説明

車両の制御装置および制御方法

【課題】ダンパを含む伝達機構の共振域において失火検出の精度の悪化を抑制する。
【解決手段】制御装置は、共振域でのカウント数C(1)の値が予め定められた値以上であると(S200にてYES)、動作線(2)を設定するステップ(S202)と、共振域でのカウント数C(1)の値が予め定められた値よりも小さいと(S200にてNO)、動作線(1)を設定するステップ(S204)と、設定された動作線に基づいてエンジンを制御するステップ(S206)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と駆動輪との間に介在する動力の伝達機構に回転軸の捻れを吸収するダンパが設けられる車両の制御に関し、特に、ダンパを含む伝達機構の共振域において精度高く失火を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した自動車として、従来の内燃機関に加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とするハイブリッド自動車が普及してきている。
【0003】
このようなハイブリッド車両に搭載された内燃機関の失火検出装置として、たとえば、特開2001−317402号公報(特許文献1)は、ハイブリッド車両において内燃機関の失火を誤検出することを確実に回避することにより、失火の検出精度を向上させる失火検出装置を開示する。この失火検出装置は、車軸に動力を出力可能な内燃機関と車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の検出想定条件で電動車両が運転されているか否かを、電動機の動作状態に基づいて判断する検出想定条件判断手段と、所定の誤検出想定条件で運転されている場合には内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段とを備える。
【0004】
上述した公報に開示された失火検出装置によると、失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で電動車両が運転されているか否かを、車軸に接続された電動機の動作状態に基づいて判断する。その結果、誤検出想定条件で運転されていると判断された場合には、失火の検出を抑制する。すなわち、失火が検出され難くなるので、失火を誤検出することが無くなる。
【特許文献1】特開2001−317402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関と駆動輪との間に介在する伝達機構には、回転軸の捻りを吸収するダンパが設けられる場合がある。このような車両においては、内燃機関の回転変動とダンパの捻り振動とが共振する可能性がある。そのため、内燃機関の回転変動に基づいて失火を検出する場合に、ダンパの共振により内燃機関の失火検出の精度が悪化するという問題がある。これは、内燃機関の失火以外の原因(たとえば、気筒間の燃料噴射量のバラツキ)により出力トルクに変動が生じた場合に、ダンパの共振により内燃機関の出力軸の変動が大きくなり、失火を誤検出する可能性があるためである。
【0006】
上述した公報に開示された失火検出装置においては、このような共振による失火の誤検出の可能性について何ら考慮されておらず、また、共振時に失火の検出を抑制すると、失火が発生しているにも関わらず失火を検出することができないこととなり、結果的に失火検出の精度が悪化するという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ダンパを含む伝達機構の共振域において失火検出の精度の悪化を抑制する車両の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る車両の制御装置においては、車両は、複数の気筒を有する内燃機関と、駆動輪と、内燃機関の出力トルクを駆動輪に伝達する伝達機構とを含む。内燃機関は、出力トルクと回転数との対応が設定された動作線に沿って動作が制御される。伝達機構は、内燃機関の出力トルクに基づく伝達機構の構成部品の捻りを吸収するダンパを含む。この制御装置は、内燃機関の回転数を検出するための検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、複数の気筒のうちのいずれか一つの気筒が第1サイクルと第1サイクルに続く第2サイクルとにおいて連続して失火する連続失火の有無を判定するための連続失火判定手段と、内燃機関の回転数がダンパを含む伝達機構の共振域に対応する回転数であるか否かを判定するための共振域判定手段と、内燃機関の回転数が共振域に対応する回転数である場合であって、かつ、連続失火判定手段が予め定められた回数以上連続失火が発生したと判定した場合に、標準的な第1動作線よりも共振域において出力トルクの変動が減少する第2動作線に動作線を設定するための設定手段と、設定された動作線に沿って内燃機関を制御するための制御手段とを含む。第6の発明に係る車両の制御方法は、第1の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0009】
第1の発明によると、ダンパを含む伝達機構の共振域において連続失火が発生したと判定された回数が予め定められた回数以上である場合、気筒間の燃料噴射量のバラツキ等の内燃機関の失火以外の原因による回転変動をダンパの共振により失火と誤判定している可能性が高いといえる。このような場合に、内燃機関の動作線を標準的な第1動作線よりも共振域において出力トルクの変動が減少する第2動作線を動作線として設定し、設定された動作線に沿って内燃機関を制御することにより、失火以外の原因による回転変動が生じたとしても共振域において出力トルクの変動は第1動作線が動作線として設定される場合よりも小さいため、第1動作線が動作線として設定された場合よりもダンパの共振による失火の誤検出を抑制することができる。したがって、ダンパを含む伝達機構の共振域において失火検出の精度の悪化を抑制する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0010】
