距離計
【課題】対象物までの距離を非接触式的に測定するための測定装置において、測定の正確性を向上させ、その動的領域を広げる。
【解決手段】対象物までの距離を非接触式に測定するための携帯式距離計であって、ハウジング10と、光学測定光1を使用し走時測定に基づき、対象物までの距離を非接触的に測定可能である測定器とを備え、この測定器は、光源ユニットと、光学素子を有する光学ユニットとを備え、光学ユニットは、投光・受光用光学系、測定光を対象物へと投光するための投光路、および対象物から反射/散乱した測定光を受けるための受光路を有する。さらに、投光路に影響する光学素子が初期位置から可動であり、動作センサが、ハウジングの動作を測定中に把握するように構成されており、可動光学素子は、ハウジング震揺動作の補償下で投光路が空間的確定位置に固定されるように、初期位置から可変補償位置へと移動する。
【解決手段】対象物までの距離を非接触式に測定するための携帯式距離計であって、ハウジング10と、光学測定光1を使用し走時測定に基づき、対象物までの距離を非接触的に測定可能である測定器とを備え、この測定器は、光源ユニットと、光学素子を有する光学ユニットとを備え、光学ユニットは、投光・受光用光学系、測定光を対象物へと投光するための投光路、および対象物から反射/散乱した測定光を受けるための受光路を有する。さらに、投光路に影響する光学素子が初期位置から可動であり、動作センサが、ハウジングの動作を測定中に把握するように構成されており、可動光学素子は、ハウジング震揺動作の補償下で投光路が空間的確定位置に固定されるように、初期位置から可変補償位置へと移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離計、特に携帯式の距離計であって、対象物までの距離を非接触式に測定する、請求項1の前提部に記載する距離計に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べた類の距離計は、特に携帯式のレーザ距離測定において使用される。対象物までの距離の非接触式測定は、例えばレーザ光線などの光学測定光を用いて行われる。距離測定方法としては、用いられる測定光に関係なく、様々な方法が知られている。例えば、対象物までの距離を走時測定、位相測定、またはレーザ三角測量などを用いて非接触的に算出する方法が知られている。上記または上記に類似の方法を遂行するために、測定装置のハウジングは、ハウジング内に設けられた、光学測定光を使用する測定器を有し、この測定器によって対象物までの距離を非接触式に測定する。特許文献1は、走時測定を用いた非接触式の距離測定用測定器の好適な例を開示している。この測定器は、レーザ光源ユニットの形態をとった光源ユニットを備える。さらに、光線ガイドのための、光学素子を有する光学ユニットが、設けられている。光学素子は、少なくとも1個の投光・受光用光学系を有し、この投光・受光用光学系は、一体の光学系として構成されていても、または別個の光学系として構成されていても良い。投光用光学系は、光軸を備える投光路に設けられ、測定光の対象物への投光を担う。受光用光学系は、光軸を備える受光路に設けられ、対象物から反射された、および/または散乱された測定光の受光を担う。
【0003】
冒頭で述べた、非接触式の距離測定方法、もしくはそのために構成された光学測定器には、改善の余地がある。例えば、特許文献2には、投光路と受光路とが平行に配向され、測定器の感度を向上させたレーザ距離計が開示されている。他の測定器は、例えば特許文献3または特許文献4に開示される。特許文献5には、画像面および対象物面を互いに並進可能とした光学測定器が開示されている。特許文献6が開示するのは、冒頭で述べた類の光学測定器におけるキャリブレーション方法である。また、計測の不確実性を調整する他の方法が特許文献7に述べられており、これによれば、事前決定された計測不確実性の特性曲線が保存媒体に保存される。特許文献8や特許文献9と同じように、特許文献10によれば、光学測定器への干渉により、すなわち光軸の傾きによって、測定の正確性の向上が図られる。
【0004】
望まれるのは、非接触式の距離測定のための距離計であって、特に携帯式の測定の不確実性に関してさらなる正確な測定を可能にする距離計である。携帯式の距離測定、すなわち、特に三脚等を使用しない距離測定においては、測定光スポットが、測定中、測定対象上で静止しない場合が多い。このような測定は、例えば特許文献11(DE10344586)や特許文献12(DE19804051B4)にて述べられているように、定期的に、測定器の光学測定光が対象物に向けられ、対象物が反射した光学測定光が、上述の投光用・受光用光学系の使用により測定器において検出されることにより行われる。
【0005】
使用者は、その多少に関わらず、極自然に、振戦とも呼ばれる手の震えを起こすので、特に測定装置を手で持って使用する場合、測定対象が、柱や街灯など比較的狭範囲である場合において問題となる。また、測定対象のエッジも、対象物上の測定光スポットが、前述の振戦に起因してエッジの右か左のいずれかのみに位置するように保証されていない場合に問題となり得る。この問題は、測定装置から対象物までの距離が大きくなればなる程、さらに深刻となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10112833号明細書
【特許文献2】独国特許第10051302号明細書
【特許文献3】欧州特許第1718989号明細書
【特許文献4】欧州特許公開第1913416号明細書
【特許文献5】欧州特許第0701702号明細書
【特許文献6】独国特許第19643287号明細書
【特許文献7】独国特許第10232878号明細書
【特許文献8】欧州特許第0701702号明細書
【特許文献9】独国特許第10051302号明細書
【特許文献10】独国特許第10157378号明細書
【特許文献11】独国特許第10344586号明細書
【特許文献12】独国特許第19804051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の議論を省みて、本発明の課題は、対象物までの距離を非接触式的に測定するための測定装置であって、より正確な測定が可能であり、測定器の動的領域が広い測定装置を得ることにある。特に、使用者の操作に起因する測定の不確実性が低減されなければならない。特に、使用者に起因する測定装置の動作、特に振戦に起因する動作が、装置の基本的な測定信頼性に及ぼす影響は、最小限にとどめなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題は、請求項1記載の本発明の距離計により解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、測定メソッドに固有の測定信頼性に関係なく、冒頭で述べた類の距離計における測定不確実性の大部分が、測定中に生じるハウジングの震揺動作に起因するという構想に端を発するものであり、特に携帯式において当てはまる。さらに本発明は、このような震揺動作が、使用者が場合によっては知覚し得ないが測定には影響する、すなわち、動作センサを用いれば技術的に検知可能であるような、ある一定の動的領域にあるという考えに基づくものである。これらの点を踏まえた上で、本発明のコンセプトが提案するのは、少なくとも1つの、投光路に影響する光学素子を、初期位置に対して可動なものとし、動作センサを、測定中のハウジングの震揺動作を把握するように構成することである。本発明のコンセプトがこの組合せに加え更に提案するのは、少なくとも1つの光学素子を、初期位置から補償位置へと動かし得るものとすることである。本発明においては、測定中のハウジングの震揺動作を補償することで、投光路が、ハウジングの外部において、測定中に空間的確定位置に固定されるように、制御が行われる。また本発明は、動作センサの利点をハウジングの震揺動作の検知に好適に用いる。動作センサの信号は、可動光学素子を適切な補償動作へと誘引するのに使用され得る。言い換えれば、ハウジングの震揺動作の補償に基づき投光路が測定中に空間的確定位置に固定するために使用され得る。
【0010】
特に好適な実施形態において、入力部が動作センサと接続され、出力部が光学系作動用アクチュエータと接続された制御ユニットによって、動作センサから供給された動作信号は、光学系作動用アクチュエータのためのアクチュエート信号へと変換され得る。特に、光学系作動用アクチュエータによって、可動光学素子はアクチュエート信号に応じて動かされ得るものとされる。言い換えれば、この実施形態は、可動光学素子が適切な補償動作へと誘導されるように光学系作動用アクチュエータを制御するために、動作センサの動作信号を使用する制御系を有する制御ユニットを備える。言葉を変えると、補償のための変量として、空間固定位置よりもハウジング震揺動作が利用されることになる。
【0011】
本発明または実施形態のコンセプトにおいて、好適には、測定結果は測定光スポットの対象物上での動作に起因する測定の不確実性に影響を受けない。特に、測定中、空間的に動かないように投光路を固定することで、測定光スポットの位置を対象物上で安定させることができる。これは、測定装置の使用者が極自然に保有する震え動作(振戦)の範疇における動作発動性および動作振幅の場合に該当する。特に、携帯式の形態をとった測定装置において、この利点が有用となる。結果として、この測定装置によれば、使用者による対象物への照準が、より正確かつより容易に可能であるため、より簡単な方法で、より正確かつ容易な取り扱いが実現される。特に、使用者が、測定において、対象物の狭小凹凸を把握する状況にある場合、または、狭小対象物を長時間にわたり、安定して照準しなければならない状況にある場合に当てはまる。少なくとも、本発明のコンセプトにより、測定信号の変動幅は、著しく減少する。このことは、測定装置での距離値の読取易さの向上にもつながる。
【0012】
本発明のさらに好適な実施形態は、従属請求項に記載され、上述のコンセプトを課題解決の枠組み内において、更なる利点を備えつつ実現するために、それぞれの好適な可能性を示唆する。
【0013】
特に好適な実施形態において、可動光学素子は、全体として、特に全ての光学素子とともに可動である光学ユニットとして構成される。言い換えれば、測定中、ハウジング震揺動作を補償するため、投光路が空間的確定位置に固定されるように、光学ユニット全体が、初期位置から補償位置へと動かされ得る。特に、これに加えて、全ての光学素子を一緒に同じ量だけ、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより動かされ得るものとしてもよい。例えば、光学ユニットのプラットフォーム、またはこれに準じた、全ての光学素子を連結する連結手段が、適切な補償動作をするようにさせればよい。同様に、上記に加え、またはその代替として、下記のバリエーションにおいて特に好適に、または同様に有用である実施形態において、可動光学素子は、投光・受光用光学系とは別に、特に光学ユニットなどから完全に独立して構成されても良い。例えば、可動光学素子としては、投光路および/または受光路内の、鏡や、同様の可動屈折光学素子が適する。測定中に、ハウジングの震揺動作を補償することで、投光路を空間的確定位置に固定させるために、好適には、光学ユニットは定評のある方法で製造されるものとし、さらに、可動光学素子を自由使用可能であるものとする。
