説明

車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置

【課題】油圧クラッチの油圧を制御することを可能とした油圧制御弁と、該油圧制御弁を駆動するアクチュエータとが機関本体に配設され、作動油で満たされる収納室に少なくともアクチュエータが収納される車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置において、機関本体の大型化を回避しつつ、車体の前後傾斜が生じても油圧制御弁側が作動油の油面から露出してしまうことを抑制する。
【解決手段】機関本体18に取付けられる収納室形成体152に、アクチュエータ145,147を収納する収納室153が形成されるとともに収納室153に一部を臨ませた油圧制御弁144,146が支持され、収納室153からの余剰の作動油を機関本体18内に戻す油戻し孔225が、収納室153の油圧制御弁144,146側の端部で該収納室153内の上部に通じるようにして収納室形成体152に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに機関本体が搭載される内燃機関を含むパワーユニットの動力伝達系に油圧クラッチが介設され、前記油圧クラッチの油圧を制御することを可能として作動方向を車体フレームの前後方向に沿わせた油圧制御弁と、該油圧制御弁を駆動するようにして前記作動方向で前記油圧制御弁に直列に連結されるアクチュエータとが、前記機関本体に配設され、作動油で満たされる収納室に、前記油圧制御弁および前記アクチュエータのうち少なくともアクチュエータが収納される車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーユニットの動力伝達系に介設される油圧クラッチの油圧を制御するための油圧制御弁と、その油圧制御弁を駆動するアクチュエータとを、作動油で満たされた収納室内に収納し、油圧制御弁およびアクチュエータの作動音が外部に洩れるのを抑制するようにしたものが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−255840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、収納室を油圧制御弁およびアクチュエータの全体よりも一回り大きく形成し、油圧制御弁およびアクチュエータの全体を作動油中に深く沈めることで、車両走行時の登坂および降坂による車体の前後傾斜に起因して、収納室の上部に通じる油戻し孔から作動油が必要以上に流出して収納室内の一部が作動油で満たされることがない状態となっても、油圧制御弁が油面から露出しないようにしている。しかるに、そのような大きな収納室を機関本体に設けるには、比較的大きな配置スペースを機関本体で確保する必要があり、配置位置の制約を受けるばかりか機関本体の大型化を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、機関本体の大型化を回避しつつ、車体の前後傾斜が生じても油圧制御弁側が作動油の油面から露出してしまうことを抑制し得るようにした車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体フレームに機関本体が搭載される内燃機関を含むパワーユニットの動力伝達系に油圧クラッチが介設され、前記油圧クラッチの油圧を制御することを可能としつつ作動方向を車体フレームの前後方向に沿わせた油圧制御弁と、該油圧制御弁を駆動するようにして前記作動方向で前記油圧制御弁に直列に連結されるアクチュエータとが、前記機関本体に配設され、作動油で満たされる収納室に、前記油圧制御弁および前記アクチュエータのうち少なくともアクチュエータが収納される車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置において、前記機関本体に取付けられる収納室形成体に、前記アクチュエータを収納する前記収納室が形成されるとともに前記収納室に一部を臨ませた前記油圧制御弁が支持され、前記収納室からの余剰の作動油を前記機関本体内に戻す油戻し孔が、前記収納室の前記油圧制御弁側の端部で該収納室内の上部に通じるようにして前記収納室形成体に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記収納室形成体が、前記油圧制御弁を嵌合させて支持するようにして前記機関本体に取付けられる支持ホルダと、該支持ホルダとの間に前記収納室を形成するようにして前記支持ホルダに取付けられるカバー部材とから成り、前記支持ホルダの上部で上方および側方に向けて開口する前記油戻し孔を形成するように前記支持ホルダの一部が切欠かれることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記油圧制御弁が、前記支持ホルダに嵌合、固定される弁ハウジングと、該弁ハウジングに摺動可能に嵌合されるスプール弁体とを備えてスプール型に構成され、前記アクチュエータとは反対側で前記弁ハウジングおよび前記スプール弁体間に形成されるダンパー室および前記収納室間を結んで前記支持ホルダに形成される油路が、前記スプール弁体の中心軸線よりも上方に配置されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記油戻し孔を上方から覆う庇部が、前記支持ホルダに一体に突設されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記油戻し孔を前後から挟んで上下に延びる一対のリブが、それらのリブの上端を前記庇部に一体に連ならせて前記支持ホルダに一体に突設されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記動力伝達系に介設される一対の油圧クラッチに個別に対応した一対の油圧制御弁が前記支持ホルダに平行に配設され、一対の前記リブの少なくとも一方が、前記両油圧制御弁を跨ぐようにして前記支持ホルダに一体に突設されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、電線が接続されるようにして側方に突出するカプラを有する前記アクチュエータが、前記油圧制御弁の作動軸線方向から見て斜め上方または斜め下方に前記カプラが配置されるようにして前記油圧制御弁に連結されることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第7の特徴の構成に加えて、前記動力伝達系に介設される一対の油圧クラッチに個別に対応して前記支持ホルダに平行に配設される一対の油圧制御弁に個別に連結される一対のアクチュエータが、それらのアクチュエータの前記カプラを同一方向に整列させて各油圧制御弁に連結されることを第8の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記カバー部材に、前記アクチュエータに接続された電線を外部に導出するための電線導出孔を前記支持ホルダとの間に形成する凹部が設けられることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、作動方向を車体フレームの前後方向に沿わせた油圧制御弁ならびに該油圧制御弁を駆動するようにして前記作動方向で直列に並んで油圧制御弁に連結されるアクチュエータのうちアクチュエータが収納室に収納されるとともに、油戻し孔が、収納室内の油圧制御弁側の端部で該収納室内の上部に通じるように配置されるので、車体の前後傾斜が生じても油圧制御弁側で作動油の油面が低くなり難く、収納室を大きくすることなく油面からの油圧制御弁の露出を抑制することが可能となり、機関本体の大型化を回避することができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、油圧制御弁を嵌合せしめて機関本体に取付けれられる支持ホルダと、支持ホルダに取付けられるカバー部材との間に収納室が形成され、支持ホルダの上部で上方および側方に向けて開口する油戻し孔を形成するようにして支持ホルダの一部が切欠かれるので、油戻し孔を加工または型成