲は、正常ピクセルに2種類の電位をそれぞれ形成した際に検出される信号強度の分布である2つの正常強度範囲、および、前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0031】
判定工程は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0032】
第2の形態では、比較工程は、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。ここで、第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0033】
判定工程は、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0034】
また、検査信号印加工程で印加する検査信号は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号とすることができる。この検査信号を印加することによって、TFTアレイには相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンが形成される。
【0035】
本発明の走査ビーム検査装置は、上記した欠陥検出の信号処理を実行する構成を備えるものであり、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から欠陥ピクセルを検出する。
【0036】
本発明の走査ビーム検査装置は、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査する荷電粒子ビーム源および走査制御部と、荷電粒子ビームの走査によってTFTアレイからTFT基板から放出される二次電子を検出する検出器と、TFT基板のTFTアレイに検査信号を生成し印加する検査信号印加部と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、検出した信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備える。
【0037】
本発明のデータ処理部は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備える。
【0038】
本発明のデータ処理部は、閾値の設定形態による2つの形態において、前記した第1の形態に対応する構成、および第2の形態に対応する構成とすることができる。
【0039】
第1の形態の構成において、比較部は、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を有し、前記信号強度検出部で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。
【0040】
また、判定部は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。この5つの信号強度範囲の内、正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、欠陥強度範囲は正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0041】
第2の形態の構成において、比較部は、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0042】
また、判定部は、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0043】
本発明の走査ビーム検査装置が備える検査信号印加部は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成する。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、複数の検査パターンを積算して行う欠陥検査を、一つの検査パターンによって行うことができる。
【0045】
また、本発明によれば、全面の信号強度が一様となる検査パターンが検出する欠陥に限らず、他の欠陥種を検出することができる。
【0046】
また、本発明によれば、複数の検査パターンを積算することなく欠陥検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の走査ビーム検査装置の概略図である。
【0049】
走査ビーム検査装置1は、例えばTFTアレイ検査装置に適用して、TFTアレイの欠陥検出に適用することができる。以下では、TFTアレイ検査に適用した構成例について説明する。
【0050】
走査ビーム検査装置1は、基板7の電位状態を検出する構成として、電子ビーム等の荷電粒子ビームを基板7のTFTアレイに照射する荷電粒子ビーム源2と、この荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査させるための走査制御部4と、荷電粒子ビームの照射によってTFTアレイから放出される二次電子を検出する検出器3を備える。
【0051】
走査制御部4は、基板7上のTFTアレイの検査位置を走査するために、ステージ7や荷電粒子ビーム源2を制御する。ステージ7は、載置する基板7をXY方向に移動し、また、荷電粒子ビーム源2は基板10に照射する電子線をXY方向に振ることで、荷電粒子ビームの照射位置を走査する。この走査による荷電粒子ビームの走査位置が検出位置となる。
【0052】
TFT基板の電圧印加状態を検出する機構は種々の構成とすることができる。例えば、荷電粒子ビームとして電子線を用いる場合には、基板7上に電子線を照射する電子線源を配置し、照射された電子線によって基板7から放出される二次電子を検出する二次電子検出器を設ける。電子線が照射されたTFTアレイは、印加された検査信号による電位状態に応じた量の二次電子を放出するため、この二次電子の検出信号強度からTFTアレイの電位状態を検出することができる。
【0053】
また、走査ビーム検査装置1は、基板7のTFTアレイに検査信号を印加して所定の電位パターンを形成するための構成として、アレイ検査用の検査信号を生成して印加する検査信号印加部10と、検査信号印加部10で生成した検査信号を基板7のTFTアレイに供給するプローバ5を備える。
【0054】
プローバ5は、プローブピン(図示していない)が設けられたプローバフレームを備える。プローバ5は、基板7上への載置動作等によってプローブピンを基板7に形成した電極に接触させ、TFTアレイに検査信号を供給する。
【0055】
さらに、走査ビーム検査装置1は、検出器3で検出した検出信号に基づいて走査画像を形成し、走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部11と、信号強度検出部11で検出した信号強度を信号処理することによってTFTアレイの欠陥を検出するデータ処理部12を備える。
【0056】
信号強度検出部11およびデータ処理部12によって二次電子検出器の検出信号を信号処理してTFTアレイ上の電位状態を検出し、欠陥検出を行う。
【0057】
信号強度検出部11は、検出器3で検出した検出信号を、検査信号印加部10の検査信号と同期することによって走査画像を形成し、走査制御部4と同期することによって各ピクセルの信号強度を求める。
【0058】
データ処理部12は、信号強度検出部11で検出した各ピクセルの信号強度を閾値12bと比較する比較部12aと、比較部12aの比較結果に基づいてピクセルの欠陥判定を行う判定部12cとを備える。
【0059】
閾値12bは記憶部(図示していない)に記憶しておき、比較部12aは記憶部から閾値12bを読み出し、信号強度と比較をソフトウエアによるデータ比較で行う他、比較回路をハードウエアで構成しておくこともできる。
【0060】
比較部12aは、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較するデータ処理を行い、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。また、判定部は、比較部12aの比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0061】
比較部12aによるデータ処理の一例では、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を用意しておき、信号強度検出部11で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、信号強度が4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。5つの信号強度範囲の内、正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、欠陥強度範囲は前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0062】
ピクセルの信号強度を4つの閾値と比較する場合には、判定部12cは、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0063】
比較部12aによるデータ処理の他の例では、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。また、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。
【0064】
第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0065】
ピクセルの信号強度を電位の高低で第1の信号強度と第2の信号強度に区分して各閾値と比較する場合には、判定部12cは、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0066】
