説明

車両感知システム

【課題】路上機に車両感知機が設けられている場合に、その車両感知機による感知結果を車両の運転者に報知すること。
【解決手段】車載機である車両用ナビゲーション装置20及び路上機である車両感応式信号機30が、それぞれ通信機11,22を備え、車両感応式信号機30は、停止線に停止した車両を感知する車両感知機23による感知結果を車両用ナビゲーション装置20に送信する。車両用ナビゲーション装置20は、その感知結果を受信することにより、車両感応式信号機30の車両感知機23によって車両が感知されているか否かを報知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上機と車載機とからなる車両感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、信号機に設置されたホットスポットから、その信号機の近傍を走行中の車両の車載器へ、広告情報とともに信号機の信号状態を配信するシステムが知られている。この場合、車載器は、通知された信号機の信号状態と車両の走行状態に基づいて、情報表示を行うと危険であるか否かを判断し、危険であると判断すれば情報表示をせず、危険でないと判断すれば情報表示を行う。なお、車載機は、車両が交差点を中心とする危険エリアを走行中である場合には、信号機の信号状態や車両の走行状態に係らず、情報表示を行うと危険であると判断する。
【特許文献1】特開2005−77193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、特許文献1に記載されたシステムでは、信号機側から車載機へ広告情報や信号状態を配信するものにすぎない。
【0004】
ここで、信号機によっては、その信号機の停止線で停車状態となった車両を感知して、赤信号から青信号への切り替えを行う車両感応式の信号機がある。このような信号機は、停止線を基準とする車両停止位置の上方に、例えば超音波の送受信を行って、その送信から受信までの時間差に基づいて、停車状態となった車両を感知する車両感知機を備えている。
【0005】
この車両感知機による車両の感知エリアは非常に狭いため、車両がその感知エリアから外れた位置に停車してしまうことがありえる。この場合、信号機の信号状態が赤信号から切り替えられず、その停車した車両の運転者は、長時間、信号機で待たされる等の不都合が生じる
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、路上機に車両感知機が設けられている場合に、その車両感知機による感知結果を車両の運転者に報知することが可能な車両感知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両感知システムは、路上機と車載機とからなり、
前記路上機は、
所定の感知エリアに車両が進入したことを感知する車両感知機と、
前記感知エリアよりも広い通信エリアにおいて、前記車載機と通信する路上機側通信手段とを備え、
前記車載機は、
前記路上機と通信する車載機側通信手段と、
前記路上機との通信結果に基づく報知を行う報知手段とを備え、
前記車載機を搭載した車両が前記通信エリアに進入して、前記路上機側通信手段と前記車載機側通信手段との通信が確立すると、前記路上機は、前記車両感知機による車両の感知結果を前記車載機に送信し、前記車載機は、前記報知手段によって、前記路上機の車両感知機によって車両が感知されているか否かに関する情報を報知することを特徴とする。
【0007】
このように、請求項1に記載した車両感知システムでは、路上機と車載機とが、それぞれ路上機側通信手段と車載機側通信手段とを備え、路上機は、車両感知機による車両の感知結果を車載機に送信する。このため、車載機では、路上機の車両感知機によって車両が感知されているか否かに関する情報を報知することができる。従って、車両の運転者は、路上機の車両感知機によって車両が感知されていない場合、車両を適切な停車位置に移動させる等の対応を取ることが可能になる。
【0008】
請求項2に記載したように、前記路上機は、車両感応式の信号機であって、
前記路上機側通信手段は、前記車載機側通信手段との通信確立のために、所定時間ごとに質問信号を送信し、前記車載機は、その質問信号を受信すると応答信号を送信することが好ましい。路上機側では、どのタイミングで車両が感知エリアに接近するか予測できない。そのため、所定時間ごとに質問信号を送信し、その質問信号に対する応答信号の受信の有無によって、車両が感知エリアの近傍に存在することを検出することが好ましい。なお、車両感応式信号機の場合、車両を感知する必要があるのは、赤信号に切り替えられている期間のみであるから、赤信号切替期間中に上述した質問信号を送信すれば充分である。
【0009】