【0014】
対象物までの距離を非接触的に計測するための、光学測定光を使用する測定器は、好適には、いわゆる2軸案内構成、または好適にはいわゆる同軸案内構成をとり得る。これらの呼称は、投光路と受光路との相対的な配置に関連するものである。2軸案内構成においては、好適には、投光路が、投光用光学系の出力部素子から受光路に対して2軸に案内される、すなわち、受光路と別軸を有する構成をとる。投光用光学系の出力部素子は、好適には、デカップリングレンズまたはこれと同等のものとする。2軸案内構成においては、可動光学素子が出力部素子の形態をとって構成されていると特に好適であるということが証明されている。言い換えれば、比較的簡単かつ利点をもって、投光用光学系の出力部素子が、アクチュエート信号に応じて動作するものとするこの形態は測定器の他の領域に干渉することなく、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中、投光路が空間的確定位置に固定されるという利点を有する。
【0015】
好適には、必要に応じて、受光光学系の入力部素子、好適にはカップリングレンズやこれと同等の部材も可動としても良い。特に、入力部素子は、制御ユニットと連結されている光学系作動用アクチュエータによって、アクチュエート信号に応じて動かされ得るものとしても良い。このような構成は、自身の大きい振幅での投光路の固定位置への安定化が可能であるという利点を有する。これは、投光路での振幅に会わせて受光路の振幅が増大してもネガティブな影響を受けることがないからである。代わりに、固定された投光路における、反射および/または散乱した測定光の検出が比較的高い振幅で変動しても可能となるように、受光路のセンサ面を必要に応じて大きく構成することもできるが、センサ面が大きくなると、周囲の光でノイズも増え、感度は落ちるという問題もある。
【0016】
特に好適なバリエーションにおいて、測定器において、投光路は、投光・受光用光学系の共通の出力部素子によって、受光路と同軸に案内される。共通の出力部素子は、例えば、コリメータレンズや、これと同等のものとして構成される。このバリエーションにおいては、可動光学素子が、共通の出力部素子として構成されることが、特に好適であることが実証されている。この構成においては、測定器の投光路は比較的簡単に、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中、空間的確定位置に固定される。同時に、受光路も、可動光学素子が、共通の出力部素子として構成されているため、これに対応して適合させられる。投光路の固定は、受光路の信号レベルに、実質的にネガティブな影響を及ぼすことはない。
【0017】
好適には、このバリエーションの範疇において、光学ユニットは、可動光学素子を構成する、可動ビームスプリッタを投・受光路上に有する。上述の類のビームスプリッタは、別々に案内されている投光路および受光路を、共通の投・受光路へとまとめ、これを、投光・受光用光学系の共通の出力部素子へと案内する。このバリエーションによれば、可動ビームスプリッタは、投光路、特にビームスプリッタにおいて偏向された投光路が、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中空間的に固定されるように、その初期位置から補償位置へと可動であるものとされる。
【0018】
好適には、投光路は、ハウジング震揺動作の補償により揺動する、すなわち、ある角度だけ曲げられる。特に好適なバリエーション、特に上述の全てのバリエーションにおいて、可動光学素子は、少なくとも1つの軸、好適には2つの軸の回りに揺動可能であるものとする。また、あるバリエーションにおいては、可動光学素子を3つの軸の回りに揺動可能なものとして構成することも可能である。このバリエーションにおいて、光学系作動用アクチュエータは、好適には、回転モータやこれと同等のものとして構成される。このバリエーションにおいては、投光する測定光が傾いた場合、基本的に受光路における信号の質に比較的敏感であることが判っている。さらに、測定光を投光路において、例えば0.1°傾斜させた場合、20mの距離において既に、対象物上における測定光の目的点が、結果として3.5cmずれることが判っている。0.1°の振幅は、しかしながら、使用者の振戦動作の範疇にあたる。このように、測定は、測定光の傾きによって、規則的に、知らぬ間に使用者の影響を受けているものである。これは特に、計測条件が悪いとき、例えば明るい空間にて対象物表面が暗いなどのときに顕著である。3.5cmよりも小さい対象物において、安定した測定信号が得られるまで、通常数秒かかる。方向が補償された投光路を使用する前述のバリエーションにおいては、対象物上の目的点が、比較的小さな揺れ振幅を持って目的点に留まることが保証される。すなわち、投光路が、空間的確定位置に固定される。
【0019】
好適には、このバリエーションにおいて、動作センサは、角速度センサまたは角加速度センサなどとして構成される。特に、角速度センサは、少なくとも1軸、好適には2軸、場合によっては3軸を軸とした角速度を測定できるものとされるべきである。また、MEMS-角加速度センサ(微小電気機械システム:Microelectro Mechanical System)や、ジャイロスコープ、または同等の小型角度センサなどが特に適切であることが実証されている。
【0020】
さらに、可動光学素子が、少なくとも1軸、2軸、または3軸に沿って並進可能であることが好適であることが実証されている。光学系作動用アクチュエータは、特に並進運動アクチュエータやこれと同等なものとして構成され得る。このバリエーションにおいて、動作センサは、好適にはリニア速度センサや変位センサ、またはこれらと同等のものとして構成される。このような投光路の位置ずれが受光信号に及ぼす影響は少ないとしても、その影響の程度は常に無視できるものではない。測定装置ハウジングの位置ずれに反応して、これらを傾き動作に加え並進動作によって補償することで達成される投光路の固定は、さらに有利に測定の正確性を保証する。
【0021】
具体的には、光学系作動用アクチュエータは、特に好適には、圧力アクチュエータ、または磁性および/または電気アクチュエータなどの小型モータの形態にて構成されても良い。このような光学系作動用アクチュエータは、比較的コンパクトかつ軽量、さらに簡易に制御可能に、光学測定光を使用した測定器に組み込むことが出来る。
【0022】
以下、本発明の実施形態例を、図面に基づいて詳細に説明する。図面は、実施形態例を必ずしも縮尺に従って示すものではなく、むしろ、模式的および/またはわずかに歪曲した形での説明に適するものである。図面は直接教示する内容の補完については、関連する先行技術文献を参照する。このとき、一実施形態の形状および細部に関わる様々な修正および変更が、本発明全般の趣旨から外れることなく成され得ることに留意すべきである。明細書、図面、および請求の範囲に開示された本発明の特徴は、基本的に、各々独立して、または任意の組み合わせにおいて、本発明の発展において本質を成すものである。また、本発明の範囲内としては、明細書、図面、および/または請求の範囲に開示される特徴のうち、少なくとも2つの特徴の組み合わせである全ての組み合わせが該当する。本発明の全般的な意図は、以下に好適な実施形態として記載される特定の形状や詳細に限定されるものではなく、また、請求の範囲において請求された対象との比較において限定された対象に限定されるものではない。文中に記載される寸法は、境界にある値として言及された範囲内において境界値として開示されたものと扱われ、任意に置き換え、請求の範囲とすることができるものとする。簡略化のため、以下、同一または類似の部材、もしくは同一または類似の機能を有する部材は、同じ参照符号で示す。
【0023】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下に詳述する発明を実施するための形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】非接触式距離測定のための携帯式の本発明距離計を正面から見た線的説明図である。
【図1B】非接触式距離測定のための携帯式の本発明距離計を側方から見た線的説明図である。
【図2A】図1に示す距離計の測定器のバリエーションであって、2軸光線案内構成をとった測定器を上方から見た図である。
【図2B】図1に示す距離計の測定器のバリエーションであって、同軸光線案内構成をとった測定器を上方から見た図である。
【図3A】距離測定における装置が傾いた場合の図解説明図である。
【図3B】距離測定における装置が並進移動した場合の図解説明図である。
【図4】2軸光線案内構成をとった測定器であって、投光用光学系の別個の出力部素子を適切な可変補償位置へと並進可能とした測定器を上方から見た図である。
【図5】図4に変更を加えた実施形態例であって、光学ユニット全体を、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより適切な可変補償位置へと揺動可能とした測定器を上方から見た図である。
【図6】同軸光線案内構成をとった測定器であって、ハウジング震揺動作の補償によって投光路を測定中空間的確定位置に可能とするために投光・受光用光学系の共通する出力部素子を可変 補償位置へと並進可能とした測定器を上方から見た図である。
【図7】図6に変更を加えた測定器であって、光学ユニット全体を、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより揺動可能とした測定器を上方から見た図である。
【図8】測定器の特に好適な実施形態であり、2軸もしくは同軸案内構成をとった測定器の送受光路における可動傾転鏡を、可変 補償位置へと揺動可能である測定器を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aおよび図1Bは、対象物までの距離を非接触式に測定するための携帯式の距離計100であり、図1Aは、距離計100のハウジング10の操作面を向いた正面図、図1Bは、ハウジング10の側面図を示すものであり、距離計100の構成要素が線的に示される。
【0026】
携帯式レーザ距離計とも称される距離計100は、ハンドヘルド仕様のハウジング10を有し、このハウジング10は、少なからず掌より大きく、相応の触感覚を有し、場合によっては人間工学的に構成されるが、図面の都合上、ハウジング10は矩形として示す。ハウジング10内には、レーザ距離測定ユニットとも称される、光学測定光1を使用する測定器20を収める。図2Aおよび図2Bには、測定器20のバリエーションを示す。図3には、対象物までの距離を非接触式に測定する際の異なる操作状況を示す。
【0027】
