説明

車上盗難警戒器

【課題】車外と車内とを確実に識別して車外近傍の人の移動や車内侵入に対する盗難警戒を行うことができる車上盗難警戒器を提供することにある。
【解決手段】マイクロ波センサは、マイクロ波アンテナ11によって車内及び車外周辺を検知範囲としてマイクロ波信号を送信するとともに反射されてくるマイクロ波信号を受信して該受信したマイクロ波信号の周波数偏移により移動体を検知する。一方超音波センサは超音波信号を送受波器21によって車内に送波するとともに反射されてくる超音波信号を受波して、受波した超音波信号の周波数偏移から移動体を検知する。両センサにおいて周波数偏移から移動体を検知する回路部は共用回路部3によって構成され、信号処理回路4はこの共用回路部3から出力されるマイクロ波センサの検知信号、超音波センサの検知信号を監視し、その検知信号に基づいて報知器5により報知を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内及び車外の監視を行う車上盗難警戒器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車上盗難警戒器には、車外周囲の不審者のうろつきや、車内への侵入とも検出するためにマイクロ波センサを用いたセキュリティ装置が提供されている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなマイクロ波センサを用いたセキュリティ装置を用いて自動車の車内及び車外の人の動きを検知するためには、図9に示すようにマイクロ波センサのヘッド部Hを自動車Mのフロントガラス8に取り付けて、車外の近傍で人の移動を検知したときには警告を発する検知領域Xと、車内への侵入者を検知したときには警報を発する検知領域Yとを設定するのが一般的である。
【特許文献1】特開2003−989346号公報(段落番号0011〜0021)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のマイクロ波センサのみを用いたセキュリティ装置では、車内と車外の境界を受信レベルの強弱では判断しづらく、車外の他車の移動などにより車内侵入の報知をするなど誤動作が発生し易いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは車外と車内とを確実に識別して車外近傍の人の移動や車内侵入に対する盗難警戒を行うことができる車上盗難警戒器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、車内及び車外周辺を検知範囲として電波信号を送信するとともに反射されてくる電波信号を受信して該受信した電波信号の周波数偏移により移動体を検知する電波センサと、超音波信号を車内に送波するとともに反射されてくる超音波信号を受波して、受波した超音波信号の周波数偏移から移動体を検知する超音波センサと、両センサの動作を制御するとともに各センサの検知信号を監視して夫々の検知信号に基づいて報知手段により報知を行わせる信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、電波センサの移動体検知と超音波センサによる移動体検知とを区別することで、車外と車内とを確実に識別して車外近傍の人の移動や車内侵入に対する盗難警戒を行うことができる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記信号処理手段は、前記電波センサの検知信号があって且つ超音波センサの検知信号が無い場合に車外での人の移動があると判断し、前記超音波センサの検知信号があると車内への侵入ありと判断して夫々の判断に対応して前記報知手段による報知を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、車体近辺でうろつく不審者及び車内侵入者の検知と報知とを確実なものとすることができる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記電波センサ及び前記超音波センサは、夫々において抽出する周波数偏移に対応する信号レベルと閾値との比較により移動体を検知して前記検知信号を出力する回路部を両センサにおいて共用回路部としていることを特徴とする。
【0011】
請求項3によれば、電波センサと超音波センサとの構造上の共通点に基づいて受信系回路を共用することにより、大幅なコストダウンが図れる上に、小型化も可能となる。
