説明

車両液圧ブレーキシステムに用いるブレーキ力発生機

本発明は、液圧車両ブレーキシステム(12)用のブレーキ出力発生機(10)に関する。前記発電機は、ブレーキペダル(58)に連結されうる、または連結され、ブレーキ出力発電機(10)のベースハウジング(14)内で変位されうる出力入力部材(56)、一次ピストン(66)が変位可能なように案内され、前記一次ピストン(66)がマスターブレーキシリンダ(16)とともに液圧ブレーキの圧力を発生するための一次圧力室(70)を定める、マスターブレーキシリンダ(16)、出力入力部材(56)に連結されうる、ペダル対抗力シミュレーション装置(80)、および作動力を一次ピストン(66)に加えるための作動力発生ユニットを備える。ブレーキ出力発生機は、ペダル対抗力シミュレーション装置(80)が、出力入力部材(56)に流体的に連結されうる、または流体的に連結されること、および作動力発生ユニットは、制御弁(18)および室組立体を備え、室組立体は負圧室(40)および作業室(42)とともに構成され、作業室(42)は負圧室(40)から移動壁(36)により隔てられ、制御弁(18)を使って流体的に接続されうることを特徴とする。制御弁(18)は、ペダルの作動により機械的に制御され、これにより、作業室(42)と負圧室(40)との間の作動力を決定する差圧を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両液圧ブレーキシステムに用いるブレーキ力発生機およびそのようなブレーキ力発生機を装着した車両液圧ブレーキシステムに関する。
本発明によるブレーキ力発生機は、ブレーキペダルに連結されうるかまたは連結される力入力要素であって、ブレーキ力発生機のベースハウジング内で変位可能である力入力要素と、一次ピストンが変位可能なように案内されるマスターブレーキシリンダであって、マスターブレーキシリンダを備える一次ピストンが液圧ブレーキの圧力を発生するように一次圧力室を定めるマスターブレーキシリンダと、力入力要素と連結されうるペダル対抗力シミュレーション装置と、作動力を一次ピストンに加える作動力発生装置とを備えて設計されている。
【背景技術】
【0002】
今日一般的なブレーキシステムでは、車両のホイールブレーキを加圧するために必要な液圧ブレーキの圧力は、主に、マスターブレーキシリンダを使って生成される。このために、作動力は、マスターブレーキシリンダに伝達されなければならず、この力は車両運転者によるブレーキペダルの作動に応答して生成される。運転の快適さを向上するために、通常、実際のブレーキペダル作動力は、ブレーキ力増幅器を使って特定の割合だけ高められ、これにより、所望の車両の減速をもたらすために必要なブレーキペダル作動力は、低く保つことができ、運転者は車両を適切に制動することが楽に行える可能性がある。ブレーキ力増幅器を備えるこのようなブレーキシステムは、DE4405092の実施例に関して知られている。
【0003】
運転者の快適さを向上するために、近年、ブレーキペダル作動が実際のブレーキ力発生から機械的に切り離されるブレーキシステムが設計されている。むしろ、ブレーキペダル作動は、電子的に検出され、次いで、ブレーキ力は、検出されたブレーキペダル作動に応じて生成される。このような解決策は、例えば、DE19845052A1およびDE10057557A1による従来技術で知られている。この従来技術では、ブレーキペダル作動は、電子的に検出され、また検出されたブレーキペダル作動に応じて、ブレーキ力の発生または増幅を確実にする電磁アクチュエータが、トリガされる。
【0004】
さらに、DE19817190C1は、空気圧ブレーキ力発生機を使い、ブレーキ力が特定のホイールブレーキユニットで発生するブレーキシステムを開示している。この空気圧ブレーキ力発生機は、さらに、検出されたブレーキペダル作動に応じて電子的に制御される。
【0005】
それに加えて、EP1070006B1による一般的な従来技術では、ブレーキ力が液圧システムにより生成されるブレーキシステムを示しており、通常動作では、ペダル作動力は、ブレーキ力発生時には未使用である。
【0006】
従来技術の上述の解決方法は、実際には、ブレーキペダル作動から部分的にまたはさらには完全に切り離されているブレーキ力を発生するという利点を有しているが、相当複雑な機器および設計を必要とする。上記の従来技術による電子アクチュエータを装着した特定のブレーキシステムには、構造が複雑であり、したがって、製造コストが高い。上述のシステムの他の欠点としては、そこで使用されるペダル対抗力シミュレーション装置は、それぞれの場合において、ブレーキペダルに連結されている力入力要素上に直接に配列され、その結果、比較的かさばった構成になる。
【0007】
その後出願人により公開されたDE102004012263B3の明細書では、制御弁が追加のアクチュエータを使って電磁制御され、したがってペダル作動から切り離され、最初に説明された種類の構成を開示している。
【0008】
それに加えて、DE19914450A1の明細書では、ペダル対抗力シミュレーション装置が、マスターブレーキシリンダに取り付けられる液圧ブレーキ回路内に備えられるブレーキ力発生機を開示している。このペダル対抗力シミュレーション装置は、マスターブレーキシリンダから生じるペダル作動に対する抵抗が高められるように必要に応じて係合させることができる。
【0009】
本質的に技術的な背景を構成する他の従来技術として、DE19950862C5およびDE60105353T2の明細書が参照される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような点に関して、本発明の目的は、最初に説明されている種類のブレーキ力発生機およびブレーキ力発生機に装備された、従来技術に対してより単純で、したがって安価な構造を持つ十分優れた機能を発揮するブレーキシステムを実現することである。
【0011】
