説明

走行支援装置

【課題】 交差点における対向車線用信号機56の表示状態を容易に知ることができる走行支援装置を提供する。
【解決手段】 交差点内に車両が位置していること、及び右折待ち状態であることを検出した場合、対向車線用信号機56の信号の表示状態を表す信号表示情報を獲得し、その信号表示情報を運転者に告知する。本実施形態では、対向車線用信号機56の信号表示情報を、カメラで撮像した信号機画像の形と色とから画像処理によって獲得し、その表示状態及び/又は表示状態の変化を音や画像により運転者に告知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置に係り、例えば、交差点を右折する場合に、信号機の状態告知に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行を支援する装置として、交差点における信号の表示状態を運転者に報知する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1、2では、信号機の表示をカメラ画像や無線信号機から取得して点灯情報を車載機に表示させるようにしている。
また、特許文献3では、点灯情報を音声で知らせるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−171459
【特許文献2】特開2001−167384
【特許文献3】特開2001−118194
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載した従来技術は、いずれも自車両の進行方向前方の信号の情報を提供するものである。
しかし、例えば交差点を右折する場合において、特に時差式の信号機が設置された交差点を右折する場合に、自車が交差点に進入した車線用に配置された信号機(進入車線用信号機)だけでなく、当該交差点の対向車線(交差点に進入した車線に対する対向車線)用に配置された信号機(対向車線用信号機)の信号情報を知りたい場合がある。
例えば、交差点の右折時に、対向車線を走行する車両が存在するため、交差点のほぼ中心まで移動して停止している場合や、徐行しながら交差点中心まで移動している場合、時差式信号では進入方向車線用信号機が青でも、対向車線用信号機が先に赤に変わる場合がある。また、進入車線用信号機が赤に変わっても、対向車線用信号機が青である場合もある。
【0005】
しかし、従来交差点内にいる車両の運転者は、対向車線用信号機が赤に変更されていたとしてもその変更を知ることができなかったため、対向車が停止したことで信号の表示が変更されたことを間接的に認識したうえで右折する必要があった。このため、交差点内での待機時間が長引いていた。
また、交差点内の車両は、進入車線用信号機が赤に変更したらスムーズに右折を完了する必要があるが、対向車線用信号機が青の可能性があるため、同様に対向車が停止するまで進行して良いか否かを判断できなかった。
【0006】
そこで本発明は、交差点における対向車線用信号機の表示状態を容易に知ることができる走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1
車両が交差点内に位置しているか否か判断する位置判断手段と、前記位置判断手段によって、交差点内に位置していると判断された場合に、当該交差点の対向車線用に配置された信号機がいかなる表示をしているかの表示情報を獲得する表示情報獲得手段と、前記獲得した信号機の表示情報を前記車両の運転者に告知する告知手段と、を具備することを特徴とする走行支援装置。
(2)請求項2
前記表示情報獲得手段は、さらに、交差点に進入した車線用に配置された進入車線用の信号機がいかなる表示をしているのかの表示情報を獲得し、前記告知手段は、前記獲得した対向車線及び進入車線用の信号機の表示情報を告知する、ことを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
(3)請求項3
車両に搭載され、前記信号機を撮像する撮像手段を備え、前記表示情報獲得手段は、前記撮像した信号機の画像から、表示情報を獲得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置。
(4)請求項4
車両の右折を検出する右折検出手段を備え、前記表示情報獲得手段は、前記右折検出手段によって右折が検出された場合に信号機の表示情報を獲得する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1に記載の走行支援装置。
(5)請求項5