【0012】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして用いる期間と、超音波センサとして用いる期間とを交互に切り替えて前記電波センサとしての検知信号の出力と前記超音波センサとしての検知信号の出力の有無を交互に監視することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、両センサの機能が同時に動作することが無いため、受信回路系が共有可能となり、また双方の受信回路系を別系統で動作させる場合に比べて、低消費電流化が図れる。
【0014】
請求項5の発明では、請求項3の発明において、前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして連続的に用いて電波センサとしての検知信号の出力を監視する第1の動作状態を設定し、該第1の動作状態で前記検知信号が出力されると電波センサの検知信号に対応した報知手段による報知を行わせるとともに、前記共用回路部を電波センサとして用いる期間と、超音波センサとして用いる期間とを交互に切り替えて前記電波センサとしての検知信号の出力と前記超音波センサとしての検知信号の出力の有無を交互に監視する第2の動作状態を設定し、該第2の動作状態で前記超音波センサからの検知信号の出力が一定時間無ければ、前記第1の動作状態に戻す処理を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明によれば、車外近辺をうろつく不審者を含む移動体の検知があったときに超音波センサと電波センサとを交互に機能させることで、車外に対する警戒と車内侵入に対する警戒とが行える上に、両センサによって車内に対する警戒もできるので車内侵入に対する検知確度を高めて誤動作の発生を確実に少なくすることができ、しかも超音波センサによって一定時間車内侵入が検知されないときには電波センサによる警戒に自動復帰させることができる。
【0016】
請求項6の発明では、請求項3の発明において、前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして連続的に用いて電波センサとしての検知信号の出力を監視する第1の動作状態を設定し、該第1の動作状態で前記検知信号が出力されると電波センサの検知信号に対応した報知手段による報知を行わせるとともに、前記共用回路部を超音波センサとして連続的に用いて超音波センサとしての検知信号の出力の有無を監視する第2の動作状態を設定し、該第2の動作状態で前記超音波センサからの検知信号の出力が一定時間無くなると前記第1の動作状態に戻す処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明によれば、車外近辺をうろつく者を含む移動体の検知があったとき、超音波センサの機能のみを動作させることで、車内侵入専用の超音波センサによって車内侵入を連続的に監視するので車内侵入の検知が速やかに行え、また検知確度を高めて車内侵入に対する誤動作の発生を少なくすることができ、しかも超音波センサによって一定時間車内侵入が検知されないときには電波センサによる警戒に自動復帰させることができる。
【0018】
請求項7の発明では、請求項5又は6の発明において、前記第1の動作状態では前記超音波センサの超音波信号の送波動作を停止することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明によれば、電波センサのみでの警戒中において不要な超音波信号の送波に要する消費電力を無くして省電力化が図れ且つ消費電流の低減も図れる。
【0020】
請求項8の発明では、請求項4乃至7の何れかの発明において、前記電波センサの送信動作を、前記信号処理手段が超音波センサの検知信号の有無を監視している期間中停止させることを特徴とすることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明によれば、安定した送信ができるまでの立ち上がり時間が早いが消費電力が大きな電波センサの送信動作を超音波センサの検知信号の有無の監視中に停止させることで、検知動作に支障なく消費電力を低減させることができる。
【0022】
請求項9の発明では、請求項1乃至8の何れか記載の発明において、前記電波センサは電波信号を間歇させる送信動作を行い、前記超音波センサは超音波信号を連続送波する送波動作を行うこと特徴とする。
【0023】
請求項9の発明によれば、送信開始から安定するまでの立ち上がりが早いが消費電力が大きな電波センサ側のみ間歇的な送信を行うことで、検知動作に支障なく消費電力を低減できて省電力化が図れる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、電波センサの移動体検知と超音波センサによる移動体検知とを区別することで、車外と車内とを確実に識別して車外近傍の人の移動や車内侵入に対する盗難警戒を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態の構成を示しており、本実施形態では電波センサたるマイクロ波センサと、超音波センサとを併用したものであって、マイクロ波センサのヘッド部1と、超音波センサのヘッド部2と、両センサが共用する共用回路部3と、マイクロコンピュータからなる信号処理手段たる信号処理回路4と、警報報知や表示を行う報知手段たる報知器5と、各ヘッド部1,2から出力される信号の共用回路部3への入力をオン/オフするアナログスイッチ61,62とから構成される。
