説明

車両用運転支援装置

【課題】信号待ちで停車中の先行車が発進し、後続する車両が追従発進する場合であっても、現在の信号灯色が赤色或いは黄色の場合は、先行車発進報知は行わず、不必要な支援情報の提供を省略することで、運転者に与える煩雑感を軽減する。
【解決手段】信号灯色が赤色或いは黄色と判定され(S3)、且つ信号待ちの先行車が発進と判定され(S7)、且つ先行車が先頭車と判定された(S8)場合、運転者に対して先行車発進報知は行わない(S9)。一方この状態から自車両が発進しようとした場合は(S10)、信号灯色が赤色或いは黄色である旨の注意を促す支援情報を運転者に報知する(S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号待ちにより車両を停車させている運転者に対し、必要な支援情報のみを報知することで、当該運転者に与える煩雑感を軽減するようにした車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、信号灯色が赤色による信号待ちのために、停止線の手前で複数の車両群が縦列状態で停車している場合、先頭車の運転者は、信号機が赤色から青色に切り替わるまで待機し、信号灯色が青色に切り替わったとき、それを確認してから発進させる。又、後続車両の運転者は、先行車との車間が所望の距離に達するまで待機し、所望の車間距離に達したとき、先行車に追従して自車両を発進させる。この場合、先行車の発進に追従し、所定の車間距離を保ちながら車両を自動的に追従走行させる車間制御付きクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)装置を搭載する車両も知られている。
【0003】
先行車を自動追従するACC装置を搭載する車両において、例えば特許文献1(特開平10−166895号公報)には、停車中の先行車が発進した後、当該先行車と自車両との車間距離が目標車間距離に達すると、運転者に対して発進注意を促す支援情報を報知し、その後、自車両を自動発進させる技術が開示されている。
【0004】
又、特許文献2(特開平6−171482号公報)には、先行車と自車両との車間距離や相対速度を監視し、先行車が発進して自車両との相対速度が0[Km/h]よりも大きくなると、自車両のブレーキ保持を解除し、自動的に発進させて、先行車と自車両との車間距離を目標車間距離に保つように走行制御する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に開示されている技術では、先行車に追従して自車両が発進しようとする場合、必ず、発進注意を促す支援情報が報知される。そのため、例えば、信号灯色が赤色の状態で、先行車が車間を詰めるために微速前進した場合であっても、車間距離が目標車間距離よりも大きくなれば、後続する自車両は自動発進されるので、その都度、発進注意を促す支援情報が報知されることとなり、運転者に煩雑感を与えてしまう不都合がある。
【0006】
又、引用文献2に開示されている技術では、先行車が信号灯色が赤色であるにも拘わらず見切り発進、或いは無理な進入を行っていても、後続車がACC装置を起動している場合、当該後続車は、先行車に追従して発進してしまう可能性がある。その際、見切り発進を行った先行車が、信号灯色が赤色から青色に切り替わらないために停止した場合、後続車はACC装置において設定されている加速度で一旦追従発進した後、急停車される状態となり、搭乗者に不快感を与えてしまう不都合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、信号待ちで停車中の先行車が発進し、後続する車両が追従発進する場合であっても、現在の信号機の灯色と状況に応じて運転者に支援情報を報知するか否かを判定し、不必要な支援情報の提供を省略することで、運転者に与える煩雑感を軽減し、一方、必要な支援情報は的確に報知することで搭乗者に安心感を与えるばかりでなく、先行車に追従して発進する場合であっても、状況に応じた加減速制御を行うことで良好な乗り心地を確保することのできる車両用運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明による車輌用運転支援装置は、運転者に支援情報を報知する情報報知手段と、信号情報提供手段から取得した信号灯色情報に基づき直前の信号機の灯色を判定する信号灯色判定手段と、車両に搭載されている自律センサで検出した車両前方の情報に基づき先行車の有無を判定する先行車判定手段と、前記自律センサで検出した車両前方の情報に基づき前記先行車が停止状態から発進したか否かを判定する先行車発進判定手段と、前記先行車判定手段で先行車有りと判定され、且つ前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定されたとき、前記情報報知手段から先行車発進を報知する支援情報を出力させる支援情報判定手段とを備え、前記支援情報判定手段は、前記信号灯色判定手段で信号灯色が赤色或いは黄色と判定され、且つ前記先行車判定手段で先行車有りと判定され、且つ前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定されたときは、前記情報報知手段から先行車発進を報知する支援情報を出力しないことを特徴とする。
