説明

走行車両用キャビン装置

【課題】 フロアシートの背壁部の後方に配置した燃料タンクの容量を十分に確保できるようにすると共に、燃料タンクが作業等の邪魔にならないようにする。
【解決手段】 下部枠の後部から左右一対の取付支柱が下方に突出されたキャビンフレームを備え、キャビンフレームの下部枠の下側に左右一対のフェンダが設けられると共に、左右一対のフェンダ間にフロアシートが設けられ、フロアシートは、運転席を取り付ける取付部とこの取付部の後端から立ち上がった背壁部と取付部から前方に突出されたステップ部とを有し、前記背壁部の後方に燃料タンクが配置された走行車両用キャビン装置であって、前記フロアシートの背壁部は、左右一対の取付支柱よりも前方に凹んだ位置に配置され、フロアシートの背壁部の後面側から左右一対の取付支柱間にわたって燃料タンクの配置空間とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行車両用キャビン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行車両用キャビン装置には、上部枠と下部枠とが左右一対の前支柱及び左右一対の後支柱で連結され、下部枠の後部から左右一対の取付支柱が下方に突出されたキャビンフレームを備え、キャビンフレームの下部枠の下側に左右一対の後輪フェンダが設けられると共に、左右一対の後輪フェンダ間にフロアシートが設けられたものがある(例えば特許文献1〜3)。この種の従来の走行車両用キャビン装置では、燃料タンクをトラクタ車体の側方に位置する後輪フェンダの下方に設けていた(例えば特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開平8−118972号公報
【特許文献2】実公平6−35748号公報
【特許文献3】実公平5−18942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の場合、燃料タンクをトラクタ車体の側方に位置する後輪フェンダの下方に設けていたため、燃料タンクがキャビン装置内に乗降する際等に邪魔になるという問題があった。特に、キャビン装置の左右幅を狭くなるように形成(ナロー型に)した場合には、燃料タンクがキャビン幅から外側方に突出したりして、邪魔になるおそれが大であった。
そこで、フロアシートの背壁部の後方に燃料タンクを配置することが考えられるが、この場合、車両の後方での作業に邪魔にならないようにするために、燃料タンクのキャビン後方への突出量が制約を受けるため、燃料タンクに十分な容量が確保できなくなるという問題を生じた。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑み、フロアシートの背壁部の後方に燃料タンク配置した場合に、燃料タンクの容量を十分に確保できるようにすると共に、燃料タンクのキャビン装置から後方への出っ張りを少なくして、燃料タンクが作業等の邪魔にならないようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、上部枠と下部枠とが左右一対の前支柱及び左右一対の後支柱で連結され、下部枠の後部から左右一対の取付支柱が下方に突出されたキャビンフレームを備え、キャビンフレームの下部枠の下側に左右一対のフェンダが設けられると共に、左右一対のフェンダ間にフロアシートが設けられ、フロアシートは、運転席を取り付ける取付部とこの取付部の後端から立ち上がった背壁部と取付部から前方に突出されたステップ部とを有し、前記背壁部の後方に燃料タンクが配置された走行車両用キャビン装置であって、
