説明

車両制御システム

【課題】低電圧電源の電圧低下を確実に検出することが可能な車両制御システムを提供する。
【解決手段】始動スイッチ304が操作されていなくとも特定の条件下において、高電圧電源250の放電電圧を降圧させるコンバータ270を作動させない状態で低電圧電源262から電気機器への電力の供給を許容してそれら電気機器の一部を作動させるように構成されたシステムであって、その状態において、電圧センサ290により検出された電気機器への出力電圧が閾電圧より低下しているか否かによって、低電圧電源262の端子電圧が低下しているか否かを判定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公称電圧が互いに異なる高電圧電源および低電圧電源を有して高電圧電源の電力を降圧して低電圧電源による電力供給を補助するように構成された電源装置を備えた車両を制御する車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ハイブリッド自動車や電気自動車などの開発が精力的に進められている。そのような車両には、下記特許文献1にも記載されているように、車両を駆動する駆動用モータに電力を供給するための高電圧電源と、車両が備えているランプ類,オーディオ類などの補機や車両に搭載される種々の制御装置を作動させるため電気機器に電力を供給するための低電圧電源とが設けられている。また、そのような車両は、低電圧電源を充電したり、その低電圧電源に代わって補機や電気機器に電力を供給することで、その低電圧電源を補助するように、高電圧電源の放電電圧をコンバータによって降圧する構成とされている。しかしながら、低電圧電源の電圧が低くなりすぎると、車両に搭載される種々の制御装置への電力供給が困難となる。そのため、上記のような車両は、低電圧電源の電圧が閾電圧以下になると、車両が始動することや車両を走行可能な状態にすることを禁止したり、下記特許文献1のように、低電圧電源を高電圧電源によって充電するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−320807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような手法で、低電圧電源の電圧低下に対処するためには、低電圧電源の電圧を監視して、その低電圧電源の電圧が低下しているか否かを検出することが必要となる。そして、上記のような車両に設けられる電圧センサは、補機や電気機器への出力電圧を検出するものが一般的である。つまり、上記のような車両は、先にも述べたように、高電圧電源の放電電圧をコンバータによって降圧するように構成されているため、その電圧センサによって検出された補機や電気機器への出力電圧は、低電圧電源の端子電圧であるのか、コンバータが出力した電圧であるのかが判断できないという問題がある。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、低電圧電源の電圧を確実に検出して、低電圧電源の電圧低下を確実に検出することが可能な車両制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御システムは、始動スイッチが操作されていなくとも特定の条件下において、コンバータを作動させない状態で低電圧電源である第2電源から電気機器への電力の供給を許容してそれら電気機器の一部を作動させるように構成されており、その状態において、第2電源の端子電圧が低下しているか否かを、電圧センサにより検出された電気機器への出力電圧が閾電圧より低下しているか否かによって判定し、第2電源の端子電圧が低下していると判定された場合に、車両の走行を禁止するように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両制御システムにおいて、始動スイッチがオフ状態で特定の条件下にある場合には、コンバータによって第1電源の降圧した電力が出力されていないため、その場合に電圧センサによって検出される電圧は、第2電源の端子電圧である。そのため、本発明の車両制御システムによれば、第2電源の電圧を確実に検出して、その第2電源の電圧低下を確実に検出することが可能である。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(4)項の各々が、請求項1ないし請求項4の各々に相当する。
【0008】
(1)(a)車両を駆動する駆動用モータに電力を供給するための第1電源と、(b)その第1電源の公称電圧より低い公称電圧を有し、車両が有する電気機器に電力を供給するための第2電源と、(c)前記第2電源からの電力によって作動し、前記第1電源の放電電圧を前記第2電源の公称電圧より高い設定電圧に降圧するコンバータとを有し、そのコンバータから出力される電力によって前記第2電源の前記電気機器への電力供給が補助されるように構成された電源装置と、
その電源装置の前記電気機器への出力電圧を検出する電圧センサと、
運転者によって操作される始動スイッチと、
(A)前記始動スイッチが操作されていなくても特定の条件下において、前記コンバータを作動させない状態で前記第2電源から前記電気機器への電力の供給を許容し、それら電気機器の一部を作動させる特定時作動部と、(B)前記始動スイッチの操作に基づいて、前記コンバータを作動させた状態で前記電源装置から前記電気機器への電力の供給を許容するとともに、前記第1電源から前記駆動用モータへの電力の供給を許容することにより車両が走行可能な状態とし、車両を始動させる車両始動部と、(C)前記第2電源の端子電圧が低下しているか否かを、前記特定時作動部が作動している状態において、前記電圧センサにより検出された電圧が閾電圧より低下しているか否かにより判定する第2電源電圧低下判定部と、(D)前記第2電源電圧低下判定部によって前記第2電源の端子電圧が低下していると判定された場合、前記第1電源から前記駆動用モータへの電力の供給を禁止し、車両の走行を禁止する走行禁止部とを有する制御装置と