請求項3に記載したように、前記路上機は、前記感知結果として、前記車両感知機によって車両が感知されたとき、感知信号を前記車載機に送信するものであっても良い。つまり、路上機が、感知信号に加えて、車両感知機によって車両が感知されないことを示す非感知信号を送信するようにしても良いが、上述した請求項3のように、路上機が感知信号だけを送信するものであっても良い。この場合、車載機において、路上機からの感知信号を受信するまでは、車両は路上機の車両感知器によって感知されていない状態と判定し、感知信号を受信すると、それ以後、感知された状態と判定すれば良い。従って、路上機から車両の感知信号だけを送信するようにしても、車載機において、路上機の車両感知機によって車両が感知されているか否かに関する情報を報知することができる。
【0010】
請求項4に記載したように、1つの交差点若しくは複数の隣接する交差点において、車両感応式の信号機が複数設けられている場合、それぞれの車両感応式信号機は、互いに異なる識別信号を含む質問信号を送信し、
前記車載機は、
前記車両の現在位置および進行方向を検出する検出手段と、
1つの交差点若しくは複数の隣接する交差点において、車両感応式の信号機が複数設けられている場合、それら複数の信号機の位置と、各信号機からの質問信号を識別するための識別信号を記憶する記憶手段と、
前記検出手段によって検出された車両の現在位置及び進行方向と、前記記憶手段に記憶された各信号機の位置とに基づいて、前記車両が対面している信号機からの質問信号を識別するための識別信号を選択し、当該識別信号を用いて、前記車両が対面している信号機に対応する路上機側通信手段との通信を行うことが好ましい。
【0011】
1つの交差点に複数の車両感応式信号機が設置されていたり、隣接する交差点のそれぞれに車両感応式信号機が設定されていたりして、車載機とそれらの信号機との通信が同時に行い得る場合、車載機は、車両が対面している信号機を特定して、その信号機との通信を行う必要が生じる。
【0012】
請求項4に記載の構成を備えることで、車載機は、車両が対面している信号機とのみ通信を行うことが可能になる。すなわち、車載機が、各車両感応式信号機の位置と、各信号機からの質問信号を識別するための識別信号を記憶しておき、かつ車両の現在位置と進行方向とを検出することで、車両が対面している信号機からの質問信号を識別する識別信号を特定できる。そして、この特定した識別信号を含む質問信号に対して応答信号を送信することにより、車載機は、車両が対面している信号機とのみ通信を行うことができる。
【0013】
なお、この場合、請求項5に記載したように、車載機が送信する応答信号にも、車両が対面している信号機を識別するための識別信号を含むことが好ましい。これにより、複数の車両感応式信号機において、いずれの信号機に向けて送信された応答信号であるかを判別できるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態における車両感知システムの全体構成を示すブロック図である。本実施形態の車両感知システムは、車載器としての車両用ナビゲーション装置と、通信機を備えた車両感知式の信号機とから構成される。
【0015】
まず、車両感応式信号機30について説明する。車両感応式信号機は、図1に示すように、通信機22、車両感知機23、信号機24、及びこれらと接続された信号機制御部21とを備える。
【0016】
車両感知機23は、車両感応式信号機30の停止線において停止した車両を感知するものである。この車両感知機23は、停止線を基準とする車両停止位置の上方に設置され、その車両停止位置に向けて例えば超音波を送信し、その送信超音波の反射波を受信する超音波送受信機を備える。車両感知機23は、超音波送受信機による超音波の送信から受信までの時間差に基づいて、停止線に停止している車両を感知する。
【0017】
信号機制御部21は、車両感知機23によって停止車両が感知されると、隣接する信号機の信号状態等を考慮しつつ、信号機24を赤信号から青信号に切り替えるタイミングを決定する。そして、そのタイミングが到来したことを判定すると、信号機24を赤信号から青信号に切り替える。
【0018】
また、車両感応式信号機30は、車両感知機23により車両が感知されているか否かに関する情報を車載機に与えることができるように、車載機である車両用ナビゲーション装置20と通信を行う通信機22を有している。この通信機22による車両用ナビゲーション装置20との通信エリアは、車両感知機23による車両の感知エリアよりも広く設定されている。信号機制御部21は、通信機21に対して、所定時間ごとに質問信号を送信するように指示する。
【0019】
車両感応式信号機30においては、車両が、その信号機の停止線付近でいつ停止するのか予測できない。そのため、通信エリアに向けて通信機22から所定時間ごとに質問信号を送信させ、その質問信号に対する応答信号の受信の有無によって、車両が車両感応式信号機の近傍に存在することを検出するのである。なお、車両感応式信号機30の場合、車両を感知する必要があるのは、信号機24が赤信号に切り替えられている期間のみであるから、上述した質問信号は、赤信号切替期間中のみ通信機22から送信される。
