車両用の電力変換装置およびそれを搭載する車両
【課題】車両用の電力変換装置において、車両の衝突時に、衝突時に駆動すべき機器へ安定的に電源を供給するとともに、電力変換装置内の平滑コンデンサに蓄積された残留電荷を速やかに放電する。
【解決手段】車両用の電力変換装置200において、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備える。そして、車両100の衝突が発生した場合に、電力変換装置200内の平滑コンデンサC1,C2の電圧をDC/DCコンバータ160で降圧して、一方の電圧出力系統によって、衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50およびMG−ECU300に電源電圧を供給するとともに、他方の電圧出力系統によって高圧系補機60を駆動して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費する。
【解決手段】車両用の電力変換装置200において、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備える。そして、車両100の衝突が発生した場合に、電力変換装置200内の平滑コンデンサC1,C2の電圧をDC/DCコンバータ160で降圧して、一方の電圧出力系統によって、衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50およびMG−ECU300に電源電圧を供給するとともに、他方の電圧出力系統によって高圧系補機60を駆動して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電力変換装置およびそれを搭載する車両に関し、より特定的には、車両の衝突時において、電力変換装置内に含まれるコンデンサの残留電荷の放電制御を行なう際に衝突時に駆動すべき機器への電源を安定的に供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
【0003】
これらの電動車両においては、発進時や加速時に蓄電装置から電力を受けて走行のための駆動力を発生するとともに、制動時に回生制動によって発電を行なって蓄電装置に電気エネルギを蓄えるためのモータジェネレータを備える場合がある。このように、走行状態に応じてモータジェネレータを制御するために、電動車両には、コンバータやインバータなどの電力変換装置が搭載される。
【0004】
このような電力変換装置には、供給される直流電力を安定化するために大容量の平滑コンデンサが備えられている。そして、電力変換装置の作動中は、平滑コンデンサには印加電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0005】
この平滑コンデンサに蓄積される電荷は、車両の衝突が発生したような場合には、速やかに平滑コンデンサの残留電荷を放電することが必要となる。
【0006】
特開2004−222361号公報(特許文献1)には、インバータの入力側にインバータに並列に設けられた平滑コンデンサを備える電動機駆動制御装置において、インバータへの直流入力電源の供給が停止されたときに、インバータに何らかの異常が発生した場合には、平滑コンデンサに蓄積された残留電荷をDC/DCコンバータもしくは電動エアコンにより消費する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−222361号公報
【特許文献2】特開2000−092750号公報
【特許文献3】特開2008−087714号公報
【特許文献4】特開2006−224772号公報
【特許文献5】特開2003−061209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開2004−222361号公報(特許文献1)に開示された技術においては、車両の衝突が発生した場合ではなく、イグニッションキーがオフされて蓄電装置からの電力供給が停止された正常時の場合を前提としている。そのため、インバータ、DC/DCコンバータおよび電動エアコンを制御する制御装置への電力も、蓄電装置から正常に供給される。
【0009】
車両の衝突等が発生した場合には、乗員保護のための機器や運転操作をサポートする機器のような衝突時に駆動すべき機器については確実に駆動させるとともに、平滑コンデンサの残留電荷を速やかに放電させる必要がある。しかしながら、衝突による車両の状態によっては、電力供給用のバッテリが破損等したり、上記衝突時に駆動すべき機器の動作に伴ってバッテリの出力電圧が低下してしまう場合がある。このような場合には、特開2004−222361号公報(特許文献1)においては、上記の電気機器が正常に駆動できないばかりか、さらには残留電荷が十分に消費できない場合がある。
【0010】
したがって、車両の衝突等が発生した場合に、残留電荷の放電動作が完了するまでの間、衝突時に駆動すべき機器への電源を安定的に供給することが必要となる。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、車両用の電力変換装置において、車両の衝突時に、衝突時に駆動すべき機器へ安定的に電源を供給するとともに、電力変換装置内の平滑コンデンサに蓄積された残留電荷を速やかに放電することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による車両用の電力変換装置は、電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、車両の衝突を検出するための衝突検出部と、第1の蓄電装置から電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、衝突検出部によって車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを含む車両において、コンデンサと、車両の衝突が検出されかつリレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態においてコンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを備える。また、DC/DCコンバータは、コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含む。そして、車両は、第1の電力線に接続され車両の衝突が発生したときにコンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、第2の電力線に接続され車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、第2の負荷と並列に接続され第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに含む。
【0013】
好ましくは、車両用の電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。電源回路は出力電圧を可変に設定可能である。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷への出力電力が小さい場合には、電源回路から出力される第1の電圧を低下するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0014】
また好ましくは、電圧変換回路は、第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の接続ノードと第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷および第2の負荷の出力電力が第2の電圧で供給可能である場合は、第1の電圧を第2の電圧まで低下させるとともに、第1のスイッチング素子がオン状態を継続するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0015】
好ましくは、DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると動作を停止するような低電圧保護機能を有する。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、低電圧保護機能を無効とするようにDC/DCコンバータを制御する。
【0016】
あるいは好ましくは、車両用の電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、第2の電圧を、車両の衝突が検出される前よりも上昇させるようにDC/DCコンバータを制御する。
【0017】
好ましくは、車両用の電力変換装置は、第1の蓄電装置からリレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、電力変換部を制御するための制御装置とをさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出され、リレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの残留電荷を消費するように電力変換部を制御する。
【0018】
また好ましくは、電力変換部は、第1の蓄電装置から供給される直流電力の電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、コンバータの直流電力を交流電力に変換するためのインバータとを含む。また、コンデンサは、コンバータの第1の蓄電装置側に接続された第1のコンデンサと、コンバータのインバータ側に接続された第2のコンデンサとを含む。そして、コンバータは、昇圧動作および降圧動作の双方が可能であり、昇圧動作に伴って第1のコンデンサの残留電荷の一部を消費し、降圧動作に伴って第2のコンデンサの残留電荷の一部を消費する。
【0019】
さらに好ましくは、制御装置は、昇圧動作および降圧動作を交互に繰り返すように、コンバータを制御する。
【0020】
本発明による車両は、電力変換装置と、電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、車両の衝突を検出するための衝突検出部と、第1の蓄電装置から電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、衝突検出部によって車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを備える。また、電力変換装置は、コンデンサと、車両の衝突が検出され、かつリレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを含む。DC/DCコンバータは、コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含む。そして、車両は、第1の電力線に接続され車両の衝突が発生したときにコンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、第2の電力線に接続され車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、第2の負荷と並列に接続され第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに備える。
【0021】
好ましくは、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。電源回路は出力電圧を可変に設定可能である。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷への出力電力が小さい場合には、電源回路から出力される第1の電圧を低下するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0022】
また好ましくは、電圧変換回路は、第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の接続ノードと第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含む。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷および第2の負荷の出力電力が第2の電圧で供給可能である場合は、第1の電圧を第2の電圧まで低下させるとともに、第1のスイッチング素子がオン状態を継続するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0023】
好ましくは、DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有する。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、低電圧保護機能を無効とするようにDC/DCコンバータを制御する。
【0024】
あるいは好ましくは、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、第2の電圧を、車両の衝突が検出される前よりも上昇させるようにDC/DCコンバータを制御する。
【0025】
好ましくは、電力変換装置は、第1の蓄電装置からリレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、電力変換部を制御するための制御装置とをさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出され、リレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの残留電荷を消費するように電力変換部を制御する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、車両用の電力変換装置において、車両の衝突時に、衝突時に駆動すべき機器へ安定的に電源を供給するとともに、電力変換装置内の平滑コンデンサに蓄積された残留電荷を速やかに放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態1に従う、車両の全体ブロック図である。
【図2】図1のDC/DCコンバータの詳細を説明するための回路図である。
【図3】比較例として1出力型のDC/DCコンバータを備える場合の問題点を説明するための図である。
【図4】比較例におけるDC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【図5】実施の形態1における、DC/DCコンバータの機能を説明するための図である。
【図6】実施の形態1における、DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【図7】車両の衝突が発生した場合の、実施の形態1における、DC/DCコンバータの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図8】実施の形態1における、MG−ECUで実行される平滑コンデンサの残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。
【図9】実施の形態1における、MG−ECUで実行される平滑コンデンサの残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。
【図11】実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0029】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1に従う、車両100の全体ブロック図である。本実施の形態1においては、車両100としてエンジンおよびモータジェネレータを搭載したハイブリッド車両を例として説明するが、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両であれば適用可能である。車両100としては、ハイブリッド車両以外にたとえば電気自動車や燃料電池自動車などが含まれる。また、蓄電装置からの電力によって走行可能でなくとも、電力変換装置を備える車両においても適用可能である。
【0030】
図1を参照して、車両100は、蓄電装置130,150と、電力変換装置(以下、PCU「Power Control Unit」とも称する。)200と、駆動部270と、衝突検出部210と、リレーSR1,SR2と、制御装置(以下、HV−ECU「Electronic Control Unit」とも称する。)280と、低圧系補機50と、高圧系補機60とを備える。また、駆動部270は、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構250と、エンジン220と、駆動輪260とを含む。
【0031】
蓄電装置130,150は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置130,150は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0032】
蓄電装置150は、リレーSR1,SR2を介して、電力線PL1および接地線SL1によってPCU200に接続される。そして、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するための直流電力をPCU200へ供給する。また、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生され、PCU200を介して供給される電力を蓄電する。蓄電装置150から供給される電力の電圧は、蓄電装置130から供給される電力の電圧と比べて相対的に高圧(たとえば200V)である。
【0033】
一方、蓄電装置130は、補機や制御装置などを動作させるための電源電圧を供給する。蓄電装置130から供給される電力の電圧は、蓄電装置150から供給される電力の電圧と比べて相対的に低圧(たとえば12V)である。また、蓄電装置130は、PCU200内のDC/DCコンバータ160(後述)によって降圧された蓄電装置150からの電力によって充電される。また、蓄電装置130は、ヒューズF1を介し制御電源線CPLを経由して、後述するPCU200内の制御装置(以下、MG−ECUとも称する。)300を作動させるための制御用電源電圧を供給する。
【0034】
リレーSR1,SR2は、蓄電装置150とPCU200とを接続する電力線PL1および接地線SL1の途中に挿入される。リレーSR1,SR2は、HV−ECU280により制御され、蓄電装置150からPCU200への電力の供給と遮断とを切替える。
【0035】
PCU200は、蓄電装置150からの直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1,MG2に供給する。また、PCU200は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生した交流電力を、直流電力に変換して蓄電装置150を充電する。
【0036】
モータジェネレータMG1,MG2は、PCU200から供給される交流電力を受けて車両推進のための回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受けて交流電力を発電するとともに、MG−ECU300からの回生トルク指令によって回生制動力を車両100に発生する。
【0037】
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構250を介してエンジン220にも連結される。そして、エンジン220の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施の形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン220により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を駆動輪260を駆動する電動機として機能させるものとする。
【0038】
動力分割機構250には、エンジン220の動力を、駆動輪260とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。
【0039】
衝突検出部210は、図示しないセンサ(たとえばGセンサ)を含み、車両100が衝突したか否かを検出する。そして、衝突検出部210は、その検出結果である衝突信号COLを、HV−ECU280およびMG−ECU300へ出力する。
【0040】
HV−ECU280およびMG−ECU300は、いずれも図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、車両100の各機器を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0041】
HV−ECU280は、衝突検出部210から、車両100の衝突信号COLの入力を受ける。
【0042】
また、HV−ECU280は、リレー制御指令SEを生成し、リレーSR1およびSR2を制御する。具体的には、リレー制御指令SEがオンに設定されるとリレーSR1,SR2の接点が閉じられて、蓄電装置150からPCU200へ電力が供給される。一方、リレー制御指令SEがオフに設定されるとリレーSR1,SR2の接点が開放され、蓄電装置150からPCU200への電力が遮断される。
【0043】
そして、HV−ECU280は、衝突信号COLによって車両100の衝突を検出すると、蓄電装置150からPCU200への電力が遮断されるようにリレーSR1,SR2を制御する。
【0044】
また、HV−ECU280は、MG−ECU300へリレー制御指令SEを出力し、リレーSR1,SR2の制御状態を通知する。
【0045】
