説明

車両の制御装置

【課題】 走行時にモータと駆動輪の間の締結要素を締結する場合であっても、運転者に違和感を与えることなく締結可能な車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 動力源と駆動輪との間に介装された第1締結要素と、要求駆動力に基づいて目標締結トルクを演算し、前記第1締結要素の締結トルクが目標締結トルクとなるように制御する締結トルク制御手段と、前記第1締結要素の前記駆動輪側の回転数よりも前記動力源側の回転数が高くなるように前記動力源の回転数を制御する回転数制御手段と、前記動力源のトルクに基づいて前記第1締結要素の締結トルクを推定する締結トルク推定手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと駆動輪との間に締結要素を備えた車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両として特許文献1の技術が開示されている。この公報には、エンジンとモータとを断接するエンジンクラッチと、モータと駆動輪とを断接する出力クラッチを備え、出力クラッチの入力側回転数が略一定となるように出力クラッチの締結トルクを制御している。
【特許文献1】特開2001−263383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の構成にあっては、出力クラッチのスリップ制御を行う際、入力側回転数が一定となるように締結トルクを制御しているため、エンジンやモータのトルクが変動した場合には、この変動によって出力クラッチの締結トルクも変動し、運転者に違和感を与えるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、走行時にモータと駆動輪の間の締結要素を締結する場合であっても、運転者に違和感を与えることなく締結可能な車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、動力源と駆動輪との間に介装された第1締結要素と、要求駆動力に基づいて目標締結トルクを演算し、前記第1締結要素の締結トルクが目標締結トルクとなるように制御する締結トルク制御手段と、前記第1締結要素の前記駆動輪側の回転数よりも前記動力源側の回転数が高くなるように前記動力源の回転数を制御する回転数制御手段と、前記動力源のトルクに基づいて前記第1締結要素の締結トルクを推定する締結トルク推定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の車両の制御装置にあっては、第1締結要素の実締結トルクを動力源のトルクから精度良く推定することが可能となり、駆動輪への出力トルク変動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。図1は実施例1の後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0009】
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
【0010】
第1クラッチCL1(特許請求の範囲に記載の第2締結要素に相当)は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0011】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0012】
第2クラッチCL2(特許請求の範囲に記載の第1締結要素に相当)は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0013】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。尚、詳細については後述する。
【0014】
そして、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。尚、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0015】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。
【0016】
第3走行モードは、第1クラッチCL1は締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC(Wet Start Clutch)走行モード」と略称する。)である。このモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成する。更に、エンジン停止状態からの発進時にエンジン始動しつつ駆動力を出力可能なモードである。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
【0018】
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0019】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギーを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
【0020】
