説明

車両空調システム、車両および車両空調装置

【課題】エネルギー使用量の増大を抑制しつつ、車室空調のための空調媒体を供給可能な車両空調システム、ならびにそれに向けられた車両および車両空調装置を提供する。
【解決手段】蒸発工程208が実行される蒸発器に近接して蓄熱部24が設けられる。この蓄熱部24は、蒸発工程208において吸熱され、冷熱を蓄える。ファン26は、回転することにより車両空調装置20の外部から空気を取り入れ(吸気)、その取り入れた空気を蓄熱部24の周囲を通過させることで、当該空気と蓄熱部24との間で熱交換を生じさせ、この熱交換によって冷却された空気を、空調空気として媒体供給管46を介して車両10へ送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両外部から供給される空調媒体によって車両を空調する車両空調システム、ならびにそれに向けられた車両および車両空調装置に関し、特にヒートポンプサイクルを利用して空調媒体を供給するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの、いわゆる電動車両は、二次電池やキャパシタなどからなる蓄電装置を搭載し、当該蓄電装置に蓄えられた電力を用いて電動機から駆動力を発生する。
【0003】
近年、このような電動車両に搭載された蓄電装置を系統電源や太陽電池などの外部電源により充電する構成が提案されている。特に、ハイブリッド自動車では、搭載される内燃機関での発電コストに比較して、外部電源のコストが低い場合には、蓄電装置を外部電源で充電することにより、総合的な走行コストを抑制できる。
【0004】
ところで、市販される電動車両では、乗員に対する快適性を確保する必要もある。代表的に、夏季などにおいては、車室空間の空調(冷房)を行なう必要がある。このような車室空調には、比較的大きな動力が必要となる。そのため、このような車室空調を行なうために、車両駆動力の発生に使用すべき電力が過剰に消費されたり、ハイブリッド車両では内燃機関が不必要に作動したりする事態が生じ得る。
【0005】
このような課題に対する一つの解決手段として、特開2006−321389号公報(特許文献1)には、ハイブリッド車両において走行用エンジンの稼働率を暖房要求によって不要に上げることなく、暖機性に優れる車両用廃熱利用装置が開示されている。この車両用廃熱利用装置は、モータ冷却回路の廃熱をヒートポンプサイクルによって、エンジン冷却回路に伝達する構成を採用する。
【0006】
上記の課題に対する別の解決手段として、蓄電装置を外部充電する際などに所定の空調媒体を車両へ供給し、予め車室空間を空調しておく構成が提案されている。このような構成において、車両へ供給される空調媒体は、住宅内などに設置されるエアーコンディショナ装置などを利用して生成されることが想定されている。
【特許文献1】特開2006−321389号公報
【特許文献2】特開平08−37705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、夜間電力を利用して温水を供給するヒートポンプ式の給湯設備が普及しつつある。このようなヒートポンプ式の給湯設備は、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクル(ヒートポンプサイクル)を実行することで、蒸発工程において吸熱した熱エネルギーを凝縮工程において水に移動させ、冷水を温水に変化させる。
【0008】
ところで、従来のヒートポンプ式の給湯設備では、この蒸発工程において吸熱された熱エネルギー、すなわち「冷熱」は廃棄されていた。そのため、ヒートポンプ式の給湯設備を駆動するために投入したエネルギー(電力やガス)を最大限利用しているとは言えなかった。
【0009】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、エネルギー使用量の増大を抑制しつつ、車室空調のための空調媒体を供給可能な車両空調システム、ならびにそれに向けられた車両および車両空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う車両空調システムは、車両と、車両を空調するための空調媒体を供給する空調媒体供給部と、車両と連結可能に構成され、空調媒体を空調媒体供給部から車両へ搬送する媒体搬送管とを備える。空調媒体供給部は、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、蒸発工程において吸熱される蓄熱部とを含み、空調媒体は、蓄熱部に蓄えられた冷熱を利用して生成される。
【0011】
好ましくは、空調媒体供給部は、媒体を蓄熱部との間で熱交換を行なった上で空調媒体として送出する送出部をさらに含み、車両空調システムは、送出部を制御する制御部をさらに備える。
【0012】
さらに好ましくは、車両空調システムは、車両の空調対象空間における温度を取得する車両温度取得手段と、蓄熱部の温度を取得する蓄熱部温度取得手段とをさらに備え、制御部は、車両温度取得手段によって取得された温度と、蓄熱部温度取得手段によって取得された温度との大小関係に基づいて、送出部の作動を制御する。
【0013】
好ましくは、制御部は、ヒートポンプ機能の運転状態に応じて、送出部の作動を制御する。
【0014】
