説明

超音波センサ

【課題】 従来の防滴型の超音波センサを利用して、感度、音圧、指向性の向上と、水滴による性能低下を防止するとともに、目的とする所望の特性を容易に得ることのできる超音波センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】
円筒状のケース内部に圧電素子を備えて密閉してなる防滴型の超音波素子と、該超音波素子をホーン型反射板の中央部に備えてなる防滴型の超音波センサにおいて、該超音波素子の前面に前面反射板を備え、該前面反射板は、中央の稜線部から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該稜線部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成して、超音波素子と空中との振動インピーダンスのマッチングを得ることが可能となり、開放型超音波センサと同等の良好な中央部感度(S/N比)、指向性特性、残響特性を得ることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防滴型の超音波センサに関し、特に感度と指向性を向上させた防滴型の超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、超音波振動子の共振周波数で超音波を対象物に向けて発信して、かつ同じ周波数で対象物から反射した超音波の受信を行い、その発信から受信までの時間で対象物の距離を測定したり、物体を検知したりするものである。このような超音波センサは、車両の後部や四隅に取り付けられて後方や曲がる際に障害物や人間を検知するためのセンサや、建設重機の前後左右に取り付けられて作業範囲にいる人間を検知するためのセンサなど幅広い用途で使用されている。また、車両や建設重機などに取り付けられた超音波センサは、雨などの水滴から超音波センサを保護するために、防滴構造の超音波素子を使用している。このような防滴型の超音波センサの一般的な従来技術を以下に示す。
【0003】
例えば、特開昭63−255679号公報(特許文献1)に開示された「超音波振動子」は、当該公報の図1に表されるように、密閉構造の振動板の内面に圧電素子を接合して、密閉構造(防滴型)の超音波センサとしたものである。
【0004】
また、特開平4−56597号公報(特許文献2)に開示された「防滴型超音波マイクロホン」についても、特許文献1と同様な技術が示されており、一般的な防滴型の超音波センサはこのように密閉構造とすることで防滴性能を得るように構成している。
【0005】
さらに、このような防滴型の超音波センサの指向性を向上させる方法としては、超音波センサにホーンを設けることが一般的な技術であり、実公平2−27665号公報(特許文献3)に開示された「超音波センサ」には、当該公報の図1に従来例として防滴型超音波振動子にホーンを備えたことが表されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開昭63−255679号公報
【特許文献2】 特開平4−56597号公報
【特許文献3】 実公平2−27665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の防滴型の超音波センサは、水滴が入らないように密閉された構造となっているため、素子と空中との振動インピーダンスのマッチングが取りづらく、超音波センサとしての良好な性能を得ることができない。通常の開放型の超音波センサと比較した場合、感度、音圧、指向性の低下が著しく、一般的なデータとしては、開放型の音圧が115dBに対して防滴型は106dBに低下、開放型の感度が−67dBに対して防滴型は−78dBに低下、開放型の半減角が55°に対して防滴型は80°に指向性が低下し、その性能低下は顕著なものである。
【0008】
また、特許文献3に示されるホーンを使用して指向性を向上させたものにあっては、ホーンの開口部から雨滴や水はねなどの水滴が侵入して、超音波センサとしての所望の性能を得ることができなくなる。そのために内部に水抜き穴を備えているが、水抜き穴が土埃などで詰まったりする場合があり結果的に、超音波センサとしての所望の性能を得ることが難しい。
【0009】
そこで本発明は、従来の防滴型の超音波センサを利用して、感度、音圧、指向性の向上と、水滴による性能低下を防止するとともに、目的とする所望の特性を容易に得ることのできる超音波センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
円筒状のケース内部に圧電素子を備えて密閉してなる防滴型の超音波素子と、該超音波素子をホーン型反射板の中央部に備えてなる防滴型の超音波センサにおいて、該超音波素子の前面に前面反射板を備え、
