説明

走査電子顕微鏡、欠陥検査システム、および欠陥検査装置

【課題】
本発明をウエハ、ディスプレイパネル、磁気ディスクなど試料上に発生した欠陥の部位に対して、走査電子顕微鏡で画像を撮像しようと試みたとき、画像に欠陥が写っていないといった失敗が生じる割合を低減する。
【解決手段】
本発明は、欠陥の座標と特徴量を有する欠陥検査データを入力し(241)、欠陥毎に走査電子顕微鏡での検出可否を予測し(242)、予測結果に基づいて走査電子顕微鏡で撮像する座標をサンプリングし(243)、予測結果に基づいて加速電圧を設定した電子光学系、ないしは光学系で欠陥部位の画像を撮像する(244)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に生じた欠陥や付着した異物を観察する走査電子顕微鏡、試料上に生じた欠陥や異物の座標を検出する欠陥検査装置、ならびに走査電子顕微鏡と欠陥検査装置をネットワークで接続した欠陥検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路、薄膜磁気ヘッド、磁気ディスク、太陽電池、液晶ディスプレイなど露光、現像、エッチング、成膜などの薄膜プロセスを用いて製造される製品の製造工程においては、品質管理を目的に以下のステップで欠陥検査が行われる。(1)検査対象となる試料(例えば、ウエハ)を、光学技術と画像処理技術を駆使した欠陥検査装置により検査し、発生した欠陥や付着した異物の試料上における座標を検出する。欠陥や異物を総称して以降、欠陥と呼ぶ。(2)検出された欠陥の座標に対して、走査電子顕微鏡で高倍率な画像を撮像し、欠陥の種類を分類する。これをレビュー作業と呼ぶ。(3)分類結果を電気特性試験の結果と照合して、欠陥が発生した原因を分析し、対策手段を練る。
【0003】
欠陥検査装置により検出される欠陥数が多い場合には、上記(2)のレビュー作業は大変な労力を必要とすることから、欠陥部位の画像を自動的に撮像し、収集する自動レビュー(Automatic Defect Review)及び、収集された画像を自動的に分類する自動欠陥分類(Automatic Defect Classification)の機能を有する走査電子顕微鏡が販売されている。
【0004】
しかし、走査電子顕微鏡は、欠陥検査装置により検出される欠陥を必ずしも検出できるわけではない。欠陥検査装置は、照明を真上から照射し、その反射光を検出する明視野検査装置と、照明を斜め上方から照射し、欠陥にぶつかった散乱光を検出する暗視野検査装置に大別できる。両装置ともArレーザ、He−Cdレーザないしはエキシマレーザ等の光源を用いるため、試料が光源の波長を通す膜で形成されていると、下層の欠陥も検出される。しかし、走査電子顕微鏡が用いる電子光学系では、下層の欠陥を検出することが難しく、1kV程度の加速電圧の条件では検出できない。特許文献1に、上述したような下層の欠陥も走査電子顕微鏡で検出するために、検出条件を切り替えながら、トライ・アンド・エラーで検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−259396号公報
【特許文献2】特開2006−145269号公報
【特許文献3】特開2004−294360号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】丹後俊郎、他著「ロジスティック回帰分析」朝倉書店 1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された方法は、欠陥検査装置により検出される欠陥の座標に対して、まず、通常の検出条件、例えば、1kV程度の加速電圧で検出することを試みる。もし通常の検出条件では検出できなかった場合には、加速電圧を上げて再度、検出を試みる。しかし、トライ・アンド・エラーで欠陥を検出する従来の方法では、レビュー作業に必要となる時間が長くなる問題がある。また、走査電子顕微鏡による欠陥の検出は、完全な非破壊検査ではなく、試料に対して何らかのダメージを与えるため、同じ箇所に何度も電子線を照射することは好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、欠陥検査装置が試料上の欠陥座標を検出した情報を入力して、該欠陥を解析するための観察画像を撮像する機能を有する走査電子顕微鏡において、前記欠陥検査装置が検出した複数の欠陥の座標と共に、欠陥検出画像の特徴量を入力する機能と,該特徴量を用いて走査電子顕微鏡での加速電圧の設定条件、観察画像における欠陥の検出可否を欠陥毎に予測する機能と,予測結果に基づいて入力された座標群の中からアライメントおよび観察対象の複数の座標を選択する機能と,選択された複数の各座標に対して,検出可と予測された加速電圧を設定して画像を撮像する機能とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明を集積回路、薄膜磁気ヘッド、太陽電池、磁気ディスク、液晶ディスプレイなどの製造過程に適用することで、走査電子顕微鏡で欠陥部位の画像を撮像しようと試みたとき、画像に欠陥が写っていないといった失敗が生じる割合を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】走査電子顕微鏡の概要の一例を示す図である。
【図2】走査電子顕微鏡と欠陥検査装置を有する欠陥検査システムの一例を示す図である。
【図3】欠陥検査装置の概要の一例を示す図である。
【図4】座標と特徴量を有する欠陥検査データの一例を示す図である。
【図5】座標を視覚的に示したウエハマップの一例を示す図である。
【図6】特徴量の抽出方法の一例を説明する図である。
【図7】検出可否を予測した結果の一例を示す図である。
【図8】検出可否を予測するための係数の一例を示す図である。
【図9】サンプリング結果の一例を示す図である。
【図10】分類結果の一例を示す図である。
【図11】画像を撮像するフローチャートの一例を示す図である。
