説明

車両走行状態情報表示方法および装置

【課題】
交差点ノンストップ走行支援システムあるいはカーナビゲーションシステムにおける車両走行状態情報表示の最適化。
【解決手段】
推奨走行速度あるいは予測旅行速度による走行距離と実走行距離の比較表示、推奨走行速度と実走行平均速度の比較表示、あるいは時間−走行距離平面上での推奨走行速度による走行距離特性 Lr(t) と実走行速度による走行距離特性 Ls(t) の比較表示を行う。
また、交差点ノンストップ走行実施中の旨を自車後部からの表示により後続車両に通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を起点−目的地間所定の時間で正確に走行させることによってシステムの目的が達成される交差点ノンストップ走行支援システム等において、起点から目的地点までの走行中、車両ドライバーが走行の途中経過を正確に把握でき、かつ目的地点への所定の時間どおりの到着を確保するための適切な走行速度修正が可能な車両走行状態情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー、排出ガス削減、および交通安全を目的として「交差点の手前一定距離の地点において、前記地点を前記交差点に向かって走行する個々の車両に対して前記交差点をノンストップで通過するための推奨所要時間、推奨走行速度等の走行条件あるいは走行条件算出に必要な各種情報を車両ごとに演算・通報し、通報を受けた車両は通報された走行条件で、あるいは通報された走行条件算出に必要な各種情報から走行条件を算出して、その走行条件で前記交差点に向けて走行し前記交差点を赤信号に遭遇することなくノンストップで通過する交差点ノンストップ走行支援システム」が提案されている。
【0003】
この交差点ノンストップ走行支援システムにおいては、交差点の手前一定距離の地点から目的地点即ち次に通過すべき交差点までの間車両を車両ごとの推奨所要時間に対応する推奨走行速度で走行させること、したがって実走行速度と前記推奨走行速度との間に誤差が出た場合には推奨所要時間どおりの目的地点到着を達成するための実走行速度の適正な修正が可能であることが最重要となる。しかし従来の車載表示装置を用いての推奨走行速度と実走行速度を比較表示する方法では目的地点への推奨所要時間での到達のための推奨走行速度の修正方法が不明確である。
【0004】
【特許文献1】特願2004−212440
【特許文献2】特願2005− 63217
【特許文献3】特開2004− 93422 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記交差点ノンストップ走行支援システムにおいて、車両が起点−目的地点間走行に際し目的地点に推奨所要時間で正確に到着できるよう走行するための推奨走行速度、実走行速度、推奨走行距離、実走行距離、推奨所要時間、実走行時間等の車両走行状態情報の的確な表示方法に関する。
【0006】
即ち、前記交差点ノンストップ走行支援システムにおいては、車両が起点から目的地点即ち次に通過すべき交差点に推奨所要時間で到達するためには前記区間を個々の車両に対応する推奨走行速度で走行する必要がある。より正確に言えば、前記特定区間を前方走行車の追越をしたり後続車に追い越されたりせずに、許容最高速度以下の速度で、前記区間の実走行平均速度が推奨走行速度となるように走行する必要がある。
【0007】
このため、前記起点−目的地点間走行中には単に個々の車両に対応した推奨走行速度と実走行速度を比較表示し、ドライバーは車両の実走行速度が推奨走行速度となるように走行するだけでは目的を達成することはできない。即ち一旦実走行速度が推奨走行速度からずれてしまった後実走行速度を推奨走行速度に修正しても前記起点−目的地点間内の実走行平均速度が推奨走行速度に一致しなくなり正確な交差点ノンストップ走行支援は出来なくなる。
ここで、前記交差点ノンストップ走行支援システムにおける個々の車両に対応した推奨所要時間、推奨所要速度、許容最高速度、推奨走行速度範囲等の正確な定義・算出方法等については前記特願2004−212440、特願2005− 63217に詳細に説明されているのでここでの説明は省略する。
【0008】
