説明

路側装置、車載装置、路車間無線通信システム、方法及びプログラム

【課題】路側装置15は、DSRCエリアに進入したITS車載器17に対し、嗜好データテーブル等の通信規格を利用しつつ、嗜好データに係る施設とは無関係の駐車場の情報を進入のたびに繰り返し配信することを有効に実施する。
【解決手段】S60では、ITS車載器17からのダウンリンク情報の会員情報が駐車場IDであるか否かを判定し、正であれば、S61へ進む。S61では、情報グループにおいて、ID=40の詳細情報1(〜8)のコピーコントロールフラグに1を、情報内容フラグに1を、情報詳細本体に駐車場IDを、指定するとともに、ID=該方法50,51(場合によりID=52も)に駐車場IDに対応する駐車場情報を指定する。S62では、ダウンリンク情報を送信する。該ダウンリンク情報を受信したITS車載器17は、アップリンク情報の会員情報にID=40の駐車場IDをコピーしたアップリンク情報を次の進入時に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)等の路車間通信を利用する路側装置、車載装置、路車間無線通信システム、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、DVD−ROMドライブのCD−ROMやDVD−ROMから地図データを取得し(特許文献1の段落0017)、該地図データに基づきユーザに駐車場情報(特許文献1の図4(b))を提示するナビゲーション装置を開示する。該地図データの構造では、各地点情報に対して施設名称、緯度・経度及び駐車場情報等が対応付けられており(特許文献1の図2)、ユーザが所定の施設を選択すると、該施設の専用又は提携の駐車場の有無を地図データに基づき調べ、見つかれば、その駐車場リストを表示する(特許文献1の図3のS102YES→・・・→S105)。
【0003】
特許文献2は、DSRCにより路上機から情報を受信するDSRC車載器を開示する(特許文献2の段落0008及び図1)。該DSRC車載器は、路上機から受信した情報に対し、そのデータ量とメモリの可能記憶量とを対比し、格納可能であれば、格納し、格納不可能であれば、メモリ内の最古の情報を削除してから格納するようにしている(特許文献1の図2のS105〜S110)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−323332号公報
【特許文献2】特開2007−109032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定の路車間データ伝送形式のデータは、基本的には5.8GHz帯DSRCにおける個別通信によるプッシュ型情報配信方式で配信され、これにより、路側装置は通信エリア内のITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム) 車載器に対して、ITS車載器の特性やユーザ(乗員)の嗜好に合わせた様々なコンテンツを配信することが可能となっている。
【0006】
該所定の路車間データ伝送形式における路側装置からITS車載器への合理的な情報配信を実現するために、ダウンリンク情報に嗜好データテーブルの情報を含ませるとともに、アップリンク情報に、該嗜好データテーブルに対するユーザ回答としての嗜好データを含ませ、車載装置側は該嗜好データを反映した情報に絞り込んで、情報を配信することが考えられている。
【0007】
車載装置からの嗜好データを利用した情報配信では、ユーザの嗜好に対応付けた施設、その駐車場及び提携駐車場の情報をダウンリンク情報に含ませることができるようになっている。該配信の規格では、また、施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場の動的情報及び静的情報をダウンリンク情報に任意に含めることができるようになっているが、施設とは無関係の駐車場であってユーザに有益となる駐車場を具体的に選定することが望まれる。
【0008】
これに対して、路側装置側の情報提供者及び/又は車載装置側のユーザは、ユーザ登録の嗜好データとは関係のない駐車場について、その情報を、車載装置が路側装置のDSRCエリアに進入するたびに、繰り返し、配信又は取得したいことがある。
【0009】
特許文献1は、ナビゲーション装置において、ユーザが選択した施設に対して、その専用又は提携の駐車場の情報をユーザに配信することは開示するものの、駐車場情報は路側装置から配信されたものではなく、自己装備の駐車場データベースから検索するものとなっている。また、特許文献1は、嗜好データテーブルの規格等を利用して、ユーザ嗜好に基づく施設とは無関係の駐車場の情報を、ユーザの車載装置が無線通信エリアへ進入するたびに、繰り返し配信する有効な手立てについては言及も示唆もしていない。
【0010】
特許文献2は、DSRCを利用して路側装置から車載装置への情報配信を開示するものの、嗜好データテーブルの規格等を利用して、ユーザ嗜好に基づく施設とは無関係の駐車場の情報を、ユーザの車載装置が無線通信エリアへ進入するたびに、繰り返し配信する有効な手立てについては言及も示唆もしていない。
【0011】
本発明の目的は、嗜好データテーブル等の通信規格を利用しつつ、嗜好データに係る施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場を、ユーザの車載装置が路側装置の無線通信エリアに進入するたびに、繰り返し配信することを有効に実施することができる路側装置、車載装置、路車間無線通信システム、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、アップリンク情報における所定欄(例:図9のタグ1の会員情報1〜8)及びダウンリンク情報における複製制御情報(例:図5のID=40の詳細情報制御情報1〜8)を利用する。該複製制御情報は、車載装置が、そのアップリンク情報を生成する際に、該アップリンク情報の所定欄への駐車場識別情報の複製を制御する際に参照するダウンリンク情報に路側装置が指定するものである。路側装置は、アップリンク情報の複製欄に駐車場識別情報が有れば、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場の情報と、複製実施の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成して、該駐車場識別情報を、無線通信エリアへ進入した車載装置へ配信する。
【0013】
これに対し、車載装置は、ダウンリンク情報から駐車場識別情報と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の複製欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを抽出し、駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する。該車載装置は、また、複製制御情報が複製実施である場合には、該ダウンリンク情報の駐車場識別情報を複製欄に複製したアップリンク情報を生成し、該アップリンク情報を所定の無線通信エリアへの次回の進入時に、送信する。
【0014】
本発明の路側装置は、所定の無線通信エリア内に進入している車載装置に対し、該車載装置からアップリンク情報を無線で受信するとともに、前記車載装置へダウンリンク情報を無線で送信する。本発明の路側装置は次のものを備える。