この目的は、ペダル対抗力シミュレーション装置は、力入力要素と流体的に連結されているか、または連結されうること、および作動力発生装置は、制御弁および室構成を有し、室構成は、真空室および可動壁を介して真空室から隔てられ、制御弁を介して流体的に接続されることができる作業室を備えるように形成され、制御弁は、ペダル作動を介して直接的に機械的に制御され、これにより前記作業室と作動力を決定する真空室との間に差圧を生成することができることを条件とする、上述の種類のブレーキ力発生機により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、複雑な電磁制御可能アクチュエータが置き換えられ、制御弁は、ペダル作動を介して直接機械的に作動されることを提案している。マスターシリンダに伝達される作動力の実際の発生は、可動壁に存在し、ブレーキペダルから切り離されている差圧により室構成を介して行われ、したがって、運転者自身がブレーキペダルの作動により制御弁を開閉するが、作動力発生からは切り離されている。このことは、ここでもまた、ブレーキペダルと制御弁との間の連結とは別に、ペダル作動力は、作動力の発生に対しては未使用のままであり、ペダル対抗力シミュレーション装置内に放散することを意味している。ペダル対抗力シミュレーション装置の流体的連結では、これは空間的に任意に配列されることができ、したがって、ペダル対抗力シミュレーション装置および力入力要素をブレーキペダルに近い位置に直接空間的に配分するという欠点がなくなる。その結果、かさばるブレーキ力発生機の構成が回避される。むしろ、ペダル対抗力シミュレーション装置は、利用可能な空間が十分にある場所に配列されうる。
【0013】
本発明の精密化では、制御弁は、ベースハウジングに関して変位可能な制御弁ハウジングおよび制御弁ハウジングに関して変位可能な制御弁要素を有し、制御弁ハウジング上には、制御弁要素と封止接触させることができる真空密封座部が備えられ、さらに、力入力要素には、制御弁要素と封止接触させることができる大気密封座部が備えられている制御弁スリーブが機械的に結合されると規定する。背景状況において、さらに、制御弁要素と真空密封座部とが同時に隔てられた状態で、制御弁要素と大気密封座部との封止接触がなされたときに、作業室は、真空室と流体的に接続されること、および制御弁要素と大気密封座部とが同時に隔てられている状態で制御弁要素と真空密封座部との封止接触がなされたときに、作業室と真空室との間の差圧を高めるために、作業室は、周囲の大気と流体的に接続されることを規定することができる。
【0014】
ブレーキ力発生機の通常動作時に実際のブレーキ力発生からブレーキペダルを上記のように切り離すために、本発明の精密化では、制御弁ハウジングおよび制御弁スリーブは、互いに機械的に切り離され、遊びsに打ち勝つ、互いの方向に向かう所定の相対的移動が行われた後にのみ、相互接触を行うと規定する。遊びsは、例えば室構成がもはや正常に機能しなくなるか、または真空室への真空供給に不具合が生じたため、作動力発生装置が故障した場合に、純粋に機械的な制動が実行されうるような大きさに設定されなければならない。遊びsに打ち勝った後、制御弁ハウジングおよび制御弁スリーブは相互に接触し、したがってブレーキペダルを介して制御弁ハウジングがさらに移動すると、制御弁ハウジングが直接機械的に移動し、最終的に純粋に機械的に力を発生する。そのため、純粋に機械的な制動が実行される可能性のある緊急事態において遊びsに打ち勝つ。しかし、遊びsは大きくしすぎてはならないため、そのような緊急事態において打ち勝つべきアイドル移動はあまり大きくない。
【0015】
さらに、このような背景状況では、制御弁ハウジングおよび制御弁スリーブは、プレテンション下のバネ要素により互いに対して移動できると規定することができる。バネ要素は、通常動作時に制御弁ハウジングおよび制御弁スリーブの機械的連結を妨げる十分に強い要素として設計されなければならない。
【0016】
本発明の精密化では、真空室は、減圧を発生するために、燃焼機関のインテークマニホールドまたは真空ポンプと流体的に接続されることを提案している。
さらに、本発明によれば、室構成は、第1の室構成と第2の室構成とが分離される直列室構成として設計され、第1の室構成は第1の真空室と第1の作業室とを有し、前記第1の作業室は第1の可動壁により前記第1の真空室から隔てられ、さらに第2の室構成は第2の真空室と第2の作業室とを有し、前記第2の作業室は第2の可動壁により前記第2の真空室から隔てられ、第1の室構成および第2の室構成は、制御弁を介して加圧されうると規定することができる。
【0017】
上ですでに概要が説明されているように、本発明の本質的特徴は、ペダル対抗力シミュレーション装置が、力入力要素と流体的に連結されているという点にある。このために、力入力要素は、伝達ピストン構成を介してペダル対抗力シミュレーション装置と連結されると規定することができる。本発明の精密化では、ペダル対抗力シミュレーション装置は、ペダル対抗力液圧システムを介して力を伝達する形でダンパー構成と連結されうると規定している。この接続において、さらに、ダンパー構成は、ペダル対抗力液圧システム、および/または流体減衰手段、好ましくはチョーク、および/または弾性停止板の下で変位可能な力ピストンを介して圧縮されうるシミュレーション・スプリングを有すると規定することができる。
【0018】