【図12】走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。
【図13】走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。
【図14】走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。
【図15】検出可否を学習するデータの一例を示す図である。
【図16】走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。
【図17】欠陥検査・解析データテーブルのデータレコード形式の例を示す図である。
【図18】検出可否予測プログラムの処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図19】検出可否学習プログラムの処理のフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係る光学顕微鏡を備える走査電子顕微鏡の一例として、その概要を示す図である。走査電子顕微鏡600は一次電子208を発生させる電子源201と、一次電子を加速するための加速電極202と、一次電子を収束するための集束レンズ203と、一次電子を二次元走査偏向する偏向器204と、一次電子を試料206上に収束させるための対物レンズ205とを備えている。207は試料206を搭載する駆動ステージである。210は試料206より発生した二次電子信号209を検出する検出器であり、212a、212bはそれぞれ反射電子信号213を検出する反射電子検出器である。同図では、反射電子検出器212a、212bは対向して二つ設置されており、それぞれ試料206から放出された反射電子信号の異なる成分を検出する。211は検出された信号をデジタル化するためのデジタル変換部である。また、走査電子顕微鏡600は、上述した電子光学系では検出できない欠陥部位の画像を撮像するために、光学顕微鏡を有する。221a,221bは異なる波長の光を出力する光源であり、例えば、Arレーザ、He−Cdレーザないしはエキシマレーザ等が使われる。光源221a,221bから発せられる光は、反射ミラー222a,222b,222cを経由して、試料206に照射される。試料206で反射した光や、欠陥にぶつかって散乱した光は、集光レンズ223、波長別に分離するビームスプリッタ224を経由して、光電変換部225a,225bで検出される。光電変換部225a,225bはフォトマル、CCDセンサ、TDIセンサ等が使われる。光電変換部225a,225bから出力される信号は、226のデジタル変換部でデジタル化される。上述した各部位は、バス230を介して全体制御部231に接続されている。本走査電子顕微鏡600には、そのほかに、中央演算処理装置(CPU)232、一次記憶装置233、ネットワークインターフェース234、キーボード235、マウス236、ディスプレイ237、二次記憶装置238が備わっている。また、二次記憶装置238には、ネットワークインターフェース234を介して欠陥検査装置601の検査結果を本走査電子顕微鏡に入力するための欠陥検査データ入力プログラム241、入力される各座標に対して、それぞれ走査電子顕微鏡600で検出可能か否かを予測する検出可否予測プログラム242、検出可否の予測結果に基づいて座標を選び出すサンプリングプログラム243、選び出した座標が画像に写るように、駆動ステージを動作させて画像を撮像する画像撮像プログラム244、欠陥が確実に画像の視野に入るように駆動ステージに対する試料の座標系のオフセットを計算するアライメントプログラム245、撮像した画像を用いて欠陥の種類を分類する欠陥分類プログラム246、検出可否予測プログラム242の予測精度を向上するために実行する検出可否学習プログラム247、検出可否の予測結果、画像撮像結果、欠陥分類結果を確認したり、各種プログラムを実行したりするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)プログラム248、および欠陥検査装置から入力した欠陥検査データとそれらのデータに基づいて解析した結果を記録する欠陥検査・解析データテーブル500、前記検出可否予測プログラムが使用する予測式係数データを記録する予測式係数データテーブル520などが格納されている。これらのプログラムは、二次記憶装置238から一次記憶装置233に読み出され、CPU232で実行される。
【0012】
図2は、本発明に係る走査電子顕微鏡と欠陥検査装置とを有する欠陥検査システムの最小限のハードウェア構成の一例である。走査電子顕微鏡600と欠陥検査装置601はそれぞれネットワーク602に接続され、それぞれの装置が有するネットワークインターフェースを介してデータの送受信が行われる。もちろん、ネットワーク602に、さらにデータベースシステムやファイルサーバを接続して、走査電子顕微鏡600と欠陥検査装置601とのデータの送受信を中継してもよい。
【0013】
図3は、本発明に係る欠陥検査装置の一例として、その概要を示す図である。欠陥検査装置601は、走査電子顕微鏡600が備える光学顕微鏡と同様に、701a,702bの異なる波長を出力する光源、反射ミラー702a,702b,702c、集光レンズ703、波長別に分離するビームスプリッタ704、光電変換部705a,705b、駆動ステージ707を備え、光電変換部705a,705bから出力される信号は、706のデジタル変換部でデジタル化される。これらの各部位は、バス720を介して全体制御部721に接続されている。本欠陥検査装置601には、そのほかに、CPU722、一次記憶装置723、ネットワークインターフェース725、キーボード726、マウス727、ディスプレイ728、二次記憶装置724が備わっている。また、二次記憶装置724には、試料206に生じる欠陥の座標を検出する欠陥座標検出プログラム741、欠陥座標の検出時に撮像される画像から、輝度の最大値、輝度の総和、輝度が飽和した画素数、輝度の分散値、欠陥部位の体積などの特徴量を抽出する特徴量抽出プログラム742、欠陥検査の結果を確認したり、各種プログラムを実行したりするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)プログラム744などが格納されている。また、走査電子顕微鏡600が有する検出可否予測プログラム242、検出可否学習プログラム247と同じプログラムを欠陥検査装置601の二次記憶装置724に格納しておいてもよい。その場合、走査電子顕微鏡600での過去の検出可否のデータを入力する検出可否入力プログラム743も格納しておく必要がある。これらのプログラムは、二次記憶装置724から一次記憶装置723に読み出され、CPU722で計算される。
