説明

車両、および、燃料電池の車載方法

【課題】燃料電池を車載する場合において、燃料電池に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】互いに並列にそれぞれ進行方向に沿うように配置される複数のサイドフレーム810に燃料電池が固定される車両であって、サイドフレーム810間を橋渡しするように配置される支持部材と、支持部材を各サイドフレーム810にそれぞれ固定する第1固定部と、燃料電池を支持部材上に固定する第2固定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を車載する場合において、車両に燃料電池を固定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を車載する場合において、燃料電池を外力から保護する構成が必要となる。このため、燃料電池を燃料電池ケースに収納し、燃料電池ケースごと車載するようにしている(下記特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−231549号公報
【特許文献2】特開2003−123779号公報
【特許文献3】特開2003−182379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の燃料電池の燃料電池ケースは、燃料電池に対する外力の影響を少なくとも抑制するために、燃料電池ケースの剛性、または、強度の向上の要望があった。そのため、燃料電池ケースを、例えば、金属材料などで形成し、または、厚く形成するなどの対策がなされていた。しかしながら、このようにすると、燃料電池ケースの重量化、または、大型化のおそれがあった。それに伴い、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースが減少するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池を車載する場合において、燃料電池に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の車両では、互いに並列にそれぞれ進行方向に沿うように配置される複数のサイドフレームに、燃料電池が固定される車両であって、前記サイドフレーム間を橋渡しするように配置される支持部材と、前記支持部材を各サイドフレームにそれぞれ固定する第1固定部と、前記燃料電池を前記支持部材上に固定する第2固定部と、を備えることを要旨とする。
また、前記第1固定部は、前記支持部材と各サイドフレームとを固定するようにしてもよい。さらに、支持部材は、柱状部材または板状部材から構成されていてもよい。
【0007】
上記構成の車両によれば、車両に外力が加わったとしても、燃料電池に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制することができる。
【0008】
上記車両において、前記支持部材は、互いに並列する複数の第1部材と、互いに並列する複数の第2部材とを備え、前記第1部材と前記第2部材とが交差するように井桁状に配置されて成り、
前記第1固定部は、前記第1部材を各サイドフレームにそれぞれ固定することが好ましい。
【0009】
このようにすれば、車両に外力が加わった場合において、サイドフレームを通じて支持部材に外力が伝達しても、支持部材で緩和することが可能である。
【0010】
上記車両において、前記燃料電池は、少なくとも前記第2部材上に配置されることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、サイドフレームに固定されない第2部材で燃料電池を支持することができ、サイドフレームに外力が加わっても、燃料電池にその外力が伝わることを抑制することができる。
【0012】
上記車両において、前記第2固定部は、前記燃料電池を前記支持部材に3点で固定することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、第2固定部に用いる部材数を抑制しつつ、燃料電池への外力を抑制することができる。
【0014】
上記車両において、前記第2固定部は、前記支持部材に固定され、少なくとも一部が弾性体から成るマウントと、前記マウントを、前記燃料電池に固定するためのマウント固定部材と、を備えることが好ましい。
【0015】
上記車両において、前記マウントは、少なくとも、前記支持部材と接する部分が絶縁体から成ることが好ましい。
【0016】
上記車両において、前記燃料電池を収納する燃料電池ケースを備えることが好ましい。
【0017】
上記車両において、前記燃料電池ケースは、前記第2固定部と接続されることが好ましい。
【0018】
