説明

車両制御装置

【課題】より精度よく、車両の走行制御を行うことのできる車両制御装置を提供すること。
【解決手段】車両1の走行を実現する複数のアクチュエータを、車両1の周辺の状況を検出する走行状況検出手段で検出した情報に応じて制御することにより車両1の走行制御を車両1の周辺の状況に応じて行うことが可能な車両制御装置2において、走行状況検出手段としてカメラ60、レーダー61、カーナビゲーションシステム65等の複数設けられており、これらの複数の走行状況検出手段で検出した複数の情報の信頼度に応じて、エンジン12や自動変速機15、EPS装置35、VGRS38、ブレーキ油圧制御装置50等の複数のアクチュエータのうち、一部のアクチュエータの制御量を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両制御装置では、車両の走行時における運転の容易性を向上させたり、運転者による運転操作の負担を軽減したりするために、車両を自動走行させる制御が開発されている。例えば、特許文献1に記載された走行制御計画生成システムでは、車両の走行軌跡や速度パターンを含み、さらに、周囲の車両の走行軌跡を含んで走行計画を行うことにより、自車両の走行方針を満足しつつ、周辺環境の状況変化に柔軟に対応した自動走行を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−129804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両を自動走行させる制御を行う場合は、自車の位置や周辺環境を検出する各種センサなどの検出手段によって各種情報を検出するが、これらの検出手段は、それぞれの情報を検出する際における状態によって、検出時の信頼度が変化する。このため、このように検出手段の信頼度が変化する場合には、車両の走行制御を行う際の信頼度が低下し、適切な走行制御を行うことが困難になる場合があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、より精度よく、車両の走行制御を行うことのできる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、車両の走行を実現する複数のアクチュエータを、前記車両の周辺の状況を検出する走行状況検出手段で検出した情報に応じて制御することにより前記車両の走行制御を前記車両の周辺の状況に応じて行うことが可能な車両制御装置において、前記走行状況検出手段は複数設けられており、複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて複数の前記アクチュエータのうち、一部の前記アクチュエータの制御量を制限することを特徴とする。
【0007】
また、上記車両制御装置において、複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて一部の前記アクチュエータの制御量を制限する場合には、複数の前記アクチュエータのうち他の前記アクチュエータの制御量を増加させることが好ましい。
【0008】
また、上記車両制御装置において、複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて一部の前記アクチュエータの制御量を制限する場合には、前記情報を検出した前記走行状況検出手段に応じて制御量を制限する前記アクチュエータを異ならせることが好ましい。
【0009】
また、上記車両制御装置において、複数の前記走行状況検出手段は、少なくとも前記車両の横方向の測位を行う横方向状況検出手段を有しており、前記横方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低い場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限することが好ましい。
【0010】
また、上記車両制御装置において、前記横方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低いことにより前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限した場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を増加させることが好ましい。
【0011】
また、上記車両制御装置において、複数の前記走行状況検出手段は、少なくとも前記車両の前後方向の測位を行う前後方向状況検出手段を有しており、前記前後方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低い場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限することが好ましい。
【0012】
また、上記車両制御装置において、前記前後方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低いことにより前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限した場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を増加させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両制御装置は、より精度よく、車両の走行制御を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置が設けられた車両の概略図である。
【図2】図2は、図1に示す車両制御装置の要部構成図である。
【図3】図3は、車両の走行時の環境に基づいて車両の走行制御を行う場合における概略図である。
【図4】図4は、検出した情報の信頼度と走行可能領域の削減量との関係を示す説明図である。
【図5】図5は、車両の走行時の環境に基づいて車両の走行制御を行う場合におけるフロー図である。
【図6−1】図6−1は、GPSを用いて走行可能領域を導出する際における信頼度の説明図である。
【図6−2】図6−2は、GPSを用いて走行可能領域を導出する際における信頼度の説明図である。
【図6−3】図6−3は、GPSを用いて走行可能領域を導出する際における信頼度の説明図である。
【図6−4】図6−4は、GPSを用いて走行可能領域を導出する際における信頼度の説明図である。
【図7】図7は、レーダーでの検出結果に基づいて車両の運動状態を推定する場合における処理手順を示すフロー図である。
【図8】図8は、タイヤ摩擦円のベースモデルを示す概略図である。
【図9】図9は、タイヤ発生力の横方向の限界を小さくする場合の説明図である。
【図10】図10は、タイヤ発生力の横方向の限界を小さくした場合の走行制御を示す説明図である。
【図11】図11は、タイヤ発生力の前後方向の限界を小さくする場合の説明図である。
【図12】図12は、タイヤ発生力の前後方向の限界を小さくした場合の走行制御を示す説明図である。
【図13】図13は、軌跡生成最適化アルゴリズムによって走行経路を計算する場合における説明図である。
【図14】図14は、軌跡生成最適化アルゴリズムによる走行経路の計算のフロー図である。
【図15】図15は、最短回避を実現するために必要な車体前後・横力を算出する際の説明図である。
【図16】図16は、車体加速度を固定値で与える場合における最短回避距離の算出手段についての概念図である。
【図17】図17は、制御を開始するか否かの判定に用いるマップの一例を示す説明図である。
【図18】図18は、直進制動が最短回避となる条件についての説明図である。
【図19−1】図19−1は、従来の車両制御装置で車両の走行制御を行う場合の概念図である。
【図19−2】図19−2は、図19−1よりも制御限界に近付いた状態を示す説明図である。
【図19−3】図19−3は、従来の車両制御装置での制御時に制御限界上で制御を行っている状態を示す説明図である。
【図19−4】図19−4は、従来の車両制御装置での制御時に制御限界を超えた状態を示す説明図である。
【図20−1】図20−1は、実施形態に係る車両制御装置で車両の走行制御を行う場合の概念図である。
【図20−2】図20−2は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界を検出する状態を示す説明図である。
【図20−3】図20−3は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界を検出した状態を示す説明図である。
【図20−4】図20−4は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界の範囲内で制御を行う状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る車両制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
〔実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置が設けられた車両の概略図である。実施形態に係る車両制御装置2を備える車両1は、内燃機関であるエンジン12が動力源として搭載され、エンジン12の動力によって走行可能になっている。このエンジン12には変速装置の一例である自動変速機15が接続されており、エンジン12が発生した動力は、自動変速機15に伝達可能になっている。この自動変速機15は、変速比が異なるギア段を複数有しており、自動変速機15で変速した動力は動力伝達経路を介して、車両1が有する車輪5のうち駆動輪として設けられる左右の前輪6へ駆動力として伝達されることにより、車両1は走行可能になっている。これらのように、エンジン12や自動変速機15等、駆動輪である前輪6に駆動力を伝達可能な装置は、駆動装置10として設けられている。また、駆動装置10を構成する自動変速機15には、当該自動変速機15の出力軸(図示省略)の回転速度を検出することを介して車速を検出可能な車速検出手段である車速センサ16が設けられている。
【0017】
また、当該車両1には、運転者が運転操作をする際に用いるアクセルペダル20及びブレーキペダル25が備えられており、さらに、これらのペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ21及びブレーキセンサ26が設けられている。
【0018】
なお、実施形態に係る車両制御装置2を備える車両1は、エンジン12で発生した動力が前輪6に伝達され、前輪6で駆動力を発生する、いわゆる前輪駆動車となっているが、車両1は、後輪7で駆動力を発生する後輪駆動や、全ての車輪5で駆動力を発生する四輪駆動など、前輪駆動以外の駆動形式であってもよい。また、エンジン12は、レシプロ式の火花点火内燃機関であってもよく、レシプロ式の圧縮点火内燃機関であってもよい。また、駆動装置10は、動力源として内燃機関以外を使用してもよく、動力源として電動機を用いる電気式の駆動装置10や、エンジン12と電動機との双方を用いるハイブリッド式の駆動装置10であってもよい。
【0019】
前輪6は駆動輪として設けられると同時に操舵輪としても設けられており、このため前輪6は、運転者が運転操作を行う際に用いるハンドル30によって操舵可能に設けられている。このハンドル30は、電動パワーステアリング装置であるEPS(Electric Power Steering)装置35に接続されており、EPS装置35を介して、前輪6を操舵可能に設けられている。また、このように設けられるEPS装置35には、ハンドル30の回転角度である舵角を検出する舵角検出手段である舵角センサ36が設けられている。さらに、前輪6の操舵は、車速と舵角とに応じてステアリングのギア比を変更することができるギア比可変ステアリングであるVGRS(Variable Gear Ratio Steering)38により、操舵可能に設けられている。
【0020】
また、各車輪5の近傍には、油圧によって作動するホイールシリンダ51と、このホイールシリンダ51と組みになって設けられると共に車輪5の回転時には車輪5と一体となって回転するブレーキディスク52とが設けられている。さらに、車両1には、ホイールシリンダ51と油圧経路53によって接続され、ブレーキ操作時に、ホイールシリンダ51に作用させる油圧を制御するブレーキ油圧制御装置50が設けられている。このブレーキ油圧制御装置50は、各車輪5の近傍に設けられる各ホイールシリンダ51に対して、それぞれ独立して油圧の制御が可能に設けられている。これによりブレーキ油圧制御装置50は、複数の車輪5の制動力をそれぞれ独立して制御可能に設けられている。
【0021】
