走行支援システム、走行支援方法
【課題】道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内を可能とする走行支援技術を提供する。
【解決手段】走行支援システムは、道路の交通状況に関する交通情報を取得し、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、施設にアクセス可能な道路に対する道路リンクIDと対応付けて記憶し、車両の現在位置から施設に至るまでの経路を探索し、道路リンクIDを用いて、経路の交通状況を示す案内情報を生成し、案内情報を利用者へ提示する。
【解決手段】走行支援システムは、道路の交通状況に関する交通情報を取得し、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、施設にアクセス可能な道路に対する道路リンクIDと対応付けて記憶し、車両の現在位置から施設に至るまでの経路を探索し、道路リンクIDを用いて、経路の交通状況を示す案内情報を生成し、案内情報を利用者へ提示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内や交通情報を表示するナビゲーション装置が知られている。さらに、このようなナビゲーション装置において、利用者の現在位置の周辺に存在する施設(周辺施設)を検索、案内する機能が知られている。このような経路案内や周辺施設案内において、地図情報に基づいて特定の施設のある領域を検索するとともに、特定施設集中度を表示させることによって、周辺施設の周囲の領域の特定施設集中度を把握することができるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109146号公報
【0004】
上記従来技術では、渋滞の発生が予測される特定施設を決定し、当該特定施設が存在する領域を予測渋滞領域として設定することで、渋滞予測をしている。このため、特定施設(例えば、デパート)が所定の範囲内に集中している領域は、道路の実際の交通状況にかかわらず、「渋滞」と見なされてしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内を可能とする走行支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
道路上を走行する車両のための走行支援システムであって、道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に対応付けて記憶されている施設データ記憶部と、前記車両の現在位置から前記施設に至るまでの経路を探索する経路探索部と、前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する案内情報生成部と、前記案内情報を前記走行支援システムの利用者へ提示する情報提示部と、を備える走行支援システム。
こうすれば、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データと、道路の交通状況(例えば、渋滞や交通規制等)に関する交通情報を対応付けることができる。そのため、走行支援システムは、利用者に対して、周辺施設に至るまでの各経路の交通状況を提示することができる。道路の交通状況に関する交通情報は、道路の実際の交通状況をもとにして作成されているため、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の走行支援システムであって、前記道路リンクIDは、双方向通行可能な道路に関しては、進行方向が互いに逆である第1の道路部分と第2の道路部分とに対してそれぞれ異なるID値が割り当てられており、前記施設データは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示すアクセス情報を含んでおり、前記案内情報生成部は、前記双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられた前記道路リンクIDに関する前記交通情報と、前記車両から当該施設への経路に前記第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて前記案内情報を生成する走行支援システム。
こうすれば、施設データには、双方向通行可能な道路に面する施設に関して、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かの情報(アクセス情報)が含まれる。このため、例えば、道路の上り方向に施設が隣接しており、下り方向のみが渋滞している場合等における、走行支援システムの誤判断を抑制することができる。さらに、例えば、利用者が目的施設付近まで走行したにもかかわらず、道路の中央分離帯が存在するために、当該施設へアクセスできないといった事態を抑制することもできる。これらの結果、道路の実際の交通状況に基づいた、より信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
[適用例3]
適用例1または2記載の走行支援システムであって、前記施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる場合には、前記施設にかわる代替施設を探索する代替施設探索部をさらに備えており、前記情報提示部は、前記代替施設に関する情報を前記利用者へ提示する走行支援システム。
こうすれば、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設にかわる代替施設に関する情報(例えば、施設データや道路の交通状況)を得ることができる。
【0009】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、走行支援システム、走行支援装置、走行支援サーバ、走行支援方法のほか、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としての案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図2】記憶部に格納されたデータベースの内容を説明する図である。
【図3】施設とVICSリンクとの対応付けについての説明図である。
【図4】施設データベースの例を示す説明図である。
【図5】走行支援システムにおける周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】周辺検索処理についての説明図である。
【図7】第2実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【図8】第3実施例における案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図9】第3実施例における施設データベースの例を示す説明図である。
【図10】第3実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3実施例における関連データベースの例を示す説明図である。
【図12】第4実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第4実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【図14】第5実施例における案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図15】第5実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第5実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.変形例:
【0012】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての案内端末200の概略構成を示す説明図である。道路上を走行する車両のための走行支援システムとしての案内端末200は、現在地検出部201と、表示パネル202と、VICS受信部203と、音声出力部204と、入力部205と、記憶部206と、主制御部210とを備えている。本実施例における案内端末200は、自動車に搭載され、利用者に対して地図をはじめとする交通情報を表示し、経路案内を行うカーナビゲーションシステムである。
【0013】
現在地検出部201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。なお、現在地検出部201として、GPSの他にジャイロセンサ等を用いても良い。表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。音声出力部204は、利用者への案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路等から構成される。入力部205は、方向入力キー205aや、その他の操作キー205b等のキー群から構成される。案内端末200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0014】
交通情報取得部としてのVICS受信部203は、VICS(Vehicle Information and Communication System/VICSは登録商標)から提供される道路の交通状況に関する交通情報を取得するための受信部である。この交通情報は、例えば、高速道路や一般道路における渋滞情報や規制情報(事故、工事、災害、気象条件等による規制情報)等である。VICSからの情報は、道路を表すVICSリンクを識別するための固有の道路リンクID(VICSリンク番号)を用いて、例えば、電波ビーコンや、光ビーコン、FM多重放送によって提供される。
【0015】
記憶部206は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカード等で構成され得る。記憶部206には、地図データベース207と、経路データベース208と、施設データベース209とが格納されている。各データベース207〜209についての詳細は後述する。記憶部206には、前述の各種データベースの他に、案内端末200を動作させるための各種データが格納される構成としても良い。また、案内端末200の利用者が任意に種々のデータを格納することが可能な構成としても良い。主制御部210は、案内端末200の上述した各部201〜206を制御するためのコントローラである。主制御部210は、図示しないCPUと、ROMやRAM等の内部記憶装置とを含んでいる。主制御部210は内部記憶装置(RAMまたはROM)に格納されている各種のプログラムを実行することにより、経路探索部211と、施設検索部212と、案内情報生成部213としての機能を実現する。