を備えた車両制御システム。
【0009】
本項に記載の車両制御システムは、高電圧電源である第1電源の放電電圧をコンバータにより降圧した電力によって、低電圧電源である第2電源の電力供給を補助する構成とされたものを前提とする。詳しく言えば、コンバータから出力された電力によって、第2電源を充電したり、その第2電源に代わって電気機器に電力を供給する構成とされたものを前提とする。第2電源は、車両が備えているランプ類,オーディオ類などのいわゆる補機に電力供給をするだけでなく、コンバータを作動させる電力を供給するとともに、車両が搭載する種々のシステムを作動させるための機器に電力を供給するものである。つまり、第2電源が、劣化によって電圧低下してしまうと、上記のような電気機器に安定して電力供給することができない事態に陥ってしまう。したがって、上記のような構成とされたシステムにおいては、第2電源が劣化していることを検出する必要がある。
【0010】
ただし、上記のような構成とされたシステムにおいては、車両に人が乗り込んで始動スイッチが操作され、電源がACCあるいはイグニッションがON状態とされると、つまり、車両が始動している状態とされると、コンバータが作動して第1電源の降圧した電力によって第2電源の電力供給が補助されることになる。そして、その状態で、電圧センサによって電気機器への出力電圧が検出され、電圧低下していないかが監視されている。したがって、車両が始動している状態においては、その電圧センサによって検出された電圧が、第2電源の端子電圧であるか、コンバータの出力電圧であるかを判断するのは難しく、第2電源の電圧低下を検出することは困難である。
【0011】
本項に記載のシステムは、始動スイッチがオフ状態でかつ特定の条件下において、コンバータを作動させない状態で低電圧電源である第2電源から電気機器への電力の供給を許容してそれら電気機器の一部を作動させるように構成される。そして、その状態において、第2電源の端子電圧が低下しているか否かを、電圧センサにより検出された電気機器への出力電圧が閾電圧より低下しているか否かによって判定し、第2電源の端子電圧が低下していると判定された場合に、車両の走行を禁止するように構成されている。つまり、本項に記載のシステムは、、第1電源からの電力供給の補助を受けずに第2電源の電力のみで電力供給を行っている場合の電圧を電圧センサによって検出するため、第2電源の端子電圧を確実に検出することができる。ひいては、その第2電源が電圧低下している場合に、その電圧低下を確実に検出することができるのである。
【0012】
なお、近年の車両は、始動スイッチが操作されていなくても、ある特定の条件下において、車両が搭載する複数のシステムのうちの一部のものを作動させる場合がある。例えば、第1電源から駆動用モータへの電力供給を許容して車両を走行可能な状態とするために、ブレーキを踏んだ状態で始動スイッチを操作することが必要とされる車両が存在する。そのような車両においては、そのブレーキ操作に違和感を生じさせないために、車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合に、ブレーキシステムを作動させる場合がある。本項に記載の「特定時作動部」は、そのように、車両を始動させる準備を行うようなものとすることができる。また、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車には、コンセントにプラグを差し込んで第1電源を直接充電できるように構成された車両が存在する。そのような車両においては、その充電中に、電源系のシステムを作動させる場合がある。つまり、本項に記載の「特定時作動部」は、駐車中においてシステムを作動させるものであれば、「特定の条件」および「作動させる電気機器の一部」は、特に限定されない。ただし、その特定時作動部は、第2電源の電圧を検出させるためだけに作動するものではなく、上記のように、他の目的のためにも作動するものであることが望ましい。
【0013】
(2)前記特定時作動部が、
前記特定の条件下として、車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合に、作動するように構成された(1)項に記載の車両制御システム。
【0014】
本項に記載の態様は、特定時作動部が作動する条件が限定されている。換言すれば、本項の態様は、第2電源の電圧を検出する時期が限定されている。本項に記載の「特定時作動部」は、車両に人が乗り込もうとしていることを条件として、車両を始動させる準備を行うために、車両に搭載される一部のシステムを作動させるものである。本項の態様によれば、第2電源の電圧低下の判定を、そのシステムの作動に伴って、車両を始動させる前に確実に行うことが可能である。
【0015】
(3)前記特定時作動部が、
車両に設けられたカーテシスイッチによって車両のドアが開けられたことが検出された場合に、車両に人が乗り込もうとしていると推定して作動するように構成された(2)項に記載の車両制御システム。
【0016】
(4)当該車両制御システムが、
車外の検知範囲内における電子キーの検知結果に基づいて、車両のドアの施錠あるいは開錠を行うように構成された車両に搭載され、
前記特定時作動部が、
車外に前記電子キーが検知された場合に、車両に人が乗り込もうとしていると推定して作動するように構成された(2)項または(3)項に記載の車両制御システム。
【0017】
上記2つの項に記載の態様は、車両に人が乗り込もうとしていることを検出する方法が具体化されている。