好ましくは、車両は、駆動力を発生するための電力を蓄える充放電可能な蓄電装置を含み、車両空調システムは、蓄電装置と外部電源とを電気的に接続するための電力供給線をさらに備え、電力供給線は、媒体搬送管と一体に形成される。
【0015】
この発明の別の局面に従えば、車両空調装置と連結可能に構成された車両を提供する。車両空調装置は、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、蒸発工程において吸熱される蓄熱部と、媒体を蓄熱部との間で熱交換を行なった上で空調媒体として送出する送出部と、蓄熱部の温度を検出する蓄熱部温度検出手段とを含む。車両は、車両空調装置からの空調媒体を受入れて、空調媒体を用いて空調されるように構成され、車両は、車両の空調対象空間における温度を取得する車両温度取得手段と、車両空調装置から蓄熱部の温度を取得する蓄熱部温度取得手段と、車両温度取得手段によって取得された温度と、蓄熱部温度取得手段によって取得された温度との大小関係に基づいて、車両空調装置の送出部の作動を制御する制御手段とを備える。
【0016】
好ましくは、車両は、駆動力を発生するための電力を蓄える充放電可能な蓄電装置をさらに備え、車両は、外部電源からの外部電力を受入れて、蓄電装置を充電可能に構成され、車両は、外部電力の受入れ時に、車両空調装置からの空調媒体を受入れる。
【0017】
この発明のさらに別の局面に従えば、車両を空調するための空調媒体を供給する車両空調装置であって、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、蒸発工程において吸熱される蓄熱部と、媒体を蓄熱部との間で熱交換を行なった上で空調媒体として送出する送出部と、車両からの要求に応答して、蓄熱部の温度を検出し、その検出結果を車両へ送信する蓄熱部温度送信手段と、ヒートポンプ機構の作動状態および車両からの指令に応じて、送出部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、エネルギー使用量の増大を抑制しつつ、車室空調のための空調媒体を供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0020】
[実施の形態1]
(システム構成)
図1は、この発明の実施の形態1に従う車両空調システム1の概略構成図である。
【0021】
図1を参照して、この発明の実施の形態1に従う車両空調システム1は、車両10と、車両空調装置20とを含む。
【0022】
車両10は、充放電可能な蓄電装置(図2)を搭載した電動車両であり、本実施の形態では、代表的にハイブリッド自動車からなる場合について例示する。蓄電装置は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池および鉛蓄電池といった二次電池、または電気二重層キャパシタといった比較的大きな容量を有するキャパシタからなる。車両10は、さらにこの蓄電装置に蓄えられた電力を用いて駆動力を発生する電動機、および燃料の燃焼によって作動する内燃機関(いずれも図示しない)を搭載しており、この電動機および内燃機関の作動状態を車両10の走行状況に応じて適宜制御することで、最適な燃料消費効率を維持したまま走行できる。
【0023】
特に、本実施の形態に従う車両10は、コネクタ部42と連結可能に構成される。そして、コネクタ部42は、電力供給線44、媒体供給管46および制御線48の一端を車両10にそれぞれ接続するための仲介部として機能する。車両10には、このコネクタ部42および電力供給線44を介して、蓄電装置を充電するための外部電力が供給されるとともに、このコネクタ部42および媒体供給管46を介して、車両10の車室内を空調するための空調媒体が供給される。なお、以下の説明では、車両10の走行時における蓄電装置の充電動作と区別するために、外部電源からの電力による蓄電装置の充電動作を「外部充電」とも記す。
【0024】
また、車両10に搭載される制御部(図2)は、コネクタ部42および制御線48を介して、車両空調装置20側の制御部22とデータ通信可能に構成される。
【0025】
車両10における蓄電装置の充電動作および車室内の空調動作については、後述する。
これに対して、電力供給線44の他端は、充電ステーション40を介して、商用電源などの外部電源と電気的に接続され、媒体供給管46および制御線48の他端は、充電ステーション40を介して、車両空調装置20に接続される。なお、商用電源に代えて、住宅30の屋根などに設置される太陽電池パネルが発電する電力を車両10に供給するようにしてもよい。
【0026】
電力供給線44、媒体供給管46および制御線48は、コネクタ部42を自在に取回しできるようにいずれも可とう性を有する材質で構成される。なお、電力供給線44、媒体供給管46および制御線48は、一体的に形成されることが好ましい。また、充電ステーション40は、車両10の駐車スペースおよび住宅30のいずれにも近接するように設置され、電力供給線44、媒体供給管46および制御線48についての巻取機構やコネクタ部42の収納機構(いずれも図示しない)などを含む。さらに、充電ステーション40には、使用者に対するセキュリティ機構や課金機構などを含んでいてもよい。
【0027】
車両空調装置20は、住宅30への給湯設備として機能するとともに、車両10を空調するための空調媒体を供給するための空調媒体供給部としても機能する。具体的には、車両空調装置20は、ヒートポンプサイクル(以下、「熱サイクル」とも記す)を実行するヒートポンプ機構200を含み、この熱サイクルによって、住宅30への温水の供給および車両10への空調空気の供給を実現する。