信号種別情報が記憶された記憶手段と、を備え、前記表示情報獲得手段は、前記交差点の信号種別が時差式信号である場合に、信号機の表示情報を獲得する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1に記載の走行支援装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両が位置している交差点の対向車線用に配置された信号機がいかなる表示をしているかの表示情報を獲得して運転者に告知するので、運転者は、交差点内において対向車線用信号機の表示状態を容易に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の走行支援装置における好適な実施の形態について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
走行支援装置は、交差点内に車両が位置していること、及び右折待ち状態であることを検出した場合、対向車線用信号機の信号の表示状態を表す信号表示情報を獲得し、その信号表示情報を運転者に告知する。
【0010】
本実施形態では、対向車線用信号機の信号表示情報を、カメラで撮像した信号機画像の形と色とから画像処理によって獲得し、また、信号機自体やその周辺装置から発信される信号表示情報を受信することで獲得する。
また、本実施形態では、対向車線用信号機だけでなく、進入車線用信号機の信号表示情報も獲得し、その表示状態及び/又は表示状態の変化を音や画像により運転者に告知する。
このように、進入車線用信号機と対向車線用信号機の信号表示情報の変化を音などにより分けて案内することにより、右折待ちの場合にも発車タイミングがわかり、運転者はよりスムーズに運転することができるようになる。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1は、走行支援装置の構成を表したものである。
この図1に示されるように走行支援装置は、ナビ制御部11を備えている。
このナビ制御部11には、速度センサ12、ウインカ作動センサ13、現在位置検出部14、画像処理部15、経路探索部16、経路案内処理部17、及びI/F(インターフェイス)管理部18が接続されている。
画像処理部15には前方カメラ19と後方カメラ20が接続され、I/F管理部18には、表示手段として機能するモニタ22、及びスピーカ23が接続されている。
走行支援装置は、さらに道路データ21を備えており、経路探索部16、経路案内処理部17において使用される。
【0012】
ナビ制御部11は、車両に走行経路や現在位置等の各種案内を行うナビゲーション機能と、本実施形態における走行支援機能を実現するために各部の制御を行う制御部である。
ナビ制御部11は、CPU、ROM、RAM等で構成されたコンピュータシステムで構成され、ROMに格納されたナビゲーション全体処理プログラム、走行支援プログラムに従って機能するようになっている。
なお、本実施形態において走行支援装置は、ナビゲーション装置の機能を一部供用するようにしているが、ナビゲーション装置と独立させたコンピュータシステムにより構成するようにしてもよい。この場合、本実施形態の走行支援に関してナビ制御部11が行う各種処理を走行支援制御部が行うことになる。
【0013】
速度センサ12は、車両の走行速度を検出する。
ウインカ作動センサ13は、ウインカの作動状態を検出し、本実施形態では、右折を指示する作動がされているか否かを検出する
【0014】
本実施形態においてナビ制御部11は、右折検出手段として機能する。
すなわち、ナビ制御部11は、現在位置検出部14で検出された車両の現在位置が道路データ21から交差点内であると判断し、速度センサ12で検出された車速が所定車速V以下であり、ウインカ作動センサ13で右折指示が作動している場合に、右折を検出する。
なお、ナビ制御部11は、ウインカ作動センサ13が右折指示の作動をしている場合に右折を検出してもよく、また、交差点内で右折指示の作動をしている場合に右折を検出してもよい。更に、交差点内で所定車速以下である場合に右折を検出するようにしてもよい。
【0015】
現在位置検出部14は、ナビゲーション装置(走行支援装置)が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ、ジャイロセンサ、速度センサ等の1又は複数が使用される。
【0016】
画像処理部15には、車両前方に配置された前方カメラ19と、車両後方に配置された後方カメラ20が接続されている。
前方カメラ19は、車両が位置している交差点に配置された自車進入車線用の信号機を撮像し、後方カメラ20は、当該交差点の対向車線用に配置された信号機を撮像する。