【0018】
(5)当該車両制御システムが、電子制御式のブレーキシステムを備えた車両に搭載され、
前記特定時作動部が、
前記第2電源から前記ブレーキシステムが有する電気機器への電力の供給を許容し、そのブレーキシステムを作動させるものである(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両制御システム。
【0019】
先にも述べたように、ブレーキを踏んだ状態で始動スイッチを操作することで車両を走行可能な状態とするように構成され、そのブレーキ操作に違和感を生じさせないために、車両を始動させる前にブレーキシステムを作動させるように構成された車両が存在する。そのような車両においては、そのブレーキシステムの作動に伴って、第2電源の電圧低下の判定をすることが可能であり、本項の態様は、特定時作動部がブレーキシステムを作動させるように構成されている。
【0020】
なお、電子制御式のブレーキシステムは、作動しない事態が生じてはならない重要なシステムである。そして、第2電源は、その電子制御式ブレーキシステムを作動させる電力を供給する主体となるものであるため、その第2電源の電圧低下を検出することが、特に重要である。したがって、電子制御式ブレーキシステムを備える車両には、第2電源の電圧低下を確実に検出できる本車両制御システムが、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】請求可能発明の実施例である車両制御システムが搭載されたハイブリッド車両を表す模式図である。
【図2】図1に示す車両が搭載する液圧ブレーキシステムを示す概略図である。
【図3】請求可能発明の実施例である車両制御システムが備える電源装置の回路図である。
【図4】図1に示すパワーマネジメント電子制御ユニットによって実行される補機バッテリ監視プログラムを表すフローチャートである。
【図5】図1に示すパワーマネジメント電子制御ユニットによって実行される車両始動制御プログラムを表すフローチャートである。
【図6】請求可能発明の実施例である車両制御システムの制御を司る制御装置(図1に示すパワーマネジメント電子制御ユニット)の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例】
【0023】
<車両制御システムを搭載した車両の構成>
図1に、請求可能発明の実施例である車両用制御システムを搭載した車両を模式的に示す。本車両は、ハイブリッド自動車である。つまり、本車両には、車両に駆動力を与えるためのエンジン10と駆動用モータ12との両者を含んで構成されるハイブリッドシステムが搭載されている。そのハイブリッドシステムは、エンジン10の出力により発電を行うジェネレータ14を備えている。これらエンジン10,駆動用モータ12,ジェネレータ14は、動力分割機構16によって互いに接続されている。この動力分割機構16を制御することで、エンジン10の出力をジェネレータ14を作動させるための出力と、4つの車輪18のうちの駆動輪となるものを回転させるための出力とに振り分けたり、駆動用モータ12からの出力を駆動輪に伝達させることができる。つまり、動力分割機構16は、減速機20および駆動軸22を介して駆動輪に伝達される駆動力に関する変速機として、機能するのである。なお、「車輪18」等のいくつかの構成要素は、総称として使用するが、4つの車輪のいずれかに対応するものであることを示す場合には、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪にそれぞれ対応して、添え字「FL」,「FR」,「RL」,「RR」を付すこととする。この表記に従えば、本車両における駆動輪は、車輪18RL,および車輪18RRである。
【0024】
駆動用モータ12は、交流同期電動機であり、交流電力によって駆動される。車両は、インバータ24を備れており、そのインバータ24は、電力を、直流から交流、あるいは、交流から直流に変換することができる。したがって、インバータ24を制御することで、ジェネレータ14によって出力される交流の電力を、後に詳しく説明する電源装置30が有するバッテリに蓄えるための直流の電力に変換させたり、そのバッテリに蓄えられている直流の電力を、駆動用モータ12を駆動するための交流の電力に変換させることができる。ジェネレータ14は、駆動用モータ12と同様に、交流同期電動機としての構成を有している。つまり、本実施例の車両では、交流同期電動機が2つ搭載されていると考えることができ、一方が、駆動用モータ12として、主に駆動力を出力するために使用され、他方が、ジェネレータ14として、主にエンジン10の出力により発電するために使用されている。
【0025】
また、駆動用モータ12は、車両の走行に伴う車輪18RL、18RRの回転を利用して、発電(回生発電)を行うことも可能である。このとき、車輪18RL、18RRに連結される駆動用モータ12では、電力が発生するとともに、駆動用モータ12の回転を制止するための抵抗力が発生する。したがって、その抵抗力を、車両を制動する制動力として利用することができる。つまり、駆動用モータ12は、電力を発生させつつ車両を制動するための回生ブレーキの手段として利用される。したがって、本車両は、回生ブレーキがエンジンブレーキや後述する液圧ブレーキとともに制御されることで、制動されるのである。
【0026】