該前面反射板は、中央の稜線部から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該稜線部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成したことで解決される。
【0011】
また、前記、前面反射板の稜線部は、該超音波素子の前面方向に膨出するように円弧状に形成して構成したことで解決される。
【0012】
また、前記、前面反射板は、中央の頂点部から円形に後退傾斜してなる円錐側面からなり、該頂点部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該頂点部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成したことで解決される。
【0013】
前記、ホーン型反射板の前面開口部に、井桁に組んだ格子板を備えて構成したことで解決される。
【0014】
前記、超音波センサからのセンシング信号と、別に備えられた撮像装置からの画像信号とを解析することにより、人体だけを識別して警報を発するように構成したことで解決される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1においては、円筒状のケース内部に圧電素子を備えて密閉してなる防滴型の超音波素子と、該超音波素子をホーン型反射板の中央部に備えてなる防滴型の超音波センサにおいて、該超音波素子の前面に前面反射板を備え、該前面反射板は、中央の稜線部から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該稜線部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成した。これにより、超音波素子が振動することにより発生した超音波が、ホーン型反射板と前面反射板との間に形成された空間で圧縮され、超音波素子と空中との振動インピーダンスのマッチングを得ることが可能となり、開放型超音波センサと同等の良好な中央部感度(S/N比)、指向性特性、残響特性を得ることを可能とした。また、雨滴などの水滴が超音波素子の前面に付着することで超音波センサとしての性能が低下するが、超音波素子の前面に前面反射板を備えたことで、超音波素子への水滴付着をなくして性能低下を防止する。さらに、超音波素子と前面反射板の隙間に水滴が侵入した場合であっても、前面反射板の稜線部と該超音波素子との間の微細な間隙によって、水滴が自然に下方に流れ落ち、雨天時や水溜まりがある作業現場などでの超音波センサの性能低下防止を確実に可能とした。
【0016】
請求項2においては、前面反射板の稜線部が、該超音波素子の前面方向に膨出するように円弧状に形成して構成した。これにより、請求項1の効果に加えて、円弧状の稜線部と超音波素子との微細な間隙は、より点に近い状態となるので、水滴の付着防止性能を高めることを実現し、超音波センサの性能低下防止を確実に可能とした。
【0017】
請求項3においては、前面反射板を、中央の頂点部から円形に後退傾斜してなる円錐側面からなり、該頂点部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該頂点部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成した。これにより、請求項1の効果に加えて、頂点部と超音波素子との微細な間隙は、より点に近い状態となるので、水滴の付着防止性能を高めることを実現し、超音波センサの性能低下防止を確実に可能とした。
【0018】
請求項4においては、ホーン型反射板の前面開口部に、井桁に組んだ格子板を備えて構成した。これにより、超音波センサの性能を変化させることなく、大粒の雨滴や水滴がホーン型反射板、前面反射板、超音波素子に直接付着することを防止して、水滴による性能低下防止を実現し、激しい雨天時や、深い水溜まりがある作業現場などでの超音波センサの性能低下防止を確実に可能とした。
【0019】
請求項5においては、超音波センサからのセンシング信号と、別に備えられた撮像装置からの画像信号とを解析することにより、人体だけを識別して警報を発するように構成した。これにより、車両や建設重機で人体検知システムとして使用したときに、段差や瓦礫、草木など人体以外の地面の障害物を検知して誤警報を発することなく確実に人体だけを検知して警報を発することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】図1の要部拡大B−B線断面図である。
【図3】前面反射板の他の形状を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例の詳細説明図である。
