説明

超臨界または近臨界発泡剤によるポリウレタンフォームの製造方法

本発明は、用いる推進ガスが、超臨界または近臨界状態で存在する、ポリウレタンフォームを製造するための方法に関する。反応混合物を、密閉金型中へ導入し、密閉金型を、その内部容積および/またはその内部の圧力が混合物を導入した後、外的作用により変化させることができるように構成される。界面活性剤を選択することにより、推進ガスのマイクロエマルションがポリオール相中に得られる。本発明は、本発明の方法により得られるナノ気泡質ポリウレタンフォームに更に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用いる発泡剤が超臨界または近臨界状態に存在する発泡剤ポリウレタンフォームの製造方法に関する。本発明は、本発明の方法により得られるポリウレタンフォームに更に関する。
【背景技術】
【0002】
理論的考察により、ナノ気泡質またはナノ多孔質ポリマーフォームは、特に断熱のための良好な物質となる。これらのフォーム構造の内部寸法は、気体分子の平均自由行程長の領域にある。従って、気体の熱伝導への寄与を減少させることができる。ポリウレタンは、断熱に使用されることが多いポリマー群である。
【0003】
ポリウレタンフォームを製造する場合、発泡剤をも含むポリオール成分を、イソシアネートと反応させる。イソシアネートと水との反応は、発泡剤として働く二酸化炭素を生じさせる。
【0004】
フォームの形成のための、従って、引き続きの硬化フォームの気泡サイズのための決定的工程は、フォーム中の各気泡が気体の泡から生じるので、発泡剤により供給される核形成である。ここで、関連する観測は、核形成後に新しい気泡が通常、形成されるが、発泡剤が存在する気泡中へ拡散することである。
【0005】
安定剤の添加は、種々の成分の乳化を促進させ、核形成に影響を与え、膨張する気体の泡の合体を抑止する。これらはまた、気泡開放に影響を与える。連続気泡フォームでは、膨張する細孔の膜が開放され、および細孔壁が維持される。
【0006】
1つの可能性のある取り組みは、超臨界発泡剤を反応混合物中で乳化し、次いで減圧後にフォームを硬化する。ここで、既知の変法は、POSME法(超臨界マイクロエマルション膨張の原理)である。前記方法における発泡剤は、マイクロエマルションの形態を取る。マイクロエマルションは、特定の条件下で形成され、とりわけ、乳化剤の濃度および温度に依存する。マイクロエマルションの特徴は、これらが安定性であること、および非極性相、この場合、発泡剤が、極めて小さい液滴の形態で極性相内に存在することができることである。この液滴の直径は、1〜100ナノメートルの範囲であってよい。
【0007】
DE10260815A1は、発泡材料および該発泡材料の製造方法が開示されている。ナノサイズフォーム気泡を有する発泡材料が、相転位において、および核形成工程において通常生じるエネルギーバリアーを乗り越える必要性を伴わずに製造されることが意図される。これに関連する目的は、1cm当たり1012〜1018のフォーム気泡の数値的密度および10nm〜10μmのフォーム気泡の平均径を有する発泡材料の制御可能な製造である。これは、第1流体のマトリックス内においてプールの形態で第2流体の分散体に基づく。第1流体は、反応空間においてマトリックスの形態で存在し、第2流体は、プールの形態で存在する。第2流体は、圧力および/または温度の変化により、臨界点近傍または超臨界状態中へ液体の密度に近い密度で変換される。従って、第2流体は、完全にまたはほとんど完全に、第1流体全体内に均一な分布を有するプールの形態である。減圧は、第2流体を引き起こして気体密度を有する状態へ戻し、プールはここで膨張し、ナノメートルサイズのフォーム気泡を与える。任意のエネルギーバリアーを乗り越える必要はなく、発泡剤分子が、膨張する気泡へ拡散する要件は存在しない。
【0008】
重合性物質は、一般に、ここでは第1流体として提案される。しかしながら、重合してポリアクリルアミドを与えるアクリルアミドおよび重合してメラミン樹脂を与えるメラミンのみについて明確に言及されている。第2流体は、炭化水素物質、例えばメタンまたはエタン等からなる群から、またはアルカノール、フルオロクロロカーボンまたはCO2から選択されるべきである。また、両親媒性物質を使用し、これは、第1流体について親和力を有する少なくとも1つのブロックおよび第2流体について親和力を有する少なくとも1つのブロックを有することとなる。
【0009】
WO2007/094780A1は、ポリウレタンフォームに関して、ポリオール、短鎖化合物により開始されたエトキシル化/プロポキシル化界面活性剤ならびに発泡剤として炭化水素を有する樹脂組成物を開示する。エトキシル化/プロポキシル化界面活性剤は、炭化水素発泡剤の溶解性および/または相溶性を向上させ、樹脂組成物の相安定性を向上させる。樹脂組成物は、気泡質ポリウレタンフォームおよび気泡質ポリイソシアネートフォームを製造する多官能性有機イソシアネートとの反応に適当である。
【0010】
界面活性剤は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと、アルキレンオキシド活性水素原子およびC〜C脂肪族または脂環式炭化水素基を有する化合物、アルキレンオキシド活性水素原子およびC〜Cアリールまたはアルキルアリール炭化水素基を有する化合物またはこれらの組み合わせの群からの開始剤との反応により得られる。開始剤は、好ましくはC〜C脂肪族または脂環式アルコール、フェノール、C〜Cアルキルフェノールおよびその組み合わせの群から選択される。
【0011】
ブタノール開始プロピレンオキシド/エチレンオキシド界面活性剤が、例として挙げられる。代替物として、界面活性剤は、アルコキシル化トリグリセリド付加物またはソルビタンエステルのエトキシル化誘導体を含んでもよい。発泡剤は、C〜C脂肪族炭化水素、C〜C脂環式炭化水素またはその組み合わせであってよい。ペンタンは、例として挙げられる。
【0012】
しかしながら、記載の例は、界面活性剤の選択がマイクロエマルションの形態での発泡剤の存在をもたらす任意のポリオール組成物を開示していない。
【0013】
特定のシロキサン界面活性剤は、とりわけUS2005/0131090A1において取り組まれる。ここでは、硬質ポリウレタンフォームを、ポリイソシアネートおよびポリオールのウレタン化触媒の存在下での、発泡剤および任意に見ずおよびシリコーン界面活性剤の反応により製造するための方法が開示される。用いる発泡剤は、C4−またはC5−炭化水素またはこれらの混合物である。発泡剤の平均モル質量は、≦72g/モルであり、およびその沸点は、27.8〜50℃の範囲である。シリコーン界面活性剤は、以下の一般式:
(CH−Si−O−(Si(CH−O)x−(Si(CH)(R)O)y−Si(CH
〔式中、R=(CH−O−(−CH−CH−O)a−(CH−CH(CH)−O)b−R’’およびR’’は、H、(CHCHまたはC(O)CHである〕