ペダル対抗力液圧システムは、さらに、ブレーキ力発生機の現在動作状態に応じて制御されなければならない。特に、本発明の一実施形態では、ペダル対抗力シミュレーション装置は、ブレーキ力発生機の残り部分が正常に機能している場合にのみ能動的とすることができると規定される。つまり、例えば、室構成または真空室への真空供給がもはや正常に機能しなくなったため、作動力発生装置が故障した場合に、ペダル対抗力シミュレーション装置は、ペダル作動に対しペダル対抗力をさらに加えることをしないと規定される。むしろ、そのような緊急の場合には、運転者によって加えられるペダル作動力全体が、実際には、純粋に機械的な作動力発生に使用されるであろう。この場合、したがって、ペダル対抗力シミュレーション装置は、動作停止状態にされなければならない。このために、本発明の一実施形態では、ペダル対抗力液圧システムは、制御可能な遮断弁により形成されることを規定し、遮断弁は、第1の位置において、好ましくは受動的位置で、ダンパー構成および伝達ピストン構成を液圧で互いから切り離すことができ、かつ伝達ピストン構成の本質的に減衰されていない移動から切り離すことができ、第2の位置において、好ましくは能動的位置で、ダンパー構成および伝達ピストン構成を一緒に液圧で連結する。さらに、この接続において、ペダル対抗力液圧システムは、遮断弁の能動的位置において、ダンパー構成への液圧流体の流れを絞るチョーク要素を装備すると規定することができる。好ましくは、ブレーキペダル作動の開始時の遮断弁は、受動的位置から能動的位置に切り換えられ、制御は、ブレーキペダル作動が完了した後にのみ能動的位置から受動的位置に切り換えられることが規定される。このことは、遮断弁は、自動的に受動的位置に戻り、次いで、ペダル対抗力シミュレーション装置が純粋に機械的な作動力発生を妨げない状態にあることを意味する。
【0019】
本発明の精密化では、マスターブレーキシリンダは、シリンダハウジング内に、好ましくは片側が開いているシリンダボアとして形成されることを規定する。シリンダハウジングは中に配列されているコンポーネントとともに、ベースハウジング内に組立体として挿入されることができ、取り外し可能なようにそれと接続されることが規定されうる。
【0020】
本発明によるブレーキシステムの安全性を高めるために、2つの独立した液圧ブレーキ回路が備えられる。これら2つのブレーキ回路を流体的に実現するために、他の実施形態における本発明によるブレーキ力発生機は、二次ピストンがマスターブレーキシリンダ内で変位可能な形で案内され、マスターブレーキシリンダを持つ二次ピストンは、二次圧力室を囲み液圧ブレーキの圧力を発生し、マスターブレーキシリンダを持つ一次ピストンおよび二次ピストンは、一次圧力室を囲み液圧ブレーキの圧力を発生するように形成される。さらに、この接続では、一次ピストンは、作動ピストンが中に案内される貫通孔を備え、作動ピストンは、伝達ピストン構成の伝達ピストンが中に変位可能な形で案内される作動シリンダボアを有し、作動ピストンにおける伝達ピストンは、ペダル対抗力シミュレーション装置の液圧システムと流体的に連結されている液圧流体室を定めると規定することができる。都合のよいことに、作動ピストンは、一次シリンダに対して固定される。
【0021】
本発明は、さらに、上述の種類のブレーキ力発生機を備える車両ブレーキシステムに関する。
このようなブレーキ力発生機を使用することは、特にハイブリッド駆動機能を備える近代的車両において適している。このような車両は、従来、燃焼機関および必要に応じて係合させられる追加の電気モータまたは他の駆動源を備える。さらに、このようなハイブリッド車両は、望む減速時に放散されなければならない、車両の運動エネルギーが変換され、一時的に蓄積され、運転を続けるときに駆動を目的として使用されるようにできる技術的装置を備える。例えば、このようなハイブリッド車両に備えられる電気モータは、車両の減速時に発電機として使用され、生成された電気エネルギーは、一時的に、蓄電池に蓄積される。電気モータの発電機効果によりもたらされるこの減速は、ブレーキシステムにおいて考慮されなければならない。つまり、これは、運転者がブレーキペダルを作動させた場合に、電気モータが発電機として作動されると、車両の実際のブレーキシステムは、ブレーキ作動を介して運転者により要求された減速が発電機として機能している電気モータによりもたらすことが可能な減速効果を超えない限り最初に本質的に受動的なものとして保持されなければならないことを意味している。そこで、本発明のブレーキシステムの変更形態によれば、自動車は、減速に使用される発電機を装備すること、および発電機が作動して実行される車両減速は、ブレーキシステムの制御において考慮されることが規定される。
【0022】
この変更形態から始めて、本発明によるブレーキシステムでは、さらに、マスターブレーキシリンダと連通している流体ブレーキ回路を持ち、この回路には、少なくとも1つの流体アキュムレータが備えられ、少なくとも1つの流体アキュムレータは、車両を制動するために、一時的に必要な公称減速が発電機を作動させることにより達成可能な最大車両減速を超えない限り流体ブレーキ回路からの液圧流体で満たせることを規定する。このことは、ブレーキペダルと制御弁との間が直接機械的に連結されているため、作動力が、作動力発生装置により生成され、次いで、最終的に一次ピストン、および該当する場合にはマスターブレーキシリンダ内の二次ピストンの変位が生じることを意味する。しかし、液圧ブレーキ回路内でこのことに反応して輸送される液圧流体は、目立った圧力増大、したがって個々のホイールブレーキユニットの液圧制御をもたらさないが、少なくとも1つの流体アキュムレータにより「バッファリング(緩衝)」される。このバッファリングを必要なときのみ、つまり、発電機が作動される回生制動の場合に適用するために、本発明の精密化では、流体ブレーキ回路と液圧流体アキュムレータとの間に、非制御受動的位置では、流体ブレーキ回路から流体アキュムレータを分離し、制御能動的位置では、特に車両を制動するために必要な公称減速が発電機を作動させることにより達成可能な最大車両減速を超えないときに、流体アキュムレータを流体ブレーキ回路に接続する制御可能な切替弁が備えられることを規定する。
【0023】
しかし、このことは、発電機効果を介して達成可能な車両減速が、運転者側で必要とする車両減速に対応するのにもはや十分でない場合、車両の従来のブレーキシステムは、発電機の制動効果を考慮する形で作動されなければならないことも意味する。このために、原理上、2つの代替があり、以下の通りである。
【0024】