【0014】
図4は、欠陥検査装置が検査結果として出力するデータの一例を示す図である。欠陥検査データ501は、欠陥検査装置601により検出される欠陥毎に、通し番号401、x座標402、y座標403、特徴量404,405,406,407,408などの情報を有する。通し番号401は、欠陥検査装置601が試料上を走査して検出した順番を意味する。x座標402とy座標403は、試料上での欠陥の位置を意味する。特徴量404から408は、欠陥検査装置601が試料上を走査して欠陥を検出するときに撮像する画像から抽出される特徴量であり、例えば、欠陥部位が写った画像の輝度の最大値、輝度の総和、輝度が飽和した画素数、輝度の分散値、欠陥部位の体積などの情報をもつ。欠陥検査データ501は、F01,F02,F03,F04,F05と名付けられた5種類の特徴量を有している例を示している。F01は輝度の最大値である。F02は輝度の総和である。F03は輝度が飽和した画素数である。F04は輝度の分散値を10倍した値である。F05は欠陥部位の体積である。本欠陥検査データは、欠陥検査データ入力プログラム241を実行することで、走査電子顕微鏡600のネットワークインターフェース234を介して、二次記憶装置238上の欠陥検査・解析データテーブル500に取り込まれる。
【0015】
図5は、試料に対する座標系の定義の一例を示す図である。421は試料であるウエハの外周を意味する。422は試料の方向を定義するためのノッチである。本例では、ノッチを下側に位置させて、欠陥検査装置が検査のために走査する有効領域の最左下部を原点(0,0)とする座標系を示している。423はX軸、424はY軸である。多数の黒い打点425は、欠陥検査データ501が有する欠陥の座標を本座標系に従って描いた例である。
図6は、欠陥の特徴量の抽出方法の一例を説明する図である。欠陥検査装置601では、デジタル変換部701から画像が得られる。得られた画像は2次元のマトリクス状のデータであり、各画素に輝度をもつ。同図(a)と(b)は、それぞれ異なる欠陥が画像に写り込んでいる場合の輝度分布の例である。(a)は、輝度分布にピーク801がある。(b)は、輝度分布に飽和状態802が見られる。デジタル変換部706から得られる画像は、輝度の上限と下限が決まっているため、試料から得られる反射光や散乱光が(b)のように強い場合、すなわち、欠陥が大きい場合には飽和状態802が生じる。特徴量抽出プログラム742は、このような輝度分布をもつ画像から欠陥の特徴量を抽出する。特徴量F01は、(a)ではピーク801の輝度、(b)では飽和状態802の輝度である。特徴量F02は、(a)、(b)ともにピークや飽和状態に関係なく、画像が有する輝度の総和を計算した値である。特徴量F03は、(a)では飽和状態がないため、ゼロであり、(b)は飽和状態があるので、飽和した部分の面積、すなわち飽和した部分の画素数である。特徴量F04は(a),(b)ともにピークや飽和状態に関係なく、画像が有する輝度の分散を計算した値に、10を積算した値である。特徴量F05は、(a)では輝度分布の積分値であるが、(b)では飽和状態を考慮した推定値となる。飽和状態は、試料から得られる反射光や散乱光が強い場合に生じる。そのため、飽和状態802が見られる場合、欠陥の体積は、輝度分布の積分値より大きい。そこで、飽和した部分を除いた輝度分布に、ガウス曲面ないしは二次曲面を近似し、近似した曲面の積分値を特徴量F05の値とする。この例では、欠陥検査データ501が有する特徴量F01,F02,F03,F04,F05について説明したが、この他にも欠陥部位の周囲長や欠陥部位の縦横比など様々な特徴量を抽出してもよい。
【0016】
図7は、検出可否予測プログラム242を実行した結果の一例を示す図である。検出可否予測データ502は、前記欠陥検査データ501に、走査電子顕微鏡で各欠陥を検出できない確率を予測した値409,411と、検出可否の予測結果410,412を加えたデータである。ただし、ここでは紙面の都合で、特徴量404から408は省略した。検出可否予測データ502は、図17に示す欠陥検査・解析データテーブル500に記録される。
【0017】
409と411は、走査電子顕微鏡で各欠陥を検出できない確率を予測した結果である。409は加速電圧を1kVに設定した場合に各欠陥を検出できない確率、411は加速電圧を30kVに設定した場合に各欠陥を検出できない確率である。
【0018】
予測処理を、本実施例ではロジスティック回帰モデルを使用して説明する。
走査電子顕微鏡で、ある欠陥を検出できない確率Pを予測するために、欠陥検査データ501に含まれる欠陥の特徴量の群x=(x,x,…,x)を採用する。欠陥の特徴量の群x=(x,x,…,x)である条件のもとで、ある欠陥が検出できない現象が発生する条件付き確率Pを、
【0019】
【数1】

【0020】
という関数Fを用いてモデル化する。ここで、
(1)N個の説明変数の影響を線形な合成変数
【0021】
【数2】

【0022】
(2)関数FにZのロジスティック関数
【0023】
【数3】

【0024】
とした(1)、(2)が次のロジスティック回帰モデル式のモデルである。
(3)ロジスティック回帰モデル式
【0025】
【数4】

【0026】