前記フロアシートの背壁部は、左右一対の取付支柱よりも前方に凹んだ位置に配置され、フロアシートの背壁部の後面側から左右一対の取付支柱間にわたって燃料タンクの配置空間とされている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記フロアシートの背壁部の上端から天壁部が後方に突設され、天壁部が下部枠の後部に連結され、背壁部の左右両端が左右一対のフェンダにそれぞれ連結され、天壁部の下方に前記燃料タンクの配置空間が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記フロアシートの天壁部は、フェンダの後部上端と略同一高さに設定され、天壁部の左右両端がフェンダの後部上端に連結されている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、前記キャビンフレームの左右一対の後支柱間にリヤパネルが設けられ、リヤパネルの下方に、前記燃料タンクの配置空間が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記左右一対のフェンダは、車輪の左右方向内方側を覆う側板部と、車輪の外周部を覆う外周覆い部とが別体に形成されて互いに連結され、外周覆い部は、覆い部本体と左右方向外端側の外壁部とが別体に構成され、覆い部本体は複数枚の板部材を接合溶接して構成され、各板部材は平板材の折り曲げ加工により形成されている点にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フロアシートの背壁部は、左右一対の取付支柱よりも前方に凹んだ位置に配置され、フロアシートの背壁部の後面側から左右一対の取付支柱間にわたって燃料タンクの配置空間とされているので、左右一対の取付支柱間の左右幅を狭くしてキャビン装置の左右幅が狭くなるように形成した場合でも、フロアシートの背壁部の後方に配置した燃料タンクの容量を十分に確保できる。しかも、燃料タンクのキャビン装置から後方への出っ張りが少なくなり、燃料タンクが後方での作業等の邪魔にならないで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、トラクタ1はエンジン、クラッチハウジング、ミッションケース4等を直結してトラクタ車体6が構成され、トラクタ車体6の前側にエンジン等を覆うボンネットが設けられると共に、左右一対の前輪が支持され、トラクタ車体6の後部側に左右後車軸ケース7を介して左右一対の後輪(車輪)9が支持され、このトラクタ車体6の後上部に走行車両用キャビン装置11が独立懸架状態で搭載されている。
前記キャビン装置11の前部は、ミッションケース4等に突出した支持体に防振部材を介して載置固定され、キャビン装置11の後部は、後述の如く後車軸ケース7に防振部材13を介して載置固定されている。
【0010】
図1〜7において、キャビン装置11は骨組みとなる箱形枠形状のキャビンフレーム12を備えており、このキャビンフレーム12に、フロントパネル、ドアパネル、後側パネル14、リヤパネル15及びルーフ等が装着される。
前記キャビンフレーム12は、上部枠17と下部枠18と左右一対の前支柱22と左右一対の後支柱24と左右一対の中間縦支柱23と左右一対の取付支柱21とを有し、上部枠17と下部枠18とが左右一対の前支柱22及び左右一対の後支柱24で連結され、上部枠17と下部枠18とが左右一対の前支柱22と左右一対の後支柱24との間で左右一対の中間縦支柱23により連結され、左右一対の前支柱22と、左右一対の中間縦支柱23と、左右一対の後支柱24とで縦方向の支柱部が構成されている。下部枠18の後部から左右一対の取付支柱21が下方に突出されている。図8及び図9に示すように、左右一対の中間縦支柱23は、左右方向の内方側が開口した断面C字型のチャネル材により構成されており、中間縦支柱23内にエアホース28や電気配線とを配置し、このエアホース28や電気配線を通して、キャビン装置11の天井側のエアコンからの冷暖房空気をキャビン装置11内に送り又はキャビン装置11の天井側に電力を供給するようにしている。
【0011】
上部枠17は、左右一対の前支柱22の上端部間を連結する上前梁25と、中途部で左右一対の後支柱24の上端を連結したコの字状の上後梁26と、左右の同じ側にある前支柱22と中間縦支柱23の上端部間を連結する左右一対の上側梁27とで構成されている。図8及び図9に示すように、上後梁26の左右一対の前端部と左右一対の上側梁27の後端部とは互いに嵌合して溶接等により相互に固着されている。