画像処理部15は、両カメラ19、20で撮像した画像データから、画像処理によって信号機の画像を特定し、特定した信号機がいかなる表示(赤点灯表示、黄点灯表示、青点灯表示)をしているのかの表示情報を獲得する。
【0017】
前方カメラ19と後方カメラ20は撮像手段として機能し、画像処理部15は表示情報獲得手段として機能する。
なお、本実施形態では、前方カメラ19と後方カメラ20の2つのカメラを搭載するようにしたが、魚眼レンズや広角レンズを搭載したカメラ1つを配置し、この1つのカメラで撮像した画像から自車進入車線用の信号機と対向車線用に配置された信号機の両者を撮像するようにしてもよい。
この場合、画像処理部15は、撮像した画像から画像処理により両信号機の表示情報を獲得する。
【0018】
経路探索部16は、ナビゲーション装置としての機能を実現し、道路データ21に格納されている道路データを使用して、現在位置(又は出発地)から入力された目的までの走行経路を探索する。
【0019】
経路案内処理部17は、ナビゲーション装置としての機能を実現し、現在位置検出部14で検出された車両の現在位置に対応した経路の案内を行う。
例えば、経路探索部16で探索された走行経路の案内をする場合には、車両現在地周辺の地図を道路データ21から読み出してモニタ22に表示すると共に、経路探索した走行経路及び車両現在地をモニタ22に表示する。また、スピーカ23から「次の交差点を直進/右方向/左方向/です。」等の進行方向を案内する音声を出力することで案内するようになっている。
走行経路の探索がされていない場合には、車両現在地とその周辺の地図をモニタ22に表示することで経路案内を行う。
【0020】
経路探索部16と経路案内処理部17は、ROMに格納された経路探索処理プログラム、経路案内処理プログラムをナビ制御部11のCPUが実行することで、経路探索部16、経路案内処理部17として機能するようになっている。
【0021】
I/F(インターフェイス)管理部18には、モニタ22、スピーカ23その他の機器が接続されており、各機器の制御がナビ制御部11の制御のもとで行われるようになっている。
【0022】
モニタ22は、表示手段として機能し、地図や走行経路の他、信号機の表示状態を表示することで告知手段として機能する。
モニタ22は、液晶表示装置、CRT等の各種表示装置が使用される。なお、このモニタ22は、例えばタッチパネル等の、入力装置としての機能を兼ね備えたものとすることができる。
【0023】
スピーカ23は、音声による経路案内を行う場合の音声案内手段として機能し、また、本実施形態における走行支援を行う際の告知手段として機能する。
スピーカ23は、車両内に1または複数配置され、オーディオ用のスピーカと兼用するようにしてもよい。
【0024】
道路データ21は、モニタ22に表示される地図情報、経路探索に使用される道路データが記憶されている。
また、道路データ21には、各交差点に配置された信号機が時差式信号か否かを示す信号種別情報等も記憶されることで、記憶手段として機能する。
【0025】
次に、以上のように構成された走行支援装置における右折支援処理について説明する。
図2は、車両が交差点内において右折待ちしている状態を表したものである。
この図2に示されるように、車両50には、前方カメラ19と後方カメラ20とが配置されている。
車両50に搭載された走行支援装置のナビ制御部11は、交差点内での右折を検出すると、前方カメラ19で進入車線用信号機55を撮像すると共に、車両後方に配置された後方カメラ20で対向車線用信号機56を撮像し、両信号機55、56の表示情報を取得する。
【0026】
撮像した両画像から進入車線用信号機55、及び対向車線用信号機56の検出は、画像認識により信号機の形と表示色から検出する。
信号機の位置データ(場所や高さ)を道路データ21に格納し、これを利用することで、より正確に信号機の画像領域を特定して表示情報を取得することが可能になる。この場合、カメラの取付高さ、車両位置、及び車両の進入車線等に対する角度を使用することで、信号機の画像領域をより正確に特定することが可能になる。車両の角度はステアリング角センサの出力信号から、又は、ジャイロ方位センサからの方位情報から検出可能である。
また、道路データ21に、配置されている信号機の形情報(縦型か横型か、矢印灯器の数等)を格納し、これを使用することで信号機の画像領域の特定制度が更に向上する。
【0027】
そして、ナビ制御部11は、信号機の表示情報が変化したか否かを判断して、変化があった場合に、変化内容に対応した音(音声を含む)を出力することで、信号の表示状態を運転者に告知する。
【0028】
図3は、進入車線用信号機55、対向車線用信号機56について、表示情報が変化したことを検出するタイミングを表したものである。