またカーナビゲーションシステムにおいても、起点から目的地点までの予測旅行時間を提示されそれを目標に走行する場合、予測旅行速度(=(起点−目的地間距離)/ (予測旅行時間) )と実走行速度を比較表示するだけでは起点からの実走行時間、実走行距離等が不明で予測旅行時間で旅行したいというドライバーの要求を満足させることはできない。
本発明は上記問題点を解決する最適な車両走行状態情報の表示方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基本的考え方は、交差点ノンストップ走行支援システムにおいてもカーナビゲーションシステムにおいても共通で以下のとおりである。
すなわち、車両の起点通過時から現時点までの実走行距離を車両の自車速パルス数を時間積分すること等によって一定時間毎に演算・検知し、それと現時点までの推奨走行速度あるいは予測旅行速度(=全旅行距離/予測旅行時間)で走行した場合の推奨走行距離あるいは予測旅行距離を比較・表示する。
【0010】
このように表示することによって起点から現時点までの実走行距離が目標どおりであるか否か、否の場合は目標値に対してどれだけ加不足しているか、今後どのように修正を行っていけば推奨所要時間あるいは予測旅行時間で目的地点に到着できるか、を車両ドライバーに正確に知らしめることができ、交差点ノンストップ走行支援あるいはカーナビゲーションシステムにおける旅行時間情報の有効活用が可能となる。
【0011】
先ず交差点ノンストップ走行支援システムの場合について具体的に説明する。
交差点ノンストップ走行支援システムにおいては、起点から現時点までの実走行距離と、推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値で走行した場合の推奨走行距離あるいは推奨走行距離範囲上下限値を一定時間ΔTおきに演算・更新して比較表示する。この比較表示をみて車両ドライバーは実走行距離が推奨走行距離に一致するようにあるいは実走行距離が推奨走行距離範囲上下限値内に入るように実走行速度を調節して走行する。但しこの場合実走行速度は許容最高速度を超えてはならないことは言うまでも無い。このように走行することによって走行途中での実走行速度ずれは補正でき実走行平均速度を推奨走行速度に一致させること即ち推奨所要時間での目的地点到着が容易となる。
【0012】
上記説明においては実走行距離と推奨走行距離あるいは推奨走行距離範囲上下限値の比較・表示としたが、これは実走行平均速度と推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値の比較・表示と同等である。
【0013】
また表示装置上に時間−距離平面を形成し、そこに起点から目的地点までの推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値で走行した場合の走行距離特性 Lr(t) あるいは Lrmax(t)、Lrmin(t) を表示し、ここに起点から現時点までの実走行による走行距離特性 Ls(t) を一定時間ΔT毎に更新して比較・表示する方法もある。この表示方法によって起点からの目標とすべき走行経過に対する実走行経過が明確になり、車両ドライバーの今後の目的地点に向けての走行の修正方法が明確となる。
【0014】
即ち車両ドライバーは前記推奨走行速度走行による走行距離特性 Lr(t) に実走行による走行距離特性 Ls(t) が一致するように、あるいは前記推奨走行速度範囲上下限値走行による走行距離特性範囲内 Lrmin(t)〜 Lrmax(t) に実走行による走行距離特性 Ls(t) が入るように、走行することによって目的地点に推奨所要時間あるいは推奨所要時間許容範囲内で到着することができる。
【0015】
カーナビゲーションシステムにおける旅行時間表示についても同様である。
起点−目的地点間の予測旅行時間に対して現在までの実旅行時間を、また起点−目的地点間距離に対して現在までの実走行距離を一定時間毎にあるいは一定距離走行毎に更新して比較・表示する。
あるいは前記交差点ノンストップ走行支援システムの場合と同様に表示装置画面上に時間−距離平面を形成しそこに起点から目的地点までの予測旅行時間−旅行距離特性を表示しそれに実旅行時間−実旅行距離特性を一定時間毎に更新して比較・表示してもよい。
これより予測旅行時間に対して現時点までの走行は予測より速いのか遅いのか、予測どおりに目的地点に到達するためには今後どのような走行をしたらよいかの指針が明確になる。
【0016】