【0028】
この熱サイクルは、圧縮工程202と、凝縮工程204と、膨張行程206と、蒸発工程208とを含み、このヒートポンプ機構を循環する冷媒に対して、これらの工程を連続的に実行することで、蒸発工程208において吸熱された熱エネルギーが凝縮工程204において放出される。圧縮工程202では、図示しないコンプレッサ(圧縮機)が低圧状態の冷媒を圧縮して高温高圧状態にする。なお、このコンプレッサは、電力またはガスなどの動力を受けて駆動する。次に、凝縮工程204では、凝縮器(コンデンサ)を介して、この高温高圧状態の冷媒が水との間で熱交換される。この熱交換によって、高温高圧状態の冷媒が保有していた熱エネルギーは水へ移動し、冷媒は常温高圧状態に変化する。その後、膨張行程206では、この常温高圧状態の冷媒が減圧される。この減圧された冷媒は、蒸発工程208において、周囲空気から熱エネルギーを吸収(吸熱)して、低圧状態に戻る。そして、圧縮工程202において、上記と同様の動作が実行される。
【0029】
このような熱サイクルによって、蒸発工程208において吸熱された熱エネルギー(蒸発器の周囲空気から吸収された熱エネルギー)が、凝縮工程204(凝縮器)において水へ伝達される。この凝縮工程204において熱エネルギーが水へ伝達されることで、冷水が温水へ変化する。
【0030】
上記のような熱サイクルを利用して生成された温水は、車両空調装置20に連結された貯湯槽50に蓄えられる。なお、貯湯槽50と凝縮器との間で水(温水)を循環する経路が設けられており、水を循環させるためのポンプ52およびフィルタ54がこの循環経路に設けられる。また、貯湯槽50には、住宅30(水道など)から供給される冷水を受入れる経路、および生成された温水を住宅30へ供給する経路が設けられている。
【0031】
特に、本実施の形態に従う車両空調装置20では、上記の熱サイクルの蒸発工程208が実行される蒸発器に近接して蓄熱部24が設けられる。この蓄熱部24は、蒸発工程208において吸熱され、冷熱を蓄える。蓄熱部24は、熱容量が相対的に大きな物質を主材料として構成されており、代表的にパラフィンなどからなる。後述するように、車両10へ供給される空調媒体は、媒体(空気)と蓄熱部24との間の熱交換によって生成されるので、蓄熱部24に蓄えられる冷熱は、乗員が快適に感じる温度となることが好ましい。すなわち、蓄熱部24の相変化温度(凝固点/融解点)は、たとえば18℃〜22℃程度であることが好ましい。
【0032】
さらに、車両空調装置20は、媒体(空気)を蓄熱部24との間で熱交換を行なった上で、空調媒体として送出する送出部として機能するファン26を含む。すなわち、ファン26は、車両空調装置20の外部から空気を取り入れ(吸気)、その取り入れた空気を蓄熱部24の周囲を通過させることで、蒸発工程208を促進させるとともに、この蒸発工程208で生じた冷熱を蓄熱部24に蓄える機能を発揮する。同時に、ファン26は、この蓄熱部24に蓄えられた冷熱を、空調空気として媒体供給管46を介して車両10へ送出する機能をも発揮する。
【0033】
なお、図1には、蒸発工程208を促進させるため機能と、蓄熱部24に蓄えられた冷熱を空調空気として車両100へ送出するため機能とを、同一のファン26で実現する場合を示すが、それぞれの機能を別々のファンで実現するようにしてもよい。
【0034】
また、車両空調装置20と充電ステーション40との間の媒体供給管46には、切換弁28が設けられており、車両空調装置20からの空調空気を選択的に導通または遮断する。
【0035】
さらに、車両空調装置20は、制御部22および温度検出部210を含む。制御部22は、住宅30内に設けられた設定器32などからの設定に従って、ヒートポンプ機構200の運転を制御する。代表的に、制御部22は、相対的に電気代が安くなる深夜時間帯になればヒートポンプ機構200を運転したり、また住宅30側で必要な給湯量などに応じてヒートポンプ機構200を運転したりする。
【0036】
なお、制御部22は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶部とを主体とする電子制御ユニットからなり、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、所定の制御動作を実現する。
【0037】
特に、本実施の形態に従う制御部22は、制御線48を介して車両10の制御部とデータ通信可能に構成され、車両10の制御部からの制御指令に従って、ファン26の作動を制御する。温度検出部210は、蓄熱部24に近接または接触して配置され、蓄熱部24の温度(以下、「蓄熱部温度」とも記す)を検出し、その検出結果を制御部22へ出力する。制御部22は、ヒートポンプ機構200の運転状態(運転中/停止中)や温度検出部210からの温度検出結果を車両10側の制御部へ送信する。すると、車両10側の制御部がこの車両空調装置20の制御部22からの温度検出結果に基づいて、ファン26の作動を制御するための制御指令を制御部22へ与える。
【0038】
図2は、この発明の実施の形態1に従う車両10の概略構成を示す図である。