また、更なるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0021】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0022】
エンジンコントローラ1は、エンジン水温センサ1aからのエンジン水温や、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。また、エンジンコントローラ1内には、エンジンEの燃料噴射量やスロットル開度等に基づいてエンジントルクTengを推定するエンジントルク推定部1bが設けられている。エンジン回転数Neや推定されたエンジントルクTengの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0023】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
また、モータジェネレータMGに流れる電流値(電流値の正負によって駆動トルクと回生トルクを区別している)に基づいて、モータジェネレータトルクTmgを推定するモータジェネレータトルク推定部2bが設けられている。この推定されたモータジェネレータトルクTmgの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0025】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0026】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18とからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセルペダル開度APOと車速VSPの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0027】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0028】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nm(=ωmg)を検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数N2outを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチトルクTCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第1クラッチCL1の温度を検知する温度センサ10aと、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ10bと、からの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。
【0029】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
【0030】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0031】
目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0032】
モード選択部200では、図4に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標モードを演算する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標モードとする。また、EV-HEV選択マップには、低車速領域においてアクセルペダル開度APOが大きいときに、大きな駆動力を出力するために、WSCモードが設定されている。HEV→WSC切換線もしくはEV→WSC切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低い領域に設定されている。図4中斜線領域がHEV走行モードからWSC走行モードに切り換えられる領域であり、図4中網掛け領域がWSC走行モードからEV走行モードに切り換えられる領域となる。
【0033】
目標充放電演算部300では、図5に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0034】
動作点指令部400では、アクセルペダル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ締結トルクと目標自動変速シフトと第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。また、動作点指令部400には、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときにエンジンEを始動する図外のエンジン始動制御部が設けられている。
【0035】
変速制御部500では、予め設定されたシフトスケジュールに沿って、各クラッチ締結トルクと目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。尚、このシフトスケジュールは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいて予め目標変速段が設定されたものであり、アップシフト線、ダウンシフト線等が設定されている。
【0036】