(i)従来のブレーキシステムの制動効果が発電機制動効果により低減される、発電機と従来のブレーキシステムとの制動効果の加法的重ね合わせ。
(ii)発電機効果を介して達成可能な車両減速が運転者により要求された車両減速に対応するのにもはや十分でなくなったときに、発電機との係合を解放し、従来のブレーキシステムを同時にそれに対応する強さで制御し連続的で滑らかな(一定の)制動を実行すること。
【0025】
両方とも本発明により使用することができる。
次に、本発明が、付属の図面を参照しつつ例として以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明によるブレーキ力発生機を示し、このブレーキ力発生機は、本発明によるブレーキシステム12に組み込まれ、全体として符号10で示される。本発明によるブレーキシステムを構成および機能の面について説明する前に、まず最初に本発明によるブレーキ力発生機の詳細について説明する。
【0027】
本発明によるブレーキ力発生機は、図2の左側で、マスターブレーキシリンダ16を保持し、制御弁18が挿入されるシリンダハウジング14を備える。制御弁18は、制御弁ハウジング20、制御弁要素22、および弁スリーブ24を備える。制御弁要素22上に、プレテンションバネ28が載るフランジ26が形成されている。プレテンションバネ28は、制御弁要素22が封止効果により変位可能なように案内されるカラー30の他端で支えられている。プレテンションバネ28から外に向いているフランジ26の端部において、前記フランジは、制御弁ハウジング20および弁スリーブ24に面する部分とともに、真空密封座部32および大気密封座部34を形成するが、その機能および重要性について、以下でさらに詳しく説明する。
【0028】
制御弁ハウジング20上に、プレテンションバネ38を介して、図2に示される位置で制御弁ハウジング20にプレテンションをかけ、変位後に、復帰移動を確実に行う可動壁36が設けられている。可動壁36は、シリンダハウジング14内に封止された状態で案内され、シリンダハウジング14を真空室または減圧室40と作業室42とに分ける。真空室40は、符号144として示されているように、真空源または図1によるブレーキシステムを装着した自動車の燃焼機関の吸入管と接続され、それにより、大気圧力に関して低減された圧力が確定される。しかし、作業室42は、以下でさらに詳しく説明されるように、真空室40または周囲大気と適宜接続されうる。
【0029】
弁スリーブ24は、さらに、カラー44を備える。カラー44の一端の上に、伝達ピストン48のピストン部分46が載る。カラー44の反対側には、プレテンションバネ50が載り、このバネは、他端では封止する形で伝達ピストン48のシャフト54を案内する案内カラー52上に載る。シャフト54から離れる向きにあるピストン部分46の端部は、ブレーキペダル58と直接機械的に接続される力入力要素56の球状頭部を保持する。ペダル作動力Fでブレーキペダルを作動させると、力Fが力入力要素に作用する。
【0030】
次に、伝達ピストン48の構成に戻ると、これは図2の左端において、作動ピストン64内の円柱状の底付き(ブラインド)穴状ボア62内に封止される形で案内される他のピストン部分60を有することがわかる。作動ピストン64は、一次ピストン66内に変位可能なように封止する形で案内され、そこで、一次ピストン66は、マスターブレーキシリンダ16内のシリンダボア68内に案内される。作動ピストン64および一次ピストン66の一端は、マスターブレーキシリンダ16内の一次室70を終端し、一次室70は、その他端で、二次ピストン72により終端される。二次ピストン72は、マスターブレーキシリンダ16のハウジングとともに二次室74を囲む。
【0031】
一次室70は、図1に示されているブレーキシステムの一次ブレーキ回路120と液圧管路76を介して接続される。二次室74は、二次ブレーキ回路122と液圧管路78を介して接続される。
【0032】
図2には、力入力要素56と液圧的に接続されるペダル対抗力シミュレーション装置80が示されている。ペダル対抗力シミュレーション装置の中心要素は、シミュレーション・スプリング82に対抗して張力が与えられる力ピストン84であり、このピストンは、シミュレーション装置ハウジング86内で、液圧室88を囲み、このシミュレーション装置ハウジング88内でシミュレーション・スプリング82のプレテンションに逆らって変位可能である。
【0033】
液圧室88は、ピストン部分60により底付き穴状ボア62内で囲まれている液圧流体室と液圧システムを介して流体的に永続的に接続される。このために、作動ピストン64内に、ブローボア87が用意され、一次ピストン66内に、接続ボア89および接続溝91が用意される。一次ピストン66内の接続ボア89と接続溝91との組合せも、一次ピストン66および作動ピストン64が互いに相対的に移動するときに、ペダル対抗力シミュレーション装置80の液圧システムとの流体接続を確実にする。ペダル対抗力シミュレーション装置80の流体システムは、圧力センサ90、チョーク92、および逆止め弁94を備える。さらに、ペダル対抗力シミュレーション装置80の液圧システム内には、電磁制御可能な遮断弁98を介して液圧システムに連結され、また切り離されうる流体リザーバ96が備えられる。さらに、逆止め弁100およびチョーク102がこのために備えられている。
【0034】
図2を見ると、さらに、作動ピストン64上に、作動ピストン64と一次ピストン66との間に機械的接続を形成する接続ペグ104が備えられていることがわかる。さらに、伸縮バネ106が、図2の図面により定義されている静止位置を確実にする。
【0035】
さらに、図2では、一次回路の液圧管路76内に、流体アキュムレータ108への分岐が備えられ、流体アキュムレータ108は、電磁遮断弁110を介して、ブレーキシステムの一次回路120と流体接続され、また分離されるようにできることが示されている。
【0036】