第2の発明に係る車両の制御装置は、第1の発明の構成に加えて、動作線として第2動作線が設定された後に、検出手段の検出結果に基づいて共振域における内燃機関の失火の有無を判定するための手段をさらに含む。第7の発明に係る車両の制御方法は、第2の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0011】
第2の発明によると、動作線として第2動作線が設定された後に、内燃機関の回転数に基づいて共振域における失火の有無を判定した場合、失火以外の原因による回転変動が生じたとしても共振域における出力トルクの変動は第1動作線が設定される場合よりも小さいため、第1動作線が設定された場合よりもダンパを含む伝達機構の共振による失火の誤検出を抑制することができる。
【0012】
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、第2動作線は、少なくとも共振域において第1動作線よりも内燃機関の回転数の増加に対するトルクの増加の程度が低く設定される。第8の発明に係る車両の制御方法は、第3の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0013】
第3の発明によると、第2動作線を少なくとも共振域において第1動作線よりも内燃機関の回転数の増加に対するトルクの増加の程度が低く設定することにより、出力トルクの変動を減少させることができる。
【0014】
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、第1、第2モータジェネレータをさらに含む。伝達機構は、第1、第2モータジェネレータと内燃機関との間で動力を分割する動力分割機構をさらに含む。第9の発明に係る車両の制御方法は、第4の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0015】
第4の発明によると、ハイブリッド車両において、本発明を適用することにより、共振域における失火検出の精度の悪化を抑制することができる。
【0016】
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、伝達機構は、内燃機関の動力を無段階に変速して駆動輪に伝達する無段式自動変速機をさらに含む。第10の発明に係る車両の制御方法は、第5の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0017】
第5の発明によると、無段式自動変速機が搭載される車両に本発明を適用することにより、共振域における失火検出の精度の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1を参照して、車両1は、エンジン150と、トランスミッション200と、制御装置180と、EFI−ECU(Electronic Fuel Injection−Electronic Control Unit)170と、インバータ191,192と、バッテリ194とを含む。
【0020】
本実施の形態において車両1は、ハイブリッド車両であるとして説明するが、特に本発明はハイブリッド車両に限定して適用されるものではない。車両1は、少なくともトルクと回転数とに対応して設定される動作線に沿って動作が制御される内燃機関が搭載される車両であればよく、たとえば、内燃機関と無段式自動変速機とが搭載される車両であってもよい。
【0021】
トランスミッション200は、動力分割機構であるプラネタリギヤ120と、ダンパ130と、動力源としてモータジェネレータMG1,MG2とを含む。
【0022】
プラネタリギヤ120には、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン150のそれぞれの回転軸と車輪116R,116Lの駆動軸とが接続される。制御装置180は、モータジェネレータMG1,MG2の動作を制御する。EFI−ECU170は、エンジン150の動作を制御する。
【0023】
エンジン150は、複数の気筒を有する通常のガソリンエンジンであり、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150には、クランクシャフト156の回転数を検出するクランクポジションセンサ152と、吸気システム300とが設けられる。クランクポジションセンサ152は、検出されたクランクシャフト156の回転数を示す信号をEFI−ECU170に送信する。
【0024】
吸気システム300は、吸入口314から吸入された空気をエンジン150に流通する吸気通路312と、吸入口314から吸入された空気に含まれる塵、ほこり等を捕集するエアクリーナ308と、吸気通路312を流通する空気の流量を調整するスロットルバルブ306と、EFI−ECU170からのスロットル開度制御信号に基づいてスロットルバルブ306の開度を変更するスロットルモータ302と、スロットルバルブ306の開度を検出するスロットルポジションセンサ304と、吸気通路312を流通する空気の流量を検出するエアフローメータ310とを含む。
【0025】
スロットルポジションセンサ304は、検出されたスロットルバルブ306の開度を示す信号をEFI−ECU170に送信する。エアフローメータ310は、検出された吸気通路312を流通する空気の流量(以下、吸入空気量と記載する)を示す信号をEFI−ECU170に送信する。吸気管圧力に基づいて流量を算出するようにしてもよい。