【0016】
図2は、記憶部206に格納されたデータベースの内容を説明する図である。図2には、上述した地図データベース207と、経路データベース208と、施設データベース209の内容がそれぞれ概念的に示されている。
【0017】
地図データベース207には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に変えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式等のラスタデータ形式で格納されるものとしても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0018】
経路データベース208には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路(道路ネットワーク)のうち、車が通行可能な経路(以降、「車道」とも呼ぶ。)に関する経路データが格納されている。この経路データは、交通経路の地表上における配置を示す道路ネットワークデータと、道路ネットワークデータに関連付けられた経路属性情報とを含んでいる。道路ネットワークデータは、交通経路における要素点ND(以降、「ノード」とも呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分LK(以降、「リンク」とも呼ぶ。)を表すリンクデータを含む。ノードNDは、例えば、交差点、T字路、分岐点、始点、終点等を表している。リンクLKは、例えば、上述した車道等の交通経路を表している。経路属性情報は、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられており、その属性を表す情報である。経路属性情報は、図2に示すように、例えば、リンクLKの名称(例えば、道路の名称、車線数、制限速度)、ノードNDの名称(例えば、交差点の名称)を含むテキストデータZ11を含む。1つのノードNDまたはリンクLKに関連付けられる経路属性情報は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0019】
施設データ記憶部として機能する施設データベース209には、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが記憶される。施設データベース209には、施設の存在位置を示す施設ポイントBPと、施設ポイントBPに関連付けられた施設情報とが含まれている。施設情報Z21は、例えば、施設ポイントBPが表す位置に存在する施設の名称等を含む。また、1つの施設ポイントBPに関連付けられる施設情報は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0020】
図3は、施設とVICSリンクとの対応付けについての説明図である。図3では、全ての道路が双方向通行可能な道路であり、VICSリンクと経路データのリンクとが1対1に対応し、かつ、VICSリンクの端点と経路データのノードが共通するものとしている。双方向通行可能な道路には、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分に対してそれぞれ異なるVICSリンク番号が割り当てられている。また、VICSリンクVL3、4には施設SP1が対応付けられている。同様に、VICSリンクVL8には施設SP2が、VICSリンクVL13、14には施設SP3が、VICSリンクVL9には施設SP4が、それぞれ対応付けられている。
【0021】
この対応付けは、VICSリンクから施設へのアクセスが可能な場合に行われる。このため、施設SP1には、VICSリンクVL3またはVICSリンクVL4を経由してアクセス可能であることが分かる。なお、「アクセス可能」とは、施設が単に道路から近い位置に存在することを意味するのではない。例えば、施設が道路から進入可能である状態を、当該施設は道路に「アクセス可能」であると表現している。道路から施設へ進入可能な位置には、通常その施設の広告など、施設の認識が容易となるような情報が存在している。そのため、この情報を案内に利用することも可能である。一方、施設SP4には、VICSリンクVL9からのみアクセス可能である。これは、対向する車線(すなわち、VICSリンクL9、10)の間に中央分離帯等が存在するため、右折不可能であることを意味している。
【0022】
図4は、施設データベース209の例を示す説明図である。本実施例における施設データベース209は、IDフィールドと、名称NMフィールドと、施設ポイントBP情報と、ジャンルCAフィールドと、アクセス情報としての2つのVICSリンク関連情報とを含んでいる。施設ポイントBP情報は、緯度LAフィールドと、経度LOフィールドを含んでいる。VICSリンク関連情報は、VICSリンク番号VNOフィールドと、基点CPフィールドと、位置POフィールドを含んでいる。
【0023】
IDフィールドには、各施設を一意に識別可能な記号が格納される。名称NMフィールドには、施設の名称が格納される。緯度LAフィールドには、施設の緯度が格納される。経度LOフィールドには、施設の経度が格納される。ジャンルCAフィールドには、施設を一定の基準に基づいて分類した際のカテゴリ名称が格納される。なお、本実施例では、1つのジャンルCAフィールドを備える構成としたが、ジャンルに関する情報を複数有する構成とすることもできる。そうすれば、施設を階層的に分類することができるため、利便性が向上する点において好ましい。
【0024】
アクセス情報とは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、当該道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示す情報である。VICSリンク番号VNOフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクを識別するVICSリンク番号が格納される。基点CPフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクの端点となるノードのうち、当該施設の位置を特定するための基点となるノードNDの識別記号が格納される。位置POフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクの距離を100%とした時の、基点CPから当該施設までの距離の割合(%)が格納される。このように、本実施例においては、施設データと当該施設に面した道路に対するVICSリンク番号とが予め直接的に対応付けられている。なお、本実施例におけるアクセス情報は、2つのVICSリンク関連情報であるものとして説明したが、VICSリンク関連情報は1つでも良いし、2つ以上備えるものとしても良い。また、施設データベース209の項目についてはあくまで例示であり、他の情報を含むものとしても良い。
【0025】
図3の例では、施設SP1にはVICSリンクVL3からアクセスすることができる。VICSリンクVL3の基点ノードN5から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているVICSリンクVL3の距離に対して50%の距離である。一方、施設SP1は、VICSリンクVL3と進行方向が互いに逆の道路であるVICSリンクVL4からもアクセスすることができる。VICSリンクVL4の基点ノードN2から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているVICSリンクVL4の距離に対して50%の距離である。このため、施設データベース209のIDフィールドがSP1のエントリは、図4で示した内容となる。
【0026】
図5は、走行支援システムにおける周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図6は、周辺検索処理についての説明図である。まず、主制御部210は、現在地検出部201によって検出された現在位置情報をもとに、車両の現在位置PPと、利用者移動方向PDを特定する(図5:ステップS110)。図6(A)の例では、現在位置PPは、VICSリンクVL13上であり、利用者移動方向PDは、ノードN5へ向かう方向である。
【0027】
次に、施設検索部212は、車両の現在位置から一定の範囲内に存在する施設(以降、「周辺施設群」とも呼ぶ。)を検索する(図5:ステップS120)。具体的には、施設データベース209の緯度LAフィールドおよび経度LOフィールドの値から導かれる施設の位置と現在位置とを比較することで、現在位置の一定範囲内に存在する1つ以上の施設を検索する。図6(A)の例では、周辺施設群として、4つの施設SP1〜SP4が検索されている。なお、ここでは、利用者が道路をUターン、迂回等して施設へ向かう場合を考慮して、利用者が既に通過した施設(施設SP3)も検索対象であるものとしたが、利用者が既に通過した施設は検索対象外としても良い。また、ステップS120では、周辺施設群検索のための条件の入力を利用者から受け付けるものとしても良い。周辺施設群検索のための条件は、例えば、施設のジャンル、施設の検索を行う範囲等にすることができる。
【0028】
次に、経路探索部211は、車両の現在位置PPから周辺施設郡中の各施設に至るまでの各経路を探索する。そして、案内情報生成部213は、周辺施設群にアクセス可能な道路の混雑状況を以下の手順で検索する(図5:ステップS130)。この混雑状況の検索は、ステップS120で検索された施設のそれぞれに対して行う。
(1)施設データベース209中の、当該施設のデータが格納されているエントリのVICSリンク番号VNOフィールドの値を参照する。
(2)(1)で得たVICSリンク番号について、VICS受信部203から取得した交通情報を検索する。