PCU200は、電力変換部115と、平滑コンデンサC1,C2と、電圧センサ170,180と、DC/DCコンバータ160と、MG−ECU300とを含む。電力変換部115は、コンバータ110およびインバータ120を含む。また、インバータ120は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ121およびモータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ122を含む。
【0046】
コンバータ110は、リアクトルL1と、電力線HPLと接地線SL1との間に直列に接続されるスイッチング素子Q1,Q2と、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子は、代表的にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor)、もしくはGTO(Gate Turn Off Thyristor)などが用いられる。なお、本実施の形態においては、スイッチング素子としてIGBTを使用した場合を例として説明する。
【0047】
リアクトルL1は、電力線PL1と、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続ノードとに接続される。ダイオードD1のカソードはスイッチング素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはスイッチング素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはスイッチング素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはスイッチング素子Q2のエミッタと接続される。
【0048】
インバータ121は、コンバータ110から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン220を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ121は、エンジン220から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力をコンバータ110に出力する。このときコンバータ110は、降圧回路として動作するようにMG−ECU300によって制御される。
【0049】
インバータ121は、U相アーム123と、V相アーム124と、W相アーム125とを含む。U相アーム123、V相アーム124およびW相アーム125は、電力線HPLと接地線SL1との間に並列に接続される。
【0050】
U相アーム123は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4と、スイッチング素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはスイッチング素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはスイッチング素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはスイッチング素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはスイッチング素子Q4のエミッタと接続される。
【0051】
V相アーム124は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6と、スイッチング素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはスイッチング素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはスイッチング素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはスイッチング素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはスイッチング素子Q6のエミッタと接続される。
【0052】
W相アーム125は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8と、スイッチング素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはスイッチング素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはスイッチング素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはスイッチング素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはスイッチング素子Q8のエミッタと接続される。
【0053】
モータジェネレータMG1は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータと中性点でY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機であり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続される。そして、U相コイルの他方端がスイッチング素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がスイッチング素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がスイッチング素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
【0054】
インバータ121は、MG−ECU300から出力される駆動指令PWI1に従って上記スイッチング素子Q3〜Q8のゲート信号をオンまたはオフさせることによって、コンバータ110から供給される直流電力を所望の交流電力に変換する。
【0055】
インバータ122は、コンバータ110に対してインバータ121と並列的に接続される。
【0056】
インバータ122は駆動輪260を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ110の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ122は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をコンバータ110に出力する。このときコンバータ110は降圧回路として動作するようにMG−ECU300によって制御される。インバータ122の内部の構成は図示しないが、インバータ121と同様であり、詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
平滑コンデンサC1は、コンバータ110の低圧側(すなわち、蓄電装置150側)の電力線PL1と接地線SL1間に接続され、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング時のリプル電圧を吸収する。また、平滑コンデンサC2は、コンバータ110の高圧側(すなわち、インバータ120側)の電力線HPLと接地線SL1間に接続され、コンバータ110およびインバータ120でスイッチング時に発生するリプル電圧を吸収する。
【0058】
電圧センサ170は、平滑コンデンサC1の両端間の電圧VLを検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。また、電圧センサ180は、平滑コンデンサC2の両端間の電圧VH、すなわち、コンバータ110の出力電圧(インバータ120の入力電圧に相当する。)を検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。
【0059】
また、コンバータ110は、昇圧動作によって平滑コンデンサC1の残留電荷の一部を消費し、降圧動作によって平滑コンデンサC2の残留電荷の一部を消費する。
【0060】
DC/DCコンバータ160は、電力線PL1および接地線SL1に接続されて、蓄電装置150またはコンバータ110から供給される直流電力の入力を受ける。そして、DC/DCコンバータ160は、MG−ECU300からの制御信号PWD1,PWD2により制御されて、入力を受けた直流電力を2種類の電圧(たとえば、48Vと14V)に降圧する。そして、DC/DCコンバータ160は、降圧した一方の直流電力を電力線SPL1に出力して、高圧系補機60を駆動するための電源電圧(48V)を供給する。また、DC/DCコンバータ160は、降圧した他方の直流電力を電力線SPL2に出力して、蓄電装置130(12V)を充電するとともに、低圧系補機50を駆動するための電源電圧(14V)を供給する。
【0061】
電流センサ80は、電力線SPL1に設けられ、高圧系補機60へ流れる電流IL1を検出し、その検出値をMG−ECU300に出力する。また、電流センサ80は、電力線SPL2に設けられ、低圧系補機50へ流れる電流IL2を検出し、その検出値をMG−ECU300に出力する。
【0062】
低圧系補機50は、エアバッグなどの乗員保護のための機器、およびABS「Anti-lock Brake System」、電動パワーステアリング(以下、EPS「Electric Power Steering」とも称する。)や電子制御ブレーキ(以下、ECB「Electronically Controlled Brake System」とも称する。)などの乗員による運転操作をサポートする機器が含まれる。これらの機器は、車両衝突時や車両走行中の危険回避のための操作時に、確実に動作する必要がある。
【0063】
そして、低圧系補機50は、DC/DCコンバータ160の電力線SPL2に接続され、電源電圧が供給される。また低圧系補機50は、上記のように各機器の機能が確実に動作することが必要であるため、蓄電装置130が並列に接続されて、蓄電装置130からも電源電圧が供給される。また、MG−ECU300やHV−ECU280などの制御装置の制御用電源も、電力線SPL2から供給される。
【0064】
高圧系補機60は、低圧系補機50と比べて相対的に定格消費電力の大きい機器であり、代表的にはウィンドウや座席などのヒータ負荷が含まれる。高圧系補機60は、DC/DCコンバータ160の電力線SPL1に接続され、電源電圧が供給される。なお、高圧系補機60は、上記のヒータ負荷のほかに、冷却用のファンや車内用エアコンなどの電気機器を含むようにしてもよい。
【0065】
MG−ECU300は、電圧センサ170,180から、平滑コンデンサC1および平滑コンデンサC2のそれぞれの電圧VL,VHの入力を受ける。また、MG−ECU300は、衝突検出部210から、車両100の衝突信号COLの入力を受ける。さらに、MG−ECU300は、電流センサ80,70から、高圧系補機60および低圧系補機50へ流れるそれぞれの電流IL1,IL2の入力を受ける。
【0066】
MG−ECU300は、制御信号PWCによりコンバータ110のスイッチング素子Q1,Q2を制御することによって、コンバータ110に昇圧動作または降圧動作を行なわせる。
【0067】
また、MG−ECU300は、制御信号PWI1,PWI2によって、それぞれインバータ121,122のスイッチング素子を制御することで、コンバータ110から供給された直流電力をインバータ121,122によって交流電力に変換する。
【0068】
さらに、MG−ECU300は、制御信号PWD1,PWD2によりDC/DCコンバータ160を制御することによって、コンバータ110の降圧動作または蓄電装置150によって電力線PL1に供給される直流電力をさらに降圧して、蓄電装置130、低圧系補機50および高圧系補機60へ電源電圧を供給する。
【0069】
また、MG−ECU300は、衝突検出部210からの衝突信号COLによって、車両100の衝突を検出した場合には、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷による電圧をDC/DCコンバータ160で降圧することによって、低圧系補機50およびMG−ECU300に駆動用の電源電圧を供給する。それとともに、MG−ECU300は、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷を速やかに消費させるために、高圧系補機60を作動させる。また、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を制御することによって、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷をさらに消費させることもできる。
【0070】
図2は、図1のDC/DCコンバータ160の詳細を説明するための回路図である。
図2を参照して、DC/DCコンバータ160は、電源回路30と、電圧変換回路40とを備える。
【0071】
電源回路30は、蓄電装置150または平滑コンデンサC1に蓄積された電荷から電力を受けて交流電圧を発生するブリッジ回路と、1次側がブリッジ回路から電力を受けるトランスTrと、トランスTrの2次側に生じる交流電圧を整流する整流回路とを含む。
【0072】
ブリッジ回路は、リアクトルL11を介して電力線PL1にコレクタが接続されたスイッチング素子Q11と、スイッチング素子Q11のエミッタにコレクタが接続され、接地線SL1にエミッタが接続されたスイッチング素子Q12と、リアクトルL11を介して電力線PL1にコレクタが接続されたスイッチング素子Q13と、スイッチング素子Q13のエミッタにコレクタが接続され、接地線SL1にエミッタが接続されたスイッチング素子Q14と、リアクトルL11およびスイッチング素子Q11の接続ノードと接地線SL1との間に接続されたコンデンサC11とを含む。また、ブリッジ回路は、スイッチング素子Q11〜Q14の各々に並列に接続されたダイオードD11〜D14をさらに含む。スイッチング素子Q11〜Q14の各ベースは、図1のMG−ECU300によって降圧動作を指示する制御信号PWD1によりスイッチング制御される。
【0073】
トランスTrは、一方端がスイッチング素子Q11,Q12の接続ノードに接続され他方端がスイッチング素子Q13,Q14の接続ノードに接続される1次側コイルL12と、直列接続された2次側コイルL13,L14と、1次側コイルL12と2次側コイルL13,L14とを電磁的に結合する鉄心とを含む。
【0074】
整流回路は、ダイオードD15,D16と、リアクトルL15と、平滑コンデンサC12とを含む。ダイオードD15,D16の各カソードは共にリアクトルL15の一方端と接続される。ダイオードD15のアノードは、2次側コイルL13の一方端に接続される。ダイオードD16のアノードは、2次側コイルL14の一方端に接続される。2次側コイルL13の他方端と2次側コイルL14の他方端は共に接地線SL2に接続される。リアクトルL15の他方端は電力線SPL1に接続される。平滑コンデンサC12は電力線SPL1と接地線SL2との間に接続される。
【0075】
電源回路30は、トランスTrの1次側コイルL12に接続されたスイッチング素子Q11〜Q14のスイッチング動作により蓄電装置150からの直流入力電圧VLを所定の交流電圧に変換し、トランスTrの2次側コイルL13,L14に出力する。このようなスイッチング素子のスイッチング動作によって2次側コイルに出力された交流電圧は、整流回路によって整流された後、平滑コンデンサC12によって平滑化され、直流電圧に変換されて電力線SPL1に出力される。
【0076】
電圧変換回路40は、スイッチング素子Q17,Q18と、ダイオードD17,D18と、リアクトルL17,L18と、平滑コンデンサC13,C14と、電圧センサ41,42とを含む。
【0077】
スイッチング素子Q17,Q18は、電力線SPL1と接地線SL2との間に直列に接続される。そして、スイッチング素子Q17のコレクタは電力線SPL1に接続され、スイッチング素子Q18のエミッタが接地線SL2に接続される。また、各スイッチング素子Q17,Q18のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD17,D18がそれぞれ接続される。
【0078】
リアクトルL17の一方端はスイッチング素子Q17のコレクタに接続され、他方端は電力線SPL1に接続される。リアクトルL18の一方端はスイッチング素子Q17とスイッチング素子Q18との接続ノードに接続され、他方端は電力線SPL2に接続される。スイッチング素子Q17,Q18の各ベースは、図1のMG−ECU300からの制御信号PWD2によりスイッチング制御される。
【0079】
平滑コンデンサC13は、電力線SPL1と接地線SL2との間に接続される。平滑コンデンサC14は、電力線SPL2と接地線SL2との間に接続される。
【0080】
電圧センサ41は、平滑コンデンサC13の両端間の電圧VOUT1を検出し、その検出した電圧VOUT1をMG−ECU300へ出力する。また、電圧センサ42は、平滑コンデンサC14の両端間の電圧VOUT2を検出し、その検出した電圧VOUT2をMG−ECU300へ出力する。
【0081】
電圧変換回路40は、MG−ECU300からの制御信号PWD2により制御され、電源回路30から出力された直流電圧VOUT1を電圧VOUT2に降圧して電力線SPL2に供給する。
【0082】
より具体的には、電圧変換回路40は、MG−ECU300からの制御信号PWD2に基づいて、スイッチング素子Q17,Q18を所定のデューティ比で相補的に交互にオン/オフさせる。ここで、デューティ比とは、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング周期における、スイッチング素子Q17のオン期間の比率である。
【0083】
スイッチング素子Q17のオン期間においては、電力線SPL1からスイッチング素子Q17、リアクトルL18および電力線SPL2を経由して充電電流が蓄電装置130へ流れる。続いて、スイッチング素子Q17がオン状態からオフ状態に遷移すると、リアクトルL18の電流変化を妨げるように磁束が発生するので、充電電流は、ダイオードD18、リアクトルL18および電力線SPL2を順に介して流れ続ける。一方で、電気エネルギ的に見ると、電力線SPL1および接地線SL2を介して直流電力が供給されるのはスイッチング素子Q17のオン期間だけであるので、充電電流が一定に保たれるとすると、電圧変換回路40から蓄電装置130へ供給される直流電力の平均電圧は、電力線SPL1および接地線SL2間の直流電圧VOUT1にデューティ比を乗じた値となる。
【0084】
平滑コンデンサC14は、電力線SPL2に出力された直流電圧を平滑化し、平滑化した直流電圧VOUT2を蓄電装置130および低圧系補機50へ供給する。
【0085】
このように本実施の形態に係る電圧変換回路40は、電源回路30から受けた直流電圧VOUT1を出力するとともに、直流電圧VOUT1を降圧して直流電圧VOUT2を出力することができる。このように2系統の出力が可能なDC/DCコンバータ160を備えることによって、以下に説明するように、車両100の衝突が発生したような場合に、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電するとともに、残留電荷の放電に伴ってDC/DCコンバータ160の入力電源電圧が低下した場合でも、低圧系補機50に対して安定した電源電圧の供給が可能となる。
【0086】
図3は、比較例として1出力型のDC/DCコンバータ160Aを備える場合の問題点を説明するための図である。
【0087】
図3を参照して、DC/DCコンバータ160Aは、蓄電装置150または平滑コンデンサC1から受ける直流電圧を降圧することによって、図2で説明したDC/DCコンバータ160の直流電圧VOUT2に相当する電圧VOUT12(たとえば14V)を出力する。そして、DC/DCコンバータ160Aの出力電源線に、蓄電装置130および低圧系補機50が接続される。
【0088】
図4は、図3の構成におけるDC/DCコンバータ160Aの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。図4の横軸および縦軸には、DC/DCコンバータ160Aの入力電圧および出力電圧がそれぞれ示される。
【0089】
図3および図4を参照して、車両100の衝突が発生し、平滑コンデンサC1の残留電荷を放電する場合を考える。平滑コンデンサC1の電圧VLが、DC/DCコンバータ160Aが安定して電圧変換可能な定格入力電圧の範囲(図4中の領域R1)においては、DC/DCコンバータ160Aから所定の電圧(たとえば14V)が安定的に出力される。この出力電圧VOUT12により、蓄電装置130が充電されるとともに低圧系補機50に電源電圧が供給される。
【0090】
しかし、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電が進んで入力電圧VLが低下し、DC/DCコンバータ160Aの定格入力電圧より低くなると(図4中の領域R2)、出力電圧VOUT12が徐々に低下する。そして、蓄電装置130の出力電圧VB2(たとえば12V)よりも低くなると(図4中の点P1)、図3の矢印AR1のように低圧系補機50には蓄電装置130から電源電圧が供給される。その結果、図4中の点P1に達した以降は、平滑コンデンサC1の残留電荷を効率的に放電することができなくなるため、目標放電電圧Vthまで平滑コンデンサC1の電圧を低下させることができなくなる。
【0091】
なお、平滑コンデンサC1の残留電荷をさらに放電することによって低圧系補機50に電源電圧を供給することが可能であった場合でも、出力電圧VOUT12が、MG−ECU300を駆動可能な電圧よりも低下すると(図4中の点P2)、DC/DCコンバータ160A、コンバータ110およびインバータ120などの制御を行なうことができなくなる。そうすると、それ以降は平滑コンデンサC1の残留電荷を放電することができなくなり、低圧系補機50を駆動することもできなくなってしまう。