次に、本発明によるブレーキ力発生機10の機能について説明する前に、本発明によるブレーキシステム12の他の構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、4つのホイールブレーキユニット112、114、116、および118を示しており、ホイールブレーキユニット116および118は、一次回路120に割り当てられ、液圧管路76を介して、液圧により、一次室70に連結され、ホイールブレーキユニット112および114は、液圧管路78を介して二次室74と液圧により連結される二次回路122に割り当てられる。一次回路120および二次回路122は、従来のように構成され、また、2つの電磁遮断弁124および126または128および130を備える。
【0037】
さらに、それぞれのホイールブレーキユニット112、114、116、および118には、供給遮断弁132および放出遮断弁134が割り当てられ、供給遮断弁132は、受動的位置において開かれ、能動的制御により閉じられ、放出遮断弁134は、受動的位置において閉じられ、能動的制御により開かれる。供給遮断弁132が開いている状態では、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118は、制動効果をもたらすように流体的に供給されることができる。供給遮断弁132を閉じることにより、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118は、これらを介して制動効果をもたらさないように流体的に分離されることができる。
【0038】
それに加えて、ブレーキシステム12をABSおよびESPに適合させる圧力アキュムレータ136および138ならびに圧力源140および142が備えられる。つまり、本発明によるブレーキシステム12は、図に示されていない電子制御ユニットを介して知られている方法により、ブレーキペダル58を作動させない場合でも制御されるようにできる。
【0039】
次に図1および図2を参照して、動作状況について説明する。この動作状況において、ブレーキペダル58には、ペダル作動力Fの圧力が運転者によって加えられて、力Fが力入力要素56に作用する。3つの動作事例がここでは区別される。
【0040】
(動作事例1:通常制動) 本発明によるブレーキシステム12が通常機能する従来の制動では、ブレーキペダル58が作動すると、図1および図2の力入力要素56は、左に移動される。ピストン部分46がカラー44と接触するので、弁スリーブ24は、さらに、力入力要素46の変位量に応じて左に移動される。この結果、大気密封座部34は図2に示される閉位置から外に移動され、周囲大気から作業室42内に空気が流れ込めるように開かれる。しかし、真空室40では、大気圧に対して減圧(真空)が支配的なので、可動壁36のところに差圧が生じ、この差圧の発生によって、可動壁36は制御弁ハウジングおよびそのハウジングに連結された一次ピストン66とともに、図1および図2の左に移動される。次いで、圧力が、一次室68内と二次室74内で上昇し、この圧力は、従来の方法で開いている遮断弁124および128を介して、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118に送られ、ここで制動減速を行う。可動壁36のところの圧力は、真空密封座部32および大気密封座部34の両方が、弁要素22のフランジ26上に置かれ封止するまで上昇する。次いで、一定の平衡状態に達する。
【0041】
力入力要素46に作用する力Fは、弁スリーブ24の作動とは別に、ブレーキ力発生に直接寄与することはないことがわかっている。むしろ、この力は、伝達ピストン48の構成を介して、ピストン部分60と底付き穴状ボア62内の作動ピストン64との間に囲まれる液圧流体に伝達される。この液圧流体は加圧されて、接続ペグ104の左に備えられるボアを介して、液圧ペダル対抗力シミュレーション装置内に流れ込み、そこで、チョーク92を通って流れ出る。ペダル作動の電子的検出に反応して、遮断弁98は、図2に示される状態から他のスイッチ位置に切り換えられので、流体リザーバ96とは接続されていない。したがって、伝達ピストン48の構成の効果により底付き穴状ボア62から追い出される液圧流体は、液圧室88内に浸透し、力ピストン84をシミュレーション・スプリング82の効果に逆らって動かす。そのため、運転者は、ブレーキペダルのところで、伝達ピストン48の構成および接続された液圧システムを媒介にして、シミュレーション・スプリング82およびチョーク要素92によりもたらされるペダル対抗力を感じ取るが、適用されるペダル力はブレーキ力発生には寄与しない。
【0042】
運転者がさらに、ペダル作動力を弱めるとすぐに、プレテンションバネ50の効果のせいで、弁スリーブ24が反発され、それとともに弁要素22を運ぶ。大気密封座部34は、閉じられたままであるが、真空密封座部32は開かれており、その結果、作業室42が真空源144または車両の吸入管と接続され、可動壁36のところの差圧が再び放散される。次いで、制御弁ハウジング20は、図2に示されている開始位置に戻る。制動効果は排除される。
【0043】
(動作事例2:技術的欠陥) 前記室構成がもはや正常に機能しなくなり、可動壁36のところに十分な差圧を生じることが可能でなくなるような技術的欠陥では、次のことが生じる。即ち、ペダル作動による弁スリーブ24の移動は、最初、上述の通常制動の事例と対照的に効果がない。これは、弁スリーブ24がプレテンションバネ50の抵抗に逆らって制御弁ハウジング20に対して変位され、そこでは遊びsに打ち勝つ。最後に、一端が図2の左に置かれている弁スリーブ24は、制御弁ハウジング20のカラー52上に載り、これを一次ピストン66とともに力Fの効果の下で左に移動する。ペダル対抗力シミュレーション装置80は、弁98が開いており、液圧流体が底付き穴状ボア62から流れ出して、流体リザーバ96に流れ込む可能性があるため、そのような状態では実質的に無効果である。接続ボア89および接続溝91を介する底付き穴状ボア62と、ペダル対抗力シミュレーション装置80の液圧回路との間で、流体的接続は永続的である。ブレーキペダル58の作動から生じる他の移動は、次いで、直接機械的に一次ピストン66に伝達される。