(3)当該施設に対するVICSリンク関連情報が複数存在する場合は、他のVICSリンク関連情報についても(1)、(2)を実行する。
図6(A)の例では、VICSリンクVL3、VL8、VL10のリンク(図中太線)が渋滞している。なお、本実施例においては、施設データとVICSリンク番号が直接的に対応付けられているため、経路探索(ステップS130)は省略可能である。
【0029】
次に、案内情報生成部213は、案内情報を生成する(図5:ステップS140)。この「案内情報」とは、車両の現在位置から周辺施設群中の各施設に至るまでの各経路の交通状況を示す情報である。案内情報は、経路探索部211が探索した経路と、案内情報生成部213が検索した道路の混雑状況をリンクさせることにより生成される。特に、双方向通行可能な道路に面した施設に関しては、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられたVICSリンク番号に関する交通情報と、車両の現在位置から当該施設への経路に、第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて案内情報を生成する。
【0030】
案内情報の生成後、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報を利用者へ提示する(図5:ステップS150)。図6(B)は、利用者へ提示される案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、案内情報として、施設の名称と、施設の所在地と、現在位置PPから施設に至るまでの距離と、現在位置PPから施設に至るまでの経路における渋滞の有無とが表示される。図6(B)の例では、現在位置PPから施設に至るまでの経路が渋滞している施設(施設SP1、SP2)について、表示パネル202に「渋滞」シンボルが表示されている。なお、渋滞の有無だけでなく、渋滞の度合い(やや混雑/混雑/渋滞、等)をレベル表示させるものとしても良い。さらに、現在位置PPから施設に至るまでの距離に代えて、または距離と共に、現在位置PPから施設に至るまでの所要時間を表示させるものとすることもできる。
【0031】
以上のように、第1実施例では、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データと、道路の交通状況(例えば、渋滞や交通規制等)に関する交通情報を対応付けることができる。そのため、走行支援システムは、利用者に対して、周辺施設に至るまでの各経路の交通状況を提示することができる。道路の交通状況に関する交通情報は、道路の実際の交通状況をもとにして作成されているため、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。また、施設データには、双方向通行可能な道路に面する施設に関して、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かの情報(アクセス情報)が含まれる。このため、例えば、道路の上り方向に施設が隣接しており、下り方向のみが渋滞している場合等における、走行支援システムの誤判断を抑制することができる。さらに、例えば、利用者が目的施設付近まで走行したにもかかわらず、道路の中央分離帯が存在するために、当該施設へアクセスできないといった事態を抑制することもできる。このように、利用者は、車中に居ながらにして、周辺施設に関する情報と、途中経路の渋滞有無を知ることができる。このため、利用者は途中経路に渋滞のない施設を選択することで、渋滞を事前に回避することができる。
【0032】
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、案内情報の表示パネル202への表示方法であり、他の構成や動作は第1実施例と同じである。
【0033】
図7(A)は、図6(A)と同じである。図7(B)は、第2実施例において、利用者へ提示される案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、案内情報として、現在位置PP周辺の地図画像が表示される。この地図画像上には、施設の名称と、施設が存在する位置に施設を示すシンボルと、現在位置PPから施設に至るまでの距離と、現在位置PPから施設に至るまでの経路における渋滞の有無とが表示される。図7(B)の例では、施設を示すシンボルの色を変えることにより、途中経路が渋滞していることを表現している。なお、案内情報のうち、施設の名称と、現在位置PPから施設に至るまでの距離とを示す情報ウィンドウは、利用者の選択(例えば、タッチパネル式の表示パネル202において地図画像上の施設を示すシンボルを利用者がタッチすること等)により表示させるものとしても良い。
【0034】
このように、第2実施例における走行支援システムでは、案内情報が地図画像上にシンボル表示される。このため利用者は、施設の存在する方角や距離等を視覚的に捉えやすい。
【0035】
C.第3実施例:
図8は、第3実施例における案内端末200aの概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、施設データベース209aの内容と、関連データベース300を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。
【0036】
図9は、第3実施例における施設データベース209aの例を示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、アクセス情報として、2つのVICSリンク関連情報の代わりに2つのリンク関連情報を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。リンク関連情報は、リンク番号LNOフィールドと、基点LCPフィールドと、位置LPOフィールドを含んでいる。リンク番号LNOフィールドには、施設が対応付けられているリンクを識別するリンク番号が格納される。基点LCPフィールドには、施設が対応付けられているリンクの両端に存在するノードのうち、当該施設の位置を特定するための基点となるノードNDの識別記号が格納される。位置LPOフィールドには、施設が対応付けられているリンクの距離を100%とした時の、基点LCPから当該施設までの距離の割合(%)が格納される。このように、本実施例においては、施設データと当該施設に面した道路に対するリンク番号とが対応付けられている。なお、第1実施例のVICSリンク関連情報と同様に、リンク関連情報は1つでも良く、2つ以上備えるものとしても良い。
【0037】
図3の例では、施設SP1にはリンクL52からアクセスすることができる。リンクL52の基点ノードN5から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているリンクL52の距離に対して50%の距離である。さらに、施設SP1にはリンクL25からもアクセスすることができる。リンクL25の基点ノードN2から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているリンクL25の距離に対して50%の距離である。このため、施設データベース209aのIDフィールドがSP1のエントリは、図9で示した内容となる。
【0038】
図10は、第3実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS130の処理がステップS200の処理に置き換えられている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図11は、第3実施例における関連データベース300の例を示す説明図である。関連データベース300は、リンク番号NOフィールドと、VICSリンク番号VNOフィールドを備えている。関連データベース300は、経路データ上のリンクとVICSリンクとを関連付ける機能を有する。
【0039】
第3実施例では、経路探索部211は、車両の現在位置PPから周辺施設郡中の各施設に至るまでの各経路を探索する。そして、案内情報生成部213は、周辺施設群にアクセス可能な道路の混雑状況を以下の手順で検索する(図10:ステップS200)。
(1)施設データベース209a中の、当該施設のデータが格納されているエントリのリンク番号LNOフィールドの値を参照する。
(2)(1)で得たリンク番号をキーにして関連データベース300のリンク番号NOフィールドの値を検索し、当該リンク番号と関連付けられたVICSリンク番号VNOを取得する。
(3)(2)で得たVICSリンク番号について、VICS受信部203から取得した交通情報を検索する。
(4)当該施設に対するリンク関連情報が複数存在する場合は、他のリンク関連情報についても(1)〜(3)を実行する。
【0040】
このように、第3実施例では、施設データとVICSリンク番号とが予め間接的に対応付けられている。このため、第1実施例と同様に、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
【0041】
D.第4実施例:
図12は、第4実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS140の処理の後に、ステップS300〜S330の処理が追加されている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図13は、第4実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、以下の通りであり、その他については第1実施例と同じである。
・VICSリンクVL3(図13(A)太線)が渋滞している点
・案内情報の表示パネル202への表示方法(図13(B))
【0042】
第4実施例では、経路探索部211は、案内情報の生成(図12:ステップS140)後、各施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設があるか否かを判断する(図12:ステップS300)。当該施設がない場合、ステップS150へ進み、情報提示部としての表示パネル202は案内情報を利用者へ提示する。
【0043】