また、交差点ノンストップ走行支援システムにおいては、交差点ノンストップ走行中の車両に正規な車間距離を保って追随走行する車両は特別の例外を除いて次に通過すべき交差点をノンストップで通過できる。
但し前記特別の場合として、交差点ノンストップ走行中の車両が次に通過すべき交差点を当該交差点の青信号が滅灯する寸前に通過予定の場合、言い換えると交差点ノンストップ走行中の車両の実走行速度が許容最高速度にごく近い場合、は除かれる。
【0017】
この特別の場合には前記交差点ノンストップ走行している車両の後続車がそのまま前記交差点ノンストップ走行している車両に追随した場合は、前記交差点ノンストップ走行している車両が青信号滅灯寸前で当該交差点を通過した直後に交差点に到達することになりこの時点では当該交差点は青信号が赤に変わっている恐れがあるからである。(この理由の詳細は特願2004−212440、特願2005− 63217参照)
【0018】
したがって推奨走行速度で走行する車両は自車の次に通過すべき交差点到達時刻を推奨走行速度算出時に同時に知り、あるいは自車が獲得した推奨走行速度を許容最高速度と比較し、自車の交差点到達時刻は自車の後続車も同じ青信号で通過できるほどに余裕がある場合あるいは自車の推奨走行速度が許容最高速度に極近くない場合のみ後続車にその旨の表示を行って後続車を追随走行させ、交差点到着時刻に余裕がない場合あるいは推奨走行速度が許容最高速度に近い場合は前記表示を行わないようにする。この方法は交差点ノンストップ走行支援システムの実用性向上の上からも非常に有効である。
【発明の効果】
【0019】
上記の如く本発明は、交差点ノンストップ走行支援システムの実現性を高めるとともに、実現した場合推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲を守っての車両走行に対する車両ドライバーの負荷を大きく削減できることができる。
またカーナビゲーションシステムにおいても旅行時間情報の有効活用が可能となり利用者の利便性を大きく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
交差点ノンストップ走行支援システムにおいては車載表示装置に推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値と実走行速度を比較して表示することに加えて、前記本発明による時間−距離平面上での推奨走行距離特性 Lr(t) あるいは推奨走行距離範囲上下限値特性Lrmax(t)、Lrmin(t)と実走行距離特性Ls(t)の比較・表示を行う。
合わせて車両後部に後続車に対する「交差点ノンストップ走行中」を表示する表示装置を設ける。
またカーナビゲーションシステムにおける旅行時間表示は、予測旅行時間と現時刻までの実所要時間、および目的地点までの距離と現時点までの実走行距離を、対比して表示する。
【実施例1】
【0021】
図1、図2に本発明による車両走行状態表示関連部分の機能ブロック図を、図3(a)、図3(b)に各々その表示例を示す。
図1において、
101は、交差点ノンストップ走行支援システム車側装置から出力される起点通過信号でリセットされその後一定時間ΔT経過毎にΔT経過信号を出力するΔTタイマー、
【0022】
ここで前記起点通過信号とは、起点即ち自車が次に通過すべき交差点をノンストップで走行するための推奨賞時間 topt 、推奨走行速度 vopt 等 、あるいは推奨所要時間 topt 、推奨走行速度 vopt 等を車側で演算するに必要な各種情報を路車間通信によって路側から獲得する地点、を通過したとき交差点ノンストップ走行支援システム車側装置から出力される信号である。
【0023】
102は、前記起点通過信号によってリセットされ、その後車両が前記推奨走行速度 vopt で前記起点通過後現時刻までの時間 t の間走行した場合の走行距離 Lr(t) を演算して出力する推奨走行距離演算部、
【0024】
103は、前記起点通過信号によってリセットされ、その後車両自車速 vs(t) を時間積分して前記起点通過後現時刻までの時間 t の間の実走行距離 Ls(t) を演算・出力する実走行距離演算部である。
ここで車両自車速 vs(t) とは、車両の速度計、距離計の信号源としての車両プロペラシャフト回転数に比例したパルス数等から得られる自車の走行速度情報である。