【0026】
EFI−ECU170は内部にCPU(central processing unit)、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)等を有するワンチップ・マイクロコンピュータを含む。EFI−ECU170において、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することにより、エンジン制御信号をエンジン150に送信して、エンジン150の燃料噴射制御等のその他の制御を実行する。
【0027】
モータジェネレータMG1,MG2は、同期電動機である。モータジェネレータMG1,MG2は、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132,142と、回転磁界を形成する三相コイル131,141が巻回されたステータ133,143とを備える。
【0028】
ステータ133,143はケース119に固定されている。モータジェネレータMG1,MG2のステータ133,143に巻回された三相コイル131,141は、それぞれインバータ191,192を介してバッテリ194に接続されている。
【0029】
インバータ191,192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータである。インバータ191,192は、制御装置180に接続されている。制御装置180からの制御信号に応じてインバータ191,192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータジェネレータMG1,MG2との間に電流が流れる。
【0030】
モータジェネレータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この走行状態を力行と呼ぶ)、ロータ132,142が外力により回転している場合には三相コイル131,141の両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下、この走行状態を回生と呼ぶ)。
【0031】
エンジン150とモータジェネレータMG1,MG2は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121と,リングギヤ122と,プラネタリピニオンギヤ123と、プラネタリピニオンギヤ123を支持するプラネタリキャリア124とを含む。
【0032】
サンギヤ121は、プラネタリギヤ120の中央で回転することができる。プラネタリピニオンギヤ123は、サンギヤ121の外周とリングギヤ122の内周と噛み合い、サンギヤ121の周囲を自転しながら公転することができる。リングギヤ122は、プラネタリピニオンギヤ123の周囲で回転することができる。
【0033】
エンジン150のクランクシャフト156は、ダンパ130を介在させてプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130は、クランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するためのものである。モータジェネレータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータジェネレータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112および車輪116R,116Lに伝達される。
【0034】
なお、リングギヤ軸126とモータジェネレータMG2のロータ142との間にリダクションプラネタリギヤを設けたり、変速可能なギヤ機構を設けたりしても良い。また、チェーンベルト129に換えて歯車機構で動力を伝達するように変更しても良い。
【0035】
車両1の運転全体は、制御装置180により制御されている。制御装置180は、EFI−ECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御装置180はEFI−ECU170と接続されており、両者は種々の情報を相互に通信し合うことが可能である。
【0036】
たとえば、制御装置180は、EFI−ECU170を経由してクランクポジションセンサ152により検出されたエンジン回転数Ne、スロットルポジションセンサ304により検出されたスロットル開度およびエアフローメータ310により検出された吸入空気量を得る。そして制御装置180は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値Te*や回転数の指令値Ne*或いは現在の車両状態などの情報をEFI−ECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御することができる。また、制御装置180は、トルク指令値Tm*、Tg*を決定しインバータ191,192のスイッチングを制御することにより、モータジェネレータMG1,MG2の運転を直接的に制御することができる。
【0037】
かかる制御を実現するために制御装置180には、種々のセンサ、たとえば、運転者によるアクセルの踏み込み量Accを検出するためのアクセルペダルポジションセンサ165、駆動軸112の回転数を知るための回転数センサ144、およびシフトレバーに設けられシフト切替え指示Sposを検出するシフトポジションセンサ162などが接続されている。この他、制御装置180には、図示しないブレーキペダルに設けられたブレーキペダルポジションセンサなども接続されている。
【0038】