【図6】指向性特性を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図8】指向性特性を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施例を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
【実施例1】
【0022】
本発明の超音波センサの第1の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例を示す図であり、図2は図1の正面図におけるB−B線断面図で要部を拡大した図である。図1に示されるように、超音波センサ本体(1)は、円筒状のケース内部に圧電素子を備えて密閉してなる防滴型の超音波素子(2)と、該超音波素子(2)をホーン型反射板(3)の中央部に備え、該超音波素子(2)の前面に、前面反射板(4)を備えて構成されている。図2に示されるように、該前面反射板(4)は、中央の稜線部(4a)から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部(4a)が該超音波素子(2)の前面に対向して備えられるとともに、該稜線部(4a)と該超音波素子(2)の前面との間に微細な間隙(5)を備えて構成した。なお、微細な間隙(5)とは、該前面反射板(4)と該超音波素子(2)とが接触するかしないかといった状態であり、概ね1mm以下を意味するものである。
【0023】
このように構成された超音波センサ本体(1)は、図2に示されるように、超音波素子(2)に所定の電圧が印加され、超音波素子(2)が振動することにより発生した超音波が、該間隙(5)及びホーン型反射板(3)と前面反射板(4)との間に形成された空間で圧縮され、超音波圧縮空間(6)が形成される。これにより、超音波素(2)と空中との振動インピーダンスのマッチングを得ることが可能となり、従来の前面反射板のない防滴型の超音波センサでは得ることができなかった、開放型超音波センサと同等の良好な中央部感度(S/N比)、指向性特性、残響特性を得ることを可能とした。
【0024】
また、従来例の防滴型の超音波センサでは、超音波素子を水滴の侵入を防止するために密閉構造としている故に開放型の超音波素子と比較すると著しく性能が低い。また、雨などの水滴が超音波素子の前面に付着することでさらに著しく性能が低下するといった課題を有していたが、本発明においては、超音波素子(2)の前面に前面反射板(4)を備えたことで、超音波素子(2)への水滴付着をなくして性能低下の防止をすることをも実現した。なおかつ超音波素子(2)と前面反射板(4)の間に水滴が侵入した場合であっても、前面反射板(4)の稜線部(4a)と超音波素子(2)との間の微細な間隙(5)によって、水滴が下方に自然に流れ落ち、雨天時や水溜まりがある作業現場などでの超音波センサの性能低下防止を前記と合わせて確実に可能とした。
【0025】
図3は、該前面反射板(4)の稜線部の他の形状を示したもので図2に示された前面反射板(4)をこれに置き換えて見る。(A)は稜線部にRを付けたR状稜線部(4b)、(B)は稜線部を平らにした平面状稜線部(4c)で、何れも、請求項1の技術範囲に含まれるものであり、同様の効果を奏するものである。
【0026】
なお、前面反射板(4)は、中央の稜線部(4a)から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面とし、図においては中実で表しているが、要するに山型面を有していれば良いのであって、板状の金属あるいは樹脂を用いて山型面を有するように形成しても良い。
【0027】
図6は、本実施例における超音波センサ(1)の指向性特性を示す図で、水平面指向特性は、前面反射板(4)が中央の稜線部(4a)から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部(4a)が該超音波素子(2)の前面に対向して備えられていることから、水平面方向に干渉が生じてサイドローブを有する特性となり、水平面方向にワイドな特性を得ることができる。一方垂直面方向は、反対にナローな特性となり地面の障害物(石や段差など)の影響が少なく、かつ人体など必要な物体の検知精度を向上させた超音波センサを提供することを可能とした。
【0028】
本実施例の超音波センサ(1)のホーン型反射板(3)は、図1に示されるように正面図から正円、A−A線断面図から椀状に形成し、前面反射板(4)は図2に示されるように中央の稜線部(4a)から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面として形成しているが、ホーン型反射板(3)を正面視形状を正円から横長楕円にした場合は、更に水平方向にワイドな指向性特性を得ることができる。また、椀状の深さを更に深くすることでよりスポットで遠方の物体をも検知することができ、単一指向性を得ることできる。