これらのエンジン12や自動変速機15、EPS装置35やVGRS38、さらに、ブレーキ油圧制御装置50やホイールシリンダ51は、車両1の走行を実現するアクチュエータとして設けられている。また、これらのアクチュエータのうち、エンジン12や自動変速機15、さらに、ブレーキ油圧制御装置50やホイールシリンダ51は、加速や制動の制御を行うことができるため、これらは車両1の前後方向の走行制御を行うアクチュエータとして設けられている。また、EPS装置35やVGRS38は、前輪6の向きを変えることにより車両1の進行方向を変えることができるため、これらは車両1の左右方向、即ち車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータとして設けられている。
【0022】
また、車両1の前端には、車両1の前方の状態を撮像する撮像手段であるカメラ60と、前方を走行する他の車両との車間距離を検出する車間距離検出手段であるレーダー61と、が設けられている。このうち、カメラ60は、CCD(Charge Coupled Device)等が用いられており、撮像した画像の電気的な処理が可能になっている。また、車両1には、カーナビゲーションシステム65が設けられている。このカーナビゲーションシステム65は、GPS(Global Positioning System)(図示省略)と、カーナビゲーションシステム65に設けられる記憶部(図示省略)に記憶された地図情報とを用いることにより、現在の自車の位置と、周辺の道路状況を運転者が認識することができる装置となっている。
【0023】
これらのカメラ60、レーダー61、カーナビゲーションシステム65は、全て車両1の周辺の状況を検出する走行状況検出手段として設けられている。また、これらの走行状況検出手段のうち、カメラ60は、車両1の横方向の測位を行う横方向状況検出手段として設けられ、レーダー61は、車両1の前後方向の測位を行う前後方向状況検出手段として設けられている。
【0024】
図2は、図1に示す車両制御装置の要部構成図である。これらのように車両1に搭載される各装置のうち、駆動装置10を構成するエンジン12や自動変速機15、EPS装置35、VGRS38、ブレーキ油圧制御装置50は、車両1に搭載されると共に車両1の運動制御を行う運動制御ECU(Electronic Control Unit)70に接続されており、この運動制御ECU70により制御されて作動する。また、この運動制御ECU70には、アクセル開度センサ21やブレーキセンサ26、車速センサ16が接続されており、これらのアクセル開度センサ21やブレーキセンサ26、車速センサ16は、アクセルペダル20やブレーキペダル25の開度、車速を検出して、運動制御ECU70に伝達する。
【0025】
また、カメラ60、レーダー61、カーナビゲーションシステム65は、車両1の走行時における運転計画を生成する運転計画生成ECU80に接続されており、各装置で取得した情報は、運転計画生成ECU80に伝達される。また、これらの運動制御ECU70と運転計画生成ECU80とは、互いに接続され、情報や信号のやり取りが可能になっている。これらの運動制御ECU70及び運転計画生成ECU80のハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0026】
これらのECUのうち、運動制御ECU70は、エンジン12の運転制御を行うエンジン制御部71と、ブレーキ油圧制御装置50を制御することにより制動力の制御を行うブレーキ制御部72と、EPS装置35の制御を行う舵角制御部73と、車速と舵角とに応じて舵角に対する前輪6の操舵の比率を調節することにより、VGRS38の制御を行うVGRS制御部74と、を有している。
【0027】
また、運転計画生成ECU80は、カーナビゲーションシステム65を用いて自らの車両1が走行している位置、即ち自車の位置を取得する自車位置取得部81と、自車の周囲において自車が走行可能な領域である走行可能領域を導出する走行可能領域導出部82と、走行可能領域を導出する際に用いる情報の信頼度を判断する信頼度判断部83と、カメラ60で撮影した画像に基づいて車両1が走行をしている道路上の白線を認識する白線認識部85と、レーダー61での検出結果を取得するレーダー検出取得部86と、車両1の走行予定経路を算出する走行経路算出部90と、導出した走行可能領域に応じてタイヤ発生力の上限値を調節する上限値調節部98と、を有している。
【0028】
また、このうち走行経路算出部90は、車両1と障害物との相対関係を検出する障害物状態検出部91と、障害物を最短距離で回避するために必要な力を算出する回避力算出部92と、障害物を回避するのに必要な自車と障害物との最短の距離である最短回避距離を算出する回避距離算出部93と、障害物を回避する制御を開始するか否かの判定を行う制御開始判定部94と、障害物を回避する際に直進制動を行うか否かの判定を行う直進制動判定部95と、障害物を回避する際における制御量を算出する制御量算出部96と、を有している。
【0029】
この実施形態に係る車両制御装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の通常の走行時は、運転者がハンドル30やアクセルペダル20、ブレーキペダル25を操作することにより、エンジン12やブレーキ油圧制御装置50、EPS装置35等の各アクチュエータが作動し、車両1は運転者の運転操作に応じて走行をする。
【0030】
また、この実施形態に係る車両制御装置2は、切替スイッチ(図示省略)を切り替える等、運転者の意思に基づいて必要に応じて運転者による運転の支援を行い、車両1が走行している道路等の周辺状況の先読みを行って車両1の走行制御を行うことが可能に設けられている。即ち、運転支援制御を行うことが可能に設けられており、この運転支援制御を行う場合には、カメラ60やレーダー61等で車両1が走行している道路の周辺状況の情報を取得し、取得した情報に基づいて車両1の走行制御を行う。
【0031】
このような走行制御を行う場合において、車両1が走行している道路の周辺状況の情報を取得する場合、カメラ60やレーダー61等、複数の走行状況検出手段での検出結果に基づいて取得するが、これらの検出手段は、情報の検出時の状態によって信頼度が変化する場合がある。このため、実施形態に係る車両制御装置2では、車両1が走行している道路の周辺状況の情報を複数の走行状況検出手段で検出し、この検出した情報と、検出時における各検出手段の信頼度とに基づいて車両1の周辺状況を推測し、推測した結果に応じて車両1の走行制御を行う。
【0032】
図3は、車両の走行時の環境に基づいて車両の走行制御を行う場合における概略図である。車両1が走行している道路の周辺状況の情報を取得して運転支援の走行制御を行う場合における概略について説明すると、この制御を行う場合には、周辺状況を検出する際に複数の走行状況検出手段で周辺状況を検出し、それぞれの走行状況検出手段の信頼度を判断して車両1の走行制御を行う。例えば、カメラ60等の車両1が走行している道路の横方向の情報を検出する横方向状況検出手段である横方向認識センサ105での検出結果と、レーダー61等の車両1の前後方向の情報を検出する前後方向状況検出手段である前後方向認識センサ106での検出結果に基づいて車両1の走行制御を行う。これらの横方向認識センサ105での検出結果と前後方向認識センサ106での検出結果とに基づいて行う車両1の走行制御について順番に説明すると、横方向認識センサ105では、車両1が走行をしている道路の走行可能領域をセンシングする。即ち、カメラ60等の横方向認識センサ105によって、道路の幅や車線の幅をセンシングする(ステップST101)。
【0033】
このように、横方向認識センサ105で走行可能領域を検出したら、現在の横方向認識センサ105の検出状態より、当該横方向認識センサ105で検出した情報の信頼度に応じて、検出した走行可能領域の削減量を判断する(ステップST102)。図4は、検出した情報の信頼度と走行可能領域の削減量との関係を示す説明図である。横方向認識センサ105で検出した情報の信頼度に応じて走行可能領域の削減量を判断する場合には、横方向認識センサ105での検出状態より、横方向認識センサ105で検出した情報の信頼度が低くなるに従って、横方向認識センサ105で検出した走行可能領域を削減する。反対に、横方向認識センサ105での検出状態より、横方向認識センサ105で検出した情報の信頼度が高い場合には、この情報の信頼度が高くなるに従って、横方向認識センサ105で検出した走行可能領域の削減量を低下させて、走行可能領域を維持する。
【0034】
車両1の走行制御を行う際に用いる道路の走行可能領域である道路幅は、このように横方向認識センサ105で走行可能領域を検出する際における横方向認識センサ105で検出した情報の信頼度に基づいて確定する(ステップST103)。
【0035】
また、同様に前後方向認識センサ106では、車両1の前後方向の道路の余裕をセンシングする(ステップST111)。このように、前後方向認識センサ106で車両1の前後方向の道路の余裕を検出したら、現在の前後方向認識センサ106の検出状態より、当該前後方向認識センサ106での検出の信頼度に応じて検出した前後方向の道路の余裕の削減量を判断する(ステップST112、図4参照)。即ち、前後方向認識センサ106での検出状態より、前後方向認識センサ106で検出した情報の信頼度が低くなるに従って、前後方向認識センサ106で検出した前後方向の道路の余裕を削減し、前後方向認識センサ106で検出した情報の信頼度が高くなるに従って、前後方向認識センサ106で検出した前後方向の道路の余裕の削減量を低下させて前後方向の道路の余裕を維持する。
【0036】
車両1の走行制御を行う際に用いる道路の前後方向の余裕は、このように前後方向認識センサ106で前後方向の余裕を検出する際における前後方向認識センサ106で検出した情報の信頼度に基づいて確定する(ステップST113)。
【0037】
なお、これらの走行可能領域を確定するまでのステップ(ステップST101〜ST103)と、前後方向の道路の余裕を確定するまでのステップ(ステップST111〜ST113)とは、並行して処理を行ってもよく、または双方のステップを順番に行ってもよい。
【0038】
これらのように、走行可能領域と前後方向の道路の余裕とを確定したら、これらを足し合わせる(ステップST121)。これにより、車両1が走行している道路の幅方向と前後方向とにおいて走行可能である確実性の高い領域である走行可能領域を確定することができる。車両1の走行制御を行う際には、このように確定した走行可能領域から、所望の走行に従って適切な制御量を計算する(ステップST122)。
【0039】
車両1が走行している道路の周辺状況の情報を取得して、運転支援の走行制御を行う場合は、このように行うが、次に、この制御について、より具体的に説明する。図5は、車両の走行時の環境に基づいて車両の走行制御を行う場合におけるフロー図である。これらのように、車両1の走行中に走行可能領域を算出する際には、上述したように車両1が走行している道路幅や走行中の車両1の前後方向における余裕を確定するが、これらの精度を高めるには、自らの車両1である自車が走行している状況を認識する必要がある。このため、自車が走行している道路幅や走行中の自車の前後方向における余裕を確定するために、自車が走行している位置の認識を行い、走行している位置を把握する必要がある。
【0040】
このように、自車が走行している位置を把握するためには、カーナビゲーションシステム65で用いられるGPSによるドップラ周波数シフトから推定される速度積算を使用する(ステップST201)。自車が走行している位置を把握するためにGPSを使用する場合には、GPSで用いられる衛星から発信される電波をカーナビゲーションシステム65で受信する際に、衛星と自車との相対的な移動に起因するドップラ周波数シフトから推定される速度を積算する。この積算は、運転計画生成ECU80が有する自車位置取得部81で行う。
【0041】
自車位置取得部81では、このようにドップラ周波数シフトから推定される速度を積算することにより、走行中の自車の位置を把握する(ステップST202)。つまり、自車が走行中の場合、電波を発信する衛星と自車との相対位置が変化するが、このように相対位置が変化しながらカーナビゲーションシステム65で電波を受信する場合、受信時の周波数は発信時の周波数から変化し、いわゆるドップラ周波数が発生する。また、このドップラ周波数は、衛星と自車との相対的な移動状態に応じて周波数がシフトする。このため、このドップラ周波数シフトから推定される速度を積算することにより、走行中の自車と電波を発信する衛星との位置関係のみでなく、相対的な移動関係も認識することができ、自車の位置の、より正確な位置の把握が可能になる。なお、本実施形態に係る車両制御装置2では、自車が走行している位置を把握する際に用いる手段の代表的なものとして、ドップラ周波数を利用した速度推定結果の積算を利用するものを説明しているが、自車が走行している位置を把握する手段は、これ以外のもの用いてもよい。自車が走行している位置を把握する手段は、何らかの軌跡を推定する手段であればよく、軌跡を推定することにより自車が走行している位置を適切に把握することができれば、その手段は問わない。