なお、制御装置180とEFI−ECU170の機能を1つのコンピュータで実現しても良い。また、制御装置180は、さらに細分化された複数のECU(モータ制御ECU、ブレーキECU、バッテリ管理ECU等)で実現されるものであっても良い。このように構成された制御装置全体のいずれかの部分で後に説明するエンジン150の失火判定が実行される。本実施の形態においては、制御装置180においてエンジンの回転変動量を算出して失火判定を行なうとして説明するが、EFI−ECU170側でエンジン回転数を処理して回転変動量を算出して失火判定を行なうようにしてもよい。
【0039】
リングギヤ軸126と駆動軸112は機械的に結合されているため、本実施の形態では、駆動軸112の回転数を知るための回転数センサ144をリングギヤ軸126に設け、モータジェネレータMG2の回転Nmを制御するためのセンサと共用している。また、制御装置180は、サンギヤ軸125の回転角度θs、リングギヤ軸126の回転角度θr、第1のインバータ191からの電流値Iu(1),Iv(2)、第2のインバータ192からの電流値Iu(2),Iv(2)、バッテリ194の残容量を示す充電状態SOCなどの入力を受け、これらを用いてモータ制御等を行なう。
【0040】
上述したような構成を有する車両においてダンパ130の共振周波数は、図2のダンパ130の捻り角の周波数特性に示すように、15〜20Hzの周波数帯に存在する。図2の横軸は、周波数を示し、図2の縦軸は、ゲインを示す。15〜20Hzの周波数帯に存在する共振周波数は、エンジン150の失火時における共振点と合致する可能性がある。
【0041】
また、エンジン150のインジェクタの経時変化により気筒間に燃料噴射量のバラツキが生じると、エンジン150の出力トルクに変動が生じる場合がある。気筒間の燃料噴射量のバラツキにより出力トルクの変動が生じた場合、ダンパ130の共振により、ダンパによるクランクシャフト156の回転変動が大きくなる場合がある。そのため、エンジン150において失火が生じていないにもかかわらず、失火が生じていると誤判定する可能性がある。
【0042】
そこで、本発明は、制御装置180が、エンジン150の回転数がダンパ130を含むトランスミッション200の共振域に対応する回転数である場合であって、かつ、複数の気筒のうちのいずれか一つの気筒が第1サイクルと第1サイクルに続く第2サイクルとにおいて連続して失火する連続失火が発生したと判定された回数が予め定められた回数以上になる場合に、トルクと回転数との対応が予め設定される標準的な動作線(1)よりも共振域における出力トルクの変動が減少する動作線(2)をエンジン150の動作線として設定して、設定された動作線に沿ってエンジン150を制御する点に特徴を有する。
【0043】
なお、標準的な動作線(1)とは、たとえば、エンジン150の最適燃費動作線である。
【0044】
図3に、本実施の形態に係る車両の制御装置180の機能ブロック図を示す。制御装置180は、連続失火判定部400と、共振域判定部402と、カウントアップ部404と、カウント数初期化部406と、カウント数判定部408と、エンジン動作線設定部410と、エンジン制御部412とを含む。
【0045】
連続失火判定部400は、エンジン150の作動時において失火検出を開始する予め定められた条件(以下、失火検出開始条件と記載する)が成立するか否かを判定する。失火検出開始条件は、たとえば、エンジン回転数Neとエンジン負荷率とについての条件である。
【0046】
具体的には、失火検出開始条件は、現在のエンジン回転数Neとエンジン負荷率とが予め設定された領域内であるという条件である。連続失火判定部400は、たとえば、現在のエンジン回転数Neとエンジン負荷率とが予め設定された領域内である場合に失火検出開始条件が成立すると判定する。予め設定された領域は、エンジン回転数が増加するほどエンジン負荷率の下限値が増加する領域が設定され、たとえば、実験等により適合される。また、連続失火判定部400は、たとえば、エンジン150が始動した後の、クランクシャフト156の2回転目の終わりから失火検出開始条件が成立するか否かの判定を開始する。
【0047】
なお、連続失火判定部400は、たとえば、エアフローメータ310により検出される吸入空気量に基づいてエンジン負荷率を演算すればよい。
【0048】
連続失火判定部400は、失火検出開始条件が成立した場合に、連続失火仮判定条件が成立するか否かを判定する。連続失火判定部400は、エンジン150の回転変動量についてのしきい値に基づいて連続失火仮判定条件が成立するか否かを判定する。連続失火判定部400は、たとえば、クランクポジションセンサ152が所定角度変化する時間を計測し、これの差分を求め、差分の変動を観測することによって回転変動量を検出する。
【0049】
なお、本実施の形態において、連続失火仮判定条件の成立の有無の判定は、失火検出開始条件が成立することを前提として説明するが、特にこれに限定されるものではなく、連続失火判定部400は、失火検出開始条件の成立の有無に関わらず、連続失火仮判定条件が成立するか否かを判定するようにしてもよい。すなわち、連続失火判定部400は、エンジン150の全作動量域において連続失火仮判定条件の成立の有無を判定するようにしてもよい。
【0050】
連続失火仮判定条件は、たとえば、エンジン150の回転変動量がしきい値Th(1)以上であって、かつ、しきい値Th(2)よりも小さいという条件である。しきい値Th(1),Th(2)は、いずれもエンジン150の負荷率が増加するほどしきい値を増加させるように設定される。
【0051】