【0026】
マイクロ波センサのヘッド1はマイクロ波発振回路10と、該マイクロ波発振回路10から発振されるマイクロ波信号を送信するとともに、反射されてくるマイクロ波信号を受信するマイクロ波アンテナ11と、送信されるマイクロ波信号と受信されたマイクロ波信号とを混合して送信されるマイクロ波信号の周波数と受信されたマイクロ波信号の周波数との差、つまりビート信号(以下周波数偏移信号という)を抽出する混合回路12と、周波数偏移信号から包絡成分を抽出するためのローパスフィルタ13とから構成され、マイクロ波信号の送信は信号処理回路4の制御の下で間歇的に行われるようになっており、図2(a)はマイクロ波信号の送信信号波形を示し、図中tは送信間隔の時間を示す。
【0027】
超音波センサのヘッド部2は、超音波発振回路20と、該超音波発振回路20から発振される超音波信号を送波するとともに、反射されてくる超音波信号を受波する超音波振動子からなる送受波器21と、送波される超音波信号と送受波器21で受波された超音波信号とを混合して送波される超音波信号の周波数と受波された超音波波信号の周波数との差、つまりビート信号(以下周波数偏移信号という)を抽出する混合回路22と、周波数偏移信号から包絡成分を抽出するためのローパスフィルタ23とから構成され、超音波信号の送波は信号処理回路4の制御の下で連続的に行われるようになっており、図2(c)は送波される超音波信号の波形を示す。
【0028】
共用回路部3は各ヘッド部1,2から出力される周波数偏移信号から夫々において移動体検知を行うための両センサ共通の受信系回路からなり、ヘッド部1,2から出力される周波数偏移信号を夫々アナログスイッチ61、62を通じて入力し、その入力した周波数偏移信号を増幅器30で増幅したバンドパスフィルタ31を介して閾値回路32に取り込み、その閾値回路32で予め設定している信号レベル(閾値)と、バンドパスフィルタ31を介して取り込んだ周波数偏移信号の信号レベルとを比較して周波数偏移信号の信号レベルが閾値より大きいときに移動体検知を示す検知信号を信号処理回路4へ出力するようになっている。
【0029】
尚閾値回路32の閾値を共用するためにローパスフィルタ13.23から出力される信号のレベル調整を行っているものとする。また各センサに対応した閾値を持ち、共用回路部3へ取り込む周波数搬送偏移信号の切り替えに応じて閾値を信号処理回路4の制御の下で選択設定するようにしても良い。また各センサのヘッド部1,2には送信(送波)と受信(受波)の各信号の方向を決める分波手段を備えているものとする。
【0030】
アナログスイッチ61、62は一方がオンのときには他方がオフとなるように信号処理回路4により制御され、アナログスイッチ61がオンのときにヘッド部1と共用回路部3とでドップラ式のマイクロ波センサが、アナログスイッチ62がオンのときにヘッド部2と共用回路部3とでドップラ式の超音波センサが夫々構成され、信号処理回路4は夫々の検知信号の監視をアナログスイッチ61,62のオン状態を切り替えることで行えるようになっている。
【0031】
信号処理回路4はアナログスイッチ61,62の制御とともに、両センサの検知信号に基づいて報知器5の報知動作を後述のように制御する信号処理を行うようになっている。
【0032】
ところで両センサのヘッド部1,2、共用回路部3及びアナログスイッチ61,62は一つの筐体に組み込まれてセンサユニット7として構成され、例えば図3に示すように自動車Mのフロントガラス8の中央上部に取り付ける。この場合超音波センサによる検知領域Aが図4に示すように両側の窓ガラス、フロントガラス及びリアガラスを含めた車内の全体をカバーするように送受波器21の送受方向が設定され、マイクロ波センサによる検知領域Bが図4に示すように車内と車外周辺(車外近傍)となるように設定される。尚マイクロ波アンテナ11や送受波器21の指向性や、送信電力(送波エネルギ)、受信(受波)感度などが設定されているものとする。
【0033】
一方信号処理回路4及び報知器5も一つの筐体に組み込まれて警戒ユニット9として構成され、前記センサユニット7側とは、センサユニット7への動作電源供給の電源線、アナログスイッチ61,62の制御信号線や、閾値回路32から出力される検知信号を取り込むための検知信号線等からなるケーブルCAにより接続される。尚両ユニット7,9の回路動作の電源は車載用バッテリから得るものとする。