【0020】
次に、車両用ナビゲーション装置20について説明する。車両用ナビゲーション装置20は、図1に示すように、位置検出器1、地図データ入力部6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、通信機11、音声コントローラ12、スピーカ13、音声認識装置14、マイク15と、これら各装置と接続された制御装置(ECU)8を備えている。
【0021】
制御装置8は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも不図示)が備えられている。制御装置8は、位置検出器1、地図データ入力部6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、通信機11、及び音声コントローラ12から入力された各種情報に基づき、所定の処理(例えば、現在位置及び進行方向算出処理、地図表示処理、メニュー表示処理、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理、感知エリアに属するか否かの報知処理等)を実行する。
【0022】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては、位置検出器1を上述した内の一部で構成してもよく、更に、地磁気センサ2やジャイロスコープ3に代えて、ステアリング回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。上述した制御装置8は、位置検出器1の各センサ等からの出力信号に基づいて、車両の現在位置及び進行方向を算出する。
【0023】
地図データ入力器6は、図示しない記憶媒体を有し、当該記憶媒体に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路地図を表示するための地図表示データ及びその道路地図上に行政区画名や施設名を表示するための文字データを含む各種データを制御装置8に入力するための装置である。制御装置8は、入力された各種データに基づいて、所定エリア・尺度の地図を表示する地図表示処理を行う。なお、記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、HDD等を用いてもよい。
【0024】
さらに、地図データ入力器6の記憶媒体には、1つの交差点若しくは複数の隣接する交差点において車両感応式信号機が複数設けられ、それらの複数の車両感応式信号機との通信が同時に行い得る場合、各車両感応式信号機の位置及びそれらを識別するための識別信号が記憶されている。そして、複数の車両感応式信号機は、所定時間ごとに質問信号を送信する際、相互に識別可能とするため、その識別信号を含む質問信号を送信するように構成される。
【0025】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等からなり、スイッチ操作により制御装置8へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等)の操作指示を行う。例えば、操作スイッチ群7の操作により目的地が設定されると、制御装置8は、位置検出器1により検出された現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に探索する経路探索処理を実行する。この経路探索処理によって探索された誘導経路を表示しているときに、経路案内開始がユーザによって指示されると、制御装置8は、経路案内処理を開始する。
【0026】
外部メモリ9は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置からなる。この外部メモリ9には、電源をOFFしても消去してはいけないデータなどを記憶する。なお、外部メモリ9は、比較的記憶容量の小さいリムーバルなメモリであってもよい。表示装置10は、地図や目的地選択画面等を表示するものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶、有機EL等を用いて構成することができる。
【0027】
通信機11は、車両感応式信号機30の通信機22との間で通信を行うものである。例えば、通信機11は、車両感応式信号機30の通信機22が送信する質問信号を受信すると、それに応答する応答信号を返送したりする。車両感応式信号機30と車両用ナビゲーション装置20間の通信処理、及びその通信処理に基づいて車両感応式信号機30及び車両用ナビゲーション装置20において実行される各種の処理については後述する。
【0028】
