説明

車両前部構造

【課題】 サイドメンバ上側のクロスメンバが衝突荷重を効果的に受けることができる。
【解決手段】 車両前部構造10では、各フロントサイドメンバ12の上側に配置されたクロスメンバ52が、車幅方向両端部を車両後側へ延伸されて、当該延伸端縁において各サスペンションタワー42の車両前側面に結合されている。このため、車両の前面高速衝突時には、クロスメンバ52への衝突荷重を、一対のサスペンションタワー42が、効果的に受けることができるのみならず、一対のサスペンションへ伝達できる。これにより、クロスメンバ52が、衝突荷重を効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のサイドメンバの上側にクロスメンバが配置された車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部構造としては、一対のサイドレールのそれぞれにブラケットが固着されると共に、一対のブラケット間にパイプ材を介して衝突入力部材が固着されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この車両前部構造では、衝突入力部材、パイプ材及びブラケットがサイドレールの上面に支持されているのみである。このため、車両の前面衝突時には、衝突入力部材から特にブラケットの下端へ大きな衝突荷重が入力されるため、衝突入力部材が、衝突荷重を効果的に受けることができずに、衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達できない可能性がある。
【特許文献1】特開平7−69241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、一対のサイドメンバの上側のクロスメンバが衝突荷重を効果的に受けることができる車両前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両前部構造は、車両の前部の左右両側部に配置された一対のサイドメンバと、車両の前部の左右両側部に配置され、車両前側の一対のサスペンションを支持する一対のサスペンションタワーと、前記一対のサイドメンバの上側に配置され、車両左右両側部が車両後側に延伸されて当該延伸端縁において前記一対のサスペンションタワーの車両前側部位に結合されたクロスメンバと、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の車両前部構造は、請求項1に記載の車両前部構造において、前記一対のサイドメンバの車両前側端に結合され、前記クロスメンバの車両前側に配置されたバンパリインフォースを備え、かつ、前記クロスメンバを前記一対のサイドメンバに結合した、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の車両前部構造は、請求項2に記載の車両前部構造において、前記一対のサイドメンバの車両前側端部に他の部位よりも軸方向への圧縮強度が低くされて設けられ、車両後側端が前記クロスメンバの前記一対のサイドメンバへの結合部の車両前側端と前記クロスメンバの車両前側端とに対し車両前後方向において一致する位置又は車両前側に配置された一対のクラッシュボックスを有する、ことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の車両前部構造は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両前部構造において、前記クロスメンバと車両前部のパワーユニットとを車両前後方向側で連絡し、前記クロスメンバと前記パワーユニットとの間で荷重を伝達可能とされた荷重伝達部材を備えた、ことを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の車両前部構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両前部構造において、前記クロスメンバの車両後方に車両前部のパワーユニットを配置した、ことを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の車両前部構造は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の車両前部構造において、車両前部のパワーユニットのエンジンに設けられると共に車両左右方向側に沿って配置され、前記エンジンの駆動力を出力する出力軸と、前記パワーユニットに設けられると共に前記出力軸よりも車両前側に配置され、前記出力軸からの駆動力を車両の前輪へ伝達するデファレンシャルと、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の車両前部構造は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の車両前部構造において、平面視矩形枠状とされ、車両前部のパワーユニットを搭載するサブフレームを備えた、ことを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の車両前部構造は、請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の車両前部構造において、前記クロスメンバの前記一対のサイドメンバへの結合部間を前記クロスメンバの前記一対のサスペンションタワーへの結合部間よりも短くした、ことを