距離計100は、ハウジング10上に配置された操作ボタン30を有し、この操作ボタン30は、ハウジング10の操作面に嵌め込まれた入力キー群として構成される。ハウジング10の操作面には、ディスプレイ40が嵌め込まれ、このディスプレイには、測定された対象物までの距離や距離計100の操作状況などが表示され得る。操作ボタン30を介して、測定器20を操作し、また、下記に詳述する、ハウジング10の測定起点を選択することができる。例えばレーザ光などである光学測定光1による測定が、ハウジング内部の参照基準点NPに準拠している一方で、使用者は、規則的に、対象物までの距離を測定起点50A、50B、50C、50Dのいずれかに準拠して計測する意図を持つかもしれない。その場合、使用者が、例えば操作ボタン30を介して、測定起点を選択することで、一定の加算定数を用いて、異なる測定起点に準拠した対象物までの距離を求めることが可能となる。最も重要な測定起点50Aは、装置の後面10Aに設けられる。更に他の測定起点50B、50C、50Dは、例えば、装置の前面10Bや測定延長部の先10D、または三脚取付ネジ穴への固定部10Cなどに設けられ、この固定部10Cは、その中心自体を測定起点50Cとして機能させてもよい。
【0028】
図3Aおよび図3Bに示すのは、冒頭で述べた、対象物200と測定装置100の参照基準点NPとの間の距離を測定する方法である。距離計100は、光学測定光1を使用する測定器20を備え、この測定器20は、走時測定に基づく。図2Aおよび図2Bに示すのは、二つの異なるバリエーションにおける測定器20A、20Bが示される。測定器20A、20Bのどちらもが、例えばレーザ光源ユニットなどである光源ユニット21、投光用光学系22、および受光用光学系23を備える。測定器20A、20Bは、ここではレーザ光である測定光1を対象物200へと投光するための、光軸を有する投光路24を備える。さらに、測定器20A、20Bは、対象物200が反射する測定光2を受光するための光軸を有する受光路25を備える。受光路25には、反射した、および/または、散乱した測定光2を検知するための、例えばフォトダイオードなどである検知素子26が設けられる。受光用光学系23は、測定器20A、20Bのどちらにおいても、反射および/または散乱した測定光2を検知素子26へとフォーカスするために用いられる。測定器20Aは、別々の投光用光学系22および受光用光学系23から構成されているため、投光路24と受光路25とが重ならない。測定器20Aにおける光路24、25の配置は2軸案内構成とも称される。これに対し、測定器20Bは、光路24、25を同軸に配置した構成をとり、投光路24と受光路25は、ビームスプリッタ27によりまとめられ、双方に共通する投光・受光用光学系22、23において重なる。レーザ光源ユニット21とビームスプリッタ27との間、もしくは検知素子26とビームスプリッタ27との間において、投光路24と受光路25とはそれぞれ別々に案内される。
【0029】
図3Aおよび図3Bからさらに見て取れるように、具体的には、レーザ距離測定ユニットとして構成された測定器20において、レーザダイオードの形態をとったレーザ光源ユニット21の測定光1は、投光用光学系22の光学レンズによってビーム化される。ビーム化された測定光1は、ハウジングの前方面10Bから対象物200へと(例えばそこでの測定光スポットP1,P2,P3に)、投光され、測定光スポットP1,P2,P3において光点を構成する。反射および/または散乱した測定光2は、受光用光学系23の光学レンズで、前述の方法により検知素子26のフォトダイオードの活性面に写る。このとき測定器20は、2軸案内構成をとっても、同軸案内をとっても良い。対象物200から測定装置100の参照基準点NPまでの往復距離を算出するために、測定光1、ここではレーザ光線のレーザ光は変調される。この変調は、パルス状または正弦波状に行うことができる。この変調は、送信された測定光変調と受光された測定光変調との時間差が測定可能になるように行われる。光速度のファクタから、測定装置100の参照基準点NPと対象物200との間の片道距離が推論される。これは、例えば、ここでは言及しない制御器等で計算されるものとしても良い。
【0030】
図3Aは、三脚を使用しない、手持ちによる距離測定における問題性を図説するものである。全ての人間が、多かれ少なかれ、自然な震え動作(振戦)を起こすので、主に図3Aに示されるような小さな対象物200において、例えば、測定光1が0.1°傾斜しただけで、傾斜した測定光1'の測定光スポットP3が、測定中対象物200に当たらなくなるという危険性が大きい。この状況は、通常のハウジングに固定された投光路においては、振戦に起因してハウジング10が動く場合に起こる。いずれにせよ、測定光スポットP1は、測定光スポットP3とのそれとは異なる、反射および/または散乱した測定光2を有し得るわけで、反射および/または散乱した測定光2の変化が、通常のハウジング固定の投光路24の傾きにより、異なる計測結果を導くことになる。この状況は、実質的には、測定光1'は、各測定においてハウジング10が傾くとそれと共に傾く測定器20'に起因して傾くことが想定される。さらに、測定器20から測定器20'への傾きが比較的大きな変動をもたらすことが判っている。これに対し、図3Bに示す、測定器20から測定器20"への並進に起因する問題は比較的小さいが、それでもなお、影響を及ぼすものである。並進後の測定器20"もまた、測定光1を測定光1"へとずらすが、ここでは同じような動作振幅においても、未だ測定光スポットP2が対象物200に当たり続け、この測定光スポットP2は、測定光スポットP1と同じように反射および/または散乱した測定光2を生み出す。しかしながら、もちろん、反射および/または散乱した測定光2には変化があるので、並進後の測定器20"が、使用者の振戦動作に起因した測定の不確実性をもたらすことを考慮しなければならない。
【0031】
以下、同等もしくは類似の部材、もしくは同等もしくは類似の機能を有する部材は、同じ参照符号にて示される。図4および図5に示されるのは、測定器のバリエーションである測定器20A.1および測定器20A.2であり、測定装置100に測定器20として、または他の実施形態においては図2Aの測定器20Aとして、本発明のコンセプト内において使用されるものである。
【0032】
図6および図7は、測定器のバリエーションである測定器20B.1および20B.2であり、測定器20、もしくは図2Bに示される測定器20Bの代わりに用いられ得るものである。
【0033】
図8に示すのは、特に好適な測定器のバリエーションである測定器20Cである。
【0034】
図4に示すのは、図2Aに示す測定器20Aの好適な第一バリエーションである測定器20A.1である。測定器20A.1は光学ユニットOEを備え、この光学ユニットOEは、投光用光学系22、受光用光学系23、光源ユニット21、および検知素子26を有する。2軸案内構成の光学ユニットOEには、光源ユニット21および検知素子26の制御を担う制御ユニットSEが接続される。投光用光学系22(ここではデカップリングレンズ)は、初期位置に対して、図上の両矢印に示されるように可動に構成される。測定器20A.1の光学系作動用アクチュエータ80は投光用光学系22に連結され、これをX方向およびY方向の2方向に並進させ、投光用光学系22によりデカップリングされた測定光1に影響を及ぼすことができる。さらに、測定器20A.1は、ハウジング10および/または測定器20A.1の測定中の動きを把握するように構成された動作センサ90を備える。動作センサ90は、ここでは角速度センサとして構成される。この構成により、ハウジング10および/または測定器20A.1、さらに測定光1の傾きを、測定中、Y軸およびX軸の回りの回転として捉えることができる。センサとしては、例えば、MEMS-角速度センサやジャイロスコープが適する。この傾きを捉える軸としては、1軸、2軸や3軸を用いる構成とすることもできる。動作信号は、制御ユニットSEの制御ラインSLを介して伝達され、制御ユニットSEにより、並進運動アクチュエータとして構成された光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換される。この場合、制御ユニットSEが、プロセッサによりデジタルで光学系作動用アクチュエータ80を制御できるものとすると好適である。バリエーションとして、動作センサ90の動作信号は、光学系作動用アクチュエータ80の制御するために、これに直接、例えば増振器を介してアナログに使用されるものとしても良い。結果として、投光用用光学系22の形態をとった可動光学素子は、アクチュエート信号に応じて動かされる、すなわち、ここではX方向および/またはY方向に並進移動させられる。ここで、投光用用光学系22が光学軸に対する並進移動は、投光路24における測定光1の角度変更を意味することが利用される。具体的には、投光用光学系22は、光学系作動用アクチュエータ80の使用下で、動作センサ90の動作信号に基づいてX方向および/またはY方向に並進移動され、その結果、投光路24の測定器20A.1外の部分は、測定中のハウジング10の震揺動作を補償するための空間的確定位置に固定される。
【0035】
図4に示される実施形態例は、動作センサ90を角速度センサとしたものである。加えて、ハウジング10の並進を、MEMS-加速度センサによって、X方向およびY方向に捉えることもできる。この場合において、制御ユニットSEから制御ラインSLを介して制御される光学系作動用アクチュエータ80は、動作信号の助けを借りて、アクチュエート信号によって制御されるものとしても良い。
【0036】
このとき、ハウジング10の傾きおよび並進に起因する動作信号をアクチュエート信号に変換するために、まず、対象物200までの距離の測定における粗方の中間結果を使用することができる。これにより、制御ループを効果的に構成することができる。光学系作動用アクチュエータ80としては、小型モータ、圧力アクチュエータまたはこのような磁気的および/または電気的力に基づくものが適している。他にも、ここで言及しない原動力を有するアクチュエータを使用することもできる。
【0037】
図4に示される実施形態は、点線両矢印により示される、受光用光学系23の動作において特に好適に機能する。これは、図示されない、付加的なアクチュエータや光学系作動用アクチュエータ80により動かすものとすることができる。受光路25においては、反射および/または散乱した測定光2が、投光路24の位置補償後においても検知素子26上に留まるため、大きな動作振幅が可能となる。場合によっては、検知素子26の検知素子面を十分に大きく構成することもできる。いずれにせよ、この構成より、投光路が空間的に固定され、常に可変補償位置をとるにも関わらず、反射および/または散乱した測定光2を検知素子26が高い感度で検知できる。
【0038】