マイク15は、ユーザが発声した音声を電気信号として音声認識装置14に入力する。音声認識装置14は、マイク15を介して入力されたユーザの入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対象パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ12に入力する。音声コントローラ12は、音声認識装置14を制御すると共に、音声入力があったときに、認識した音声入力に対応した音声又は実行する機能を報知する音声や、経路案内のための音声や画面操作の説明音声などもスピーカ13を通じて出力させる。また、音声コントローラ12は、音声認識装置14の認識結果を制御装置8に入力する処理も行う。
【0029】
次に、車両感応式信号機30と車両用ナビゲーション装置20間の通信処理、及びその通信処理に基づいて車両感応式信号機30及び車両用ナビゲーション装置20においてそれぞれ実行される処理について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態の車両感知システムにおいて、車両感応式信号機30において実行される処理を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、車両感応式信号機の信号状態が赤信号である場合に、所定時間毎に実行される。
【0031】
ステップS10において、まず、通信機22から質問信号を送信させる。そして、ステップS20では、送信した質問信号に応答する応答信号が受信されたか否かを判定する。車両用ナビゲーション装置20を搭載した車両が車両感応式信号機30の近傍に停止している場合には、車両感応式信号機30から送信された質問信号に対して、車両用ナビゲーション装置20から応答信号が返送される。このようにして、応答信号の受信の有無によって、車両感応式信号機30の近傍に車両が存在するか否かを判別することができる。
【0032】
ステップS20において、応答信号が受信されないと判定されると、図2に示す処理を終了し、応答信号が受信されたと判定されると、ステップS30の処理に進む。ステップS30では、車両感知機23によって車両が感知されているか否かを判定する。このステップS30の判定処理において、車両感知機23が車両を未感知であると、感知するまで、待機する。なお、この待機状態に時間制限を設け、例えば所定時間経過しても車両が感知できない場合には、再びステップS10からの処理を実行するようにしても良い。
【0033】
ステップS30にて、車両感知機23が車両を感知したと判定した場合、ステップS40の処理に進む。ステップS40では、通信機22から、車両を感知した旨の信号を車両用ナビゲーション装置20に向けて送信する。この送信は、ステップS50にて、車両用ナビゲーション装置20から受信したことを示す受信応答信号を受信するまで、繰返し送信される。ステップS50にて、車両用ナビゲーション装置20からの受信応答ありと判定されると、ステップS60に進んで、車両感知信号の送信を終了する。
【0034】
ステップS70では、停止している車両を感知したため、信号の切替制御を行う。すなわち、他の信号の信号状態を考慮しつつ、適切なタイミングで赤信号から青信号へ切り替えるとともに、所定時間経過したら、再度、青信号から赤信号へ切り替える。
【0035】
次に、車両用ナビゲーション装置20において実行される処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。この図3のフローチャートに示す処理も所定時間ごとに実行される。
【0036】
まずステップS110では、車両感応式信号機30からの質問信号を受信したか否かを判定する。なお、この判定処理では、例えば車速に関する条件を付加しても良い。すなわち、車載機である車両用ナビゲーション装置20が、車両感応式信号機30と通信を行う必要があるのは、車両がその車両感応式信号機30にて停止する場合である。従って、車両が停止するとみなされる車速以下であることを付加条件として、質問信号を受信したか否かを判定しても良い。
【0037】
ステップS110にて質問信号を受信したと判定した場合には、ステップS120に進み、質問信号に応答する応答信号を送信する。この応答信号を車両感応式信号機30が受信することにより、車両用ナビゲーション装置20と車両感応式信号機30との通信リンクが確立したことになる。
【0038】
ステップS130では、車両感応式信号機130から車両感知信号を受信したか否かを判定する。上述したように、車両感応式信号機130では、車両感知機23が車両を感知すると、車両用ナビゲーション装置20に向けて車両感知信号を送信する。換言すれば、この車両感知信号が受信されるまでは、車両が車両感知機23に感知されていないと判断することができる。従って、車両感知信号を未受信である場合には、ステップS150に進んで、車両が車両感知機23の感知エリア外にあることを、表示装置10における表示やスピーカ13からの音声によって車両の運転者に報知する。これにより、運転者は、車両感知機23によって車両が感知される位置に車両を移動させる等の対応を取ることができる。