図2を参照して、車両10は、代表的に車両後方にコネクタ部42が連結されるとともに、このコネクタ部42を介して供給される空調空気を、車室内導管110によって車室内に導き入れる。この導き入れられた空調空気によって、運転者などが搭乗するための座席18が設けられた車室内が空調される。なお、図1および図2には、代表的にコネクタ部42が車両10の後方に連結される構成を示すが、コネクタ部42の連結位置は限定されるものではない。
【0039】
車両10には、蓄電部16および制御部12が搭載されており、蓄電部16は電力供給線44を介して供給される外部電源により充電可能に構成される。なお、車両10には、蓄電部16を外部充電するための構成として、外部充電に係る充電電流や充電電圧を制御するための図示しない電力変換装置(AC/DCコンバータやDC/DCコンバータ)が搭載されてもよい。
【0040】
制御部12は、蓄電部16の外部充電を制御するとともに、上述したように車両空調装置20からの空調空気の供給を制御する。さらに、車両10には、空調対象空間である車両10の車室内における温度(以下、「車室温度」とも記す)を検出するための温度検出部14と、車両10の外部温度(以下、「外気温度」とも記す)を検出する温度検出部15とがさらに設けられている。そして、制御部12は、ヒートポンプ機構200の運転状態および蓄熱部温度に加えて、これらの温度検出部14からの車室温度に基づいて、車両空調装置20におけるファン26の作動(送風開始または送風量)および切換弁28の作動を制御する。
【0041】
なお、制御部12は、上述の制御部22と同様に、CPUなどの演算部と、RAMやROMなどの記憶部とを主体とする電子制御ユニットからなり、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、所定の制御動作を実現する。
【0042】
(空調媒体の供給制御)
次に、図3を参照して、車両空調装置20から車両10への空調空気の供給制御について説明する。なお、以下に例示する供給制御は、車両10の制御部12が主体的に動作することで実現される。
【0043】
図3は、この発明の実施の形態1に従う車両空調システム1における空調媒体の供給制御の一例を示すタイムチャートである。図3(a)は、ヒートポンプ機構200が運転中の場合を示し、図3(b)は、ヒートポンプ機構200が停止中の場合を示す。
【0044】
図3(a)を参照して、ヒートポンプ機構200が運転中であれば、蓄熱部24は連続的に吸熱されるので、蓄熱部24にはヒートポンプ機構200の運転に応じた冷熱が蓄積される。そのため、蓄熱部温度は、外気温度に比較して相対的に低い値に維持される。そこで、ヒートポンプ機構200が運転中であれば、蓄熱部温度が車室温度以下である場合に、空調温度を車両10へ供給する。すなわち、「蓄熱部温度≦車室温度」の条件が成立する場合に、ファン26を回転させて蓄熱部24と周辺空気との間で熱交換を生じさせるとともに、切換弁28を導通状態に駆動し、空調空気を車両10へ送出する。図3(a)における空調空気の送出期間は、時間T1〜時間Taの期間、および時間Tbから時間Tcの期間に相当する。
【0045】
これに対して、蓄熱部温度が車室温度を上回っている場合、すなわち「蓄熱部温度>車室温度」の条件が成立する場合に、切換弁28を遮断状態に駆動し、空調空気の車両10への送出を停止する。図3(a)における空調空気の送出停止期間は、時間Ta〜時間Tbの期間、および時間Tcから時間T2の期間に相当する。
【0046】
なお、図3(a)において、温度tphは相変化温度(凝固点/融解点)を示し、蓄熱部24は、そのすべてが固体から液体への相変化するまでは、当該相変化温度を維持する。そのため、車室内温度が相対的に大きく変動する場合には、蓄熱部温度が車室温度以下になる状態が存在し、この状態において空調空気が車両10へ供給可能となる。
【0047】
このように、蓄熱部24を利用した空調空気の発生機構を採用することで、空調空気の温度を比較的安定化することができるので、車室内空調を適切に実現することができる。
【0048】
これに対して、図3(b)を参照して、ヒートポンプ機構200が停止中であれば、蓄熱部24に対する吸熱が生じないので、蓄熱部温度は外気温度と略一致する。但し、上述したように、蓄熱部温度の温度上昇は、蓄熱部24の相変化温度(温度tph)に抑制される。
【0049】
ヒートポンプ機構200が停止中の場合にも、蓄熱部温度が車室温度以下である場合に、空調温度を車両10へ供給する。すなわち、「蓄熱部温度≦車室温度」の条件が成立する場合に、ファン26を回転させて蓄熱部24と周辺空気との間で熱交換を生じさせるとともに、切換弁28を導通状態に駆動し、空調空気を車両10へ送出する。図3(b)における空調空気の送出期間は、時間T1〜時間Taの期間、および時間Tbから時間Tcの期間に相当する。なお、図3(a)と図3(b)とを比較すると、空調空気を供給する時間が低減していることが分かる。
【0050】
このように、制御部12は、蓄熱部温度と車室温度との大小関係に基づいて、空調空気の供給、すなわち車両空調装置20におけるファン26および切換弁28の作動を制御する。
【0051】
なお、ヒートポンプ機構200が運転中であれば、蒸発工程208における蒸発器と蓄熱部24との間の熱交換を促進するために、空調空気の供給の有無にかかわらず、ファン26を連続的に作動させるとともに、空調空気の供給時のみ切換弁28を導通状態にするようにしてもよい。これに対して、ヒートポンプ機構200が停止中であれば、蒸発器と蓄熱部24との間で熱交換が行なわれないので、空調空気の供給時のみにファン26の作動および切換弁28の導通状態への駆動を行なってもよい。