形で容易に形成することができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、油圧制御弁がスプール型に構成され、アクチュエータとは反対側で弁ハウジングおよびスプール弁体間に形成されるダンパー室を収納室に連通させる油路が、スプール弁体の中心軸線よりも上方に配置されるようにして支持ホルダに形成されるので、ダンパー室からのエアーが収納室を経由して油戻し孔から外部に排出され易くなる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、支持ホルダに一体に突設される庇部で油戻し孔が上方から覆われるので、支持ホルダの上方から落下してくるオイルが油戻し孔内に入って油戻し孔からの作動油の排出性を低下させてしまうことを回避することができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、油戻し孔を前後から挟む一対のリブが、上下に延びるとともに庇部に上端を一体に連ならせるようにして支持ホルダに一体に突設されるので、油戻し孔が配置される部分で支持ホルダを補強することができ、油戻し孔からの作動油を下方に伝わせて良好に排出することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、一対のリブの少なくとも一方が、支持ホルダに平行に配設される一対の油圧制御弁を跨ぐようにして支持ホルダに一体に突設されるので、一対の油圧制御弁が配設される部分で支持ホルダを補強することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、油圧制御弁の作動軸線方向から見て斜め上方または斜め下方に前記カプラが配置されるようにしてアクチュエータが油圧制御弁に連結されるので、カプラがアクチュエータから上下方向および左右方向に大きく突出することを避けながら、収納室内のデッドスペースを有効に利用してカプラを配置することができる。
【0022】
本発明の第8の特徴によれば、一対のアクチュエータのカプラが同一方向に整列させられるので、カプラ同士が干渉することを避けながら、一対のアクチュエータを収納室内にスペース効率よく収納することができる。
【0023】
さらに本発明の第9の特徴によれば、カバー部材に設けられた凹部と、支持ホルダとの間に、アクチュエータに接続された電線を外部に導出するための電線導出孔が形成されるので、油戻し孔に加えて電線導出孔を支持ホルダに設けた場合に比べると、支持ホルダ側の剛性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】自動二輪車の右側面図である。
【図2】内燃機関の要部を図1と同一方向から見て示す拡大側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4矢示部拡大図である。
【図5】図2の5−5線拡大断面図である。
【図6】図2の6−6線拡大断面図である。
【図7】図2の7−7線拡大断面図である。
【図8】クラッチカバーの内面側から見た油圧制御装置の一部切欠き側面図である。
【図9】図8の9矢視図である。
【図10】図8の10−10線拡大断面図である。
【図11】クラッチカバーの要部側面図である。
【図12】仕切り部材の孔との連通部に斜線を施すようにして支持ホルダのホルダ主部を図6および図7の12−12線に沿って切断した断面図である。
【図13】仕切り部材を図11および図12と同一方向から見た側面図である。
【図14】図8の14−14線拡大断面図である。
【図15】支持ホルダの一部をカバー部材側から見て示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図1〜図15を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、上下および左右の各方向は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0026】
先ず図1において、自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支したフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム13…と、それらのメインフレーム13…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のダウンフレーム14…と、前記メインフレーム13…の後端から下方に延びる左右一対のセンターフレーム15…と、該センターフレーム15…の上部から後上がりに延びる左右一対のシートレール16…と、前記センターフレーム15…の中間部および前記シートレール16…の後部間を結ぶリヤフレーム17…とを備える。
【0027】
前記メインフレーム13…、ダウンフレーム14…およびセンターフレーム15…で囲まれる領域には、多気筒たとえば2気筒である内燃機関Eと、該内燃機関Eの機関本体18に一部が内蔵される変速機M(図3参照)とを備えるパワーユニットPが車体フレームFで支持されるようにして配置され、該パワーユニットPが発揮する動力で駆動される後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム19の前端部が、前記センターフレーム15…に上下揺動可能に支承される。また前記内燃機関Eの上方でメインフレーム13…に収納ボックス20が搭載され、該収納ボックス20の後方にタンデム型の乗車用シート21が前記シートレール16…で支持されるようにして配置され、乗車用シート21の下方に燃料タンク22が配置される。
【0028】
図2において、前記内燃機関Eの機関本体18は、車体フレームFに搭載されており、車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト25を回転自在に支承するクランクケース26と、前傾したシリンダ軸線Cを有してクランクケース26の前部上端に結合されるシリンダブロック27と、該シリンダブロック27の上端に結合されるシリンダヘッド28と、該シリンダヘッド28の上端に結合されるヘッドカバー29と、前記クランクケース26の下部に結合されるオイルパン30とを備える。
【0029】
図3を併せて参照して、前記クランクケース26は、クランクシャフト25の軸線を通る水平面に沿う割り面で上下に分割可能とした上ケース半体31および下ケース半体32が結合されて成るものであり、シリンダブロック27は上ケース半体31と一体に形成される。
【0030】
前記シリンダブロック27は、車幅方向に並列して配置される複数たとえば2つのシリンダボア33,33を有するものであり、それらのシリンダボア33…にピストン34…が摺動可能に嵌合され、シリンダボア33…の配列方向すなわち車幅方向に沿って延びて前記クランクケース26で回転自在に支承される前記クランクシャフト25に前記ピストン34…が連接される。
【0031】
前記クランクケース26の左側面には、前記クランクケース26との間に発電機室36を形成する発電機カバー35が結合され、発電機室36内に収容される発電機37のロータ38が、発電機室36内に突入した前記クランクシャフト25の端部に固定され、発電機37のステータ39は、前記ロータ38で囲繞されるようにして発電機カバー35に固定される。
【0032】
またクランクケース26の上部には、図2で示すように、スタータモータ40が固定配置されており、そのスタータモータ40からの動力を伝達する減速歯車列41の一部を構成する被動歯車42が、一方向クラッチ43を介して前記ロータ38に連結される。
【0033】
前記クランクケース26の右側面には、該クランクケース26との間にクラッチ室46を形成するようにして機関本体18の一部を構成するクラッチカバー45が結合される。而して前記クランクケース26内には、前記クランクシャフト25と平行な軸線を有して該クランクケース26で回転自在に支承される第1および第2メインシャフト47,48と、カウンタシャフト49との間に選択的に確立可能な複数変速段の歯車列たとえば第1速〜第6速歯車列G1〜G6が設けられて成る変速機Mが収容される。