【0092】
また、車両100の衝突が発生した場合は、エアバッグやEPCなどの低圧系補機50に含まれる機器が同時に動作することによって、短時間に多くの電力が消費される。このような場合でも、蓄電装置130からの電力によって急激な電圧変動をある程度は吸収できるが、蓄電装置130の電圧VB2が低下してしまうような場合には、低圧系補機50を安定的に駆動することができなくなる場合が起こりうる。
【0093】
さらに、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電を速やかに行なうために、図1の高圧系補機60のような消費電力の大きい機器を、低圧系補機50に並列に接続することも可能であるが、このような構成とすると、これらの機器による電力消費によってDC/DCコンバータ160Aの出力電圧VOUT12の電圧降下が発生する場合がある。そうすると、低圧系補機50を安定的に駆動することができなくなる場合が起こりうる。
【0094】
次に、図5および図6により、実施の形態1の場合について説明する。
図5は、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の機能を説明するための図である。また、図6は、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【0095】
図5および図6を参照して、図3および図4の説明と同様に、車両100の衝突が発生し、平滑コンデンサC1の残留電荷を放電する場合を考える。DC/DCコンバータ160は、図2で説明したように、平滑コンデンサC1の残留電荷による電力を受けて、電力線SPL1により高圧系補機60へ電源電圧VOUT1(たとえば48V)を供給するとともに、電力線SPL2により低圧系補機50および蓄電装置130へ電源電圧VOUT2(たとえば14V)を供給する。
【0096】
平滑コンデンサC1の電圧VLが、DC/DCコンバータ160の電源回路30(図2)で変換可能な定格入力電圧の範囲(図6中の領域R11)においては、出力電圧VOUT1およびVOUT2とも所定の電圧(たとえば48Vおよび14V)が安定的に出力される。そして、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電が進んで入力電圧VLが低下し、DC/DCコンバータ160の電源回路30(図2)で変換可能な定格入力電圧より低くなると(図6中の領域R12)、出力電圧VOUT1の電圧が徐々に低下する(図6中の波形W10)。このとき、出力電圧VOUT2については、出力電圧VOUT1が出力電圧VOUT2よりも低くならなければ、継続して所定の電圧を出力することができる(図6中の波形W20)。
【0097】
また、出力電圧VOUT1の電圧がさらに低下して、出力電圧VOUT2の電圧が蓄電装置130の出力電圧VB2より低下した場合には、蓄電装置130から電源電圧が供給される(図6中の波形W30)。実施の形態1では、このように蓄電装置130からの電源電圧によって低圧系補機50が駆動される場合であっても、平滑コンデンサC1の残留電荷を高圧系補機60によって継続して消費させることができる。その結果、目標放電電圧Vthまで平滑コンデンサC1の電圧を低下させることが可能となる。
【0098】
このように、実施の形態1に従う2系統出力のDC/DCコンバータ160を用い、主に平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費するための補機(高圧系補機60)と、車両100の衝突時に乗員の保護や乗員の運転操作をサポートするために駆動すべき機器を含む補機(低圧系補機50)の電源系統を分離する。これによって、車両100の衝突が発生した場合に、低圧系補機50に供給する電源電圧を安定的に確保しつつ、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2に蓄積された残留電荷を高圧系補機60によって速やかに放電することができる。
【0099】
なお、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電については、コンバータ110の昇圧動作および降圧動作を繰り返し実行したり、インバータ120によってモータジェネレータMG1,MG2に磁束分電流(d軸電流)のみを流したりすることによっても実現できる。この場合であっても、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ160を用いることにより、MG−ECU300への制御電源電圧を安定的に確保することができる。
【0100】
図7は、車両100の衝突が発生した場合の、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の動作を説明するためのタイムチャートである。図7の横軸には時間が示され、縦軸には、衝突信号COL、放電モードの状態、平滑コンデンサC1の電圧VL、高圧系出力電圧VOUT1および低圧系出力電圧VOUT2の状態が示される。
【0101】
図7を参照して、時刻t1において、車両100の衝突が発生し、衝突検出部210によって衝突したことが検出されると、MG−ECU300は平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電モードをオン状態とする。
【0102】
このとき、MG−ECU300は、制御信号PWD2によってDC/DCコンバータ160の電圧変換回路40を制御して、低圧系出力電圧VOUT2を少し増加させる(たとえば+1V)。このように低圧系出力電圧VOUT2を少し増加させるのは、低圧系補機50へ供給する電源電圧のマージンを確保することにより、低圧系補機50を確実に動作させるとともに、蓄電装置130に強制的に充電を行なわせることによって、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を促進させるためである。なお、この低圧系出力電圧VOUT2を増加させることは必須の構成ではない。
【0103】
そして、時刻t2においてリレーSR1,SR2(図1)が開放されたことが確認されると、MG−ECU300は、高圧系補機60を起動して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を開始する。なお、コンバータ110および/またはインバータ120を併せて駆動させてもよい。これにより、平滑コンデンサC1の電圧VLが低下し始める。
【0104】
その後、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が進み、時刻t3において、高圧系出力電圧VOUT1が低下し始めるが、低圧系出力電圧VOUT2については、引き続き安定した電源電圧が出力される。
【0105】
そして、時刻t4において、平滑コンデンサC1の電圧VLが目標放電電圧Vthとなったところで、放電モードがオフにされ、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が終了する。これによって、DC/DCコンバータ160の制御も停止するので、出力電圧VOUT1およびVOUT2はゼロとなる。
【0106】
図8は、実施の形態1における、MG−ECU300で実行される平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。図8および後述する図10で説明される機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、MG−ECU300によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0107】
図1および図8を参照して、MG−ECU300は、放電制御部310と、DC/DCコンバータ制御部320と、コンバータ制御部330と、インバータ制御部340と、補機駆動部350とを含む。
【0108】
放電制御部310は、衝突検出部210からの衝突信号COL、HV−ECU280からのリレー制御指令SE、および電圧センサ170からの電圧VLの入力を受ける。
【0109】
放電制御部310は、衝突信号COLによって車両100の衝突が発生したことを検出し、さらにリレー制御指令SEによって、リレーSR1,SR2が開放されたことを検出すると、DC/DCコンバータ制御部320、コンバータ制御部330、インバータ制御部340、および補機駆動部350に対して、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を実行するように放電モード信号DCHをオンに設定して出力する。
【0110】
そして、放電制御部310は、平滑コンデンサC1の電圧VLが、予め設定された目標放電電圧Vthになるまで、放電モード信号DCHをオンの状態として、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を継続する。放電制御部310は、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低くなると、放電が完了したと認識して、放電モード信号DCHをオフとしてDC/DCコンバータ制御部320等に出力することによって、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を終了する。なお、放電完了の判定については、平滑コンデンサC2の電圧VHによって行ってもよい。
【0111】
DC/DCコンバータ制御部320は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。DC/DCコンバータ制御部320は、DC/DCコンバータ160に入力される入力電圧VLを所定の出力電圧VOUT1,VOUT2として出力するように、DC/DCコンバータ160内のスイッチング素子の制御信号PWD1,PWD2を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。
【0112】
また、DC/DCコンバータ制御部320は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、出力電圧VOUT2の電圧を増加するように制御信号PWD2を生成する。
【0113】
コンバータ制御部330は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、コンバータ制御部330は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧してDC/DCコンバータ160に供給するように、制御信号PWCを生成してコンバータ110に出力する。
【0114】
また、コンバータ制御部330は、コンバータ110の昇圧動作および降圧動作を交互に繰り返すことによってリアクトルL1の導通損やスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング損失を利用して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電する場合には、上記の昇圧動作および降圧動作を行なうように制御信号PWCを生成してコンバータ110に出力する。
【0115】
インバータ制御部340は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、インバータ制御部340は、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷をモータジェネレータMG1,MG2を駆動することによって消費させる場合には、放電モード信号DCHがオンに設定されると、インバータ120を動作させるように制御信号PWI1,PWI2を生成してインバータ120に出力する。
【0116】
補機駆動部350は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、補機駆動部350は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、高圧系補機60によって平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費するために、ヒータなどの高圧系補機60を駆動するための駆動指令DRVを生成して、高圧系補機60に含まれる各機器へ出力する。
【0117】
図9は、実施の形態1における、MG−ECU300で実行される平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図9および後述する図11に示されるフローチャート中の各ステップについては、MG−ECU300に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
【0118】
図8および図9を参照して、MG−ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)400にて、衝突検出部210によって検出された衝突信号COLに基づいて、車両100に衝突が発生したか否かを判定する。なお、S400においては、MG−ECU300は、衝突信号COLがオンの状態である場合だけでなく、衝突信号COLがオフとなっても、図8における放電モード信号DCHがオンの状態である場合には、衝突が発生したものと判定する。
【0119】
車両100に衝突が発生した場合(S400にてYES)は、次にS410に処理が進められ、MG−ECU300は、HV−ECU280からのリレー制御信号SEによって、リレーSR1,SR2の接点が開放されたか否かを判定する。
【0120】
リレーSR1,SR2の接点が開放された場合(S410にてYES)は、MG−ECU300は、S420にて、PCU200に含まれるコンバータ110、DC/DCコンバータ160およびインバータ120(以下、総括して「電力変換機器」とも称する。)の「低電圧保護機能」を無効とする。
【0121】
ここで、「低電圧保護機能」とは、これらの電力変換機器への入力電圧が所定の基準電圧以下に低下すると、電力変換機器の動作を停止するように、電力変換機器に一般的に設けられる保護機能である。しかし、本実施の形態のように、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電する際には、放電動作が進むにしたがって残留電荷が消費されるために、平滑コンデンサC1,C2の電圧(すなわち、電力変換機器の入力電圧)が徐々に低下する。そのため、この「低電圧保護機能」が有効であると、入力電圧が所定の基準電圧以下となった時点で「低電圧保護機能」が動作することによって電力変換動作が行なわれなくなるので、それ以降は平滑コンデンサC1,C2の残留電荷が消費されなくなる。したがって、実施の形態においては、MG−ECU300は、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を所望のレベルまで消費できるように、「低電圧保護機能」を無効とする。
【0122】
次に、MG−ECU300は、S430にて、DC/DCコンバータ160の低圧側の出力電圧VOUT2の電圧を、たとえば+1V程度増加させる。
【0123】
そして、MG−ECU300は、S440にて、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電させるために、駆動指令DRVを出力して高圧系補機60を駆動する。また、これにともない、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧するために、MG−ECU300は、降圧動作を行なうような制御指令PWCを生成してコンバータ110出力する。
【0124】
なお、高圧系補機60に加えて、コンバータ110または/およびインバータ120を駆動することによる平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を行なう場合には、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を駆動するための制御指令PWC,PWI1,PWI2を生成して出力する。
【0125】
その後、MG−ECU300は、S450にて、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低下したか否か、すなわち平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了したか否かを判定する。
【0126】
平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了していない場合(S450にてNO)は、処理がメインルーチンに戻されて、放電制御が継続される。
【0127】
一方、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了した場合(S450にてYES)は、MG−ECU300は、S460にて、駆動指令DRVおよび制御信号PWC,PWI1,PWI2の出力を停止して、高圧系補機60、コンバータ110およびインバータ120の駆動を停止させる。これにより、残留電荷放電制御が終了する。
【0128】
そして、MG−ECU300は、S470にて、制御指令PWD1,PWD2の出力を停止することによって、DC/DCコンバータ160を停止させる。
【0129】
なお、衝突が発生していない場合(S400にてNO)、およびリレーSR1,SR2の接点が開放されていない場合(S410にてNO)は、残留電荷放電制御は実行されないので、メインルーチンに処理が戻される。
【0130】
以上の説明のように、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備えた車両用の電力変換装置(PCU)200において、上述のような処理に従って制御することによって、低圧系補機50および高圧系補機60にそれぞれ別系統の電源電圧を供給することができる。そして、車両100の衝突が発生した場合に、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2の残留電荷をDC/DCコンバータ160で降圧して、一方の電圧出力系統によって衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50およびMG−ECU300に電源電圧を供給するとともに、他方の電圧出力系統によって高圧系補機60を駆動することで平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電することができる。これによって、車両100の衝突が発生した場合に、衝突時に駆動すべき機器に電源電圧を安定的に供給しつつ、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を速やかに放電することができる。
【0131】
[実施の形態2]
実施の形態1では、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備え、車両100の衝突発生時に、ABS、EPSなど衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50や制御装置へ供給する電源電圧の系統と、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を主に放電する高圧系補機60への電源電圧の系統を分割する構成について説明した。
【0132】
このような構成は、車両100の衝突発生時の残留電荷を放電する場合には必要な構成となるが、衝突発生時以外の通常の車両走行時においては必ずしも必須ではなく、特に高圧系補機60および低圧系補機50による負荷が小さい場合には、電圧変換回路40におけるスイッチング素子Q17,Q18のスイッチング損失が問題となる。
【0133】
そこで、実施の形態2においては、実施の形態1の残留電荷放電制御に加えて、通常走行時におけるDC/DCコンバータ160のスイッチング損失低減による効率(燃費)向上を行なう構成について説明する。
【0134】
たとえば、図2において、高圧系補機60が駆動されていない場合を考えると、電源回路30の出力電圧(たとえば48V)を、電圧変換回路40で降圧(たとえば14V)しなくとも、電源回路30のスイッチング動作を変更することによって直接低圧系補機50用の電圧(たとえば14V)とすることも可能である。この場合、スイッチング素子Q17をデューティ比1.0で制御する(すなわち、スイッチング素子Q17をオン状態に固定するとともにスイッチング素子Q18をオフ状態に固定する)ことで、電力線SPL2に所定の電源電圧を供給することができる。これにより、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング動作が不要となるので、スイッチング損失を低減することができる。
【0135】
また、高圧系補機60が駆動されている場合においても、たとえば高圧系補機60にヒータの出力を低減させるヒータパワーセーブ機能などが付加されたものであれば、電源電圧を低下させても高圧系補機60を駆動できる場合がある。このような場合においても、高圧系補機60を低圧系補機50と同じ電源電圧で駆動させるようにすることで、上記の高圧系補機60が駆動されていない場合と同様に、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング損失を低減させることができる。
【0136】
図10は、実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。図10は、実施の形態1で説明した図8の機能ブロック図におけるDC/DCコンバータ制御部320がDC/DCコンバータ制御部320Aに置き換わっており、さらに通常走行時の損失低減機能の実施要否を判定するための判定部360が追加されたものとなっている。図10において、図8と重複する機能ブロックについての説明は繰り返さない。