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載の車両前部構造は、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の車両前部構造において、前記クロスメンバを筒状とした、ことを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の車両前部構造は、請求項9に記載の車両前部構造において、前記クロスメンバに形成され、前記サスペンションタワー内に開口する吸気口と、車両前部のパワーユニットと前記クロスメンバとの車両前後方向間に配置されると共に、前記クロスメンバ内に連通され、前記吸気口から前記クロスメンバ内を介して吸気された空気が清浄にされる空気清浄機構と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の車両前部構造では、車両の前部の左右両側部に一対のサイドメンバが配置されると共に、車両前側の一対のサスペンションを支持する一対のサスペンションタワーが車両の前部の左右両側部に配置されている。
【0016】
ここで、一対のサイドメンバの上側に配置されたクロスメンバが、車両左右両側部を車両後側に延伸されて、当該延伸端縁において一対のサスペンションタワーの車両前側部位に結合されている。
【0017】
このため、車両の前面衝突時には、クロスメンバへの衝突荷重をサスペンションタワーが車両前側部位において受ける(受け止める)ことができる。しかも、サスペンションタワーの車両前側部位への衝突荷重をサスペンションへ伝達でき、衝突荷重のサスペンションを通じた分散も可能である。これにより、クロスメンバが衝突荷重を効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達することができる。したがって、衝突荷重をクロスメンバを介して効果的に分散できて、衝突荷重の吸収量の低下を抑制でき、車両の変形ストロークを短くすることができる。
【0018】
さらに、車高が高い他の車両に対する車両の前面衝突時でも、クロスメンバが衝突荷重を効果的に受けることができて衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達でき、車両の変形ストロークを短くすることができる。
【0019】
請求項2に記載の車両前部構造では、クロスメンバの車両前側に配置されたバンパリインフォースが一対のサイドメンバの車両前側端に結合されている。このため、車両の前面衝突時には、衝突荷重がバンパリインフォースからサイドメンバ(車両後側)へ伝達される。
【0020】
ここで、クロスメンバが一対のサイドメンバに結合されている。
【0021】
このため、車両の前面高速衝突時(重衝突時)には、クロスメンバへの衝突荷重を、一対のサスペンションタワーにおいて効果的に受けることができるのみならず、クロスメンバの一対のサイドメンバへの結合部において受けることができる。これにより、クロスメンバが、衝突荷重を一層効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ一層効率良く伝達することができる。
【0022】
請求項3に記載の車両前部構造では、一対のサイドメンバの車両前側端部に他の部位よりも軸方向への圧縮強度が低くされて一対のクラッシュボックスが設けられており、クロスメンバの一対のサイドメンバへの結合部の車両前側端とクロスメンバの車両前側端とが一対のクラッシュボックスの車両後側端に対し車両前後方向において一致する位置又は車両後側に配置されている。このため、車両の前面低速衝突(軽衝突)時であってサイドメンバのうちクラッシュボックスのみが変形される場合には、クロスメンバへは衝突荷重が入力されない。このため、クロスメンバ、クロスメンバの一対のサイドメンバへの結合部及び一対のサスペンションタワーの損傷を防止することができると共に、クロスメンバによる衝突対象への加害力の発生を防止することができる。
【0023】
また、特にクロスメンバの車両前側端が一対のクラッシュボックスの車両後側端に対し車両前後方向において一致する位置に配置される場合には、車両の前面高速衝突時に、クラッシュボックスによる衝突荷重の吸収終了直後にクロスメンバへ衝突荷重が入力される。これにより、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0024】
請求項4に記載の車両前部構造では、車両の前面高速衝突時に、クロスメンバと車両前部のパワーユニットとを車両前後方向側で連絡する荷重伝達部材が、衝突荷重をクロスメンバからパワーユニットへ伝達する。このため、クロスメンバへの衝突荷重の入力開始直後にパワーユニットへ衝突荷重が入力される。これにより、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0025】
請求項5に記載の車両前部構造では、クロスメンバの車両後方に車両前部のパワーユニットが配置されている。このため、車両の前面高速衝突時には、衝突荷重をクロスメンバからパワーユニットへ伝達することができる。
【0026】
請求項6に記載の車両前部構造では、車両前部のパワーユニットのエンジンに設けられた出力軸が車両左右方向側に沿って配置されており、出力軸から出力されるエンジンの駆動力を、パワーユニットに設けられたデファレンシャルが、車両の前輪へ伝達する。ここで、デファレンシャルが出力軸よりも車両前側に配置されている。このため、デファレンシャルが出力軸よりも車両後側に配置された場合に比し、前輪が車両前側へ配置される。これにより、車両の前面高速衝突時には、衝突荷重を前輪へ早期から分散できて、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0027】