【0042】
このように、自車位置を把握したら、次に、自車位置を高精度地図に重ね合わせる(ステップST203)。これにより、現在自車はどの地点をどの程度の速度でどの方向に向かって走行しているかを把握する。次に、高精度地図に重ね合わせた自車の位置が、地図上における道路からずれているか否かを判定する(ステップST204)。
【0043】
この判定により、自車位置が地図上における道路からずれていると判定された場合には、ランドマークによるリセットを行う(ステップST205)。即ち、ドップラ周波数シフトから推定される速度を積算することにより把握した自車位置と地図上における自車の近傍のランドマークとの距離と、地図上における当該ランドマークとこのランドマークの近傍の道路との距離との差が所定の差よりも大きい場合は、把握した自車位置をリセットする。これらにより、現実の自車の位置を、高精度地図上における自車の位置として、より正確に反映し、自車位置取得部81は、自車の正確な位置を取得する。
【0044】
これに対し、高精度地図に重ね合わせた自車の位置が、地図上における道路からずれていないと判定された場合には、次に、前後左右走行可能領域を把握する(ステップST206)。つまり、現在自車が走行中の道路における自車の前後方向及び左右方向の走行可能領域を、地図上における自車の位置と、自車の周囲の道路の状態より、運転計画生成ECU80が有する走行可能領域導出部82によって導出し、このようにGPSを用いて割り出した自車の位置より導出した走行可能領域を、前後左右走行可能領域として走行可能領域導出部82で把握する。
【0045】
また、このようにドップラ周波数シフトから推定される速度積算を行うことによって前後左右走行可能領域を導出する際には、GPSを用いて自車の位置を割り出した際における情報の信頼度も把握する(ステップST207)。この情報の信頼度の把握は、運転計画生成ECU80が有する信頼度判断部83で信頼度を判断し、把握する。即ち、信頼度判断部83は、ドップラ周波数シフトから推定される速度積算を行うことによって前後左右走行可能領域を導出する際における信頼度を、GPSの状態に応じて判断して把握する。
【0046】
次に、走行可能領域導出部82によって把握した車両1の現在の前後左右走行可能領域の削減量を判断する(ステップST208、図4参照)。つまり、走行可能領域導出部82によって把握した現在の前後左右走行可能領域と、信頼度判断部83で把握した前後左右走行可能領域を導出した際における情報の信頼度とより、前後左右走行可能領域を導出した際における情報の信頼度が低くなるに従って、カーナビゲーションシステム65を用いて把握した前後左右走行可能領域の削減量を増加させる、反対に、前後左右走行可能領域を導出した際における情報の信頼度が高くなるに従って、前後左右走行可能領域の削減量を低下させる。
【0047】
このように、車両1の走行制御を行う際に用いる前後左右走行可能領域(Latgps、Longgps)は、GPSの状態に応じて判断した、前後左右走行可能領域を導出する際における情報の信頼度に基づいて確定する(ステップST209)。
【0048】
また、自車の位置を把握し、高精度地図と重ね合わせることにより、このように現在走行している自車の地図上における位置での走行可能な領域を確定することができるが、車両1の走行制御時には、さらに、車両1の左右方向や前後方向の余裕等の実際の周囲の状況に基づいて走行可能領域を導出する。このように、車両1の左右方向や前後方向の余裕等に基づいて走行可能領域を導出する場合には、車両1の周囲の状況を直接検出することができる検出手段を用いて周囲の状況を検出し、走行可能領域を導出する。
【0049】
このうち、車両1の左右方向の状態を検出する検出手段としては、横方向認識センサ105の一例であるカメラ60を白線認識カメラとして使用し、カメラ60を用いて道路上の白線を認識する(ステップST211)。つまり、カメラ60で車両1が走行している道路における車両1の前方周辺を撮影し、道路上にペイントされている白線を認識する。この認識は、運転計画生成ECU80が有する白線認識部85で行う。即ち、白線認識部85は、カメラ60で撮影した画像を取得し、この画像中の白線を認識することにより、道路上の白線を認識する。
【0050】
次に、白線認識部85で認識した白線に基づいて、走行可能領域導出部82で左右方向走行可能領域を把握する(ステップST212)。走行可能領域導出部82では、白線認識部85で認識した白線の位置に基づいて、現在車両1が走行している道路における道路の幅を把握する。即ち、走行可能領域導出部82は、白線認識部85で認識した白線に基づいて、車両1の進行方向における左右方向に位置する白線同士の間隔、または白線と路肩との間隔を、現在車両1が走行している車線の幅として算出し、この車線の幅を、左右方向走行可能領域として導出し、把握する。
【0051】
また、このように白線認識部85で認識した白線に基づいて左右方向走行可能領域を把握する際には、カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を把握する際における情報の信頼度も、信頼度判断部83によって把握する(ステップST213)。信頼度判断部83は、車両1の進行方向における左右方向、或いは走行中の道路の幅方向における走行可能領域である左右方向走行可能領域を導出する際における情報の信頼度を、カメラ60で撮影した画像に応じて判断し、把握する。
【0052】
次に、走行可能領域導出部82で車線の幅に基づいて把握した車両1の現在の左右方向走行可能領域の削減量を判断する(ステップST214、図4参照)。つまり、車線の幅に基づいて走行可能領域導出部82によって把握した現在の左右方向走行可能領域と、カメラ60で撮影した画像に基づいて信頼度判断部83で判断した左右方向走行可能領域を導出する際における情報の信頼度とより、この信頼度が低くなるに従って、走行可能領域導出部82は左右方向走行可能領域の削減量を増加させる。反対に、走行可能領域導出部82は、この情報の信頼度が高くなるに従って、左右方向走行可能領域の削減量を低下させる。
【0053】
走行可能領域導出部82は、このように白線認識カメラとして用いられるカメラ60で撮影した画像に基づいて導出した左右方向走行可能領域(Latcmr)を、カメラ60で撮影した画像に応じて判断した、左右方向走行可能領域の情報の信頼度に基づいて確定する(ステップST215)。
【0054】
また、車両1の前後方向の余裕を検出する検出手段としては、レーザーを用いて車両1の周囲の状態の認識が可能なレーザーレーダーとして用いられるレーダー61を、前後方向認識センサ106の一例として使用する(ステップST221)。つまり、レーダー61は、レーザーを所定の方向に照射し、この照射したレーザーが他の車両等に当たって反射した際における反射レーザーを受けることにより、自車の前後方向の障害物等を検出する。この検出結果は、運転計画生成ECU80が有するレーダー検出取得部86に伝達され、レーダー検出取得部86で取得する。即ち、レーダー検出取得部86は、レーダー61での検出結果を取得することにより、自車の前方を走行する他の車両の存在を認識するなど、自車の周囲の状況を認識する。
【0055】
次に、レーダー61での検出結果をレーダー検出取得部86で取得することにより認識した自車の周囲の状況に基づいて、走行可能領域導出部82で前後方向道路余裕を把握する(ステップST222)。走行可能領域導出部82では、レーダー検出取得部86で認識した自車の周囲の状況に基づいて、現在の自車の前後方向の余裕を導出し、把握する。即ち、走行可能領域導出部82は、レーダー検出取得部86で認識した自車の周囲の状況、具体的には、主に車両1の進行方向における前方の状況に基づいて自車と他の車両等との距離を算出し、この算出した距離を前後方向の道路の余裕として導出して把握する。
【0056】
また、このようにレーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を把握する際には、レーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を把握する際における情報の信頼度も、信頼度判断部83によって判断し、把握する(ステップST223)。信頼度判断部83は、車両1の前後方向における道路の余裕を導出する際における情報の信頼度を、レーダー61での検出結果に応じて判断して把握する。
【0057】
次に、走行可能領域導出部82でレーダー61での検出結果に基づいて把握した車両1の前後方向における道路の余裕の削減量を判断する(ステップST224、図4参照)。つまり、レーダー61での検出結果に基づいて走行可能領域導出部82によって把握した現在の前後方向道路余裕と、レーダー61での検出結果に基づいて信頼度判断部83で判断した前後方向道路余裕を導出する際における情報の信頼度とより、この信頼度が低くなるに従って、走行可能領域導出部82は前後方向道路余裕の削減量を増加させる。反対に、走行可能領域導出部82は、この情報の信頼度が高くなるに従って、前後方向道路余裕の削減量を低下させる。
【0058】
走行可能領域導出部82は、このようにレーダー61での検出結果に基づいて導出した前後方向道路余裕(Longrdr)を、レーダー61での検出結果に応じて判断した、前後方向道路余裕の情報の信頼度に基づいて確定する(ステップST225)。
【0059】
なお、これらの前後左右走行可能領域を確定するまでのステップ(ステップST201〜ST209)と、左右方向走行可能領域を確定するまでのステップ(ステップST211〜ST215)と、前後方向道路余裕を確定するまでのステップ(ステップST221〜ST225)とは、並行して処理を行ってもよく、またはそれぞれのステップを順番に行ってもよい。
【0060】
これらのように、カーナビゲーションシステム65やカメラ60、レーダー61を用いて前後左右走行可能領域(Latgps、Longgps)、左右方向走行可能領域(Latcmr)、前後方向道路余裕(Longrdr)を導出した走行可能領域導出部82は、さらに、これらを用いて走行可能領域を確定する(ステップST231)。これら各走行可能な領域を導出した走行可能領域導出部82は、車両1の走行時における前後方向と左右方向のそれぞれの走行可能領域のうち、値が小さい走行可能領域を、それぞれの方向における走行可能領域として確定する。
【0061】
詳しくは、走行可能領域導出部82は、カーナビゲーションシステム65を用いて導出した前後方向走行可能領域Longgpsと、レーダー61での検出結果に基づいて導出した前後方向道路余裕Longrdrとを比較して、小さい方を前後方向の走行可能領域として確定する。同様に、走行可能領域導出部82は、カーナビゲーションシステム65を用いて導出した左右方向走行可能領域Latgpsと、カメラ60で撮影した画像に基づいて導出した左右方向走行可能領域Latcmrとを比較して、小さい方を左右方向の走行可能領域として確定する。つまり、走行可能領域導出部82は、前後方向の走行可能領域は、{前後方向=MIN(Longgps,Longrdr)}で導出することにより確定し、左右方向の走行可能領域は、{左右方向=MIN(Latgps,Latcmr)}で導出することにより確定する。
【0062】
次に、将来走行予定経路を確定する(ステップST232)。この将来走行予定経路は、カーナビゲーションシステム65に入力された車両1の目的地に向かう経路や、運転者の運転操作に基づいて、運転計画生成ECU80が有する走行経路算出部90によって、現在から所定の時間が経過するまでの間の車両1の走行予定経路を導出し、確定する。
【0063】
次に、走行可能領域を平面上でタイヤ摩擦円のμに置き換える(ステップST233)。この置き換えは、運転計画生成ECU80が有する上限値調節部98で行う。上限値調節部98は、走行可能領域導出部82で導出して確定した走行可能領域を、前後左右の方向における車輪5の摩擦力の合力の限界を示す円であるタイヤ摩擦円のμに置き換えることにより、タイヤ摩擦円を用いて示されるタイヤ発生力に、走行可能領域の状態を反映させる。これにより、車両1の走行制御を行う際において制御の上限を定める際の基準となるタイヤ発生力の大きさを、確定した走行可能領域に応じて調節する。例えば、前後方向の走行可能領域に余裕があり、左右方向の走行可能領域には余裕があまり無い場合には、横方向のタイヤ摩擦円のμを小さくし、車両1の走行制御を行う際に、車両1の横方向に発生する力の割合が小さくなるようにタイヤ発生力を示すタイヤ摩擦円を調節する。
【0064】