【0025】
104は、推奨走行距離演算部102出力 Lr(t) および実走行距離演算部103出力 Ls(t) を入力し、ΔTタイマー101のΔT経過信号が出力される毎にそのときの推奨走行距離演算部102出力 Lr(t) のサンプル値 即ち Lr(ΔT)、Lr(2ΔT)、Lr(3ΔT)、・・・、と実走行距離演算部103出力 Ls(t) のサンプル値 即ち Ls(ΔT)、Ls(2ΔT)、Ls(3ΔT)、・・・、を出力する表示演算部、
【0026】
105は、表示演算部104から前記一定時間ΔT毎に前記 Lr(t) および Ls(t) のサンプル値 Lr(ΔT)、Lr(2ΔT)、Lr(3ΔT)、・・・、および Ls(ΔT)、Ls(2ΔT)、Ls(3ΔT)、・・・、を順次入力し、図3(a)に示す如く Lr(ΔT)を基準値としてLs(ΔT)を、Lr(2ΔT)を基準値としてLs(2ΔT)を、Lr(3ΔT)を基準値としてLs(3ΔT)を、・・・、順次更新して比較表示する表示部、
である。
【0027】
この場合の表示画面を図3(a) に示す。
図3(a)において、
301は、表示画面、
302は、実走行速度表示、
303は、起点通過後現時点までの推奨走行距離表示、
304は、起点通過後現時点までの推奨走行距離に対する実走行距離の相対表示、
である。
【0028】
一方図2において、
202は、前記起点通過信号によってリセットされ、その後交差点ノンストップ走行支援システム車側装置から供給される推奨走行速度範囲上限値 voptmax および推奨走行速度範囲下限値 voptmin で車両が起点通過後現時点までの時間 t の間走行した場合の推奨走行距離範囲上限値 Lrmax(t) および推奨走行距離範囲下限値 Lrmin(t) を演算・出力する推奨走行距離演算部、
【0029】
204は、推奨走行距離演算部202出力 Lrmax(t)、Lrmin(t)、および実走行距離演算部203出力 Ls(t) を入力し、ΔTタイマー201のΔT経過信号が出力される毎にそのときの Lrmax(t) サンプル値即ち Lrmax(ΔT)、Lrmax(2ΔT)、Lrmax(3ΔT)、・・・、 Lrmin(t) サンプル値 即ち Lrmin(ΔT)、Lrmin(2ΔT)、Lrmin(3ΔT)、・・・、および Ls(t) サンプル値 即ち Ls(ΔT)、Ls(2ΔT)、Ls(3ΔT)、・・・、を出力する表示演算部、
【0030】
205は、表示演算部204から前記一定時間ΔT毎に前記Lrmax(t)、 Lrmin(t)、およびLs(t)のサンプル値Lrmax(ΔT)、Lrmax(2ΔT)、Lrmax(3ΔT)、・・・、 Lrmin(ΔT)、Lrmin(2ΔT)、Lrmin(3ΔT)、・・・、および Ls(ΔT)、Ls(2ΔT)、Ls(3ΔT)、・・・、を入力しこれらを順次更新して比較・表示する表示部、
である。
また201、203は図1における101、103に各々同じであるので説明は省略する。
【0031】
この場合の表示画面を図3(b) に示す。
図3(b)において、
305は、表示画面、
306は、実走行速度表示、
307は、起点通過後現時点までの推奨走行距離範囲上限値表示、
308は、起点通過後現時点までの推奨走行距離範囲下限値表示、
309は、推奨走行速度範囲表示、
310は、起点通過後現時点までの推奨走行距離範囲下限値表示、
311は、起点通過後現時点までの推奨走行距離範囲上下限値に対する実走行距離相対表示、
である。
【0032】
ここで303、304、307、308の説明表示に本来ならば各々「推奨走行距離」、「実走行距離」、「推奨走行距離範囲」、「実走行距離」とするべきを、「推奨走行速度」、「実走行平均速度」、「推奨走行速度範囲」、「実走行平均速度」としているのは、(起点通過後現時点までの実走行距離)/(起点通過後現時点までの推奨走行距離)=(起点通過後現時点までの実平均走行速度)/(起点通過後現時点までの推奨走行速度)であることから、わかりやすい方の表現としたためである。
【0033】
したがって図1の機能ブロック図を図4の如く変更して推奨走行距離と実走行距離の比較演算ではなく、説明表示どおりの推奨走行速度と実走行平均速度を直接比較する方法もある。
図4において、