なお、上記したビーム走査検査装置の構成は一例であり、この構成に限られるものではない。
【0067】
図2は本発明の欠陥検出の信号処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【0068】
はじめに、基板のTFTアレイに検査信号を印加して、ピクセルに所定電圧を供給する。これによって、二次元配列されたピクセルには、検査信号で定まる所定電位のパターンが形成される(S1)。
【0069】
このTFTアレイ上を電子ビーム等の荷電粒子ビームで走査し、二次電子の走査信号から走査画像を形成する。この走査画像は、二次元配列されたピクセルの電位状態を表している(S2)。
【0070】
走査画像からピクセルの位置を求め(S3)、各ピクセルの信号強度を求める。ピクセルの信号強度は、S3で求めたピクセルの位置と信号強度とを対応付けることで定める(S4)。
【0071】
各ピクセルにおける検出信号の信号強度の分布について、予め定めておいた閾値と比較し、信号強度が正常な分布範囲内にあるときは正常ピクセルと判定し、信号強度が正常な分布範囲から外れたときは欠陥ピクセルと判定する(S5)。
【0072】
次に、図3,図4を用いて、上記S3の走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明し、図5,図6を用いて欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の例を説明し、図7〜図10を用いて欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の例を説明する。
【0073】
なお、欠陥ピクセルを抽出する第1の工程例は、信号強度を4つの閾値と比較することによって欠陥ピクセルを抽出する例であり、欠陥ピクセルを抽出する第2の工程例は、ピクセルの信号強度を電位の高低で第1の信号強度と第2の信号強度に区分して各閾値と比較することによって欠陥ピクセルを抽出する例である。
【0074】
図3、図4は走査画像からピクセルの位置を求めるS3の工程を説明するためのフローチャートおよび説明図である。
【0075】
S2で得た走査画像は、二次元配列されたピクセルの電位状態を表す信号強度を示している。この電位状態の二次元パターンは、検査信号が供給する信号のパターンに対応しており、検査信号の信号パターンと駆動されるピクセルと対応している。
【0076】
この走査画像から点灯画素を検出する。ここで、点灯ピクセルは検査信号の印加によって駆動したピクセル(画素)である。図4(a)は、二次元配列されるピクセルに対して交互に電圧を供給し、一つおきにピクセルを駆動した時の走査画像の例を示し、市松模様に点灯パターンを示している。ここでは、駆動ピクセルを濃いピクセルで表し、非駆動ピクセルを白いピクセルで示している。
【0077】
走査画像から点灯ピクセルの座標位置を求める。図4(a)中に黒丸“●”は点灯ピクセルの位置を示している(S3b)。求めたピクセルの座標位置の内でx方向に配列された座標位置からx方向の直線を求め(S3c)、同様に、求めたピクセルの座標位置の内でy方向に配列された座標位置からy方向の直線を求める(S3d)。S3cで求めたx方向の直線とS3dで求めたy方向の直線との交点を求める。これによって、非駆動ピクセルの座標位置を求めることができる。
【0078】
また、交点位置から駆動ピクセルの座標位置を求め、S3bで求めた駆動ピクセルの座標位置を更新してもよい。図4(b)中に白丸“○”は求めたピクセルの位置を示している(S3e)。
【0079】
なお、走査画像からピクセルの位置を求める手順は上記に限られるものではなく、荷電粒子ビームの走査と検出信号との同期をとる等によって求めてもよい。
【0080】
次に、欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例について図5,図6を用いて説明する。この工程例では、求めた走査画像の各ピクセルの信号強度と4つの閾値と比較することで行う。図5(a)は走査画像の例であり、二次元配列されたピクセルを一つおきに駆動して形成される市松模様の駆動パターンの例を示している。本発明は、この一つの駆動パターンによって全ピクセルの欠陥判定を行う。
【0081】
この欠陥判定は、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布と、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布とは異なる分布状態を示すことを利用するものである。
【0082】
正常ピクセルが駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値を挟む2つの閾値で定めることができる。また、非駆動状態においても同様に、正常ピクセルが非駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値を挟む別の2つの閾値で定めることができる。
【0083】
図5(b)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図5(b)の分布図によれば、4つの閾値a,b,c,dによって、2つの正常強度範囲A,Bと3つの欠陥強度範囲C,D,Eに区分される。正常強度範囲Aは閾値a,bで挟まれる範囲であり、駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。正常強度範囲Bは閾値c,dで挟まれる範囲であり、非駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。
【0084】
また、閾値aを越える範囲は欠陥強度範囲Cを示し、閾値bとcとで挟まる範囲は欠陥強度範囲Dを示し、閾値dを越えない範囲は欠陥強度範囲Eを示している。図5(b)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。
【0085】
なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0086】
図6に示すフローチャートにおいて、ピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S11,S12)、読み出した信号強度Ix,yを4つの閾値a〜dと比較する(S13)。
【0087】
閾値との比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S14)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S15)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S14)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S16)。
【0088】
全ピクセルが終了するまで(S17)、ピクセルアドレスを変更しながら(S18)、S12〜S16の工程を繰り返す。
【0089】
なお、上記手順は、各ピクセルの信号強度をピクセルアドレスに従って記憶装置に記憶している場合の一例を説明するものであるが、ピクセルの正常/欠陥の上記手順に限られるものではなく、通常のデータ処理を適用して任意の手順で行うことができる。
【0090】
次に、欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例について図7〜図10を用いて説明する。この工程例では、駆動状態による電位の高低によって走査画像を2つに区分し、一方の相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、また、他方の相対的に高い電位のピクセルから検出される第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。
【0091】
この欠陥判定は、第1の工程と同様に、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布と、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布とは異なる分布状態を示すことを利用するものであり、さらに、駆動状態と非駆動状態とを区分して閾値との比較を行うものである。
【0092】
図7は、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布について欠陥判定を行う場合を示している。図7(a)は、図5(a)と同様に走査画像を示し、図7(b)はこの走査画像から駆動状態のピクセルを抽出した状態を示している。ここでは、駆動状態は、検査信号の印加によって高電位状態になった状態であり、走査画像において信号強度が相対的に大のピクセルによって抽出することができる。
【0093】
正常ピクセルが駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値よりも小さい側の閾値(第1の閾値e)で定めることができる。
【0094】
図7(c)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図7(c)の分布図によれば、第1の閾値eによって、正常強度範囲Fと欠陥強度範囲Gに区分される。正常強度範囲Fと欠陥強度範囲Gとは第1の閾値eによって区分される。正常強度範囲Fは第1の閾値eを越える範囲であり、駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。また、欠陥強度範囲Gは第1の閾値eを越えない範囲であり、駆動状態の欠陥ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。
【0095】
図7(c)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0096】