【0009】
この場合、好ましくは、1)前記支援情報判定手段は、前記車両が前記先行車に追従して発進しようとする場合は、前記情報報知手段から現在の信号灯色が赤色或いは黄色である旨の注意を促す支援情報を出力させることを特徴とする。
【0010】
2)前記車両に車間制御付きクルーズコントロール装置が設けられており、前記支援情報判定手段は、先行車発進判定手段で先行車発進と判定された場合であって、前記先行車との車間距離が設定値以上開いた場合は、前記車間制御付きクルーズコントロール装置にて、該車両を緩い加減速で車間を詰めるための走行制御を行わせることを特徴とする。
【0011】
3)支援情報判定手段は、前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定された場合であって、前記先行車との車間距離が設定値以上開いた場合は、前記情報報知手段から発進を促す支援情報を出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信号待ちで停車中の先行車が発進し、後続する車両が追従発進する場合であっても、現在の信号機の灯色が、赤色或いは黄色の場合は、先行車が車間を詰めるために発進し、或いは見切り発進や無理な交差点等への進入と判定して、先行車発進を報知する支援情報を出力しないようにしたので、不必要な支援情報の提供が省略され、運転者に与える煩雑感を軽減させることができる。
【0013】
一方、自車両が先行車に追従して発進しようとする場合は、運転者等に現在の信号灯色が赤色或いは黄色である旨の注意を促す支援情報を出力させるので、必要な支援情報は的確に報知され、搭乗者に安心感を与えることができる。
【0014】
又、車間距離が設定値以上開いた場合、車間制御付きクルーズコントロール装置が備えられている車両では、通常よりも緩い加減速制御で、走行制御が行われるので、良好な乗り心地を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】運転支援装置の全体構成を示す機能ブロック図
【図2】運転支援処理ルーチンを示すフローチャート(その1)
【図3】運転支援処理ルーチンを示すフローチャート(その2)
【図4】先行車が見切り発進した場合の自車両との関係を示す説明図
【図5】信号待ちの先行車が車間を詰めるために前進した場合の自車両との関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。本実施形態による運転支援装置1は、自動車等の車両に搭載され、信号機手前に設置されている、信号情報提供手段としてのインフラ設備(ビーコン送信機等)との路車間通信によって得られる情報と、自車に搭載されている各種センサから得られる情報とに基づき、交差点等のように、信号機が設置されている道路を通行する車両の運転支援を的確に行うようにしたものである。
【0017】
この運転支援装置1に制御装置(ECU)2が設けられている。このECU2は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、運転支援を実現する機能として、受信データ解析部11、センサ検出データ解析部12、支援処理部13を有している。又、この支援処理部13が、ACC装置に設けられているACC制御装置(ACC_ECU)25と双方向通信自在に接続されている。更に、この支援処理部13が、情報報知手段としての情報表示装置23に接続されている。
【0018】
受信データ解析部11は、送受信機21で受信した車外情報をデータ解析する。車外情報としては、インフラ設備(光ビーコンや電波ビーコン等のビーコン送受信機等)との路車間通信によって得られる、直前の信号機の情報(現在の信号機の灯色(信号灯色)情報、現在の信号灯色の切り替わり残存時間情報及び切り替わり周期情報等)や、道路線形情報(インフラ設備から当該インフラ設備の情報対象である信号機に対応する停止線までの距離、交差点形状等)やGPSから得られる位置情報等がある。
【0019】
センサ検出データ解析部12は、車両に搭載されている各種センサ類22で検出した情報をデータ解析する。車両に搭載されている各種センサ類22としては、自律センサや車両の運転状態を検出するセンサ等がある。自律センサは自車両の走行方向の環境情報を検出するものであり、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、赤外線センサ、カメラ等がある。この自律センサで検出した情報に基づいて、前方を走行する車両(先行車)との車間距離や相対車速等の先行車情報を解析する。尚、自律センサとしてカメラが搭載されている場合は、このカメラによって信号灯色情報、道路標識の種別情報、道路標識に表示されている制限速度情報等の視覚的情報を取得することができる。又、信号灯色の配列は決められているため、カメラで補足した輝度差によって点灯している信号灯色を識別することも可能である。
【0020】