【0034】
第1および第2メインシャフト47,48は同軸に配置されており、クランクケース26の右側壁を回転自在に貫通する第1メインシャフト47の一端部はクランクケース26の左側壁にボールベアリング50を介して回転自在に支承され、この第1メインシャフト47の他端部は前記クラッチカバー45で回転自在に支承される。また第2メインシャフト48は、第1メインシャフト47を同軸に囲繞して前記クランクケース26の右側壁を回転自在に貫通するものであり、クランクケース26の右側壁および第2メインシャフト48間にはボールベアリング51が介装され、第1および第2メインシャフト47,48間には、複数のニードルベアリング52,52…が介装される。
【0035】
前記カウンタシャフト49の一端部は、クランクケース26の左側壁との間にボールベアリング53および環状のシール部材54を介在させてクランクケース26の左側壁後部から突出され、またカウンタシャフト49の他端部はクランクケース26の右側壁にニードルベアリング55を介して回転自在に支承される。
【0036】
而して第1メインシャフト47およびカウンタシャフト49間に、第1速歯車列G1、第3速歯車列G3および第5速歯車列G5が設けられ、第2メインシャフト48およびカウンタシャフト49間に、第2速歯車列G2、第4速歯車列G4および第6速歯車列G6が設けられる。
【0037】
前記クランクケース26の左側壁から突出した前記カウンタシャフト49の一端部には駆動スプロケット56が固定されており、この駆動スプロケット56に巻き掛けられる無端状のチェーン(図示せず)により、変速機Mから出力される回転動力が前記後輪WRに伝達される。
【0038】
而して前記内燃機関Eのクランクシャフト25から出力される回転動力を前記後輪WRに伝達する動力伝達系は、前記クランクシャフト25からの動力を伝達する一次減速装置60、第1油圧クラッチ61、第2油圧クラッチ62、前記変速機M、前記駆動スプロケット56および前記チェーンを含むように構成されるものであり、一次減速装置60と、一次減速装置60および第1メインシャフト47間に介設される第1油圧クラッチ61と、一次減速装置60および第2メインシャフト48間に介設される第2油圧クラッチ62とが前記クラッチ室46に収容される。
【0039】
また前記クラッチ室46内で前記クランクシャフト25の端部にはパルサ63が固着されており、このパルサ63の外周に対向するようにして前記クラッチ室46内に配置される回転速センサ64がクラッチカバー45に固定される。
【0040】
図4において、第1メインシャフト47の他端寄り中間部には、中空の伝動筒軸65が第2メインシャフト48に軸方向で隣接するようにして相対回転可能に装着されており、この伝動筒軸65の軸方向中間部で半径方向外側方に張り出すように膨らんだ大径部65aと、その大径部65aの外周から半径方向外側方に張り出すフランジ部65bとが伝動筒軸65に一体に設けられる。第1油圧クラッチ61は、伝動筒軸65および第1メインシャフト47間の動力断・接を切換可能として伝動筒軸65および第1メインシャフト47上に設けられ、第2油圧クラッチ62は、伝動筒軸65および第2メインシャフト48間の動力断・接を切換可能として伝動筒軸65および第2メインシャフト48上に設けられる。
【0041】
一次減速装置60は、前記クランクシャフト25とともに回転する一次駆動歯車67と、前記クランクシャフト25から一次駆動歯車67を介して回転動力が伝達されるのに応じて回転するようにして前記伝動筒軸65の大径部65aに軸方向相対移動および相対回転を可能として支持される一次被動歯車68と、前記伝動筒軸65および前記一次被動歯車68間に介設される複数のダンパスプリング69…と、前記一次被動歯車68および前記伝動筒軸65のフランジ部65b間で摩擦力を発生させて前記伝動筒軸65および前記一次被動歯車68間の相対回転を抑制すべく前記一次被動歯車68を前記フランジ部65b側に向けて付勢するフリクションスプリング70とを備える。
【0042】
一次被動歯車68は、前記伝動筒軸65の大径部65aを同軸に囲繞する円筒状のボス部68aと、該ボス部68aから半径方向外方に張り出すとともに前記一次駆動歯車67に噛合する複数の歯72,72…が外周に設けられる円板部68bとを一体に有するものであり、前記円板部68bは、前記ボス部68aの前記フランジ部65b側の端部に一体に連設される。而して前記一次被動歯車68の前記フランジ部65b側内周部と、前記フランジ部65bとの間には、環状のワッシャ71が介装される。
【0043】
前記ダンパスプリング69…は、コイルスプリングであり、前記一次被動歯車68の平板部68bに周方向等間隔に設けられた複数の収容孔74…に収容される。また前記円板部68bは、前記円板部68bの前記フランジ部65b側の側面に対向する第1サイドプレート75と、前記円板部68bの前記フランジ部65bと反対側の側面に対向する第2サイドプレート76とで挟まれており、それらのサイドプレート75,76で前記ダンパスプリング69…が前記収容孔74…に保持される。しかも第1および第2サイドプレート75,76の周方向に等間隔をあけた複数箇所には、円筒状のカラー77…が介在、配置されており、それらのカラー77…を貫通するリベット78…で第1および第2サイドプレート75,76が連結され、第1および第2サイドプレート75,76は伝動筒軸65に固定され、伝動筒軸65とともに回転する。
【0044】
而して前記一次被動歯車68と、第1サイドプレート75、第2サイドプレート76および伝動筒軸65との間に相対回転が生じていない状態では、前記ダンパスプリング69…の両端は、一次被動歯車68ならびに第1および第2サイドプレート75,76に当接しており、前記相対回転が生じると、一次被動歯車68と第1および第2ダンパスプリング75,76との間で前記ダンパスプリング69…が圧縮され、ダンパスプリング69…が発揮するばね力で急激なトルク変化が緩衝されることになる。
【0045】
また前記カラー77…を挿通せしめる複数の規制孔79…が前記伝動筒軸65の周方向に長い長孔状に形成されて一次被動歯車68の円板部68bに設けられており、一次被動歯車68と、第1および第2サイドプレート75,76すなわち伝動筒軸65との相対回動が、前記規制孔79…内で前記カラー77…が移動する範囲に規制される。
【0046】
前記フリクションスプリング70は、半径方向外方に向かうにつれて前記フランジ部65bから遠ざかるように傾斜した皿ばねであり、2枚重ねられたフリクションスプリング70,70が、その内周側の小径端を一次被動歯車68における円板部68bの前記フランジ部65bとは反対側の側面に当接させるようにして、第2サイドプレート76および前記円板部68b間に介装される。
【0047】
第1油圧クラッチ61は、一次減速装置60よりも右側に配置されており、一次減速装置60とは反対側に開放した椀状に形成されて前記伝動筒軸65に相対回転不能に結合される第1クラッチアウタ80と、第1メインシャフト47に相対回転不能に結合される第1クラッチインナ81と、第1クラッチアウタ80に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第1駆動摩擦板82,82…と、第1駆動摩擦板82,82…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第1クラッチインナ81に係合される複数枚の第1被動摩擦板83,83…と、複数枚ずつ交互に配置される第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第1受圧板84と、第1受圧板84に第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…とは反対側から係合することを可能として第1クラッチアウタ80に装着される第1止め輪85と、第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…を第1受圧板84との間に挟む押圧部86aを外周部に有して第1クラッチアウタ80に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第1クラッチアウタ80との間に第1油圧室87を形成する第1ピストン86と、第1ピストン86を第1油圧室87の容積を縮小させる側に付勢する第1クラッチばね88とを備え、第1クラッチインナ81およびクラッチカバー45間にボールベアリング89が介装される。すなわち第1メインシャフト47の他端部は第1クラッチインナ81を介してクラッチカバー45に回転自在に支承されている。