上記車両において、前記燃料電池ケースと前記第2固定部との接続部を、ゴムまたは樹脂で被覆することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、燃料電池ケースのシール性を向上させることができると共に、第2固定部から燃料電池ケースへ伝達される外力を減衰させることができる。
【0020】
上記車両において、前記燃料電池ケースは、可撓性を有する部材で、前記支持部材と連結されることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、支持部材に伝達される外力が、燃料電池ケースに伝達されることを抑制することができる。
【0022】
上記車両において、前記第1固定部は、前記支持部材を、各サイドフレームに対して着脱可能に固定することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、支持部材ごと燃料電池を取り外すことが可能となり、メンテナンスや修理などを迅速に行うことができる。
【0024】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の燃料電池車載方法では、車両に設けられ、互いに並列であって前記車両の進行方向にそれぞれ沿うように配置される複数のサイドフレームに、燃料電池を固定するための燃料電池車載方法であって、前記燃料電池を支持するための支持部材を用意する工程と、前記サイドフレーム間を橋渡しするように前記支持部材を配置する工程と、前記支持部材と各サイドフレームとをそれぞれ固定する工程と、前記燃料電池を前記支持部材上に固定する工程と、を備えることを要旨とする。
【0025】
上記構成の燃料電池車載方法のごとく燃料電池を車載すれば、車両に外力が加わったとしても、燃料電池に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制することが可能となる。
【0026】
なお、本発明は、上記した車両によらず、燃料電池車載システムなど、他の装置発明の態様で実現することも可能である。また、上記した燃料電池車載方法によらず、燃料電池車載システムの取り付け方法など、他の方法発明の態様で実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
A.実施例:
A1.車両1000に車載される燃料電池システム500の概略:
図1は、本発明の一実施例における車両1000に車載される燃料電池システム500の概略構成図である。本実施例の車両1000に車載される燃料電池システム500は、図1に示すように、エアクリーナ10と、エアコンプレッサ20と、水素タンク30と、レギュレータ40と、希釈器50と、気液分離器60と、マフラ70と、ラジエータ80と、三方弁82と、冷却液循環ポンプ84と、イオン交換器86と、燃料電池100を備える燃料電池車載システム200とを備えている。この燃料電池車載システム200についての詳細は後述するが、燃料電池車載システム200において、燃料電池100は、燃料電池ケース100Aに収納されている。
【0028】
図1に示す燃料電池システム500において、エアコンプレッサ20は、エアクリーナ10でゴミなどを取り除いて浄化した空気を、酸化ガスとして燃料電池車載システム200の燃料電池100に供給する。水素タンク30には、水素遮断弁32が備えられており、水素遮断弁32が開弁されると、燃料電池100に燃料ガスとしての水素が供給される。水素遮断弁32と燃料電池100との間には、レギュレータ40が備えられており、レギュレータ40は、水素タンク30から供給される水素を調圧(減圧)する。
【0029】
燃料電池100において、電気化学反応に供されずに排出された酸化排ガス、または、燃料排ガスは、希釈器50に導入される。希釈器50において、燃料排ガスは、酸化排ガスによって希釈され、これらの混合ガスは、気液分離器60に導入される。気液分離器60において、混合ガス中の水分は、液化されて分離され、その後、混合ガスは、マフラ70を介して外部に排出される。なお、燃料排ガスを、燃料電池100に再び供給するための装置(循環ポンプなど)を備えていてもよい。この場合、燃料排ガスは、状況に応じて適宜希釈器50に導入される。
【0030】
また、燃料電池システム500において、冷却液循環ポンプ84によって、冷却液が燃料電池100とラジエータ80との間を循環する。ラジエータ80で冷却された冷却液は、燃料電池100に供給される。イオン交換器86は、漏電防止等のため冷却液中に電離するイオンを除去する。なお、冷却液循環ポンプ84によって、燃料電池100から排出された冷却液は、三方弁82によって、ラジエータ80を介さずに、燃料電池100に再度供給される場合もある。
【0031】
A2.燃料電池100の車載位置の説明:
図2は、本実施例の車両1000において、燃料電池100の配置位置を説明するための概略構成図である。図2に示す車両1000は、例えば4輪セダンタイプの車両であって、モノコック構造の車体を採用している。車両1000は、骨格部材としての一対のサイドフレーム810が車両前後方向に沿って配置されており、一対のサイドフレーム810の上に骨格部材としてのフロアパネル820(フロア部)が配置されている。このフロアパネル820より上部に、車両乗員用の乗員空間が形成されており、乗員空間には運転者等の乗員のための乗員シート830が配置されている。本実施例の車両1000では、燃料電池100は、乗員シート830の下方であってフロアパネル820の下に、後述する燃料電池車載システム200の各部品を用いて配置される。これについての詳細は、後述する。なお、上述した水素タンク30は、図2に示すように、車両1000の後方側のフロアパネル820下であって、後輪の上部付近に配置される。また、図1では説明を省略したが、車両1000は、二次電池890を備えており、この二次電池890は、図2に示すように、車両1000の後方側のフロアパネル820下であって、燃料電池100と水素タンク30とに挟まれた空間に配置される。
【0032】
A3.燃料電池車載システム200の説明:
図3は、燃料電池車載システム200の概略構成図である。図4は、燃料電池100を支持するための支持部材の概略構成図である。燃料電池車載システム200は、図3,4に示すように、主に、燃料電池100と、燃料電池ケース100Aと、燃料電池100を支持するための支持部材としてのクロスメンバ110(2本)およびマウントメンバ120(2本)と、燃料電池100に取り付けられ、支持部材を燃料電池100と接続するためのマウント150と、を備えている。マウント150についての詳細は、後述する。
【0033】
クロスメンバ110およびマウントメンバ120は、柱状の金属材料(例えば、鉄、アルミ、ステンレスなど)で構成される。これらクロスメンバ110およびマウントメンバ120は、支持部材として、図4に示すように、井桁状に組み合わされて配置される。詳しくは、並列してマウントメンバ120が配置され、そのマウントメンバ120に直交しマウントメンバ120が下になるように、クロスメンバ110が並列に配置される。
【0034】
図5は、図3のA−A断面を示す概略断面図である。この図5は、燃料電池100がマウント150を介して支持部材に接続される様子を示している。この図5は、図4に示されるA−A断面にも対応している。この図5に示すように、マウント150は、第1マウント部材151と、第2マウント部材152と、第3マウント部材153とから構成され、各部材内部の中空部分に挿入されるマウントボルト160(金属性:アルミや鉄など)が燃料電池100のエンドプレートに締結されることによって、燃料電池100(エンドプレート)と支持部材との間に介在して配置される。マウント150の各部材は、絶縁弾性体(例えば、ゴムなど)と金属部材から構成されているが、燃料電池100(エンドプレート)と燃料電池ケース100Aとは絶縁される構成である。
【0035】
マウント150において、図5に示すように、第1マウント部材151は、燃料電池100および第2マウント部材152との間に介在する。そして、第2マウント部材152は、第1マウント部材151と支持部材(クロスメンバ110およびマウントメンバ120)との間に介在し、ナット135によってクロスメンバ110およびマウントメンバ120と締結される。これにより、支持部材と燃料電池100とが連結され、固定される。第3マウント部材153は、第2マウント部材152と接続され、マウントボルト160を支持する。また、第2マウント部材152は、燃料電池ケース100Aとも接続される。なお、第2マウント部材152および支持部材には、ナット135を通すための孔部が備えられている。
【0036】
また、燃料電池ケース100Aとマウントメンバ120とは、図5に示すように、可撓性部材(例えば、ゴムなど)から構成されるナット140によって締結されている。なお、マウントメンバ120には、ナット140を通すための孔部145が備えられている(図4参照)。さらに、マウントボルト160の頭頂部の金属部分を覆うように、絶縁性のマウントカバー130が配置されている。なお、マウントカバー130は、マウントボルト160と一定距離を保ち、絶縁可能である場合には、金属性としてもよい。さらに、マウントカバー130は、マウントメンバ120と一体に構成されていてもよい。
【0037】
燃料電池ケース100Aは、薄い樹脂で構成される。故に、燃料電池ケース100Aは、比較的軽い。また、燃料電池ケース100Aは、絶縁機能を有しているが、強度加工は施されていない。また、燃料電池ケース100Aには、配管用の複数の孔部(図3参照)を備えている。
【0038】
本実施例の車両1000において、マウント150およびマウントボルト160は、図4に示すように、クロスメンバ110とマウントメンバ120との交点の2箇所と、この2箇所に該当するマウントメンバ120とは異なるもう一つのマウントメンバ120の中央付近の1箇所の3点で、燃料電池100と支持部材とを連結し固定している。