図5が示す、測定器20の他のバリエーションである測定器20A.2においてもまた、光学ユニットOEは、2軸案内の構成をとる。ここでも、角加速度センサの形態をとった動作センサ90が、測定中のハウジング10および測定器20A.2の傾きを、Y軸方向だけでなくX軸方向にも捉える。制御ユニットSEは、対応する動作信号を、光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換し、これを制御ラインSLを介して伝達する。図4に示すように、投光用光学系22および受光用光学系23が別々に動くことを回避するために、ここでは回転モータである光学系作動用アクチュエータ80を設け、光学ユニットOE全体をX軸および/またはY軸を軸として、アクチュエート信号に基づき、投光路24内での測定光1の角度が空間的に固定され、測定光スポットP1が対象物200上に空間的に固定されるように傾きさせる。ここでも、光学系作動用アクチュエータ80は、制御ユニットSEや、図示されない増振器を介して、デジタルもしくはアナログで、制御されるものとすることができる。ここでも、ハウジング10の傾きに加え、ハウジング10の並進を捉えるものとすることができる。ここでもまた、投光路24、および対象物200上の測定光スポットP1を安定させるために、対象物までの距離200の測定の中間結果を利用することができる。
【0039】
図6に示す、測定器20の好適な第二実施形態である測定器20B.1において、光学ユニットOEは、図2Bに示されるような同軸案内として構成されている。さらに光学ユニットOEは、同じく制御ユニットSEと、並進運動アクチュエータである光学系作動用アクチュエータ80とが接続されている。ここでも、制御ユニットSEは、レーザ光源ユニット21の制御と、検知素子26からの検知データの受け入れを担う。入力部が角速度センサ、または上述の類のものである動作センサ90と、出力部が並進運動アクチュエータである光学系作動用アクチュエータ80と接続された制御ユニットSEは、ここでは、動作センサ90から発せられる動作信号を光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換することができるものとする。光学系作動用アクチュエータ80は、ここでも可動光学素子をアクチュエート信号に応じて動かし、光学素子は、コリメータレンズの形態をとる投光・受光用光学系22、23として構成されている。コリメータレンズ22,23は、重なりあう投・受光路24,25に共通するもので、測定光1は、コリメータレンズ22,23によってデカップリングされ、対象物200から反射および/または散乱された測定光2は、コリメータレンズ22,23によってカップリングされる。図4の右側部分に示されるように、光学系作動用アクチュエータ80は、基本的には、アクチュエータ部80xとアクチュエータ部80yとの2つのアクチュエータ機能を有し、これらは、それぞれX方向、Y方向への並進を可能とするように構成されている。ここでもまた、投光・受光用光学系22,23のコリメータレンズの並進が、コリメートされたレーザ光の角度変更も含意することが利用される。
【0040】
図7に示すのは、測定器20B.1に少し変更を加えた測定器20B.2であり、この測定器20B.2においては、図5と同様に、光学ユニットOE全体が、回転モータの形態をとった光学系作動用アクチュエータ80によって、アクチュエート信号に応じて揺動される。これによって光学ユニットOEは、初期位置から可変補償位置へと、投光路24が、測定器20B.1の外部におけるデカップリングされた領域において、測定中のハウジングの震揺動作を補償するため空間的確定位置に固定されるように揺動される。
【0041】
図8に示すのは、第三実施形態における測定器20Cであり、この測定器20Cは、光学ユニットOE、制御ユニットSE、光学系作動用アクチュエータ80、および、角加速度センサおよび(リニア)加速度センサを有する動作センサ90を備える。動作センサ90は、制御ユニットSEの入力部に接続されており、動作信号(ここでは角加速度信号と加速度信号)を制御ユニットSEへと供給する。制御ユニットSEは、この動作信号を、光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号に変換する。光学系作動用アクチュエータ80は、ここでも、それぞれX方向・Y方向への動作を担う、アクチュエータ部80xおよびアクチュエータ部80yから成る。アクチュエート信号に基づき、また、これに応じて、可動光学素子(図8に示す実施形態においては傾斜可能な鏡28)が、初期位置から可変補償位置へと動かされる。このとき、測定光1のための投光路24は、ハウジング10の震揺動作の補償下で空間的確定位置に固定されるように、XまたはY方向の傾斜動作が行われる。前述の実施形態と異なり、可動光学素子としての傾斜可能な鏡28は、前述の光学ユニットOEおよび投光・受光用光学系22,23から独立して構成されている。このため、光学ユニットOEは、図2Aに示される測定器20Aのように2軸案内構成をとっても、2Bに示される測定器20Bのように同軸案内として構成されても良い。投光路24における測定光1は、光学ユニットOEを介して放射され、傾斜可能な鏡28を介して、対象物200の測定光スポットP1へと到達する。動作センサ90(ここでは角速度センサと速度センサとの組み合わせ)の助けを借りて、制御ユニットSEによって、ハウジング10の傾きは、傾斜可能な鏡28の可変補償位置へとデジタル変換される。ここでも、制御ユニットSEを用いたデジタル制御のかわりに、傾斜可能な鏡28は、増振器を介して、光学系作動用アクチュエータ80により直接制御されるものとすることができる。そのためには、前述した実施形態におけるように、増振器は、動作信号からアナログ光学系アクチュエート信号を生成するのに適した構成をとる。
【符号の説明】
【0042】
1 測定光
10 ハウジング
20 測定器
21 光源ユニット
22 投光用光学系
23 受光用光学系
24 投光路
25 受光路
26 検知素子
27 ビームスプリッタ
28 鏡
30 操作ボタン
40 ディスプレイ
50 測定起点
80 光学系作動用アクチュエータ
90 動作センサ
100 距離計
200 対象物
NP 参照基準点
OE 光学ユニット
SE 制御ユニット
SL 制御ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離計、特に携帯式の距離計であって、対象物までの距離を非接触式に測定する、請求項1の前提部に記載する距離計に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べた類の距離計は、特に携帯式のレーザ距離測定において使用される。対象物までの距離の非接触式測定は、例えばレーザ光線などの光学測定光を用いて行われる。距離測定方法としては、用いられる測定光に関係なく、様々な方法が知られている。例えば、対象物までの距離を走時測定、位相測定、またはレーザ三角測量などを用いて非接触的に算出する方法が知られている。上記または上記に類似の方法を遂行するために、測定装置のハウジングは、ハウジング内に設けられた、光学測定光を使用する測定器を有し、この測定器によって対象物までの距離を非接触式に測定する。特許文献1は、走時測定を用いた非接触式の距離測定用測定器の好適な例を開示している。この測定器は、レーザ光源ユニットの形態をとった光源ユニットを備える。さらに、光線ガイドのための、光学素子を有する光学ユニットが、設けられている。光学素子は、少なくとも1個の投光・受光用光学系を有し、この投光・受光用光学系は、一体の光学系として構成されていても、または別個の光学系として構成されていても良い。投光用光学系は、光軸を備える投光路に設けられ、測定光の対象物への投光を担う。受光用光学系は、光軸を備える受光路に設けられ、対象物から反射された、および/または散乱された測定光の受光を担う。
【0003】
冒頭で述べた、非接触式の距離測定方法、もしくはそのために構成された光学測定器には、改善の余地がある。例えば、特許文献2には、投光路と受光路とが平行に配向され、測定器の感度を向上させたレーザ距離計が開示されている。他の測定器は、例えば特許文献3または特許文献4に開示される。特許文献5には、画像面および対象物面を互いに並進可能とした光学測定器が開示されている。特許文献6が開示するのは、冒頭で述べた類の光学測定器におけるキャリブレーション方法である。また、計測の不確実性を調整する他の方法が特許文献7に述べられており、これによれば、事前決定された計測不確実性の特性曲線が保存媒体に保存される。特許文献8や特許文献9と同じように、特許文献10によれば、光学測定器への干渉により、すなわち光軸の傾きによって、測定の正確性の向上が図られる。
【0004】
望まれるのは、非接触式の距離測定のための距離計であって、特に携帯式の測定の不確実性に関してさらなる正確な測定を可能にする距離計である。携帯式の距離測定、すなわち、特に三脚等を使用しない距離測定においては、測定光スポットが、測定中、測定対象上で静止しない場合が多い。このような測定は、例えば特許文献11(DE10344586)や特許文献12(DE19804051B4)にて述べられているように、定期的に、測定器の光学測定光が対象物に向けられ、対象物が反射した光学測定光が、上述の投光用・受光用光学系の使用により測定器において検出されることにより行われる。
【0005】
使用者は、その多少に関わらず、極自然に、振戦とも呼ばれる手の震えを起こすので、特に測定装置を手で持って使用する場合、測定対象が、柱や街灯など比較的狭範囲である場合において問題となる。また、測定対象のエッジも、対象物上の測定光スポットが、前述の振戦に起因してエッジの右か左のいずれかのみに位置するように保証されていない場合に問題となり得る。この問題は、測定装置から対象物までの距離が大きくなればなる程、さらに深刻となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10112833号明細書
【特許文献2】独国特許第10051302号明細書
【特許文献3】欧州特許第1718989号明細書
【特許文献4】欧州特許公開第1913416号明細書
【特許文献5】欧州特許第0701702号明細書
【特許文献6】独国特許第19643287号明細書
【特許文献7】独国特許第10232878号明細書
【特許文献8】欧州特許第0701702号明細書
【特許文献9】独国特許第10051302号明細書
【特許文献10】独国特許第10157378号明細書
【特許文献11】独国特許第10344586号明細書