【0048】
このような第1油圧クラッチ61では、第1油圧室87に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第1油圧室87への油圧の作用時に第1油圧クラッチ61は、クランクシャフト25から一次減速装置60、ダンパスプリング69および伝動筒軸65を介して第1クラッチアウタ80に伝達される回転動力を第1メインシャフト47に伝達するクラッチオン状態となる。
【0049】
第2油圧クラッチ62は、一次減速装置60を第1油圧クラッチ61との間に挟むようにして第1油圧クラッチ61よりもクランクケース26側に配置されるものであり、前記クランクケース26側に向けて開放した筒状に形成されるとともに一次被動歯車68を第1クラッチアウタ80との間に挟むようにして前記伝動筒軸65に相対回転不能に結合される第2クラッチアウタ90と、第2メインシャフト48に相対回転不能に結合される第2クラッチインナ91と、第2クラッチアウタ90に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第2駆動摩擦板92,92…と、第2駆動摩擦板92,92…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第2クラッチインナ91に係合される複数枚の第2被動摩擦板93,93…と、複数枚ずつ交互に配置される第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第2受圧板94と、第2受圧板94に第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…とは反対側から係合することを可能として第2クラッチアウタ90に装着される第2止め輪95と、第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…を第2受圧板94との間に挟む押圧部96aを外周部に有して第2クラッチアウタ90に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第2クラッチアウタ90との間に第2油圧室97を形成する第2ピストン96と、第2ピストン96を第2油圧室97の容積を縮小させる側に付勢する第2クラッチばね98とを備える。
【0050】
このような第2油圧クラッチ62では、第2油圧室97に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第2油圧室97への油圧の作用時に第2油圧クラッチ62は、クランクシャフト25から一次減速装置60、ダンパスプリング69および伝動筒軸65を介して第2クラッチアウタ90に伝達される回転動力を第2メインシャフト48に伝達するクラッチオン状態となる。
【0051】
第1油圧クラッチ61の第1クラッチアウタ80および前記伝動筒軸65には、第1油圧室87に通じる第1油路100が設けられ、第1メインシャフト47の外周には第1油路100に通じる第1環状凹部101が設けられる。また第2油圧クラッチ62の第2クラッチアウタ90および前記伝動筒軸65には、第2油圧室97に通じる第2油路102が設けられ、第1メインシャフト47の外周には第2油路102に通じる第2環状凹部103が設けられる。
【0052】
第1メインシャフト47のクラッチカバー45側端部には、相互に平行な第1および第2軸方向油路104,105が内端を閉じるとともに軸方向に延びるようにして設けられ、第1軸方向油路104は第1環状凹部101および第1油路100を介して第1油圧室87に連通し、第2軸方向油路105は第2環状凹部103および第2油路102を介して第2油圧室97に連通する。しかも第1軸方向油路104の外端開口部は栓部材106で閉じられ、第2軸方向油路105の外端は開放したままである。
【0053】
またクラッチカバー45側で第1メインシャフト48の端部は、前記クラッチカバー45に嵌合固定される筒部材107に液密に嵌入されており、筒部材107の外周およびクラッチカバー45との間に形成される環状の第1油室108に第1軸方向油路104を通じさせる連通路110が第1メインシャフト48および前記筒部材107に設けられる。また第1メインシャフト47および前記筒部材107と、前記クラッチカバー45との間には、第2軸方向油路105に通じる第2油室109が形成される。
【0054】
図2に注目して、クラッチカバー45の下部には第1オイルフィルタ111が設けられ、第1オイルフィルタ111の後方に位置するレベルゲージ挿入筒224がクラッチカバー45の下部から上方に延びるようにして該クラッチカバー45に設けられる。またオイルパン30内のオイルを汲み上げるようにして機関本体18に内蔵される第1のオイルポンプ(図示せず)から吐出される制御用のオイルが第1オイルフィルタ111に供給され、この第1オイルフィルタ111で浄化されたオイルの油圧を第1油圧クラッチ61および第2油圧クラッチ62毎に制御するための油圧制御装置113が、側面視で前記レベルゲージ挿入筒112の一部と重なるようにして前記クラッチカバー45の内面側に配設される。しかも第1オイルフィルタ111には、第1オイルフィルタ111に供給される油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ114が付設され、前記油圧制御装置113で制御された第1および第2油圧クラッチ61,62毎の油圧を個別に検出する第1および第2油圧センサ115,116がクラッチカバー45に配設される。
【0055】
また前記機関本体18内には、前記第1のオイルポンプとは別の第2のオイルポンプ(図示せず)が潤滑用のオイルを吐出するようにして内蔵されており、この第2のオイルポンプから吐出されるオイルは、前記機関本体18におけるクランクケース26の前壁下部に取付けられる第2オイルフィルタ119で浄化され、潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ120がクランクケース26の前面に取付けられる。
【0056】
図3および図4に注目して、第1メインシャフト47内には、第2オイルフィルタ119で浄化された潤滑用オイルを第1メインシャフト47の周囲の被潤滑部に供給可能とした潤滑用油路123が設けられる。
【0057】
この潤滑用油路123には、クラッチカバー45とは反対側の第1メインシャフト47の端部から潤滑用オイルが供給されるものであり、第1メインシャフト47に同軸に設けられる上流側油路123aと、上流側油路123aよりも小径に形成されて第1メインシャフト47の軸線と平行に延びる下流側油路123bとから成るものであり、この実施例1で下流側油路123bは、第1および第2軸方向油路104,105の直径と同一の直径を有するように形成される。
【0058】
上流側油路123aは、第1メインシャフト47の前記クラッチカバー45とは反対側の端部に外端を開口するようにして第1メインシャフト47に穿孔加工されるものであり、第1メインシャフト47の軸線に沿う方向に並ぶ第1および第2油圧クラッチ61,62のうち第2油圧クラッチ62に側面視で重なる位置に、上流側油路123aの内端が配置される。一方、下流側油路123bは、上流側油路123aの内端に通じるようにして第1メインシャフト47の前記クラッチカバー45側の端部から穿孔加工され、下流側油路123bの外端はプラグ124で閉じられる。
【0059】
而して第1メインシャフト47の軸方向に間隔をあけた複数箇所には、変速機Mの複数箇所ならびに第1および第2メインシャフト47,48間に潤滑用オイルを供給する油孔125,125…が、潤滑用油路123の上流側油路123aに内端を通じさせるようにして設けられる。