請求項7に記載の車両前部構造では、車両前部のパワーユニットを搭載するサブフレームが、平面視矩形枠状とされている。これにより、車両の前面高速衝突時には、衝突荷重をサブフレームへ効果的に分散できて、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0028】
請求項8に記載の車両前部構造では、クロスメンバの一対のサイドメンバへの結合部間がクロスメンバの一対のサスペンションタワーへの結合部間よりも短くされている。このため、車両の前面高速衝突時には、クロスメンバの一対のサイドメンバへの結合部間がクロスメンバの一対のサスペンションタワーへの結合部間よりも長くされた場合に比し、クロスメンバが、衝突荷重を一層効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ一層効率良く伝達することができる。
【0029】
請求項9に記載の車両前部構造では、クロスメンバが筒状とされているため、クロスメンバの剛性を高くすることができる。
【0030】
請求項10に記載の車両前部構造では、クロスメンバが空気導入ダクトとして使用されており、クロスメンバの吸気口からクロスメンバ内を介して空気清浄機構へ吸気された空気が清浄にされる。
【0031】
ここで、クロスメンバの吸気口がサスペンションタワー内に開口する。このため、クロスメンバの吸気口がエンジンコンパートメント内に開口する場合と異なり、空気清浄機構へ冷風を吸気することができる。
【0032】
さらに、空気清浄機構が車両前部のパワーユニットとクロスメンバとの車両前後方向間に配置されている。このため、車両の前面高速衝突時には、衝突荷重をクロスメンバから空気清浄機構を介してパワーユニットへ伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造10が車両前斜め左方から見た概略的な斜視図にて示されている。さらに、図2には、車両前部構造10が上側から見た平面図にて示されており、図3には、車両前部構造10が車両左側から見た側面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両左方を矢印LHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0034】
本実施の形態に係る車両前部構造10は、サイドメンバとしての長尺矩形筒状のフロントサイドメンバ12を一対備えており、一対のフロントサイドメンバ12は、車両の前部の左右両側部において、車両前後方向に沿って配置されている。各フロントサイドメンバ12の車両後側部以外の部位は、水平に配置されると共に、各フロントサイドメンバ12の車両後側部は、車両後側へ向かうに従い下側へ向かう方向へ傾斜されており、各フロントサイドメンバ12の車両後側端は、キック部14とされて、断面U字形長尺板状のセンタサイドメンバ16に結合(固定)されている。一対のセンタサイドメンバ16は、車両の前後方向中間部の左右両側底部において、車両前後方向に沿って水平に配置されている。
【0035】
各フロントサイドメンバ12の車両前側端部は、クラッシュボックス18とされており、各クラッシュボックス18は各フロントサイドメンバ12の他の部位よりも軸方向への圧縮強度が低くされている。
【0036】
一対のフロントサイドメンバ12(クラッシュボックス18)の車両前側端には、バンパリインフォースとしての長尺矩形筒状のフロントバンパリインフォース20が結合されており、フロントバンパリインフォース20は、車両の前端において、車幅方向に沿って水平に配置されている。
【0037】
一対のフロントサイドメンバ12の下側には、サブフレームとしてのフロントサブフレーム22が配置されており、フロントサブフレーム22は、長尺矩形筒状のサブサイドメンバ24を一対有している。一対のサブサイドメンバ24は、車両の前部の左右両側部において、車両前後方向に沿って略水平に配置されており、各サブサイドメンバ24の車両後側端は、各フロントサイドメンバ12のキック部14に結合されている。一対のサブサイドメンバ24の車両前側端間及び車両後側部間には、長尺矩形筒状のサブクロスメンバ26が結合されており、各サブクロスメンバ26は車幅方向に沿って水平に配置されている。これにより、フロントサブフレーム22は、平面視略矩形枠状(平面視略井字状)とされており、フロントサブフレーム22(車両前側のサブクロスメンバ26)の車両前側端は、各クラッシュボックス18の車両後側端よりも車両後側に配置されている。また、車両前側のサブクロスメンバ26の車幅方向各端部は、サブクロスメンバ26側に設けられた各下支持部28及び各フロントサイドメンバ12側に設けられた上支持部30を介して、各フロントサイドメンバ12のクラッシュボックス18よりも車両後側の部位に結合(支持)されている。
【0038】
一対のフロントサイドメンバ12の上側には、矩形筒状のエプロンアッパメンバ32が一対配置されており、一対のエプロンアッパメンバ32は、車両の前部の左右両側部において、車両前後方向に沿って水平に配置されて、車両の一対のフロントピラー(図示省略)と一体にされている。
【0039】