下部枠18は、左右一対の前支柱22の下端から左右内方へ突出した下前材と、左右一対の前支柱22の下端から後方へ突出した左右一対の下側材32と、この左右一対の下側材32の後端と左右一対の中間縦支柱23の下端との間にそれぞれ連結されている左右一対のフェンダ支持材33と、左右一対の中間縦支柱23の下端部間を連結しかつ中途部に左右一対の後支柱24の下端が連結される下後部材34とを有している。
【0012】
キャビンフレーム12の下部枠18の下側に左右一対の後輪フェンダ37が設けられると共に、左右一対の後輪フェンダ37間にフロアシート38が設けられている。左右一対の後輪フェンダ37はそれぞれ下部枠18のフェンダ支持材33に溶接等により連結されている。
フロアシート38は、運転席を取り付ける取付部40とこの取付部40の後端から立ち上がった背壁部41と取付部から前方に突出されたステップ部42とを有している。取付部の上には運転席支持台が搭載され、運転席支持台の上に図示省略の運転席が搭載される。
【0013】
図5、図7にも示すように、フロアシート38の背壁部41は、左右一対の取付支柱21よりも前方に凹んだ位置に上下方向に配置されている。フロアシート38の背壁部41の上端から天壁部43が後方に突設され、天壁部43が下部枠18の後部の下面に添って配置されると共に下部枠18に連結され、背壁部41の左右両端が左右一対の後輪フェンダ37にそれぞれ溶接等により連結されている。フロアシート38の天壁部43は、後輪フェンダ37の後部上端と略同一高さに設定され、天壁部43の左右両端が後輪フェンダ37の後部上端に溶接等により連結されている。天壁部43の下方に燃料タンク45の配置空間46が設けられ、フロアシート38の背壁部41の後面側から左右一対の取付支柱21間にわたって燃料タンク45の配置空間46とされている。従って、前記燃料タンク45の配置空間46が天壁部43の下方であって左右一対の後輪フェンダ37の後部間に設けられている。また、キャビンフレーム12の左右一対の後支柱24間にリヤパネル15が設けられており、このリヤパネル15の下方に、燃料タンク45の配置空間46が位置している。
【0014】
図6及び図7に示すように、前記左右一対の取付支柱21の下端に、左右方向外方に突出した左右一対の取付板48が設けられている。左右一対の取付板48は各取付支柱21の下端から左右方向外方に行くに従って徐々に前方に向かうように前方に傾斜した状態で左右方向外方に突出されて、取付板48の外端側が後輪9のタイヤ9a内周側に挿入されている。左右一対の取付支柱21と左右一対の取付板48との間には補強部材49が設けられ、補強部材49は取付支柱21と取付板48の両者に溶接等により固着され、取付板48が取付支柱21から不測に外れないように補強している。左右一対の取付板48は、後輪9のタイヤ9a内周側で、弾性を有する防振部材13を介して左右の後車軸ケース7にそれぞれ載置固定され、これによりキャビンフレーム12の後部側をトラクタ車体6に支持させている。
【0015】
防振部材13は、上挟持体51と下挟持体52とこれら挟持体51,52に挟持された環状の防振ゴム53とを備え、上挟持体51は鉄板等により外周部側が円錐状で中央部側が平板状になった環状に形成され、下挟持体52は、鉄板等により外周部側が平板状で中央部側が円錐状に上方突出した環状に形成され、防振ゴム53を上挟持体51の外周部と下挟持体52の中央部とで挟持している。防振部材13は、後車軸ケース7に取付部材55を介して固設した支持台56にボルトナット等により取付られている。
取付部材55はボルト等の固定具57により後車軸ケース7に固着され、支持台56は溶接等により取付部材55に固着されて前車軸ケース7に上方突出状に取付られている。
【0016】
防振部材13の下挟持体52の外周部は、支持台56上に載置されて、ボルトナット等の締結具58により支持台56に固着され、これにより下挟持体52は支持台56に載置固定されている。取付板48の外端側から、上挟持体51、防振ゴム53、下挟持体52及び支持台56の中央部にボルト59が挿通され、ボルト59に外嵌した円筒状の筒体60が防振ゴム53、下挟持体52及び支持台56の中央部に挿通され、ボルト59の先端側にナット61が螺合され、支持台56とナット61との間に、直方体形状の弾性体62がボルト59に外嵌した状態で介在されており、ボルト59とナット61との締め付けにより、弾性体62及び筒体60を介して上挟持体51を取付板48の下面に締め付け固定している。