支援処理部13は、受信データ解析部11で解析した信号機の情報(信号機情報)や道路線形情報と、センサ検出データ解析部12で解析した先行車情報、及びACC_ECU25から読込んだACC情報に基づき、直前にある信号機の手前を走行する自車両に対して支援情報を報知するか否かを判定し、報知する必要がないと判定した場合は、報知することなく車両を走行させる。一方、報知する必要があると判定した場合は、当該支援情報を情報表示装置23を介して運転者に報知させる。
【0021】
情報表示装置23は、カーナビゲーションシステムのモニタやスピーカを利用した画像音声表示装置、液晶モニタなどの画像表示装置、スピーカシステム等の音声表示装置、多数配列されたLED等の発光素子の点灯、点滅により文字情報等を表示させる発光表示装置、或いはブザーやウォーニングランプ等であり、画像情報、音声情報、文字情報等、視覚的或いは聴覚的な報知手段の内の1つ或いは2つ以上によって、運転者に支援情報を報知する。
【0022】
この支援処理部13で実行される運転支援処理は、具体的には、図2、図3に示す運転支援処理ルーチンに基づいて行われる。
【0023】
このルーチンでは、先ず、ステップS1で、信号機情報や道路線形情報が取得されたか否かを調べる。この信号機情報や道路線形情報は、信号機の手前に設置されているインフラ設備から送信されるものであり、信号機情報や道路線形情報が取得されない場合、ステップS1を繰り返し実行して、取得されるまで待機する。そして、信号機情報や道路線形情報が取得されたとき、ステップS2へ進み、信号機情報及び道路線形情報を更新する。
【0024】
インフラ設備が光ビーコンの場合、信号機情報は自車両がインフラ設備を通過したときのみ取得される。従って、ステップS2では、各種センサ類22で検出した車速、或いはGPSから得られる位置情報、及び信号機情報や道路線形情報を取得したときからの経過時間に基づき、例えば信号灯色の切り替わり残存時間、自車両と停止線までの距離(停止線到達距離)等を逐次更新する。一方、インフラ設備が電波ビーコンの場合は、ある範囲でデータを取得可能であるため、電波ビーコンから最新の信号機情報を取得することで、例えば信号灯色の切り替わり残存時間は最新のデータを逐次的に取得することができる。
【0025】
その後、ステップS3へ進み、当該走行車線における現在の信号灯色を調べる。現在の信号灯色が青色(この青色には矢印灯も含まれる)の場合、同一の走行車線を走行している車両群は、縦列状態で走行していると考えることができる。又、信号灯色が赤色或いは黄色の場合は、車両群が停車或いは停車しようとしている状態と考えられる。尚、このステップでの処理が、本発明の信号灯色判定手段に対応している。
【0026】
そして、現在の信号灯色が青色(矢印灯も含む)の場合、ステップS4へ進み、赤色、或いは黄色の場合はステップS5へ進む。
【0027】
ステップS4へ進むと、ACC_ECUからの信号に基づいてACC装置が起動しているか否かを調べ、起動しているときは、ステップS6へ進み、通常のACC制御を継続させて、ルーチンを抜ける。又、ACC装置が起動していないときは、そのままルーチンを抜ける。つまり、信号灯色が青色の場合、自車両は走行状態に有るため、何ら制限することなくルーチンを抜けることになる。尚、ACC装置が搭載されていない車両は、ステップS4からそのままルーチンを抜ける。
【0028】
一方、信号灯色が赤色、或いは黄色と判定されて、ステップS5へ進むと、各種センサ類22に設けられている自律センサで検出した自車両前方の情報に基づき、先行車が有るか否かを調べ、先行車有りと判定された場合は、ステップS7へ進み、先行車無しと判定された場合は、ステップS10へジャンプする。尚、このステップでの処理が、本発明の先行車判定手段に対応している。
【0029】
ステップS7へ進むと、当該先行車が発進したか否かを、自律センサで検出した先行車情報に基づいて調べ、先行車発進(停車しようとした状態からの加速運転も含む)と判定したときは、ステップS8へ進み、先行車が停止、或いは停止しようとしていると判定した場合は、ステップS14へジャンプする。尚、このステップでの処理が、本発明の先行車発進判定手段に対応している。
【0030】
先行車が発進したか否かは、種々の方法で調べることができる。例えば、自車速と車間距離Lc(図4参照)とに基づいて調べ、自車速が0[Km/h]で、自律センサで検出した先行車との車間距離Lc(図4参照)が、経時的に広がったとき、先行車発進と判定する。
【0031】
その後、ステップS8へ進むと、先行車が停止線の直前で停車している先頭車か否かを調べ、先頭車の場合、ステップS9へ進み、先頭車ではないと判定した場合、ステップS13へジャンプする。
【0032】
先行車が先頭車であるか否かは種々の方法により調べることができる。例えば、図4に示すように、自車両Aの停止線までの距離(自車−停止線間距離)Lは、自車両Aがインフラ設備27を通過した際に取得したインフラ設備27から停止線28までの距離(インフラ−停止線間距離)Lsから自車両Aの移動距離(車速×インフラ設備通過後の経過時間)を減算することで求められる。そして、先行車Bの末尾から停止線28までの距離(先行車末尾−停止線間距離)ΔLは、自車−停止線間距離Lから車間距離Lcを減算することで求められる(ΔL=L−Lc)。この先行車末尾−停止線間距離ΔLが、予め設定されている先頭車判定距離Ld(例えば普通車であればLd=10[m])と比較する。そして、ΔL≦Ldの場合、先行車Bは先頭車であると判定する。