一方、各施設に至る経路中に道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設がある場合、経路探索部211は、当該施設に至る他の経路(以降、「迂回経路」とも呼ぶ。)を探索する(ステップS310)。図13(A)の例では、施設SP1はVICSリンクVL3からアクセス可能である。しかし、VICSリンクVL3は渋滞中であるため、経路探索部211は、施設SP1へアクセス可能であり、かつ、渋滞していないVICSリンクVL4を経由する迂回経路DR(図中斜線)を探索する。
【0044】
次に、経路探索部211は、迂回情報を生成する(図12:ステップS320)。この「迂回情報」は、迂回経路の有無をはじめとする迂回経路に関する情報であり、例えば、迂回経路の有無、迂回経路を通った場合の施設への距離、迂回経路を通った場合の施設への所要時間等がある。なお、ステップS310、S320は、周辺施設群のうち複数の施設への経路が渋滞している場合、その複数の施設のそれぞれについて行う。
【0045】
迂回情報の生成後、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報と共に迂回情報を利用者へ提示する(図12:ステップS330)。図13(B)はこのとき利用者へ提示される迂回情報および案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、図6(B)で説明した案内情報に加えて、迂回情報ウィンドウDDが表示される。図13(B)の例では、施設に至るまでの経路が渋滞している施設(施設SP1)について、表示パネル202の「渋滞」シンボルの横に迂回情報ウィンドウDDが表示され、迂回経路を通った場合の施設への距離が提示されるものとした。なお、利用者が、迂回情報ウィンドウDDを選択(例えば、タッチパネル式の表示パネル202において所望の迂回情報ウィンドウDDを利用者がタッチすること等)した場合、当該迂回経路に基づく経路案内を行う構成としても良い。また、複数の迂回経路が存在する場合には、複数の迂回経路に対する迂回情報を提示しても良い。
【0046】
このように、第4実施例における走行支援システムでは、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設への迂回情報を得ることができる。
【0047】
E.第5実施例:
図14は、第5実施例における案内端末200bの概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、主制御部210内に代替施設探索部214を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。代替施設探索部214についての詳細は後述する。
【0048】
図15は、第5実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS140の処理の後に、ステップS400〜S430の処理が追加されている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図16は、第5実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、以下の通りであり、その他については第1実施例と同じである。
・図6(A)で例示したよりも広域エリアが検索対象とされている点
・VICSリンクVL3(図16(A)太線)が渋滞している点
【0049】
第5実施例では、案内情報の生成(図15:ステップS140)後、代替施設探索部214は、各施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設があるか否かを判断する(図15:ステップS400)。当該施設がない場合、ステップS150へ進む。
【0050】
一方、各施設に至る経路中に道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設(便宜上、このような施設を「渋滞施設」とも呼ぶ。)がある場合、代替施設探索部214は、当該施設にかわる代替施設を探索する(ステップS410)。この代替施設の探索は、例えば、以下のような手順で行うことができる。
(1)検索範囲をより広域として、ステップS120と同様の周辺施設群検索を行う。
(2)(1)で検索された周辺施設群のうち、渋滞施設と同じジャンルの施設(具体的には、ジャンルCAフィールドの値(図4)が同じ施設)を抽出する。
【0051】
図16(A)の例では、施設SP1への経路は渋滞中である。このため、代替施設探索部214は、検索範囲をより広域として、施設SP1にかわる代替施設SP5、SP6を探索する。次に、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報と共に代替施設に関する情報を利用者へ提示する(図15:ステップS430)。図16(B)はこのとき利用者へ提示される代替施設情報および案内情報の一例を示している。なお、現在位置PPから代替施設に至るまでの経路が渋滞または不通である場合、案内情報と同様に、表示パネル202に「渋滞」シンボルを表示することが好ましい。
【0052】
このように、第5実施例における走行支援システムでは、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設にかわる代替施設に関する情報(例えば、施設データや道路の交通状況)を得ることができる。
【0053】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0054】
F1.変形例1:
上記実施例では、施設は、VICSリンクまたは経路データ中のリンクに対応付けられているものとして説明した。しかし、施設はリンクに限らず、ノードに対応付けられているものとしても良い。
【0055】
F2.変形例2:
上記実施例では、走行支援システムの例として案内端末を例示した。しかし、走行支援システムは、例えば通信カーナビゲーションシステムや携帯電話を用いた経路案内システムのような、クライアント−サーバ型で構成されるものとしても良い。
【0056】
F3.変形例3:
上記実施例では、経路中の好ましくない交通情報の一例として「渋滞」を例示した。しかし、好ましくない交通情報としては「渋滞」に限らず、任意のものを採用することができる。例えば、通行止め等の規制情報とすることができる。
【0057】
F4.変形例4:
上記実施例では、道路の上下線の区別があるリンクを用いる場合について説明した。しかし、道路の上下線の区別がないリンク(道路の上下線が1本のリンクで表現されているリンク)の場合であっても実現することが可能である。この場合、施設データベースに、道路を右折することにより当該施設にアクセス可能であるか否かを表す情報を格納するためのフィールドを設けることが好ましい。
【0058】
F5.変形例5:
上記実施例では、施設の例として飲食店を挙げた。しかし、施設は飲食店に限らず、任意の施設とすることができる。例えば、コンビニエンスストアや、ガソリンスタンド、全国チェーン店、スーパー、駐車場、交番等の公共施設等にしても良い。
【0059】
F6.変形例6:
上記実施例では、案内情報は、画像データとして表示パネルから提示されるものとした。しかし、上記実施例で例示した態様に限らず、例えば、案内情報を音声データとして生成し、音声出力部から出力させることも可能である。また、画像データと音声データとを併用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
200,200a,200b…案内端末、201…現在地検出部、202…表示パネル、204…音声出力部、205…入力部、205a…方向入力キー、205b…操作キー、206…記憶部、207…地図データベース、208…経路データベース、209,209a…施設データベース、210…主制御部、211…経路探索部、212…施設検索部、213…案内情報生成部、214…代替施設探索部、300…関連データベース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内や交通情報を表示するナビゲーション装置が知られている。さらに、このようなナビゲーション装置において、利用者の現在位置の周辺に存在する施設(周辺施設)を検索、案内する機能が知られている。このような経路案内や周辺施設案内において、地図情報に基づいて特定の施設のある領域を検索するとともに、特定施設集中度を表示させることによって、周辺施設の周囲の領域の特定施設集中度を把握することができるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109146号公報
【0004】
上記従来技術では、渋滞の発生が予測される特定施設を決定し、当該特定施設が存在する領域を予測渋滞領域として設定することで、渋滞予測をしている。このため、特定施設(例えば、デパート)が所定の範囲内に集中している領域は、道路の実際の交通状況にかかわらず、「渋滞」と見なされてしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内を可能とする走行支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
道路上を走行する車両のための走行支援システムであって、道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に対応付けて記憶されている施設データ記憶部と、前記車両の現在位置から前記施設に至るまでの経路を探索する経路探索部と、前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する案内情報生成部と、前記案内情報を前記走行支援システムの利用者へ提示する情報提示部と、を備える走行支援システム。