404は、推奨走行速度 vopt および実走行距離演算部403出力 Ls(t) を入力し、ΔTタイマー401のΔT経過信号が出力される毎にそのときの実走行距離演算部403出力 Ls(t) 即ち Ls(ΔT)、Ls(2ΔT)、Ls(3ΔT)、・・・を演算しそれらから実走行平均速度 Ls(ΔT)/(ΔT)、Ls(2ΔT)/(2ΔT)、Ls(3ΔT)/(3ΔT)、・・・を順次得て、推奨走行速度 vopt とあわせて出力する表示演算部、
【0034】
405は、表示演算部404から前記一定時間ΔT毎に推奨走行速度 vopt および実走行平均速度 Ls(ΔT)/(ΔT)、Ls(2ΔT)/(2ΔT)、Ls(3ΔT)/(3ΔT)、・・・を入力し、図3(a)に示す如く推奨走行速度 vopt を基準として実走行平均速度 Ls(ΔT)/(ΔT)、Ls(2ΔT)/(2ΔT)、Ls(3ΔT)/(3ΔT)、・・・を順次更新して比較表示する表示部、
である。
ここで401、403は図1の101、103に各々同じであるので説明は省略する。
【0035】
図2の機能ブロック図においても推奨走行距離範囲上下限と実走行距離の比較表示では無く、推奨走行速度範囲上下限値と実走行平均速度の比較表示とすることが出来ることは言うまでも無い。
【0036】
以上の表示により車両ドライバーは、起点通過後の現時点までの実走行平均速度が推奨走行速度に比べてどの程度過不足していたかを知ることができ今後の目的地点に向かっての走行に際し、図3(a)においては実走行平均速度表示304が推奨走行速度表示303に一致するように、図3(b)においては実走行平均速度310が推奨走行速度範囲307〜308内に入るように、それぞれ車両を走行させることによって目的地点に推奨所要時間で正確に到達することができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2の表示例を図5(a)、図5(b)に示す。
図5(a)においては、表示画面501上に、現状の実走行速度表示502を行うと同時に、横軸時間503、縦軸走行距離504の時間−走行距離平面505を形成し、起点から目的地点即ち交差点ノンストップ走行システムにおいては推奨走行速度による走行距離特性 Lr(t) 506と、起点から現時点までの実走行による走行距離特性 Ls(t) 507、現時点から目的地点までの予測による走行距離特性 Ls(t) 508を前記一定時間ΔT毎に更新して比較・表示する。
ここで現時点から目標地点までの予測による走行距離特性 Ls(t) 508は、起点から現時点までの実走行による走行距離特性 Ls(t) 507の現時点 t における値と推奨走行距離特性 Lr(t) の推奨所要時間 topt における値目的地点距離値を結ぶことによって求められる。
【0038】
本表示例実現のための車両走行状態表示関連部分の機能ブロック図は図4に同じである。但し表示部405において表示する内容が推奨走行速度 vopt に代えて時間−走行距離平面上への走行距離特性 Lr(t) に、また実走行平均速度Ls(ΔT)/(ΔT)、Ls(2ΔT)/(2ΔT)、Ls(3ΔT)/(3Δ)、・・・、に代えて時間−走行距離平面上への実走行距離特性 Ls(t) となるところが相違点である。
【0039】
また図5(b) においては、表示画面508上に、現状の実走行速度表示510を行うと同時に、横軸時間511 、縦軸走行距離512 の時間−走行距離平面513 を形成し、起点から目的地点即ち交差点ノンストップ走行システムにおける推奨走行速度範囲上限値 voptmax および推奨走行速度範囲下限値 voptmin による走行距離特性 Lrmax(t) 514 および走行距離特性 Lrmin(t) 515と、起点から現時点までの実走行による走行距離特性 Ls(t) 516、現時点から目的地点までの予測による走行距離特性 Ls(t) 517を前記一定時間ΔT毎に更新して比較・表示する。
【0040】
この比較・表示によって、起点通過時から現時点までの実走行状態が明確となり、車両ドライバーは今後目的地点までの走行に際し図5(a)表示の場合は実走行による走行距離特性508が目的地点において推奨所要時間 topt になるように、また図5(b)の表示においては実走行による走行距離特性517が目的地点到着時に推奨所要時間 topt の許容誤差範囲内に入るように走行することによって交差点ノンストップ走行を達成することができる。
【0041】