【0039】
なお、図2のフローチャートのステップS30において、車両感知機23が車両を感知していないと判定された場合には、車両感応式信号機30から車両用ナビゲーション装置20に車両の非感知信号を送信するようにしても良い。
【0040】
一方、ステップS130において、車両感知信号を受信済みであると判定した場合には、ステップS140に進み、車両は車両感知機23の感知エリア内に入っていることを報知する。この報知例を図4に示す。この図4の報知例では、表示装置10における表示により、車両が停止している信号機が車両感応式信号機30であり、その車両感応式信号機30の車両感知機23によって車両が感知され、まもなく信号が赤信号から青信号に切り替えられることが報知される。なお、図4に示す表示は、表示装置10に地図などが表示されている場合に、その上に重畳表示されるものである。
【0041】
ステップS160では、車両感知信号を受信したことを示す受信応答信号を車両感応式信号機30に向けて送信する。
【0042】
上述した車両感応式信号機30及び車両用ナビゲーション装置20による処理によって、車両用ナビゲーション装置20が、車両感応式信号機30の車両感知機23によって車両が感知されているか否かに関する情報を報知することができる。従って、車両の運転者は、車両感知機23によって車両が感知されていない場合、車両を適切な停止位置に移動させる等の対応を取ることができる。
【0043】
次に、車両が交差点で停止した場合、その停止位置において、複数の車両感応式信号機30の通信機22と通信することが可能な状況における、車両用ナビゲーション装置20の処理について説明する。このような状況は、1つの交差点に複数の車両感応式信号機が設置されていたり、比較的近距離に設置された隣接する交差点のそれぞれに車両感応式信号機が設定されていたりした場合に起こりえる。この場合には、車載機である車両用ナビゲーション装置20は、車両が対面している車両感応式信号機30を特定して、その特定した車両感応式信号機30との通信を行う必要がある。
【0044】
そのため、車両用ナビゲーション装置20では、図5のフローチャートに示す処理を実行する。なお、この場合、それぞれの車両感応式信号機30は、質問信号を送信する際、相互に識別可能とするため、各々に固有な信号として割り当てられた識別信号を含む質問信号を送信するように構成されている。
【0045】
まず、ステップS210では、位置検出器1からの信号に基づいて、車両の現在位置及び進行方向を検出する。そして、ステップS220では、ステップS210にて検出された車両の現在位置及び進行方向、さらには、地図データ入力器6から入力されるデータに基づいて、車両が車両感応式信号機30において停止し、かつその交差点において、複数の車両感応式信号機30から質問信号を受信する可能性があるか否かを判定する。このステップS220の判定処理において「No」と判定された場合には、既に説明した図3のフローチャートに示す処理を実行する。一方、ステップS220の判定処理において「Yes」と判定された場合には、ステップS230の処理に進み、地図データ入力器6から車両が対面している車両感応式信号機30に割り当てられた識別信号を抽出する。
【0046】
ステップS240では、抽出した識別信号を含む質問信号を受信したか否かを判定する。この判定処理において「No」と判定されると、車両が走行を開始する可能性もあるため、ステップS210の処理に戻り、一方、「Yes」と判定された場合、車両用ナビゲーション装置20が通信すべき車両感応式信号機30からの質問信号であるため、ステップS250の処理に進む。ステップS250では、ステップS230にて抽出した識別信号を含む応答信号を送信する。これにより、複数の車両感応式信号機30において、いずれの車両感応式信号機30に向けて送信された応答信号であるかを、車両感応式信号機30において判別することができる。その後の、車両用ナビゲーション装置20と車両感応式信号機30との通信においても、識別信号を含む信号が送受信される。
【0047】
ステップS260では、識別信号を含む車両感知信号を受信したか否かを判定する。この判定結果に応じてステップS270〜S290にて実行される報知処理等は、上述した図3のステップS140〜S160に示す処理と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
このように車両用ナビゲーション装置20において、車両が対面している車両感応式信号機30に割り当てられた識別信号を抽出することにより、この識別信号を用いて、車両が対面している車両感応式信号機30とのみ通信を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形することが可能である。