本車両において、上記のブレーキの制御や、その他の車両に関する各種の制御は、複数の電子制御ユニット(ECU)によって行われる。複数のECUのうち、パワマネECU40は、それらの制御を統括する機能を有している。例えば、ハイブリッド車両は、エンジン10の駆動および駆動用モータ12の駆動によって走行することが可能とされているが、それらエンジン10の駆動と駆動用モータ12の駆動は、パワマネECU40によって総合的に制御される。具体的に言えば、パワマネECU40によって、エンジン10の出力と駆動用モータ12による出力の配分が決定され、その配分に基づき、エンジン10を制御するエンジンECU42、駆動用モータ12及びジェネレータ14を制御するモータECU44に各制御についての指令が出力される。
【0027】
さらに、パワマネECU40には、ブレーキを制御するブレーキECU48も接続されている。当該車両には、運転者によって操作されるブレーキ操作部材が設けられており、ブレーキECU48は、そのブレーキ操作部材の操作量に基づいて目標制動力を決定し、パワマネECU40に対してこの目標制動力を出力する。パワマネECU40は、モータECU44にこの目標制動力を出力し、モータECU44は、その目標制動力に基づいて回生ブレーキを制御するとともに、それの実行値、つまり、発生させている回生制動力をパワマネECU40に出力する。パワマネECU40では、目標制動力から回生制動力が減算され、その減算された値によって、車両に搭載される液圧ブレーキシステム100において発生すべき目標液圧制動力が決定される。パワマネECU40は、目標液圧制動力をブレーキECU48に出力し、ブレーキECU48は、通常時において、液圧ブレーキシステム100が発生させる液圧制動力が目標液圧制動力となるように制御するのである。
【0028】
<ブレーキシステムの構成>
図2に、車両が備える液圧ブレーキシステム100を概念的に示す。本液圧ブレーキシステム100は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル110と、マスタシリンダ装置112と、ブレーキアクチュエータ114とを備えている。マスタシリンダ装置112は、ブレーキペダル110の踏み込みに基づいて作動液(ブレーキ液)を加圧するマスタシリンダ116を備えている。マスタシリンダ116は、2つの加圧室118,120を備えており、加圧室118は主液通路122の一端に、加圧室120は主液通路124の一端に、それぞれ接続されている。主液通路122の他端は、左前輪18FLの回転を制動するブレーキ装置126FLのブレーキシリンダ128FLと接続され、主液通路124の他端は、右前輪18FRの回転を制動するブレーキ装置126FRのブレーキシリンダ128FRと接続されている。
【0029】
主液通路122の途中にはマスタカット弁130が設けられており、主液通路124の途中にはマスタカット弁132が設けられている。各マスタカット弁130,132は、常開の電磁式開閉弁であり、開状態でマスタシリンダ116からブレーキシリンダ128へ向かう作動液の流れを許容するとともに、閉状態でマスタシリンダ116からブレーキシリンダ128へ向かう作動液の流れを禁止するものとされている。また、マスタシリンダ装置112には、作動液が大気圧で蓄えられるリザーバ134が設けられており、そのリザーバ134からマスタシリンダ116の加圧室118,120の各々に作動液が供給される。なお、主液通路122には、常閉の電磁式開閉弁であるシュミレータ制御弁136を介してストロークシミュレータ138が接続されている。
【0030】
ブレーキアクチュエータ114は、上記ブレーキシリンダ128FL,FR、左後輪18RLの回転を制動するブレーキ装置126RLのホイールシリンダ128RL、右後輪18RRの回転を制動するブレーキ装置126RRのホイールシリンダ128RRの各液圧を制御するものであり、高圧源装置140とABS弁装置142と液圧源装置144とを備えている。
【0031】
高圧源装置140は、リザーバ134に一端が接続される高圧通路150に設けられている。高圧源装置140は、高圧通路150を介してリザーバ134から作動液を汲み上げるポンプ152と、そのポンプ152を駆動する電動モータ154と、ポンプ152から吐出された作動液を加圧された状態で蓄えるアキュムレータ156と、ポンプ152の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁158とを有している。高圧通路150の他端は共通通路160に接続されており、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液を共通通路160に流すことが可能となっている。また、共通通路160には、低圧通路162の一端が接続されており、その低圧通路162の他端はリザーバ134に接続されている。このため、共通通路160内の作動液を、低圧通路162を介して、リザーバ134に流すことが可能となっている。
【0032】
液圧源装置144は、高圧通路150の高圧源装置140の下流側に設けられた常閉の電磁式リニア弁(以下、「増圧用リニア弁」という場合がある)170と、低圧通路162に設けられた常閉の電磁式リニア弁(以下、「減圧用リニア弁」という場合がある)172とを有している。増圧用リニア弁170は、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液の共通通路160への流入を制御することが可能となっており、一方、減圧用リニア弁172は、共通通路160内の作動液のリザーバ134への流出を制御することが可能となっている。増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172は、高圧側の作動液と低圧側の作動液との液圧差と供給電流との間に予め定められた一定の関係があり、供給電流の増減に応じて開弁圧が変えることが可能となっている。したがって、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172は、供給電流の制御により、液圧源装置144が共通通路160に供給する液圧である供給圧を連続的に変化させることができ、供給圧を容易に任意の高さに制御することが可能となっている。