したがって、連続失火判定部400は、エンジン150の回転変動量がしきい値Th(1)よりも小さい場合またはしきい値Th(2)以上である場合は、連続失火仮判定条件が成立しないと判定する。すなわち、連続失火判定部400は、失火が発生していないと判定する。連続失火判定部400は、エンジン150の回転変動量がしきい値Th(1)以上であって、しきい値Th(2)よりも小さい場合、連続失火仮判定条件が成立すると判定する。なお、エンジン150の回転変動量がしきい値Th(2)以上である場合は、ランダム失火判定が行なわれる。ランダム失火判定とは、複数の気筒のうちのいずれかの気筒で一度でも失火した場合に失火を判定するものである。
【0052】
連続失火判定部400は、連続失火仮判定条件が成立した場合に、連続失火本判定条件が成立するか否かを判定する。連続失火判定部400は、複数の気筒のうちのいずれか一つの気筒における点火前後の回転変動量に基づいて連続失火本判定条件が成立するか否かを判定する。
【0053】
具体的には、ある気筒において失火が発生し、回転変動量がしきい値Th(1)以上となる場合を想定する。このとき、ある気筒において点火された気筒の点火時期に対応する回転変動量がしきい値Th(3)よりも小さく、かつ、ある気筒の後に点火される気筒の点火時期に対応する回転変動量がしきい値Th(4)よりも小さいという回転変動量の変化パターンが2サイクル連続する場合には、連続失火判定部400は、連続失火本判定条件が成立したと判定する。
【0054】
なお、連続失火判定部400は、たとえば、連続失火本判定条件が成立したと判定すると連続失火判定フラグをオンし、連続失火仮判定条件または連続失火本判定条件が成立しないと連続失火判定フラグをオフするようにしてもよい。
【0055】
共振域判定部402は、エンジン150の回転数がダンパ130を含むトランスミッション200の共振域に対応する回転数であるか否かを判定する。共振域は、ダンパ130の捻り角の周波数特性とエンジン150の失火時の回転変動の周波数特性とに基づいて実験等により適合して設定される回転数領域であって、複数の領域が設定されてもよい。
【0056】
たとえば、共振域の下限値としてNe(1)が予め設定され、共振域の上限値としてNe(2)が予め設定される場合を想定する。共振域判定部402は、クランクポジションセンサ152により検出されるエンジン150の回転数がNe(1)以上であって、かつ、Ne(2)以下であれば、エンジン150の回転数が共振域に対応する回転数であることを判定する。なお、共振域判定部402は、エンジン150の回転数が共振域に対応する回転数であることを判定すると共振域判定フラグをオンし、共振域に対応する回転数でないと判定すると共振域判定フラグをオフするようにしてもよい。
【0057】
カウントアップ部404は、エンジン150の回転数が共振域に対応する回転数である場合に、連続失火判定部400が連続失火本判定条件が成立したと判定すると、連続失火回数を示すカウント数C(1)の値を1つだけ増加させる。
【0058】
なお、カウントアップ部404は、たとえば、連続失火判定フラグおよび共振域判定フラグのいずれもがオンである場合に、カウント数C(1)の値を1つだけ増加させるようにしてもよい。
【0059】
カウント数初期化部406は、エンジン150の回転数に基づいてカウント数C(1)の値をゼロに初期化する。たとえば、カウント数初期化部406は、エンジン150のクランクシャフト156が1回転する毎にカウント数C(2)の値を1つだけ増加させる。カウント数初期化部406は、カウント数C(2)が予め定められた値になる場合にカウント数C(1)およびC(2)の値をそれぞれゼロにリセットする。本実施の形態において、予め定められた値は、たとえば、”1000”であるが特に限定されるものではない。カウント数初期化部406は、クランクシャフトが1000回転する毎にカウント数C(1)およびC(2)をゼロにリセットする。
【0060】
カウント数判定部408は、カウント数C(1)が予め定められた値以上であるか否かを判定する。なお、予め定められた値は、連続失火を誤検出していると判定できる値であれば特に限定されるものではなく、たとえば、実験等により適合される。なお、カウント数判定部408は、たとえば、カウント数C(1)の値が予め定められた値以上である場合に、カウント数判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0061】
エンジン動作線設定部410は、カウント数C(1)の値が予め定められた値以上である場合、エンジン動作線として動作線(2)を設定する。エンジン動作線設定部410は、カウント数C(1)の値が予め定められた値よりも小さい場合、エンジン動作線として動作線(1)を設定する。
【0062】
図4に、動作線(1)および動作線(2)を示す。図4の縦軸は、エンジントルクを示し、図4の横軸は、エンジン回転数を示す。エンジン回転数Ne(1)〜Ne(2)は、ダンパ130の捻り振動の共振域を示す。
【0063】
動作線(1)および動作線(2)は、エンジントルクとエンジン回転数との対応が設定されるエンジン150の動作線である。動作線(1)は、エンジン150の通常作動時の標準的な動作線として設定される。一方、動作線(2)は、共振域における失火の誤検出を回避するためのエンジン150の動作線として設定される。
【0064】
動作線(2)は、共振域において動作線(1)よりもエンジン150の出力トルクの変動が減少する動作線である。具体的には、本実施の形態における動作線(2)は、共振域において動作線(1)よりも回転数の増加に対するエンジントルクの増加の程度が小さくなるように設定される。また、動作線(2)は、回転数が増加するほど(Ne(2)〜Ne(3)の領域において)エンジントルクが動作線(1)に近づくように設定される。さらに、動作線(2)は、Ne(3)よりも大きい回転数の領域においては、動作線(1)と同一の動作線となる。なお、動作線(1)と同一の動作線となる回転数Ne(3)は、実験等により適合すればよい。