【0017】
前記防振部材13、取付部材55、支持台56、固定具57、締結具58、ボルト59、筒体60及びナット61等の大部分が、後輪9のタイヤ9a内周の径方向内方に配置されており、左右一対の取付板48は、上記の如く後輪9のタイヤ9a内周側で後車軸ケース7に載置固定されている。
左右の後車軸ケース7側に、各取付板48の上下振動を規制するように取付板48に向けて突出したストッパー片65が設けられている。ストッパー片65は支持台56の上端部の左右方向内端から上方突設され、ストッパー片65の下端部が支持台56に溶接等により固着され、ストッパー片65の上端が取付板48の左右方向(長手方向)の中途部に下側から接近されている。
【0018】
前記左右一対の後輪フェンダ37は、後輪(車輪)9の左右方向内方側を覆う側板部68と、後輪9の外周部を覆う外周覆い部69とが別体に形成されて、互いに溶接等により連結され、側板部68の後部に、後上方に向けて突出した突出板部70が一体に設けられ、外周覆い部69の後端と側板部68の突出板部70との間に、外周覆い部69と突出板部70との隙間を塞ぐように閉塞板71が設けられている。側板部68と閉塞板71とはそれぞれ平板材の折り曲げ加工により形成され、閉塞板71の前端側が外周覆い部69に溶接等により連結され、閉塞板71の後端側が突出板部70に連結されている。
【0019】
前記外周覆い部69は、覆い部本体73と左右方向外端側の外壁部74とが別体に構成されて互いに溶接等により連結され、覆い部本体73は5枚の板部材73a,73b,73c,73d,73eを接合溶接して構成され、各板部材73a,73b,73c,73d,73eは平板材の折り曲げ加工により形成されている。覆い部本体73は、後輪9の外周に沿うように周方向に間隔をおいて板部材73a,73b,73c,73d,73e毎に順次屈曲されると共に各板部材73a,73b,73c,73d,73eは覆い部本体73の左右方向中央部でくの字状に屈曲されている。外壁部74は、板金等の絞り加工により形成され、後輪9の外周に沿うように円弧状に湾曲されると共に覆い部本体73から後輪9の径方向外方に向けてコの字状に膨出されている。
【0020】
前記後輪フェンダ37の後部上端側に、キャビンフレーム12の下部枠18から後方突出した突出壁77が設けられ、突出壁77は、板金等の絞り加工により形成され、水平な天板部78と天板部78の左右両端から下方側に屈曲した左右一対の折曲板部79と天板部78の後端から下方側に屈曲した後板部80とを有している。突出壁77の左右方向外方側の折曲板部79の下端側が、側板部68の突出板部70の上端側に連結され、突出壁77の左右方向外方側の折曲板部79の後端側が、閉塞板71の上部後端側に連結され、突出壁77の天板部78及び左右方向内方側の折曲板部79の後端側が、外周覆い部69の外壁部74の後端側に連結されている。
【0021】
上記実施の形態によれば、フロアシート38の背壁部41は、左右一対の取付支柱21よりも前方に凹んだ位置に上下方向に配置され、フロアシート38の背壁部41の後面側から左右一対の取付支柱21間にわたって燃料タンク45の配置空間46とされているので、左右一対の取付支柱21を左右方向におけるトラクタ車体6の中心側に寄せて、左右一対の取付支柱21間の左右幅を狭くしても、フロアシート38の背壁部41の後方に燃料タンク45を配置する燃料タンク45の十分な容量を確保できる。しかも、燃料タンク45のキャビン装置11から後方への出っ張りが少なくなり、燃料タンク45がトラクタ1の後方での作業等の邪魔にならないで済む。また、左右一対の取付支柱21を左右方向におけるトラクタ車体6の中心側に寄せても、キャビン装置11の後部の燃料タンク45の配置空間46の箱形形状よって、キャビン装置11の剛性を損なうこともなくなる。即ち、フロアシート38の背壁部41の上端から天壁部43が後方に突設され、天壁部43が下部枠18の後部の下面に添って配置されると共に下部枠18に連結され、背壁部41の左右両端が左右一対のフェンダ37にそれぞれ連結されていること、又は、フロアシート38の天壁部43は、フェンダ37の後部上端と略同一高さに設定され、天壁部43の左右両端がフェンダ37の後部上端に連結されていることによって、キャビン装置11の剛性を損なうこともなくなり、キャビン装置11の十分な剛性を確保することができる。