【0033】
また、共通通路160には、ABS弁装置142を介して上記4つのブレーキシリンダ128が接続されている。ABS弁装置142は、ブレーキシリンダ128の液圧を増圧及び保持するためのABS保持弁200と、ブレーキシリンダ128の液圧を減圧するためのABS減圧弁202とを、各車輪に対応して有している。ABS保持弁200は、ブレーキシリンダ128と共通通路160とに接続される個別通路204の途中に設けられており、電磁式の開閉弁とされている。左前輪18FLに対応するABS保持弁200FLは常開弁とされており、他の3つのABS保持弁200FR,RL,RRは常閉弁とされている。また、ABS減圧弁202は、個別通路204のABS保持弁200の下流側と低圧通路162とに接続される個別低圧通路206の途中に設けられており、電磁式の開閉弁とされている。前輪18FL,FRに対応する2つのABS減圧弁202FL、FRは常閉弁とされており、後輪18RL,RRに対応する2つのABS減圧弁202RL、RRは常開弁とされている。
【0034】
本ブレーキシステムは、図1に示すブレーキECU48を含んで構成される。そのブレーキECU48は、各種電磁弁130,132,136,170,172,200,202、およびポンプ152の作動を制御する制御装置であり、各ブレーキ装置126のブレーキシリンダ128に作用させる作動液の液圧を制御するものである。通常、本ブレーキシステム100では、ブレーキペダル110が運転者によって操作された場合、マスタシリンダ116によって加圧された作動液に依拠することなく、液圧源装置144によって調圧される作動液に依拠して、ブレーキ装置126のブレーキシリンダ128を作動させるようになっている。なお、上記のポンプ152を駆動する電動モータ154や、各電磁弁は、後に詳しく説明するが、電源装置30から電力が供給されることで作動する。
【0035】
<電源装置の構成>
次いで、上述したハイブリッドシステムやブレーキシステム100、その他、車両に装備される電力によって作動する電気機器等に電力を供給する電源装置30について、図3を参照しつつ、詳しく説明する。その電源装置30は、図3に示すように、第1バッテリであるハイブリッドバッテリ250(以下、「HVバッテリ」という場合がある)を備えており、そのHVバッテリ250には、ハイブリッドシステムの駆動用モータ12が、前述したインバータ24を介して接続される。つまり、駆動用モータ12は、HVバッテリ250から電力の供給を受けて、後輪18RR,18RLに駆動力を与えることが可能に構成される。
【0036】
また、電源装置30は、ランプ類,オーディオ類などの補機260等に電力を供給する第2バッテリである補機バッテリ262を備えている。また、その補機バッテリ262は、先にも述べたブレーキシステム100の複数の電磁弁や、各ECUを構成する電気機器へも、電力を供給するものである。なお、その補機バッテリ262は、上述したHVバッテリ250の公称電圧EN1(例えば、288V)より低い公称電圧EN2(例えば、12V)とされたものである。
【0037】
さらに、上記のHVバッテリ250と補機バッテリ262とは、DC−DCコンバータ270を介して接続されている。そのDC−DCコンバータ270は、ノイズフィルタ部272と、トランジスタ−ブリッジ回路であるDC−AC変換部274と、トランス276と、整流部278と、平滑部280と、コンバータ制御回路282とを含んで構成され、HVバッテリ250の放電電圧を設定電圧EDに降圧することができる。その設定電圧EDは、補機バッテリ262の公称電圧EN2より僅かに高い電圧(例えば、14V)とされている。つまり、電源装置30は、そのコンバータ270によって、HVバッテリ250から補機バッテリ262を充電すること、あるいは、補機バッテリ262から補機260への電力供給を補うことが可能とされている。なお、本車両には、補機260等への出力電圧を測定する電圧センサ290が設けられている。
【0038】
この電源装置30は、パワマネECU40によって制御される。具体的には、パワマネECU40によって、インバータ24,コンバータ270等が制御され、2つのバッテリ252,262の充電状態の監視や、それらからの電力供給あるいはそれらの充電のための制御が行われる。
【0039】
<車両が搭載するその他の装置等>
本車両には、機械的な鍵を使用せずに車両のドアの施錠あるいは開錠を行うスマートエントリシステムが搭載されており、図1に示すように、車室外に電子キーを検知するための電波を発信する複数のアンテナ300が設けられている。そのシステムは、それらアンテナ300のいずれかが車室外に電子キーを検知し、かつ、ドアのハンドルが握られた場合に、ドアのロックを解除する、あるいは、ロックする。また、本車両には、ドアが開けられた場合にON状態となるカーテシスイッチ302が設けられている。
【0040】
さらに、本車両には、図1に示すように、運転者によって操作される車両を始動させるための始動スイッチ300が、設けられている。その始動スイッチ304は、パワマネECU40に接続されており、運転者に始動スイッチ304が押されるごとに、パワマネECU40によって、オフ状態からACCへ、ACCからイグニッションONへ、イグニッションONから再びオフ状態へ切り換えられるようになっている。また、ブレーキペダル110が踏み込まれた状態で始動スイッチ304が押されると、パワマネECU40によって、HVバッテリ250から駆動モータ12への電力供給、および、エンジン10の出力が許容され、車両が走行可能な状態であるReadyON状態とされるようになっている。