更に、動作点指令部400内には、目標駆動力tFoOに基づいて目標締結トルクを演算する目標締結トルク演算部401と、第2クラッチCL2の締結トルクが目標締結トルクとなるように制御する締結トルク制御部402と、第2クラッチCL2の駆動輪側の回転数よりもモータジェネレータMG側の回転数が高くなるようにモータジェネレータMGの回転数を制御するモータ回転数制御部403が設けられている。
【0037】
更に、目標駆動力tFoOに基づいてモータジェネレータトルクTmgを制御するモータトルク制御部404と、推定されたモータジェネレータトルクTmg,エンジントルクTeng及びモータジェネレータ回転数ωmgに基づいて第2クラッチCL2の締結トルクを推定する締結トルク推定部405と、目標締結トルクと推定された第2クラッチ締結トルクに基づいて、モータ回転数制御部403による制御とモータトルク制御部404による制御を切り換える切換部406が設けられている。
【0038】
(モータ回転数制御とモータトルク制御を備えた理由)
ここで、モータ回転数制御部403とモータトルク制御部404とを切り換える理由について説明する。
【0039】
(必要性1):〔第2クラッチCL2のスリップ制御を行うことの必要性〕
ある程度の車速において走行している場合は、第2クラッチCL2を完全締結し、モータジェネレータMGやエンジンEのトルクを制御し、駆動輪のトルクを制御することが最も効率がよい。
【0040】
一方、車両が発進するときは、駆動輪が停止した状態から徐々にモータジェネレータ回転数が上昇する。このとき、仮にエンジンEが停止し、かつ、第1クラッチCL1が解放されている場合、第2クラッチCL2を完全締結した状態でモータジェネレータMGの駆動力のみによって発進することも可能である。
【0041】
しかしながら、上記のように発進した場合、極低回転かつ高トルクを出力するため、モータジェネレータMGの効率が低くなり、好ましくない。また、エンジンEの始動要求が成され、エンジンクランキングにトルクを必要とされる場合を考慮し、ある程度モータジェネレータトルクTmgの上限値に余裕を持たせる必要があり、上記のように発進した場合、十分な発進性能を確保できないときがある。また、エンジンEが駆動している場合には、エンジンEのアイドル回転数を確保する必要があり、第2クラッチCL2を完全締結すると、エンジンストールを招く可能性がある。
【0042】
更に、モータジェネレータMGのみで発進した場合に、発進途中で更に大きな駆動力が要求され、エンジン始動要求が成される場合があり、この要求に応えるべく、第1クラッチCL1を締結してエンジンクランキングを実行することとなる。このとき、モータジェネレータMGに突然大きな負荷が掛かり、モータジェネレータ回転数が一気に低下するおそれがあり、駆動輪速や駆動トルクの変動を招く虞がある。
【0043】
そこで、発進時には、第2クラッチCL2は、目標駆動力を達成するように締結トルクを制御し、スリップ状態を維持することとした(スリップ制御)。このとき、モータジェネレータMGは目標駆動力を達成しつつエンジン始動等の制御を独立に制御することで、多様な発進シーンに対応可能となる。
【0044】
(必要性2):〔スリップ制御中にモータ回転数制御を実行する必要性〕
上記のように、第2クラッチCL2のスリップ制御中に、モータジェネレータMGをトルク制御すると、モータジェネレータMGは少なくとも目標駆動力を達成しつつ、更にエンジン始動要求が成された場合には、エンジンクランキングに必要なトルクを上乗せして駆動する必要がある。エンジンクランキングに必要なトルク、第1クラッチCL1を介してエンジンに伝達されるトルクは、エンジン水温等エンジン側の状態、及び要求されるエンジン始動の迅速さ度合い渡欧によって決まる第1クラッチCL1の締結トルクによって大きく異なることから、エンジン始動要求が成された際には、確実にエンジンクランキング可能なトルクをモータジェネレータトルクに上乗せする必要がある。
【0045】
エンジンクランキングに必要な実トルクが小さい場合、モータジェネレータMGに作用する負荷は非常に小さくなり、モータジェネレータMGの回転数が一気に増大することとなる。このとき、第2クラッチCL2は締結トルクに応じたトルクを駆動輪に出力するのみであるため、駆動輪の回転数が急変することはない。よって、第2クラッチCL2におけるスリップ量が過大となる。このことは、第2クラッチCL2の耐久性の悪化を招き、好ましくない。
【0046】
そこで、第2クラッチCL2をスリップ制御しているときは、モータジェネレータMGの回転数が、駆動輪の回転数よりも若干高い所定回転数を維持するように制御するモータ回転数制御を行うこととした。モータジェネレータMGが若干高い回転数を維持するには、第2クラッチCL2の締結トルクよりも大きなトルクを必要とするため、回転数制御を行えば必然的にモータジェネレータトルクTmgも目標駆動力tFoOより高めに設定されるはずである。
【0047】
また、モータジェネレータMGには目標回転数が設定されていることから、この目標回転数を達成するためのトルクとして大きめのトルクがモータジェネレータMGに発生したとしても、この目標回転数を大きく超えることはない。
【0048】
これにより、モータジェネレータMGが過大に回転することがなく、第2クラッチCL2の耐久性の低下を抑制することができる。
【0049】
(必要性3):〔完全締結後のトルク制御の必要性〕