【0039】
さらに、井桁状に形成され燃料電池100と連結された支持部材は、車両1000のサイドフレーム810に固定される。具体的には、支持部材において、並列するクロスメンバ110の各端部に備えられる各孔部115に、サイドフレーム810に設けられる各ボルト117をそれぞれ挿入し、所定のビス(図示せず)で止めることで、支持部材は、サイドフレーム810に固定される。なお、ビスをはずし、支持部材を下げることにより、支持部材をサイドフレーム810から取り外すことが可能となる。このように、支持部材は、サイドフレーム810から着脱可能となっている。
【0040】
以上のように、本実施例の車両1000では、燃料電池100を、その下面において、マウント150を介してクロスメンバ110とマウントメンバ120とから井桁状に形成された支持部材によって支持しつつ、その支持部材(クロスメンバ110)の各端部をそれぞれサイドフレーム810に固定するようにしている。このようにすれば、車両1000に外力が加わった場合において、サイドフレーム810を通じて支持部材に外力が伝達しても、支持部材で緩和することが可能であると共に、その外力を伝達側のサイドフレーム810から支持部材を介して反対側のサイドフレーム810に逃がして減衰させることが可能になる。従って、燃料電池100の燃料電池ケース100Aを上記のように軽く、薄い簡易な構成としても、燃料電池100に対する外力の影響を抑制することが可能となる。すなわち、燃料電池100に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、上記「外力」とは、車両の上下振動により生じる力、車両の旋回により生じる力、車両のねじれ振動により生じる力、加速・減速により生じる力、車両の衝突による衝撃力などを含む概念である。
【0042】
また、本実施例の車両1000では、支持部材は、サイドフレーム810から着脱可能となっている。このようにすれば、燃料電池100のメンテナンスや修理などの場合に、支持部材ごと容易に燃料電池100を取り外すことが可能となり、メンテナンスや修理などを迅速に行うことができる。
【0043】
さらに、本実施例の車両1000では、燃料電池100と支持部材とをマウント150およびマウントボルト160により3点において連結し固定するようにしている。このようにすれば、用いるマウント150およびマウントボルト160の数を抑制しつつ、燃料電池100と支持部材との連結力を向上させることができる。
【0044】
本実施例の車両1000では、マウント150において、支持部材と締結される第2マウント部材152は、絶縁弾性体で構成されている。このようにすれば、燃料電池100(エンドプレート)と、支持部材との間を絶縁することが可能である。また、このようにすれば、支持部材から燃料電池100(エンドプレート)に伝達する外力を減衰することが可能であり、燃料電池100に対する外力の影響を抑制することができる。
【0045】
また、本実施例の車両1000では、燃料電池ケース100Aは、マウント150の第2マウント部材152と接続されている。このようにすれば、燃料電池ケース100Aのシール性を向上させることができる。
【0046】
本実施例の車両1000では、燃料電池ケース100Aは、可撓性であるナット140によって、マウントメンバ120と連結されている。このようにすれば、支持部材に伝達される外力が、燃料電池ケース100Aに伝達されることを抑制することができる。
【0047】
なお、マウント150は、請求項におけるマウントに該当し、クロスメンバ110またはマウントメンバ120は、請求項における支持部材に該当し、孔部115、または、ボルト117は、請求項における第1固定部に該当し、マウント150およびマウントボルト160は、請求項における第2固定部または燃料電池固定部に該当し、マウント150は、請求項におけるマウントに該当し、マウントボルト160は、請求項におけるマウント固定部材に該当し、燃料電池ケース100Aは、請求項における燃料電池ケースに該当し、ナット140は、請求項における可撓性を有する部材に該当する。
【0048】
A4.燃料電池車載方法
以下に、上記燃料電池100を車両1000に車載する場合の燃料電池車載方法を説明する。
【0049】
図6は、本実施例の燃料電池100の車載方法を示すフローチャートである。まず、燃料電池100と、燃料電池ケース100Aと、マウント150と、支持部材(クロスメンバ110およびマウントメンバ120)等を用意する(ステップS10)。
【0050】
次に、支持部材を、図3、図5に示すごとく、燃料電池100の下面にマウント150を介して取り付ける(ステップS20)。なお、マウントカバー130や燃料電池ケース100Aなども図3、図5に示すように取り付けられる。
【0051】