【0065】
なお、動作線(2)は、共振域において動作線(1)よりもエンジン150の出力トルクの変動が減少する動作線であれば、特にこのように設定されることに限定されるものではない。たとえば、動作線(2)は、動作線(1)よりも出力トルクの変動が小さければ回転数の増加に対してエンジンのトルクの増加の程度が大きくなるように設定してもよい。
【0066】
なお、エンジン動作線設定部410は、たとえば、カウント数判定フラグがオンであると、動作線(2)を設定し、カウント数判定フラグがオフであると、動作線(1)を設定するようにしてもよい。
【0067】
エンジン制御部412は、エンジン動作線設定部410にて動作線(1)がエンジン動作線として設定された場合には、動作線(1)に沿って動作するようにエンジン150を制御する。また、エンジン制御部412は、エンジン動作線設定部410にて動作線(2)がエンジン動作線として設定された場合には、動作線(2)に沿って動作するようにエンジン150を制御する。
【0068】
また、本実施の形態において、連続失火判定部400と、共振域判定部402と、カウントアップ部404と、カウント数初期化部406と、カウント数判定部408と、エンジン動作線設定部410と、エンジン制御部412とは、いずれも制御装置180のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0069】
図5を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置180で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0070】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置180は、エンジン回転数Neを検出する。S102にて、制御装置180は、吸入空気量を検出する。
【0071】
S104にて、制御装置180は、失火検出開始条件が成立するか否かを判定する。失火検出開始条件が成立すると(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、この処理は終了する。
【0072】
S106にて、制御装置180は、エンジン負荷率に基づいてしきい値Th(1)およびTh(2)を算出する。
【0073】
S108にて、制御装置180は、連続失火仮判定条件が成立するか否かを判定する。連続失火仮判定条件が成立すると(S108にてYES)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S108にてNO)、この処理は終了する。
【0074】
S110にて、制御装置180は、連続失火本判定条件が成立するか否かを判定する。連続失火本判定条件が成立すると(S110にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS114に移される。
【0075】
S112にて、制御装置180は、連続失火が発生していることを判定する。S114にて、制御装置180は、悪路走行による回転変動であることを判定する。
【0076】
S116にて、制御装置180は、検出されたエンジン回転数Neが共振域に対応する回転数であるか否かを判定する。エンジン回転数Neが共振域に対応する回転数であると(S116にてYES)、処理はS118に移される。もしそうでないと(S116にてNO)、この処理は終了する。S118にて、制御装置180は、カウント数C(1)の値を1つだけ増加させる。
【0077】
次に、図6を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置180で実行される、連続失火の回数に基づいてエンジン150の動作線を設定するプログラムの制御構造について説明する。
【0078】
S200にて、制御装置180は、共振域での連続失火のカウント数C(1)の値が予め定められた回数以上であるか否かを判定する。カウント数C(1)の値が予め定められた値以上であると(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS204に移される。
【0079】
S202にて、制御装置180は、エンジン動作線として動作線(2)を設定する。S204にて、制御装置180は、エンジン動作線として動作線(1)を設定する。S206にて、制御装置180は、EFI−ECU170を経由して、動作線(1)および動作線(2)のうちの設定された動作線に沿って動作するようにエンジン150を制御する。
【0080】
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置180で実行される、クランクシャフトが1回転する毎にカウント数C(2)の値を1だけ増加させて、1000回転毎にカウント数C(1)およびC(2)の値を初期化するプログラムの制御構造について説明する。
【0081】
S300にて、制御装置180は、クランクポジションセンサ152からの信号に基づいてクランクシャフト156が1回転したか否かを判定する。クランクシャフト156が1回転すると(S300にてYES)、処理はS302に移される。もしそうでないと(S300にてNO)、処理はS300に戻される。
【0082】
S302にて、制御装置180は、カウント数C(2)の値を1だけ増加させる。S304にて、カウント数C(2)の値が1000であるか否かを判定する。カウント数C(2)の値が1000であると(S304にてYES)、処理はS306に移される。もしそうでないと(S304にてNO)、この処理は終了する。S306にて、制御装置180は、カウント数C(1)およびC(2)の値をそれぞれゼロにリセットする。