一対のエプロンアッパメンバ32の車両後側部間には、断面略U字形板状のカウル34が結合されており、カウル34の下端には、板状のダッシュパネル36が結合されている。ダッシュパネル36は、カウル34の下端から各フロントサイドメンバ12の車両後側部間へ向けて配置されており、ダッシュパネル36は、車両前側のエンジンコンパートメント38(エンジン室)と、車両後側のキャビン40(車室)と、を仕切っている。
【0040】
一対のフロントサイドメンバ12の車幅方向両外側には、サスペンションタワー42が立設されており、各サスペンションタワー42は、カウル34の車幅方向各端部、各エプロンアッパメンバ32の側面及び各フロントサイドメンバ12の側面に結合されている。各サスペンションタワー42は上壁及び湾曲板状の側壁を有しており、各サスペンションタワー42の強度は特に高くされている。各サスペンションタワー42内には、サスペンション44が支持されており、各サスペンション44は下端において車両の各前輪46のホイール48を上下方向へ弾性的に移動可能に支持している。
【0041】
各フロントサイドメンバ12の上面には、各クラッシュボックス18の車両後側端よりも車両後側において、矩形筒状のブレース50(縦柱)が結合されており、各ブレース50は、各フロントサイドメンバ12の上側に立設されている。
【0042】
一対のフロントサイドメンバ12の上側には、長尺矩形筒状(閉断面状)のクロスメンバ52が配置されており、クロスメンバ52の車幅方向中央部は車幅方向に沿って水平に配置されると共に、クロスメンバ52の車幅方向両端部は湾曲されて車両後側へ水平に延伸されている。クロスメンバ52は、車幅方向両端部の各湾曲部分(各曲がり部分)において各ブレース50の上端に固定されて各フロントサイドメンバ12に結合されると共に、車幅方向両端縁(延伸端縁)において各サスペンションタワー42の車両前側面に固定されており、クロスメンバ52の車両前側端(車幅方向中央部の車両前側面)は、各クラッシュボックス18の車両後側端に対し車両前後方向において一致する位置に配置されている。また、クロスメンバ52の一対のブレース50への結合部(クロスメンバ52の一対のフロントサイドメンバ12への結合部)間は、クロスメンバ52の一対のサスペンションタワー42への結合部間よりも短くされており、これにより、クロスメンバ52の一対のブレース50及び一対のサスペンションタワー42への各結合部を結んだ形状が、車両前側の辺が車両後側の辺よりも短い台形状にされている。
【0043】
エンジンコンパートメント38内には、パワーユニット54(図1では図示省略)が設けられている。パワーユニット54は、フロントサブフレーム22に搭載支持されており、フロントサブフレーム22の車両前側端は、パワーユニット54の車両前側端よりも車両前側に配置されている。パワーユニット54は、一対のフロントサイドメンバ12、ダッシュパネル36及びクロスメンバ52に取り囲まれて、クロスメンバ52と車両前後方向において対向しており、パワーユニット54の車両前側面はクロスメンバ52の車幅方向中央部と荷重伝達部材(トルク伝達部材)としてのトルクロッド56によって車両前後方向において結合されている。パワーユニット54のエンジン58には出力軸としてのクランク軸60が設けられており、クランク軸60は、車幅方向に沿って(横置きに)配置されると共に、エンジン58の駆動力を出力する。
【0044】
パワーユニット54の下部にはデファレンシャル62が設けられており、デファレンシャル62は、クランク軸60の車両前側に配置されると共に、一対の駆動軸64が接続されている。一対の駆動軸64はパワーユニット54から車幅方向両外側へ沿って突出して一対の前輪46のホイール48へ接続されており、デファレンシャル62は、クランク軸60から出力されたエンジン58の駆動力を一対の駆動軸64を介して一対の前輪46へ伝達する。
【0045】
このように、本実施の形態の車両は、FF車(フロントエンジンフロントドライブ車)にされている。
【0046】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成の車両前部構造10では、車両の前面衝突時に、衝突荷重がフロントバンパリインフォース20からフロントサイドメンバ12(車両後側)へ伝達される。これにより、車両の前面低速衝突(軽衝突)時には、フロントサイドメンバ12のうちクラッシュボックス18のみが変形される。一方、車両の前面高速衝突(重衝突)時には、フロントサイドメンバ12のクラッシュボックス18以外の部位も変形される。
【0048】
ここで、一対のフロントサイドメンバ12の上側かつフロントバンパリインフォース20の車両後側に配置されたクロスメンバ52が、車幅方向両端部を湾曲されて車両後側へ延伸されることで、当該延伸端縁において一対のサスペンションタワー42の車両前側面に結合されている。
【0049】
このため、車両の前面高速衝突時には、クロスメンバ52への衝突荷重を、強度が特に高くされた一対のサスペンションタワー42が車両前側部位において効果的に受けることができる。しかも、一対のサスペンションタワー42の車両前側部位への衝突荷重を一対のサスペンション44へ伝達でき、衝突荷重の一対のサスペンション44を通じた分散も可能である。これにより、クロスメンバ52が、衝突荷重を効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達することができる。
【0050】