【0060】
また前記潤滑用油路123の下流側油路123bに内端を通じさせる複数の連通路126…が、前記伝動筒軸65における大径部65aの軸方向中間部に対応する位置で伝動筒軸65の内周に設けられる環状溝127に外端を通じさせるようにして第1メインシャフト47に設けられ、前記伝動筒軸65の大径部65aには、前記環状溝127に通じるようにして伝動筒軸65の内周に一端を開口させる複数の供給油孔128…が伝動筒軸65の半径方向に延びるようにして設けられ、この供給油孔128…の他端は、一次被動歯車68におけるボス部68aの前記フランジ部65b寄り内周面に少なくとも一部を対向させて前記伝動筒軸65における大径部65aの外周に開口される。
【0061】
また前記ボス部68aの内周には、前記供給油孔128…から潤滑油を供給可能とした環状溝130が設けられており、その環状溝130に通じるようにして一端をボス部68aの内周に開口させる複数のボス部油孔129…が前記ボス部68aに設けられ、これらのボス部油孔129…の他端が、一次被動歯車68における前記円板部68bを前記フランジ部65bとの間に挟む位置で前記ボス部68aの外周に開口される。しかも前記ボス部油孔129…は、前記ボス部68aの外周に近接するにつれて前記フランジ部65bから遠ざかるように傾斜して形成される。
【0062】
また前記ボス部68aの外周への前記ボス部油孔129…の開口部は、一次被動歯車68における前記円板部68bの前記フランジ部65bとは反対側の側面に当接する前記フリクションスプリング70…に対応した位置に配置される。而して前記フリクションスプリング70…が、半径方向外方に向かうにつれて前記フランジ部65bから遠ざかるように傾斜した皿ばねであり、フリクションスプリング70…の内周側の小径端が前記円板部68bの前記フランジ部65bとは反対側の側面に当接しているので、前記フリクションスプリング70…の小径端の前記円板部68bへの接触部に対応した位置に前記ボス部68aの外周への前記ボス部油孔129…の開口部が配置されることになる。
【0063】
図5において、第1オイルフィルタ111のフィルタケース132は、前記クラッチカバー45に一体に形成される有底円筒状のケース主部133と、そのケース主部133に、たとえば一対のボルト135…で結合される蓋部材134とで構成される円筒状のものでり、このフィルタケース132内に、リング状に形成される濾過材136が挿入、保持され、この濾過材136の外周および前記フィルタケース132間に未浄化室137が形成され、前記濾過材136内には浄化室138が形成される。
【0064】
前記未浄化室137に通じる入口通路139が前記ケース主部133の側壁に設けられ、第1のオイルポンプから吐出される作動油が導入される接続通路140が接続管141を介して前記入口通路139に連通され、第1のオイルポンプから吐出される作動油は前記未浄化室137に供給される。
【0065】
また前記オイルフィルタ用油圧センサ114は、その軸線を前記フィルタケース132の軸線に直交させるようにしつつ前記入口通路139に先端を臨ませるようにした前記ケース主部133に取付けられる。また前記クラッチカバー45には、前記浄化室138に通じる出口通路142が設けられ、その出口通路142にはフィルタ143が装着される。
【0066】
図6〜図8を併せて参照して、前記油圧制御装置113は、第1油圧クラッチ61の油圧を制御する第1油圧制御弁144と、第1油圧制御弁144を駆動するようにして第1油圧制御弁144に連結されるアクチュエータである第1ソレノイド145と、第2油圧クラッチ62の油圧を制御する第2油圧制御弁146と、第2油圧制御弁146を駆動するようにして第2油圧制御弁146に連結されるアクチュエータである第2ソレノイド147とから成るものであり、前記クラッチカバー58の内面側に配設される。
【0067】
第1および第2油圧制御弁144,146は、弁ハウジング148,149と、弁ハウジング148,149に収容されるスプール弁体150,151とを有してスプール型に構成されており、その作動方向を車体フレームFの前後方向に沿わせた姿勢で、機関本体18の一部を構成するクラッチカバー45の内面側に配設される。
【0068】
前記クラッチカバー45の内面には収納室形成体152が取付けられており、この収納室形成体152に、第1および第2ソレノイド145,147を収納する収納室153が形成されるとともに前記収納室153に一部を臨ませるようにして第1および第2油圧制御弁144,146が支持される。
【0069】
図9を併せて参照して、前記収納室形成体152は、第1および第2油圧制御弁144,146を嵌合させて支持するようにして前記クラッチカバー45に取付けられる支持ホルダ154と、この支持ホルダ154との間に前記収納室153を形成するようにして支持ホルダ154に取付けられるカバー部材155とから成る。
【0070】
支持ホルダ154は、ホルダ主部154aと、後方に開いた筒状に形成されて前記ホルダ主部154aの後端から後方に延出される筒部154bとを一体に有し、前方に開いた有底筒状に形成されるカバー部材155が、前記筒部154bの後端開口部を閉じるようにして該筒部154bの後端に複数個たとえば2個のボルト156,156で結合され、前記支持ホルダ154と、前記カバー部材155とで前記収納室153が形成される。
【0071】
図10を併せて参照して、前記支持ホルダ154のホルダ主部154aには、前端を閉じるとともに後端を前記収納室153に開放した一対の有底の横断面円形の取付け孔157,158が、相互に平行に延びるようにして設けられる。第1油圧制御弁144の弁ハウジング148は、一端を蓋部材159で閉じるようにして円筒状に形成されており、前記両取付け孔157,158のうち下方の取付け孔157に前記蓋部材159側から嵌合される。また第2油圧制御弁146の弁ハウジング149は、一端を蓋部材160で閉じるようにして円筒状に形成されており、前記両取付け孔157,158のうち上方の取付け孔158に前記蓋部材160側から嵌合される。而して第1および第2油圧制御弁144,146における弁ハウジング148,149の前記ホルダ主部154aから突出した他端部には取付け板161が係合されており、この取付け板161がボルト162でホルダ主部154aに締結されることで、前記両弁ハウジング148,149が取付け孔157,158に嵌合した状態で支持ホルダ154に固定的に支持される。
【0072】
第1油圧制御弁144の弁ハウジング148における蓋部材159およびスプール弁体150間にはダンパー室163が形成されており、このダンパー室163には、スプール弁体150を第1ソレノイド145側に向けて付勢する戻しばね164が収納される。また第2油圧制御弁146の弁ハウジング149における蓋部材160およびスプール弁体151間にはダンパー室165が形成されており、このダンパー室165には、スプール弁体151を第2ソレノイド147側に向けて付勢する戻しばね166が収納される。
【0073】
第1および第2ソレノイド145,147は、スプール弁体150,151の前記ダンパー室163,165とは反対側の端部に同軸に当接するプランジャー167,168を有するものであり、第1および第2油圧制御弁144,146に作動方向で直列に連結されるようにして、弁ハウジング148,149の前記ホルダ主部154aから突出した他端部に連結され、前記プランジャー167,168の前記スプール弁体150,151への連接部は、第1および第2ソレノイド145,147と、第1および第2油圧制御弁144,146の弁ハウジング148,149との間に形成されるプランジャー室169,170に収容され、プランジャー室169,170は収納室153に連通する。
【0074】
前記支持ホルダ154は、前記クラッチカバー45の内面との間に平板状の仕切り部材173を介在させるようにして前記クラッチカバー45の内面側に複数個たとえば5個のボルト174,174…で取付けられており、支持ホルダ154のクラッチカバー45への取付け状態で第1油圧制御弁194の中心軸線C1および第2制御弁195の中心軸線C2は車体フレームFの前後方向に延びてほぼ水平となる。