【0050】
上述した実施形態では、路上機の一例として車両感応式信号機を挙げたが、例えば、駐車場のゲートを制御するゲート制御機など、停止車両を感知する車両感知機を備える路上機であれば、本発明を適用することが可能である。
【0051】
また、上述した実施形態では、車両用ナビゲーション装置を車載機として利用したが、車載機は、通信機、報知機等の必要な構成を備えている限り、車両用ナビゲーション装置以外の装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態における車両感知システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の車両感知システムにおいて、路上機である車両感応式信号機が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の車両感知システムにおいて、車載機である車両用ナビゲーション装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】車両用ナビゲーション装置において、車両が車両感知機の感知エリア内に入っていることを報知する一例を示す説明図である。
【図5】車両用ナビゲーション装置が行う他の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…位置検出器
6…地図データ入力器
7…操作スイッチ群
8…制御装置
10…表示装置
11…通信機
12…音声コントローラ
13…スピーカ
20…車両用ナビゲーション装置
21…信号機制御部
22…通信機
23…車両感知機
24…信号機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上機と車載機とからなる車両感知システムであって、
前記路上機は、
所定の感知エリアに車両が進入したことを感知する車両感知機と、
前記感知エリアよりも広い通信エリアにおいて、前記車載機と通信する路上機側通信手段とを備え、
前記車載機は、
前記路上機と通信する車載機側通信手段と、
前記路上機との通信結果に基づく報知を行う報知手段とを備え、
前記車載機を搭載した車両が前記通信エリアに進入して、前記路上機側通信手段と前記車載機側通信手段との通信が確立すると、前記路上機は、前記車両感知機による車両の感知結果を前記車載機に送信し、前記車載機は、前記報知手段によって、前記路上機の車両感知機によって車両が感知されているか否かに関する情報を報知することを特徴とする車両感知システム。
【請求項2】
前記路上機は、車両感応式の信号機であって、
前記路上機側通信手段は、前記車載機側通信手段との通信確立のために、所定時間ごとに質問信号を送信し、前記車載機は、その質問信号を受信すると応答信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の車両感知システム。
【請求項3】
前記路上機は、前記感知結果として、前記車両感知機によって車両が感知されたとき、感知信号を前記車載機に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両感知システム。
【請求項4】
1つの交差点若しくは複数の隣接する交差点において、車両感応式の信号機が複数設けられている場合、それぞれの車両感応式信号機は、互いに異なる識別信号を含む質問信号を送信し、
前記車載機は、
前記車両の現在位置および進行方向を検出する検出手段と、
1つの交差点若しくは複数の隣接する交差点において、車両感応式の信号機が複数設けられている場合、それら複数の信号機の位置と、各信号機からの質問信号を識別するための識別信号を記憶する記憶手段と、
前記検出手段によって検出された車両の現在位置及び進行方向と、前記記憶手段に記憶された各信号機の位置とに基づいて、前記車両が対面している信号機からの質問信号を識別するための識別信号を選択し、当該識別信号を用いて、前記車両が対面している信号機に対応する路上機側通信手段との通信を行うことを特徴とする請求項2に記載の車両感知システム。
【請求項5】
前記車載機は、車両が対面している信号機を識別するための識別信号を含む質問信号を受信した場合、当該識別信号を含む応答信号を送信することを特徴とする請求項4に記載の車両感知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−213428(P2007−213428A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34175(P2006−34175)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】