により示されるポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーを含む。さらに、x+y+2は60〜130であり、x/yは5〜14であり、zは、0〜4である。上記式に基づく界面活性剤の全モル質量は、7000〜30000g/モルである。界面活性剤中のシロキサンの重量による割合は、32〜70重量%であり、ポリエーテル部分の平均モル質量(BAMW、ブレンド平均分子量)は、450〜1000g/モルであり、モル%により示されるエチレンオキシドの含有量は、ポリエーテル部分において70〜100モル%である。しかしながら、前記文献は、超臨界状態における任意のマイクロエマルションまたは発泡剤に関連しない。しかしながら、シロキサン界面活性剤を、気泡安定剤として用いる。
【0014】
GB2365013Aは、安定性ポリエステルポリオール組成物のためのアルキレンオキシド変性シリコールングリコールを開示する。ポリエステルポリオール組成物は、無水フタル酸開始ポリエステルポリオール、C〜C−炭化水素発泡剤および約5〜約8のHLB値を有するアルキレン変性シリコーングリコール相容化剤を含む。発泡剤は、ポリオール組成物中に可溶性であり、従って、硬質ポリマーフォーム生成物の製造におけるこの種の発泡剤と関連する危険性は減少する。硬質フォームは、良好な寸法安定性および向上した断熱特性が与えられる。イソシアネート変性シリコーングリコール相容化剤もまた開示される。
【0015】
前記特許出願は、幾つかの例において、特定の発泡剤が、ポリオールおよび他の成分でのマイクロエマルションを形成することを記載する。しかしながら、超臨界条件は、発泡剤について有効であるかどうかに関して開示がない。しかしながら、マイクロエマルションについての情報は、ポリオールの貯蔵安定性を決定するための試験に関する。前記試験では、ポリオール組成物および発泡剤は、キャップを有するガラス製ジャー中で混合し、振動し、室温にて5日間貯蔵する。相分離が生じない場合、発泡剤は、ポリオール組成物中に可溶性であることが見出され、組成物は、貯蔵中に安定性であることが見出される。しかしながら、室温におけるキャップを有するガラス製ジャー中での貯蔵は、C〜C−炭化水素が超臨界状態で存在する任意の条件を提供することと関係がない。
【0016】
これは、より小さい気泡寸法を有するフォームを得るために望ましい。このようなフォームを製造するための新規な方法もまた望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】独国特許出願公開第10260815号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/094780号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0131090号明細書
【特許文献4】英国特許第2365013号明細書
【特許文献5】国際公開第2001/98389号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明によれば、以下の工程を含む、ポリウレタンフォームの製造方法が提案される:
・A)イソシアネートに対して反応性である成分、
B)界面活性剤成分、
C)直鎖、分枝状または環式C〜C−アルキレン、直鎖状、分枝状または環式C〜C−フルオロアルカン、N、O、アルゴンおよび/またはCOからなる群から選択される発泡剤成分、
D)ポリイソシアネート成分
を含む混合物を供給する工程、
・成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物を、密閉金型へ導入する工程であって、該密閉金型は、内部容積および/または内部において広まる圧力を、混合物を導入した後に外的影響により変化させることができるように構成されている、工程、
・予め決定した≧0秒の滞留時間を、成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物について密閉金型において与える工程、および
・密閉金型の内部容積を拡大し、および/または密閉金型の内部に広まる圧力を外的影響により低下させる工程。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1−3】図1〜3は、本発明に従って用いることができる密閉金型を示す。
【図4】図4は、実施例1において特徴付けられた系についての界面活性剤含有量γに対してプロットした温度Tのグラフを示す。
【図5】図5は、実施例2において特徴付けられた系についての界面活性剤含有量γに対してプロットした温度Tのグラフを示す。
【図6−7】図6および7は、実施例3において得られたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図8−9】図8および9は、実施例4において得られたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法は、特に小さい気泡寸法を有するポリウレタンフォームを製造することができる。例えば、フォームは、≧10nm〜≦10000nmの平均細孔直径で製造することができる。本発明の方法は、超臨界または近臨界発泡剤を用いる。本発明の目的のために、近臨界条件は、以下の条件と従う場合に存在する:(T−T)/T≦0.4および/または(p−p)/p≦0.4。本発明では、Tは、本発明の方法においてかかっている温度を意味し、Tは、発泡剤または発泡剤混合物の臨界温度を意味し、pは、該方法においてかかっている圧力を意味し、pは、発泡剤または発泡剤混合物のための臨界圧を意味する。存在する近臨界条件は、以下:(T−T)/T≦0.3および/または(p−p)/p≦0.3に従うことが好ましく、存在する近臨界条件は、以下:(T−T)/T≦0.2および/または(p−p)/p≦0.2に従うことが特に好ましい。任意の理論へ結び付くことなく、適当な界面活性剤成分の選択は、イソシアネートに対して反応性の成分を有する相において超臨界または近臨界発泡剤のエマルションまたはマイクロエマルションの形成をもたらすことが想定される。
【0021】
本発明の方法を行うのに適当な圧力は、例えば≧40バール〜≦300バールの範囲であってよい。適当な温度の例は、≧10℃〜≦80℃、好ましくは≧25℃〜≦60℃である。特に好ましいのは、COの臨界点を越える圧力および温度、すなわち≧73.7バールおよび≧31℃である。
【0022】
反応混合物を、発泡剤について超臨界または近臨界条件を維持しながら密閉金型中へ導入することが好ましい。次いで発泡剤成分C)は、導入工程中および導入工程後に超臨界または近臨界中に存在する。本発明では、密閉金型は、特に、超臨界圧力を生成することができる金型を意味する。最も簡単な例では、反応混合物を、気密性注入開口部により金型中へ導入する。密閉金型は、発泡剤について未臨界状態の早期回復を防止する。
【0023】
金型の構成は、内部容積および/または内部に広まる圧力を、反応混合物の導入後に外的影響により変化させることができるような構成である。これは、反応混合物の導入だけでなく、フォームを与える引き続きの反応であること、金型の内部容積および圧力を変化させることを意味する。しかしながら、金型はまた、これを外部的に、従って制御された方法によりもたらすための他の可能性を有する。
【0024】