【0075】
ところで第1および第2ソレノイド145,147は、電線175,176が接続されるようにして側方に突出するカプラ145a,147aを有しており、第1および第2油圧制御弁144,146の作動方向すなわち中心軸線C1,C2に沿う方向から見て斜め上方または斜め下方に前記カプラ145a,147aが配置されるようにして第1および第2油圧制御弁144,146に連結される。而してこの実施の形態では、前記カプラ145a,147aが、前記中心軸線C1,C2に沿う方向から見て第1および第2ソレノイド145,147から斜め下方に突出する位置に前記カプラ145a,147aが配置されるようにして、第1および第2ソレノイド145,147が第1および第2油圧制御弁144,146に連結される。
【0076】
しかも第1および第2ソレノイド145,147は、前記カプラ145a,147aを同一方向に整列させるようにして第1および第2油圧制御弁144,146に連結される。
【0077】
また前記カバー部材155の上部には、第1および第2ソレノイド145,147の前記カプラ145a,147aに接続された電線175,176を外部に導出するための電線導出孔177を前記支持ホルダ154との間に形成する凹部178が設けられており、前記電線175,176は、前記電線導出孔177に装着されたグロメット179を液密に貫通して外部に導出される。
【0078】
図6に注目して、第1油圧制御弁144の弁ハウジング148には、プランジャ室169側からダンパー室163側に向けて順に、ドレンポート181、出力ポート182、入力ポート183およびフィードバックポート184が相互に間隔をあけて設けられる。また前記ドレンポート181は前記収納室153に連通しており、前記フィードバックポート184には絞り185が設けられ、前記出力ポート182は前記フィードバックポート184に連通される。而して第1油圧制御弁144のスプール弁体150には、戻しばね164のばね力と、出力ポート182から出力されて絞り185で絞られた油圧による油圧力との合力が、出力ポート182を入力ポート183と遮断しつつドレンポート181に連通させる方向で作用するとともに、第1ソレノイド145の通電によるプランジャー167からの駆動力が、出力ポート182をドレンポート181と遮断しつつ入力ポート183に連通させる方向で作用することになり、第1ソレノイド145の通電量に応じた油圧の作動油が出力ポート182から出力され、第1油圧制御弁144の作動に応じてドレンポート181から収納室153に作動油が排出されることになる。
【0079】
また前記支持ホルダ154には、第1油圧制御弁144のダンパー室163および収納室153間を結ぶ油路186が形成されており、この油路186は、第1油圧制御弁144の中心軸線C1よりも上方に配置される。
【0080】
図7に注目して、第2油圧制御弁146の弁ハウジング149には、プランジャ室170側からダンパー室165側に向けて順に、ドレンポート188、出力ポート189、入力ポート190およびフィードバックポート191が相互に間隔をあけて設けられる。また前記ドレンポート188は前記収納室153に連通しており、前記フィードバックポート191には絞り192が設けられ、前記出力ポート189は前記フィードバックポート191に連通される。而して第2油圧制御弁146のスプール弁体151には、戻しばね166のばね力と、出力ポート189から出力されて絞り192で絞られた油圧による油圧力との合力が、出力ポート189を入力ポート190と遮断しつつドレンポート188に連通させる方向で作用するととtもに、第2ソレノイド147の通電によるプランジャー168からの駆動力が、出力ポート189をドレンポート188と遮断しつつ入力ポート190に連通させる方向で作用することになり、第2ソレノイド147の通電量に応じた油圧の作動油が出力ポート189から出力され、第2油圧制御弁146の作動に応じてドレンポート188から収納室153に作動油が排出されることになる。
【0081】
また前記支持ホルダ154には、第2油圧制御弁146のダンパー室165および収納室153間を結ぶ油路193が形成されており、この油路193は、第2油圧制御弁146の中心軸線C2よりも上方に配置される。
【0082】
ところで第1および第2油圧制御弁144,146と、第1および第2油圧クラッチ61,62との間は、第1および第2制御油供給油路196,197で個別に結ばれる。それらの第1および第2制御油供給油路196,197の一部を構成する第1および第2カバー側供給油路196a,197aは、油圧制御装置113から第1メインシャフト60側に向けて後ろ上がりに傾斜するようにして前記クラッチカバー45に設けられており、第1カバー側給油路196aの下流端は第1油圧クラッチ61の第1油圧室87に通じる第1油室108に連通され、第2カバー側給油路197aの下流端は第2油圧クラッチ62の第2油圧室97に通じる第2油室109に連通される。
【0083】
図11を併せて参照して、前記仕切り部材173の両面側、すなわち仕切り部材173のクラッチカバー45側の面ならびに仕切り部材173の支持ホルダ154側の面には、第1および第2カバー側供給油路196a,197aとともに第1および第2制御油供給油路196,197を構成するようにして第1および第2カバー側制御供給油路196a,197aに個別に通じる第1および第2制御弁側供給油路196b,197bが形成されるとともに、第1オイルフィルタ111から第1および第2油圧制御弁144,146までの供給油路198(図5参照)が形成される。
【0084】
図12において、前記支持ホルダ154のホルダ主部154aには、第1油圧制御弁144の出力ポート182、入力ポート183およびフィードバックポート184にそれぞれ通じる出口孔201,入口孔202およびフィードバック孔203と、第2油圧制御弁146の出力ポート189、入力ポート190およびフィードバックポート191にそれぞれ通じる出口孔204、入口孔205およびフィードバック孔206とが設けられ、出口孔201およびフィードバック孔203間を結ぶ溝207と、出口孔204およびフィードバック孔206間を結ぶ溝208とが、支持ホルダ154の仕切り部材173に臨む面に設けられる。
【0085】
一方、仕切り部材173には、図13で示すように、第1油圧制御弁144側で支持ホルダ154に設けられている出口孔201および入口孔202に対応した透孔209,210が、支持ホルダ154およびクラッチカバー45間に仕切り部材173が挟まれたときに図12の斜線で示すように前記出口孔201および前記入口孔202に通じるようにして設けられるとともに、第2油圧制御弁146側で支持ホルダ154に設けられている出口孔204および入口孔205に対応した透孔211,212が、支持ホルダ154およびクラッチカバー45間に仕切り部材173が挟まれたときに図12の斜線で示すように前記出口孔204および前記入口孔205に通じるようにして設けられる。
【0086】
また前記仕切り部材173には、第1オイルフィルタ111の出口通路142に通じる透孔213と、その透孔213に一端を通じさせるようにして前記支持ホルダ154の前記仕切り部材173に臨む面に設けられる溝214の他端に通じる透孔215とが設けられ、クラッチカバー45の前記仕切り部材173に臨む面には、図5および図11で示すように、前記透孔215を、前記透孔210,212に通じさせるようにして湾曲した溝216が設けられる。
【0087】
而して第1オイルフィルタ111から第1および第2油圧制御弁144,146までの供給油路198は、前記仕切り部材173の透孔213、前記支持ホルダ154の溝214、前記仕切り部材173の透孔215、前記クラッチカバー45の溝216、前記仕切り部材173の透孔210,212および前記支持ホルダ154の入口孔202,205で構成される。
【0088】