【特許文献12】独国特許第19804051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の議論を省みて、本発明の課題は、対象物までの距離を非接触式的に測定するための測定装置であって、より正確な測定が可能であり、測定器の動的領域が広い測定装置を得ることにある。特に、使用者の操作に起因する測定の不確実性が低減されなければならない。特に、使用者に起因する測定装置の動作、特に振戦に起因する動作が、装置の基本的な測定信頼性に及ぼす影響は、最小限にとどめなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題は、請求項1記載の本発明の距離計により解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、測定メソッドに固有の測定信頼性に関係なく、冒頭で述べた類の距離計における測定不確実性の大部分が、測定中に生じるハウジングの震揺動作に起因するという構想に端を発するものであり、特に携帯式において当てはまる。さらに本発明は、このような震揺動作が、使用者が場合によっては知覚し得ないが測定には影響する、すなわち、動作センサを用いれば技術的に検知可能であるような、ある一定の動的領域にあるという考えに基づくものである。これらの点を踏まえた上で、本発明のコンセプトが提案するのは、少なくとも1つの、投光路に影響する光学素子を、初期位置に対して可動なものとし、動作センサを、測定中のハウジングの震揺動作を把握するように構成することである。本発明のコンセプトがこの組合せに加え更に提案するのは、少なくとも1つの光学素子を、初期位置から補償位置へと動かし得るものとすることである。本発明においては、測定中のハウジングの震揺動作を補償することで、投光路が、ハウジングの外部において、測定中に空間的確定位置に固定されるように、制御が行われる。また本発明は、動作センサの利点をハウジングの震揺動作の検知に好適に用いる。動作センサの信号は、可動光学素子を適切な補償動作へと誘引するのに使用され得る。言い換えれば、ハウジングの震揺動作の補償に基づき投光路が測定中に空間的確定位置に固定するために使用され得る。
【0010】
特に好適な実施形態において、入力部が動作センサと接続され、出力部が光学系作動用アクチュエータと接続された制御ユニットによって、動作センサから供給された動作信号は、光学系作動用アクチュエータのためのアクチュエート信号へと変換され得る。特に、光学系作動用アクチュエータによって、可動光学素子はアクチュエート信号に応じて動かされ得るものとされる。言い換えれば、この実施形態は、可動光学素子が適切な補償動作へと誘導されるように光学系作動用アクチュエータを制御するために、動作センサの動作信号を使用する制御系を有する制御ユニットを備える。言葉を変えると、補償のための変量として、空間固定位置よりもハウジング震揺動作が利用されることになる。
【0011】
本発明または実施形態のコンセプトにおいて、好適には、測定結果は測定光スポットの対象物上での動作に起因する測定の不確実性に影響を受けない。特に、測定中、空間的に動かないように投光路を固定することで、測定光スポットの位置を対象物上で安定させることができる。これは、測定装置の使用者が極自然に保有する震え動作(振戦)の範疇における動作発動性および動作振幅の場合に該当する。特に、携帯式の形態をとった測定装置において、この利点が有用となる。結果として、この測定装置によれば、使用者による対象物への照準が、より正確かつより容易に可能であるため、より簡単な方法で、より正確かつ容易な取り扱いが実現される。特に、使用者が、測定において、対象物の狭小凹凸を把握する状況にある場合、または、狭小対象物を長時間にわたり、安定して照準しなければならない状況にある場合に当てはまる。少なくとも、本発明のコンセプトにより、測定信号の変動幅は、著しく減少する。このことは、測定装置での距離値の読取易さの向上にもつながる。
【0012】
本発明のさらに好適な実施形態は、従属請求項に記載され、上述のコンセプトを課題解決の枠組み内において、更なる利点を備えつつ実現するために、それぞれの好適な可能性を示唆する。
【0013】
特に好適な実施形態において、可動光学素子は、全体として、特に全ての光学素子とともに可動である光学ユニットとして構成される。言い換えれば、測定中、ハウジング震揺動作を補償するため、投光路が空間的確定位置に固定されるように、光学ユニット全体が、初期位置から補償位置へと動かされ得る。特に、これに加えて、全ての光学素子を一緒に同じ量だけ、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより動かされ得るものとしてもよい。例えば、光学ユニットのプラットフォーム、またはこれに準じた、全ての光学素子を連結する連結手段が、適切な補償動作をするようにさせればよい。同様に、上記に加え、またはその代替として、下記のバリエーションにおいて特に好適に、または同様に有用である実施形態において、可動光学素子は、投光・受光用光学系とは別に、特に光学ユニットなどから完全に独立して構成されても良い。例えば、可動光学素子としては、投光路および/または受光路内の、鏡や、同様の可動屈折光学素子が適する。測定中に、ハウジングの震揺動作を補償することで、投光路を空間的確定位置に固定させるために、好適には、光学ユニットは定評のある方法で製造されるものとし、さらに、可動光学素子を自由使用可能であるものとする。
【0014】
対象物までの距離を非接触的に計測するための、光学測定光を使用する測定器は、好適には、いわゆる2軸案内構成、または好適にはいわゆる同軸案内構成をとり得る。これらの呼称は、投光路と受光路との相対的な配置に関連するものである。2軸案内構成においては、好適には、投光路が、投光用光学系の出力部素子から受光路に対して2軸に案内される、すなわち、受光路と別軸を有する構成をとる。投光用光学系の出力部素子は、好適には、デカップリングレンズまたはこれと同等のものとする。2軸案内構成においては、可動光学素子が出力部素子の形態をとって構成されていると特に好適であるということが証明されている。言い換えれば、比較的簡単かつ利点をもって、投光用光学系の出力部素子が、アクチュエート信号に応じて動作するものとするこの形態は測定器の他の領域に干渉することなく、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中、投光路が空間的確定位置に固定されるという利点を有する。
【0015】
好適には、必要に応じて、受光光学系の入力部素子、好適にはカップリングレンズやこれと同等の部材も可動としても良い。特に、入力部素子は、制御ユニットと連結されている光学系作動用アクチュエータによって、アクチュエート信号に応じて動かされ得るものとしても良い。このような構成は、自身の大きい振幅での投光路の固定位置への安定化が可能であるという利点を有する。これは、投光路での振幅に会わせて受光路の振幅が増大してもネガティブな影響を受けることがないからである。代わりに、固定された投光路における、反射および/または散乱した測定光の検出が比較的高い振幅で変動しても可能となるように、受光路のセンサ面を必要に応じて大きく構成することもできるが、センサ面が大きくなると、周囲の光でノイズも増え、感度は落ちるという問題もある。
【0016】
特に好適なバリエーションにおいて、測定器において、投光路は、投光・受光用光学系の共通の出力部素子によって、受光路と同軸に案内される。共通の出力部素子は、例えば、コリメータレンズや、これと同等のものとして構成される。このバリエーションにおいては、可動光学素子が、共通の出力部素子として構成されることが、特に好適であることが実証されている。この構成においては、測定器の投光路は比較的簡単に、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中、空間的確定位置に固定される。同時に、受光路も、可動光学素子が、共通の出力部素子として構成されているため、これに対応して適合させられる。投光路の固定は、受光路の信号レベルに、実質的にネガティブな影響を及ぼすことはない。
【0017】
好適には、このバリエーションの範疇において、光学ユニットは、可動光学素子を構成する、可動ビームスプリッタを投・受光路上に有する。上述の類のビームスプリッタは、別々に案内されている投光路および受光路を、共通の投・受光路へとまとめ、これを、投光・受光用光学系の共通の出力部素子へと案内する。このバリエーションによれば、可動ビームスプリッタは、投光路、特にビームスプリッタにおいて偏向された投光路が、ハウジング震揺動作の補償によって、測定中空間的に固定されるように、その初期位置から補償位置へと可動であるものとされる。
【0018】
好適には、投光路は、ハウジング震揺動作の補償により揺動する、すなわち、ある角度だけ曲げられる。特に好適なバリエーション、特に上述の全てのバリエーションにおいて、可動光学素子は、少なくとも1つの軸、好適には2つの軸の回りに揺動可能であるものとする。また、あるバリエーションにおいては、可動光学素子を3つの軸の回りに揺動可能なものとして構成することも可能である。このバリエーションにおいて、光学系作動用アクチュエータは、好適には、回転モータやこれと同等のものとして構成される。このバリエーションにおいては、投光する測定光が傾いた場合、基本的に受光路における信号の質に比較的敏感であることが判っている。さらに、測定光を投光路において、例えば0.1°傾斜させた場合、20mの距離において既に、対象物上における測定光の目的点が、結果として3.5cmずれることが判っている。0.1°の振幅は、しかしながら、使用者の振戦動作の範疇にあたる。このように、測定は、測定光の傾きによって、規則的に、知らぬ間に使用者の影響を受けているものである。これは特に、計測条件が悪いとき、例えば明るい空間にて対象物表面が暗いなどのときに顕著である。3.5cmよりも小さい対象物において、安定した測定信号が得られるまで、通常数秒かかる。方向が補償された投光路を使用する前述のバリエーションにおいては、対象物上の目的点が、比較的小さな揺れ振幅を持って目的点に留まることが保証される。すなわち、投光路が、空間的確定位置に固定される。
【0019】
好適には、このバリエーションにおいて、動作センサは、角速度センサまたは角加速度センサなどとして構成される。特に、角速度センサは、少なくとも1軸、好適には2軸、場合によっては3軸を軸とした角速度を測定できるものとされるべきである。また、MEMS-角加速度センサ(微小電気機械システム:Microelectro Mechanical System)や、ジャイロスコープ、または同等の小型角度センサなどが特に適切であることが実証されている。
【0020】
さらに、可動光学素子が、少なくとも1軸、2軸、または3軸に沿って並進可能であることが好適であることが実証されている。光学系作動用アクチュエータは、特に並進運動アクチュエータやこれと同等なものとして構成され得る。このバリエーションにおいて、動作センサは、好適にはリニア速度センサや変位センサ、またはこれらと同等のものとして構成される。このような投光路の位置ずれが受光信号に及ぼす影響は少ないとしても、その影響の程度は常に無視できるものではない。測定装置ハウジングの位置ずれに反応して、これらを傾き動作に加え並進動作によって補償することで達成される投光路の固定は、さらに有利に測定の正確性を保証する。
【0021】
具体的には、光学系作動用アクチュエータは、特に好適には、圧力アクチュエータ、または磁性および/または電気アクチュエータなどの小型モータの形態にて構成されても良い。このような光学系作動用アクチュエータは、比較的コンパクトかつ軽量、さらに簡易に制御可能に、光学測定光を使用した測定器に組み込むことが出来る。
【0022】