こうすれば、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データと、道路の交通状況(例えば、渋滞や交通規制等)に関する交通情報を対応付けることができる。そのため、走行支援システムは、利用者に対して、周辺施設に至るまでの各経路の交通状況を提示することができる。道路の交通状況に関する交通情報は、道路の実際の交通状況をもとにして作成されているため、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の走行支援システムであって、前記道路リンクIDは、双方向通行可能な道路に関しては、進行方向が互いに逆である第1の道路部分と第2の道路部分とに対してそれぞれ異なるID値が割り当てられており、前記施設データは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示すアクセス情報を含んでおり、前記案内情報生成部は、前記双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられた前記道路リンクIDに関する前記交通情報と、前記車両から当該施設への経路に前記第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて前記案内情報を生成する走行支援システム。
こうすれば、施設データには、双方向通行可能な道路に面する施設に関して、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かの情報(アクセス情報)が含まれる。このため、例えば、道路の上り方向に施設が隣接しており、下り方向のみが渋滞している場合等における、走行支援システムの誤判断を抑制することができる。さらに、例えば、利用者が目的施設付近まで走行したにもかかわらず、道路の中央分離帯が存在するために、当該施設へアクセスできないといった事態を抑制することもできる。これらの結果、道路の実際の交通状況に基づいた、より信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
[適用例3]
適用例1または2記載の走行支援システムであって、前記施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる場合には、前記施設にかわる代替施設を探索する代替施設探索部をさらに備えており、前記情報提示部は、前記代替施設に関する情報を前記利用者へ提示する走行支援システム。
こうすれば、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設にかわる代替施設に関する情報(例えば、施設データや道路の交通状況)を得ることができる。
【0009】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、走行支援システム、走行支援装置、走行支援サーバ、走行支援方法のほか、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としての案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図2】記憶部に格納されたデータベースの内容を説明する図である。
【図3】施設とVICSリンクとの対応付けについての説明図である。
【図4】施設データベースの例を示す説明図である。
【図5】走行支援システムにおける周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】周辺検索処理についての説明図である。
【図7】第2実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【図8】第3実施例における案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図9】第3実施例における施設データベースの例を示す説明図である。
【図10】第3実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3実施例における関連データベースの例を示す説明図である。
【図12】第4実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第4実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【図14】第5実施例における案内端末の概略構成を示す説明図である。
【図15】第5実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第5実施例における周辺検索処理についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.変形例:
【0012】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての案内端末200の概略構成を示す説明図である。道路上を走行する車両のための走行支援システムとしての案内端末200は、現在地検出部201と、表示パネル202と、VICS受信部203と、音声出力部204と、入力部205と、記憶部206と、主制御部210とを備えている。本実施例における案内端末200は、自動車に搭載され、利用者に対して地図をはじめとする交通情報を表示し、経路案内を行うカーナビゲーションシステムである。
【0013】
現在地検出部201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。なお、現在地検出部201として、GPSの他にジャイロセンサ等を用いても良い。表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。音声出力部204は、利用者への案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路等から構成される。入力部205は、方向入力キー205aや、その他の操作キー205b等のキー群から構成される。案内端末200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0014】
交通情報取得部としてのVICS受信部203は、VICS(Vehicle Information and Communication System/VICSは登録商標)から提供される道路の交通状況に関する交通情報を取得するための受信部である。この交通情報は、例えば、高速道路や一般道路における渋滞情報や規制情報(事故、工事、災害、気象条件等による規制情報)等である。VICSからの情報は、道路を表すVICSリンクを識別するための固有の道路リンクID(VICSリンク番号)を用いて、例えば、電波ビーコンや、光ビーコン、FM多重放送によって提供される。
【0015】
記憶部206は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカード等で構成され得る。記憶部206には、地図データベース207と、経路データベース208と、施設データベース209とが格納されている。各データベース207〜209についての詳細は後述する。記憶部206には、前述の各種データベースの他に、案内端末200を動作させるための各種データが格納される構成としても良い。また、案内端末200の利用者が任意に種々のデータを格納することが可能な構成としても良い。主制御部210は、案内端末200の上述した各部201〜206を制御するためのコントローラである。主制御部210は、図示しないCPUと、ROMやRAM等の内部記憶装置とを含んでいる。主制御部210は内部記憶装置(RAMまたはROM)に格納されている各種のプログラムを実行することにより、経路探索部211と、施設検索部212と、案内情報生成部213としての機能を実現する。
【0016】
図2は、記憶部206に格納されたデータベースの内容を説明する図である。図2には、上述した地図データベース207と、経路データベース208と、施設データベース209の内容がそれぞれ概念的に示されている。
【0017】
地図データベース207には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に変えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式等のラスタデータ形式で格納されるものとしても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0018】
経路データベース208には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路(道路ネットワーク)のうち、車が通行可能な経路(以降、「車道」とも呼ぶ。)に関する経路データが格納されている。この経路データは、交通経路の地表上における配置を示す道路ネットワークデータと、道路ネットワークデータに関連付けられた経路属性情報とを含んでいる。道路ネットワークデータは、交通経路における要素点ND(以降、「ノード」とも呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分LK(以降、「リンク」とも呼ぶ。)を表すリンクデータを含む。ノードNDは、例えば、交差点、T字路、分岐点、始点、終点等を表している。リンクLKは、例えば、上述した車道等の交通経路を表している。経路属性情報は、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられており、その属性を表す情報である。経路属性情報は、図2に示すように、例えば、リンクLKの名称(例えば、道路の名称、車線数、制限速度)、ノードNDの名称(例えば、交差点の名称)を含むテキストデータZ11を含む。1つのノードNDまたはリンクLKに関連付けられる経路属性情報は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0019】
施設データ記憶部として機能する施設データベース209には、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが記憶される。施設データベース209には、施設の存在位置を示す施設ポイントBPと、施設ポイントBPに関連付けられた施設情報とが含まれている。施設情報Z21は、例えば、施設ポイントBPが表す位置に存在する施設の名称等を含む。また、1つの施設ポイントBPに関連付けられる施設情報は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0020】