アップリンク情報を受信する受信手段、
前記受信手段が受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報の所定欄における駐車場識別情報の有無を調べ駐車場識別情報が有れば該駐車場識別情報を抽出する駐車場識別情報抽出手段、
前記駐車場識別情報抽出手段が抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、前記車載装置におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成するダウンリンク情報生成手段、及び
前記生成したダウンリンク情報を前記所定の無線通信エリア内の車載装置へ送信する送信手段。
【0015】
本発明の車載装置は、所定の無線通信エリア内に進入するのに伴い、該路側装置へのアップリンク情報を無線で送信するとともに、前記路側装置からダウンリンク情報を無線で受信する。本発明の車載装置は次のものを備える。
所定欄に駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの進入に伴い送信する送信手段、
前記駐車場識別情報と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する受信手段、
前記駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する駐車場情報提示手段、及び
ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には該ダウンリンク情報の前記駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成するアップリンク情報生成手段。
【0016】
本発明の路車間無線通信システムは、無線通信(例:DSRC)により相互に接続された前述の路側装置及び車載装置を備える。
【0017】
本発明の路側装置制御方法は、所定の無線通信エリア内に進入している車載装置に対し、該車載装置からアップリンク情報を無線で受信するとともに、前記車載装置へダウンリンク情報を無線で送信する路側装置の制御方法であって、次のステップを備える。
所定の無線通信エリア内に進入している車載装置に対し、該車載装置からアップリンク情報を無線で受信するとともに、前記車載装置へダウンリンク情報を無線で送信する路側装置の制御方法であって、次のステップを備える。
アップリンク情報を受信する受信ステップ、
前記受信ステップにおいて受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報のコピー欄における駐車場識別情報の有無を調べ駐車場識別情報が有れば該駐車場識別情報を抽出する駐車場識別情報抽出ステップ、
前記駐車場識別情報抽出ステップにおいて抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、前記車載装置におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成するダウンリンク情報生成ステップ、及び
前記生成したダウンリンク情報を前記所定の無線通信エリア内の車載装置へ送信する送信ステップ。
【0018】
本発明の車載装置制御方法は、所定の無線通信エリア内に進入するのに伴い、該路側装置へのアップリンク情報を無線で送信するとともに、前記路側装置からダウンリンク情報を無線で受信する車載装置の制御方法であって、次のステップを備える。
所定欄に駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの進入に伴い送信する送信ステップ、
前記駐車場識別情報と、該所定の駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する受信ステップ、
前記駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する駐車場情報提示ステップ、及び
ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には該ダウンリンク情報の前記所定の駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成するアップリンク情報生成ステップ。
【0019】
本発明のプログラムは、前述の路側装置の各手段としてコンピュータを機能させる。本発明のプログラムは、また、前述の車載装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アップリンク情報における複製欄及びダウンリンク情報における複製制御情報を利用して、車載装置に対し、それが無線通信エリアに進入するたびに、嗜好データに係る施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場であってユーザにとり情報取得が有益となる駐車場の情報を繰り返し、有効に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】所定の路車間データ伝送形式のデータに基づく路車間DSRCシステムの概略図である。
【図2】所定の路車間データ伝送形式におけるデータ伝送態様の説明図である。
【図3】情報グループの構成について各IDが必須か任意かを示す図である。
【図4】ダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表の第1の部分である。
【図5】ダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表の第2の部分である。
【図6】ダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表の第3の部分である。
【図7】ダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表の第4の部分である。
【図8】路側装置路側装置−ITS車載器間のトランザクションで実施される各機器間の通信及び処理を示す図である。
【0022】
【図9】ITS車載器から路側装置路側装置へ送られるアップリンク情報のデータ説明図である。
【図10】嗜好データの一例をテーブル表現した説明図である。
【図11】路側装置路側装置から嗜好データを受信したITS車載器がナビ部の表示器に表示するチェック付けの画面の一例である。
【図12】コピー用駐車場ID付きダウンリンク情報送信方法のフローチャートである
【図13】駐車場IDコピー付きアップリンク情報送信方法のフローチャートである
【図14】路車間無線通信システムのブロック図である。
【図15】路側装置制御方法のフローチャートである。
【図16】車載装置制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は所定の路車間データ伝送形式のデータに基づく路車間DSRCシステム10の概略図である。路側機11は、サーバ12と共に路側装置15を構成し、有線又は無線でサーバ12へ接続されている。サーバ12は、さらに、インターネット等のネットワークを介して別のサーバとデータを送受自在になっている。路側機11は、直径がほぼ数m〜30mのエリアに存在する自動車13に搭載されているITS車載器17とは5.8GHz 帯の電波を使ってデータを送受する。ITS車載器17はDSRC部18及びナビ部19を有している。