【0034】
次に本実施形態の動作を図2により説明する。
【0035】
まず本実施形態の車上盗難警戒器は例えば車外から赤外線リモコン等により警戒セット/解除の操作が行えるようなっているものとし、車外から警戒セットの操作が為され、信号処理回路4に付随するリモコン受信部(図示せず)で警戒セット信号が受信すると信号処理回路4は警戒動作状態に入り、センサユニット7側のヘッド部1,2を動作させる。この動作によりマイクロ波センサ側ではマイクロ波アンテナ11から図2(a)に示すように間歇的にマイクロ波信号を検知領域Bに向けて送信する。またこの送信によって検知領域B内の物体(人)によって反射されたマイクロ波信号をマイクロ波アンテナ11により受信して受信信号を混合回路12に入力する。混合回路12では送信するマイクロ波信号と受信信号の周波数差に対応する周波数偏移信号を抽出する。そしてこの抽出した周波数偏移信号から更に所定周波数以上の成分をローパスフィルタ13で除去して図2(b)に示す波形の信号を得る。
【0036】
一方超音波センサ側では送受波器21から超音波信号が図2(c)に示すように連続的に検知領域Aへ向けて送波する。またこの送波によって検知領域A内の物体によって反射された超音波信号を送受波器21により受波して受波信号を混合回路22に入力する。混合回路22では送波する超音波信号と受波信号の周波数差に対応する周波数偏移信号を抽出する。そしてこの抽出した周波数偏移信号から更に所定周波数以上の成分をローパスフィルタ23で除去して図2(d)に示す波形の信号を得る。
【0037】
このようにして夫々のヘッド部1,2からローパスフィルタ13,23から出力される信号を信号処理回路4の制御の下でアナログスイッチ61,62を一定時間(例えば1秒)毎に交互に切り替えることで、共用回路部3へ夫々取り込み、マイクロ波センサとしての移動体検知と、超音波センサとしての移動体検知を行う。図2(e)は共用回路部3の入力信号波形を示す。
【0038】
ここで信号処理回路4は夫々のセンサの検知信号の監視を行い、例えば、マイクロ波センサとして移動体検知を行っているときには共用回路部3から検知信号が入力するが、超音波センサとして移動体検知を行っているときに共用回路部3から検知信号が入力しない場合には、車内侵入は無いが車外の検知領域Bにおいて人が移動していると判断し、報知部7に設けた警告用の表示ランプを点灯(点滅)させたり、或いはブザーによって警告音を発するように報知部7を制御する。
【0039】
一方、マイクロ波センサとして移動体検知を行っているときの検知信号の有無に如何に関わらず、超音波センサとして移動体検知を行っているときに検知信号が入力すると信号処理回路4は車内に侵入した者があると判断して、例えばブザーから周囲の人に知らせるような大きな音量や音色の警報音を報知させように報知器7を制御する。
【0040】
以上のように動作する本実施形態では、人が車近傍でうろうろして車内を物色しているような状態では警告を与えて、侵入を未然に防ぎ、窓ガラスが割られたり、ドアが無理矢理開けられて車内に侵入した者があった場合には、周囲の人に警報を発することで知らせるとともに、侵入者に対して警告して盗難を未然に防ぐことができるのである。またマイクロ波信号の送信を間歇的行うことで消費電力を小さくし、また二つのセンサで一つの共用回路部3を用いるので、センサ毎に共用回路部3と同じ回路を備えた場合に比べてコストダウンが図れる上に、回路が同時に動作させるような場合に比べて低消費電流化が図れる。
【0041】
尚マイクロ波センサによる検知信号があった場合、車の所有者に携帯電話機や携帯端末へ移動体通信や特定小電力通信を利用して車内侵入や車体周囲をうろつく不審者がいることを知らせるようにしても良い。
【0042】
またマイクロ波信号の間歇送信を行う送信動作は連続的に行っているが、マイクロ波信号の送信は送信開始から安定するまでの立ち上がりが極めて早いため、アナログスイッチ61のオン/オフ期間に同期させてマイクロ波信号の送信動作を間歇させても検知動作に支障がない。そこで超音波センサの検知信号の監視期間中、マイクロ波発振回路10の動作を停止させれば、更に消費電力の低減と低消費電流化が図れる。この場合アナログスイッチ61に対して信号処理回路4から出力するオン/オフ制御信号を利用して発振回路10の動作を制御させるのである。尚図1中破線で示す信号線aは信号処理回路4からマイクロ波発振回路10へ前記オン/オフ制御信号を送る制御信号線である。図5(a),(b)はこの同期送信時の波形図を示し、同図(a)〜(d)は図2(a)〜(d)に対応する。
【0043】
更に図1で示した回路構成図では超音波送受波を一つの超音波振動子からなる送受波器21を用いているが、図6に示すように送波器21aと受波器21bとを夫々専用の超音波振動子を用いて構成しても良い。尚その他の構成は図1の回路構成に準ずるので同じ構成要素には同じ符号を付して説明は省略する。