図3は、施設とVICSリンクとの対応付けについての説明図である。図3では、全ての道路が双方向通行可能な道路であり、VICSリンクと経路データのリンクとが1対1に対応し、かつ、VICSリンクの端点と経路データのノードが共通するものとしている。双方向通行可能な道路には、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分に対してそれぞれ異なるVICSリンク番号が割り当てられている。また、VICSリンクVL3、4には施設SP1が対応付けられている。同様に、VICSリンクVL8には施設SP2が、VICSリンクVL13、14には施設SP3が、VICSリンクVL9には施設SP4が、それぞれ対応付けられている。
【0021】
この対応付けは、VICSリンクから施設へのアクセスが可能な場合に行われる。このため、施設SP1には、VICSリンクVL3またはVICSリンクVL4を経由してアクセス可能であることが分かる。なお、「アクセス可能」とは、施設が単に道路から近い位置に存在することを意味するのではない。例えば、施設が道路から進入可能である状態を、当該施設は道路に「アクセス可能」であると表現している。道路から施設へ進入可能な位置には、通常その施設の広告など、施設の認識が容易となるような情報が存在している。そのため、この情報を案内に利用することも可能である。一方、施設SP4には、VICSリンクVL9からのみアクセス可能である。これは、対向する車線(すなわち、VICSリンクL9、10)の間に中央分離帯等が存在するため、右折不可能であることを意味している。
【0022】
図4は、施設データベース209の例を示す説明図である。本実施例における施設データベース209は、IDフィールドと、名称NMフィールドと、施設ポイントBP情報と、ジャンルCAフィールドと、アクセス情報としての2つのVICSリンク関連情報とを含んでいる。施設ポイントBP情報は、緯度LAフィールドと、経度LOフィールドを含んでいる。VICSリンク関連情報は、VICSリンク番号VNOフィールドと、基点CPフィールドと、位置POフィールドを含んでいる。
【0023】
IDフィールドには、各施設を一意に識別可能な記号が格納される。名称NMフィールドには、施設の名称が格納される。緯度LAフィールドには、施設の緯度が格納される。経度LOフィールドには、施設の経度が格納される。ジャンルCAフィールドには、施設を一定の基準に基づいて分類した際のカテゴリ名称が格納される。なお、本実施例では、1つのジャンルCAフィールドを備える構成としたが、ジャンルに関する情報を複数有する構成とすることもできる。そうすれば、施設を階層的に分類することができるため、利便性が向上する点において好ましい。
【0024】
アクセス情報とは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、当該道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示す情報である。VICSリンク番号VNOフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクを識別するVICSリンク番号が格納される。基点CPフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクの端点となるノードのうち、当該施設の位置を特定するための基点となるノードNDの識別記号が格納される。位置POフィールドには、施設が対応付けられているVICSリンクの距離を100%とした時の、基点CPから当該施設までの距離の割合(%)が格納される。このように、本実施例においては、施設データと当該施設に面した道路に対するVICSリンク番号とが予め直接的に対応付けられている。なお、本実施例におけるアクセス情報は、2つのVICSリンク関連情報であるものとして説明したが、VICSリンク関連情報は1つでも良いし、2つ以上備えるものとしても良い。また、施設データベース209の項目についてはあくまで例示であり、他の情報を含むものとしても良い。
【0025】
図3の例では、施設SP1にはVICSリンクVL3からアクセスすることができる。VICSリンクVL3の基点ノードN5から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているVICSリンクVL3の距離に対して50%の距離である。一方、施設SP1は、VICSリンクVL3と進行方向が互いに逆の道路であるVICSリンクVL4からもアクセスすることができる。VICSリンクVL4の基点ノードN2から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているVICSリンクVL4の距離に対して50%の距離である。このため、施設データベース209のIDフィールドがSP1のエントリは、図4で示した内容となる。
【0026】
図5は、走行支援システムにおける周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図6は、周辺検索処理についての説明図である。まず、主制御部210は、現在地検出部201によって検出された現在位置情報をもとに、車両の現在位置PPと、利用者移動方向PDを特定する(図5:ステップS110)。図6(A)の例では、現在位置PPは、VICSリンクVL13上であり、利用者移動方向PDは、ノードN5へ向かう方向である。
【0027】
次に、施設検索部212は、車両の現在位置から一定の範囲内に存在する施設(以降、「周辺施設群」とも呼ぶ。)を検索する(図5:ステップS120)。具体的には、施設データベース209の緯度LAフィールドおよび経度LOフィールドの値から導かれる施設の位置と現在位置とを比較することで、現在位置の一定範囲内に存在する1つ以上の施設を検索する。図6(A)の例では、周辺施設群として、4つの施設SP1〜SP4が検索されている。なお、ここでは、利用者が道路をUターン、迂回等して施設へ向かう場合を考慮して、利用者が既に通過した施設(施設SP3)も検索対象であるものとしたが、利用者が既に通過した施設は検索対象外としても良い。また、ステップS120では、周辺施設群検索のための条件の入力を利用者から受け付けるものとしても良い。周辺施設群検索のための条件は、例えば、施設のジャンル、施設の検索を行う範囲等にすることができる。
【0028】
次に、経路探索部211は、車両の現在位置PPから周辺施設郡中の各施設に至るまでの各経路を探索する。そして、案内情報生成部213は、周辺施設群にアクセス可能な道路の混雑状況を以下の手順で検索する(図5:ステップS130)。この混雑状況の検索は、ステップS120で検索された施設のそれぞれに対して行う。
(1)施設データベース209中の、当該施設のデータが格納されているエントリのVICSリンク番号VNOフィールドの値を参照する。
(2)(1)で得たVICSリンク番号について、VICS受信部203から取得した交通情報を検索する。
(3)当該施設に対するVICSリンク関連情報が複数存在する場合は、他のVICSリンク関連情報についても(1)、(2)を実行する。
図6(A)の例では、VICSリンクVL3、VL8、VL10のリンク(図中太線)が渋滞している。なお、本実施例においては、施設データとVICSリンク番号が直接的に対応付けられているため、経路探索(ステップS130)は省略可能である。
【0029】
次に、案内情報生成部213は、案内情報を生成する(図5:ステップS140)。この「案内情報」とは、車両の現在位置から周辺施設群中の各施設に至るまでの各経路の交通状況を示す情報である。案内情報は、経路探索部211が探索した経路と、案内情報生成部213が検索した道路の混雑状況をリンクさせることにより生成される。特に、双方向通行可能な道路に面した施設に関しては、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられたVICSリンク番号に関する交通情報と、車両の現在位置から当該施設への経路に、第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて案内情報を生成する。
【0030】
案内情報の生成後、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報を利用者へ提示する(図5:ステップS150)。図6(B)は、利用者へ提示される案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、案内情報として、施設の名称と、施設の所在地と、現在位置PPから施設に至るまでの距離と、現在位置PPから施設に至るまでの経路における渋滞の有無とが表示される。図6(B)の例では、現在位置PPから施設に至るまでの経路が渋滞している施設(施設SP1、SP2)について、表示パネル202に「渋滞」シンボルが表示されている。なお、渋滞の有無だけでなく、渋滞の度合い(やや混雑/混雑/渋滞、等)をレベル表示させるものとしても良い。さらに、現在位置PPから施設に至るまでの距離に代えて、または距離と共に、現在位置PPから施設に至るまでの所要時間を表示させるものとすることもできる。
【0031】
以上のように、第1実施例では、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データと、道路の交通状況(例えば、渋滞や交通規制等)に関する交通情報を対応付けることができる。そのため、走行支援システムは、利用者に対して、周辺施設に至るまでの各経路の交通状況を提示することができる。道路の交通状況に関する交通情報は、道路の実際の交通状況をもとにして作成されているため、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。また、施設データには、双方向通行可能な道路に面する施設に関して、進行方向が互いに逆の第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かの情報(アクセス情報)が含まれる。このため、例えば、道路の上り方向に施設が隣接しており、下り方向のみが渋滞している場合等における、走行支援システムの誤判断を抑制することができる。さらに、例えば、利用者が目的施設付近まで走行したにもかかわらず、道路の中央分離帯が存在するために、当該施設へアクセスできないといった事態を抑制することもできる。このように、利用者は、車中に居ながらにして、周辺施設に関する情報と、途中経路の渋滞有無を知ることができる。このため、利用者は途中経路に渋滞のない施設を選択することで、渋滞を事前に回避することができる。
【0032】