【0024】
図2は所定の路車間データ伝送形式におけるデータ伝送態様の説明図である。マルチコンテンツ形式のダウンリンクでは、データをその種類に応じて分類し、分類ごとにIDコード"00","01","02",〜を割り振っている。マルチコンテンツ形式のデータ伝送では、データが情報グループを単位に括られ、各情報グループは先頭にID="00"の分類データをもつ。ID="00"の分類データは、その情報グループに含まれているIDにはどのようなものがあるかを示す構成情報となっている。
【0025】
図3は情報グループの構成について各IDが必須か任意かを示す図である。ID=00,01,02は、各情報グループに必ず含めなければならない。ID=03,04,05は、ID=60のみの情報提供の場合には情報グループに含める必要はないが、その他の情報提供の場合には、情報グループに必ず含める必要がある。その他のIDは情報グループに含めるか否かは任意である。
【0026】
図4〜図7はダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表である。ID=00は構成ID情報(各情報グループがどのようなIDを格納しているかを記述する領域)の分類となっている。ID=01は、事業者の分類となっており、サービス事業者コード(サービス事業者を特定できる事業者コード)、サービス事業者表示テキスト(ナビ表示用サービス事業社名(サービス名)テキスト情報)、及びサービス事業者表音文字列(ナビ発話用サービス事業社名(サービス名)表音文字列情報)を含む。
【0027】
ID=02はコンテンツの分類となっており、企業コード(コンテンツの情報提供元を特定できるコード)、企業表示テキスト(ナビ表示用情報提供企業名テキスト情報)、企業表音文字列(ナビ発話用情報提供企業名表音文字列情報)、情報コード(コンテンツを特定できる情報コード)、情報表示テキスト(ナビ表示用コンテンツ内容テキスト情報)、情報表音文字列(ナビ発話用コンテンツ内容表音文字列情報)、及び嗜好データカテゴリー(情報が該当する情報カテゴリーを示すカテゴリーコード)を含む。
【0028】
ID=03は、ID=02と同様に、コンテンツの分類となっており、即時再生/蓄積コード(受信後のコンテンツ再生動作を表すコード)、及び再生条件コード(情報提供エリアでのコンテンツ再生条件を示すコード)を含む。
【0029】
ID=04は、有効期限の分類となっており、開始年月日時分秒(コンテンツの有効期限)、及び終了年月日時分秒(コンテンツの有効期限)を含む。ID=05は、提供時間の分類となっており、営業時間(コンテンツ提供元の営業時間)、及び情報提供時間(コンテンツ提供時間)を含む。
【0030】
ID=10は、対象地点の分類となっており、対象地点座標(サービス提供可能な地点の緯度経度情報)、対象地点表示用テキスト(サービス名称(店舗名称等))、提携駐車場情報(対象地点以外の提携駐車場情報)、アイコン表示画像データ(サービス提供可能な場所を表すアイコンのデータ)、表示用文字データ(サービスの説明用テキスト情報)、表示画像データ(サービスを表す静止画情報)、表音文字列データ(サービスを表す表音文字列情報)、圧縮音声データ(圧縮音声データ情報)、音声再生順(表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す)、ビデオデータ(ビデオデータ情報)、及びURL(サービスを表すURL情報)を含む。
【0031】
ID=20は、情報提供地点の分類となっており、計5個の情報提供地点について、情報提供中心座標(ポップアップ情報を再生する緯度経度情報)、情報提供エリア(ポップアップ情報を再生するエリアを定義する中心座標からの半径情報)、情報提供方向コード(ポップアップ情報を再生する情報提供方向情報)、情報提供道路種別(ポップアップ情報を再生する道路種別情報)、表示画像データ(ポップアップ再生する静止画のデータ)、表音文字列データ(ポップアップ再生する表音文字列情報、圧縮音声データポップアップ再生する圧縮音声のデータ)、及び音声再生順(ポップアップ再生する音声データの再生順番を表すコード)を含む。
【0032】
ID=30は、遷移情報の分類となっており、計8個の次再生情報コード(画面遷移情報)を含む。ID=40は、詳細情報の分類となっており、計8個の各詳細情報について、表示用文字データ(ナビ表示用詳細情報テキスト情報)、及び発話用表音文字列(ナビ発話用詳細情報表音文字列情報)を含む。なお、図5のID=40において、「詳細情報1」と記載されている行について、「詳細情報1」を「詳細情報1表示用文字データ」に変更し、情報の内容を「表示用文字データナビ表示用詳細情報テキスト情報」を「ナビ表示用詳細情報テキスト情報」に変更すると、「詳細情報1発話用表音文字列」、「ナビ発話用詳細情報表音文字列情報」の行としても使用可能になる。
【0033】
ID=50は、駐車場情報の分類となっており、15個の各駐車場について、駐車場ID(駐車場を特定できるID)、詳細情報(駐車場の動的詳細情報)、及び特記事項(駐車場の特記事項)を含む。
【0034】
ID=51は、ナビ部19に格納されている駐車場の静的情報を3次メッシュ単位で最大4メッシュ分更新することが可能になる。ID=51は、3 次メッシュ数(更新する駐車場静的情報を含む3 次メッシュ数を通知するもの)、1〜4の各メッシュについて、3 次メッシュコード(更新する駐車場静的情報を含む3 次メッシュコード)、3 次メッシュバージョン情報(更新する駐車場静的情報が含まれる3 次メッシュのバージョン情報)、3 次メッシュ駐車場数(更新するメッシュに含まれる駐車場静的情報数)、3 次メッシュ駐車場静的情報(更新する駐車場の静的情報)を含む。
【0035】
ID=52は削除駐車場ID情報である。メッシュ単位で駐車場情報をすべて(新設/削除)更新する場合はこの情報は用いない。ID=52は、3次メッシュ数(削除する駐車場ID情報を含む3次メッシュ数を通知するもの)、3次メッシュコード(削除する駐車場ID情報を含む3次メッシュコード)、3次メッシュバージョン情報(削除する駐車場ID情報が含まれる3次メッシュのバージョン情報;ID=51で同時に通知される静的情報のバージョンと同一のものとする)、3次メッシュ削除駐車場ID数(更新するメッシュに含まれる削除駐車場情報ID数)、及び3次メッシュ削除駐車場ID情報(削除する駐車場ID情報)を含む。
【0036】
ID=60は、運転支援の分類であり、運転支援画像データ(運転支援画像情報)、運転支援表音文字列データ(運転支援表音文字列情報)、運転支援圧縮音声データ(運転支援圧縮音声情報)、及び音声再生順(表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す)が含まれる。
【0037】
ID=80は、嗜好データの分類であり、計127個の各嗜好データについて、嗜好データバージョン(嗜好データのテーブルのバージョン情報)、嗜好データ(嗜好データの表示用テキスト情報)、表音文字列(嗜好データの発話用表音文字列情報)、及び詳細情報(嗜好データの詳細情報)が含まれる。
【0038】
図8は路側装置15−ITS車載器17間のトランザクションで実施される各機器間の通信及び処理を示している。路側機11及びサーバ12は路側装置15を構成する。ITS車載器17はDSRC部18及びナビ部19を有している。時間順に説明する。なお、路側機11−DSRC部18間の通信はDSRCの電波で行われ、路側機11−サーバ12間及びDSRC部18−ナビ部19間の通信は通常、ケーブルで行われる。