密閉金型は、混合系の混合ヘッドの一部ではない。しかしながら、密閉金型は、これとは異なり、および導入された反応混合物を硬化させる金型である。
【0025】
反対圧力は、反応混合物を導入する場合に金型に生成させることができるが、前記反対圧力は、混合物が、予備決定時間、金型中に残る限り維持することができる。反対圧力により、発泡剤の膨張について、従って気泡寸法についての影響を与えることが可能である。反対圧力は、用いる発泡剤についての臨界圧を越えることができる。これは、発泡剤としてCOについて特に好ましい。金型に広がる温度は、各発泡剤の臨界温度より高いことが同じく可能である。これは、外部加熱により達成することができる。しかしながら、これらの温度は、任意の他の更なる作用を伴わずにポリウレタン形成の反応の熱により達成することも可能である。高圧ポリウレタン系は、成分を供給して用いることができる。
【0026】
反応混合物を金型中へ導入すると、≧0秒の滞留時間の予備決定時間を金型に与える。また、高温を、金型中の反応混合物に供給した滞留時間の間に維持することが好ましい。反対圧力を、用いる発泡剤について臨界圧力より高くてもよく、または近臨界条件を広めることができる。従って、反対圧力は、例えば≧40バール〜≦150バール、または≧70バール〜≦120バールであってよい。これは、発泡剤としてCOについて特に好ましい。同様に、金型中の滞留時間の間、各発泡剤の臨界温度を超える温度にするか、近臨界条件を存在させることも可能である。滞留時間は、好ましくは≧1秒〜≦20分である。滞留時間は、≧1分〜≦12分であってもよい。滞留時間の間、得られたフォームは、フォーム中の気泡の膨張が、気泡寸法の望ましくない上昇を与えることなく架橋する。
【0027】
本発明の方法の最終工程では、外的影響は、圧力低下または密閉金型中での容積増加を引き起こす。最も簡単な例では、金型の開放が挙げられる。滞留時間および反応の進行に応じて、制御した遅い圧力低下は、フォーム中の気泡形成を制御することも可能である。
【0028】
適当なイソシアネート反応性成分A)は、特にポリオール、ポリアミン、ポリアミノアルコールおよびポリオールである。
【0029】
ポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−および1,4−キシレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメクロロジフェニルメタン(MOCA)、ジメチルエチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンおよび4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジイソプロピルジシクロヘキシルメタンである。ポリマーポリアミン、例えばポリオキシアルキレンアミンは、更に適当である。
【0030】
アミノアルコールの例は、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンおよびジエタノールアミンである。
【0031】
ポリチオールの例は、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、ペンタエリトリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)および1,2−ビス((2−メルカプトエチル)チオ)−3−メルカプトプロパンである。
【0032】
本発明により用いることができるポリオールの数平均モル質量Mは、例えば≧62g/モル〜≦8000g/モル、好ましくは≧90g/モル〜≦5000g/モル、より好ましくは≧92g/モル〜≦1000g/モルであってよい。単一ポリオールを添加する場合、成分A)のOH価は、前記ポリオールのOH価である。混合物の場合には、平均OH価を記載する。この値は、DIN 53240への参照により決定することができる。記載のポリオールの平均OH官能価は、例えば≧2、例えば≧2〜≦6、好ましくは≧2.1〜≦4、より好ましくは≧2.2〜≦3の範囲である。
【0033】
本発明に従って用いることができるポリエーテルポリオールの例は、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合により得られるポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。
【0034】
同様に適当であるポリエーテルポリオールは、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンのジ−または多官能性スターター分子への付加物である。
【0035】
適当なスターター分子の例は、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、エチレンジアミン、トルエンジアミン、トリエタノールアミン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこの種のポリオールとジカルボン酸との低分子量ヒドロキシル化エステルである。
【0036】
本発明に従って用いることができるポリエステルポリオールは、とりわけジ−およびトリ−およびテトラオールおよびジ−およびトリ−およびテトラカルボン酸の重縮合物またはヒドロキシカルボン酸の重縮合物またはラクトンの重縮合物である。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルを用いてポリエステルを製造することも可能である。
【0037】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、および1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートである。これらと一緒に用いることができる他のポリオールは、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートのようなポリオールである。
【0038】
用いることができるポリカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、コハク酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸、2,2−ジメチルコハク酸、ドデカン二酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ダイマー脂肪酸、トリマー脂肪酸、クエン酸またはトリメリット酸である。対応する無水物を酸源として用いることも可能である。
【0039】
エステル化すべきポリオールの平均官能価が≧2となる程度にまで、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸を更に併用することも可能である。
【0040】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの製造中に反応物として併用することができるヒドロキシカルボン酸の例は、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸等である。適当なラクトンは、とりわけカプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。