さらに、一対のフロントサイドメンバ12に一対のブレース50が結合されると共に、一対のブレース50がクロスメンバ52に結合されて、クロスメンバ52が一対のフロントサイドメンバ12に結合されている。このため、クロスメンバ52への衝突荷重を、一対のブレース50(クロスメンバ52の一対のフロントサイドメンバ12への結合部)において受けることができて、一対のフロントサイドメンバ12へ分散できる。これにより、クロスメンバ52が、衝突荷重を一層効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ一層効率良く伝達することができる。
【0051】
しかも、クロスメンバ52が車幅方向両端部の湾曲部分において一対のブレース50を介して一対のフロントサイドメンバ12に結合されている(クロスメンバ52の車幅方向両端縁位置(クロスメンバ52への衝突荷重を受ける位置)でクロスメンバ52が一対のフロントサイドメンバ12に結合されずに、クロスメンバ52への衝突荷重入力位置に近い位置でクロスメンバ52が一対のフロントサイドメンバ12に結合されている)。このため、衝突荷重が入力されたクロスメンバ52の一対のフロントサイドメンバ12に対する車幅方向への変位を抑制することができ、クロスメンバ52車幅方向両端部の一対のサスペンションタワー42に対する角度の変化を抑制することができる。これにより、クロスメンバ52への衝突荷重を一対のサスペンションタワー42が確実に受けることができる。またこのため、クロスメンバ52の一対のフロントサイドメンバ12に対する車幅方向への変位を抑制するために、クロスメンバ52自体の剛性及びクロスメンバ52とサスペンションタワー42との結合剛性の少なくとも一方を大きくする補強をする必要を少なくすることができる。
【0052】
また、クロスメンバ52の一対のブレース50への結合部間がクロスメンバ52の一対のサスペンションタワー42への結合部間よりも短くされて、クロスメンバ52の一対のサスペンションタワー42への結合部がクロスメンバ52の一対のブレース50への結合部よりも車幅方向外側に配置されている。このため、クロスメンバ52の一対のブレース50への結合部間がクロスメンバ52の一対のサスペンションタワー42への結合部間よりも長くされた場合に比し、クロスメンバ52への衝突荷重を一対のサスペンションタワー42が一層効果的に受けることができる。これにより、クロスメンバ52が、衝突荷重を一層効果的に受けることができ、衝突荷重を車両後側へ一層効率良く伝達することができる。
【0053】
さらに、上述の如く、クロスメンバ52が車幅方向両端部の湾曲部分において一対のブレース50を介して一対のフロントサイドメンバ12に結合されると共に、クロスメンバ52の一対のサスペンションタワー42への結合部がクロスメンバ52の一対のブレース50への結合部よりも車幅方向外側に配置されている。このため、車両の前面片側(右側又は左側)高速衝突時でも、衝突側(例えば車両右側)においてクロスメンバ52が変形されてサスペンションタワー42へ衝突荷重を伝達できずかつ衝突反対側(例えば車両左側)においてクロスメンバ52からサスペンションタワー42へ衝突荷重を伝達できないことを抑制でき、衝突荷重をクロスメンバ52が衝突側部分から一対のサスペンションタワー42へ伝達できて一対のサスペンションタワー42が効果的に受けることができる。
【0054】
したがって、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降において、衝突荷重をクロスメンバ52を介して効果的に分散できて、衝突荷重の吸収量の低下を抑制でき、車両の変形ストロークを短くすることができる。
【0055】
さらに、クロスメンバ52の車両前側端(車幅方向中央部の車両前側面)が一対のクラッシュボックス18の車両後側端に対し車両前後方向において一致する位置に配置されている。このため、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了直後にクロスメンバ52へ衝突荷重が入力される。しかも、クロスメンバ52とパワーユニット54とが車両前後方向において対向されて車両前後方向においてトルクロッド56によって結合されている。このため、クロスメンバ52への衝突荷重の入力開始直後にトルクロッド56を介してパワーユニット54へ衝突荷重が入力される。これにより、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降において、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0056】
また、パワーユニット54においては、デファレンシャル62がエンジン58のクランク軸60よりも車両前側に配置されている。このため、デファレンシャル62がクランク軸60よりも車両後側に配置された場合に比し、前輪46が車両前側へ配置される。これにより、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降において、衝突荷重を前輪46のホイール48へ早期から分散できて(前輪46は車両後方の車体との衝突によりホイール48が変形することで衝突荷重を吸収する)、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0057】
さらに、フロントサブフレーム22が平面視略矩形枠状とされると共に、フロントサブフレーム22の車両前側端がパワーユニット54の車両前側端よりも車両前側に配置されている。これにより、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降において、衝突荷重をフロントサブフレーム22へ早期から効果的に分散できて、衝突荷重の吸収量の低下を一層抑制でき、車両の変形ストロークを一層短くすることができる。