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、案内情報の表示パネル202への表示方法であり、他の構成や動作は第1実施例と同じである。
【0033】
図7(A)は、図6(A)と同じである。図7(B)は、第2実施例において、利用者へ提示される案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、案内情報として、現在位置PP周辺の地図画像が表示される。この地図画像上には、施設の名称と、施設が存在する位置に施設を示すシンボルと、現在位置PPから施設に至るまでの距離と、現在位置PPから施設に至るまでの経路における渋滞の有無とが表示される。図7(B)の例では、施設を示すシンボルの色を変えることにより、途中経路が渋滞していることを表現している。なお、案内情報のうち、施設の名称と、現在位置PPから施設に至るまでの距離とを示す情報ウィンドウは、利用者の選択(例えば、タッチパネル式の表示パネル202において地図画像上の施設を示すシンボルを利用者がタッチすること等)により表示させるものとしても良い。
【0034】
このように、第2実施例における走行支援システムでは、案内情報が地図画像上にシンボル表示される。このため利用者は、施設の存在する方角や距離等を視覚的に捉えやすい。
【0035】
C.第3実施例:
図8は、第3実施例における案内端末200aの概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、施設データベース209aの内容と、関連データベース300を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。
【0036】
図9は、第3実施例における施設データベース209aの例を示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、アクセス情報として、2つのVICSリンク関連情報の代わりに2つのリンク関連情報を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。リンク関連情報は、リンク番号LNOフィールドと、基点LCPフィールドと、位置LPOフィールドを含んでいる。リンク番号LNOフィールドには、施設が対応付けられているリンクを識別するリンク番号が格納される。基点LCPフィールドには、施設が対応付けられているリンクの両端に存在するノードのうち、当該施設の位置を特定するための基点となるノードNDの識別記号が格納される。位置LPOフィールドには、施設が対応付けられているリンクの距離を100%とした時の、基点LCPから当該施設までの距離の割合(%)が格納される。このように、本実施例においては、施設データと当該施設に面した道路に対するリンク番号とが対応付けられている。なお、第1実施例のVICSリンク関連情報と同様に、リンク関連情報は1つでも良く、2つ以上備えるものとしても良い。
【0037】
図3の例では、施設SP1にはリンクL52からアクセスすることができる。リンクL52の基点ノードN5から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているリンクL52の距離に対して50%の距離である。さらに、施設SP1にはリンクL25からもアクセスすることができる。リンクL25の基点ノードN2から施設SP1までの距離は、施設SP1が対応付けられているリンクL25の距離に対して50%の距離である。このため、施設データベース209aのIDフィールドがSP1のエントリは、図9で示した内容となる。
【0038】
図10は、第3実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS130の処理がステップS200の処理に置き換えられている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図11は、第3実施例における関連データベース300の例を示す説明図である。関連データベース300は、リンク番号NOフィールドと、VICSリンク番号VNOフィールドを備えている。関連データベース300は、経路データ上のリンクとVICSリンクとを関連付ける機能を有する。
【0039】
第3実施例では、経路探索部211は、車両の現在位置PPから周辺施設郡中の各施設に至るまでの各経路を探索する。そして、案内情報生成部213は、周辺施設群にアクセス可能な道路の混雑状況を以下の手順で検索する(図10:ステップS200)。
(1)施設データベース209a中の、当該施設のデータが格納されているエントリのリンク番号LNOフィールドの値を参照する。
(2)(1)で得たリンク番号をキーにして関連データベース300のリンク番号NOフィールドの値を検索し、当該リンク番号と関連付けられたVICSリンク番号VNOを取得する。
(3)(2)で得たVICSリンク番号について、VICS受信部203から取得した交通情報を検索する。
(4)当該施設に対するリンク関連情報が複数存在する場合は、他のリンク関連情報についても(1)〜(3)を実行する。
【0040】
このように、第3実施例では、施設データとVICSリンク番号とが予め間接的に対応付けられている。このため、第1実施例と同様に、道路の実際の交通状況に基づいた信頼性の高い周辺施設案内が可能となる。
【0041】
D.第4実施例:
図12は、第4実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS140の処理の後に、ステップS300〜S330の処理が追加されている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図13は、第4実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、以下の通りであり、その他については第1実施例と同じである。
・VICSリンクVL3(図13(A)太線)が渋滞している点
・案内情報の表示パネル202への表示方法(図13(B))
【0042】
第4実施例では、経路探索部211は、案内情報の生成(図12:ステップS140)後、各施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設があるか否かを判断する(図12:ステップS300)。当該施設がない場合、ステップS150へ進み、情報提示部としての表示パネル202は案内情報を利用者へ提示する。
【0043】
一方、各施設に至る経路中に道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設がある場合、経路探索部211は、当該施設に至る他の経路(以降、「迂回経路」とも呼ぶ。)を探索する(ステップS310)。図13(A)の例では、施設SP1はVICSリンクVL3からアクセス可能である。しかし、VICSリンクVL3は渋滞中であるため、経路探索部211は、施設SP1へアクセス可能であり、かつ、渋滞していないVICSリンクVL4を経由する迂回経路DR(図中斜線)を探索する。
【0044】
次に、経路探索部211は、迂回情報を生成する(図12:ステップS320)。この「迂回情報」は、迂回経路の有無をはじめとする迂回経路に関する情報であり、例えば、迂回経路の有無、迂回経路を通った場合の施設への距離、迂回経路を通った場合の施設への所要時間等がある。なお、ステップS310、S320は、周辺施設群のうち複数の施設への経路が渋滞している場合、その複数の施設のそれぞれについて行う。
【0045】
迂回情報の生成後、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報と共に迂回情報を利用者へ提示する(図12:ステップS330)。図13(B)はこのとき利用者へ提示される迂回情報および案内情報の一例を示している。案内端末200の表示パネル202には、図6(B)で説明した案内情報に加えて、迂回情報ウィンドウDDが表示される。図13(B)の例では、施設に至るまでの経路が渋滞している施設(施設SP1)について、表示パネル202の「渋滞」シンボルの横に迂回情報ウィンドウDDが表示され、迂回経路を通った場合の施設への距離が提示されるものとした。なお、利用者が、迂回情報ウィンドウDDを選択(例えば、タッチパネル式の表示パネル202において所望の迂回情報ウィンドウDDを利用者がタッチすること等)した場合、当該迂回経路に基づく経路案内を行う構成としても良い。また、複数の迂回経路が存在する場合には、複数の迂回経路に対する迂回情報を提示しても良い。
【0046】
このように、第4実施例における走行支援システムでは、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設への迂回情報を得ることができる。
【0047】
E.第5実施例:
図14は、第5実施例における案内端末200bの概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、主制御部210内に代替施設探索部214を備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。代替施設探索部214についての詳細は後述する。
【0048】
図15は、第5実施例における周辺検索処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した第1実施例との違いは、ステップS140の処理の後に、ステップS400〜S430の処理が追加されている点のみであり、他の動作は第1実施例と同じである。図16は、第5実施例における周辺検索処理についての説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、以下の通りであり、その他については第1実施例と同じである。
・図6(A)で例示したよりも広域エリアが検索対象とされている点
・VICSリンクVL3(図16(A)太線)が渋滞している点
【0049】
第5実施例では、案内情報の生成(図15:ステップS140)後、代替施設探索部214は、各施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設があるか否かを判断する(図15:ステップS400)。当該施設がない場合、ステップS150へ進む。
【0050】