【0083】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の制御装置180の動作について説明する。
【0084】
エンジン150の作動中においては、クランクシャフト156が1回転する毎に(S300にてYES)、カウント数C(2)の値が増加し(S302)、カウント数C(2)の値が1000になる毎に(S304にてYES)、カウント数C(1)およびC(2)の値がそれぞれゼロにリセットされる(S306)。
【0085】
クランクシャフト156が1000回転するまでにおいては、エンジン回転数および吸入空気量が検出され(S100,S102)、失火検出開始条件が成立すると(S104にてYES)、連続失火仮判定条件が成立したか否かの判定(S108)および連続失火本判定条件が成立したか否かの判定(S110)が行なわれる。連続失火仮判定条件および連続失火本判定条件のいずれもが成立した場合(S108にてYES,S110にてYES)、連続失火が判定される(S112)。このとき、エンジン150の回転数が共振域に対応する回転数である場合には(S116にてYES)、カウント数C(1)の値が増加させられる(S118)。
【0086】
クランクシャフト156が1000回転するまでに、カウント数C(1)の値が予め定められた値以上になる場合(S200にてYES)、エンジン動作線として動作線(2)が設定され(S202)、設定された動作線(2)に沿って動作するようにエンジン150が制御される(S206)。一方、クランクシャフト156が1000回転するまでに、カウント数C(1)の値が予め定められた値よりも小さい場合(S200にてNO)、エンジン動作線として動作線(1)が設定され(S204)、設定された動作線(1)に沿って動作するようにエンジン150が制御される(S206)。
【0087】
動作線(2)は、動作線(1)よりも回転数の増加に対するトルクの増加が低いため、共振域において出力トルクの変動が減少する。そのため、動作線(2)に沿って動作される場合であって、共振域において失火検出が行なわれる場合においては、気筒間の燃料噴射量のバラツキ等に起因した失火の誤検出が抑制される。
【0088】
また、エンジン150の回転数がNe(2)〜Ne(3)に増加する場合においては、エンジン150の回転数が共振域から離れていくため、動作線(1)に近づけるように動作線(2)を設定することにより、共振による失火の誤検出が抑制されつつ、燃費の悪化が抑制される。
【0089】
また、エンジン150の回転数が高い場合(たとえば、Ne(3)よりも高い場合)においては、エンジン150の回転数は、共振域から大きく離れているため、動作線(1)と同一の動作線を設定しても、共振による失火の誤検出が抑制されつつ、燃費の悪化が抑制される。なお、失火を検出された場合、失火の発生を示す警告灯を点灯させるようにしてもよい。
【0090】
以上のようにして本実施の形態に係る車両の制御装置によると、ダンパを含むトランスミッションの共振域において連続失火が発生したと判定された回数が予め定められた回数以上である場合、エンジンの動作線を動作線(1)よりも共振域において出力トルクの変動が減少する動作線(2)を設定し、設定された動作線(2)に沿ってエンジンを制御することにより、失火以外の原因による回転変動が生じたとしても共振域において出力トルクの変動は動作線(1)が動作線として設定される場合よりも小さい。そのため、動作線(2)が動作線として設定された後に、エンジンの回転数に基づいて共振域における失火の有無を判定することにより、動作線(1)が設定された場合よりもダンパの共振による失火の誤検出を抑制することができる。したがって、ダンパを含む伝達機構の共振域において失火検出の精度の悪化を抑制する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0091】
また、動作線(2)を少なくとも共振域において動作線(1)よりもエンジンの回転数の増加に対するトルクの増加の程度が低く設定することにより、出力トルクの変動を減少させることができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施の形態に係る車両1の主たる構成を示す図である。
【図2】ダンパの捻り角の周波数特性を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る車両の制御装置の機能ブロックを示す図である。
【図4】動作線(1)と動作線(2)とを示す図である。
【図5】本実施の形態に係る車両の制御装置で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート(その1)である。
【図6】本実施の形態に係る車両の制御装置で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート(その2)である。
【図7】本実施の形態に係る車両の制御装置で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート(その3)である。
【符号の説明】
【0094】