【0033】
そして、ステップS7で先行車発進と判定され、且つステップS8で先行車が先頭車であると判定された場合、現在の信号灯色が赤色或いは黄色であるため、先頭車は見切り発進、或いは交差点等への無理な進入と判定し、ステップS9において、先行車発進報知をOFF(先行車発進報知はしない)し、ステップS10へ進む。従って、この場合、先行車が発進して、先行車との車間距離が停車時の目標車間距離よりも大きくなっても、先行車が発進した旨を示す支援情報の報知は行われない。
【0034】
すなわち、図4に示すように、先頭で停止している先行車Bが、信号機26の灯色が赤色或いは黄色であるにも拘わらず、図の破線で示すように、先行車Bが停止線28を越えた場合には、見切り発進、或いは交差点への無理な進入と判定して、情報表示装置23から、運転者に対して先行車発進報知は行われない。
【0035】
その後、ステップS5或いはステップS9からステップS10へ進むと、自車両が発進しようとしているか否かを調べる。自車両が発進しようとしているか否かは、例えば各種センサ類22に設けられている、車速を検出する車速センサ(或いは各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ)、又はスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサからの信号に基づき、車速が0[Km/h]の停車状態から車速が検出されたとき(車速>0[Km/h])、或いはスロットル開度が所定開度以上に開弁されたことを検出したとき、自車両が発進しようとしていると判定する。
【0036】
そして、自車両が発進していないとき、すなわち、停車状態を維持しているときは、ステップS11へ進み、支援情報の出力は待機状態として、ステップS1へ戻る。又、先行車が存在していない状態で自車両が発進しようとしており、或いは先行車に追従して発進しようとしてる場合は、ステップS12へ進み、現在の信号灯色が赤色(或いは黄色)である旨の注意を促す支援情報を情報表示装置23に出力して、ステップS1へ戻る。その結果、情報表示装置23から運転者に、信号灯色が赤色である旨の注意を促す支援情報が、視覚的、聴覚的、或いはその両方によって報知される。
【0037】
一方、ステップS7で、先行車が発進していないと判定した場合、すなわち、先行車が停車状態、或いは停車しようとしている状態に有ると判定されて、ステップS14へ進むと、支援情報の出力は待機させて、ステップS1へ戻る。
【0038】
又、ステップS8で、先行車両が先頭車ではないと判定された場合は、先行車から停止線までの距離が長いため、ステップS13で、先行車との車間距離Lc(図4参照)と、予め設定した閾値とを比較する。この閾値は、おおよそ自車両の車体長の2倍程度(普通車であれば10[m]程度)に設定されている。
【0039】
そして、車間距離<閾値と判定されたときは、ステップS14へ進み、車間距離≧閾値と判定されたときは、ステップS15へ進む。例えば、図5に示すように、信号機26の灯色が赤色或いは黄色の、いわゆる信号待ちのとき、先行車Bが停止している状態から前進し、車間距離Lcが閾値(例えば10[m])を越えた場合、先行車Bは車間を詰めるために前進したと判定する。
【0040】
そして、ステップS7或いはステップS13からステップS14へ進むと、支援情報の出力は待機として、ステップS1へ戻る。又、ステップS15へ進むと、ACC装置が起動しているか否かを、ACC_ECU25からの信号に基づいて判定し、ACC装置が起動している場合は、ステップS16へ進み、ACC_ECU25に車間詰め制御を実行する指令を出力して、ステップS13へ戻る。
【0041】
ACC装置に設けられているACC_ECU25は、運転支援装置1のECU2に設けられている支援処理部13から車間詰め制御を実行する指令を受信すると、通常の追従発進時に設定されている加減速度よりも緩い加減速度(例えば、通常発進時の半分の加減速度)で自車両を追従発進させて、先行車との車間距離を、停車時の目標車間距離まで詰める。すなわち、現在の信号灯色が赤色、或いは黄色の状態で、車間距離Lcが閾値よりも長い場合は(Lc≧閾値)、先行車は単に車間を詰めるために発進したものと考えられるので、後続する自車両は、この先行車に対して通常の加減速度で敢えて追従する必要はなく、緩い加減速度で追従することで、良好な乗り心地を確保することができると共に、運転者の意思に沿った加減速制御を得ることができる。
【0042】
例えば、図5において、自車両AにACC装置が搭載されており、当該ACC装置が起動している状態では、上述したように支援処理部13が、先行車は車間を詰めるために前進したと判定した場合、ACC装置は、発進する旨の報知(自車発進報知)を運転者に告げることなく、自車両Aを、緩い加減速度(通常時の半分の加減速度)で車間を詰めるための走行制御を実行する。
【0043】
又、ACC装置が作動していない場合は、ステップS17へ進む。尚、ACC装置が搭載されていない車両の場合は、ステップS15からステップS17へ進む。