次に、所定の条件が成立したときは、第2クラッチCL2の耐久性の観点からも、第2クラッチCL2を完全締結することが望ましい。ただし、モータジェネレータMGをモータ回転数制御している状態で第2クラッチCL2を完全締結すると、以下に示す問題がある。
【0050】
一般に車両は運転者の意図、すなわちアクセルペダル開度等に基づいて駆動輪のトルクを制御している。言い換えると、運転者はアクセルペダルによって車速を制御するのではなく、トルクを制御している。第2クラッチCL2を完全締結した状態で、上記のように、モータジェネレータMGを回転数制御すると、目標回転数との偏差に応じたトルクを出力してしまい、運転者の意図に沿わないトルクが駆動輪に与えられ、違和感を与えてしまう。
【0051】
また、耐久性の観点からは第2クラッチCL2を定常的にスリップさせることは困難であり、発進制御処理等が完了した後は、第2クラッチCL2を完全締結させ、エンジンEやモータジェネレータMGによるトルク制御に切り換えることが望ましい。
【0052】
そこで、実施例1では、上記必要性1,2により、所定の条件が成立したときはスリップ制御から完全締結に移行し、上記必要性3により、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換えるものである。
【0053】
次に、実施例1の発進時クラッチ制御処理について説明する。図6は発進時における第2クラッチCL2の締結制御処理を表すフローチャートである。
【0054】
ステップS1では、第2クラッチCL2が解放され、かつ、発進要求があるか否かを判断する。この条件を満たしたときはステップS2へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
【0055】
ステップS2では、目標駆動力tFoOに基づいて目標締結トルクを演算し、第2クラッチCL2の締結トルクが目標締結トルクとなるように締結トルク制御を実行する。尚、ここで締結トルク制御を実行する際の実締結トルクの検出には、後述するステップS5,S6,S7のいずれかのステップにより推定された実締結トルクTCLを用いる。
【0056】
発進時に第2クラッチCL2の締結トルク制御を実行する理由は、上記必要性1において説明したように、第2クラッチCL2の締結トルクを制御しておけば、入力側(エンジンEやモータジェネレータMG)のトルクがどのように変動したとしても、駆動輪側には第2クラッチCL2の締結トルク以上のトルクが出力されることがなく、安定した車両発進を達成できるからである。
【0057】
ステップS3では、第2クラッチCL2の駆動輪側の回転数よりもモータジェネレータMG側の回転数が高くなるようにモータ回転数制御を実行する。モータ回転数制御を実行する理由は、上記必要性2において説明した通りである。ここで、モータ回転数制御とは、第2クラッチCL2の駆動輪側の回転数を読み込み、この駆動輪側の回転数に所定スリップ量γを加算した値を第2クラッチCL2のモータジェネレータ側の目標回転数として設定する。そして、この目標回転数を達成できるように、所定のギヤ比等を加味した目標モータジェネレータ回転数を設定し、この回転数を維持するようにモータジェネレータMGを制御するものである。よって、モータジェネレータMGへの指令値は目標回転数と実回転数との偏差に基づく指令値が出力されることとなる。
【0058】
このとき、モータジェネレータMGにどの程度のトルクが発生するかは最終的な制御対象とはならない。そこで、モータコントローラ2に設けられたモータジェネレータトルク推定部2bにおいて、モータジェネレータMGに流れる電流値に基づくモータジェネレータトルクを推定し、この推定されたモータジェネレータトルクTmgを統合コントローラ10に送信する。
【0059】
このように、モータジェネレータMGを回転数制御とし、第2クラッチCL2を締結トルク制御とすることで、駆動輪には確実に第2クラッチCL2の締結トルク相当値が出力されることを確保できる。なぜなら、モータジェネレータMGは自身の回転数が第2クラッチCL2の駆動輪側の回転数よりも所定回転数γだけ高い回転数を維持する必要があり、この回転数を維持するトルクは第2クラッチ締結トルクよりも高くなければ絶対に達成できないからである。
【0060】
ステップS4では、第1クラッチCL1の締結状態を検出し、解放状態のときはステップS5へ進み、締結状態のときはステップS6へ進み、スリップ制御中のときはステップS7へ進む。尚、第1クラッチCL1の締結状態は、他の制御ロジックに基づいて決定されるものであり、エンジン始動を必要としているとき(HEV走行モードへの遷移要求)はスリップ制御となるし、エンジンEが始動した状態でトルクを出力しているとき(HEV走行モード)は締結状態となるし、エンジンEの駆動力を必要としないとき(EV走行モード)は解放状態となる。
【0061】
ステップS5では、推定モデル(1)による第2クラッチCL2の実締結トルクTCLの推定を行う。ここで、推定モデル(1)は下記式により表される。
Tmg+Img×dωmg/dt=TCL
ここで、Img×dωmg/dtはモータジェネレータMGのイナーシャトルクである。
【0062】
ステップS6では、推定モデル(2)による第2クラッチCL2の実締結トルクTCLの推定を行う。ここで、推定モデル(2)は下記式により表される。
Tmg+(Teng+α)+Iin×dωin/dt=TCL