次に、軌跡生成最適化アルゴリズムにより走行経路の計算を行う(ステップST234)。この計算は、走行経路算出部90で行う。走行経路算出部90は、車両1の走行制御を行う場合において、走行軌跡を算出するための手法として予め設定されて運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている軌跡生成最適化アルゴリズムに、上限値調節部98で設定したタイヤ発生力を当てはめることにより、走行経路を計算する。
【0065】
次に、理想走行計画を算出する(ステップST235)。この理想走行計画は、車両1の走行制御を行う際における理想的な走行計画として走行経路算出部90で算出する。走行経路算出部90は、当該走行経路算出部90で確定した将来走行予定経路に、軌跡生成最適化アルゴリズムを用いて計算した走行経路を当てはめ、双方を足し合わせることにより算出する。これにより、走行経路算出部90は、タイヤ発生力を含めて理想走行計画を算出することになるので、前後方向や左右方向の走行可能領域に応じて理想走行計画を算出することになり、換言すると、走行可能領域を導出する際における情報の信頼度に応じて、理想走行計画を算出する。
【0066】
次に、理想走行計画に従った車両運転の制御を実行する(ステップST236)。この運転制御は、運動制御ECU70で行う。運動制御ECU70は、エンジン12等、車両1を走行させる際における各アクチュエータを、当該運動制御ECU70に備えられるエンジン制御部71やブレーキ制御部72等の各制御部で制御することにより、走行経路算出部90で算出した理想走行計画に従った走行制御を実行する。これにより車両1は、理想走行計画に沿った走行をする。
【0067】
実施形態に係る車両制御装置2で運転支援制御を行う場合において走行可能領域を導出する際には、上述したように走行可能領域の導出に用いる各走行状況検出手段を用いて、車両1の周辺の状況を検出した際における情報の信頼度に応じて走行可能領域を削減するが、次に、このように各走行状況検出手段を用いて走行可能領域を導出する際における情報の信頼度の求め方について説明する。図6−1〜図6−4は、GPSを用いて走行可能領域を導出する際における信頼度の説明図である。走行可能領域を導出する際に、ドップラ周波数シフトから推定される速度積算によるGPS速度の推定精度を判定し、導出した情報の信頼度を判定する場合には、GPSに用いられる衛星の状態に応じて信頼度を判定する。例えば、図6−1に示すように、可視衛星数によって信頼度を変化させることにより判定する。つまり、GPSに用いられる衛星は、地球上のどの位置でもいずれかの衛星が視認できるように地球上の全範囲の上空に位置しているが、地上から見える範囲に位置する衛星である可視衛星の数は、地上の地点によって異なっている。また、GPSを用いて車両1の速度を推定する際の精度は、可視衛星の数が多くなるに従って、速度の推定精度が高くなる傾向にある。このため、可視衛星数によって信頼度を変化させる場合には、可視衛星数が多くなるに従って信頼度を高くし、可視衛星数が少なくなるに従って信頼度を低くして信頼度を判定する。
【0068】
また、このGPSを用いて走行可能領域を導出する際における情報の信頼度は、衛星情報によって判定してもよい。つまり、可視衛星であっても一定の仰角以下の衛星やS/Nが低い衛星は、衛星から送信される電波が反射や回折の影響を受けている可能性があり、このような衛星では、速度推定精度が劣化している可能性がある。このため、例えば、図6−2に示すように、可視衛星に含まれる一定仰角以下の衛星数が多くなるに従って信頼度を低くし、一定仰角以下の衛星数が少なくなるに従って信頼度を高くして信頼度を判定する。同様に、図6−3に示すように、一定のS/N以下の衛星数が多くなるに従って信頼度を低くし、一定のS/N以下の衛星数が少なくなるに従って信頼度を高くして信頼度を判定する。
【0069】
また、このGPSを用いて走行可能領域を導出する際における情報の信頼度は、推定速度と相対速度の残差によって判定してもよい。例えば、可視衛星数が5個以上あった場合、速度推定結果と衛星との相対速度の残差を算出し、その残差に応じて信頼度を判定してもよい。
【0070】
ここで、この残差の算出方法について説明すると、自車のおよその位置から、自車を中心とした衛星の視線方向を計算することができるため、この自車を中心とする絶対座標系で算出した自車速度を視線方向成分に変換することにより、自車〜衛星方向への自車速度を算出し、これをVviとする。
【0071】
また、衛星の速度はケプラーの法則によって決定でき、自車との視線方向は上記の通り計算できるため、衛星速度を視線方向成分に変換することにより、自車〜衛星方向への衛星速度を算出し、これをVsiとする。
【0072】
また、車両1に搭載されるカーナビゲーションシステム65が有するGPS受信機(図示省略)から得られる観測値として、ドップラ周波数シフト量があるが、このドップラ周波数シフト量は自車と衛星方向の相対速度に換算でき、これをVv2siとする。
【0073】
また、GPSを用いて自車位置を算出する場合は、GPSで用いられる時刻を重要な要素として算出するが、受信機で使用される時計誤差の変動であるクロックバイアスドリフトを推定し、この推定したクロックバイアスドリフトをCbvとすると、上記の各速度(Vvi、Vsi、Vv2si)に誤差がない場合には、これらの関係は(Vv2si=Vsi−Vvi+Cvb)で示すことができる。さらに、この関係式の右辺を推定値としてVv2si_estとすると、全衛星の(|Vv2si=Vv2si_est|)の総和が少ない場合には、推定値の信頼度が高いと考えられる。反対に、この総和が大きい場合には、全体的に誤差が大きく、推定値の信頼度は低いと考えられる。
【0074】
これらのように、推定した自車速度と衛星速度から算出される自車と衛星との間の相対速度と、ドップラ周波数シフト量から換算され、自車と衛星との間の相対速度を示す観測値との差を算出し、この残差が大きい場合は、GPSを用いて走行可能領域を導出した際における情報の信頼度は低いと判定することができる。このため、可視衛星の数が5個以上ある場合には、この残差を算出し、図6−4に示すように、算出した残差が小さくなるに従って情報の信頼度を高く判定し、残差が大きくなるに従って情報の信頼度を低く判定する。
【0075】
なお、走行可能領域を導出する際に、GPSに用いられる衛星の状態に応じて情報の信頼度を判定する場合には、上述した各判定方法を単体で判定してもよく、また、各判定方法を組み合わせて判定してもよい。複数の判定方法を組み合わせて判定することにより、信頼度を判定する際における精度を、より高くすることができる。
【0076】
次に、カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を導出する際における情報の信頼度の判定方法について説明する。カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を導出する場合は、撮影した画像に基づいて車両1の運動状態を推定したり車両1の姿勢を推定したりし、信頼度を判定する場合には、この推定結果のそれぞれについて信頼度を判定するが、まず、車両1の運動状態を推定した場合における情報の信頼度の判定について説明する。
【0077】
カメラ60で撮影した画像に基づいて行う車両1の運動状態の推定について説明すると、運動状態を推定する場合は、まず、撮影した画像中の特徴点を抽出し、抽出した特徴点を時系列で追跡する。この特徴点としては、例えば道路上の白線の輪郭上に位置する点や、道路標識等の設置物における特徴となる部分の点、さらに、他の交通機関における特徴となる部分の点等を、特徴点として抽出することができる。次に、追跡した複数の特徴点の角度変化と並進移動量を、カメラ60で撮影される部分はどのように変化しているかを推定する際における基準となる推定パラメータとし、このうち、時系列間の照合度が高いパラメータを推定値とする。
【0078】
ここで、この場合の照合度について説明すると、カメラ60の撮影方向に位置する静止物は、自車の運動に応じてカメラ60との相対的な位置関係が変化するため、この静止物上における特徴点は、自車の運動に従って画像中の投影位置が決定される。このため、画像を撮影した時間t1と、t1から所定の時間が経過した後に画像を撮影した時間t2との双方の時間で撮影した画像を比較した場合において、画像中に静止物が撮影されている場合は、この静止物上の全ての特徴点が同じ運動に従って、t1の画像中からt2の画像上に変換される。これにより、車両1の運動は、特徴点を追跡することにより推定することができる。
【0079】
しかし、このように所定の時間が経過した場合における画像同士を比較することにより画像中の特徴点の変化を追跡した場合に、追跡結果が間違えている場合は、運動の推定精度に影響する。車両1の運動を推定した際における推定結果を間違えた場合、その後に画像の特徴点を追跡した場合に、一部の特徴点は推定結果に従い、他の一部の特徴点は推定結果と異なった結果となる場合がある。照合度が高いということは、時系列間で特徴点を追跡した場合に、運動推定結果に従う特徴点の数が多い、ということを示している。
【0080】
これらのため、カメラ60で撮影した画像に基づいた情報の信頼度を判定する際において、特徴点の角度変化や並進移動量を、車両1の左右方向走行可能領域を導出する際に用いる車両1の走行状態の推定値とする場合には、撮影した画像の特徴点を時系列的に追跡した場合における特徴点の角度変化や並進移動量を推定パラメータとして追跡した際に、運動推定結果に従う特徴点の数が多いパラメータを、推定値として使用する。
【0081】
また、カメラ60で撮影した画像中に移動物などが存在する場合、車両1の走行状態を推定する際における推定精度が低下する可能性があり、この場合において特徴点を追跡した場合、推定したパラメータと合わない追跡結果の割合が増加する。このように、特徴点を追跡した場合において、推定したパラメータと合わない追跡結果の割合が大きい場合は推定値の信頼度を低くし、多くの追跡結果が推定したパラメータに合致する場合は推定値の信頼度を高くする。即ち、カメラ60で撮影した画像中の特徴点を追跡した場合に、この追跡した特徴点の変化が、推定した車両1の運動による特徴点の変化と合致する割合が高くなるに従って、推定値の信頼度を高くする。
【0082】
次に、カメラ60で撮影した画像に基づいて車両1の姿勢を推定した場合における情報の信頼度の判定について説明する。カメラ60で撮影した画像に基づいて行う車両1の姿勢の推定について説明すると、車両1の姿勢を推定する場合は、撮影した画像中の道路の白線に対するヨー角やピッチ角を算出する。例えば、撮影した画像中の白線の輪郭をエッジとし、このエッジの方向をハフ変換などで算出し、エッジの方向に対するカメラ60の光軸の方向を算出することにより、白線に対するヨー角やピッチ角を算出する。この場合、ヨー角やピッチ角は、画像中の白線のエッジより算出される白線の幅の変化の度合いや白線間の距離の変化の度合いよりピッチ角を算出し、白線の角度やエッジ方向の延長によって得られる消失点の位置よりヨー角を算出する。
【0083】
車両1の姿勢は、このように撮影した画像中のエッジに基づいて推定することができるが、エッジに基づいて車両1の姿勢を推定する場合、車両1の近傍に位置する被写体のエッジが多く用いられる場合は推定の精度が高くなる一方、遠方の被写体のエッジが多く用いられる場合は推定の精度が劣化する可能性がある。このため、エッジの方向をハフ変換で算出した場合におけるハフ変換の投票結果において、近傍点の投票数が多い場合は、算出した情報の信頼度を高くし、遠方点の投票数が多い場合は、算出した情報の信頼度を低くする。
【0084】
また、このようにエッジの方向をハフ変換で算出することにより車両1の姿勢を推定する場合には、投票数が少ない場合には信頼度を低くする。例えば、撮影した画像中のエッジを算出する際に、白線以外の間違ったエッジを採用している場合は、ハフ変換の投票数が少なくなる場合がある。このため、ハフ変換の投票数が一定以下になる場合は、算出した情報、即ち、推定した車両1の姿勢の情報の信頼度を低くする。
【0085】
なお、カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を導出した際に、情報の信頼度を判定する場合には、運動状態を推定した場合の判定方法や、車両1の姿勢を推定した場合の判定方法を単体で用いて判定してもよく、また、それぞれの判定方法を組み合わせて判定してもよい。それぞれの判定方法を組み合わせて判定した場合には、信頼度を判定する際における精度を、より高くすることができる。
【0086】
次に、レーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を導出する際における情報の信頼度の判定方法について説明する。レーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を導出する場合も、カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を導出する場合と同様に、車両1の運動状態を推定したり車両1の姿勢を推定したりし、それぞれについて信頼度を判定する。まず、以下に、レーダー61での検出結果に基づいて車両1の運動状態を推定した場合における信頼度の判定について説明する。