【0039】
ITS車載器17において電源が投入されるのに伴い、S10では、ナビ部19からDSRC部18へクライアントインフォメーションデータが書き込まれる。ITS車載器17を搭載する自動車13が路側機11との通信可能な距離(例:約30m)の電波到達エリアに進入するのに伴い、S11では、路側機11−DSRC部18間でDSRC接続処理が実施される。
【0040】
S11のDSRC接続処理が終了すると、S12,S13でDSRC接続通知が行われる。S12の接続通知は路側機11からサーバ12へのものであり、S13の接続通知はDSRC部18からナビ部19へのものである。S14では、クライアントインフォメーションがDSRC部18から路側機11を経てサーバ12へ通知される。
【0041】
サーバ12は、DSRC部18からのクライアントインフォメーション通知に基づきITS車載器17のユーザが会員か非会員かを判別したり、ITS車載器17でコンテンツを適正に再生するためのITS車載器17のハードウェア情報を知得する。S18では、サーバ12から路側機11及びDSRC部18を経てナビ部19へWelcome画面等のコンテンツを送信する。該コンテンツはマルチコンテンツフォーマットで編成されている。ナビ部19は、マルチコンテンツフォーマットからサービス事業者を判断する。
【0042】
サーバ12は、S18後、ナビ部19がアップリンク情報をDSRC部18に書き込むまで、S19でDSRC部18に対して定期的にポーリングを行う。S20では、ナビ部19は、該サービス事業者の会員であれば、アップリンク情報をDSRC部18に書き込むのに対し、会員でなければ、何もしない。
【0043】
S24では、サーバ12は、路側機11及びDSRC部18を経由してデフォルトのコンテンツ(例:Welcome画面)をナビ部19へ送る。S29では、サーバ12は、DSRC部18に対してメモリアクセスポーリングを実施する。これに対して、S30では、DSRC部18は、ユーザが会員であれば、アップリンク情報をサーバ12へ通知する。
【0044】
S33では、サーバ12は、アップリンク情報から取得した会員情報に基づき会員趣向に適した蓄積型コンテンツをマルチコンテンツフォーマット(図2)で編成してITS車載器17へ配信する。後述するように、路側装置15は、S33の期間中、蓄積型コンテンツの配信を1回以上、中断して、即時再生型コンテンツの配信を割込ませる。S34では、蓄積型コンテンツの配信終了を通知する。ITS車載器17を搭載する自動車13は、配信終了に伴い路側機11との通信エリアから退出する。
【0045】
図9はITS車載器17から路側装置15へ送られるアップリンク情報のデータ説明図である。アップリンク情報は、複数のタグで送られる。タグ1には、サービス事業者コード、目的地(緯度経度)、経由地(緯度経度)1〜5、累計走行距離、嗜好ジャンルデータバージョン、嗜好ジャンルデータ、会員情報1〜8が含められる。タグ2には、過去立寄り地(緯度経度)1〜41が含められる。タグ3には、過去立寄り地(緯度経度)42〜82が含められる。
【0046】
タグ4には、受信/再生履歴(受信情報コード及び再生識別フラグ)1〜123が含められる。タグ5には、受信/再生履歴(受信情報コード及び再生識別フラグ)124〜246が含められる。
【0047】
図10はID=80の嗜好データの一例をテーブル表現した説明図である。嗜好データは、嗜好データ番号、嗜好データ表示用テキスト、嗜好データ表示用ネスト、嗜好データ対象識別子、嗜好データデフォルト値、表音文字列により構成される。嗜好データ番号は、0〜127 の最大、計128個存在し、サービス業者が各データ番号の項目を自由に設定することができる。128の項目の内、最大96項目がS30(図8)でITS車載器17から路側装置15へアップリンク情報として通知される。
【0048】
アップリンク情報として通知される96項目中、12 項目は、公共情報提供サービス目的に利用され、DSRC通信において情報提供を行う際にはデフォルトで配信する情報項目となっている。図10の嗜好データテーブルにおいて、表示用ネストは、各項目(図10のデータ番号に対応する。)の階層を意味し、大きい数値ほど、下の階層を意味している。対象識別子は、それが"0"となっている項目は、ナビ部19における嗜好データのチェック付け画面(後述の図11)においてチェック対象となっていないことを意味し、それが"1"となっている項目は、該チェック付け画面においてチェック対象となっていることを意味する。デフォルト値は、それが"0"となっている項目は、チェック付けの初期画面にチェック無しで表示することを意味し、それが"1"となっている項目は、チェック付けの初期画面にチェック有りで表示することを意味する。
【0049】
図11は路側装置15から嗜好データを受信したITS車載器17がナビ部19の表示器に表示するチェック付けの画面の一例である。ユーザはスクロールバー23をドラッグすることにより画面を上下方向へスクロールすることができる。図11において、ユーザがオンボタンをクリックすると、チェックを付けたことになり、オフボタンをクリックすると、チェックを外したことになる。各項目において、"オン"及び"オフ"の内、が斜体になっている方をユーザが選択したことを意味している。
【0050】
路車間DSRCシステム10における路側装置15からITS車載器17への駐車場情報の配信は、ID=10(図4)を使用する場合と、ID=50,51及び/又は52(図6及び図7)を使用する場合がある。ID=10における駐車場情報の指定は、嗜好データに対応付けられた施設の駐車場及び提携駐車場の情報の配信に利用するものであり、詳説すると、次の(a1)及び(a2)のとおりである。
【0051】
(a1)ID=10の対象地点情報の分類の対象地点座標を使用する場合:該対象地点座標には、対象地点としての施設が駐車場を有しない場合には、該施設の中心位置の緯度・経度を指定するが、該施設が駐車場を有する場合は、該対象地点座標の欄は駐車場の入口の緯度・経度を指定する。
【0052】
(a2)ID=10の対象地点情報の分類の提携駐車場情報を使用する場合;該提携駐車場情報には、対象地点の施設の提携駐車場のIDを記入する。路側装置15は、全国の対象地点についての駐車場データベースを保有し、該駐車場データベースに基づき駐車場IDから該当の駐車場についての静的情報情報(場所、名称、料金、営業時間等)を把握することができるようになっている。駐車場IDとは、都道府県・市区町村コード(JIS準拠):5桁+地区コード(市区町村が必要時に付加):1桁+駐車場種別コード:1桁+事業者コード:3桁+シーケンシャルコード:6桁+枝番:1桁の合計17桁で構成されており、全国規模でユニークなものになっている。
【0053】
ID=50,51及び/又は52(図6及び図7)における駐車場情報の指定では、嗜好データに対応付けられた施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の任意の駐車場の情報を指定することができる。路側装置15は、ID=50,51及び/又は52を利用して、所定の駐車場の情報を、ITS車載器17がDSRCエリアに進入するたびに、繰り返し配信する。以下に、これらIDによる駐車場情報の配信について詳説する。
【0054】
ID=50の駐車場情報の分類(図6)では、路側装置15は、最大15個の駐車場についてその動的情報(入口別車種別満空情報、営業時間、初期料金、追加料金及び入口別車種別満空情報)を指定することができるようになっている。