【0041】
本発明により用いることができるポリカーボネートポリオールは、ヒドロキシル価ポリカーボネート、例えばポリカーボネートジオールである。これらは、カルボン酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン等と、ポリオール、好ましくはジオールとの反応より、またはアルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシドとCOとの共重合により得られる。
【0042】
このタイプのジオールの例は、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールAおよび上記タイプのラクトン変性ジオールである。
【0043】
純粋ポリカーボネートジオールの代わりにまたはこれに加えて、ポリエーテルポリカーボネートジオールを用いることも可能である。
【0044】
本発明に用いることができるポリエーテルエステルポリオールは、エーテル基、エステル基およびOH基を含む化合物である。ポリエーテルポリオールを製造するための適当な化合物は、12個までの炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは≧4〜6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、または芳香族ジカルボン酸であり、これらは単独でまたは混合物として用いる。その例としては、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、ピメリン酸およびセバシン酸、特にグルタル酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸およびイソテレフタル酸が挙げられる。用いることができる前記酸の誘導体の例は、その無水物、そのエステルおよび低分子量を有するヘミエステル、≧1〜≦4個の炭素原子を有する一価アルコールである。
【0045】
ポリエーテルエステルポリオールの製造に用いる他の成分は、ポリエーテルポリオールであり、これは、多価アルコールのようなスターター分子のアルコキシル化により得られる。スターター分子は、少なくとも2官能性であるが、必要に応じて、高官能価を有する、特に3官能性であるスターター分子の含有量を含むこともできる。
【0046】
スターター分子の例は、第1級OH基および好ましくは≧18g/モル〜≦400g/モルまたは≧62g/モル〜≦200g/モルである数平均モル質量Mnを有するジオール、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンテンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオールおよび2−ブテン−1,4−ジオール、エーテルジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ジヘキシレングリコール、トリへキシレングリコール、テトラへキシレングリコール、アルキレングリコール、例えばジエチレングリコール等のオリゴマー混合物である。
【0047】
≧2〜≦8、または≧3〜≦4の数平均官能価を有するポリオールを、上記ジオールに加えて併用して用いることも可能であり、その例は、1,1,1−トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセロール、ソルビタンおよびペンタエリトリトールおよび≧62g/mol〜≦400g/mol、または92g/mol〜≦200g/molである平均分子量を有する、トリオールまたはテトラオールをスターターとして用いるポリエチレンオキシドポリオールである。
【0048】
ポリエーテルポリオールは、有機ジカルボン酸とジオールとの反応により得られる反応生成物のアルコキシル化により製造することもできる。用いることができる前記酸の誘導体の例は、無水物であり、その例は、無水フタル酸である。
【0049】
ポリアクリレートポリオールは、ヒドロキシル化オレフィン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合またはヒドロキシル化オレフィン性不飽和モノマーと必要に応じて他のオレフィン性不飽和モノマーとのフリーラジカル共重合により得られる。その例は、本発明では、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン、アクリル酸、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルである。特に適当なヒドロキシル化オレフィン性不飽和モノマーは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレンオキシドとアクリル酸との付加反応により得られるヒドロキシプロピルアクリレート異性体混合物、およびプロピレンオキシドとメタクリル酸との付加反応により得られるヒドロキシプロピルメタクリレート異性体混合物である。末端ヒドロキシ基は、保護形態で存在することもできる。適当なフリーラジカル開始剤は、アゾ化合物、例えばアゾイソブチロニトリル(AIBN)の群からのフリーラジカル開始剤、または過酸化物、例えばジ−tert−ブチルペルオキシドの群からのフリーラジカル開始剤である。
【0050】
本発明の方法に適した界面活性剤は、その選択について直ちに制限されない。界面活性剤は、有利には、発泡剤がイソシアネートに対して反応性の相においてエマルションまたはマイクロエマルションを形成することを可能とする。界面活性剤の例は、アルコキシル化アルカノール、例えば≧6〜≦30個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルカノールと≧5〜≦100アルキレンオキシド単位を有するポリアルキレングリコールとのエーテル、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化脂肪酸、脂肪酸エステル、ポリアルキレンアミン、アルキルスルフェート、ホスファチジルイノシトール、フッ素化界面活性剤、ポリシロキサン基および/またはビス(2−エチル−1−ヘキシル)スルホスクシネートを含む界面活性剤である。フッ素化界面活性剤は、パーフルオロ化または部分フッ素化界面活性剤であってよい。その例は、部分フッ素化エトキシル化アルカノールまたはカルボン酸である。
【0051】