そして、燃料電池100を取り付けた状態の支持部材において、クロスメンバ110の各端部をそれぞれサイドフレーム810に着脱可能に固定する(ステップS30)。
【0052】
以上のように、本実施例の燃料電池車載方法では、燃料電池100を、その下面に、マウント150を介してクロスメンバ110とマウントメンバ120とから井桁状に形成された支持部材によって支持しつつ、その支持部材(クロスメンバ110)の各端部をそれぞれサイドフレーム810に固定するようにしている。このようにすれば、車両1000に外力が加わった場合において、サイドフレーム810を通じて支持部材に外力が伝達しても、支持部材で緩和することが可能であると共に、その外力を伝達側のサイドフレーム810から支持部材を介して反対側のサイドフレーム810に逃がして減衰させることが可能になる。従って、燃料電池100の燃料電池ケース100Aを上記のように軽く、薄い簡易な構成としても、燃料電池100に対する外力の影響を抑制することが可能となる。すなわち、燃料電池100に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制することが可能となる。
【0053】
B.変形例:
なお、本発明では、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0054】
B1.変形例1:
図7は、図5における変形例を説明するための図である。上記実施例の車両1000の燃料電池車載システム200において、図7に示すように、マウント150の第2マウント部材152と燃料電池ケース100Aとの接続部に、可撓性を有するゴム170を焼き付けするようにしてもよい。このようにすれば、第2マウント部材152と燃料電池ケース100Aとの間を、締結し、シールすることができると共に、第2マウント部材152から燃料電池ケース100Aへ伝達される外力を減衰させることができる。なお、この場合、ゴム170は、可撓性を有し、第2マウント部材152と燃料電池ケース100Aとの間を締結、シールすることが可能なものであればよく、例えば、ゴム170に代えて所定の樹脂を用いるようにしてもよい。
【0055】
B2.変形例2:
上記実施例の車両1000の燃料電池車載システム200では、燃料電池100を支持するための支持部材を、クロスメンバ110とマウントメンバ120とによって井桁状に形成するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。この支持部材は、燃料電池100を支えると共に、各サイドフレーム810にそれぞれ接続される連続する柱状部材であればよく、例えば、複数のクロスメンバ110を用意し、燃料電池100の下面に、マウント150を介して、用意したクロスメンバ110を連結し、各クロスメンバ110における各端部を、各サイドフレーム810にそれぞれ固定するようにしてもよい。このようにすれば、車両1000に外力が加わった場合において、サイドフレーム810を通じて支持部材に外力が伝達しても、その外力を伝達側のサイドフレーム810から支持部材を介して反対側のサイドフレーム810に逃がして減衰させることが可能になる。従って、燃料電池100の燃料電池ケース100Aを上記のように軽く、薄い簡易な構成としても、燃料電池100に対する外力の影響を抑制することが可能となる。すなわち、燃料電池100に対する外力の影響を抑制しつつ、車両重量の増加、または、燃料電池の車載スペースの減少を抑制することが可能となる。
【0056】
B3.変形例3:
上記実施例の車両1000の燃料電池車載システム200において、燃料電池ケース100Aは、樹脂で構成されることとしているが、本発明は、これに限られるものではない。絶縁性を有し、軽い材料であればよく、例えば、燃料電池ケース100Aをゴムや繊維で形成するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することが可能である。
【0057】
B4.変形例4:
上記実施例の車両1000の燃料電池車載システム200において、クロスメンバ110およびマウントメンバ120は、柱状部材から形成されているが、この場合、中空な柱状部材であってもよい。また、クロスメンバ110またはマウントメンバ120は、平板状部材であってもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
【0058】
B5.変形例5:
上記実施例の車両1000では、燃料電池100を乗員シート830の下方であってフロアパネル820の下に配置する構成としたが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、フロアパネル820に孔部(図示せず)を形成し、燃料電池100がその孔部を介して、少なくとも燃料電池100の一部がフロアパネル820上部に形成される乗務員空間に突出して配置されるようにしてもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例における車両1000に車載される燃料電池システム500の概略構成図である。