1 車両、112 駆動軸、116R,116L 車輪、119 ケース、120 プラネタリギヤ、121 サンギヤ、122 リングギヤ、123 プラネタリピニオンギヤ、124 プラネタリキャリア、125 サンギヤ軸、126 リングギヤ軸、127 プラネタリキャリア軸、129 チェーンベルト、130 ダンパ、131,141 三相コイル、132,142 ロータ、133,143 ステータ、144 回転数センサ、150 エンジン、152 クランクポジションセンサ、156 クランクシャフト、162 シフトポジションセンサ、165 アクセルペダルポジションセンサ、180 制御装置、191,192 インバータ、194 バッテリ、200 トランスミッション、300 吸気システム、302 スロットルモータ、304 スロットルポジションセンサ、306 スロットルバルブ、308 エアクリーナ、310 エアフローメータ、312 吸気通路、314 吸入口、400 連続失火判定部、402 共振域判定部、404 カウントアップ部、406 カウント数初期化部、408 カウント数判定部、410 エンジン動作線設定部、412 エンジン制御部、MG1,MG2 モータジェネレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、前記車両は、複数の気筒を有する内燃機関と、駆動輪と、前記内燃機関の出力トルクを前記駆動輪に伝達する伝達機構とを含み、前記内燃機関は、出力トルクと回転数との対応が設定された動作線に沿って動作が制御され、前記伝達機構は、前記内燃機関の出力トルクに基づく前記伝達機構の構成部品の捻りを吸収するダンパを含み、
前記内燃機関の回転数を検出するための検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の気筒のうちのいずれか一つの気筒が第1サイクルと前記第1サイクルに続く第2サイクルとにおいて連続して失火する連続失火の有無を判定するための連続失火判定手段と、
前記内燃機関の回転数が前記ダンパを含む前記伝達機構の共振域に対応する回転数であるか否かを判定するための共振域判定手段と、
前記内燃機関の回転数が前記共振域に対応する回転数である場合であって、かつ、前記連続失火判定手段が予め定められた回数以上前記連続失火が発生したと判定した場合に、標準的な第1動作線よりも前記共振域において出力トルクの変動が減少する第2動作線に前記動作線を設定するための設定手段と、
前記設定された動作線に沿って前記内燃機関を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記動作線として前記第2動作線が設定された後に、前記検出手段の検出結果に基づいて前記共振域における前記内燃機関の失火の有無を判定するための手段をさらに含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記第2動作線は、少なくとも前記共振域において前記第1動作線よりも前記内燃機関の回転数の増加に対するトルクの増加の程度が低く設定される、請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両は、第1、第2モータジェネレータをさらに含み、
前記伝達機構は、前記第1、第2モータジェネレータと前記内燃機関との間で動力を分割する動力分割機構をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、前記内燃機関の動力を無段階に変速して前記駆動輪に伝達する無段式自動変速機をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項6】
車両の制御方法であって、前記車両は、複数の気筒を有する内燃機関と、駆動輪と、前記内燃機関の出力トルクを前記駆動輪に伝達する伝達機構とを含み、前記内燃機関は、出力トルクと回転数との対応が設定された動作線に沿って動作が制御され、前記伝達機構は、前記内燃機関の出力トルクに基づく前記伝達機構の構成部品の捻りを吸収するダンパを含み、
前記内燃機関の回転数を検出するステップと、
前記内燃機関の回転数に基づいて、前記複数の気筒のうちのいずれか一つの気筒が第1サイクルと前記第1サイクルに続く第2サイクルとにおいて連続して失火する連続失火の有無を判定するステップと、
前記内燃機関の回転数が前記ダンパを含む前記伝達機構の共振域の共振域に対応する回転数であるか否かを判定するステップと、
前記内燃機関の回転数が前記共振域に対応する回転数である場合であって、かつ、前記連続失火判定ステップにて予め定められた回数以上前記連続失火が発生したと判定された場合に、標準的な第1動作線よりも前記共振域において出力トルクの変動が減少する第2動作線に前記動作線を設定するステップと、
前記設定された動作線に沿って前記内燃機関を制御するステップとを含む、車両の制御方法。
【請求項7】
前記制御方法は、前記動作線として前記第2動作線が設定された後に、前記内燃機関の回転数に基づいて前記共振域における前記内燃機関の失火の有無を判定するステップをさらに含む、請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項8】
前記第2動作線は、少なくとも前記共振域において前記第1動作線よりも前記内燃機関の回転数の増加に対するトルクの増加の程度が低く設定される、請求項6または7に記載の車両の制御方法。
【請求項9】
前記車両は、第1、第2モータジェネレータをさらに含み、
前記伝達機構は、前記第1、第2モータジェネレータと前記内燃機関との間で動力を分割する動力分割機構をさらに含む、請求項6〜8のいずれかに記載の車両の制御方法。
【請求項10】
前記伝達機構は、前記内燃機関の動力を無段階に変速して前記駆動輪に伝達する無段式自動変速機をさらに含む、請求項6〜8のいずれかに記載の車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−48230(P2010−48230A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215447(P2008−215447)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】