【0055】
ID=51の駐車場追加更新情報の分類(図6)では、路側装置15は、最大4個の3次メッシュを指定することができる。各3次メッシュには、最大511個の駐車場についてその静的情報(入口の緯度・経度、駐車場の名称、収容台数、車両制限(車高制限、車幅制限、車長制限)、入庫可能時間、出庫可能時間、定休日等)を指定することができる。
【0056】
ID=52の削除駐車場ID情報の分類(図7)では、路側装置15は、最大4個の3次メッシュを指定することができる。各3次メッシュには、最大63個までの削除する駐車場についてそのIDを指定することができる。ID=52はID=51と併用される。すなわち、ITS車載器17における駐車場データベースにおいて所定の3次メッシュ内の駐車場情報を全面的に変更する場合には、ID=51のみを使用し、ID=52は使用しない。これに対し、ITS車載器17における駐車場データベースにおいて所定の3次メッシュ内の駐車場情報を差分情報で更新する場合には、ID=51には追加の駐車場の情報を指定し、ID=52は削除の駐車場の情報のIDを指定する。なお、駐車場情報について全面変更か差分変更かを示すフラグを情報グループ内に用意することもできる。
【0057】
ID=50だけでなく、ID=51による駐車場情報の配信、又はID=51及びID=52の両方による駐車場情報の配信を併用する。なぜならば、ITS車載器17の駐車場データベースのデータが古くなっていることがあり、すなわち駐車場について新設、廃止又は場所変更等が行われていることがあるので、これに対処して、ID=51等により駐車場情報を配信して、ITS車載器17に駐車場データベースの駐車場情報を更新し、更新後の駐車場データベースに基づきID=50の動的情報をユーザに提示するようにして、提示情報の正確性を保証するためである。
【0058】
図12はコピー用駐車場ID付きダウンリンク情報送信方法50のフローチャートである。該方法50は路側装置15のサーバ12において実行される。該方法50は例えば一定時間ごとに実行される。S51では、ITS車載器17がDSRCエリアに進入したか否かを判定し、判定が正であれば、S52へ進み、否であれば、該方法50を終了する。ITS車載器17がDSRCエリアに進入したことは、路側装置15が、ITS車載器17からの所定のデータ入り電波を受信することにより検出することができる。
【0059】
S52では、ITS車載器17との接続処理を行う。S53では、ITS車載器17のユーザが路側装置15の情報提供者(例:図4のID=01におけるサービス事業者又はID=02における情報提供企業)の会員であるか非会員であるかを判定し、会員であれば、S54へ進み、非会員であれば、該方法50を終了する。
【0060】
S54では、ITS車載器17に対しアップリンク情報の送信を要求する。S55では、アップリンク情報を受信したか否かを判定し、受信しだい、S60へ進む。なお、S55で受信するアップリンク情報は、ITS車載器17のユーザの嗜好データ(図11)を包含する。
【0061】
S60では、アップリンク情報の会員情報は駐車場IDであるか否かを判定し、判定が正であれば、S61へ進み、否であれば、S62へ進む。
【0062】
S61では、情報グループにおいて、ID=40の詳細情報1(〜8)のコピーコントロールフラグに1を、情報内容フラグに1を、情報詳細本体に駐車場IDを、指定するとともに、ID=該方法50,51(場合によりID=52も)に駐車場IDに対応する駐車場情報を指定する。
【0063】
ここで、情報グループのID=40(図5)に詳説する。概略を前述したように、ID=40は、詳細情報の分類となっており、詳細情報1〜8の計8個までの詳細情報を指定することができるようになっている。それらを代表して、詳細情報1について説明する。詳細情報1は、さらに、制御情報、詳細情報本体1、表示用テキスト情報量、表示用文字データ、表音文字列の下位分類に分類される。
【0064】
該制御情報は、さらに、コピーコントロールフラグ及び情報内容フラグの下位分類をもつ。コピーコントロールフラグ="1"でかつ情報内容フラグ="1"ある場合は、これを含む情報グループをITS車載器17が受信すると、該ITS車載器17は、詳細情報本体1のデータをアップリンク情報のタグ1の会員情報1(図9)にコピーする。
【0065】
ID=40の詳細情報本体1は、クーポン情報を指定することが通常、考えられているものである。そして、コピーコントロールフラグ="1"でかつ情報内容フラグ="1"とするとともに、詳細情報本体1(詳細情報本体2〜8でも可)にクーポン情報を指定した情報グループをITS車載器17に配信すると、ITS車載器17は、詳細情報本体1のクーポン情報をタグ1の会員情報1にコピーしたアップリンク情報を生成して、次のDSRCエリア進入時に該アップリンク情報を送信するようにしている。路側装置15は、これに対し、例えばポイント加算や割引等の優待販売を実施する。
【0066】
図12に戻って、S61では、詳細情報本体に駐車場IDを指定するので、該詳細情報本体を含む情報グループを受信したITS車載器17は、会員情報に駐車場IDをコピーすることになる。
【0067】
S62では、S55で受信した嗜好データに基づき情報グループを生成する。該情報グループはダウンリンク情報を構成する。なお、S61において情報グループの所定のIDについて指定がある場合には、S62の生成情報グループに該指定を含ませる。S63では、生成した情報グループをダウンリンク情報として送信する。
【0068】
図13は駐車場IDコピー付きアップリンク情報送信方法70のフローチャートである。該方法70はITS車載器17において実行される。該方法70は例えば一定時間ごとに実行される。S71では、ITS車載器17がDSRCエリアに進入したか否かを判定し、判定が正であれば、S72へ進み、否であれば、該方法70を終了する。ITS車載器17がDSRCエリアに進入したことは、ITS車載器17が、路側装置15からの所定のデータ入り電波を受信することにより検出することができる。
【0069】
S72では、路側装置15との接続処理を行う。S73では、自機(ITS車載器17)が路側装置15の情報提供者の会員として認証であるか非認証であるかを判定し、認証であれば、S74へ進み、非認証であれば、該方法70を終了する。
【0070】
S74では、路側装置15からアップリンク情報の要求を受信したか否かを判定し、受信しだい、S75へ進む。S75では。アップリンク情報を送信する。なお、S75で送信するアップリンク情報は、ITS車載器17のユーザの嗜好データ(図11)を含む。
【0071】
S76では、ダウンリンク情報を受信したか否かを判定し、受信しだい、S77へ進む。該ダウンリンク情報は情報グループでもある。
【0072】
S77では、ダウンリンク情報のコンテンツを直ちに再生するか、又は記憶装置に記憶する。記憶装置に記憶したコンテンツは、後の再生指示時に読み出されて、再生される。
【0073】
S80では、S76で受信した情報グループに対し、そのID=40の詳細情報1(〜8)のコピーコントロールフラグ="1"でかつ情報内容フラグ="1"であるか否かを判定し、判定が正であれば、S81へ進み、否であれば、S81をスキップして、S82へ進む。
【0074】
S81では、嗜好データのタグ1の会員情報(図9)に情報グループのID=40の情報本体のデータをコピーする。S82では、嗜好データを含むアップリンク情報を送信する。なお、S82で送信するアップリンク情報は、S81でコピーしたデータは含まない。