図8に示すフローチャートにおいて、走査画像において、検査信号の印加によって信号強度が相対的に大となるべきピクセルのアドレスを求め(S21)、このピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S22)、読み出した信号強度Ix,yを第1の閾値eと比較する(S23)。
【0097】
第1の閾値eとの比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S24)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S26)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S24)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S25)。全ピクセルが終了するまで(S26)、ピクセルアドレスを変更しながら(S28)、S22〜S27の工程を繰り返す。
【0098】
図9は、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布について欠陥判定を行う場合を示している。図9(a)は、図5(a)、図7(a)と同様に走査画像を示し、図9(b)はこの走査画像から非駆動状態のピクセルを抽出した状態を示している。ここでは、非駆動状態は、検査信号の印加によって低電位状態となった状態であり、走査画像において信号強度が相対的に小のピクセルによって抽出することができる。
【0099】
正常ピクセルが非駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値よりも大きな閾値(第2の閾値f)で定めることができる。
【0100】
図9(c)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図9(c)の分布図によれば、第2の閾値fによって、正常強度範囲Hと欠陥強度範囲Iに区分される。正常強度範囲Hと欠陥強度範囲Iとは第2の閾値fによって区分される。正常強度範囲Hは第2の閾値fを越えない範囲であり、非駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。また、欠陥強度範囲Iは第2の閾値fを越えた範囲であり、非駆動状態の欠陥ピクセルが示す信号強度の範囲を示している
【0101】
図9(c)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0102】
図10に示すフローチャートにおいて、走査画像において、検査信号の印加によって信号強度が相対的に小となるべきピクセルのアドレスを求め(S31)、このピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S32)、読み出した信号強度Ix,yを第2の閾値fと比較する(S33)。
【0103】
第2の閾値fとの比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S34)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S36)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S34)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S35)。全ピクセルが終了するまで(S36)、ピクセルアドレスを変更しながら(S38)、S32〜S37の工程を繰り返す。
【0104】
前記した4つの閾値を用いた欠陥ピクセルの抽出では、高電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、低電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合、あるいは、低電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、高電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合などでは、正常ピクセルとして判定され、欠陥ピクセルとして検出されないという場合がある。
【0105】
これに対して、この第2の工程例では、走査画像を電位の高低によって2つに区分し、それぞれにおいて欠陥判定を行うことによって、高電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、低電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合や、低電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、高電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合であっても、欠陥ピクセルとして判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、液晶製造装置におけるTFTアレイ検査工程の他、有機ELや種々の半導体基板が備えるTFTアレイの欠陥検査に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の走査ビーム検査装置の概略図である。
【図2】本発明の欠陥検出の信号処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明するための説明図である。
【図5】欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例を説明するための説明図である。
【図6】欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図7】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するための説明図である。
【図8】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図9】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するための説明図である。
【図10】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図11】検査信号の一例を示す信号図である。
【図12】検査信号の一例を示す信号図である。
【図13】ピクセル(ITO)の電圧状態を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…走査ビーム装置、2…荷電粒子ビーム源、3…検出器、4…走査制御部、5…プローブ、6…ステージ、7…基板、10…検査信号印加部、11…信号強度検出部、12…データ処理部、12a…比較部、12b…閾値、12c…判定部、a,b,c,d,e,f…閾値、A,B,F,H…正常強度範囲、C,D,E,G,I…欠陥強度範囲。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板等の製造過程等で行われるTFTアレイ検査に関し、特に、TFTアレイ検査装置およびTFTアレイ検査において検出信号から欠陥を検出する際の信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板や有機EL基板等のTFTアレイが形成された半導体基板の製造過程では、製造過程中にTFTアレイ検査工程を含み、このTFTアレイ検査工程において、TFTアレイの欠陥検査が行われている。
【0003】
TFTアレイは、例えば液晶表示装置の画素電極を選択するスイッチング素子として用いられる。TFTアレイを備える基板は、例えば、走査線として機能する複数本のゲートラインが平行に配設されると共に、信号線として記載する複数本のソースラインがゲートラインに直交して配設され、両ラインが交差する部分の近傍にTFT(Thin film transistor)が配設され、このTFTに画素電極が接続される。
【0004】
液晶表示装置は、上記したTFTアレイが設けられた基板と対向基板との間に液晶層を挟むことで構成され、対向基板が備える対向電極と画素電極との間に画素容量が形成される。画素電極には、上記の画素容量以外に付加容量(Cs)が接続される。この付加容量(Cs)の一方は画素電極に接続され、他方は共通ラインあるいはゲートラインに接続される。共通ラインに接続される構成のTFTアレイはCs on Com型TFTアレイと呼ばれ、ゲートラインに接続される構成のTFTアレイはCs on Gate型TFTアレイと呼ばれる。
【0005】
このTFTアレイにおいて、走査線(ゲートライン)や信号線(ソースライン)の断線、走査線(ゲートライン)と信号線(ソースライン)の短絡、画素を駆動するTFTの特性不良による画素欠陥等の欠陥検査は、例えば、対向電極を接地し、ゲートラインの全部あるいは一部に、例えば、−15V〜+15Vの直流電圧を所定間隔で印加し、ソースラインの全部あるいは一部に検査信号を印加することによって行っている。(例えば、特許文献1の従来技術。)
【0006】
TFTアレイ検査装置は、TFTアレイに上記した検査用の駆動信号を入力し、そのときのアレイ電極の電圧状態を検出することで欠陥検出を行うことができる。また、液晶の表示状態を観察することによって、TFTアレイの欠陥検出を行っても良い。液晶の表示状態を観察することによってTFTアレイを検査する場合には、TFTアレイ基板と対向電極との間に液晶層を挟んだ液晶表示装置の状態で検査する他に、液晶層と対向電極を備えた検査治具をTFTアレイ基板に取り付けることによって、液晶表示装置に至らない半製品の状態で検査することもできる。
【0007】