(実施形態2)
実施形態1ではヘッド部1,2から出力される周波数偏移に対応する信号を共有回路部4へ一定時間毎に交互に切り替え入力させて、信号処理回路4でマイクロ波センサの検知信号の監視と超音波センサの検知信号の監視を交互に行っているが、本実施形態では通常時にはアナログスイッチ61を信号処理回路4の制御の下で連続的にオンさせて図7(e)に示すようにマイクロ波センサの検知信号のみの監視を行う第1の動作状態αを設定する。この第1の動作状態αではアナログスイッチ62のオフに同期させて信号処理回路4の制御の下で超音波発振回路20の動作を停止させ、図7(c)に示すように超音波信号の送波を停止させる。つまり第1の動作状態αではマイクロ波発振回路10のみが動作しているため消費電力を低減でき且つ低消費電流化が図れる。さてこの第1の動作状態αにおいて、マイクロ波センサにより移動体の検知信号が入力したとき(時点ta)には信号処理回路4は報知器7を実施形態1と同様に警告報知させるように制御し、また上述のようにアナログスイッチ61,62を交互に一定期間ずつオンさせてマイクロ波センサの検知信号と超音波センサの検知信号の監視を交互に行う第2の動作状態βを設定する。この動作状態β下ではアナログスイッチ62のオン/オフに関係なく超音波発振回路20は信号処理回路4の制御の下で連続的に動作して超音波信号の送波を連続的に行う。センサとしての検知信号が入力しない期間(一定時間)が図7(e)のγのように生じると信号処理回路4はアナログスイッチ61を連続的にオンさせて動作状態αに戻す処理を行うのである。
【0044】
尚回路構成は実施形態1とは基本的同じ構成(図1又は図6参照)を用いるので、ここでは省略するが、本実施形態の場合、信号処理回路4からは第1の動作状態αで超音波発振回路20の動作を停止させるための信号を送る制御信号線bが接続される。また各センサの検知信号に対応する報知器7の制御も同じであるので、ここでは報知内容についての説明は省略する。図7(a)はマイクロ波信号の送信波形を、同図(b)はヘッド部1でのローパスフィルタ13かの出力波形を、同図(c)は超音波信号の送波波形を、同図(d)はヘッド部2でのローパスフィルタ23の出力波形を夫々示す。
【0045】
また本実施形態でも上述した図5の場合のように信号処理回路4の制御の下でアナログスイッチ61のオン/オフ期間に同期させてマイクロ波信号の送信動作を制御しても良い。
(実施形態3)
実施形態2では第1の動作状態αでマイクロ波センサとしての検知信号があると、信号処理回路4はアナログスイッチ61,62を交互に切り替えてマイクロ波センサの検知信号と超音波センサの検知信号の監視を交互に行う動作状態βを設定する処理を行っているが、本実施形態では、通常時において動作状態αでマイクロ波センサとしての検知信号の監視を行い、マイクロ波センサの検知信号が入力したときの報知器7の制御も同じであるが、この検知信号の入力時点(例えば図8(e)の時点ta)からアナログスイッチ61をオフさせてアナログスイッチ62を連続的にオンさせる第2の動作状態β’を設定して超音波センサの検知信号のみを監視し、この動作状態β’で一定時間(γ)、超音波センサの検知信号が入力し無くなると、信号処理回路4はアナログスイッチ62をオフさせるとともにアナログスイッチ61を連続的にオンさせて第1の動作状態αに戻す処理を行うのである。本実施形態では超音波発振回路20の送波動作はアナログスイッチ62のオン/オフ期間に同期させるようになっている。
【0046】
尚マイクロ波発振回路10も信号処理回路4の制御の下でアナログスイッチ61のオン期間のみ動作させるようしても良く、このようにすることで、第2の動作状態β’においても大幅に消費電力を抑えることができ、また同時に両発振回路10,20が動作することが無くなるので低消費電流化も図れる。
【0047】
尚回路構成は実施形態1と同じ構成(図1又は図6参照)を用いるので、ここでは省略する。また各センサの検知信号に対応する報知器7の制御も同じであるので、ここでは報知内容についての説明は省略する。図8(a)はマイクロ波信号の送信波形を、同図(b)はヘッド部1でのローパスフィルタ13かの出力波形を、同図(c)は超音波信号の送波波形を、同図(d)はヘッド部2でのローパスフィルタ23の出力波形を夫々示す。
【0048】
また本実施形態でもアナログスイッチ61、62のオン期間に同期させてマイクロ波信号の送信、超音波信号の送波を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態1の回路構成図である。
【図2】実施形態1の動作説明用波形図である。
【図3】実施形態1の配置例図である。