【0137】
図2および図10を参照して、判定部360は、電圧センサ41,42によって検出される電力線SPL1,SPL2のぞれぞれの電圧VOUT1,VOUT2の入力を受ける。また、判定部360は、電流センサ80,70によって検出される電力線SPL1,SPL2を流れる電流IL1,IL2の入力を受ける。さらに、判定部360は、衝突検出部210(図1)からの衝突信号COL、およびDC/DCコンバータ制御部320Aからのスイッチング素子Q17のデューティ比DUTYの入力を受ける。
【0138】
判定部360は、これらの情報に基づいて、電源回路30の出力電圧を高圧(たとえば48V)とするか低圧(たとえば14V)とするかを判定する。そして、電圧選択信号VSELをDC/DCコンバータ制御部320Aに出力する。具体的には、電源回路30の出力電圧を高圧に設定する場合は、電圧選択信号VSELをオンに設定し、電源回路30の出力電圧を低圧に設定する場合は、電圧選択信号VSELをオフに設定する。
【0139】
また、判定部360は、上記の情報に基づいて、スイッチング素子Q17をオン固定に選択するか否かを判定する。そして、選択信号QSELをDC/DCコンバータ制御部320Aに出力する。具体的には、スイッチング素子Q17をオン固定に選択する場合は、選択信号QSELをオンに設定し、スイッチング素子Q17をオン固定としない場合(すなわち、デューティ比に従ってオン・オフ制御をする場合)は、選択信号QSELをオフに設定する。
【0140】
DC/DCコンバータ制御部320Aは、放電制御部310からの放電モード信号DCH、判定部360からの電圧選択信号VSELおよび選択信号QSELの入力を受ける。そして、DC/DCコンバータ制御部320Aは、電圧選択信号VSELおよび選択信号QSELに従って、電源回路30および電圧変換回路40を制御するための制御信号PWD1,PWD2をそれぞれ生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。また、DC/DCコンバータ制御部320Aは、スイッチング素子Q17のデューティ比DUTYを、判定部360へ出力する。
【0141】
図11は、実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0142】
図10および図11を参照して、MG−ECU300は、S500にて、衝突検出部210によって検出された衝突信号COLに基づいて、車両100に衝突が発生したか否かを判定する。なお、S500においては、MG−ECU300は、衝突信号COLがオンの状態である場合だけでなく、衝突信号COLがオフとなっても、図10における放電モード信号DCHがオンの状態である場合には、衝突が発生したものと判定する。
【0143】
車両100に衝突が発生した場合(S500にてYES)は、次にS510に処理が進められ、MG−ECU300は、低圧系出力電圧VOUT2の過電圧を防止するために、電源回路30の出力電圧の電圧切替の前に、電圧変換回路40のスイッチング素子Q17のオン固定状態を解除する。その後、MG−ECU300は、S520にて、電源回路30の出力電圧を高圧に切替える。
【0144】
そして、MG−ECU300は、S530にて、HV−ECU280からのリレー制御信号SEによって、リレーSR1,SR2の接点が開放されたか否かを判定する。
【0145】
リレーSR1,SR2の接点が開放された場合(S530にてYES)は、次にS540に処理が進められ、MG−ECU300は、電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHLより高いか否かを判定する。
【0146】
電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHLより高い場合(S540にてYES)は、MG−ECU300は、S550にて、電力変換機器の「低電圧保護機能」を無効とする。
【0147】
次に、MG−ECU300は、S560にて、DC/DCコンバータ160の低圧側の出力電圧VOUT2の電圧を、たとえば+1V程度増加させる。
【0148】
そして、MG−ECU300は、S570にて、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電させるために、駆動指令DRVを出力して高圧系補機60を駆動する。また、これにともない、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧するために、MG−ECU300は、降圧動作を行なうような制御指令PWCを生成してコンバータ110出力する。
【0149】
なお、高圧系補機60に加えて、コンバータ110または/およびインバータ120を駆動することによる平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を行なう場合には、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を駆動するための制御指令PWC,PWI1,PWI2を生成して出力する。
【0150】
その後、MG−ECU300は、S580にて、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低下したか否か、すなわち平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了したか否かを判定する。
【0151】
平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了していない場合(S580にてNO)は、処理がメインルーチンに戻されて、放電制御が継続される。
【0152】
一方、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了した場合(S580にてYES)は、MG−ECU300は、S590にて、駆動指令DRVおよび制御信号PWC,PWI1,PWI2の出力を停止して、高圧系補機60、コンバータ110およびインバータ120の駆動を停止させる。これにより、残留電荷放電制御が終了する。
【0153】
そして、MG−ECU300は、S600にて、制御指令PWD1,PWD2の出力を停止することによって、DC/DCコンバータ160を停止させる。
【0154】
一方、電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHL以下の場合(S540にてNO)は、まだ高圧系の電源電圧が十分に昇圧されていないので、S541に処理を進めて、出力電圧VOUT1が上昇するのを待つためのタイマーのカウントを開始する。
【0155】
そして、MG−ECU300は、S542にて、タイマーがカウントアップしたか否かを判定する。
【0156】
タイマーがカウントアップしていない場合(S542にてNO)は、メインルーチンに処理が戻され、MG−ECU300は、タイマーがカウントアップするのを待つ。
【0157】
一方、タイマーがカウントアップした場合(S542にてYES)は、MG−ECU300は、S550に処理を進める。この場合には、まだ出力電圧VOUT1が基準値VHLに達していない可能性もあるが、衝突時には早期に平滑コンデンサC1,C2の放電が必要となるので、MG−ECU300は、所定のタイマー時間だけ出力電圧VOUT1が上昇するのを待った後は、出力電圧VOUT1が基準値VHL以下であってもS550以降の放電処理を実行する。なお、高圧系補機60の負荷は、代表的にはヒータのような抵抗体であるため、出力電圧VOUT1が基準値VHL以下であったとしても、印加電圧に応じた電流が流れるので過電流となることはない。
【0158】
なお、リレーSR1,SR2の接点が開放されていない場合(S540にてNO)は、残留電荷放電制御は実行されないので、メインルーチンに処理が戻される。
【0159】
一方、衝突が発生していない場合、すなわち通常走行状態の場合(S500にてNO)は、次にS610に処理が進められ、MG−ECU300は、高圧系補機60の負荷が小さいか否かを判定する。
【0160】
具体的には、MG−ECU300は、電圧センサ41からの電圧VOUT1および電流センサからの電流IL1より高圧系補機60の消費電力を算出し、この消費電力が基準値より小さいか否かによって判定する。また、電流IL1によって判定してもよい。
【0161】
高圧系補機60の負荷が小さい場合(S610にてYES)は、次にS620にて、MG−ECU300は、低圧系補機50の負荷が小さいか否かを判定する。
【0162】
具体的には、MG−ECU300は、電圧センサ42からの電圧VOUT2および電流センサからの電流IL2より低圧系補機50の消費電力を算出し、高圧系補機60および低圧系補機50で消費される電力が、低圧系の電源電圧でまかなえるか否かを判定する。また、電流IL2によって判定してもよい。
【0163】
そして、低圧系補機50の負荷が小さく、高圧系補機60および低圧系補機50で消費される電力が低圧系の電源電圧でまかなえる場合(S620にてYES)は、MG−ECU300は、S630にて、電源回路30の出力電圧を低圧に切替えるように制御信号PWD1を生成してDC/DCコンバータ160に出力する。
【0164】
次に、MG−ECU300は、S640にて、電圧変換回路40のスイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きいか否か、すなわち電源回路30の出力電圧VOUT1が低圧系の出力電圧VOUT2に近づいており、スイッチング素子Q17をオン固定としても低圧系補機50および蓄電装置130が過電圧とならないか否かを判定する。なお、S640の判定は、出力電圧VOUT1およびVOUT2を比較することによって行なってもよい。
【0165】
スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きい場合(S640にてYES)は、MG−ECU300は、S650にて、スイッチング素子Q17をオン固定に設定する。そして、処理がメインルーチンに戻される。
【0166】
一方、スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIM以下の場合(S640にてNO)は、スイッチング素子Q17をまだオン固定にできないので、メインルーチンに処理が戻され、MG−ECU300は、スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きくなるまで待つ。
【0167】
また、高圧系補機60の負荷が大きい場合(S610にてNO)、または低圧系補機50の負荷が大きい場合(S620にてNO)は、いずれも電源回路30の出力電圧を低圧とできないので、MG−ECU300は、S660にてスイッチング素子Q17のオン固定状態を解除するように制御信号PWD2を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。そして、S670にて電源回路30の出力電圧を高圧に切替えるように制御信号PWD1を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。その後、メインルーチンに処理が戻される。
【0168】
なお、図示しないが、ステップS590にて放電制御が停止されると、MG−ECU300は、S550で無効に設定した低電圧保護機能を有効に戻す。
【0169】
以上のような処理に従って制御することによって、通常走行時において、高圧系補機60および低圧系補機50がいずれも低負荷の場合には、電源回路30の出力電圧を低下させて、電圧変換回路40のスイッチング損失を低減することによって、DC/DCコンバータ160の効率を向上させることができる。また、低圧系補機50または高圧系補機60の負荷が増加した場合、または車両100の衝突が発生した場合には、電源回路30の出力電圧を高圧に切替えることができる。さらに、車両100の衝突が発生した場合には、実施の形態1と同様に、低圧系補機50の電源電圧を確保しながら、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を速やかに行なうことができる。
【0170】
本実施の形態における蓄電装置150および130は、それぞれ本発明における「第1の蓄電装置」および「第2の蓄電装置」の一例である。また、本実施の形態における高圧系補機60および低圧系補機50は、それぞれ本発明における「第1の負荷」および「第2の負荷」の一例である。
【0171】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0172】
30 電源回路、40 電圧変換回路、41,42,170,180 電圧センサ、50 低圧系補機、60 高圧系補機、80,70 電流センサ、100 車両、110 コンバータ、115 電力変換部、120,121,122 インバータ、123 U相アーム、124 V相アーム、125 W相アーム、130,150 蓄電装置、160,160A DC/DCコンバータ、200 PCU、210 衝突検出部、220 エンジン、250 動力分割機構、260 駆動輪、270 駆動部、280 HV−ECU、300 MG−ECU、310 放電制御部、320,320A DC/DCコンバータ制御部、330 コンバータ制御部、340 インバータ制御部、350 補機駆動部、360 判定部、C1,C2,C11〜C14 平滑コンデンサ、CPL 制御電源線、D1〜D8,D11〜D18 ダイオード、F1 ヒューズ、HPL,PL1,SPL1,SPL2 電力線、L1,L11,L15,L17,L18 リアクトル、L12〜L14 コイル、MG1,MG2 モータジェネレータ、Q1〜Q8,Q11〜Q14,Q17,Q18 スイッチング素子、SL1,SL2 接地線、SR1,SR2 リレー、Tr トランス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電力変換装置およびそれを搭載する車両に関し、より特定的には、車両の衝突時において、電力変換装置内に含まれるコンデンサの残留電荷の放電制御を行なう際に衝突時に駆動すべき機器への電源を安定的に供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
【0003】
これらの電動車両においては、発進時や加速時に蓄電装置から電力を受けて走行のための駆動力を発生するとともに、制動時に回生制動によって発電を行なって蓄電装置に電気エネルギを蓄えるためのモータジェネレータを備える場合がある。このように、走行状態に応じてモータジェネレータを制御するために、電動車両には、コンバータやインバータなどの電力変換装置が搭載される。
【0004】
このような電力変換装置には、供給される直流電力を安定化するために大容量の平滑コンデンサが備えられている。そして、電力変換装置の作動中は、平滑コンデンサには印加電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0005】
この平滑コンデンサに蓄積される電荷は、車両の衝突が発生したような場合には、速やかに平滑コンデンサの残留電荷を放電することが必要となる。
【0006】
特開2004−222361号公報(特許文献1)には、インバータの入力側にインバータに並列に設けられた平滑コンデンサを備える電動機駆動制御装置において、インバータへの直流入力電源の供給が停止されたときに、インバータに何らかの異常が発生した場合には、平滑コンデンサに蓄積された残留電荷をDC/DCコンバータもしくは電動エアコンにより消費する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−222361号公報
【特許文献2】特開2000−092750号公報
【特許文献3】特開2008−087714号公報
【特許文献4】特開2006−224772号公報
【特許文献5】特開2003−061209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開2004−222361号公報(特許文献1)に開示された技術においては、車両の衝突が発生した場合ではなく、イグニッションキーがオフされて蓄電装置からの電力供給が停止された正常時の場合を前提としている。そのため、インバータ、DC/DCコンバータおよび電動エアコンを制御する制御装置への電力も、蓄電装置から正常に供給される。
【0009】
車両の衝突等が発生した場合には、乗員保護のための機器や運転操作をサポートする機器のような衝突時に駆動すべき機器については確実に駆動させるとともに、平滑コンデンサの残留電荷を速やかに放電させる必要がある。しかしながら、衝突による車両の状態によっては、電力供給用のバッテリが破損等したり、上記衝突時に駆動すべき機器の動作に伴ってバッテリの出力電圧が低下してしまう場合がある。このような場合には、特開2004−222361号公報(特許文献1)においては、上記の電気機器が正常に駆動できないばかりか、さらには残留電荷が十分に消費できない場合がある。
【0010】
したがって、車両の衝突等が発生した場合に、残留電荷の放電動作が完了するまでの間、衝突時に駆動すべき機器への電源を安定的に供給することが必要となる。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、車両用の電力変換装置において、車両の衝突時に、衝突時に駆動すべき機器へ安定的に電源を供給するとともに、電力変換装置内の平滑コンデンサに蓄積された残留電荷を速やかに放電することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による車両用の電力変換装置は、電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、車両の衝突を検出するための衝突検出部と、第1の蓄電装置から電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、衝突検出部によって車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを含む車両において、コンデンサと、車両の衝突が検出されかつリレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態においてコンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを備える。また、DC/DCコンバータは、コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含む。そして、車両は、第1の電力線に接続され車両の衝突が発生したときにコンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、第2の電力線に接続され車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、第2の負荷と並列に接続され第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに含む。
【0013】
好ましくは、車両用の電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。電源回路は出力電圧を可変に設定可能である。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷への出力電力が小さい場合には、電源回路から出力される第1の電圧を低下するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0014】
また好ましくは、電圧変換回路は、第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の接続ノードと第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷および第2の負荷の出力電力が第2の電圧で供給可能である場合は、第1の電圧を第2の電圧まで低下させるとともに、第1のスイッチング素子がオン状態を継続するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0015】
好ましくは、DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると動作を停止するような低電圧保護機能を有する。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、低電圧保護機能を無効とするようにDC/DCコンバータを制御する。
【0016】
あるいは好ましくは、車両用の電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、第2の電圧を、車両の衝突が検出される前よりも上昇させるようにDC/DCコンバータを制御する。
【0017】
好ましくは、車両用の電力変換装置は、第1の蓄電装置からリレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、電力変換部を制御するための制御装置とをさらに備える。そして、制御装置は、車両の衝突が検出され、リレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの残留電荷を消費するように電力変換部を制御する。
【0018】
また好ましくは、電力変換部は、第1の蓄電装置から供給される直流電力の電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、コンバータの直流電力を交流電力に変換するためのインバータとを含む。また、コンデンサは、コンバータの第1の蓄電装置側に接続された第1のコンデンサと、コンバータのインバータ側に接続された第2のコンデンサとを含む。そして、コンバータは、昇圧動作および降圧動作の双方が可能であり、昇圧動作に伴って第1のコンデンサの残留電荷の一部を消費し、降圧動作に伴って第2のコンデンサの残留電荷の一部を消費する。