前記クラッチカバー45の前記仕切り部材173に臨む面には、仕切り部材173の透孔209を介して支持ホルダ154の出口孔201に通じる溝217が設けられ、この溝217は前記仕切り部材173に設けられる透孔219に通じる。また支持ホルダ154の仕切り部材173に臨む面には一端を前記透孔219に通じさせる溝220が設けられ、この溝220の他端に通じる透孔221が前記仕切り部材173に設けられ、その透孔221が、第1カバー側制御供給油路196aに連通する。すなわち第1制御弁側供給油路196bは、仕切り部材173の透孔209、クラッチカバー45の溝217、仕切り部材173の透孔219、支持ホルダ154の溝220および仕切り部材173の透孔221で構成されており、前記支持ホルダ154の前記仕切り部材173側に臨む面ならびに前記クラッチカバー45の前記仕切り部材173に臨む面と、前記仕切り部材173の両面との間に第1制御弁側供給油路196bが構成されることになる。
【0089】
また前記クラッチカバー45の前記仕切り部材173に臨む面には、仕切り部材173の透孔211を介して支持ホルダ154の出口孔204に一端を通じさせる溝218が設けられ、この溝218の他端に通じる透孔222が前記仕切り部材173に設けられ、この透孔222が第2カバー側制御供給油路197aに連通する。すなわち第2制御弁側供給油路197bは、仕切り部材173の透孔211、クラッチカバー45の溝218および仕切り部材173の透孔222で構成されており、前記クラッチカバー45の前記仕切り部材173に臨む面と、前記仕切り部材173のクラッチカバー45側の面との間に第2制御弁側供給油路197bが構成される。
【0090】
また前記仕切り部材173には、前記支持ホルダ154に設けられた溝207,208に通じる透孔230,231が設けられており、一方の透孔230を介して前記溝207すなわち第1油圧制御弁144の出力ポート182に通じる第1検出用油路232と、他方の透孔231を介して第2油圧制御弁146の出力ポート189に通じる第2検出用油路233とがクラッチカバー45に設けられ、第1検出用油路232の油圧を検出する第1油圧センサ115と、第2検出用油路233の油圧を検出する第2油圧センサ116とがクラッチカバー45に配設される。
【0091】
図14および図15を併せて参照して、機関本体18におけるクラッチカバー45の内面側に取付けられる収納室形成体152には、前記収納室153からの余剰の作動油を前記機関本体18内に戻す油戻し孔225が、収納室153の第1および第2油圧制御弁144,146側の端部で該収納室153内の上部に通じるようにして設けられる。
【0092】
この油戻し孔225は、収納室形成体152をカバー部材155とともに構成する支持ホルダ154の上部で上方および側方に向けて開口するように形成されるものであり、支持ホルダ154の一部が切欠くことで前記油戻し孔225が形成される。
【0093】
また前記支持ホルダ154には、前記油戻し孔225を上方から覆う庇部226が一体に突設されており、油戻し孔225を前後から挟んで上下に延びる一対のリブ227,228が、それらのリブ227,228の上端を前記庇部226に一体に連ならせて前記支持ホルダ154に一体に突設される。
【0094】
また支持ホルダ154には、第1および第2油圧クラッチ61,62に個別に対応した第1および第2油圧制御弁144,146が、車体フレームFの前後方向に沿う方向で平行に配設されており、一対の前記リブ227,228の少なくとも一方(この実施の形態ではリブ228)が、前記両油圧制御弁144,146を跨ぐようにして前記支持ホルダ154に一体に突設される。
【0095】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、機関本体18の一部を構成するクラッチカバー45の内面側に取付けられる収納室形成体152に、第1および第2ソレノイド145,147を収納する収納室153が形成されるとともに前記収納室153に一部を臨ませた第1および第2油圧制御弁144,146が支持され、収納室153からの余剰の作動油を機関本体18内に戻す油戻し孔225が、前記収納室153の第1および第2油圧制御弁144,146側の端部で該収納室153内の上部に通じるようにして前記収納室形成体152に設けられるので、車体の前後傾斜が生じても第1および第2油圧制御弁144,146側で作動油の油面が低くなり難く、収納室153を大きくすることなく油面からの第1および第2油圧制御弁144,146の露出を抑制することが可能となり、機関本体18の大型化を回避することができる。
【0096】
ここで図4を参照しながら坂道等を登る際に車体が前上がりに傾斜した場合を想定すると、収納室153内の作動油の油面が図4の鎖線LFで示す位置となったときに第2油圧制御弁146のプランジャー室170に油戻し孔225からの外部エアーが侵入する可能性があるが、前記鎖線LFで示す位置は、車体がたとえば70度まで前上がりに傾斜した状態であり、そのような状態は通常の走行では生じることはないので油面からの第1および第2油圧制御弁144,146の露出を抑制することができる。また坂道等を下る際に車体が後上がりに傾斜した場合を想定すると、収納室153内の作動油の油面が図4の鎖線LRで示す位置となったときに第2油圧制御弁146のプランジャー室170に油戻し孔225からの外部エアーが侵入する可能性があるが、前記鎖線LRで示す位置は、車体がたとえば54度まで後上がりに傾斜した状態であり、そのような状態は通常の走行では生じることはないので油面からの第1および第2油圧制御弁144,146の露出を抑制することができる。
【0097】
また前記収納室形成体152が、第1および第2油圧制御弁144,146を嵌合させて支持するようにして前記クラッチカバー45に取付けられる支持ホルダ154と、該支持ホルダ154との間に収納室153を形成するようにして支持ホルダ154に取付けられるカバー部材155とから成り、支持ホルダ154の上部で上方および側方に向けて開口する前記油戻し孔225を形成するように支持ホルダ154の一部が切欠かれるので、油戻し孔225を加工または型成形で容易に形成することができる。
【0098】
また第1および第2油圧制御弁144,146が、支持ホルダ154に嵌合、固定される弁ハウジング148,149と、該弁ハウジング148,149に摺動可能に嵌合されるスプール弁体150,151とを備えてスプール型に構成されており、第1および第2油圧制御弁144,146を駆動する第1および第2ソレノイド145,147とは反対側で弁ハウジング148,149およびスプール弁体150,151間に形成されるダンパー室163,165および収納室153間を結んで支持ホルダ154に形成される油路186,193が、第1および第2油圧制御弁144,146の中心軸線C1,C2よりも上方に配置されるので、ダンパー室163,165からのエアーが収納室153を経由して油戻し孔225から外部に排出され易くなる。
【0099】
また油戻し孔225を上方から覆う庇部226が支持ホルダ154に一体に突設されるので、支持ホルダ154の上方から落下してくるオイルが油戻し孔225内に入って油戻し孔225からの作動油の排出性を低下させてしまうことを回避することができる。
【0100】
しかも油戻し孔225を前後から挟んで上下に延びる一対のリブ227,228が、それらのリブ227,228の上端を前記庇部226に一体に連ならせて前記支持ホルダ154に一体に突設されるので、油戻し孔225が配置される部分で支持ホルダ154を補強することができ、油戻し孔225からの作動油を下方に伝わせて良好に排出することができる。
【0101】
また第1および第2油圧クラッチ61,62に個別に対応した第1および第2油圧制御弁144,146が支持ホルダ154に平行に配設され、一対の前記リブ227,228の少なくとも一方(この実施の形態ではリブ228)が、前記両油圧制御弁144,146を跨ぐようにして支持ホルダ154に一体に突設されるので、一対の油圧制御弁144,146が配設される部分で支持ホルダ154を補強することができる。
【0102】