ロジスティック回帰モデルは(−∞〜∞)の変動範囲を持つ独立変数の合成変量Zと範囲(0,1)に値をもつ確率Pとをロジスティック関数でリンクさせたモデルである。
この式を変形すると、
【0027】
【数5】

【0028】
となる。
【0029】
図7の409と411は、数4の式に基づいて計算された結果である。この実施例では、N=4として、係数a,a,a,a,bには、図8に示す予測式係数データテーブル520に登録された係数をそれぞれ代入する(係数の算出方法は後述する)。522は、加速電圧を1kVに設定した場合の係数、523は、加速電圧を30kVに設定した場合の係数である。この例では、特徴量F01は検出可否の予測には必要がないために説明変数として使用せず、特徴量F02,F03,F04,F05を用いている。
【0030】
410と412は、検出可否の予測結果である。410は、加速電圧を1kVに設定した場合の予測結果、412は、加速電圧を30kVに設定した場合の予測結果である。410は、409が50%以上の場合に「invisible」、50%未満の場合に「visible」と予測した結果である。同様に412は、411が50%以上の場合に「invisible」、50%未満の場合に「visible」と予測した結果である。この例では、上述のように、ロジスティック回帰式で確率を計算し、50%をしきい値として「invisible」と「visible」を判定したが、この限りではない。例えば、ロジスティック回帰式の代わりに、ニューラルネットワークのようなパターン認識アルゴリズムを適用してもよい。また、50%をしきい値として「invisible」と「visible」の判定をするのではなく、しきい値をその都度、最適化してもよい。また、この例では、409と411に走査電子顕微鏡で検出できない確率を用いたが、逆に、走査電子顕微鏡で検出できる確率を用いてもよい。走査電子顕微鏡で検出できる確率は、数4のexpの後ろの大括弧の中の正負を反転すれば計算できる。
【0031】
図9は、サンプリングプログラム243を実行した結果の一例である。サンプリングデータ503は、検出可否予測データ502にサンプリング結果413を加えたデータであり、欠陥検査・解析データテーブル500に格納される。ただし、ここでは紙面の都合で、特徴量404から408と、走査電子顕微鏡で検出できない確率409、411は省略した。413は、検出可否予測データ502が有する多数の欠陥の座標から、走査電子顕微鏡で検出できない確率409,411の値が所定値のものをランダムに選んだ欠陥にマークを付けたデータである。空白は、その欠陥がレビュー作業の対象として選ばれなかったことを意味し、逆に何かしら記された欠陥は、レビュー作業を行うために選ばれたことを意味する。「1kV Review」は、走査電子顕微鏡で加速電圧を1kVに設定して画像を撮像することを表わす。
【0032】
「1kV Alignment」は、走査電子顕微鏡で加速電圧を1kVに設定して画像を撮像することを表わすとともに、撮像した画像を特許文献2で開示された方法で座標系のアライメントに活用することを表わす。座標系のアライメントとは、欠陥検査装置及び走査電子顕微鏡のステージ座標系と半導体ウエハ座標系の間のアライメントである。ステージ座標系とは装置のステージの移動する軸に応じて定められる装置固有の座標系である。半導体ウエハ座標系とは、半導体ウエハ個々に定められる座標系であり、パタンが形成された半導体ウエハの場合、一般には、パタンのダイに沿って定められる。また、パタンの無い半導体ウエハの場合、半導体ウエハの外形とVノッチあるいはオリエンテーションフラットとの位置関係から定められる。欠陥検査装置及び走査電子顕微鏡のステージ座標系と半導体ウエハ座標系の間のアライメントを、半導体ウエハ上の同様の位置にてそれぞれ実施すれば、欠陥検査装置による検査と走査電子顕微鏡によるレビューにおける座標系は一致する。しかし、実際には欠陥検査装置から出力される欠陥検査データには、検査時の半導体ウエハアライメント誤差や欠陥検出位置の誤差が含まれている。そのため、走査電子顕微鏡において半導体ウエハアライメントを実施しても、必ずしも所望の欠陥が視野に入らない場合があった。そのため、欠陥座標の誤差の修正を行う場合には、まず、欠陥検査装置から出力された欠陥座標の位置に、走査電子顕微鏡の観察視野の中心を移動し、観察視野の領域近傍に存在する欠陥を探索し、検出された欠陥の位置を指定する。このような動作を1回あるいは複数回繰り返す。そして、指定された実際の欠陥位置座標と欠陥検査装置から出力された欠陥座標の誤差が最小となるように座標変換を施す。
【0033】
図9のサンプリング結果413の「30kV Review」は、走査電子顕微鏡で加速電圧を30kVに設定して画像を撮像することを表わす。これは、通し番号が15番の欠陥は、410の予測結果が「invisible」であるが、412の予測結果が「visible」であるため、加速電圧を30kVに設定することを表わす。「Optical Review」は、走査電子顕微鏡では加速電圧を30kVに設定しても検出できないため、光学顕微鏡で画像を撮像することを表わす。ここで、光学顕微鏡は、走査電子顕微鏡601が有する光学系を用いてもよいし、走査電子顕微鏡601とは異なる光学系を有するなんらかの装置を用いても良い。
【0034】
図10は、画像撮像プログラム244ならびに欠陥分類プログラム246を実行した結果の一例である。分類結果データ504は、サンプリングデータ503に欠陥分類結果414と、撮像した画像の保存先415を加えたデータであり、欠陥検査・解析データテーブル500に格納される。ただし、ここでは紙面の都合で、特徴量404から408と、走査電子顕微鏡で検出できない確率409,411は省略した。画像撮像プログラム244は、413に記された内容に従って、走査電子顕微鏡ないしは光学顕微鏡で欠陥部位を撮像する。413に「1kV Review」や「1kV Alighnment」と記された欠陥は、電子光学系201〜213で加速電圧を1kVに設定して画像を撮像して、415で指定される保存先に画像を保存する。「30kV Review」と記された欠陥は、電子光学系201〜213で加速電圧を30kVに設定して画像を撮像して、415で指定される保存先に画像を保存する。「Optical Review」と記された欠陥は、光学系221〜226で画像を撮像して、415で指定される保存先に画像を保存する。この例では、415の保存先は、401の欠陥の通し番号を基に、採番されている。次に撮像された画像に対して、欠陥分類プログラム246で、欠陥をその種類ごとに分類する。具体的には、特許文献3に開示されているように、ルールベース型の欠陥分類エンジンと学習型の欠陥分類エンジンを多段階に組み合わせて欠陥を分類すると分類性能が高いことが知られている。