【0087】
レーダー61での検出結果に基づいて車両1の運動状態を推定する場合は、カメラ60で撮影した画像に基づいて左右方向走行可能領域を導出する場合と同様に、角度変化や並進移動量を推定パラメータとするが、運動状態を推定するために検出結果を時系列で照合した場合に、時系列間の照合時の照合度が低い可能性がある。つまり、距離和が大きい可能性がある。このため、時系列間の反射点距離差分の和に応じて、その時の信頼度を評価する。
【0088】
ここで、反射点距離差分の和について説明する。まず、レーダー61で車両1の外部の状態を検出する場合には、レーザーを発射するレーダー61の発射点を原点として考えると、レーダー61で検出する際における検出対象の反射点は、原点を中心に扇状に配置されていることになる。また、レーダー61での検出時の時刻t1における各反射点までの距離をRi(t1)とし、時刻t2における各反射点までの距離をRi(t2)とする。このように定めた場合に、自車位置の変化量が並進T、方向の変化量が回転Rで、時刻t1と時刻t2間に車両1の状態が変化した場合、時刻t2におけるRi(t2)は、R(Ri(t1)+T)と表すことができる。
【0089】
車両1の運動状態が正しく推定されている場合、同じ方向、或いは同じ角度において予想されるR(Ri(t1)+T)と、実際に計測されたRi(t2)は同一の値になるが、誤差がある場合は差分が生じる。即ち、反射点距離差分の和は、車両1の運動状態を推定することにより予想された反射点までの距離と、計測された反射点までの距離の差分を算出し、この差分を、計測点の数分算出する。反射点距離差分の和は、この計測点の数分の差分の和を反射点距離差分の和として取得する。
【0090】
レーダー61での検出結果に基づいて車両1の運動状態を推定する場合は、このように算出する反射点距離差分の和が大きくなるに従って推定値の信頼度を低くし、反射点距離差分の和が小さくなるに従って推定値の信頼度を高くする。
【0091】
図7は、レーダーでの検出結果に基づいて車両の運動状態を推定する場合における処理手順を示すフロー図である。次に、レーダー61での検出結果に基づいて車両1の運動状態を推定する場合、即ち、レーダー61での検出結果に基づいて車両1の角度変化や並進移動量を推定する場合における処理手順について説明する。
【0092】
レーダー61での検出結果に基づいて角度変化や並進移動量を推定する場合は、まず、これらのパラメータの初期値を設定する(ステップST301)。このパラメータの設定は、運転計画生成ECU80が有する走行可能領域導出部82で行う。走行可能領域導出部82は、角度変化や並進移動量を推定する際におけるこれらのパラメータの初期値を設定する。この初期値は、通常は車両1が停車している状態である0が使用される。
【0093】
次に、時系列間の反射点間の距離を算出する(ステップST302)。この時系列間の反射点間の距離は、レーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果に基づいて走行可能領域導出部82で算出する。即ち、走行可能領域導出部82は、レーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果を継続的に、または所定の時間間隔で取得し、各反射点の所定の時系列間における変化を、距離として算出する。
【0094】
次に、反射点距離差分の和を算出する(ステップST303)。この反射点距離差分の和は、レーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果に基づいて走行可能領域導出部82で算出する。即ち、走行可能領域導出部82で、レーダー61での検出結果に基づいて上述した反射点距離差分の和を求める演算を行い、反射点距離差分の和を算出する。
【0095】
次に、Sumi<minSumであるか否かを判定する(ステップST304)。つまり、この車両1の角度変化や並進移動量を推定する処理手順での、今回の処理のループにおいて算出した反射点距離差分の和Sumiが、現在の反射点距離差分の和の最小値minSumよりも小さいか否かを、走行可能領域導出部82で判定する。
【0096】
走行可能領域導出部82での判定により、Sumi<minSumではないと判定された場合、つまり、算出した反射点距離差分の和Sumiが、現在の反射点距離差分の和の最小値minSum以上であると判定された場合には、最小値及びパラメータを保持する(ステップST305)。つまり、算出した反射点距離差分の和が、現在の反射点距離差分の和の最小値以上であると判定された場合には、現在の反射点距離差分の和の最小値を保持し、さらに、角度変化や並進移動量のパラメータを保持する。
【0097】
これに対し、走行可能領域導出部82での判定により、Sumi<minSumであると判定された場合、つまり、算出した反射点距離差分の和Sumiが、現在の反射点距離差分の和の最小値minSumより小さいと判定された場合には、反射点距離差分の和の最小値を更新し、パラメータを更新する(ステップST306)。つまり、minSum=Sumiを演算して、反射点距離差分の和の最小値minSumを、今回の処理のループにおいて算出した反射点距離差分の和Sumiの値に更新する。また、角度変化や並進移動量を示すパラメータの一例としてφ、ψ、θを用いている場合に、現在のパラメータをφ、ψ、θとし、今回のループにおけるパラメータをそれぞれφi、ψi、θiとした場合に、(φ、ψ、θ)=(φi、ψi、θi)を演算する。これによりパラメータを更新する。
【0098】
反射点距離差分の和の最小値及びパラメータを保持した場合(ステップST305)、または、これらを更新した場合(ステップST306)は、次に、i<Nであるか否かを判定する(ステップST307)。この判定は、走行可能領域導出部82で行う。車両1の運動状態をレーダー61での検出結果に基づいて推定する場合には、時系列間の検出結果の変化より、角度変化や並進移動量を推定するため、反射点の検出を複数回行うが、走行可能領域導出部82でのこの判定に用いるNは、車両1の角度変化や並進移動量の推定時に反射点の検出を行うのに必要な回数になっている。このNは、予め設定され、運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている。
【0099】
また、走行可能領域導出部82でのこの判定に用いるiは、今回の処理のループを示す値になっており、つまり、反射点を複数回検出することにより車両1の角度変化や並進移動量を推定する処理手順において、反射点を検出した回数を示す値になっている。走行可能領域導出部82は、i<Nであるか否かを判定することにより、反射点を検出する回数が、車両1の角度変化や並進移動量を判定するのに必要な回数になったか否かを判定する。
【0100】
走行可能領域導出部82での判定により、i<Nではないと判定された場合、即ち、i≧Nであると判定された場合には、信頼度を算出する(ステップST308)。i≧Nであると判定され、反射点を検出する回数が、車両1の角度変化や並進移動量を推定するのに必要な回数に到達したと判定された場合には、この推定自体は終了させることができるため、走行可能領域導出部82は、次に、この推定を行った際の推定値の信頼度を算出する。信頼度の算出は、{1/(α×反射点距離差分の和の最小値)}を演算することにより算出する。なお、この演算で使用するαは、信頼度を算出する際に用いる所定の係数になっており、予め運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている。この演算を行うことにより、角度変化や並進移動量の推定後に、さらにこれらの推定値の信頼度の算出を行ったら、この処理手順から抜け出る。
【0101】
これに対し、走行可能領域導出部82での判定により、i<Nであると判定された場合には、パラメータを更新する(ステップST309)。つまり、今回の処理のループで算出した時系列間の反射点間の距離(ステップST302)や、反射点距離差分の和(ステップST303)に基づいて、角度変化や並進移動量を推定する際のパラメータを走行可能領域導出部82で更新する。パラメータを更新したら、再び時系列間の反射点間の距離を算出する処理(ステップST302)に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0102】
次に、レーダー61での検出結果に基づいて車両1の姿勢を推定した場合における情報の信頼度の判定について説明する。レーダー61での検出結果に基づいて行う車両1の姿勢の推定について説明すると、レーダー61での検出結果に基づいて姿勢を推定する場合には、例えば、ハフ変換などで反射点の連続する方向を算出することにより、反射点の方向と自車の方向との相対関係を判断し、姿勢を推定する。つまり、レーダー61の取り付け角度は予めわかっており、車両1におけるレーダー61での検出方向は予めわかっているので、反射点の連続する方向を算出し、この反射点の連続する方向と、レーダー61の検出方向との相対関係より、車両1の姿勢を推定する。
【0103】
具体的には、レーダー61で検出する際における反射点として、車両1が走行している道路の縁石を反射点として設定し、レーダー61で検出した反射点の検出結果は、レーダー検出取得部86で取得する。レーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果は、走行可能領域導出部82に伝達され、走行可能領域導出部82でハフ変換を行うことによって、縁石の反射点が連続する方向を算出する。このように、縁石の反射点が連続する方向を算出することにより、縁石とレーダー61との相対的な位置関係を推定することができるので、縁石方向に対する自車の方向を推定することができる。
【0104】
ここで、レーダー61は相対的な位置関係を測るものであるため、レーダー61を使用して車両1の姿勢を推定する場合には、縁石等に対する姿勢を推定することを想定している。このため、レーダー61で縁石等の道路端の反射点を検出する際に、検出する方向にミスがある場合には、レーダー61による姿勢の推定に大きな誤差が発生する。即ち、レーダー61での検出時に反射点から得られる主な方向が、道路端を示すものではない場合は、姿勢の推定誤差が大きくなる。従って、ハフ変換によって縁石の反射点が連続する方向を算出する際には、ハフ変換の投票数に応じて、推定した姿勢の信頼度を評価する。つまり、ハフ変換を行った際に縁石の方向への投票数が多くなるに従って、算出した情報の信頼度を高くする判定を行い、投票数が少なくなるに従って、算出した情報の信頼度を低くする判定を行う。
【0105】
なお、レーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を導出した際に、情報の信頼度を判定する場合には、運動状態を推定した場合の判定方法や、車両1の姿勢を推定した場合の判定方法を単体で用いて判定してもよく、また、それぞれの判定方法を組み合わせて判定してもよい。それぞれの判定方法を組み合わせて判定した場合には、信頼度を判定する際における精度を、より高くすることができる。
【0106】
次に、走行可能領域導出部82で導出した走行可能領域をタイヤ摩擦円のμに置き換える手法について説明する。図8は、タイヤ摩擦円のベースモデルを示す概略図である。まず、基本となるタイヤ摩擦円について説明すると、車輪5は摩擦力によって路面に接地しているため、車両1の走行時に、加減速を行ったりコーナリングを行ったりした場合には、車輪5における接地部分、即ち、タイヤの接地部分には、車両1の走行状態に応じて路面との間で様々な方向の力が発生する。このようにタイヤと路面との間で発生する力は、タイヤと路面との間の摩擦力に依存しており、この摩擦力の範囲内で、車両1の走行状態に応じて様々な方向に発生可能になっている。つまり、タイヤと路面との間で、摩擦力によって一方向に大きな力が発生した場合には、摩擦力によって他の方向に発生可能な力が低下する。
【0107】
このため、タイヤと路面との間の摩擦力によって発生可能な力であるタイヤ発生力112の最大値は、車両1の横方向に発生する力と前後方向に発生する力との合力の最大値が、摩擦力の最大値により決定される。このように、タイヤと路面との間の摩擦力によって決定されるタイヤ発生力112の最大値が決定される合力の最大値は、図8に示すように円形のタイヤ摩擦円111によって表すことができ、通常の走行時には、タイヤ発生力112の最大値は、タイヤ摩擦円111と一致する。
【0108】