製造プロセス中に生じるおそれがあるTFTアレイの欠陥として、例えば、ピクセルとソースラインとの間に短絡欠陥(S−DSshort)、ピクセルとゲートラインとの間に短絡欠陥(G−DSshort)、ソースラインとゲートラインとの間に短絡欠陥(S−Gshort)、ピクセルとTFTとの間の断線(D−open)等の各ピクセルにおける欠陥の他に、横方向で隣接するピクセル間の欠陥(横PPと呼ばれる)、縦方向で隣接するピクセル間の欠陥(縦PPと呼ばれる)、隣接するソースライン間の短絡(SSshortと呼ばれる)、隣接するゲートライン間の短絡(GGshortと呼ばれる)隣接欠陥等の隣接するピクセル間で生じる隣接欠陥が知られている。
【0008】
ピクセルに生じる欠陥を検査する検査信号としては、例えば、図11に示すような検査信号がある。なお、図11(a),(b)はゲート信号を示し、図11(c),(d)はソース信号を示している。図11(a),(b)のゲート信号と図11(c),(d)のソース信号との組み合わせによって、TFTアレイの全ピクセルに正電圧(ここでは10v)と負電圧(ここでは−10v)を交互に印加する。図13(a)、(b)は全ピクセルに同電圧(ここでは10vおよび−10V)を印加したときに発生するピクセル(ITO)の電圧状態を示している。
【0009】
TFT基板上のTFTアレイを、図11に示すような一様に駆動する検査パターンによって欠陥検査を行った場合には、隣接欠陥を検出することはできない。そこで、従来の欠陥検査では、隣接欠陥を検出するために、横方向隣接欠陥のための検査パターンと縦方向隣接欠陥のための検査パターンとをそれぞれ独立した検査パターンを用い、それぞれの検査パターンによって横方向隣接欠陥と縦方向隣接欠陥とをそれぞれ独立して検出している。
【0010】
図12は隣接欠陥を検出するための検査信号であり、図13(c),(d)は図12で示す検査信号を印加してピクセルを駆動した際に発生するピクセル(ITO)の電圧状態を示している。この検査パターンによれば、隣接するピクセルには互いに異なる電位が印加される。
【0011】
なお、隣接欠陥を検出するための検査パターンは上記した検査パターンの他に種々の検査パターンを用いることができ、例えば、横方向隣接欠陥を検出する場合にはTFTアレイ上において+電圧のピクセル(ITO)と−電圧のピクセル(ITO)が形成する電圧分布が縦縞パターンとなるように電圧を印加する。この縦縞パターンは、TFTアレイの縦方向のピクセルを同電圧とし、隣接する横方向のピクセル列同士は異なる電圧としている。これによって、横方向隣接欠陥を検出する。
【0012】
縦方向隣接欠陥を検出する場合にはTFTアレイ上において+電圧のピクセル(ITO)と−電圧のピクセル(ITO)が形成する電圧分布が横縞パターンとなるように電圧を印加する。この横縞パターンは、TFTアレイの横方向のピクセルを同電圧とし、隣接する縦方向のピクセル列同士は異なる電圧としている。これによって、縦方向隣接欠陥を検出する。
【0013】
電子線を用いたTFTアレイ検査装置では、ピクセル(ITO電極)に対して電子線を照射し、この電子線照射によって放出される二次電子を検出することによって、ピクセル(ITO電極)に印加された電圧波形を二次電子波形に変え、走査画像をイメージ化し、これによってTFTアレイの電気的検査を行っている。
【0014】
TFTアレイが欠陥を含むピクセル(画素)であるか正常なピクセル(画素)であるかの判定は二次電子の量によって行うことができ、二次電子を検出する検出器の検出信号の信号強度によって検出している。より詳細には、通常、TFTアレイのピクセルの内で正常なピクセルが大多数を占め、欠陥ピクセルはわずかであることから、均一な強度を有するピクセルを正常ピクセルと判定し、均一強度に対して特異的に異なる強度を示すピクセルを欠陥ピクセルと判定している。
【0015】
このように、均一強度を有するピクセル内にある特異強度点を検出信号の信号強度によって欠陥を検出する場合には、全面の信号強度が一様となる検査パターンを用いるか、あるいは、複数の検査パターンを積算して全面の信号強度を一様としている。前記した図13(a),(b)は全面の信号強度が一様となる検査パターンの一例である。また、前記した図13(c),(d)で得られる検査パターンの例によれば、これら2つの検査パターンを積算することによって、全面の信号強度を一様とすることができる。
【特許文献1】特開平5−307192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来のTFTアレイ検査では、上記したように、均一強度を有するピクセル内にある特異強度点を検出信号の信号強度によって欠陥を検出する場合には、全面の信号強度が一様となる検査パターンを用いるか、あるいは、複数の検査パターンを求め、これらの検査パターンを積算して全面の信号強度を一様とする必要がある。
【0017】
全面の強度が一様となる検査パターンでは、検出することができる欠陥種が制限されるという問題がある。
【0018】
また、複数の検査パターンを積算して全面の信号強度を一様とする信号強度を得るには、一つの検査パターンの他に、この検査パターンと相補的な検査パターン等の複数種類の検査パターンを用意する必要があるという問題がある他、これら複数種の検査信号を印加して検査パターンを取得するため検査時間が長くなるという問題があり、TFTアレイの検査では検査時間の短縮が求められている。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するものであり、複数の検査パターンを積算して行う欠陥検査を、一つの検査パターンによって行い、TFTアレイ検査の検査時間を短縮することを目的とする。
【0020】
また、全面の信号強度が一様となる検査パターンが検出する欠陥に限らず、他の欠陥種の検出を可能とすることを目的とする。
【0021】
また、複数の検査パターンを積算することなく、欠陥検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置、および欠陥検出の信号処理方法であり、TFTアレイに検査信号を印加して駆動し、この駆動状態のTFTアレイを二次元的に走査して得られる走査画像において、走査画像の各ピクセルの信号強度を閾値と比較することによって画素の欠陥判定を行う。
【0023】
各ピクセルについて走査画像の信号強度に基づいて欠陥判定を行うことによって、全面の信号強度を一様とするために要する複数の検査パターンを不要とすることができ、1回の検査回数で従来の複数回の検査による欠陥検出を行うことができる。
【0024】
本発明の欠陥検出の信号処理方法は、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する検査信号を印加する検査信号印加工程と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、形成した走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出工程と、検出した信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理工程とを備える。
【0025】
さらに、本発明のデータ処理工程は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較工程と、比較工程の比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定工程とを備える。
【0026】
本発明の検査信号印加工程は、検査信号を印加することによって、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する。この検査信号の印加で形成される所定パターンにおいて、正常ピクセルには、印加して検査信号の信号強度に応じて、相対的に高い電位あるいは低い電位の2種類の電位が形成され、欠陥ピクセルにおいては正常ピクセルで予定される電位から外れた電位となる。
【0027】
本発明のデータ処理工程は、このピクセルの電位を走査画像の信号強度を複数の閾値と比較することによって、正常強度範囲あるいは欠陥強度範囲の何れの範囲内であるかを判定し欠陥検出を行う。
【0028】
本発明のデータ処理工程では、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較することによって、このピクセルの信号強度が欠陥強度範囲内にあるか否かを判定することで欠陥検出を行うことができるため、一つの検査パターンで得られる検出信号で充分であり、TFTアレイの全面の信号強度が一様となる検査パターンを不要である他、TFTアレイの全面の信号強度を検出するために複数の検査パターンも不要とすることができる。
【0029】
本発明のデータ処理工程は、閾値の設定形態によって2つの形態とすることができる。第1の形態は、4つの閾値を用いることによって、正常状態において高い電位となるピクセルと、低い電位となるピクセルとを一度の比較処理で行う形態であり、第2の形態は、正常状態において高い電位となるピクセルに対して設定した閾値を用いた比較処理と、低い電位となるピクセルに対して設定した閾値を用いた比較処理とを分けて行う形態である。
【0030】
第1の形態では、比較工程は、ピクセルの信号強度を4つの異なるレベルの閾値と比較し、この4つの閾値で形成される5つの信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。ここで、5つの信号強度範囲は、正常ピクセルに2種類の電位をそれぞれ形成した際に検出される信号強度の分布である2つの正常強度範囲、および、前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0031】
判定工程は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0032】