【0035】
図11は、本発明の機能を導入した走査電子顕微鏡で行われるレビュー作業の処理手順を説明するフローチャートの一例を示す図である。ステップ321では、欠陥検査データ入力プログラム241を用いて、座標と特徴量を有する欠陥検査データ501を欠陥検査装置601から欠陥検査・解析データテーブル500へ読み込む。
【0036】
ステップ322では、検出可否予測プログラム242を用いて、座標毎、加速電圧毎に走査電子顕微鏡での検出可否を予測する。すなわち、欠陥検査データ501を検出可否予測データ502に変換する。検出可否予測プログラム242による処理を、図18に示すフローチャートにより説明する。
【0037】
欠陥検査データ501より最初に処理する欠陥座標を特定しS1011、特定された欠陥座標において撮像された画像より欠陥検査装置で抽出された欠陥の特徴量データから、後述する図16のユーザインタフェースを介してユーザが選択した特徴量のデータを、欠陥検査・解析データテーブル500より入力するS1012。
【0038】
検出条件別(加速電圧が1kV,30kVなどの条件)に、該当欠陥を検出できない確率P(または、検出できる確率1−P)を、前記したロジスティック関数(数4)、数2式を使用して算出する。ここで、数2式の係数a,a,………,a,bには予め検出可否学習プログラム247により算出(後述)されて予測式係数データテーブル520に格納されている該当値を読み出し、および説明変数(x,x,…,x)にはS1012にて入力された欠陥の特徴量を代入して、特定された欠陥を検出条件別に検出できない確率Pを算出して、欠陥検査・解析データテーブル500に記録するS1013。
【0039】
続いて、S1013で算出した欠陥を検出できない確率Pを、所定の、または最適化して求めたしきい値を使って、検出可否の予測結果を求めて、欠陥検査・解析データテーブル500に記録するS1014。
【0040】
そして、次の計算対象の欠陥座標がある場合(S1015)は、次の計算対象の欠陥座標を特定して(S1016)、S1012からの処理を繰り返し、もし次の計算対象の欠陥座標が無い場合には、検出可否予測プログラム242の処理を終了させる。
【0041】
図11のステップ323では、サンプリングプログラム243を用いて、アライメント用の座標や観察対象の座標を選び出す。すなわち、検出可否予測データ502をサンプリングデータ503に変換する。ここで、各欠陥座標をサンプリングする処理の仕様は、走査電子顕微鏡の機種、処理対象のウエハの品種、ユーザの要請などに応じて様々に変わりうるので、サンプリング処理前に、ユーザによってプログラム仕様を設定することになる。
【0042】
次に、ステップ324では、サンプリングデータ503の413に「1kV Alignment」と記された欠陥の座標だけ先行して、画像撮像プログラム244を用いて電子光学系201〜213を用いて画像を撮像する。
【0043】
ステップ325では、ステップ324で撮像した画像を基に、アライメントを行う。すなわち、撮像した画像に、確実に欠陥が写り込むように、駆動ステージ207と欠陥検査データ501の座標系のオフセットを計算する。
【0044】
次に、ステップ326では、サンプリングデータ503の413に「1kV Review」「30kV Review」「Optical Review」と記された欠陥の座標に対して、画像撮像プログラム244を用いて画像を撮像する。「1kV Review」と記された欠陥の座標は、加速電圧を1kVに設定して電子光学系201〜213で画像を撮像する。「30kV Review」と記された欠陥の座標は、加速電圧を30kVに設定して電子光学系201〜213で画像を撮像する。「Optical Review」と記された欠陥の座標は、光学系221〜226で画像を撮像する。
【0045】
次に、ステップ327では、欠陥分類プログラム246を用いて、座標毎に欠陥の種類を分類する。
【0046】
図12は、走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。GUIプログラム248が描く画面901は、検出可否予測プログラム242による検出可否予測結果502を表示している。915は試料であるウエハの外周を意味する。916は試料の方向を定義するためのノッチである。多数の黒打点917は、911から914で指定した検出可否予測結果が有する欠陥の座標群である。911で試料の通し番号、912で試料を検査した工程名を指定している。913で表示する欠陥の条件を選択する。この例では、「Visible(1kV)」がチェックされているので、加速電圧1kVの条件で走査電子顕微鏡で検出できると予測された欠陥の座標を表示している。また、914でこの例のようにウエハマップを描くか、ウエハ内のダイマップを描くか選択する。また、この例では、ウエハ内のダイのレイアウトを表示しない条件が選択されている。このように、本発明に係る走査電子顕微鏡では、検出可否予測プログラム242を有することで、設定する加速電圧に対する検出可否予測結果でウエハマップの表示を切り換えることができる。
【0047】