【図4】実施形態1の検知領域の説明図である。
【図5】実施形態1の別の動作例の波形図である。
【図6】実施形態1の別の例の回路構成図である。
【図7】実施形態2の動作説明用波形図である。
【図8】実施形態3の動作説明用波形図である。
【図9】従来例の検知領域の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ヘッド部
10 マイクロ波発振回路
11 マイクロ波アンテナ
12 混合回路
13 ローパスフィルタ
2 ヘッド部
20 超音波発振回路
21 送受波器
22 混合回路
23 ローパスフィルタ
3 共用回路部
30 増幅器
31 バンドパスフィルタ
32 閾値回路
4 信号処理回路
5 報知器
61,62 アナログスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内及び車外周辺を検知範囲として電波信号を送信するとともに反射されてくる電波信号を受信して該受信した電波信号の周波数偏移により移動体を検知する電波センサと、超音波信号を車内に送波するとともに反射されてくる超音波信号を受波して、受波した超音波信号の周波数偏移から移動体を検知する超音波センサと、両センサの動作を制御するとともに各センサの検知信号を監視して夫々の検知信号に基づいて報知手段により報知を行わせる信号処理手段とを備えたことを特徴とする車上盗難警戒器。
【請求項2】
前記信号処理手段は、前記電波センサの検知信号があって且つ超音波センサの検知信号が無い場合に車外での人の移動があると判断し、前記超音波センサの検知信号があると車内への侵入ありと判断して夫々の判断に対応して前記報知手段による報知を行うことを特徴とする請求項1記載の車上盗難警戒器。
【請求項3】
前記電波センサ及び前記超音波センサは、夫々において抽出する周波数偏移に対応する信号レベルと閾値との比較により移動体を検知して前記検知信号を出力する回路部を両センサにおいて共用回路部としていることを特徴とする請求項1又は2記載の車上盗難警戒器。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして用いる期間と、超音波センサとして用いる期間とを交互に切り替えて前記電波センサとしての検知信号の出力と前記超音波センサとしての検知信号の出力の有無を交互に監視することを特徴とする請求項3記載の車上盗難警戒器。
【請求項5】
前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして連続的に用いて電波センサとしての検知信号の出力を監視する第1の動作状態を設定し、該第1の動作状態で前記検知信号が出力されると電波センサの検知信号に対応した報知手段による報知を行わせるとともに、前記共用回路部を電波センサとして用いる期間と超音波センサとして用いる期間とを交互に切り替えて前記電波センサとしての検知信号の出力と前記超音波センサとしての検知信号の出力の有無を交互に監視する第2の動作状態を設定し、該第2の動作状態で前記超音波センサからの検知信号の出力が一定時間無ければ、前記第1の動作状態に戻す処理を行うことを特徴とする請求項3記載の車上盗難警戒器。
【請求項6】
前記信号処理手段は、前記共用回路部を電波センサとして連続的に用いて電波センサとしての検知信号の出力を監視する第1の動作状態を設定し、該第1の動作状態で前記検知信号が出力されると電波センサの検知信号に対応した報知手段による報知を行わせるとともに、前記共用回路部を超音波センサとして連続的に用いて超音波センサとしての検知信号の出力の有無を監視する第2の動作状態を設定し、該第2の動作状態で前記超音波センサからの検知信号の出力が一定時間無くなると前記第1の動作状態に戻す処理を行うことを特徴とする請求項3記載の車上盗難警戒器。
【請求項7】
前記第1の動作状態では前記超音波センサの超音波信号の送波動作を停止することを特徴とする請求項5又は6記載の車上盗難警戒器。
【請求項8】
前記電波センサの送信動作を、前記信号処理手段が超音波センサの検知信号の有無を監視している期間中停止させることを特徴とする請求項4乃至7の何れか記載の車上盗難警戒器。
【請求項9】
前記電波センサは電波信号を間歇させる送信動作を行い、前記超音波センサは超音波信号を連続送波する送波動作を行うこと特徴とする請求項1乃至8の何れか記載の車上盗難警戒器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−123728(P2006−123728A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314799(P2004−314799)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】