【0019】
さらに好ましくは、制御装置は、昇圧動作および降圧動作を交互に繰り返すように、コンバータを制御する。
【0020】
本発明による車両は、電力変換装置と、電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、車両の衝突を検出するための衝突検出部と、第1の蓄電装置から電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、衝突検出部によって車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを備える。また、電力変換装置は、コンデンサと、車両の衝突が検出され、かつリレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを含む。DC/DCコンバータは、コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含む。そして、車両は、第1の電力線に接続され車両の衝突が発生したときにコンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、第2の電力線に接続され車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、第2の負荷と並列に接続され第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに備える。
【0021】
好ましくは、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。電源回路は出力電圧を可変に設定可能である。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷への出力電力が小さい場合には、電源回路から出力される第1の電圧を低下するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0022】
また好ましくは、電圧変換回路は、第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の接続ノードと第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含む。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されておらず、かつ第1の負荷および第2の負荷の出力電力が第2の電圧で供給可能である場合は、第1の電圧を第2の電圧まで低下させるとともに、第1のスイッチング素子がオン状態を継続するようにDC/DCコンバータを制御する。
【0023】
好ましくは、DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有する。また、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、低電圧保護機能を無効とするようにDC/DCコンバータを制御する。
【0024】
あるいは好ましくは、電力変換装置は、DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出されたときに、第2の電圧を、車両の衝突が検出される前よりも上昇させるようにDC/DCコンバータを制御する。
【0025】
好ましくは、電力変換装置は、第1の蓄電装置からリレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、電力変換部を制御するための制御装置とをさらに含む。そして、制御装置は、車両の衝突が検出され、リレーによって第1の蓄電装置が電力変換装置から電気的に切離された状態において、コンデンサの残留電荷を消費するように電力変換部を制御する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、車両用の電力変換装置において、車両の衝突時に、衝突時に駆動すべき機器へ安定的に電源を供給するとともに、電力変換装置内の平滑コンデンサに蓄積された残留電荷を速やかに放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態1に従う、車両の全体ブロック図である。
【図2】図1のDC/DCコンバータの詳細を説明するための回路図である。
【図3】比較例として1出力型のDC/DCコンバータを備える場合の問題点を説明するための図である。
【図4】比較例におけるDC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【図5】実施の形態1における、DC/DCコンバータの機能を説明するための図である。
【図6】実施の形態1における、DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【図7】車両の衝突が発生した場合の、実施の形態1における、DC/DCコンバータの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図8】実施の形態1における、MG−ECUで実行される平滑コンデンサの残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。
【図9】実施の形態1における、MG−ECUで実行される平滑コンデンサの残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。
【図11】実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0029】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1に従う、車両100の全体ブロック図である。本実施の形態1においては、車両100としてエンジンおよびモータジェネレータを搭載したハイブリッド車両を例として説明するが、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両であれば適用可能である。車両100としては、ハイブリッド車両以外にたとえば電気自動車や燃料電池自動車などが含まれる。また、蓄電装置からの電力によって走行可能でなくとも、電力変換装置を備える車両においても適用可能である。
【0030】
図1を参照して、車両100は、蓄電装置130,150と、電力変換装置(以下、PCU「Power Control Unit」とも称する。)200と、駆動部270と、衝突検出部210と、リレーSR1,SR2と、制御装置(以下、HV−ECU「Electronic Control Unit」とも称する。)280と、低圧系補機50と、高圧系補機60とを備える。また、駆動部270は、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構250と、エンジン220と、駆動輪260とを含む。
【0031】
蓄電装置130,150は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置130,150は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0032】
蓄電装置150は、リレーSR1,SR2を介して、電力線PL1および接地線SL1によってPCU200に接続される。そして、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するための直流電力をPCU200へ供給する。また、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生され、PCU200を介して供給される電力を蓄電する。蓄電装置150から供給される電力の電圧は、蓄電装置130から供給される電力の電圧と比べて相対的に高圧(たとえば200V)である。
【0033】
一方、蓄電装置130は、補機や制御装置などを動作させるための電源電圧を供給する。蓄電装置130から供給される電力の電圧は、蓄電装置150から供給される電力の電圧と比べて相対的に低圧(たとえば12V)である。また、蓄電装置130は、PCU200内のDC/DCコンバータ160(後述)によって降圧された蓄電装置150からの電力によって充電される。また、蓄電装置130は、ヒューズF1を介し制御電源線CPLを経由して、後述するPCU200内の制御装置(以下、MG−ECUとも称する。)300を作動させるための制御用電源電圧を供給する。
【0034】
リレーSR1,SR2は、蓄電装置150とPCU200とを接続する電力線PL1および接地線SL1の途中に挿入される。リレーSR1,SR2は、HV−ECU280により制御され、蓄電装置150からPCU200への電力の供給と遮断とを切替える。
【0035】
PCU200は、蓄電装置150からの直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1,MG2に供給する。また、PCU200は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生した交流電力を、直流電力に変換して蓄電装置150を充電する。
【0036】
モータジェネレータMG1,MG2は、PCU200から供給される交流電力を受けて車両推進のための回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受けて交流電力を発電するとともに、MG−ECU300からの回生トルク指令によって回生制動力を車両100に発生する。
【0037】
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構250を介してエンジン220にも連結される。そして、エンジン220の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施の形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン220により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を駆動輪260を駆動する電動機として機能させるものとする。
【0038】
動力分割機構250には、エンジン220の動力を、駆動輪260とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。
【0039】
衝突検出部210は、図示しないセンサ(たとえばGセンサ)を含み、車両100が衝突したか否かを検出する。そして、衝突検出部210は、その検出結果である衝突信号COLを、HV−ECU280およびMG−ECU300へ出力する。
【0040】
HV−ECU280およびMG−ECU300は、いずれも図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、車両100の各機器を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0041】
HV−ECU280は、衝突検出部210から、車両100の衝突信号COLの入力を受ける。
【0042】
また、HV−ECU280は、リレー制御指令SEを生成し、リレーSR1およびSR2を制御する。具体的には、リレー制御指令SEがオンに設定されるとリレーSR1,SR2の接点が閉じられて、蓄電装置150からPCU200へ電力が供給される。一方、リレー制御指令SEがオフに設定されるとリレーSR1,SR2の接点が開放され、蓄電装置150からPCU200への電力が遮断される。
【0043】
そして、HV−ECU280は、衝突信号COLによって車両100の衝突を検出すると、蓄電装置150からPCU200への電力が遮断されるようにリレーSR1,SR2を制御する。
【0044】
また、HV−ECU280は、MG−ECU300へリレー制御指令SEを出力し、リレーSR1,SR2の制御状態を通知する。
【0045】
PCU200は、電力変換部115と、平滑コンデンサC1,C2と、電圧センサ170,180と、DC/DCコンバータ160と、MG−ECU300とを含む。電力変換部115は、コンバータ110およびインバータ120を含む。また、インバータ120は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ121およびモータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ122を含む。
【0046】
コンバータ110は、リアクトルL1と、電力線HPLと接地線SL1との間に直列に接続されるスイッチング素子Q1,Q2と、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子は、代表的にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor)、もしくはGTO(Gate Turn Off Thyristor)などが用いられる。なお、本実施の形態においては、スイッチング素子としてIGBTを使用した場合を例として説明する。
【0047】
リアクトルL1は、電力線PL1と、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続ノードとに接続される。ダイオードD1のカソードはスイッチング素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはスイッチング素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはスイッチング素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはスイッチング素子Q2のエミッタと接続される。
【0048】
インバータ121は、コンバータ110から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン220を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ121は、エンジン220から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力をコンバータ110に出力する。このときコンバータ110は、降圧回路として動作するようにMG−ECU300によって制御される。
【0049】
インバータ121は、U相アーム123と、V相アーム124と、W相アーム125とを含む。U相アーム123、V相アーム124およびW相アーム125は、電力線HPLと接地線SL1との間に並列に接続される。
【0050】
U相アーム123は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4と、スイッチング素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはスイッチング素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはスイッチング素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはスイッチング素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはスイッチング素子Q4のエミッタと接続される。
【0051】
V相アーム124は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6と、スイッチング素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはスイッチング素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはスイッチング素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはスイッチング素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはスイッチング素子Q6のエミッタと接続される。
【0052】
W相アーム125は、電力線HPLと接地線SL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8と、スイッチング素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはスイッチング素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはスイッチング素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはスイッチング素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはスイッチング素子Q8のエミッタと接続される。
【0053】
モータジェネレータMG1は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータと中性点でY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機であり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続される。そして、U相コイルの他方端がスイッチング素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がスイッチング素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がスイッチング素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
【0054】
インバータ121は、MG−ECU300から出力される駆動指令PWI1に従って上記スイッチング素子Q3〜Q8のゲート信号をオンまたはオフさせることによって、コンバータ110から供給される直流電力を所望の交流電力に変換する。
【0055】
インバータ122は、コンバータ110に対してインバータ121と並列的に接続される。
【0056】
インバータ122は駆動輪260を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ110の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ122は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をコンバータ110に出力する。このときコンバータ110は降圧回路として動作するようにMG−ECU300によって制御される。インバータ122の内部の構成は図示しないが、インバータ121と同様であり、詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
平滑コンデンサC1は、コンバータ110の低圧側(すなわち、蓄電装置150側)の電力線PL1と接地線SL1間に接続され、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング時のリプル電圧を吸収する。また、平滑コンデンサC2は、コンバータ110の高圧側(すなわち、インバータ120側)の電力線HPLと接地線SL1間に接続され、コンバータ110およびインバータ120でスイッチング時に発生するリプル電圧を吸収する。
【0058】
電圧センサ170は、平滑コンデンサC1の両端間の電圧VLを検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。また、電圧センサ180は、平滑コンデンサC2の両端間の電圧VH、すなわち、コンバータ110の出力電圧(インバータ120の入力電圧に相当する。)を検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。
【0059】
また、コンバータ110は、昇圧動作によって平滑コンデンサC1の残留電荷の一部を消費し、降圧動作によって平滑コンデンサC2の残留電荷の一部を消費する。
【0060】
DC/DCコンバータ160は、電力線PL1および接地線SL1に接続されて、蓄電装置150またはコンバータ110から供給される直流電力の入力を受ける。そして、DC/DCコンバータ160は、MG−ECU300からの制御信号PWD1,PWD2により制御されて、入力を受けた直流電力を2種類の電圧(たとえば、48Vと14V)に降圧する。そして、DC/DCコンバータ160は、降圧した一方の直流電力を電力線SPL1に出力して、高圧系補機60を駆動するための電源電圧(48V)を供給する。また、DC/DCコンバータ160は、降圧した他方の直流電力を電力線SPL2に出力して、蓄電装置130(12V)を充電するとともに、低圧系補機50を駆動するための電源電圧(14V)を供給する。
【0061】
電流センサ80は、電力線SPL1に設けられ、高圧系補機60へ流れる電流IL1を検出し、その検出値をMG−ECU300に出力する。また、電流センサ80は、電力線SPL2に設けられ、低圧系補機50へ流れる電流IL2を検出し、その検出値をMG−ECU300に出力する。
【0062】
低圧系補機50は、エアバッグなどの乗員保護のための機器、およびABS「Anti-lock Brake System」、電動パワーステアリング(以下、EPS「Electric Power Steering」とも称する。)や電子制御ブレーキ(以下、ECB「Electronically Controlled Brake System」とも称する。)などの乗員による運転操作をサポートする機器が含まれる。これらの機器は、車両衝突時や車両走行中の危険回避のための操作時に、確実に動作する必要がある。
【0063】