第2の形態では、比較工程は、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。ここで、第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0033】
判定工程は、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0034】
また、検査信号印加工程で印加する検査信号は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号とすることができる。この検査信号を印加することによって、TFTアレイには相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンが形成される。
【0035】
本発明の走査ビーム検査装置は、上記した欠陥検出の信号処理を実行する構成を備えるものであり、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から欠陥ピクセルを検出する。
【0036】
本発明の走査ビーム検査装置は、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査する荷電粒子ビーム源および走査制御部と、荷電粒子ビームの走査によってTFTアレイからTFT基板から放出される二次電子を検出する検出器と、TFT基板のTFTアレイに検査信号を生成し印加する検査信号印加部と、検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、この走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、検出した信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備える。
【0037】
本発明のデータ処理部は、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備える。
【0038】
本発明のデータ処理部は、閾値の設定形態による2つの形態において、前記した第1の形態に対応する構成、および第2の形態に対応する構成とすることができる。
【0039】
第1の形態の構成において、比較部は、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を有し、前記信号強度検出部で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。
【0040】
また、判定部は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。この5つの信号強度範囲の内、正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、欠陥強度範囲は正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0041】
第2の形態の構成において、比較部は、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0042】
また、判定部は、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0043】
本発明の走査ビーム検査装置が備える検査信号印加部は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成する。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、複数の検査パターンを積算して行う欠陥検査を、一つの検査パターンによって行うことができる。
【0045】
また、本発明によれば、全面の信号強度が一様となる検査パターンが検出する欠陥に限らず、他の欠陥種を検出することができる。
【0046】
また、本発明によれば、複数の検査パターンを積算することなく欠陥検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の走査ビーム検査装置の概略図である。
【0049】
走査ビーム検査装置1は、例えばTFTアレイ検査装置に適用して、TFTアレイの欠陥検出に適用することができる。以下では、TFTアレイ検査に適用した構成例について説明する。
【0050】
走査ビーム検査装置1は、基板7の電位状態を検出する構成として、電子ビーム等の荷電粒子ビームを基板7のTFTアレイに照射する荷電粒子ビーム源2と、この荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査させるための走査制御部4と、荷電粒子ビームの照射によってTFTアレイから放出される二次電子を検出する検出器3を備える。
【0051】
走査制御部4は、基板7上のTFTアレイの検査位置を走査するために、ステージ7や荷電粒子ビーム源2を制御する。ステージ7は、載置する基板7をXY方向に移動し、また、荷電粒子ビーム源2は基板10に照射する電子線をXY方向に振ることで、荷電粒子ビームの照射位置を走査する。この走査による荷電粒子ビームの走査位置が検出位置となる。
【0052】
TFT基板の電圧印加状態を検出する機構は種々の構成とすることができる。例えば、荷電粒子ビームとして電子線を用いる場合には、基板7上に電子線を照射する電子線源を配置し、照射された電子線によって基板7から放出される二次電子を検出する二次電子検出器を設ける。電子線が照射されたTFTアレイは、印加された検査信号による電位状態に応じた量の二次電子を放出するため、この二次電子の検出信号強度からTFTアレイの電位状態を検出することができる。
【0053】
また、走査ビーム検査装置1は、基板7のTFTアレイに検査信号を印加して所定の電位パターンを形成するための構成として、アレイ検査用の検査信号を生成して印加する検査信号印加部10と、検査信号印加部10で生成した検査信号を基板7のTFTアレイに供給するプローバ5を備える。
【0054】
プローバ5は、プローブピン(図示していない)が設けられたプローバフレームを備える。プローバ5は、基板7上への載置動作等によってプローブピンを基板7に形成した電極に接触させ、TFTアレイに検査信号を供給する。
【0055】
さらに、走査ビーム検査装置1は、検出器3で検出した検出信号に基づいて走査画像を形成し、走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部11と、信号強度検出部11で検出した信号強度を信号処理することによってTFTアレイの欠陥を検出するデータ処理部12を備える。
【0056】
信号強度検出部11およびデータ処理部12によって二次電子検出器の検出信号を信号処理してTFTアレイ上の電位状態を検出し、欠陥検出を行う。
【0057】
信号強度検出部11は、検出器3で検出した検出信号を、検査信号印加部10の検査信号と同期することによって走査画像を形成し、走査制御部4と同期することによって各ピクセルの信号強度を求める。
【0058】
データ処理部12は、信号強度検出部11で検出した各ピクセルの信号強度を閾値12bと比較する比較部12aと、比較部12aの比較結果に基づいてピクセルの欠陥判定を行う判定部12cとを備える。
【0059】
閾値12bは記憶部(図示していない)に記憶しておき、比較部12aは記憶部から閾値12bを読み出し、信号強度と比較をソフトウエアによるデータ比較で行う他、比較回路をハードウエアで構成しておくこともできる。
【0060】
比較部12aは、ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較するデータ処理を行い、ピクセルの信号強度が、複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。また、判定部は、比較部12aの比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0061】
比較部12aによるデータ処理の一例では、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を用意しておき、信号強度検出部11で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、信号強度が4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出する。5つの信号強度範囲の内、正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、欠陥強度範囲は前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲である。
【0062】
ピクセルの信号強度を4つの閾値と比較する場合には、判定部12cは、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する。
【0063】
比較部12aによるデータ処理の他の例では、2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。また、第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。
【0064】
第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値である。
【0065】
ピクセルの信号強度を電位の高低で第1の信号強度と第2の信号強度に区分して各閾値と比較する場合には、判定部12cは、第1の信号強度の比較結果と、第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定する。
【0066】
なお、上記したビーム走査検査装置の構成は一例であり、この構成に限られるものではない。
【0067】