図13は、走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。GUIプログラム248が描く画面902は、画像撮像プログラム244、欠陥分類プログラム246で得られた分類結果データ504のうち、通し番号が15番の欠陥の情報を表示している。924の四角い枠の中に撮像された画像が表示されている。この例では、回路パターン925の下層に欠陥926が検出されている様子がわかる。921は、表示している欠陥の座標である。922は、分類結果データ504の413に記された情報である。923は、分類結果データ504の414に記されたクラスである。このように、本発明に係る走査電子顕微鏡では、検出可否予測プログラム242を有することで、異なる検出条件、すなわち異なる加速電圧を自動的に設定して走査電子顕微鏡の画像を撮像することができ、その条件も画像と一緒に表示することができる。
【0048】
図14は、走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。GUIプログラム248が描く画面903は、分類結果データ504をモザイク図931として集計した結果を表示している。モザイク図931の横軸は、情報413から生成される検出条件、すなわち「1kV Review」と「1kV Alignment」を「1kV」、「30kV Review」を「30kV」、「Optical Review」を「Optical」のように定めて区分している。縦軸は、欠陥分類の結果414のクラスである。この例では、加速電圧1kVに設定して電子光学系で撮像された欠陥は、「Particle」が一番多く、続いて「Dimple」や「Pattern」が多いことがわかる。また、加速電圧30kVに設定して電子光学系で撮像された欠陥は、「Under」が一番多く、続いて「Pattern」が多い。また、黒く塗りつぶした「False」すなわち欠陥を検出できなかった画像も撮像されていることがわかる。このように、本発明に係る走査電子顕微鏡では、検出可否予測プログラム242を有することで、異なる検出条件、すなわち異なる加速電圧を自動的に設定して走査電子顕微鏡の画像を撮像することができ、検出条件ごとに欠陥分類結果を集計できる。
【0049】
図15は、検出可否学習プログラム247に入力する検出可否結果データの一例である。検出可否結果データ505は、検出可否予測プログラム242を使わずに、欠陥検査データからランダムに座標を選び、選ばれた座標に対して、加速電圧1kVないしは加速電圧30kVを設定して走査電子顕微鏡で画像を撮像し、欠陥の検出可否を評価した結果である。検出可否結果データ505は、1枚のウエハの検査結果だけではなく、複数のウエハを検査した結果であることが望ましい。検出可否結果データ505は、欠陥検査データが有する特徴量404,405,406,407,408と走査電子顕微鏡の検出条件416、走査電子顕微鏡での検出可否評価結果417を有する。
【0050】
図16は、走査電子顕微鏡のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。GUIプログラム248が描く画面904では、検出可否学習プログラム247を呼び出して予測式の係数を計算している。941には、検出可否結果データ505が有する特徴量の名前が表示され、その中から予測式に使う特徴量の名前を選択できる。この例では、特徴量F02,F03,F04,F05が選ばれた様子が表示されている。特徴量の名前を選択後、ボタン942をマウスでクリックすることで、検出可否学習プログラム247が呼び出されて、416の検出条件ごとに、多重ロジスティック回帰分析が行われる。
【0051】
図19に検出可否学習プログラム247の処理のフローチャートを示す。本プログラムの入力となる検出可否結果データ505は、本プログラムの起動により、欠陥検査装置から新たに欠陥検査をした特徴量データを、ネットワークインターフェース234を介して収集して、欠陥検査・解析データテーブル500に登録されるか、または、既に欠陥検査・解析データテーブル500に登録されている欠陥検査データが読み出されて使用される。この場合に、検出条件416と、検出可否評価結果417の各欄のデータは、検出可否結果データに対応した欠陥を、ユーザが走査電子顕微鏡の観察を実施した結果を入力して作成することになる。(S1021)
図16のグラフィカルユーザインターフェースよりユーザが選択した特徴量を受付ける。(S1022)
続いて、ロジスティック回帰式の係数を算出する。
数4に示したロジスティック回帰モデル式は、走査電子顕微鏡でウエハ上のある欠陥を検出できない事象が起こる確率Pを説明するN個の説明変数の群x=(x,x,…,x)、ある欠陥を検出できない事象が起こる場合にY=1、ある欠陥を検出できる場合にはY=0となる2値の確率変数Yに適用される。
【0052】
数2の線形結合の係数を、a=(a,a,……,a,b)とベクトル表現に示す。aを推定するために、独立なn個の標本を収集したとする。
(1) 2値の確率変数Yのベクトル:Y=(Y,Y,……,Y n×1
(2) 確率変数Yの観測値ベクトル:y=(y,y,……,y n×1
(3) 説明変数の行列 :X=(x,x,……,x n×N
(4) 第i標本の説明変数ベクトル:x=(xi1,xi2,……,xiN N×1
と表わすと、確率変数Yの観測値がyとなる確率は
【0053】
【数6】

【0054】
となる。この確率を観測値yが与えられた条件のもとでパラメータaの関数として、
【0055】
【数7】

【0056】
としたものが尤度と呼ばれている。
【0057】
モデルに含まれるパラメータ数Nに比較して標本数nが十分に大きい場合(nがNの4〜5倍以上)には、この尤度を最大にする最尤法により、真のパラメータ値に漸近的に近い値が得られる。
【0058】
例えば、非特許文献1に記載される最尤法を使用して、S1022においてユーザにより選択されたN個の特徴量を説明変数として、S1021において作成された検出可否結果データを標本として、パラメータa=(a,a,……,a,b)を推定する(S1023)。
【0059】