【0041】
<車両の始動に係る制御>
本車両の制御システムでは、種々のシステムを構成する電気機器や補機260等は、パワマネECU40によって起動させられるようになっている。具体的には、駐車されている車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合、車両を始動させるための準備(スタンバイ)として、ルームランプを点灯させるとともに、ブレーキシステム100を作動させるべく、ブレーキECU48や各電磁弁等への電力供給が許容される。なお、本制御システムにおいては、スマートエントリシステムのアンテナ300によって電子キーが車室外に検知された場合や、カーテシスイッチ302がON状態とされた場合に、車両に人が乗り込もうとしていると推定されるようになっている。ちなみに、スタンバイ状態において、ブレーキシステム100を作動させるのは、ReadyON状態とするためにブレーキペダル110を踏み込む必要があるため、その踏み込みの際の違和感をなくすためである。
【0042】
その後、運転者が車両に乗り込んで車両を始動させるべく、始動スイッチ304が操作された場合、詳しく言えば、始動スイッチ304が押されてACCとされた場合や、ブレーキペダル110が踏み込まれた状態で始動スイッチ304が押されてReadyON状態とされた場合に、パワマネECU40は、コンバータ270への電力供給を許容するとともに、上記のスタンバイで起動させていない電気機器等への電力供給を許容する。なお、ReadyON状態とされた場合には、それに加えて、先にも述べたように、HVバッテリ250から駆動モータ12への電力供給も許容する。
【0043】
本車両が備える電源装置30は、先にも述べたように、HVバッテリ250の放電電圧をコンバータ270によって降圧した電力によって、補機バッテリ262を補助するように構成される。そのため、補機バッテリ262が劣化した場合であっても、コンバータ270から出力される電力によって、車両を始動させることは可能である。しかしながら、フェールセーフの観点から、補機バッテリ262からの電力供給と、コンバータ270からの出力による電力供給との両者が可能である必要がある。詳しく言えば、電子制御式のブレーキシステム100を搭載する本車両においては、そのブレーキシステム100が作動しなくなってしまう事態を回避るために、走行可能状態とするには、補機バッテリ262からの電力供給と、コンバータ270からの出力による電力供給との両者が可能でなければならないのである。つまり、劣化が避けられない補機バッテリ262の監視が、必要なのである。
【0044】
そこで、本制御システムにおいては、パワマネECU40が、補機バッテリ262を監視する機能を有している。詳しく言えば、パワマネECU40は、補機バッテリ262の端子電圧を監視し、その端子電圧が低下している場合には、車両の走行を禁止する機能を有している。パワマネECU40は、補機バッテリ262の端子電圧Eを、電圧センサ290によって監視するのであるが、その電圧センサ290に検出される電圧は、あくまで補機260への出力電圧である。つまり、ACCやReadyON状態で車両が始動した後において、電圧センサ290に検出される電圧は、補機バッテリ262の端子電圧であるのか、コンバータ270によってHVバッテリ250の放電電圧が降圧された電圧なのかを、判定するのは困難である。
【0045】
そこで、本制御システムにおいては、車両を始動させる前に、コンバータ270を作動させていない状態で、補機バッテリ262の端子電圧が低下しているか否かの判定を行うようになっている。詳しく言えば、車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合に、その判定が行われる。上述したスタンバイの状態においては、パワマネECU40は、ブレーキシステム100を作動させているが、コンバータ270を作動させておらず、そのブレーキシステム100は、補機バッテリ262から出力された電力のみによって作動している。つまり、その際に電圧センサ290によって測定される電圧は、補機バッテリ262の端子電圧である。したがって、パワマネECU40は、そのスタンバイの状態において検出される補機バッテリ262の端子電圧Eが、補機バッテリ262が劣化して使用できる状態にないことを示す第1閾電圧E1より低くなった場合に、車両の走行を禁止するようになっている。具体的には、先に述べたように、ブレーキペダル110が踏み込まれた状態で始動スイッチ304が押されても、ReadyON状態とはしないように、つまり、駆動モータ12への電力の供給を禁止するとともに、エンジン10の出力を禁止するのである。
【0046】
なお、補機バッテリ262の端子電圧Eが、上記第1閾電圧E1より大きくても、補機バッテリ262が劣化しつつあることを示す第2閾電圧E2より低くなっている場合には、始動スイッチ304が操作されてコンバータ270が作動させられた後、そのコンバータ270から出力される電力によって、補機バッテリ262が充電されるようになっている。そして、その補機バッテリ262の充電が完了した後でなければ、ReadyON状態とはされないようになっている。
【0047】
<制御プログラム>
本車両制御システムにおいては、先に述べたように、車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合に、車両を始動させる準備のための制御(スタンバイ制御)が実行される。詳しくは、ルームランプを点灯させるとともに、ブレーキシステム100を作動させるべく、ブレーキECU48や各電磁弁等への電力供給が許容される。本システムでは、そのスタンバイ制御において、図4にフローチャートを示す補機バッテリ監視プログラムが実行される。また、本システムでは、車両を始動させるための制御として、図5にフローチャートを示す車両始動制御プログラムが繰り返し実行される。以下に、それら補機バッテリ監視プログラムおよび車両始動制御プログラムによる制御処理のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0048】