図9は、タイヤ発生力の横方向の限界を小さくする場合の説明図である。走行可能領域導出部82で走行可能領域を導出して確定した場合、この確定した走行可能領域を上限値調節部98でタイヤ摩擦円111のμに置き換えるが、例えば、前後方向の走行可能領域の余裕に対して、左右方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、横方向のタイヤ発生力112の最大値を小さくする。つまり、通常の走行時にタイヤ摩擦円111と一致するタイヤ発生力112のうち、横方向のタイヤ発生力Gyの一方向の最大値を1とし、反対方向の最大値を−1とし、前後方向のタイヤ発生力Gxの一方向の最大値を1とし、反対方向の最大値を−1とした場合に、左右方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、横方向のタイヤ発生力Gyの最大値の絶対値を1未満にする。
【0109】
なお、この場合に、前後方向のタイヤ発生力Gxは通常の走行時におけるタイヤ発生力112から変化させないとすると、前後方向のタイヤ発生力Gxは、通常の走行時と同様にタイヤ摩擦円111の前後方向の最大値と一致させ、最大値の絶対値を1にする。確定した走行可能領域の左右方向の余裕が小さい場合には、このように、走行制御上における横方向のタイヤ発生力Gyの最大値の絶対値が、通常の走行時における横方向のタイヤ発生力Gyの最大値の絶対値よりも小さくなるように、上限値調節部98で調節する。
【0110】
図10は、タイヤ発生力の横方向の限界を小さくした場合の走行制御を示す説明図である。車両1の走行制御を行う場合には、このように上限値調節部98で調節した走行制御上におけるタイヤ発生力112の最大値の範囲内で制御を行う。このため、上限値調節部98で横方向のタイヤ発生力Gyの最大値の絶対値を小さくした場合には、前後方向のタイヤ発生力112に重点を置き、車両1の走行制御は制動側に重点を置いて制御を行う。
【0111】
つまり、走行可能領域導出部82は、白線認識部85で認識した道路の白線に基づいて左右方向走行可能領域を導出するが、この左右方向走行可能領域を導出する際における情報の信頼度が低い場合には、左右方向走行可能領域を小さくする。このため、走行可能領域の導出時の信頼度を判定した後の制御上の道路の形状である信頼度判定後道路形状116は、幅が実際の道路115の幅よりも狭くなり、車両1の幅方向の余裕が少なくなるため、車両1の走行制御を行う場合には、操舵側の制御量を低減し、制動側に重点を置いて走行制御を行う。即ち、この場合における走行計画118は、操舵量を低減し、制動を重視する。
【0112】
具体的には、カメラ60での検出結果に基づいて導出した左右方向走行可能領域の情報の信頼度が低く、左右方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、VGRS38でステアリングのギア比を調節し、ハンドル30の舵角に対する前輪6の向きの変化量を少なくすることにより、操舵側の制御量を少なくする。また、運転支援制御時に、車両1の進行方向を変化させたい方向にEPS装置35からハンドル30に対して回転トルクを与えることにより運転者に対して操舵を促す制御を行う場合において、カメラ60での検出結果に基づいて導出した左右方向走行可能領域の情報の信頼度が低い場合には、この回転トルクを小さくすることにより、運転者へ促す操舵量を小さくしてもよい。つまり、カメラ60での検出結果に基づいて導出した左右方向走行可能領域の情報の信頼度が低い場合には、これらのように、車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータであるVGRS38やEPS装置35による操舵の制御量を制限することにより、車両1の横方向への走行制御を制限する。
【0113】
図11は、タイヤ発生力の前後方向の限界を小さくする場合の説明図である。また、左右方向の走行可能領域の余裕に対して、前後方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、前後方向のタイヤ発生力112の最大値を小さくする。つまり、前後方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、前後方向のタイヤ発生力Gxの最大値の絶対値を1未満にする。
【0114】
この場合において、横方向のタイヤ発生力Gyは通常の走行時におけるタイヤ発生力112から変化させないとすると、横方向のタイヤ発生力Gyは、通常の走行時と同様にタイヤ摩擦円111の横方向の最大値と一致させ、最大値の絶対値を1にする。確定した走行可能領域の前後方向の余裕が小さい場合には、このように、走行制御上における前後方向のタイヤ発生力Gxの最大値の絶対値が、通常の走行時における前後方向のタイヤ発生力Gxの最大値の絶対値よりも小さくなるように、上限値調節部98で調節する。
【0115】
図12は、タイヤ発生力の前後方向の限界を小さくした場合の走行制御を示す説明図である。上限値調節部98で前後方向のタイヤ発生力Gxの最大値の絶対値を小さくした場合には、横方向のタイヤ発生力112に重点を置き、操舵側に重点を置いて車両1の走行制御を行う。つまり、走行可能領域導出部82は、レーダー検出取得部86で取得したレーダー61での検出結果に基づいて前後方向道路余裕を導出するが、この前後方向道路余裕を導出する際における情報の信頼度が低い場合には、前後方向道路余裕を小さくする。このため、走行可能領域の導出時の信頼度を判定した後の制御上の道路の形状である信頼度判定後道路形状116は、道路115の幅方向に対しては変化しないため、車両1の走行制御を行う場合には操舵側に重点を置いて走行制御を行う。即ち、この場合における走行計画118は、制動よりも操舵を優先させる。
【0116】
具体的には、レーダー61での検出結果に基づいて導出した前後方向道路余裕の情報の信頼度が低く、前後方向の走行可能領域の余裕が小さい場合には、ブレーキ油圧制御装置50の制御量を少なくし、前後方向の制御量を制限することにより、車両1の前後方向への走行制御を制限する。
【0117】
次に、軌跡生成最適化アルゴリズムによる走行経路の計算について説明する。この軌跡生成最適化アルゴリズムは、検出した車両1の周辺の状況に応じて最適な走行軌跡を生成する際に用いられるアルゴリズムになっている。図13は、軌跡生成最適化アルゴリズムによって走行経路を計算する場合における説明図である。図14は、軌跡生成最適化アルゴリズムによる走行経路の計算のフロー図である。軌跡生成最適化アルゴリズムで走行経路を計算する場合には、まず、障害物を回避するために必要な横移動距離:Ye´、自車と障害物120との相対速度:v(t)、v(t)、を検出する(ステップST401)。このうち、横移動距離Ye´は、車両1の前方に障害物120が存在する時に車両1を左右方向に移動することによって障害物120を回避する場合において、その回避に必要な移動距離になっている。また、自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)のうち、v(t)は車両1の進行方向における障害物120との相対速度になっており、v(t)は車両1の左右方向における障害物120との相対速度になっている。
【0118】
これらの距離や速度の検出は、レーダー61での検出結果や、カメラ60で撮影した画像に基づいて、運転計画生成ECU80の走行経路算出部90が有する障害物状態検出部91で行う。障害物状態検出部91は、カメラ60で撮影した画像やレーダー61での検出結果に基づいて障害物120を認識した場合には、車両1の運動状態や車両1の姿勢を算出する場合と同様に、撮影した画像やレーダー61での検出結果の時系列的な変化より、横移動距離Ye´、及び自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)を検出する。
【0119】
次に、最短距離で回避するために必要な車体前後・横力:u(t)、u(t)を算出する(ステップST402)。この算出は、走行経路算出部90が有する回避力算出部92で行う。回避力算出部92は、車両1が進行方向を現在の進行方向から変えることによって障害物120を回避する際に、最短距離で回避をするのに必要な力である車体前後力u(t)と車体横力u(t)とを、障害物状態検出部91で検出した横移動距離Ye´、相対速度v(t)、v(t)に基づいて算出する。
【0120】
図15は、最短回避を実現するために必要な車体前後・横力を算出する際の説明図である。まず、これらの車体前後力u(t)と車体横力u(t)とを算出する際の概要について説明すると、車体前後力u(t)、車体横力u(t)を算出する場合には、横移動距離Ye´と相対速度v(t)、v(t)との他に、障害物120を回避する際における車両1の加速度である車体加速度Grefを用いて算出する。つまり、車両1の進行方向を変化させることにより障害物120を回避する場合には、進行方向を変える際の加速度によって必要な力が異なるため、車体前後力u(t)と車体横力u(t)とを算出する場合には、車体加速度Grefも用いる。
【0121】
これらの値を用いて車体前後力u(t)、車体横力u(t)を算出する場合は、まず、車両1の向きを変える際の角度θ(t)を求める。この角度θ(t)の算出は、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´と、自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)と、車体加速度Grefと、を用いて、下記の数1によって、障害物120を回避する際における前後方向と横方向との変化の度合いを算出する。さらに、この変化の度合いを、図15に示す角度の変化を示すマップに当てはめることにより、角度θ(t)を算出する。なお、このマップは、予め設定されて運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている。また、図15のマップで示している数値は、角度θ(t)を算出するマップにおける一例を示しており、数値は図15に示す限りではない。
【0122】
【数1】

【0123】
数1中の式(1)、(2)と、角度の変化を示すマップとに基づいて、角度θ(t)を算出したら、算出した角度θ(t)と下記の式(3)、(4)とを用いて、車体前後力u(t)と車体横力u(t)とを算出する。即ち、回避力算出部92は、角度θ(t)を式(3)、(4)に代入することにより、車体前後力u(t)、車体横力u(t)を算出する。
(t)=sin(θ(t))・・・(3)
(t)=cos(θ(t))・・・(4)
【0124】
次に、所望の車体加速度:Grefを設定して最短回避距離を算出する(ステップST403)。つまり、障害物120を回避するのに必要な自車と障害物120との最短の距離である最短回避距離を、走行経路算出部90が有する回避距離算出部93によって算出する。最短回避距離は、このように回避距離算出部93によって行うが、回避距離算出部93は、車体加速度Grefを用いて最短回避距離を算出する。ここで、車体加速度Grefは、事前に固定値として与えることができ、または、状況に応じて変化させることができるため、回避距離算出部93は、必要に応じて車体加速度Grefを設定した後、最短回避距離を算出する。
【0125】
図16は、車体加速度Grefを固定値で与える場合における最短回避距離の算出手段についての概念図である。まず、車体加速度Grefを固定値として与える場合について説明すると、障害物120を回避する際における、車両1と障害物120との相対的な状態ごとの最短の距離である最短回避距離Xe´は、解析的に計算することができる。このため、事前に計算してマップ化して運転計画生成ECU80の記憶部に記憶させておき、障害物状態検出部91で検出した、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´と、自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)と、運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されたマップである回避距離算出マップ125とを用いて、最短回避距離Xe´を算出する。詳しくは、上述した式(1)、(2)を用いて回避距離算出マップ125を参照することにより、最短回避距離Xe´を算出し、これにより車体加速度Grefを設定する。
【0126】
また、車体加速度Grefを状況に応じてリアルタイムに変化させる場合には、車両1と障害物120との相対的な状態を積算することにより、最短回避距離Xe´を算出する。詳しくは、障害物120を回避する際の回避パターンは、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´と、自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)とを検出する際に定めることができるので、これらを用いて最短回避距離Xe´を算出する。つまり、回避距離算出部93は、この回避パターンと、横移動距離Ye´、相対速度v(t)、v(t)、及び車体加速度Grefを使用し、さらに車体加速度Grefを状況に応じてリアルタイムに変化させて、これらを積算することにより、最短回避距離Xe´を算出する。