【0052】
(制御構造)
図4および図5を参照して、本実施の形態に従う車両空調システム1における空調媒体の供給制御を行なうための制御構造について説明する。
【0053】
図4は、この発明の実施の形態1に従う車両空調システム1における車両10の制御部12と車両空調装置20の制御部22との間のシーケンスを示す図である。
【0054】
図4を参照して、まず、コネクタ部42が車両10に連結される(ステップS10)と、車両10の制御部12と車両空調装置20の制御部22との間で、通信確立手続が開始される(ステップS12)。この通信確立手続としては、互いに通信相手や通信速度・通信プロトコルなどを特定する処理が実行される。
【0055】
この通信確立手続が完了すると、車両10の制御部12は、車両空調装置20の制御部22に対して、状態要求を送信する(ステップS14)。この状態要求は、ヒートポンプ機構200の運転状態や蓄熱部温度の送信を要求するための制御指令である。この状態要求に応答して、車両空調装置20の制御部22は、温度検出部210によって検出された蓄熱部温度、およびヒートポンプ機構の運転状態を示す情報を含む状態応答を、車両10の制御部12に対して送信する(ステップS16)。
【0056】
また、車両10の制御部12は、温度検出部14および15からそれぞれ車室温度および外気温度を取得する(ステップS18)。さらに、車両10の制御部12は、ヒートポンプ機構200の運転状態、蓄熱部温度および車室温度に基づいて、空調空気の供給が可能であるか否かを判断し、制御指令を生成する(ステップS20)。そして、車両10の制御部12は、空調空気を供給させるか否かを指示する制御指令を、車両空調装置20の制御部22に対して送信する(ステップS22)。
【0057】
この制御指令に対して、車両空調装置20の制御部22は、所定の制御動作を実行する(ステップS24)。所定の制御動作とは、代表的にファン26および切換弁28の作動である。
【0058】
以下、コネクタ部42が車両10から切離される(ステップS26)まで、このステップS12〜ステップS24の処理が繰返される。
【0059】
図5は、図4のステップS20における処理手順を示すフローチャートである。
図5を参照して、車両10の制御部12は、蓄熱部温度が車室温度以下であるか否かを判断する(ステップS100)。蓄熱部温度が車室温度以下である場合(ステップS100においてYESの場合)、車両10の制御部12は、空調空気が供給中であるか否かを判断する(ステップS102)。空調空気が供給中である場合(ステップS102においてYESの場合)には、車両10の制御部12は、ファン26および切換弁28の作動をそのまま維持するための制御指令を生成する(ステップS104)。これに対して、空調空気が供給中でない場合(ステップS102においてNOの場合)には、車両10の制御部12は、ファン26を作動させ、切換弁28を導通状態に駆動するための制御指令を生成する(ステップS106)。
【0060】
一方、蓄熱部温度が車室温度以下でない場合(ステップS100においてNOの場合)、車両10の制御部12は、空調空気が供給中であるか否かを判断する(ステップS108)。空調空気が供給中である場合(ステップS108においてYESの場合)には、切換弁28を遮断状態に駆動するための制御指令を生成する(ステップS110)。これに対して、空調空気が供給中でない場合(ステップS108においてNOの場合)には、車両10の制御部12は、ファン26および切換弁28の状態をそのまま維持するための制御指令を生成する(ステップS112)。
【0061】
(変形例)
上述の実施の形態では、蓄熱部24の温度(蓄熱部温度)に基づいて、空調空気の送風を制御する構成について例示したが、空調空気自体の温度を検出し、この温度に基づいて、空調空気の送風を制御してもよい。
【0062】
また、ヒートポンプ機構の運転によって供給される熱エネルギー(給湯量)に基づいて、蓄熱部24に蓄えられる冷熱の量を推定するとともに、この推定量に基づいて空調空気の送風を制御してもよい。この場合には、必ずしも蓄熱部温度を検出する必要はない。
【0063】
また、空調空気の供給を制御するための制御構造として、蓄熱部温度と車室温度との大小関係を利用する場合について例示したが、この他にも、外気温度を考慮したり、屋外の照度(日照度合い)、平日・休日の別、車両10の始動予定時間などを考慮したりして、空調温度の供給タイミングを決定してもよい。たとえば、車両10の始動予定時間が十分先に設定されている場合には、当該始動予定時間に近付いてから空調空気の供給を開始することが効率的である。
【0064】
この発明の実施の形態1によれば、従来のヒートポンプ機構(代表的に住宅におけるヒートポンプ式の給湯設備)においは利用されることなく廃棄されていた「冷熱」を車両の空調に利用することができる。これにより、従来とほぼ同様の使用エネルギーを維持したまま、住宅への給湯と、車両の空調とを同時に実現できる。そして、このように車両を走行前から空調することにより、走行開始してからの空調が不要となるので、空調に使用するエネルギーを低減し、蓄電部からの電力だけで走行可能な距離を長くすることができる。すなわち、短距離の移動であれば、内燃機関(エンジン)を始動することなく、外部充電された外部電源だけで一連の走行を完了できる。
【0065】