界面活性剤成分B)は、好ましくはシロキサン末端ポリアルキレンオキシドポリエーテルを含む。これらの界面活性剤の構造は、直鎖または分枝状であってよい。本発明に従って用いるべきこのタイプの界面活性剤は、例えば不飽和化合物とSi−H基を有するポリシロキサンとのヒドロシリル化により得られる。不飽和化合物は、とりわけ、アリルアルコールとエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの反応生成物であってよい。また、界面活性剤は、例えばポリエーテルアルコールとSi−Cl基を有するポリシロキサンとの反応により得られる。ポリエーテルにおける末端基の全ては、シロキサン末端基であってよい。混合末端基を存在させること、すなわち、シロキサン末端基およびOH末端基または官能価OH末端基、例えばメトキシ基等が存在させることも可能である。シロキサン末端は、モノシロキサン基RSi−O−またはオリゴ−またはポリシロキサン基RSi−O−[RSi−O]−[AO]であってよく、例えばnは≧1〜≦100である。分枝状界面活性剤の場合には、シロキサン末端は、構造RSi−O−RSi[AO]−O−[RSi−O]−O−SiR(例えばmは、≧0〜≦10である)を有してもよく、または櫛形ポリマー構造RSi−O−[RSi[AO]]−O−[RSi−O]−O−SiR(式中、m+nは、≧0〜≦250である)を有することもできる。記載の例では、部分Rは、アルキル基、特にメチル基であることが好ましい。基[AO]は、ポリアルキレンオキシド部分、好ましくはポリエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドである。基[AO]は、接続性基、例えばC等によりシロキサンへの結合を有してもよい。
【0052】
本発明により用いることができる発泡剤C)は、超臨界または近臨界状態において、すなわち、臨界温度を超え、および臨界圧力を超えて存在する。発泡剤は、反応混合物中に分離相を形成することができる。例えば超臨界二酸化炭素を用いることができる。二酸化炭素は、反応中に形成され、ポリウレタンフォームを、例えばイソシアネートと水または酸との反応により与えることが可能である。他の発泡剤の例は、直鎖C〜C−アルカン、分枝状C〜C−アルカンおよび環式C〜C−アルカンである。発泡剤の特定の例は、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、シクロペンタン、イソヘキサンおよび/またはシクロヘキサンである。他の例は、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、2,3−ジメチルブタンおよび/またはシクロヘキサンの部分フッ素化またはパーフッ素化である。
【0053】
成分A)、B)およびC)を含むがD)を含まない反応混合物中の発泡剤の割合は、例えば≧5重量%〜≦60重量%であってよい。成分A)、B)、C)およびD)を含まない反応混合物中の発泡剤の割合は、例えば≧3重量%〜≦60重量%、好ましくは≧4重量%〜≦40重量%、特に好ましくは≧5重量%〜≦30重量%であってよい。
【0054】
成分D)は、ポリイソシアネート、すなわち≧2のNCO官能価を有するイソシアネートである。従って、この場合、反応混合物は、反応してポリウレタンフォームを与えるかまたはポリイソシアヌレートフォームを与えることができる。前記反応混合物は、混合ヘッド中で直接製造することができる。
【0055】
これらの適当なポリイソシアネートの例は、ブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタン1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは所望の異性体含量のこれらの混合物、シクロヘキシレン1,4−ジイソシアネート、フェニレン1,4−ジイソシアネート、トリレン2,4−および/または2,6−ジイソシアネート(TDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−および/または2,4’−および/または4,4’−ジイソシアネート(MDI)および/または高級同族体(ポリマーMDI)、1,3−および/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、C〜C−アルキル基を有するアルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である。本発明では、好ましいのは、ジフェニルメタンジイソシアネート基からのイソシアネートである。
【0056】
上記ポリイソシアネートに加えて、以下のものの割合を併用るすることも可能である:ウレトジオン構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、アロファネート構造、ビウレット構造、アミド構造、イミノオキサジアジンジオン構造および/またはオキサジアジントリオン構造で変性されたジイソシアネート、並びに1分子当たり2個を超えるNCO基を含有する非変性ポリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチルオクタン1,8−ジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートを併用することもできる。
【0057】
イソシアネートは、≧2のNCO官能価を有するイソシアネートと≧62g/モル〜≦8000g/モルのモル質量および≧1.5〜≦6のOH官能価を有するポリオールとの反応により得られるプレポリマーであることが可能である。
【0058】
他の従来使用される補助剤および添加剤、例えば触媒、難燃剤、離型剤、充填剤などをポリウレタンフォームの製造に用いることも当然のことながら可能である。
【0059】
ポリイソシアネート成分D)におけるNCO基の数と成分A)におけるイソシアネート反応性基の数との間の比は、例えば≧50:100〜≦500:100であってよい。前記指数は、≧160:100〜≦330:100または≧80:100〜≦140:100の範囲であってよい。
【0060】
本発明の方法の実施態様では、発泡剤C)は、成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物の滞留時間の間、超臨界または近臨界状態で存在する。さらに、密閉金型の内部容積の拡大および/または密閉金型の内部に広まる圧力の低下の後、発泡剤C)は、超臨界状態では存在しない。前記方法は、超臨界発泡剤のマイクロエマルションの制御された膨張を達成する際に有利である。
【0061】
本発明の方法の1つの実施態様では、成分A)、B)、C)およびD)の混合後に広まる圧力は、≧40バール〜≦150バールである。この状態は、特に混合ヘッド中でおよび混合ヘッド後に得られる。圧力は、≧80バール〜≦120バールであってもよい。この種の圧力では、用いる発泡剤について超臨界または近臨界条件を維持することが可能である。
【0062】
本発明の方法の1つの実施態様では、成分A)は、≧200mgKOH/g〜≦600mgKOH/gのヒドロキシ価を有するポリエステルポリオールおよび≧800mgKOH/gのヒドロキシ価を有する短鎖ポリオールを含む。適当なポリエステルポリオールは、とりわけ、Bayer MaterialScience AGからの商品名Desmophen(登録商標)VP.PU 1431で得られる。ポリエステルポリオールのOH価は、≧290mgKOH/g〜≦320mgKOH/gであってもよい。短鎖ポリオールは、特に、≧2〜≦6個の炭素原子を有するポリオールである。グリセロールが好ましい。OH価は、1827mgKOH/gである。短鎖ポリオールの付加は、有利には、ポリオール相の極性を増加させることができる。