ここで、Iin×dωin/dtはエンジンEとモータジェネレータMGのイナーシャトルク、αはエンジントルクTengのばらつき分である。
【0063】
ステップS7では、推定モデル(3)による第2クラッチCL2の実締結トルクTCLの推定を行う。
ここで、推定モデル(3)は下記式により表される。
Tmg+Img×dωmg/dt−Teng-mg=TCL
ここで、Teng-mgはエンジンEとモータジェネレータMG間に設けられた第1クラッチCL1の締結トルクである。
【0064】
ステップS8では、推定された第2クラッチCL2の締結トルクTCLが目標駆動力tFoOに誤差aを考慮した所定範囲内にあるか否かを判定し、所定範囲内にあるときは、ステップS9に進み、それ以外のときは締結トルクTCLが所定範囲内に収まるまでステップS2からステップS9を繰り返す。
【0065】
ステップS9では、モータ回転数制御として所定スリップ量γを確保する制御から所定スリップ量が0となるように制御する。すなわち、モータジェネレータMGは所定スリップ量γを確保するために高めのトルクが出力されており、当然回転数も駆動輪側に伝達されている回転数よりも高い状態である。この状態で第2クラッチCL2を完全締結させてしまうと、第2クラッチCL2の入力側のイナーシャトルクが駆動輪側に出力されてしまい、出力トルク変動を招くため、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0066】
また、モータ回転数制御を行っている状態で、単に第2クラッチCL2の締結トルクTCLを上昇させると、モータジェネレータMGはスリップ量γを確保すべく大きな駆動トルクを出力してしまう。
【0067】
そこで、モータ回転数制御によってスリップ量が0となるように制御し、モータジェネレータのトルクを徐々に小さくしていくことで第2クラッチCL2のスリップ量を徐々に小さくする。
【0068】
ステップS10では、第2クラッチCL2のスリップ量が、完全締結した際のトルク変動が小さいと考えられる許容範囲を表す所定値β未満かどうかを判断し、所定値β未満の時はステップS11に進み、それ以外のときはステップS9に戻りスリップ量が小さくなるように制御する。
【0069】
ステップS11では、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換え、ステップS12では、第2クラッチCL2を完全締結する。
【0070】
次に、上記制御処理に基づく作用について説明する。尚、実施例1の作用を説明するにあたり、特徴を明確化するため比較例を用いて説明する。図7は比較例における第2クラッチCL2の締結制御を行った場合のタイムチャートである。
【0071】
尚、説明の為、タイムチャート上の表記について下記のように定義する。入力トルクとは、第2クラッチCL2の入力側であって、エンジントルクTengやモータジェネレータトルクTmgや第1クラッチCL1の締結状態を考慮した値である。クラッチトルクとは、第2クラッチCL2の締結トルクである。スリップ回転数とは第2クラッチCL2のスリップ量である。アウトプットトルクとは、駆動輪に伝達されるトルクである。比較例は、入力トルクを一定として、第2クラッチCL2の締結トルクを制御した場合を表す。
【0072】
図7に示すように、入力トルクを一定とし、第2クラッチCL2はスリップ制御によって所定スリップ量が発生している。尚、第2クラッチCL2の入力側は出力側よりも高回転である。このとき、スリップ制御から第2クラッチCL2を完全締結させる場合、入力トルクは一定として制御されているため、第2クラッチCL2の締結トルクを上昇させて第2クラッチCL2の入力側回転数を抑制させる(図7中(i)参照)。
【0073】
このとき、入力側の負荷が大きくなって回転数が低下し始めるが、入力トルク一定制御によって入力トルク自体に変化はない。このとき、入力側の回転数の変化によって入力側のイナーシャトルクが出力側に出力されてしまい、アウトプットトルクが変動する。これにより、運転者に違和感を与えるおそれがあった。
【0074】
図8は実施例1における第2クラッチCL2の締結制御を行った場合のタイムチャートである。尚、比較例との対比に基づく作用説明では、図8中実線が実施例1の作用を表す。
【0075】
図8に示すように、入力トルクは一定で示されているが、このトルクは単に第2クラッチCL2のスリップ量を確保するのに必要なトルクが発生しているだけで、特に入力トルク一定制御を行っているわけではない(図8中(ii)参照)。
【0076】
この状態で、推定された第2クラッチCL2の締結トルクTCLが目標駆動力tFoOに誤差aを考慮した所定範囲内に収まると、スリップ量が0となるようにモータ回転数制御が実行される(図8中(iii)参照)。よって、スリップ量が0となるには、入力トルクを低下させることでイナーシャトルクを吸収するため、アウトプットトルクに変動はない。
【0077】
スリップ量が略0となると、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換えられると共に、第2クラッチCL2を完全締結とする。よって、第2クラッチCL2が完全締結された状態では、モータトルク制御が実行されるため、アウトプットトルクは目標駆動力に応じた値が出力される。このように、実施例1に構成にあっては、アウトプットトルクに変動を生じることなく第2クラッチCL2を完全締結することができる。
【0078】