【0044】
ステップS17へ進むと、先行車との車間距離が開いているので車間を詰めるための発進を促す支援情報を情報表示装置23に出力して、ステップS1へ戻る。支援処理部13から情報表示装置23に発進を促す支援情報が入力されると、この情報表示装置23から運転者に、車間を詰めるための発進を促す支援情報が視覚的、聴覚的、或いはその両方によって報知される。尚、上述したステップS9〜S17迄の処理が、本発明の支援情報判定手段に対応している。
【0045】
このように、本実施形態では、信号灯色が、赤色或いは黄色の状態では、先行車の発進は、見切り発進、或いは交差点等への無理な進入と判定して、運転者に先行車発進報知を行わないようにしたので、運転者に対する不必要な支援情報の提供が省略され、運転者に与える煩雑感を軽減することができる。又、このような場合に、先行車に追従して自車両が発進しようとした場合は、現在の信号灯色が赤色(或いは黄色)である旨の注意を促す支援情報を運転者等に報知するようにしたので、必要な支援情報は的確に報知され、搭乗者に安心感を与えることができる。
【0046】
更に、信号灯色が赤色或いは黄色の状態で先行車との車間距離が予め設定されている閾値よりも長い場合は、緩やかな加減速度で追従発進させて停止させるようにしたので、運転者の意思に沿った加減速制御となり、良好な乗り心地を確保することができるばかりでなく、燃費を改善することができる。
【0047】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば先行車の車種(普通車、大型車、二輪車等)を、自律センサで検出した車幅、車高等に基づいて判定し、判定した車種に応じて、先頭車判定距離Ldを可変設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…運転支援装置、
2…制御装置、
11…受信データ解析部、
12…センサ検出データ解析部、
13…支援処理部、
21…送受信機、
22…各種センサ類、
23…情報表示装置、
25…ACC制御装置、
26…信号機、
27…インフラ設備、
28…停止線、
A…自車両、
B…先行車、
L…停止線間距離、
Lc…車間距離、
Ld…先頭車判定距離、
ΔL…停止線間距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開平10−166895号公報
【特許文献2】特開平6−171482号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に支援情報を報知する情報報知手段と、
信号情報提供手段から取得した信号灯色情報に基づき直前の信号機の灯色を判定する信号灯色判定手段と、
車両に搭載されている自律センサで検出した車両前方の情報に基づき先行車の有無を判定する先行車判定手段と、
前記自律センサで検出した車両前方の情報に基づき前記先行車が停止状態から発進したか否かを判定する先行車発進判定手段と、
前記先行車判定手段で先行車有りと判定され、且つ前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定されたとき、前記情報報知手段から先行車発進を報知する支援情報を出力させる支援情報判定手段と
を備え、
前記支援情報判定手段は、前記信号灯色判定手段で信号灯色が赤色或いは黄色と判定され、且つ前記先行車判定手段で先行車有りと判定され、且つ前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定されたときは、前記情報報知手段から先行車発進を報知する支援情報を出力しない
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記支援情報判定手段は、前記車両が前記先行車に追従して発進しようとする場合は、前記情報報知手段から現在の信号灯色が赤色或いは黄色である旨の注意を促す支援情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1記載の車輌用運転支援装置。
【請求項3】
前記車両に車間制御付きクルーズコントロール装置が設けられており、
前記支援情報判定手段は、先行車発進判定手段で先行車発進と判定された場合であって、前記先行車との車間距離が設定値以上開いた場合は、前記車間制御付きクルーズコントロール装置にて、該車両を緩い加減速で車間を詰めるための走行制御を行わせる
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
支援情報判定手段は、前記先行車発進判定手段で先行車発進と判定された場合であって、前記先行車との車間距離が設定値以上開いた場合は、前記情報報知手段から発進を促す支援情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−70299(P2011−70299A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219162(P2009−219162)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】