【0058】
したがって、車両が小型車である場合の如くエンジンコンパートメント38の車両前後方向長さが短い場合でも、車両の変形ストロークが短くされることで、ダッシュパネル36の変形によるキャビン40の変形を抑制できる。しかも、衝突荷重が効果的に分散されることで、フロントサイドメンバ12のキック部14へ大きな衝突荷重が入力することを抑制でき、キック部14を集中補強する(質量増加させる)必要をなくすことができる。
【0059】
ところで、フロントサブフレーム22及びクロスメンバ52が設けられていないと共に、デファレンシャル62がクランク軸60よりも車両後側に配置された従来の車両前部構造では、図4の破線Aに示す如く、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降からパワーユニット54への衝突荷重の入力開始時までの間に衝突荷重が効果的に吸収されない空走ストロークが発生して衝突荷重の吸収量が低下する(図4の領域R参照)。このため、車両の変形ストロークが長くなる。
【0060】
一方、本実施の形態に係る車両前部構造10では、図4の実線Bに示す如く、クラッシュボックス18による衝突荷重の吸収終了時以降からパワーユニット54への衝突荷重の入力開始時までの間に衝突荷重の吸収量が低下することを防止できる。このため、従来の車両前部構造に比し、車両の変形ストロークを図4のストロークSだけ短くすることができる。
【0061】
また、上述の如く、クロスメンバ52が、一対のフロントサイドメンバ12の上側に配置されると共に、衝突荷重を効果的に受けて衝突荷重を車両後側へ効率良く伝達できる。このため、例えばSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)等の車高が高い他の車両(バリア)に対する車両の前面衝突時でも、当該他の車両のサイドメンバが突き刺さる現象(所謂アンダーライド現象)をクロスメンバ52によって抑制することができ、車両の変形ストロークを短くできて、ダッシュパネル36の変形によるキャビン40の変形を抑制できる。
【0062】
さらに、上述の如くクロスメンバ52の車両前側端が一対のクラッシュボックス18の車両後側端に対し車両前後方向において一致する位置に配置されると共に、一対のブレース50下端の車両前側端が一対のクラッシュボックス18の車両後側端に対し車両後側に配置されている。このため、車両の前面低速衝突時においてフロントサイドメンバ12のうちクラッシュボックス18のみが変形される際には、クロスメンバ52、一対のブレース50及び一対のサスペンションタワー42の損傷を防止することができると共に、クロスメンバ52による衝突対象への加害力の発生を防止することができる。
【0063】
また、クロスメンバ52が矩形筒状とされているため、クロスメンバ52が開き断面とされた場合と比較して、クロスメンバ52の剛性を高くすることができる。
【0064】
[第2の実施の形態]
図5には、本発明の第2の実施の形態に係る車両前部構造70が車両前斜め左方から見た概略的な斜視図にて示されている。
【0065】
本実施の形態に係る車両前部構造70は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0066】
本実施の形態に係る車両前部構造70では、クロスメンバ52が押出材等の密閉度(気密性)の高い部材で構成されており、クロスメンバ52の両端は吸気口72とされて各サスペンションタワー42内に開口している。
【0067】
パワーユニット54(図5では図示省略)とクロスメンバ52とは上記第1の実施の形態におけるトルクロッド56によって結合されておらず、パワーユニット54の車両前側面とクロスメンバ52の車幅方向中央部との間には、荷重伝達部材及び空気清浄機構を構成する直方体形箱状のエアクリーナケース74が配置されている。図6に示す如く、エアクリーナケース74の車両前側面には、荷重伝達部材及び空気清浄機構を構成する連通筒76が固定されており、連通筒76内はエアクリーナケース74内に連通されている。連通筒76はクロスメンバ52の車幅方向中央部に固定されており、連通筒76内はクロスメンバ52内に連通されている。これにより、パワーユニット54の車両前側面とクロスメンバ52の車幅方向中央部との車両前後方向間に、エアクリーナケース74及び連通筒76が隙間なく配置されている。
【0068】
ここで、本実施の形態に係る車両前部構造70では、エアクリーナケース74及び連通筒76がパワーユニット54の車両前側面とクロスメンバ52の車幅方向中央部との車両前後方向間に隙間なく配置されている。このため、車両の前面高速衝突時には、衝突荷重をクロスメンバ52からエアクリーナケース74及び連通筒76を介してパワーユニット54へ伝達することができ、エアクリーナケース74及び連通筒76が上記第1の実施の形態におけるトルクロッド56と同様の役割を果たすことができる。これにより、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0069】
また、クロスメンバ52の各吸気口72からクロスメンバ52内及び連通筒76内を介してエアクリーナケース74内へ吸気された空気が清浄にされる。このため、クロスメンバ52が空気導入ダクト(エアインテークダクト)として使用されているため、部品点数及び組付点数を削減できる。これにより、コストを低減できると共に、特に小型車の如くエンジンコンパートメント38がコンパクトな場合でもエンジンコンパートメント38内へ配置する必要がある全部品をエンジンコンパートメント38内へ容易に配置することができる(エンジンコンパートメント38内への部品配置における収納スペース効率を向上させることができる)。