【0063】
本発明の他の実施態様では、界面活性剤B)は、オリゴジメチルシロキサン末端基を有するポリエチレンオキシドポリエーテルを含み、ジメチルシロキサン単位の数は、≦5である。この種のポリエーテルは、例えば理想式:
R’O−[CHCHO]−X−SiR(O−SiR)((O−SiRR)
〔式中、R=CHおよびR’=H、CHまたはCOCH
により表すことができる。本発明では、Xは、任意の接続性基、例えばアルキル−αまたはω−ジイル等であってよく、oは、≧1〜≦100であり、好ましくは≧5〜≦30、より好ましくは≧10〜≦20であり、pは≦2である。基Xは、例えば−CH−CH−CH−であってよい。好ましい界面活性剤は、3−(ポリオキシエチレン)プロピルヘプタメチルトリシロキサンである。これは、Dow Corningから商品名Q2−5211(登録商標)で市販されている。
【0064】
本発明の方法の他の実施態様では、界面活性剤成分B)のHLB値は、≧10〜≦18である。この指数は、≧11〜≦16の範囲、または≧12〜≦14の範囲であってもよい。HLB値(親水性−親油性−バランス値)は、第1級非イオン界面活性剤の親水性および親油性含有量を記載する。非イオン界面活性剤についてのHLB値は、以下のように計算することができる:HLB=20・(1−M/M)
〔式中、Mは、分枝の疎水性部分のモル質量であり、Mは、全分子のモル質量である〕
【0065】
本発明の他の実施態様では、界面活性剤成分B)は、イソシアネート反応性化合物またはポリイソシアネートへ共有結合した形態で存在する。結合は、好ましくは界面活性剤の遊離OH基により行う。ポリエステルポリオールの場合には、ポリオールへの共有結合は、例えばポリオールの酸末端基とのエステル化反応により行うことができる。ポリイソシアネートへの結合は、NCO基と界面活性剤の遊離OH基との反応により行う。界面活性剤のポリウレタンマトリックスの成分への共有結合は、界面活性剤を固定化し、従って得られたポリウレタンフォームの移行の抑制を可能とする。
【0066】
本発明の更なる実施態様では、ポリイソシアネート成分D)は、モノマーおよび/またはポリマージフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートである。この種のポリイソシアネートは、商品名Desmodur(登録商標)44V70Lで、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)と異性体と高官能価同族体との混合物の形態でBayer MaterialScience AGから得られる。
【0067】
本発明の方法の他の実施態様では、界面活性剤成分B)の重量%による相対的比率γは、成分A)、B)およびC)を含む混合物中において、全組成物を基準として≧0.05〜≦0.3である。前記混合物は、他の従来使用される補助剤および他の従来使用される添加剤を含んでもよい。表現「A)、B)およびC)を含む混合物」は、ポリイソシアネートの添加直前に使える処方物を意味する。混合物の温度は、≧20℃〜≦80℃であることが更に好ましい。これらの条件下では、ポリオール相における発泡剤のマイクロエマルションは、最小の界面活性剤の使用により得られる可能性が高い。γ値は、≧0.10〜≦0.26または≧0.15〜≦0.20であってもよい。温度は、≧20℃〜≦80℃であってよい。
【0068】
本発明の方法の他の実施態様では、成分A)、B)、C)およびD)の存在する量は、以下の通りである:
A)≧25重量%〜≦30重量%、
B)≧4重量%〜≦15重量%、
C)≧5重量%〜≦40重量%、
D)≧30重量%〜≦60重量%。
【0069】
本発明では、重量%は、≦100重量%の合計を与える。好ましい量の成分は、以下の通りである:
A)≧27重量%〜≦29重量%、
B)≧8重量%〜≦12重量%、
C)≧8重量%〜≦20重量%、
D)≧40重量%〜≦50重量%。
【0070】
本発明の方法の他の実施態様では、成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物を導入した密閉金型は、混合物に対応するために可動性封止により制限された内部容積を含み、可動性封止の位置は、機械圧力によりおよび/または液体圧力により変化させることができる。この方法は、容積についておよび金型の内部の圧力についての外的影響を提供する。この実施態様を、例として図1および図3と併せてさらに説明する。
【0071】
本発明は、本発明の方法により得られるポリウレタンフォームをさらに提供する。本発明の方法の詳細については、先の記載を参照する。DIN EN 1602に従う本発明のフォームの見かけ密度は、例えば≧10kg/m〜≦300kg/m、好ましくは≧20kg/m〜≦100kg/mであってよい。本発明のフォームについての好ましい使用は、断熱に見出される。
【0072】
本発明のフォームは、低密度を有するが、エアロゲルの形態を取らない。例えばWO2006/128872A1およびそこに記載の出版物に記載のエアロゲルは、超臨界状態においてゲルから乾燥工程の間に液体を除去することにより得られる。しかしながら、その結果はフォームではない。球状微粒子構造が得られる。
【0073】
本発明のポリウレタンフォームの1つの実施態様では、これは、≧10nm〜≦10000nmの平均細孔径を有するフォームの形成を取る。細孔径は、≧20nm〜≦1000nm、≧40nm〜≦800nmであってもよい。細孔径は、好ましくは、電子顕微鏡および細孔の計測により決定される。他の方法は、水銀侵入(DIN 66133)および窒素吸着(DIN 66134)により決定する。
【0074】
本発明のポリウレタンフォームの他の実施態様では、これは、≧10ポア/cm〜≦1018ポア/cmの細孔密度を有する。先に記載したように、細孔密度は、電子顕微鏡によるものであり、面積の単位当たりの細孔の数を容積関連計算についての基準として用いる。細孔密度は、≧10ポア/cm〜≦1016ポア/cm、好ましくは≧1012ポア/cm〜≦1014ポア/cmの範囲であってもよい。
【0075】
本発明のポリウレタンフォームの他の実施態様では、フォームの熱伝導性は、≧6mW/mK〜≦30mW/mKである。この伝導性は、DIN52616により決定することができ、≧8mW/mK〜≦25mW/mK、好ましくは≧10mW/mK〜≦20mW/mKの範囲であってもよい。前記フォームは、COにより完全に膨らんだフォームであることが好ましい。言い換えれば、前記フォームを製造するために用いる発泡剤成分は、専らCOである。
【0076】
以下の実施例は、図の併用により、本発明の更なる説明を与える。
【0077】
図1〜3は、本発明に従って用いることができる密閉金型を示す。
【0078】
図4は、実施例1において特徴付けられた系についての界面活性剤含有量γに対してプロットした温度Tのグラフを示す。
【0079】
図5は、実施例2において特徴付けられた系についての界面活性剤含有量γに対してプロットした温度Tのグラフを示す。
【0080】