次に、実施例1の制御構成において、他の観点に基づく作用効果について説明する。第2クラッチCL2の締結トルクは、第2クラッチCL2への油圧供給量等によって概ね推定可能である。しかしながら、第2クラッチCL2は、クラッチプレートの経年変化や、個体バラツキがあり、また油温による特性変化も大きい。よって、必ずしも油圧制御ベースの推定では正確な推定が困難である。
【0079】
ここで、実際の第2クラッチCL2の締結トルクを低めに推定してしまった場合を想定する。図8中の点線は、低めに推定した場合のタイムチャートである。この場合、指令値としては目標駆動力tFoOよりも高めの締結トルクが発生するため、入力トルクも高めの締結トルクより更に高い駆動トルクを発生させてスリップ量γを確保しようとする。
【0080】
この状態で目標駆動力tFoOと低めに推定された締結トルクが略一致すると、入力トルクを低下させて第2クラッチCL2を完全締結させ、更に、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換えることとなる。このとき、第2クラッチCL2を完全締結した後は、エンジンEやモータジェネレータMGにおいて制御されたトルクがアウトプットトルクとして出力される。
【0081】
エンジンEやモータジェネレータMGのトルク制御は非常に精度が高いため、目標駆動力tFoOと略一致した値を出力可能である。このとき、モータ回転数制御のときのアウトプットトルクよりもアウトプットトルクが小さくなってしまい、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0082】
すなわち、実施例1の制御構成を前提とした場合、第2クラッチCL2の締結トルクの推定精度は非常に重要である。また、多少推定誤差があったとしても、制御切り換え前後での推定値が一致していることが非常に重要である。
【0083】
そこで、上記したようにエンジンEやモータジェネレータMGの推定トルクは非常に精度が高く、また制御切り換え前後で推定値が一致している(推定の根拠が同じ:例えばモータジェネレータ電流等)ことから、エンジントルクTengやモータジェネレータトルクTmgの値を使って第2クラッチCL2の締結トルクを推定し、この推定された締結トルクに基づいてクラッチ制御を実行することとした。
【0084】
これにより、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換えたとしても、トルク段差を生じることなくトルクを制御することが可能となり、アウトプットトルクの変動を招くことなく安定した走行を実現することができる。
【0085】
以上説明したように実施例1の構成にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
【0086】
(1)動力源(エンジンE及びモータジェネレータMG)と駆動輪との間に介装された第2クラッチCL2と、目標駆動力tFoOに基づいて目標締結トルクを演算し、第2クラッチCL2の締結トルクが目標締結トルクとなるように制御する締結トルク制御部402と、第2クラッチCL2の駆動輪側の回転数よりも動力源側の回転数が高くなるように動力源の回転数を制御する回転数制御手段としてのモータ回転数制御部403と、動力源のトルクに基づいて第2クラッチCL2の締結トルクを推定する締結トルク推定部405とを備えた。
【0087】
よって、第2クラッチCL2の実締結トルクを動力源のトルクから精度良く推定することが可能となり、駆動輪への出力トルク変動を抑制することができる。
【0088】
(2)締結トルク推定部405は、エンジントルクTengとモータジェネレータトルクTmgと第1クラッチCL1の締結状態に応じた推定モデル(1)〜(3)に基づいて第2クラッチCL2の締結トルクを推定することとした。
【0089】
よって、第2クラッチCL2の入力側の状態を正確に反映させることで、精度の高い締結トルク推定を実行できる。また、正確に締結トルクを推定できることから、第2クラッチCL2の入力側がどのように制御されていたとしても、第2クラッチCL2のスリップ状態から完全締結状態への移行時における駆動輪への出力トルク変動を抑制することができる。
【0090】
(3)モータジェネレータMGのトルクが目標トルクとなるように制御するモータトルク制御部404と、所定の条件が成立したときは、モータ回転数制御部403からモータトルク制御部404に切り換える切換部406とを備えた。
【0091】
よって、第2クラッチCL2のスリップ制御時にモータジェネレータMGが過剰に回転することによるクラッチ耐久性の悪化を回避しつつ、完全締結時には運転者の意図に応じたトルク制御を実現することができる。また、制御切り換え前に推定しているトルクと制御切り換え後に推定しているトルクが同じ推定精度となっているため、制御切り換えによる推定値の変動を解消することができ、より、トルク段差を抑制することができる。
【0092】
(4)所定の条件は、推定された締結トルクTCLと目標駆動力tFoO(目標締結トルク)との差が所定値以下とした。よって、制御切り換え時のトルク段差を抑制することができる。
【0093】
(5)モータ回転数制御部403は、推定された締結トルクTCLと目標駆動力tFoO(目標締結トルク)との差が所定値以下のときは、駆動輪側の回転数と動力源側の回転数とが一致するように動力源の回転数を制御することとした。よって、制御切り換え時に完全締結したとしても、トルク段差を抑制することができる。