【0022】
また、左右一対の取付支柱21をトラクタ車体6の中心側に寄せることができるので、左右一対の後輪フェンダ37による後輪9の収納幅を大きくとることができ、その結果、後輪9をトラクタ車体6の中心側に寄せることが可能になり、トラクタ車体6の左右幅を極力狭くすることができ、トラクタ1を果樹園等の管理作業に好適なものになし得る。
また、上記実施の形態によれば、外周覆い部69は、覆い部本体73と左右方向外端側の外壁部74とが別体に構成されて互いに連結され、覆い部本体73は5枚の板部材73a,73b,73c,73d,73eを接合溶接して構成され、各板部材73a,73b,73c,73d,73eは平板材の折り曲げ加工により形成されていて、覆い部本体73は、車輪の外周に沿うように周方向に間隔をおいて板部材73a,73b,73c,73d,73e毎に順次屈曲されると共に各板部材73a,73b,73c,73d,73eは覆い部本体73の左右方向中央部でくの字状に屈曲されているので、従来のように後輪フェンダ37を一体成形プレスにより構成したり、フォーム成形により構成したり、又は一体折り曲げにより構成するものと比べて、型費が高額にならずに済む。即ち、上記のような従来の構成のものでは、例えばフェンダ間寸法が異なる仕様毎にフェンダの大きさ、形状が異なるため、異なる型が必要になったり、また、一体での折り曲げであれば、サイズが大きいため型費が高額になる等の不都合があるが、本願の構成のものでは、このような問題がなくなり、型の投資を低減できるし、幅違いフェンダ等の仕様にも容易に対応できる。
【0023】
また、上記実施の形態によれば、左右一対の取付支柱21の下端に、左右方向外方に突出した左右一対の取付板48が設けられ、キャビンフレーム12の後部側をトラクタ車体6に支持させるように、左右一対の取付板48の外端側が左右の後車軸ケース7にそれぞれ載置固定されているので、キャビン装置11の左右幅を狭く形成しても、キャビン装置11の後部側が左右等に大きく振動乃至揺動するのを防止できて、安定にキャビン装置11を設置することができて、上部圧壊に対するキャビン装置11乃至キャビンフレーム12の強度を十分に確保することができる。また、左右一対の取付板48は、弾性を有する防振部材13を介して左右の後車軸ケース7にそれぞれ載置固定され、左右の後車軸ケース7側に、各取付板48の上下振動を規制するように取付板48に向けて突出したストッパー片65が設けられているので、荷重により防振ゴム53が変形し、ある程度キャビンフレーム12が沈み込むと、取付板48がストッパー片65に接当して、キャビンフレーム12が沈み込むのを阻止する。この結果、ストッパー片65によって、キャビン装置が大きく振動乃至揺動するのを防止することもできる。
【0024】
なお、前記実施の形態では、本発明をトラクタに適用実施しているが、これに代え本発明をバックホーその他の走行車両に適用実施するようにしてもよい。また、本発明が適用されるキャビン装置は、前記実施の形態のものに限定されず、例えば中間縦支柱23がないキャビン装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態を示すトラクタの後部側の側面図である。
【図2】同トラクタの後部側の背面図である。
【図3】同トラクタのキャビン装置部分の側面図である。
【図4】同トラクタのキャビン装置部分の斜視図である。
【図5】同シート及びフェンダ後部の側面図である。
【図6】同取付板、防振部材及び後車軸ケース部分の背面図である。
【図7】同取付板、防振部材及び後車軸ケース部分の側面図である。
【図8】同図3のH−H線断面図である。
【図9】同キャビン装置の上側梁、上後梁及び中間縦支柱部分の側面断面図である。
【図10】同後輪フェンダの側面図である。
【図11】同後輪フェンダの平面図である。
【図12】同後輪フェンダ上端部の背面図である。
【図13】同図10のA−A線断面図である。