尚本実施例2においては交差点ノンストップ走行に関しての表示例を説明したが、カーナビゲーションシステムにおける旅行時間表示も同様な考え方で可能である。即ち、交差点ノンストップ走行システムにおける推奨走行速度に代えてカーナビゲーションシステムにおいては予測旅行速度(=(起点−目的地点間距離)/(予測旅行時間))を用いればよい。
【実施例3】
【0042】
実施例3の表示例を図6に示す。本例は本発明のカーナビゲーションシステムへの実施例である。
図6において、表示画面601上に予測旅行時間602に対して起点通過から現時点までの実旅行時間604を、予測旅行時間に対する残時間即ち(予測旅行時間)−(現時点までの実走行距離)を605に、また起点から目的地点までの全走行距離603に対して現時点までの実走行距離606を、全走行距離に対する残距離607即ち(全走行距離)−(現時点までの実走行距離)を、それぞれ対比して示す。
【0043】
交差点ノンストップ走行システムにおいても同様な表示を行い、ドライバーは推奨所要時間に対しての実所要時間途中経過の割合が起点−目的地点間距離に対する起点−現地点間走行距離の割合と一致するように走行することによって交差点ノンストップ走行することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上記の如く本発明は、交差点ノンストップ走行支援システムの実現性を高めるとともに、推奨所要時間での目的地点到達への車両ドライバーの負荷を大きく軽減することができる。
またカーナビゲーションシステムにおいても旅行時間情報の有効活用が可能となりカーナビゲーションシステム利用者の利便性を大きく向上させることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による表示方法実現のための第1の表示情報処理機能ブロック図、
【図2】本発明による表示方法実現のための第2の表示情報処理機能ブロック図、
【図3】本発明による表示方法の第1の表示例
【図4】本発明による表示方法実現のための第3の表示情報処理機能ブロック図、
【図5】本発明による表示方法の第2の表示例
【図6】本発明による表示方法の第3の表示例 である。
【符号の説明】
【0046】
図1、図2、図4において、
101、201、401:ΔTタイマー
102、202:推奨走行距離演算部
103、203、403:実走行距離演算部
104、204、404:表示演算部
105、205、405:表示部
vopt:推奨走行速度
voptmax:推奨走行速度範囲上限値
voptmin:推奨走行速度範囲下限値
vs(t):自車速
Lr(t):推奨走行速度走行時の走行距離特性
Lrmax(t):推奨走行速度範囲上限値走行時の走行距離特性
Lrmin(t):推奨走行速度範囲下限値走行時の走行距離特性
Ls(t):実走行距離特性
【0047】
図3において、
301、305:表示画面
302、306:実走行速度表示
303:推奨走行速度表示
304、310:実走行平均速度表示
307:推奨走行速度範囲上限表示
308:推奨走行速度範囲下限表示
309:推奨走行速度範囲表示
(a):推奨走行速度と実走行平均速度の比較・表示を行った場合の表示例
(b) :推奨走行速度範囲上下限値と実走行平均速度の比較・表示を行った場合の表示例
【0048】
図5において、
501、509:表示画面
502、510:実走行速度表示
503、511:横軸(時間軸)表示
504、512:縦軸(走行距離軸)表示
505、513:時間−走行距離平面表示
506:推奨走行速度による走行距離特性表示
507、516:実走行速度による走行距離特性(起点〜現時点)表示
508、517:実走行速度による走行距離特性(予測)表示
514:推奨走行速度範囲上限値による走行距離特性表示
515:推奨走行速度範囲下限値による走行距離特性表示
(a):推奨走行速度による走行距離特性と実走行による走行距離特性の比較・表示を行った場合の表示例
(b):推奨走行速度範囲上下限値による走行距離特性と実走行による走行距離特性の比較・表示を行った場合の表示例
t:起点からの経過時間
topt:推奨所要時間(起点から目的地点までの間を推奨走行速度で走行した場合の所要時間)
【0049】
図6において、
601:表示画面
602:予測旅行時間表示
603:全走行距離表示
604:現時点までの実旅行時間表示
605:(予測旅行時間)−(現時点までの実旅行時間)表示