また、この発明の実施の形態1によれば、ヒートポンプ機構の冷熱を蓄熱部に蓄熱した上で、車両へ空調空気として供給するので、空調空気の温度を比較的安定化できる。これにより、より効率的な車両空調を実現できる。
【0066】
[実施の形態2]
上述の実施の形態1では、冷房用の空調空気を供給する構成について例示したが、実施の形態2では、冷房用以外の空調空気を供給可能な構成について例示する。
【0067】
図6は、この発明の実施の形態2に従う車両空調システム1Aの概略構成図である。
図6を参照して、この発明の実施の形態2に従う車両空調システム1Aは、図1に示すこの発明の実施の形態1に従う車両空調システム1において、車両空調装置20を車両空調装置20Aに代えるとともに、温水供給経路220、切換弁29および調湿装置230をさらに配置したものである。その他の構成については車両空調システム1Aと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0068】
この車両空調システム1Aでは、以下に詳述するように、車室内を暖房するための空調空気を車両10へ供給可能であるとともに、空調空気の調湿が可能に構成される。
【0069】
温水供給経路220および切換弁29は、車室内を暖房するための空調空気を発生するための構成であり、貯湯槽50に蓄えられた一部の湯水を利用して、ファン26から送出される空調空気を加温する。具体的には、温水供給経路220の一端は、貯湯槽50から住宅30への湯水の供給経路に接続されるとともに、その他端は住宅30から貯湯槽50への冷水の回収経路の接続される。そして、温水供給経路220は、貯湯槽50からの温水をファン26の送出側に導くとともに、ファン26から送出される空気との間で熱交換を行なわせる。また、切換弁29は、温水供給経路220に介挿され、制御部22Aからの制御指令に応じて、貯湯槽50からの温水を選択的に導通または遮断する。なお、車室内を暖房するための空調空気を生成する場合には、ファン26と蓄熱部24との間に遮熱板(図示しない)が選択的に挿入され、ファン26側への冷熱の移動を遮断する。
【0070】
また、調湿装置230は、車両10へ送出される空調空気を調湿するための構成であり、ファン26の送出側に配置される。そして、調湿装置230は、制御部22Aからの制御指令に従って、空調空気から水分を除去(除湿)したり、空調空気に水分を追加(加湿)したりする。なお、このような調湿装置230の構成については、公知であるので、ここではこれ以上の詳細な説明は行なわない。
【0071】
本実施の形態に従う制御部22Aは、車両10側の制御部からの制御指令に従って、このような空調空気の加温や調湿を制御する。そのため、車両10側の制御部は、車室温度や車室湿度などに応じて、空調空気の加温や調湿の必要性を判断し、この判断結果に基づいて、車両空調装置20A側の制御部22Aへ制御指令を出力する。
【0072】
制御構造などについては、上述の実施の形態1において説明したものと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0073】
この発明の実施の形態2によれば、上述の実施の形態1における効果に加えて、各季節において適切な温度および湿度の空調空気を車両に供給することができる。これによって、より乗員に対して快適性を提供することができる。
【0074】
[実施の形態3]
上述の実施の形態1および2では、車両空調装置側に蓄熱部を設ける構成について例示したが、この蓄熱部を車両側に設けてもよい。本実施の形態では、車両側に蓄熱部が配置される構成について例示する。
【0075】
図7は、この発明の実施の形態3に従う車両空調システム1Bの概略構成図である。
図8は、この発明の実施の形態3に従う車両10Bの概略構成図である。
【0076】
図7を参照して、この発明の実施の形態3に従う車両空調システム1Bは、図1に示すこの発明の実施の形態1に従う車両空調システム1において、車両空調装置20を車両空調装置20Bに代えるとともに、蓄熱部を搭載した車両10Bを用いたものである。その他の構成については車両空調システム1Aと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0077】
車両空調装置20Bは、図1に示す車両空調装置20において、蓄熱部24を取り除いたものである。この車両空調装置20Bでは、蒸発工程208で発生した冷熱は、周辺の冷媒(空気)と熱交換され、この熱交換されて冷却された媒体がファン26によって車両10Bへ送出される。なお、車両空調装置20Bでは、ヒートポンプ機構200の作動中であれば、ファン26は連続的に作動する。
【0078】
図8を参照して、本実施の形態に従う車両10Bは、蓄熱部24Bと、車室内導管110,112と、ファン114と、切換ダンパ116,118と、排出導管120と、蓄熱領域122と、吐出孔124とを含む。
【0079】
車両10Bは、車両空調装置20B側から供給される空調空気を蓄熱部24Bに蓄えるとともに、この蓄熱部24Bに蓄えた熱エネルギーを走行時の車室内空調に利用する。より具体的には、蓄熱部24Bは、媒体供給管46、コネクタ部42および車室内導管110を介して供給される空調空気との間で熱交換するように、車室内導管110に連通された蓄熱領域122内に配置される。
【0080】