前記のロジスティック回帰式の係数の算出に使用された、各特徴量データ毎にカイ二乗検定を行う。各特徴量データ毎に過去の実績値の正規分布のデータが得られているものとする。各特徴量毎に、値域をm領域に分け、標本数n個の検出可否結果データ505が各値域領域のいずれかに観測度数として振り分けられる。また、過去の実績値の正規分布のデータに従って、n個の標本数が各値域領域に振り分けられる期待度数が求められる。
【0060】
観測度数と期待度数の食い違いの程度を測る尺度として、
【0061】
【数8】

【0062】
を用いる。過去の実績値の正規分布が正しくて、標本数nが十分大きければ、Zは自由度νのχ分布をする。自由度νのχ分布データを使用して、算出したZより、上側確率Pを求める(S1024)。
【0063】
前記算出したロジスティック回帰式の係数a,a,……,a,bの値、および各特徴量データ毎にカイ二乗検定を行った結果を図16に示すグラフィカルユーザインターフェースに表示する(S1025)。
【0064】
図16の943には、検出条件別に、941で選択した各特徴量が検出可否の予測に必要か否かが表示されている。この例では、p値、すなわちカイ二乗検定による有意確率が、F02,F03,F04,F05ともに0.05以下になっているため、これらの選んだ特徴量を使うことで精度のよい予測を実現できることを意味している。520は検出可否学習プログラム247によって計算された予測式の係数である。
【0065】
上記した図16の表示をユーザは検証して、特徴量の選定は妥当か、および予測式の係数を有効とするか否かを判断して、以下の指示を入力する(S1026)。
【0066】
予測式の特徴量を見直す場合は、941よりユーザが特徴量を選択し直した入力を受付けて(S1028)、S1023からS1025の処理を繰り返す。
ユーザが特徴量の選定は妥当であり、予測式の係数を有効とすると判断して、ボタン944をマウスでクリックする指示をした入力を受付けて、算出されたロジスティック回帰式の係数a,a,……,a,bを、検出条件ごとに分けて、予測式係数データテーブル520に格納する(S1027)。
【実施例2】
【0067】
実施例1では、走査電子顕微鏡に設定する加速電圧として、1kVと30kVの二者択一の例を説明した。実施例1では、加速電圧を1kVに設定した場合と、加速電圧を30kVに設定した場合とで、図8の予測式係数データテーブル520のように、それぞれ異なる係数で、異なる予測式を活用した。
【0068】
実施例2では、二者択一ではなく、適切な加速電圧を予測する方法について説明する。実施例2では、数2の説明変数に加速電圧を加えて数式の係数を生成する。すなわち、実施例1では、数2のx1からxNに欠陥検査データ501が有する特徴量を代入するが、実施例2では、x1からxN−1に特徴量を代入し、xNは加速電圧の項とする。
【0069】
数9は、数5の加速電圧の項、すなわちxNを計算する数式に変換した数式である。
【0070】
【数9】

【0071】
数9の各係数は、実施例1における数5の各係数とほとんど同じように学習するが、学習のために用いる検出可否結果データ505は、416に示した1kVと30kVの2種類だけではなく、より多くの加速電圧の場合についても検出可否を評価して入力することが望ましい。
【0072】
数9を用いて、適切な加速電圧を予測するためには、欠陥検査データから得られる特徴量と、予測式の係数と、さらに任意の予測可否の確率を変数Pに入力する。たとえば、走査電子顕微鏡で検出できない確率を10%と定めて、数9の変数Pに10を代入する。この結果、x、すなわち適切な加速電圧が計算され、計算された加速電圧を走査電子顕微鏡に設定して画像を撮像すればよい。
【実施例3】
【0073】
実施例3では、検出可否予測プログラム242を欠陥検査装置601で活用する一例を説明する。すでに図3で説明したように、検出可否予測プログラム242は、欠陥検査装置601が有する二次記憶装置724に格納しておくことで活用できる。その場合、検出可否結果データ505を走査電子顕微鏡600から取り込む必要がある。そのため、欠陥検査装置601の二次記憶装置724には、検出可否入力プログラム743が必要となる。
【0074】
欠陥検査装置601で検出可否予測プログラム242を活用する方法として、実施例1のように、画像を撮像する条件に活用してもよいが、欠陥検査装置601から出力する欠陥座標データ501のフィルタリングに活用することもできる。具体的には、欠陥座標データ501のうち、走査電子顕微鏡では検出できない欠陥の座標を出力しない。その場合、欠陥検査装置601の中で、予測結果502を計算し、走査電子顕微鏡で検出できない確率が高い欠陥の座標、たとえば、409の検出できない確率が70%以上の欠陥の座標を出力しないようにする。
【符号の説明】
【0075】
201…電子源、202…加速電極、203…集束レンズ、204…偏向器、205…対物レンズ、206…試料(例えばウエハ)、207…駆動ステージ、208…一次電子、209…二次電子信号、210…二次電子検出器、211…デジタル変換部、212a、212b…反射電子検出器、213…反射電子信号、221a、221b…光源、222a,222b,222c…反射ミラー、223…集光レンズ、224…ビームスプリッタ、225a,225b…光電変換部、226…デジタル変換部、230…バス、231…全体制御部、232…CPU、233…一次記憶装置、234…ネットワークインターフェース、235…キーボード、236…マウス、237…ディスプレイ、238…二次記憶装置、241…欠陥検査データ入力プログラム、242…検出可否予測プログラム、243…サンプリングプログラム、244…画像撮像プログラム、245…アライメントプログラム、246…欠陥分類プログラム、247…検出可否学習プログラム、248…GUIプログラム、321…欠陥検査データの読み込みステップ、322…検出可否予測ステップ、323…座標サンプリングステップ、324…アライメント用の画像撮像ステップ、325…アライメントステップ、326…レビュー用の画像撮像ステップ、327…欠陥分類ステップ、401…欠陥の通し番号、402…X座標、403…Y座標、404…特徴量F01、405…特徴量F02、406…特徴量F03、407…特徴量F04、408…特徴量F05、409,411…検出できない確率、410,412…検出可否の予測結果、413…検出条件、414…欠陥分類したクラス、415…画像の保存先、416…検出条件、417…検出可否結果、421…試料の外枠、422…ノッチ、423…X座標軸、424…Y座標軸、425…欠陥の打点、500 