【0044】
そのため、ブレーキペダルから開始する作動は、直接機械的に作動力に転換され、そして最後に制動効果に変換されうる。
【0045】
(動作事例3:回生制動) 本発明によるブレーキシステムは、特に、例えば、燃焼機関に加えて、電気モータ(図には詳細に示されていない)も装備するハイブリッド車両において使用されることができる。電気モータは、さらに、発電機として使用することもでき、これにより、対応する装備を持つ車両の運動エネルギーから、電気的エネルギーを回収し、蓄電器に一時的に蓄積しておき、後から、電気モータを駆動するために再び使用することができる。電気モータの発電機効果の際に生じる車両減速は、ハイブリッド車両において制動目的のためにも使用することができ、この場合、この接続では、これを「回生制動」と呼ぶ。
【0046】
例えば、ブレーキペダル58が作動すると、最初に、電気モータが、その発電機効果のため、運転者からブレーキペダル作動の強度により表される減速要求が、発電機の減速容量を超えるまで本質的に単独で車両減速をもたらすことが規定されうる。ホイールブレーキユニット112、114、116、および118の作動を必要としない中程度の減速のこのような場合、つまり、発電機の減速効果が運転者の減速要求を満たすのに十分である期間には、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118の望ましくない作動を実行することを回避するよう予防策が講じられる。このために、流体アキュムレータ108が用意されている。ブレーキ力発生機10が通常制動について上で説明されているのと同じ形で動作するけれども、一次ピストン66の変位は、ホイールブレーキユニット112、114、116および118の作動に直接的効果をもたらさない。つまり、このような回生制動を用いると、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118に割り当てられた供給遮断弁132は、閉位置に切り換えられ、その結果、個別のホイールブレーキユニット112、114、116、および118へのブレーキ液の伝達は生じない。さらに、二次室74の体積は、本質的に変化しない。一次ピストン66の変位により引き起こされる一次室70の体積の減少は、遮断弁110を開位置に切り換えて、流体アキュムレータ108を供給することにより補われる。
【0047】
流体アキュムレータ108は、貯蔵容量および剛性の面で、車両ブレーキシステムの残り部分に適合される。運転者は、ペダル対抗力シミュレーション装置80が能動的であるため、ペダル対抗力を従来の方法で認知するが、ブレーキシステムそれ自体は、回生制動では完全に無効のままであり、減速は、発電機効果のみよって引き起こされる。
【0048】
運転者の減速要求が発電機として動作している電気モータの減速容量を超えるとすぐに、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118を介して追加ブレーキ力を増大する必要がある。次いで、供給遮断弁132が、開位置に切り換えられ、流体アキュムレータ108内に存在する正圧と、それぞれの他のブレーキペダル作動とが、説明されている方法により、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118に伝達されうる。それと同時に、発電機はオフにされる。流体アキュムレータ108の特性がブレーキシステムの残り部分に適合しているため、発電機がオフにされると、制動効果の本質的に連続的で一定の(滑らかな)遷移が発生し、つまり、流体アキュムレータ108内に蓄積されたブレーキ圧力により、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118のところで、発電機の制動効果に本質的に類似する制動効果が得られる。流体アキュムレータ108からの正圧が、ホイールブレーキユニット112、114、116、および118のところに存在し、これらが、対応する制動効果を示す場合、遮断弁110は閉じられる。さらなる制動は、従来の方法で、つまり、ブレーキペダルのさらなる加圧およびその結果得られる一次回路120および二次回路122内のさらなる圧力情報により、生じる。制動が終了し、運転者がブレーキペダルを再び解放するとすぐに、遮断弁110が再び開き、圧力アキュムレータ108内に残っている残圧は完全に放散しうる。次いで、システムは、図1および図2に示されているように、制動効果のない開始状況に戻る。
【0049】
本発明によれば、比較的単純な構成のブレーキ力発生機は、快適に作動させることができ、特に、技術的複雑度の低いハイブリッド車両に関連する場合でも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるブレーキ力発生機を備える本発明によるブレーキシステムの概略図である。
【図2】本発明によるブレーキ力発生機の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両液圧ブレーキシステム(12)に用いるブレーキ力発生機(10)において、前記ブレーキ力発生機は、
ブレーキペダル(58)に連結されうるかまたは連結される力入力要素(56)であって、前記ブレーキ力発生機(10)のベースハウジング(14)内で変位可能である、力入力要素と、
一次ピストン(66)が変位可能なように案内されるマスターブレーキシリンダ(16)であって、前記一次ピストン(66)は、前記マスターブレーキシリンダ(16)とともに、液圧ブレーキの圧力を発生するための一次圧力室(70)の範囲を定める、マスターブレーキシリンダと、
前記力入力要素(56)に連結されうるペダル対抗力シミュレーション装置(80)と、