【0070】
さらに、クロスメンバ52の各吸気口72が各サスペンションタワー42内に開口する。このため、クロスメンバ52の吸気口がエンジンコンパートメント38内に開口する場合と異なり、エアクリーナケース74内へ冷風を吸気することができると共に、エアクリーナケース74内への水の侵入を防止できる。
【0071】
なお、本実施の形態では、エアクリーナケース74をパワーユニット54と接触させた構成としたが、エアクリーナケース74をパワーユニット54の車両前側面と車両前後方向において接触させない構成としてもよい。この場合、エアクリーナケース74とパワーユニット54の車両前側面とを車両前後方向において可能な限り接近させる構成にするのが好ましい。
【0072】
[第3の実施の形態]
図7には、本発明の第3の実施の形態に係る車両前部構造80が車両前斜め左方から見た概略的な斜視図にて示されている。
【0073】
本実施の形態に係る車両前部構造80は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0074】
本実施の形態に係る車両前部構造80では、上記第1の実施の形態における一対のブレース50が設けられておらず、クロスメンバ52は、一対のフロントサイドメンバ12に結合されずに、一対のフロントサイドメンバ12から上側に離間されている。
【0075】
ここで、本実施の形態でも、クロスメンバ52が一対のフロントサイドメンバ12に結合されたことによる作用及び効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0076】
[第4の実施の形態]
図8には、本発明の第4の実施の形態に係る車両前部構造90が車両前斜め左方から見た概略的な斜視図にて示されている。
【0077】
本実施の形態に係る車両前部構造90は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0078】
本実施の形態に係る車両前部構造90では、上記第1の実施の形態における一対のブレース50が設けられていないと共に、クロスメンバ52が下方へ変位されており、クロスメンバ52の車幅方向両端部の各湾曲部分(各曲がり部分)は、各クラッシュボックス18の車両後側端よりも車両後側において、一対のフロントサイドメンバ12の上面に結合されている。
【0079】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0080】
[第5の実施の形態]
図8には、本発明の第5の実施の形態に係る車両前部構造100が車両前斜め左方から見た概略的な斜視図にて示されている。
【0081】
本実施の形態に係る車両前部構造100は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0082】
本実施の形態に係る車両前部構造100では、上記第1の実施の形態における一対のブレース50が設けられていないと共に、クロスメンバ52が上下方向幅を下方及び上方へ大きくされており、クロスメンバ52の車幅方向両端部の各湾曲部分(各曲がり部分)は、各クラッシュボックス18の車両後側端よりも車両後側において、一対のフロントサイドメンバ12の上面に結合されている。
【0083】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0084】
しかも、クロスメンバ52の上下方向幅が下方及び上方へ大きくされている。このため、例えばSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)等の車高が高い他の車両(バリア)に対する車両の前面衝突時でも、当該他の車両のサイドメンバが突き刺さる現象(所謂アンダーライド現象)をクロスメンバ52によって一層抑制することができる。
【0085】
なお、上記第1の実施の形態、第3の実施の形態乃至第5の実施の形態では、クロスメンバ52とパワーユニット54とをトルクロッド56によって結合した構成としたが、クロスメンバ52とパワーユニット54とを結合しない構成としてもよい。この場合、クロスメンバ52の車幅方向中央部とパワーユニット54の車両前側面とを車両前後方向において接触させる構成か、クロスメンバ52の車幅方向中央部とパワーユニット54の車両前側面とを車両前後方向において可能な限り接近させる構成にするのが好ましい。
【0086】
また、上記第1の実施の形態乃至第5の実施の形態では、クロスメンバ52の車両前側端を各クラッシュボックス18の車両後側端に対し車両前後方向において一致させる位置に配置した構成としたが、クロスメンバ52の車両前側端を各クラッシュボックス18の車両後側端に対し車両後側に配置した構成としてもよい。