欠陥検査・解析データテーブル、501…欠陥検査データ、502…検出可否予測結果、503…サンプリングデータ、504…分類結果データ、505…検出可否結果データ、520…予測式係数データテーブル、522,523…予測式の係数、600…走査電子顕微鏡、601…欠陥検査装置、602…ネットワーク、701a,701b…光源、702a,702b,702c…反射ミラー、703…集光レンズ、704…ビームスプリッタ、705a,705b…光電変換部、706…デジタル変換部、707…駆動ステージ、720…バス、721…全体制御部、722…CPU、723…一次記憶装置、724…二次記憶装置、725…ネットワークインターフェース、726…キーボード、727…マウス、728…ディスプレイ、741…欠陥座標検出プログラム、742…特徴量抽出プログラム、743…検出可否入力プログラム、744…GUIプログラム、801…輝度分布のピーク、802…輝度分布の飽和状態、901,902,903,904…画面、911…試料の通し番号、912…検査の工程名、913,914…表示条件選択、915…試料の外枠、916…ノッチ、917…欠陥の打点、921…欠陥の座標、922…検出条件、923…欠陥分類結果のクラス、924…画像、925…回路パターン、926…下層欠陥、931…モザイク図、941…特徴量の選択条件、942,944…実行ボタン、943…特徴量ごとの有意確率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥検査装置が試料上の欠陥座標を検出した情報を入力して、該欠陥を解析するための観察画像を撮像する機能を有する走査電子顕微鏡において、
前記欠陥検査装置が検出した複数の欠陥の座標と共に、欠陥検出画像の特徴量を入力する機能と、
該特徴量を用いて走査電子顕微鏡での加速電圧の設定条件、観察画像における欠陥の検出可否を欠陥毎に予測する機能と、
予測結果に基づいて入力された座標群の中からアライメントおよび観察対象の複数の座標を選択する機能と、
選択された複数の各座標に対して、検出可と予測された加速電圧を設定して画像を撮像する機能と
を有することを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項2】
予め、測定試料上の欠陥座標に対して検出可能な加速電圧を確認した撮像結果を加えた標本データを収集し、
欠陥が検出できない事象が起こる確率と、画像より得られた特徴量とにより作成したロジスティック回帰式の係数を、前記標本データに基づいて算出する機能を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡。
【請求項3】
前記走査電子顕微鏡に光学顕微鏡を併設して備え、
前記の画像を撮像する機能は、前記の検出可否の予測結果に基づいて、欠陥毎に電子光学系と光学系のいずれかを選択して画像を撮像することを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡。
【請求項4】
ユーザに対してグラフィカルユーザインターフェースを提示して、
特徴量の一覧より予測式に使う特徴量をユーザが選択することを受付けて、前記選択された特徴量を使用してロジスティック回帰モデルを作成し、前記ロジスティック回帰式の係数を算出した結果をユーザに提示する、および前記選択された各特徴量の標本データが検出可否の予測に有効か否かの検定結果を提示する機能を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の走査電子顕微鏡。
【請求項5】
前記欠陥の検出可否を予測する機能において、加速電圧の設定条件が所定の複数の規定値の中から選択するのに替えて、最適な加速電圧を前記特徴量から計算し、
前記画像を撮像する機能において、所定の複数の規定値の中から検出可と予測された加速電圧に替えて、前記計算された最適な加速電圧を設定して画像を撮像する
ことを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡。
【請求項6】
試料上の欠陥の座標を検出する欠陥検査装置と該座標の観察画像を撮像する走査電子顕微鏡とがネットワークを介して接続され、
欠陥検査装置が欠陥の座標を検出するときに得られる画像の特徴量を用いて走査電子顕微鏡での加速電圧の設定条件、観察画像における欠陥の検出可否を欠陥毎に予測する機能と、
予測結果に基づいて、欠陥検査装置により検出された座標群の中からアライメントおよび観察対象の複数の欠陥を選択する機能と、
選択された複数の各座標に対して、走査電子顕微鏡で検出可と予測された加速電圧を設定して画像を撮像する機能と
を有することを特徴とする欠陥検査システム。
【請求項7】
試料上の欠陥の座標を検出する機能と、
欠陥の座標を検出するときに得られる欠陥画像から特徴量を算出して、各欠陥を走査電子顕微鏡で観察画像より検出する場合の加速電圧の条件と、検出可否とを、前記特徴量を使用して欠陥毎に予測する機能と、
予測結果に基づいて、走査電子顕微鏡で検出できる確率が高い欠陥の座標を出力する機能と
を有することを特徴とする欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−19866(P2013−19866A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155838(P2011−155838)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】