図2は本発明の欠陥検出の信号処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【0068】
はじめに、基板のTFTアレイに検査信号を印加して、ピクセルに所定電圧を供給する。これによって、二次元配列されたピクセルには、検査信号で定まる所定電位のパターンが形成される(S1)。
【0069】
このTFTアレイ上を電子ビーム等の荷電粒子ビームで走査し、二次電子の走査信号から走査画像を形成する。この走査画像は、二次元配列されたピクセルの電位状態を表している(S2)。
【0070】
走査画像からピクセルの位置を求め(S3)、各ピクセルの信号強度を求める。ピクセルの信号強度は、S3で求めたピクセルの位置と信号強度とを対応付けることで定める(S4)。
【0071】
各ピクセルにおける検出信号の信号強度の分布について、予め定めておいた閾値と比較し、信号強度が正常な分布範囲内にあるときは正常ピクセルと判定し、信号強度が正常な分布範囲から外れたときは欠陥ピクセルと判定する(S5)。
【0072】
次に、図3,図4を用いて、上記S3の走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明し、図5,図6を用いて欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の例を説明し、図7〜図10を用いて欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の例を説明する。
【0073】
なお、欠陥ピクセルを抽出する第1の工程例は、信号強度を4つの閾値と比較することによって欠陥ピクセルを抽出する例であり、欠陥ピクセルを抽出する第2の工程例は、ピクセルの信号強度を電位の高低で第1の信号強度と第2の信号強度に区分して各閾値と比較することによって欠陥ピクセルを抽出する例である。
【0074】
図3、図4は走査画像からピクセルの位置を求めるS3の工程を説明するためのフローチャートおよび説明図である。
【0075】
S2で得た走査画像は、二次元配列されたピクセルの電位状態を表す信号強度を示している。この電位状態の二次元パターンは、検査信号が供給する信号のパターンに対応しており、検査信号の信号パターンと駆動されるピクセルと対応している。
【0076】
この走査画像から点灯画素を検出する。ここで、点灯ピクセルは検査信号の印加によって駆動したピクセル(画素)である。図4(a)は、二次元配列されるピクセルに対して交互に電圧を供給し、一つおきにピクセルを駆動した時の走査画像の例を示し、市松模様に点灯パターンを示している。ここでは、駆動ピクセルを濃いピクセルで表し、非駆動ピクセルを白いピクセルで示している。
【0077】
走査画像から点灯ピクセルの座標位置を求める。図4(a)中に黒丸“●”は点灯ピクセルの位置を示している(S3b)。求めたピクセルの座標位置の内でx方向に配列された座標位置からx方向の直線を求め(S3c)、同様に、求めたピクセルの座標位置の内でy方向に配列された座標位置からy方向の直線を求める(S3d)。S3cで求めたx方向の直線とS3dで求めたy方向の直線との交点を求める。これによって、非駆動ピクセルの座標位置を求めることができる。
【0078】
また、交点位置から駆動ピクセルの座標位置を求め、S3bで求めた駆動ピクセルの座標位置を更新してもよい。図4(b)中に白丸“○”は求めたピクセルの位置を示している(S3e)。
【0079】
なお、走査画像からピクセルの位置を求める手順は上記に限られるものではなく、荷電粒子ビームの走査と検出信号との同期をとる等によって求めてもよい。
【0080】
次に、欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例について図5,図6を用いて説明する。この工程例では、求めた走査画像の各ピクセルの信号強度と4つの閾値と比較することで行う。図5(a)は走査画像の例であり、二次元配列されたピクセルを一つおきに駆動して形成される市松模様の駆動パターンの例を示している。本発明は、この一つの駆動パターンによって全ピクセルの欠陥判定を行う。
【0081】
この欠陥判定は、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布と、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布とは異なる分布状態を示すことを利用するものである。
【0082】
正常ピクセルが駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値を挟む2つの閾値で定めることができる。また、非駆動状態においても同様に、正常ピクセルが非駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値を挟む別の2つの閾値で定めることができる。
【0083】
図5(b)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図5(b)の分布図によれば、4つの閾値a,b,c,dによって、2つの正常強度範囲A,Bと3つの欠陥強度範囲C,D,Eに区分される。正常強度範囲Aは閾値a,bで挟まれる範囲であり、駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。正常強度範囲Bは閾値c,dで挟まれる範囲であり、非駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。
【0084】
また、閾値aを越える範囲は欠陥強度範囲Cを示し、閾値bとcとで挟まる範囲は欠陥強度範囲Dを示し、閾値dを越えない範囲は欠陥強度範囲Eを示している。図5(b)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。
【0085】
なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0086】
図6に示すフローチャートにおいて、ピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S11,S12)、読み出した信号強度Ix,yを4つの閾値a〜dと比較する(S13)。
【0087】
閾値との比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S14)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S15)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S14)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S16)。
【0088】
全ピクセルが終了するまで(S17)、ピクセルアドレスを変更しながら(S18)、S12〜S16の工程を繰り返す。
【0089】
なお、上記手順は、各ピクセルの信号強度をピクセルアドレスに従って記憶装置に記憶している場合の一例を説明するものであるが、ピクセルの正常/欠陥の上記手順に限られるものではなく、通常のデータ処理を適用して任意の手順で行うことができる。
【0090】
次に、欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例について図7〜図10を用いて説明する。この工程例では、駆動状態による電位の高低によって走査画像を2つに区分し、一方の相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度を第1の閾値と比較し、第1の信号強度が第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、また、他方の相対的に高い電位のピクセルから検出される第2の信号強度を第2の閾値と比較し、第2の信号強度が第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する。
【0091】
この欠陥判定は、第1の工程と同様に、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布と、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布とは異なる分布状態を示すことを利用するものであり、さらに、駆動状態と非駆動状態とを区分して閾値との比較を行うものである。
【0092】
図7は、駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布について欠陥判定を行う場合を示している。図7(a)は、図5(a)と同様に走査画像を示し、図7(b)はこの走査画像から駆動状態のピクセルを抽出した状態を示している。ここでは、駆動状態は、検査信号の印加によって高電位状態になった状態であり、走査画像において信号強度が相対的に大のピクセルによって抽出することができる。
【0093】
正常ピクセルが駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値よりも小さい側の閾値(第1の閾値e)で定めることができる。
【0094】
図7(c)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図7(c)の分布図によれば、第1の閾値eによって、正常強度範囲Fと欠陥強度範囲Gに区分される。正常強度範囲Fと欠陥強度範囲Gとは第1の閾値eによって区分される。正常強度範囲Fは第1の閾値eを越える範囲であり、駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。また、欠陥強度範囲Gは第1の閾値eを越えない範囲であり、駆動状態の欠陥ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。
【0095】