i)補機バッテリ監視プログラム
図4にフローチャートを示す補機バッテリ監視プログラムによる処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、始動スイッチ304がオフ状態であるか否かが判定されるとともに、S2において、車両が停止しているか否かが判定される。始動スイッチ304がオフ状態で、かつ、車両が停止していると判定された場合に、S3以下において、補機バッテリ262の劣化状態が検査される。
【0049】
補機バッテリ262の劣化状態の検査は、その補機バッテリ262の端子電圧に基づいて行われるのであり、まず、S3において、電圧センサ290によって、補機260等への出力電圧Eが取得される。この時点において、パワマネECU40は、まだコンバータ270を作動させていないため、その取得された電圧Eは、補機バッテリ262の端子電圧である。次いで、S4において、その補機バッテリ262の端子電圧Eが、第1閾電圧E1より低いか否かが判定される。補機バッテリ262の端子電圧Eが第1閾電圧E1より低い場合には、S5において、補機バッテリ262を使用するには劣化しすぎていると判断され、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが1とされる。
【0050】
また、補機バッテリ262の端子電圧Eが第1閾電圧E1以上である場合には、S6において、補機バッテリ262の端子電圧Eが、第2閾電圧E2より低いか否かが判定される。補機バッテリ262の端子電圧Eが第2閾電圧E2より低い場合には、S7において、車両始動時において補機バッテリ262の充電を過去に何回行っているかが確認される。詳しくは、その充電回数Nが、設定回数N0以上か否かの判定が行われる。充電回数Nが設定回数N0より少ない場合には、S8において、補機バッテリ262は劣化しつつあると判断され、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが2とされる。また、充電回数Nが設定回数N0に達した場合には、S5において、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが1とされる。
【0051】
なお、補機バッテリ262の端子電圧Eが第2閾電圧E2以上である場合には、S9において、補機バッテリ262は正常であると判断され、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが0とされる。以上で、補機バッテリ監視プログラムの実行が終了する。
【0052】
ii)車両始動制御プログラム
次に、図5にフローチャートを示す車両始動制御プログラムによる処理では、まず、S11において、始動スイッチ304がオフ状態か否かが判定され、始動スイッチ304がオフ状態でない場合、つまり、車両を始動させるべく始動スイッチ304が操作された場合に、S12において、コンバータ270を作動させるとともに、スタンバイ制御で作動させなかった電気機器等を作動させるべく、それらへの電力供給が許容される。なお、補機バッテリ262の端子電圧が低下している場合には、コンバータ270から出力される電力によって、補機バッテリ262が充電されることになる。
【0053】
次いで、S13,S14において、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが確認される。そのフラグ値FLが1である場合には、ReadyON状態とするための操作が運転者によって為された場合であっても、S18において、ReadyON状態とすることが禁止される。つまり、駆動モータ12への電力の供給が禁止されるとともに、エンジン10の出力が禁止されるのである。ちなみに、この場合、運転者に対して、その旨が報知される。また、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが2である場合には、S15において、補機バッテリ262の充電が完了したか否かが判定される。例えば、上述した補機バッテリ監視プログラムにおいて取得された補機バッテリ262の端子電圧Eに対して、充電時間が決定され、その充電時間が経過したか否かによって判定することができる。補機バッテリ262の充電が完了していない場合には、S18において、ReadyON状態とすることが禁止される。
【0054】
一方、補機バッテリ262の充電が完了した場合には、S16において、充電回数Nが1回増やされるとともに、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが0とされる。次いで、S17において、ReadyON状態とするための操作が運転者によって為されたか否かが判定される。操作が為されていない場合には、S18においてReadyON状態とすることが禁止され、操作が為された場合には、S19においてReadyON状態とすることが許容される。なお、S13,S14において、バッテリ状態フラグのフラグ値FLが確認された場合に、そのフラグ値FLが0であった場合にも、S17以下の処理が実行される。以上で、車両始動制御プログラムの1回の処理が終了する。
【0055】
<制御装置の機能構成>