以下、本発明の実施形態例を、図面に基づいて詳細に説明する。図面は、実施形態例を必ずしも縮尺に従って示すものではなく、むしろ、模式的および/またはわずかに歪曲した形での説明に適するものである。図面は直接教示する内容の補完については、関連する先行技術文献を参照する。このとき、一実施形態の形状および細部に関わる様々な修正および変更が、本発明全般の趣旨から外れることなく成され得ることに留意すべきである。明細書、図面、および請求の範囲に開示された本発明の特徴は、基本的に、各々独立して、または任意の組み合わせにおいて、本発明の発展において本質を成すものである。また、本発明の範囲内としては、明細書、図面、および/または請求の範囲に開示される特徴のうち、少なくとも2つの特徴の組み合わせである全ての組み合わせが該当する。本発明の全般的な意図は、以下に好適な実施形態として記載される特定の形状や詳細に限定されるものではなく、また、請求の範囲において請求された対象との比較において限定された対象に限定されるものではない。文中に記載される寸法は、境界にある値として言及された範囲内において境界値として開示されたものと扱われ、任意に置き換え、請求の範囲とすることができるものとする。簡略化のため、以下、同一または類似の部材、もしくは同一または類似の機能を有する部材は、同じ参照符号で示す。
【0023】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下に詳述する発明を実施するための形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】非接触式距離測定のための携帯式の本発明距離計を正面から見た線的説明図である。
【図1B】非接触式距離測定のための携帯式の本発明距離計を側方から見た線的説明図である。
【図2A】図1に示す距離計の測定器のバリエーションであって、2軸光線案内構成をとった測定器を上方から見た図である。
【図2B】図1に示す距離計の測定器のバリエーションであって、同軸光線案内構成をとった測定器を上方から見た図である。
【図3A】距離測定における装置が傾いた場合の図解説明図である。
【図3B】距離測定における装置が並進移動した場合の図解説明図である。
【図4】2軸光線案内構成をとった測定器であって、投光用光学系の別個の出力部素子を適切な可変補償位置へと並進可能とした測定器を上方から見た図である。
【図5】図4に変更を加えた実施形態例であって、光学ユニット全体を、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより適切な可変補償位置へと揺動可能とした測定器を上方から見た図である。
【図6】同軸光線案内構成をとった測定器であって、ハウジング震揺動作の補償によって投光路を測定中空間的確定位置に可能とするために投光・受光用光学系の共通する出力部素子を可変 補償位置へと並進可能とした測定器を上方から見た図である。
【図7】図6に変更を加えた測定器であって、光学ユニット全体を、アクチュエート信号に応じて、光学系作動用アクチュエータにより揺動可能とした測定器を上方から見た図である。
【図8】測定器の特に好適な実施形態であり、2軸もしくは同軸案内構成をとった測定器の送受光路における可動傾転鏡を、可変 補償位置へと揺動可能である測定器を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aおよび図1Bは、対象物までの距離を非接触式に測定するための携帯式の距離計100であり、図1Aは、距離計100のハウジング10の操作面を向いた正面図、図1Bは、ハウジング10の側面図を示すものであり、距離計100の構成要素が線的に示される。
【0026】
携帯式レーザ距離計とも称される距離計100は、ハンドヘルド仕様のハウジング10を有し、このハウジング10は、少なからず掌より大きく、相応の触感覚を有し、場合によっては人間工学的に構成されるが、図面の都合上、ハウジング10は矩形として示す。ハウジング10内には、レーザ距離測定ユニットとも称される、光学測定光1を使用する測定器20を収める。図2Aおよび図2Bには、測定器20のバリエーションを示す。図3には、対象物までの距離を非接触式に測定する際の異なる操作状況を示す。
【0027】
距離計100は、ハウジング10上に配置された操作ボタン30を有し、この操作ボタン30は、ハウジング10の操作面に嵌め込まれた入力キー群として構成される。ハウジング10の操作面には、ディスプレイ40が嵌め込まれ、このディスプレイには、測定された対象物までの距離や距離計100の操作状況などが表示され得る。操作ボタン30を介して、測定器20を操作し、また、下記に詳述する、ハウジング10の測定起点を選択することができる。例えばレーザ光などである光学測定光1による測定が、ハウジング内部の参照基準点NPに準拠している一方で、使用者は、規則的に、対象物までの距離を測定起点50A、50B、50C、50Dのいずれかに準拠して計測する意図を持つかもしれない。その場合、使用者が、例えば操作ボタン30を介して、測定起点を選択することで、一定の加算定数を用いて、異なる測定起点に準拠した対象物までの距離を求めることが可能となる。最も重要な測定起点50Aは、装置の後面10Aに設けられる。更に他の測定起点50B、50C、50Dは、例えば、装置の前面10Bや測定延長部の先10D、または三脚取付ネジ穴への固定部10Cなどに設けられ、この固定部10Cは、その中心自体を測定起点50Cとして機能させてもよい。
【0028】
図3Aおよび図3Bに示すのは、冒頭で述べた、対象物200と測定装置100の参照基準点NPとの間の距離を測定する方法である。距離計100は、光学測定光1を使用する測定器20を備え、この測定器20は、走時測定に基づく。図2Aおよび図2Bに示すのは、二つの異なるバリエーションにおける測定器20A、20Bが示される。測定器20A、20Bのどちらもが、例えばレーザ光源ユニットなどである光源ユニット21、投光用光学系22、および受光用光学系23を備える。測定器20A、20Bは、ここではレーザ光である測定光1を対象物200へと投光するための、光軸を有する投光路24を備える。さらに、測定器20A、20Bは、対象物200が反射する測定光2を受光するための光軸を有する受光路25を備える。受光路25には、反射した、および/または、散乱した測定光2を検知するための、例えばフォトダイオードなどである検知素子26が設けられる。受光用光学系23は、測定器20A、20Bのどちらにおいても、反射および/または散乱した測定光2を検知素子26へとフォーカスするために用いられる。測定器20Aは、別々の投光用光学系22および受光用光学系23から構成されているため、投光路24と受光路25とが重ならない。測定器20Aにおける光路24、25の配置は2軸案内構成とも称される。これに対し、測定器20Bは、光路24、25を同軸に配置した構成をとり、投光路24と受光路25は、ビームスプリッタ27によりまとめられ、双方に共通する投光・受光用光学系22、23において重なる。レーザ光源ユニット21とビームスプリッタ27との間、もしくは検知素子26とビームスプリッタ27との間において、投光路24と受光路25とはそれぞれ別々に案内される。
【0029】
図3Aおよび図3Bからさらに見て取れるように、具体的には、レーザ距離測定ユニットとして構成された測定器20において、レーザダイオードの形態をとったレーザ光源ユニット21の測定光1は、投光用光学系22の光学レンズによってビーム化される。ビーム化された測定光1は、ハウジングの前方面10Bから対象物200へと(例えばそこでの測定光スポットP1,P2,P3に)、投光され、測定光スポットP1,P2,P3において光点を構成する。反射および/または散乱した測定光2は、受光用光学系23の光学レンズで、前述の方法により検知素子26のフォトダイオードの活性面に写る。このとき測定器20は、2軸案内構成をとっても、同軸案内をとっても良い。対象物200から測定装置100の参照基準点NPまでの往復距離を算出するために、測定光1、ここではレーザ光線のレーザ光は変調される。この変調は、パルス状または正弦波状に行うことができる。この変調は、送信された測定光変調と受光された測定光変調との時間差が測定可能になるように行われる。光速度のファクタから、測定装置100の参照基準点NPと対象物200との間の片道距離が推論される。これは、例えば、ここでは言及しない制御器等で計算されるものとしても良い。
【0030】
図3Aは、三脚を使用しない、手持ちによる距離測定における問題性を図説するものである。全ての人間が、多かれ少なかれ、自然な震え動作(振戦)を起こすので、主に図3Aに示されるような小さな対象物200において、例えば、測定光1が0.1°傾斜しただけで、傾斜した測定光1'の測定光スポットP3が、測定中対象物200に当たらなくなるという危険性が大きい。この状況は、通常のハウジングに固定された投光路においては、振戦に起因してハウジング10が動く場合に起こる。いずれにせよ、測定光スポットP1は、測定光スポットP3とのそれとは異なる、反射および/または散乱した測定光2を有し得るわけで、反射および/または散乱した測定光2の変化が、通常のハウジング固定の投光路24の傾きにより、異なる計測結果を導くことになる。この状況は、実質的には、測定光1'は、各測定においてハウジング10が傾くとそれと共に傾く測定器20'に起因して傾くことが想定される。さらに、測定器20から測定器20'への傾きが比較的大きな変動をもたらすことが判っている。これに対し、図3Bに示す、測定器20から測定器20"への並進に起因する問題は比較的小さいが、それでもなお、影響を及ぼすものである。並進後の測定器20"もまた、測定光1を測定光1"へとずらすが、ここでは同じような動作振幅においても、未だ測定光スポットP2が対象物200に当たり続け、この測定光スポットP2は、測定光スポットP1と同じように反射および/または散乱した測定光2を生み出す。しかしながら、もちろん、反射および/または散乱した測定光2には変化があるので、並進後の測定器20"が、使用者の振戦動作に起因した測定の不確実性をもたらすことを考慮しなければならない。
【0031】
以下、同等もしくは類似の部材、もしくは同等もしくは類似の機能を有する部材は、同じ参照符号にて示される。図4および図5に示されるのは、測定器のバリエーションである測定器20A.1および測定器20A.2であり、測定装置100に測定器20として、または他の実施形態においては図2Aの測定器20Aとして、本発明のコンセプト内において使用されるものである。
【0032】
図6および図7は、測定器のバリエーションである測定器20B.1および20B.2であり、測定器20、もしくは図2Bに示される測定器20Bの代わりに用いられ得るものである。
【0033】
図8に示すのは、特に好適な測定器のバリエーションである測定器20Cである。
【0034】