進入車線用信号機55の場合、図3(a)に示される。
すなわち、矢印灯器が付いていない信号機の場合、ナビ制御部11は、黄色点灯状態から赤点灯状態に変化したことを検出し、この場合に告知音として出力する音のパターンをAとする。
一方、矢印灯器付きの信号の場合、ナビ制御部11は、黄色点灯状態から、赤と矢印灯の点灯状態に変化したことを検出し、この場合に告知音として出力する音のパターンをBとする。
また、矢印灯器付きの信号で、赤と矢印灯の点灯状態から、黄色の点灯状態に変化したことを検出し、この場合の告知音として出力する音のパターンをCとする。
【0029】
対向車線用信号機56の場合、図3(b)に示される。
すなわち、矢印灯器が付いていない信号機の場合、ナビ制御部11は、黄色点灯状態から赤点灯状態に変化したことを検出し、この場合に告知音として出力する音のパターンをDとする。
一方、矢印灯器付きの信号の場合、ナビ制御部11は、黄色点灯状態から、赤と矢印灯の点灯状態に変化したことを検出し、この場合に告知音として出力する音のパターンをEとする。
【0030】
次に、走行支援装置による右折支援処理の詳細について図4を参照して説明する。
ナビ制御部11は、まず最初に車両が右折待ち状態か否かを検出する(ステップ11〜14)。
すなわち、ナビ制御部11は、現在位置検出部14で検出される車両位置(位置座標)と、道路データ21に格納される道路データとから、車両の同上における現在位置を検出(特定)し(ステップ11)、車両が交差点内に位置しているか否かを判断する(ステップ12)。
【0031】
車両が交差点内に位置している場合(ステップ12;Y)、ナビ制御部11は、速度センサ12で検出される車速が所定車速V以下か否かを判断する(ステップ13)。
本実施形態では、車両が交差点を右折すると考えられる速度として所定車速V=10km/hに設定されているが、他の速度でもよい。
このように交差点内に位置しない場合(ステップ12;N)や、直進と考えられる車速が所定車速より大きい場合(ステップ13;N)には、メインルーチンにリターンすることで、後述するカメラ19、20による不要な撮像がされないようになっている。
【0032】
車速が所定車速V以下である場合(ステップ13;Y)、ナビ制御部11は、ウインカ作動センサ13が右折用のウインカの作動を検出しているか否かを判断する(ステップ14)。
そして、右折用のウインカが点灯していない場合(ステップ14;N)にも、ナビ制御部11は、メインルーチンにリターンする。
一方、右折用のウインカが点灯(作動)している場合(ステップ14;Y)、車両が右折待ち状態であると判断できるので、ナビ制御部11は、現在右折待ちしている交差点に進入した車線とその対向車線に配置されている両信号機が時差式信号機か否かを、道路データ21に格納された信号種別情報から判断する(ステップ15)。
【0033】
ナビ制御部11は、信号機が時差式信号機でない場合(ステップ15;N)には、車両後方にある対向車線信号機56を撮像する必要がないので、メインルーチンにリターンする。
一方、時差式信号機である場合(ステップ15;Y)、ナビ制御部11は、進入車線用信号機55の表示情報を取得する(ステップ16)。
【0034】
すなわち、ナビ制御部11は、前方カメラ19による撮像を指示する。
前方カメラ19で撮像された画像は画像処理部15において、画像認識により進入車線用信号機55を特定し、その信号機の表示情報(点灯中の色又は/及び矢印)をナビ制御部11に供給する。
ナビ制御部11は、画像処理部15から進入車線用信号機55の表示情報を取得し(ステップ16)、進入車線用信号機55の表示に変化があったか否かを判断する(ステップ17)。
【0035】
表示に変化が合った場合(ステップ17;Y)、ナビ制御部11は、進入車線用信号機55の表示が変化したことを示す変化音をスピーカ23から出力する(ステップ18)。
すなわち、ナビ制御部11は、この変化音として、図3(a)に示した変化の状態に応じてA〜Cのいずれかの音を出力する。
【0036】
変化音を出力した後、及び、進入車線用信号機55の表示に変化が無い場合に(ステップ17;N)、ナビ制御部11は、対向車線用信号機56の表示情報を取得する(ステップ19)。
すなわち、ナビ制御部11は、後方カメラ20による撮像を指示し、進入車線用信号機の表示情報の取得と同様にして、後方カメラ20の撮像画像から画像認識で得られる表示情報を画像処理部15から取得し(ステップ19)、対向車線用信号機56の表示に変化があったか否かを判断する(ステップ20)。
【0037】
表示に変化が合った場合(ステップ20;Y)、ナビ制御部11は、対向車線用信号機56が変化したことを示す変化音をスピーカ23から出力する(ステップ21)。