図6および7は、実施例3において得られたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0081】
図8および9は、実施例4において得られたフォームの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0082】
図1は、本発明に従って用いることができる密閉金型を示す。金型は、図式的に示される注入開口物30を有する外部ケース10を有し、これは、遮断装置20により封止することができる。要求される反応成分を含む混合物を、金型中へ前記開口物により導入する。ピストン状封止40を、ケース10内で移動することができる。こうして、封止40により制限された容積を金型内に生じさせて反応混合物に適合させる。ケース内での封止40の位置は、封止40の部分であり、ケース10から突き出る棒状継続による配置により、すなわち、機械圧力により達成することができる
【0083】
図2は、本発明に用いることができる他の密閉金型を示す。金型は、同様に、遮断装置20により封止することができる、図式的に示された注入開口部30を有する外部ケース10を有する。必要な反応成分を含む混合物を、前記装置を用いて金型中へ導入する。金型における圧力についての外的影響を、他のバルブ装置60を用いて気体圧力を適用することにより行う。これは、図式的に示されており、遮断装置50により必要に応じて封止することができる。本発明の目的のために、注入開口部30およびバルブ装置60を互いに組み合わせることも考えられる。例えば、その場合、注入開口部30へ結合した混合ヘッドも気体圧力を金型へ同時に適用することが可能である。
【0084】
図3は、本発明に用いることができる他の密閉金型を示す。金型は、同様に、図示的に示された注入開口部30を有する外部ケースを有するが、これは遮断装置20により封止することができる。必要な反応成分を含む混合物は、前記開口部により金型中へ導入する。ケース10内では、自由に移動することができるか、または浮遊性である封止70が存在する。従って、封止40により制限される容積(反応容積)は、金型内で生じさせて反応混合物に適合させる。他の容量は、金型10内での封止70の他の側について得られ、この容量は、ここでは操作容量と称する。図1に示された金型とは異なって、封止の位置は、機械圧力により変化させられないが、気体圧力により変化する。該圧力は、バルブ装置60による操作容積内に適用され、これは、遮断装置50により必要な場合に封止することができる。従って、操作容積は、反応容積に対して拡大または低下させることができる。これは、反応容積における圧力の上昇または低下が伴う。当然のことながら、バルブ装置60を用いて操作容積中へ導入することだけでなく、他の液体、例えば水力学的液体のみが可能である。
【実施例】
【0085】
実施例および図における値αは、ポリオール/発泡剤混合物中の発泡剤、すなわち、非極性相の重量による相対的比率を与える。値Ψは、極性相における個々の成分の質量分率を示す。値γは、組成物全体を基準に界面活性剤成分の重量による相対比率を示す。図の参照記号1は、マイクロエマルションが生じる単一相分野を示し、は、界面活性剤が極性相中に溶解した2相区域を示し、



は、界面活性剤が非極性相中に溶解した2相分野を示す。
【0086】
各実施例は、それぞれ特定のポリオール/発泡剤/界面活性剤系に関する。実施例では、種々の処方物を、発泡剤の異なった比率αでより詳細に特徴付けている。αの各一定比率について、界面活性剤成分の比率γを変えた。界面活性剤成分自体の成分は、全ての実施例において一定を維持した。系の温度を記録し、接続線を、単一相、2相および3相区域の間境界を決定するために測定点間で補完した。この方法は、Kahlweit−Fisch diagram(M.Kahlweit、R.Strey、Angewandte Chemie International Edition、第28巻(8)、第654頁、1985年)と比較できる図を与える。接続線の交差する点は、系の特性化について特に重要である。γおよびTの調節系における交差点の位置が分かると、マイクロエマルションは、界面活性剤の僅かに大きいγにて生じると予想することができる。
【0087】
実施例に用いた物質名は、以下の意味を有する:
【0088】
Desmophen(登録商標) VP.PU 1431:Bayer MaterialScience AGからの2官能性ポリエステルポリオール、OH価310mgKOH/g
【0089】
TCPP:トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート
【0090】
Q2−5211(登録商標):Dow Corningからのシロキシル化ポリエチレンオキシドポリエーテル、末端基:OHおよびヘプタメチルトリシロキサン、32%のシロキサン基、68%のエチレンオキシド単位、EO含有量のHLB値:11.5。
【0091】
Desmorapid(登録商標)726b: Bayer MaterialScience AGからの触媒。
【0092】
DBTL:ジブチル錫ジラウレート
【0093】
Desmodur(登録商標) 44V70L:ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)と異性体との混合物およびBayer MaterialScience AGからの高官能価同族体。
【0094】
Desmodur(登録商標) 85/25:Bayer MaterialScience AGからのジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)と異性体および高官能価同族体の混合物
【0095】
実施例1
この実施例では、Q2−5211(登録商標)を、界面活性剤成分のために用いた。超臨界CO(scCO)を発泡剤として用いた。ポリオール成分は、80重量部のDesmophen(登録商標) VP.PU 1431、15重量部のグリセロールおよび15重量部のTCPPの混合物であった。これは、ΨVP.PU 1431=0.728、Ψグリセロール=0.136およびΨTCPP=0.136の質量分率に対応する。処方物は、α=0.15およびα=0.30で混合した。この実施例における圧力は、220バールであった。図4は、この結果を与える。相図における接続線の交差点において決定したパラメーターは次の通りである:
【0096】

【0097】
実施例2
ここで用いた系は、実施例1における系と同じ系、すなわち、Q2−5211(登録商標)、超臨界COおよびポリオール成分、80重量部のDesmophen(登録商標) VP.PU 1431、15重量部のグリセロールおよび15重量部のTCPPの混合物であった。これは、また、0.15のα値で、ΨVP.PU 1431=0.728、Ψグリセロール=0.136およびΨTCPP=0.136の質量分率に対応する。図5は、この結果を与える。この実施例から、マイクロエマルション領域の位置は、圧力の変化により適切に調節することができると結論付けることができる。相図における接続線の交差点において決定したパラメーターは次の通りである:
【0098】

【0099】