そして、低圧系補機50は、DC/DCコンバータ160の電力線SPL2に接続され、電源電圧が供給される。また低圧系補機50は、上記のように各機器の機能が確実に動作することが必要であるため、蓄電装置130が並列に接続されて、蓄電装置130からも電源電圧が供給される。また、MG−ECU300やHV−ECU280などの制御装置の制御用電源も、電力線SPL2から供給される。
【0064】
高圧系補機60は、低圧系補機50と比べて相対的に定格消費電力の大きい機器であり、代表的にはウィンドウや座席などのヒータ負荷が含まれる。高圧系補機60は、DC/DCコンバータ160の電力線SPL1に接続され、電源電圧が供給される。なお、高圧系補機60は、上記のヒータ負荷のほかに、冷却用のファンや車内用エアコンなどの電気機器を含むようにしてもよい。
【0065】
MG−ECU300は、電圧センサ170,180から、平滑コンデンサC1および平滑コンデンサC2のそれぞれの電圧VL,VHの入力を受ける。また、MG−ECU300は、衝突検出部210から、車両100の衝突信号COLの入力を受ける。さらに、MG−ECU300は、電流センサ80,70から、高圧系補機60および低圧系補機50へ流れるそれぞれの電流IL1,IL2の入力を受ける。
【0066】
MG−ECU300は、制御信号PWCによりコンバータ110のスイッチング素子Q1,Q2を制御することによって、コンバータ110に昇圧動作または降圧動作を行なわせる。
【0067】
また、MG−ECU300は、制御信号PWI1,PWI2によって、それぞれインバータ121,122のスイッチング素子を制御することで、コンバータ110から供給された直流電力をインバータ121,122によって交流電力に変換する。
【0068】
さらに、MG−ECU300は、制御信号PWD1,PWD2によりDC/DCコンバータ160を制御することによって、コンバータ110の降圧動作または蓄電装置150によって電力線PL1に供給される直流電力をさらに降圧して、蓄電装置130、低圧系補機50および高圧系補機60へ電源電圧を供給する。
【0069】
また、MG−ECU300は、衝突検出部210からの衝突信号COLによって、車両100の衝突を検出した場合には、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷による電圧をDC/DCコンバータ160で降圧することによって、低圧系補機50およびMG−ECU300に駆動用の電源電圧を供給する。それとともに、MG−ECU300は、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷を速やかに消費させるために、高圧系補機60を作動させる。また、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を制御することによって、平滑コンデンサC1,C2に蓄えられている残留電荷をさらに消費させることもできる。
【0070】
図2は、図1のDC/DCコンバータ160の詳細を説明するための回路図である。
図2を参照して、DC/DCコンバータ160は、電源回路30と、電圧変換回路40とを備える。
【0071】
電源回路30は、蓄電装置150または平滑コンデンサC1に蓄積された電荷から電力を受けて交流電圧を発生するブリッジ回路と、1次側がブリッジ回路から電力を受けるトランスTrと、トランスTrの2次側に生じる交流電圧を整流する整流回路とを含む。
【0072】
ブリッジ回路は、リアクトルL11を介して電力線PL1にコレクタが接続されたスイッチング素子Q11と、スイッチング素子Q11のエミッタにコレクタが接続され、接地線SL1にエミッタが接続されたスイッチング素子Q12と、リアクトルL11を介して電力線PL1にコレクタが接続されたスイッチング素子Q13と、スイッチング素子Q13のエミッタにコレクタが接続され、接地線SL1にエミッタが接続されたスイッチング素子Q14と、リアクトルL11およびスイッチング素子Q11の接続ノードと接地線SL1との間に接続されたコンデンサC11とを含む。また、ブリッジ回路は、スイッチング素子Q11〜Q14の各々に並列に接続されたダイオードD11〜D14をさらに含む。スイッチング素子Q11〜Q14の各ベースは、図1のMG−ECU300によって降圧動作を指示する制御信号PWD1によりスイッチング制御される。
【0073】
トランスTrは、一方端がスイッチング素子Q11,Q12の接続ノードに接続され他方端がスイッチング素子Q13,Q14の接続ノードに接続される1次側コイルL12と、直列接続された2次側コイルL13,L14と、1次側コイルL12と2次側コイルL13,L14とを電磁的に結合する鉄心とを含む。
【0074】
整流回路は、ダイオードD15,D16と、リアクトルL15と、平滑コンデンサC12とを含む。ダイオードD15,D16の各カソードは共にリアクトルL15の一方端と接続される。ダイオードD15のアノードは、2次側コイルL13の一方端に接続される。ダイオードD16のアノードは、2次側コイルL14の一方端に接続される。2次側コイルL13の他方端と2次側コイルL14の他方端は共に接地線SL2に接続される。リアクトルL15の他方端は電力線SPL1に接続される。平滑コンデンサC12は電力線SPL1と接地線SL2との間に接続される。
【0075】
電源回路30は、トランスTrの1次側コイルL12に接続されたスイッチング素子Q11〜Q14のスイッチング動作により蓄電装置150からの直流入力電圧VLを所定の交流電圧に変換し、トランスTrの2次側コイルL13,L14に出力する。このようなスイッチング素子のスイッチング動作によって2次側コイルに出力された交流電圧は、整流回路によって整流された後、平滑コンデンサC12によって平滑化され、直流電圧に変換されて電力線SPL1に出力される。
【0076】
電圧変換回路40は、スイッチング素子Q17,Q18と、ダイオードD17,D18と、リアクトルL17,L18と、平滑コンデンサC13,C14と、電圧センサ41,42とを含む。
【0077】
スイッチング素子Q17,Q18は、電力線SPL1と接地線SL2との間に直列に接続される。そして、スイッチング素子Q17のコレクタは電力線SPL1に接続され、スイッチング素子Q18のエミッタが接地線SL2に接続される。また、各スイッチング素子Q17,Q18のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD17,D18がそれぞれ接続される。
【0078】
リアクトルL17の一方端はスイッチング素子Q17のコレクタに接続され、他方端は電力線SPL1に接続される。リアクトルL18の一方端はスイッチング素子Q17とスイッチング素子Q18との接続ノードに接続され、他方端は電力線SPL2に接続される。スイッチング素子Q17,Q18の各ベースは、図1のMG−ECU300からの制御信号PWD2によりスイッチング制御される。
【0079】
平滑コンデンサC13は、電力線SPL1と接地線SL2との間に接続される。平滑コンデンサC14は、電力線SPL2と接地線SL2との間に接続される。
【0080】
電圧センサ41は、平滑コンデンサC13の両端間の電圧VOUT1を検出し、その検出した電圧VOUT1をMG−ECU300へ出力する。また、電圧センサ42は、平滑コンデンサC14の両端間の電圧VOUT2を検出し、その検出した電圧VOUT2をMG−ECU300へ出力する。
【0081】
電圧変換回路40は、MG−ECU300からの制御信号PWD2により制御され、電源回路30から出力された直流電圧VOUT1を電圧VOUT2に降圧して電力線SPL2に供給する。
【0082】
より具体的には、電圧変換回路40は、MG−ECU300からの制御信号PWD2に基づいて、スイッチング素子Q17,Q18を所定のデューティ比で相補的に交互にオン/オフさせる。ここで、デューティ比とは、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング周期における、スイッチング素子Q17のオン期間の比率である。
【0083】
スイッチング素子Q17のオン期間においては、電力線SPL1からスイッチング素子Q17、リアクトルL18および電力線SPL2を経由して充電電流が蓄電装置130へ流れる。続いて、スイッチング素子Q17がオン状態からオフ状態に遷移すると、リアクトルL18の電流変化を妨げるように磁束が発生するので、充電電流は、ダイオードD18、リアクトルL18および電力線SPL2を順に介して流れ続ける。一方で、電気エネルギ的に見ると、電力線SPL1および接地線SL2を介して直流電力が供給されるのはスイッチング素子Q17のオン期間だけであるので、充電電流が一定に保たれるとすると、電圧変換回路40から蓄電装置130へ供給される直流電力の平均電圧は、電力線SPL1および接地線SL2間の直流電圧VOUT1にデューティ比を乗じた値となる。
【0084】
平滑コンデンサC14は、電力線SPL2に出力された直流電圧を平滑化し、平滑化した直流電圧VOUT2を蓄電装置130および低圧系補機50へ供給する。
【0085】
このように本実施の形態に係る電圧変換回路40は、電源回路30から受けた直流電圧VOUT1を出力するとともに、直流電圧VOUT1を降圧して直流電圧VOUT2を出力することができる。このように2系統の出力が可能なDC/DCコンバータ160を備えることによって、以下に説明するように、車両100の衝突が発生したような場合に、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電するとともに、残留電荷の放電に伴ってDC/DCコンバータ160の入力電源電圧が低下した場合でも、低圧系補機50に対して安定した電源電圧の供給が可能となる。
【0086】
図3は、比較例として1出力型のDC/DCコンバータ160Aを備える場合の問題点を説明するための図である。
【0087】
図3を参照して、DC/DCコンバータ160Aは、蓄電装置150または平滑コンデンサC1から受ける直流電圧を降圧することによって、図2で説明したDC/DCコンバータ160の直流電圧VOUT2に相当する電圧VOUT12(たとえば14V)を出力する。そして、DC/DCコンバータ160Aの出力電源線に、蓄電装置130および低圧系補機50が接続される。
【0088】
図4は、図3の構成におけるDC/DCコンバータ160Aの入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。図4の横軸および縦軸には、DC/DCコンバータ160Aの入力電圧および出力電圧がそれぞれ示される。
【0089】
図3および図4を参照して、車両100の衝突が発生し、平滑コンデンサC1の残留電荷を放電する場合を考える。平滑コンデンサC1の電圧VLが、DC/DCコンバータ160Aが安定して電圧変換可能な定格入力電圧の範囲(図4中の領域R1)においては、DC/DCコンバータ160Aから所定の電圧(たとえば14V)が安定的に出力される。この出力電圧VOUT12により、蓄電装置130が充電されるとともに低圧系補機50に電源電圧が供給される。
【0090】
しかし、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電が進んで入力電圧VLが低下し、DC/DCコンバータ160Aの定格入力電圧より低くなると(図4中の領域R2)、出力電圧VOUT12が徐々に低下する。そして、蓄電装置130の出力電圧VB2(たとえば12V)よりも低くなると(図4中の点P1)、図3の矢印AR1のように低圧系補機50には蓄電装置130から電源電圧が供給される。その結果、図4中の点P1に達した以降は、平滑コンデンサC1の残留電荷を効率的に放電することができなくなるため、目標放電電圧Vthまで平滑コンデンサC1の電圧を低下させることができなくなる。
【0091】
なお、平滑コンデンサC1の残留電荷をさらに放電することによって低圧系補機50に電源電圧を供給することが可能であった場合でも、出力電圧VOUT12が、MG−ECU300を駆動可能な電圧よりも低下すると(図4中の点P2)、DC/DCコンバータ160A、コンバータ110およびインバータ120などの制御を行なうことができなくなる。そうすると、それ以降は平滑コンデンサC1の残留電荷を放電することができなくなり、低圧系補機50を駆動することもできなくなってしまう。
【0092】
また、車両100の衝突が発生した場合は、エアバッグやEPCなどの低圧系補機50に含まれる機器が同時に動作することによって、短時間に多くの電力が消費される。このような場合でも、蓄電装置130からの電力によって急激な電圧変動をある程度は吸収できるが、蓄電装置130の電圧VB2が低下してしまうような場合には、低圧系補機50を安定的に駆動することができなくなる場合が起こりうる。
【0093】
さらに、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電を速やかに行なうために、図1の高圧系補機60のような消費電力の大きい機器を、低圧系補機50に並列に接続することも可能であるが、このような構成とすると、これらの機器による電力消費によってDC/DCコンバータ160Aの出力電圧VOUT12の電圧降下が発生する場合がある。そうすると、低圧系補機50を安定的に駆動することができなくなる場合が起こりうる。
【0094】
次に、図5および図6により、実施の形態1の場合について説明する。
図5は、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の機能を説明するための図である。また、図6は、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の入力電圧と出力電圧との関係を示す図である。
【0095】
図5および図6を参照して、図3および図4の説明と同様に、車両100の衝突が発生し、平滑コンデンサC1の残留電荷を放電する場合を考える。DC/DCコンバータ160は、図2で説明したように、平滑コンデンサC1の残留電荷による電力を受けて、電力線SPL1により高圧系補機60へ電源電圧VOUT1(たとえば48V)を供給するとともに、電力線SPL2により低圧系補機50および蓄電装置130へ電源電圧VOUT2(たとえば14V)を供給する。
【0096】
平滑コンデンサC1の電圧VLが、DC/DCコンバータ160の電源回路30(図2)で変換可能な定格入力電圧の範囲(図6中の領域R11)においては、出力電圧VOUT1およびVOUT2とも所定の電圧(たとえば48Vおよび14V)が安定的に出力される。そして、平滑コンデンサC1の残留電荷の放電が進んで入力電圧VLが低下し、DC/DCコンバータ160の電源回路30(図2)で変換可能な定格入力電圧より低くなると(図6中の領域R12)、出力電圧VOUT1の電圧が徐々に低下する(図6中の波形W10)。このとき、出力電圧VOUT2については、出力電圧VOUT1が出力電圧VOUT2よりも低くならなければ、継続して所定の電圧を出力することができる(図6中の波形W20)。
【0097】
また、出力電圧VOUT1の電圧がさらに低下して、出力電圧VOUT2の電圧が蓄電装置130の出力電圧VB2より低下した場合には、蓄電装置130から電源電圧が供給される(図6中の波形W30)。実施の形態1では、このように蓄電装置130からの電源電圧によって低圧系補機50が駆動される場合であっても、平滑コンデンサC1の残留電荷を高圧系補機60によって継続して消費させることができる。その結果、目標放電電圧Vthまで平滑コンデンサC1の電圧を低下させることが可能となる。
【0098】
このように、実施の形態1に従う2系統出力のDC/DCコンバータ160を用い、主に平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費するための補機(高圧系補機60)と、車両100の衝突時に乗員の保護や乗員の運転操作をサポートするために駆動すべき機器を含む補機(低圧系補機50)の電源系統を分離する。これによって、車両100の衝突が発生した場合に、低圧系補機50に供給する電源電圧を安定的に確保しつつ、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2に蓄積された残留電荷を高圧系補機60によって速やかに放電することができる。
【0099】
なお、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電については、コンバータ110の昇圧動作および降圧動作を繰り返し実行したり、インバータ120によってモータジェネレータMG1,MG2に磁束分電流(d軸電流)のみを流したりすることによっても実現できる。この場合であっても、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ160を用いることにより、MG−ECU300への制御電源電圧を安定的に確保することができる。
【0100】
図7は、車両100の衝突が発生した場合の、実施の形態1における、DC/DCコンバータ160の動作を説明するためのタイムチャートである。図7の横軸には時間が示され、縦軸には、衝突信号COL、放電モードの状態、平滑コンデンサC1の電圧VL、高圧系出力電圧VOUT1および低圧系出力電圧VOUT2の状態が示される。
【0101】
図7を参照して、時刻t1において、車両100の衝突が発生し、衝突検出部210によって衝突したことが検出されると、MG−ECU300は平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電モードをオン状態とする。
【0102】
このとき、MG−ECU300は、制御信号PWD2によってDC/DCコンバータ160の電圧変換回路40を制御して、低圧系出力電圧VOUT2を少し増加させる(たとえば+1V)。このように低圧系出力電圧VOUT2を少し増加させるのは、低圧系補機50へ供給する電源電圧のマージンを確保することにより、低圧系補機50を確実に動作させるとともに、蓄電装置130に強制的に充電を行なわせることによって、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を促進させるためである。なお、この低圧系出力電圧VOUT2を増加させることは必須の構成ではない。
【0103】
そして、時刻t2においてリレーSR1,SR2(図1)が開放されたことが確認されると、MG−ECU300は、高圧系補機60を起動して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を開始する。なお、コンバータ110および/またはインバータ120を併せて駆動させてもよい。これにより、平滑コンデンサC1の電圧VLが低下し始める。
【0104】
その後、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が進み、時刻t3において、高圧系出力電圧VOUT1が低下し始めるが、低圧系出力電圧VOUT2については、引き続き安定した電源電圧が出力される。
【0105】
そして、時刻t4において、平滑コンデンサC1の電圧VLが目標放電電圧Vthとなったところで、放電モードがオフにされ、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が終了する。これによって、DC/DCコンバータ160の制御も停止するので、出力電圧VOUT1およびVOUT2はゼロとなる。
【0106】
図8は、実施の形態1における、MG−ECU300で実行される平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。図8および後述する図10で説明される機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、MG−ECU300によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0107】
図1および図8を参照して、MG−ECU300は、放電制御部310と、DC/DCコンバータ制御部320と、コンバータ制御部330と、インバータ制御部340と、補機駆動部350とを含む。
【0108】
放電制御部310は、衝突検出部210からの衝突信号COL、HV−ECU280からのリレー制御指令SE、および電圧センサ170からの電圧VLの入力を受ける。
【0109】
放電制御部310は、衝突信号COLによって車両100の衝突が発生したことを検出し、さらにリレー制御指令SEによって、リレーSR1,SR2が開放されたことを検出すると、DC/DCコンバータ制御部320、コンバータ制御部330、インバータ制御部340、および補機駆動部350に対して、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を実行するように放電モード信号DCHをオンに設定して出力する。
【0110】
そして、放電制御部310は、平滑コンデンサC1の電圧VLが、予め設定された目標放電電圧Vthになるまで、放電モード信号DCHをオンの状態として、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を継続する。放電制御部310は、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低くなると、放電が完了したと認識して、放電モード信号DCHをオフとしてDC/DCコンバータ制御部320等に出力することによって、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御を終了する。なお、放電完了の判定については、平滑コンデンサC2の電圧VHによって行ってもよい。
【0111】
DC/DCコンバータ制御部320は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。DC/DCコンバータ制御部320は、DC/DCコンバータ160に入力される入力電圧VLを所定の出力電圧VOUT1,VOUT2として出力するように、DC/DCコンバータ160内のスイッチング素子の制御信号PWD1,PWD2を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。
【0112】