図7(c)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0096】
図8に示すフローチャートにおいて、走査画像において、検査信号の印加によって信号強度が相対的に大となるべきピクセルのアドレスを求め(S21)、このピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S22)、読み出した信号強度Ix,yを第1の閾値eと比較する(S23)。
【0097】
第1の閾値eとの比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S24)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S26)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S24)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S25)。全ピクセルが終了するまで(S26)、ピクセルアドレスを変更しながら(S28)、S22〜S27の工程を繰り返す。
【0098】
図9は、非駆動ピクセルが示す信号強度に対するピクセルの分布について欠陥判定を行う場合を示している。図9(a)は、図5(a)、図7(a)と同様に走査画像を示し、図9(b)はこの走査画像から非駆動状態のピクセルを抽出した状態を示している。ここでは、非駆動状態は、検査信号の印加によって低電位状態となった状態であり、走査画像において信号強度が相対的に小のピクセルによって抽出することができる。
【0099】
正常ピクセルが非駆動状態で示す信号強度に対するピクセルの個数分布は、ピーク値よりも大きな閾値(第2の閾値f)で定めることができる。
【0100】
図9(c)は、信号強度に対するピクセルの個数の分布を示している。図9(c)の分布図によれば、第2の閾値fによって、正常強度範囲Hと欠陥強度範囲Iに区分される。正常強度範囲Hと欠陥強度範囲Iとは第2の閾値fによって区分される。正常強度範囲Hは第2の閾値fを越えない範囲であり、非駆動状態の正常ピクセルが示す信号強度の範囲を示している。また、欠陥強度範囲Iは第2の閾値fを越えた範囲であり、非駆動状態の欠陥ピクセルが示す信号強度の範囲を示している
【0101】
図9(c)において、欠陥強度範囲は斜線を施している。なお、閾値と同じ信号強度を有するピクセルについては、正常ピクセルあるいは欠陥ピクセルのいずれかに任意に定めることができる。
【0102】
図10に示すフローチャートにおいて、走査画像において、検査信号の印加によって信号強度が相対的に小となるべきピクセルのアドレスを求め(S31)、このピクセルのアドレス(x,y)に基づいてピクセルの信号強度Ix,yを読み出し(S32)、読み出した信号強度Ix,yを第2の閾値fと比較する(S33)。
【0103】
第2の閾値fとの比較によって、読み出した信号強度Ix,yが正常強度範囲内にある場合には(S34)、そのピクセルを正常ピクセルと判定する(S36)。また、読み出した信号強度Ix,yが欠陥強度範囲内にある場合には(S34)、そのピクセルを欠陥ピクセルと判定する(S35)。全ピクセルが終了するまで(S36)、ピクセルアドレスを変更しながら(S38)、S32〜S37の工程を繰り返す。
【0104】
前記した4つの閾値を用いた欠陥ピクセルの抽出では、高電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、低電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合、あるいは、低電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、高電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合などでは、正常ピクセルとして判定され、欠陥ピクセルとして検出されないという場合がある。
【0105】
これに対して、この第2の工程例では、走査画像を電位の高低によって2つに区分し、それぞれにおいて欠陥判定を行うことによって、高電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、低電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合や、低電位のピクセルに含まれる欠陥ピクセルの信号強度が、高電位のピクセルの正常ピクセルの強度範囲に含まれる場合であっても、欠陥ピクセルとして判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、液晶製造装置におけるTFTアレイ検査工程の他、有機ELや種々の半導体基板が備えるTFTアレイの欠陥検査に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の走査ビーム検査装置の概略図である。
【図2】本発明の欠陥検出の信号処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】走査画像からピクセルの位置を求める工程を説明するための説明図である。
【図5】欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例を説明するための説明図である。
【図6】欠陥ピクセルを抽出する工程の第1の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図7】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するための説明図である。
【図8】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図9】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するための説明図である。
【図10】欠陥ピクセルを抽出する工程の第2の工程例を説明するためのフローチャートである。
【図11】検査信号の一例を示す信号図である。
【図12】検査信号の一例を示す信号図である。
【図13】ピクセル(ITO)の電圧状態を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…走査ビーム装置、2…荷電粒子ビーム源、3…検出器、4…走査制御部、5…プローブ、6…ステージ、7…基板、10…検査信号印加部、11…信号強度検出部、12…データ処理部、12a…比較部、12b…閾値、12c…判定部、a,b,c,d,e,f…閾値、A,B,F,H…正常強度範囲、C,D,E,G,I…欠陥強度範囲。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から欠陥ピクセルを検出する欠陥検出の信号処理方法であって、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する検査信号を印加する検査信号印加工程と、
前記検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出工程と、
前記信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理工程とを備え、
前記データ処理工程は、
前記ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、前記ピクセルの信号強度が、前記複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較工程と、
前記比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定工程とを備えることを特徴とする、欠陥検出の信号処理方法。
【請求項2】
前記データ処理工程において、
前記比較工程は、
前記ピクセルの信号強度を4つの異なるレベルの閾値と比較し、前記4つの閾値で形成される5つの信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記5つの信号強度範囲は、正常ピクセルに前記2種類の電位をそれぞれ形成した際に検出される信号強度の分布である2つの正常強度範囲、および、前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲であり、
前記判定工程は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項3】
前記データ処理工程において、
前記比較工程は、
前記2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、
前記第1の信号強度を第1の閾値と比較し、前記第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、
前記第2の信号強度を第2の閾値と比較し、前記第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、
前記第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値であり、
前記判定工程は、前記第1の信号強度の比較結果と、前記第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項4】
前記検査信号印加工程は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項5】
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置であって、
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査する荷電粒子ビーム源および走査制御部と、