また、この蓄熱領域122の上方と、座席18の側部(乗員の背部や肩部と接触しない領域)に配置された吐出孔124とを連通する車室内導管112が配置される。そして、この車室内導管112と蓄熱領域122との間には、この連通経路を選択的に導通または遮断する切換ダンパ116が設けられるとともに、蓄熱領域122の媒体(空気)を車室内へ送出するファン114が車室内導管112に介挿される。
【0081】
さらに、この蓄熱領域122の下方と、ラゲッジルーム(図示しない)とを連通する排出導管120が配置される。そして、この排出導管120と蓄熱領域122との間には、この連通経路を選択的に導通または遮断する切換ダンパ120が設けられる。
【0082】
次に、図8に示す車両10Bにおける蓄熱動作および空調動作について説明する。
まず、車両空調装置20Bから供給される空調空気を蓄熱部24Bに蓄える場合には、切換ダンパ116が車室内導管112側に選択され、蓄熱領域122から車室内導管112への経路が遮断される。このとき、ファン114は停止状態に維持される。また、切換ダンパ118は、遮断状態もしくは導通量を制限する状態に維持される。すると、車両空調装置20Bから供給される空調空気は、蓄熱領域122に滞留するようになり、蓄熱部24Bとの間で熱交換が行なわれる。
【0083】
一方、蓄熱部24Bに蓄えられた熱エネルギーを用いて車室内空調を行なう場合には、切換ダンパ116が車室内導管110側に選択され、車室内導管110から蓄熱領域122への経路が遮断される。同時に、ファン114は作動を開始する。また、切換ダンパ118は、導通状態に維持される。すると、ラゲッジルームから排出導管120を逆流する媒体(空気)が蓄熱領域122において蓄熱部24Bとの間で熱交換された後、ファン114によって、車室内導管110を介して車室内へ送出される。これにより、蓄熱部24Bに蓄えられた冷熱を利用した、車室内空調が実現される。
【0084】
なお、切換ダンパ116,118は、車両10Bの制御部(図示しない)によって切換制御される。
【0085】
この発明の実施の形態3によれば、上述の実施の形態1における効果に加えて、蓄熱部を車室内の大きさに応じて最適化できるので、効率的な設計が可能となる。また、本実施の形態に従う車両空調装置以外にも、他の方式に従う車両空調装置から供給される空調空気を受入れることも可能であるので、より汎用性を高めることができる。
【0086】
[実施の形態4]
上述の実施の形態1および2では、車両空調装置側に蓄熱部を設ける構成について例示したが、実施の形態4では、この蓄熱部を着脱可能な構成について例示する。
【0087】
図9は、この発明の実施の形態4に従う車両空調システム1Cの概略構成図である。
図9を参照して、この発明の実施の形態4に従う車両空調システム1Cは、図1に示すこの発明の実施の形態1に従う車両空調システム1において、車両空調装置20を車両空調装置20Cに代えるとともに、蓄熱部24を着脱可能な車両10Cを用いたものである。
【0088】
本実施の形態に従う車両空調システム1Cでは、ヒートポンプ機構200からの冷熱によって予め蓄熱部24に冷熱が蓄熱されるとともに、車両10Cの走行開始直前にユーザが蓄熱部24を車両10Cの所定位置にセットする。これにより、ヒートポンプ機構200で生成される冷熱を車両10Cの空調に利用することができる。なお、車両10Cでは、通常の空調機構の一部として蓄熱部24を組入れ可能に構成したり、図8のような構成を採用したりすることができる。
【0089】
このように、ユーザが蓄熱部24を車両空調装置20Cから車両10Cに搬送することで、ヒートポンプ機構200で生成された冷熱が搬送されるので、本実施の形態に従う車両空調システム1Cでは、媒体供給管46を不要にできる。そのため、本実施の形態に従う車両空調システム1Cでは、媒体供給管46が省略された充電ステーション40Cおよびコネクタ部42Cが使用される。
【0090】
この発明の実施の形態4によれば、上述の実施の形態1における効果に加えて、車両空調装置と車両とを連結する構成がより簡素化できる。
【0091】
なお、上述の実施の形態1〜4においては、車両を空調するための冷媒として、空気を用いる場合について例示したが、空気に代えて水を用いるようにしてもよい。
【0092】
さらに、上述の実施の形態1〜4においては、車両側の制御部が空調空気の供給制御を司るように構成された場合について例示したが、車両空調装置(住宅側)の制御部がこれらの制御を司るように構成してもよい。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の実施の形態1に従う車両空調システムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に従う車両の概略構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に従う車両空調システムにおける空調媒体の供給制御の一例を示すタイムチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に従う車両空調システムにおける車両の制御部と車両空調装置の制御部との間のシーケンスを示す図である。
【図5】図4のステップS20における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に従う車両空調システムの概略構成図である。