また、DC/DCコンバータ制御部320は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、出力電圧VOUT2の電圧を増加するように制御信号PWD2を生成する。
【0113】
コンバータ制御部330は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、コンバータ制御部330は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧してDC/DCコンバータ160に供給するように、制御信号PWCを生成してコンバータ110に出力する。
【0114】
また、コンバータ制御部330は、コンバータ110の昇圧動作および降圧動作を交互に繰り返すことによってリアクトルL1の導通損やスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング損失を利用して平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電する場合には、上記の昇圧動作および降圧動作を行なうように制御信号PWCを生成してコンバータ110に出力する。
【0115】
インバータ制御部340は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、インバータ制御部340は、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷をモータジェネレータMG1,MG2を駆動することによって消費させる場合には、放電モード信号DCHがオンに設定されると、インバータ120を動作させるように制御信号PWI1,PWI2を生成してインバータ120に出力する。
【0116】
補機駆動部350は、放電制御部310からの放電モード信号DCHの入力を受ける。そして、補機駆動部350は、放電モード信号DCHがオンに設定されると、高圧系補機60によって平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を消費するために、ヒータなどの高圧系補機60を駆動するための駆動指令DRVを生成して、高圧系補機60に含まれる各機器へ出力する。
【0117】
図9は、実施の形態1における、MG−ECU300で実行される平滑コンデンサC1,C2の残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図9および後述する図11に示されるフローチャート中の各ステップについては、MG−ECU300に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
【0118】
図8および図9を参照して、MG−ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)400にて、衝突検出部210によって検出された衝突信号COLに基づいて、車両100に衝突が発生したか否かを判定する。なお、S400においては、MG−ECU300は、衝突信号COLがオンの状態である場合だけでなく、衝突信号COLがオフとなっても、図8における放電モード信号DCHがオンの状態である場合には、衝突が発生したものと判定する。
【0119】
車両100に衝突が発生した場合(S400にてYES)は、次にS410に処理が進められ、MG−ECU300は、HV−ECU280からのリレー制御信号SEによって、リレーSR1,SR2の接点が開放されたか否かを判定する。
【0120】
リレーSR1,SR2の接点が開放された場合(S410にてYES)は、MG−ECU300は、S420にて、PCU200に含まれるコンバータ110、DC/DCコンバータ160およびインバータ120(以下、総括して「電力変換機器」とも称する。)の「低電圧保護機能」を無効とする。
【0121】
ここで、「低電圧保護機能」とは、これらの電力変換機器への入力電圧が所定の基準電圧以下に低下すると、電力変換機器の動作を停止するように、電力変換機器に一般的に設けられる保護機能である。しかし、本実施の形態のように、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電する際には、放電動作が進むにしたがって残留電荷が消費されるために、平滑コンデンサC1,C2の電圧(すなわち、電力変換機器の入力電圧)が徐々に低下する。そのため、この「低電圧保護機能」が有効であると、入力電圧が所定の基準電圧以下となった時点で「低電圧保護機能」が動作することによって電力変換動作が行なわれなくなるので、それ以降は平滑コンデンサC1,C2の残留電荷が消費されなくなる。したがって、実施の形態においては、MG−ECU300は、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を所望のレベルまで消費できるように、「低電圧保護機能」を無効とする。
【0122】
次に、MG−ECU300は、S430にて、DC/DCコンバータ160の低圧側の出力電圧VOUT2の電圧を、たとえば+1V程度増加させる。
【0123】
そして、MG−ECU300は、S440にて、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電させるために、駆動指令DRVを出力して高圧系補機60を駆動する。また、これにともない、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧するために、MG−ECU300は、降圧動作を行なうような制御指令PWCを生成してコンバータ110出力する。
【0124】
なお、高圧系補機60に加えて、コンバータ110または/およびインバータ120を駆動することによる平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を行なう場合には、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を駆動するための制御指令PWC,PWI1,PWI2を生成して出力する。
【0125】
その後、MG−ECU300は、S450にて、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低下したか否か、すなわち平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了したか否かを判定する。
【0126】
平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了していない場合(S450にてNO)は、処理がメインルーチンに戻されて、放電制御が継続される。
【0127】
一方、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了した場合(S450にてYES)は、MG−ECU300は、S460にて、駆動指令DRVおよび制御信号PWC,PWI1,PWI2の出力を停止して、高圧系補機60、コンバータ110およびインバータ120の駆動を停止させる。これにより、残留電荷放電制御が終了する。
【0128】
そして、MG−ECU300は、S470にて、制御指令PWD1,PWD2の出力を停止することによって、DC/DCコンバータ160を停止させる。
【0129】
なお、衝突が発生していない場合(S400にてNO)、およびリレーSR1,SR2の接点が開放されていない場合(S410にてNO)は、残留電荷放電制御は実行されないので、メインルーチンに処理が戻される。
【0130】
以上の説明のように、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備えた車両用の電力変換装置(PCU)200において、上述のような処理に従って制御することによって、低圧系補機50および高圧系補機60にそれぞれ別系統の電源電圧を供給することができる。そして、車両100の衝突が発生した場合に、PCU200内の平滑コンデンサC1,C2の残留電荷をDC/DCコンバータ160で降圧して、一方の電圧出力系統によって衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50およびMG−ECU300に電源電圧を供給するとともに、他方の電圧出力系統によって高圧系補機60を駆動することで平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電することができる。これによって、車両100の衝突が発生した場合に、衝突時に駆動すべき機器に電源電圧を安定的に供給しつつ、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を速やかに放電することができる。
【0131】
[実施の形態2]
実施の形態1では、2系統の電圧出力を有するDC/DCコンバータ160を備え、車両100の衝突発生時に、ABS、EPSなど衝突時に駆動すべき機器を含む低圧系補機50や制御装置へ供給する電源電圧の系統と、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を主に放電する高圧系補機60への電源電圧の系統を分割する構成について説明した。
【0132】
このような構成は、車両100の衝突発生時の残留電荷を放電する場合には必要な構成となるが、衝突発生時以外の通常の車両走行時においては必ずしも必須ではなく、特に高圧系補機60および低圧系補機50による負荷が小さい場合には、電圧変換回路40におけるスイッチング素子Q17,Q18のスイッチング損失が問題となる。
【0133】
そこで、実施の形態2においては、実施の形態1の残留電荷放電制御に加えて、通常走行時におけるDC/DCコンバータ160のスイッチング損失低減による効率(燃費)向上を行なう構成について説明する。
【0134】
たとえば、図2において、高圧系補機60が駆動されていない場合を考えると、電源回路30の出力電圧(たとえば48V)を、電圧変換回路40で降圧(たとえば14V)しなくとも、電源回路30のスイッチング動作を変更することによって直接低圧系補機50用の電圧(たとえば14V)とすることも可能である。この場合、スイッチング素子Q17をデューティ比1.0で制御する(すなわち、スイッチング素子Q17をオン状態に固定するとともにスイッチング素子Q18をオフ状態に固定する)ことで、電力線SPL2に所定の電源電圧を供給することができる。これにより、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング動作が不要となるので、スイッチング損失を低減することができる。
【0135】
また、高圧系補機60が駆動されている場合においても、たとえば高圧系補機60にヒータの出力を低減させるヒータパワーセーブ機能などが付加されたものであれば、電源電圧を低下させても高圧系補機60を駆動できる場合がある。このような場合においても、高圧系補機60を低圧系補機50と同じ電源電圧で駆動させるようにすることで、上記の高圧系補機60が駆動されていない場合と同様に、スイッチング素子Q17,Q18のスイッチング損失を低減させることができる。
【0136】
図10は、実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御を説明するための機能ブロック図である。図10は、実施の形態1で説明した図8の機能ブロック図におけるDC/DCコンバータ制御部320がDC/DCコンバータ制御部320Aに置き換わっており、さらに通常走行時の損失低減機能の実施要否を判定するための判定部360が追加されたものとなっている。図10において、図8と重複する機能ブロックについての説明は繰り返さない。
【0137】
図2および図10を参照して、判定部360は、電圧センサ41,42によって検出される電力線SPL1,SPL2のぞれぞれの電圧VOUT1,VOUT2の入力を受ける。また、判定部360は、電流センサ80,70によって検出される電力線SPL1,SPL2を流れる電流IL1,IL2の入力を受ける。さらに、判定部360は、衝突検出部210(図1)からの衝突信号COL、およびDC/DCコンバータ制御部320Aからのスイッチング素子Q17のデューティ比DUTYの入力を受ける。
【0138】
判定部360は、これらの情報に基づいて、電源回路30の出力電圧を高圧(たとえば48V)とするか低圧(たとえば14V)とするかを判定する。そして、電圧選択信号VSELをDC/DCコンバータ制御部320Aに出力する。具体的には、電源回路30の出力電圧を高圧に設定する場合は、電圧選択信号VSELをオンに設定し、電源回路30の出力電圧を低圧に設定する場合は、電圧選択信号VSELをオフに設定する。
【0139】
また、判定部360は、上記の情報に基づいて、スイッチング素子Q17をオン固定に選択するか否かを判定する。そして、選択信号QSELをDC/DCコンバータ制御部320Aに出力する。具体的には、スイッチング素子Q17をオン固定に選択する場合は、選択信号QSELをオンに設定し、スイッチング素子Q17をオン固定としない場合(すなわち、デューティ比に従ってオン・オフ制御をする場合)は、選択信号QSELをオフに設定する。
【0140】
DC/DCコンバータ制御部320Aは、放電制御部310からの放電モード信号DCH、判定部360からの電圧選択信号VSELおよび選択信号QSELの入力を受ける。そして、DC/DCコンバータ制御部320Aは、電圧選択信号VSELおよび選択信号QSELに従って、電源回路30および電圧変換回路40を制御するための制御信号PWD1,PWD2をそれぞれ生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。また、DC/DCコンバータ制御部320Aは、スイッチング素子Q17のデューティ比DUTYを、判定部360へ出力する。
【0141】
図11は、実施の形態2における、通常走行時の損失低減機能を付加した残留電荷放電制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0142】
図10および図11を参照して、MG−ECU300は、S500にて、衝突検出部210によって検出された衝突信号COLに基づいて、車両100に衝突が発生したか否かを判定する。なお、S500においては、MG−ECU300は、衝突信号COLがオンの状態である場合だけでなく、衝突信号COLがオフとなっても、図10における放電モード信号DCHがオンの状態である場合には、衝突が発生したものと判定する。
【0143】
車両100に衝突が発生した場合(S500にてYES)は、次にS510に処理が進められ、MG−ECU300は、低圧系出力電圧VOUT2の過電圧を防止するために、電源回路30の出力電圧の電圧切替の前に、電圧変換回路40のスイッチング素子Q17のオン固定状態を解除する。その後、MG−ECU300は、S520にて、電源回路30の出力電圧を高圧に切替える。
【0144】
そして、MG−ECU300は、S530にて、HV−ECU280からのリレー制御信号SEによって、リレーSR1,SR2の接点が開放されたか否かを判定する。
【0145】
リレーSR1,SR2の接点が開放された場合(S530にてYES)は、次にS540に処理が進められ、MG−ECU300は、電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHLより高いか否かを判定する。
【0146】
電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHLより高い場合(S540にてYES)は、MG−ECU300は、S550にて、電力変換機器の「低電圧保護機能」を無効とする。
【0147】
次に、MG−ECU300は、S560にて、DC/DCコンバータ160の低圧側の出力電圧VOUT2の電圧を、たとえば+1V程度増加させる。
【0148】
そして、MG−ECU300は、S570にて、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電させるために、駆動指令DRVを出力して高圧系補機60を駆動する。また、これにともない、平滑コンデンサC2の残留電荷による電力を降圧するために、MG−ECU300は、降圧動作を行なうような制御指令PWCを生成してコンバータ110出力する。
【0149】
なお、高圧系補機60に加えて、コンバータ110または/およびインバータ120を駆動することによる平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を行なう場合には、MG−ECU300は、コンバータ110およびインバータ120を駆動するための制御指令PWC,PWI1,PWI2を生成して出力する。
【0150】
その後、MG−ECU300は、S580にて、平滑コンデンサC1の電圧VLが、目標放電電圧Vthより低下したか否か、すなわち平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了したか否かを判定する。
【0151】
平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了していない場合(S580にてNO)は、処理がメインルーチンに戻されて、放電制御が継続される。
【0152】
一方、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電が完了した場合(S580にてYES)は、MG−ECU300は、S590にて、駆動指令DRVおよび制御信号PWC,PWI1,PWI2の出力を停止して、高圧系補機60、コンバータ110およびインバータ120の駆動を停止させる。これにより、残留電荷放電制御が終了する。
【0153】
そして、MG−ECU300は、S600にて、制御指令PWD1,PWD2の出力を停止することによって、DC/DCコンバータ160を停止させる。
【0154】
一方、電源回路30の出力電圧VOUT1が基準値VHL以下の場合(S540にてNO)は、まだ高圧系の電源電圧が十分に昇圧されていないので、S541に処理を進めて、出力電圧VOUT1が上昇するのを待つためのタイマーのカウントを開始する。
【0155】
そして、MG−ECU300は、S542にて、タイマーがカウントアップしたか否かを判定する。
【0156】
タイマーがカウントアップしていない場合(S542にてNO)は、メインルーチンに処理が戻され、MG−ECU300は、タイマーがカウントアップするのを待つ。
【0157】
一方、タイマーがカウントアップした場合(S542にてYES)は、MG−ECU300は、S550に処理を進める。この場合には、まだ出力電圧VOUT1が基準値VHLに達していない可能性もあるが、衝突時には早期に平滑コンデンサC1,C2の放電が必要となるので、MG−ECU300は、所定のタイマー時間だけ出力電圧VOUT1が上昇するのを待った後は、出力電圧VOUT1が基準値VHL以下であってもS550以降の放電処理を実行する。なお、高圧系補機60の負荷は、代表的にはヒータのような抵抗体であるため、出力電圧VOUT1が基準値VHL以下であったとしても、印加電圧に応じた電流が流れるので過電流となることはない。
【0158】
なお、リレーSR1,SR2の接点が開放されていない場合(S540にてNO)は、残留電荷放電制御は実行されないので、メインルーチンに処理が戻される。
【0159】
一方、衝突が発生していない場合、すなわち通常走行状態の場合(S500にてNO)は、次にS610に処理が進められ、MG−ECU300は、高圧系補機60の負荷が小さいか否かを判定する。
【0160】
具体的には、MG−ECU300は、電圧センサ41からの電圧VOUT1および電流センサからの電流IL1より高圧系補機60の消費電力を算出し、この消費電力が基準値より小さいか否かによって判定する。また、電流IL1によって判定してもよい。
【0161】
高圧系補機60の負荷が小さい場合(S610にてYES)は、次にS620にて、MG−ECU300は、低圧系補機50の負荷が小さいか否かを判定する。
【0162】
具体的には、MG−ECU300は、電圧センサ42からの電圧VOUT2および電流センサからの電流IL2より低圧系補機50の消費電力を算出し、高圧系補機60および低圧系補機50で消費される電力が、低圧系の電源電圧でまかなえるか否かを判定する。また、電流IL2によって判定してもよい。
【0163】
そして、低圧系補機50の負荷が小さく、高圧系補機60および低圧系補機50で消費される電力が低圧系の電源電圧でまかなえる場合(S620にてYES)は、MG−ECU300は、S630にて、電源回路30の出力電圧を低圧に切替えるように制御信号PWD1を生成してDC/DCコンバータ160に出力する。
【0164】
次に、MG−ECU300は、S640にて、電圧変換回路40のスイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きいか否か、すなわち電源回路30の出力電圧VOUT1が低圧系の出力電圧VOUT2に近づいており、スイッチング素子Q17をオン固定としても低圧系補機50および蓄電装置130が過電圧とならないか否かを判定する。なお、S640の判定は、出力電圧VOUT1およびVOUT2を比較することによって行なってもよい。
【0165】
スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きい場合(S640にてYES)は、MG−ECU300は、S650にて、スイッチング素子Q17をオン固定に設定する。そして、処理がメインルーチンに戻される。
【0166】
一方、スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIM以下の場合(S640にてNO)は、スイッチング素子Q17をまだオン固定にできないので、メインルーチンに処理が戻され、MG−ECU300は、スイッチング素子Q17のデューティDUTYが基準値DLIMより大きくなるまで待つ。
【0167】