【0075】
該方法50及び該方法70の実行により、ITS車載器17のユーザは、嗜好データ(図9のタグ1の嗜好ジャンルデータ)に対応付けられた施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場の情報を、路側装置15のDSRCエリアに進入するたびに、繰り返し、入手することができる。また、路側装置15の情報提供者は、嗜好データに対応付けられた施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場の情報を、自機のDSRCエリアにITS車載器17が進入するたびに、繰り返し、配信することができる。
【0076】
情報の配信及び入手が繰り返される所定の駐車場(以下、「選定駐車場」という。)の具体例について説明する。ユーザが選定駐車場を決める場合には、契約時に自分が配信を希望する駐車場をwebページや電話等のITS車載器17以外の手段により情報提供者へ申告し、情報提供者が該ユーザ用に登録する。また、ユーザは、アップリンク情報の「会員情報」に情報の配信希望の駐車場情報のIDを手入力して、ITS車載器17を使用して、選定駐車場を登録する。この登録は、情報グループのID=40の詳細情報1(〜8)の詳細情報本体にと指定するものであり、該ユーザ宛ての最初の情報グループに対して一度だけ行うものである。以降は、この登録に係る駐車場IDが、該情報提供者の路側装置15からのダウンリンク情報と該ユーザのITS車載器17からアップリンク情報との間で循環して、保持されることになる。
【0077】
情報提供者が選定駐車場を決める場合には、情報提供者は、例えば、自分が管理している駐車場で利用率の悪い駐車場や、ITS車載器17のユーザの走行履歴(図9のタグ2,3の過去立寄り地)に基づき、ユーザが駐車していない駐車場の中のお勧め駐車場を選定駐車場にすることができる。
【0078】
ユーザのITS車載器17が同一の選定駐車場の情報を含むダウンリンク情報を、進入のつど繰り返し受信するDSRCエリアは、1つのDSRCエリアに限定されない。同一の情報提供者が、異なる複数の場所にDSRCエリアを提供している場合、それら複数の各DSRCエリアにおいて、該ユーザに該選定駐車場の情報を配信することができる。あるいは、同一の情報提供者でなくても、提携関係にある異なる情報提供者が、各自のDSRCエリアにおいて、該ユーザに対して該選定駐車場の情報を配信するようになっていてもよい。複数のDSRCエリアより共通の駐車場IDの駐車場情報が配信されることにより、例えば、ユーザは、所定の目的地へのドライブの途中、各立寄り地点のDSRCエリアにおいて該目的地の所定の駐車場の情報を繰り返し、取得することができる。
【0079】
ユーザが選定駐車場の配信を停止する仕方の具体例を説明する。第1の例では、ユーザが電話やwebページ等を利用して、ユーザが配信停止の選定駐車場を情報提供者に通知する。第2の例では、ユーザは、アップリンク情報の「会員情報」に配信停止指示を手入力して、アップリンク情報により路側装置15へ通知する。
【0080】
情報提供者が選定駐車場の配信を停止するタイミングの具体例を説明する。第1の例では、その管理下にある複数の駐車場の内、特定の駐車場に利用が集中していて、その周辺が頻繁に渋滞している一方において、利用率の悪い駐車場が存在する場合に、情報提供者は低利用率の駐車場を選定駐車場にすることがあるが、該選定駐車場の利用率が高まってきて、特定の駐車場への集中的な利用が十分に緩和されてきた時、該選定駐車場の選定を解除する。あるいは、選定駐車場について、最初の配信時から所定期間が経過して、ユーザに十分周知されたと判断した時、該選定駐車場の選定を解除する。選定駐車場の解除は情報提供者自身が行う。
【0081】
図14は路車間無線通信システム90のブロック図である。路車間無線通信システム90は、無線通信(例:DSRC)で相互に接続された路側装置91及び車載装置100を備える。路車間無線通信システム90の具体例は路車間DSRCシステム10(図1)である。路側装置91及び車載装置100の具体例はそれぞれ路側装置15及びITS車載器17である。路側装置91は、所定の無線通信エリア内に進入している車載装置100に対し、該車載装置100からアップリンク情報を無線で受信するとともに、車載装置100へダウンリンク情報を無線で送信する。
【0082】
路側装置91は受信手段92、駐車場識別情報抽出手段93、ダウンリンク情報生成手段94及び送信手段95を備える。受信手段92はアップリンク情報を受信する。駐車場識別情報抽出手段93は、受信手段92が受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報の所定欄における駐車場識別情報の有無を調べ、駐車場識別情報が有れば該駐車場識別情報を抽出する。
【0083】
ダウンリンク情報生成手段94は、駐車場識別情報抽出手段93が抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、車載装置100におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成する。送信手段95は、生成したダウンリンク情報を所定の無線通信エリア内の車載装置100へ送信する。
【0084】
典型的には、アップリンク情報における所定欄は特典情報所定欄である。これに対し、駐車場識別情報抽出手段93は、特典情報所定欄の情報を駐車場識別情報として抽出する。また、ダウンリンク情報生成手段94は、駐車場識別情報抽出手段93が抽出した駐車場識別情報に対し、車載装置100におけるアップリンク情報の特典情報所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報を含むダウンリンク情報を生成する。
【0085】
典型的には、ダウンリンク情報は、複数の分類情報を1つのグループとする情報グループ単位(例:図2の情報グループ)で送信される。情報グループ単位には、該ダウンリンク情報に必ず含ませる必須分類情報と、任意に含ませる任意分類情報とがある(例:図3の必須及び任意)。任意分類情報には、駐車場の動的情報を含む情報を指定する第1の任意分類情報(例:ID=50)と駐車場の静的情報のみを指定する第2の任意分類情報(例:ID=51、さらに追加的に52)とが別々に存在する。ダウンリンク情報生成手段94は、駐車場識別情報抽出手段93が抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報の駐車場情報を第1及び第2の任意分類情報の両方に指定する。これにより、車載装置100は、駐車場の静的情報に基づき自機の駐車場データベースを更新してから、更新後の駐車場データベースと駐車場の動的情報とに基づき該選定駐車場の情報をユーザに提示して、駐車場の動的情報の正確性を保証することができる。
【0086】
車載装置100は、所定の無線通信エリア内に進入するのに伴い、該路側装置91へのアップリンク情報を無線で送信するとともに、路側装置91からダウンリンク情報を無線で受信する。車載装置100は、送信手段101、受信手段102、駐車場情報提示手段103及びアップリンク情報生成手段104を備える。
【0087】