さらに、前面反射板(4)の山型面の角度を調整することで水平方向の所望の指向性特性を得ることができ、両者の形状、深さ、角度などを適宜組み合わせて設計することにより使用する用途に応じた所望の指向性特性を容易に得ることができる優れた防滴型の超音波センサを得ることを可能とした。
【実施例2】
【0029】
図4は、本発明の第2の実施例を示す図であり、図1のA−A線断面図における前面反射板(4)の稜線部(4a)を円弧状にしたものである。本実施例においては、前面反射板(4)の稜線部(4a)、(4b)、(4c)を、超音波素子(2)の前面方向に膨出するように円弧状に形成した円弧状稜線部(4d)として構成した。これにより、実施例1における種々の効果に加えて、円弧状稜線部(4d)と超音波素子(2)とは微細な間隙(5)を介して、より点に近い状態で近接して構成されるので、超音波センサとして優れた中央部感度(S/N比)、指向性特性、残響特性を得ることを可能とした。
【0030】
また、図5に示すように、円弧状稜線部(4d)と超音波素子(2)と前面反射板(4)の間に水滴が侵入した場合であっても、円弧に沿って水滴が下方に自然に流れ落ち、雨天時や水溜まりがある作業現場などでの超音波センサの性能低下防止を前記と合わせて確実に可能とした。なお、指向性特性においては第1の実施例と同様の特性を示すので説明は省略する。
【実施例3】
【0031】
図7は、本発明の第3の実施例を示す図である。本実施例においては、前面反射板を、中央の頂点部(41a)から円形に後退傾斜してなる円錐側面を有する前面反射板(41)として構成したことに特徴を有する。この場合、基本的な構成及びその効果は、前面反射板の形状が異なるのみで、第1の実施例と同一であるので、同一の説明は省略し相違する点を説明する。
【0032】
前面反射板(41)は、頂点部(41a)によって、超音波素子(2)とは微細な間隙(5)を介して、より点に近い状態で近接して構成されることになる。これにより、超音波素子(2)と前面反射板(4)の間に水滴が侵入した場合であっても、排水性能と、水滴の滞留防止効果を高めることを実現して、雨天時や水溜まりがある作業現場などでの超音波センサの性能低下防止を確実に可能とした。
【0033】
また、本実施例においても、段落番号0024で述べたと同様に、前面反射板(41)の頂点部(41a)にRを付けたり、平らにしたりしても請求項3の技術範囲に含まれるものであり、同様の効果を呈するものである。なお、説明の図は、既出の図3をそのまま適用する。(ただし、符号は適用しないものとする)
【0034】
図8は、本実施例における超音波センサ(1)の指向性特性を示す図で、前面反射板(41)が円錐側面を有する形状であることから、水平面及び垂直面指向特性は、極めてスポット的な単一指向性となり、地面の障害物(石や段差など)の影響が少なく、かつ人体など必要な物体の検知精度を向上させるとともに、より遠方の物体の検知も可能になる。
【0035】
本実施例の超音波センサ(1)のホーン型反射板(3)は、図7に示されるように正面図から正円、A−A線断面図から椀状に形成し、前面反射板(41)は中央の頂点部(41a)から円形に後退傾斜してなる円錐側面を有して形成しているが、ホーン型反射板(3)の椀状深さを更に深くすることでよりスポットで遠方の物体をも検知することができ、単一指向性を得ることできる。また、前面反射板(41)の円錐面の角度を調整することで所望のスポット指向性特性を得ることができ、両者の深さや角度などを適宜組み合わせて設計することにより使用する用途に応じた所望の指向性特性を容易に得ることができる優れた防滴型の超音波センサを得ることを可能とした。
【0036】
なお、前面反射板(41)は、中央の頂点部(41a)から円形に後退傾斜してなる円錐側面を有し、図においては中実で表しているが、要するに円錐側面を有していれば良いのであって、板状の金属あるいは樹脂を用いて円錐側面を有するように形成しても良い。
【実施例4】
【0037】
図9は、本発明の第4の実施例を示す図である。ホーン型反射板(3)の前面開口部に、井桁に組んだ格子板(7)を備えたことを特徴とした。格子板(7)は、前後方向に幅を有する板を井桁に組んで格子状に構成しているので、超音波センサ(1)の性能及び特性を変化させることなく、大粒の雨滴や水滴を遮断し、ホーン型反射板(3)、前面反射板(4)、(41)、超音波素子(2)に直接付着することを防止する。格子板(7)のホーン型反射板(3)側に流れた水滴は、下部に備えた水抜孔(7a)から排出される。これにより、大粒の雨滴が超音波素子(2)に付着することによる性能低下の防止を実現するとともに、実施例1乃至4の請求項2に記載の前面反射板(4)の効果と合わせて適用することで、雨滴や水滴に対する超音波センサのさらなる性能維持を実現した。