図4に示すのは、図2Aに示す測定器20Aの好適な第一バリエーションである測定器20A.1である。測定器20A.1は光学ユニットOEを備え、この光学ユニットOEは、投光用光学系22、受光用光学系23、光源ユニット21、および検知素子26を有する。2軸案内構成の光学ユニットOEには、光源ユニット21および検知素子26の制御を担う制御ユニットSEが接続される。投光用光学系22(ここではデカップリングレンズ)は、初期位置に対して、図上の両矢印に示されるように可動に構成される。測定器20A.1の光学系作動用アクチュエータ80は投光用光学系22に連結され、これをX方向およびY方向の2方向に並進させ、投光用光学系22によりデカップリングされた測定光1に影響を及ぼすことができる。さらに、測定器20A.1は、ハウジング10および/または測定器20A.1の測定中の動きを把握するように構成された動作センサ90を備える。動作センサ90は、ここでは角速度センサとして構成される。この構成により、ハウジング10および/または測定器20A.1、さらに測定光1の傾きを、測定中、Y軸およびX軸の回りの回転として捉えることができる。センサとしては、例えば、MEMS-角速度センサやジャイロスコープが適する。この傾きを捉える軸としては、1軸、2軸や3軸を用いる構成とすることもできる。動作信号は、制御ユニットSEの制御ラインSLを介して伝達され、制御ユニットSEにより、並進運動アクチュエータとして構成された光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換される。この場合、制御ユニットSEが、プロセッサによりデジタルで光学系作動用アクチュエータ80を制御できるものとすると好適である。バリエーションとして、動作センサ90の動作信号は、光学系作動用アクチュエータ80の制御するために、これに直接、例えば増振器を介してアナログに使用されるものとしても良い。結果として、投光用用光学系22の形態をとった可動光学素子は、アクチュエート信号に応じて動かされる、すなわち、ここではX方向および/またはY方向に並進移動させられる。ここで、投光用用光学系22が光学軸に対する並進移動は、投光路24における測定光1の角度変更を意味することが利用される。具体的には、投光用光学系22は、光学系作動用アクチュエータ80の使用下で、動作センサ90の動作信号に基づいてX方向および/またはY方向に並進移動され、その結果、投光路24の測定器20A.1外の部分は、測定中のハウジング10の震揺動作を補償するための空間的確定位置に固定される。
【0035】
図4に示される実施形態例は、動作センサ90を角速度センサとしたものである。加えて、ハウジング10の並進を、MEMS-加速度センサによって、X方向およびY方向に捉えることもできる。この場合において、制御ユニットSEから制御ラインSLを介して制御される光学系作動用アクチュエータ80は、動作信号の助けを借りて、アクチュエート信号によって制御されるものとしても良い。
【0036】
このとき、ハウジング10の傾きおよび並進に起因する動作信号をアクチュエート信号に変換するために、まず、対象物200までの距離の測定における粗方の中間結果を使用することができる。これにより、制御ループを効果的に構成することができる。光学系作動用アクチュエータ80としては、小型モータ、圧力アクチュエータまたはこのような磁気的および/または電気的力に基づくものが適している。他にも、ここで言及しない原動力を有するアクチュエータを使用することもできる。
【0037】
図4に示される実施形態は、点線両矢印により示される、受光用光学系23の動作において特に好適に機能する。これは、図示されない、付加的なアクチュエータや光学系作動用アクチュエータ80により動かすものとすることができる。受光路25においては、反射および/または散乱した測定光2が、投光路24の位置補償後においても検知素子26上に留まるため、大きな動作振幅が可能となる。場合によっては、検知素子26の検知素子面を十分に大きく構成することもできる。いずれにせよ、この構成より、投光路が空間的に固定され、常に可変補償位置をとるにも関わらず、反射および/または散乱した測定光2を検知素子26が高い感度で検知できる。
【0038】
図5が示す、測定器20の他のバリエーションである測定器20A.2においてもまた、光学ユニットOEは、2軸案内の構成をとる。ここでも、角加速度センサの形態をとった動作センサ90が、測定中のハウジング10および測定器20A.2の傾きを、Y軸方向だけでなくX軸方向にも捉える。制御ユニットSEは、対応する動作信号を、光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換し、これを制御ラインSLを介して伝達する。図4に示すように、投光用光学系22および受光用光学系23が別々に動くことを回避するために、ここでは回転モータである光学系作動用アクチュエータ80を設け、光学ユニットOE全体をX軸および/またはY軸を軸として、アクチュエート信号に基づき、投光路24内での測定光1の角度が空間的に固定され、測定光スポットP1が対象物200上に空間的に固定されるように傾きさせる。ここでも、光学系作動用アクチュエータ80は、制御ユニットSEや、図示されない増振器を介して、デジタルもしくはアナログで、制御されるものとすることができる。ここでも、ハウジング10の傾きに加え、ハウジング10の並進を捉えるものとすることができる。ここでもまた、投光路24、および対象物200上の測定光スポットP1を安定させるために、対象物までの距離200の測定の中間結果を利用することができる。
【0039】
図6に示す、測定器20の好適な第二実施形態である測定器20B.1において、光学ユニットOEは、図2Bに示されるような同軸案内として構成されている。さらに光学ユニットOEは、同じく制御ユニットSEと、並進運動アクチュエータである光学系作動用アクチュエータ80とが接続されている。ここでも、制御ユニットSEは、レーザ光源ユニット21の制御と、検知素子26からの検知データの受け入れを担う。入力部が角速度センサ、または上述の類のものである動作センサ90と、出力部が並進運動アクチュエータである光学系作動用アクチュエータ80と接続された制御ユニットSEは、ここでは、動作センサ90から発せられる動作信号を光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号へと変換することができるものとする。光学系作動用アクチュエータ80は、ここでも可動光学素子をアクチュエート信号に応じて動かし、光学素子は、コリメータレンズの形態をとる投光・受光用光学系22、23として構成されている。コリメータレンズ22,23は、重なりあう投・受光路24,25に共通するもので、測定光1は、コリメータレンズ22,23によってデカップリングされ、対象物200から反射および/または散乱された測定光2は、コリメータレンズ22,23によってカップリングされる。図4の右側部分に示されるように、光学系作動用アクチュエータ80は、基本的には、アクチュエータ部80xとアクチュエータ部80yとの2つのアクチュエータ機能を有し、これらは、それぞれX方向、Y方向への並進を可能とするように構成されている。ここでもまた、投光・受光用光学系22,23のコリメータレンズの並進が、コリメートされたレーザ光の角度変更も含意することが利用される。
【0040】
図7に示すのは、測定器20B.1に少し変更を加えた測定器20B.2であり、この測定器20B.2においては、図5と同様に、光学ユニットOE全体が、回転モータの形態をとった光学系作動用アクチュエータ80によって、アクチュエート信号に応じて揺動される。これによって光学ユニットOEは、初期位置から可変補償位置へと、投光路24が、測定器20B.1の外部におけるデカップリングされた領域において、測定中のハウジングの震揺動作を補償するため空間的確定位置に固定されるように揺動される。
【0041】
図8に示すのは、第三実施形態における測定器20Cであり、この測定器20Cは、光学ユニットOE、制御ユニットSE、光学系作動用アクチュエータ80、および、角加速度センサおよび(リニア)加速度センサを有する動作センサ90を備える。動作センサ90は、制御ユニットSEの入力部に接続されており、動作信号(ここでは角加速度信号と加速度信号)を制御ユニットSEへと供給する。制御ユニットSEは、この動作信号を、光学系作動用アクチュエータ80のためのアクチュエート信号に変換する。光学系作動用アクチュエータ80は、ここでも、それぞれX方向・Y方向への動作を担う、アクチュエータ部80xおよびアクチュエータ部80yから成る。アクチュエート信号に基づき、また、これに応じて、可動光学素子(図8に示す実施形態においては傾斜可能な鏡28)が、初期位置から可変補償位置へと動かされる。このとき、測定光1のための投光路24は、ハウジング10の震揺動作の補償下で空間的確定位置に固定されるように、XまたはY方向の傾斜動作が行われる。前述の実施形態と異なり、可動光学素子としての傾斜可能な鏡28は、前述の光学ユニットOEおよび投光・受光用光学系22,23から独立して構成されている。このため、光学ユニットOEは、図2Aに示される測定器20Aのように2軸案内構成をとっても、2Bに示される測定器20Bのように同軸案内として構成されても良い。投光路24における測定光1は、光学ユニットOEを介して放射され、傾斜可能な鏡28を介して、対象物200の測定光スポットP1へと到達する。動作センサ90(ここでは角速度センサと速度センサとの組み合わせ)の助けを借りて、制御ユニットSEによって、ハウジング10の傾きは、傾斜可能な鏡28の可変補償位置へとデジタル変換される。ここでも、制御ユニットSEを用いたデジタル制御のかわりに、傾斜可能な鏡28は、増振器を介して、光学系作動用アクチュエータ80により直接制御されるものとすることができる。そのためには、前述した実施形態におけるように、増振器は、動作信号からアナログ光学系アクチュエート信号を生成するのに適した構成をとる。
【符号の説明】
【0042】
1 測定光
10 ハウジング
20 測定器
21 光源ユニット
22 投光用光学系
23 受光用光学系
24 投光路
25 受光路
26 検知素子
27 ビームスプリッタ
28 鏡
30 操作ボタン
40 ディスプレイ
50 測定起点
80 光学系作動用アクチュエータ
90 動作センサ
100 距離計
200 対象物
NP 参照基準点
OE 光学ユニット
SE 制御ユニット
SL 制御ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(200)までの距離を非接触で測定するための距離計であって、
ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)内に設けられ、光学測定光(1)を用いて前記対象物までの距離(200)を非接触で測定することのできる測定器(20)とを備え、
前記測定器(20)は、光源ユニット(21)と、光学素子を有する光学ユニット(OE)とを備え、
前記光学ユニット(OE)は少なくとも、
−投光・受光用光学系(22,23)、
−前記測定光(1)を前記対象物(200)へと放射するための、光軸を有する投光路(24)、および
−前記対象物(200)から反射および/または散乱した測定光(2)を受けるための、光軸を有する受光路(25)を有し、
前記距離計は、携帯式のものを含み、
前記ハウジング(10)は、携帯式として用いられるよう形成されたものを含み、
前記対象物までの距離(200)の測定は、走時測定によるものを含み、