送信手段101は、所定欄に所定の駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの進入に伴い送信する。受信手段102は、所定の駐車場識別情報と、該所定の駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該所定の駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する。
【0088】
駐車場情報提示手段103は、所定の駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する。アップリンク情報生成手段104は、ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には、該ダウンリンク情報の所定の駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成する。
【0089】
駐車場情報提示手段103に対する駐車場情報の提示要求は、ダウンリンク情報の受信直後に生じる場合と、受信後、時間が経過してから生じる場合がある。後者の場合に備えて、受信した駐車場情報は記憶装置に記憶することができる。また、駐車場情報提示手段103に対する駐車場情報の提示要求は、車載装置100のユーザが出す場合と、車載装置100が所定の処理の実施に伴い、自動で出す場合とがある。
【0090】
典型的には、所定の駐車場識別情報は、ダウンリンク情報において買物に係る特典情報を指定する特典情報欄に指定されている。また、所定欄は特典情報所定欄である。これに対応して、アップリンク情報生成手段104は、ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には、特典情報欄の情報を特典情報所定欄に複製したアップリンク情報を生成する。
【0091】
典型的には、ダウンリンク情報は、複数の分類情報を1つのグループとする情報グループ単位で送信され、情報グループ単位には、該ダウンリンク情報に必ず含ませる必須分類情報と、任意に含ませる任意分類情報とがあり、任意分類情報には、駐車場の動的情報を含む情報を指定する第1の任意分類情報と駐車場の静的情報のみを指定する第2の任意分類情報とが別々に存在する。これに対応して、駐車場情報提示手段103は、第2の任意分類情報の駐車場の静的情報に基づき自機の駐車場データベースを更新してから、更新後の駐車場データベースと第1の任意分類情報の駐車場の動的情報とに基づき駐車場識別情報の駐車場情報を提示する。
【0092】
このように、車載装置100では、アップリンク情報における所定欄及びダウンリンク情報における複製制御情報を利用して、車載装置100に対し、それが無線通信エリアに進入するたびに、嗜好データに係る施設の駐車場及び提携駐車場とは無関係の駐車場であってユーザにとり情報取得が有益となる駐車場の情報を繰り返し配信することが可能になる。
【0093】
図15は路側装置制御方法110のフローチャートである。路側装置制御方法110は路側装置91(図14)に適用される。路側装置制御方法110は、車載装置100が無線通信エリアへ進入するのに伴い、実行される。S111では、アップリンク情報を受信する。S112では、S111において受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報の所定欄における駐車場識別情報の有無を調べ、駐車場識別情報が有れば、S113へ進み、駐車場識別情報がなければ、路側装置制御方法110を終了する。S113では、駐車場識別情報を抽出する。
【0094】
S114では、S113において抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、車載装置100におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成する。S115では、生成したダウンリンク情報を所定の無線通信エリア内の車載装置100へ送信する。
【0095】
図16は車載装置制御方法120のフローチャートである。車載装置制御方法120は車載装置100(図14)に適用される。車載装置制御方法120は、車載装置100が所定の無線エリアへ進入するのに伴い、実行される。S123は、S125の後に実施することもできる。
【0096】
S121では、所定欄に所定の駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を送信する。なお、S121の送信では、前回の受信時に、駐車場識別情報の複製制御情報が指定されていた場合のみ、当該情報をアップリンクする。S122では、所定の駐車場識別情報と、該所定の駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該所定の駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する。
【0097】
S123では、所定の駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する。S124では、ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施であるか否かを判定し、判定が正であれば、S125へ進み、否であれば、車載装置制御方法120を終了する。S125では、該ダウンリンク情報の所定の駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成する。
【0098】
S111,S114,S115の処理は路側装置91の受信手段92、ダウンリンク情報生成手段94及び送信手段95の機能にそれぞれ対応している。S112,S113の処理は路側装置91の駐車場識別情報抽出手段93の機能に対応している。S121,S122,S123の処理は車載装置100の送信手段101、受信手段102及び駐車場情報提示手段103の機能にそれぞれ対応している。S124,S125の機能は車載装置100のアップリンク情報生成手段104の機能に対応している。路側装置91及び車載装置100の各手段の機能の具体的態様は、対応する各ステップの機能の具体的態様として適用可能である。
【0099】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを路側装置91又は車載装置100の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、路側装置制御方法110又は車載装置制御方法120の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0100】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、拡張ないし一般化の範囲で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を拡張ないし一般化の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【符号の説明】
【0101】
90:路車間無線通信システム、91:路側装置、92:受信手段、93:駐車場ID抽出手段、94:ダウンリンク情報生成手段、95:送信手段、100:車載装置、101:送信手段、102:受信手段、103:駐車場情報提示手段、104:アップリンク情報生成手段、110:路側装置制御方法、120:車載装置制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信エリア内に進入している車載装置に対し、該車載装置からアップリンク情報を無線で受信するとともに、前記車載装置へダウンリンク情報を無線で送信する路側装置であって、