上述したような制御を実行して制御装置として機能するパワマネECU40は、前述した各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図6に示すように、パワマネECU40は、スマートエントリシステムのアンテナ300によって電子キーが車室外に検知された場合や、カーテシスイッチ302がON状態とされた場合に、コンバータ270を作動させない状態で補機バッテリ262からの電力供給を許容してブレーキシステム等の電気機器の一部を作動させる特定時作動部400を有している。また、パワマネECU40は、始動スイッチ304がON状態とされた場合に、コンバータ270を作動させた状態で電源装置30からの電力供給を許容して、特定時作動部400によって作動させられなかった電気機器をも作動させる車両始動部402を有している。なお、その車両始動部402は、ブレーキペダル110が踏み込まれた状態で始動スイッチ304が押された場合には、ReadyON状態とすべく、HVバッテリ250から駆動用モータ12への電力供給が許容される。つまり、その車両始動部402は、上述した車両始動制御プログラムのS11,12,17,19を実行する部分を含んで構成されている。
【0056】
さらに、パワマネECU40は、第2電源である補機バッテリ262の端子電圧が低下しているか否かを判定する第2電源電圧低下判定部404を有している。その第2電源電圧低下判定部404は、上記の補機バッテリ監視プログラムを実行する部分を含んで構成され、前記特定時作動部400が作動している状態において判定を行うものとなっている。さらに、パワマネECU40は、その第2電源電圧低下判定部404によって補機バッテリ262の端子電圧が低下していると判定された場合に、ReadyON状態とするための操作が運転者によって為された場合であっても、HVバッテリ250から駆動用モータ12への電力の供給を禁止し、車両の走行を禁止する走行禁止部406を有してる。なお、その走行禁止部406は、車両始動制御プログラムのS13,18を実行する部分を含んで構成されている。
【符号の説明】
【0057】
10:エンジン 12:駆動用モータ 24:インバータ 30:電源装置 40:パワマネECU(制御装置) 42:エンジンECU 44:モータECU 48:ブレーキECU 100:ブレーキシステム 110:ブレーキペダル 112:マスタシリンダ装置 114:ブレーキアクチュエータ 250:ハイブリッドバッテリ(第1電源) 260:補機(電気機器) 262:補機バッテリ(第2電源) 270:DC−DCコンバータ 290:電圧センサ 300:アンテナ 302:カーテシスイッチ 304:始動スイッチ 400:特定時作動部 402:車両始動部 404:第2電源電圧低下判定部 406:走行禁止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)車両を駆動する駆動用モータに電力を供給するための第1電源と、(b)その第1電源の公称電圧より低い公称電圧を有し、車両が有する電気機器に電力を供給するための第2電源と、(c)前記第2電源からの電力によって作動し、前記第1電源の放電電圧を前記第2電源の公称電圧より高い設定電圧に降圧するコンバータとを有し、そのコンバータから出力される電力によって前記第2電源の前記電気機器への電力供給が補助されるように構成された電源装置と、
その電源装置の前記電気機器への出力電圧を検出する電圧センサと、
運転者によって操作される始動スイッチと、
(A)前記始動スイッチが操作されていなくても特定の条件下において、前記コンバータを作動させない状態で前記第2電源から前記電気機器への電力の供給を許容し、それら電気機器の一部を作動させる特定時作動部と、(B)前記始動スイッチの操作に基づいて、前記コンバータを作動させた状態で前記電源装置から前記電気機器への電力の供給を許容するとともに、前記第1電源から前記駆動用モータへの電力の供給を許容することにより車両が走行可能な状態とし、車両を始動させる車両始動部と、(C)前記第2電源の端子電圧が低下しているか否かを、前記特定時作動部が作動している状態において、前記電圧センサにより検出された電圧が閾電圧より低下しているか否かにより判定する第2電源電圧低下判定部と、(D)前記第2電源電圧低下判定部によって前記第2電源の端子電圧が低下していると判定された場合、前記第1電源から前記駆動用モータへの電力の供給を禁止し、車両の走行を禁止する走行禁止部とを有する制御装置と
を備えた車両制御システム。
【請求項2】
前記特定時作動部が、
前記特定の条件下として、車両に人が乗り込もうとしていることが検出された場合に、作動するように構成された請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記特定時作動部が、
車両に設けられたカーテシスイッチによって車両のドアが開けられたことが検出された場合に、車両に人が乗り込もうとしていると推定して作動するように構成された請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
当該車両制御システムが、
車外の検知範囲内における電子キーの検知結果に基づいて、車両のドアの施錠あるいは開錠を行うように構成された車両に搭載され、
前記特定時作動部が、
車外に前記電子キーが検知された場合に、車両に人が乗り込もうとしていると推定して作動するように構成された請求項2または請求項3に記載の車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−130092(P2012−130092A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276669(P2010−276669)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】