前記光源ユニット(21)は、レーザ光源ユニットよりなるものを含む距離計において、
前記投光路(24)に影響する少なくとも1つの光学素子を初期位置から可動なものとし、
動作センサ(90)を設け、この動作センサ(90)を、前記ハウジング(10)の測定中の震揺動作を検知するように構成するとともに、
前記少なくとも1つの可動光学素子は、ハウジング(10)の震揺動作を補償することによって前記投光路(24)が測定中、空間的確定位置に固定されるように、前記初期位置から可変補償位置へ動かされ得るものとしたことを特徴とする距離計(100)。
【請求項2】
入力部が前記動作センサ(90)と接続され、出力部が光学系作動用アクチュエータ(80)と接続された制御ユニット(SE)によって、前記動作センサ(90)が提供する動作信号は、前記光学系作動用アクチュエータ(80)のためのアクチュエート信号へと変換され得て、前記光学系作動用アクチュエータ(80)によって、前記可動光学素子は、前記アクチュエート信号に応じて動かされ得るものとしたことを特徴とする請求項1記載の距離計(100)。
【請求項3】
前記可動光学素子は、光学ユニット(OE)全体が可動であることにより可動に構成されており、該光学ユニット(OE)は、アクチュエート信号に応じて光学系作動用アクチュエータ(80)により動かされ得るものを含むことを特徴とする請求項1または2記載の距離計(100)。
【請求項4】
前記投光路(24)が、前記投光用光学系(22)の出力部素子により前記受光路(25)に対して2軸に案内され、前記可動光学素子は、前記出力部素子の形態をとって構成されていて、前記出力部素子はデカップリングレンズよりなるものを含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項5】
前記受光用光学系(23)の入力部素子が可動であり、前記入力部素子は、カップリングレンズよりなるものを含むとともに、前記制御ユニット(SE)に接続されている光学系作動用アクチュエータ(80)によって、アクチュエート信号に応じて動かされ得るものを含むことを特徴とする請求項4記載の距離計(100)。
【請求項6】
前記投光路(24)は、前記投光・受光用光学系(22、23)の共通出力部素子を介して、前記受光路(25)と同軸に案内され、前記可動光学素子は、前記共通の出力部素子の形態をとって構成されており、前記共通出力部素子はコリメータレンズよりなるものを含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項7】
前記光学ユニット(OE)は、前記可動光学素子を構成する可動ビームスプリッタ(27)を前記投光・受光路(24、25)に有し、前記可動ビームスプリッタ(27)は並進可能および/または傾斜可能なものを含むことを特徴とする請求項6記載の距離計(100)。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項記載の距離計(100)において、前記可動光学素子が、投光・受光用光学系(22、23)とは独立に、好適には鏡(28)として、前記投光路(24)および/または前記受光路(25)に構成されていることを特徴とする距離計(100)。
【請求項9】
前記可動光学素子が、少なくとも1つの軸の回りに揺動可能であり、前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、回転モータとして構成されているものを含むことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項10】
前記動作センサ(90)は、角加速度センサまたは角速度センサとして構成されていることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項11】
前記可動光学素子が、少なくとも1つの軸に沿って並進可能であり、前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、並進運動アクチュエータとして構成されていることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項12】
前記動作センサ(90)は、加速度センサ、または、速度センサとして構成されていることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項13】
前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、小型モータ、圧力アクチュエータ、または、磁気アクチュエータよりなるものであることを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項1】
対象物(200)までの距離を非接触で測定するための距離計であって、
ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)内に設けられ、光学測定光(1)を用いて前記対象物までの距離(200)を非接触で測定することのできる測定器(20)とを備え、
前記測定器(20)は、光源ユニット(21)と、光学素子を有する光学ユニット(OE)とを備え、
前記光学ユニット(OE)は少なくとも、
−投光・受光用光学系(22,23)、
−前記測定光(1)を前記対象物(200)へと放射するための、光軸を有する投光路(24)、および
−前記対象物(200)から反射および/または散乱した測定光(2)を受けるための、光軸を有する受光路(25)を有し、
前記距離計は、携帯式のものを含み、
前記ハウジング(10)は、携帯式として用いられるよう形成されたものを含み、
前記対象物までの距離(200)の測定は、走時測定によるものを含み、
前記光源ユニット(21)は、レーザ光源ユニットよりなるものを含む距離計において、
前記投光路(24)に影響する少なくとも1つの光学素子を初期位置から可動なものとし、
動作センサ(90)を設け、この動作センサ(90)を、前記ハウジング(10)の測定中の震揺動作を検知するように構成するとともに、
前記少なくとも1つの可動光学素子は、ハウジング(10)の震揺動作を補償することによって前記投光路(24)が測定中、空間的確定位置に固定されるように、前記初期位置から可変補償位置へ動かされ得るものとしたことを特徴とする距離計(100)。
【請求項2】
入力部が前記動作センサ(90)と接続され、出力部が光学系作動用アクチュエータ(80)と接続された制御ユニット(SE)によって、前記動作センサ(90)が提供する動作信号は、前記光学系作動用アクチュエータ(80)のためのアクチュエート信号へと変換され得て、前記光学系作動用アクチュエータ(80)によって、前記可動光学素子は、前記アクチュエート信号に応じて動かされ得るものとしたことを特徴とする請求項1記載の距離計(100)。
【請求項3】
前記可動光学素子は、光学ユニット(OE)全体が可動であることにより可動に構成されており、該光学ユニット(OE)は、アクチュエート信号に応じて光学系作動用アクチュエータ(80)により動かされ得るものを含むことを特徴とする請求項1または2記載の距離計(100)。
【請求項4】
前記投光路(24)が、前記投光用光学系(22)の出力部素子により前記受光路(25)に対して2軸に案内され、前記可動光学素子は、前記出力部素子の形態をとって構成されていて、前記出力部素子はデカップリングレンズよりなるものを含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項5】
前記受光用光学系(23)の入力部素子が可動であり、前記入力部素子は、カップリングレンズよりなるものを含むとともに、前記制御ユニット(SE)に接続されている光学系作動用アクチュエータ(80)によって、アクチュエート信号に応じて動かされ得るものを含むことを特徴とする請求項4記載の距離計(100)。
【請求項6】
前記投光路(24)は、前記投光・受光用光学系(22、23)の共通出力部素子を介して、前記受光路(25)と同軸に案内され、前記可動光学素子は、前記共通の出力部素子の形態をとって構成されており、前記共通出力部素子はコリメータレンズよりなるものを含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項7】
前記光学ユニット(OE)は、前記可動光学素子を構成する可動ビームスプリッタ(27)を前記投光・受光路(24、25)に有し、前記可動ビームスプリッタ(27)は並進可能および/または傾斜可能なものを含むことを特徴とする請求項6記載の距離計(100)。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項記載の距離計(100)において、前記可動光学素子が、投光・受光用光学系(22、23)とは独立に、好適には鏡(28)として、前記投光路(24)および/または前記受光路(25)に構成されていることを特徴とする距離計(100)。
【請求項9】
前記可動光学素子が、少なくとも1つの軸の回りに揺動可能であり、前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、回転モータとして構成されているものを含むことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項10】
前記動作センサ(90)は、角加速度センサまたは角速度センサとして構成されていることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項11】
前記可動光学素子が、少なくとも1つの軸に沿って並進可能であり、前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、並進運動アクチュエータとして構成されていることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項12】
前記動作センサ(90)は、加速度センサ、または、速度センサとして構成されていることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【請求項13】
前記光学系作動用アクチュエータ(80)は、小型モータ、圧力アクチュエータ、または、磁気アクチュエータよりなるものであることを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載の距離計(100)。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−118076(P2012−118076A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260464(P2011−260464)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
【Fターム(参考)】
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