実施例3
実施例1および2の教示に従って得られるマイクロエマルションを反応させてポリウレタンフォームを得た。COを、ポリオール、TCPPおよび界面活性剤の混合物と58℃にて170バールの圧力にて混合した。任意の理論に制限することなく、scCO液滴のマイクロエマルションは、ポリオール相において形成されたと考えられる。ポリイソシアネートと、前記エマルションと高圧混合ヘッド中で混合した。次いで反応混合物を、80バールの反対圧力を有する金型中へ導入した。従って、超臨界条件は、継続してCOに関して金型中で広まる。この圧力は、物質を金型中へ導入した後にのみ大気圧へ減少させ、その温度を特定の滞留時間の供給後に60℃に制御した。
【0100】
処方物は以下の通りであった:

【0101】

【0102】
αおよびγ値は、イソシアネートを含めて計算した。全ショット重量は、120グラムであった。得られたフォームは、走査型電子顕微鏡により調査した。図6および7は、異なった目盛りでの走査型電子顕微鏡写真を示す。1μmより著しく小さい直径の細孔が、得られたフォームに形成されていることが見られる。平均細孔半径は、240±79nmである。細孔の平均数値的密度は、2.2・1011であった。任意の理論を導入することなく、フォーム中の気泡は、マイクロエマルション中の気泡よりOstwaldの結果として重合工程中に熟成しながら大きくなったと考えられる。
【0103】
実施例4

【0104】

【0105】
αおよびγ値は、イソシアネートを含めて計算した。全ショット重量は、120グラムであった。得られたフォームは、走査型電子顕微鏡により調査した。図8および9は、異なった目盛りでの走査型電子顕微鏡写真を示す。1μmより著しく小さい直径の細孔が、得られたフォームに形成されていることが見られる。平均細孔半径は、180±59nmである。細孔の平均数値的密度は、3.6・1011であった。任意の理論に従うことなく、フォーム中の気泡は、Ostwaldの結果として元のマイクロエマルション中の気泡より重合工程中に熟成しながら大きくなったと考えられる。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームの製造方法であって、以下の工程:
・A)イソシアネート反応性成分、
B)界面活性剤成分、
C)直鎖、分枝状または環式C〜C−アルキレン、直鎖状、分枝状または環式C〜C−フルオロアルカン、N、O、アルゴンおよび/またはCOからなる群から選択される発泡剤成分、
D)ポリイソシアネート成分
を含む混合物を供給する工程、
・成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物を、密閉金型へ導入する工程であって、該密閉金型は、内部容積および/または内部において広まる圧力を、混合物を導入した後に外的影響により変化させることができるように構成されている、工程、
・予め決定した≧0秒の滞留時間を、成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物について密閉金型において与える工程、および
・密閉金型の内部容積を拡大し、および/または密閉金型の内部に広まる圧力を外的影響により低下させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物の滞留時間の間に発泡剤C)を、超臨界または近臨界状態で存在させ、密閉金型の内部容積の拡大および/または密閉金型の内部にかかっている圧力の低下後、発泡剤C)は、超臨界状態で存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分A)、B)、C)およびD)の混合後に広まる圧力は、≧40バール〜≦150バールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
成分A)は、≧200mgKOH/g〜≦600mgKOH/gのヒドロキシ価を有するポリエステルポリオールおよび≧800mgKOH/gのヒドロキシ価を有する短鎖ポリオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
界面活性剤成分B)は、オリゴジメチルシロキサン末端基を有するポリエチレンオキシドポリエーテルであり、ジメチルシロキサン単位の数は≦5である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤成分のHLB値は、≧10〜≦18である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤成分B)は、イソシアネート反応性化合物またはポリイソシアネートへ共有結合した形態で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリイソシアネート成分D)は、モノマーおよび/またはポリマージフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤成分B)の重量%による相対的比率γは、成分A)、B)およびC)を含む混合物中において、組成物全体を基準として≧0.05〜≦0.3である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
成分A)、B)、C)およびD)の存在する量は、
A)≧25重量%〜≦30重量%、
B)≧4重量%〜≦15重量%、
C)≧5重量%〜≦40重量%、
D)≧30重量%〜≦60重量%
である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
成分A)、B)、C)およびD)を含む混合物を導入した密閉金型は、混合物に適合させるために、可動性封止(40、70)により制限された内部容積を含み、可動性封止(40、70)の位置は、機械圧力によりおよび/または液体圧力により変化することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により得られるポリウレタンフォーム。
【請求項13】
≧10nm〜≦10000nmの平均細孔径を有するフォームの形態で存在する、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項14】
≧10ポア/cm〜≦1018ポア/cmの細孔密度を有する、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項15】
≧6mW/mK〜≦30mW/mKの熱伝導性を有する、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−510209(P2013−510209A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537389(P2012−537389)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066744
【国際公開番号】WO2011/054873
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】