【図7】この発明の実施の形態3に従う車両空調システムの概略構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3に従う車両の概略構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4に従う車両空調システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1,1A,1B,1C 車両空調システム、10,10B,10C 車両、12,22,22A 制御部、14,15 温度検出部、16 蓄電部(BAT)、18 座席、20,20A,20B,20C 車両空調装置、24,24B 蓄熱部、26,114 ファン、28,29 切換弁、30 住宅、32 設定器、40,40C 充電ステーション、42,42C コネクタ部、44 電力供給線、46 媒体供給管、48 制御線、50 貯湯槽、52 ポンプ、54 フィルタ、110,112 車室内導管、116,118,120 切換ダンパ、120 排出導管、122 蓄熱領域、124 吐出孔、200 ヒートポンプ機構、202 圧縮工程、204 凝縮工程、206 膨張行程、208 蒸発工程、210 温度検出部、220 温水供給経路、230 調湿装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、
前記車両を空調するための空調媒体を供給する空調媒体供給部と、
前記車両と連結可能に構成され、前記空調媒体を前記空調媒体供給部から前記車両へ搬送する媒体搬送管とを備え、
前記空調媒体供給部は、
凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、
前記蒸発工程において吸熱される蓄熱部とを含み、
前記空調媒体は、前記蓄熱部に蓄えられた冷熱を利用して生成される、車両空調システム。
【請求項2】
前記空調媒体供給部は、媒体を前記蓄熱部との間で熱交換を行なった上で前記空調媒体として送出する送出部をさらに含み、
前記車両空調システムは、前記送出部を制御する制御部をさらに備える、請求項1に記載の車両空調システム。
【請求項3】
前記車両空調システムは、
前記車両の空調対象空間における温度を取得する車両温度取得手段と、
前記蓄熱部の温度を取得する蓄熱部温度取得手段とをさらに備え、
前記制御部は、前記車両温度取得手段によって取得された温度と、前記蓄熱部温度取得手段によって取得された温度との大小関係に基づいて、前記送出部の作動を制御する、請求項2に記載の車両空調システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ヒートポンプ機能の運転状態に応じて、前記送出部の作動を制御する、請求項2または3に記載の車両空調システム。
【請求項5】
前記車両は、駆動力を発生するための電力を蓄える充放電可能な蓄電装置を含み、
前記車両空調システムは、前記蓄電装置と外部電源とを電気的に接続するための電力供給線をさらに備え、
前記電力供給線は、前記媒体搬送管と一体に形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両空調システム。
【請求項6】
車両空調装置と連結可能に構成された車両であって、
前記車両空調装置は、
凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、
前記蒸発工程において吸熱される蓄熱部と、
媒体を前記蓄熱部との間で熱交換を行なった上で空調媒体として送出する送出部と、
前記蓄熱部の温度を検出する蓄熱部温度検出手段とを含み、
前記車両は、前記車両空調装置からの前記空調媒体を受入れて、前記空調媒体を用いて空調されるように構成され、
前記車両は、
前記車両の空調対象空間における温度を取得する車両温度取得手段と、
前記車両空調装置から前記蓄熱部の温度を取得する蓄熱部温度取得手段と、
前記車両温度取得手段によって取得された温度と、前記蓄熱部温度取得手段によって取得された温度との大小関係に基づいて、前記車両空調装置の前記送出部の作動を制御する制御手段とを備える、車両。
【請求項7】
前記車両は、駆動力を発生するための電力を蓄える充放電可能な蓄電装置をさらに備え、
前記車両は、外部電源からの外部電力を受入れて、前記蓄電装置を充電可能に構成され、
前記車両は、前記外部電力の受入れ時に、前記車両空調装置からの前記空調媒体を受入れる、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
車両を空調するための空調媒体を供給する車両空調装置であって、
凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するヒートポンプ機構と、
前記蒸発工程において吸熱される蓄熱部と、
媒体を前記蓄熱部との間で熱交換を行なった上で空調媒体として送出する送出部と、
前記車両からの要求に応答して、前記蓄熱部の温度を検出し、その検出結果を前記車両へ送信する蓄熱部温度送信手段と、
前記ヒートポンプ機構の作動状態および前記車両からの指令に応じて、前記送出部を制御する制御部とを備える、車両空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−40233(P2009−40233A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207758(P2007−207758)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】