アップリンク情報を受信する受信手段、
前記受信手段が受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報の所定欄における駐車場識別情報の有無を調べ駐車場識別情報が有れば該駐車場識別情報を抽出する駐車場識別情報抽出手段、
前記駐車場識別情報抽出手段が抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、前記車載装置におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成するダウンリンク情報生成手段、及び
前記生成したダウンリンク情報を前記所定の無線通信エリア内の車載装置へ送信する送信手段、
を備えることを路側装置。
【請求項2】
前記アップリンク情報における前記所定欄は特典情報コピー欄であり、
前記駐車場識別情報抽出手段は、特典情報コピー欄の情報を駐車場識別情報として抽出し、
前記ダウンリンク情報生成手段は、前記駐車場識別情報抽出手段が抽出した駐車場識別情報に対し、前記車載装置におけるアップリンク情報の特典情報コピー欄への該駐車場識別情報の複製制御情報を含むダウンリンク情報を生成することを特徴とする請求項1記載の路側装置。
【請求項3】
前記ダウンリンク情報は、複数の分類情報を1つのグループとする情報グループ単位で送信され、
前記情報グループ単位には、該ダウンリンク情報に必ず含ませる必須分類情報と、任意に含ませる任意分類情報とがあり、
前記任意分類情報には、駐車場の動的情報を含む情報を指定する第1の任意分類情報と駐車場の静的情報のみを指定する第2の任意分類情報とが別々に存在し、
前記ダウンリンク情報生成手段は、前記駐車場識別情報抽出手段が抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報の駐車場情報を第1及び第2の任意分類情報の両方に指定することを特徴とする請求項1又は2記載の路側装置。
【請求項4】
所定の無線通信エリア内に進入するのに伴い、該路側装置へのアップリンク情報を無線で送信するとともに、前記路側装置からダウンリンク情報を無線で受信する車載装置であって、
所定欄に駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの進入に伴い送信する送信手段、
前記駐車場識別情報と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する受信手段、
前記駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する駐車場情報提示手段、及び
ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には該ダウンリンク情報の前記駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成するアップリンク情報生成手段、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
前記所定の駐車場識別情報は、ダウンリンク情報において買物に係る特典情報を指定する特典情報欄に指定されており、
前記所定欄は特典情報コピー欄であり、
前記アップリンク情報生成手段は、ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には前記クーポン情報欄の情報を前記特典情報コピー欄に複製したアップリンク情報を生成することを特徴とする請求項4記載の車載装置。
【請求項6】
前記ダウンリンク情報は、複数の分類情報を1つのグループとする情報グループ単位で送信され、
前記情報グループ単位には、該ダウンリンク情報に必ず含ませる必須分類情報と、任意に含ませる任意分類情報とがあり、
前記任意分類情報には、駐車場の動的情報を含む情報を指定する第1の任意分類情報と駐車場の静的情報のみを指定する第2の任意分類情報とが別々に存在し、
前記駐車場情報提示手段は、第2の任意分類情報の駐車場の静的情報に基づき自機の駐車場データベースを更新してから、更新後の駐車場データベースと第1の任意分類情報の駐車場の動的情報とに基づき駐車場識別情報の駐車場情報を提示することを特徴とする請求項4又は5記載の路側装置。
【請求項7】
無線通信により相互に接続された請求項1〜3のいずれかに記載の路側装置と、請求項4〜6のいずれかに記載の車載装置とを備えることを特徴とする路車間無線通信システム。
【請求項8】
所定の無線通信エリア内に進入している車載装置に対し、該車載装置からアップリンク情報を無線で受信するとともに、前記車載装置へダウンリンク情報を無線で送信する路側装置の制御方法であって、
アップリンク情報を受信する受信ステップ、
前記受信ステップにおいて受信したアップリンク情報に対し、該アップリンク情報のコピー欄における駐車場識別情報の有無を調べ駐車場識別情報が有れば該駐車場識別情報を抽出する駐車場識別情報抽出ステップ、
前記駐車場識別情報抽出ステップにおいて抽出した駐車場識別情報に対し、該駐車場識別情報自体と、該駐車場識別情報の駐車場情報と、前記車載装置におけるアップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を生成するダウンリンク情報生成ステップ、及び
前記生成したダウンリンク情報を前記所定の無線通信エリア内の車載装置へ送信する送信ステップ、
を備えることを路側装置制御方法。
【請求項9】
所定の無線通信エリア内に進入するのに伴い、該路側装置へのアップリンク情報を無線で送信するとともに、前記路側装置からダウンリンク情報を無線で受信する車載装置の制御方法であって、
所定欄に駐車場識別情報を指定したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの進入に伴い送信する送信ステップ、
前記駐車場識別情報と、該所定の駐車場識別情報の駐車場情報と、アップリンク情報の所定欄への該駐車場識別情報の複製制御情報とを含むダウンリンク情報を受信する受信ステップ、
前記駐車場識別情報の駐車場情報をその提示要求時にユーザに提示する駐車場情報提示ステップ、及び
ダウンリンク情報の複製制御情報が複製実施である場合には該ダウンリンク情報の前記所定の駐車場識別情報を所定欄に複製したアップリンク情報を、所定の無線通信エリアへの次回の進入時の送信用に、生成するアップリンク情報生成ステップ、
を備えることを特徴とする車載装置制御方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれかに記載の路側装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項11】
請求項4〜6のいずれかに記載の車載装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−238175(P2010−238175A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88317(P2009−88317)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】