【0127】
次に、障害物120を回避する制御を開始するか否かを判定する(ステップST404)。この判定は、走行経路算出部90が有する制御開始判定部94で行う。ここで、障害物120の回避の制御は、制御を開始する際における車両1の初速と最短回避距離とによって、異なった手法で行うことができる。つまり、障害物120を回避する際の手法としては、操舵のみによる回避、即ち横移動のみによる回避と、直進制動での回避と、横移動と制動との双方の制御を行う最適制御での回避との3通りの手法がある。このため、制御を開始するか否かの判定は、初速と最短回避距離、及び回避を行う際の手法に基づいて判定する。
【0128】
図17は、制御を開始するか否かの判定に用いるマップの一例を示す説明図である。障害物120を回避する際の手法は、上記のように3通りの手法があるが、制御を開始するか否かの判定の基準がそれぞれ異なって予め設定され、マップの状態で運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている。障害物120を回避する制御を開始するか否かの判定を行う場合には、制御開始判定部94は、回避距離算出部93で算出した最短回避距離、及び車両1の初速と、この判定の基準が設定されているマップとを比較することにより、制御を開始するか否かの判定を行う。
【0129】
この判定の基準が設定されているマップについて説明すると、横移動のみで回避する制御を行うか否かの判定を行う基準は、横移動回避距離132として設定されており、この横移動回避距離132は、下記の数2中の式(5)により決定される。また、直進制動によって回避する制御を行うか否かの判定を行う基準は、直進制動回避距離133として設定されており、この直進制動回避距離133は、下記の数2中の式(6)により決定される。これらの式(5)、(6)で用いられる各変数のうち、vは、軌跡生成最適化アルゴリズムでの走行経路の計算の開始時における車速である初速を示しており、mは車両1の重量を示しており、Fmaxは、現在の走行状態において発生することのできる最大の制動力を示している。このうち、初速は、軌跡生成最適化アルゴリズムでの走行経路の計算の開始時における車速センサ16での検出結果が使用され、車両1の重量は、所定値として予め運転計画生成ECU80の記憶部に記憶されている。
【0130】
【数2】

【0131】
また、横移動と制動との双方の制御を行うか否かの判定を行う基準は、最適制御回避距離131として設定されており、この最適制御回避距離131は、横移動回避距離132と直進制動回避距離133との、互いに他方よりも最短回避距離が短い部分を連続させた状態で設定されている。
【0132】
なお、図17は、横軸が車両1の初速を示しており、縦軸が最短回避距離を示しており、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´が3mの場合における一例を示しており、初速と最短回避距離との関係は、図17以外の関係であってもよい。
【0133】
このように設定される判定基準を用いて、障害物120を回避する制御を開始するか否かの判定を行う場合には、車両1及び障害物120の状態と最適制御回避距離131とを比較することにより判定する。つまり、車両1と障害物120との距離Xs(図13参照)が、最適制御回避距離131以下における車両1の初速vに対応する最短回避距離以下になったら、最適制御で制御を開始するとの判定を行う。
【0134】
なお、障害物120を回避する制御を開始するとの判定が行われ、実際に障害物120を回避する制御を開始した場合でも、操舵の制御を行うことによって実際にタイヤ横力が発生したり、制動制御を行うことによって制動力が発生したりするまでには、時間差が生じる。このため、これらの制御を開始するか否かの判定を行う場合には、車両1と障害物120との距離Xsが、最短回避距離+α以下になったら、制御を開始するとの判定を行うのが好ましく、この判定時に用いるαは、車両1に搭載される各機器の処理速度や動作速度等に応じて、適宜設定するのが好ましい。
【0135】
制御開始判定部94での判定により、障害物120を回避する制御を開始するとの判定が行われなかった場合には、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´と、自車と障害物120との相対速度v(t)、v(t)、を検出する処理に戻る(ステップST401)。
【0136】
制御を開始すると判定された場合には、次に直進制動を行うか否かを判定する(ステップST405)。この判定は、走行経路算出部90が有する直進制動判定部95で行う。直進制動を行うか否か判定は、予めこの判定を行う基準を設定し、この判定の基準値と、車両1の走行状態とを比較することにより判定する。
【0137】
図18は、直進制動が最短回避となる条件についての説明図である。直進制動を行うか否か判定の基準について説明すると、この判定の基準値として、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´ごとに、直進制動が最短回避となる最大車速vdecを、直進制動判定基準140として予め設定する。この直進制動判定基準140は、マップの状態で運転計画生成ECU80の記憶部に記憶し、直進制動判定部95は、この直進制動判定基準140と、障害物状態検出部91で検出した自車と障害物120との相対速度v(t)とを比較することにより、直進制動を行うか否かを判定する。詳しくは、直進制動判定部95は、自車と障害物120との相対速度v(t)が、直進制動判定基準140における横移動距離Ye´に対応する最大車速vdec以下の場合、即ち、v(t)≦vdecのときに、直進制動を行うと判定する。
【0138】
なお、図18は、障害物120を回避するために必要な横移動距離Ye´と、直進制動が最短回避となる最大車速vdecとの関係の一例を示しており、横移動距離Ye´と、最大車速vdecとの関係は、図18以外の関係であってもよい。
【0139】
直進制動を行うと判定された場合には、制動力(u(t)=Fmax)、u(t)=0を演算する(ステップST406)。この演算は、走行経路算出部90が有する制御量算出部96で行う。直進制動を行うと判定された場合には、制御量算出部96は、最短距離で回避するために必要な車体前後力であるu(t)は、最大の制動力であるFmaxを代入し、最短距離で回避するために必要な車体横力であるu(t)は0にする。これにより、障害物120を最短距離で回避するために、車両1の前後方向にのみ制動方向の力、即ち減速方向の力が発生するように演算し、車両1の横方向には、障害物120を回避するための力は発生しないように演算する。
【0140】
直進制動判定部95での判定(ステップST405)により、直進制動を行わないと判定された場合、または、直進制動判定部95での判定(ステップST405)により、直進制動を行うと判定されて、制御量算出部96で、u(t)=Fmax、u(t)=0の演算を行った場合(ステップST406)には、u(t)、u(t)を実現するために必要な各輪タイヤ発生力を演算する(ステップST407)。この演算は、制御量算出部96で行う。制御量算出部96は、回避力算出部92で算出した最短距離で回避するために必要な車体前後力u(t)、車体横力u(t)を実現するために必要な車輪5ごとのタイヤ発生力である各輪タイヤ発生力を、予め設定されて記憶部に記憶されたマップや、タイヤ発生力を算出する関数等を用いて算出する。
【0141】
また、直進制動を行うと直進制動判定部95で判定されることにより、u(t)=Fmax、u(t)=0の演算を行った場合には、制御量算出部96は、この演算後のu(t)、u(t)を実現するために必要な各輪タイヤ発生力を算出する。
【0142】
次に、各輪タイヤ発生力を実現するようにステアリング、制駆動、サスペンション等のアクチュエータを制御する(ステップST408)。これらは、制御量算出部96で算出した各輪タイヤ発生力を実現するように、運動制御ECU70に備えられる各制御部で、エンジン12やVGRS38、ブレーキ油圧制御装置50等の、車両1を走行させる際における各アクチュエータを制御する。これにより、各輪タイヤ発生力に応じて車輪5に駆動力や制動力を変化させたり、横力を変化させたりすることにより、各輪タイヤ発生力を実現する。
【0143】
図19−1は、従来の車両制御装置で車両の走行制御を行う場合の概念図である。図19−2は、図19−1よりも制御限界に近付いた状態を示す説明図である。図19−3は、従来の車両制御装置での制御時に制御限界上で制御を行っている状態を示す説明図である。図19−4は、従来の車両制御装置での制御時に制御限界を超えた状態を示す説明図である。次に、従来の車両制御装置での車両1の走行制御と、実施形態に係る車両制御装置2での車両1の走行制御との違いについて説明する。従来の車両制御装置による車両1の走行制御を、図19−1〜図19−4に示すように、車両1の挙動150を球で示し、制御範囲151を半球で示し、制御限界152を半球の縁部とした場合における概念図で説明すると、通常の走行状態の場合は、車両1の挙動150が制御範囲151の内側に位置するように制御する(図19−1)。この状態で、運転支援制御によって車両1の周辺の状況を検出しながら走行している場合に、例えば車両1が障害物に接近し、この障害物を回避する走行を行う場合には、回避をする動作によって車輪5への負荷が大きくなり、車両1の挙動150は制御限界152に近付く(図19−2)。
【0144】
このように障害物を回避する際に、例えば道路の幅が想定している幅よりも狭いことにより車両1の進行方向を変えることができず、制動のみで回避を行わなければならない状態になるなど、制御が制約されて車輪5への負荷がより大きくなる状況の場合には、制御限界152が低くなる。この場合、車両1の挙動150は制御限界152に到達し易くなる(図19−3)。従来の車両制御装置で運転支援制御によって車両1の周辺の状況を検出しながら走行する場合において、走行状況検出手段の情報の信頼度が頻繁に変化する状況では、周辺の状況を検出する制御を継続的に維持するのは困難になる。このため、検出した情報が適切な情報ではなく、これに起因して車両1の挙動150が制御限界152に到達した場合には、車両1は挙動150の制御に余裕が無い状態になり、車両1の挙動150は制御限界152を超えて破綻し易くなる(図19−4)。
【0145】
図20−1は、実施形態に係る車両制御装置で車両の走行制御を行う場合の概念図である。図20−2は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界を検出する状態を示す説明図である。図20−3は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界を検出した状態を示す説明図である。図20−4は、実施形態に係る車両制御装置で制御限界の範囲内で制御を行う状態を示す説明図である。従来の車両制御装置での運転支援制御による車両1の走行制御に対し、実施形態に係る車両制御装置2での運転支援制御による車両1の走行制御では、走行状況検出手段で車両1の周辺の状況を検出した際の情報の信頼度に応じて、車両1の走行制御を行う。まず、車両1の周辺の状況を検出しながら走行する際には、検出した情報に基づいて走行制御を行うことにより、車両1の挙動150が制御範囲151の内側に位置するように制御する(図20−1)。運転支援制御時における通常の走行状態の場合は、このように車両1の挙動150が制御範囲151の内側の位置するように制御するが、この場合でも、検出した情報の信頼度を判定することにより制御限界152を精度よく検出する(図20−2)。
【0146】
車両1の周辺の状況を検出した際に、検出した情報の信頼度を判定し、信頼度が低いと判定された場合には、この信頼度が低いと判定された情報の削減量を増加させる。例えば、道路幅を検出した際に、この検出した道路幅の情報の信頼度が低いと判定された場合には、検出した道路幅の削減量を増加させ、走行可能領域を低減させる。これにより、検出した周辺の状況のうち、信頼度が低い情報における限界領域での車両1の走行制御を行い難くなるので、車両1の挙動150は制御限界152に近付き難くなる(図20−3)。
【0147】
車両1の周辺の状況を検出して走行制御を行う際に、信頼度が低い情報が存在する場合でも、このように、信頼度が低いと判定された場合には情報の削減量を増加させることにより、車両1の挙動150が制御限界152に近付くことを抑制できる。これにより、車輪5への負荷が大きくなることに起因して車両1の挙動150が大きく乱れることを抑制できるため、検出した情報の信頼度が低いことに起因して車両1の挙動150が制御限界152に近付くような状況でも、通常の制御状態に戻すことができる(図20−4)。