【0094】
(6)所定の条件は、動力源側の回転数と駆動輪側の回転数との差が所定値以下とした。よって、完全締結時のイナーシャトルクの変化を小さくすることが可能となり、制御切り換え時のトルク段差を抑制することができる。
【0095】
(7)切換部406は、モータ回転数制御部403からモータトルク制御部404に切り換えた後、第2クラッチCL2を完全締結することとした。よって、運転者の意図に応じたトルク制御を達成することができる。
【0096】
以上、実施例1について説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、発明を実施可能な他の実施例も許容される。実施例1では、モータ回転数制御からモータトルク制御へ切り換える構成のみ示したが、動力源の運転状態を切り換えればよく、エンジン等を同様に制御として切り換える構成としてもよい。要は、切り換え前と切り換え後における駆動輪に出力されているトルクの推定値が一致していればいずれの構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1の過熱時対応モード遷移制御が適用された後輪駆動のハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラにおける演算処理プログラムを示す制御ブロック図である。
【図3】図2の目標駆動力演算部にて目標駆動力演算に用いられる目標駆動力マップの一例を示す図である。
【図4】図2のモード選択部にて目標モードの選択に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。
【図5】図2の目標充放電演算部にて目標充放電電力の演算に用いられる目標充放電量マップの一例を示す図である。
【図6】実施例1の発進時における第2クラッチの締結制御処理を表すフローチャートである。
【図7】比較例における第2クラッチの締結制御を行った場合のタイムチャートである。
【図8】実施例1における第2クラッチの締結制御を行った場合のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0098】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と駆動輪との間に介装された第1締結要素と、
要求駆動力に基づいて目標締結トルクを演算し、前記第1締結要素の締結トルクが目標締結トルクとなるように制御する締結トルク制御手段と、
前記第1締結要素の前記駆動輪側の回転数よりも前記動力源側の回転数が高くなるように前記動力源の回転数を制御する回転数制御手段と、
前記動力源のトルクに基づいて前記第1締結要素の締結トルクを推定する締結トルク推定手段と、
を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記動力源は、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に介装された第2締結要素から構成され、
前記締結トルク推定手段は、前記動力源のトルクと前記第2締結要素の締結状態に応じた推定モデルに基づいて前記第1締結要素の締結トルクを推定することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両の制御装置において、
前記動力源のトルクが目標トルクとなるように制御するトルク制御手段と、
所定の条件が成立したときは、前記回転数制御手段から前記トルク制御手段に切り換える切換手段と、
を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両の制御装置において、
前記所定の条件は、前記推定された締結トルクと前記目標締結トルクとの差が所定値以下であることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の制御装置において、
前記回転数制御手段は、前記差が所定値以下のときは、前記駆動輪側の回転数と前記動力源側の回転数とが一致するように前記動力源の回転数を制御することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
請求項3ないし5いずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記所定の条件は、前記動力源側の回転数と前記駆動輪側の回転数との差が所定値以下であることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項7】
請求項3ないし6いずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記切換手段は、前記回転数制御手段から前記トルク制御手段に切り換えた後、前記第1締結要素を完全締結することを特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−74226(P2008−74226A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255213(P2006−255213)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】