すなわち、ナビ制御部11は、この変化音として、図3(b)に示した変化の状態に応じてD又はEの音を出力する。
【0038】
次いでナビ制御部11は、車両が交差点を通過したか否かを現在位置検出部14からの現在位置情報から判断し(ステップ22)、通過していなければ(ステップ22;N)、ステップ16に戻って、信号機の表示変化の監視を継続する。
一方、ナビ制御部11は、車両が交差点を通過した場合(ステップ22;Y)、メインルーチンにリターンする。
【0039】
図5は、図4で説明した右折支援処理の他の処理及び変形を説明するためのフローチャートである。
ナビ制御部11は、右折判断処理により車両が右折待ち状態か否かの判断を行う(ステップ31)。
この右折判断処理では、下記3つの条件(a)〜(c)のうちのいずれか1つ以上の組合せにより右折待ち状態を判断する。
(a)現在車両位置が交差点の中にであること
(b)車両速度が所定車速V以下であること(停止及び徐行を判断)
(c)ウインカ作動センサ13から右にウインカが出されていること
【0040】
すなわち、ナビ制御部11は、次の(1)〜(4)のいずれかの場合に、右折待ち状態であると判断する(ステップ32;Y)。
(1)(a)〜(c)の条件を全て満たした場合、
(2)(a)と(b)を満たした場合、
(3)(a)と(c)を満たした場合、
(4)経路探索部16で探索した走行経路を走行している場合で(a)を満たした場合、
【0041】
ついでナビ制御部11は、右折判断処理で右折待ち状態であると判断した場合、信号機の表示情報を取得する(ステップ33)。
この表示情報としては、対向車線用信号機56の表示情報を取得する場合、進入車線用信号機55と対向車線用信号機56の両表示情報を取得する場合のいずれも可能である。
右折支援としては、対向車線用信号機56の表示情報取得とその告知だけでも充分であるが、進入車線用信号機55の表示情報と告知も併せて行うことで、信号機の取付位置や車両位置によっては進入車線用信号機55の表示状態を運転席から確認しづらい場合であっても運転者は進入車線用信号機55の表示状態を認識することが可能になる。
【0042】
ここで、信号機の表示情報を取得する方法としては、前方カメラ19、後方カメラ20の両撮像画像から取得する方法、広角レンズ又は魚眼レンズを搭載した1台のカメラで撮像した1の撮像画像から両信号機の表示情報を取得する方法、信号機又はその周辺に配置された表示情報発信機から発信される表示情報を取得する方法のいずれを採用することも可能である。
また、周辺車両から信号色変化タイミング情報を取得してもよい。この場合、外部情報センタのサーバを使用してもよく、車々間通信でもよい。
【0043】
ナビ制御部11は、取得した信号機の表示情報を運転者に告知する(ステップ34)。
すなわち、ナビ制御部11は、図3に示した表示情報の変化を検出してA〜Eの音を出力することも可能であるが、表示情報の変化をグループ化して出力される音の数を少なくすることで状態の認識を容易にしてもよい。
例えば、自車両が右折可能方向に進行できるようになったタイミング(B、D、Eの場合)と、進行できなくなったタイミング(Cの場合)、いずれの可能性もあるタイミング(Aの場合)の3つのタイミング毎に異なる音を出力するようにしてもよい。
【0044】
また、音ではなく「対向車線の信号が赤に変わりました」等の音声による案内をするようにしてもよい。
【0045】
さらに、音場制御などにより音の聞こえる方向を変化させるようにしてもよい。
例えば、進入車線用信号機55の色変化の告知音は前方から聞こえ、対向車線用信号機56の色変化は後方から聞こえるようにする。
また、進入車線用信号機55の色変化の告知は運転席側のスピーカから出力し、対向車線用信号機56の色変化の告知は後部座席側のスピーカから出力するようにし、単純に出力するスピーカを区別するようにしてもよい。
これにより、進入車線用信号機55に対する告知なのか、対向車線用信号機56に対する告知なのかを容易に認識させることができる。
【0046】
信号機の表示情報の告知については、音や音声以外に、モニタ22に信号の表示情報を表示するようにしてもよい。
図6は、モニタ22に表示する表示状態の告知の状態を表したものである。
この図6に示されるように、モニタ22には、進入車線用信号機表示65が画面上部に表示され、対向車線用信号機表示66が画面下部に表示される。
そして、両信号の区別を容易にするために両表示65、66の間に車両60が表示されると共に、右折方向を示す矢印が表示されている。
図6の例では、進入車線用信号機55が青表示で、対向車線用信号機56が赤表示であることが示されている。
【0047】