作動力を前記一次ピストン(66)に加えるための作動力発生装置と、を備えており、
前記ペダル対抗力シミュレーション装置(80)は、前記力入力要素(56)と流体的に連結されうるか、または連結されており、前記作動力発生装置は、制御弁(18)および室構成を有し、前記室構成は、真空室(40)および作業室(42)を備えるように形成され、前記作業室は、可動壁(36)を介して前記真空室(40)から隔てられ、また前記作業室は、前記制御弁(18)を介して、流体的に接続できるものであり、前記制御弁(18)は、前記ペダル作動を介して直接機械的に制御され、これにより前記作業室(42)と前記作動力を決定する前記真空室(40)との間に、差圧を生成できることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記制御弁(18)は、前記ベースハウジング(14)に対して変位可能な制御弁ハウジング(20)と、前記制御弁ハウジング(20)に対して変位可能な制御弁要素(22)とを有し、前記制御弁ハウジング(20)には、前記制御弁要素(22)と封止接触させることができる真空密封座部(32)が備えられ、さらに、前記力入力要素(56)には、制御弁ハウジング(24)が機械的に結合され、前記制御弁ハウジングに、前記制御弁要素(22)と封止接触できる大気密封座部が備えられることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記制御弁要素(22)と大気密封座部(34)の封止接触がなされ、前記制御弁要素(22)と真空密封座部(32)とが同時に隔てられているときに、前記作業室(42)は、前記真空室(40)と流体的に接続され、また前記制御弁要素(22)と真空密封座部(22)の封止接触がなされ、前記制御弁要素(22)と大気密封座部(34)が同時に隔てられているときに、前記作業室(42)と前記真空室(40)との間の差圧を高めるために、前記作業室(42)が前記周囲の大気と流体的に接続されることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項4】
請求項2または3に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記制御弁ハウジング(20)および制御弁スリーブ(44)は、互いに機械的に切り離され、かつ、遊びsに打ち勝った後に、互いに対する所定の相対的移動の後にのみ相互接触することを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記制御弁ハウジング(20)および制御弁スリーブ(44)は、プレテンション下でバネ要素(50)により互いに対して移動できることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項6】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記真空圧力室(40)は、真空を発生するために、燃焼機関の吸入管または真空ポンプ(144)と流体的に接続されることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項7】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機において、
前記室構成は、第1の室構成と、前記第1の室構成から隔てられる第2の室構成とを含む直列室構成として形成され、前記第1の室構成は第1の真空室と第1の作業室とを備え、前記第1の作業室は第1の可動壁により前記第1の真空室から隔てられ、さらに、前記第2の室構成は、第2の真空室と第2の作業室とを備え、前記第2の作業室は第2の移動壁により前記第2の真空室から隔てられており、前記第1および第2の室構成は、前記制御弁を介して加圧されうることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項8】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記力入力要素(56)は、伝達ピストン構成(48)を介して前記ペダル対抗力シミュレーション装置(80)と連結されることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項9】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記ペダル対抗力シミュレーション装置(80)は、前記ペダル力対抗液圧システムを介して力を伝達する形でダンパー構成と連結されうることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記ダンパー構成は、シミュレーション・スプリング(82)を有し、前記シミュレーション・スプリングは、前記ペダル対抗力液圧システムを介して、および/または流体減衰手段を介して、好ましくはチョーク(92)を介して、および/または弾性停止板を介して、変位可能な力ピストン(84)により圧縮されうることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項11】
請求項9または10に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記ペダル対抗力液圧システム(80)は制御可能遮断弁(98)により形成され、前記制御可能遮断弁は、第1の位置において、好ましくは受動的位置で、前記ダンパー構成および伝達ピストン構成を液圧的に互いから切り離すことができ、かつ前記伝達ピストン構成(48)の本質的に減衰されていない移動から切り離すことができ、前記制御可能遮断弁は、第2の位置において、好ましくは能動的位置で、前記ダンパー構成および前記伝達ピストン構成(48)を一緒に液圧的に連結することを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項12】