【実施例5】
【0038】
図10は、本発明の第5の実施例を示すブロック図である。超音波センサ(1)からのセンシング信号(10a)と、別に備えられた撮像装置(10)からの画像信号(10b)とを、CPU(11a)を経て解析部(11b)で解析することにより、人体だけを識別して警報を発するように構成したことを特徴とする人体検知システムである。一般的に超音波センサは指向性に応じた検知エリア内の物体を検知する。物体とは人体、段差、瓦礫、草木などであり、特に建築や土木作業現場において建設重機を操作する際は、周囲に作業員がいるかいないかの確認が必要である。死角の多い建設重機においては目視での確認は困難を伴うものであり、安全確保のために超音波センサを設置することが必要不可欠である。しかしながら建築や土木作業現場においては前記したように、様々な物体が存在し検知した物体が人体であるか否かの判定が極めて難しい。本実施例においては、解析部(11b)で、画像信号(10b)から得た情報を、人体シルエットの解析アルゴリズムによって、超音波センサ(1)からのセンシング信号(10a)と撮像装置(10)からの画像信号(10b)とで検知物体が人体であるか否かを識別する。そして識別した結果を警報部(11c)で音、光、振動、モニタ表示などの手段、それぞれ単体あるいはその組み合わせによって、車両ドライバーや重機オペレータに対して警報を発する。警報は、人体である場合にのみ発するような設定でも、人体や障害物によって異なる音や光などを発するように設定してもよいことはいうまでもない。これにより、特に死角が多い大型建設重機などの人体検知システムとして使用したときに、段差や地面の障害物を検知して誤警報を発することなく、確実に人体だけを検知して警報を発するので大幅な安全性向上の実現を可能とした。
【符号の説明】
【0039】
1 超音波センサ本体
2 超音波素子
3 ホーン型反射板
4 前面反射板
4a 稜線部
4b R状稜線部
4c 平面状稜線部
4d 円弧状稜線部
41 前面反射板
41a 頂点部
5 微細な間隙
6 超音波圧縮空間
7 格子板
7a 水抜孔
10 撮像装置
10a センシング信号
10b 映像信号
11 人体検知システム
11a CPU
11b 解析部
11c 警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のケース内部に圧電素子を備えて密閉してなる防滴型の超音波素子と、該超音波素子をホーン型反射板の中央部に備えてなる防滴型の超音波センサにおいて、該超音波素子の前面に前面反射板を備え、該前面反射板は、中央の稜線部から左右の端部に向かって後退傾斜してなる山型面からなり、該稜線部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該稜線部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成したことを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記、該前面反射板の稜線部は、該超音波素子の前面方向に膨出するように円弧状に形成して構成したことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記、該前面反射板は、中央の頂点部から円形に後退傾斜してなる円錐側面からなり、該頂点部が該超音波素子の前面に対向して備えられるとともに、該頂点部と該超音波素子の前面との間に微細な間隙を備えて構成したことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記、該ホーン型反射板の前面開口部に、井桁に組んだ格子板を備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記、該超音波センサからのセンシング信号と、別に備えられた撮像装置からの画像信号とを解析することにより、人体だけを識別して警報を発するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−35884(P2011−35884A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189529(P2009−189529)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(396006457)日生技研株式会社 (2)
【Fターム(参考)】