このように、モニタ22に表示情報を画像表示する場合には、現在の信号機の表示状態が表示情報として表示され、表示変化の検出に伴い表示状態も変更される。
なお、表示変化があった場合にはその変化に応じて図3に示したA〜E、又は上記した3つのタイミングに対応した音を、モニタ22の表示と併せて出力するようにしてもよい。
【0048】
また、モニタ22に信号機の状態を表示する場合、対向車線用信号機表示66だけを表示するようにしてもよく、又は、車両60の表示と対向車線用信号機56表示を表示するようにしてもよい。
さらに、図6に示した例では、信号機表示65、66は矢印灯器の無い画像を表示したが、交差点に配置されている信号機が矢印灯器付きの場合にはその矢印灯器付きの信号画像を表示する。
【0049】
また、図6に示した例では、予め用意してある各表示状態の信号画像を、検出した表示情報に対応して表示するが、画像処理部15で検出した信号機の領域の撮像画像を切り取り、モニタ22に表示するようにしてもよい。
【0050】
なお、以上説明した実施形態及び変形例は、各々の部分を組み合わせるようにしてもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態及びその変形例によれば、車両が交差点内に位置していて右折待ち状態であると判断された場合に、少なくとも対向車線用信号の表示情報が運転者に告知されるので、運転者は、表示情報に従ってスムーズに右折を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の1実施形態である走行支援装置の構成図である。
【図2】車両が交差点内において右折待ちしている状態を表した説明図である。
【図3】進入車線用信号機、対向車線用信号機について、表示情報が変化したことを検出するタイミングを表した説明図である。
【図4】走行支援装置による右折支援処理を表したフローチャートである。
【図5】右折支援処理の他の処理及び変形を説明するためのフローチャートである。
【図6】モニタに表示する表示状態の告知の状態を表した説明図である。
【符号の説明】
【0053】
11 ナビ制御部
12 速度センサ
13 ウインカ作動センサ
14 現在位置検出部
15 画像処理部
16 経路探索部
17 経路案内処理部
18 I/F部
19 前方カメラ
20 後方カメラ
21 道路データ
22 モニタ
23 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が交差点内に位置しているか否か判断する位置判断手段と、
前記位置判断手段によって、交差点内に位置していると判断された場合に、当該交差点の対向車線用に配置された信号機がいかなる表示をしているかの表示情報を獲得する表示情報獲得手段と、
前記獲得した信号機の表示情報を前記車両の運転者に告知する告知手段と、
を具備することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記表示情報獲得手段は、さらに、交差点に進入した車線用に配置された進入車線用の信号機がいかなる表示をしているのかの表示情報を獲得し、
前記告知手段は、前記獲得した対向車線及び進入車線用の信号機の表示情報を告知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
車両に搭載され、前記信号機を撮像する撮像手段を備え、
前記表示情報獲得手段は、前記撮像した信号機の画像から、表示情報を獲得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
車両の右折を検出する右折検出手段を備え、
前記表示情報獲得手段は、前記右折検出手段によって右折が検出された場合に信号機の表示情報を獲得する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1に記載の走行支援装置。
【請求項5】
信号種別情報が記憶された記憶手段と、を備え、
前記表示情報獲得手段は、前記交差点の信号種別が時差式信号である場合に、信号機の表示情報を獲得する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1に記載の走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−155319(P2006−155319A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346306(P2004−346306)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】