また電線175,176が接続されるようにして側方に突出するカプラ145a,147aを有する第1および第2ソレノイド145,147が、第1および第2油圧制御弁144,146の作動軸線方向から見て斜め上方または斜め下方に前記カプラ145a,147aが配置されるようにして第1および第2油圧制御弁144,146に連結されるので、カプラ145a,147aが第1および第2ソレノイド145,147から上下方向および左右方向に大きく突出することを避けながら、収納室153内のデッドスペースを有効に利用してカプラ145a,147aを配置することができる。
【0103】
また第1および第2油圧制御弁144,146に個別に連結される第1および第2ソレノイド145,147が、前記カプラ145a,147aを同一方向に整列させて各油圧制御弁144,146に連結されるので、カプラ145a,147a同士が干渉することを避けながら、第1および第2ソレノイド145,147を収納室153内にスペース効率よく収納することができる。
【0104】
さらに収納室形成体152を、支持ホルダ154とともに構成するカバー部材155に、第1および第2ソレノイド145,147に接続された電線175,176を外部に導出するための電線導出孔177を前記支持ホルダ154との間に形成する凹部178が設けられるので、油戻し孔225に加えて電線導出孔を支持ホルダ154に設けた場合に比べると、支持ホルダ154側の剛性低下を抑制することができる。
【0105】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0106】
18・・・機関本体
61,62・・・油圧クラッチ
144,146・・・油圧制御弁
145,147・・・アクチュエータであるソレノイド
145a,147a・・・カプラ
148,149・・・弁ハウジング
150,151・・・スプール弁体
152・・・収納室形成体
153・・・収納室
154・・・支持ホルダ
155・・・カバー部材
163,165・・・ダンパー室
175,176・・・電線
177・・・電線導出孔
178・・・凹部
186,193・・・油路
225・・・油戻し孔
226・・・庇部
227,228・・・リブ
C1,C2・・・油圧制御弁の中心軸線
E・・・内燃機関
F・・・車体フレーム
P・・・パワーユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)に機関本体(18)が搭載される内燃機関(E)を含むパワーユニット(P)の動力伝達系に油圧クラッチ(61,62)が介設され、前記油圧クラッチ(61,62)の油圧を制御することを可能としつつ作動方向を車体フレーム(F)の前後方向に沿わせた油圧制御弁(144,146)と、該油圧制御弁(144,146)を駆動するようにして前記作動方向で前記油圧制御弁(144,146)に直列に連結されるアクチュエータ(145,147)とが、前記機関本体(18)に配設され、作動油で満たされる収納室(153)に、前記油圧制御弁(144,146)および前記アクチュエータ(145,147)のうち少なくともアクチュエータ(145,147)が収納される車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置において、前記機関本体(18)に取付けられる収納室形成体(152)に、前記アクチュエータ(145,147)を収納する前記収納室(153)が形成されるとともに前記収納室(153)に一部を臨ませた前記油圧制御弁(144,146)が支持され、前記収納室(153)からの余剰の作動油を前記機関本体(18)内に戻す油戻し孔(225)が、前記収納室(153)の前記油圧制御弁(144,146)側の端部で該収納室(153)内の上部に通じるようにして前記収納室形成体(152)に設けられることを特徴とする車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項2】
前記収納室形成体(152)が、前記油圧制御弁(144,146)を嵌合させて支持するようにして前記機関本体(18)に取付けられる支持ホルダ(154)と、該支持ホルダ(154)との間に前記収納室(153)を形成するようにして前記支持ホルダ(154)に取付けられるカバー部材(155)とから成り、前記支持ホルダ(154)の上部で上方および側方に向けて開口する前記油戻し孔(225)を形成するように前記支持ホルダ(154)の一部が切欠かれることを特徴とする請求項1記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項3】
前記油圧制御弁(144,146)が、前記支持ホルダ(154)に嵌合、固定される弁ハウジング(148,149)と、該弁ハウジング(148,149)に摺動可能に嵌合されるスプール弁体(150,151)とを備えてスプール型に構成され、前記アクチュエータ(145,147)とは反対側で前記弁ハウジング(148,149)および前記スプール弁体(150,151)間に形成されるダンパー室(163,165)および前記収納室(153)間を結んで前記支持ホルダ(154)に形成される油路(186,193)が、前記油圧制御弁(144,146)の中心軸線(C1,C2)よりも上方に配置されることを特徴とする請求項2記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項4】
前記油戻し孔(225)を上方から覆う庇部(226)が、前記支持ホルダ(154)に一体に突設されることを特徴とする請求項2または3記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項5】
前記油戻し孔(225)を前後から挟んで上下に延びる一対のリブ(227,228)が、それらのリブ(227,228)の上端を前記庇部(226)に一体に連ならせて前記支持ホルダ(154)に一体に突設されることを特徴とする請求項4記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項6】
前記動力伝達系に介設される一対の油圧クラッチ(61,62)に個別に対応した一対の油圧制御弁(144,146)が前記支持ホルダ(154)に平行に配設され、一対の前記リブ(227,228)の少なくとも一方が、前記両油圧制御弁(144,146)を跨ぐようにして前記支持ホルダ(154)に一体に突設されることを特徴とする請求項5記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項7】
電線(175,176)が接続されるようにして側方に突出するカプラ(145a,147a)を有する前記アクチュエータ(145,147)が、前記油圧制御弁(144,146)の作動軸線方向から見て斜め上方または斜め下方に前記カプラ(145a,147a)が配置されるようにして前記油圧制御弁(144,146)に連結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項8】
前記動力伝達系に介設される一対の油圧クラッチ(61,62)に個別に対応して前記支持ホルダ(154)に平行に配設される一対の油圧制御弁(144,146)に個別に連結される一対のアクチュエータ(145,147)が、それらのアクチュエータ(145,147)の前記カプラ(145a,147a)を同一方向に整列させて各油圧制御弁(144,146)に連結されることを特徴とする請求項7記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。
【請求項9】
前記カバー部材(155)に、前記アクチュエータ(145,147)に接続された電線(175,176)を外部に導出するための電線導出孔(177)を前記支持ホルダ(154)との間に形成する凹部(178)が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両用パワーユニットの油圧クラッチ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−35433(P2013−35433A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173554(P2011−173554)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】