【0148】
以上の車両制御装置2は、カメラ60やレーダー61等の複数の走行状況検出手段で検出した複数の情報の信頼度に応じて、VGRS38やブレーキ油圧制御装置50等の車両1の走行を実現する複数のアクチュエータのうち、一部のアクチュエータの制御量を制限している。これにより、複数設けられる走行状況検出手段で検出した情報の信頼度が変化する場合でも、情報の信頼度に応じた適切な走行制御を行うことができる。この結果、より精度よく、車両1の走行制御を行うことができる。
【0149】
また、走行状況検出手段で検出した複数の情報の信頼度に応じて一部のアクチュエータの制御量を制限する場合には、情報を検出した走行状況検出手段に応じて、制御量を制限するアクチュエータを異ならせるので、より確実に、情報の信頼度に応じた適切な走行制御を行うことができる。この結果、より確実に、精度よく車両1の走行制御を行うことができる。
【0150】
また、複数の走行状況検出手段は、車両1の横方向の測位を行う横方向状況検出手段であるカメラ60を有しており、カメラ60で検出した情報の信頼度が低い場合には、車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータであるEPS装置35やVGRS38の制御量を制限している。これにより、カメラ60で検出した情報の信頼度が低く、車両1の横方向の状況の情報の信頼度が低い場合には、車両1の横方向の走行制御を制限することができるので、より適切な走行制御を行うことができる。この結果、より確実に、精度よく車両1の走行制御を行うことができる。
【0151】
また、このように車両1の横方向の状況の情報の信頼度が低い場合には、車両1の横方向の走行制御を制限することにより、安全性の高い走行制御を行うことができる。つまり、高速道路など、片側に複数の車線を有する道路の走行時には、自車の前方に低速車両が存在する場合でも、ブレーキをかけて減速するより、車線を変更して追い越す方が違和感が無く、また、必要以上にブレーキをかけることを抑制でき、燃費の低減を抑制できる、といったメリットがある。このため、通常の走行制御時には、横方向の制御を優先させ、車線を変更することを優先させるが、カメラ60で検出した情報の信頼度が低い場合には、車両1の横方向の走行制御を制限することにより、信頼度が低い走行制御を回避することができる。この結果、車両1の走行時における安全性の向上を図ることができる。
【0152】
また、複数の走行状況検出手段は、車両1の前後方向の測位を行う前後方向状況検出手段であるレーダー61を有しており、レーダー61で検出した情報の信頼度が低い場合には、車両1の前後方向の走行制御を行うアクチュエータであるブレーキ油圧制御装置50の制御量を制限している。これにより、レーダー61で検出した情報の信頼度が低く、車両1の前後方向の状況の情報の信頼度が低い場合には、車両1の前後方向の走行制御を制限することができるので、より適切な走行制御を行うことができる。この結果、より確実に、精度よく車両1の走行制御を行うことができる。
【0153】
なお、実施形態に係る車両制御装置2では、車両1の走行を実現する複数のアクチュエータのうち一部のアクチュエータの制御量を、複数の走行状況検出手段で検出した複数の情報の信頼度に応じて制限しているが、このように一部のアクチュエータの制御量を制限する場合には、複数のアクチュエータのうち、他のアクチュエータの制御量を増加させてもよい。このように、一部のアクチュエータの制御量を低減した場合には、制御量を低減する必要のない他のアクチュエータの制御量を増加させることにより、より確実に、情報の信頼度に応じた適切な走行制御を行うことができる。
【0154】
例えば、カメラ60等の横方向状況検出手段で検出した情報の信頼度が低いことにより車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータであるEPS装置35やVGRS38の制御量を制限した場合には、複数のアクチュエータのうち、ブレーキ油圧制御装置50等の車両1の前後方向の走行制御を行うアクチュエータの制御量を増加させてもよい。反対に、レーダー61等の前後方向状況検出手段で検出した情報の信頼度が低いことにより車両1の前後方向の走行制御を行うアクチュエータであるブレーキ油圧制御装置50等の制御量を制限した場合には、複数のアクチュエータのうち、VGRS38等の車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータの制御量を増加させてもよい。これらのように、一部の走行状況検出手段で検出した情報の信頼度が低い場合には、この走行状況検出手段での検出結果に応じて作動するアクチュエータ以外のアクチュエータの制御量を増加させることにより、信頼度が低い情報を導出した場合でも、適切な走行制御を行うことができる。これらの結果、より確実に、精度よく車両1の走行制御を行うことができる。
【0155】
また、走行状況検出手段で検出した情報の信頼度が低い場合において、制御量を低減する必要のない他のアクチュエータの制御量を増加させる場合には、単に障害物120を回避すること以外の目的で制御量を増加させてもよい。例えば、違和感の低減や、到達時間の達成、燃費の向上、リスクポテンシャルの低下、各方向のGやピッチ、バウンスを低減することによる乗り心地の向上など、所定の制約を達成するために、他のアクチュエータの制御量を増加させてもよい。これにより、情報の信頼度が低い検出結果での走行制御を抑制しつつ、走行時の制約を達成することができる。この結果、精度よく車両1の走行制御を行いつつ、所望の走行を実現することができる。
【0156】
また、実施形態に係る車両制御装置2では、横方向状況検出手段としてカメラ60を使用しており、前後方向状況検出手段としてレーダー61を使用しており、これら以外の走行状況検出手段としてカーナビゲーションシステム65を使用しているが、横方向状況検出手段や前後方向状況検出手段を含む走行状況検出手段としては、これら以外のものを用いてもよい。走行状況検出手段としてこれら以外のものを用いた場合でも、検出した情報の信頼度を判断し、車両1の走行制御を行うアクチュエータの制御量を、判断した信頼度に応じて調節することにより、運転支援制御によって車両1の走行制御を行う際に、不適切な制御を抑制することができる。これにより、精度よく、車両1の走行制御を行うことができる。
【0157】
また、運転支援制御時に操舵側の制御を行う場合には、VGRS38やEPS装置35以外のものを用いて行ってもよい。例えば、車両1の左右のサスペンションユニット同士を接続するスタビライザー40(図1参照)に、左右の車輪5間で車輪5の上下方向の動きを伝達する際における伝達率を調節可能なスタビライザーアクチュエータ45(図1参照)を設け、この伝達率を調節することにより車両1の操舵側の制御を行ってもよい。即ち、スタビライザーアクチュエータ45を、車両1の横方向の走行制御を行うアクチュエータとして使用してもよい。スタビライザーアクチュエータ45を制御することにより、左右の車輪5や前後の車輪5に付与される荷重を調節することができ、操舵角に対する車両1の旋回力が変化するため、実際の旋回力を所望の旋回力にすることができる。これにより、操舵角に対する車両1の進行方向の変化を大きくしたり、反対に、進行方向の変化を小さくしたりすることができ、操舵側の制御を行うことができる。
【0158】
また、複数設けられる走行状況検出手段であるカメラ60、レーダー61、カーナビゲーションシステム65で、車両1の周辺の状況を検出した場合における情報の信頼度の判定方法は、それぞれの走行状況検出手段で複数の判定方法があるが、これらの判定方法は、どのように組み合わせて判定を行ってもよい。車両1の周辺の状況や車両1の走行状態等に応じて、各走行状態検出手段ごとの情報の判定方法を組み合わせて信頼度を判定することにより、より正確に、または容易に、信頼度の判定を行うことができる。この結果、精度よく、車両1の走行制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明に係る車両制御装置は、車両の周辺の状況を検出しながら走行制御を行うことができる車両に有用であり、特に、車両の周辺の状況を検出する検出手段として、複数の検出手段を備える車両に適している。
【符号の説明】
【0160】
1 車両
2 車両制御装置
10 駆動装置
12 エンジン
15 自動変速機
35 EPS装置
38 VGRS
50 ブレーキ油圧制御装置
60 カメラ
61 レーダー
65 カーナビゲーションシステム
70 運動制御ECU
80 運転計画生成ECU
81 自車位置取得部
82 走行可能領域導出部
83 信頼度判断部
85 白線認識部
86 レーダー検出取得部
90 走行経路算出部
91 障害物状態検出部
92 回避力算出部
93 回避距離算出部
94 制御開始判定部
95 直進制動判定部
96 制御量算出部
98 上限値調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を実現する複数のアクチュエータを、前記車両の周辺の状況を検出する走行状況検出手段で検出した情報に応じて制御することにより前記車両の走行制御を前記車両の周辺の状況に応じて行うことが可能な車両制御装置において、
前記走行状況検出手段は複数設けられており、複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて複数の前記アクチュエータのうち、一部の前記アクチュエータの制御量を制限することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて一部の前記アクチュエータの制御量を制限する場合には、複数の前記アクチュエータのうち他の前記アクチュエータの制御量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
複数の前記走行状況検出手段で検出した複数の前記情報の信頼度に応じて一部の前記アクチュエータの制御量を制限する場合には、前記情報を検出した前記走行状況検出手段に応じて制御量を制限する前記アクチュエータを異ならせることを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
複数の前記走行状況検出手段は、少なくとも前記車両の横方向の測位を行う横方向状況検出手段を有しており、前記横方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低い場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記横方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低いことにより前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限した場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を増加させることを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
複数の前記走行状況検出手段は、少なくとも前記車両の前後方向の測位を行う前後方向状況検出手段を有しており、前記前後方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低い場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記前後方向状況検出手段で検出した前記情報の信頼度が低いことにより前記車両の前後方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を制限した場合には、複数の前記アクチュエータのうち、前記車両の横方向の走行制御を行う前記アクチュエータの制御量を増加させることを特徴とする請求項6に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図19−3】
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【図19−4】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図20−3】
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【図20−4】
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【公開番号】特開2011−189803(P2011−189803A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56412(P2010−56412)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】