請求項11に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記ペダル対抗力液圧システムは、前記遮断弁(98)の前記能動的位置において、前記ダンパー構成への液圧流体の流れを絞るチョーク要素(92)を装備することを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項13】
請求項11または12に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記ブレーキペダル作動の開始時に、前記遮断弁(98)は、受動的位置から能動的位置に切り換えられ、この制御は、前記ブレーキペダル作動が完了した後にのみ、能動的位置から受動的位置に切り換えられることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項14】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記マスターブレーキシリンダは、シリンダハウジング(16)内に、好ましくは片側が開いているシリンダボア(68)として形成されることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項15】
請求項14に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記シリンダハウジング(16)はその中に配列されるコンポーネントとともに、前記ベースハウジング(14)内に組立体として挿入されることができ、取り外し可能なように接続されることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項16】
前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記マスターブレーキシリンダ(16)中に、二次ピストン(72)が変位可能な形で案内され、前記マスターブレーキシリンダ(16)を有する前記二次ピストン(72)は、二次圧力室(74)を囲み液圧ブレーキの圧力を発生し、前記マスターブレーキシリンダ(16)を有する前記一次ピストン(66)および二次ピストン(72)は、液体ブレーキ圧力を発生するために、前記一次圧力室(70)を囲むことを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項17】
請求項8および前記請求項のうちの何れか一項に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記一次ピストン(66)は貫通孔を備え、前記貫通孔の中に作動ピストン(64)が案内され、前記作動ピストン(64)は作動シリンダボア(62)を有し、前記伝達ピストン構成(48)の伝達ピストン(60)が前記作動シリンダボアの中に変位可能な形で案内され、前記作動ピストン(64)の中の前記伝達ピストン(60)は、前記ペダル対抗力シミュレーション装置(80)の前記液圧システムと流体的に連結される液圧流体室の範囲を定めることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項18】
請求項17に記載のブレーキ力発生機(10)において、
前記作動ピストン(60)は、前記一次シリンダ(66)に対して、相対的に固定されうるか、または固定されうることを特徴とするブレーキ力発生機。
【請求項19】
自動車のためのブレーキシステムであって、前記請求項の何れか一項に記載のブレーキ力発生機を備えることを特徴とするブレーキシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のブレーキシステムにおいて、
前記自動車は、減速に使用される発電機を備えるように形成され、かつ前記発電機が作動して実行される前記自動車の減速は、前記ブレーキシステムの制御において考慮されることを特徴とするブレーキシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムは流体ブレーキ回路を備え、前記流体ブレーキ回路は、前記マスターブレーキシリンダと連通し、少なくとも1つの液圧流体アキュムレータ(108)を備えており、前記少なくとも1つの流体アキュムレータ(108)は、前記自動車を制動するために一時的に必要な公称減速が前記発電機を作動させることにより達成可能な最大車両減速を超えない限り、前記流体ブレーキ回路からの液圧流体が供給されることができることを特徴とするブレーキシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のブレーキシステムにおいて、
前記流体ブレーキ回路と前記流体アキュムレータ(108)との間に、制御可能な切替弁(110)が備えられ、前記切替弁は、非制御受動的位置では、前記流体ブレーキ回路から前記流体アキュムレータ(108)を分離し、制御能動的位置では、特に前記車両を制動するために一時的に必要な前記公称減速が前記発電機を作動させることにより達成可能な最大車両減速を超えない期間に、前記流体アキュムレータ(108)を前記流体ブレーキ回路に接続することを特徴とするブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−544896(P2008−544896A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518687(P2008−518687)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006076
【国際公開番号】WO2007/025584
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(502367557)ルーカス・オートモーティブ・ゲーエムベーハー (25)
【Fターム(参考)】