【図14】同図10のB−B線断面図である。
【図15】同図10のC−C線断面図である。
【図16】同図10のD−D線断面図である。
【図17】同図10のE線矢視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 トラクタ移植機
6 トラクタ車体
7 後車軸ケース
9 後輪
11 キャビン装置
12 キャビンフレーム
13 防振部材
15 リヤパネル
17 上部枠
18 下部枠
22 前支柱
23 中間縦支柱
24 後支柱
37 フェンダ
38 フロアシート
40 取付部
41 背壁部
42 ステップ部
43 天壁部
45 燃料タンク
46 配置空間
48 取付板
65 ストッパー片
68 側板部
69 外周覆い部
73 覆い部本体
74 外壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部枠(17)と下部枠(18)とが左右一対の前支柱(22)及び左右一対の後支柱(24)で連結され、下部枠(18)の後部から左右一対の取付支柱(21)が下方に突出されたキャビンフレーム(12)を備え、キャビンフレーム(12)の下部枠(18)の下側に左右一対のフェンダ(37)が設けられると共に、左右一対のフェンダ(37)間にフロアシート(38)が設けられ、フロアシート(38)は、運転席を取り付ける取付部(40)とこの取付部(40)の後端から立ち上がった背壁部(41)と取付部(40)から前方に突出されたステップ部(42)とを有し、前記背壁部(41)の後方に燃料タンク(45)が配置された走行車両用キャビン装置であって、
前記フロアシート(38)の背壁部(41)は、左右一対の取付支柱(21)よりも前方に凹んだ位置に配置され、フロアシート(38)の背壁部(41)の後面側から左右一対の取付支柱(21)間にわたって燃料タンク(45)の配置空間(46)とされていることを特徴とする走行車両用キャビン装置。
【請求項2】
前記フロアシート(38)の背壁部(41)の上端から天壁部(43)が後方に突設され、天壁部(43)が下部枠(18)の後部に連結され、背壁部(41)の左右両端が左右一対のフェンダ(37)にそれぞれ連結され、天壁部(43)の下方に前記燃料タンク(45)の配置空間(46)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の走行車両用キャビン装置。
【請求項3】
前記フロアシート(38)の天壁部(43)は、フェンダ(37)の後部上端と略同一高さに設定され、天壁部(43)の左右両端がフェンダ(37)の後部上端に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行車両用キャビン装置。
【請求項4】
前記キャビンフレーム(12)の左右一対の後支柱(24)間にリヤパネル(15)が設けられ、リヤパネル(15)の下方に、前記燃料タンク(45)の配置空間(46)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行車両用キャビン装置。
【請求項5】
前記左右一対のフェンダ(37)は、車輪(9)の左右方向内方側を覆う側板部(68)と、車輪(9)の外周部を覆う外周覆い部(69)とが別体に形成されて互いに連結され、外周覆い部(69)は、覆い部本体(73)と左右方向外端側の外壁部(74)とが別体に構成され、覆い部本体(73)は複数枚の板部材(73a,73b,73c,73d,73e)を接合溶接して構成され、各板部材(73a,73b,73c,73d,73e)は平板材の折り曲げ加工により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行車両用キャビン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−113590(P2009−113590A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287425(P2007−287425)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】