606:現時点までの実走行距離表示
607:(全走行距離)−(現時点までの実走行距離)表示
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点通過時から現時点までの実走行距離と、推奨走行速度走行あるいは推奨走行速度範囲上下限値内走行を仮定した場合の推奨走行距離あるいは推奨走行距離範囲上下限値、の相対関係を同一画面上に比較表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法。
【請求項2】
起点通過時から現時点までの実走行平均速度と、推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値、の相対関係を同一画面上に比較表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法。
【請求項3】
時間−距離平面上に、起点から現時点までの実走行による時間−走行距離特性 Ls(t) と、起点から目的地点にいたる推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値での走行を仮定した場合の時間−走行距離特性 Lr(t) あるいは Lrmax(t)、Lrmin(t) を比較表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法。
【請求項4】
起点から目的地点までの距離および推奨所要時間に対し、起点から現時点までの実走行距離および実所要時間を、比較表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法。
【請求項5】
車両が交差点ノンストップ走行しているときその旨を後続車両に対して表示して知らしめることを特徴とする車両走行状態情報表示方法。
【請求項6】
車両が交差点ノンストップ走行しているとき当該車両の目的地点即ち次に通過すべき交差点へ到着予定時刻が当該交差点の青信号滅灯予定時刻に一致あるいはごく近い場合は前記車両の交差点ノンストップ走行をしている旨の後続車への表示は行わないことを特徴とする請求項5記載の車両走行状態情報表示方法。
【請求項7】
車両が交差点ノンストップ走行しているときその推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲下限値が許容最高速度に一致あるいはごく近い場合は前記車両の交差点ノンストップ走行して旨の後続車両への表示は行わないことを特徴とする請求項5記載の車両走行状態情報表示方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点通過時から現時点までの実走行距離と、推奨走行速度走行あるいは推奨走行速度範囲上下限値内走行を仮定した場合の推奨走行距離あるいは推奨走行距離範囲上下限値、の相対関係を同一画面上に比較表示すること
あるいは、起点通過時から現時点までの実走行平均速度と、推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値、の相対関係を同一画面上に比較表示すること、を特徴とする車両走行状態情報表示方法および装置
【請求項2】
時間−距離平面上に、起点から現時点までの実走行による時間−走行距離特性 Ls(t) と、起点から目的地点にいたる推奨走行速度あるいは推奨走行速度範囲上下限値での走行を仮定した場合の時間−走行距離特性 Lr(t) あるいは Lrmax(t)、Lrmin(t) を比較表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法および装置
【請求項3】
車両が交差点ノンストップ走行しているときその旨を後続車両に対して知らしめるべく表示することを特徴とする車両走行状態情報表示方法および装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−338420(P2006−338420A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163372(P2005−163372)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(301001199)
【Fターム(参考)】