一方、各施設に至る経路中に道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる施設(便宜上、このような施設を「渋滞施設」とも呼ぶ。)がある場合、代替施設探索部214は、当該施設にかわる代替施設を探索する(ステップS410)。この代替施設の探索は、例えば、以下のような手順で行うことができる。
(1)検索範囲をより広域として、ステップS120と同様の周辺施設群検索を行う。
(2)(1)で検索された周辺施設群のうち、渋滞施設と同じジャンルの施設(具体的には、ジャンルCAフィールドの値(図4)が同じ施設)を抽出する。
【0051】
図16(A)の例では、施設SP1への経路は渋滞中である。このため、代替施設探索部214は、検索範囲をより広域として、施設SP1にかわる代替施設SP5、SP6を探索する。次に、情報提示部としての表示パネル202は、案内情報と共に代替施設に関する情報を利用者へ提示する(図15:ステップS430)。図16(B)はこのとき利用者へ提示される代替施設情報および案内情報の一例を示している。なお、現在位置PPから代替施設に至るまでの経路が渋滞または不通である場合、案内情報と同様に、表示パネル202に「渋滞」シンボルを表示することが好ましい。
【0052】
このように、第5実施例における走行支援システムでは、目的施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が存在する場合あっても、利用者は目的施設にかわる代替施設に関する情報(例えば、施設データや道路の交通状況)を得ることができる。
【0053】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0054】
F1.変形例1:
上記実施例では、施設は、VICSリンクまたは経路データ中のリンクに対応付けられているものとして説明した。しかし、施設はリンクに限らず、ノードに対応付けられているものとしても良い。
【0055】
F2.変形例2:
上記実施例では、走行支援システムの例として案内端末を例示した。しかし、走行支援システムは、例えば通信カーナビゲーションシステムや携帯電話を用いた経路案内システムのような、クライアント−サーバ型で構成されるものとしても良い。
【0056】
F3.変形例3:
上記実施例では、経路中の好ましくない交通情報の一例として「渋滞」を例示した。しかし、好ましくない交通情報としては「渋滞」に限らず、任意のものを採用することができる。例えば、通行止め等の規制情報とすることができる。
【0057】
F4.変形例4:
上記実施例では、道路の上下線の区別があるリンクを用いる場合について説明した。しかし、道路の上下線の区別がないリンク(道路の上下線が1本のリンクで表現されているリンク)の場合であっても実現することが可能である。この場合、施設データベースに、道路を右折することにより当該施設にアクセス可能であるか否かを表す情報を格納するためのフィールドを設けることが好ましい。
【0058】
F5.変形例5:
上記実施例では、施設の例として飲食店を挙げた。しかし、施設は飲食店に限らず、任意の施設とすることができる。例えば、コンビニエンスストアや、ガソリンスタンド、全国チェーン店、スーパー、駐車場、交番等の公共施設等にしても良い。
【0059】
F6.変形例6:
上記実施例では、案内情報は、画像データとして表示パネルから提示されるものとした。しかし、上記実施例で例示した態様に限らず、例えば、案内情報を音声データとして生成し、音声出力部から出力させることも可能である。また、画像データと音声データとを併用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
200,200a,200b…案内端末、201…現在地検出部、202…表示パネル、204…音声出力部、205…入力部、205a…方向入力キー、205b…操作キー、206…記憶部、207…地図データベース、208…経路データベース、209,209a…施設データベース、210…主制御部、211…経路探索部、212…施設検索部、213…案内情報生成部、214…代替施設探索部、300…関連データベース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行する車両のための走行支援システムであって、
道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、
施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に対応付けて記憶されている施設データ記憶部と、
前記車両の現在位置から前記施設に至るまでの経路を探索する経路探索部と、
前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内情報を前記走行支援システムの利用者へ提示する情報提示部と、
を備える走行支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の走行支援システムであって、
前記道路リンクIDは、双方向通行可能な道路に関しては、進行方向が互いに逆である第1の道路部分と第2の道路部分とに対してそれぞれ異なるID値が割り当てられており、
前記施設データは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示すアクセス情報を含んでおり、
前記案内情報生成部は、前記双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられた前記道路リンクIDに関する前記交通情報と、前記車両から当該施設への経路に前記第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて前記案内情報を生成する走行支援システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の走行支援システムであって、
前記施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる場合には、前記施設にかわる代替施設を探索する代替施設探索部をさらに備えており、
前記情報提示部は、前記代替施設に関する情報を前記利用者へ提示する走行支援システム。
【請求項4】
道路上を走行する車両のための走行支援方法であって、
(a)コンピュータが、道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する工程と、
(b)コンピュータが、前記車両の現在位置から施設に至るまでの経路を探索する工程と、
(c)コンピュータが、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に予め対応付けて記憶されていることにより、前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する工程と、
(d)コンピュータが、前記案内情報を前記走行支援方法の利用者へ提示する工程と、
を備える走行支援方法。
【請求項1】
道路上を走行する車両のための走行支援システムであって、
道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、
施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に対応付けて記憶されている施設データ記憶部と、
前記車両の現在位置から前記施設に至るまでの経路を探索する経路探索部と、
前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内情報を前記走行支援システムの利用者へ提示する情報提示部と、
を備える走行支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の走行支援システムであって、
前記道路リンクIDは、双方向通行可能な道路に関しては、進行方向が互いに逆である第1の道路部分と第2の道路部分とに対してそれぞれ異なるID値が割り当てられており、
前記施設データは、双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれからアクセス可能であるか否かを示すアクセス情報を含んでおり、
前記案内情報生成部は、前記双方向通行可能な道路に面した施設に関して、前記第1と第2の道路部分のそれぞれに対応付けられた前記道路リンクIDに関する前記交通情報と、前記車両から当該施設への経路に前記第1と第2の道路部分のいずれが含まれるかに関する情報と、に基づいて前記案内情報を生成する走行支援システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の走行支援システムであって、
前記施設に至る経路中に、道路が渋滞または不通であることを示す交通情報が含まれる場合には、前記施設にかわる代替施設を探索する代替施設探索部をさらに備えており、
前記情報提示部は、前記代替施設に関する情報を前記利用者へ提示する走行支援システム。
【請求項4】
道路上を走行する車両のための走行支援方法であって、
(a)コンピュータが、道路を識別するための固有の道路リンクIDを用いて提供される、道路の交通状況に関する交通情報を取得する工程と、
(b)コンピュータが、前記車両の現在位置から施設に至るまでの経路を探索する工程と、
(c)コンピュータが、施設の名称と位置とを含む施設情報を表す施設データが、前記施設にアクセス可能な道路に対する前記道路リンクIDと直接的または間接的に予め対応付けて記憶されていることにより、前記道路リンクIDを用いて、前記経路の交通状況を示す案内情報を生成する工程と、
(d)コンピュータが、前記案内情報を前記走行支援方法の利用者へ提示する工程と、
を備える走行支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−210485(P2010−210485A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57934(P2009−57934)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
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