また、高圧系補機60の負荷が大きい場合(S610にてNO)、または低圧系補機50の負荷が大きい場合(S620にてNO)は、いずれも電源回路30の出力電圧を低圧とできないので、MG−ECU300は、S660にてスイッチング素子Q17のオン固定状態を解除するように制御信号PWD2を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。そして、S670にて電源回路30の出力電圧を高圧に切替えるように制御信号PWD1を生成して、DC/DCコンバータ160に出力する。その後、メインルーチンに処理が戻される。
【0168】
なお、図示しないが、ステップS590にて放電制御が停止されると、MG−ECU300は、S550で無効に設定した低電圧保護機能を有効に戻す。
【0169】
以上のような処理に従って制御することによって、通常走行時において、高圧系補機60および低圧系補機50がいずれも低負荷の場合には、電源回路30の出力電圧を低下させて、電圧変換回路40のスイッチング損失を低減することによって、DC/DCコンバータ160の効率を向上させることができる。また、低圧系補機50または高圧系補機60の負荷が増加した場合、または車両100の衝突が発生した場合には、電源回路30の出力電圧を高圧に切替えることができる。さらに、車両100の衝突が発生した場合には、実施の形態1と同様に、低圧系補機50の電源電圧を確保しながら、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷の放電を速やかに行なうことができる。
【0170】
本実施の形態における蓄電装置150および130は、それぞれ本発明における「第1の蓄電装置」および「第2の蓄電装置」の一例である。また、本実施の形態における高圧系補機60および低圧系補機50は、それぞれ本発明における「第1の負荷」および「第2の負荷」の一例である。
【0171】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0172】
30 電源回路、40 電圧変換回路、41,42,170,180 電圧センサ、50 低圧系補機、60 高圧系補機、80,70 電流センサ、100 車両、110 コンバータ、115 電力変換部、120,121,122 インバータ、123 U相アーム、124 V相アーム、125 W相アーム、130,150 蓄電装置、160,160A DC/DCコンバータ、200 PCU、210 衝突検出部、220 エンジン、250 動力分割機構、260 駆動輪、270 駆動部、280 HV−ECU、300 MG−ECU、310 放電制御部、320,320A DC/DCコンバータ制御部、330 コンバータ制御部、340 インバータ制御部、350 補機駆動部、360 判定部、C1,C2,C11〜C14 平滑コンデンサ、CPL 制御電源線、D1〜D8,D11〜D18 ダイオード、F1 ヒューズ、HPL,PL1,SPL1,SPL2 電力線、L1,L11,L15,L17,L18 リアクトル、L12〜L14 コイル、MG1,MG2 モータジェネレータ、Q1〜Q8,Q11〜Q14,Q17,Q18 スイッチング素子、SL1,SL2 接地線、SR1,SR2 リレー、Tr トランス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の電力変換装置であって、
前記車両は、
前記電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、
前記車両の衝突を検出するための衝突検出部と、
前記第1の蓄電装置から前記電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、前記衝突検出部によって前記車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを含み、
前記電力変換装置は、
コンデンサと、
前記車両の衝突が検出され、かつ前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを備え、
前記DC/DCコンバータは、
前記コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、
前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含み、
前記車両は、
前記第1の電力線に接続され、前記車両の衝突が発生したときに、前記コンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、
前記第2の電力線に接続され、前記車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、
前記第2の負荷と並列に接続され、前記第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに含む、車両用の電力変換装置。
【請求項2】
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記電源回路は、出力電圧を可変に設定可能であり、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷への出力電力が小さい場合には、前記電源回路から出力される前記第1の電圧を低下するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項3】
前記電圧変換回路は、
前記第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の接続ノードと前記第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷および前記第2の負荷の出力電力が前記第2の電圧で供給可能である場合は、前記第1の電圧を前記第2の電圧まで低下させるとともに、前記第1のスイッチング素子がオン状態を継続するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項2に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項4】
前記DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有し、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記低電圧保護機能を無効とするように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項5】
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記第2の電圧を、前記車両の衝突が検出される前よりも上昇させるように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の蓄電装置から前記リレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、
前記電力変換部を制御するための制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出され、前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの残留電荷を消費するように前記電力変換部を制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項7】
前記電力変換部は、
第1の蓄電装置から供給される直流電力の電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、
前記コンバータの直流電力を交流電力に変換するためのインバータとを含み、
前記コンデンサは、
前記コンバータの前記第1の蓄電装置側に接続された第1のコンデンサと、
前記コンバータの前記インバータ側に接続された第2のコンデンサとを含み、
前記コンバータは、昇圧動作および降圧動作の双方が可能であり、前記昇圧動作に伴って前記第1のコンデンサの残留電荷の一部を消費し、前記降圧動作に伴って前記第2のコンデンサの残留電荷の一部を消費する、請求項6に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記昇圧動作および前記降圧動作を交互に繰り返すように、前記コンバータを制御する、請求項7に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項9】
車両であって、
電力変換装置と、
前記電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、
前記車両の衝突を検出するための衝突検出部と、
前記第1の蓄電装置から前記電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、前記衝突検出部によって前記車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを備え、
前記電力変換装置は、
コンデンサと、
前記車両の衝突が検出され、かつ前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを含み、
前記DC/DCコンバータは、
前記コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、
前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含み、
前記車両は、
前記第1の電力線に接続され、前記車両の衝突が発生したときに、前記コンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、
前記第2の電力線に接続され、前記車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、
前記第2の負荷と並列に接続され、前記第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに備える、車両。
【請求項10】
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記電源回路は、出力電圧を可変に設定可能であり、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷への出力電力が小さい場合には、前記電源回路から出力される前記第1の電圧を低下するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記電圧変換回路は、
前記第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の接続ノードと前記第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含み、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷および前記第2の負荷の出力電力が前記第2の電圧で供給可能である場合は、前記第1の電圧を前記第2の電圧まで低下させるとともに、前記第1のスイッチング素子がオン状態を継続するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有し、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記低電圧保護機能を無効とするように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項13】
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記第2の電圧を、前記車両の衝突が検出される前よりも上昇させるように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項14】
前記電力変換装置は、
前記第1の蓄電装置から前記リレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、
前記電力変換部を制御するための制御装置とをさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出され、前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの残留電荷を消費するように前記電力変換部を制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項1】
車両用の電力変換装置であって、
前記車両は、
前記電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、
前記車両の衝突を検出するための衝突検出部と、
前記第1の蓄電装置から前記電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、前記衝突検出部によって前記車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを含み、
前記電力変換装置は、
コンデンサと、
前記車両の衝突が検出され、かつ前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを備え、
前記DC/DCコンバータは、
前記コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、
前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含み、
前記車両は、
前記第1の電力線に接続され、前記車両の衝突が発生したときに、前記コンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、
前記第2の電力線に接続され、前記車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、
前記第2の負荷と並列に接続され、前記第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに含む、車両用の電力変換装置。
【請求項2】
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記電源回路は、出力電圧を可変に設定可能であり、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷への出力電力が小さい場合には、前記電源回路から出力される前記第1の電圧を低下するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項3】
前記電圧変換回路は、
前記第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の接続ノードと前記第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷および前記第2の負荷の出力電力が前記第2の電圧で供給可能である場合は、前記第1の電圧を前記第2の電圧まで低下させるとともに、前記第1のスイッチング素子がオン状態を継続するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項2に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項4】
前記DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有し、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記低電圧保護機能を無効とするように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項5】
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記第2の電圧を、前記車両の衝突が検出される前よりも上昇させるように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の蓄電装置から前記リレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、
前記電力変換部を制御するための制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出され、前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの残留電荷を消費するように前記電力変換部を制御する、請求項1に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項7】
前記電力変換部は、
第1の蓄電装置から供給される直流電力の電圧変換を行なうように構成されたコンバータと、
前記コンバータの直流電力を交流電力に変換するためのインバータとを含み、
前記コンデンサは、
前記コンバータの前記第1の蓄電装置側に接続された第1のコンデンサと、
前記コンバータの前記インバータ側に接続された第2のコンデンサとを含み、
前記コンバータは、昇圧動作および降圧動作の双方が可能であり、前記昇圧動作に伴って前記第1のコンデンサの残留電荷の一部を消費し、前記降圧動作に伴って前記第2のコンデンサの残留電荷の一部を消費する、請求項6に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記昇圧動作および前記降圧動作を交互に繰り返すように、前記コンバータを制御する、請求項7に記載の車両用の電力変換装置。
【請求項9】
車両であって、
電力変換装置と、
前記電力変換装置へ直流電力を供給するように構成された第1の蓄電装置と、
前記車両の衝突を検出するための衝突検出部と、
前記第1の蓄電装置から前記電力変換装置への直流電力の供給と遮断との切替えが可能であり、前記衝突検出部によって前記車両の衝突が検出されたときに遮断されるリレーとを備え、
前記電力変換装置は、
コンデンサと、
前記車両の衝突が検出され、かつ前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの電圧を降圧するように構成されたDC/DCコンバータとを含み、
前記DC/DCコンバータは、
前記コンデンサの電圧を降圧した第1の電圧を第1の電力線に出力するように構成された電源回路と、
前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を第2の電力線に出力するように構成された電圧変換回路とを含み、
前記車両は、
前記第1の電力線に接続され、前記車両の衝突が発生したときに、前記コンデンサの残留電荷を消費するように駆動される第1の負荷と、
前記第2の電力線に接続され、前記車両の衝突直後に駆動すべき第2の負荷と、
前記第2の負荷と並列に接続され、前記第2の電圧を受けて充電される第2の蓄電装置とをさらに備える、車両。
【請求項10】
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記電源回路は、出力電圧を可変に設定可能であり、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷への出力電力が小さい場合には、前記電源回路から出力される前記第1の電圧を低下するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記電圧変換回路は、
前記第1の電力線と接地線との間に直列に接続された第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の接続ノードと前記第2の電力線とを結ぶ経路に設けられたリアクトルとを含み、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されておらず、かつ前記第1の負荷および前記第2の負荷の出力電力が前記第2の電圧で供給可能である場合は、前記第1の電圧を前記第2の電圧まで低下させるとともに、前記第1のスイッチング素子がオン状態を継続するように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記DC/DCコンバータは、入力電圧が基準値よりも低下すると、動作を停止するような低電圧保護機能を有し、
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記低電圧保護機能を無効とするように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項13】
前記電力変換装置は、
前記DC/DCコンバータを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出されたときに、前記第2の電圧を、前記車両の衝突が検出される前よりも上昇させるように前記DC/DCコンバータを制御する、請求項9に記載の車両。
【請求項14】
前記電力変換装置は、
前記第1の蓄電装置から前記リレーを介して供給される電力を変換するように構成された電力変換部と、
前記電力変換部を制御するための制御装置とをさらに含み、
前記制御装置は、前記車両の衝突が検出され、前記リレーによって前記第1の蓄電装置が前記電力変換装置から電気的に切離された状態において、前記コンデンサの残留電荷を消費するように前記電力変換部を制御する、請求項9に記載の車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−10406(P2011−10406A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149570(P2009−149570)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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