この場合、クロスメンバ52の車両前側端を各クラッシュボックス18の車両後側端に車両前後方向において可能な限り接近させる構成にするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め左方から見た概略的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す上側から見た平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両左側から見た側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造と従来の車両前部構造とにおける車両の変形ストロークと衝突荷重の吸収量との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め左方から見た概略的な斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る車両前部構造におけるクロスメンバ、エアクリーナケース及び連通筒を示す一部破断した車両左側からの側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め左方から見た概略的な斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め左方から見た概略的な斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め左方から見た概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
10 車両前部構造
12 フロントサイドメンバ(サイドメンバ)
18 クラッシュボックス
20 フロントバンパリインフォース(バンパリインフォース)
22 フロントサブフレーム(サブフレーム)
42 サスペンションタワー
44 サスペンション
46 前輪
50 ブレース
52 クロスメンバ
54 パワーユニット
56 トルクロッド(荷重伝達部材)
58 エンジン
60 クランク軸(出力軸)
62 デファレンシャル
70 車両前部構造
72 吸気口
74 エアクリーナケース(荷重伝達部材、空気清浄機構)
76 連通筒(荷重伝達部材、空気清浄機構)
80 車両前部構造
90 車両前部構造
100 車両前部構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部の左右両側部に配置された一対のサイドメンバと、
車両の前部の左右両側部に配置され、車両前側の一対のサスペンションを支持する一対のサスペンションタワーと、
前記一対のサイドメンバの上側に配置され、車両左右両側部が車両後側に延伸されて当該延伸端縁において前記一対のサスペンションタワーの車両前側部位に結合されたクロスメンバと、
を備えた車両前部構造。
【請求項2】
前記一対のサイドメンバの車両前側端に結合され、前記クロスメンバの車両前側に配置されたバンパリインフォースを備え、かつ、前記クロスメンバを前記一対のサイドメンバに結合した、ことを特徴とする請求項1記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記一対のサイドメンバの車両前側端部に他の部位よりも軸方向への圧縮強度が低くされて設けられ、車両後側端が前記クロスメンバの前記一対のサイドメンバへの結合部の車両前側端と前記クロスメンバの車両前側端とに対し車両前後方向において一致する位置又は車両前側に配置された一対のクラッシュボックスを有する、ことを特徴とする請求項2記載の車両前部構造。
【請求項4】
前記クロスメンバと車両前部のパワーユニットとを車両前後方向側で連絡し、前記クロスメンバと前記パワーユニットとの間で荷重を伝達可能とされた荷重伝達部材を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項5】
前記クロスメンバの車両後方に車両前部のパワーユニットを配置した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項6】
車両前部のパワーユニットのエンジンに設けられると共に車両左右方向側に沿って配置され、前記エンジンの駆動力を出力する出力軸と、
前記パワーユニットに設けられると共に前記出力軸よりも車両前側に配置され、前記出力軸からの駆動力を車両の前輪へ伝達するデファレンシャルと、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項7】
平面視矩形枠状とされ、車両前部のパワーユニットを搭載するサブフレームを備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項8】
前記クロスメンバの前記一対のサイドメンバへの結合部間を前記クロスメンバの前記一対のサスペンションタワーへの結合部間よりも短くした、ことを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項9】
前記クロスメンバを筒状とした、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の車両前部構造。
【請求項10】
前記クロスメンバに形成され、前記サスペンションタワー内に開口する吸気口と、
車両前部のパワーユニットと前記クロスメンバとの車両前後方向間に配置されると共に、前記クロスメンバ内に連通され、前記吸気口から前記クロスメンバ内を介して吸気された空気が清浄にされる空気清浄機構と、
を備えたことを特徴とする請求項9記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−117224(P2006−117224A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179804(P2005−179804)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】