【図2】上記実施例の車両1000において燃料電池100の配置位置を説明するための概略構成図である。
【図3】燃料電池車載システム200の概略構成図である。
【図4】燃料電池100を支持するための支持部材の概略構成図である。
【図5】図3のA−A断面を示す概略断面図である。
【図6】燃料電池100の車載方法を示すフローチャートである。
【図7】図5における変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
100…燃料電池
100A…燃料電池ケース
110…クロスメンバ
115…孔部
117…ボルト
120…マウントメンバ
130…マウントカバー
145…孔部
150…マウント
160…マウントボルト
170…ゴム
200…燃料電池車載システム
500…燃料電池システム
810…サイドフレーム
820…フロアパネル
830…乗員シート
1000…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列にそれぞれ進行方向に沿うように配置される複数のサイドフレームに、燃料電池が固定される車両であって、
前記サイドフレーム間を橋渡しするように配置される支持部材と、
前記支持部材を各サイドフレームにそれぞれ固定する第1固定部と、
前記燃料電池を前記支持部材上に固定する第2固定部と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、
前記支持部材は、互いに並列する複数の第1部材と、互いに並列する複数の第2部材とを備え、前記第1部材と前記第2部材とが交差するように井桁状に配置されて成り、
前記第1固定部は、前記第1部材を各サイドフレームにそれぞれ固定することを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項2に記載の車両において、
前記燃料電池は、少なくとも前記第2部材上に配置されることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両において、
前記第2固定部は、前記燃料電池を前記支持部材に3点で固定することを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両において、
前記第2固定部は、前記支持部材に固定され、少なくとも一部が弾性体から成るマウントと、前記マウントを、前記燃料電池に固定するためのマウント固定部材と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両において、
前記マウントは、少なくとも、前記支持部材と接する部分が絶縁体から成ることを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の車両において、
前記燃料電池を収納する燃料電池ケースを備えることを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両において、
前記燃料電池ケースは、前記第2固定部と接続されることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両において、
前記燃料電池ケースと前記第2固定部との接続部を、ゴムまたは樹脂で被覆することを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の車両において、
前記燃料電池ケースは、可撓性を有する部材で、前記支持部材と連結されることを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の車両において、
前記第1固定部は、前記支持部材を、各サイドフレームに対して着脱可能に固定することを特徴とする車両。
【請求項12】
車両に設けられ、互いに並列であって前記車両の進行方向にそれぞれ沿うように配置される複数のサイドフレームに、燃料電池を固定するための燃料電池車載方法であって、
前記燃料電池を支持するための支持部材を用意する工程と、
前記サイドフレーム間を橋渡しするように前記支持部材を配置する工程と、
前記支持部材と各サイドフレームとをそれぞれ固定する工程と、
前記燃料電池を前記支持部材上に固定する工程と、
を備えることを特徴とする燃料電池車載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−132800(P2008−132800A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318282(P2006−318282)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】