前記荷電粒子ビームの走査によってTFTアレイからTFT基板から放出される二次電子を検出する検出器と、
TFT基板のTFTアレイに検査信号を生成し印加する検査信号印加部と、
前記検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備え、
前記データ処理部は、
前記ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、前記ピクセルの信号強度が、前記複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、
前記比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備えることを特徴とする、走査ビーム検査装置。
【請求項6】
前記データ処理部において、
前記比較部は、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を有し、前記信号強度検出部で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出し、
前記判定部は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定するものであり、前記5つの信号強度範囲の内、前記正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、前記欠陥強度範囲は前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲であることを特徴とする、請求項5に記載の走査ビーム検査装置。
【請求項7】
前記データ処理部において、
前記比較部は、
前記2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、
前記第1の信号強度を第1の閾値と比較し、前記第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、
前記第2の信号強度を第2の閾値と比較し、前記第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、
前記第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値であり、
前記判定部は、前記第1の信号強度の比較結果と、前記第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定することを特徴とする、請求項5に記載の走査ビーム検査装置。
【請求項8】
前記検査信号印加部は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成することを特徴とする、請求項5から7の何れか一つに記載の走査ビーム検査装置。
【請求項1】
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から欠陥ピクセルを検出する欠陥検出の信号処理方法であって、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位の2種類の電位を二次元的に所定パターンで形成する検査信号を印加する検査信号印加工程と、
前記検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出工程と、
前記信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理工程とを備え、
前記データ処理工程は、
前記ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、前記ピクセルの信号強度が、前記複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較工程と、
前記比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定工程とを備えることを特徴とする、欠陥検出の信号処理方法。
【請求項2】
前記データ処理工程において、
前記比較工程は、
前記ピクセルの信号強度を4つの異なるレベルの閾値と比較し、前記4つの閾値で形成される5つの信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記5つの信号強度範囲は、正常ピクセルに前記2種類の電位をそれぞれ形成した際に検出される信号強度の分布である2つの正常強度範囲、および、前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲であり、
前記判定工程は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項3】
前記データ処理工程において、
前記比較工程は、
前記2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、
前記第1の信号強度を第1の閾値と比較し、前記第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、
前記第2の信号強度を第2の閾値と比較し、前記第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、
前記第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値であり、
前記判定工程は、前記第1の信号強度の比較結果と、前記第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項4】
前記検査信号印加工程は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載の欠陥検出の信号処理方法。
【請求項5】
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から欠陥ピクセルを検出する走査ビーム検査装置であって、
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で走査する荷電粒子ビーム源および走査制御部と、
前記荷電粒子ビームの走査によってTFTアレイからTFT基板から放出される二次電子を検出する検出器と、
TFT基板のTFTアレイに検査信号を生成し印加する検査信号印加部と、
前記検査信号を印加したTFTアレイを二次元的に走査して走査画像を形成し、当該走査画像から各ピクセルの信号強度を検出する信号強度検出部と、
前記信号強度をデータ処理することによって欠陥ピクセルを抽出するデータ処理部とを備え、
前記データ処理部は、
前記ピクセルの信号強度を複数の閾値と比較し、前記ピクセルの信号強度が、前記複数の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出する比較部と、
前記比較結果により、信号強度が欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定する判定部とを備えることを特徴とする、走査ビーム検査装置。
【請求項6】
前記データ処理部において、
前記比較部は、信号強度について4つの異なるレベルの閾値を有し、前記信号強度検出部で検出した各ピクセルの信号強度と4つの閾値とを比較し、4つの閾値で形成される2つの正常強度範囲、および、3つの欠陥強度範囲の信号強度範囲の内の何れの信号強度範囲にあるかを検出し、
前記判定部は、信号強度が3つの欠陥強度範囲の何れかの欠陥強度範囲にあるピクセルを欠陥ピクセルとして判定するものであり、前記5つの信号強度範囲の内、前記正常強度範囲は正常ピクセルに電位をそれぞれ形成した際に検出される2つの信号強度の分布であり、前記欠陥強度範囲は前記正常強度範囲から外れた3つの欠陥強度範囲であることを特徴とする、請求項5に記載の走査ビーム検査装置。
【請求項7】
前記データ処理部において、
前記比較部は、
前記2種類の電位の内で相対的に高い電位のピクセルから検出される第1の信号強度と、相対的に低い電位のピクセルから検出される第2の信号強度に区分し、
前記第1の信号強度を第1の閾値と比較し、前記第1の信号強度が前記第1の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出し、
前記第2の信号強度を第2の閾値と比較し、前記第2の信号強度が前記第2の閾値で区分される正常強度範囲と欠陥強度範囲の何れの強度範囲にあるかを検出するものであり、
前記第1の閾値は、相対的に高い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の下方の閾値であり、
前記第2の閾値は、相対的に低い電位を正常ピクセルに形成した際に検出される信号強度の分布の上方の閾値であり、
前記判定部は、前記第1の信号強度の比較結果と、前記第2の信号強度の比較結果とに基づいてピクセルの欠陥を判定することを特徴とする、請求項5に記載の走査ビーム検査装置。
【請求項8】
前記検査信号印加部は、二次元配列される複数のピクセルの内で隣接するピクセル間において、互いに相対的に高い電位と低い電位とを交互に印加する検査信号を印加し、
TFTアレイに相対的に高い電位と低い電位が市松パターンで配置される電位パターンを形成することを特徴とする、請求項5から7の何れか一つに記載の走査ビーム検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2009−265011(P2009−265011A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117143(P2008−117143)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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